那須岳 〜秋期合宿山行、夜中の温泉〜
(日程)
01年 10月20日(土)〜21日(日)
(テーマ)
恒例の秋の合宿山行。近場でお手軽かつ、いろんな表情のある那須をミニ縦走し、風情ある三斗小屋温泉の湯に浸かる。
(参加者)
M:畠田、羽佐田、松田、稲葉
F:金指、谷野、大泉
(行程記録)
20日
10:00 畠田車、稲葉車に分乗して大谷P.A.で合流、那須へ向かう。
10:30 予定では既に登山口まで到着しているはずの時刻だったが、殺生石を過ぎた辺りで渋滞にハマる。当初はそれなりに進んでいたが、やがて駐車場渋滞であることが判明。紅葉シーズンということもあり、観光客が非常に多い。道幅の狭い山道の中で観光バスの出入りもあり、渋滞に拍車をかけていた。
12:00 ロープウェーの山麓駅近くまで来ても駐車場は満車、本来車を停めようと思っていたその先の登山口駐車場までのあいだも、路上駐車のため、当面の間通行できません、というアナウンスも流れてきた。結局、我々は、到達することすら難しいと判断し、ロープウェー山麓駅より更に下の大丸温泉の駐車場まで戻ることにした。
12:30 予期せぬアルバイトを強いられ、2時間近くタイムロスして、ようやく歩行開始。しかも予定のスタート地点より30分ほどスタートを下げることになった。恐ろしや、秋の観光地。
13:00 ようやく登山口まできた。見晴らしのいいところにベンチがあり、とてもお腹が空いていたので、ここでサクッと昼食を摂ることにした。ホントはここまで車で来られるはずだったのに…。
13:20 茶臼岳登山口より歩行開始。火山らしいゴロゴロした岩がつづく、赤茶けた登山道を登る。観光客も多いこともあって道は良く整備されている。
14:00峰の茶屋。登り出しがおそくなったので、一番ポピュラーで今後も上りに来る機会があるであろう茶臼岳は今回パスすることに。行楽シーズンと言うこともあり、ロープウェーで上がってくる山ヤではない人たちがいっぱいいたのも、我々の足を遠避けていた。峰の茶屋は風の名所と言われていたが、意外と穏やかで、登山客、観光客がいっぱいだった。軽く休止をとり、早々に朝日岳をめざす。
朝日岳は那須三山のなかでもっともアルペン度の高い山で、早速に岩稜の中を歩くことになる。すれちがう中高年のパーティーからは「今日はどこ泊まり?」という答えの知れた質問を繰り返す。この辺じゃ泊まるところと言ったら、麓に戻るか、三斗小屋の2軒の温泉宿しかないのだ。「煙草屋です。」と返すと「あら、いいわねぇ。いいお湯に浸かれて。」とこれまたお決まりの返事だが、期待は高まる一方だった。
14:45朝日岳のピークにはいとも簡単に到達してしまった。まっちゃんは早速コーヒーを沸かしにかかる。そんなに高くないが、遥か遠くまでつづく山なみに見とれる。
14時を回り、秋山では夕方に近いやわらかい日差しの中に、日光白根だろうか、燧ケ岳だろうか、がシルエットを浮かび上がらせていた。やや、霞がかかっていたが、好天に恵まれたのが良かった。煙草屋への下り(正確には下ったり登ったりしながらの下り)は1時間ほどの行程だったので、頑張れば露天風呂の女性専用タイムが終了する5時以前に到着できそうだった。今日は大して歩いていないのに、渋滞疲れのせいか、全体的に足取りが重い。「がんばれ、風呂がまってるぞ」とハッパをかけながら下りる。
16:30 熊笹のつづいたところから雑木林の一帯に入ったところに我々の目指す温泉旅館「煙草屋」は立っていた。女性陣3人を何がともあれ、露天風呂へと急がせた。ちょうど夕焼けの時間帯で日が山に落ちて行くところを湯につかりながら見ることが出来たようだ。汗を流すのが待ちきれない人たちは内湯に入ってきていた。僕は行かなかったが、雰囲気のある湯だったそうだ。
僕は女性専用タイムが終わった後、満を持して露天に入った。秋空と日がすでに隠れた山影がお湯の向こうにダイレクトに見え、気分は最高!煙草屋の部屋は狭く、ホコリっぽかった。しかしそんなことは気にせず、泡、ウイスキー、ブランデー(ややがもってきた)などを各々好きなように飲る。
18:00ドーン、ドーンという太鼓の音が鳴る。ここ煙草屋では食事の時間を太鼓で知らせるのだ。食事はお膳にのっていたが中身は所謂山小屋の食事に近い。ここでもまた、ビールやワインをあける。部屋に戻るとまた酒を飲み他愛のない話をする。申し訳なかったが、このとき僕はやりかけの知恵の輪を熊鈴がわりにもってきており、どうしても解きたかったので、畠田さんのちょっかいをよそに知恵の輪に没頭していた。
9時に消灯だったが、ここからがここ煙草屋の醍醐味。ヘッドランプをつけて、真っ暗な中、露天風呂にいくのだ。羽佐田さん、畠田さん、まっちゃん、と4人でまずは向かう。女性陣にも「来たら」と声を掛けたが、反応はイマイチ、真っ暗とはいえやはり混浴へ向かう勇気がわかなかったのか。
露天風呂ではすでに何人か入っていたが、ヘッドランプを湯に浸かっている人に向けるのはエチケット違反。声と気配で察しなければならない。ほとんどが男性だったが何人かの女性がいることが声から判った。どっぷりと身体を湯に浸け、上を仰ぐとそこには降るような星空が広がり、天の川もくっきりと見て取れた。
まわりに照明が無い中での湯に浸かり、遮るもののない満天の星空を仰ぐ贅沢。たっぷりとした時間が流れる。畠田さんは相当飲んでいたらしく、風呂で酔いが回ってしまってしまい、早々に「上がる」といって湯を出たが、脱衣場で着替えたあと、全然検討違いの方向へ歩こうとしていた。しかもヘッドランプのバッテリーが切れかかっていたらしく、だんだん薄明かりになってしまい足場が見えず、まさに前後不覚状態。最後は羽佐田さんのヘッドランプを頼りにいい中年2人が手を取り合って暗闇の中、宿へ帰って行った。
それに入れ替わり、キン姉、やや、マサの3人が登場。さんざん「星が凄いらしいよ」とふき込んでいておいたので、暗闇の中なので、姿は見えないということに踏ん切りをつけてやってきたようだ。男性はまっちゃんと僕が残っていたが、5人とも初混浴だった。
女性陣3人も満天の星空に感激、「勇気を振り絞ってきたかいがあった」とのこと。楽しい時間を満喫して部屋に帰ったが、部屋が狭く、窮屈なのと、隣の部屋のいびき、それと時折聞こえる某氏が飲みすぎて窓の外へベーベー嘔吐するおぞましい音で僕はなかなか眠れなかった。(そういへば、今だからいうけど、露天風呂の中でも戻したなあ、まあ仲間だし暗くて見えなかったしいいか)
6:00 起床、朝食。これもあまり美味くはないが、食っておかないとパワーが出ないので、しっかり食べる。
7:00 朝方はやはり冷えたので、コーヒーを沸かす。山での一服はいつも気持ちがいい。味のある煙草屋の看板をバックに記念撮影し、出発。昨日下ってきた道を登り返す。霜柱がいたるところにたっていて、もうすぐそこに山の冬が近づいてきていることを感じる。
8:45 熊身曽根の分岐から昨日とは逆に尾根を北へ向かい一路、三本槍岳を目指す。ここからは花の無いシャクナゲはハイマツを中心とした植生に代り、また解けた霜柱の水はけが悪いせいか、道もぬかるみが多くなり、ペースが落ちた。展望もないうえ、曇り、道も悪いのだが、何故か登山者は多く、すれ違い待ちがしばしば。こういう山歩きはちょっと辛い。
10:20 ようやく三本槍岳登頂。登頂と言う言葉は似つかわしくない緩やかなピーク。寒いのでお茶を沸かす。
10:50 歩行再開、久美さんお勧めの北温泉へ下る尾根道を降りる。長いえぐられた道でちょっと歩きにくかったが、那須高原から関東平野北部を見下ろすバノラマはすばらしかった。途中、休憩をとったクヌギの木立のあたりからは俄然、里山っぽい雰囲気になりGood!、さらにそこから下ると終わり近くなっていたものの、今度は紅葉を楽しむことができた。すばらしい。しかし、前半のぬかるんだ道で重くなった足取りは回復せず、スローペースのまま北温泉へ。
13:30 北温泉。ホントはお湯に入りたかったけど、予想以上に露天がでかかったのと、既に入浴している人がいたが、水着を着用していた。これがなんとなく違和感というか不自然と言うか、雰囲気が悪かったので、ここではビールを飲んで終わりにした。大丸の駐車場までアスファルトの登りが残ってしまったが、14時すぎには何とか戻ってくることができた。
(トピックス)
(総括)
繰り返しになりますが、朝日岳山頂からの景色と風呂以外は正直あまり満足の行く山行ではなかったなぁ、というのが僕の印象です。だから筆が進まなかったんですよ。
まあ、山行を企画したリーダーに責任があると思います。10ヶ月経って、素直に「申しわけありませんでした」。と申し上げられるようになりましたので、その気持ちをこめて山行記録、筆を再び執らせていただきました。でもあの温泉、なかなか捨てがたいので、温泉だけ入りに、また有志でいきましょうかねぇ。
(いや、いい企画だったよ。すすきの穂が夕暮れに輝き、ひなびたほんとに山の出湯の温泉山行に相応しいところだったし、観光地化した那須岳を避けたのも正解。北温泉へのルートも静かで趣があった。メッチェンも山の端に沈む夕日見ながらの暮れなずむ露天風呂に感激していたし、いい仲間と酒があり、事故がなければそれだけでもいい山行よ、おまけにどっぴーかんの好天だったしね)