第22回 乗鞍参加記録

(日程)
8月25日(土)〜26日(日)

(テーマ)
 今年からエントリーが抽選となった乗鞍、従来は先着順であった為、配達日指定書留で参加申し込みをしていたので必ずOKとなっていたが・・・
申し込みは個人と団体があり、ぼくらは団体での申し込みつまり外れれば全員駄目、ということで同じ船に乗ろうと。さらに何とか当選すべく、「毎年テレビにも出ており会場ではよく目に付いている、黄色のジャージ、自然スポーツ愛好会乗鞍いまぁ、です。是非当選お願いします」というお手紙も添えた。

そして5月に発表があり、ぼくら「乗鞍いまぁ」は当選となってまずは歓喜の声で今年の乗鞍はスタートした。
 今年はNSAから選手参加14名、うち初参加がまっちゃんとひでやん、そしてタッキーのフィアンセの参加。まっちゃんは昨年エントリーするも怪我で参加見送りだった。さらに応援団が久々に復活! さゆりさんと康輔が来てくれた。

 直前に合宿を八ヶ岳で行いぼくも日帰りで参加。大会1週間前から皆だんだん盛り上がってくる。会社のメールも一際量が増える。メリとは今年もひそかにドーピング戦略を練る。さらに相変わらず「どうしよう病」が発病したメリは気合入れて朝食は自前食とするが今度は、「何を食べよう」、と悩んでしまい、挙句、「そんなに悩むなら宿食にしたら」、と誘われて、とても意志弱く素直に宿食に変更。こういう盛り上がりが乗鞍のまた楽しさのひとつなのである。

(記録)


8月25日(土)

数あるNSA企画の中でも今回ほど全く天候の心配をしなくていい企画もなかったくらい、一週間前から晴れマークのオンパレード。決戦用チャリは東京からよーちゃん達が持ってきてくれるので、ぼくはDパックひとつで短パンで身軽に長野に向かう。夏休み最後の週末でもあり新幹線も名古屋から長野に向かう特急しなのも乗客多い。輪行連中も乗っている。

 時間どおり松本駅に到着し3月のクロカン以来半年振りに新島々行きの松本電鉄の田舎列車に乗る。
3月のクロカンもそうだったが、今回も時間を見事に計算されたかのようにクルマ組もぼくもお互いどちらかを待つことなく全く時間のロスなくちょうど新島々で落ち合うことができたのでぼくはクルマ組に拾ってもらう。2回とも拾ってもらうことを前提とせずぼくもバスを予定するのだが、今どこ?と車中で電話連絡して落ち合うのだ。これはほんと不思議。NSA東京とはやはり目に見えぬ糸で結ばれているのだろう。

ぼくは野水のクルマに乗せてもらいマドンナへ向かう。屋根や後部にチャリ満載のクルマが続々と乗鞍へ向かう。大会の雰囲気を感じてくる。ロード乗りはいつもきれいに自転車をしているので、どのチャリも真夏のぎらぎら太陽を受けてきらきらと金属パーツが光を放っている。

マドンナ到着。まっちゃん号はかなり早く(とても珍しいことだが)マドンナに着いた、とのことだがいない(やっぱりまっちゃん号らしい)。竹号は途中昼食とってくるらしく後続。まあ、皆順調らしいので、同行のクマ号、じみー号(よーちゃんが運転)、野水号の連中で気持ちいいマドンナのウッドデッキで皆で弁当。

 ほどなくするとまっちゃん号が戻ってきた。どこ行ってたかと思うと、蕎麦を食べに行っていた、と。
 乗鞍で一番有名な蕎麦屋がマドンナのすぐ傍(徒歩30秒)にあるのだが、なんとそれを知らなかったらしい。まあ確かにマドンナからは樹木に隠れて見えないのだが・・・。この周囲には蕎麦畑がたくさんありこの季節可憐な白い蕎麦の花をつけている。

 で、たっきーフィアンセの小寺くんと初対面で挨拶交わす。お近づきの印と泡で乾杯。なかなかごつくて男度高く、大型リュック担いでサンダル履いて世界放浪者のような小汚いたっきーがいかにも好きそうなタイプ。にこにこして気取ったところがなく親しみやすくいい奴だ。
さらに、巨大な胸板には目を見張る、タッキーは巨大な胸元ではないのに。
 その巨大な胸板は胸毛に覆われており、ますます皆から原人系とかアフリカ系とかピテカントロプスとか好きなことを言われる。別に身体を鍛えていたわけではなく、ただ子供の頃から牛乳の飲みすぎらしい。(写真はHPにあり)
とまあ皆から親しまれる、ゴリラ、いや コデラ、なのであった。

竹号(竹、いね、めり)は未着だが、皆NSAジャージに着替えて、康輔もピンクのマリアローザを着て会場へ向かう。
受付し今年は景品はTシャツではなくサコッシュ(自転車競技でアシストが食料をチーム員に運ぶための肩から斜めにかけるバッグ)だった。これは賛否両論。毎年Tシャツで寝巻きしかならない、という人。いや毎年参加してずーっと記念のTシャツを持っているので途切れた、という人。おそらく長く大会参加している人はTシャツの方がよかったのでは?

最近のTシャツはヘビーウエイトのしっかりした生地だし、ジャージと同じで大会モノは誇りなのでぼくは外出でも愛用している。
ただ、このサコッシュはジャージのバックポケットに入るので持参すれば何か買い物したときには便利(ロード乗って買い物することないか・・)。

竹号の連中もだいぶ遅れて会場に上がってきた。皆揃って長野放送の撮影登場(ウォー、の決起大声に康輔は決起大泣き!)、そしてレースクイーンとの記念写真、出展ブース散策等。

ここでVESPA(乳酸発生を抑えエネルギー使用をグリコーゲンと体脂肪を優先するヤク)を発見し購入。
ドーピング好きのメリも金に糸目をつけず即強力な方を購入。
実はこれは前もって購入しようとしたのだがシルベストでは売り切れていたのだ。
偶然だがやはりドーピングに余念のないよーちゃんは二戸さん(なるしまで小畑さんと並ぶエース、元日本鋪道の選手)に薦められてこれを持ってきていたのだ。

そして会場では美ヶ原大会で道中知り合いになった四国の人にばったり再会(乗鞍であいましょう、と別れたので来ていることは知っていたが)。
彼はボスキーというチームで美ヶ原でもタイムはぼくとほぼ同じ、もともとランドナーに乗っていたという点でも意気投合。今回もほぼ同じようなタイムだった。
チャリライダーは仲良しすぐ友達になるのだ。互いの健闘を誓った。

さてさて会場を楽しみ、いつもの一ノ瀬園地へポッターリング。

さゆりさんと康輔はクルマで移動。ここでアイスを食べるのがNSAの慣わし。大体他のチームも前日パタンは決まっているようだ。
今年もサラッタビアンカコウベ(神戸大学OBで結成された男女チーム、全国にいるがこの時同窓会のように集まるらしい)の連中と一緒になった。

マドンナへ戻り、楽しみな夕方食事前の庭での泡タイム。
ぼくはシルベストの人にヤクを頼んでいたのでサウスコル(エベレストではなく彼らの常宿)に取りに行く。

当然事前にヤク好きのメリの分も頼んでおいたのでそこで受け渡し(まるでヤクの取引)。これは、既述のVESPAと目的がことなり最後の追い込みでへばる前に服用するとパワーが出るもの。その名もレッドトニックスプリント!! いかにも強力そうやろ?

マドンナへ戻りデッキでアペリティフ、竹に泡薦めるも、今日は一杯だけにしておくという。これがいいのだこれが。そうなんだ、乗鞍はサイクリングやツーリングではないのだ、競技大会なのだ。

サイクリングやツーリングに練習や鍛えは不要。ただしこれはタイムを上げるという目的のある人にとっては成果を試す舞台なのだ。
竹は今年はジム通いもしてきている。ノ・てなことなのだが、やっぱりさすがに一杯で杭とどめておくことは出来なかったようだが、それだけやってきているという証拠。

夕食の時間となる。宿泊者全員が自転車だ。昨年一緒だった人もいる。
泡で乾杯のあとワインをボトルで何本かいく。今まであまりなかったことだが、泡では腹にたまるというのでワインになったのか?
XCのとき空前絶後だった、あの極上ステーキが登場。脂身がなく厚みもあるのにナイフをあてただけですーっと切れるような柔らかいフィレミニヨン。これは本当にうまい、うまい、うまい!!
クマのが半分残っていたので、くれ、と言ったら、くれた。ぼくとマッチョで半分を半分づつあやかった。クマもウエイト調整の一環なのかノ前日この場に及んでなのに。ありがとさん。

うまい飯を食べながら馬鹿話に花が咲く。よーちゃんが、うまいこと言った!
ぼくらはNSAのマスオさん!  それは、嫁がもともとNSA会員、で結婚した旦那は外部だが同じ趣味志向のためNSA入りしてしまう、そのような旦那がNSAのマスオさん。これはよかった。よーちゃんにもマウンテンコデラ(マウンテンゴリラじゃないよ)くんという弟分ができた。
また、大体NSAのメッチェンは連れ合いの方がいい奴だよなー、と誰かが言ったノ・(ぼくだけど)。普通メッチェンの方をかばうのだが、逆。まあヤヤもさゆりさんもタッキーも、それだけいい旦那をもらったという意味にとってくださいまし(笑)。
ちーちゃんのところはちーちゃんの方がいいかも(ごめんコニー!)

と楽しく、ちょっと飲みすぎたようで汗を出そうと中路と風呂にまた入りに行って就寝。
夜中目が覚め、窓から空を見ると降り注ぐような星空ノ


8月26日

4時半起床
6時出発、今回は宿食組も早めに食事を頼み皆一緒にマドンナを出発することに。各自チャリの点検し、野水はゴーゴーと音を立てて携帯酸素ボンベを吸っている。なんかおかしな光景だ。NSAで3つあるフロアポンプが皆まともに稼動せず、仕方なく注入量不明のまま手の感覚で入れ不安ななか、マッチョが他の人から借りてきたポンプをぼくも使わせてもらい空気圧を見たら、やはり7気圧弱しか入ってなくこんな気圧で走ったら足がもたんわい。 8気圧まで入れて安心して臨むことができた。
全員でマドンナ前で写真だが決戦当日は笑顔は少ない、今日は全員黄色の乗鞍大会専用の乗鞍いまぁジャージだ。康輔も昨日はマリアローザ、今日は黄色のマイヨジョーヌだ。何事もこうやって楽しむことが大事なのだ。こいつが大会に出るときぼくもまだGクラスで頑張って、一緒にこの宿で毎年変わらずこういうことをしたい。
昨日とうってかわって会場は3400人のレーシングジャージできめた参加者で緊張感も漂う。

初参加の時、えらいところに来てしまった、と思ったことが蘇る。
ここで仲間とはお別れ、三々五々自分のクラスに散っていきレースが始まる。

同じクラスの近くにシルベストがいたので話をして健闘誓う。彼は初参加とのことだが、グランフォンド好きなので山岳と長距離には慣れている。さて時間も近づきVESPAとアミノ酸を摂取。スクリーンにスタートが写り次々に仲間がスタートしていく。そしていつもスタート前に舐める飴。

7:54 ぼくは今年が最後となる男子Eの第3Gがスタート! トークリップも一発で入った。前を確保している連中はとにかく最初から飛ばす。ぼくもついていき、登りが始まる最初のコーナーで、さゆりさんの声援が聞こえて、ぼくも手振る。先発の遅い連中をこの時点でどんどん抜き1秒でも無駄にしないよう、かつ後半足を残せるよう軽いギヤで回転重視で速度をあげていく。
今年は加齢と練習量との相殺で昨年同様30分切りを確保し、出来れば1、2分短縮を目標に臨んでいる。

先発のクマ、タッキー、メリに声をかけて抜く。エイドステーションでの補給受けずマイボトルでいく。足がなぜか軽い、逆に力が入らない感じがする。つまり筋肉を使っているという感じがあまりない。これは乳酸の発生を抑えるVESPAのせいかもしれない。中間地点でのタイムは昨年と同じくらいだ。
先行する選手達を抜いていく感じはすごくいい。今までで一番好調なようだ。

以前は後発のよーちゃんやマッチョにも抜かれた。そしてマッチョの友人の人懐っこい藤宮くんからも声をかけられ抜かれていた。今年も前日に会ったので、今年は抜かないでね、と言っておいたがもちろん抜かされなかった。

コースでいえば今年は何箇所かのカーブにある、あのきついスリップ防止のぎざぎざが埋められてきれいになっていた。
これは今まで一つの目安であり、疲れた足をここでさらに追い討ちをかけるようにいじめられるので、ダンシングで切り抜けなければならない悪名高い名所なのだが、恐らく選手のほとんどはこれには少しがっかりしたと思う。
今や乗鞍は自転車と観光車両のみOKなのだが、クルマに必要なこのぎざぎざを自転車乗りのためにきれいにしてくれたのだと思う。気持ちはありがたいが、世間の人とは価値観を異にするチャリ乗りはMなんだという認識が行政に足りなかったか(笑)。

男子Dで優勝を狙うシルベストの牛見に抜かれる。独走の様子で、頑張れと声をかけると手を振って抜きさっていく(彼は見事優勝した)。穂高連峰が眼前に現れてくる森林限界あたりで野水を抜く。昨年と同じような位置。

いよいよ残り5kmの看板が出て来た。時計を見ると残された足の調子と時間を考えると目標達成を確信し安堵感。しかし酸素が薄くなりここから急にペースが毎回激減するので、ここでメリが調達してきた粉末ヘモグロビン増強剤を口に入れる。

3kmの看板が!。ここでレッドトニックのチューブを噛んで押し込む。時計みたら、これはもしやもしや20分切れるかぁ!とよろよろ走る選手を尻目にぐいぐい抜いていく。この地点でこんなにまだ力があるのがやはりヤクのお陰か?

残り1km、とにかく下ハン持ってがんがん踏み込んでいく。はぁはぁ、心拍数も200突破しそうなくらいだ、心臓が飛びでそうだが、足がまだあるので、うーーーー、ともがくもがく。最後、コーンに突っ込み、ぴぴっとセンサーが鳴りゴール。
時計見たら、ちょうど針が9:14に乗っていた。20分切れたがどうかわからないところだが、考えてもなかった20分切りのところまで来ていたことに感動で胸がつまる思いだった。

シルベストの連中に会いスタート前に話した初参加の彼が22分、それより少しタイムがよかった、望外のタイムだった、とお互い健闘讃えて、すぐに仲間を迎えるべくゴールに向かう。よーちゃん、野水と向かう途中で会う。

ゴール手前の坂がぐいっとあがるところで皆を待つ。最後のふんばりどころである。
ここでバランス崩し尽きてこける人も何人かいた、どう考えても、そのまま押してゴールした方が絶対早いのに、何とか乗ろうとする。
疲れた足と坂でまたビンディングに足を装填するのは難しい。でも何度もトライして漕いでゴールしたいという気持ちが伝わってくる。(途中イネ曰く、押している人に抜かされたと(笑))

仲間が次々にあがってくる。
「がんばれーっ、もがいてーっ、もがけーっ、無理してぇーーっ」と苦しみから解放された応援者は、他人事のように仲間に向かって声援を送るのであった。
そんななか、竹が勢いよく入ってきた、当人もタイムアップを確信しての走りだった、へたれてなく強い足取りで上がってきた。
そしてコデラがこれまたしっかりした足で、かつにこにこしながら(この点、タッキーと同じ、きついと笑顔が溢れる変な奴ら)上がってきた。
実はコデラバイクは完全に平地使用のギヤ比なのだがよく頑張った。

鋸で37分という好タイムを出したエバがなかなか来ない。前日ハブから音が出ていたが、まさかベアリングが壊れたか?

昨年はスポーク2本なしで上がった。しかし目標の2時間切りでタイム更新。
その時もよーちゃんと「エバちゃん、スポークぱーんぱーんと一本ずつ飛ばしながら走っているのかなぁ」とか冗談言っていたが、今回は調子いいはずのエバが来ないので心配だった。するとほどなく相当疲れた顔で上がってきた。それでもタイムは落としてなく5分短縮している。

さてさて、残すは初参加のまっちゃんとひでやん。まっちゃんが、「もういや、もうやめて」と言わんばかりに首を横にふりふり自転車ふらふらで登場、最後の声援に応えてゴール。そして、ひでやん、この時間になると押してくる人も多くなる。しかし、ひでやんはしっかり踏み込んで上がってきた。時間はかかったが、足つきなしだったらしい。ひでの目標だったので大きな成果だった。完走の基本、軽いギヤで無理なく上がる、これを意識実践した成果だと思う。

全員がゴールで再会できた。個人の目標はさまざまだが、NSA銀輪班の一番の目標は全員ゴールで再会すること。2700mのゴールで再会できることは何にもまして嬉しいことだ。
さて、全員素晴らしい晴天の雲上の風景を楽しみ揃って下山。20km登りは下るのもブレーキングで疲れる。よくまあこれだけの坂を上がってきたものだと毎回思う。
マドンナに戻り、ぼくらの2007乗鞍は終わった。


総括

天候に恵まれ、メカトラもなく、DNS、DNFなく全員が標高差1300m20kmのコースを登りきった。そして、マサより提供された欧州旅行で購入してきたツールドフランスのボトルは竹が獲った。
タイムを落としてきたここ2年、竹はジムにも通いエアロバイクで鍛え十分な準備をして臨んで勝ち取った。努力して勝ちとったボトルは十分な価値がある。

昨年8秒に泣いたよーちゃんもローラー漕いだり、食事制限したり一人で練習したり片時も自転車から離れることなく20分切りプレッシャーのなか見事に切った。そしてぼくも望外のタイムが出た。シルベストの朝練だけでなく7月以降は結構一人で坂の練習に励み食事コントロールもした。

乗鞍の位置づけは参加者みな様々。アスリートとして臨むもよし、イベントとして楽しむもよし。
ぼくも来年は20分の壁に引き続きアスリートとして臨みたい。1年で若い人たちの2年分くらいは体力落ちの加速となるので、8秒どころか1分の壁はとても大きいと思うが、やはり目標持って自転車にも乗っていきたいと思っている。

皆さん、お疲れさまでした。そして、さゆりさん、康輔くん、応援ありがとう。また来年も皆で楽しもう!!

                                                                                         以上