半透明の色を表現しよう

イラスト内での半透明の使い方

イラストを描いていると、着色の際に、通常の不透明色では表現できない場面に遭遇します。
例えば、スモークがかったサングラスや、グラスに入ったメロンソーダや、幽体離脱したキャラクターなどのように、背景に来るものが微妙に透けているような『半透明』のものです。
Flash では、半透明を簡単に表現できるのはもちろんのこと、その透ける度合いも細かく調整できます。

具体的な半透明の使い方の例として、以下のようなイラストを描いてみました。
花嫁さんの頭にかかっているウエディングベールの部分ですね。
このベールは実際には細かい網目状になっていて、素材に半透明の物質は使われていないのですが、網の目が細かすぎるために、むしろ半透明として表現したほうが良いパターンのものです。
他にも目の細かい網目状のものといえば、エアコンのフィルターや、レースカーテンや、すけすけパンティーなどがありますが、それらもすべて『半透明』で表現していいと思います。

不透明度(アルファ)の調整方法

Flash の場合、透明度(実際の意味としては不透明度)の事を、『アルファ』と表現します。
アルファが100%だと通常の不透明な色で、アルファが0%だと完全な透明ということになります。
同じアドビのソフトウェアでも、Illustrator の場合は『不透明度』という直接的な言葉で表現されています。
不透明度100%は通常の不透明な色で、不透明度0%が完全な透明というわけです。

Flash でオブジェクトのアルファを変更する方法は、いくつか調整するための箇所があるのですが、一番わかりやすいのは『カラーパネル』を使用することです。
カラーパネルを開くと、『R:(赤)』『G:(緑)』『B:(青)』とともに、『A:』と書かれた項目があります。
これがアルファの頭文字になっていて、ここで不透明度をパーセントで調整できます。
数値の部分を右にドラッグすればプラス側に、左にドラッグすればマイナス側に調整でき、直接数値を入力することもできます。
色の調整をしたい時は、調整したいオブジェクトを選択した状態(網かけになった状態)にしておくことを忘れずに。

『線』のアルファの調整方法

上記のイラストのウエディングベールの部分は、『塗り』の部分だけアルファを50%にしています。
『線』の部分に関してはアルファ100%なので、完全な不透明です。
線のアルファを変更する際も、塗りのアルファを変更する時と作業内容は同じです。
あらかじめ、線を選択状態(ワンクリックで部分選択、ダブルクリックで繋がっている線を全選択)にして、『カラーパネル』で『線のカラー』に切り替えて、アルファ(A:の部分)のパーセントを変更します。
このように、Flashでは、『塗り』と『線』が完全に融合しているわけでは無いので、アルファに関しても別々に調整できるようになっているところが特徴といえます。
もちろんグラデーション内で使用する個別の色に対しても、アルファの調整ができます。

シンボルを半透明化するには

個別のオブジェクトの透明度を変更する以外にも、『グラフィックシンボル』などのように、使いやすくまとめられたシンボルの透明度を、シンボルごと変更することもできます。
その場合は、オブジェクトの個別の色を指定するわけでは無いので、『カラーパネル』は使用しません。
シンボルに対して何かの処理を行なう際は、ほとんどの場合『プロパティインスペクタ』パネルを使用します。
シンボルの透明度の変更方法は、透明度を変更したいシンボルを選択状態にして、『プロパティインスペクタ』にある『カラー効果』の項目を開き、『スタイル:』で『アルファ』を選択します。
あとはスライダーを動かして、狙った不透明度になるように数値を調整すれば OK! です。
ただし、グラフィックシンボル内でオブジェクト同士を重ね合わせている場合は、注意が必要です。
シンボル全体を半透明化することにより、オブジェクト同士が重なり合う部分と重なり合わない部分との透明度に差ができてしまい(重なる部分が濃く見える)、オブジェクト同士の重なり方が見えてしまうので、つい「見えたらアカン!」と叫んでしまいます。

『プロパティインスペクタ』にある『カラー効果』では、他にもさまざまな色の調整を、シンボルに対して行なうことができます。
シンボル全体を明るくしたり暗くしたり、色調を赤っぽい感じに変更したり…どのような表現ができるかは、いろいろと遊んでみるのが一番いいと思います。
いずれにしても、アルファの調整ができることで、イラストの表現の幅がかなり広がるはずです。