結ばれる二人へ
渡辺えり子
ひとは寂しい生き物です。
一人では何もできない。
一人でできるのは考えることだけ。
でも考えてばかりではとても寂しい。
考えたことを話す相手が欲しいのです。
そしてそれを話したときの相手が
喜んでくれればもっと嬉しい。
そして、喜んだその相手がどんな話をしてくれるのか待っている時間も楽しいのです。
話したいから話を聞く、
聞きたいから話をする、
一人より二人が嬉しいのです。
でもしばらくすると欲ばりになります。
話をしてもしなくても、もっともっと判って欲しいと、相手に甘えたくなるのです。
一緒にいると、今まで知らなかった相手の、小さなことが色々と見えてきて、気になって仕方がなくなります。
違った時間を生きてきた、自分とは別の人間だということが許せなくなってきたりします。
人は元々ひとりだったのです。
それがふたりになっただけ。
決して相手は自分ではない。
そんな当たり前のことが見えなくなってしまうのです。
結婚はゴールインではありません。
広く深い海へ今日から船出するのです。
雨の降る日も嵐の日も、そして水平線に虹の橋がかかる日もあるでしょう。
明日のお天気は空にまかせるしかありません。
それでも毎日、少しずつ先へ先へと進んでいくことがたいせつです。
雨が降ったら雨に打たれ、風が吹いたら風を感じる、そんな素直な二人でいれば、
きっと日の光がさしてくる。
夜になり、相手が見えなくならないよう、お互いが星となって相手をしっかりとてらしてください。
相手を選んだ心をたいせつに。