Only Maechen アルプス表銀座縦走(蝶/常念/大天井)


(日程)
2006年8月11日(金)〜14日(月) 天候:8日のみ雨、他快晴

(メンバー)
金指静・菅沢亜矢子・大泉正子(記)

(テーマ)
昨年、男性陣がチャレンジした表銀座縦走の逆走版を計画、彼らに出会いがあったこの山道で我々3名も密かな期待を胸にトライすることに。キンちゃんは膝に不安を抱えながらもテーピング博士、兼ダブルストッカーとなり挑むことに。しかも今回は7月の長雨で途中蝶・常念からの下山をしても通行止め・もしくは車道を2時間歩くなど途中棄権が簡単にできない状況で緊張する。

(記録)

(8月11日)
22:30
新宿 都庁下バスターミナル集合
地下は車の排気ガスと熱気でたっているだけでタラタラ汗が流れてくる。バスのチェックインをして,乗り込むバスの前に荷物を置いて近くのコンビニに泡を調達しにいく。

23:00
バスは予定どおり出発。今回は+1,500円していつものアルピコバスの「グリーンカー」を使用。ゆったり3人シートで一同感激。足置きは当然、椅子にパッドがついている。しかもスリッパとブランケットもあり。今後上高地へはこのバス使用がおススメです。

お盆休みの始まりとあって道が渋滞し始めているようで、ダラダラ運転。すべては運転手さんに任せて我々は泡の封を開ける。
談合坂SAでトイレ休憩。同じようなバスが何台も並んでおり戻るのに一苦労。
私はここからぐっすい眠り、記憶はなし。ZZZZZZ

Kin>マサちゃんはやっぱりハムスターの本領発揮で椅子の上に丸くなって眠ってました。長身のスージーさんにはその姿勢は無理だったみたい・・


(8月12日)
5:40
沢渡バス停到着。低公害バスに乗り換える。

6:05
上高地バスセンター到着。天気もよく自称晴れ女たち胸をはる。
ビジターセンター前で朝食。あたりには山男・山女が集結しておりやる気がでてくる。
ゆっくりと朝食時間をとり、身支度。登山計画書を提出していざ出発。

7:45
歩行開始
さっそく河童橋が現れ何度も来ているはずだが、天気もよいのでどうしても写真撮影をしてしまう。
女3人これから過酷な試練が訪れることなど露知らず、銀ブラでもしているかのようなお気楽ハイク。    

9:45
徳沢園到着。「徳沢といえばソフトクリーム!」いつもならここがゴール2時間前で、いつもソフトクリームを食べてしまうところ。そんな話をしながら到着したため、キンちゃんとマサはいきなりソフトクリームにありつく。まだまだ気楽だ。でも過酷な試練はもうすぐそば。水を補給しザックも重くなり蝶が岳の登山道へと足を踏み入れる。

10:15
徳沢園出発。蝶が岳の登山道は静かで、登山者はもっと早い時間に登り始めるのか?と思うくらい人がおらずちょっと心配になる。しかも噂どおりの急登。九十九折の山道をひたすら進む。しかも先の見えぬ樹林帯。いつものごとく最初の1時間は苦しい。しかし急登だけあってあっという間に高度を上げる。時より振り返ると見える明神岳で自分が高度を上げていることを確認するのが唯一の救い、楽しみだった。

12:00
お昼を知らせるかのように遠く北のほうからゴロゴロと雷が。気がつけば青空が一転どんよりとしている。心配になるが樹林帯であるし大丈夫かと先を急ぐことに。40分程してかなり雷の音も近づき、雨粒が落ちてきた。途中であったパーティに「山小屋に電話したら稜線に雷が落ちて危ない」と言われ引き返すとのこと。軽装だったのもあるのだろうが、当分樹林帯が続くし、雷は何時間も続くわけではないので我々はこのまま進むことに。

稜線に出る頃にも雷が鳴っていたらそこで休めばいいという判断をした。前方の登山者はいたるところでツェルトを立て雨宿りしていたが、私たちはツェルトを持っていないためずぶぬれになりながら、前に進む事を優先した。徐々に雷は南の方向に移っていったが、13時半ごろまで鳴り続けた。

14:00
長塀山到着。ピークといっても三角点があるだけで眺望なし。やっとゴールが見えてきた。これまで樹林帯続きで高度計も持っていない我々はいったいどのあたりまで来ているのか目安がなかった(蝶が岳の登山道にはなんの目印・場所がない)。ここから蝶が岳まで1時間。

大休止、マサエネルギー低下により勝手ながら休憩を取ることに。雨も完璧に上がり、やっと眺望も開けてきた。大して人も登ってこないので、広くない道だったが穂高を眺めながらエネルギー補給。

14:40
少し歩くと小さな池が出現。もしやここが妖精の池??(まるで水田)大してきれいでもないが・・・。周りのお花はきれい。ここまでくればゴールはもうすぐ。ワクワク。再び歩き始めすぐに、木々の間から槍が見える。俄然やる気が出てくる。そして突然蝶が岳のピークが顔を出す。振り返ると槍穂が美しい。色とりどりのお花も咲いており、ここまで頑張ってきたかいがあった。最後の力を振り絞ってピークへ向かう。

15:15
蝶が岳到着、3人とも感動に浸る。蝶が岳ヒュッテ到着。ヒュッテには既に大勢のハイカーが到着しており入り口付近のテーブルで酒を交わしていた。
3人とも既に疲労困憊。びしょびしょになったレインウェアを乾燥室に干して、われらの陣地に案内してもらう。

良くありがちな2段ベットの2階を案内されるが、このままお客さんが来なければひろく使えそうだ。混雑するのではないかと心配したが大丈夫そうだ。夕食まで1時間であるが、前菜に生ビールと柿ピー・ほたるイカの干し物・ぬれせんべいで盛り上がる。

17:00
夕食。狭い食堂に入れられての慌ただしい山小屋の食事。初めて訪れる蝶が岳ヒュッテ、あまり期待していなかったが、おかずにうなぎ♪明日も頑張れそう!!!!
早々夕食が済みいつもならさらに飲むところだが、今回は女子のみの健全山行。マサはビールが聞いてもう眠く軽く床につく。

19:00
食堂で診療所のお医者さん(名古屋市立大学)の「エジプトの医療について」というセミナーが始まっていた。
スージーさんは立ち見で聞かれていましたね。

20:00:就寝。結局、2階部分に新たな人は来ず、広々寝る事ができた。


(8月13日)

3:30
起床。表銀座縦走をする人がこの小屋の大半のため、多くの人が動き始めている。我々も自炊室に移りスージーさん提案のスープパスタをいただく。簡単でおいしい。今日はトマトベースのパスタ。外はまだ暗く寒い。お天気は良さそうだ。

5:00
結局、出発に時間を要したが足元も明るいこの時間に歩き始めてよかった。

5:30
蝶槍到着。ちょうど槍穂が赤く染まり始める。キンちゃんの膝の調子は良くないようで心配だ。

Kin>お二人にはご心配をたくさんおかけしました。膝はお世辞にもよいとは言えなかったけれど、この日のために慌てて買った登山用CW−Xのおかげか、歩行自体はまったく問題なし!普通だったらもうへなへななはず・・・すごいぞCW−X(回し者?))

この先は少し下りまた登りの繰りかえし。ちょっと高度が下がり草木が生える中歩く。途中ニッコウキスゲや色とりどりのお花がきれいなお花畑があり苦しく長い道中、ひと時の癒し。常念岳のピークまでは非常に険しく急に下り、急に登る。常念岳ピーク直前は非常に急な登りだった。思わせぶりピークが何度もある。

9:40
常念岳到着。頂上は対岸の槍ヶ岳などから見ると堂々としていてピークも大きいのかと思いきや、石が重なっただけの非常に足場の悪いものだった。しかも常念岳をしるすプレートは槍穂と反対側を向いており、記念写真に不向き。憧れていた山なのに今年の年賀状写真には採用不可。

振り返ると既に私たちが歩いてきた道はずいぶん長い。遠くに蝶が岳ヒュッテが光り輝いている。
山頂でおじさん2人とおばさん1人のパーティに出会った。なぜか巨峰の箱をお持ちで、つい「なんで山の上で巨峰?」とマサが言ってしまったら、おじさんがどうぞ。「昨日大田市場で買ったので美味しいよ」と箱をくれ、一粒ずついただくことに。皮も薄く甘くて美味しかった。
この方たちは林道が通行止めになっていたため車道を2時間歩いて三俣から登ってきたそうで、目的地は常念だそうだ。

10:00
下山。登ってきた分再び急に下る。眼下に常念小屋が見える。九十九折に少しずつ降りる。
本当にあんなに登ったのにこんなに降りてしまうなんてもったいない。

11:00

常念小屋着。若干、ゆっくりめの歩行となり予定タイムより遅れている。雲行きも悪くなり昨日と同じようにお昼からの雷が怖い。しかも今日は稜線歩きが主のため、どうやって退避すべきかとか心配になる。

Kin>スージーさんは山行前にお知り合いに山でカミナリに会ったらどうしたらいいか相談したが、その回答は「おへそを隠せ!」だったそうで。素敵なお友達だ。

お昼はカップラーメン。塩分が不足していたので、一気に食す。美味しいかった〜すると先ほどの巨峰のおじさんが下山してきた。このあたりを何度か訪れており雷がなったらどうすればいいか教えてもらった。

いろいろお話しをしていたら、おじさん二人はいとこ同士とのこと。「どこから来たの?」と聞かれ話していたら、一人のおじさんがマサと同じ日暮里出身で、お互いびっくり。小学校は違ったがお互いよく知った場所で、かなりジモティな会話が続いた。

Suzy>キンちゃんはポカリとカップラーメンがどうしても食したくなり、常念小屋で2品800円で購入。高い!マサとスージーはカップヌードルと粉末ポカリはぬかりなく持参していた。キンちゃんつられてしまったか.

Kin>金で解決だい!うらやましかったんだもん。

Suzy>マサは粉末ポカリ袋の口が開いてザックが粉だらけに。ザックカバーを蝶ヶ岳小屋に忘れてきたのに気が付いたのもこの時?

11:45
常念小屋出発。再び急な樹林帯を登ることに(涙)その後は稜線を巻くかたちで比較的に気楽な歩きでやっと夢見ていた縦走に近づいてきた。
途中コマクサがきれいなエリアがあり、女性二人が喜んで写真を撮っていた。彼女たちは私たちと同じルートたどる、奈良県から来たコマクサシスターズ(「こまどり姉妹」ではない)、私たちと抜きつ抜かれつペースが同じなパーティだった。山に来たというよりコマクサを撮りに来たのでは?

東大天井岳付近到着。ここで再び下りまた登るルートを目の前に突きつけられる。既に歩き始めてから9時間。3人とも肩を落とす。燃費の悪いマサはアーモンドチョコレートと柿ピーで燃料補給。天気もどうにか雷が鳴ることがなくこのままいけそうでほっとする。

次のピークを越え、あれが大天井岳だと思うものを見つけるが小屋があっていいはずなのにない。
もしやまだまだ先?と泣きそうになりながらそのピークを巻くと本物の大天井岳と大天荘と色とりどりのテントが。あと少し最後の力を振り絞って歩く。

Kin>正直、ここでは自分の体力の限界を超えたと思いました。人間やればできる。千里の道も一歩から。馬子にも衣装(CW-X)。・・・さまざまな金言が胸を去来する歩行でした・・。

15:20
大天井岳到着。チェックインを済ませ、お目当てのナンカレーと思いきや昼メニューで14時で終了とのこと。残念〜〜。

しかしこの山小屋は夕食を魚か肉か選べる。今日のメニューは魚がカレイのから揚げ。肉が鳥の竜田揚げ。キンちゃんが魚。スージーさんとマサは肉をチョイス。さすが燕山系サービスが良い。2階のベットにとりあえず行きパンパンに張った足を休める。

外はガスってきており山を眺めることができなくなってしまったが、夕食まで時間があるので外に出てまた生ビールで乾杯する。

部屋に戻って一休みし夕食に向かおうとしたときキンちゃんの顔色が悪い。話しを聞いたら若干高山病の症状がある模様。長時間歩いて疲れているところ、楽しみにしていた麦酒を飲んでしまい気分が悪くなってしまったようだ。とりあえず夕食をパックしてもらうことに。

18:00
夕食。さすが肉と魚選ばせるだけあり、ボリューム満点。味も良い!満足。

18:45
キンちゃんの足の具合もあまりよくなく、明日のコースタイムをアジャストすべく。本日中に大天井岳のピークハントしておくことになり、スージーさんとマサで向かう。雲も切れており夕暮れが美しかった。

Kin>キンは脈拍100ぐらいキープのまま気を失っておりました。

20:30
就寝。あまり大きくない山小屋のため、1階部分のベットはいっぱい。熱気で暑いくらいだった。
21:00過ぎ、キンちゃんは体調が復活し、パックを持って食堂に向かう。親切にも小屋の人は明かりを付けてくれてお茶までだしてくれたとか。

Kin>ひとり明るい食堂でゴハンを食べました。消灯後だったのに親切!


(8月14日)

4:00
起床。旧館の暗い土間のようなところが自炊室となっており、今日もスープパスタを作っていただく。今日はほうれん草うチーズスープベースかきのこのクリームスープベース。朝食後各自身支度を済ませ、ご来光を見に外にでる。

5:25
大天荘出発。今日も晴天なり。一気に下る。足元が危ない。槍ヶ岳への分岐に着くが喜作レリーフというのは見つからない。と岩を登って降りたところにひっそりとレリーフが収まっていた。槍から裏銀座、遠く立山連峰まで美しい山並を見ながら稜線を歩く。お盆休みも本格化し、燕から大天井に向かうハイカーに何度もすれ違う。

8:30
燕山荘到着。これまで余裕なく食べれなかったスージーさんのタピオカ。キンちゃんのあんこ餅とマサのきなこ餅をつくることに、どれもとても美味しかった。これからの山行におススメです。

9:20
相変わらずちょっとのんびり気味に休んでしまった。最後に裏銀座を撮影したかったがガスって見えない。これまでたくさん山を見てきたから由とするしかない。後は下るだけ、ローリングストーンズとなれ。燕山荘出発。以前に来たときより下りやすく、土道で足に負担がない。調子によりマサペースを上げる。

Kin>二人はびゅんびゅん下ってましたが、キンはよちよちと遅れてゆきました。なんちゃって単独行気分を味わえて、ちょっと大人になった気がしました。えへ。

9:50
予定より20分早く合戦小屋に着く。せっかくなので名物すいかをいただくことに。一切れ(1/8カット)800円を3つに切ってもらう。この日はすいかとネクタリンが販売されていた。あまくてとても美味しかった。

その後は約20分間隔で各ベンチに到着し、休みをいれながらあっという間に下り落ちていく。逆に登ってくる人は本当に大変そうだった。蝶ののぼりとどっちが良いか?お好みに合わせてスタート地点を選ぶといいかもしれませんが、我々3人は蝶が岳スタートが良いという意見に落ち着きました。キンちゃんは膝がぼろぼろになりながら頑張って降りてきました。BGMは「負けないで」♪♪♪

12:05
ついに中房温泉着。3人でゴール。長い道のり本当に良く頑張りました。「自分をほめてあげたい」有森選手の言葉似合います。正直、去年のNY City Marathoと大して変わらない気分でした。タクシーを予約し入浴。露天で本当に気持ちよかった。入念に洗いゆっくり湯船につかった。

Kin>露天にすげ笠をかぶって入浴。風情満点。

13:30
きれいになった3人はタクシーに乗り込み、穂高駅へ。タクシーのおじちゃんが結構飛ばしてくれてキンちゃんとマサは気分最低。おじさんはいろいろ道中お話をしてくれたのしかったが・・・。合戦小屋で出されているすいかは波田町の名産であのあたりでは美味しいと評判のものらしい。確かに美味しかった。合戦小屋はぼろもうけと思いきや、そのスイカは1個3800円とかするらしく輸送費や人件費を考えると儲けは薄い商売ということがわかった。途中やっと携帯の圏外を脱出し下山報告メールを発信。

14:10
穂高駅到着。14:27発快速松本駅を待つ。松本で昼食・お土産購入することにした。

14:55
松本着、1本早いあずさに乗り換えようかと思ったが既にいっぱい。みどりの窓口にそ知らぬ顔してザックを置き去りにし、ランチ&お買い物へ。キンちゃんはそば。スージーさんとマサはマックへ。キンちゃんが食べた松本駅4階にある蕎麦屋さんはとても美味しかったそうです。

Kin>手打ち蕎麦でした♪

16:03
スーパーあずさ128号で帰京。電車に乗る前にキヨスクで目にした夕刊に「首都圏で大停電」が気になる。携帯でチェックしたら大変なことになっているではないか。結局、ゆっくり眠るはずがずっと携帯のチェックと友達や家族との交信で終わってしまった。

18:34
新宿駅着。朝、停電があったことを思わせないほど普通どおりで各自家路につく。
オツカレサマでした。


(総括)

・気がつけば、出会いはなにもなく。ただ前に進み歩く事に夢中だった。やっぱり健全なNSA。
・山の行き帰りにビーチサンダルがあるとよい。スージーさんは松本駅で新規購入した。
・雨の中の蝶への道の記憶なし。
・前日の天気予報では、誰もがくると予想していた雷雨が全く来なくて、2日目の縦走日は夕方までいいお天気。三人は晴れ女ということがこれで実証されたはず♪
・不安定な筋力補助・体力温存にダブルストックはかなり有効です。あと足の皮むけ予防にテーピングも効いた!がまん弱い人は事前にずるむけを避けるのが大事ですね。
・まさちゃんが撮った写真をCDに焼いて、そのCDのカバーに3人の名前と行程中の山並みをつけてくれた!とっても素敵なCDになった。一生の思い出をかざってくれそう。