白黒フィルムの現像とプリント

前半が現像編、後半がプリント編になっています。正直、これを書いている人間(チカラグチ)が結構大雑把なところがあるため、信用度の低いページとなっています。「あぁ、自分で現像とかプリントするのってこんな感じなんだな」くらいで見てくれると助かります。

ここのページ通りにやれば、一応普通に写真を仕上げることは可能ですが、失敗しても責任は取れませんのでその辺ご了承下さい。 

 


 

白黒フィルムの現像編

 暗室作業=暗室にこもりっぱなし、というイメージがありますがこのフィルム現像、確かに暗室でしなくてはなららい作業もありますが、それは10分(慣れたら5分)位のもので、あとの作業は普通に電気を付けて自分の部屋とかでも出来ます。暗室も要は光が入ってこなければ、風呂でも便所でも全然OKです。道具もヨドバシカメラとかで全部そろいます。    

 

必要な道具

現像タンクとリール(出来ればフィルムが2本入るやつが便利、その場合はリールもちゃんと2つ用意)2000〜3000円位

フィルムをパトローネから出す道具・・・・・・これはパトローネの入り口からフィルムを出すタイプとパトローネを破壊するタイプがあります。破壊するタイプが900円位だったと思う。形はビールの栓抜きに似ています。って、いうかビールの栓が抜けました。

はさみ

温度計・・・・・・現像液の温度を計るのに使います。

時計・・・・・・暗いところで光るやつは、フィルムが感光すると困るので避けましょう。

液類(現像液・停止液・定着液)・・・・・・現像液と定着液はヨドバシカメラなどの暗室コ―ナーに粉末状でパックに入って売ってます。この粉を水にといて使用液にするんですが、とき方はパックの裏に書いてあるのでそっちを見てください。停止液は同じく暗室コーナーに『酢酸』と書いて液状で売っています。これを薄めて使います。おそらく入れ物に『濃度○%』とか書いてあるのでそれにあわせて薄めてください。(濃度50%で、大体酢酸30mlに水1L)

あと、安いのでいいので水の量を測るのに大きめ(1〜2L)のビーカーや、現像液と定着液をキープしておけるようなポリタンクなんかもあったら良いです。その他、なれてきたら便利そうなものは自己流でどんどん取り入れましょう。

 

作業開始

 前半・フィルムを現像タンクに入れる(完全暗室での作業です)

使う道具(前半)

上段左から

 ・リール(ベアリング式)

 ・現像タンクの芯

 ・現像タンクのフタ

 ・現像タンク本体

下段左から

 ・現像タンクのかき混ぜ棒(前半は使わない)

 ・パトローネ(フィルム)

 ・パトローネ壊し機

 ・はさみ

色々なメーカーから色々な道具がでていますが、今回はこの道具で説明したいと思います。

 

おそらく、撮り終わったフィルムは先っぽが出てないんでパトローネ壊し機でパトローネを壊します。そうしたら、上の図の赤い線の所でフィルムを切ります。

 

次にフィルムをリールに巻き取ります。おそらく、ここがフィルム現像1番の難関です。上の図の青い線(写真だと斜めになってますが上下の位置は合わせてください)の所からフィルムを入れます。赤い丸の所にベアリングがあるので、そこにフィルム両脇の溝を引っ掛けます。そうしたらリールの両脇の丸い所を持って上下にカクカク動かします。するとリールがフィルムを巻き込んでいってくれます。フィルムを全部巻き取ると最後の部分にパトローネの芯がくっついているのでそれをはさみで切ります。上手く巻き込むと左下の図のようになります。

 この作業を真っ暗なところでするのは結構難しいです。自信がないときは、もったいないですが一本使ってないフィルムを用意して、明るいところで練習することをオススメします。

 

フィルムをリールに巻き終ったら、今度はリールを現像タンクの芯にしっかりと一番下まで差し込みます。リールの上下はどちらでもかまいませんが、タンクの芯の上下は間違えないようにしてください。

 2つ以上一回で現像できるタンクの場合は1つ目のリールの上に同じ要領でしっかりとタンクの芯に差し込んでください。

 ちなみに、2つ現像できるタンクの場合、フィルム1本でも2本でも使う液体の量は同じなので1本で現像するよりも2本一回で現像することをオススメします。

 

最後に現像タンク本体に、リールを差し込んだ芯を入れてしっかりフタをします。このフタは横に少し回すとカチッと何かはまった感じになるのでそしたらOKです。

 電気をつける前に、もう一度現像タンクのフタがしっかりしまっているかを確認して、大丈夫だったらこれでタンクに入れる作業は終了です。

 何度もしつこいようですが、ここまでの作業は必ず完全暗室で行ってください。また、定着作業が終わる前に現像タンクのフタを開けないでください。撮ったフィルムが駄目になってしまいます。

 ここからは、明るい部屋で作業できます。

 

後半・現像→停止→定着→水洗→乾燥

使う道具(後半)

上段左から

 ・現像液(粉は手前のような袋に入って売られている。写真ははフジのミクロファイン)

 ・酢酸(定着液の元、薄めて使う)

 ・定着液(特に定着液は再利用が可能なので大きめのタンクを用意しておくと便利)

下段左から

 ・現像タンク(前半の作業で中にリールを入れたもの)

 ・現像タンクのかき混ぜ棒(これで現像タンクの中の液体をかき混ぜる)

 ・目盛りつきビーカー

その他

 ・フィルムクリップ

 ・フィルムを入れるビニールケース

 

 すぐ下の図のようにかき混ぜる棒を現像タンクに差すします。上手く入れると中でかみ合うようになっていて、ちゃんとかみ合っていればかき混ぜる棒の先っぽを赤い矢印のようにクイクイするとなかのリールが回る仕組みになっている。

 

現像液のこと 現像液による現像時間は液の温度が高くなるほど短くなります。つまり、現像液の温度が高ければ高いほど同じ種類の液を使っても速く現像が進むということです。大体の現像液の基本温度は管理人が使っているミクロファインで20℃±2〜4位で時間は6分半〜8分半位です。あんまり大きくこの温度から外れると現像が上手くいかないそうです。温度と時間の細かい関係は現像液の粉の袋の裏などに書いてあるので最初はそれどうりにやってみたほうがいいと思います。その後は段々自分好みの仕上がりになるように調整していってください。

現像 さて、最初に現像液をタンクの上の穴から入れます。そうしたら最初の1分間はかき混ぜ棒でかき混ぜます。そこからは55秒休んで5秒混ぜます(あわせて1分)。例えば現像時間を7分にしようと思ったら、最初の1分はかき混ぜっぱなし、あとは『55秒休んで5秒混ぜる』を6回繰り返すとあわせて7分ということです。

 終わったら現像タンクを傾けて現像液を全部出します。写真を見ると床にダイレクトに捨ててるみたいですが、ちゃんと空いてるビーカーか何かに出してください。

停止 現像液を出したらすぐに停止液を入れます。入れ方も捨て方も現像液と一緒です。時間は1分位で連続でかき混ぜてください。

定着 停止液をしっかり捨てたら、今度は定着液を入れてください。時間は7〜10分位です。大体でいいです。かき混ぜ方は現像液と同じペースで混ぜてください。他の液は使い捨てですが、定着液は使いまわしが出来るので、専用のタンクに戻しましょう。

 

 定着液を全部出したら、今度は水洗です。現像タンクからリールを出して流水洗浄します。時間は人それぞれで短い人は10分から15分、長い人だと1時間位の人もいますが、管理人は真ん中を取って30分位です。

 

 洗い終わったら今度は乾燥です。上の図の右上のようなクリップが暗室用品売り場に売っているので買っておきましょう。このクリップをフィルムの両端につけてから上の図左のように干します。乾燥したら上の図右下のようなビニールケースにフィルムを6枚ずつに切って入れると出来上がりです。

 


 

白黒フィルムのプリント編

 白黒現像でネガを作ったら、今度はそれを写真にする作業です。 こっちの作業は現像と打って変わって暗室にこもりっきりです。時間が経つのを忘れてしまうことが多々あるので気をつけましょう。それからなぜか異様に体力を消耗したりします。

 

作業の概要(詳しいことはあとで書きます。) 

 ここでの作業はほとんど暗室での作業です。が、フィルム現像とは違って、セーフライトという赤いライトならつけられるので真っ暗というほどではありません。ネガを引伸ばし機にセットして印画紙に光を焼き付けます。この状態だと印画紙はまだ真っ白です。この光を当てた印画紙を、印画紙用の現像液につけると写真が出てきます。そうしたら、丁度良いところで(実際には暗くてよく分からないので時間を計ってやります)停止液につけて現像を停止させ、定着液につけて定着させます。後は水で洗って乾かせば写真の出来上がりです。

 

必要な道具

引伸ばし機や引伸ばしタイマーは、それぞれのものによって使い方が違います。ただ、どれもそんなに難しいものではないので、明るい部屋でよくいじって使い方をマスターしておきましょう。

ネガ

引伸ばし機+引伸ばしレンズ・・・・・これで、写真を引伸ばします。レンズが無いと使えません。

印画紙・・・・・下の「印画紙について」参照        

セーフライト・・・・・暗室ではこのライトの下で作業します。

イーゼル・・・・・構図を決めたりするのに使います。

引伸ばしタイマー・・・・・自分で計らなくても、このタイマーをセットしておけば、セットした時間で勝手に引伸ばし機の光が消えてくれます。

ピントルーペ・・・・・ピントを合わせるときに便利らしいんですが、管理人は使い方が良く分からないので使ってません。

パット(3枚以上)・・・・・それぞれ現像・停止・定着液を入れておきます。

ピンセット(3つ以上)・・・・・それぞれ現像・停止・定着液専用に。

液類(現像液・停止液・定着液)・・・・・・現像液は印画紙専用のものがあるのでそれを使ってください(コレクトールEなど)。定着液と停止液はフィルム現像と同じ物でかまいません。ただし、フィルム現像で使った定着液を印画紙現像に使いまわさないで下さい(フィルム現像のときにフィルムから印画紙現像に悪影響の出る物質が出るそうです)。

 

印画紙について

 白黒印画紙には主に『単階調紙』『多階調紙』というのがあります。

 単階調紙にはさらに2号、3号、4号という種類(お店ではあまり見かけないが1号や5号なんかもあるらしい)があり、同じ露光時間でも号数が小さくなるほどコントラストが小さくなり、号数が大きくなるとコントラストが強くなります。コントラストが低いネガには4号とかを使ってやるとちょっとはコントラストが出ます。また、逆もしかり。絵作りにも使えます。

 多階調紙には号数というものがありません。代わりに専用のフィルター(結構高い)をレンズの下につけます。セットのフィルターを買うと、全部で12枚ほど入ってます。それに1/2きざみで号数が書いてあって、その数字がそれぞれ印画紙の号数に対応してます。

 その他、印画紙にはRCペーパーやバライタ紙など色々な種類があるので、色々使って自分に合うものを探してください。

 

作業開始

 まずは準備です。暗室は電気が取れて暗いところならどこでもいいです(管理人は風呂場でやっています)。引伸ばし機など必要な機材をセットしたら、パットを3枚並べて端から順に現像・停止・定着液を印画紙を入れたときしっかりと浸かる位の量を入れてください。

 

 準備が出来たら最初に上の写真のような『べた焼き』というものを作りましょう。これはフィルムサイズでいっぺんに写真を作ってしまうというものです。ネガの状態と実際の写真では結構印象が違うので、これで確認するといいでしょう。

 作り方は、まずイーゼルに印画紙を置きその上にネガを並べます。引伸ばしレンズの絞りを8位に絞って引伸ばしタイマーを5から10秒にセットしてスタートボタンを押します。そうすると引伸ばし機がセットした時間だけ露光してくれます。

 そうしたら、露光した印画紙を下の写真のように現像液に大体1分半位つけて、次に停止液に30秒から1分つけて、停止させ定着液に10分ほどつけておきます。 そうしたら水洗いして乾燥させたら出来上がりです。

注1)下の写真のようにずっと同じところをもって現像液につけるとそこだけ現像されません。うまく混ぜてください。 

注2)使ってない印画紙をしまう前に電気をつけてしまうと、印画紙が露光して使い物にならなくなってしまいます。必ず電気をつける前に印画紙をしまう癖をつけましょう。

 管理人はこのべた焼きに、焼きたい写真だけ赤いマジックで丸をつけたり大体何号ぐらいで焼こうかなどの作戦や、焼いてみて成功したときの号数や露光時間などのデータを書着込んだりしてます。後々結構便利なのでお試しください。

 

 べた焼きで焼きたい写真を決めたら、今度は本焼きです。焼きたいネガを上の写真のように引伸ばし機にセットします。 そうしたらイーゼルを印画紙のサイズにあわせます。印画紙をセットする前に一度イーゼルに露光してピントをよく合わせます。 あとは、べた焼きと同じ要領で露光時間をセットして印画紙をセットして露光、現像、停止、定着、水洗、乾燥をしてください。これで出来上がりです。

 

それから、同じ構図で同じ明るさの写真なら、大きな写真ほど長い露光が必要になります。

 

あとは、その写真ごとに印画紙の号数を変えたり、露光時間を変えたり(長くなれば暗い、短くなれば明るい写真になる)絞りをかえたり(数字が小さくなれば暗く、大きくなれば明るくなる)して、自分好みの写真を作ってください。