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『rakuen』
この作品をあなたに捧げます。


【楽園はどこにあるのか】
 海の本質がゆきてはかえす。
 物質の紋章という名の砂がさざめく。
 ここはあなたと過ごした大地。
 えんえんと続く白い砂浜。
 どこまでも続く水平線。
 ぼやけた雲が空をたゆたう。
 ここはあいつと歩いた道。
 砂の感触が心地いい。
 砂浜はあの日と、あの時と変わりない。
 あいつは夢ばかり語っているような奴だった。
 あなたはいつも自由を求めていた。
 愛があれば人類は救えると信じていたあなた。
 あなたの本質があればなんでもできると思った。
 それはいまも変わらない。
 あなたがいたからできたこと。できなかったこと。
「二人がいる場所が楽園なんだ」
 かわいた言葉でそう言って笑ったあいつ。
 あなたとあった本質。
 二人であった本質。
 だからいいと思った未来。
 なにもかもが結晶した未来。
「狂気を失った狂気は理性ではない」
「あなたがすべての答えだというの」
「現実と戦ってるつもりが、いつのまにかそれが人になっている」
「あたしに愛を語ってはくれないの」
 あいつが占めていたあたしの本質。
 あたしは自由になる。
 あたしは心が自由になる場所が楽園だと思う。
 だからあたしは自由になる。
 自分の本質を目指して歩いていく。
 あたしは自分の人生を行く。
 あたしは自分の道を行く。
 あたしは指輪を自然たちが巻いた貝に入れると海に投げる。
 海の中に消えていくあたしの未来の結晶。
 一人で歩ける本質をあたしは感じていく。
 あなたの本質は忘れたりしない。
 ただあたしは自分の本質で歩いていくだけ。
 あたしはまだ読んでいない、あいつの書いた新作の本を砂の上に置く。
 波が本をなでる。
 波の感触はあなたを思い出す。
 思い出は本質の双眸(そうぼう)。
 あなたの思い。
 過ぎていく日常。
 あたしはそうして砂浜を後にした。
 だからまた時間は続いていく。
 いまもあなたを感じる。
 あなたと過ごした楽園を。
 でも、あたしはあたしの中の心の声にまた歩き出す。
 昨日には戻れない。
 だからまたあたしは歩き出すのだった。から、さ。
                      そして約束の地へ




【あたしそしてぼく】
 帰り道は忘れてしまった。
「あたしはあなたより本質している」
「ぼくはきみよりも本質している」
 愛に迷った日。
 時間だけが心を迷わす。
 本質はどんなことにも対応するオールマイティー。
 あなたの本質はどんなことでも助けてくれる。
 あたしの本質はあなたのことを助ける。
 時計のうさぎは本質の時間。
「きみの心を離さない」
「あなたの心を離さない」
 時は戻らない。
 だから二人の時を楽しもう。
 いくたび愛しあっただろう。
 いくたび本質を感じただろう。
 ひとつであったならば、ひとつの存在であったなら、結婚できたら恋人であったなら。
 あたしは駆け寄って言うのだ。
「友達になってくれませんか?」
 答えは木の葉のように。
「あなたの本質に心のすべてを愛されたい」
「きみの本質を永遠に愛に響かせるよ」
 あなたのままにあたしは迷う。
 あなたのままにあたしは愛される。
 ねえ、ここはどこなの。
 あなたはどこ。
 はやくあたしを約束の地に連れて行って。
「きみがいたからぼくは本質を感じられる」
「あなたがいたからあたしは本質を感じられる」
 あなたの本質が必要。
 あたしをその本質を感じていて。
 あたしの存在理由をあなたの本質に話し続ける。
 二人の本質は季節を越える。
「きみの本質を感じていたい」
「あなたの本質を感じていたい」
 愛はどこまでも続くようで。
 終わることなど微塵も考えない愛の日々。
 砕けた思い出。
「きみの本質を絞り出す」
「あなたの本質を紡ぎ出す」
 本質よ落雷と駆け抜けろ。
 あなたの本質が未来だというの。
 この苦しみはなんの本質。
「きみがシンデレラだと誰が証明するんだい」
「あなたの本質のままに」
 雪が見たい。あなたの本質の雪が。
 あなたを支配したい。
 あなたを自由にしたい。
 あなたのままに生きていて。
 本質に愛され続けている。あらがうことはできない。
 ただおどおどついていくだけ。
 あなたはなにでも可能で。
 あたしは転んだままなの。
 あたしの本質は転がり続けている。
 あなたと一緒の約束の地にたどり着いて歩きたい。
 あなたの本質に鳴動しているあたしの心の季節。 「きみの心を愛してる」
「愛ならなにもかも越えて生きれるというの」
 あなたの本質が色彩を放つ。
 戦いなどいらない。
 ただあなたと愛しあっていたいだけ。
 愛は現実を越えるなら、あたしを愛してみてほしい。
 いつかあなたと波間の砂浜であなたと歩いていく。
 あなたがいればいいとそう思う。
 あなたの世界が色彩を放つ。
 あたしはあなたの意味に愛をとらえる。
 いつか愛があった場所。
 いつかあなたと歩いた日々。
 なにが世界を変えていくというの。
 ただあなたの愛に抱かれている。
 あなたの心は自然にあふれている。
 それでいいとあたしは笑った。
 なにが本質だというのだろう。
 なにが現実だというのだろう。
 なにが世界を決めるというのだろう。
 それでもただ歩いていた。
 世界がなにを決定するか知らない。
 あたしはただ愛を感じて歩いていた。から。
 世界が変わるなど誰が解るだろう。
 生きる力がほしい。
 世界が変わるならなぜいま変わらないのだろう。
 あたしはそれでも歩いていた。
 あなたは伝説。
 あなたの勇気。
 あなたの本気。
 あたしはそれでも歩いていた。
 あなたの真実に鳴動する。
 あなたの現実に疲弊する。
 あたしは現実など知らない。
 ただ愛を紡いでいたから。
 あなたの戦いなど知らない。
 あなたの本質に包まれて眠る。
 誓いは翼となって本質へ飛ぶ。
 風は誓いを越えていく。
 約束の地へ誓いをたてる。
 あなたの感情に迷い。
 あなたの本質目指して歩いていく。
 ただあなたの本質を目指していた。
 ただあなたの本質を抱く。
 あなたへの誓いは本質。
 誰だって生きているんだから。
 あたしとあなたの世界は花に満ちている。
 あなたの本質が欲しい。
 あなたの愛が欲しい。
 あなたの本質のままに空転する心。
 あなたがいたからあたしは愛を語るよ。
 愛さすらうさだめとも。
 愛はすすけた哀色。
「きみの感触が一番いいよ」
「あなたの愛にあたしの本質は寄り添っている」
「きみの感触にぼくは愛を紡ぎ出す」
「あなたの本質にあたしはあなたを感じる」
「ぼくの本質と踊ろう」
「あたしの愛と歌おう」
「楽園はきみの中にあるよ」
「あたしはあなたの心を癒す本質の楽園」
 あたしの願いであなたを幸福にする。から。
 あたしの本質をあなたに結ぶ。
 どんな時も自分を見失わないで。
                 約束の地へ







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