2004 秋合宿 甲斐駒ケ岳

(日程)
10月23日(土)〜24日(日)

(テーマ)

2年越しの企画による銘峰 甲斐駒ヶ岳(2966m)に高遠ルート北沢峠より挑む。

高遠(伊那)より入山(東京方面からは甲府ルートが一般的だが2年前のがけ崩れ通行止め後、広河原までのマイカー入山が不可となりバスを2度乗り換えて北沢峠入りとなる為、高遠からの入山にした)。
仙水小屋経由(泊) 駒津峰より登行、下山は双児山経由北沢峠。


(参加者)

M 松田、松本、藤野、羽佐田、森永、江畑、熊野、和田よ、中村し、畠田(記)
F 大泉、金指、和田さ、徳山、瀧原 以上 15名

(行程記録)

10月23日(土)

松田車本店前7:00、和田車/畠田車二子玉経由小田急線狛江駅7:15集合
(調布駅で一男さんピックアップ)

今回はバスを利用しての入山のため、バスに遅れたらアウトということで余裕を持って出発する。
案の定、中央高速道路は混んでいた。途中、まっちゃん号と交信するがまっちゃん号も定時スタートで問題ない様子。

和田号はた号は双葉PAで休憩しぼくは康司に頼まれていたご当地カトちゃん(加藤茶)のアクセサリーを探して購入(ここのカトちゃんは武田信玄(さすがご当地)だった)。

走行中粋なじいちゃんばあちゃんが乗ったプリンススカイライン(日産の前)が走っており、PAにはトヨタ2000GTが停まっていた。クルマ好きメカ好きの陽ちゃんも認識していた。(若い真ちゃんはプリンススカイラインは知らなかったが2000GTは知っていた…昔はクルマも個性的でムードがあった)

和田号はた号は諏訪ICで下りて(まっちゃん号は伊那IC)田舎道を楽しみ途中桜で有名な高遠城址に寄った(こういうのができるのがマイカー登山の楽しみでもある…昨年は信玄の墓のある恵林寺に寄り、一昨年は日本3大奇橋の一つ猿橋に寄った…秋は特に田舎道が風情があっていい・・柿の朱色、澄んだ青空、煙たなびく臭い)。

北沢峠行きバス起点の仙流荘に予定とおり到着しゆっくり昼食をとる。天気もよくビールを買って野原で幕の内弁当を食べ、コーヒーをすする

その辺にノビルが生えていたので取って食べた。日当たりがいい所なのでネギの辛みに甘みが加わり花も食べたらうまかった…ちょっとしたピクニック。まっちゃん号はまだ到着しておらず彼らは途中で蕎麦を食べてきたらしい。

ちょうど13時、臨時バスが出ると同時にまっちゃん号が到着。予定の14時の最終バスで北沢峠を目指す。

14:00
バスに全員乗り出発。運転手さんのガイドを聞きながら峡谷を縫うように走る南アルプススーパー林道を高度を上げて重たそうにえっちらおっちら走る。

15:00
北沢峠(2000m)到着。ひんやりとさすがに涼しい。北沢長衛小屋前テント場を通り仙水小屋も目指す。
バスの中のおじさんおばさんパーティーはここでテントの設営をしていた。水もたっぷりあり、バス降車からも近いので食材たくさん持ち込んで楽しいテントライフが楽しめそう。

15:45
今日の宿、仙水小屋に到着。水は十分ある。早速部屋に案内されるが、離れの個室上下2階を使うことになった(こういうのがグループ山行の大きなメリット)。

小屋は山小屋という雰囲気ではなく、モルタルの飯場に近い感じのものだがしっかり作ってある(趣はないが隙間風も入らずこういう小屋も珍しい)。

早速、小屋前のベンチで店を広げる。泡、日本酒、焼き物…。浦霞というお酒(銘酒らしい)を真が持ってきており、ぼくが「これ茨城の酒か」と問うと藤さんから馬鹿にされた…ぼくは霞ケ浦と早とちりして茨城と結びついてしまった。日本酒は大好きだが銘柄には弱い。

あっという間に飲み干し、パック酒も飲み干し、隣のまっちゃんベンチの非つまみコーナーに移動し干しイモを炙って食べたら焼きイモの味になりこれがおいしく、サラミを焼いたらカルビになる、というNSA新発見に次ぐ発見となり皆で喜ぶ。

ほどなく夕食となる。この小屋は夕食16時30分、朝食4時00分と一般の小屋よりも1時間以上前倒し。これは登山者のスケジュールに合わせているもので感心する。
この小屋泊は全員が早出で甲斐駒を目指すのでそれに合わせ朝食を準備してくれるのだ。

夕食は揚げ物から刺し身まであり上等だった。小さなこの小屋は3名で運営されており皆さん穏やかで感じがいい。厨房ではおばさんが頑張って食事を作っていた。1泊2食6500円も安い。

部屋に戻り食後また一杯やる。藤さん建築中の箱根のログハウスをNSAの山の保養所にしよう、と言ったところそこに住むかもしれないので駄目だ、と・・ならば、湘南の本宅は要らないだろうからそこをNSAの海の家にしよう、などとどっちにしろ藤宅乗っ取り計画を練り馬鹿話しに花を咲かせた。

消灯は早く普通は21時だがここでは19時、母屋と離れはインターホンで繋がっていて、19時になると連絡あるも、特別もう30分いいですよ、と。離れはぼくらパーティーだけなので配慮してくれたのだろう。

19:30 消灯、就寝。

10月24日(日)

3:30
起床。満天の星空で好天を予想させる冷え込み(零下2度)。蛇口は凍結し小屋主人がお湯をかけて解凍。4時から朝食を摂るが、主人より新潟で大きな地震があったと報告。

タッキーはそういへば揺れたと言い、真もタッキーも夕方見た3本の太い直線の雲は地震雲かも、と言っていた(これはぼくも見ていて変な雲だなと思ったので覚えている)。

4:45
えばちゃんの掛け声のもとヘッドラかけていざ出発。凛とした朝の空気は気持ちがいい。ヘッドラ山行はぼくも久しぶりでついつい若い頃のことを思い出してしまうがつい先日の様。

歩き始めて間もなく糞意を催してきた、樹林帯歩行のうちにキジを撃ってしまわないと開けたり明るくなるとやりづらいので脱糞を決意。一緒に歩いていた友を待たせ(一人ぼっちは恐い)コースを少し外しヘッドラを消してしゃがんだ。ぬるぬると気持ちよく出た。草木の枝が尻をなでてこそばゆい…。辺りに肥料を施してキジ撃ち成功! 戻るとエバと陽ちゃんとタッキーが待ってくれていた。

歩行再開・・タッキーはトップに行きたがらない、恐いらしい、いい年して何だ!
(そういうぼくもキジ撃ちで待たせたくせに)最後は最後で恐いというので間に挟んでやった。
手のかかる娘だ、まったく。

例のぼくとえり子が尾瀬で遭遇した本当の話しをしたら、やめてやめてやめて、あーうーと声をだして聞きたがらない。
テント泊百戦錬磨のタッキーといへどもお化けの話しは大嫌いらしい。

次第に周囲がぼんやり見えるようになりガレ場に出た。晴れた日の夜明けは何とも気持ちいい。
ガレ場はコース選定が難しく、ルートが途切れてしまいコース外れた。後続のパーティーもぼくらについてきていたので注意をしてやった。

5:25
コルにいる先行隊が夜明けを受けシルエットに見える。仙水峠についた。神秘的な夜明け前の美しさに感動に浸る。
雲海に浮かぶ山々、閃光のように放つ一条の朱色の地平線と濃紺の鉱物的な輝き…。その光景に息を呑む。

5:35
仙水峠を後にして、ほのかな明りのなかヘッドラ外し稜線を駒津峰を目指す。

途中浅間山方面に不思議な現象を発見。縦に渦を巻いたような物体なのだが、竜巻でもなく煙りにしては大きすぎる…狼煙のようでもあり雲のようでもある…よくわからない。

6:00
森林限界近くになりいよいよご来光。雲海の地平線に日が昇り手を合わせる(日本人だなぁと思う)。
眼前の摩利支天の岩陵がモルゲンロートに染まる、千丈岳も燃えるように赤みをおび、富士、北岳、鳳凰三山地蔵のオベリスクもくっきり見えてきた。

日もあがり紺碧の空のもと駒津峰へ向けて登行。この頃からマサが遅れ気味になり辛そう。お月山行だからというが、リュックをチェックするとかなり重い、荷物を出して持つから、と薦めるもいつもと同じ重さなので大丈夫、と頑な。(小屋泊にしては荷物が重すぎる、軽量化が課題)

ゆっくり上がるよう指示し、エバちゃんがサポートに入る。そういへばクマも高山病を恐れて薬を準備している由。クマは背が高いので酸素が薄いのは慣れていると思うのだが…高山に弱い・穂高でやられ南ヤツの硫黄岳でもやられている…3000mで地表の3分の2の酸素量になる。

駒津峰まで行けばそこから頂上までピストンなので登頂は断念し皆を待つことができる。状態によっては甲斐駒登頂のあるゆーちゃんに今回は見送ってもらい、一緒に待機してもらうか下山することも考え、ぼくは先行隊を追った。

7:20
駒津峰到着 先行隊は出発済みだった。ここから北アルプス、中央アルプスの全景が見える。ほどなくマサも上がってきた。やはりここで待つ、とのこと。風が吹きつけない日だまりの場所を見つけて、そこで待機するよう命じ、念のためツエルトも渡した。

たまたま後続のパーティーにも不調のおばさんがいて一緒にそこの日だまりで待機することになった。もし来る場合は絶対に荷物はデポしてくるように指示し、不安であったがマサを残し、エバ、秀ちゃん、陽ちゃん、さゆりさん、ぼくは眼前に鎮座する岩の巨人にへばりつく。

登りは直登ルート下りはトラバースで巻くことにした。登攀箇所がいくつかあり、四肢を駆使しての登行を強いられる。危険箇所もありかなりハードな為マサに来ないように連絡とるが不通。

9:00
甲斐駒ケ岳山頂到着。先行隊は既に食事終え寛いでいた。マサの状況を伝え、取り敢えず記念写真。
360度遮るものはなく素晴らしい展望。ぼくらは食事にかかり、先行隊は下山準備にかかる。

先行隊を見送ってほどなくすると、岩陰から、よいしょっと上がるマサが現れた! 拍手で迎え先行隊に大声で、「マサが来ましたぁー、元気で上がってきたので大丈夫でーす!」 と叫んだ。手を振って先行隊も了解した。

マサは面白かった、登頂するや否や弾丸トークで一緒にチン(山用語:雨などで動けず休むこと・・沈殿から来ている)していたおばさんの状況を同パーティーのおばさん達にしゃべりまくる、その元気な姿を見てぼくらは微笑みほっとした。

30分ほど休み行動食を摂り元気になり、先行するおじさんのルートを見ながら空身で上がってきたとのこと。よかったよかった。

9:40
下山開始。先行隊の一部も残留し一緒に巻きルート側へ。

11:00
駒津峰到着。マサとチン友だったおばさんが峠手前の日だまりで新聞被って横たわっており、傍にはマサのリュックが置いてあった。

11:30
双児山到着。マサ、エバ、クマ、キン姉、秀平が後続。まっちゃんやタッキーはとっとと行ってしまい、陽ちゃん、さゆりさん、とぼくが同じペースだったが、先行しているうち、途中から熊が出たらどうしようか、などと考えていたら早足になり一人になった。

等高線が密なので嫌な下りだろうなあ、と思っていたら案外九十九折りになっており歩きやすかったが距離は結構あった。
バスの予定時間は13:00だったが、まず後続は間に合わないだろうなぁ、と思いつつ先行組だけでもそれに乗るように伝えたく、ぼくも13:00を目指し12:35に北沢峠に着いた。先行組は泡を飲み日だまりのなか地べたで駅前居酒屋。

12:45
陽ちゃん、さゆりさん着。(冒頭コースタイムは陽ちゃんの記録をもとにしている)

13:00
定期バス出発の案内。先行組に先に下りるように言うがバスの往復切符をエバちゃんが持っているとのこと…・。そこでバスの運転手さんに事情話すと、到着してからその方からもらうので大丈夫です、と親切な対応。先行組の何人かは予定の13:00の定期バスで下山しまっちゃん号で帰路につくことにした。

13:20
後続隊到着。マサも元気そうだ。先行隊を予定のバスで下山させたことと切符のことをエバちゃんに伝えて泡で乾杯。最終バスは15:00だが、人数が集まったところで臨時が出る可能性もあることからリュックをバス停に置いておく。

真とまた泡を飲み、まだ飲みたいが高いので半分づつ飲もうとまたもう一本買ってきては飲み…。マサがちょうど湯を沸かそうとしたところ、臨時バスが出る旨の案内があった。

14:00
臨時バス出発。車窓から先程までいた甲斐駒、駒津峰、双児山が望め峡谷の黄葉も美しい。景色のいいポイントではバスは減速や停車し運転手さんが説明をしてくれる。

14:45
村営仙流荘終点に到着。わだ号とはた号に分乗し帰路へつき、まっちゃん号にちょうど1時間遅れて東京入りし、楽しい合宿山行が終わった。

総括

何と言っても素晴らしい天気に恵まれた。記録的に雨が多く週末度に台風もきた10月なのに、この週末のみは予報でも晴れとなり、これほど天候に不安がない山行も久しぶりであった。甲斐駒は2年越しの企画。中央高速を走るたびにその山容の偉大さからいつかは登ってみたい山であった。

マサが登頂断念かと危ぶまれたが、単独で頂上を目指し参加者全員の登頂を果たした。また、15名の合宿参加という大パーティーとなった為、登行ペースにばらつきがでグループが分断されたがこれは人数が多いとやむをえないこと。

日帰り山行では味わえない早朝ヘッドラ登行といい合宿山行の良さを存分に味わい、行かないともったいないと思うほどのいい山旅だった。

次回合宿、どこの山… また楽しみ。

おしまい