2005年 槍ヶ岳〜有志山行夏編〜
(日程)
2005年7月15日(金)〜18日(月)2泊4日
(コース)
16日 新穂高温泉バス停-ワサビ平-秩父沢-鏡平山荘(昼食)-双六小屋(泊)
17日 双六小屋-樅沢岳-千丈乗越-槍岳山荘(昼食)-槍ヶ岳山頂-槍岳山荘(泊)
18日 槍岳山荘-槍沢ロッジ-徳沢園(昼食)-上高地バスターミナル
(参加者)
松田さん・正子さん・熊野さん・たっきぃ・野水さん(初参加)・福ちゃん(初参加)・森永(記)
(行程記録)
<プロローグ>
恒例となってきたアルプス有志山行、槍ヶ岳制覇は2003年にすでに達成したが、その後も感動が忘れられず再訪の機会をうかがっていた。そして今年、アルプス山行は夏と秋の2回実施することとし、さらに縦走をいうファクターを追加。まず第1弾として、再び槍の頂点を目指すこととなった。
しかし、今年の梅雨に思わぬ影響をうけることとなる。長野県で発生した集中豪雨は、沢渡までの道を寸断した。夜行バスの旅行会社からは「ひょっとしたら当日運行できないかも」なんて電話が入り、直前まで計画中止の可能性を残し、不安のうちに出発日をむかえることとなった。
<7月15日(金曜)>
22:00 集合
新宿西口の都庁前バスターミナルが今回の出発地。夜行バスとはいえ、翌日の行程が長丁場であるため、しっかり睡眠をとる必要がある。100円ショップでエア枕とマスクを調達してから向かう。
旅行会社のブース(といっても机が一つおいているだけだが)で手続きと、乗車するバスを確認したところで、皆がそろってきたので点呼をおこなう。あれっ?新人福ちゃんの姿が見当たらない。
バスターミナルは同じような格好の登山客ばかりなので、どこかで迷っているのか?と思って、電話してみることに。
プルルルル・・・・ピ(電話を取った音)
「もしもし福ちゃん?」
「あっ秀平さん!いま八重洲口に着いたところです。皆さんどちらにいらっしゃいますか?」
・
・
・
「(オソルオソル)ど、どこに着いたって?」
「(アッケラカン)東京駅の八重洲口です」
「違うよ!福ちゃん!!集合場所は、新宿駅だよ」
「えぇーーーーーーーっ!!ど どうしましょ!?」
め・・・めまいが・・・即座に時刻を確認。22時05分・・・(ちなみにバス出発時刻は22:30)
「とととtとりあえずダッシュで中央線に乗れ!間違ってもタクシーには乗るんじゃないぞ!」
というわけで、穏やかな出発までの待ち時間は一転、スリリングなタイムリミットへと変貌。残り時間は25分、中央線の乗車時間は15分、新宿駅からバスターミナルまでまともにあるいたら10分かかる。道を間違えたら即アウトだ!
22:20過ぎ、福ちゃんより着信!新宿駅に到着したようだ。「もう、私にかまわず行ってください」と弱音をはく福ちゃんを叱咤し、都庁までの通路を全力で走らせた!結果22:28に無事到着。すぐさまバスに乗り込んだ。ふぅ
バスは定刻通り無事出発。取りあえず福ちゃんは無罪放免だ。でも次からは予定表とメールはしっかり読んでおいてね>福ちゃん
ところが何故かバスはすぐに停車しアナウンスが流れた。
「到着が送れているお客様がいらっしゃいますので、バスはしばらく停車いたします」
うーん 上には上がいる。
というわけで、10分遅れての出発となった。
直前まで危惧された新穂高温泉までのルートだが、沢渡までの道やはり大型バス通行不可であるため、中央道から名古屋方面に入り、飛騨高山路を越えてゆくこととなった。とんだ大旅行となってしまった。
(片道6300円だから、高速料金考えると絶対赤字のはず、実施してくれた旅行会社に感謝!)
<7月16日(土)>
7:00新穂高温泉
霧がかかった幻想的な飛騨高山路を越えて、バスは無事に新穂高温泉に到着した。
天気は、あいにくの雨模様。雨具装着と朝食のため、新穂高ロープウェイのりばへと向かう。
ここには足湯があり、長時間のバス乗車で疲れた足をほぐした。
さて雨具を装着。ふと見ると野水さんのスパッツがなぜか左右で色違い。なんでも山用品屋でリテール品だかを手にいれたものということで両方とも左足用らしい。普通の人なら、靴下を間違えたようにダサイとされてしまうところ、野水さんが装着すると「へぇー、洒落たものがあるんスねぇ」と感じてしまうあたり不思議。
7:46いざ出発!
ロープウェイ乗り場の駐車場奥が双六岳への登山口。しばらく単調な林道が続く。歩きやすく、足への負担もかからないが、車のわだちなどがあり風情がないので皆には不評。天気が悪いこともありテンションが低くなる。森永も、夜行バスでの睡眠が足りず、時々眠気がおそってきて、まわりからの問いかけへの反応が鈍くなる。
1時間程度でわさび平小屋に到着。更に1時間歩くと雪渓や岩場に道が一変した。
雪渓から吹く風は、マイナスイオン度の高さが心地よく、雨具で蒸した体を冷やしてくれる。岩場はところどころに緑地帯があり、そこでは高山植物が花をつけて出迎えてくれた。今回は7月の開催ということで花も見所の一つだったが、さっそくの目的達成に段々とテンションが高まってくる
12:30鏡平小屋
雨もやみ、体調はすこぶる順調!とおもったら、不意に眠気が襲いかかってきて足がもつれる場面が。脳がおきないので、昼飯用のメロンパンを食べて糖分補給をしたが、効果はなし。ふらふらしながら厳しい道のりが続く。
ガレ場をすぎると樹林帯に入り、鏡平が見えてきた。
鏡平は池に映りこむ穂高連邦が美しい絶好のビューポイント。しかし、あいにく厚い雲で何も見えず。残念だが天気ばかりは仕方ない。いずれまた裏銀座に挑戦するときの楽しみしておこう。
鏡平の周囲の木道を歩くと、先に多くの人が集う山小屋が見えてきた。
昼食ポイント鏡平小屋に到着。さっそくテーブルをセッティングし、昼食の用意に入る。
福ちゃんは、NSAメンバーの食事に見入っている。(とりわけ松田さんのお茶セットのタッパウェアに。)僕には見慣れたNSAで食事風景だが、初参加の福ちゃんにはその充実度は衝撃的だったらしい。
福ちゃんは今回は小屋泊まりということで、必要最低限のもので臨んできたので、わざわざ重くして、嗜好品を持ってくるという発想はなかったらしい。「皆さんの荷物が大きいわけが、ようやくわかりました」と福ちゃん。
そういえば書き忘れていたが、今回の参加者中、福ちゃんはとりわけザックが小さい。正子さんと並ぶとそのコントラストがよりいっそう際立つ。さらに行動食はジップロックいっぱいの「柿の種」 (しかもワサビ味)!皆に衝撃を与えた。こりゃ、ぜひ次回山行では、NSA名物「メリ食堂」で驚かせてあげたいものだ。
16:00双六小屋
鏡平小屋を越えると、目的地は本日の泊地である双六小屋をのこすのみとなった。
鏡平からの高度差は、500M以上ある。靴紐を結び直し、水を補給して出発。
天気は相変わらず厚い雲がかかっているが、この季節の新緑の鮮やかさが、山肌の雪渓と岩と相まって際立って見える
双六小屋までは行程は思いのほか長かった。稜線まであがるとあちらこちらに花畑が広がっている。植物に関する知識不足が残念でならなかった。黒百合が咲く鞍部を越えると、遠くに色とりどりテントと花畑・池に囲まれた美しい光景がひろがった。(晴れていれば絶景だったろうになぁ・・・・)
ここまでの所要時間、実に8時間!ようやく着いたと気を抜いたら、ここから先が長かった。
眠気と疲れで、小屋までの木道をふらふらしながら30分近くあるき、ようやく双六小屋に到着した。
16:17乾杯!
先に着いていたたっきぃ・福ちゃんとともに3人でテーブルセッティングと、ビールとコーヒーを準備する。(コーヒーは双六小屋の名物。一杯ずつドリップで入れてくれる)
後続組もまもなく到着し、乾杯!!! くはーーーーーったまらん!!!
着く前から、この瞬間に備え、水分補給を我慢してきたので、ビールが全身に吸い込まれる感覚だ!一口目は喉で蒸発し、胃に入る感覚すらなかった。
たっきぃはここで、隠し食材第1弾「レバーペースト」を披露する。ありがたくいただきました。
さて双六小屋にチェックイン。
7月の3連休ということで大混雑を覚悟したが、それほどでもない。
布団は3人で2枚がわりあてられた。(最終的に2段ベッドの空きができて、1人1枚の布団が用意された)。正子さんと熊野さんは、だいぶお疲れのようで、部屋につくなりバタンキュー。
夜行バスで早朝から8時間もあるいたのだから当然か
17:00夕食
双六小屋の夕食は野菜の天ぷらが中心、まぁ山小屋としてはオーソドックスな印象。
しかし福ちゃんは、長いキャリアを持ちながらなんと山小屋は初体験ということで、食事に感動しきり。
たしかにテント泊では天ぷらなんてありつけないよねーなんて話から、次回は「天ぷら山行」をやろうなんて計画へ。
問題は「揚げ油をどう持ってくるか(&持ちかえり)」だが、「私が(一斗缶を)しょってきます」と福ちゃんはやる気マンマンだ。しかし可燃物のタンクを背負ったその姿を想像すると、自爆テロリスト顔負けなので、別の方法を考えることにしよう。
20:00就寝
明日の天候の回復と槍ヶ岳無事登頂をいのり、速攻で眠りにつく。
<7月17日(日)>
4:30起床
夜明け予定時間が4時50分なので、カメラ片手に外にでる。双六小屋は鞍部にあることもあり冷たい風が吹きつける。展望は昨日より回復し、遠くに鷲羽岳が見える。しかし雲は厚く、燕岳方面からの日の出は見ることはできなかった。
朝食は5時より早いもの勝ちで席が与えられる。昨夜の夕食が3回交代制だったので、遅れてはスケジュールが狂ってしまう。コリャ大変!というわけで食堂前で10分前から並んだ。おかげで楽勝で席を確保。
6:30樅沢岳
装備を整えたら、ついに槍ヶ岳を目指し出発。曇り空で展望は優れないが、初の縦走に心は高ぶる。
まず30分ほどで、樅沢(モミサワ)岳に到着。ここで高度は2754M。槍山頂までは、400Mと迫った。
昨日の1300Mの登りを達成したので、こりゃ楽勝とおもったが・・・甘かった。
その後は、長い稜線を延々とあるく。雪渓とガレ場が交互につづく。
8時をすぎると気温が上がったためか、稜線を吹きぬける風が強くなり、下の雲が徐々に晴れていった。ようやく西鎌尾根の全貌があきらかになり、皆のテンションは一気にあがる。
やっと、こんな高いところを歩いていたのかと実感し、縦走の満足感に浸る。
肝心の槍ヶ岳だが、ふもとのいくつもの沢が見えるようになった程度で、穂先は確認できず。そう簡単には姿を見せてはくれない。
千丈乗越に到着。乗越は「ノリコエ」と読むのかとおもったら、「ノッコシ」と読むのが正しいらしい(広辞苑で確認)
南に広がる沢には、槍平からの槍ヶ岳への登山道が西鎌尾根と号流するまでせまってきていて、いよいよゴールが近いことがわかる。
ここから先が槍ヶ岳登山のクライマックスである。現在の高度2700Mから、槍岳山荘がある3025M付近までの300mの直登が始まる。
登り始めると、九十九折りになっていないため勾配が厳しいが、足をあげた分だけ背後の尾根が下に動いてゆく感覚が気持ちいい。まもなく、槍岳山荘の姿が見えると自然と歩速があがる。
先頭の福ちゃん・松田さんは競争するかのように、すごいスピードで登ってゆく。
11:14槍岳山荘
ついに槍岳山荘に到着。最終結果は福ちゃん1位と松田さん2位となり。松田さんは槍穂先での一位奪還を予告し、レースはフィナーレを迎えた・・・アレっ?
ここに至っても、槍ヶ岳はまだ全貌をみせてはくれない。こりゃ、すぐ登っても山頂からの景色は望めそうもない。そういえば2年前来たときもこんな感じだったが、昼飯を食べていると一気に晴れわたったものだ。
そんな経験から、昼過ぎには天気が回復する可能性はあるのでは?と考えて山頂アタックは様子を見ることにした。
槍岳山荘には名物のパン工房があり、そこの焼きあがり時間(12:00)までまって、焼きたてクロワッサンを堪能することにする。下界の2、3倍の値段はするが、「この場所」で、「焼きたて」を食べられる贅沢はそれ以上の価値がある。
クロワッサンとアップルデニッシュを味わっているうちに、山全体を覆う雲は一気に流れてゆき、ついに大槍はその全貌をあらわした。さっそくアタックザックを用意し、ついに山頂を目指す。
12:40山頂アタック
山荘から頂上までの高低差は100M、鎖と4つの大ハシゴを駆使して目指す。
テンションあがりっぱなしでソワソワしているたっきぃは駆けあがるように、高所恐怖症の熊野さんは慎重に3点支持で進む。
一度登ったこともあり、前回ほど恐怖心はなかったが、毎年転落事故がおきているので、油断はできない。足を出す順序を間違うと体勢が崩れる場所もあり、慎重に頂上を目指す。
いよいよ最後のハシゴにかかると、上からたっきぃが体を乗り出し、両手でデジカメを構えている!
「見てるほうが怖いからやめてぇーーー」と下から叫んだが、聞こえてないようだった。
一人ずつ、山頂に着くたび「おぉー」という声が聞こえてくるので、期待はいよいよ高まり、ハシゴを一段づつ登ってゆく。
最後の一段に足を掛け、体を一気に持ち上げる! ハシゴと岩壁だけの視界が一気に青と緑に染まり、はるかかなたの山脈が広がった。
360度の眺望と、狭い頂上があたえる独特の高度感は、達成感と相乗して、疲労は一気に消え失せ、満足感で満たされる。
今回が初登頂である松田さんも感動しきり、地図を広げては周囲を山座同定。
熊野さんは、せっかくの山頂なのに腰をあげることができず(もったいない)。たっきぃと福ちゃんははしゃいで頂上の周囲を動き回っている(ときどき浮き石を踏んだりするので見ていて心臓に悪い)。
正子さんは東鎌尾根をみて燕岳から槍まで、そして今年の秋に企画している常念岳までの縦走路をトレースシミュレーションしている。
おのおの槍制覇の達成感に浸っているが、いつまでもこうしてはいられない。頂上は20人程度で満員だ。続々とハシゴの下には登山客が押し寄せている。
山頂のほこらで記念写真をとったら、さっそく13:20下山開始。
下りはハシゴにかける一歩目が最大の関門だったりする。下を見ることができないので右足を伸ばし、つま先でハシゴの一段目をさぐる。両手をハシゴの先端におき、ゆっくりと体全体をおろしてゆく。
登りと下りは別ルートが用意されているので渋滞はない。しかし滑りやすい場所や浮き石があるので登り同様に十分な注意が必要となる。
そんな矢先、僕らの後方のパーティがショートカットしようとしておおきな浮き石を踏み、落としてしまった。たまたま落ちる方向に道がなかったが、一つ間違えば大惨事だ!こういう不心得者は本当に腹立たしい。
無事、山荘にもどるとまだ14時前、すぐに山荘に入ってしまうのはもったいない。ここで野水さんから「せっかくだから中岳まで行きましょう!」という提案が。
ちょっとまってください。地図で確認すると片道2時間30分とある。さすがにそこまでの往復はむずかしいのでは・・・
「大丈夫、荷物がないから1時間で行けますよ」と野水さん。
「みんな、野水さんの話は、8割増で聞くんだよ」という松田さんの忠告にみな大笑い。
結局、中岳へは野水さん・たっきぃ・福ちゃん・松田さんがむかい、残りのメンバーは途中の「大喰岳」まで向かうこととなった。
なお「大喰岳」の読みについては、「タイショク?」「オオグイ?」「大食いってことはエバ?」という議論が展開し、最終的にNSAでは大食岳は「エバ岳」と呼称することが決定した。(正確には「オオバミダケ」が正しい読み方)
エバ岳までは、片道30分程度、槍岳山荘のテント場から下にくだってゆく、ここですれ違う人々は北穂高から大キレットを越えてきているので重装備の人が多い。
14:30エバ岳山頂に到着。ここは、よく山雑誌で掲載されているアングルで、槍ヶ岳全体がきれいな三角形で浮かび上がる絶好のビューポイント。三脚でカメラを据えている人もいる。
しばらく雲の流れをみて、15:30槍ヶ岳山荘にもどる。ここで中岳まで行った人の帰りを待って乾杯しようと思ったが、耐えられず熊野さん、正子さん、森永の3人で生ビールを注文。テラスで槍ヶ岳を見上げながらの1杯は格別なものだった(1杯¥1000と非常に高価だが・・・・)
さて気がつくと夕食の時間が迫っていた。
槍岳山荘の夕食は、チェックイン順ではなく「行列制」。つまり早い者勝ちで、食堂が満席になったら、食べ終わるまで待ちつづければならない。なんとも非常に効率が悪い方法だ(改善してくれとメールを送ったんだけど改善されていなかった)。
前回着たときは、1時間近くならぶ結果となったので、その反省から30分前から並んでおくことにした。
正子さんと松田さんがその任を買って出てくれたので、ありがたくお願いすることに。ところが、18時夕食の時間になっても、行列は一向にできず・・・・。余裕で食堂の席を確保できた。
そう、今日は宿泊客がすくなかったのだ!
前回来たのは9月3連休。今回の方が混んでいると踏んでいたのだが、おそらく沢渡までの道が通れないため、上高地からの登山ツアーなどが中止になっているのではなかろうか。山行実施を危機に陥れた集中豪雨が思わぬ効用がもたらした。
20:00就寝
空いているため1人1枚の布団という十分な寝床が確保できた。さっそく布団に入ったが・・・うーん布団が湿っていて重い・・・ なんでも、ここ数日雨模様だったようで布団をほしていないらしい。今日晴れた偶然は喜ばしいが、この重さと湿気はちょっとつらい。
<7月18日(月)>
4:50ご来光
本日の朝食は槍ヶ岳山荘名物の「ちまき弁当」。
計画では、すこし下山したところでご来光を見つつ朝食とおもったのが、前回より、夜明けの時間が早いことを考慮していなかった。日の出が4時50分だったので、5時に朝食を食べてからでもオッケイだったかも?
5:20下山開始
さてさて名残りおしいが、いよいよ下山しなければならない。下山ルートは、上高地まで二手にわかれることになり、ちょっとした競争となった。
一つは東鎌尾根で水俣乗越からの下山、もう一つは槍沢にそっての下山である。
通常であれば東鎌尾根ルートの方が、1時間ほど時間がかかるのだが、メンバーが野水さん・たっきぃ・ふくちゃんと猛者ぞろいなので。地図の記載など参考記録にもならない。
槍沢組もだまって負けるつもりはない。前回の下りでひざ崩壊の痛い目にあった正子さんと森永は秘密兵器を装着している。その名も「CWX」!。ワコールがほこるトレッキングタイツだ。
下半身全体をサポータで覆うため、下りでひざにかかる負荷が分散される。値段は1万5千円と高めだが、その効果は絶大だった!
槍沢は雪渓が多くのこっていることもあり、滑りやすいが普段よりもショートカットが可能で、足への衝撃も少ない。グングン高度をさげてゆく。天気も良好で、だんだんと見えなくなる槍ヶ岳の姿に後ろ髪引かれつつも、上高地と温泉をめざし、黙々と進む。
7:20槍沢の樹林帯入口が見えてきた。ここが、水俣乗越からの下山路との合流点だ。
槍沢組は、松田さんを先頭に、約1時間の時間短縮を達成していた。さすがに勝っただろうと思ったが・・・甘かった。
梓川沿いの道で、3人が手をふっているのが見えた。うーんさすがだ。
(特にたっきぃの下りスピードはすさまじかったらしく、福ちゃんいわく「山登りは走るものだと知りませんでした」とのこと)
というわけで、無事全員が合流し、上高地をめざすこととなる。
横尾から上高地までの道のりは、もう何十回とあるいたが、あいかわらず退屈な道のりだ。横尾から乗り捨ての貸し自転車屋があればなぁと毎度考えてしまう。(もしくは梓川ラフティング屋)
12:20上高地
予定より1時間30分もはやく河童橋に到着した。これなら温泉によってゆくのも楽勝だ。
14時出発のバスの整理券を手にいれ、温泉へと向かう。
普段は上高地温泉ホテルを利用するが、歩くと10分近くかかるので、今回は村営アルペンホテルの外来入浴(¥500)にゆくことにした。
ここは温泉ではないのだが、穂高連峰を一望できる。ただし展望があるのは2つある風呂の片方のみであるため、時間帯によって男女風呂がいれかわる。
残念ながら、このときは女風呂にわりあてられていたにで、せっかくの晴天なのに穂高は望めなかった。(もっとも女風呂は、すごい混雑で展望を楽しむどころではなかったらしい)
14:00下界へ
生ビール(¥500)を飲みほし、上高地を出発する。ここまでくれば一安心。あとは寝ていれば新島々まで1時間程度でつく。・・・ハズだったが、最大の試練はここでやってきた。
沢渡から先の道が通行不可であるため、白骨温泉・乗鞍経由で新島々に向かうことになったのだが、この道が超難路!
とうてい大型車を想定していない道路であるため、各カーブが一度で旋回できないのだ。
バスは、自重で後進しつつ切り返しては曲がるという脅威の操車術をもってのぼってゆく。
さらに上下線が交互通行であるため、一時、まったく前に進まなくなってしまった。
乗鞍側にでるまでなんと2時間の費やし、新島々に着いたときはすでに17時!3時間近くもかかってしまった。みな疲労困憊。いやはやひどい目にあった。
17:50松本駅に到着。いよいよこの山行も終わりが見えてきた。
本来の計画であれば、松本市内でそばと馬刺しを堪能する予定であったが、バスが思いのほか時間がかかってしまい、特急の出発までの時間がなくなってしまったので中止。おのおの駅前で夕食を調達し、あずさ号に乗りこんだ。
21:30新宿駅に無事到着。皆様お疲れ様でした
<エピローグ>
その他、本編に組み込めなかった小ネタ集
とまぁ、いろいろありましたが、無事に槍ヶ岳までの縦走をなし遂げることができました。
自身2度目ということもあり、前回より感動はうすいかと思いきや、以前とはちがう達成感とすばらしい展望で、大満足の山行となりました。
まだNSAには槍登山希望者は多いとおもうので、数年後といわず、要望があれば何度でも企画したいと思います。