日々雑談 '96/10月上旬



10月1日/タクシー強盗

 昨夜、となり町、といってもほんの数百メートル離れたところでタクシー強盗があって、運転手さんはスタンガンで撃たれたうえに刃物で胸を刺されて重体だそうです。
 大阪駅付近から乗って「箕面の船場」と言った40歳代の男って、まるきり私のパターンではないか(前日には私がそうやって帰宅したのだ)。
 それにしても、昨夜は疲れがあって早く寝たのですが、それだけの事件があれば騒々しかった筈。超野次馬人間の私が気付かなかったとは、ひどく熟睡してしまっていたのでしょうね。

10月2日/ブランデーベースの梅酒古酒

 うひ、うひひ、うひひひ。
 訪問診療に伺っているお宅がお引っ越し準備をなさっていて、ずっと前に漬けていたブランデーの梅酒が大量に出てきたといって、一升瓶を一本おすそ分けくださいました。
 いつものようにビールの晩酌のあと、この種のアルコホルに目のないパートナーともども賞味させていただきましたら、これがもうトロリとして非常に旨い。くださったかたは私と同年輩のノンベの女性ですが、彼女はこれをグラス一杯飲んで強烈に酔っ払ったとのことで、とりあえず警戒して今夜は切子細工のぐい飲みに一杯だけにしました。しかし、チョベリグっ :-)
 よく見ますと瓶の下のほうにテープが貼ってあって、そこに「昭和57年」とあります。ええと、昭和57年は1982年だから、えとえと、えっ、15年ものではありませんか。私が今の職場に就職するよりも前に漬け込んだもの。
 うひ、うひひ、うひひひ。

10月3日/迷惑な人たち

 今日は偶然にも「無能な人」「いるだけで迷惑な人」「回りに不愉快を撒き散らす人」という話題が、いくつもの場面で話すことになってしまいました。職場である病院で、錯綜するネットワーク通信で、依頼されて面談した司法関係者との場で、帰宅のバスの中で、夕食のあとでのパートナーの職場でのできごとについての相談で、においてです…。けっこー疲れたよ。
 具体的に書きますといろいろと影響も大きいので遠慮しておきますが、あることがどこにだれにどんなどれほどの迷惑を与えることになるか。私はもともとかなり人情家だと自分でいうのも変ではあるが、本心で思っています。しかし、迷惑を被るのがどこかということの内容によっては、非常に冷酷になってしまうことがあります。じつは職場で何人も退職に追い込んだ既往があります(刺されてもしかたがないほどいぢめて辞めさせた例もある)。それは、私たちがいちばん大事にしなければならない患者さんに多大の迷惑をかける恐れがある奴らだたからです(いぢめた相手は医者がいちばん多いんだけど、看護婦も少なくないのだ)。
 そして、このやりかたは、将来も変える気はありません。私の本職では患者さんへの迷惑に対してですし、このネットワーク通信では善意の読み手へのそれということになるのでしょう。義理も仁義も人情も無視しちゃう、めっちゃ冷たいのとちゃうのん、という意味では、団塊世代の元ノンセクトラジカルの血が騒ぐやん :-) ←いつまでも幻想から脱皮でけんヤツや(そーゆー意味では戦前のボーレーみたいな人とおんなじメンタリティなんかな)。
 がははははははははははははははは。

10月4日/曇天雨天は候補者の涙か

 仕事を終えて駅に歩いていきますと、駅前からなにやら大きな声の演説が聞こえてきました。駅前の店でちょっと買い物をしていきたくて、その演説車のほうに行きますと、人は集まっているわテレビがきているは警備らしい人がいるわ、とても通路を通れる状況ではありません。しかたなく回り道をしました。
 S党公認の女性候補の応援に党首のO氏がきていたようです。私はこの人の「人をバカにしたようなしゃべりかた」に身の毛がよだちそうになるので、逃げるように駅に急ぎましたが、天気予報が大当たりでまるで夏の夕立のような驟雨が突然降ってきて、うーむ、車の屋根に乗っての演説はお気の毒でした。
 んでもまあしばらくはまた選挙選挙で煩いことです。なんとなくアホらしく感じてしまう世紀末の秋。

10月5日/スズムシ

 夜にはうるさいくらいに鳴いていたスズムシですが、10月に入ってからは目に見えて元気がなくなってきました。もともと中秋くらいまでが時期と言われていましたら、これはいたしかたないのですけれど、たとえ虫とはいえども、やはりなんとなく悲しいものです。
 いまの時期に産卵していて、来年の初夏にはいっぱい孵化すると聞かされてはいますが、やはりちょっと寂しい。

10月6日/びんぼーしょー

 今日はパートナーは仕事、娘は試合ということで、ふたりとも早くから出かけてしまいました。目覚めたのは相変わらずいつもの時刻だったものの、ひとり残ったので布団の中でごろごろしていましたが、しかしいったん目が醒めてしまいますと、とくに今日のように天気がいいと、もう一度眠るということは私には無理なようです。ほんとは朝寝、をしたいのですが…。
 9時すぎにはもう起きてしまってゴソゴソと何をするでもなく。こういうのを「貧乏症」とでもいうのでしょうか。
 で、午後に車で走っていて、非常に眠くなったのには困りました。

10月7日/ワーカフォリックな人たち

 夕刻から所用で大阪に出て、午後9時ごろに地下鉄で帰ってきました。アフターファイブにしばしば大阪市に出ますが(ええと、ほとんどは遊びではない)、いつもいつも思うことは、夕刻の帰宅ラッシュのすさまじさ、つまり午後5時過ぎになると矢のように家に帰ろうとするひとびとの波の激しさと、宵が遅くなってもいつまでも続く混雑のことです。
 中之島あたりを歩いていても、そこここのビルの電気がまだこうこうとついていますし、地下鉄の駅はごったがえしています。
 ほんとうにこの国で働くひとびとは勤勉だと思います。

10月8日/都市の秘密の通路

 ひさしぶりの総選挙の公示の日でしたが、日々雑談には無関係です。
 大阪梅田の地下街といえば、かつて日本一などといわれていましたし、最近も「ディアモール」という新しい街ができて増殖し続けています。
 この地下街には何ヶ所かの「秘密の経路」というのがあります。二地点間を歩くのに、二次元だけではなく三次元的に考えますとたいへんショートカットになる方法があるのです。地下街に接続されているビルの地下通路を駆使すれば、最短距離/時間での移動が可能なのですが、これはひとつ間違うと「迷路」になってしまいます。立体迷路。
 そういう複雑かつ無計画な通路を歩き回ってオリエンテーションをつけていくということを趣味にしているというと、やはり変でしょうか *1)。残念なのは、二次元地図なら簡単に書いて説明できるのに、3Dはなかなか図示しにくいということでありましょうか。でも東京の地下通路もたいへん分かりにくいでした *2)。
    *1) さてここで大阪のかたに問題です。(1) 大阪駅前第三ビル地下1
    階のパソコンショップ「Tzone」から阪神百貨店の地下売り場への最
    短経路、(2) 阪急電車で梅田に着いてからできるだけ空いていて短距
    離で「ギャレ大阪」まで行く経路、を考えてください。

    *2) 先日、営団丸の内線東京駅で降りて、JR東京駅の八重洲口まで
    行こうとして、気がついたら営団/都営「大手町」駅まで歩いて行っ
    てしまっていたのは私です ^^;

10月9日/諸行無常

 うるさいほど元気に鳴いていたスズムシですが、10月に入ってからは目に見えて元気が亡くなってきました。2日に一度エサを取り替えて水吹きしているのですが、ここ数回の世話のたびに数匹づつの遺骸の処理をしています。寿命とはいえ、やはりいい気分のものではありません。
 来年の初夏にはもっと多くの虫が産まれるとは分かっていても、やはり一時期その存在に心を休めさせてもらった義理というものがあります。
 庭ではまだ秋の虫の声が賑やかに聞こえています。

10月10日/忙中閑

 いろいろと書きたい雑談もあるものの、いましばらくは「季節ネタ」のような無難なところですませておきたいと思います。
 ようやく休日の朝寝ができて、9時すぎに起きてきましたら、外は久しぶりの晴天、ピーカンの秋晴れでありました。抜けるような空の下だと、見慣れたわが狭い庭でも違った輝きがあるように感じるから不思議です。
 こんな小さな庭でも、落ちるべき葉は色が変ってきていますし、日陰ではしっとりと露を帯びた草がありました。夏の青い香りほどの強烈さではありませんが、秋の匂いをふと感じたような気がします。
 あちらもこちらも何やかやと騒がしいのですが、できれは静かに秋を過ごしていたいのですよ。

10月11日/小選挙区制

 総選挙のエンジンがかかってきて、朝な夕なの駅頭での候補者のお立ちが連日見られるようになってきました。
 帰り道に訪問診察のために豊中駅で下車したら、やはり駅前に候補者と運動員がずらりと並んでいて、ともかくしつこくつきまとわれまして、とうとう大きな声で「ワシの家はは9区やねん」と喚いてしまいました(豊中は大阪8区です)。駅から出てくるニンゲンがどこの区に住んでいるのか分からないとはいうものの、歩道橋を渡りきるまでに同じ陣営の運動員の10人以上から声をかけられるなんて、これは逆効果だと思うけどなあ。
 自宅の近くにあるポスター掲示をじとっと見ていましても、うーん、投票に行くのはやめようか…、と思ってしまうほど、選ぶほうの選択肢が狭まってしまっているように、この選挙制に感じます。なんだか、ワシら馬鹿にされてるような気になりつつある今日このごろ。

10月12日/白浜温泉

 職場の慰安旅行でひさしぶりに白浜温泉にきています。バブル期以前に来たきりですので、バブリィな建物が増えたのに驚いています。今夜の宿もそのような施設のひとつです。
 私は子どもの頃から父によくここに連れてきてもらっていました。まだ紀勢西線といっていたころで、C57 の牽く準急「黒潮」、これは阪和線内ではEF52という趣のある電機が牽引していました。やがてキハ55系の準急「きのくに」が私たち家族の白浜への足になったのですが、その後、急行「紀州」の時代にはわが兄弟も大きくなって、父母と旅行することもなくなってきたわけです。
 大阪で所用もありますので、私は明日早朝の特急で帰阪しますが、その特急「スーパーくろしお」という名称もなつかしい。

10月13日/新規開拓

 歳のせいか、呑み食いする店(写真はよくビールを飲みにいく、大阪ビジネスパークのインターナショナル・マーケット・プレイス・ビルにあるビヤホールからの夜景)に関してかなりコンサーバティブになってきています。新規に開拓する元気や勇気がなくなっているといえばいいのでしょうか…。ですから、たまに娘とのデートで「ごちそうしてあげる」と言っても、私の行くところは決まっているので、彼女はあまり嬉しそうではなさそうです。
 で、その傾向は私だけではなく、同じように年を重ねつつあるわがパートナーも同じことのようで、今夜、パートナーが同僚から勧められたという店に行くのにも、けったいな店やったらどーしょー、とか、まずかったらいややな、とか、ま、いろいろと取り越し苦労などをしてしまうわけでしたが、しかし行ってみたらこれが大当たり、まあ若者の多い店ではありましたが、そうか、若者のなかにもこのような野菜のきわめて多い献立を好んでるのもいるのだなあ、いやはや、おぢさんの先入観はいかなあ、と思ったことでした。
 そういうわけで、大阪北部のスポットにまたひとつ贔屓の店ができました。


10月14日/どつぼ

 私の外来診察はどんどんと泥沼になりつつあるようです。
 診察というより、よろす相談どころのおもむき(そういえば、天理教の病院の正式名称は「よろず相談所付属病院」だったような…)。けっきょく、医療をどんどん極限まで追求していくと、よろず相談ということになるのでしょうか。
 で、私は、そういうよろず相談を受けるほどのニンゲンではないと思っているので、今日もまたストレスに悩むのでありました(酒の量が増えるぞい)。

10月15日/昼間っからビール

 どうもここのところ飲む話ばかりで気がひけるのですが(うそ)、今日はビアホールの話題です。
 最近、パートナーとでかけたときに、用件をすませたあとに、なんとなく「ビールが飲みたいねえ」という気分の一致が多くて、大阪にでかけているときには、まだ日の高いうちからビアホールを求めて回ったりしてしまっています。
 大阪の盛り場ではそれぞれ趣向を凝らしたお店がいっぱいあって、機会があるたびに一軒づつ潰して回っているという状況です。今日もプライベートな用件が午後にありまして、夕刻にそのままビアホールに突入したわけでありました。でも私は、いつでもビールを求めて悶え苦しむ依存症ではありません。基本的には明るいうちは飲まないのです。しかし、相手がわがパートナーで、気分が乗って、あとの心配がないときには、やっぱり所詮好きなもんですからね、飲んでしまいますわな、はは。




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