ナースのつぶやき


 case2 オペ室看護婦のつぶやき  無賃girl OB

 5年間の看護学生の後、看護婦になって5年目になった。新規採用から、ずっと手術室の看護婦をしている。わたしの仕事場は、12室部屋がある。各科ごとに部屋があり、各曜日ごとに決められた診療科が手術している。はじめは、毎日、手術が行われている環境が不思議だった。今は、当然のように、3〜4症例の手術の介助をしているし、急に術式が変わっても対処できるようになった。「患者さんのため!」と患者中心の看護をこころがけている婦長さんの下で働いているから、何にも不満なんてないはずなのに・・・
 私の中の問題の一つは、どんなに頑張っても、ほとんどの患者さんは、私達のことを覚えていないこと。その理由は、麻酔の効きはじめるまでの短時間の関わりでしかない為や、緊張と薬の作用のためだと思う。そして覚えていないということは、手術が痛みや恐さを感じることなく終わってしまうことでもあり、いいことだと思う。だから、私は何をしたらいいか? 時々分からなくなる。患者さんが、別になにも覚えてないなら何もしなくてもいいやと思えるほどそこまで、ひねくれはいないけどね。
 さらに問題なのは、患者さんが眠ってしまってからも仕事は続くこと。こちらの方が時間は長いし、完全な一方通行状態になるし、「お医者様のお手伝い(時々お目付役してたりするけど)状態」だし看護って何かな〜と思う。例えば使用したガーゼの枚数が一枚合わないとなるとお腹の中にあるかもしれないと思ってちゃんと確認すると思うでしょう? わざわざ傷の閉じる少し前に報告するのに、でも一応見るだけで閉じちゃうんだよ。私達看護婦はゴミまでひっくり返して探すのに、そして閉じた後本当にないと慌てるんだよ、お医者様達は。あ、しんぱいしないでね、私の病院ではガーゼに細工していてレントゲンに写るから直ぐ判るんだけどね。問題は少し手術時間が長くなることくらいかな。私達の機嫌も悪くなるけど。というトラブルがあったりは、嫌なことだけど、日常茶飯事。日々血まみれのガーゼを数えつつお仕事している姿は、お世辞にもきれいな仕事じゃないし、ゴミを漁っている姿なんて想像されたくないけれどこれも現実。斜めに考えると全て患者さんの為らしいけどあなたはこの考え素直に受けとめられますか?
 問題外なのは、看護じゃないとはっきり判る、手術した後の部屋の掃除。環境整備の名の元、血や消毒薬の飛び散った床をモップをかけながら、この時間がもっと看護に使えたら、患者さんのそばにいられたら、いいのにといつも考える。
 なんていろいろ言ってきたけど、手術中にお医者様と雑談もするほど、みんな仲良しだし、だけど難しい手術の時はすごく勉強することや、集中力が必要とされる、自分を確かめることの出来る、こんな手術室が大好きな看護婦です。1996.11.20 akiko

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