2007乗鞍 XCツアー
(日程)
2007年3月23日(金)〜25日(日)
(参加者)
藤野、山本(藤さん岳友)、熊野、稲葉、松田、高野、畠田(記録)
(記録)
例年の上高地に代え今年は乗鞍とした。その理由の一つに旧釜トンが通行禁止になり新釜トンとなったが、あまりにも風情がなく高速道路を歩いている感じとなり、従来の冬の上高地に入るあの薄暗く滑る足元に注意し恐怖感を覚えた冬の秘境に入る、という感じが薄らいだことがある。また旧釜トン封鎖によりあの野趣溢れて楽しくもヘビーな「不評コース」も通れなくなった。
それと昨年上高地の帰りに下見に寄ったが一ノ瀬園地までの道路や乗鞍HCで定宿としているマドンナの上部道路も雪で封鎖されており、これはクロカンには持ってこいのコースであることが確認できていたためである。
3月23日(金)
今回ぼくは一週間前から2度キャンセルの連絡を仲間に入れた。まずは、金曜午後休で松本へ向かう予定だったが部長が東京出張が入り休めなくなった。業務終了後では松本まで行けてもそれから先に入る足が途絶えてしまう。そこでとりあえず難しい旨の連絡を入れるが、夜ネットを駆使したり業務後なんとかいけないものかマドンナのママにも相談したら新島々まで迎えに来てくれるとのこと。
それならなんとかなるか、またタクシーを使った場合、「NSA単独駆けつけ仲間救済措置法」による「タクシー半額負担」を適用してもらうことを依頼。そして、新大阪17:50の新幹線に乗れば名古屋発最終のしなのに間に合う、そして松本から新島々に行く最終松本電鉄に間に合い、新島々までは公共交通機関で行ける。よし、これなら行ける、と、翌日また皆に連絡する。
そして…今度は出発前日の木曜夕方、職場に自宅から電話が入る。ぼくの部屋が水浸しになっているとのこと。ちょうどぼくの部屋の上が炊事場(我が家は2階がリビングと炊事場とえり子の部屋になっている)になっており、そこから漏水しているようとのこと。場合によっては週末帰宅してベッド動かしたり、なんやらしないといけない。
20時頃業者が来て天井はがし確認したところ給水管接合部から漏水らしい。取りあえず応急処置で漏水はとまり炊事場も使えるということで、工事のため部屋が使えないがベッド等の移設など不要であるとのことで一件落着帰宅不要となった。これも行けないかもの連絡入れたが翌日(当日)皆に行けるの連絡をした。
ということでなんとかこぎつけたが、後は定時退社できるよう何事も起こらないことを願うばかりで、部下には「今日は定時退社する」と朝から100回くらい言い、無事定時に退社。
名古屋から19:00発最終しなのに弁当と泡買って乗る。ぼくは夜の列車に期待をかけて学生時代に思いをはせていたが、特急は社内もきれいで新幹線となんら変わりが無くちょっとがっかりだったが、こうやって一人で長距離列車に乗って山に向かうのは考えてみれば20年ぶりか。
さて、落ち着いたところで先発のクマ号(藤さん、山本さん乗車)に連絡とってみた。
彼らは17:00出発としていたのでぼくより先行していると思うが、もし間に合えば松本駅(しなのは松本21:10着)で拾ってもらおうと考えた。(なお、まっちゃん号は東京21時出発なのでとても待てない)
車内から携帯で電話、するとまだ談合坂で今から夕食とのこと。出発が遅れたらしい。これだと多分ぼくの方が早く松本には着く。うーん、松本で彼らを待つか、それとも予定とおり新島々まで行きママの迎えで行くか、思案橋ブルース。問題は松本駅から新島々行き乗換待ち30分をどう考慮するか、だ。取り合えずぼくの方がいづれにせよクマ号より早く松本には着くのでクマ号には必ず乗れる、ということでママには迎え不要のTELする。
21:10 松本駅定刻到着。クマ号は双葉を出るところとのこと、新島々行きが21:45なので新島々まで行きそこでクマ号を待つことにした(クマ号が先に着けばクマ号がぼくを待つ)。松本電鉄も20数年ぶりに乗る。懐かしいがやはり新型車両で都会的なデザインになってしまった。でも、寒い土地らしくよく出来ていて、停車中ドアはすべて閉まっていて自分で車外の開閉ボタンを押して入り、また車内のボタンを押して閉めておくようだ。たまたま一緒に乗る人がいたからよかったけど、いなかったら、ホームから「すみません、開けてください」とドアをとんとん叩くところだった
22:10 新島々着。確か駅傍にコンビニができていたので熱燗でも買ってクマ号を待つか、と思いながら改札を出ると、クマと藤さんが「ようこそ」と出迎えてくれた。ほぼ同刻に到着したらしい。素晴らしい時間の読み、と自画自賛。初対面の山本さんと挨拶してマドンナへ向かう。
23:00前 マドンナ着、ママにみやげの八橋を渡し部屋に入り早速風呂。そして暖炉の前で泡を飲む。ふーと疲れがとれる瞬間。金曜発はいつも思うのだが、仕事が無事難なく終えてくれることがとても有難く、それがいつも一日気が気でならないので出発できて当然ではなく出発できて万歳なのだ。
ぼちぼち寝るかと部屋に戻った頃、まっちゃん号到着(1:00)。ぼくらはそのまま寝る。
3月24日(土)
7:00起床
しるふれいと違い出発時間に急き立てられることがないので比較的ゆったりできる。まっちゃんなど風呂入っている。
8:00 各人装備をチェックしスキーの靴サイズが合うか確認。しるふれいでは靴が合わない場合セット調達場所が遠い(セットは乗鞍から調達している)ので交換できないが、ここは近いので交換可能。
マドンナ出発。ママさんに送ってもらう。まずは靴サイズ交換のためレンタル場所に行きその後目的のスタート地点へ。
8:30 スタート地点は猪谷スキー場上部。ここから森の中のトレイル(夏場はサイクリングコース)で一ノ瀬園地に向かい(軽い登り)、一ノ瀬園地をぐるりと一周した後雪で封鎖の一般道を鈴蘭方面に向かいそして戻ってくる、というコースを考えた。車道はもちろん乗鞍HCで何度も通っているし、森のコースも感覚は掴めている。しかしXCは初めてなので時間が正確には読めない。
今日は午後3時から崩れてくる予定、よって山ではもう少し早まるだろうし、暖かいので雪ではなく雨になろう。しかしその時間までにはたっぷりある。(地図巻末参照)
8:40さあ出発。乗鞍が高く聳えており、夏はあそこまでチャリで上がるなぁ、と感慨深く眺める。
今回大阪からなのでスキーはレンタル。皆と同じバックカントリー用のハーフエッジタイプを借りた。靴が深くしっかりしてバランスがよく、かつ今回は滑走が楽しめるコースでもありこのセットが有用。雪が少ない今年とはいへ、森の中はしっかりついており、夏は小道のサイクリング道なのでとても歩行しやすく迷うこともない。緩い上りが一ノ瀬園地まで続く、時折コースを外れながら深雪のなかを進む。ちょうどこのコースは谷になっており雪も多く残っている。
9:30 一ノ瀬園地入り口の牧場に出る。夏の緑に溢れた瑞々しい一ノ瀬ではなく一面銀世界、白樺の木が美しく、また夏では葉が茂って目立たない宿木(ヤドリギ:木に生える木で、パラサイトの植物)が、酒ばやし(新酒ができたときに軒にぶらさげる丸い杉玉)のように寄生している。これだけ多く見られるのも珍しい。
一ノ瀬園地は湿地帯で池塘や小川が流れており美しい場所。ここに木道がついており夏はその上をチャリで散歩するのだが、冬は一帯雪なのでどこでも歩けるが木道に沿って園地最深部のキャンプ場目指して進む。なかなか気持ちいい歩きであり、日光ではずいぶん地球とスキンシップをしたというひでやんも全く快調な歩み。また、山本さんも実に上手なので聞いてみると、自分でもセットを持っているそうな…・。いやはや、スーパー御爺である。さすが藤さんのお仲間である。普通の人ではない。
10:30 最深部、キャンプ場に到着。ここで小休止。藤さんが、アウトレットで7割引で買ったという、ティンバーランドの山ジャケを自慢。最小サイズがひとつだけありゲットしたそうだが、これは脇から腹にかけてベンチレーション用の開閉ジッパーがついている本格もの。ぼくの最近買ったモンベルもついており、昔の山ジャケにはなかったが、これは暑くなっても脱がずに温度調整できて便利。ここは、屋根のある炊事場や管理棟の軒があり、吹雪いたときの昼食場としてもよい。
チョコなど食べ、ウヰスキーをちょいと舐め、のんびり。
10:40 出発、今度は一ノ瀬園地の反対側を歩く予定だが、ちょっとコースを間違えてアルバイト。戻って再度コースチェックしてほどなくすると目的の場所にでた。クロカンスキーはどんな所でも行けるので便利な反面、道を間違えてもどんどん行けてしまうので確認しながら歩くことが大事。
開けたところに出て、牧場向けて歩む。
11:15 乗鞍HCの時にサイクリングで来てアイスクリームを食べるいつものロッジに到着。ここはテーブルもあり、ランチに適。テーブルはかなり雪に埋まっており、おお、これはマッチョの山岳用スコップ(今回、ぼくのいつものピンクの子供の雪遊び用スコップではない、本物のラッセル用のスコップをマッチョは購入)の活躍だ、と思ったが、壁に立てかけたテーブルセットを発見し、それを利用させてもらった。
さて、ランチだ。全然寒くなく快適。皆ちゃんとマイ泡を持ってきており、乾杯。中にはロング缶2本持ってきている奴(イネだが)もいたので、飲んでやった。まっちゃんは、全くハイカラなノルディックスキーツアーに似つかわしくないいつもの「幕の内弁当」。こんなん食うたら、また凍えるでぇ、指動かへんで、といいたいのだが、これはまっちゃんのおはこである。
茹でソーセージ、各種うまいものつまみ、そして、ひでやんが、イチゴ煮とかいう缶詰を出して、なんとも不味そうな名前の缶詰なのだが、苺とは全く関係なく、なんとアワビとウニが入ったもの。 これが、なんとまあ、絶品!! とても缶詰とは思えず、ウニは粒粒まできれいに保存され、汁が磯の香りがたっぷりで、なんでこんなにうまいんか!!、となってしまう。 もちろん、日本酒を燗つけていただく。ひでやんは、男メリ食堂、なのである。
12:40 ランチを終え、次は一般道を鈴蘭方面へ向かう。ちょうどマドンナから猪谷スキー場を経て上がってきた道(ここは乗鞍HCの時会場へ向かう長い登りの終点)とぶつかる。夏には気がつかなかったが、ここを左に曲がるコースは山スキーコースへつながる道があるようで、そこを上がっていくことにした。その先には、源五郎の滝、というのがあり、そこに行ってみようと。道路ではないようだが幅は結構あり防火帯のように切り開いているような感じ。結構登りなのだが、スキーをV字にせずともスキーを平行にしたまま直登で登れる、やはりノルディックスキーの板の威力は凄いものだ。
ここらあたりから、ぽつぽつ雨が落ちだすが大したことはない。
30分ほど登り、登り詰めたところにスキー場があるが、滝はない。地図で確認するがどうやら道路傍ではないようだ。まあ、いいか、と戻る途中。誰だったか、イネだったか、滝の案内標識を見つけた。あ、ここから入るのか、と脇に入っていく。少し入ると若者が居て、尋ねると、この下に滝があるという、凍った滝が神秘的でいいですよ、と。
急降下階段となっておりスキーは脱ぐ。滑らないよう恐る恐る手すりを持って下るが、途中ほとんど寝そべって降りないと怖いような箇所がある。そこで、ひでやんは、すべり台のように尻から滑り危うく柵を越え川へ向けてダイビングだったが、うまいこと止まった。皆身体を精一杯伸ばして降りる。そこを無事越えると、「おおお、これは凄い、まさに氷瀑だ」 とどーんと姿を現した。
いやぁ、これは来た甲斐があった。さらに滝壷も雪と氷に覆われて行けるが、そこはぼくらは以前の藤さんスノーブリッジ踏み抜き事件があったので知識を持っており注意して接近した。見事な滝である。
さて、目的の滝も制覇し戻ってスキーを履く。下りは楽しみだ。幅が広いので安心して滑降できる。ヘビーツーリング用のスキーと靴なので下りも快適、なんとかパラレルに近いシュテムターンくらいなら出来る。
分岐点に戻り、このままマドンナ方面へ長い下りを楽しんでもいいが、時間もまだあるので鈴蘭方面へさらに進みそこから出ているぐるっと森の道を通って出発点に戻ることにした。
この道も夏はサイクリング道で静かでとてもいい。乗鞍高原の森にはこういったサイクリング小道が張り巡らされており、冬はクロカンのいいコースになる。
14:50 出発地点に戻る。ママに迎えの電話する。10分ほどですぐ来る。
雨がそこそこ降り出して、ちょうどタイミングがいい上がりだった。
宿に戻りゆっくり風呂入って、暖炉の前で泡を飲む。うーん、たまりませんなぁ・・。そして早速自由利用のマドンナPCでNSAHPに報告する。
夕方、晩飯前、ひょいとベッドで寝そべっていたら、ひとつ後悔があった! 戻ってきてすぐママに連絡し迎えにきてもらったが、よく考えれば、そこは猪谷スキー場の上部で、もうちょっと行けばゲレンデだったので、そのままゲレンデを滑って降りれば、マドンナのすぐ傍まで行けたのだ。あーーー悔しい、なぜあの場で気がつかなかったか! 最後は気持ちのいい滑降がもう一度楽しめたのにぃ。 そのことを皆に告げたが、皆は、いや十分滑降も楽しめるコースだったし十分十分と言ってくれた。
まあ、初回の割にはロスタイムもなく、いいコースつなぎも出来たので、この滑降は是非来年の楽しみにとっておこう。
さて、夕食となる。マドンナの夕食は肉と魚と両方出てボリュームもあるのでとても楽しみなのだ。まずは泡、そしてワインが2本、3本・・。
しかし、あのフィレミニヨンはうまかったなぁ、「ママ、肉、おかわり」 といつものようにお願いするが、やっぱり駄目。ごはんにしなさい、と。
山本さんの元気な秘訣や大学2つ行ったことなど聞いたり、デザートまでゆっくりたっぷり夕食を楽しんだ。
そしてまた暖炉の前で皆弛緩して、ウヰスキーやらなにやら楽しんで床についた。
3月25日(日)
自由起床。イネは用事があるため一足先に帰るが皆起きていたのでお見送り。バス停までクマが送る。
朝風呂入ったりコーヒー飲んだり、ゆっくり朝食をとる。
ママが宿帳(ペンションなのでこういう言い方ではないだろうが、ゲストメモとか言うのだろうか)に名前を書いてくれと言うのでまっちゃんが、「これ書くと、肉お代わり券とか当たるの?」 とか、まっちゃんは肉こだわるのだが、それくらいうまかった。
10:00ママに見送られマドンナをあとにする。ぼくは新島々で降りてゆっくり田舎景色みながら松本電鉄で松本に向かう予定だったが時間もあったので結局松本駅まで送ってもらうことに。そして皆は、そのあといつも帰りに寄るらしい、諏訪にある立って入る温泉と近くの有名な蕎麦を食べて帰るのであった。
ぼくは弁当買って名古屋行きの特急しなので、そして名古屋から新幹線で大阪に戻った。
23年前、えり子と山に行った帰り、ここ名古屋駅で 「右(下り線)に行くけど、いつか左(上り線)に行く時が来るんやろうねえ」 と話した。そしてただいまぁと帰ったら、母親が涙浮かべて、「あんた達、東京転勤なったが」 と伝えられた。夏休み二人で山に来た間に異動があり上司が実家に連絡くれたのだが、ぼくらはテントなので帰宅するまで連絡つかなかったわけだ。 名古屋で新幹線待っているとそんなこと思い出した。
総括:初めての乗鞍XCツアー。文頭のとおり、ぼくは見送りか、ということが2回あったが無事参加できた。
そして、クロカンは初めての場所であったが、何度も夏に来ている場所でもあり、ここはクロカンには持ってこい、ということを認識もしていたのでスムーズなツアーができた。
そして、日光や上高地とはまた違ったコース状況であり、特に滑降が楽しめるのは日光や上高地にはない楽しみの一つである。
来年もまた乗鞍に来たいと思う。クマちゃん幹事ご苦労さんでした。