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題名 |
夜の影 -やさしい怪談- |
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出演者 |
菅野久夫・新谷一洋・紺野相龍・佐々木充・藤堂貴也・東銀之介・白石禎・江 上真吾聖あやみ・もたいまさこ・光永吉江・村田ユチコ・渡辺えり子 |
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作 |
渡辺えり子 |
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演出 |
渡辺えり子 |
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作曲 |
黒崎達一郎 / 演奏 有泉実 |
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照明 |
森田三郎 稲垣聖一 |
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美術 |
松野潤 |
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振付 |
聖あやみ |
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音響 |
原島正治(舞台音響囃組) / 操作 堀江由美子 |
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舞台監督 |
武川喜俊 / 助手 井原陽子 |
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スタイリスト |
久我山もえ |
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宣伝写真 |
半沢茂久 |
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宣伝美術 |
サンルーフ |
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製作 |
プリティペア |
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惹句・挨拶 |
夢は何かを語ろうとして夜の廊下をいざってやってくる。そのまとわりつく暗 い手の感触は、冷んやりと悲しいが、盲目的な母の愛にも似て、振り切る事が惜 しまれる。(演劇評論家 衛紀生氏の解説つき) |
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その他・ |
不思議な夢・不思議な劇空間・・・・ 衛紀生(演劇評論家) 数ケ月前のことになるが、渡辺えり子と、池袋シアターグリーンの近くの薄暗いスナックで話をしたことがある。感情の起伏の少ない、いやむしろ含羞ゆえの俯きかげんのアルトで、と言うべきだろうが、徒女は白分の芝居についてかなり冷静に語ってくれた。小一時間も話しただろうか、話は実然〈夢〉のことになった。〈夢〉と言っても寝てみるそれのことで、あまり明るい話ではない。彼女が見る不思議な〈夢〉の話である。 自分が見た〈夢〉を話すということは、かなり性的な会話に違いなく、どちらかと言えば、身も心も許し合った男と女の会話という風に考えていたわたしは、いささか面喰ったわけだ。しかも、彼女もわたしも、結婚前の身なのである。話を進めるうちに、〈夢〉の話を待ち出したのは、自分の芝居が〈夢〉をモチーフにしているということをわたし伝えたかったからだ、と解った。男と女の〈夢〉語りではなく、もの解りの悪い評論家と心やさしい劇作家の芝居語りのための〈夢〉の話だったわけだ。 ベルリオーズがシンフォニーを〈夢〉で作曲したとか、デカルトが難問を〈夢〉の中で解いたとか、古来〈夢〉と創作のエピソードは、枚挙にいとまがない。渡辺えり子もまた、〈夢〉に触発されて作品を書くという。”夢は短かい狂気”というショウペンハウアーの言葉に素直に促えば、渡辺えり子のつくる劇空間は、短かい狂気に他ならないだろうし、それをわたしたち観客は共有するという不思議な構図が出来あがる。彼女の芝居が持っている不条理な偶話性は、彼女白身の〈夢〉の彼岸性なのかも知れない。 つい最近、彼女から長文の礼手紙が届いた。内客の半分が、最近見た〈夢〉の話という稀有な礼手紙だった。次回作の構想に違いないと、わたしは心静かにそれを読んだのである。
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