藤村佳緒里 こんにちわ、初めまして。
「初めまして。今日転校して来たふじむらかおりです。
さっきみんなのあいさつを聞いてなかったんですか？
寝てたんですか？
今日はいい天気だから仕方ないね。
こんな日は日なたぼっこすると気持ちいいんですよねえ。
学校を案内してくれるんですか？
この学校は五階建てなんですね。
前の学校は三階までしかなかったから。
人が暖かいと建物も暖かいですね。 あ、もちろんあなたも暖かい人だと思います。
でも、以外と新しい校舎ですね。
へえ、建築されてから三年なんですか。
この学校はセーラー服なんですね。
リボンなんか着いていて、ずいぶんおしゃれですね。
有名な人がデザインしたんですか。
納得します。
これだったら他校の友達にも自慢できますもの。
腰まである髪なんて珍しいでしょう。
でも茶色い髪もこの制服になら似合いそうです。
瞳も茶色ですから、制服とも合いそうです。
髪に付けた赤いリボンはどうですか。
似合ってます。
そうですか。
どうも。
あ、廊下が緑色なんて変わってますね。
壁は白いのに。
まるで世界は迷宮に閉じこめられたようにさえ思えます。
あ、変なこと言いましたか？
ここが学食ですか。
広いなあ。
前の学校には食堂なんてなかったから。
なんか物珍しいんです。
カレーやラーメンがメニューにあるんですね。
ラーメンはしょうゆとみそがありますね。
ここではみそがおいしいんですか？
それじゃあ今度頼んでみます。
一人で食べるのは恥ずかしいな。
一緒に食べてくれますか。
お願いします。
これは花壇ですね。
ずいぶんバラがあるんですね。
へえ、これも授業の一環なんですか。
白いバラなんて初めて見た。
すごいですねえ。
あ、音楽が聞こえる。
へえ、バラックスってグループの一人がここの卒業生なんですか。
音楽の先生がそんな授業を？
変わってますね。
え？
屋上ですか？
いいですけど。
前の学校では屋上にはあがれなかったので、初めてです。
わあ、景色がきれいですねえ。
ここからは海が見えるんですね。
きれいだなあ。
うわあ鳥が飛んでる。
こんなに近くを。
山も見えて、いいところですね。
波の揺り返しと木々のざわめき。
まるで風景が踊り出したかのよう。
海の青に山の木々の緑にビルの色彩が混ざって、まるでスケッチブックを見ているようです。
こんなところがあるなんて。
感動しました。
最初は転校だなんてどうなるかと思ったんですけど、あなたみたいな人がいて助かりました。
まだ不慣れなもので、話しかけてくれた時はうれしかったです。
転校初日からこんなに笑えるなんて、あなたのおかげです。
ありがとう。
こんな場所まで教えてくれて。
これからもよろしくお願いします。
え、街も案内してくれるんですか。
じゃあ好意に甘えてしまいます。
ふつつか者ですけれど、よろしくお願いします。
なんかセリフが違いますね。
これからも助けてくださいね。
あ、あたしにできることがあったら言ってくださいね。
がんばっちゃいますから。
それじゃ、帰りませんか。
かばんは、ここは自由なんですね。
あ、帰る道がおんなじだ。
いつも一緒に帰っていいですか。
あ、それでもあそこの角までですね。
今日は助かりました。
感謝のしるしに握手してください。
わあ、手が温かい。
手を暖めてくれるんですか。
すいません。
ちょっと手をにぎっててください。
あなたに祝福がありますように。
風に願い、時に願い、鐘の音に願う。
……さあ、いいですよ。
もうだいじょうぶです。
それじゃ、また明日。
また学校で」
織刻（しょくこく）トップページ 言葉工房トップページ その他のページ