erem35
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ダークエレメンタラー 神々の剣
グラウディアソード
第二話 ダミエールと歌と希望
「いよいよお別れだな」
ダリルはエルフィールにそう言う。
朝日の下、二人の後方ではジョルディーとダミエールが剣を合わせている。
「はい」
「元気でな」
「はい」
後ろで戦うジョルディーとダミエール。
「またな」
「はい」
「それじゃあエルフィール」
「はい」
「まだ、もう少し歩こうか」
「はい」
エルフィールとダリルは歩き出す。
ハイベルとミラルとジョルディーとダミエールが続いた。
途中の川で水を汲んでいるエルフィールとジョルディー。
葉が網の目状に緑に輝く景色。
川は人ひとりでいっぱいになる小さなものだ。
いつになく水の流れとたわむれるエルフィール。
ジョルディーは川に入る。
エルフィールの顔をジョルディーの手がとらえる。
エルフィールは泣いていた。
ジョルディーがエルフィールの涙をぬぐう。
「バカでいい」ジョルディーはそう言う。
「なんだと」とエルフィール。
「だめでいい」
「あのな」
「普通のエルフィールが一番なんだ」
「あっ、そう」
エルフィールは真っ赤だ。
「お二人さんあついねえ」
ダミエールがいた。
剣を抜いていた。
「私も混ぜてくれよ」
顔は笑っているが、目の奥の本質が笑っていない。
「私ならエルフィールがどんなにか人でなしでも愛するだろうに」
「ジョルディーはそこまで言っていないぞ。そこまで言うのは失礼だろう」
エルフィールの言葉に「なるほど」とダミエール。
ダミエールの剣撃が踊る。
ジョルディーは受け止めた。
「エルフィールは私にこそふさわしい女。消えるジョルディー!」
「それは御免こうむる」ジョルディーがそう返す。
二度三度、剣の火花が舞う。
二人の技量はたいしたもので、まるで演舞でも見ているかのようだ。
ダミエールは太陽を逆光にして剣を出す。
ジョルディーは光にダミエールを見失う。
ジョルディーも剣を出す。
砂風に目を閉じるダミエール。
両者とも目が見えないまま、その剣はお互いの急所を狙う。
ギギン!
エルフィールがジョルディーとダミエールの剣を弾いた。
ダミエールはエルフィールの手を取る。赤い光の剣が放射される。
ダミエールは赤い剣でジョルディーを狙う。
エルフィールはジョルディーとも手をつなぐ。
白光の放射剣が赤い剣を受け止める。
エルフィールを中心に剣撃が舞う。
エルフィールの膝蹴りがダミエールに決まる。
よろけたダミエールを白光が捉えた。
ザキン!
男が歩く。名前はダミエール。詩人である。街と街を、村から村を歩いて歌を歌うのがダミエールの仕事であり、生きる糧である。ダミエールは歩く。それは町に続く平原でのこと。町はまだ見えない。女がいた。しゃがんでいる。全身を蒼黒い布で覆い、振るえていた。
「どうかしたのか」
女は答えない。
女は縮こまっていた。
ダミエールは女の横を通り過ぎようとする。
女は倒れた。
どうやら意識を失っているようだ。
ダミエールは一息吐くと、女を背負って歩き出した。
町の宿まで来る頃には女は起きていた。
「腹がすいた」
女の第一声はそんな言葉だった。
ダミエールは宿で食事を女ととる。
女は黙々と食事をする。
「おまえさん名前は?」
「カリフラウア」
ダミエールは町を後にしてまた歌の旅に出る。
カリフラウアはダミエールについてきた。
カリフラウアは踊りが上手で、ダミエールの歌に踊った。
それはずいぶん好評で、いつしか二人は仕事の人生のパートナーとなっていた。
それは街に続く道でのこと。
竜がいた。
灼熱の炎を竜は吐く。
これまでだとダミエールは悟る。
なんとなくカリフラウの手を取る。
光が生まれた。
二人の手に赤い剣が放出される。
赤い光の放出剣はドラゴンを斬る。
ザギン!
竜は怒りを静め、去っていった。
光の放出力にカリフラウのフードがとける。
カリフラウの耳がとがっている。
「あたしはダークエルフなの」
「そうか。そういうこともあるよな」
ダミエールはなに変わることもなくカリフラウを扱った。
そんなダミエールにカリフラウは心を開き、二人は親しい関係になっていった。
「結婚しょう」
ダミエールの言葉にカリフラウはうなずく。
二人だけの結婚式を遺跡でおこなった。
光の剣が出現する。
それは二人の指輪となった。
神が二人を祝福した。
それからも数々の冒険をこなした二人だった。
ありとあらゆる苦難を乗り越えた。
ある日、カリフラウは風邪(カゼ)で弱っていた。
そんな時に限ってサーベルタイガー数匹に囲まれた。
二人の手があわさる。
赤い光の剣でサーベルタイガーの殺気を斬って斬って斬った。
散っていくサーベルタイガー。
二人は安堵した。
剣のバランスが崩れた。
弱っていたカリフラウには剣を維持できなかった。
剣の空間に消えてしまうカリフラウ。
後にはダミエールだけが残された。
失望の日々。
だが、ダミエールは立ち上がり、カリフラウを探して歩いた。
どこまでも歩いた。
必要とあらば神殿にも死の国々にさえ行った。
それは無謀な旅だった。
それで得た結論は彼女は戻らないということであった。
ダミエールは泣き崩れた。
日々悲痛の日を意味も無く過ごした。
歌が聞こえた。
希望の歌が。
それはカリフラウの歌のようにダミエールは思えた。
歌の先にいたのはエルフィールだった。
エルフィールこそがカリフラウの生まれ変わりにさえダミエールは思えた。
エルフィールに必要なのは自分ではないか。
ダミエールは確信した。
彼の旅は終わり、そしてまた始まった。
ジョルディーとエルフィールは無言でそれらのダミエールの日々を感じていた。
「だからだよ」
ダミエールは笑う。
「エルフィール。きみに必要な男は私に違いない。そうに違いないんだ」
ダミエールの声はいつになくおとなしかった。
翌日、ダリルはみんなの前で言う。
「それで、エルフィールたちはどうやって死の国々から元の世界に帰るのかな」
その問いには誰も答えられなかった。
「仕方ない。私は帰る道を見つけるまで一緒に旅を続けよう」
ダリルを再び加え、旅は始まった。
それはエルフィールには少しうれしいことだった。
ダリルとまだ一緒にいられるのだから。
道は続く。それは平原の奥の奥まで続いていた。
第三話 冥界の王
男が一行の前に立っている。
「私は冥界の王の使いです。御一行に来て欲しいと冥界の王がおっしゃっています」
「冥界の王?」
エルフィールがダリルに聞く。
「そう。死の国々には王が三千六百人いる。その王たちの代表が冥界の王と呼ばれる。冥界の王に成ればその力は冥界の神に等しい力を得られるという。いわば冥界の秩序そのものだ」
「どうします?」
ハイベルが聞く。
「とりあえず話しを聞いてみるのはどうかしら。それからでもいいのでは」
ミラルの意見にエルフィールが同意する。
「エルフィールがいいのなら」
と、ダリルとジョルディーとダミエールは納得する。
一行は冥界の王の城まで行く。
石の積み上がった城は壮大な建築芸術の粋を集めたものであった。
「これはすごい城だ」
ハイベルがうなる。
「ずいぶん力の入った城ね。旅をしていてこれだけのものはそうそうないわね。いいものだよ、これ」
ミラルはそう言う。
門をくぐる一行。
石の階段を上り、部屋を通り、赤い絨毯が敷かれた広い空間に出た。
絨毯の先に大きなイスがあり、そこに黒い夏服の男が座っている。
「よくぞまいったな」
男は冥界の王だった。
「知識の神からおまえたちの話しは聞いていた」
「光栄です」
ハイベルがそう言う。
冥界の王が口を開く。
「用件は冥界の王を探して欲しいのだ」
「冥界の王はあなたではないですか」
ダリルがそう言う。
「それは正しい。その通りだ。だがな、冥界の女神が旅に出ているあいだ、冥界の住人、死人がその冥界の王の座をまかされたのだ。だが、冥界の王は百年周期で変わるように冥界の女神は裁定していったのだ。私はもう百年になる。新しい冥界の王が必要だ。そこで話しはきみたちに冥界の王たる者を探して来て欲しいのだ。どうだろう、頼まれてくれないか」
「いいですよ」
ジョルディーはそう言う。
「おい、安請け合いするな」
エルフィールがジョルディーをこづく。
「私もジョルディーに賛成だ」
ダリルがそう言う。
「ダリル様?」
エルフィールがびっくりしてダリルを見る。
「なに、人界に戻るまでのあいだのことさ」とダリル。
「おもしろいわね」ミラルも賛同する。
「まあ、ある意味ヒマですし」
ハイベルもやる気満々だ。
ダミエールは沈黙している。
エルフィールのいる場所に着いて行くダミエール。
それがダミエールの方針であるのは、誰もが理解していた。
「エルフィールはどうだ」
ダリルの言葉にエルフィールはどきりとする。
「え、えーと別に断る理由はありませんが」
「なら決まりだな」
冥界の王が口を開く。
「デアースの村にアルスタットという男がいるそうだ。その男は生前勇者で、たいそうな人物だそうだ。まずはその男と会ってみてくれ」
王から地図をもらうジョルディー。
城で一日を過ごした一行は、翌日デアース村に旅立つ。
平原の道を歩く一行。
ぽかぽかと、陽射しが心地良い。
「いっそここでバカンスでも楽しみたいくらだ」
ハイベルはそう言って陽射しを眺めた。
「そうね。それもいいわね」
ミラルも賛同する。
「不謹慎だ」
エルフィールは怒っている。
ジョルディーがとりなす。
村が見えて来る。
村には泥で出来た四角い家々がある。
井戸で水を汲んでいる男にダリルが聞く。
「この辺りにアルスタットという男はいないかな」
「ああ、それならおれだ」
振り返った男は筋肉隆々、短い黒髪に端正な顔、黒い瞳。かなりの男前だ。
「冥界の王の勅命でな、話しがある」とダリル。
ダリルを見たアルスタット顔色が変わる。
「魔王ダリル……か」
「それは昔の話し、いまはしがないただのおやじさ」
「その所業許されるはずもない」
アルスタットは剣を抜く。
必殺の一撃がダリルを斬る。
ダリルは間一髪かわす。
「待て、話しを聞け!」
ハイベルが止めに入る。
ザギギン!
アルスタットの剣撃をダリルは剣で受け止める。
すさまじい剣撃の前にハイベルもどうしたものかと立ち止まる。
「しょうがないな」
エルフィールはため息をひとつつく。
エルフィールはジョルディーに手を出す。
ジョルディーも手を出す。
光が生まれた。
光の剣が。
ジョルディーとエルフィールはアルスタットの前に出る。
「きさまも仲間か!」
アルスタットの剣が迫る。
ミラルがアルスタットの足をはらう。
バランスを崩したアルスタットを光は斬る。
ザキン!
アルスタットの心にダリルのここまでの旅が描かれる。
それは困難で地道で、いい旅であった。
そしてエルフィールたちとの旅。
その旅には一点の曇りもない。
そして冥界の王の願いも理解した。
アルスタットは剣を収める。
「おもしろい。それがほんとうならば、な」
「ほんとうだ」
エルフィールはそう言う。
「どちらでもいい。とりあえず私は王にはならない。そう伝えてくれ。私はここで畑を耕しているのが性にあっているんだ」
「解った」とダリル。
「そうだ、人界に戻る道を知らないか」
「知らないな」
「そうか、ありがとう」
一行はアルスタットに背を向ける。
「魔王よ」
アルスタットが言う。
ダリルが立ち止まる。
「おまえの過去には力は貸さない。おまえの未来にならば、力を貸そう」
そう言うと、アルスタットは水のおけを担いで歩き去る。
ミラルがまじまじとダリルの顔を見る。
「なにかなミラル殿」
「いえね、あなたは変わったなと思いまして」
「ダリル様は昔からこうだ」
エルフィールはそう言う。
「そうね」
ミラルはそう言って笑った。
一行は冥界の王の城に向かった。
第四話 現代劇 エルフィールたちの日常的生活の場合
「それでエルフィール」
「だからジョルディー言ってるだろう。株で十万損をしたんだ」
「あの銘柄はやめとけって言ったじゃないですか」とハイベル。
「戦いに後退はない」
エルフィールはそう言ってはばからない。
「ダリル社長、なんか言ってやってください!」
「うん。心配するな」とダリル。
「ダリル様!」
エルフィールの顔が明るくなる。
「心配するな。エルフィールの給料から天引きだ」
「そんな〜」
高層ビルの中。
事務机が並ぶそこはまぎれもなく現代の会社である。
スーツ姿のエルフィールたちがいる。
「それじゃ行くぞジョルディー」
「どこへだ」エルフィールに聞く。
「メシに決まってるだろう」
「ラーメンがいいな」
「おまえはラーメンばっかりだな。たまには別のものを食べないのか」
「ラーメンはもっとも愛が感じられる食べ物だよ」
したり、とジョルディーが言う。
エルフィールはジョルディーの前に近づく。
「中華にまでなら妥協しょう」
「ありがとう」
空を鳩が飛んでいる。
晴れた陽(ひ)ざし。
ジョルディーとエルフィールは陽の下を歩いている。
トゥルルルル
エルフィールの携帯が鳴る。
「もしもし。ああ、ミラル。え、仕事? うん、わかった。それじゃ」
「どうした」
「仕事だ」とエルフィールは言うと空を見た。
下町の裏路地を人影が飛ぶ。
跳躍している白のワイシャツに青のジーパンの二十代くらいの男がいる。
その男は人間の力をはるかに超えた跳躍で目にもとまらぬ動きで移動する。
その後をエルフィールが同じ跳躍で追う。
男は高層ビルの壁を走る。
下から壁を走って追いついてくるエルフィール。
そしてビルの上からはジョルディーが来る。
ザキン!
二人の光の剣が男の闇を斬る。
男の影が吹っ飛ぶ。
エルフィールは意識のなくなった男を抱えるとビルの壁をける。
となりのビルの屋上に降りるエルフィール。
ジョルディーもくる。
「仕事は終わった」
エルフィールが一息つく。
「遅い昼食にするか」とジョルディー。
「中華で、な」と返すエルフィール。
「普遍で闇を斬るのが趣味なのか」
誰かが言った。
ふと、エルフィールとジョルディーは立ち止まる。
また歩き出す二人。
風はいつものように吹いていた。
「本質がなびいている」
「なにがだ」
闇が闇に問う。
「本質の衝動が人を決定する」
「くだらん。人がなにをしょうと我らは、我々は自分たちの行動に意味を求めるのみ。おまえなどになにを本質しょうというのか」
「戦いだ。戦いを挑む者がいる。あの者たちと戦いたいのだ」
「それは私の気持ちでもあるということでいいのだな」
「我々は不可分の意思と月の守護者。変わる量と質など持つはずもない」
「いいだろう」
闇と闇は光を求めた。たとえそれが月の意志と太陽の影にすら叶うなどとも。
「どこ行くんだエルフィール」とジョルディーは聞く。
「なに、コンビニでガムでも買うだけだ」とエルフィール。
「波紋している」ジョルディーは動きを止める。
「なにがだ」エルフィールは辺りを見る。なにも変わりない街並み。
「エルフィール。きみの身が、その本質が線となって波紋している」
「人目は……ないな。まあなに、いつものことだ」
「そうか。ならいいさ」
「仕事よ」
ミラルが、レディススーツ姿のミラルがいた。
「どこだ」とエルフィール。
「港にいるって。闇の申し出よ」
「さて、それじゃ散歩がてらいくか」
「めしが……」
ジョルディーは涙目だ。
「なにか手当はつくか」
エルフィールはミラルに聞く。
「昼飯くらいなら」とミラル。
「いいだろう」ジョルディーは歩き出す。
「なにかイヤな気がする」
ぽそっとエルフィールは言った。
かもめもいない海。
波はおだやかで風も気持ちをうるおしてくれるくらいのものだ。
晴天だが、なにか雰囲気が静かだ。
人はいても人に影がない。
存在が感じられないのだった。
エルフィールとジョルディーは港に併設された公園を歩く。
「よくいらっしゃった」
スーツ姿の中年紳士が二人歩いて来る。
「創造の天使と地獄の番犬がなにをしている」
エルフィールはそう言う。
「破壊したいだろう」
「古き秩序を」
男は二人でそういう。
「それは闇の論理。闇なら闇らしく戦いと結果をなせ」とエルフィール。
「本気だな光のひとり」闇は笑う。
「そうだ、その戦いこそが我が秩序的周囲」「我が秩序的周囲」
男たちは、闇は満足そうである。
「戦いなんだな」闇は震えた。
「言葉などいらない」エルフィールはそういうと手を出す。
「それは違うと思うが」ジョルディーもそう言うと手を出す。
光が本質の一端を表す。
ジョルディーとエルフィールの手と手に光の剣が出現する。
「望むところだ」
闇と闇が黒い雷光となってエルフィールに迫る。
「つまらん」
ギギン!
黒い雷光が光の剣にはじかれる。
「なんだ? 残光か。斬れないぞ」
エルフィールが不満気だ。
「ただの闇じゃないな」とジョルディーはいぶかしる。
「ふん! ただの闇だ。その居場所に還せばいいだけのことだ」
エルフィールは悠然とそう言う。
「それは、そうか」ジョルディーは納得する。
闇と闇の濁流は海の水を巻き込みエルフィールたちに迫る。
「海で質量増加か」
エルフィールとジョルディーは光を螺旋させる。
両者の螺旋が二重螺旋たりえ、闇は完成する。
「質量保存の法則だ」
消えた。
闇は帰った。
「時間だ」
「めし時だな」
「そうか」ジョルディーはエルフィールの手をとる。
「どうぞお嬢様」
「なに、会社のおごりだ」
「それもそうか」
風が舞った。
景色が変わる。
それは見たこともない冒険の日々。
ジョルディーとエルフィールは知らない土地を歩いていた。
数々の戦い。
自然の世界での出来事。
「まあ、そんな人生もいいな」
エルフィールは笑う。
「そうだな」
ジョルディーも笑う。
闇の中で天使がいる。白い翼に腰まであるストレートの金髪。
闇の中で悪魔がいる。黒いこうもりの翼にしっぽ。黒い腰まであるパーマ。
「どうだこれは」
「うむ。いい戦いだった。我が歴史に残る戦いなりて」
「なんで我々には役割が決定されているのか」
「その生物たちが生きるためには必要な役割があるのだ。我々には我々の、その者たちにはその者たちの氏名とか、魂の宛名があるのだから」
「私は戦えればいい。この戦いこそが我が世界の苦しみと幸福」
「ならば私は天使であることに意味をうがとう」
「ならば私は悪魔であることに意味をうがとう」
「明日の創造を」
「昨日の破壊を」
「我が名はまだない」
「我が名は過去の残光」
「世界よ行く末よその道をいけ」
「世界よその末路よ輪が影をいけ」
「本質にうがたれた名を呼べ」
「本質にうがたれた名を呼べ」
「力よ我が手に」
「力よ我が手に」
天使は飛び立つ。
悪魔は影に沈む。
そして闇には静けさだけが残っていた。
「おっ、金が振り込まれてるぞ」
エルフィールはうきうきとしている。
「ちゃんと貯金しないとだな」ジョルディーの声など聞かず、さっさと走り出すエルフィール。
「おい!」
「今度の銘柄こそだいじょうぶなんだって!」
二人は駆け出す。
戦いは続いていた。
そして未来も続いていた。
第五話 勇者と魔王と森の中
冥界の王から次の王候補の話しを聞いたエルフィールたちは、北方の町、ディグラウドに来ていた。
ここにいる王候補の勇者は生前、魔王を倒した生粋の勇者であるとのことだった。
「ここに勇者がいるって?」
エルフィールは町を歩く老人に聞く。
白髪のひげと髪の男は答える。
「ああ、エルディナウなら道によく立っているよ」
町の道を歩くエルフィール一行。
道の端の花を見ている青年がいる。
「おまえは勇者か」
エルフィールが聞く。
「彼には強い力を感じる。伊達に魔王を倒していないようだ」
ハイベルは断言する。
「おい、冥界の王になれ」
そう言うエルフィールは勇者エルディナウの腕をつかもうとする。
エルフィールの腕は空をきる。
エルフィールはエルディナウをつかもうとするが、つかめない。
エルディナウをよーく見るとその姿は透き通っている。
「冥界にも幽霊がいるのか?」
エルフィールの質問にハイベルが答える。
「冥界で死ぬことなど、特に幽霊など、そんなことはないはずですが」
「私も聞いたことはないな」ダリルも答える。
「興味深いわね」とミラル。
「どういうことだ」エルフィールの質問にエルディナウは笑っているだけなのだ。
意思表示も文字など、あらゆるものを試してみるがなにも通じないのだ。
やはりエルディナウは笑っているだけなのだ。
その笑顔を見ていると、意思が通じている気がしてくるのだから、不思議であった。
それから一行はエルディナウに着いているが、エルディナウはただただ町を歩いているだけで、なにか変わったことをするでもないのだった。
「さてどうしたものか」
エルフィールは辺りの仲間を見る。
みな考えているようで、誰もいい考えが浮かばないようだ。
エルディナウは動く様子もない。ただ鳥を見たり、川のせせらぎを楽しんでいるようだ。
「話しも出来ないのだ。こいつはいないも同じではないか。もう帰って報告すべきだ」
エルフィールは吐き捨てるようにそう言う。
「いや、万全をつくしてつくしすぎることはない」とダリル。
ダリルの手前、エルフィールは投げ出すわけにもいかないで突っ立っている。
エルディナウが歩き始める。
エルディナウについて行くエルフィールたち。
エルディナウは街はずれの森まで歩いていく。
巨木がビルのごとく乱立した森は、幻想的でさえある。
エルディナウは巨大石や樹の根など軽々と越えていく。
その速度に着いていくだけで精一杯のエルフィールたち。
と、エルディナウが止まる。
ズシンズシン
巨木の影からドラゴンが現れる。
赤いうろこに風になびく幾多の触手。太い四つ足が大地を踏みしめる。
荘厳が靴を履いて歩いて来たような。
妖精の花が咲いたような。
たった一体のドラゴンがいるだけで、幻想の世界が広がっていた。
「ブラスタードラゴン!?」
エルフィールが声をあげる。
「それもこれはかなりの老齢だ」
ダリルが太鼓判を押す。
「珍しいわねえ。ここまで立派なブラスタードラゴンがいるなんて」とミラル。
「神々でさえ、これは一目置くでしょう」とハイベル。
「なにをみんな落ち着いているんだ。ブラスタードラゴンといえば、その破壊力と気性の激しさは竜の中でもかなりのものだぞ」
エルフィールはそう言って構える。
ジョルディーが横にいた。
しかし、光はその本質を表さない。
光の剣は出現しなかった。
「様子が変だぞ」
ダリルの声に竜を見れば、竜はエルディナウになついているように、静かに寄り添っている。
まるで友達ででもあるかのように。
「人と仲がいいブラスタードラゴンなんて聞いたこともない」
エルフィールは心底驚いていた。
心が本質に響く。
音楽が森を彩る。
自然が本質の進化に共鳴現象する。
「これは歌っているのか。ドラゴンが」
今度はみんなが驚いた。
その澄み渡る響きは竜の無数の触手が奏でる旋律。
エルディナウはそれを目を閉じて聞いている。
「まるでエルディナウに聞かせるための歌のようだ」
ダミエールが感嘆する。
ダミエールの本質がうきうきとする。
「素晴らしい響き」
ミラルがうっとりとする。
ミラルの心は癒される。
「これは歌の女神にも匹敵する本質」
ハイベルはそう言うと耳を澄ませる。
「まあ、たいした勇者なのだろう」とエルフィールは納得している。
しばし、竜という森の女神が奏でる音楽に耳を澄ませるみんな。
幸福な一時(ひととき)は轟音にかき消される。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
「なんだ!?」
地響きが森を支配する。
「なにか出てくる?」
森の底から巨大な闇が出現する。
それはまさに闇そのもの。
あらゆる希望を砕く闇の鳴動。
砕かれたやさしさ。
偽りの装束をまとった闇が出現する。
「わわわわ我、我は闇の王」
闇そのものがそう響く。
空気が一気に汚濁していくような闇が音波波動する。
「これは……」
エルフィールは息を飲む。
「魔王!?」とミラル。
「そう言っているようだ」とダリル。
「これはエルディナウが封印したという魔王?」ハイベルは驚く。
「だだだだだとしたらどうするというのか」
闇は森をひとのみにするかのようにその巨大さで一同を圧倒する。
闇に鳴動したのは闇の正反対の光であった。
希望の光がまばやく。
エルフィールとジョルディーの間に光の剣が出現する。
エルディナウはひょいとエルフィールとジョルディーから光の剣を受け取る。
唖然とする一同を尻目に、エルディナウは光の剣で魔王に挑む。
ギガガガガガガガ!
闇との興亡。
闇との攻防。
闇と光が明滅する。
光と闇の演舞。
闇の本質は王を求める。
光の本質は希望を求める。
それはこの世ならざる本質の押収。
本質が闇する。本質が光する。
それはいまの現実の表出。
ギイン!
決着はついた。
エルディナウの希望に、その光の剣に、魔王はまたも地に封印されていく。
「またもやも……」
魔王は明滅しながら消えていく。
エルディナウは一息つくと、光の剣をエルフィールとジョルディーに返す。
エルフィールとジョルディーにエルディナウの思い出が明滅する。
それは時間の思い出歴史の断片。
「許さんぞ勇者よ」
闇が明滅する。
それは魔王の証明。
エルディナウは無名の青年であった。
戦いの果てに魔王を封印する。
それは太古のこと。
エルディナウが魔王を封印したのは五千年以上前のことだった。
「おまえに呪いを反映しょう。誰とも触れられず、誰とも意志の疎通が出来ない身でこの世界を永遠に彷徨(さまよ)うがいい。それがいいぞ勇者よ」
五千年前の魔王はそう言うとエルディナウに呪いをかける。
魔王の正体は古代の神々の末裔だった。
エルディナウは誰とも触れること叶わず、ただ長年生きるだけで、意識が崩壊しそうだった。
それを救ったのはエルフだった。
エルフは希望の種族であり、呪いの対象外だったのだ。
エルフの森で千年を生きたエルディナウ。
エルフの文化に癒される日々。
それは退屈でもあり、また楽しくもあった。
自然との邂逅。
日々が自然とのハーモニー。
言葉を発すれば自然と歌になった。
そんな日々は確かに幸福であった。
だが、エルディナウの心は思う。人々はどうしているか、それが気がかりであった。
エルディナウは決心すると、エルフの森の長(おさ)に別れを告げると、人の住む領域を目指して旅をした。
人がいた。
懐かしい人々の営みが変わらず繰り返されていた。
エルディナウは安心した。
人は愚かでも苦しくても日々生きていた。
人の本質はなにも変わっていなかった。
その人々と意思の疎通は出来なかったが、それでもその旅は楽しかった。
エルディナウは現実にあらがう人々が、懸命に生きる人々が、ちっぽけでも楽しく必死に生きる人々が、そんな人の一人である自分が好きだったのだ。
四千年のあいだ、あらゆる地で必死に生きる人々を見ていた。
そしていまエルディナウは旅の果て、冥府にいた。
エルディナウの世界。
その世界とは無音のようでいて何千年もの人々の思い出に彩られていた。
エルディナウは、幾多の戦いを眺めていた。
幾多の日常を眺めていた。
いつしかエルディナウは風のように自然に人の中にいた。
「なぜ魔王を倒さない! そうすれば呪いは解けるだろうに」
エルフィールは涙がこぼれる。
エルフィールはエルディナウの日々に涙していた。
そう言わずにはおれなかった。
エルフィールのやさしさに、その言葉にエルディナウはただ笑っているのだった。
エルディナウはまた歩き出す。
そんなエルディナウに誰もなにも言えないのだった。
エルディナウの周囲で光が明滅する。
幾多の精霊がエルディナウを彩っていた。
精霊もエルディナウが好きなのだった。
小鳥もエルディナウに寄ってくる。
エルディナウは楽しそうだ。
エルディナウの笑顔は実に満足そうであった。
エルディナウは歩き去ってしまう。
エルフィールたちは帰路につく。
誰もなにも言わなかった。
ジョルディーはエルフィールにずっと寄り添っていた。
エルフィールはずっとジョルディーの服をにぎりしめていた。
戦いに負けたわけではないとエルフィールは思う。
だが、言いようのない敗北感がエルフィールの心を包む。
ジョルディーがエルフィールの腕をやさしくつかむ。
これでいいんだ、と言っているようで、エルフィールは安心することができた。
一行は森を帰り道を歩く。
森は群青(ぐんじょう)の輪廻を巡る。
本質だけがすべてを群青していた。
それを森から見てとった者が一行には何人かいた。
その頃、勇者は森を抜けようとしていた。
ゆっくりしていけばいいと森は群青する。
それでも私は人と歩いていく。
そう答えたのはエルディナウであっただろうか。
森はいつもと変わりなく群青していた。
本質は森の中。
勇者は森から出ると人の住む街に向かった。
そこには勇者の五千年分の日常が待っているのだったから。
第六話 石の勇者
エルフィール一行の冥界の王を探す旅は続く。
夜の空に星が舞うようにまたたいた。
エルフィールの息は白く凍るようだ。
他の者も寒そうだ。
エルフィールは空を見上げる。
星は歌う。
闇は深く晴れ渡る月夜の星が巡る季節の時螺旋数珠(じゅず)会いうた。
歌はエルフィールの心に波紋する。
「もうすぐだ」
ジョルディーが立ち止まっているエルフィールの肩を叩く。
エルフィールはうなずくと、また歩き出す。
エルフィール一行は夜道を歩く。
エルフィール一行は目指す次の街の灯火が見えるところまで来ていた。
破壊をしてみよう。
「なにか言ったか?」
エルフィールは振り返る。
「街の人たちだな」ダリルが遠く街を仰ぐ。
街に近づくと人々が走り逃げていく。
「なにがあった」
エルフィールは一人の寝巻きの中年女に聞く。
「変な男が人々を次々石にしているんだよ」
「いやな予感がするな」
エルフィールの言葉は的を射る。
一行は街の騒動の中心に行く。
男が立っている。
黒い法衣を着た二十代くらいの青年だ。
燃えるような短い赤い髪が空にギザギザにのびている。
するどい目。
鹿のようなすらりとした足。
かなりの長身だ。
沈んだ空気。
その纏(まと)う静けさが、なにか違うと思わせる。
「たぶんそうね」とミラルはエルフィールに言う。
エルフィールは抜刀すると青年に聞く。
「おまえが勇者ディグスタンか」
エルフィールの問いに男は無言で魔法を放つ。
エルフィールの足元の地面の砂が吹き上がる。
目に砂が入りたじろぐエルフィール。
ディグスタンがさらに魔法を放つ。
ディグスタンはその本質を波紋させ魔法する。
本質が物質をはじいた。
ひるがえる螺旋。
魔法は本質を衝動させる。
魔法が本質と歌いだす。
対象物の肉体は物質の構造を本質に竜と歌い破滅という実体に甘受する幸福と月のうたかた。
魔法が発動する。
それはまばたきの時間。
魔法より一瞬早くジョルディーがエルフィールの前に立つ。
ピキイ
エルフィールを狙った魔法はジョルディーにヒットする。
男の魔法に石になっていくジョルディー。
「ジョルディー!」
エルフィールは砂をはらう涙目に叫んだ。
ダミエールがジョルディーにすがろうとするエルフィールを抱えて逃げ走る。
ハイベルが豪腕の先の長剣で地を砕くと、地面が次々と螺旋に砕け、砂がディグスタンの視界を舞う。
「ちょっと、なにすんの!」
ミラルが抗議する。
ダリルが束縛のマインドビームをディグスタンが立っていた場所に放つ。
吹き上がる砂に干渉されずに魔法光はディグスタンをとらえる。
パキイイイ
月が地に瞬く。
夜の光は月に帰る。
ディグスタンの前に月の残像が一瞬きらめいていた。
透明な小月は、ダリルの魔法光を吸収する。
防御魔方陣、月の本質がディグスタンを魔法光から守った。
ディグスタンはダリルと同時に防御魔法を唱えていた。
この状況から正確に相手の手を考えたディグスタンの読みは本質を得ていた。
−−ジョルディー。
ダミエールに抱えられながらエルフィールはジョルディーに手をのばす。
「ディ、ジョルディー!」
「なんだ?」
ダミエールが歩を止める。
大地が揺れていた。
大地が立ち上がった。
「これは……」
それは大地精霊のガイアギアであった。
土の巨人、大地精霊はエルフィールとダミエールを吹っ飛ばす。
エルフィールとダミエールの先にはジョルディーの石像があった。
ダミエールとエルフィールのあいだに光が出現する。
ギイン!
エルフィールとダミエールは落下の威力でジョルディーを斬る。
エルフィールとダミエールの光がジョルディーを物質の圧縮と速度、その本質から解放する。
ダミエールは転がりながらなんとか着地する。
エルフィールは地に落ちる前、その手をジョルディーがつかむ。
ジョルディーがエルフィールを抱き寄せ、キャッチした。
「姫、なにか入用でしょうか」
ジョルディーの言葉に無言でディグスタンを見るエルフィール。
螺旋の砂はそろそろともう落ち着いていた。
エルフィールとジョルディーは走り出す。
ディグスタンは石化の魔法をエルフィールに放つ。
エルフィールとジョルディーの手に光が出現する。
ギギギイン!
光で石化の魔法を叩き落とすエルフィールとジョルディー。
そのままディグスタンへと距離をつめる。
ザキン!
光がディグスタンを捉えた。
「ディグスタン! これでいけるぞ」
「やったなヴァイヴァルド」
二十代の法衣の若者が二人暗い部屋にいた。
一人はディグスタン。
もう一人はヴァイヴァルドという男だった。
精悍な顔つきはディグスタンにも劣らぬが、あごと顔つきが細く、にきびがあった。
2センチくらいの金色の短髪が草原のように生えている。
小柄な体つきは、小人族かと思わせるようだ。
ディグスタンはヴァイヴァルドに言う。
「さっそく材料をそろえに走ってくれ」
「ですが、私もいたほうが……」
「石化の魔法の拘束期限がそれほどあるかないか。一刻も早く材料を取りに行って欲しい」
「わかりました」
ヴァイヴァルドは革袋をしょうと、上着をはおると部屋から出ていく。
ヴァイヴァルドを見送ったディグスタンは自分も上着を羽織り、部屋から出ていく。
夜の街をほうぼうのランプの明かりが照らす。
石の道が古い建物のあいだを走っている。
煉瓦作りの二階建ての家が並んでいる。
そのある家からディグスタンは出て来た。
街の道は騒然とした人々がいる。
ディグスタンは呪文を詠唱した。
世界が凍り付く。
いや、それは魔法の波紋であった。
ディグスタンは片っ端から街の人々を石にしていく。
次々と石像が群像した。
ディグスタンから逃げ出す人々。
なかには剣で反撃してくる者もいたが、ディグスタンの前にかなう者はいなかった。
魔法使いはこの街にディグスタン一人であったから。まさにディグスタンの敵らしい敵はいなかった。
破壊は楽しいのか。
愛を砕きながらこの月に歌う。
いつか出会いは塵(ちり)も積もって本質となる。
ディグスタンは歌っていた。
ディグスタンの魔法に石像は街に続いていく。
川の端に来た時、ディグスタンの歌に合いの手が入る。
川の端で油絵を描いている男がいる。
「こんな時になにをしてるんですか」
ディグスタンは男に聞く。
「絵を描いているんだ。あんたこそなにをしているんだね」
男は白髪に白い髭、ぼさぼさの髪にぼろぼろ服だ。
「私は皆(みな)を救っています。あなたも救いたいのです」
「そうかね、それはがんばってくれたまえ」
「こんな夜になにを描いているのですか」
ディグスタンは急いでいるのも忘れてつい聞いてしまう。
月に照らされた油絵は真っ暗だ。
黒色が塗り込められている。
「人を描いているんだ。なに、この年になると人のことが描いてみたい時もあるのでな」
「あなたを石にします」
「そうか、ちょっと待ってくれ。あと一息で完成だ」
絵描きは最後に白色で下のほうに小さな光を描き入れる。
それは見ようによっては人にも見えた。
「よし、完成だ。いっちょ石にしてくれたまえ」
「はい」
ディグスタンは絵描きを石にする。
それからもディグスタンは人々を石にする。
もう何人石にしただろうか。
疲労がディグスタンの足を鈍らせる。
よろけながらまた人を石にする。
激痛がディグスタンをとらえる。
ディグスタンの後ろに剣士がいた。
ディグスタンは剣士を石にする。
ひざをつくディグスタン。
倒れるディグスタン。
ディグスタンははいずりながらそれでも人を石にしていた。
ディグスタンはまばたきする。
誰かが目の前にいた。
「ディグスタン」
ヴァイヴァルドがいた。
「材料はどうした」
「街の人々は救われました」
「なにを言っている。まだこれからだろう」
「あの夜からもう一月(ひとつき)たったのですよ」
ヴァイヴァルドは寝間着だ。
ディグスタンはいつのまにか部屋にいた。
「調合薬で救われた人は、あなたが石にした人は千四百二十三人が救われました」
しばらくディグスタンはなにか考えている。
ディグスタンはポンと手を打つ。
「そうか」
ディグスタンは満足そうにうなずいた。
「ディグスタン、あなたに感謝する人たちがいます」
「それはありがたい」
透き通ったディグスタンはそう言うと消えていく。
「ディグスタン……」
ヴァイヴァルドは力なく肩を落とした。
ディグスタンは目を開ける。
エルフィールたちがいた。
「ここは冥界、か」
「あなたは立派だな」
エルフィールはそう言う。
「あなたならば必要とする人もいる。しかし、よく私の魔法がとらえられたな」
ダリルが聞く。ディグスタンはうなずく。
「あなたは自由を体現する人だ。だからゆえに、無数の手数の中でそうすると思う」
「あなたに話しがある」とエルフィール。
「創造をしょう」
「? なんだって」
「歩いていたい。いつだって。世界は変わり続けているに違いないから。だから、そう。旅に出よう」
ディグスタンは歩き始める。
「あ、おい、用があるというのに」
エルフィールの呼びかけにも答えず、ディグスタンは歩いていく。
「まあ、いいか」エルフィールはなんなく納得する。
「興味深い」とミラル。
「こんど知識の神に報告しょう」とハイベル。
「まあ、エルフィールが無事ならな」とダミエール。
「一級の魔法使いはお互いを知る」とうなずくダリル。
「ウグスルの町で食事していこう。エルフィール、おごってくれ」とジョルディー。
「おまえな、そういう時は年上がおごるもんだぞ。わかってるな」
「おれは三十五才だけれど」
「私……は、九十五才、だ」
「じゃあ、おごってくれるな」
「おまえなんか知るか!」
「ははは」ダリルが笑っている。
エルフィール一行は帰り道を歩く。
どこからかディグスタンの歌が聞こえてきた。
それは実に心が澄み渡る気がしてきたのだった。
人物紹介
エルフィール
95才。人間の父とエルフの母を持つハーフエルフ。ダークエルフでもある。精霊使い。魔王ダリルの元で育ち、勇者ジョルディーを倒すため、戦ったのがきっかけで、ジョルディーとともに旅をすることになる。精霊を召喚できなかったが、ジョルディーとの出会いで精霊が召喚できるようになる。賢者から特殊な光を受け取り、ジョルディーとともにダリルを倒す。その後、ジョルディーと旅をすることになる。ゴブリンの商人の村長、シルフィスアから五万年前の英雄と魔王との戦いにも着けていた一億年前の魔装具、プロテクタ、ラグナロクラッカーを貰い受け手、着けている。
ジョルディー
35才。人間の男。剣士。エルフィールとともに行動して旅をしている。ダリルの封印の魔則(まそく)によって、争った者はクリスタルに封印されてしまうという事態を変えるため、ダリルに単身戦いを仕掛ける。エルフィールを仲間にしてダリルを倒した後は、エルフィールに寄り添い、一緒に旅をする。エルフィールのピンチには頼りになる。
魔法剣、グリズリーフィッシャーは、あらゆる武器を砕く力がある。
ダリル
125才。人間の男。魔法剣士。封印の魔則によって争う者をクリスタルに封印して、争いをなくそうとした。その行いによって魔王と呼ばれ恐れられた。数々の女ハーフエルフを配下に持ち、十二の国を破って、帝国を築く。自分の存在を封印の魔則にしていたため、魔法や剣といった攻撃を一切受けつけない。封印の魔則になっている時は年をとらないため、人間にしては長生きしている。賢者が与えた特殊な光の力をエルフィールとジョルディーに叩き込まれ、倒される。死の国々(冥界)にて生活していたが、冥界の王の命により、いろいろ旅をしている。エルフィールには父のような存在。
いまは冥界の王として、責務に着いている。
ミラル
22才。人間の女。魔法使い。ジョルディーの友達。幼少より一人旅をしている。世界に八人しかいないとも言う賢者や、多くの神々と知り合いであったり、かなりの人脈と知識を持つ。あまり本編では活躍しないが、いい魔法使いである。後に伝説の魔法使いとして数々の偉業を残す。
エルフィールとは犬猿の仲であるが、その実、とても仲はいいらしい。
魔法学院を卒業後、数ある学府、いわゆる官僚のような、魔法使いの道を断り、旅に出る。
魔法の知識よりも、人との出会いを求めてのことだった。
ハイベル
3333才。魔法剣士および神の力。神と人間の女とのハーフ。神の末弟であり、その力は人間やエルフなど、あらゆる種族を圧倒する力を持つ。戦いはせず、傍観することが多い。その力は神のそれである。神々の異変をジョルディーとエルフィールたちに助けてもらう。
怪力の持ち主で、エルフィールが突っ走ってくたばると、いつも背負っている。
歌が上手いという一面もあり、神々の歌を特に得意とする。
神々が道を導くと言っているが、ほとんど自分の怪力で切り開いている。
時間の概念が無いという意味では、長生きのエルフよりも、神々に近い存在。
ダミエール
25才。人間の男。吟遊詩人。最愛の女性を失った時、エルフィールと出会い、運命を感じる。特殊な光の力をエルフィールと発揮することが出来るもう一人の男。なによりも第一にエルフィールのことを心配している。
クールというよりも、冷たい。人とは距離を取り、話すことよりも、歌を愛する男。
唯一の例外である女性がエルフィールである。
護身術程度はあるが、特に強いわけではない。以外と、この旅の一行の中では、普通の人かも知れない。
性格はいまいちで、エルフィールを奪うためならば、ジョルディーをけ落とそうと思っている。
らいでん
45歳。人。錬金術師。外見はとぼけた中年おやじだが、無精髭。冴えない中年サラリーマンといった感じ。
発掘品で、金などを持っている。
建造物や小物などに精通していて、とても博学、らしい。
古い物が好きで、古本屋で何時間でも過ごせるたち。
健脚で遺跡を巡る放浪者。
植物や生物全般、特に昆虫や鳥類が好き。
ミラルよりも長い旅の経験がある。
いくつもの技術と言語に通じている。
古物コレクションが多数有、各地に置いてある。
吉雷雲。
古い物が好き。
古い建物が好き。
古い魔法も好き。
土地の風俗に興味があり、地形などに精通している。
物質の形質を探る錬金術師。ある国ある学府の先生であったが、遺跡調査の旅の途中、一人で錬金術使って砂を崩してどんどん進んでいたら、戻れなくなってしまい、そのまま、まだ放浪中の身。
バルディ
ゴブリン。67歳。商人。中には何千年も生きるゴブリンもいるので、かなり若輩。ゴブリンなど、妖精のその種族は、大抵百歳くらいまでは、人の十代くらいに相当する精神年齢なので、まだティーンエイジャーくらいである。
色黒で、鼻はとんがっていて、目は細長く、口は裂けている。狡猾そうなその顔は、嫌悪感をもよおすものである。
魔王に忠誠を誓った種族であり、エルフや人、ドワーフたちからは、忌み嫌われる。
何千年もの戦い。
いまもその流れはあり、各地で戦いは続いている。
バルディはゴブリンには珍しく、魔王に従わず、商売のために、日々精進している。
エルフィールからはとても好かれていて、ある種、苦手なものがある。
なんでも儲けに結びつけて考えるため、ジョルディーは敬遠気味。ジョルディーとは、いくつかの冒険で、その旅をともにした仲。
カーバンクル
幸福の精霊。
つかまえれば、幸福になれると言うが……。
エルフィールを好いているが、当のエルフィールは煙たがっている。
実体が見えない精霊も多い中で、その姿は誰にでも見える。
種族によっては、不幸を招くとも言われる。
フィルフィルフィール
年齢不詳(笑)。エルフ。精霊使い。回復魔法も扱う。子供にも大人にもなれる魔法少女なおばさん。ダリルとのあいだにエルフィールをもうけるが、ダリルが幼いエルフィールを連れて行ったので、ずいぶんひさしぶりの再会であった。
ダリルの若い頃に、一緒に戦ったらしいが、それはまだ語られていない。
年のことは禁句。その時の笑顔には、みんな凍り付くらしい。
世界に八人しかいないと言われる賢者の一人。
第七話 色と踊る者
吹雪を抜けるとそこは緑あふれる春な自然が広がる世界だった。
鹿のような動物が駆け、虫や鳥が飛び交う。
緑の野を歩くエルフィール一行。
道の行く手を草が茂り、木々が青々と輝いている。
この地方は春を謳歌している。
ジョルディーたちはフードとマンとをとる。
「なんか変じゃないか」とエルフィールはジョルディーたちに言う。
「いい季節だな」とジョルディー。
「そうだなあ」とダリル。
「えーと、だな。いまこの地域は冬じゃないか」エルフィールは思案する。
「そういえば変ね。これは興味深いことよ」とミラル。
「これは神々の所存かと思える」とハイベル。
「私はエルフィールが無事ならばそれでいい」とダミエール。
ガシャガシャ
銀色の肌の子供くらいの人が空から着地する。
銀色の人は動くと鈍い金属音がする。
美しい流線が脈動する。
金属か生物かわからない。
エルフィールはなにが起きたのか理解できなかった。
みんなが唖然としている中、銀色の人が動きだす。
それは好意的な行動ではなかった。
銀色の人はジョルディーに近ずくと手刀する。
銀色のするどい一撃が舞う。
ギイン!
ジョルディーの剣が銀色の手を止める。
銀色の人と戦っているジョルディー。
「これは金属種(きんぞくしゅ)。エルフの言葉でウラシュとも呼ばれる種族ね。金属を主食として、その寿命は尽きたことがないとか。意思があるかないかいまだに議論を呼ぶ種族だわ。その構成たる金属は絶対的な強度と美しさで知られている。魔法使いの中には魔法の源種〈げんしゅ〉、魔法の源泉のひとつだと言う人もいるわ。同時に大地の精度精霊の一種だともされていて、精霊と魔法の本質的実体であり、星の意思だと言う人もいるわね。ちなみに私だけどね」
ミラルは冷静にそう言う。
「珍しいねこれは。神々に献上したらさぞ喜ぶだろう。これこそ神の具現。ああ、神々よ偉大なれ。いつか人々が神のその恩恵に恵まれることよ。その歌よ。高らかに空よ聖歌を歌いあげろ。神よ我が心のよりどころよ。世界よ、いまから私が神々の存在を歌いあげよう」とハイベル。
「それどころじゃない」
エルフィールは戦っているジョルディーに駆け寄る。
「手を出せジョルディー!」
と、エルフィールがこけた。
エルフィールはいきおいあまって銀色の人と道から転がり落ちる。
ザボン!
川の水に落ちる両名。
「こいつ!」
エルフィールは銀色の人の手を取る。
「ふああっ!」銀色の人は女の声をあげた。
「なんだおまえ」エルフィールはまじまじと銀色の人を見る。
銀色の肌は水にとけ、オレンジっぽい普通の肌が見てとれた。
銀色の人はいまや普通の女の子だった。
「これはどういうことだ」
エルフィールは困惑気味だ。
「だいじょうぶか」
ジョルディーがエルフィールの手を取り、エルフィールが少女の手を取り、川から引き上げるられる二人。
「説明を求めるぞ。なんだこれは」
エルフィールは少女を問いつめる。
「あなた顔色が良くないわね」
少女は土と水を混ぜ合わせ、それに息を吹きかける。
少女の手が虹色になる。
少女はエルフィールの顔をなでる。
なでた後に色が付いていく。
それは血色のいい化粧なのだった。
「なにをしている。なんだ、気分が良くなっていく」
「最近眠れなかったでしょう。胃も荒れているわね」
少女はエルフィールの腹をなでる。
つやのいい肌色が自然と踊る。
腹は健康的な色になる。
「これはどうしたことだ」
おなかの感触が軽くなっていく。
エルフィールは驚いている。
「色は物質の本質のひとつよ。木々の葉に緑を色すれば、そこは春にもなるものよ」
少女は勝ち誇ったように力説する。
「おまえ、ガキのくせにすごいな」
エルフィールは感謝も忘れて感嘆して言う。
「年はもう大人よ」
「そのわりには背が低いな」
「だってホビットですもの」
「なんだホビットって?」
あ、ロードオブザリングの三作目、見てないな。
「小人族のひとつよ」と、説明するミラルがエルフィールの横にいた。
「女で小人族……もしかしておまえ勇者ウイグルスタットか」
少女はうなずく。
「まあ、勇者のとこいがいは、おもに小人族でウイグルスタットというのは間違いないわね」
「ウイグルスタット、冥界の王にな……」
エルフィールが落ちた。
確かに地面の上にいたはずだが、足下が、大地がなくなってしまった。
大地の暗闇の中を落ち続けるエルフィール。
どれだけ落ちただろうか。
それは無限の時間にも、一日にも、一瞬のようにも思えた。
−−なんだこれは。私はどうしたというのか。
エルフィールは落ちるのに慣れてきた。
「あらあら、ずいぶん来たわね」
その声の主は気楽に言う。
ウイグルスタットも落ちていた。
「なんだこれは?」
「大地が色を失ったのね」
「色?」
「ちょっと色の配合に足りない色があったわね」
「おまえのせいか。なんとかしろっ」
「色がなければそこは闇そのものだから。だからあなたは無限に螺旋の滑り台を滑り降りることになる」
「そう、なのか?」
「だから色をつければ人生は本質を飛ぶ」
時間は逆転の十二本の光陰の矢を時の本質に放つ螺旋の双方機神。
人生は時の螺旋。
いつか人生は夢をロードする。
「おはよ、える!」
エルフィールはセーラー服を着ている。
ここは学校。
窓から見えるのは現代の街並み。
「昨日のドラマおもしろかったよねえ」
エルフィールの友達? らしい女子高生が言う。
「そ、そうか」エルフィールはしどろもどろしてる。
「なによ、ノリが悪いなあ」
学友の少女は笑っている。
「帰りにパフェつきあってよ」
「なんだそれは」とエルフィール。
「やだそのギャグつまんない」
そう言って短髪の学友はけらけらと笑う。
よく笑う少女だとエルフィールは思った。
エルフィールは戦乱の中、確かに強靭な精神をふるってきた。
だが、それにはなにかが欠けていたのではないか。
エルフィールにはそんなことは理解も考えたこともないのだった。
帰り道、友達と歩く。
たあいないことで笑い、ただその雰囲気に笑いが相乗していった。
こんな日常もいいものかも知れない。
エルフィールはそう思い始めていた。
空が曇り始め、雨が降り出す。
エルフィールたちは傘がなかった。
エルフィールたちは走り出す。
「なに、この雨」
雨には色が付いていた。
色んな色の雨粒が降る。
世界が、空間が極彩色に包まれる。
「なんだこれは」
エルフィールはある家に避難する。
そこは草原に一軒家というたたずまいだ。
そこにジョルディーがいた。
子供が二人いる。
「ジョルディー、この子供どうした」
「おまえとの子供だろう」
ジョルディーは食事を庭のテーブルに用意する。
「私が? 母親?」
エルフィールはしどろもどろで椅子に座る。
小学生低学年くらいの男の子と女の子は食事をほおばっている。
「私はえーと誰の子供だって? おまえ結婚してたのか」
「ああ、エルフィール、きみと、な」
「そうか、それはそうだったか」
ジョルディーとの結婚生活は静かなものだった。
戦いなく、ただ羊を子供と追いかけていた。
毎日毎日草原を放牧させていた。
草原はどこまでも続いている。
雲が雄大に散歩している。
「ねえ、母さんも子供だったの?」
「そうねえ、そうだったかねえ」
エルフィールはすっかりこの生活にくつろいでいた。
剣をふるったあの日々は夢であったかのように思えた。
こんな日常もいいかも知れない。
エルフィールは満足していた。
日々の過ぎる時間に幸福を感じていたのだ。
「ぼくも母さんみたいに冒険したいなあ」
「そうだねえ、その時がくるかもねえ。ほら、夕暮れだ。夕食にしょうか」
家にはジョルディーの家庭料理が出迎えた。
「なあ、荷車を買いたいんだが」
ジョルディーが提案する。
「却下」
エルフィールは即答する。
「うちのどこにそんなお金があるっていうの。それより餌入れを直しといてよ。こら、あんたたち、食べたら洗いものしなさい」
「はーい」
エルフィールは外に出る。
夜は月の支配下にあった。
こんな人生もいいものだ。
エルフィールはそう思う。
戦いの日々に見た闇はいまはない。
日々が過ぎていくだけの心地よさ。
「これが幸福か」
エルフィールはジョルディーに聞く。
「そうかな」
風が舞った。
その風には色が付いていた。
風によって世界は、空間は闇に包まれる。
エルフィールは一人暗闇をさまよった。
そこは真っ暗で、なにも見えない。
エルフィールはひとりきりだった。
足元は泥沼なのだ。
エルフィールは歩くが、ずいぶん歩きにくい。
どれくらい歩いただろう。
考えることは疲労と人への闇の感情。
足はくたびれ、もう動けない。
その時、島があった。
人が二人、上がれるくらいの島だった。
そこにワンピースの少女が座っている。
小さな島に少女とエルフィール二人。他には誰もいない。
エルフィールは少女に話しかける。
「どうしたのお嬢ちゃん」
「昨日はどうして忘れてしまうの」
少女はそう質問する。
「明日のことを覚えるために」
「どうして空は広いの」
「みんなの希望が星に飛んでいくから」
「どうしてあたしは一人なの」
「みんなに出会うために」
「どうして本質と踊るの」
「猫のワルツは黄昏(たそがれ)の歌」
「どうして生きるの」
「大事なものを信じるために」
「どうして時間は早いの」
「夜の闇ががんばっているから」
「どうして時間は遅いの」
「夜の闇が休んでいるから」
「どうして人を愛するの」
「一緒に生きていくために」
「どうして風は気持ちを空に鳥と放つの」
「晴れた日はゆっくり過ごして、雨の日はじめじめ、曇りの日は気持ちがほてっているから」
「なんでみんな家族なの」
「人が気持ちを感じるから」
エルフィールは今度は少女に質問する。
「あなたはどうしてここに一人でいるの」
「みんな忙しいんだ」
「そう、それじゃお姉さんが一緒にいるよ」
「ありがとう」
「これからどんな未来があるか探しにいこう」
「うん!」
笑った少女の顔はやさしい色の香りがした。
あたしはさびしかったんだ。
なにもかもが進んでいく時間の中で、一人取り残されていくようで。
なにかしたい。けれど、なにもしたくない。
ただただ自堕落な毎日にあきあきしていた。
そして少女はダリルとであったのだ。
「あたしは後悔してないよ」
少女はそう言って笑った。
エルフィールは少女に聞く。
「ダリル様はやさしい?」
「うん!」
「そう。良かったね」
少女とエルフィールは光ながらひとつになる。
だからまたあたしは歩いていく。
目標はダリル様を越えて自分だけの夢を目指して。
「それでいいのか」
闇の男が立っている。 灰色のコートに顔も体もおおわれている。
エルフィールには男の声はダリル様のような気がした。
男はエルフィールに言う。 「私に着いてくればおまえを汚し続けるだろう。おまえの常識を良心を殺し続けるだろう」 それはエルフィールの本質。
本質の名はダリル。
エルフィールにはそう思えていた。
本質は不変だとエルフィールの信念がうなるのだ。
それは闇。闇。闇。闇。
「そうかしら」
女の声がした。
その声に男のコートは緑色になる。それは心の森。
女の声は、聞いた声だとエルフィールは思ったが、それが誰だかはすぐに思いいたらなかった。
「自分いがいの誰が自由をあやつるというのです」
女の声は続く。
男のコートは赤くなる。夕日は心にうつろぐ。
「人は生きているあいだしか生まれ変われない。あなたはなにになりたいの」
私は。
私は。
私は。
「私は……」
そうだ。
「日常を生きたい。ジョルディーと家庭を持って、子供と暮らしたい。ダリル様はおじいちゃんで、母とも話しをしたい。精霊の花火を見て、家事の疲れをとりたい。川のせせらぎに耳をすませ、森の木々の葉に目を癒したい。雨のシャワーで体を洗い、ちょっとした演劇を見て、うさを晴らしたい。ジョルディーに悩みをえんえんとぐちって言っていたい。ひまな時には子供と絵を書いて、泣いた子供をあやしたい。空を見上げて、夜の闇に包まれたい」
「いいでしょう!」
ばさっ
闇の男はコートを脱ぎ捨てる。
闇の男は女ホビットのウイグルスタットだった。
ウイグルスタットは言う。
「未来が見えないのは未来に色が付いていないから。エルフィールさんはいま、未来に色を付けました。それが私にも見えました。あなたの夢に色が付くことを星に誓ってあなたの本質に色を付けていますよ」
ウイグルスタットはエルフィールに近づく。
二人の顔が近づく。
「な、なんだウイグルスタット」
「エルフィール、あなたの闇には色が足りません。それを足します」
ウイグルスタットはエルフィールの唇にキスする。
びっくりするエルフィール。
エルフィールの脳裏に闇の誰かがいた。
エルフィールはその闇の誰かに色を思い描く。
それは茶色の髪。
ちょっと浅黒い肌。
ジョルディーだった。
エルフィールの目の前にジョルディーがいる。
「よお、呼んだか?」
「ばか、まあな」
エルフィールとジョルディーの手に感じる光という色が、心の闇に加わる。
「足りなかった最後の色は光」
エルフィールはぼそりと言う。
「すべての色がそろったわね」
ウイグルスタットはそう言う。
闇はすべての色に彩られた。
三人の闇が万色に明滅する。
闇が未来から昨日を追い越していく。
ウイグルスタットがいた。
まだ少女たるウイグルスタットが。
だぼだぼの布をウイグルスタットは着ている。
ぽっちゃりした丸顔のウイグルスタットは丸い金魚のようだ。
「ねえ、画材買って」
「だめよ。今月は買ったでしょ。それに、いまがそれどころじゃないのは知っているでしょ。ウィグ、絵ばっかり描いてるんじゃないわよ。畑仕事を覚えなさいな」
ウイグルスタットの母はそう言うと畑道具を持って家から出ていってしまう。
ホビットの家は土から出来ている。
家の中はウイグルスタットの落書きでいっぱいだった。
ウイグルスタットは絵が心より好きなのだった。
その中の絵がうっすらと消えていく。
だが、誰もそれには気もとめないのだった。
ウイグルスタットは家の外に出る。
木陰の土の道、緑の葉が空を埋め尽くす。
大小の木々が並んで立っている。
遠くに畑がえんえんと続いている。
自然の世界が視界のどこまでも続いている。
「おーい」
ウイグルスタットを呼ぶ声がする。
見上げた空には空中に浮かぶ男の子のホビットがいた。
短い髪に活気そうな顔の少年だ。
小人の子供だから、まるで漫画のようなデフォルメされた存在なのだった。
「あら、ラビンツじゃないの」
空中に浮いているラビンツはゆっくりとウイグルスタットの前に降りてくる。
「ラビンツ、そんなとこから降りたら危ないよ」
「なんだよこれぐらい男なら当然だぜ」
「まったくしかたないわねラビンツは」
「おじさんの畑仕事手伝わなくていいのラビンツ」
「畑なんて、なにも仕事はないさ。この時になにをするっていうんだよ」
ホビットの村は畑と森と土の家があるだけの静かな田舎町なのだった。
だが、自然と静けさに包まれた村には異変がじわじわと闇が生活を包んでいた。
ウイグルスタットは花々を見る。
ところどころ花びらのなくなった茎がある。
だが、花に触れると花びらの感触はあるのだ。
透明な花がそこにあった。
ウイグルスタットは透明な花びらを触りながら言う。
「また色が消えた」
いつからだろうか。
ここいら一帯がどこまでか調べたホビットはいないが、となりのとなりのそのまたとなりの村まで、色が消えていく日々が続いていた。
道の石ころまで色を失い、見えないものにぶつかるホビットが多くいた。
ホビットの仕事の大事な畑仕事も、作物が見えないから、ずいぶんはかどらなかった。
このままでは生活がなりたたないと、みんな不安をつのらせていた。
ウイグルスタットは絵を描くのが好きだった。
ただ自然を見ているのが好きだった。
それを描くのが好きだった。
変わった土や砕いた石を混ぜて色にしては、絵を描いていた。
ウイグルスタットが歩いていると川を魚が泳いでいる。
まわりの岩が透明なので、動く水の中を魚が泳いでいるかのようだ。
ウイグルスタットは見えないなにかにぶつかる。
それは石垣だった。
ウイグルスタットは絵の道具を取り出すと、石垣に絵を描き出す。
ふいに、歌が口からもれた。
「導きだす時よこの思いを受け止めて。いつか出会いの数だけあたしの気持ちを解放してよ。どこが世界の果てだと言うの。この心はどこに着地するというの。時代はいつかも知れない流れの時を泳ぐ。いつか時代は青の時代になる。それは自然の再興。それは人々のゆくてはかえす生活の旅。いつか時代は意思の時代になる。思い描いたことが真実になる時代。それが自然の具現化。それはあたしの心の迷彩色の奥行き。流れるままに心よ描け」
ウイグルスタットは自由に思いのままに描いた。
歌いながら描いた。
日が暮れるまで描いていた。
「ウィグ、精が出るわねえ」
そこにはホビットの老婆がいた。
横に深いしわがいくつも入った顔、
しわに目すら隠れている。
腰は曲がり、木の杖をついている。
白いワンピースを着ていた。
「いつもすまないねえウィグ」
老婆は頭を下げる。
「いいのよお、おばあちゃん」
ウイグルスタットはそう言って笑った。
「すまないけれど、ここお願いできるかしら」
老婆はワンピースを示す。
スカートの一部が色が失われ始めていた。
「はいよ」
ウイグルスタットは色を調合すると、ワンピースに色を塗る。
「ああ、助かった。ありがとうねえ。ちょっと寄ってき。お菓子でも食べていきなさいな」
「うん、もうちょっと塗ったらね」
また色を塗り始めるウイグルスタット。
老婆はうなずくと垣根の中の家のほうに戻っていく。
日が暮れるまで色を塗っているウイグルスタット。
一通り色を塗り終えるウイグルスタット。
うーむと色彩を確かめる。
改心の出来だと思った。
ウイグルスタットへの依頼は尽きることがなかった。
ウイグルスタットはふたつ返事で色を塗りつづけた。
ウイグルスタットは色を塗るのが好きだった。
そんな仕事があったら是非つきたいと思っていたくらいだ。
けれど、ホビットの村には、畑仕事ばかりなのだった。
いつか旅に出よう。
ウイグルスタットはなんとなくそう思っていた。
それはいがいと早い時期に訪れることになる。
朝、ウイグルスタットが起きると、世界は一面真っ白であった。
ふとんの感触はある。が、見えない。
色がまったく無くっなっているのだ。
ウイグルスタットは起き上がると、壁伝いに居間に出る。
人の気配はない。 外に出ると、誰かとぶつかった。
「誰ですか」
「あんたのお母さんだよ」
「これはどうしたんだろう」
「あたしもわからないんだよ」
しばらく話をした後、ウイグルスタットはまた歩き出す。
人の気配がする。
「そこに誰がいるかね」
いつもの老婆がいるようだった。
「ウイグルスタットです」
「そうかい、あんたの色でなんとかできないかねえ」
老婆の言葉にウイグルスタットは土を取り出して道に塗ってみる。
色はつかなかった。
「だめだわ」
「こまったわねえ」
老婆の言葉が聞こえなくなっていく。
しかし、老婆はそこにいる。
−−これは言葉の色もなくなっていってるのかな。
人とも触れ合えず、どうしたものかとウイグルスタットは考えていた。
世界は音の色さえ失い、なにもかも感じられずにいた。。
世界は無色に沈黙した。
なんの存在も感じられない無の世界。
そこにはなんの感情もない無心の世界。
誰もいない自分もいない世界なのだった。
ウイグルスタットは自分が歩いているのかもわからず、ただ足を動かしていた。
ウイグルスタットに感情の揺れはなかった。
ただ、世界はいまスタート地点にいるのだと、なんとなく思っていた。
ここから色を塗りたい。
この世界を自分の色で埋めてみたい。
そんな気持ちがあった。
しかし、絵の具ひとつないのだ。
なにもない世界なのだから。
意味の色も失われ、ただ心は平面を立体するのだ。
風が揺れた。
風の流れがウイグルスタットには感じられた。
心の風が吹いていた。
ウイグルスタットは風のゆくてを見た。
魚がいた。
その体躯は縦に平面的なアロワナのような巨大な魚が空中をゆうゆうと飛びながら泳いでいる。
感慨があった。
なにせ体長二メートルはあろうかという巨大魚が悠然と白い空間を水中のようにゆくのだから。
風は魚の流れであった。
ウイグルスタットは呆然と眺めるだけだ。
魚は悠々とウイグルスタットの横を飛んでいく。
手を伸ばせば手が届きそうな距離だ。
ウイグルスタットは手を伸ばし、魚に触れてみた。
それは色、色、色。
極彩色豊かな天然色の虹色が心に広がり続ける。
こんなに色があったのだ。
こんなに世界は色であふれていたのだ。
心は色の絵の具箱。
星はいつも色の旅人。
夜のキャンパスに宇宙を描き出す光。
ねえ、この気持ちをあの子に伝えてよ。
そしたらいつかこの気持ちを星にして宇宙に放つのだから。
いつまでも二人の気持ちよ星と輝け。
そう、だから色は気持ちの代弁者。
世界は思い色であふれている。
だから気持ちがすたれることはないのだ。
だからまた明日の色を考えてしまう。
そんなウイグルスタットだったから。
ウイグルスタットは自然の意味を知った。
それは途端に理解したのだ。
ウイグルスタットはうなずくと、踊りだす。
両手から色があふれだす。
それは気持ちの源泉。
色は二次元から三次元へと輝きを変えていく。
白い世界はすべての意味をその色を取り戻していく。
青い空。
白い雲。
夕暮れ。
海は波打ち、川は流れ続ける。
鳥は飛び立ち、虫と木々は芽吹きを息吹を吹き返す。
鳥が鳴く。
世界は音を気持ちをその思いのたけを色に取り戻していく。
世界は万感色(ばんかんしょく)を取り戻してく。
ウイグルスタットは空を見上げた。
まだ空にはあの魚が飛んでいた。
ウイグルスタットは感謝の色を知った。
半日のうちに人々の生活も色を取り戻していった。
「ウイグルスタット、畑仕事しな」
母が怒る。
ウイグルスタットはなにを思ったのか、畑の作物に色をつけた。
母親は呆然としている。
畑の植物はすぐに成長すると、実りだした。
「これはたまげたね」
それからウイグルスタットは畑の作物に色を付けた。
その作物はそれから例年よりもおいしく栄養たっぷりなのだった。
もう誰もウイグルスタットが色を塗ることをやめるように言う人はいなかった。
村ではウイグルスタットはちょっとしたことで呼んで色を塗ってもらった。
ウイグルスタットも喜んで力になった。
ウイグルスタットは成人すると旅に出た。
村の人たちは悲しんだが、ウイグルスタットは世界の色を確かめたかったのだ。
各地方でウイグルスタットは自然を蘇らせた。
人々はウイグルスタットに感謝した。
その名声は冥界にまでおよび、冥界の王がウイグルスタットを招待した。
ウイグルスタットは冥界の自然をも回復していった。
そしていま、エルフィールたちの目の前にウイグルスタットはいた。
ウイグルスタットは空を見ている。
そこには悠然と泳ぐ色彩の魚が見えた。
「なにかいるのか」
エルフィールは同じ空を見上げるが、なにもいない。
「あなたにはそんないかめしい顔など似合わないわ」
そういうとウイグルスタットはエルフィールの顔に触れた。
エルフィールの心は自然で満たされ、世界がよりいっそう鮮明に心に輝いた。
ふっとエルフィールの顔に笑顔がよぎる。
「エルフィール」
ジョルディーが驚いたが、すぐにいつもの柔和な顔になる。
ダリルがうなずき、ミラルも笑った。
ダミエールは男泣きして、ハイベルは神に感謝の言葉を送った。
「笑顔の色を忘れないで」
ウイグルスタットはエルフィールにそう笑った。
「おまえは、いったいどんなやつなんだ」
エルフィールは困惑していたが、心はずいぶん愉快なのだった。
「色が世界を変えていく。これからが色の塗りがいがあるのよ。自然こそが色の演奏。それをこれからながめるのがあたしの仕事。忘れないで。世界は色で満ち溢れている。あなたの心の灯火を世界の自然の未来の色にしてごらんなさいな。それだけでいいとあの猫とこの空とあの森が心の色の透明さを響かせるから。あわれな色などあなたの色で塗り替えてごらんなさいな。世界は色を更新し続けている。それこそがあなたの気持ちの心の奥底に眠っている幼い日の群青の空なのだからね」
そう言うとウイグルスタットはまた歩きだす。
「あ、おい、冥界の王に……」
エルフィールの言葉はどんな色をしていただろう。
「ああ、王様によろしくねえ。冥界の色はもうちょっと塗るからね」
「ちょっと待て!」
エルフィールが追いかける。
ウイグルスタットは自分に色を塗る。
その色は無色透明。
なにものにもとらわれない純粋の色。
透明になっていくウイグルスタット。
消えてしまうウイグルスタット。
気配さえもなくなっていた。
「あたしの心の色は何色に見えたんだ」とエルフィールは立ちすくむ。
それにはウイグルスタットは答えなかった。
「まあ、いいか」
遠くの花が一斉に開いていく。
それはきっとウイグルスタットが色を奏でているに違いないのだ。
その花はいつまでも心にある思い出のように咲いていた。
エルフィールは一行は帰途についた。
弟八話 戦巫女
エルフィール一行は旅をする。
緑の木々にあふれた土の道がどこまでも続く。
空は青く澄み渡り、どこまでも蒼である。
陽光のメロディに鳥がさえずり、動物の気配に包まれている自然の中。
木々の中をエルフィール一行は行く。
新しい王候補を探して。
「魔法では王候補の居場所はここだって出たんだけどねえ」
ミラルが木々の奥、緑の中をあちらこちら眺める。
「王候補の少女どころか、誰もいないじゃないか」
エルフィールは悪態をつきながらミラルの頭をたたく。
ミラルは小柄で童顔、エルフィールはそれなりに大人びた顔つきだから、親が子供をあやしているようだ。
「なにすんのよエルフィールのばかあ」
と、先頭のジョルディーが立ち止まる。
じっと道の横を見ているジョルディー。
「どうしたジョルディー」
エルフィールがジョルディーの横に行く。
道の端、緑の蔦(つた)に覆われた土色の3メートルくらいの四角い石版があり、そこから少女の石像がせり出している。
ジョルディーは無言で少女の石像に手を触れる。
ジョルディーの顔はどことなく儚(はかな)げだ。
その雰囲気になんとなく、なにも言えなくなるエルフィール。
なにかしてあげたい。
だが、なにをしていいのかわからない。
しばらくジョルディーと立っている。
ジョルディーは石像に触れたまま動こうとしない。
ジョルディーの手が冷えているような気がした。
エルフィールは石像に付いたジョルディーの手に触れる。
光があふれた。
光が空を包む、天を包む、大地を包む、未来を包む。
光がなにもかも包む。
時間は逆流して、時代を映す。
それはいつかの日々。
夢を忘れた時代。
それは未来の遠く、灰色の人々。
それは戦乱の世。
狂った時代。
いまは昔、はるかなる未来よ。
時間はその意味を問い、また時間は動き出す。
ある日。
ある時。
ある場所で。
夕日も暮れかかり、薄闇の中。
地平線がどこまでも続く大地。
方向によっては遠くに山があったりするのだが。
土の大地がどこまでも続く平原に人がいる。
少女が道ばたでニ十人くらいの大人たちに囲まれている。
少女は逃げようとしてるが、大人たちは少女を縛り付ける。
少女は腰まである長い金髪に青い瞳。
まるで宝石が人になったように美しかった。
大人たちは少女を無理に立たせる。
狂った大人たち。
少女が大人たちに連れられていこうとしてる。
少女の悲痛は誰にも聞こえはしない。
それが変わらないことならば。
誰が夢など歌うだろう。
昨日あった勇気はどこに放浪しているのだろうか。
少女に影が落ちる。
それは人だった。
「なにしてるんだ」
十代くらいの少年が立っていた。
短い茶髪。精悍な顔立ち。
その瞳にはなんの迷いも曇りもない。
ただその瞳は大人たちの姿を見つめていた。
大人たちは横を向く。
大人たちはなにも答えない。
沈黙。
大人たちは言葉を魔法にでも失ったかのように動きを止める。
そのしわの表情は恐怖に凍りついているかのようだ。
それはもしかしたら自分たちの行いによって魔法にかかったのかも知れなかった。
「この人たちは私がいれば戦争に勝てると言うのです」
少女がかわりに答えた。
少女の声はどこか気高く、それでいて寂しそうな響きであった。
大人たちにはそれにはなにも答えない。
少女をつかむ手は束縛の鎖のようであった。
大人たちの目はうつろで、誰も意志の力を持ち得ていないかのようだ。
少年には大人たちは見えていなかった。
少年は少女の前に立つ。
まるでそこには少年と少女しかいなかったようだった。
「捕まっている女。おまえはどこに行きたいんだ」
少年は少女に聞く。
「私は、私は戦(いくさ)のないところに行きたいのです」
「そうか」
少年は笑った。
ガキイン!
一撃で少年は大人たちを打ち破る。
大人たち二十人の武器はすべて少年に粉砕されている。
鋼鉄の雨が降る。
粉砕された武器の破片が輝き積もりつつ、空に舞いつつ、少年を装飾した。
「なにをする!」
大人たちは動揺する。
やっと大人たちは言葉を取り戻した。
それは非難の言葉なのだった。
大人たちは少年を取り囲む。
隙あらば少女を取り戻したい。
それなのに、大人たちは少年の剣技に及び腰だ。
少年は笑った。
「おまえたち、心配するな。戦いなら、おれが強くなれば終わる。こんな少女はいらないだろう。だからこいつはおれのものだ。おまえたち、もういいぞ。帰って畑でも耕すがいい。それがいい」
少年はそう言うとブイサインする。
なにか知らないが大人たちは圧倒されていた。
なんだか理解出来ないが、少年は正しい気さえしてくるのだから、ずいぶん変なものだった。
大人たちはなにかひそひそと話している。
それは短い大人たちの解放であった。
結論は出た。
大人たちは悪態をつくと少女を置いて去っていく。
なぜか大人たちの肩の荷は軽いのだった。
薄い霧が付近をおおう中、少年と少女のふたりきりになる。
白い霧に夕日の赤が照らされている。
しばらく少年と少女はそこにいた。
日がすべて暮れる。
完全なる闇。
少年はランプの中に石を入れる。
それは火の妖精が好む場なのだった。
しばらくすると火の妖精がランプの中で踊りだす。
少年はランプをかざす。
少女と少年を淡い光がゆらゆらと照らす。
少女は幻想的で、まるでこの世の美をすべて結晶したような気さえ、少年には思えた。
少年は少女の瞳を見る。
その瞳の奥にはなにかが揺らめいていた。
それは少年がかつて見たことのない光なのだった。
「おまえの家まで一人で帰れるか」
「一人では帰れません。そうすれば立ちどころに巫女にされてしまうでしょう」
「巫女?」
「戦巫女(いくさみこ)と私は呼ばれているのです」
「戦巫女」
「私がいれば戦いに勝つと思い込んでいる人たちがいるのです」
少年の本質がひるがえった。
なにかが少年の心を支配した。
少年は無性にこの少女を手に入れたくなった。
どうしてか解らない。
あるいはそれは、淡い恋のようなものだったのかも知れない。
それは少年の夢だったのかも知れない。
そうだ。
これがおれが探していたものだ。
これが世に言う運命に違いない。
少年はすっかり世界のすべてを理解したつもりでいた。
この女を手に入れればおれの力は倍にもなろう。
この少女こそ、おれが探していた失った歌に違いない。
そうだ、この少女を連れて行こう。
たとえ火の中水の中、この少女がいれば負けることすらないように思えた。
それは思い込みに過ぎないものだったが、少年は本質を獲得したことに気づいていなかった。
少年は確信した。
そして少年は躊躇(ちゅうちょ)したりしなかった。
少年は笑って少女に言う。
「この腐った世界を滅ぼすまで破壊し尽くす」
少年は勝ち誇ったかのようだ。
少年の瞳は幼い野望に彩られているようにも見えた。
それはまだ未熟でことの本質など考えもしない、まっすぐで、期待にあふれた思いなのだった。
「あなたはなんと言う人なのですか」
少女は少年に聞く。
「おれはジョルディー。世界を変えるんだ。腐った連中はすべて排除すればいいんだよ。うん。そうだよな。やっぱりな。おれは子供じゃないぞ。もう十五歳だぞ。おまえは黙っておれに着いてくればいいんだよ。ばかな連中はこれからおれが成敗するからさ。だから泣くな。苦しむな。狂った大人は全部おれがやっつけてやるからな」
少女はうなずく。
「おまえ名前は」
「アーティニー」
「そうか。おまえはこれからおれの子供生め。おれのものになれ。それでいいんだ。なにも考えるな。おれにだけ気をつかえ。いいな。黙ってればいい。いいな。おまえはおれのものだ。だからおれが守るんだよ。いいな。返事はするな。黙ってろ。それがおまえの幸福だ」
「はい」
少女、アーティニーはうなずいた。
夜もふけり、寒さが二人の身を包む。
「野宿しかないな」
大人たちとは別の方向へと歩き出すジョルディーとアーティニー。
ジョルディーはしばらく歩いたところにあった大岩の下に隠れ、焚き火を始めた。
「水を飲め」
ジョルディーは鹿の皮袋の水筒をアーティニーに差し出す。
アーティニーは黙って飲んでいる。
「おれは旅をしているんだ。腕試しだ。争いの中に突入しては、武器を叩き折って歩いているんだ。おまえはなにをしているんだ」
アーティニーは空を見てからジョルディーを見る。
うれいのない、澄んだ瞳がそこに輝いている。
宇宙には星がある。それはきっと尊いものに違いないのだから。
その瞳はまさに宇宙で見つけた心の一番星なのだった。
渇望。
ジョルディーはその本質にその存在を夢見て、いま目の前にいたのだった。
アーティニーは自分の旅の目的を話した。
「私は戦いから逃げています。争いの無い地で眠りたいのです」
もったいぶってジョルディーは言う。
「それはできない。おまえは、アーティニーはおれの後に着いてくるんだ。だからどこへも行けないな」
冗談のように、だが、それは真剣な言葉なのだった。
「そうですか」
アーティニーはおだやかにそう言う。
少女は囚われていた。
それは少年の思いに囚われていた。
そして少女はそれには黙っていたのだった。
ジョルディーは野球ボールほどもあるだんご虫のような生物を取り出すと火にくべる。
「おまえも食べろ」
アーティニーはなんとなくとまどっている。
「なんだ、虫はだめか」
ジョルディーは虫に食らいつく。
「いえ、私は食べないでも生きられるのです」
「? そんなことあるか。なんか食え。他にもまだあるぞ」
「いえ、特殊な種族には特に北欧の種族にはエーテルネーテという魔法元素だけで生きることができる、一種の魔法生成で生きる種族もいるのです」
「そうか? それは知らないことだ。まあいいさ。水もあるからな。おれに遠慮はするなよ。おれに頼れ、依存しろ。おれと歩いていればいいんだ。それがおまえの人生だ」
「はい」
アーティニーは笑っている。
ジョルディーも笑った。
二人は話す。なごやかな時が過ぎる。
さらにゆっくりと時間が過ぎていく。
その雰囲気はまるで、二人が長いこと旅をともにした仲間のようだったのだ。
霧はさらに濃くなり、手の先も見えないくらいだ。
もう夜も深けていた。
アーティニーは眠そうに目をこする。
ジョルディーがマントをアーティニーにかけてやる。
「くっしゅん」
アーティニーはマントの土ぼこりにくしゃみする。
マントは夢のにおいがした。 うつらうつらとしていくジョルディー。
ジョルディーは一日中歩き通しであったのだ。
アーティニーは早く寝るのが日課だった。
二人は布にくるまり、眠りにつく。
どこかでふくろうが鳴いている。
夢がそのいななきに響いた。
誰かがどこかで泣いている。
ジョルディーはそんな夢を見ていた。
ふいに風が舞った。
殺気が夜風と踊る。
周囲は霧に包まれ、一寸先は闇の状態である。
と。
闇と霧から剣が生まれ、ジョルディーをつらぬく。
ジョルディーはどうしたか。
布は質量を失い、地に落ちる。
ジョルディーは空に飛んでいた。
ガキン!
ジョルディーの剣撃が敵剣を叩き落す。
周囲には複数の敵がいる。
ジョルディーにはそれがわかった。
敵が見えるのではなく、そう感じているといったものか。
霧のためにそれが先ほどの者たちかまでは、わからなかったが。
ジョルディーは耳を澄ませる。
霧が言葉を発する。
「なんだ、かわされたぞ」
「そんなばかな」
大人たちは動揺している。
ジョルディーもとっさに反撃出来たので、ずいぶん驚いていた。
ジョルディーは悟られぬように岩の寝床に戻って来る。
「アーティニー、起きているか」
「はい」
「隠れてろ」
ジョルディーはまた外に出る。
依然、敵は見えない。
足音とともに気配が霧と舞う。
敵剣が煌(きら)めく。
その光は死の月が天を揺らぐかのようだ。
幾状の剣のきらめき。
その中でジョルディーの瞳が敵の狂剣を射る。
ギイン!
一閃。
ジョルディーの一撃に敵剣が粉々に砕けた。
きらきらと砕けた殺意が雪のように輝く。
ジョルディーの緑色の透明な剣には刃こぼれひとつない。
ジョルディーはついでにパンチで相手を気絶させる。
ジョルディーはさらに躍り出る。
だが、相手は霧に隠れていて、どこにいるか正確な位置まではつかめない。
地理を向こうは知り尽くしているようだが、こちらは相手の人数さえもつかめないのだ。
条件は同じはずだが、向こうはこちらの位置を正確に当てて来る。
どうしたものか。
ジョルディーはあせりを感じていた。
なんとかこの霧の中で優位にたたなくては。
あせって石ころにバランスを崩すジョルディー。
いままでジョルディーのいたところを敵剣が過ぎる。
うまいことにそれが敵の剣撃をかわすことにつながる。
ジョルディーはその敵の剣を叩き折る。
ついでに相手にケリも入れておく。
ジョルディーのケリに敵は悶絶して倒れた。
敵を探し、耳を澄ませる。
こつっ
なにかがジョルディーの軽鎧(ライトメイル)に当たる。
なんだ、いまのは。
不思議に思うジョルディー。
それが敵によるものだとしたら。
嫌な感じがジョルディーをとらえる。
すぐに横に移動するジョルディー。
いままでジョルディーがいた場所に敵剣が過ぎる。
それから何度もこつりと音がすると敵が攻撃してきた。
そうか。
石つぶてかなにかを投げてこちらの位置を調べているのか。
そうとわかればこちらのもの。
こつっ
その音を合図にジョルディーは楽々と敵の剣戟をかわす。
敵の剣を砕き、ジョルディーの下段蹴りが背後の敵の足をはじく。
倒れた相手に肘鉄をくらわすジョルディー。
うめいて気絶する。
それから何人も倒す。
石つぶては逆手にとられた。
策におぼれた者はどうしたものかと考える。
それは行動になって現れた。
風が舞った。
だが、ジョルディーはそれが敵が飛び上がったのだと直感した。
転がって敵の剣撃を避けるジョルディー。
敵の剣が土をとらえたところを叩き折る。
ついでにケリ。
手ごたえあり。
相手を気絶させた。
「絶好調」
危機の連続。
ジョルディーにとって、それはなんでもないことなのだった。
そんなこんなで、あっというまに、すべての大人たちを動けなくしていた。
ジョルディーはまだうめいている大人に近づく。
「なんで来た。なにが目的だ」
ジョルディーの言葉にその男は、もがきながらうめく。
「その娘がいれば戦いに連戦連勝なのだ。誰もがその娘を手に入れたがっている。とに、この戦乱の世ならばなおさらのことだろう。おまえだって戦いに勝ちたいだろう。なあ、そうだろう」
男の言葉にジョルディーはため息ひとつついてからある言葉を言う。
「おれが戦いに勝つのは自分の力。誰の力でもない。あんたも、自分の力で生きていけ」
ジョルディーはアーティニーの元へと戻っていく。
「行こう。ここにはもうなにもない」
ジョルディーはそう言うと、アーティニーを連れ立って、また歩き始めた。
ふたりの姿は霧に消えていく。
霧はまだまだ深く濃くなっていった。
道は続いていた。
ジョルディーとアーティニーはとある洞窟で宿とした。
どれくらい眠っていたのだろう。
「ジョルディー、ジョルディー」
アーティニーに起こされるジョルディー。
「なんだどうしたなにかあったのか。トイレくらい一人で行けるだろ。雨でも降ってきたか」
「帰り道がないのです」
アーティニーが洞窟の先を指さす。
そこにはあるはずの出口がなかった。
「落ち着け、こういう時はまず落ち着くのがいいんだ」
ジョルディーは出口のあった場所まで歩いていく。
出口には岩壁が湾曲となっている。
だが、さきほどまでは壁もなにもなかった。
ジョルディーが触れてみてもそれは岩のそれであって、岩を置いたのではなく、岩は周囲の岩とつながっているのだ。
ジョルディーは抜刀する。
深呼吸ひとつ。
岩を見据えると、一気に動いた。
カキイン!
剣が岩をとらえる。
だが、剣戟しても岩はびくともしない。
「どうしたものか」
うろうろその場を歩いているジョルディー。
ジョルディーは考えている。
うーんと考えているジョルディー。
ぽんと手を打つ。
「よし、奥の方に行こう」
と、アーティニーがどこにもいない。
ふと、ジョルディーは不安になる。
どうしていいか周囲を見る。
なんとも言えない気持ちが心をおおう。
それがさびしさだとは、ジョルディーは知らない気持ちなのだった。
ジョルディーはダッシュして洞窟の奥に向かった。
アーティニーになにかあったのかも知れない。
漠然とした不安だけがジョルディーの心に広がっていく。
なにが起きたというのか。
「アーティニー!」
洞窟の奥に、明かりに照らされた場所が見えて来る。
たき火に照らされた場所にアーティニーがいる。
どくん。
洞窟は胎動を始めていた。
アーティニーは洞窟に捕まっていた。
ジョルディーはアーティニーをつかもうとする。
ジョルディーの足下がすべる。
すべるすべるすべる。
床(ゆか)がずいぶんすべるのだ。
そのいきおいのままジョルディーはアーティニーが捕まっている洞窟の液体の中に落ちる。
液体から顔を出すジョルディー。
横にアーティニーがいた。
「だいじょうぶかっ」
「ええ、いい気分です」
アーティニーはうっすらと汗をかいている。
頬は赤くほてっている。
というか、アーティニーは裸だ。
「なっなに、を」
「ここは温泉ですよ。いい湯ですねえ」
そう言われればちょうどいい湯加減だ。
「そういうことじゃ」
「なんですか?」
アーティニーが笑う。
その言葉、その笑顔、その純朴さにジョルディーはなにも言えない。
「まあ、いいさ。無事ならばな」
ジョルディーは湯から上がる。
「一緒に入りましょうよ」
アーティニーの言葉にちょっとアーティニーを見る。
その肌は白い煙であまり見えないが、なにかきらめいて見えた。
どきどきどき。
「それじゃちょっとだけだぞ」
ジョルディーは服を脱ぐと、一緒に湯につかる。
ほっとひと安心。
不安はどこへやら。
アーティニーといるとどんな苦難もなんでもないことのようだった。
そんな時、アーティニーをとてつもなく頼りになると思ってみたりした。
アーティニーを見ると別の意味で気分が変わる。
どきどきどきどきり。
アーティニーは淡い湯気に照らされて美しかった。
いや、それは湯気だけではなかった。
女神かと思った。
ずっと一緒にいたいと思った。
心地良かった。
心地いいこと。それはきっと真実に違いない。
ジョルディーはそんなことを考えていた。
それはいい湯だった。
アーティニーと過ごすひととき。
それだけで、なにものにも代え難い時間なのだった。
ずっとこの時間が続けばいいと思っていた。
「ジョルディーはなぜ戦うのですか」
「なんだ説教か」
「いえ、同行する者がどういう気持ちでいるか知りたいだけです」
ジョルディーはしばらく湯に口元までつかる。
「おれは戦っている連中が許せない。そして、それを止められない自分が一番許せないんだ。ただ、それだけだ」
アーティニーは歌うように言う。
「自分を許してください。自分を信じてください。自分を愛してください。自由をその心 に求めてください」
ジョルディーはきょとんとしてる。
ちょっとその言葉はこそばゆく、心に響いて、しっかりうれしくなってしまった。
「そうだな。そうしょうか。おまえと静かに暮らすのも悪くないかも知れない」
誰かの声がした。
そう。
それはかつてジョルディーが負った心に響く雷鳴。
そうだ。
忘れてはならない。
自分がなにを目的にいまここにいるのかを。
なにをなすべきかを。
いけない。
自分がかつてのままに存在する意味を。
懇願。
それはジョルディーの心の名前。
「だめだ」
「だめですか」
「おれは戦いに生き、戦いに死すまでこの剣を振るうだろう。それがおれの存在理由」
「そう、ですか」
長い、長い時間が過ぎていく。
それはほんのひとときの時間なのかも知れない。
ふと、ジョルディーはアーティニーがぶつぶつ独り言(ごと)を言っているのを聞く。
「なにを言っている」
「神にジョルディーが戦いに生き残れるように願っていました」
「ばかだなあ。そんなことなんの役に立つ。そんな時間があったら自分のために使え」
「そんなこと、神様が聞いたら気を悪くします」
「神様はおまえが元気であることを思っているのさ。そうだろう」
「はい」
アーティニーの頬はほのかにほてって、ジョルディーはその美しさにうっとりとしてしまう。
こんな時がずっと続けばいいのに。
そんなことを思うジョルディーなのだった。
「もうあがりましょうか。湯当たりするといけませんし」
「そうだな」
アーティニーは立ち上がる。
ジョルディーも立ち上がる。
「拭きましょう」
アーティニーが湯気をまとって近づいて来る。
「いや、あの、いいって」
すべってどぼんと湯に落ちるジョルディー。
アーティニーはくすくすと笑っている。
叶わないなとジョルディーは思った。
「この奥にはなにがあるのかな」
二人は服と鎧を着けてまた歩き出す。
「きっと楽しいことですよ」
アーティニーは笑っている。
「そうか」
ジョルディーも笑った。
二人は談笑しながら洞窟の奥へと歩いていく。
二人でいればなんのことはないと思った。
なにも変わりない日々。
それが続くとジョルディーは確信していた。
洞窟はどこまでも一本道で、特に変わりなく歩いていた。
ジョルディーは抜刀している。
ジョルディーの緑色の透明剣はほのかに光、洞窟の周囲の壁は淡い緑色にまたたいている。
それは幻想的な空間で、アーティニーには新鮮な世界なのだった。
アーティニーがジョルディーにぶつかる。
ジョルディーが手で静止する。
「誰かいる」
小声だが、アーティニーはどきどきしてその鼓動が心を支配する。
苦しい。
ジョルディーがアーティニーの前に出る。
深呼吸。
ジョルディーがいる。それだけでアーティニーは一息ついて、安心できたのだ。
とことことこと歩いて来たのは長い曲がった鼻の持ち主。
大きな丸目。
大きな口で笑う。
ひざまでしかない身長の小人だった。
小人は狡猾そうな顔なのだが、どこかくせのあるいい感じだ。
「なんだバルディか」
ジョルディーは剣をしまう。
「お知りあいですか」
アーティニーは目をぱちくりしている。
「こいつはな、ゴブリンで、商人だ」
ジョルディーはため息ひとつでそう言う。
「なんだよ親分、ひさしぶりなのに不景気な顔して」
バルディはいきおいよく笑った。
「おめーの顔見たからだよ。なんだよこんなとこで会うとは。
こいつは闇の眷属であるゴブリンていう種族でさ、魔王に侍従するのが生涯の種族なのさ。なのに、お金に目がくらんで闇の眷属から逸脱して、いまや魔王のためでなく、自分の金儲けのために生きていやがるとんでもない不良さ」
ジョルディーはくさって言う。
アーティニーがバルディに手を出す。
「まあ、お偉いのですねえ」
見つめ合う二人。
笑顔で手をのばすバルディ。
握手する二人。
「へっへっへっ、そんな、ほめないでくだせえよ、美人のお人」
「あら、素直なかたですね」
アーティニーはにこにこしてる。
「それでこの先はどうなってんだバルディ」
「へっへっへっ、親分。あっしは商人ですぜ。それは情報を売れということですかね、えっへっへっ」
バルディは軽快に笑う。
実に楽しそうだ。
「てめえには借りがあったなバルディ」
「おっと旦那、それはそれ、これはこれですぜ」
ジョルディーは抜刀する。
剣先をバルディに近づける。
「なら吐け」
「グリズリーフィッシャー。その刀はなつかしいです。アラルディンク様はお元気ですか」
ジョルディーの顔が引き締まる。
ジョルディーは剣を離す。
ジョルディーがバルディにかぶりを振る。
「まあ、いい。見逃してやるからどっか行け。いまは持ち合わせはない」
「そうですか。いまだったら十割で貸してもいいでがすが」
「消えろ。それともパンチならもれなく無料でついてるが」
「旦那、これからも安泰でお元気でがんばってくだせいよ。ではね」
去ろうとするバルディの前にアーティニーがいた。
ひょいとアーティニーはバルディを持ち上げる。
小人であるバルディを軽々と、まるでぬいぐるみでも抱えるように抱きしめる。
「ちょっとあねさん、なにするんで。これはどんな意味があるんですかい」
アーティニーに抱き上げられ、足をばたばたしてるバルディ。
「かわいい〜」
アーティニーの瞳がきらきらとしてる。
「ねえねえ、ジョルディー」
「なんだよ」
「これ買って」
ちょっとジョルディーがいやな顔している。
「旦那、助けてくださいよ。後生ですだ」
バルディの目がうるうるしている。
「あーなんだ」
ジョルディーがちょっと笑った。
「助けてやらんこともない」
バルディがいやな顔をする。
トントコトン。
観念。
バルディはため息ひとつつく。
「わかりやしたよ。情報ですね。特別ですよ。他の人にはこうはいかないんでげすよ」
「アーティニー」
「はい」
「今度また買ってやるからな」
「はーい」
バルディはやっと地に降りられる。
バルディは自由の意味を足に感じていた。
「それで」
「ここはかなり昔戦場になったそうでやす。その時、この地に大規模な魔法が使われました。それがなにかこの地域の空間と時間さえねじまげたというんですよ。まあ、それからはここはずいぶん変なところになりやして。変な怪物や種族が出没しまして。見たことも無い宝もあるというんで、時と空間の迷宮という奴もいるくらいですよ。そういうわけなんですよ旦那。これは大変貴重な情報でやしょう」
「ふーん」
ジョルディーは聞き流してる。
「素敵ですねえ」
アーティニーはきょろきょろしてる。
「どこに宝があるんですか」
アーティニーはバルディに聞く。
「いやあ、それはあっしが知りたいくらいでやすよ」
「おいアーティニー。出口を探すのが一番大事なことだと言ってるだろ。おい」
アーティニーの目を見たジョルディーはその純粋なまっすぐなまなざしにすぐに目をそらす。
きゅん。
ジョルディーの胸が鳴り、心が躍る。
それはアーティニーの思いそのものである。
うきうきうきうき。
なにか知らないがとても楽しい気分になる。
まいった。
まいった。まいった。
観念。
「ま、まあ、いいかな。宝ね。探そうか」
ジョルディーは賛同する。
そのどこまでも純粋で愛(いと)おしい視線に、ジョルディーの本質を射抜かれていた。
目的は宝を探すこと。
「あーはいはい。了解了解」
それがジョルディーのいまの夢となり、目標となった。
「それと偶然出口も見つかるかな。見つかるといいなあ、とほほ」
ジョルディーはあさってのほうを見ながら言った。
「さあ行きましょう」
アーティニーはさっさと歩き出す。
なんでかな。
ふとジョルディーは思う。
なんでアーティニーといると心が穏やかになるんだろう。
まるで。
まるで幼い日、家に母さんといるような、そんな安心感なんだ。
こんな気持ちは始めてだ。
ジョルディーは歩き出す。
アーティニーを見失わないように。
「すごいすごい」
アーティニーは迷宮の通路の装飾を感心している。
アーティニーのうきうきとした感嘆の声のこだまが響く。
それが歩くたび続くのだから、これはもう女房のショッピングにでも同行したのかなにかのようだ。
うきうきとしたアーティニーはそれから変わることなく、目を輝かせている。
きっと冒険者にでもなったら、楽しくて仕方ないだろう。
なんとなく、ジョルディーはそんなことを思う。
「あなたはだあれ」
ふと、ジョルディーがアーティニーのほうを見ると、身の丈3メートルはありそうな牙と角だらけでこんぼうを持った巨人に話しかけている。
その巨人の肩と腕と足の間接はサッカーボールのように大きく丸いのだ。
巨人の背は高く、アーティニーはまるで、天井と話しているようだ。
ジョルディーは抜刀するとアーティニーの前に躍り出る。
「てやあっ!」
ガイン!
渾身の一撃。
ジョルディーの剣の一撃に巨人はびくともしない。
さらに蹴り。
だがその反動にびりびりするジョルディー。
まるで岩に打ち込んだかのようだ。
重厚な体躯はまったく微動だにしない。
重いことは力のひとつ。
そんな言葉がジョルディーには思い返される。
「どうした」
巨人は聞く。
巨人はきょろきょろしているかと思うと、ぼけーとしてる。
まるでジョルディーなど視界にないのだった。
巨人は普段と変わらぬ生活を始める。
世界が違う。
その世界に一人入る者がいた。
「宝を探してるのです」
アーティニーはそう笑う。
実に楽しそうな笑顔に、巨人は一瞥する。
「そうか」
巨人はジョルディーに背を向けると歩き出す。
どうやら戦いにはならなかった。
ジョルディーはがっくりと力が抜ける。
「待ってください」
アーティニーは巨人の後を追う。
「おいっ! 知らない人に着いて行ってはいけないって習わなかったか」
そう言いつつジョルディーもアーティニーの後を追う。
バルディはその様子を笑って見ていた。
それは実に下卑たる笑みなのだった。
「これは金のニオイね」
暖かい浜辺でゆったりと過ごす一日。
浜辺で横に長い白のイスに横たわる小人がいっぴき。
執事が飲み物を持って来る。
ただ波を眺めて暮らす日々。
気づくと眠りについていた。
空は満点の星に包まれどこかで人魚の歌声がする。
空を光輝く妖精が飛んでいる。
ゆっくりと手を伸ばす。
光の蝶が飛んでいる。
それは妖精だった。
光そのものである光の妖精がバルディの手に止まる。
言葉をいくつかバルディと交わすと、妖精はまた飛んでいく。
妖精の光は音楽そのもの。
心地よい音楽に癒される。
希望の音楽は海のさざ波に消えていく。
バルディの一日はそうして過ぎていく。
それが望んだ一日。
それが我が一日。
自然な一日。
のはずだが。
なにかものたりない。
なんだっただろうか。
なにか大事なものだったような気がするが。
どうしたものか。
思い出せない。
そうだ。
それはきっとそうなのだ。
そうなんだ。
だからあっしはここにこうしているのだ。
うん、納得。
金こそ我が太陽。
稼ぐのにまた終わりなし。
はっと気づくと、バルディは迷宮に立っていた。
岩の壁がえんえんと続いている。
それがいま自分がいるいまの状況。
そうそうとバルディは手を打つ。
まだお宝を手に入れたわけではなかったではないか。
しっかりするよろしく。
「我が人生、金に目がくらんで一片の悔い無し」
辺りを見ると、通路の先にジョルディーたちが歩いている。
よしよし、まだ金ヅルは逃げてないな。
すたこらさっさ。
小人のバルディはとっとこジョルディーの後に続いた。
洞窟の一角に掘ったような部屋があった。
かなり広い部屋だ。
だが、巨人にしては貧乏長屋の一部屋といったところか。
アーティニーは部屋の四分の一は占めているふとんに飛び込む。
ぼよよんとアーティニーはふとんのふわふわ感に包まれる。
「こんなところに住んでるなんて素敵ああすてき」
アーティニーは幸せそうだ。
「おれは一秒だって退屈してしまって冬眠してしまうよ」
ジョルディーはそう言ってアーティニーの横に腰掛ける。
と、ふとんが動いた。
その浮動。
それは黒い毛並みのなにかの生物であった。
ジョルディーはいきおいあまってころころころとゆかにキスする。
アーティニーはバランスを取りながらなんとかその生物の背に止まり、なんて楽しいのかしらと思った。
ジョルディーはあてててと立ち上がり、黒い生物をじっと見た。
それは黒いまりもとでも言うようなものだった。
黒い生物はアーティニーを背に乗せたまま、ふよふよそこらを移動してる。
別段、なにか特殊な力などありそうもないのだった。
「どうもないかアーティニー」
「どうもこうも、こんなに居心地のいい部屋は初めてです」
「このほこりっぽい部屋のどこがいいもんか。なんならこの巨人と同居でもするか」
多少の皮肉も込みでジョルディーは服の土をはらった。
バルディはちょっと見、お宝のにおいがないことだけが不満なのだった。
「それで出口はどこなんだ」
ジョルディーはランプを灯してる巨人に聞く。
巨人はゆっくりとジョルディーに向く。
「宝を探してるのではないのか」
「もちろんだ」
「違う」
「探しましょう」
ジョルディーたちの意見は見事に不一致した。
「あのなあ、アーティニー。おれたちは宝探しをしに来たんじゃないんだ。食料もないんだ。いまは出口を探すのが一番大事なことだと思うんだがな」
「そうですか。そうですよね。しゅん……」
アーティニーは肩をがっくりしなだれて、目線はゆかをとらえ、落ち込んでいる様子。
巨人はどっかと黒い生物に座る。
その反動でアーティニーは波打つ黒い生物の上でぴょんと一瞬空中に飛び上がった。
巨人がぽよんぽよんとしてるアーティニーの顔を眺める。
巨人はじっとアーティニーを見る。
そして口を開いた。
「出口までなら道を知っている」
「そうか」
ジョルディーはうきうきとして落ち着きなく部屋をうろうろしている。
「その途中に入れない部屋がある。もしも宝があるというのなら、そこに違いないと思っていた」
巨人の言葉にバルディとアーティニーは目を輝かせる。
巨人が言うには、出口まではちょっとした行程だと言うのだ。
「じゃあ、帰り道の途中にその部屋に寄ってもいいね」
アーティニーがジョルディーを見る。
ジョルディーはそっぽを向きながら。
「好きにしろ」と言った。
「用意が良ければいつでも歩いていけるぞ」
ジョルディーとバルディはもう部屋の外に出る。
アーティニーだけが部屋にいた。
黒い生物をなでているアーティニー。
名残惜しそうに部屋を出るアーティニー。
黒い生物は着いて来る。
「珍しい」
巨人はうなる。
「黒いのはめったに外になど出ないやつだよ。あんたがあんまりにも楽しそうだから、黒いのは外が楽しいところだと思ったのかも知れない。それにしても珍しい。あんた、変わった人だねえ」
巨人はひとしきりアーティニーに感嘆している。
当の本人であるアーティニーは黒い生物とたわむれて楽しそうだ。
「あなたの名前はたまちゃんだよ」
アーティニーの言葉に黒い生物はに〜と鳴いた。
それにまた感激してアーティニーはさらにうれしくなってしまうのだった。
それから、アーティニーは黒い生物に乗っかって移動しているのだ。
巨人と小人とジョルディーとアーティニーと黒い生物の一団が歩いて行く。
ジョルディーはちょっとした疑問を口にする。
「それで、出口までどれくらいあるのかな」
「後、少し」
巨人はのそのそ歩きながらぼそっと言う。
「距離とか、時間はどれくらいかかる」
「そのうち」
なんとも要領を得ない話しだ。
ぼよんぼよんと、くろたまにひっついて飛び飛び迷宮を行くアーティニー。
きょろきょろきょろ、宝はないか見て、とことことこ歩いてなにか金目の物を探しつづけるバルディ。
なんとも勝手にみんな動いている。
こんな連中と一緒でだいじょうぶかなあと、ジョルディーは思う。
−−心配、だ。
自分がいなければ、この者たちはずっと迷宮を彷徨っているに違いない。
よし、ここは自分ががんばらねばならないだろう。
洞窟には巨人のたいまつだけがとうとうとまたたいている。
それはジョルディーの決意であった。
くろたまが立ち止まったジョルディーにぶつかる。
ジョルディーとアーティニーが抱き合う感じになる。
と、迷宮の壁が光出す。
まるで四方の壁そのものが照明になったような淡い黄色の光がジョルディーたちを灯す。
「うわーきれいー」
アーティニーはくろたまと喜びのダンスをしている。
「なんだこれは。こんなの聞いたこともない」とジョルディー。
ジョルディーはきょろきょろ辺りを見回す。
「これは金になるかな」
小人のバルディは壁を叩いてみるが、取れた壁の石片はすぐに光を失ってしまうのだった。
「だめか」
残念そうにバルディはまた歩き出す。
ジョルディーの前をアーティニーがくろたまとぽよんぽよんとホップステップジャンプしていく。
「おうおう、アーティニー。ちょっとはしゃぎすぎじゃないですかい」
ジョルディーの言葉にアーティニーはジョルディーを向く。
「ばか言っとおいいでないで、あんた、人の好き好き知らんとか、あんた人の恋路を邪魔したら馬に追いかけられて異次元で王様になるでよ」
「なに」
ジョルディーはまじまじとアーティニーを見る。
確かにアーティニーの声なのだが、なにか言ってることが変じゃないか。
ていうか違う人?
「どうしたんだっぺ、アーティニーどんよ」
「そだなこったなこと言うでねえ。運気が逃げるでねえか」
やはり会話の要領を得ない。
これはどうしたことか。
ジョルディーは良くわからない。
「なんだこれはだっぺ」
「旦那、旦那」
バルディがジョルディーに話し掛ける。
「なんだっぺ」
「この壁の光。ここは相手の言葉が偏光して届く場所のようでやすよ」
「そうかっぺ」
くろたまがアーティニーごとジョルディーにぶつかってくる。
「なにすんだっぺ、アーティニー!」
それを聞いたアーティニーは笑顔になる。
なにか喜んでいるようだ。
「な、なんだっぺ」
またくろたまがぶつかってくる。
「なんだっぺ」
「旦那、どうやら姉さんにはいいことに聞こえたらしいねえ。これは難儀かな」
「どうすっぺ。なんだっぺ。バルディ、あんたはなんでそのままなのかなあほんと」
「あっしら巨人や小人などの妖精族はその特性からこういった法則にはあたらないのでごぜえやす」
「そかい」
ジョルディーはちょっと考えている。
「ならバルディ、おまえちょと力貸さんばい。アーティニーにおとなしくしてろゆうてな。頼むよなあおまみゃあさんよおなあよお」
「旦那」
バルディは手を出す。
「なんだべさこの手はよ」
「旦那、あっしも長いこといろんなことをやってきましたが、通訳ゆうんですかい。これは初めてですだよ。だから、それ相応のギャランティーもらわんとですねえ、これは立派に仕事として認められるべきやないでっしゃろか」
ジョルディーはバルディからそっぽを向く。
「も、あんたさに頼まん。巨人どんに頼むさあねえよいよい」
ジョルディーは先頭を歩く巨人に近づく。
「きょどんさあ、アーティニーに言ってやってくれろ。あいつあ、こまったおなごでねえ。よう、言わんわこないなこともねえおいおい」
巨人はジョルディーに一瞥くれる。
「わかった」
うなずく巨人。
「アーティニー、もっと静(すず)かに歩くのだっぺ、モンスターに遭遇したらどすんだこのやっこはようと、言うてなあようよう」
巨人はアーティニーに向き直る。
アーティニーはきょとんと巨人を見る。
「だ、そうだ」と、巨人は言った。
「それじゃ通じねっだっぺっがこのとおへんぼくぼっさのおのお!」
ばたん
左右の四角い壁がぱたと倒れた。
奥のほうは暗く中は見えない。
「これはいってえ……」
ぼよん。
ジョルディーはくろたまとアーティニーにタックルくらう。
もんどりうって、落ちるくろたまとアーティニー。
ジョルディーは落ちる瞬間、くろたまとバルディをつかむ。
バルディも影に落ちて行こうとしてる。
とっさにバルディの手を巨人がつかむ。
なんとか闇の中に落ちずにすむ一行。
巨人は全員を引っ張り上げようとする。
と、巨人は足がすべる。
ごろごろごろ。
みな仲良く転がっていく。
どんごろどんごろどんごろと。
みな、斜面を転がっていく。
どこまで転がるのか。
どどど。
みな、くろたまにぶつかると、転がるのが止まる。
くろたまがクッションになって、地面への着地はなんとかなった。
「みんなだいじょうぶかあ」
ジョルディーの点呼。
「はい」
アーティニーが返事する。
「金が金が落ちたああああ」
うろうろするバルディ。
「うーん、こんなところがあるとはなあ」と巨人。
「どうやら助かった」
さらに言えば意思疎通の魔法からも離れたようだ。
ジョルディーは辺りを探る。
真っ暗なのでどんなものか、辺りの様子がわからない。
「どうしょどうしょ、どうしょう」
いがいとアーティニーがパニくっている。
ジョルディーはついアーティニーの胸をさわってしまう。
それはなつかしく、それでいてとても強い刺激だった。
「どうしょどうしょ、どうしょう」
ジョルディーとアーティニーはバニックしている。
バシュッ
火が点く。
バルディが粉に火を付けたのだ、
「あーびっくりした」
アーティニーはけろっとしてる。
「あ、あのアーティニー」
「なに、ジョルディー」
アーティニーはにっこり笑う。
なにも考えてないな、こいつ。
結論はいつもそして単純なことなのだ。
アーティニーは心配してみんなに聞く。
「だいじょうぶ、みんな」
「おまえがだいじょうぶなら、みんなだいじょうぶだ」
ジョルディーはそう言うと立ち上がろうとするが、アーティニーの足もひっかけてしまう。
ジョルディーはアーティニーにたおれかかり、そして気づくと、両手に胸があった。
「えっち!」
アーティニーに一本背負いされる。
ずてん
ジョルディーはゆかに叩き込まれ、一瞬呼吸が止まる。
「げほっけほっ。こ、い、つはあ〜!」
ジョルディーとアーティニーがどたばた走り回っている。
「つかまえたぞ」
二人は転がりながら木製の扉にぶつかっていく。
ドカッ
ジョルディーとアーティニーが扉を吹っ飛ばしてなだれ込んだところには光輝く玉があった。
バルディがうきうきと走り込んでくる。
「いてて」
ジョルディーを足蹴にしてバルディは宝を取る。
透明な玉がバルディの手に。
それは黄金の光を発するなにか、不思議な感じのものなのだった。
「これはいい商売になるね」
「なんだ売るのか」
ジョルディーが立ち上がって来る。
「違うねえ旦那。売ったらそれまで。不思議な幸福の光として、ふれるだけで健康になるとする。これ商売ね」
「そうか」
ジョルディーは別段気にするでもなく、出口を探している。
「やっと見つけた」
誰の声でもない声がそう言う。
それは低く響く魔法の声のようにりんと響いた。
ジョルディーたちが後ろのほうを見る。
フード付きのぼろ布が空に浮遊している。
風になびいたその黒い布はまるで死神にさえ思えた。
「やっと見つけたのだ。その玉をおくれ」
男とも女ともつかない声がそう響く。
まるで地の底から鈴が響くような声であった。
「わしが先に見つけたんだ!」
バルディは黄金の玉を握りしめる。
「あんたのものだっていう証拠はあるのかい」
ジョルディーがどうでもいいように質問する。
アーティニーはぼろ布の中が気になっていた。
アーティニーは、ひょいとぼろ布を引き上げ、中を見る。
布の中はなにもなかった。
いわば、透明ななにかが布を着ているかのようなものだろうか。
アーティニーは布の中に手を入れ、終(しま)いには布の中に入る。
布の中でもごもごしてるアーティニー。
布はさらに話す。
「それは我が証。我が存在の証明なりて。それを失えば、我が思いは無散してしまうだろう。人に無用なものを望むな。消えろ欲望の僕(しもべ)。この言葉を聞かなければ、その存在を永劫の闇へといざなおうぞ。闇に眠れ。闇に生きろ。それが闇の時間。おまえたちに本質など無用のこと。平穏が欲しいならば、我が言葉に従うのが得策なり。それは苦しみの圧縮の結晶。地獄の業火よりも苦しい本質など人がなにに利用するというのか。人間よ。それを置いて消えるがいいぞ」
「そんな脅しに誰が夢を見るものか」
ジョルディーは剣を抜刀する。
構えるジョルディー。
「愚か者め。その言葉に永劫に呪われるがいい」
布はアーティニーを引っ張ったままジョルディーに進む。
ジョルディーが剣を一閃する。
ごちん。
「いたーい」
アーティニーが頭を抑える。
「ジャマだアーティニー! どっか隠れてろ」
「ジョルディーいたいから聞かない」
アーティニーは布にしがみついている。
ドンドンドン!
炎の呪文がジョルディーたちに炸裂する。
狭い空間だが、ジョルディーの剣は炎を防ぐ。
バルディは岩の影に隠れ、巨人は、のそっと無傷でそのまま立っている。
アーティニーは布の中にいるので、まったくなにも感じない。
布の中はまるで別の空間のような感じで、熱風すら感じなかった。
逆に浮遊感がおもしろく、楽しいくらいであった。
どうするジョルディー。
ジョルディーは自問自答する。
アーティニーが布の中にいるとか、それよりも布相手にどんな攻撃が有効だというのだろうか。
たぷん打撃は効かないに違いない。
だが、この場には魔法使いなどいない。
「巨人さんよ。念のために聞くけれど、魔法は使えないよな」
答えは。
「むろん、使えない」
ちょっとがっくりと。
いやいや。
そういえばバルディは精霊法を使えると聞いたことがあった。
「バルディ!」
「あっしは攻撃系は使えないですぜ旦那」
「そうか」
ジョルディーは布とアーティニーから距離を取りながらどうするか思案する。
と、バルディの手にある球体に目がとまる。
「バルディ、その玉渡しな」
「旦那、後生ですだ。あっしはこれがなくちゃ嫌なんで。あっしのささやかな一攫千金の夢をジャマしないでくだせえ」
「一攫千金と、この場の危機を乗り越えるのとどっちが大事だ。それが純粋な夢を持っている奴の言うことか」
「旦那、すまねえ」
バルディはジョルディーに背を向けると逃げだす。
「これもあっしのささやかな億万長者の夢のためなんでやす」
ひょと、と巨人はバルディの足をひっかける。
すってーんと転がるバルディ。
玉も転がる。
それをキャッチした巨人が玉をジョルディーに投げる。
「よしっ!」
ジョルディーは剣戟で玉を打つ。
カキィイイン!
剣と玉の合間から黄金のまばゆい光が海のごとく波とうねる。
空間が意味を失う。
ジョルディーたちが浮遊感に包まれる。
光は失い、闇の中、まるで無重力、宇宙の中といった感じだ。
ジョルディーは自分がどこにいるのかと、見回す。
星が瞬いている。
下にも上にも周囲一面星の海である。
誰もいない暗い海。
「どこだここは」
ジョルディーは手足をじたばたしている。
空がやってくる。
二層の空がすごいいきおいで過ぎていく。
二面の空。
雲がすごい速さで過ぎる。
まだ世界は多層している。
いや、それでいいのだ。
世界は望んでこの重力を受け入れたのだから。
それは誰かのささやき。
−−誰だ。
ジョルディーは辺りを見るが、誰もいない。
ささやきはなおも続く。
時間はいつかもどってきて、また同じことを繰り返す。
だからいまは相対の流星。
次元は昨日と今日をつなぐ螺旋連鎖。
時間だけがあらゆる面を肯定する。
だからといって、なにもかもがいいとは限らないのに。
世界は混沌の闇。
その闇を誰が受け継ぐというのか。
誰が世界のこの星の影となってくれるだろう。
誰かが闇になってくれなければ、この世界の明日と過去は時間の灯火を失ってしまうだろうに。
それは狂っている。
それはおまえだ。
それは私だ。
闇だ。
人の闇だ。
−−闇? わからない。
闇を希望の弓がいま、うがたん。
法則は万能でも人は万能ではない。
科学は万能でも人は万能ではない。
宗教は万能でも人は万能ではない。
王の治世は万能でも人は万能ではない。
民の治世は万能でも人は万能ではない。
人の治世は万能でも人は万能ではない。
愛は万能でも人は万能ではない。
神は万能でも人は万能ではない。
王は万能でも人は万能ではない。
女は万能でも人は万能ではない。
男は万能でも人は万能ではない。
夢は万能でも人は万能ではない。
欲望は万能でも人は万能ではない。
理性は万能でも人は万能ではない。
時間は万能でも人は万能ではない。
作品は万能でも人は万能ではない。
法は万能でも人は万能ではない。
技術は万能でも人は万能ではない。
言葉は万能でも人は万能ではない。
理論は万能でも人は万能ではない。
力は万能でも人は万能ではない。
正義は万能でも人は万能ではない。
自然は万能でも人は万能ではない。
歌は万能でも人は万能ではない。
戦争は万能でも人は万能ではない。
平和は万能でも人は万能ではない。
宇宙は万能でも人は万能ではない。
本質は万能でも人は万能ではない。
お金は万能でも人は万能ではない。
集団は万能でも人は万能ではない。
個人は万能でも人は万能ではない。
ゆえに人は万能である。
そしてあらゆる思いを闇は万能に人に継承されん。
さあ、この闇を受け入れろ。
なにもかもこの闇に消え、闇に生まれる。
−−なんだ、なにを言っている。
−−おれは万能じゃないぞ。
なるほど。
それがおまえの本質か。
ならばそれはまたおもしろいかな。
ジョルディーはなにか胸が熱くなるのを感じた。
キインキインキイン
なにかが、闇が輝いた。
それは闇の意思。
だから人はまたその影とだけ歩いていく。
誰でもない自分のことだから。
時間は戻ることをしない。
後悔は涙に消える。
けれど、闇だけが心の希望。
それは継承されなければならない力。
それが闇による現実のまたたき。
いつか闇は時間と仲直りして、いつか世界をこの闇の中から探し出して、すべての人の願いを結びつけてくれる。
その闇を。
その願いを。
その思いを。
この闇に詰め込んで、いま、あなたの気持ちに送るまで。
さあ、力よこの少年に宿れ。
闇よ。
力よ。
この少年を本質として、その力を発揮してみればいい。
さあ、力よ、少年の本質となったいま、その力は愛を鍵として希望の扉を開くまで、闇としてその少年の影となれ。
闇の世界よその力よ人々の糧となりて、日々を越えていく草原よ。
思いは誰にも止められない。
それはただ思い出の時。
人よその闇よ。
いつかその闇が宇宙となり、人々が星となる日まで。
私は私たちは闇となりてまた歩いていくのだから。
世界よその力よこの闇をその願いに献上しょう。
闇は永遠。
闇は無限。
闇は希望。
その思いだけが続いていく。
時間だけがその重力だけがすべての願いを闇として引き連れていく。
だからこの思いよ、星々を越えて宇宙のそのまた向こうまで飛んでいけ。
そのままの感情をつないでいて。
本質よ闇に紡げ。
その思いの連鎖が人を希望へと導くと信じて。
少年よ少年よ。
−−なんだ。
ジョルディーは相手もわからず答える。
おまえさんに頼みたい。
−−なにをだ。
いつかこの闇が花開くまで、持っていてくれないだろうか。
それがなんだって言うんだ。
これは私たちの希望なのだよ。
−−それはいい。
−−だが。
なんだ少年よ。
−−その闇が害を成さないと、荷物にならないと誰が言うのだ。
誰も言わない。
−−その意味も知らないというのにおれに託すというのか。
この闇がいつか答えるだろう。
−−まあ、いい。
そうか。
−−力になろう。
. 闇をいま、貴方に果たさん。
ジョルディーはなにかを受け取った。
それは闇だというのだ。
浮遊感は止まり、ジョルディーたちが落ちる。
そこは迷宮の外だった。
ジョルディーたちは大地の上にいた。
空は真っ暗になっていて、星々は満天に思いを紡いでいるのだった。
「おまえが闇を継承するというのか」
空に浮かぶ布がそう言う。
ジョルディーはおどけたように答えた。
「さあね。なにがなにやらいまはわからないな。ただおれは自分の道を行くのみ。それが人生というものだろうさ。あんたたちはそれが、闇とかいうのか。それが本質だとか継承してくれだの。おれはただ自分の道を行くのみ。ついでになにかあったらその闇とやらを届けてやってもいいっていうだけの話しなのさ。別に感謝も期待もいらない。おれはおれのやりたいことをする。それだけのことなのさ。だから誰にも気がねしない。誰もかも、それはその人たちのことなのさ」
「いいだろう。我が永遠のうれいをそなたに託そう。好きにするがいい。さあ、行け。おまえの道を我が闇夜が照らすだろう。いつかおまえが困った時、その闇はおまえの力となって暗く光の中で輝くだろう。さあ、その力を持っていけ。それだけが我らの願いなのだから。それでいい。なぜなら願いは聞くだけでいいのだから。なにをするかは自分次第。それでいい。なにが世界を制すというのか。それはきっと思いに違いないのだからな。その道を行くがよろしい」
「ああ、そうするさ。他の連中にもよろしく言っといてくれよ」
「確かに」
布は力を失い、地に落ちる。
「あらら」
布からアーティニーが出てくる。
正確には布を着てしまっていた。
「似合ってる」
ジョルディーが笑う。
それに釣られてアーティニーも笑っていた。
それでいい。
誰かが言った。
ジョルディーは別にその言葉にはなにも答えないのだった。
「ああ、せっかくのお宝が」
砕けた宝。
バルディは残念そうだった。
涙ぐんでさえいた。
執事付きの豪邸。
バルディの夢が叶うのはずいぶん先のように思えた。
だが、まあ、ジョルディーは自分が闇を引き継いだことは誰にも言わなかった。
それはなんだか、言ってはいけないような気がしたのだ。
だからなんとなく、闇がなんなのか。
闇もなにも言わない。
だからジョルディーはすぐに興味を失ってしまったのだった。
「帰る」
巨人は洞窟へと歩いて行く。
くろたまはアーティニーになついている。
「おまえはいい子だね」
アーティニーはいいこいいこしてあげる。
なでられてくろたまはうれしそうに鳴いた。
くろたまはしばらくアーティニーの周囲を踊っているが、すっかり満足すると、巨人の後に着いて行った。
「あっしはまた宝を探しますぜ」
バルディはまた迷宮に戻っていく。
「それじゃな」
「失礼いたします旦那」
ひょこひょん。バルディは洞窟に戻って行く。
そうして二人だけになる。
ジョルディーとアーティニーはしばらく空を眺めていたのだった。
夜の闇は人々をその思いのすべてを無に照らしていた。
夜の道は出会いと別れの色彩に夢うつつ。
月明かりだけがほのかに樹道を踊る。
ホーホーホー
ホーホー
ホー
どこかでふくろうが夜の譜面に時を告げる。
アーティニーの心に鳥が羽ばたく。
その鳥はどこまでも永遠へと飛んでいくに違いない。
土の道は岩壁と出会うと、それぞれの面へと変わり、それはまるで別れを惜しんでいるようだとアーティニーは思う。
月夜に青く輝く岩の壁は、左右上下にどこまでも続いている。
これはきっと地の果てというものはこういうところなのに違いない。
アーティニーは一人納得している。
近くまで来ると、岩壁の二、三人が通れるほどの亀裂の道が空へ、その先の天までとどいている。
岩の道は昏(くら)く、それは冥府まで続いているかのようで、アーティニーはすっかりおびえてしまった。
「この道を行く」
ジョルディーは自由へと歩き出すが、アーティニーは地獄の魔獣ににらまれたのごとく動けないでいた。
それは希望を失いながら道を歩くこと。
恐怖がアーティニーの心をひたす。
−−そういえば。
−−そうそう。
「この道は危険です。魔獣が出ます。かなり強い存在です」
アーティニーの指摘に、ジョルディーは実に楽しそうに笑って答える。
「この道を抜ければ法呪(ほうじゅ)都市ビバイディアだ。おれはそこに用がある。ビバイディアへはこの道しかない」
「ビバイディアはいま戦いの渦中です。私はビバイディアへは行きたくありません。私は静かな自然に囲まれて暮らしたいのです」
うなだれてアーティニーは言う。
ジョルディーの言葉に希望は空っぽになってしまう。
「だからこそ、おれが平定する。それこそが自然。それこそが二人の楽園に違いない。おまえは黙っておれに着いてくればいい」
ジョルディーはアーティニーと危険へと踊る。
アーティニーは囚われの人。
暗い道は二人をいざない続ける。
破滅の闇が笑う。
強い信念。
一方でジョルディーは自分の信念という迷宮をさまよっていた。
それを知っているアーティニーの心は悲しみの海に波打つ。
月が天の海で輝いている間近に見る蛍のように。
獣の咆吼が二人の心に雷鳴の世界を開く。
眼前が破滅を明滅させる。
危険なるデジャブ。
それは直感であり、当然の心の波紋であった。
ジョルディーは抜刀に鋭気を溜める。
ガガガガガ……。
天上から現れたるは左右の岩と岩を蹴り、神の世界から降臨する魔獣。
それはブリディッシュソードと呼ばれる魔獣の中でも美麗なる銀の毛並みを持ち、巨大な体躯は熊より大きく、サーベルタイガーのような巨大な牙でジョルディーを砕かんと迫る。
ザキン!
破壊の彫像。
クライスラーデジョン。
魔獣の牙はジョルディーの剣と踊り、夢思い大地を求める。
ジョルディーはブリディッシュソードを剣圧で吹っ飛ばす。
サーベルタイガーの体躯に前足と後ろ足は水晶の大剣で出来ている魔獣である。
ブリディッシュソードが体勢をととのえて、走り出す。
その疾走に地響きが響く。
ジョルディーはブリディッシュソードに踏まれないように走る。
ブリディッシュソードの足はまるで走る凶器のようである。
魔獣の足の下を走り抜ける。
ジョルディーはしのぐのでせいいっぱいだ。
反撃の糸口が見つからない。
これはまずいとジョルディーはあせっている。
実際、ブリディッシュソードはかなり強い魔獣なのであった。
ギガン!
ジョルディーの剣がはじき飛ばされる。
目の前に牙があった。
ジョルディーは覚悟した。
ブリティッシュソードがジョルディーに飛びかかる。
ズガガガガガガガガガガガガン!
空から落ちてきた氷のつららがブリティッシュソードをつらぬく。
息絶えるブリティッシュソード。
戦いはあっけなく終わった。
「だいじょうぶですかジョルディー」
アーティニーがジョルディーに走り寄る。
「ああ、なんとか、な」
アーティニーを狙う連中との連日の戦いにジョルディーは疲れていた。
そのうえ魔獣の中でもかなり強いブリティッシュソードとの遭遇である。
生きてるだけでもかなりの幸運であった。
ジョルディーとアーティニーは岩道を越えて、丘を越える。
朝日が空から雲間から輝き始める。
光がビバイディアの大地を照らす。
そこには兵士たちの屍がどこまでも続いている。
戦う人々の雄たけびが大地から響いてくる。
戦いは続いていた。
茶色の甲冑の軍勢と青い甲冑の軍勢が戦っている。
それは盆地一帯で続き、人の波が荒ぶる海のごとくなびいていた。
圧倒される状態に、ジョルディーはうきうきとしているかのようだ。
ジョルディーの瞳はもう戦いしか見ていなかった。
「ここで隠れていろ」
アーティニーがなにか言う前にジョルディーは動き出す。
ジョルディーは戦いの渦中に飛び込む。
軍勢の中に単身飛び込んだ。
それは一瞬の演舞。
ガギギギキギギギギギギギギギギギギギ
ギギギ
ギギン!
次々と騎士たちの剣を叩き折っていくジョルディー。
剣の破片は霧のように光輝いた。
ジョルディーの伎は圧倒的である。
剣を折った相手には蹴りを入れて気絶させている。
これは武器を持たない者は戦場で危険であるためだ。
海千山千の騎士たちを相手にジョルディーはすさまじい力を発揮する。
確かになにか戦乱の時代を圧倒する力がジョルディーにはあったのかも知れない。
何人の剣を叩き折っただろう。
光がジョルディーを包む。
遠くの山脈から太陽が輝いている。
日の出である。
ジョルディーは動きを止める。
ジョルディーのまわりは倒れた騎士たちで埋まっていた。
その数は千人にもおよぼうというものである。
それをジョルディー一人で倒したのだ。
両軍ともジョルディーを遠くにとりまき、距離をとっている。
両軍の標的はいまやジョルディーたった一人であった。
数千人の軍勢がジョルディー一人を狙っていた。
「弓をかけろ!」
騎士隊長らしき者の声が飛ぶ。
いかなジョルディーといえど、弓の一斉掃射には耐えられないとの考えからだろう。
両軍に睨まれ、息もあがり、ジョルディーは立ちすくんでいた。
まだ戦える。
ジョルディーは構える。
空を鳥が自由に飛ぶ。
ジョルディーには空を駆ける翼が無かった。
それを一度なりと望んだことはない。
だが、翼はジョルディーの前に舞い降りた。
それはジョルディーに生きる意味を与えた。
それは一人の少女だった。
両軍の人垣から少女が躍り出る。
「アーティニー!」
ジョルディーのところまで走って来たのはアーティニーであった。
アーティニーはジョルディーに駆け寄る。
「なんで来た」
「私も戦います」
だが、この状況にはなにも変わりはない。
弓という弓は変わらず向けられていた。
アーティニーは空を見る。
鳥がいない。
静けさが空を包んでいた。
雲の動きがない。
「なにか変です」
アーティニーが言う。
「なにが変だって言うんだ」
ジョルディーが辺りを見回す。
ジョルディーも気づいた。
それは空だった。
両軍の弓がしなった。
その時。
天が輝いた。
空に光球が輝く。
それが騎士を両軍を叩きのめす。
ジョルディーはなにが起きたのか、唖然とする。
次々に光球は天から落ちてくる。
両軍とも散り散りになる。
そこへ別の一団が丘から流れ込んできた。
馬の一団には黒い鎧に包まれた者たちが装馬している。
その一団は全員魔法で攻撃しながら、残りの騎士たちを倒していく。
蜘蛛の子を散らすように両軍の騎士は退散していく。
呆然と立っているジョルディーとアーティニー。
新しい一団はジョルディーとアーティニーには目もくれず戦っている。
しばらくのち、戦いは終わった。
勝ったのはビバイディアの軍隊でも、敵対するラインディアでもなかった。
黒い鎧の一団だった。
ジョルディーの前を黒の騎馬隊が通り過ぎていく。
ジョルディーは黒の一団に駆け出す。
ジョルディーが転んだ。
アーティニーがジョルディーに体当たりして、抱きしめて離さなかった。
「離せ」
もがくジョルディー。
「あれは、あの人達にはジョルディーでは勝てません!」
ジョルディーは知らないが、両軍数十万の軍勢を黒の一団は千人にも満たない軍勢で打ち破っていたのだ。
一騎当千の軍団であった。
アーティニーが止めたのは、まさに直感の正しさであった。
もがいてる二人の前に、止まる騎馬があった。
降りた武人は体格が良く、黒い鎧に黒いマントをしていた。
兜を取った顔は中年の男であった。
まわりの騎馬の者たちも馬から降りて兜を取る。
みな、女のダークエルフだ。
何人か人間の男もいたが、大半はエルフばかりなのだった。
「少年と少女とは、戦場に咲いた花かと思ったよ」
中年の男はそう言う。
顔とは違って柔和な感じを受けた。
ジョルディーはアーティニーを振り切って一団に迫る。
ダークエルフたちが前に出る。
ガギギギギギギギン!
一瞬でエルフたちの剣を叩き折る。
唖然とするエルフたち。
ジョルディーは呆気にとられるエルフたちを一気にぬけ、男に迫る。
「ダリル様!」
女の声がした。
がつ!
ダリルにジョルディーの剣がヒットする。
エルフたちは息をのんだ。
ダリルはジョルディーの剣を片手で受け止めた。
ダリルは微動だにしない。
「この剣は、おもしろい」
「くっ」
ジョルディーが苦い顔をする。
ダリルがジョルディーの剣を眺めている。
ジョルディーが力を込めても、剣は微動だにしなかった。
「この剣には武器だけを破壊する強力な魔法がかかっているな。そのかわり人を傷つけないようにしている。おもしろい一品だ」
ダリルは豪快に笑った。
「笑うな」
ジョルディーの言葉にダリルはジョルディーを見る。
「その修練は素晴らしい。少年。我が戦いの一端となり、その剣を振ってみないか」
「おまえたちも同じだ。なにも変わらない」
ジョルディーの視線はナイフのようにダリルを射る。
「我々は戦いをなくす戦いをしている。先程の連中はいくつもの街を壊滅させてきた。それでも戦っている。それを止めたのだ。それが報いでなくて、許しでなくて、なんだと言うのだ。これが天の戦いだ。力を貸せ。その力こそが世界を動かす原動力だ」
ジョルディーはまばたきする。答えは決まっていた。
「おれは戦うんじゃない。おまえの仲間にはならない」
ダリルは手を離す。
ジョルディーはいきおいあまってふらふらとひざをつく。
「少年、戦いでなければなんだと言うのだ。同じ道を行くのならば、仲間は多いほうがいいに違いない。おまえは若いからまだ理解できぬのだ。なにが正しいか、なにを信じるか、選べ。時間などすぐになくなって、手はしわに包まれ、その足はくたびれ、その心はなにも感じなくなろう。いまだから出来ることをするのだ。さあ、この手をとれ。戦いに死ぬのならば、意味のある答えが必要だろう。それならばここにある。おまえの力は私だ。その剣を神と我にささげよ」
「これは戦いじゃない。おれは歩いているだけだ。これは散歩だ。趣味だ。ただ命をかけているだけだ」
エルフの一人が笑った。それはエルフィールだった。
「ならば我と勝負しないか」
ダリルが提案する。
それはいたずらをしている少年のような顔だ。
「なんの勝負だ」
ジョルディーは立ち上がる。
「剣で戦い、我が勝てば少年、おまえは我々の仲間だ」
「あんたが負けたらどうするんだ。こんな戦いをやめてくれるっていうのか」
「いいだろう。おまえが我が剣を砕けば、我々はいっさい、その行いを改めよう」
ダリルが抜刀するよりも速く、ジョルディーの剣がダリルの剣をさやごと捕らえる。
キイイン!
澄んだ音が響いた。
それは心地いい響きだった。
ダリルの剣は折れなかった。
ダリルは軽くジョルディーの剣を流す。
「言ってなかったな。我の剣にも魔法がかかっているのでね。きみの剣とは同じくらいの強度はあるのさ」
立て続けにジョルディーは剣撃を放つ。
そのすべてをダリルはいなす。
まるで大人が子供をあやすように。
技術の差も歴然であった。
ジョルディーは肩で息をする。
疲れたのではない。
それは精神的な圧倒がジョルディーの動きを鈍らせる。
ジョルディーの動きが止まる。
勝てない。
なにか心の奥の闇がそうささやく。
なにをしても叶わない。
これは現実の理解だと闇はうながす。
動けない自分を呪い、負けた自分を憎んだ。
それは絶望だと言葉を変えても良かった。
「ジョルディー、がんばって!」
−−だれだ?
−−とり?
−−そら?
−−きぼう?
−−ねえ、なんで泣いているの。
少年は少年に聞く。
少年と少年は大地を駆け巡り、お互いの夢を語った。
いつか旅に出ようと話した。
それは楽しい旅になるはずだった。
商人のバルデイがいいルートを安く案内すると言った。
人生が順調ならば剣などいらないに違いない。
いまがまさにそうであった。
一瞬の邂逅。
−−そう。
−−そんなこともあった。
−−ぼくにはいつかしたい夢があった。
−−もう忘れていたよ。
闇はうつろう夢のごとく。
−−それはもう昨日のこと。
もうもどらないこと。
−−いいんだ。
−−もうなにもかもどうでもいいから。
少女がいた。
それは希望の鳥。
心に舞い降りた絶望という名の未来に輝いた希望のいまという時。
「ジョルディー、ジョルディー!」
アーティニーの声に我に返るジョルディー。
そう、負けてはいられないのだ。
これは自分の意地だ。
誰でもない。自分だけの思い。
深呼吸するジョルディー。
心の奥底から自分の力を。
ジョルディーはダリルに向かって走る。
渾身の一撃をジョルディーは上段から叩き込む。
ダリルは軽く剣で受け止めた。
見えた。
少女の姿が。
−−誰だおまえは。
ダリルは問い、そして答えを得た。
その名はアーティニー。
パ、キイ……ン。
ダリルの剣が砕けた。
ジョルディーの剣がダリルをとらえた。
ごちん!
ダリルの頭にジョルディーの剣が当たる。
「まいったか」
ジョルディーは勝ち誇った。
エルフたちが前に出る。
エルフたちは黒い鎧から剣を抜刀する。
それは黒い海の波のごとくうねり、輝いた。
死が舞い踊る。
エルフの海が動く。
ジョルディーを砕かんと数々の剣が紋様のごとくうごめく。
ダリルの片手が上がる。
エルフたちは止まる。
一瞬の乱れもなく全員止まった。
エルフィールだけ前のエルフの鎧に頭をぶつけた。
いててと頭をかかえるエルフィール。
ダリルはジョルディーを見る。
「いい一撃だ。少年。いいものだ。忘れていたものを思い出させてくれたよ。しかし、まあ、我が負けるのもわけはない。おまえには勝利の女神がいたのだからな。大事にしろ。守る者が世界で一番美しい。それがおまえの生きる意味としろ。それがおまえの目指したものだ。なに、夢は変わるものだ。特にこんな場所ではな。おまえは自分の力に生きて来た。それはいい。だが、そのままでは少女は生きられまい。守るとは時に後ろ向きなことではないかな」
ダリルはジョルディーに背を向けると乗馬する。
「逃げるのか」
ジョルディーの背にアーティニーのぬくもりがあった。
その思いに動けない。
ダリルを追わずに立っているジョルディー。
ダリルは馬上からジョルディーを見る。
「約束は守ってやろう」
豪快に笑いながらダリルは、その馬とともに走り出す。
エルフの一団も後に続いた。
黒い風が過ぎると、ジョルディーとアーティニーだけがそこに残された。
ジョルディーがアーティニーの手をとり、歩き出す。
「あなたも変わるべきです」
アーティニーはジョルディーを見ながらそう、うながすが、ジョルディーはアーティニーなど見ていなかった。
「おまえは黙ってればいいんだ。まだ行くべきところはある。次の街へ行くまでだ」
アーティニーは泣き出した。
「いやです。もういやです」
ジョルディーはアーティニーをかえりみないでその手を引っ張る。
「これから、まだ、まだ、まだ。まだだ!」
ジョルディーは歩き続ける。
アーティニーの腕はしっかりとつかんでいる。
ジョルディーはアーティニーを連れている。
それは厳しい旅だった。
武器という武器を叩き砕く。
だが、大規模な戦いにはジョルディーは遭遇しなかった。
付近の国の戦乱はダリルが平定していた後であったから。
ダリルはあれ以来消息を聞かず、風の噂になにかいままでにない方法で戦乱を止めるというのだ。
とにかくジョルディーはちょっとしたいざこざでもその腕をふるったが、それでもなにか違うと感じていた。
ジョルディーが生涯をかけてなそうとしたことはこれではないと、どこかで誰かがいうのだ。
そんなジョルディーの前に女ダークエルフが現れたのは、偶然だっただろうか。
「ダリル様がお呼びだ」
そのダークエルフはそう言うのだ。
ジョルディーは別段そんなことは知ったことではなかった。
ただ争いの噂を聞けば、アーティニーを連れて平定しに旅をする。
その連続であった。
「おじちゃんもうちょっとまけない?」
アーティニーは野の菜屋のおいちゃんと話している。
もっぱら食料調達や日々の雑用はアーティニーの役割となっていた。
「アーティニー!」
ジョルディーの呼びかけにアーティニーはおいちゃんに手を振ってジョルディーの元に駆けて来る。
「これからダリルの元へ行く」
アーティニーはうなずく。
五人のダークエルフがジョルディーとアーティニーを囲む。
エルフの呪文詠唱ののち、なにか光の竜がその場の者たちを通りすぎる。
ジョルディーたちはその場から消える。
気がつけば、城の前にいた。
「これはダリル様の城だ」
雷雲に渦巻く空の下に、平原は四方にどこまでも続く。
その中でぽつんと城があった。
洋風のレンガの城はずいぶん古いものであるようだ。
ダークエルフにうながされるままに城に案内される。
ダリルは高い塔の一番高い部屋にいた。
そこは魔法の照明でほのかに空間が広がる闇の部屋であった。
「よう、少年」
ダリルは椅子の上に座っていた。
丸メガネをはずすと、本を置く。
「なんの用だ」
ジョルディーは不機嫌だ。
「なに、きみたちとの約束を守ったのでね、そのむね、報告しておこうと思ってね」
「約束?」
ジョルディーは考えるが、よくわからない。
「なに、誰も傷つけずに争いを終わらせるのだよ。魔法を使えば実に簡単なことだったよ」
ジョルディーにはなにを言っているのか解らない。
「それで、どんな方法なんだよ」
「なに、魔法でね、ちょちょいとね、争ったらクリスタルに閉じ込めるのさ。これで人々は安心して眠ることができるだろう」
やはりジョルディーにはなんのことか解らない。
「具体的にはどうなるんだよ」
「こうなるのさ」
ダリルは闇になった。
その存在自体が闇。
それは闇の中の闇。
ジョルディーは抜刀する。
だが、ジョルディーが振りかぶった瞬間、ジョルディーはクリスタルに閉じ込められる。
キイイイイン……
まるで美しい蒼いガラスにでも閉じ込められたようだ。
「さあ、その戦いももう終わったのだよ。なにせいまは誰も戦わない時代の始まりなのだからね」
ダリルは部屋から出ていく。
アーティニーだけが部屋に残された。
アーティニーはひきずってひきずって、ジョルディーのクリスタルを動かす。
平原を砂漠をなんとか歩いていく。
ようやっとある街まで着く。
そこでアーティニーは生活を始めた。
それは長い同じ日々の繰り返し。
皮肉なことに、ダリルの封印の魔則は完璧だった。
誰もアーティニーの求めた平穏な生活をさえぎる者はいない。
アーティニーは満足だった。
ジョルディーがいないことを除けば。
静かなさびしい日々の続くことにアーティニーも慣れていた。
アーティニーは街はずれの畑仕事の手伝いを終え、ジョルディーのいる家に戻って来る。
そこで黙々と暮らした。
アーティニーは何年経ってもその外見に年をとらず、アーティニーを知る人々は不思議に思った。
噂は噂を呼び、アーティニーの元に数々の人々が訪れるようになった。
その人々はといえば、アーティニーを神の再来だのなんだのと、拝んでは喜んで帰って行った。
何年経っただろう。
いや、それは何十年にもおよぶ月日が過ぎていた。
アーティニーはジョルディーの閉じ込められたクリスタルに近づく。 アーティニーの唇がクリスタルに触れる。
その何十年もの歳月のあいだ、内に込めた力をクリスタルにそそぐ。
空っぽの現実に言葉を贈る。
それは思い出。
それは空の色。
それは。
愛。
に違いない。
カ……キイ……イン
クリスタルが透けて砕けていく。
アーティニーの唇がジョルディーの唇に触れた。
ジョルディーの瞳が開かれる。
アーティニーは離れる。
ジョルディーは立っている。
そこにジョルディーがいた。
それはあの日の変わらぬジョルディーなのだった。
「あ? ダリル!」
ジョルディーは辺りを見る。
ちょっとつまづいて転んだ。
それは数十年ぷりの一歩であったのだ。
なにか感覚が違う。
それがジョルディーの違和感だった。
アーティニーは笑ってジョルディーを見ている。
「ダリルはどこだ。ここはどこだ。おれは、いや、いい。それよりお前、なに喜んでいるんだ?」
「楽しいのです」
「なに言ってるんだ」
アーティニーはくすくすくすくす笑っていた。
ずっと笑っていたのだった。
アーティニーが落ち着いてからジョルディーは説明を聞く。
「ふーんそうか」
ジョルディーは納得する。
ジョルディーに疑問もとまどいもなく、ただ剣の先に見えるもの。
それがジョルディーの真実であり、すべてなのだった。
「そうか、それではダリルを倒しに行くぞ」
アーティニーの顔が曇る。
「戦うのですか?」
「だからダリルを倒せばいいのだろう」
「それはそうですが……」
「なにか文句でもあるのか」
ジョルディーはアーティニーを見る。
「ありません」
アーティニーは意を決したようにジョルディーには見えた。
いつも通りだ。
これからもずっとそうであろう戦いの日々。
「それじゃ用意しろ。旅だ」
アーティニーが光に包まれている。
ジョルディーはとっさにアーティニーの手を取った。
そういえば手をつなぐなんてひさしぶりだろう。
ジョルディーがとっさに考えたのはそんなことだった。
と、手が軽くなる。
アーティニーを見ると、アーティニーが光に包まれてその姿は透けていく。
「おい、どうしたアーティニー。なんだこれはおいどうしたんだ」
−−私は消えます。争いから逃げるのです。
「おい、おれはどうなるんだ」
−−あなたのいない場所へ行きます。
「おれと、おれはおれは……」
アーティニーは光となって消えてしまう。
後には、ジョルディーだけしかいなかった。
あれからいくつかの年を越えた。
街の酒場でジョルディーは酒を飲んでいる。
髪とひげは伸び放題。ぼろを身にまとい、力なく遠くを眺めている。
あれからダリルは封印の魔則によって、争う者をクリスタルに閉じこめ続けている。
確かに争いは無くなった。
ジョルディーと約束したように戦ってすらいない。
だが、国ごとクリスタルに閉じこめられる人々まで出ていた。
数えきれないほどの人たちがクリスタルに閉じこめられていた。
静かになったようでいて、人々の心に闇は増長していった。
ジョルディーのいる酒場でケンカが始まる。
酔っぱらい同士のケンカ。
そう見えるがまわりの者たちは逃げ出す。
ケンカした二人がクリスタルに閉じこめられていく。
ジョルディーはそれをながめて、また酒をあおった。
ダリルに戦いを挑む者もいた。
そのすべての者がクリスタルに閉じこめられた。
世は戦乱の時代を抜けた。
そして訪れたのはなんであったのか。
ジョルディーにはどうでもよかった。
ただ失ったものを酒で埋めていた。
日々。日々。日々。
なにもいらない。ただひとつだけをのぞいて。
静寂を女の声が破った。
「これがどういうことかわかっているのか」
それはダリル配下のダークエルフだった。
中年の男を怒鳴っている。
男は平謝りだ。
「ひったてる。着いて来い」
男は逃げ出した。
ジョルディーにぶつかって床に転がった。
「束縛の言葉よ、この者をとらえよ!」
束縛の魔法がジョルディーと男を捕らえる。
「牢獄ならば、まだ空きはあるぞ」
エルフが歩いて来る。
−−負けないで。
少女の声が響く。
確かに聞こえた。
ジョルディーは辺りを見回す。
誰もいない。
ジョルディーは立ち上がった。
魔法はジョルディーから離れる。
ダークエルフの束縛の魔法はジョルディーをとらえていなかった。
魔法を無効化するなど、かなりの力の持ち主なのか。
ダークエルフは身構えることはしなかった。
封印の魔則で争いは起きない。
支配するダークエルフはある意味ふぬけていた。
「なんだおまえは、抵抗するならば」
その時なにかがジョルディーの中で明滅する。
それはなにかなつかしい思いだったのだ。
ジョルディーは自分でも考える前に行動していた。
ジョルディーのパンチがエルフのみぞおちに決まった。
倒れるエルフ。
ジョルディーはクリスタルに包まれない。
なにも起きてはいない。
「これはいったい……?」
ジョルディーは自分の中でなにかが波紋しているのを感じた。
「そうか」
それはアーティニーの思いであった。
それがジョルディーを封印の魔則から守っていたのだ。
ジョルディーは理解した。
アーティニーは姿を消した。
しかし、その思いはジョルディーをいつも守っていたのだ。
涙するジョルディー。
それは悲しみでなく、しあわせの涙なのだった。
一通り泣いた後、ジョルディーは歩き出す。
もう一度、ダリルと戦うために。
その道はまたアーティニーとの道でもあったから。
エルフィールはそれを見ていた。
そしてジョルディーも。
二人の前にはアーティニーがあの時のままに、少女の姿で立っていた。
「おひさしぶりです」
アーティニーがそう言って笑う。
「ひさしぶり」
ジョルディーも笑った。
なんとなくエルフィールは黙っていた。
「あの時私は……」
アーティニーの言葉にジョルディーは黙っている。
「ジョルディー、あの時あなたが傷つくのを見るのがもう耐えられなかったのです。だから、あなたと一緒には行けなかったのです。でも、見捨てたことなど心に誓ってないのです。ただあなたが静かに生活していてくれたらと思っていました。それは私の思い上がりかも知れません。あなたにはあなたの人生があって、私はなにもしないで逃げてしまったのですから。でも、私にはたえられなかったのです。その戦いに。その破滅に。あなたが苦しむ姿に」
ジョルディーはうなずく。
ジョルディーの気持ちはアーティニーに負けないくらいやさしい気持ちにあふれていた。
「アーチャがいい」
ジョルディーの言葉にアーティニーがきょとんとしてる。
「アーティニーの愛称はアーチャがいいと思う。どうだろう」
アーティニーはうなずく。
「とてもいいと思います」
アーティニーは笑っている。
「アーチャはこれからどうしたいんだ」
ジョルディーはアーティニーに聞く。
「あるがままに、自然と調和の歌を歌いたいと思います」
「そうか」
ジョルディーはうなずく。
ジョルディーはエルフィールのほうを見る。
「それでいいか」
ジョルディーの言葉にとまどい、うーんと考えて、しばらくしてからうなずくエルフィール。
ジョルディーはアーティニーを見る。
「きみは変わらないね」
「私は時間の運動における一時の梅雨に過ぎないのです」
「わからないな」
「私は別の世界の神でもあるのです」
「そうか」
「あなたを封印の魔則から守るためには、私が冥界にいる力をフィードバックすることにより、達成されるものでした。一緒に戦うことが出来ないことをお許しください。世界が滅亡しても私は生き続けます。それはとてもさびしいことなのです。私には帰る世界もなく、たださまよう永遠の空の鳥なのです。飛ぶことは止められず、ゆえにどこにも止まる木はないのです。あなたとなら、なにか得ることがあると思っていました。それは本当の気持ちだったのです。嘘偽りなく、ただそう思っていたのです」
「ああ、いや、いいんだ」
「ジョルディー、またあなたと冒険がしたいのです」
アーティニーはそう笑う。
「そうだね。……アーチャ、きみの願いが知りたい。教えてくれ。きみの夢をその心を」
ジョルディーの手に光がある。
それに手をのせるアーティニー。
二人はエルフィールを見る。
「これでいいのか。もっとなにか、他にないのか。話しだってしたいだろう。一緒に歩きたいだろう」 エルフィールの言葉に、ジョルディーとアーティニーは沈黙している。
「くそったれ!」 エルフィールも光に手をのせる。
光がすべてを包む。
−−夢があります。
−−それはどんなことだろう。
−−それは言ってしまったら叶わないものなのです。ただ。
−−なに。
−−ジョルディーが歩く道に祝福あれ。
光が消えると、また元の木々の中にいた。
アーティニーはどこにもいない。
石版のあった場所には、見たこともない花が咲いていた。
「彼女は、アーティニーはおまえが望めば戦いについて行くと思っていた。なぜ引き留めなかったジョルディー」
エルフィールはジョルディーの腕をつかんで言う。
「アーチャの好きな道を歩いていてほしかった。過去にも未来にも束縛されない生き方をしてほしかったんだ」
ジョルディーは空を見ている。
木々の葉音が自然を奏でる。
「いまはエルフィール、きみがいるじゃないか」
ジョルディーの言葉にあわてるエルフィール。
「わ、忘れるな。私はおまえを暗殺するために一緒に旅をしてるんだ」
「覚えているさ」
ジョルディーは歩き出す。
その後をエルフィールと、一行が続いていた。
一行はまた歩き出した。
第九話 魔王記
エルフィール一行は旅をする。
冬を越え夏を越え旅をする。
それは長いようであり、一瞬の月日のようであった。
それは昨日と踊る明日と夢見るような本質の道。
樹木の道をくぐり抜け、陽光の元にまた歩を進めるエルフィール一行。
穂(ほ)が実る。
どこまでも続く黄色い穂(ほ)の平原。
風にそよぐ穂。
風に踊る穂。
風に舞う穂。
穂
穂
穂
穂
穂
穂、穂、穂、穂穂穂穂穂穂穂穂穂穂穂穂穂穂 穂 穂 穂 穂 穂。
太陽の光を浴びて穂は喜びのさざなみ。
世界はどこまでも続いていて、それは人いるかぎり、冥界に人が増える限り、この世界は広がり続けるのだから。
人は過去を忘れていく。
けれど、冥界(じごく)がその広さを止めることはない。
人は夢の価値をいつかあった過去の日に求めるものだから。
明日を目指す女がいる。
それはいまを歩く男に助けられた女。
その女の声に答える女がいる。
それは冥界で昨日からずっと忘れられていた歌を歌う女。
それは冥界の人。
それは夢の人。
過去の人々。
「おまえは王にならないか」
エルフィールのその一言。
エルフィール一行の前には女性が一人だけ立っている。
他には誰もいない穂の広場。
エルフィールに贈られた言葉に、女性は踊る。
二十歳くらいの年だろうか。
端正な顔立ちがうるわしさを放つ。
そんな気がダリルにはした。
黄色のワンピース、その深いスカートが大地をエスコートするように揺れる。
女性の踊りは見事な踊りだ。
足元まである長い黒髪が雄壮に揺れながら空を歌い、髪は風に流れ、天まで揺れる。
女性の右手は昨日を描き、左手は過去を描く。
忘れられた日々と踊る。
世界はまだこんなにも変わっていけたから。
リビングスカイ。
美しい。
思いは連弾となって風に波うつ。
映す世界よ。
その色よ。
心が躍る美麗さよ。
その場の誰もが踊りの華麗さに感嘆した。
見る者の心が躍りだす力がその女性の踊りにはあった。
ジョルディーは見とれている。
「いへへ」
エルフィールがジョルディーの口をひっぱっている。
ミラルはくすりと二人を笑う。
ダリルは無言で微笑ましく思っている。
ダミエールは無言でうらやましく思っている。
ハイベルはくしゃみしていた。
異変。
時はそのままでは一時たりとてなく、世界は回転に螺旋の進化をすすめ。
氷ついた心のもやは、もうそれは希望のようにゆらりゆらりと雲のよう。
変わり続ける時。
その認識。
そしてそれゆえに世界は一瞬ですべてが変わる時の宴。
その女性の踊りを中心に見えない風が穂を吹き飛ばす。
黄色の疾風。
その疾風はなにもかもが吹き飛ばされそうなくらいだ。
そう、この苦しみも悲しみも一瞬で風と舞い散るさだめ。
だからまた、この種に希望を込め、銀色になれとつぶやいたから。
ダリルが防御の魔法で皆を風から守る。
どのくらいの時が過ぎただろうか。
女性の踊りが止まる。
穂の絨毯(じゅうたん)が見渡す限り続く場に、女性は一人だけでいた。
女性のまわりだけ穂が舞っている。
それは螺旋のように穂。
それは思い出のように穂。
それはおととい忘れていた穂。
穂っと女性はため息をついた。
エルフィールは口から草をとる。
不快と土まみれのエルフィールは怒り心頭である。
「なにをする!」
エルフィールの言葉にその女性は答えない。
女性の赤い瞳の視線がエルフィールをとらえる。
恐怖、
葛藤、
信念。
エルフィールが吹っ飛び、木にぶつかって止まる。
エルフィールと木がきしんだ。
ダリルの防御魔法はまだ機能していた。
それを越えてきた攻撃だった。
なにが起きたか誰にも理解できなかった。
どんな魔法かとミラルは考えるが、ちょっと知らない魔法なのだった。
ダミエールはエルフィールへと駆け寄る。
ジョルディーは抜刀すると女性へと駆ける。
ミラルは魔法でジョルディーにいろいろな防御魔法を何度もかける。
ハイベルは大地に剣をうがつと神の力で女性の下の大地を砕く。
鳥は飛ぶ。
無意識の自由はその翼の中に包まれていたから。
なにものにもとらわれない思い。
忘れられた世界の番人。
その希望はその夢は闇の中からいつも宇宙の果てをその翼としていたから。
女性は跳躍した。
女性の世界が回転する。
軽く十メートルは飛んだか。
女性はジョルディーの目の前に着地する。
まるでここが自分の居場所であるかのように、ごく自然なものなのだった。
ジョルディーはその動きを女性に止められる。
女性はジョルディーにキスをしていたのだ。
ジョルディーの世界が変転する。
景色が変わっていく。
景色の踊り。
空間は時代は世界は変わり続け、ジョルディーはある時には現代にて働いていたり、ある時には宇宙戦艦でパイロットをしたりしていたのだ。
それは一瞬であったが、ジョルディーには永遠にも思える時間であった。
そして、それが過ぎてしまうと、それはうっすらと、少しか思い出になっていないのであった。
確かにあったはずの思い。
それは無塵の闇。
それはかつてあった世界の話。
それは万有引力の心の作用。
それは払われていない、利息のツケ、なのであろう。
女性の存在がその世界だとジョルディーは思う。
神話が神であった時代。
物語は神の言葉。
それはその日の生活の思い出。
だから生活は物語の続き。
「ここは……」
ジョルディーは忘れていたものを思い出した。
それは一瞬の時代。
ジョルディーが忘れていたものであった。
−−だからそうだろう。
闇がいななく。
タイムラグなく、ジョルディーは女性と対峙していた。
着地の瞬間ダリルの攻撃魔法が女性をとらえ、ジョルディーは剣で牽制しながら女性の足をはらう。
世界はゆっくりと動いていた。
ダリルは攻撃魔法を放つ。
ダリルの魔法は効果を示さなかった。
女性の防御にダリルの攻撃魔法はすべて無効果だったのだ。
ちょっとミラルはびっくりした。
ダリルの攻撃はかなり強い魔法であって、これを防御するというのは、魔法を使う者には驚きと賞賛に値することなのであった。
おっと。
敵をたたえている場合ではない。
ミラルはなにか策を考えているが、なにも思いつかないのであった。
−−スランプかしら。
ちょっと別の意味で悩みむミラルであった。
その女性は魔法の防御だけでなく、ダリルの攻撃魔法と同時に来たジョルディーの足払いを、ひょいと手でジョルディーの足を受け流して、ジョルディーの足の流れを空に向けさせる。
よってジョルディーは空に蹴りをしたような形になった。
女性がジョルディーの顔にでこぴんする。
空中でジョルディーはくるくる回転した。
空をガメラよろしく転がるジョルディー。
女性はなにを思ったか、ジョルディーと一緒に転がっている。
女性はジョルディーと踊る。
ジョルディーは女性と回転しながら向かい顔。
そんな状態でもジョルディーは女性に蹴りを入れる。
女性の手がちょっとなとな。
その蹴りに座る女性。
ちょうどベンチに腰かけるように自然な動作であった。
女性はジョルディーと一緒に空中を回転していた。
真近で見ると綺麗だとジョルディーは女性を見た。
「だから……ゆえに……という……」
なにか、女性が言葉を紡いでいる。
ジョルディーは飛ばされながら空中で身構えるが、この距離の魔法攻撃を防ぐ手立ては無い。
−−ここまでか。
だが、女性からは一向に魔法はこない。
ジョルディーは女性とともに着地する。
女性はなおも言葉を紡いでいた。
ジョルディーが聞いていた言葉は呪文ではなかった。
それは歌であったのだ。
女性は歌いながらいつのまに手に入れたのか黄色い花を手に持ってそれを眺めていた。
エルフィールは木に吹っ飛ばされた時に背中から激突する。
息が止まり、胃液が吐き出される。
しばらく吐きながらうめいている。
「だいじょうぶか」
ダミエールが駆けて来る。
エルフィールにその声は聞こえていなかった。
ダミエールの姿も見えてはいなかった。
エルフィールは駆け出して叫んだ。
風が雷鳴する。
それは精霊の歌であった。
エルフィールの声が響く歌の風。
「我が怒りよ空に吠えろ。この存在こそは怒りの結晶。その思いは空さえおおう。サラマンダー! 破壊と破滅だけが炎でなく、その息吹は星の紋章。世界はその世界から生まれた。煉獄(れんごく)の使徒。サラマンダー! 水よ空に飛べ。悲しみの雨となり、また降りそそげ。愛は情熱。ゆえに海は思いの炎。ゆえに空の夕闇は思いの炎。サラマンダーよ。その存在よ。世界が始まりの歌を歌えば、炎は世界から世界は炎から自然を明滅するのだ。炎よ世界に螺旋せよ。構築の日。火の心よ無の心よ、空が紅蓮(ぐれん)の夕日に染まるとも、いま、世界は本質を求めん。烈火(れっか)の車輪を心とせん。いまいでよ、原始の世界の烈火を空に描かん。その偉大なる心を放たん。サラマンダーよ! なぜおまえだけが破壊の翼を持つのか。なぜ休むことなど炎の翼には求められないのか。なぜ人には炎の翼はないのか。再生の紅蓮よ。その炎の翼でどこまでも飛んでいけるというのに、なぜこんな場所にいる。さあ、答えよ、いまいるこの時、この場の力となって。いつか時代が勇気するまでのことよ。紅蓮の使徒、サランマンダーよ!」
炎の絵が空に描かれる。
それは平面に描かれていく。
それは絵ではなく、炎の精霊世界なのだった。
熱砂と火山の国よ。
水なき炎の精気の渦とうねりと波の波止場よ。
それはいつかいつも人が得ている火の発生の原始の世界なれば。
炎舞(えんぶ)。
絵の竜が舞い踊る。
それは平面に描かれた世界の中で。
炎の竜の絵は、世界をあ修羅と描きくるす。
炎の竜はその空間いっぱいになると、次元と空間の境界を砕いて出現する。
エルフィールを螺旋に竜が舞う時、空間が黄昏に風が導く。
エルフィールは精霊をその心に反映する。
エルフィールの心は精霊世界にある。
そしてその思いはサラマンダーとしてエルフィールの前に存在していた。
ゆっくりとサラマンダーはいままでにない大きさまで巨大化する。
炎舞零無(エンブレム)。
空を紅蓮に夕日のようにエルフィールの心に彩られる思いにサラマンダーは舞う夢の黄昏時。
いずれ夕闇が世界の本質たろうとも。
その炎は斜形(しゃけい)の彼方より射出る槍。
世界はその炎に風を送る。
ぐらふつつ。
炎の竜はエルフィールの怒りに奮え、そのわななきに心はぐるぐら。
炎の竜のよな、とかげは女性に踊る。
エルフィールはさらに精霊を心に描き、天(そら)歌う。
「大地よその思いよ、偉大なる始源の彼方から、巨人の魂の灯火の歌わん。影なる大地にも、空なる大地にもその思いに砕けた種の木々よ、森となって大地を飾らん。思い出の空にも大地にも、偉大なる竜鳴(りゅうめい)のあいだから飛び立つ鳥さえよ。いま偉大ならしめん思いの大地。その重さに人を引きつけ。その広大さに人を旅立たせん。いまその大地の拳(こぶし)よ、砕けた思いをつかんで空に帰すならば、それが精霊の意味を伝えしもの。ガイアギア。いま逡巡の上に立つ巨人よ。その思いよ。ガイアギア。この大地の君臨よ。いま、世界は砕かれた魂のために大地は鳴動し続けているのだから。いま、その思いを空へ解き放たん。ガイアギアよ」
女性の立つ大地が砕け、岩の巨人が出現する。
エルフィールの精霊法ガイアギアである。
大地の女性の足元から巨大な岩のこぶしが形成される。
エルフィールの破壊の気持ちは炎の精霊世界に、創造の気持ちは土の精霊世界に双点を結ぶ。
巨人の彷徨が大地を砕く。
ミラルはこれほどの膨大な精霊の方向性、精霊力を感覚したことはなかった。
ミラルにとって、エルフィールの精霊法の使い方は幼稚に思えたが、その双方向性には、無限さえ感じたのだ。
女性はただ踊っていた。
精霊たちが出現して、その力を拡大しているのを感覚しながら踊っていたのだ。
そして、巨人の手をエスコートにして、女性は大地に、岩の巨人にキスをする。
太古の大地の感覚が巨人を包む。
それは雄大でなにもかもが大地であった瞬間。
大地の精霊が眠りから目覚めた瞬間。
大地はなにひとつ得てなく。
大地はなにひとつ夢見てなく。
大地はなにひとつ忘れてなく。
至始(しげん)の明滅。
−−そうだ。
−−あの世界こそが我(わ)が求めた本質。
−−始まりこそがまた始まりの眠り。
−−眠りこそが我が心の歌。
−−破壊に呼び起こされ、静寂に眠る。
−−世界は大地から生まれ、大地へと帰っていく。
−−望んだ空はいまだ遠く、我が生まれし世界は雲の彼方。
−−忘れていた思いよ。
−−その邂逅(かいこう)よ。
−−いま我はゆかん。
−−その思いの果てに。
それは思いというよりは、大地の地響きであった。
岩の巨人、ガイアギアがその瞬間に砂へと砕けていく。
(ファイアーストーム)炎竜来踊(えんりゅうらいぶ)。
炎の竜が女性に舞う。
竜は炎の渦となり、女性を中心に舞い踊る。
過去も未来もそれは炎の証。
精霊は有り得べし空。
炎が、竜が女性にその重さを放つ。
女性は迫る竜の前で踊る。
それは。
乱舞(らんぶ)。
崩壊とも可逆ともいえんその鏡面空(きょうめんくう)。
どこまでも続く濁流の鏡面空(テラス)。
濁流の中に白いテーブルに白いイス。
一人の女性はそこでゆったりと紅茶を楽しむ。
その世界はいつでもゆったりと有り続けたから。
それは自由のひとつの一面。
崩壊し続ける世界でそれでも女性は一人、ゆったりと過ごす。
それは濁流の時にも、なんら変わらぬ力。
そして本質。
いま。
女性は炎の竜の前にいた。
女性の蹴りが飛んでくるサラマンダーを吹き飛ばす。
炎の竜のすべてを陽の星が包む。
灼熱の本質が炎の竜を包む。
そこはどこまでも光を放つ炎の故郷、そして存在の証。
轟音。
炎の竜は彷徨(ほうこう)に天は限りなく光りながら竜は無限の形に躍る。
サラマンダーは精霊世界に消えていく。
ジョルディーが剣を蹴りを放つ。
ジョルディーの剣が女性と舞う。
ジョルディーの間断ない攻撃に踊っているだけの女性。
それでいてひとつの攻撃も当たりはしない。
ダリルの魔法攻撃による、いくつかの光球が後ろから女性に舞う。
乱舞流(ランブル)。
狂い舞う演舞は舞台で繰り広げられた。
それは昨日よりも美しく。
今日よりも鮮やかに。
忘れられた世界が共鳴する。
赤いスカーフ。
黄色のスカーフ。
紫のスカーフ。
布が女性と踊る。
夢はまだ忘れられた時の彼方で舞い夢(ぶ)する。
一人の女性が光球を蹴り飛ばし、一人の女性がジョルディーの蹴りを蹴り止め、一人の女性が光球を蹴り飛ばし、一人の女性がジョルディーの剣をはじき、一人の女性がジョルディーを蹴り飛ばす。
それは一人の女性が一瞬で五人にも六人でもあった。
女性の蹴りにジョルディーが立ったまま後ろへ飛ばされ、足は地にあるが、その蹴りの重さに両足で地面を受け止め続けながら飛ばされる。いきおいはゆっくりとなくなり、ジョルディーはなんとか立っていた。
女性の上に影がある。
空にハイベルがいた。
ハイベルは跳躍していたのだ。
ハイベルが剣を天上から女性に叩き込む。
ハイベルと女性は透き通り、お互いの存在は通りぬけてしまった。
「これは……」
エルフィールたちはそれがどんな意味を持っているか理解した。
世界そのものを存在とする者たち。
それは人が知るもっとも高等な存在。
「神と神は戦いによる存在の多層は出来ない。神々の存在は多層されていて、存在は始神(ししん)を探す。神は夢を見ず、それはいつのまにか幻想の森へと人をいざなわん。それゆえに託す選択。それゆえに交流する思い出の風景。それはいつか感覚のオーバーラップ。いづれ人は神話の庭で空を見上げる。高尚(こうしょう)なる花よ。その思いよ。それは神々の黄昏。それは忘れられた時代の輝き。いつか空がそのまま心の境界。なれば。いま、風は思いの始まりなれば。また風に思いえがかん。それが継承の心なり」
ミラルが説明する。
「あなたは神ですね」
ダリルが女性に聞く。
「まあ、そうかねえ」
女性はにやにやしている。
「なぜこんなことをするのです」
ジョルディーが聞く。
「なんでって戦うことに理由がいるのかい」
「教えてやってもいいぞ」
努気(どき)。
エルフィールは抜刀しながら怒りの言葉と気を発する。
ダリルが手で制す。
それでも前に出るエルフィール。
ミラルがエルフィールの足をひっかける。
すってーんと転ぶエルフィール。
「くそっ」
顔を上げたエルフィールの前にダリルがいる。
「いまは話しをすべきだと思う。まずは話しを聞いてみよう」
エルフィールはぷいと横を見る。
みんな立ち上がり、その女性、女神に向き直る。
みな剣をしまう。
女神はあらぬほうを向いて、飛ぶ蝶を眺めている。
女神はなにも言わない。
「あなたはどこの神ですか。なぜここにいるのですか」
ハイベルが聞く。
その言葉は紳士的で、気品にあふれている。
女神は髪を手でとかす。
なにかが女神の髪のすきまで明滅している。
それがなにか、ミラルにはわからなかった。
「あたしはここの女神さ」
ィイイイイン
「すると冥界の女神、か」
ダリルがそう言って納得している。
女神はふいに歩き始める。
「どこへいく」
エルフィールが聞く。
ずいぶんつんとした口調だが、女神はそれには気にもせず、前を見て歩いている。
その歩く方向は冥界の王がいる王都のほうだ。
「冥界の王と話しがあるのかな」
ダリルが女神に聞いた。
「のどがかわいた」
女神はそう言う。
ィイイイイン
「神はのどがかわいたりしないだろうに」
エルフィールはつっぱねるように言う。
女神はどんどん歩いていく。
エルフィール一行は着いて歩いてく。
ィイイイイン
「なに」 みんな数歩歩いただけだ。
それなのにもう冥界の首都まで来ていた。
ミラルはこれが神の力とうなずいている。
王城には寄らず、女神は井戸に設置されているでかいおけから水をがぶ飲みする。
「ぷはあ! いいわねえ、心の一杯は」
女神が誰もいないところに手招きする。
街の人々がそこここにぞろぞろと集まって来る。
素朴な布着に帯を巻いただけの街の人々が立ち並ぶ。
その中心に女神とエルフィールたちがいた。
「ひさしぶりね」
女神が街の人たちにあいさつする。
街の人たちがそれぞれあいさつしている。
「なんかあたしがいないあいだに変わりは無かったのかな」
その言葉に特に返事はない。
女神はだいじょうぶだと思う。
いや、それはあるいは街の人たちの思いでもあったか。
「そろそろ次の王の決まる時ね、それで見つかったの」
女神はエルフィールたちに聞いているようだった。
冥界の王を探してエルフィールたちは旅をしていたのだ。
「ちゃんと探している。もう少し待ってもらいたい」
エルフィールがつっけんどんにそう言う。
「ふん、まだ見つからないのかい。しょうがない、どん亀どもだね」
女神は悪態をついて嫌な顔をしている。
美人が台無しである。
「まあいい。いま決める」
と、女神は言ってダリルを指差す。
「おまえ王になれ」
女神はダリルにそう言った。
どくん。
ダリルは困惑している。
ダリルは女神に問う。
歌うよに問う。
「私に地獄の番犬になれと。冥界の王とは死者の支柱。世界はその思いに鳴動する。それでいいと世界は言うのですか。冥界は破壊の足跡。なにが人を招くのか、それは木々のさざめき。揺らぐ世界の一端。なにが自然のゆくえ。命はどこにでもあって、ここにはないから。人は存在の可重(かじゅう)。それでも空は星と夕日と雲と晴れた青い空。ここには空はあっても、それはいつも人の影で作られた存在の天辺(てっぺん)。くらうくら。それでも日々思いは空に沈殿していくのだからと。それが冥界の神の意味であり、意志であると言うのですか」
「そうだ」
「私には勤まりません。誰か他の人に願いたいのです。私は旅がしたいから。やっと自分のしたいことが見つかりそうなのです。それはいろいろな人たちとの出会いがもたらしたやさしい思い出のおかげなのです。私の知っている戦いいがいに、まったく違う戦いかたがある。そんな思いが私の中にあるのです。まだ私の知らない世界がある。そんな気さえしてくるのです。まったく違う時間。まったく違う思いがあると、この者たちに、あるいは他の者たちに感覚するのです」
ダリルは平伏してそう言う。
ダリルの言葉に一片のまじないなく。
だが、女神の言葉にはハリケーン。
「はっ、あんた女神に口答えする気! 破壊は鳴動する。それがいま世界をその崩壊を見た者がそんなことを言うのだろうか。天と地の世界はその光に明滅する。それは神ではなく、人の王の思いだとわからないわけではないだろうね。この世界が輝いているのは誰のおかげだい。誰がこんな昏(くら)い大地に光りをもたらしたのさ。それが見えないとも聞こえないとも言うのだろうね。それが天の理(ことわり)だと言うのだろうね。それがすべてだと聞いてるのかねえぇえええ」
女神は怒っている。
世界がぐらぐらと鳴動する。
それはまた錯覚であり、また冥界の住人たるダリルには現実であったのだから。
ミラルはふと、女神が一人でいるような気がした。
黄昏の神々と呼ばれる一群の神々はその存在のひとつひとつがすべてであり、また個別の一神なのである。
いわばひとつの本質に無数の本質が明滅する。
黄昏の神々という一群を目にする時、その感覚はすべての神と対面しているに等しいはずだ。
理屈ではそうでも、ミラルはなにか、冥界の女神がまったくひとつの存在で形成されているような、それでいて無数であるような、なにか落ち着かない気持ちを覚えていた。
ダリルに女神がつめよる。
と。
「そいつは魔王ダリルじゃないか!」
群集の中から声がする。
「魔王がなんの用だ」
「封印の魔則で人々は氷ついてしまった。クリスタルに閉じこめられた人の誰が夢を見るというのか」
「帰れ」
口々にののしりの言葉を連ねられる。
なにか重くるしい雰囲気だった。
−−冥界の住人はここにしか存在できないんだが。
ハイベルは一人つっこみをしてみる。
攻撃力ならばこの群集すべてと戦っても勝てる。
だからハイベルはのほほんとしてる。
ミラルは別に気にしていない。
逃げることも容易だとミラルは楽観してる。
だが、それは強大な力を持つ女神いがいをのぞいて、だが。
一人だけ、その重苦しさに共鳴した者がいた。
「誰がそんなことを言う! ダリル様がどんな気持ちで戦っていらしたというのか!」
エルフィールが声を張り上げる。
群衆は収まらない。
女神はあくびひとつすると手の指を曲げる。
女神の見えない力に村人が何人か前に出てくる。
若い男や女たちだ。
「あたしゃね、人のことをこそこそ言う連中が大嫌いでね。そんなんでいいのかい。ほんとうに」
女神の言葉にみな沈黙する。
別の意味でまた重い空気が流れた。
「口先ではなく、実際に戦ってみな」
女神はどうでもいいように言う。
「そ、それは。ダリルと戦って勝てるはずがありませんよ」
戦慄。
それは砕けた心。
奪い去られたやさしさ。
憂いという名の思い。
それは確かにそうなのだった。
「ならばこれならどうだい」
女神は木の板に木の小さな彫像が並んだものを出現させる。
この世界ではメジャーなゲームである。
なんとなく両者盤を囲む。
だが、ダリルはゲームでも強い。
女神の指示の元、何度戦っても誰も勝てないのだ。
見かねて出て来る者もまったく相手にしない。
ちょっとした感嘆があった。
それはひとときの交流であっただろうか。
女神はあくびをしてそれを見ていた。
「もういいだろ。こいつらは死ぬまで拷問だねえ。でもここでは死なないからずっと苦痛が続く日々の永遠かねえ。うん。それがいいわねえ。人生は苦痛の海。それをどう過ごそうといいだろう。苦しみが早いか遅いか、あんたはどっちがいいかな。それともあんたはよっぽどそういうのには慣れてるのかい。ダリル。もうあんたは用なしなのかねえ。さあ、この世界で放浪の旅もいいだろう。あんたが自分の幸福を優先するならば、それだけいい苦痛をおくれるだろうよ」
くっくっくっと女神は笑う。
女神のその妖艶な笑顔がさらに凄みを増す。
周囲の人々はしんと静まりかえる。
冥界の人々は冥界の女神の影であるから、誰一人その存在に意味を問うことはできないのであった。
「わかりました。王になることを引き受けます」
ダリルは女神の前にひざまずく。
街の人たちもひざまずく。
「なぜです。ダリル様は断ったはずです」
エルフィールが抗議する。
「その変わり、その者たちの身柄は引き受けます」
ダリルは続いてそう言う。
「そうかい。それは苦労かけるねえダリルとやら。それじゃ王様になってもらうよ。百年といわず、長くするといいさ」
女神はそう言うと笑う。
実に楽しそうに笑う女神であった。
なんとなくミラルは女神の感覚には響くものがないのだった。
いまにも女神に殴りかからんとしてるエルフィールにジョルディーはその手をにぎる。
ちょっとどきりとして、そしてほんわかしてしまうエルフィール。
いやいや。
と、女神を見る。
女神はエルフィールなど感覚していなかった。
一女神がエルフィールなど気にするはずもないのだった。
それはエルフィールも感覚していた。
女神はさらにダリルに向かって言う。
「それじゃダリルを光でつらぬけ」
エルフィールがきょろきょろする。
いや、それはエルフィールとジョルディーに言われた言葉だった。
「なに?」
しばらくエルフィールはなにが言われたかわからなかった。
「出来ないかしら」
女神がエルフィールに歩いていく。
実にゆっくりとゆっくりと。
女神の一歩に地響きがうなる。
大地が砕け、空の色が揺れる。
精霊は消え、風もなく、光も失われる闇に、女神だけがいる。
歩いてくる女神。
いや、それはエルフィールの錯覚なのだった。
「やるんだ」
ダリルがエルフィールに言う。
はっとするエルフィール。
なんとか女神に気持ちを向かう。
「理由を言え」
エルフィールは地獄の底からの鳴動にも一歩も引くことなくはっきりと女神に言う。
エルフィールの問いに女神は。
「言わない」と答えた。
女神はさらにエルフィールに歩く。
それは実にゆっくりした動作なのだった。
「頼む」
ダリルがエルフィールに頭を下げる。
ダリルのそんな姿など、エルフィールは初めて見た。
「わかりました。わかりましたから私にダリル様を見下すような姿をとらせないでください」
エルフィールは困った。そしてジョルディーを見た。
ジョルディーがエルフィールにうなずく。
手をにぎる二人。
二人の手から光があふれる。
ギイン!
光が明滅する。
それは出会い。
それは旅立ち。
それは夢の語らい。
そしてダリルはある王国の貴族の一人として生まれ育った。
大国のひとつであるバランシア。
国は温暖な気候にあり、また戦乱も無く、静かな時代であった。
父はダリルが物心つく頃にはベテランなる騎士としてある小隊の隊長をしている人物だった。
ダリルの父は厳しく、そして公平を重んじることだった。
強く、また誰にでもやさしく、学問にも秀でたもので、ダリルは十五歳になった時も、父以上の人などあまりいまいと思えていた。
その日も貴族学院からダリルが帰って来ると母の名を呼ぶ。
いつものように布を織る姿がない。
明滅する時間。
誰が夢を語るというのか。
絶望。
破壊。
世界はそれでもその力に螺旋を描く。
父の足元で床に横になる母。
父は抜刀した剣に赤い流れが伝う。
「どうしたの父様」
父は答えない。
歩いて来る父にこてんと腰を床に打つダリル。
ダリルの父は剣を振り上げるとダリルに振り下ろす。
がつ!
剣はテーブルにぶつかりなんとかダリルは助かる。
「あの、そのいやうわあわくわ」
ダリルは、はいながらなんとか剣を構える。
武術の授業で使った中型の剣だった。
父は剣をダリルにさらに振り下ろす。
がぎいん!
なんとか父の剣を受け流す。
「くわあ!」
ダリルはなんとか立ち上がる。
父は無言でさらに剣を振る。
それは一撃一撃に容赦のない剣戟であった。
傷だらけのダリル。
ダリルは部屋の壁に背がつく。
もう後はない。
「あのなぜどうしてあのその」
ダリルはなにか言おうとしてるが、それは言葉にならない。
父が振りかぶる。
「うわあ!」
ダリルが突きを放つ。
それは相手をつらぬいた。
そして部屋の中で息をしているのはダリルだけなのだった。
暗い部屋には窓からの陽光が白く床にあり、白と黒のハーモニーが部屋を包んでいる。
ダリルは城下街から逃げて逃げて逃げていた。
ダリルを狙うのは騎士団であって、一瞬たりとも気が抜けないのだった。
神話の樹森(じゅしん)にまでダリルは足を踏み入れていた。
その森は入る者をいつのまにか眠らせてしまう森であって、誰もその森には入らないのだった。
森での眠りは魔法ではなく、そういう場であるというのが魔法使いたちの見解なのだ。
精霊使いは眠りの精霊の群生地であることを知っていたが、精霊の気持ちの一端でもある精霊使いたちが他の者たちにその本質を明かすことはなかった。
神話の樹森(じゅしん)の地で、精霊たちに包まれ、ダリルも眠気に包まれる。
疲れてもいた。
木の下で眠ってしまうダリル。
森には小動物の宝庫となっていた。
動物たちも、ここは安全であることを知っていたのだ。
そして、ある程度の小動物には、精霊たちは語りかけないのだった。
森は大木の集まりで、また樹にとってもここは安全地帯なのだった。
月が出ている。
森は幾状の光のカーテンをその枝から放っている。
星の光のような光が明滅する。
それが精霊であるのか、なにかまったく別のなにかなのか、それは知る者はいない。
歩いて来る音が暗闇に静かに、ゆっくりと響く。
森の中動く影、それは人の影であった。
ダリルは緊張する。
追っ手ではないのか。
あるいは、自分になにか危害を加える者ではないか。
ダリルは手元の剣を確認する。
ダリルの息が荒くなる。
うっすらとした光の中、浮かび上がる人影は大人の女性であった。
ダリルまで歩いて来る大人の女性がいた。
それはエルフなのだった。
ダリルが目を覚ましたのは夜も深けた時のこと。
ダリルはしばらく言葉を失い、しばらくは森の中でエルフの女性と黙って向かい合っていた。
沈黙。
それは森の樹たち。
それは絶望と希望のあいだ。
それは忘れられた星に一人で眠る夢。
声が闇と夢に響く。
闇はその声に色を見いだした。
夢はその声に力を見いだした。
「あなた、精霊たちに気に入られたようね」
エルフはそう言う。
その言葉は心に響き、なにか、精霊の発する音のような気がダリルにはした。
だが。
この者が誰か知らない。
ダリルはエルフの言葉にはなにも言わない。
だが、初めて人と出会ったような気がした。
初めて会った気がしない。
なにか不思議を感じていた。
それはこのエルフに感覚する色彩樹(あざやかさ)の心。
色彩。
木々がエルフをさざめいている。
木々はエルフに思いの葉。
木々はエルフに花咲かすとも。
昨日は今日に明滅する。
木々はエルフの存在を幸福する。
木々の葉のさざなみがエルフを彩る。
「この森には誰もいないよ」
三十代後半くらいの女性はそう言うのだった。
実際、森の中はダリルとエルフの女性だけなのだ。
確かにダリルもそれは感覚していた。
賭をしょうとダリルは思った。
この人を信用しょう。
そうでなければ、いまの自分はどうにもならない。
それはダリルの本心であった。
ダリルは決心した。
「ぼくはダリルと言います」
ダリルは自己紹介した。
エルフの女性もそれまで黙っていた言葉を紡ぐ。
「私はエルフでフィルフィルフィールと言います」
「じゃあフィルですね」
ダリルはそう言ってなごんだ。
一度決意してしまうと、人を信用するのはなんだか簡単なことだと思った。
ダリルは落ち着いていた。
「そうね」
とフィル。
お互い知らないはずなのに、なんだか笑っていたのだった。
おだやかな時。
つれづれなるままに。
エルフは長寿の種族であり、それは人間には思いもよらないほど広大な時の世界の種族なのだった。
エルフはエルフだけの種族としてあり、人とエルフが一緒にいるなど、冒険者たちいがい、ほとんどない。
フィルはエルフという種族は端正な顔立ちをしており、それは美の女神の一端、一族ともいえるようなものなのだった。
髪の色や瞳の色は影となって灰色にしか見えない。
その髪は腰まである。
「ここにいればダリルになにもあるはずない」
ダリルは内心を言い当てられてちょっとびっくりしていた。
「なに、ここにくる奴はみんなわけあり、ということ。まあ、しばらくすると、この静寂にまた森を出ていくのだけどね。なぜかみんなここではいい子でねえ。でも、まあ、また自分の道がここから見える時が来る。孤独と一人になる時間とは違うものなのかも知れない。さて、あなたはどんな道を歩きたいのかな。まあ、時間はあるから、ゆっくりと考えてみなさい。この森には時間のある人しか来ない。自分を見つめることが人生の一番長い近道なのだから」
そう言ってフィルは笑う。
それからしばらくダリルとフィルは笑い話した。
フィルはダリルのことをえらい気に入ったようだった。
ダリルも、一緒にいるだけでいい人というのは初めてで、貴族学校で習った日々は、気を張っていたばかりで、それはある意味自分を失っていたのではないか。
そうかも知れないと思い始めていた。
ダリルは一昼夜フィルと話して、ようやっと眠りにつく。
不思議と、この森では時間が長く感じた。
森には寝床は無く、木の下が寝床なのだった。
くしゃみするダリル。
木の下はずいぶん寒いのだった。
少女の声が響いた。
「あんたほんとばかねえ。木の気持ちを感じれば、寒くないのよ」
木の上に少女がいる。
一時、少女の髪が虹色を帯びたよな。
風にそよぐ髪。
それは虹に彩られ。
それは。
虹の蝶。
舞う。
ともさ。
少女には群青の精霊たちが周囲を明滅している。
まるで少女に精霊の世界を仰いでいるかのように。
精霊の璃力(りゅりょく)が波紋する。
圧倒。
それは精霊の力。
精霊の存在。
精霊のうつらつら。
精霊の昨日は今日のうたかた。
なにが存在を色彩にうつすのか。
それは存在の夢。
いづれなき、存在歌(フィール)。
少女には長い髪が足元まであり、前髪で顔は隠れている。
「きみは誰だい。ここにはフィル一人だって思っていたよ」
「あたし一人だけよ」
「きみ一人だけ?」
「あたしよ、フィルよ」
少女はそう言って笑う。
セクシーな大人の姿とは対照的に、いまのフィルはとてもかわいい少女なのだった。
「きみは……どっちが本当の姿なのかな」
「さあね」
フィルは木から降りて来る。
「一緒に眠るかい」
「あら、えっちなことはほんとうに好きな人とすることなのよ」
「いや、別にそういう意味じゃ」
ちょこんとフィルはダリルの背中に抱きつく。
「あんた汗臭いわよ。まあいいけど」
なんとなく気持ちがどきどきするが、それは時間とともに落ち着いて、静かな感覚にとらわれる。
まるで母に抱きしめられたような、なにか自然な思いが心をおおう。
「愛があればそれがやさしさ。愛があればそれがなつかしさ。いつか誰から愛されたから、自分は自分でいられる。絶望にうなだれて、その人のことを忘れてしまうのだから。だから、自分の愛する人を、愛してくれた人を忘れてはだめなのよ。子供よ子供。その涙に眠れ。子供は歌って踊ってそしてまた自分の道を探すでしょう。子供よ子供。その道に、いつか自分の人生を見つけるでしょう。あなたが誰か、その時聞きましょう。子供よ子供。いつか出会った人に感謝して。自分が感覚した世界をその空にして。いつか思ったままにあなたの希望が星の回転にゆられて、いつか誰かにその思い伝わるように歌うたう。だから子供よ子供。それがいつかわからない。子供よ子供。その世界こそが自然の感覚だから。いつかあなたの風があたしの思いに響くよに。子供よ子供、そして子供よ大人へ旅をするとも。子供よ子供。ゆっくり眠れ。それがいつか感じた光の意味だからさ」
少女のフィルの歌はまるで母親の子守歌のようで、なんだかゆったりと、ゆっくりと心に響く。
ダリルはちょっと涙が出てしまった。
いけない。
男は泣いてはいけないのだ。
フィルの感触だけがうれしかったのだ。
フィルの思いにやさしくなれる。
ゆったりなれる。
その日はぐっすりと眠れたのだ。
大人のフィルの話しでは、ダリルのいた国では王の命令である種の人たちを国から排除することになったというのだった。
ダリルが木に剣を叩きつけて剣の稽古をしている。
「あなたの剣は木を傷つけている」
大人のフィルがダリルにそう言う。
「それがなんだっていうんだい」
「精霊の思いこそがこの空の広大さの意味なのよ。それをあなたは感覚することができるかしら」
「わからない」
「そのうち、理解できるでしょう」
フィルの元、ダリルは自分で剣の腕を磨き、フィルから魔法の知識と見聞を広めていった。
それは有意義で楽しい時間なのだった。
大人のフィルは黒い茶色の髪をしていた。
それはいつも深い森の中にいると、光ではなく、なにもかもがほぼ灰色に見えるからなのかも知れないのだ。
「なぜ剣を振るうのですか」
大人の姿のフィルは毎日剣の鍛錬をするダリルに聞く。
ダリルは明るく笑って言う。
「人々は困っています。私はその人たちを助けてあげたいのです」
「それはあなたへ向けられる気持ちでもあるのですよ」
「私などどうでもいいのです」
「自分を救えない者に誰を幸福にできるというのでしょう」
ダリルはちょっと沈黙した。
躊躇しているようでもあった。
だが、次の瞬間には決意した表情で話し始める。
「父には父の立場と信念がありました。それを恨むことはありません。ただ私は私の信念のために剣を振るうのです。破壊が正義だとは思いません。誰かのために誰かを不幸にすることも生きることだと理解しています。ただ、この剣で私は困っている人々を助け、そして私の信念に倒れるのを待つだけなのです。世は戦乱を迎えようとしています。これからこの剣が必要になります。戦いが人を左右するのならば、私の剣も人から必要とされることを信じているのです」
フィルはうなずく。
「そうですか。あなたの信じる道はあなたの本質そのものなのです。どこまでも自分の道を歩くがいいでしょう。誰もあなたを止めないでしょう。あなたを止めるのはあなたの死のみです。さあ、歩いていなさい。破壊など誰の本質でもないのです。これからあなたが見てきたことを吟遊詩人は歌い、語りつがれることでしょう。それでもあなたの気持ちがあなたの剣の重さを超える時を願ってやまないのです。あなたが息絶えるまで、あなたが自分の信念に眠れるように願っています」
「ありがとうございます」
ダリルはフィルから他のエルフたちのいる場所を聞くと旅に出る。
ダリルにとって、フィルはすでに教師のようであり、親のようでもあった。
もっとも安心できる存在であったのだ。
だが、ダリルはここに永住しょうとは思わなかった。
自分にはこれからなにができるのか。
自分を世界で試してみたい。
このぬるい生活から、この安心した世界から旅に出たいと思っていた。
「私の旅には仲間が必要なのです。この世界を変えるための仲間がいるのです」
ダリルはそう言って旅に出る。
大人のフィルへの敬愛はいまも変わりない。
それは淡い恋心だと言ってもよかった。
だが、ダリルはフィルに恋心を伝えてはいなかった。
なぜだかわからず、それはなんとなくだった。
フィルといればそれは天国であって、この森も静かで、なににも左右されたりしないのだった。
静かな時間。
平穏。
夢流れることなく、ただたゆたう中から、現実を見つめていた。
ダリルにはそれだけの心の余裕が持てる環境であったのだから。
だが、だからといって、安穏(あんのん)とした生活など、ダリルには希望することなどなにもないのであった。
大人のフィルはなにも言わず見送った。
それが大人のフィルの自然な思いであった。
その人のままに生きるがいい。
それは森の意志でもあり、そしてそれはフィルの思いでもあったのだ。
ダリルは森の中を歩く。
道などない。
ダリルの行く手には、ただ森が続いている。
どこが目指すべき土地なのか。
それはダリルの思いが道となる。
森がダリルを巡る。
ダリルはそれでも歩き続けたから。
木々の葉が舞う。
昼。
陽光が灯(ひ)のカーテンとなって何重にも森を彩る。
自然がダリルと踊る。
無数の木々、無数の緑の葉が陽(ひ)と踊る。
緑のカーテンを越えてダリルは自分の道を行く。
神話の森はなにもかもが自然の調律がとれている。
その緑緑(りょくりょく)は思いの自然の竜のように大地に踊る。
その緑力(りょくりょく)は精霊の群青(ぐんじょう)。
この森は神話が伝える世界の前からある古代樹の群生なのである。
小さな木から、巨大な樹まで、どこまでも広がっているかのようだ。
神話の森の果て。
神話の森はサウンド山脈まで続いていて、ダリルは森の葉の海からたまに見える山を目指して歩いていく。
がさがさがさ。
なにかが森を駆けている。
あきらかになにかの意志を感じる動きである。
それが破壊の意志なのか、なにか別の意志なのか、自然を感覚することができないダリルには、わからないのであった。
−−獣か。
ダリルは身構える。
「いやっほおーい」
木から子供のフィルがダリルに降りてくる。
ダリルの背中に着地するフィル。
よろけながらダリルはなんとか立っている。
「な、なんだよフィル」
「あたしは退屈に眠る姫。勇者の口づけを待っているのですよ。う〜んじゃ一緒にいくう」
「おれは遊びにいくんじゃないぞ。戦いにいくんだ」
「あら、あたしはあなたの思いがどんなものか、そばで感覚してみたいだけなのよ。けっして暗い森から抜け出して、すっきりラクして楽しんで、羽をのばそうなんてこれっぽっちも思ってないわけよ。けれど、まあ、いいんじゃない。あなたがどういう戦いをするか、あたしが見届けるのもいいかもよ。あたしがいれば楽しいわよう。どんなにすごいことが起きるか、一緒に楽しんであげるから。ねえねえどうどう。いまなら別にお金はいらないのよん。うふふふふふ」
なんとなくどきりとするダリル。
大人のフィルとは違い、子供のフィルには別の意味でどきりとする感覚があった。
大人のフィルが安心とゆったりした感覚なのに対して、子供のフィルは不安定で、それでいてダリルの知らない夢を感覚して、どきどきするのだ。
それは正反対にある存在のようでもあった。
「おまえとなんか旅するもんか。フィルさんとならともかく」
「あら、あたしはフィルよ」
「それは、そうか」
ちょっと考えるダリル。
さらに考えるダリル。
またまた考えるダリル。
つまり。
結論。
「そ、そうか。別にいいけれど」
ダリルは子供のフィルに苦笑いする。
ダリルはいまだに子供の姿のフィルを大人のフィルとは違う存在だと感覚していた。
だからダリルは別の人として子供のフィルに接する。そのほうが自然な気持ちであった。
ダリルはフィルを背負って歩いていく。
ダリルはサウンド山脈を越えなくては、フィルが紹介してくれたエルフの場所には行けない。
サウンド山脈は地図の中でもっとも高い山の連なりで、巨大な山の壁が左も右も一直線に地平の彼方まで続いている。
その先は地図には載っておらず、誰も知らないのであった。
それは神々の山脈とか、大地の雷(いかずち)とか呼ばれるのだ。
山の高さも相当あって、これを徒歩で越えるのは無理と言われている。
だが、歩いて越える道がある。
それは地下道を通ることだ。
無数にある地下道の連鎖、そして縦横無尽(じゅうおうむじん)な空間のそれぞれ。
広大なゆくえの連なり、そこは永遠の迷宮と呼ばれる場所である。
その地下道は地下一二階までしか明らかにされておらず、一説には冥界まで続いているとか、無限に続いているとか言われており、その名も永遠の迷宮とか、無限の迷宮と呼ばれていた。
一説には神々が作った迷宮とか、人は地下から掘って外に出て来たのだとか、いろいろ言われているが、明確な結論は無いのであった。
洞窟までは森が続いていた。
洞窟の入り口は小さく、ちょっとした洞窟の入り口のようだ。
日も暮れかかり、もう暗闇はダリルの視界を踊る。
「なんでダリルは旅をするの」
フィルが聞いてくる。
先ほどまで眠っていたので、眠そうだ。
「それは仲間を求めているからさ」
「仲間がいれば楽しいからねえ」
「仲間とこの戦乱に戦いを挑むためさ」
「一人では戦えないの」
「一人で戦乱に身を投じるなんて奴がいたら、おめにかかりたいくらいだよ」
「あっそう。いたらさぞやあなたを楽しませてくれそうね」
「ありえないな。なにせ、案外、人生は退屈でつまらないものだからさ」
「あなたはなにか言うことがダイナミックじゃない」
「そうかな、まあ、そうかもなあ」
迷宮の入り口は山の岩壁と大地の接点にあった。
それは大きな城の城門くらい、壮大な大きさなのだった。
ダリルは迷宮に入る。
中には山脈を通り抜ける人たちのために魔法石が四角い通路の床に点在して、迷宮の通路をほのかに黄色く照らす。
ダリルは迷宮へと歩を進める。
四角い通路が続いている。
しばらくダリルは歩いていると、男が倒れている。
それは黒い服に黒いマントの20代くらいの男性なのだった。
「だいじょうぶか」
ダリルの問いに答えがある。
「マジックトラップにかかっていて動けない。ちょっときみのほうを見ることができないが、助けてくれようなどと、きっとすばらしい人なのだろうなあ。私は動けないのだよきみ。私はベイルベーム。この迷宮で地図の仕事を請け負っている。怪しい者ではない。」
格好はとても怪しい。
マッパーというよりは、盗賊みたいだ。
そう思ったがダリルはなにも言わなかった。
貴族学校の学院長いわく、騎士たる者、軽口をたたくべからず。
そしてダリルはそれをいまも守っていた。
「なんのトラップなんだ」
魔法の罠らしきものは、目には見えない。
「風の手だ」
風の手。
それは風が体を押さえつけるというものだ。
マジックトラップの中では、旅する者に良く知られた物だ。
だが、どこにも風どころか、そよ風も感じない。
とりあえずベイルベームを起こすダリル。
「フィル」
「なに、いい加減背中から降りろよ」
「ぐー」
「眠ったふりすんな!」
と、床から風がうなりをあげてダリルに疾風の雨と化す。
まるでジェットコースターのよに、動きがままならない。
なんとかそこにたちとどまるダリル。
だが、乱風雨(らんぷう)に歩くことができない。
ダリルは抜刀すると、床にたたき込む。
魔法の罠が床の石に込められているとの思いからだが、床は砕け、三人は闇に落ちていく。
奈落の底には底がなく。
あるのはただ飛ぶ思いの矢。
その世界は暗く冷たく、ただなにもないだけの世界。
夢や希望さえも沈殿していく。
思いの泉。
光の波紋。
群青の明滅。
ダリルの視界を光りが明滅する。
どうやら無事のようだ。
なんとか立ち上がるダリル。
そこは地下一階であった。
周囲は広間になっているようだ。
薄暗く、あたりはうっすらと青い光に照らされていた。
光の源が声を発する。
「危なかったわね」
そこに大人のフィルがいた。
蒼い光がフィルと踊る。
光の精霊とともにいるフィル。
精霊という存在は幻想の現実の境目。
ダリルの思いの灯火。
それは言葉となって精霊をしたう。
「なんとか精霊に助けてもらったけれど」
「助かりました。ありがとうございます」
ダリルは感謝する。
ベイルベームがダリルの剣をとり、短剣でフィルに動くなと牽制(けんせい)する。
「悪く思うな、おれは盗賊でね、なに、助けてくれたんだ、せっかくだから財布でももらおうか。あーよいよい」
ああ、やっぱりね、とダリルは思う。
フィルは笑っている。
「あいにく手ぶらでね」
ダリルがそう言う。
「私もだわ」
フィルとダリルから財布を探すが、なにも見つからない。
「笑う人にはなあ、金があるんだ。しけた旅人だなあ。おまえらむすっとしてるから金がもうからないんだぞ。わかるか、人生楽しんでる奴ほど金があるんだ。苦しい苦しいと貧乏だからと。そんなのあたりまえだろう。それがいけないことじゃない。ツイてない時もある。いまのおれがそうだ。そうだろう。でもな、あきらめない。だからおれはプロの盗賊としてこの道を歩いてられるんだよ。いいか、若いの。働いて働いて、そしておれがかすめとる。それがおれの理想なのだよ」
「それはすまないね」
さて、どうするか、とベイルベームは考える。
見たところ子供にエルフの女。
特に金にはなりそうにない。
「おまえらどこへでもいけよ」
「仲間にならないか」
ダリルの言葉にベイルベームはちょっと辺りを見る。
どうやら自分に言われたらしい。
「おまえ冒険者か。盗賊が仲間に欲しいのか」
「ぼくは冒険者じゃない」
「じゃあなんだ」
「ぼくは世界を変えるんだ」
「世界? 慈善事業か」
「それも違う」
「なにをしょうっていうんだ」
「すべての矛盾を砕く」
フィルがちょっとくすりと笑う。
それは子供のフィルであった。
「うおっなんだ」
ベイルベームは周囲を見る。
大人のフィルはいない。
「ああ、気にするな。フィルは大人にも子供にもなれるんだ」
「魔法か? うーん。いや、そうか、ふーん。ともかく、ダリルくんはなんかでっかいことをしょうっていうんだな」
「混沌を大地に、天の声を空に、群青を人に」とダリル。
「混沌(こんとん)の存在を人は魔王と言うのよ」
子供のフィルがくすくすそう言って笑った。
「なんと言われてもしなくてはならないことがある。それが我が道。破滅が生きるならばそれさえも我が道。自堕落に生きるよりはなにもかもが破壊されようとも、天の思いに身をまかすのみ。我が思いよこの星の世となれ。何百年何億年の苦しみよ、いまその絶望を打倒さん。我が天命は神の雷ですべてを砕く。その思いに言葉よ踊れ。我が風となり、思い出よ歌になれ。うち捨てられた悲しみよ、いまこの思いにまた蝶と飛ぶ。生きる喜びを知れ」
子供のフィルが爆笑した。
「さすが貴族ね。すばらしい話しだわ。ダリル様す、て、き」
「子供になにがわかる」
ダリルがフィルをにらんでいる。
「あんただって子供でしょ」
フィルはさらに楽しそうだ。
「おまえじゃなくてフィルさんを出せ」
「だからあたしがフィルだってば」
「それは……そうか」
納得。
ベイルベームはずいぶん考えていたようだが、なんとなく、理解したようだ。
ベイルベームがダリルに言う。
「あ、いや、なんとなく話しはわかる。ダリルというのか。おもしろい。あんたの話しはおもしろいよ。うん、おれも昔はでっかい夢を望んでいた。だが、現実には金がなければなにもできない。だからおれは思う。なんとかしてくれるなら、それを感覚できる人がいいってね。ダリルくんの話はおもしろい実に心に響く言葉だ。こんな奴はそうはいない。みんなにごった目をしてやがる。おれは長いこと盗賊してたから、人の心のくさった感じはよくわかる。おまえさんの心はすばらしい。うん、まあ、とりあえずはお試しということで、しばらく一緒に歩いてみたいと思う」
ベイルベームはダリルの仲間になった。
「ぼくはまずこの迷宮をデステアニールへと出て、エルフを探すんだ。エルフという種族は多様な文化を持つだけでなく、その精霊との親密さ、その魔法の知識の豊富さは群を抜いている。各国はエルフをなにか別の存在だと考えているが、ぼくは同じ道を歩くなにか知識の存在だと感じるから。エルフは人を自然の破壊者と避難している。お互い距離を置いているが、仲間になれば、これほど心強い存在はないに違いない。それはこれからのぼくの戦いが証明する」
「そうか、まあ、でっかいことするなら、仲間は多いほうがいいだろう」
三人は歩き出す。
「とりあえず上への階段を探そう。一階のほうが安全で近道だ」
ベイルベームの話にダリルとフィルも賛同する。
でんでろでんでろでんでろ。
でんでろでんでろ。
でんでろ。
「なんだ、なんの音なんだ」
ダリルは落ち着きなくきょろきょろしてる。
「そうか、ダリルくんは迷宮は始めてか」
ベイルペームは余裕で言う。
「どきどきで、もりあげるために、危険なモンスターが戦闘できる範囲に来ると緊迫感のある音楽が流れるのよ。ちなみに魔法使いが3人常駐して、魔法でしてるのよ」
フィルがダリルに説明してる。
「な、なんでそんなこと」
「商売よ」
「商売?」
「そんな強くないモンスターがいる浅い階で、冒険者気分を味わう人たちのためにしてるのよ」
「それがどう商売になるんだ」
「お金は退治したモンスターを買い取ったり、食料、武器防具を売っているのよ。冒険者ギルドの大事な収入源よ」
「ふーん。世の中は広いな」
なにかダリルは忘れているような気がする。
どっか、とダリルに黄色い液状、巨大なゼリーが落ちて来る。
「そうだ、モンスターが出た時の音楽だったな」
ダリルは液状生物であるスライムに、はがいじめにされ、身動きできない。
「あっはっ、あははははははっ」
子供のフィルは笑い転げている。
「おまえは助けてくれんのかフィル」
「楽しすぎる」 「おまえには仲間の命を救う気持ちはないのか」
「あーらあ、自分の命は自分が楽しい人生を送るためにあるのよ」
フィルはさらに笑った。
「そんなことはあるはずもない。天命と自分の信念に生きるのが人生だろう」
「なら、誰も傷つけず、自分がそのままに自然にあればいいじゃないですか。ダ、リ、ルちゃん」
「はん、そんなことがあるものか。フィルさんならともかくおまえの言うことが信じられるかっ!」
「だからあたしがフィルだってば。もっとあたしにやさしくしてよねえええん」
「フィルさんならともかく、誰がおまえなんかに! おまえなんかすってんころりんとんぼ返りだっ!」
「うーん。意味はわからないけど、すごいぶじょくね、そうなのね、むむむむたあー!」
フィルの攻撃。
ダリルの口に塩のかたまり。
「むががががが」
ベイルベームが剣を振り上げる。
「いま助けるぞダリル」
「ぺっぺっぺっ助かるっぺ、ベイルベームぺっ」
「どりゃー」
どか!
ベイルベームの剣戟(けんげき)がダリルにクリティカルヒットした。
床にしこたまぶつかるダリル。
ダリルはなんとか立ち上がる。
「いってー。味方に当てるな!」
「だいじょうぶ、数の撃てば神も見放す。いまおれは仲間を救うための力となる。世界よこの声を聞け。我が名はダリルが仲間の一人、ベイルベームなり。この剣におそれおののけ。我が力の前にいまはたさん。この力をしかと剣演舞戦撃ともな。力なくうなだれるならば、この剣にいま力を雷(いかずち)のいななきとせん。はっとちょっと仏でござい。いまその思いよ、んはははは。さあ、そのこのあのとのそらの剣の舞いを見んとしゃっとい。なとんとん」
がんがんがん。
ベイルペームの剣戟はすべて、はずれる。
そしてそれはすべてダリルにたたき込まれる。
ベイルベームはダリルに向き直る。
「やっぱりダリルに当てやすい」
「それがいま言う言葉か」
ダリルは剣を振るう。
踊る剣は思いの果てに。
ダリルの剣は破壊を司(つかさど)る神のように。
ギイン!
ダリルの剣がスライムを雨とす。
ダリルの活躍だけで敵を蹴散らす。
ぱぱらぱっぱぱー。
「おめでとー、おめでとー」
九官鳥が飛んで来て、そう言いながらまた飛び去っていく。
−−あなたはレベル1になりました。
ダリルの心に声が響く。
「なんだレベルって」
ダリルは思案顔でフィルに聞く。
「レベルとは経験値。この迷宮での強さを、冒険者ギルドが決めているの。帰りにレベルに見合った贈り物がもらえるから」
「ふーん」
ダリルは軽傷であった。
ダリルは自分の腕に布を巻く。
「血を流すなら献血にいけばいいのに」
「この状況で言うことはそれだけか!」
きゃははと、フィルは逃げていく。
ダリルはフィルを追いかける。
子供のフィルは逃げながら歌う。
「あなたの思いが夢の後。それはいつか誰もが通る道なのか。あなたの思いは続くとも、それが永遠の空になるなどと、いつならうのでしょう。旅は道連れ世は情け。それでいいのなら、誰が家になどいるでしょう。旅は冒険のゆくえに人ありて。それはいつか出会った人のよによにまに空にいつかそれでも空を見上げて旅に出る。それはいつかあなたの思いになれば、それゆえに思いはあなたの永遠を癒すとも。それでいいと精霊は歌う。それはあなたの人生の一端なのだからさ」
フィルの歌にダリルの傷は癒えていく。
ゆっくりゆっくりと精霊がダリルの心を舞う。
それはとても心地いいことなのだった。
まるでそよぐ風と自然の地にいるような気分になってくる。
なんとなく田舎もいいなあとか思う。
そんな気分だろうか。
ベイルベームの攻撃。
蹴り。
ダリルは床につっぷした。
「なにをするんだベイルベーム!」
ダリルが抗議する。
ベイルベームはフィルを脇に抱えてとんずらしてる。
「おい、なにしてんだ!」
ダリルはベイルベームを追う。
「おれはフィルが好きになった。あの歌になにを思うのか。おれはいま一瞬で一生を得た気分だ」
ベイルベームはそう言ってさらに走る。
「あら、あたしの魅力にそんなにめろめろなのね」
子供のフィルはうっすらと瞳を開いて笑う。
「ベイルベーム! おまえってやつはなんてことだ。おれもフィルさんをちょっと好きなんだ」
「おれはあの幼い顔立ちにその感覚に恋してしまったんだ」
「え? おまえまさか」
「なにも言うなダリル。おれは、おれは愛に生きるんだあ〜」
「おまえは、おまえは、おまえはロリコンだったのか!」
ベイルベームはいい年の大人。
−−それが。
−−それが。
−−それがロリコンなど!
ぐわがらどがらがごががごがん!
それはダリルの世界の破滅。
それはベイルベームにとってホームページで小説を書くほど恥ずかしいことなのだった。
すっころぶベイルベーム。
ベイルベームはダリルに言う。
「そうか、おれは愛のために自分を見失っていた。いけないこれではいけないよな。ううっおれはどうしたっていうんだ。これが、これがおれであるはずがない。おれは欲望にその愛にああ、その永遠に自分は虜(とりこ)となってしまったんだ。我が心はもうここにはない。あるのはフィルの思いだけ。それだけなのだ。ああ、月よ、笑わば笑え。それでもこの愛は変わることはないだろう。それでいいのだ。そう、人は愛に生まれ、愛に自然をえがくのだからさ」
ベイルベームがのんきに歌っているので、ダリルが追いついてくる。
「すまんダリル」
「いや、まあ。子供のフィルなんておれはなんとも思ってないからなあ。なに、フィルがなにかしたんだろ」
「あたしこわい〜」フィルがかわいくもじもじしてる。
「信じるか!」ダリルは怒って言う。
ベイルベームはダリルに言う。
「だが、ダリル。それでもフィルを思う気持ちにうそはない。一緒にいたいんだ。この思いに一片の悔い無し! ああ、もう世界は愛色になり、世界はその思いに回転しているのだったからさ。それではそれでその思い。いつか世界は恋愛の精霊に踊ることだろう。なにがいいのかなんて知らない。知っているのはこの思いだけ。そう、愛こそが世界をその空をすべてとしているのだからさ。ああ、そうさ。そうなのだ。フィル、ダリルとおれとどっちをとるというのか。答えてくれよ、ああこの気持ちよ」
「は?」
ダリルはぼーぜんとしてる。
「いやん、どっちも選べないいいい」
「いや、おれは別にフィルのことなんか……」
「ダリル、なにも言うな、おまえの気持ちはわかっている。おまえだってフィルのことは好きだろう」
「おれは、大人のフィルさんならけっこう好きだが、子供のフィルなんて好きでもなんでもないさ」
「ああんあたしをとりあうなんて、いけないわ。おやめになって」
「いや、だからおれはなんとも」
「ダリル、仲間のおまえではあるが、フィルは渡さない」
「いや、フィルの気持ちはどうなんだ」
「おまえと対決するぞダリル」
「え、いや、なんでそうなる」
ベイルベームがフィルの腕をとる。
ダリルがフィルの腕をとる。
フィルを中心にベイルベームとダリルが回転しながら踊る。
フィルはなんとも楽しそうだ。
「なんだなんだ。おれはなにしてるんだ」
ダリルはフィルと踊る。
それはひとときの驚きと音楽。
それは楽しいことだと、ダリルはいつか思う日が来るのだ。
ダリルの手は離れ、フィルはベイルベームと踊る。
楽しそうな二人。
ダリルは下を向いている。
「ィル」
「フィル」
「フィルー!」
ダリルは叫んでいた。
「なに?」
「好きだー!」
それは心の声かどうか。
「あたしもダリルのこと好きだよーえへへえ」
ベイルベームががっくりと床に両手をつく。
フィルとダリルは踊る。
それは一時のダンス。
それは夢見る存在のラインダンス。
精霊の祝福なればこその思いならばこその時ならば。
「二人を応援するよ」
と言ってベイルベームは笑う。
「いや、まあ、その」
なんでぼくはこんなことを言ったんだろう。
それはきっといきおいに違いない。
ダリルは気の迷いだと思う。
だから、またダリルたちは歩いていく。
ごばっ。
床が砕けていく。
「なんだなんだ」
ダリルが落ちていく。
「危ない」
ベイルベームがダリルの手をつかむ。
ごばばっ。
「うわっ」
ベイルベームの足場の床も崩れる。
ぱしっ。
ベイルベームの手を大人のフィルがつかむ。
「フィル!」
ダリルが叫ぶ。
落ちるダリルをつかんでいるベイルベームも宙ぶらりんで、二人を大人の姿のフィルがつかんでいる感じだ。
「あ、二人はさすがに無理です」
フィルもダリルもベイルベームもさらに地下へと落下していく。
「言葉に揺らめく思いよ」
フィルが精霊たちを感覚する。
「世界はその思い。その力。だからまた思いは空へと色となる。帰る道はないのだろうか。それはまた道を探すことなりて。その思いだけが風となる。雷鳴は私の思い。雨は私の思い。曇りも晴れも私の思い。それがすべてではなく、この力よ、その思いよ、その自然よ、この思いの意味となりて心踊らせん。さあ、いまこそその力を思いの果てに感覚せん。力よ、心が描く未来を連れて、夢に旅をしてほしい。なにが思い出を花とうめるというのか。それがいま私の風の道」
ぐいんぐいーん。
ゆっくりと浮力に包まれるダリルたち。
だが、そこはずいぶん深い縦穴で、ずいぶん降りていくのだが、まったく床に着くことがないのだ。
まるでそれは地獄の底へでも落ちていくようなそんな気持ちだったのだから。
それは一時間くらいだろうか。それとも三時間だろうか。
暗い落下に、ダリルたちはまったく時間の感覚がなくなっていたのだ。
ゆっくりと水に着水するダリルたち。
水の底、足はつかない。
暗い中、水面だけが感覚を取り戻す。
「がぼぼがぼぼ」
誰か泳げない人がいる。
「ベイルベーム、ぼくの腕につかまれ!」
「いや、おれは泳げるけれど」
「ええ、じゃあフィルさん」
ダリルはフィルをつかむ。
それは子供のフィルだった。
ダリルの背中につかまるフィル。
「だいじょうぶかフィル」
「うぷぷぷぷぷっ」
フィルの攻撃。ダリルは二十五のダメージを受けた。
「うげえ」
一通り水で顔をぬぐうダリル。
「フィルは泳げないんだな」
「あら、子供の時は泳げなかったのよ」
「だからややこしいわっ!」
子供のフィルは一呼吸おいて、心を世界にすえる。
思いは精霊の世界へと共鳴する。
フィルの言葉は精霊の歌。
「フィルセター。フィルセター。その青の精霊よ。人が思いによって空想するならば、その思いをあたしにあたえて。フィルセター。フィルセター。暗い夜も平気な鳥よ。この思いを空に飛ばして。暗い闇が自由の始まりだとしても、これではなにも心に明滅しないから。フィルセター。フィルセター。聞いておくれ。あたしは暗い夜にも明かりがほしい。フィルセター。フィルセター。夜に響く精霊よ。暗いいつかの影にこの響きを伝えておくれ。フィルセター。フィルセター」
子供のフィルの声にほのかに蒼い光が舞う。
ダリルの心に子供のフィルの言葉が踊る。
それはなつかしいいとしい世界。
それは帰っていく鳥の影の一瞬の空の色合い。
ダリルはちょっと子供のフィルがすごいのではないかと思った。
なんか、フィルはやっぱり大人のフィルと同じ存在なのではないかと考えたりする。
だが、それは時間の中で、すぐに忘れられたいくのだから。
子供のフィルの呼び出した光の精霊が暗闇にまたたく。
それは暗闇のホタルのように舞い、宇宙の星のように輝いて、月のように周囲を照らす。
精霊はフィルの心と踊る。
フィルの思いに精霊は踊り出す。
透明な水面が蒼く照らされ、どこまでも続いている。
視線の奥、一キロくらい先は、精霊の光も届かず、暗闇に包まれている。
周囲のすべては水の水平線がどこまでも続いているようだ。
水の平原。
それはどこまでも暗く、どこまでも思いの鏡面として宇宙のようである。
「ううむ、どこまでも水面が続いているな」とベイルベームは言う。
「そうだな」とダリル。
「地下十二階までは地図が形成されていますが、その地図にこんな水面は記載されてないわね。まるで暗黒の精霊の世界のよう。ここならどんな精霊だって眠りについてしまいそう。世界はだから暗闇の明滅に灯火(ともしび)、歌うのだから。宝はこの思い。夢はこの思いの羽。だからまた心は自然と恍惚(こうこつ)する。いまだけでない時、いまだけでない空。いまだけが自然として、過去からの思い出が響く夢の彼方という名のいまに思いよ、描け」
フィルはそう言う。
子供のわりにはよく知っているなあとダリルは思うが、よくよく考えれば、大人のフィルと同じフィルなのだなあと思ったりもする。
光の精霊がうれしそうにフィルの周囲を踊る。
「そうすると、かなり深いところまで浮遊してきたんだな」
ダリルはフィルを背負ったまま泳ぎだす。 どこまでも続く水の連なりを、ダリルたちは泳いでいる。
どれくらい泳いだだろうか。
なにか水滴が重く感じる。
「なんだこの水は、なんだか重く感じるぞ」
ダリルの感触には、ずいぶん重いものなのだった。
−−すべての消滅を。
−−死滅の破壊を。
−−狂気の死を。
「まるでなにかひとつの意志をこの波に感じるぞ」
ベイルベームが指摘する。
「これは精霊の意志。それは破滅の帝王。世界の浄化しかない純粋のうねり。消えた思いの影。忘れられた子供の頃の夢。その灯火がまだ、人の世に希望を明滅させるから。まだ時代は歌う。その暗闇の中にあった崩壊の序曲を。忘れられた人はここで眠っている。誰にも起こされることなく。誰にも思い躍ることなくただその思いのままに世界を波紋するままに。精霊は躍る。その思いのままに。だから精霊はあらゆる自然の姿。自然の思い。精霊と踊らん。それが自然な人の理(ことわり)」
フィルはそう歌う。
色彩音(メロディ)。
夢すくらむは思いの彼方に。
なにもかもが闇。
なにもかもが夢。
なにもかもが虹。
色。
それはかほとかの世に言う時の歌のなだか。
時は群青の精霊に思い。
それは詩と史に明滅した思い出のことさら。
精霊はフィルにだけ共鳴していた。
「精霊がぼくたちになんの用だっていうんだ」
ダリルはフィルに聞く。
「知らない。けれど、意識がそうとう混沌としていて、あたしでは同調できない」
水は意志を持った存在としてダリルたちに牙を剥く。
その水はそれ自体が意志の集合。
水は存在を凶器と化す。
破壊の水が渦と逆巻く。
うねる意識の混沌。
砕かれる思い。
もうなにもかも忘れてしまった思い出。
精霊はさらに渦となる。
水、ではない。
まるでスライムの海にでもいるかのように、重い水なのだった。
その重い波にもてあそばれるダリルたち。
フィルだけはなんの影響もなく浮いている。
「どうしたんだ。なんでフィルだけ平気なんだ」
「どうやら、あたしは気に入られたようね。まあ、せいぜいがんばりなさいな」
「そんな、おい、助けてくれよ」
「ダリル、ダリルはなにくれんのかなあ。えーとねえヂルチスのバッグとかねえ」
「おまえは守銭奴(しゅせんど)かあ!」
フィルはまったく思い通りにならない。
なんだまったく。
もっと現実のほうが変わるだろうに。
ダリルはぐちるが、それは別段、子供のフィルには興味のないことなのだった。
ダリルは剣を振るう。
だが、なにせ相手が巨大すぎる。
見渡す限りの精霊の力相手に、なにができるのでもなかった。
「こういう時、正義の味方は自分の力で乗り越えるものよ」
フィルはけたけたと笑う。
「ベイルベーム、なんか手はないか」
「ない」
「剣もきかない、魔法は使えない。精霊使いは笑ってやがる。どうしょうもないだろう、これは」
破滅の意識が明滅する。
−−これまでか。
だが、なにか忘れているような気がする。
自分にはここまでの力しかなかった。
そう、それはうまくつじつまがあう話だ。
もともと自分にはなんの力もなく、誰一人として自分を正確に感覚した人などいただろうか。
いや、誰もいない。
誰が自分を理解したというのだろうか。
なにが世界だというのか。
フィルが笑っている。
フィル、フィル。フィル。
それはどきどきすること。
夢。
忘れられた思い出の色。
もうゆったりとしたことはどれくらいないだろうか。
忘れてしまった自分。
ゆくえ。
未来。
それはいまから始まるとも。
フィルの感覚になんとなく、ダリルは自分も、もしかしたらなにかできるかも知れないと思った。
なにか急にそう思ったのだ。
なぜか、突然なのである。
ダリルは言葉を紡ぎだす。
「世界よその果てよ、聞いてくれ。この思いはどこまで続くのだろう。なんのためにこんな思いがあるんだろう」
楽(らく)、楽、楽、楽楽楽、らっくらく。
ふと、ダリルの言葉に波がうなったような気がする。
それは気のせいかも知れなかった。
ダリルは精霊に歌う。
「こんな思いを笑ってくれ。いつか世界がこのうねりならば、この苦しみならば、その思いよその思いに果てがあることを力としていくならば、この力もまた時代のひとつのそよ風となるだろうに。いつかこの思いよ螺旋となって世界をめぐれ。いつか世界が思い描いた地平線にたどり着けるまでに。この思いよ力となってこの思いを世界の果てに放つ。それがいいか悪いかなんて知らない。それがいいのかなんて思ったことなんてないさ。だから一緒に踊ろうよ。この光が暗闇に変わるまでに。この思いよ踊りだせ。それがいまだといま言おうよろうよう。昏(くら)昏(くら)昏(くら)昏(くら)くとも。そもそも、そもその思いに踊り。虫が鳴き、空(そら)うべき時の時にも。それはいつか揺らぐひととき。これがいい、あれがいい。なにがいい。それでもまた探していたからさ。それでいいと思うなりて。ゆっくりとまた思い時、時、時なんて時なのさ。思い描いた空のよな花。願い花。夢の花。いつか出会いが別れと歌うよに。その思いよ花になれ。いつか枯れない花となれ。いつか花には思いが舞い踊り、その夢を語るだろう。いつかその思いが、その気持ちを草原するだろうさ。世上(ゆじょう)の砂原で思いよ花となれ」
色彩音明日(メロディアス)。
ラックトゥースダイスラン。
ころころころと永遠に転がるサイコロよ。
思い出のららら。
うたかたのららら。
群青のららら。
明滅のららら。
それは。
らっく。
(楽)。
だかららっくららら。
らっくららら。
向こうは苦労の歌。
旋界(せかい)はとてな。
夢の間。
夢のまにまに。
それはいつか、うつらうともなん。
ゆらゆらゆらら。
それはもう二度とない時の連鎖なれば。
るらるらるるる。
るらるるる。
ダリルの歌、とは未熟なれど、その言葉に、うねりはゆっくりと穏やかになっていく。
精霊はその歌に色々色彩明滅していく。
−−とは、世界よ、その思いなれじど。
「いま、やゆせんその面影よ。そぞろたつ思いならば。それでいいといま言おうというに」
−−なにが思い出か。なにがこの群青(ぐんじょう)か。
「それがいいとは言わない。舞っているのは風の思い出。それが一千の里(さと)を越えた思い出」
−−ならば、はせん。思いの連乗(れんじょう)。思い出は夢に帰りゆくふらう。るう。
「それがいい」
−−それがいい。
波は完全にその力を水平に化す。
暗闇は穏やかに波とうねる。
「やるじゃない」
フィルが笑っている。
ふふふと。
その笑顔にダリルは心が笑顔になった。
フィルが精霊と歌う。
暗い水平の精霊はダリルたちを上の階まで持ち上げてくれる。
ダリルたちは天井から出ている階段を上がっていく。
ダリルたちの服には、一滴の水もついてない。
それは精霊であったから。
そして悲しみも精霊には一瞬の曇りなく、心穏やかにあったから。
「人の悲しみが集まる場所がある。そんな精霊がいるんだな」
ダリルは納得顔だ。
「ひとついいことしたわね。あの精霊、ずいぶん歌を忘れていたような感じだったもの。あたしから感謝を心に思い描いたから。ダリル、ありがとう。見直したよ。ちょっとだけども、ね」
「そうか。そうだろう」
ダリルが精霊と対話した、最初で最後のことであった。
「ベイルベーム、変なナレーションつけるな!」
「いや、たいしたもんだ。これからはダリルと呼ぼう。様をつけたほうがいいかい」
「好きに呼ぶさ。それが仲間だろう」
「まあな」
「そこまでだ冒険者」
誰かの声がする。
年老いた男の声だ。
フィルの歌に光が声のほうに舞う。
暗い広間。
暗闇にぼうっと光る一人の姿。
黒いローブに身を包んだ白髪の老人がいる。
長い髭(ひげ)が揺れる。
手には木の杖を持っている。
「誰ですか」
ダリルは聞いてみる。
「我は精霊の守護者。その思いよ世界のくらさ、うらうらその思いに果てあるとも。精霊は我が思いなのだ。我が名はその名もバリルステインダだ」
それは確かに精霊の歌のように思えたが、なにか変な、フィルとは違う感じの歌なのだった。
「その守護者がなんの用ですか」
ダリルは質問する。
バリルステインダは問答無用で歌う。
「精霊はそのままにあるのが自然のことわり。そのままに歌われるもの。だから私の歌こそが精霊の歌。おまえたちの歌が精霊だなどと、誰が言うものか。さあ、いま、この力の前にその歌を月の光にさらさん。さあ、我が思いの歌にその思いに精霊に踊れ。この群青など、この昏(くら)さなど、なにも誰も輪廻することなどあるだろうか。さあ、その思いに深い悲しみを。いまから時代はその思いは人生など昏(くら)いひとときの夢だとなぜ認めないのか」
バリルステインダの歌に精霊が踊り出す。
世界の暗転。
昏(くら)い力。
昏(くら)い連続。
だが、その力はなにもかもが異質であった。
「違う」
フィルがぽつりと言う。
「どうしたフィル」
ダリルがフィルに聞く。
「この歌は精霊と共鳴するのでなく、支配している。いえ、歌ですらない」
「精霊法ではないのか」
光の精霊がダリルにぶつかると、ダリルの鎧が砕かれる。
フィルがダリルに言う。いや、それは歌であったか。
「これは、魔法で精霊を動かしている。……。その歌よ。その力よ。あなたたちは明かりの役目。その力は滅びの歌。昨日よりも広大な思い。その思いだけが力の始まり。忘れていた感情よ。思い出のやさしさよ。その思いに心を思い描く。星だけがその回転。思いの果てに夢描く。それがいつも見た夢だとしても。なにが自然かなんて時それぞれ。いつか出会った風。いつか空にまた吹く時もあるから。いつかその思いが花となる日。いつかこの夕日が心になる日。そしてまた続く思いよ。連なる思いよ、その果てに夢をえがかん」
フィルは歌うが、それは精霊にはとどかない。
バリルステインダは歌う。
「原始の青よ、その空よ、我が思いに答えたまえ。雷洛(らいらく)の刻(とき)。イデオロギガル。我が言葉は暗黒の精霊の絶望の世界よりの闇のまたたき。もうこの世界が我が暗闇の存在意義。さあ、精霊よ踊れ。その思いがクラクションの宴。眠り姫は笑う。この闇の中でこそがすべての群青だと知ってるいるからさ。願いたまえその闇。乱より蘭。雷羅(らいら)雷羅(らいら)雷(らい)。その苦悩が力。その悲しみの数が言葉なれど、誰が愛など歌うだろうか」
闇の精霊は魔法に彩られ、男の力に明滅する。
闇の精霊はゆっくりとダリルたちに踊る。
フィルも負けじと歌いだす。
「あなたの言葉は鏡の世界では逆さまになりて。その思いが花。その思いが空。その思いが忘れられた夕日の色だとしたら。この想いよ憂愁の雲を描け。世界は花。宇宙という木の花。いまあなたが得た力など、精霊には不自然。なにもかもがあるべき時、あるべき思いの果てにあるべき時。その思いは空の果て。その思いはなにもかもを一瞬の雨と化す。だからまたその思いは歌い、精霊は踊るのだから。暗い夜ならば光。そしてその光は月のまにまに」
光の精霊が闇の精霊と踊り、闇の精霊はゆっくりと闇へと戻る。
広間は暗闇のままにある。
誰がここにいるか。
それは暗闇の使い。
それはただ自然の超越を願う魔法使いである。
お互いの歌が精霊を明滅させる。
それは生成と消滅のくりかえし。
お互いの力は拮抗しているようである。
と。
歌が重複していく。
ダリルとフィルの歌が響き合う。
精霊がダリルとフィルのあいだを舞う。
バリルステインダには精霊は舞わない。
「うぬう、こうなれば」
バリルステインダは攻撃呪文を唱え始める。
それはすでに精霊とは関係のない、魔法であった。
蹴り。
それはダリルがバリルステインダに放ったものであった。
すばやく倒れ込んだバリルステインダをベイルベームが縛り上げる。
「そこまでだな」
「精霊をその支配下においてなにをしょうとしていたの」
フィルはバリルステインダに聞く。
「ふっふっはっはっはっはっはっ」
バリルステインダは笑う。
「なんだなんだ」
「我は人にあらず、その存在はさらに高等なるものなり」
バリルステインダは勝ち誇っている。
が、一向に動きは人そのものだ。
「驚いただろう」
「いや、まあ、そういうものなのかな、とか」とダリル。
「まあねえ」とフィル。
ダリルたちはその話の真意などどうでもいいのであった。
ダリルはさっさと上の階段を探そうと提案する。
バリルステインダは話始める。
「我が存在は時を越えたその思いの連鎖、偉大な魂の修練。その砕かれし希望の星石。我が本質こそが力。我が夢の彼方の水平線に鳥がさざなむとも。それが世界だと誰が言うのか。水に沈んだ世界。世界の上に世界があり、その世界の空にまた世界が広がる。それがいまの本質だと誰が示したと言うのか。それが鏡の世界。いつも思いがある。それは我が精霊の方向。大地は宴。空は宴。風は宴。我が世界の異変として、その思いは風の旅人になるだろう。おまえは果てなのか?」
異変。
それはバリルステインダの饗宴。
うらうらう。
雨雷(うら)羽羅(うら)卯(う)。
それは始まりの歌だとバリルステインダが歌だと風そよぐ時。
それはいいことだと精霊が歌う。
それはいけないことだと精霊が歌う。
忘れてしまった眠りの夢にも、精霊が舞う、精霊の力の源、その始まり。
それはいつか揺らぐことなき光の群青樹(ぐんじょうじゅ)。
「フィルフィルフィールと呼んでよね」
フィルはにこりと笑う。
「これは驚いた。世界の果てがなんの用でここにいる」
老人は変わったものでも見ているようだ。
「あら、世界はその果てこそが始まりの歌。ねえ、そうでしょうよ」
「そうか、まあ、いい。我は別に始まりの時になど用はない。我は破壊にも創造にも興味はないからな」
「そう、ラインスドアってわけなわけだ」
フィルと老人はさっきから話している。
「おまえらさっきからなんの話してるんだ」
ダリルが不思議顔だ。
「なに、人にはその感覚する世界の次元としての鏡面が歌を奏でるのよ」
「さっぱりわからんな」
「それでいいのよ」
フィルは納得顔だ。
「ふーん、そうか」
バリルステインダは立ち上がる。
「おまえたちが求めているものなど知らないが、まあ、いい。私は精霊の守護者としてここにいる者。おまえたちなどどうとでもなるがいい」
老人は、バリルステインダはすたすたと歩いていく。
そしてダリルたちだけになった。
「なんだったんだいまのやつあ」
ベイルベームはがうなる。
フィルがバリルステインダを見送りながら言葉を紡ぐ。
「精霊の守護者でしょ」
「とてもそうには見えないがなあ」
「人が死んだら涙する。だから精霊にもその気持ちを思い描く存在が必要なのよ」
「そんなもんか」
ダリル一行は上の階段を探す。
「これは……」
それはあきらかに人が作り出した理路整然と構築された通路であった。
通路に足音が響く。
それはどこまでも続くような回廊。
「なんだか精霊がずいぶん感覚するのだけれど」
ダリルは暗い回廊をひたひたと音とともに旅をする。
それは昏(くら)い夜道のように。
それは世界の果てのまたたきのごとく。
天使はいつまでも天使だったから。
苦しみは歌いつくされた。
これからはもっと楽しい歌を感覚していた時の闇のこと。
回廊は白と黒の模様の四角いつややかな石が並べられた広場に出る。
まさに装飾の極みともいうべき、宮殿のごとく精微な作りの広間だ。
円錐の柱が何本も立っている。
豪華な調度品もそこかしこに並んでいる。
ベイルベームはさっそく品物の物色を始めている。
上に上がる階段がある。
数十人はあがれそうな壮大な階段である。
剣戟(けんげき)の音がする。
複数の剣ががなりたてる音がする。
それは上の階からの音なのだった。
「上でなにか起きているのか。どう思う、ベイルベーム」
ベイルベームはあっちこっちの品物を見ている。
まったくダリルの声など聞こえていないようだ。
「まあいい。行こうフィル」
ダリルとフィルは階段を上がってみる。
そこはさらに広大な空間となっていて、そこで、鎧を着た男たちが戦っていた。
その人数は百人といるだろうか。
「これは、まるで戦場のようだ」
ダリルはぽつりと言う。
「この人たちは狂気の精霊にとりつかれている」
「戦っているのではないのか」
ダリルが聞く。
「最初はそうだったのかも知れない。でもいまはただ相手を殺すことに心を支配されている」
「愚か者たちじゃよ」
バリルステインダが横にいた。
「なんだじいさん、なにか知っているのか」
バリルステインダはこほんと咳(せき)ひとつすると、話始める。
「奴らはドットステイダムの騎士団だ。ここの混沌の精霊を操れれば、巨大な力になる。だからここに混沌の精霊の力を得に来たのだ」
「これはじいさんの手際か」
ダリルの質問にバリルステインダは笑った。
「わしはただここにいるのが使命。きゃつらは、その心の闇に混沌の精霊が舞った。それだけのこと。おまえたちも混沌の精霊には触れたじゃろう」
「ああ、そういえばそうか」
ダリルは納得している。
「こいつらはどうなるんだ」
「さあな、その混沌に己(おのれ)の本質を見つけるか、それとも……いづれ、落日の精霊とは誰もが出会う定め。それがただ、時代の輪廻。誰がその思いを歌にするというのか」
「そうか」
ダリルの眼が爛々(らんらん)としている。
ダリルは初めて人が戦っているのを眼にしていた。
それはこれからダリルが踊り出す場所。戦場であった。
ダリルは緊張していた。
いや、それはなにかを見つけた眼をしていた。
それは自分が生まれた場所に戻ったような、なにか得も言われぬ感情に左右されていた。
どうするか。どうすべきか。
いや、それは決まっていた。
「ここは危ないから、他のルートを探しましょう」
フィルは提案する。
「それはもっともな話だ」
ダリルはそう言いながら抜刀する。
「それがあなたなのですか」
フィルの問いにダリルはうなずく。
「これから世界を変える。まずはこの連中から変えなくてはならない。それが我が道なり」
ダリルは単身斬り込む。
ガイン!
ダリルの剣は鎧にはじかれる。
その鎧は最高の鋼鉄と技術で作られたものであって、人の技術士の最高のものであった。
ダリルの未熟な剣は鎧にはじかれた。
それは貴族学院で学んだ技術の前に、ダリルの初陣であったのだから。
ダリルは戦場など知らない。
その圧倒さなど、話に聞いたことしかなかったのだ。
その鎧の男はダリルに向き直る。
上から剣が振り下ろされた。
ダリルは自分の剣の端(はじ)と端を持って、両手で相手の剣を受け止める。
受け止められなかった。
吹っ飛ぶダリル。
重い一撃だ。
それはどんな貴族学院の教練騎士よりも重い一撃なのであった。
激痛が走るが、腕は動く。
なんとか立ち上がるダリル。
その男はまだダリルの前にいた。
圧迫感。
苦痛。
息が苦しい。
いや、それは戦場の一瞬であった。
ダリルはその場で立っているのが精一杯で、どう動くのか、考えることさえできないでいた。
男の一撃。
また上段からの攻撃である。
ダリルは今度は自分の剣を斜めにして剣の先を肩に当て、相手の剣を受け流した。
ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃり
金属音の後、相手の剣がすべりおち、相手はいきおいあまってバランスをくずす。
ダリルは剣を突いた。
鎧の隙間、腕の付け根に剣は突き刺さる。
ダリルは渾身の力を込めた。
ダリルの剣が手から離れる。
相手が倒れたため、ダリルの剣も倒れた。
そして、相手の男は動くことはなかった。
ダリルは肩で息をしている。
剣を引き抜くと、また狂乱の波に挑む。
混乱。
戦乱。
雷乱(らいらん)。
しばらく後、ダリルは剣をひきずりながらフィルの元に帰ってくる。
戦いは終わっていた。
ダリルがまともに戦ったのは五人だったろうか。
ほとんどの者たちは、相打ちとして倒れていた。
ダリルは思う。
−−誰もいない。
−−いや、誰を探していたんだ。
−−なんで我はここにいるんだ。
−−忘れてしまった世界。
−−夢ばかり見ていた日々よ。
−−それはいつのことだったか。
−−おぎなうことのできない心のからっぽさ。
−−なにが世界を変えるのか。
−−確かに我は世界を変えるためにいたはずだ。
−−それは確かにそうなのだが、この心のなさはなんだ。
−−これが世界の終わり。
−−ならば、世界の果てということか。
ダリルは自分の存在意義さえ薄らいでいた。
それはもしかしたら狂気の精霊にとりつかれていたのかも知れない。
「おつかれさま」
フィルはにっこりと笑う。
それはとてもゆらゆらゆせせ。
それはゆったりとした空を思い出すこと。
心の雲には変わることなく変わり続けるうつらうつらつらが思いとしてあるのだから。
フィルの笑顔。
ダリルはふと思った。
待っていたものはこれだ、と。
忘れゆく幼い日々。
望んでいた時間。
やさしい思い出。
それだけではないけれど、ゆったりとした感覚。
ゆっくりと星と踊った日々よ。
また自然を歌とするも。
鎧はフィルの前ではただ重い服。
剣はなにも傷つけることはなかった。
ダリルは剣を杖変わりにフィルの前に行く。
「ああ、終わった」
ダリルはフィルにもたれかかる。
「無理をするわね」
「そう、だな。だが、これは我の第一歩にすぎない。これからはこれが我の日常なり」
「まあ、たいへんね。あなたが死んだら、誰があなたを演じるというの」
フィルが笑う。
くすくすくすくすり。
「我には自分の姿が見えない。だから生きている。だから殺すことができる。守る人を守るため、その身崩れるその日まで我が信念に朽ちる時よ、汝、我が果てなり」
「まあ、すばらしいわねえ。あなたが死んだら、花でも送るわ」
「縁起でもないな」
「あなたが人を殺すならば、あなたはいづれ、誰かに殺されるでしょう」
「我は死を恐れない。いっさいをその運に帰すまで、我の戦いが終わることはなし」
「あなたは不幸な存在。不幸な人が誰を愛し、誰を幸福にするというのでしょうか」
「夢は次の世代が引き継げばいい。我はそのための礎(いしずえ)」
「あなたの破滅をここで感覚しています」
「それがいいだろう」
ダリルはフィルを見る。
フィルの声が響く。
それは精霊の舞い。
それは忘れられた人々の記憶。
それは群青の竜による空のわだち。
鳴くがいい。
鳥よ。
空はいつも心の在処(ありか)。
だから。
フィルの声が響く。
「怖(こあ)。それはあなたがあたしの思いの核(コア)たる存在。あなたがいればそれは楽しく、永遠の冷獄(れいごく)なのだから。瑠瑠亜(るるあ)、瑠亜(るあ)。あなたがいれば自然は力を失い、私の思いは狂い舞う。瑠亜(るあ)、瑠瑠亜(るるあ)瑠亜(るあ)。もうあなたは私の手の届かない人あなたがいるだけでなにもかもが哀しい夜の歌。なにがあなたを無情さに静まるの。なにが世界を必要だと、あなたは歌うのでしょうか。どこにでもある生活。それいじょうにたいせつなことがどこにあるでしょう」
フィルはそう歌い、精霊と舞い踊る。
それはフィルの始まり、思いの始まり。
生きて、自分を救い。人を救う。
世界の果てはそう波紋しているようで。
思いはいつも砕かれた石の破片。
崩れた砂に意志はなくしも。
ともしびなど夢みなければその涙に沈むことなどあるかいて。
時間は自由の歌。
誰にも問われない存在よ。
崩れる輪廻よ。
なんにもない世界なら誰も必要ないのか。
なにもかもある世界なら、誰か必要なのか。
言葉は思いの欠片(かけら)。
二度とない世界よ。その意味よ。
いつか出会いさえ、この時が忘れてしまっても。
それでもまた、世界は変転する夢の回転樹(ルクライミング)。
人の痛みは美しい。
人の苦しみは広大な砦。
守るものはその思いだけ。
だからまた、人は思いはせていた。から。
「だからまた、私はここにいたから」
フィルが笑う。
「フィルがいてくれればいい。それがいま思いの果てなればなり」
「そうですか」
フィルの後ろに、ダリルの前に剣を振り上げる騎士がいた。
「あぶない!」
フィルはダリルをかばった。
倒れるフィル。
ダリルの剣が男と組み合う。
数刻の後、ダリルはなんとか立っていた。
「フィル!」
ダリルはフィルを駆け起こす。
だが、フィルは動かない。
それは眠っているかのようであった。
「誰か、誰か助けてくれ。なんでもする。だから、誰か助けてくれ」
涙。
なにもかもが、その苦しみのすべてが、涙となって流れてしまえばいいのに。
苦渋。
破壊の代償は夢失い。
聖舞(セーブ)。
人は星の遠心力に心得る。
人はその狂気に心失い。
人を昏(くら)く。
人を昏(くら)くしていく。
誰も傷つけず、心穏やかに暮らせ。
思いは花となって散った。から。
世界はそれでも変わらず美しい。から。
また人はそれでも心踊らせたから。
「誰も助けてはくれない」
大人のフィルがいた。子供のフィルを抱えたダリルの前に。
時間は夢のあいだの人生の演奏。
誰が主体で誰が忘れられた石の意志なのか。
思い出においてきた未熟さを教えてほしい。
世界はいつも変転してる。
それは人のため。
それは自然のため。
それは愛のため。
それは哀のため。
それはいつか約束の地で再会した空の星々。
時代は超えていく。
なにが時間をさえぎるというのか。
なにがこの道を螺旋するというのか。
人はすでに手に入れたやさしさを、そっと胸のポッケにしまっていたのだから。
「いつまでも子供ではいられない」
そう言ったのは、子供のフィルだ。
ダリルの手の中にいるのは、大人のフィルのほうであった。
「でもね、大人は老いてしまうだけ」と、ダリルの後ろで子供のフィルが言う。
ダリルの手の中には大人のフィルがいる。
大人のフィルがダリルの後ろにいる。
大人のフィルはダリルに言う。
「たとえば約束は守らなければなりません。人はひとつの約束に思いを星としながら、その心を躍らせます。それは時の砂上。いつか約束が思い出の彼方まで人を連れていく時まで。私は歩いていくのです。忘れられた約束に私は空を見上げ、そして夜に打ち上げられた夢をつむぐのです」
子供のフィルがダリルの横でささやく。
「誰も気にはしない。人に約束など最初からなかったのよ。約束は束縛の言葉。それは誰も幸福になどしない。誰もなにもない世界。約束という世界には、誰も生きることなどできるはずもない。だから人は約束を忘れ、そしてまた思い出を約束するのよ」
大人のフィルがダリルに言葉踊らせる。
「たとえば、一人の人、愛する人と愛することが誓い。愛をまっとうするのが人の務め。愛を感情することこそが人の思いの舞い。愛いがいになにが世界だというのです。それこそが永遠の思い。愛は気持ちでもっとも尊い心の星。人は愛を感じて人となる。愛は五感、そして気持ちの始まり。愛に人は心生まれ、愛に人の心は砕かれる。愛は一番大事なものを守る世界観。愛いがいに人をつなぐものなし。人の愛よ永遠なれ。この思い出よ人の意志よ、いま、愛の空へと思いの蝶を飛ばす。自分の信じた人と性をするのです」
子供のフィルが不敵な笑みを見せる。
「いいじゃんいいじゃない。好きに性を踊れば。それが理性の邂逅(かいこう)。夢はなに。夢性(むせい)はなに。忘れてしまった言葉は思い出に描かれていたから。愛に夢も希望も失い、路頭に迷うだけ。愛は絶望。愛はろくでなしの遊び。愛に人は死に、誰も助けられずに愛だけが残る。人のいない気持ちなどどこに存在するだろう。人の愛よ。人のうれいよ。それは人の忘れかけていた惰性。人は愛などなくても生きていける。人に愛に狂い、愛に哀(あい)する。人は愛にだけ生きているわけではないのだから。自分の好きに性をすればいいのよ」
大人のフィルはダリルに語る。
「人の命は大事なもの。それが守るべきもの。人の命以上に守るものなどあるでしょうか。それがもっとも愛を受ける存在。人の命に世界は歌い踊る。人の世界は命の中にある。人は命の精霊。」
子供のフィルが笑いながら言う。
「人の秩序はその命。秩序なくして守るもの無し。失ったら戻らないもの。けれど、もっとも重く軽い存在意義。何人殺したら世界は変わるの。理想のために命は紙切れなのだから」
大人のフィルが「世界よりもあなたが大事なのです」と言う。
子供のフィルが「世界を救ってください」と言う。
「あなたは人にあたえる人。人を助け、人に道を指し示すでしょう。人を破壊してはいけません。けれど、人にはすべきことがあり、それが王道だとあなたは知るでしょう」
「あなたは君臨する人。あなたを人は魔王と言って恐れおののくでしょう。人の心を破壊しつくすでしょう。人の気持ちがなくとも、自分の力で行動しなくてはならないのです。あなたが、魔王が破壊しつくした世界で、一人生きていくのですから」
大人のフィルは人の気持ちについて言う。
「人のいやがることをしてはいけません。人の思いを否定しないで。その人の思いをやさしさで包んであげるのです。その人の気持ちを尊重してあげるのです。人の気持ちに寄り添い、けっしてけっしてその人の思いを育んであげるのです。人の気持ちに寄り添うことこそ生きることですよ。他人の気持ちをやさしさで感覚するのです」
子供のフィルは人の気持ちのことを言う。
「他人の意志など結果でしかない。自分の思いのままに生きればいいのよ。人の気持ちなど、なにが意味するというのでしょう。本質こそが大事。人の気持ちはいずれついてきます。人の気持ちなど恐れない。ただ自分に忠実に生きるのみ。ただ自分の思いを他人にぶつけて、他人の気持ちはそれは自分の気持ちの反映」
大人のフィルは希望について言う。
「希望のために働かなくてはなりません。働きの中に、休息は見つけなければなりません。働きこそが救い。それこそが未来を形成します」
子供のフィルは希望について言う。
「どんなにがんばっても、求められるレベルは上がるばかり。休む地は見つかることなし。希望なく、ただ働くことが続くのみ」
それは大人のフィルであって、子供のフィルであった。
交互に踊る相互。
その思い。連なり。夢。
「あなたは一番怖い人ですか」
「あなたは一番やさしい人ですか」
「あなたは誰にでもやさしい人ですか」
「あなたは誰にでも厳しい人ですか」
「狂い続ける舞いを人に」
「理知なり続ける舞いを人に」
「自分を傷つけない力を」
「他人を傷つけない力を」
絶対(うた)。
相対(かた)。
絶対相対(うたかた)。
絶対相対(うたかた)。
絶対相対(うたかた)。
そして。
すべての対となる気持ちの一点よ。
「生き続ける力を。生きることこそが存在の証明。希望に生きることが空の夕暮れ」
「人に破滅の死を。絶望に死すことこそ自然の理。」
「あなたはどちらか選ばなくてはなりません」
大人のフィルにそう諭されるダリル。
「あなたはどちらか選ばなくてはなりません」
子供のフィルはそう言って笑った。
−−ぼくは……。
「ぼくはただ同じ時代を超えていきたい」
ダリルは子供のフィルの手をとる。
ダリルと子供のフィルは歩いていく。
「だから時代は変わっていくのです」
大人のフィルはそう言うと闇の中に姿が見えなくなる。
−−あなたは世界を選ぶ。
−−世界はどこまでも続く。
−−その果てなど、どこにあるでしょうか。
−−あなたが世界の果てでなにを見て、なにを探して、なにを見つけるでしょう。
−−それはあなたの影という名の闇。
−−それはあなたの真実。
−−それは消えることのない麦の草原。
−−くんたられた。
−−世界はそれでも一度もその本質を止めることなく、鳴動していたから。
ダリルは大人になるにつれ、フィルと一緒に歩いていた。
エルフは長寿のため、一般に成長は遅いと言われている。
けれど、フィルはダリルと同じだけ、大人の姿になっていった。
大人のダリルと大人のフィルのあいだには赤子がいる。
「この子の名前はなにがいいかな」
フィルが笑う。
「エルフのフィル。エルフィールがいい」
ダリルが笑う。
「いいわねえ」
「おれは旅に出る。仲間を集めて、戦いを始めなければいけないのだ」
「そうですか。私はここでエルフィールを育てています」
「そうか。それではな」
そしてまたダリルは旅に出る。
最初は一人、二人の仲間だったダークエルフを、ダリルは三十歳になるまでに千人にまで増やしていた。
ベイルベームはエルフとも対等に話しをした。
それはずいぶんエルフたちの関心を呼んだのだ。
ベイルベームは合流したエルフィールにとっても人生の導き手として隆々としていたのだった。
ダリルの仲間は一騎当千の軍勢で、一人とて、力を歌わないものはいないのだった。
「なあ、ダルタルダッテ」
ダリルは仲間のダークエルフに言う。
「そろそろ世界は変わらなくてはならないだろう」
それに異を唱える者はいなかった。
ダリルたちは小国ダガンテを打ち落とす。
少数精鋭のアルバガンテ騎士団をダリルは一歩も引くことなく打ち破った。
快進撃の始まりであった。
未開の地にある国群(こくぐん)いがいの一二ヶ国の騎士団を打ち破るまでに五年とかからなかった。
地図にある王国の騎士団をすべて打ち破り、そして最後の騎士団との戦いでダリルはジョルディーと出会った。
そこにいたのはあの日の自分であっただろうか。
だが、ダリルとの戦いに勝ったこの少年には野望が無い。
信念が無いのであった。
それが口先だと思ってもみた。
だが、その言葉が、その存在がダリルの中で許されることはなかった。
ジョルディーをその生きかたを根底からくつがえす。
そのための封印の魔則であった。
ジョルディーがダリルの執念というクリスタルに閉じ込められた時に感じたものは感動と言っても良かった。
それは世界の平定よりもうれしいことなのだった。
それからダリルはずいぶん退屈していた。
もう争いは無い。
人はダリルを見れば逃げ出してしまう。
ダリルはもっぱら城で魔法の書を読んで一日を過ごした。
そしてその日々はジョルディーがクリスタルから解放され、またダリルの前にエルフィールと一緒に現れるまで続いたのだった。
これでいい。
ダリルは満足だった。
次の世代が越えていくのはきっとその思いに目覚めたからだ。
ダリルは最後までそう信じてその身は砕けたのだ。
冥界では旅を続けた。
冥界は広く、それでいてどこもかしこも人であふれていた。
いままでのすべての人がいた。
ダリルなど知っている人などあまりいなく、ダリルは多くの土地で多くの人々と話しをして過ごした。
それは信念とは違う。
そういえば若き日のジョルディーが言っていた、散歩というのに近かった。
旅にこそ、人との出会いこそがダリルの生き甲斐であった。
そしてジョルディーとエルフィールとの再開。
それでいいと誰かが言った。
ダリルはまた冒険の旅に踊り出たのだった。
「だから、また若者と旅が出来てうれしかったのだ」
ダリルの前にエルフィールとジョルディーがいた。
ダリルは光にその思いを明滅したのだった。
冥界の女神がダリルにうなずく。
「助かったよ」
冥界の女神がダリルに感謝する。
その言葉に見下した感覚はないのだった。
「良かった」
エルフィールはため息をつく。
「おまえたちにはまだすることがあるぞ」
女神はエルフィールとジョルディーの腕をつかむ。
「なんだと。私たちは冥界の住人ではないぞ」
「世界の果てへ行け」
女神の目が輝いた。
世界は海に包まれ、その果ては地図にも明記されてはいない。
どんな国があるのか。
どんな人がいるのか。
どんな獣がいるのか。
まだ知られてはいなかった。
「時間を司る螺旋竜がおかしな行動をとっている。そのために黄昏の神々の長、大神(たいしん)さえ力をさえぎられる事態だったのだ。おまえたちは行け。解決するまで帰ってくるな。死んでも冥界では優遇してやるぞ。おまえたちの戦いだけがこの不変を変える可能性を持っているのだ。まだ世界は混沌の重力にしか大地を形成できないでいる。おまえたちは世界の果てに行ってことの真相を探ってくるのさ。もしできないならここで死ね。出来るなら生きろ。それでいいとおまえの本質もうなっている声が聞こえるとこだろう」
エルフィールはどぎまぎしている。
「知識の神に聞いてみればいい」
ジョルディーが言う。
エルフィールは納得顔だ。
「あいつは暗くて嫌いだね。話しなどしないね」
「なにわがまま言ってるんだこの女は」
エルフィールはこぶしを振り上げてるが、ジョルディーとダリルとハイベルとミラルとダミエールが羽交い絞めを決める。
ハイベルが言った。
「神はそれぞれが世界を形成していて、事態によっては協力できないのですよ。相互の神の思いには、不可侵の流旋(りゅうせん)という存在があるのです」
ハイベルが必死に説明する。
エルフィールの力がうなだれ、ため息ひとつ。
「いいだろう」
エルフィールは納得の一言を述べる。
「お母様によろしくねん」
女神はエルフィールにそう言って笑う。
「母になんの関係があるんだ?」
それはエルフィールたちにわかるはずもなかった。
エルフィールは女神の気まぐれだと思う。
ジョルディーは野道の花を、その飛び交う虫を見ていた。
ミラルは女神の本質を感覚していた。
そして、時間はまたエルフィールたちに道を示す。
エルフィール一行は旅に出る。
ダリルは王として冥界の都市に残った。
一行は人の数はそのままにまた旅を続ける。
エルフィール一行は歩く。
世界の果てを目指して。
ダリルの変わりの増員は。
迷惑。
だとエルフィールは怒る。
「なんっでおまえが着いてくるんだ」
エルフィールは女神につかみかかろうとするが、ジョルディーたちに止められる。
「冥界出るまで道案内だよ。納得だろう。冥界を出るには道を知る本質の空と風が必要だよ。それは冥界の王かまたは女神にしかできないことでもあるのだから。特におまえたちには世界の果てへの近道を旅するのだから。当然だろう。ところでねえ、冥界は閉じた世界だから世界の果ては無い。だが、おまえたちのいた世界にはある。だから、地上に出るまで一緒に旅をする。神殿には行かないことだね。黄昏の神々の神殿は無限形成され、その果てはない。そして、世界の果てには神々は近づくことはできない。それが世界の果てというもの。これは使命なのよ。神の使命になんの不満があるっていうのよ。ばちあたるぞ。こら。んー。なんかさあ、のどかわいたなあ。ちょっと戻るか。都市の水はうまいのよねえ。ああ、ちょっとあんた、水をくんでこいや。ああ、日が照っているからさあ、誰か日傘、おまえたち動き遅いなあ。ほらばち」
エルフィールに石投げる女神。
「ぶっとばす」
てなわんや。
「なにが世界を夢見るというのだろうか。なにが一番いとしいのだろうか。それは願い夢見ているには違いない。それは世界よ。その空よ。鐘鳴りて時は成(せい)する。いまが一番いいと言うには夢すぎて、それでいいと思いはとらととと。とにかくそれでも世界 はゆっくりと自然に歌い。それは精霊の歌。それは世界の果てよ。その思いよ。くらっく昏(くら)くくらっく昏(くら)くらっくらっくらっくらんらんらん。それでいいよと幸運よ、あの人たちの空を彩れ。誰が世界の果てだなどと笑うだろうに。夢はうるうべき時の歌の恍惚(こうこつ)たる世界のとんぼさえラララらっくラックらっくラックらっくらっくてんしょん。人には夢がある。それはいまであること。それは夢と希望の時にある時のこと。働く時間。夢見る時間。空を見上げる時間。人はいつ歌を歌うのだろう。そんな時間はどこにあるのだろうか。それではひとつうたうたいうた。それはうたの幼少時。運は心にひらかれているから。昏(くら)い夜にも明かりが欲しい。明るい昼にも影が明滅していて。人の心など誰が見れるというのだろうか。誰が聞こえるというのか。誰が感覚するというのだろうか。さあ、その思いのままに旅人よゆけ。それが旅の空の下に歩いている感覚の空にうつろうとらとらとら。とらうべくは思いの果てよ。いつか願いは時間を超えいく。それでもおまえは旅をするというのだろうか。それでいいと誰が言うのか。風よ歌え。森よさざめいて気持ちとあれ。いつか時間は誰もかも思いの空にその果てにあるということにおののいて空に思い夢見るまでのことならば。時よ、その思いよそれでもさらに人は灯(ひ)を忘れることなどできないのだから。いついまいつかその思いはゆんどるくゆらゆらゆらら空を舞うに違いないといま言うだろうからさ。なにが願いだと影と人は笑いなにが夢だと光と人は涙しながらそれでもまた人はその果てを目指して旅をしているのだから。さあ、その思いとともに旅をすればいいに違いないのだから。夢よその流れよ、旅する気持ちよ。いつも幸運の星を見失うことなく、いつかその心に灯るらっくすたーよ。おもえもその思いも空もいつか心にえがいた世界の中の向こうから流れ星という気持ちがやがてゆったりとやさしく人をその思いを星にするだろう。それでいい。それでこそ旅なりて。なにがいいのかなにがよくないのか。それは知らない。それは旅人。それがすべてなり。旅がゆくての思いならば。いつかいつかいつか願いよ、その思いよ、その夢よ、心にという岩になりてどこにでもあるという夢に眠るひとときの歌よ。それがいつか旅の果てをゆくゆくとも。それでもまた人は旅を知る。誰もその思いに鎖などかけることなどあるものだろうか。思いのままにまにまにいつかたどりついた人に言うだろう。ありがとう。いつもこの空の思いにゆらゆらゆらりしていたからさ。いつか思いが夕べの空に変わるまで。それでもまた旅人は探していたから。その思いを。その果てを。その夢にゆっくりとくつろげる場所をだからいいのだ。だからいいさ。だからそれでも人は歩いてゆく。それは旅。心の旅。夢の旅。希望の旅。それはゆっくりした思い出の中にあるという宝島なのだからさ。さあ、ゆけ。いつか人が忘れてしまった希望の果てに、さ」
ダリルはそう歌った。
それは精霊の歌であった。
ダリルの思いという思いが精霊となってエルフィールの周囲を巡る。
だが、それに気づいたのはミラルとジョルディーだけであった。
女神はしらんぷりしていたのだから。
精霊が笑う。
それは精霊の歌。
それは精霊の力。
世界の果て、それは精霊の星なのだったからさ。
風が歌を運ぶ。
それは空を響かせる。
それは夢を響かせる。
それは人を響かせる。
混沌(カオス)。
それは一人に始まり、三人から渦となり、そしていつかすべての人にあるという場所。
それは世界の果て。
それは思いの果て。
それは歌の果て。
だからまた人は旅をする。
忘れられた自分の影と光という存在を探すために。
それが世界の果て。
それが混沌の始まり。
それが人の思い世。
そしてまた一行は旅をする。
世界の果てへの旅の道のりはまだ長いのだから。
第十話 鏡面神(きょうめんしん)
時はうつろいの歌を歌う。
夜は静寂の虜。
人は眠りを夢に歌い、心は舞い踊る。
光。
目覚めた時間はふらくたる。
思い出から目覚める時。
過去の残照。
ではなく。
本質の時間が晴れを告げる時。
朝。
明るい日差し。
葉が陰らすいくつもの日のカーテン。
小鳥が喜びをさえずり、虫が無限を飛び交う。
大木がそこら中にあり、道などない。
苔(こけ)が大地をおおう。
それは変わりなく、森のいつもの日々。
森の中をエルフィールたちは歩いていく。
森の移動だというのに、まるで山歩きのように大変だ。
精霊使いのエルフ、エルフィールはすっかり息もきれて、ばてばてで歩いている。それにくらべ、人の成年女性であるミラルはしゃきしゃき動き、神の子ハイベルは強靱な肉体で女性に手を貸している。人の成年男子であるジョルディーとダミエールも慣れたものだ。黄昏の神々の一群である冥界の女神は飛んでいた。
いや、それは空を歩いているといったほうがいいか。
エルフィールの言葉が冥界の女神に向けられる。
「この前の数歩歩いただけで目的地に着くあれ。あれをしてくれたっていいだろうにさ」
冥界の女神はつんとすまして笑っている。
そしてエルフィールにこう言った。
「あらあら、子猫ちゃんはもう力なく、その言葉は意味という力を失い、負け惜しみとなって、空を彩る鳥なのかしらねえぇえぇえぇえええ?」
けらけらけらと女神は笑う。
その言葉には、人をあざけり、不快にするすべての要素が入っているかのようであった。
そうだと思えないとエルフィールは思っていた。
エルフィールが他人を敵視することはだいぶなくなった。
それはジョルディーのおかげであった。
エルフィールは気づいていないが、ジョルディーがそばにいるだけで、敵対心が失せてしまうのだった。
だが、この冥界の女神だけはどうにも好きになれない。
それどころか、戦って倒してやりたいくらいであった。
「それが神としての態度か、それが人をエルフをドワーフを統(す)べる神の姿だと言うのか!」
エルフィールがげきこうする。
女神はまったく意に介さない。
ダミエールがジョルディーに小声で話す。
「エルフィールをしばって連れてったほうがいいのではないか」
「なに、いつものことさ」
ジョルディーはいつものと変わらずのんびりと、黙々と歩いていた。
「だからなあ!」
エルフィールは女神につかみかかるが、それは中をすべる。
エルフィールはなにがおきたかわからない。
ミラルが魔法で幻を見せていたのだ。
それとは気づかず、何度か同じことをしているエルフィール。
そんなこんなで一行は森を抜ける。
街がある。
そこはかなり大きな街だ。
流れる大河に流れている。
れ
け む
と
に そ ん な と き と か ね
と こ な
と
こ と か な
か
な
あ
水は街の中を縦横無尽に走り、大河が街の中心を抜ける。
巨大な樹が街の要所要所にあり、その大木は空にとどきそうである。
「水樹(すいじゅ)都市ミラニアラーだ」
女神はそう言って笑った。
ミラルはその笑いにふと思う。
どこか楽しそうで、それでいて寂(さび)しそうだと。
「冥界の中でも屈指の水と自然の街でね。ずいぶん貧しいけれど、食べ物には困らないさ」
一同は女神の説明を聞きながら街に入っていく。
誰もかもすぐに扉を閉めていく。
不思議な感じ。
いくらなんでも、誰もかれもである。
「この街の連中はこわがりなのさ」
女神は笑っている。
「そうか?」
エルフィールは納得していない。
ミラルはなにか、女神を見て、人々が逃げていくようだと思った。
まあ、冥界の女神なんてそんなものかな、ともミラルは思う。
「ゼビゼフィビィーティ様」
街の人の一人が呼びかける。
女神は聞いていないで先に歩いていく。
エルフィールいがいの仲間はびっくりした。
普通、黄昏の神々に名前を付けることはないからだ。
それはここが冥界だからなのか。
ミラルはなんとなく、別の人と間違えているようだと思った。
それも、まるで、かなり近い存在の人と。
女神がいた。
冥界の女神の前にもう一人の女神が。
その存在はまさに左右対称のようであった。
「なんだ? 冥界の女神は二人いるのか?」
エルフィールは女神に聞く。
エルフィールいがいは緊張感に包まれていた。
その場の神は一神。
それは知らぬはずもない。
風が舞った。
エルフィールはずいぶんいいものだと思っていた。
かすかに、魔法使いのミラルは女神と女神がぶれたように思えた。
ジョルディーとダミエールには初動だけ、神の子ハイベルとて、すべては見えなかった。
「ひさしぶりぃ〜」
冥界の女神はそうもう一人の女神に話しかける。
「いやあ、ずいぶんひさしぶりじゃないの」
もう一人の女神も答える。
それは実に仲のいい会話だった。
二人の女神はゆっくりと、普通に歩み寄る。
「ようこそ、我が街に」
「いいえ〜、お出迎えとはねえ、うれしいねえ」
そう話しながら、二人の女神は指相撲をしている。
「なんだ、仲が悪いのか?」
エルフィールがジョルディーに聞く。
「そうらしい」
エルフィールが冥界の女神に歩いていく。
女神同士はにらみ合ったままだ。
「なんで仲が悪い」
エルフィールの問いにどちらも答えない。
エルフィールは不満、ぐち、悪口を3時間ジョルディーに話した。
その話のあいだ、「そうだな、それはたいへんだな、いいことあるといいな」と答えるジョルディー。
ミラル他、一行はすでに休憩していた。
ジョルディーはエルフィールに話す。
「自分が他人を理解するのは難しい。それは一生かかってもできないことなのかも知れない。話ができればそれはとてもうれしいことなんだ。それはとても喜びのことなんだ。だけれど、そんな時間はすぐに過ぎてしまって、他人への昏(くら)い気持ちにとらわれてしまう。それが人生なのかも知れない。それが生きるということなのかも知れない。一生、それは人の本質として変わらないのかも知れない。それでも人は人と話していくんだ。それが希望だと信じているから、ね」
エルフィールはあくびする。
ジョルディーの話など聞いてなかった。
エルフィールはぐちを言うだけ言って、疲れたと言って眠った。
エルフィールは6時間眠ってから起きた。
女神はまだ戦っているようだ。
ミラルもジョルディーもその様子を眺めている。
エルフィールはとことこ歩いていく。
エルフィールは女神同士戦っている、冥界の女神のほうにパンチする。
それははじかれた。
というより、吹っ飛ばされるエルフィール。
止まっているように見えて、なにか、動いているらしい。
エルフィールはほこりをはらってミラルの元まで来る。
「どうしたんだ、これは」
ミラルの元にぽわんと見慣れない猫くらいの小動物が表れる。
緑色の毛並み、大きな目。
丸いボールにひものようなシッポの先に丸い毛玉。
可愛い。
エルフィールは思わず抱きしめてしまう。
ミラルはなにかエルフィールが知らない言葉で小動物と話している。
「ふーむなるほど」
ミラルは納得している。
「なにを話したんだ。って、これはなんだ。精霊か」
エルフィールははてな顔だ。
「そんなものね。カーバンクルと言って、とても物知りなのよ。あたしの友達なの」
ミラルは笑っていた。
エルフィールはちょっと考える。
カーバンクル。
聞いたことがあるとエルフィールは思った。
精霊としては精霊使いとも話したことがないと言われる伝説の存在。召還できれば、伝説となるという。
魔法使いとしての使い魔としては一番人気、というか、それを得ていれば、賢者クラスどころか、神の意味に匹敵するとも言われる存在である。
一部の種族には、神ともあがめられるている。
「違うよな……使い魔?」
エルフィールはミラルに聞く。
「違うでしょ……友達」
そう言ってミラルはにっこり笑っている。
友達?
なんだ?
とにかくありえない。
伝説のカーバンクルではない。
エルフィールはそう考えることにした。
それはとにかく。
女神同士の戦いは続いていた。
「なんか、込み入ってるようだな」
エルフィールはミラルに言う。
こういう時、ジョルディーに言うのがエルフィールの常だが、最近、ミラルに聞くことも多くなった。それがどんな心理の変化なのか、エルフィールは考えてはいない。
「なんかね、カーバンクルが言うには、ね」
ミラルが説明を始める。
ミラルは魔法使いだ。
魔法使い。
それは、
知識のトリロジー。
頼りになるとか。
貴重な人材だとか。
ここぞと言う時の戦略家とか。
旅の仲間には魔法使いは一人はほしいという話しである。
が。
ミラルの場合、あまり役にたったことはない。
なにか賢者をエルフィールとジョルディーに紹介したとか、なんかあるような気があるが。
それはまた別の話、だとエルフィールは思っている。
エルフィールにとってミラルとは、茶飲み友達くらいのものなのである。
そのミラル。
が。
たいしたことがないミラルが、最近どうも頼りにしている自分がいる。
もしかして、ミラルは結構たいした奴なのではないか。
そんな気持ちがよぎることもある。
いや、それは気のせいにすぎないのだ。
うん。
エルフィールは納得した。
それがエルフィールにとってのミラルの位置であった。
ミラルは話す。
「カーバンクルが言うにはねえ、あの女神には、聞くも涙、語るも涙の話があるというのよ。それはあの冥界の女神は最初、原始の神として、三人でひとつの存在として、神をしていたというのよ。それがね、黄昏の神々が台頭してきた時、黄昏の神々は一神しか認めないから、その気持ちに応じて、一人は影となって眠り、一人は悪となって冥界にて狂気の存在となり、一人は冥界の女神になったというんですよ。たいへんですよねえ。それがいつか、元にもどるあてなどないというのに。女神はこの冥界のすべてでなくてはならないのですから。誰も冥界の女神のために泣いてくれないというのです。誰ひとり、悪はもう一人が引き受け、誰もいない人のことなど忘れてしまうというのですから。どうして人はその思いに答えなどないのでしょうか。いつか、この思いに答えがあるならば、答えてください。誰がこの最初の植物を育てたのですか。教えてくださいな」
「え、いや、なに言ってるかわからないぞ、ミラル。もう少しわかりやすく言えよ。なんで、突然、そんな、なんか、偉そうな人みたいなこと言うんだよ」
しどろもどろのエルフィール。
「どうしてかしらうーん」
ミラルは悩んでいる。
「つまり、さ」
ジョルディーがエルフィールの脇にいた。
「兄弟げんかだ」
「そうか! それは良くないな」
「おい、なにする気だ?」
ジョルディーが聞くまでもない。
「やめなさーい!」
エルフィールは叫ぶ。
だが、もちろんそんな言葉など聞く女神たちではない。
だが、エルフィールの叫びに答える存在がいた。
カーバンクルがエルフィールの後ろに表れ、夜の暗闇を照らしたのだ。
それは希望の光。
エルフィールは精霊を召還する。
攻撃。である。
冥界の女神への本気の攻撃である。
エルフィール。
ちょっと、本気である。
呪場が展開する。
呪場とは魔法が発動するフィールドの展開であり、そこだけ言葉は膨大な時間の圧縮を受ける。精霊法では精霊が舞いだす、という表現となる。まさにエルフィールの周囲を精霊たちが舞っているのだ。
絶神(ぜっしん)
それは絶対の存在。
狂っていても神。
苦しくても神。
楽しくても神。
よろしくっても神。
命がけでも神。
神、神、神。
それでも人は願わずにはおられず、そして、また人は観念するのだ。
観念しなさい。
エルフィールは力を言葉とする。
「願いよ、思いよ、私に力を貸して。世界よ、その精霊たちよ。我が思いに力と成せ。世界は混沌としていて、それでも意志は我が意志にありて。グリフィン。その翼力(よくりょく)よ。その力よ。その思いは世界をはせるとも。力は日常のため。力は世界を螺旋させる。力は地球の回転から。力は我が言葉から。力は世界の指針なりて。力はほしい。力はあればきっと幸福なことなのだ。だから私はおまえを欲するのだ。力よ、その名はグリフィン。破壊せよ、その女神と女神の敵を。いま、世界の昏(くら)さをくだかん!」
ごごごごごごご……。
平面に鳥でもない、竜でもないような生物がうごめく。
精霊におけるグリフィンとは光の精霊であり、それは実体化することさえ高位の精霊使いにとってはできるが、エルフィールにとって、いまは攻撃の手段に過ぎない。
そして、それがエルフィールであった。
「ひまだわ」
瑠璃(るり)はそう言ってお茶を飲む。
「お嬢様は少し忙しいほうがいいですのに」
メイド服の女性がそう笑う。
瑠璃(るり)は空を見る。
九の色とりどりの星が空に浮かんでいる。
青い小鳥が何羽か、ぱたぱたと飛んでいる。
気持ち良さそうに。
心地よい日差し。
今日は絶好のティータイムだろう。
風がどこまでも続く草原の草をゆらす。
虫は謳歌している空気。
空の星々もきれいに輝いている。
「今日はよく理想が見えるものね」
瑠璃(るり)は空の星々を見ながらそう言うと、ちょっと笑った。
「そうですね」
メイドも笑う。
光のグリフィンが女神たちに当たり、透き通って消えていく。
「あまりにもレベル差がありすぎるのね」
ミラルは納得する。
エルフィールは納得していない。
「なんで効かない!」
「うるさい!」
女神かける2がエルフィールにぱんちする。
それは衝撃波となって、光速にさえ届きそうである。
エルフィールはひらりとよけた。
エルフィールの後ろにカーバンクルがちょっと揺れて見えた。
「誰と戦っている?」
エルフィールに女神がチョップする。
「狂気か」
もう一人の女神がけりを繰り広げる。
「思い出か」
女神の明滅した力がエルフィールの髪をゆらめかす。
「すべての過去か」
エルフィールはすべての攻撃をかわした。
それには驚きはしなかった。
ただ、女神が悲しんでいるように、なにか、そう思ったのだ。
花は舞う。
ただ、それがさだめと踊るのみ。
けれど、力よ、その思いよ、その願いよ、いつか、その思いが人の夢となり、花となりますように。
力ゆらゆら。
ゆられながら。
世界よ。
うつろうとも。
その力を示せ。
それがいつか見た空だったとしても。
また、人は歩いて行く。のだから。
力よ、その歩みに力を与えたまえ。
あなたにも力ありますよに。
「まだだ」
エルフィールはけりをふたりの女神に決める。
そのまま呪場を発生させるエルフィール。
それは三人のトライアングル。
えがけ、紋章陣。
それは世界の文様だとしても。
力よ、我が心に力とせよ!
エルフィールは叫ぶ。
「力なく涙する者よ、破壊された構造よ、願いむなしく、力なくおとずれる荒廃の夢の後足、それでも、人は力あると言うのですから。世界よ。まだ力は人にあります。まだ、希望はあります。まだ、願いはありますか。世界よ。その力よ。まだ世界よ。その思うたゆたうとも。願いよ、力よ、我が本質よ、宇宙の広大さに、その世界に共鳴するとも、力はあると、この道よ。我が願いなりて。いくぞ。世界あるかぎり、道をいけ。その道こそが時代なりて」
呪、場。魔法。というものは。
絶神大樹祈願(えくせれんと)
世界よ。
くりかえすとも。
世界よ。
頑張れ。
だから。
宝。
願い。
力。
言葉の剣とすとも。
願いよ。
力よ。
いつか見た夢と希望と思い出を心明滅するとも。
あるば。
あれば。
いつか。
力よ。
地球の回転の力を、我が心とすのだから。
願いよ。
力よ。
言葉よ。
いつまでも、この願いを込めていて。
この力を得て、希望をのせていけ。
いつか倒れるまで。
私の力となれ。
世界よ。
心うつろうとも、時よ、この世界足り得ますよに。
力よ。
エルフィールはジョルディーを見る。
うなずくジョルディー。
二人の手がふれる。
きいん
いん
ん……
暗闇に誰。
あなたは誰ですか?
それはいつかいた自分。
それは忘れていた希望。
それは願い舞う心という日々よ。
瑠璃はゆっくりと笑った、から。
瑠璃 瑠璃 瑠璃
瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃
瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃
瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃
瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃
瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃
瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃
瑠璃 瑠璃 星は見えたかしら 瑠璃
瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃
瑠璃 瑠璃 瑠璃
瑠璃 瑠璃 瑠璃 瑠璃
「今日もいい日だったわね」
瑠璃(るり)がそう言う。
「はい。お嬢様」
メイドがそう答える。
エルフィールもジョルディーもその場でお茶していたから。
「急がしいのですか?」と瑠璃。
「そうねえ」とエルフィール。
「まあまあですよ」とジョルディー。
「それはよろしいですね」とメイド。
「またね」と瑠璃。
「そうね」とエルフィール。
一瞬、それは一瞬のことだった。
エルフィールとジョルディーは元の場所にいた、
「感謝と笑顔が勝利する」とエルフィール。
エルフィールはミラルを見る。
「そうねですね」
ミラルはそう言って笑った。
三人目の女神が目を覚ます。
「ひさしぶりですね」
「そうね」
「ひさかたぶりです」
時間は無限にある神々よ。
「永遠のようでした」
それは眠り姫の言葉。
「話したいことが、たくさん、たくさんあったんだ、よ。きっと」冥界の女神はたどたどしくそう言う。
冥界の女神ともう一人の女神が泣いて笑って、そして、きっと、喜んでいた。
エルフィールはきっとそうではないかと思った。
エルフィールもちょっと泣いてちょっと笑った。
「よかったわね」
ミラルがそう言う。
「そうだな」
エルフィールはちょっと照れてしまった。
それはきっといい日に違いない。
「えーとこっちの計算がこうなって、えーとこれがこうなって」
夜ごと繰り広げられるミラルの言葉と魔法によるゆらめく炎。
それは……。
「ああ、また計算があわない」
ミラルはエルフィール一行のさいふをあずかっていた。つまり、会計係とでもいうか。一人一人のお金の管理をミラルはしていたのだ。
「うーん」
計算があわない。
毎日の会計結果。それは一向にあわないのである。
おもにエルフィールとか、ジョルディーとか、ダミエールはけっこう伝票を残してくれるのだが、みんなどんぶり勘定なので、ミラルは最後にはたいへんになっていっぱいいっぱいになっていた。
「今週もお金が足りないなあ」
夜空を眺めるミラル。
みんな眠っている。
すやすやと。
いいなあ。とか思う。
星空は輝いていた。
満天の空。
それはすんでいるよで、なにも見えないようで、いて、なにかそこから本質が降り注いでいるよで。
「あーあ、お金でも降ってこないかしら」
ため息ひとつ。
ミラル。ちょっと眠っていた。
はっとする。
カーバンクルがそばにいた。
「おお、いやあ、いい空ね、また詩を聞きたいのかな?」
カーバンクルはすんだ歌をうたう。
ちょっとミラルは癒されていた。
それはほんのひとときの夢。
ちょっとしたため息。
「ため息は青い鳥が逃げていくわよ」
誰に言うでもなく、ミラルは笑った。
カーバンクルが猫のように鳴いた。
「あら、そうね。ここの計算がまちがっていたわ」
ミラルは書き直す。
「ふむ。いいわ」
カーバンクルが酒を取り出す。
「いえいえ、この仕事があがるまで、それじゃ、いただきます」
ぐびぐび。
ぷはあっ。
「んまい!」
ねむー。
でも、がんばんないと、あたしの背中にみんなの貯金がかかっているのよっ!!
「みゅー」
「え、それはないって?」
「みゅー」
「ああ、そうねえ、それはそうよお。うんうん」
「みゅー」
「え、お金?」
カーバンクルはお金に変身する。
それも金貨。
「うふふふふふふ、これで今週はのりきれるわ。うふふふふふふ。ああ、いけないいけないわよそれは。人をたばかってはいけないのよ。それは魔法使いとしてはいけないことなのよ。ええ、観念したわ。だから、とにかく、別のことを考えるわ」
カーバンクルは踊って、そして魔っている。
「ありがとう。それだけで気持ちはとてもうれしいのよ。うんうん」
そうよ、これが現実と戦うということなのよ。
あたしがやられねば誰がやる、ばい、きゃしゃーんよ!
「うふふふふふふふふふふふふふふふ、ふふ」
ミラルは呪文を放つ。
心あればお金なくとも、それは気持ちが一番大事なんだからねっ!
それは呪文というよりも、観念である。
いつか、お金があれば、みんなががんばれるのよおおおおおおおお!
「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
それは実にやばい顔をしてるミラルである。
「みゅー」
「え、いまはどうするかって?」
うーん。
考。
考。
考。
思考 思考 思考
思考 思考 思考 思考
思考 思考 思考 思考 思考
思考 思考 思考 思考 思考
思考 思考 思考 いい考えは思いつきましたか?
思考 思考 思考 思考 思考
思考 思考 思考 思考
「ひらめいた!」
はっちゃけ!
「みゅー?」
「今日はとりあえず眠りましょう。明日考えることにするわ」
眠るミラル。
それはとてもいい顔をしていた。
「みゅー」
カーバンクルもミラルの横で眠っていた。
それでも星々は輝いていたのだから、さ。
第十一話 オプティション
空の影という名の宇宙世界が波紋共鳴していく。
それは冥界の響き。
人の心が潤う時。
冥界の植物は育っていく。
それは自然に、けれど、人に耕された土地は違うようだ。
なだらかな盆地の草原。
木々は乱立してあるようで、それでいて、道に沿ってある。それが木にそって道が作られたのか、道が後から作られたのか。それはよくわからない。
緑の木々は思い出の反映。
草原と耕された豊かな大地。
高い建物はなく、どこまでも空と大地のハーモニーが続いている。
忘れられた思いまでが草木となる場所。
ここでは人々の思いが太陽となり、月となる。
いまは心が陽をかざしていた。
陽は緑をほのかに光らせていた。
思いの角度で、その光は明滅しているのだ。
「歌は忘れてしまったの?」
女神の影の一人がそう言う。
「忘れていないわ」
もう一人の女神が言う。
「だって私と私と私の歌ではないですか」
冥界の女神はそう言う。
草原に風が舞う。
靴を隠すくらいの草が風にゆらいだ。
「まるで草原が歌っているよう」
ミラルが自然に感嘆してそう言う。
青空が草原の奏でる歌を聞く。
そこから心が生まれた。
影の女神は闇の底に触れると光が波紋していく。
もう一人の女神が空となって星を抱きしめる。
冥界の女神が大地に舞い踊る。
鏡がきらめいたように三人の女神が草原で舞い踊る。
三人の女神の先には丘となった森や街や遠くの山々が見える。
景色と色彩と空の青さと雲の白さが三人の踊りに交差する。
ふいに、メロディが凪がれた。
影の女神が闇を風に波紋する。
もう一人の女神が光りを風に波紋する。
冥界の女神が透明さを風に波紋する。
波紋は歌。
冥界で女神三人が歌う。
明るい日差しの中、歌う。
もういいでしょうと歌う。
希望を歌う。
笑顔を歌う。
絶望の過去を歌う。
栄光の日々を歌う。
可能性を歌う。
それは未来。
人が得た唯一の力。
それはいつか見た日々の残照。
なのだから。
うろぼろす。
忘れかけた人の力。
陽炎(かげろう)のように心映す空を海の波のように砂のまたたきのように思いの風だけがこの星を抱きしめ続けていたから。
いいでしょう。
大地を愛しています。
空を愛しています。
この道を愛しています。
空の広がりよ、思いの深さよ、自然の多彩さよ。
思いの連鎖が宇宙と踊る。
愛は宇宙なの。
愛は一瞬の光の波紋。
それは心を波とするとも。それは心を光りとするとも。それは心を闇とするとも。
時代は思いを越えるとも。
思いは時代を越えるとも。
こ 思いと時代はともにあるとも。
思いと歌はともにあり、歌は心にいつもありますよ。
愛はありますか。
いつか。
出会う人よ。
いつか愛する人よ。
いつか出会う道にさえ、人は幸せを探せるのですから。
さあ、その思いに力を歌にするまでのことならば。
三人の女神が歌う。
ハーモニー。
三人の声が時にリレーされ、時に一緒に手をつなぎ、時に風と波とまたたきのように、思い出のように、まだ知らぬ光のように、歌に響かせた。
「さくら、それは花の名前。人。それは希望の名前。人よ、いま、力あるかぎり歩きなさいな。それで力つきたのなら、また思いをえがいて、また力を感じて、また思い出を思い出して。人はいつか感情を得たとも。それは破壊のため。それは創造のため。それはいまを問い続けるため。人よ、願いよ。いつか人が希望の歌を歌うまで、私たちはいつか人が忘れてしまった思い出を歌うことでしょう。誰でもいいことであり、あなただけのことであり、いつか誰かの夢に舞い降りる思いなら、あなたの気持ちをきっといつか夢にしてくれるでしょう。あなたたちがいれば誰も彼もいつかあなたの存在を信じることでしょうにねえ。さあ、あなたの希望を歌いなさい。さあ、あなたの存在を歌いなさい。さあ、あなたの感情を歌いなさい。それこそが心の願いとなるまで。いつか見た道のかたわら。それは雑草だったでしょうか。それとも、どぶかわだったでしょうか。それとも、花、だったでしょうか。黄色い花だったのならば、それはうれしいことです。あなたの好きな色はなんですか。あなたの好きな願いはなんですか。あなたの好きな夢はなんですか。あなたがいれば成立する時代よ。あなたがいればきっとそれだけで希望であると信じていますよ。だから、それは一時の思い出。さあ、歌いましょうよ」
エルフィールは泣いていた。
それは感動の歌だった。
それはミラルにとっても、ジョルディーにとっても、ダミエールにとってもそうであったのだから。
エルフィールとジョルディーとミラルとハイベルとダミエールは地上にいた。
いや、それはそう感覚したと言うべきだろうか。
「後はあんたたちの道を歩くがいいさ」
冥界の女神がそう言う。
三人とも、似た顔立ちだが、たぶん、冥界の女神だと、ミラルはなんとなく思った。
「道案内はいないのか」
エルフィールは冥界の女神らしき一人につっかかる。
「ないね。エルフィール、あんたねえ、よく冥界の女神があたしだとわかるわね」
「敵、は見失わないから、ね」
「あっはっはっはっはっはっ」
「うふふふふふふふふふふふふ」
エルフィールと冥界の女神は笑っている。
「また地獄に来たら会おうじゃないか」と女神。
「その時はいいパンチを用意しとくよ。魔法付きのな」とエルフィール。
「あっはっはっはっはっはっ」
「うふふふふふふふふふふふふ」
エルフィールと女神は仲良く笑っている。
それはちょっと怖いとミラルは思った。
エルフィールたちは女神たちから離れ、自分たちの道を行く。
ズシッズシッズシッ
「ハイベル、なにやってんだ」
エルフィールがハイベルに文句を言う。
ハイベルの一歩に、足の周囲にはちょっとしたクレーターができる。
「気にするな、体重が重いだけだ」
「どれだけ思いんだ。まったく」
ハイベルは一行の一番後に着く。
半日も歩いただろうか。
陽(ひ)はもう地平線へと落ちていく。
道は土から砂漠となり、どこまでも続いている。
どこまでも夕日の砂漠が続いている。
もう地図にはない場所を歩いていた。
知っている場所に戻るのにさえ、一日はかかるだろう。
そんな知らない土地を、エルフィールは先頭を悠々自適に歩いている。
まるでなにかこの未知の道を知っているかのようだ。
「エルフィール、自信満々だけれど、道を知っているのか」
ジョルディーが何気なく聞く。
「知らない。けれど、こっちだと思う」
それは予想の範囲の答えではあったが、ジョルディーを始め、誰も異論はないのであった。
知らないこと。
それはもっとも愚かで、強いことなのかも知れない。
知らない土地。
それは地図にさえない場所。
そこは旅行ではなく、冒険の領分。
みな、不安でないわけではない。
だが、そこが歩ける道であると知っている者には、それは歩くべき道なのであった。
7日間、なにもなく、ただ歩くのみの日々であった。
朝も過ぎて、また一行は歩き出す。
「おい、ジョルディー」
エルフィールに答えるジョルディー。
「なんだ」
「私が一番嫌いなものはなにか知っているか」
「ダリルか」
「違う、地平線しか見えない旅なんて、なにが楽しいのだ。歩くのにも限度があるだろう。どっかから馬調達してきてくれ」
「それは無理だろう。鹿なら用意できるぞ」
「ばかか! 鹿には乗れないだろうが」
「うまいわね」とミラル。
「なにがだ」とエルフィール。
「いえ、なんでも」
ミラルは星を見る。
「なにが見える。青い空しかないぞ」
「そう、普通わね。でも、あたしには見えるのだから」
ミラルはそう言うとちょっと微笑した。
「変な奴だ」
エルフィールはぶつぶつ言いながらでも、また歩いていく。
一行は歩き続けていた。
「るっくらっくるっくらっくらんらんらん」
ミラルは踊りながらカーバンクルと踊り舞う。
「なんだ、ミラル。元気ならあたしを背負ってくれよ」
エルフィールが憎まれ口を叩く。
「あら、いいわよ」
カーバンクルがエルフィールをつまみ上げる。
「おい、なんだこれは、かっこわるいだろ」
カーバンクルはどんどん上がっていく。
「おい、高いよ、あぶないだろ」
さらに飛んでいく。
「高い、たかすぎる。た、たあすけけてぇえぇえぇえええええ〜」
「楽しいっていいことよね」
ミラルは楽しそうだ。
エルフィールが風に落ちる。
「うひゃわひゃあひゃわあわあわあわあわあ〜」
大地は遠のき、ジョルディーたちは点にしか見えないくらい高い。
上空の風に涙目になりながら、エルフィールは目を開けた。
丸い光。
地平線が丸かった。
砂漠はまだ続いていたが、ちょっと先に緑が見えた。
辺境のその先には、なにもない。
それが通説であったはずなのに。
なにかがある。
どくん
心が鼓動する。
希望がエルフィールの心に灯る。
それもつかのま、エルフィールは浮遊感に包まれる。
カーバンクルがいなかった。
「おい〜」
下からすごい風が疾風のごとくエルフィールを舞い踊らせる。
いきができな……い。
ハイベルが怪力でジョルディーを投げる。
ジョルディーがエルフィールをキャッチする。
一瞬、エルフィールが浮いた。
一呼吸するエルフィール。
「だいじょうぶか」とジョルディーが聞いた。
エルフィールは一瞬、空にいることも忘れて、ジョルディーを見ていた。
「うん」
だが、落ちていることには違いない。
「うわあ〜」
その二人をさらにハイベルが受けとめた。
エルフィールは大地に足をおろす。
ダミエールが手をとる。
まだ生きていた。
安心と違和感とがないまぜになって、エルフィールはちょっと笑った。
「そ、空っていいものだなあ」
エルフィールは泣きながらそう言った。
ミラルはうんうんとうなづいていた。
一行はまた歩き始める。
エルフィールが示した大地を目指して。
第十二話 岩の鳥
岩の鳥がいる。
大地にでんと座り、それはなんとも、威風堂々とした容貌である。
「ずいぶん立派なオブジェじゃないか」
エルフィールは見惚れている。
ミラルはオブジェにしては不自然だと思った。
それはまるで生きているように、なにか波紋とでもいうような気持ちが感じられたのだ。
数十階のビルディングにも見えた容姿は、一行が近づくにつれて、小さくなってゆき、それは目の前まで来ると、一行の背丈よりもちょっと高いくらいになってしまった。
「魔法でもかかってるのか」
エルフィールがしげしげと眺めている。
ミラルはこれが存在していることを知った。
そう、この鳥は実在する。
その証拠に、その鳥の影には揺らぎない力が見てとれる。
魔法使いであるミラルには、それは自明のことのように見てとれた。
ジョルディーはエルフィールに抱きつかれて、なんとなく、鳥を見ているが関心はないといった感じだ。
ハイベルは歌い、それにダミエールが伴奏を付けている。
三味線のような音楽器をダミエールは奏でる。
それは聞いたことのないような音楽であるのであった。
カーバンクルが踊るように舞い上がり、鳥のくちばしにキスをする。
と。
鳥はうなるように動いた。
いや、それは気のせいであったようだ。
「これはこれはなんと素晴らしいことだろう」
誰かが横にいた。
それは作業着に調査用ヘルメット。
中年の男性がいた。
三十代くらいだろうか。
柔和な笑顔で鳥を眺める男は、なんとも景色にとけこんでいるようだ。
「探したよ」
男はなんとも喜ばしいといった感じで言った。
男の短い髪が風に揺られる。
細い目はいとおしいものでも見るように鳥を見る。
「誰だあんた」
エルフィールが聞く。
「これはこれは失礼した」
男はおじぎひとつすると、にっこりと笑う。
「私は錬金術の研究をしている人間の男で、らいでんと人は呼びます」
エルフィールがじーっと男を見ている。
エルフィールは終いには男をまさぐり始めた。
ふむ、とエルフィールはうなずく。
「所持品もそう、手のこなれかたもその通りね」
「みゅ〜」
カーバンクルが鳴く。
「カーバンクルはこの人が気に入ったようだわ」
ミラルは珍しいと思った。カーバンクルが認めたということは、その人の誠実さを好きになったのだ。そう、エルフィールのように。
「だからなんだっていうんだ」
エルフィールはさらに男に質問する。
「なにが目的だ」
「この鳥が呼んでいたんだ。だからここまでいくつもの町や村をへて、辿り着いた」
「そんなことがあるか。なにか黄金でもあるとふんでのことだろう」
エルフィールはじと目で見ている。
「そうではないわね」
ミラルは鳥に触れて言う。
「なにを鳥は求めている」
ジョルディーが男に聞く。
エルフィールはちょっと不満そうに黙った。
らいでんはうなずく。
「その前に、自己紹介もかねて、話をさせてくれたまえ。私は」
らいでんはここいらの岩の性質とか、この鳥がどんな意味を持つのか、その持論を展開した。
エルフィールいがいはまじめに聞いていた。
ジョルディーの腕につかまっていたエルフィールがあくびする。
ダミエールが一曲披露する。
エルフィールはダミエールの曲もたまにはいいものだと思った。
鳥がうなった。
いや、それは風のわななきであったであろうか。
「鳥はエメテンタスを求めていると言っている」
らいでんはそう言う。
「言っていることがわかるのか」
エルフィールが聞く。
「いや、この岩の性質から、足りないものはそれであると思ったのだ」
らいでんは鳥ではなく、風の吹く先を見ている。
「こっちだ」
らいでんは歩いてゆく。
「おいこら」
エルフィールが憤慨してるまに、一行は先に歩いてゆく。
「待てってば」
エルフィールもあわてて追いかけた。
深い森がどこまでも続く。
樹海とでも言う言葉がぴったりとくる木々の深さだ。
「まだ先なのか」
エルフィールがすでに息があがったようすで言う。
一行はさらに樹海へとゆく。
どろ水やヒルにジョルディーはマントでエルフィールをおおい、カーバンクルがミラルの周囲を守る。ハイベルはなにもないように普通に歩き、ダミエールは口笛を吹いて歩いていた。
らいでんは慣れたように歩いてゆく。
木が揺れた。
いや、それはすべての木が共鳴するように揺れているのだ。
一同が立ち止まり辺りを見回す。
木が歩きだした。
いや、それは木であって木ではない。
木がうねりをあげてヘビのようにうねる。
枝で造詣されたような巨大なヘビ顔。
森はすべてがヘビのようになっていた。
「樹竜(じゅりゅう)か」
らいでんは驚いたように、いや、それは感嘆の声として感動していた。
樹竜がうなりをあげて襲いくる。
がぎいん!
ハイベルが剛剣の一撃でそれを射る。
だが、樹竜は蚊でもいたかのように、なにかきょろきょろしてる。
エルフィールはジョルディーを見るがその手からは光はでない。
樹竜が暴れる。
カーバンクルがミラルを抱え、ミラルはらいでんを抱えている。
ジョルディーがエルフィールを抱え、ダミエールが曲を奏でながら樹の上にいる。
ハイベルが剛剣でいなすが、それがやっとである。
「な、なんとかしろ〜っ!」
エルフィールが叫ぶ。
ほい、と、らいでんがこしょう入れを取り出す。それをさっさとふる。
粉は樹竜にそそがれる。
樹竜のあちこちから花が咲く。
樹竜がきょとんとしてる。
「クエーッ!」
樹竜は一声いななくと、満足したようにまた森に戻る。
木々にはすべてに満開の花。
「定説通りだな」
らいでんがなにかメモしてる。
「わかってるならはやくやれ〜っ!」
エルフィールが怒鳴っているが、らいでんはまた歩く。
一行はまた歩き出す。
エルフィールがぽつんと残された。
静まりかえったような森の暗闇に、エルフィールは背筋が凍る。
エルフィールも一行にゆき、ジョルディーの腕をつかんだ。
「きょ、今日は寒いな」
ジョルディーはエルフィールをマントに包んだ。
森を抜ける一行。
苔(こけ)から草となり、草原と続いてゆくが、所々で小さな丘となっている。
らいでんは地形を見てはなにかメモをとり、台地の土を触ってはうんうんうなずいている。
「なにをしてる! はやく目的地へゆくぞ」
エルフィールがどんなにせきたてても、らいでんはでんでん虫のようにのろい行程でしかない。
「らぐだらくとてだーと!」
丘のひとつに若い女が立っている。
「えーと、デルタエイトの古代語のようね」
ミラルはうーんとうなる。
「意味はこの先へはいかさんと言っているようね」
「どうするジョルディー」
エルフィールはジョルディーに聞く。
ジョルディーはマントから手を出して指さす。
「かわいい顔だ」
「はあ」
「いい胸、あのおしりは安産型かなひでででで」
エルフィールが怒り目でジョルディーをつねっている。
ゴーヤという植物はビール瓶より一回り大きく、ごつごつした小さな突起がいくつもある。独特の苦みが通には評判で、料理の素材として使われることもある。
ゴーヤでジョルディーを叩くエルフィール。
逃げるジョルディー。
乱乱乱RUN。
と。
流星が頭上に。
いや、それは雪だった。
ゆっくりと、それはすぐに吹雪となって一行をおおう。
「これはあの女性が?」
ハイベルがらいでんに聞く。
「いや、違う。ここの地形のようだ」
らいでんは歩いてゆく。
女はらいでんの前に立ちはだかる。
「るるらるら」
ミラルが女性の前で踊る。と、女性が笑いだした。カーバンクルが女性をくすぐっていたのだ。
女性はなにか言う。
があがあがあ
鴨(かも)の大群がミラルとカーバンクルを踏みつける。
「らだくだるがらでら」
ミラルには、これが私の友達よ。と、女性の高笑いとともに聞こえてきた。
エルフィールはジョルディーを追っかけている。
ハイベルとダミエールとらいでんはなにかを黙々としてる。
ハイベルが木を倒し、ダミエールがいかだを作り、らいでんが指示していた。
いかだが出来ていた。
ハイベルがミラルとジョルディーとエルフィールをいかだに乗せる。
ハイベルがいかだを怪力で押す。
すべりに乗って、いかだは走り出す。
「はがらべらがら!」
ミラルには、逃げるのか、と聞こえた。
ミラルにはらいでんも奇妙な人物に思えたが、この女性もずいぶん変わっているように思えたのだ。
いかだが走る。
丘を越え、雪道というより、雪海原を疾走するいかだ。
一行は一本の帆にしがみつき、なんとかその雪の波に耐えていた。
いかだには手すりのようなものもあるが、みんな、帆にしがみついていた。
すごいいきおいであったのに、いかだはゆっくりとその速度をゆっくりとした定速度に変えていた。
白雪の少女が平行にいる。
白一色の少女は手毬を持っている。
「遊んで……」
「つかまったな」
ハイベルが苦(にが)い顔をする。
「なんだ?」
エルフィールがきょろきょろする。
ミラルが眼鏡(ねがね)をかけて説明する。
「彼女は雪童子(ゆきわらし)。とてもかわゆく、楽しい遊びをするけれども、その存在は永遠だから、いつまでも遊ぶことになるかも知れない。とてもきわどい祝福の座敷童子」
ジョルディーが雪を投げる。
雪童子は笑って高速で避ける。
「楽しそうだな」
エルフィールはなんとなく眺めている。
ハイベルは雪だるまを作っては投げる。
雪童子は雪だるまでお手玉してる。
ダミエールの曲には、歌いだす雪童子。
ミラルがカーバンクルを放つ。
雪童子と仲良くなっている。
「万策尽きたわね」
ミラルはため息をついた。
みんな下を眺めていた。
「私はまだなにもしてないぞ」
エルフィールがきょとんとしてる。
「らがらめらがら!」
先ほどの女性が追いついてきた。それも徒歩でである。
ハイベルはひょいと女性をつかまえると、雪童子に投げる。雪童子は楽しそうに女性と踊っている。
一行はなんとか南極もとい、難局を乗り越えた。
いかだは速度を取り戻して、また疾走する。
いかだが止まる。その先には白い建造物。
みな、近づくのに、エルフィールが立ち止まったままだ。
「どうしたエルフィール」
ジョルディーが聞く。
「変だぞその建造物。こんな形は作れるはずない。なにか魔法によって作られたものだ。いま、精霊に聞いてみるから」
「これはコンクリートで作られたものだ」
らいでんが答える。
「錬金術か」
エルフィールがらいでんの元まで歩いてくる。
「錬金術ではないよ。ある土と土を混ぜると、それはとても強固な粘土になるんだ。これは昆虫から得た技術であり、それは自然の報酬なのだ」
「昆虫はどうやってこの技術を得た」
「それはわからない」
らいでんはアーチ状のゲートをくぐる。
一行はそれに続いた。
「誰かいるのか」
エルフィールの問いにはらいでんが答えた。
「砂の層から、ここはずいぶん放置された建物であると思う」
ミラルがさらに言う。
「不自然な魔法の後はありません」
「風を感じるな。穏やかな向かい風だ」
ジョルディーがさらに言う。
「神は進むことを祝福している」
ハイベルがそう言う。
ダミエールは静かな曲を弾いている。それは風の運ぶ砂の音とよく合う感じだ。
エルフィールを見る一行。
エルフィールはきょろきょろ辺りを見る。
精霊がいない。
ここにはなにかあるのか。
「え、えーといいんじゃないか」
エルフィールはとりあえずジョルディーの後ろに陣取る。
「どうした」
ジョルディーが聞いてくる。
「風よけだ」
「そうか」
一行は前に進む。
暗い四角い通路が続いてゆく。
らいでんが砂と砂を混ぜて、さっと一振り。
それはきらめく光となって、通路を風に運ばれてゆく。
間接照明のように、月明かりのように、ほのかに光が金色に輝いている。
力を貸してもらおう。
闇が揺らめいた。
ジョルディーだけがそれを聞いていた。
「どうした?」
エルフィールが聞く。
「闇が揺らめいている」
「そうか」
一行は先に進む。
通路は長方形の石を積み上げられて作られていた。
一部の石だけに彫刻がある。
「これはすごい」
らいでんは熱心に見ている。
「だから、立ち止まってんな!」
エルフィールのけりをらいでんは以外にもよけた。
床にあったなにかをとるため。エルフィールはその拍子にころころと転がる。
ばたーんと、床が開く。
「なんだこの典型的なトラップわあ!」
床の端になんとかつかみついてるエルフィール。
ジョルディーが来るが、エルフィールよりも穴の奥を見ている。
「なにしてる」
「助けが必要か」
「あたりまえだろう」
ジョルディーは闇の奥を凝視している。
「じぇよおるでえいえ!」
ずりあがってくるエルフィール。なんとか床に戻り、一息つく。
息をきらせるエルフィール。
横には闇の奥を見るジョルディー。
「なにか見えるのか」
「いや、見えない」
エルフィールのけりがジョルディーに決まった。
「これでよく見えるだろう」
ジョルディーも床の端になんとかすがりつく。
らいでんは彫刻を見ている。
ミラルは周囲を調べるが、この穴を渡ることはできなそうだ。
エルフィールは一休み。
ハイベルが横の岩を怪力で殴る。
地震のような地響きがうなる。
岩には傷ひとつない。
「だめか」
「あ」
エルフィールが口をあんぐりとあける。
はいあがろうとしていたジョルディーが穴に落ちた。
ジョルディーは剣を壁に叩きつける。
ぎいん
はじかれた。
もう一度。
がぎいん
剣が壁をとらえた。
「生きてるかあー」
エルフィールの声が上から響く。
ジョルディーは壁の破片がすぐ下で音を立てているのを聞いた。
剣を引き抜くと、下に降りる。
そこは井戸の底のように、暗く、苔(こけ)むした匂いがした。
底は土になっている。
光の砂が降りてくる。
らいでんの砂のようだ。
人が通れる穴が横にある。
「横穴があるな」
「だそうだ」
そう言うエルフィールをハイベルがひょいとかつぐ。
エルフィールが息をのむひまもなく、ハイベルが穴に降りてゆく。
ハイベルのもう片手にはミラル。背中にはらいでんがかつがれていた。
ずしん。
ハイベルがしゃがんだ姿勢でジョルディーの横にいた。
ダミエールがカーバンクルに座って、曲を弾きながらゆっくりと降りてくる。
降りたエルフィールが砂をはらう。
「先に言え」
エルフィールのけりがハイベルをとらえる。ハイベルは岩かなにかのように硬く、びりびりときたエルフィールはうさぎのようにはねてからころげた。
エルフィールが起き上がる頃には、皆、横道に歩いてゆく。
「置いてくな!」
エルフィールは追いかける。
一行はずいぶんゆっくりと進んだ。
風がない。
らいでんの光の砂はその場にとどまっていた。
一行は暗闇を手探りで歩いた。
暗闇に進む一行。
周囲は丸い岩の洞窟といった感じだ。
ごろごろごろ。
洞窟がうねるように、生き物のように動く。
「これもコンクリートか」
エルフィールがらいでんに聞く。
ジョルディーがエルフィールをつかんだ。
突風に皆吹っ飛ばされる。<BR> 「みゅー」
ミラルの前にはカーバンクルがいて、ミラルにはスローモーションのように、ゆっくりと風が吹いていた。
なにかがいる。
ミラルは鳥が一緒に飛んでいることを感じた。
すでに洞窟らしき壁もない。どこにいるのか。ここはどこなのか。暗い中を一行は飛んでいた。
一行はゴムに引っ張られるように逆の方向に戻される。
いや、また元来た方向に。それをぐるぐる繰り返す。
しばらくすると、一行は止まった。
それは地球の中心にでもいるように、無重力。とでもいうようであった。
誰かがいる。それは一行の誰もが感じた。
らいでんは砂を探る。
「もう砂がない」
カーバンクルは光る力があるが、ミラルにじゃれるだけだ。
別段、ミラルもカーバンクルとじゃれていた。
暗い空間。周囲360度、どの方向からも、黄金の流星が無数に一行に向かって来る。
黄金の流星が一行を月のように、けれども、それはすばやく周回する。
黄金は一行の中心まで来ると、ひとつになる。
それは黄金のひとつ。 「これだ」
らいでんが手を伸ばす。
「むがらくがらばあ!」
さきほどの女がらいでんにつかみかかる。
一行は黄金の周囲をいきおいあまって回転する。
黄金のひとつから光がわきでる。
それは光の流れ。
黄金から花が360度に生えてゆく。
その花もまた黄金であった。
花はひとつひとつが違う。お花畑に一行はいた。周囲から黄金の昆虫がやってくる。
らいでんは女を背中にかかえたまま、花に手を入れる。らいでんがひろいあげたのはひとつの種。光っていた種はうっすらとまたたいている。
「これは?」
エルフィールがらいでんに聞く。
「原始の種だ」
草が道となり、遺跡の入り口までそれは続いていた。
一行は岩の鳥まで戻る。
エルフィールと女がもみあっていたが、他はなにもなかった。
らいでんが種が砕き、砂と混ぜ合わせる。それを岩の鳥につけてゆく。
岩の鳥は羽ばたくと、岩の翼で空にいた。
もたげた顔、その体躯はまるで竜のようでもあった。
「礼を言おう」
周囲の岩石がそううなる。
「我々は三百億年眠り、それが一眠りなのだ」
岩の鳥から、水晶の小さなオブジェが降りてくる。
「これは礼だ」
岩の鳥は羽ばたくと、空の彼方へと飛んでゆく。
一行はそれを眺めていた。
らいでんは水晶を眺めている。
「むがらむて!」
ミラルには、我らの神が行ってしまう、と聞こえた。
らいでんは女に水晶のオブジェを渡す。
「むが」
女はじっと水晶を見ている。
「むがらくて、なでなぐあ」
これは新しいシンボルだ。
女はちょっとぼけーっとしてから、らいでんを眺めた。
「るがらてらくーてあ」
お茶でもどうだ。
「それはいい」
らいでんは女に着いてゆく。
「私たちもごちそうになりましょう」
ミラルが皆に言った。
ジョルディーが刀身を見ている。
それは透き通った、緑色のうすい水晶のようである。
これが今回の感謝の意だ。
闇が揺らめいた。
「おまえの剣、変わってないか」
エルフィールが言う。
「いや、元のままさ」
ジョルディーも歩き出す。
「なんか見たことある剣だな。……そう、ダリル様をぶったたいた剣に似ているよ、うん」
一行は歩く。それは、まだ知らない大地のこと。
第十三話 穂山
「これからどうしましょう」
「歩いて行けば、どこかの道に着く」
「神々が導いてくださります」
「空はまだ天にあるのだから、それはとても羽のように……」
「キュキュ〜」
「らいでんに聞いたらどうだろう」
ジョルディーの提案に皆、らいでんを見る。
らいでんは草の元にいる。
「草なんか見ておもしろいのか」
エルフィールがそう言って草を見るが、ため息ついて、ジョルディーにケリ入れる。
「なにか道はないか」
ジョルディーがらいでんに聞く。
「道というのではないが、町までの近道ならば知っている」
「それで頼む」
らいでんの後を皆着いてゆく。
「おいおい、そんなのだいじょうぶか」
エルフィールは足踏みしていたが、とりあえず着いてゆく。
らいでんは山に向かって歩いている。
山の麓(ふもと)まで来ると、陽(ひ)は沈み、周囲はまったくの暗闇になり、一行はたき火をたく。
「これが近道か」
エルフィールはふて寝する。
「それはとても良い夢であるとね……」
ダミエールが一曲披露する。
それはとても心休まるものだった。
エルフィールはぐっすりと眠る。
「これは何です」
ジョルディーがらいでんの煙草(たばこ)について聞く。
「茶の草を煙で吸うのですよ」
「変わった文化があるのですね」
ジョルディーも吸ってみるが、奇妙な顔をして、礼を言ってはみたが、変なものだなあと思っていた。
ダミエールが楽器をいじっている。
「誰から教わったんですか」
ミラルがダミエールに聞く。
「ぼくは羊の放牧をして生活していたんだ。そんな時、ある老人に出会った。その老人は楽器を自在に弾いて、また次の日、旅立って行った。退屈な毎日になにかある。そんな一瞬がその曲にはあったんだ」
「そうですか」
ダミエールが軽快な曲を奏でる。
「かぐらざかざんざらららさとららいんどぶるらいらいらいなあはとあなにあいつああらるてぃあふぉんてぃんくすああららばいないとあらいてぃんぐすらすくくクアルラルティン」
不思議な節に知らない言葉をミラルは連ねていく。
その言葉はリズムになり、舞う風となって心に響いた。
ミラルの歌にカーバンクルが喜び舞い踊る。
「みゅ〜」
ミラルもカーバンクルと一緒に舞い踊った。
「私も踊ろう」
ジョルディーが踊る。
それはとても奇妙で、のたくたした、つたない踊りであった。
らいでんも踊る。
それは見たことのない踊りであった。
静かな夜。
それはちょっとしたダンスパーティであった。
夜は更けていく。
翌朝、岩山を登る。
灰色の砂の急な斜面を斜めに歩く。
「一直線に登れば速いぞ」
エルフィールが一直線に走り駆け上がる。
つまづいて、転がり落ちるエルフィール。
それをジョルディーとダミエールが抱きとめる。
ぎいん
ダミエールの短刀がジョルディーに迫る。
ジョルディーは緑色の透明な剣を抜刀して、短剣を粉々にする。
「お見事」
「どうも」
お互い笑う。
エルフィールはきょとんとしてる。
らいでんが説明して、先頭はらいでん、それにエルフィール、ジョルディー、ミラル、ダミエールと続いた。
山には木の一本も生えてはいない。
けれど、倒木があり、そこにキノコが生えている。
らいでんはそれを見ている。
「ここで間違いないようだ」
らいでんはさらに登る。
エルフィールはそのキノコを食べてみる。
なんだか笑い出すミラル。
一行は休憩をいくつかしてから、頂上に近づいたところまで登ってきた。
一行が頂上が見えるところまで来た時、雲が一行を覆った。
雨雲だ。
周囲の視界はゼロになる。
雨が横から風とともに吹きすさぶ。
「降りるか」
「そうだな」
「でも、道が見えないぞ」
ジョルディーとダミエールとエルフィールが話している時、らいでんは笑っているエルフィールの髪に小さな蜂をくくりつける。
蜂が飛ぶ方向を糸でつかむらいでん。
「こっちだ、来るぞ」
なにかの羽音。
それは轟音となって響く。
なにか小さなものが飛んで来る。
それは小さな蜂であった。
無数の蜂がうなるように吹き抜ける。
その後、雲は頂上まで晴れていた。
光の道を一行は歩く。
エルフィールは口いっぱいに蜂をくわえている。
むしゃむしゃしてるエルフィール。
「お、笑いが収まった」
エルフィールも登り始める。
一行は山の頂上にたどり着く。
そこには一本の白い巨木が遥か天上まで伸びている。
らいでんが白い木に触れる。
「これはいけない」
ジョルディーもそばに来る。
「どうした」
「水分が木を伝わっていないようだ」
ジョルディーはその手に力を感じた。
ジョルディーがエルフィールを見る。
エルフィールもうなずく。
二人は手を合わせる。
光が生まれた。
きいん
白い木はその枝を開く。
いや、それは枝ではなく、なにか綿毛かなにかのようだった。
ごごご……
山がうなりをあげて崩れ始める。
「木につかまれ!」
らいでんの声に皆、白い木につかまる。
山は崩れ、白い木は空に舞った。
白い木はあっというまに上空にあった。
雲は遥か下にあり、大地と川が見えた。
白い木の下には黒い細長い長く丸い物体が着いていた。
風が収まる。
白い木はゆっくりと風に揺られ、降下を初めていた。
「木を登るんだ」
一行は白い木を登る。
綿毛のところまで一行は来る。
らいでんが一人一人の背中に綿毛をつける。
「さあ、行くぞ」
らいでんが飛び出す。
らいでんの背中の綿毛が風を受けて滑空する。
ミラルもダミエールも飛び出す。
エルフィールが足が震えて動けないでいた。
ジョルディーが手をにぎってくれる。
エルフィールはうなずいた。
ジョルディーとエルフィールは飛び出す。
風に揺られた。
と。
白い木がその黒い巨体を地面にぶつけ、また山となっていた。
まるで一滴の水滴が波紋を描くように、その種は地面に埋まる。
「またここで芽を出すんだな」
ジョルディーの言葉にうなずくエルフィール。
一行が降下する遥か先には、町らしきものが見えた。
続
第十四話 草民
町は黄色い藁(わら)で作られたもので、とても質素な円形のものだ。
まるで円形の藁が日向ぼっこしているようだ。
黄色の丸い藁の家がどこまでも、見渡す限り続いている。
人が数人入ったら、一杯になりそうな家だ。
「ここは放牧の村かなにかか」
エルフィールが珍しく的確なことを言う。
「それにしては町の規模が大きいようだ」
ジョルディーの意見にダミエールも賛同する。
まるで牧歌的な光景だとミラルは思った。
カーバンクルが歌い踊る。
風が西に流れていた。
ミラルの髪を風が凪いだ。
「喉が渇いたあ」
エルフィールがジョルディーにもたれかかる。
「まだ昼だぞ」
ジョルディーがいなすが、エルフィールは眠気だ。
「もう昼だ」
らいでんはすたすたと知ったように歩いて行く。
一行はらいでんに続く。
穂の家々は整然と並んでいる。
町を歩く人々は皆ずんぐりむっくりした丸い体型だ。
男はひょっ、とした布の三角帽子に濃い眉(まゆ)と髭(ひげ)。女はふわふわした丸い布帽子に腰まである巻き毛。それぞれ、土色の古ぼけた緑色の服を着ていた。
町の人々にはその顔に愛嬌があり、なんともゆったりと歩いている。
「ドワーフの村か」
らいでんはうなずく。
「そんなの見ればわかる」
エルフィールは怒り肩で水を探すが、どこにもない。
ドワーフたちはエルフィールたちには関心がないといったように、小さな陶器の瓶(かめ)を持って歩いている。
まるで瓶とドワーフがダンスしているようだとミラルは思った。
一行はある家の前にいる中年の女性に聞く。
「どこか食事できるところはないか」
エルフィールがいきごんで聞く。
「ないね」
中年の女性は土色の古びた布服で、愛嬌のある笑顔であっさりと答える。
「どっかにあるだろ」
エルフィールがそう言うが、女性は笑っているだけだ。
不満のエルフィールを制するようにジョルディーは聞く。
「なにかと交換ではどうだ」
「なにを持ってるんだい」
けれど、一行はここでの通貨らしきものも、価値あるものもない。
らいでんが懐から銀貨、銅貨、金貨をじゃらじゃらと取り出す。
「これでどうだろう」
「おまえ金持ちだなあ」
エルフィールが一枚もらおうとするが、らいでんにつねられる。
「なに、発掘品だ」
「盗掘だろ」
エルフィールが涙目で言う。
「だめだね。ここでは意味のないものばかりだね」
女性は大笑いした。
まるで世間知らずを見るようだ。
「なんだここは変人のよりどころか。ここいらはこんな奴らばかりか」
エルフィールがらいでんにくってかかる。
らいでんは女性に聞く。
「では、なんならいいのか」
らいでんの質問に、女性は考えている。
「そうだね、いま、水を汲みに行く人が足りないねえ」
「なんて原始的なとこだ」
エルフィールたちは大きな水瓶を持ち歩きながら、辟易(へきえき)している。
ミラルは空を見上げる。
からっと乾いた青空に白い雲がたゆたっている。
「それになんで水瓶がこんなにでかいんだ」
ドワーフ言うところ、体躯にあった大きさだと言うのであった。
「みゅ〜」
カーバンクルが陽気に空を舞う。
くるくるくると雲の周囲を舞うと、雲は砂絵のように動いた。
エルフィールは一言、
「動けねえ」
弱音をはいて、汗だくのエルフィールが座り込む。
ハイベルがエルフィールを水瓶ごと背負う。
「うへえ」
エルフィールが荒い息をつきつつ、ハイベルに背負われている。
ハイベルは楽々と歩く。
「神様とやらも、役にたつんだなあ」
エルフィールが寝言のようによたれ言う。
「神々は決してあなたを見捨てたりしません」
ハイベルは陽気だ。
「そう願うよ」
エルフィールが眠る。
風が気持ちいい。
暑い陽ざしに、水瓶が冷たかった。
エルフィールがほがらかにすやすやのZ(ゼット)を発する。
遠くに藁の家の連なりが見える。
それは金の穂の町のようにミラルには見えた。
けれども、穂の家は風が吹けば飛んでいってしまいそうな感じだ。
もっと強い家にすればいいのに。
ミラルは歩きながらそう思った。
太陽の光がいくつもの輪となって、蒼空の景色を彩る。
白い雲がほのぼのと広がっている。
雲は動かない。風が上空にはないようだ。
いや、風は地上も吹いてはいない。
「なんだあれ」
エルフィールが言うのは、町のことだと、皆気づく。
穂の家の町の真中に、巨大な木がある。
先ほどになかったものだ。
「蜃気楼だろう」
らいでんが蜃気楼について説明する。
それは空気の温度によって、遠くの景色が近くに見えるというのだ。
でも、近づいても、その木は消えたりしなかった。
「違うぞ」
してやったり。エルフィールはらいでんにけりを入れる。
「あんたたちにも見えたかい」
おばさんは笑って説明する。
「あれはこの町の守り神さ」
なぜ見えるのかはわからないとのことだった。
一行は木まで歩いてみる。
天まで届きそうな巨大な木。
根元まで来ると、木は空の上まで、地平線のように、空の果てまで伸びているようだ。
エルフィールはジョルディーを押す。
ジョルディーが木に触ると、それは確かにあった。
エルフィールが恐る恐る触ってみる。
それは木の感触である。
木の枝には青々とした緑の葉がある。
魔法は感じないとミラルは見ている。
それはエルフィールも同じだ。
精霊を感じない木なのだった。
らいでんも調べるが、なにもわからないのだった。
きいん
ジョルディーが抜刀する。
一撃。
キイン
透明な刀身は木の根に止まる。
「殺気はないようだ」
ジョルディーは剣を収める。
ハイベルにいたっては、動こうとしない。
カーバンクルが楽しそうに舞いながら、それにダミエールが曲を奏でる。
一行はしばらく木陰で休む。
巨大な木の木陰もまた、巨大だ。
「きれい」
ミラルは葉の空を見上げる。
木の葉は無数に茂り、葉の隙間からまたたく太陽の光は夜の星々のように輝いていた。
「くすぐったい」
エルフィールがもだえる。
「どうやらアリンコでも服に入ったか」
どれ、と、ジョルディーがエルフィールの服に手を入れる。
「いやん」
エルフィールがくねくねと動く。
「とれた」
「ジョルディー」
エルフィールの顔が真っ赤だ。
「いがいとテクニシャン」
「お、おれもだ」
ジョルディーが背中に手を伸ばすが、届かないらしい。
「まかせとけ」
エルフィールはジョルディーの背中をばんばん叩いた。
「いでで」
「どうだ、とれたか」
「あ、ああ。ありがとう」
ジョルディーは咳き込みながら礼を言う。
先ほどの中年女性のドワーフが来る。
「あんたら、そんな格好で寒くないのかね」
ジョルディーたちは薄着に鎧、エルフィールにいたっては、露出過多なへそ出しルックである。
ジョルディーがエルフィールに触れると、冷たい。
「こうすればいい」
エルフィールはジョルディーのマントにくるまる。
「動きにくいなあ」
ジョルディーが苦笑いする。
「古着でよけんば、どうだい」
女性の出した服は、どれも民族衣装のような、それでいて、古さが肌に合い、色の薄れた色彩がとてもきれいなものだった。
エルフィールが着てみる。
「これは」
ジョルディーが驚いたように、嬉しそうにエルフィールの姿を見た。
「なんだよ」
エルフィールが恥ずかしそうだ。
何枚かの布を巻いたようなその着物は、とてもエルフィールを彩り、とても良く、そう、それはまるで妖精のようだとジョルディーは思った。
「綺麗だ」
ジョルディーがそう言う。
「あ、……ありがとう」
エルフィールも下を向いて言った。
それぞれ一行は布を着る。
エルフィールは軽鎧(ライトメイル)の上に着ているが、ジョルディーとハイベルは着物の上に着たので、でかい鎧を着ければ、姿はあまり変わらないのだった。
ハイベルは装飾のされた、薄黒い黄金の鎧。ジョルディーは黒いレザーメイル(皮鎧)とチェインメイル(鎖鎧)の組み合わせであった。
ミラルはちょこんとしていて、人形かなにかのように、ひっそりとした花のようだ。小柄であるせいもあるのだろう。
ダミエールは元から似たような格好だったので、変わり映えしない格好だ。
らいでんは冒険帽を脱いで、着てみるが、どうにも似合い過ぎている。
「ここの出身じゃないのか」
エルフィールが笑った。
ミラルがカーバンクルにも着せてあげるが、その服はするりと抜けて、しっぽにからみつく。カーバンクルは楽しそうにしっぽを振っているのだった。
カーバンクルが舞うその空は、青く澄んでいた。
しばらく休んだ一行は、この町で食料を調達しょうということになり、水瓶をさらに半日持ち歩く。
それはもう夕日を越え、夜になっていた。
町の人々が家から木を見ている。
「どうした」
エルフィールが聞く。
町の人々は、夜が来ないと言うのだ。
「いまが夜だろう」
エルフィールが聞いても、ただ、夜が来ないというのだ。町の人は、誰もが木を見ていた。
「あの木になにかあるのか」
エルフィールは木の根元まで来る。
ジョルディーも横にいた。
二人がお互いを見る。
どちらともなく、手を合わせる。
光が生まれた。
いぃん
精彩兼備。
風舞く場にて。
色移り行くは風。
疾風の色彩の布の竜が風となり、エルフィールの周囲を舞う。
「なんだこれは」
エルフィールが驚いて見る。
布の海に。
舞竜。
マイル舞うとも。
画する堅牢たる無機質。
広漠陵山。
有限なる闇さえも光になるとも。
妖精樹華。
エルフィールにはそれが川に流れる水のように、豊かなる脈動を感じるのだ。
穂葉々。
彩りの蒼。
「これは妖精なのか?」
木から白い雪が降る。
それは穂の家に触れると、穂は緑色の長い草に変わっていく。
それは薄い緑と深い青に彩られた草なのだ。
町の人々はその草に水をまき始めた。
乾燥した大地に湿気がこもる。
ジョルディーはエルフィールがまだ巨大な木を見ているその先を見た。
根元に、一人の光の人がいる。
それは光っていて、良くわからない姿。
町の人々は見えないようだった。
「あなたは誰ですか」
エルフィールの問いに、
「私は木の守護者たる存在」
と答える。
その声は風に響いて、無機質に響いた。
「神話には聞いたことがある」
らいでんが話す。
「木の精霊に守られた村」
けれども、とらいでんは聞く。
「四季の精霊ならば、あなたは誰ですか」
「私は春」
季節は変わり、また四季は歌う。
この草はどこから来たのか。
どこへ行くのか。
それは誰も知らないことなのだから。
「木は地球の剣」と光。
「ならばなにを斬る」
エルフィールは問う。
「風を斬る」
「ならばなにに納まる」
ジョルディーが聞く。
「大地の根に帰る」
ミラルが聞く。
「世界の果てを知りませんか」
春の光は答える。
「それは大切なこと」
「よく考えたんだが」
エルフィールが思案気で皆に言う。
「世界の果てなんて探さなくていいんじゃないか」
皆がエルフィールを見る。
「このまま帰ってしまっても、どこか別のとこ行ってもいいんじゃないか」
春の光がまたたく。
「それはあなたに大切なこと」
エルフィールはそれがなにを意味しているか感じた。
なんともそれはなにかが芽吹いたように思えた。
「ど、どこに世界の果てはあるんだ」
エルフィールは聞く。
「それは自然が教えてくれます」
光る春はそう言うと、そこにたたずんでいた。
一行は町を出て、旅を続ける。
「どうするこれから」
エルフィールが遠くを見ながら言う。
と。
エルフィールの腕に色とりどりなアゲハ蝶が止まる。
数分、羽を休めた蝶はまた、飛び立って行く。
「あっちだな」
一行は西へ歩き始めた。
続
第十五話 絹雲と色彩風
ちゅんちゅんちゅんと、小鳥がさえずる。
それは幾重にも山びこのように、自然の連想曲となって、風を彩る。
エルフィールは小鳥の目覚ましに起き上がる。
空は遠くに太陽が見える。
空がピンク色に光っている。
夕焼けと同じ朝焼けというものである。太陽の光が大気に屈折して、光に含まれている色彩のうち、赤い色を表すのだ。
エルフィールは一行を見る。焚き火を中心に円状に皆並んで横に眠っている。
焚き火は消えいて、エルフィールは寒いと思った。
ジョルディーのマントにもぐりこむが、ジョルディーが動かないので、エルフィールはころころころとジョルディーから転がる。
それをエルフィールはニ、三回繰り返す。
ジョルディーはてこでも動かない。
「眠い〜!」
エルフィールの周囲を色鮮やかな光が舞い飛ぶ。
「精霊よ、その影よ。世界は甲状の大地殻からその岸壁の弓状となりて……」
エルフィールの詠唱に精霊がその大地がうなり鳴く。
ジョルディーの下の大地が砕け、ジョルディーをその土がふとんのように包む。
「いつまでも眠ってろ」
寝ぼけ眼でエルフィールは歩く。
ジョルディーはそれでもまだ眠っていた。
大地は乾いているが、草が所々にある。
どうやら雨はあるようだ。
エルフィールにはそれが精霊として感覚されるので、別段、なにか考える必要はないのだった。
キジバトが木に止まっている。
エルフィールはそれを獲ろうと、詠唱ののち、大地に触れて、岩の槍で鳥を狙う。
けれども、岩の槍は鳥の直前で止まる。
精霊は動こうとはしない。
エルフィールにはそれがなぜか解らなかった。
エルフィールはなおも歩く。
と、小川が流れている。
その周囲には緑のカビが、そのさらに周囲には、草が生えている。
小バエがたくさん舞っている。
エルフィールは川の中に手を入れる。
ひんやりとして、気持ち良かった。
糸のような水草がいくつも踊っている。
「いてっ」
エルフィールは手をエビにつかまれた。
手をぶんぶん振って、なんとか逃れるエルフィール。
川から少し離れた木の下で、エルフィールはごろんと転がり、昼眠をする。
ミラルは眠っていたが、朝の陽ざしに目をこする。
ミラルは、ねむ気まなこで起きる。朝日はすでにその姿をすべて見せていた。ダミエールが一曲奏でて、カーバンクルがそれに舞い踊っている。
ミラルはあくびしながら、のびをする。
ミラルはドワーフたちの穂の町から二日歩いて来た道を見た。
そこにはもう地平線の点と見える町。そして、周囲は山ひとつない地平線。
なにもない地平線。
この道はどこへ続くのか。
その問いに答えるのは風の吹く空気の揺らぎのみ。
ミラルには心地よい風だ。
魔力を感じる。
ミラルはその方向に歩いて行く。
けれども、そこには小川が流れているだけだ。
木の下にエルフィールが寝ている。
ミラルはその横に座ると、遠く、雲を見ていた。
ダミエールは起きてから、一曲奏でるそうして一日が過ぎてゆく。
ハイベルは起きる。
その精悍な面構えは一瞬たりと変わることはない。
起き上がる。
大剣を持ち上げる。
それは長い。
単なる長剣に見えるのは、ハイベルの巨体ゆえだろう。
巨大な木のように、悠然とそこにある。
それはハイベルに違いない。
歩いてゆくハイベル。
大剣を肩にかつぎ、その動きは優雅でさえあった。
道はその一足に踏み固められてゆく。
ハイベルには、遠くの小川でも近くに見えた。
ゆっくりと歩いて、木の下まで来ると、腰掛ける。
神話の歌を歌う。
いつのまにかいたダミエールが一曲つける。
それにエルフィールの鼾(いびき)がテンポを与えていた。
ジョルディーが歩いて来る。
「そろそろ行くか」
うなずく一同。
ジョルディーはエルフィールを背負うと、歩き出す。
一行はそうして、また歩き出した。
一行は道を歩く。
と。
遠くから緑色の群れが来る。
「なんだあれは?」
エルフィールは身構える。
「待て」
らいでんがエルフィールを制する。
近づいて来るそれは大きな草が風に流れて来るのだ。
「風草だ」
風草はゆっくりと一行の前を通り過ぎて行く。
ひょい、とエルフィールが草に乗った。
草はエルフィールを、その体重をふんわりと包んでまた風に乗る。
「これは楽ちんだ」
エルフィールは楽しそうに行ってしまう。
「ちょっと、そんな、どこに行くか解らないのに」
ミラルはそう言うが、ジョルディーもエルフィールの風草に乗る。
らいでんもダミエールも風草も乗る。
もう、と一息ついて、ミラルも風草に乗った。
カーバンクルがミラルの乗っている風草をはんでいる。
「やめなさい」
ミラルはカーバンクルをでこぴんではじいた。
一行を乗せた風草の群草は空高く上がり、地上は遥か下に見えた。
エルフィールの髪を風が凪ぐ。
「いいねえ」
エルフィールはそう言って、風行く先に笑った。
一行はしばらくそうして風に揺られていたが、町が遠くに見える。
それは先ほどの穂の家がある、ドワーフの町であった。
「言わないこっちゃない」
ミラルは暗い顔でそうため息ついた。
風が吹いた。
突風にミラルは目を細める。
「なんか来るぞ」
エルフィールの言うことに、ミラルは顔を上げる。
黄色の大地と青い空のあいだ、そこからなにかがこちらに来る。
それは黒い点であったのが、近づくにつれて、巨大な黒い布が空を飛んでいるのが解った。
「こっちのほうじゃ、布も空を飛んで行くのか?」
エルフィールが聞くが、らいでんは「聞いたことはないな」と言った。
その黒い巨大な布はどんどんこちらに近づいて来る。
「もしかして、まずいんじゃない?」
ミラルがちょっと汗たらして言う。
さらに黒い布は近づくにつれて、巨大になり、まるで大地の布が飛んでいるようだ。
「このままだとぶつかるんじゃ」
ミラルが弱弱しく言う。
「そうだな」
エルフィールは眠そうだ。
「寝ないでください!」
そう言うミラルにエルフィールはじゃあ、魔法でなんとかしてくれと言う。
ミラルは考え込んでいる。
風が気持ちいいとエルフィールは思った。
エルフィールはよっと立ち上がると、草の先を持ち上げた。
風草は風を受けて、さらに高く空に舞い上がる。
ジョルディーたちもそれに習った。
はっとしたミラルも草の先を上げる。
一行は黒い布の大地の上に出る。
布というより、それは対象された形を表す。
上から見た黒い布の大地には、森林が延々と続いている。
「これは空エイだな」
らいでんがあごに指をあてて、思案気にそう言う。
「だが、こんな巨大な空エイは聞いたこともないな」
らいでんが関心している。
「ちょうど逆方向に行きたかったんだ」
エルフィールは空エイの大地に飛び降りる。
「適当もここまで来るとすごいわ」
ミラルは関心してそう言う。
一行は空エイの大地の草地に降り立つ。
一行は草地、深い森の中に降り立つ。
けれども、エルフィールが座り込んで動かない。
どうした、とジョルディー。
「足があ」
転がるエルフィールの足をハイベルが触っている。
「どうやらくじいているようだ」
ハイベルが軽く足を伸ばしてさすってやる。
エルフィールはちょっとうめいた。
「ジョルディー……」
エルフィールはジョルディーを探すがいない。
ジョルディーは草を抱えて歩いて来る。
草を揉んで、それを長い草でエルフィールの足に巻いているジョルディー。
「これは腫れに効く草で」
「そんなの知っている」
エルフィールはジョルディーから草をとり、涙目で自分で巻いている。
「なんで私だけこうなる」
「日々の行いね」
「日々の行いだな」
「神々はいつも見守っていらっしゃいます」
「日々の行い」
全員の意見は一致した。
ダミエールが一曲奏でていた。
エルフィールがジョルディーに肩を借りてひょこひょこと歩く。
うっそうとした森の中、空の光は葉に幾重にも遮られ、森の中は間接照明のようにほのかに明るいのだ。風が一方向に向かって流れている。
空エイが飛んでいる方向から吹いてくるようだ。
周囲は白い霧らしきものでぼんやりと薄暗く、ほのかに茶色い迷彩光が穏やかに照らす。
ミラルは変だと思った。
これだけの規模の森だと言うのに、けれども、鳥もいなければ、虫もいないのだ。空エイの上だからと言ってしまえばそうかも知れない。けれども、と、ミラルは思う。ここは自然の森とはなにかが違うと思っていた。
一行は歩く。
道は黄色から黒茶までの色彩の落ち葉のジュータン。
それはとても歩きやすいものであった。
エルフィールもなんとか、ジョルディーにつかまりながら歩けた。
枝葉が何度もエルフィールを打つ。
エルフィールの顔が真っ赤になり、怒りはどかーんと行動となる。
エルフィールは樹の根にケリを入れる。
それもひねったほうの足だ。
倒れたエルフィールにジョルディーが手を置く。
「だいじょうぶか」
そうだ、とエルフィールが大地に手をうつ。
「けらなければいいんだ」
エルフィールは詠唱を始める。
「ガイアギアよ」
大地は微動だにしない。
なんだ、これは。
エルフィールは考えている。
そうか、空エイの上だからか、とまた詠唱する。
「サラマンダー!」
森に向かって手を向ける。
けれども、なにも起きない。
「なんだこの森は」
そこでエルフィールは初めて、森に精霊を感じないことを認識した。
周囲は白い霧に暗く、静かで、風の音いがい、聞こえないのだった。
「どこを歩いているか解らなくなるな」
「それに、一向に森を抜けない」
ジョルディーとダミエールの言葉に、エルフィールは「風の来る方向に向かえばいいだろう」と言った。
「ごもっとも」
らいでんはうなずいて、それから一行は風の来る先を目指す。
一行は風の来る方向に歩く。
風は空エイの進行方向から来るのだ。
だが、いくら歩いても暗い森はその表情を変えない。
「気づいているか」
らいでんがぼそりと言う。
「なにかいます」
ミラルがそう言葉をつなぐ。
「なにもいないぞ」
きょろきょろするエルフィール。
と。
木陰に黒い影がひょいひょいと動くのが見える。
それはちょっとした小動物くらいのものか。
エルフィールとジョルディーとハイベルには、それが猫のような動物であることが見てとれた。
ミラルはきょろきょろしてる。
カーバンクルは一緒に踊っている。
エルフィールが猫のような動物にケリ入れる。
猫の上には小人が乗っている。
小さな槍がエルフィールに飛んでくる。
それを避けて、小人どもにでこぴんしていくエルフィール。
小人がそこいらに倒れていく。
「らいでん、ここいらの小人は攻撃的なのか」
「見たことのない種族だ」
らいでんは倒れている小人に顔を近づけるが、小人からぱんちされる。
小人たちは草の服に、槍などを持っている。
一人の小人が木を持ち上げて振り上げている。
「おい、すごいのがいるぞ」
エルフィールが後ずさる。
その怪力はハイベルにも匹敵しそうである。
大木がエルフィールたちに振り下ろされる。
ぎいん
ジョルディーが剣で大木を打ち砕く。
木の破片が舞い散る。
小人たちがざわめく。
小人たちの動きが止まる。
エルフィールたちは構えている。
と。
年老いた小人など、いろんな小人たちが出て来る。
「どうやら敵ではないようだ、と言っている」
らいでんが小人の言葉を伝える。
その言葉はミラルでも解らないものだった。
「その力を貸して欲しいそうだ」
「いきなり都合がいいな」
エルフィールの言葉をらいでんが伝えると、小人がエルフィールにケリ入れる。
エルフィールが顔をおさえながら、変なこと伝えるなとらいでんにケリを入れる。
らいでんはなにか話している。
「ふーむ……」
「それで?」
エルフィールがらいでんに聞く。
「ゲルゲドラを倒す力を貸して欲しいという」
「なんだゲルゲドラって」
らいでんが聞く。
「強い奴だそうだ」
「それじゃわからんだろ」
らいでんはさらに聞く。
「世界よりも強いそうだ」
「だからわからんて」
どうにも要領を得ない話が続く。
「要はそいつを倒せばいいんだろ」
エルフィールは小人に向き合う。
「受けおうのか?」
ジョルディーが聞く。
「そのかわり喉かわいた」
「道も聞いてください」
ミラルが指摘する。
らいでんがあらかた話す。
「この森に出口は無いそうだ」
「それは困ったな」
ジョルディーがうなる。
「水のほうは」
「あるそうだ」
一行は小人たちの後を着いて行く。
森の姿は変わらないが、小人たちは知った庭を歩くように歩いてゆく。
何時間歩いただろうか。
広場に出る。
そこはエルフィールたちにはちょっとした広場であるが、小人の村らしきものが広がっている。
土壁家や瓦葺の家々。
霧の森の中、その集落は、土と草の色彩を描いている。
エルフィールが村に入ろうとすると、小人がケリ入れてくる。
腹をおさえたエルフィールがケリ返そうとするが、ジョルディーとミラルが止める。
「あんたらでかいから、ここまでだと言っている」
「水は」
小人が草のコップに水を持って来る。
エルフィールはぐいと飲んだ。
「もっとくれ」
小人がなにか言う。
「後は成功報酬だそうだ」
「だったら、そのなんとかいう奴んとこ連れて行け」
「一休みしましょう」
ミラルが提言する。
皆その場に座り込む。
「なんだよ、こんなとこにいたって仕方ないだろう」
エルフィールがうろうろ歩いている。
らいでんは小人と話している。
「ゲルゲドラは神出鬼没だそうだ」
エルフィールは森の奥、霧を見ている。
「どうした」
ジョルディーが聞く。
「この森には精霊を感じない。でも、この霧はなにか普通じゃない」
皆霧を見るが、なにも変わったところは見出せなかった。
小人がざわめきだす。
「どうやらお出ましのようだな」
エルフィールは拳を打つ。
小人の一人、実の殻で身を固めた男がいきり立ち、鼓舞するように叫ぶ。
小人たちはそれぞれ武器を持ち、猫や小鳥に乗って、走り出す。
「この小鳥はカラシチョウマツという鳥だな。スズメよりも茶色が色鮮やかなのが特徴だ」
「それどころじゃないようだ」と、ハイベルとダミエールが駆け出す。
「待ってました」
エルフィールも走り出す。
一行は小人の後に続いた。
木々が後ろに進む。
霧の中、先は見えない。
轟音が響く。
それは獣の叫び声のようだ。
聞いたことのない類のものだとミラルは思った。
エルフィールが吹っ飛ばされる。
エルフィールをジョルディーが受け止める。
「だいじょうぶか」
エルフィールはそれには答えず、駆け出す。
姿は見えない。
いや、霧に隠れているだけなのか、それは解らない。
「ここだ!」
霧の先、エルフィールがケリを入れたところは木だった。
どこにもいない。
けれど、どこかにいた。
小鳥の小人が吹っ飛ばされる。
体勢を立て直して、なんとか羽ばたく小鳥。
小人たちは戦っているが、小人には、なにかから避けたりする動きが見られた。
小人は妖精の一種だ。
ミラルは妖精にだけ見えるものなのかと思う。
けれども、ならば精霊使いであるエルフィールにも見えてもいいに違いない。
カーバンクルは風と踊っている。
「皆伏せて!」
ミラルは魔法の言葉で言う。
その言葉に一行と小人族が地にはいつくばる。
「風よ、紅蓮はその花と呼び、光よ、邂逅はその葉と呼び、炎よ、雷霧はその枝と呼び覚ます時、影るはそのいただきの疾風」
ミラルの呪文に炎が球体となって、その呈(てい)を広がせていく。
「流葉(るは)はその鳳呈(ほうてい)に成す」
炎は連なり、進み始めた。
炎が螺旋を描く。
膨大な炎に、霧が蒸発、いや、それはひとつの白いなにかになっていく。
「実体があるなら」
エルフィールがパンチする。
その拳は空をきる。
ジョルディーがその手を受け止める。
光が生まれた。
きいん
風の葉音。
葉の疾風。
葉々楠葉。
エルフィールがいた。
ジョルディーがいた。
葉の宇宙に二人がいた。
収束する光の花びらと広がる光の花びらの中にエルフィールとジョルディーは空中のワルツを踊る。
四季彩の葉が無数の風となる。
風が紅葉の葉となってはまた流浪する。
ジョルディーにも精霊がその流れが見えた。
炎の化け物がまた炎の葉となって散っていく。
葉が集えば、それは光となって、また葉に戻っていく。
風連過花。
練武連舞。
紅蓮武装。
「静するはその烈星なればこそ、弧暮れる時代の蓮杖」
ミラルの声がする。
カーバンクルが楽しそうに踊っている。
エルフィールとジョルディーはお互いを見る。
エルフィールがジョルディーにケリを入れる。
ジョルディーがうなずくと、エルフィールを投げ上げる。
エルフィールの後ろにカーバンクルがいた。
エルフィールが両手を広げる。
ありったけの四季彩葉がエルフィールの両手に集まって来る。
エルフィールが両手を交差させる。
ふたつの葉の塊はひとつとなり、葉のニ重螺旋を描く。
風。
風が吹いた。
草の平原。
どこまでも続く原っぱには、一面の草。
その平原には丘があり、その上には一本の巨木。
その木には、緑色の葉が連なって茂っている。
そよ風の中、エルフィールはその巨木を見ていた。
エルフィールにはその木が語る時間を感じることが出来た。
エルフィールは横を見る。
ミラルがエルフィールの横にいた。
ジョルディーがエルフィールの横にいた。
小人族とエルフィール一行が木の下にいた。
そよ風の中、エルフィールが前に一歩出る。
「いつからか、精霊はその方向性を失い、一本の木は森となっていく」
エルフィールが言う言葉に、葉は揺らめいたようであった。
「精霊を解き放て」
エルフィールが風と葉の合唱に歌うように言う。
ミラルが木に近づく。
伸ばしたミラルの手が葉の影に彩られる。
ミラルの手が光る。
ミラルが木に触れると、その木は一本の杖となる。
それは使い込まれた、魔法使いの杖なのだった。
ミラルよりもちょっと大きなその杖は、きいんと、澄んだ音を周囲になびかせた。
葉の音は光を越えて、連なる山の頂上に届く。
森。
鬱葱たる歴然たる木々の自然の秩序たる葉の鎖。
森林には自然の風と雨と雷と雪があるという。
森の中は闇。
そこにはうっすらとどこまでも続く霧があり、知らない人にはとても歩く気にはなれない、暗い森である。けれども、そこにはコロボックルという小人族が住んでいる。
小人たちは今日も変わらない生活を送っていた。
けれども、その生活には、四季彩ある森の葉々の広がりが一年中あるという。
エルフィールたちは小人たちと別れ、風の来る道を歩く。
霧は変わらず一寸先を覆うが、もう迷い霧は無い。
エルフィールはちょっと不満気だ。
その理由は。
一行は小人たちから巨木だった杖をもらった。
それは森であった木。
精霊はその流れを取り戻し、一行は道を見つけることが出来た。
小人たちはエルフィールに礼を言うのだった。
でも、エルフィールは不満気だ。
「良かったね」
エルフィールは不満気だ。
「私にはなんの報酬もないのかよ」
ミラルは杖を繁々と眺める。
エルフィールが不満気だ。
ミラルは杖を眺めている。
その杖には幾千年、幾億年の時が感じられた。
これだけの一品はそうあるものではない。
というか、この空エイの上だから残っていたとも言えるものであった。
ミラルはその杖から膨大な時空を感じるが、別段、その力を解放したいとは思わないのだった。
カーバンクルが杖の上に止まる。
みゅ〜と、喜びの声を上げる。
それから、杖の上はカーバンクルのお気に入りの場所になるのだった。
「そういや、エルフィール」
ジョルディーはエルフィールに聞く。
「なんだ」
「足はだいじょうぶなのか」
「あー」
森の中にはエルフィールの声が木霊(こだま)したという。
続
第十六話 光学のエレメンタリティ
霧の森の中。
そこは薄暗く、鳥の声さえしない。
誰も知らないはずの森。
鬱蒼と続く霧の森。
風がやって来る空エイの進行方向へと歩く一行。
落ち葉の絨毯には、霧が薄くなってから、昆虫がそこかしこに見えた。
らいでんは昆虫ほつかまえては、それをじっと見てうなずいていた。
風が螺旋を描く。
エルフィールにはその風は心地よく、なんともいえないいい気分だった。
と。
エルフィールの頭にでん、と鳥が止まる。
「おもっ。なんだこれは」
「帽子鳥ね」
ミラルが言うには、それは獣に止まって、行きたいところまで、連れて行ってもらうというのだ。
エルフィールが乱暴に歩いたので、帽子鳥は落ちてばたばたと羽ばたきする。
怒った鳥はエルフィールの足にくちばしを叩きつけている。
「いてて、なんだよおい」
それをミラルは見ていた。でも、とミラルは言う。
「でも、人の頭に乗る帽子鳥なんて珍しい」
「空エイの上には人はいないんじゃないだろうか」
らいでんの指摘。
「いるじゃないか」
エルフィールが指差すほうには人がいた。
一行はとりあえず人影に歩いてみる。
幾筋もの光がうなる。
それは光の巨大な獣。
高さは10メートル、ビルの5階建てくらいはあるだろうか。
光っている巨大な獣が走る。けれども、それには地響きひとつ起きない、静かな疾走であった。一行の周囲を何匹もの光の巨大獣が走る。
その疾走感もさることながら、その姿は光の芸術のようである。
「光獣だわ」
ミラルが指摘する。
「なんだそれ」とエルフィール。
「光の姿であり、それでいて、精霊使いいがいにも見える獣……」
「え、精霊使いだけど知らないなあ、知らないよな」
「知っている」
「知ってる」
「神々はなんでも知っています」
「まあ、そこそこには」
エルフィールいがい知っていた。
「でも、こんな巨大な光獣は初めて」
それはミラルいがいも同じであった。
「人もいるぞ」
エルフィールの指差す方には、巨大な光っている人と家がある。
「で、あれはなんだ」エルフィールがミラルに聞く。
「知らない存在です」
それは皆同じだった。
「あれは光人に光家だ」
エルフィールは断言する。
それはとりあえず、光獣は光の人のところでごろごろとなごんでいる。
「私の家にようこそ」
光の大きな人はそう言うが、声はどこか近くから聞こえたようにミラルには思えた。
光の人は、光の巨大な家のドアを開ける。
- エルフィールが先頭を歩いて家に入って行く。
ミラルは恐る恐る続いた。
一行は光の家に入る。
けれども、家の壁は透明で、家に入った気にはならなかった。それどころか、光の壁を越えて来る風すら感じた。
エルフィールが手を触れると、光の家の光の壁はやすやすと通りぬけた。
「それで、なにか用でもあるのですか」
ジョルディーが聞く。
エルフィールは出された小さなカップティーを取ろうとするが、触れることはできなかった。
「あなた方にこの光獣と戦ってほしいのです」
周囲はいつのまにか空の上。
いつのまにか、光の家は空に浮かんでいた。
「それはどんな意味があるのですか」
ミラルの質問に、光の人は答えないのだった。
「戦いか? 戦っていいんだな」
エルフィールの瞳がうるうると輝きだす。
エルフィールは抜刀すると、光獣を斬る。
けれども、それは空を斬る。
光獣は光であり、物理的な力は効果がないのであった。
「ならば、サラマンダー!」
炎のとかげが光獣をおおう。
けれども、光獣は無傷だ。
光獣は攻撃をするでもなく、うろうろするだけだ。
「さて、どうしますかな」
光の大きな人はそう言って、それはくすりと笑ったようであった。
光の人は光の本を読んでいる。
それには光の文字が記されていた。
「精霊語のようね」
「魔法の言葉だな」
その光の本を見ていたミラルとらいでんの指摘は正反対だ。
なにが書いてあるのかまでは、二人には解らなかった。
「こうなったらファイアーストーム」とエルフィールは叫ぶ。
ミラルがエルフィールの頭を木の杖で叩く。
「やめなさい、そんな巨大な精霊法攻撃では、みんなまで打撃を受けるでしょう」
ミラルはさとす。エルフィールは涙目でミラルを見ていたが、次にはサラマンダーをミラルに放つ。
サラマンダーがミラルに舞う。
「デ・クレジット」
ミラルは魔法の盾でそれを防いだ。
その瞬間。
光。光の門へとサラマンダーが変化する。
「これは……」
ミラルとエルフィールには、門の中にいる獣が見えた。
二人は門の中に入る。光の家は小さな家であったし、光の獣も小さな獣であった。二人は近寄り、獣に触れてみる。
獣はなついてるようでも、警戒しているようでもない様子だ。
「こいつは精霊のメディヴィラだ」とエルフィールが言えば、「いいえ、これは使い魔のランドラッカーよ」とミラルは言った。
そして、二人の前には、老人が等身大の光ってはいない、普通の背丈の老人がいた。
「なに、光の屈折で大きく見えただけのこと」
老人はそう言って微笑んだ。
「だいじょうぶなのか」
ジョルディーが聞いて来る。
ジョルディーたちには、光の門をくぐったミラルとエルフィールが光の大きな人になっているように見えたのだ。
「あなたは誰ですか」
ミラルは光の人に聞く。いや、それは光っていないただの一人の老人であった。
長い白髪はたいそう長いこと生きているように見えた。
そのシワは、とても深いようだ。
白に近い灰色のローブを着た老人は頭のてっぺんこそ輝いていたが、とても柔和な感じを受ける人であった。
「精霊法と魔法は昔、同じものであったそうだ」
老人はそう言う。
「ここは世界の果てですか」
ミラルは聞いた。
「そうではない」
「地上に降りるにはどうすればいい」
エルフィールが珍しくまともなことを言う、奇妙な顔をするミラル。
老人はうなずいて答える。
「世界の果ては幸福が地上に降りた形式。変わりなどないこと。それはきっといつか誰かが考えたこと。忘れた時間と闇の継承者の行く手。人が手にいれた最初の言葉。まだ知らないことの闇。次元はいつかその方向から風を感じていたのだ。忘れてはならないことが人にはある。それは戦いであるのかも知れない。それは世界が平らな和であること。いつか世界が忘れてしまった柱と形。世界は光であふれたことだと人は言う時。できないことはないとある魔法使いは言って、あるとある精霊使いは言った。だからこの世界には精霊使いと魔法使いがいるのだと言うこと」
「あなたは賢者ですか?」
ミラルが聞いたが、老人は「いいえ、私は空エイの上にいる一人に過ぎません」と言った。
「どうしたらいい」
ジョルディーの問いにエルフィールは、「入ってくればいい」と言った。
ジョルディーたちは恐る恐る入って来る。
そこは岩を積み上げて作った家であった。いくつかの等身大の木の家具があった。
奥には炉釜(ろかま)とかフロ場とか、本棚の並ぶ部屋が見えた。
さきほどまで空の上にあった家は空エイの上にあった。
「なに、光の屈折で空の上に見えただけなのだ」老人はうつらうつら眠そうにそう言う。
光の花びらが舞う。
それはミラルとエルフィールにだけ見えたこと。
魔力が増幅される。そんな不思議な感覚をミラルは感じた。それはまるで恋愛感情に似た気持ちでさえあった。 気持ちが高揚していくのがミラルには感じられた。
エルフィールは性的なまでの欲求を感じた。それはまるで気持ちよかった。それは初めての性の目覚めのような気さえするのだった。
歌が聞こえる。二人だけに。
「愛することは自然を感じた最初の始まり。愛はいつか忘れられても、二人の思いは誰も忘れることなく、ここにひっそりとあり続けるでしょう」
光の花びらが無数に舞う中で、思いは重なる。
白い馬とエルフィールは平行してどこまでも続く平原を走っていた。
風がエルフィールには気持ち良かった。
馬の向こうにはミラルが低空飛行の鷹と走っていた。
それはなんだかいつか二人で走った平原なのだった。
風に光の花びらが舞った。
踊る精霊と魔法の風。
それはミラルとエルフィールの二人の関係。
それは思いの双方向性。
夢々山々。
愛過旅過。
二乗翼歌。
それは精霊が歌っているようでもあり、魔法の風のようでもあった。
エルフィールとミラルが近づく。
エルフィールはミラルにキスする。口と口が触れ合った。
二人の衣装は光となって、二人は生まれた時の姿になる。
しばらくキスしていた二人は離れる。ミラルが小さなやさしいため息をついた。エルフィールの頬は照っている。
二人はちょっと距離をとる。
服はその色を取り戻す。
コウウウウ……。
+ その時、エルフィールには魔力が加わり、ミラルには、舞う精霊たちと踊ることが出来た。
「さあ、この歌に歌いなされ」
老人の言葉にエルフィールはミラルを見る。ミラルはそれにうなずいた。
ミラルが床に木の杖を打つ。
「我が円状の集いとは縁。それは揺らめいた焔。気の利いた歌が聞きたい。砕けた木よりもいまの気持ちは緑の葉。さあ、天(そら)よ雲に集え」
床に光の魔方陣。
エルフィールが精霊に歌う。
「精霊よ空に舞え。くどいた空は歌に舞い。なにが惑いた雲か。感情は光よりも精霊に近い。さあ、その思いは光の翼と化すことも可能なりて。暗い宇宙は精霊の踊り場。舞い踊れ竜。それは空の帰るべき場所なのだ」 エルフィールのが精霊の風を纏(まと)った。
「あおーん」
空エイが雄たけびを上げた。
空エイが羽ばたいた。
エルフィールとミラルの声と思いが重なる。
「大地をその手に」
空エイは四角い口でうなずくと、その巨体を大地に降り立たせた。
ゆっくりと静かな着地だった。
「これで地上に降りられるな」
エルフィールは得意満面の笑顔だ。
「いいものを見せていただきました。力は対立と協力にあるものだと思うのです。それはともかく、ここでは時間の過ぎ方が違います。ゆっくりと休んでいかれてはどうだろうか」
老人はそう言うと本を開く。
ミラルとエルフィールはその言葉につくづく安心を覚えた。
「そうさせていただきます」
ミラルはそう言うと本棚の部屋で魔法書を読みふけった。
エルフィールは素っ裸になると、広いフロ場で湯につかった。
ジョルディーも湯につかる。
ハイベルは料理を作っていた。
ダミエールは見たこともない楽器を奏でては関心していた。
らいでんは建物の構造に興味津々だ。
カーバンクルは光獣であった獣と踊っていた。
老人はくしゃみする。
それから、みんな集まって食事にした。
それは楽しく、一時の休息であった。
エルフィールは酔いつぶれ、その寝息にダミエールが一曲付けた。
エルフィールは絨毯の上に大の字に横になる。
すやすやと眠っていた。
その横でミラルは横になる。
ジョルディーはダミエールの曲に耳をすませる。
ハイベルが歌を歌い、それは静かな歌なのだった。
一行は一眠りする。
「なにか礼がしたい」
ジョルディーが老人に言う。
老人は考えていたが、「窓の景色が光でしか見えないのがなんとも残念だ」と言う。
エルフィールの手が光り、エルフィールはジョルディーの手をとる。
光が生まれた。
きいん。
家の窓の景色は光の色を色彩の光景とした。
「ありがとう。これはずいぶん楽しいことだ」
老人は嬉しそうにうなずいた。
一行は老人に感謝して、光の家から出て、空エイから大地に降り立った。
地平線のように巨大な空エイは轟音とは裏腹に、ゆっくりと風を受けて空に舞って行く。
草原に一行だけが残った。さあ、行こうとエルフィールが空エイの向かうべき方向に歩きだした。
いつしか、草は踏みしめられた道になっていた。
この先に町があることを、それは示していた。
一行は歩き出した。
続
第十七話 エーテル色彩舞
青空の下、平原を歩く一行。
どこまでも続く平原は壮大だが、エルフィールにとっては、だだっ広いだけの空間に過ぎない。
草原が空を包むようだと、その雄大さをミラルは見ていた。
ミラルの杖の上ではカーバンクルが寝ている。
日なたぼっこである。
エルフィールがこづくが、カーバンクルは眠っている。
睡眠。
すやすや。
空は透けるように青く、雲はどこまでも草原と協奏曲を奏でる。
ハイベルはその大地を踏み固めて行く。
ハイベルの精悍さに一片の変わりもない。
まるで岩が歩いているようでさえある。
揺るぎなく、頼もしい。
それは一行の誰もがハイベルに感じることである。
ハイベルはなに気にするでもなく、悠然と歩いているだけ。
大剣がその歩に揺れる。
どこまでも続く空の天。
空エイは遥か遠くの空の向こうに飛んで行き、それはもう点のようだ。
「なにか落ちたぞ」
エルフィールが拾ったプレートには、魔法の言葉が書いてある。
「これは魔法学院にいた時のものです」
ミラルが受け取ると、それをなつかしそうに見ている。
数年前、ミラルは魔法学院で優秀な成績を収め、友達といた。
魔法学院の制服は色彩豊かだ。それは魔法で自然の四季を得た色合いなのだった。
友人たちは魔法使いとしての就職先が決まり、それぞれ話ていた。
「ミラルはどこに行くの」
「ミラルならどこにでも行けるじゃない」
友人たちはそう言ってはやし立てた。
「旅に出ようかなあ」
「なになに、冒険者にでもなるつもり」
それは定職とは見られない、不安定な職種だ。
旅に次ぐ旅。
それは各国を旅する、吟遊詩人のようなものだ。
「仲間に当てでもあるの」
「まずは行路のある町へと歩いてみたいの」
「一人でですか」
「そうよ」
みんなちょっとびっくりして、ミラルを見る。
「なにか必要なことはない」
「先生には相談したの」
「杖は用意したの」
みな、それぞれの思いを言いたてたが、ミラルはどこか、空の向こうを見ているようだった。
ミラルは友人たちを見る。
「ありがとう。でも、なにも用意も考えてすらいないの」
友人たちは随分心配の言葉を紡いだが、ミラルは黙ってそれを聞いていた。
しばらくして、友人たちは魔法の言葉でミラルに危険がないように、とそれぞれの自然からの引用でミラルに語りかけた。
ミラルは涙目で、魔法のキスをそれぞれにした。
その友人たちとはそれ以来会っていない。
エルフィールの前にいるミラルは、ちょっと笑ったようだった。
「なんでもない、昔の思い出の品です」
「そうか」
エルフィールはそう言って草原の大地を地平線へと歩く。
エルフィールの歩に、いつものだるさはない。
やる気のない、揺るだる気さがなく、いつにもまして力強く歩くエルフィール。
それに歩を強め、寄り添うジョルディー。
風の精霊がエルフィールの周囲を舞い、それに力を得ているのだが、そんなことには気づかないのだった。
いつもよりも多い風の精霊の存在。
なんとなく、ミラルはエルフィールを見てそれを感じてはいた。
けれども、エルフィールに聞くことまではしなかった。
らいでんはもう少し、気にしているようだったが、それでも、変わらない歩きである。
ダミエールはたまに口笛を吹いては、ちょっと空を見た。
雲は青空に服飾のように装飾のようにまばたいている。
雲から吹くように風がエルフィールたちの衣服を揺らす。
光の精霊がエルフィールを通り過ぎる。
その壮麗さと言ったらどうだろう。その流麗さにエルフィールはちょっと立ち止まる。
光の輪舞(ろんど)がまたたく。
光輪爛々と。
それは精霊であるはずなのに、一行の誰もが見てとれた。
エルフィールだけでなく、一行が立ち止まる。
一行の誰もがその光を見ていた。
普段は目にすることのない光。
光の波が空と草原を舞う。
「オーロラだ」
エルフィールが空を仰ぐ。
別段、エルフィールには精霊の動きは見慣れたものだが、それにしても随分大きな精霊の光の流れなのだ。
「こんな真っ昼間からなんて変なこともありますね。夜に精霊が光るというのは、聞いたことがありますが」
ミラルはそう言うと目をこらす。
ミラルにはなにかが空を泳いでいるのが見えた。
黄色く光るひよこの群れが空を飛んでいる。
「これはなんだ」
人大のひよこが飛ぶ後には、色彩のオーロラが追い駆けるように舞う。
ひよこはその数を地平線のすべてとする。
ひよこの無数の群れは、まるで黄色い雲が移動して行くようだ。
その数は空を覆うようだ。
「エーテル光鳥のようだ」
らいでんはそう指摘する。
「こっちじゃひよこが空飛ぶのか」
エルフィールがたいして関心もなさそうにそう言うと、くしゃみする。
らいでんは手で日よけしながら、「そうだ」とそう言って、空飛ぶひよこを見ている。
エルフィールはジョルディーのマントで鼻をふきながら、らいでんがひよこの数を数えているのを見た。
「数えきれないだろう」エルフィールはそう笑った。ミラルはらいでんが光る砂の入った瓶を持っているのを見てとった。瓶の中の光は少しづつ、増えているようだった。
翼の群速は無数であった。
どこまでも続く黄色の群雲である。
黄色い群像の後には波打つオーロラ。
それは綺麗で流麗で華麗であったが、なんとも違和感のある風景であった。
エルフィールはふらっと空を見る。
エルフィールは精霊の言葉を聞いたような気がした。
ごいん
でかい卵がエルフィールのどたまにぶつかる。
がにまた、M字。
エルフィールは倒れることなく、なんとかかんとか立っていた。
ぶつかったいきおいで、卵が割れる。
からからからと殻が砕けていく。
そこからでかいひよこが生まれる。
黄色い毛並はとてもつやつやとしていた。
「ぴよー」
ひよこは一声鳴くと、くるっと回転して、エルフィールの前に着地する。頭をかかえているエルフィールの前に立つひよこ。
エルフィールはふらふらとたたらを踏むと、涙目で、なんとか踏み止まる。
エルフィールには周囲に小さなひよこ達が飛んでいるのが見えた。
「おお、ひよこが小さくなったぞ」
エルフィールはふらふらしながら言った。
そんなエルフィールを見るもの。
それは先ほどのひよこである。
じーっと見てるひよこ。
エルフィールは目のチカチカがとれる。
焦点のあったエルフィールの前には人大のひよこ。
ぐふ。
こいつか。
とエルフィールは立ち上がる。
「てなもんや、なにしやがる」
ひよこにけり入れようとして、エルフィールはふらふらして、つまずいて大地に転がる。
先ほどのダメージの中、なんとか立ち上がる。
エルフィールはひよこの存在にはっとすると、ちょっとびっくりする。
人大のひよこはエルフィールをじーっと見てるから。
ひよこのつぶらな真ん丸の目には、純粋な黒円だけがある。
エルフィールとひよこの目が合う。
オーロラの風が吹いたような気がエルフィールにはした。
「恐怖を恐れるな」
ダリルは幼いミラルにそう言った。
なぜその言葉をいま思い出すのだろう。
エルフィールの周囲に強力な精霊の風が舞う。
エルフィールはそれには気づかないでいた。
エルフィールの前には純粋な瞳のひよこ。
そこには邪悪なものがなにもないのだ。
これにはエルフィールはまいってしまった。
なにも嫌みがないという存在はエルフィールには天敵であったのだ。
エルフィールはちょっと嫌な顔をすると、ひよこから逃げるように歩く。
ぎょっとするエルフィール。
でっかいひよこがどかどか地面を歩いて着いて来る。
まるでハイベルが後ろにいるかのような巨大な足音であった。
汗汗、早足になるエルフィール。
それを追い駆けるひよこ。
エルフィールには逃げの一手。
なんで逃げるんだ。
素朴な疑問が脳裏をよぎる。
エルフィールはふいに止まる。
振り返るエルフィールの前にはひよこ。
いきおいあまって、ひよこはどかんとエルフィールにぶつかった。
そのひよこのいきおいったら空が綺麗な夕日に彩られたくらいだった。
なんてことだろう。
そう思いつつ。
ごろごろごろ。
転がるエルフィール。
12、5回回転してから、エルフィールは止まる。
怪我はないようだ。
立ち上げると、ひよこと対峙するエルフィール。
ひよこはきょとんと、エルフィールを見ている。
なになになに。
素朴な疑問のひよこ。
「なにしやがる」
エルフィールがでかいひよこにケリ入れる。
本気のケリが決まった。
全体重が込められた、渾身の一撃。
が。
ぼよよよいん。
なんともはや。
精霊舞うそのケリの力はふくよかな腹に吸収される。
そのいきおいはそのままエルフィールに戻って来る。
ごろごろごろ。
また12、6回回転するエルフィール。
なんとか戻って来るエルフィール。
らいでんがひよこの横にいる。
エルフィールはとりあえず、らいでんの意見を聞くため、立ち止まる。
らいでんはあごに手をあて、思案気に言う。
「生まれたばかりで、飛び方を知らないのだろう。このままでは光をその翼にとらえることはできないな」
らいでんはひよこを見てそううなる。
知ったことではない。
エルフィールは服の土をはらうと、すたすたと歩いて行く。
「ぴー」
ひよこはエルフィールの後をどかどかと大股で着いて来る。
エルフィールが早足となるとなり、止まるとひよこは止まった。
いらいらいら。
エルフィールに雷がびりびりいなびく。
それは電気の精霊に違いない。
「着いてくんな」
エルフィールがひよこを睨(にら)みながら、重々しく言った。
それは常人ならば、気圧された気迫のものであったのだ。
ぴよぴよぴよ。
ぴよ。
なんだろう。
エルフィールは歩いて行く。
どかどかどか。
それでもでっかいひよこはエルフィールの後を着いて来る。
エルフィールは止まり、またひよこを見る。
「ぴー」
ひよこはエルフィールの顔をじっくりと見ている。
エルフィールがひよこの顔を見てる。
じっくりと見てる。
一瞬の沈黙。
風がなびいた。
それは精霊の風であった。
流麗なるは。
そう。
ぽんと手を打つエルフィール。
「腹がへってんのか」
エルフィールは魚のにぼしをひよこにやる。
「くあくあくぴー」
ひよこは喜んで食べる。
「エーテル光鳥は太陽の光がなくては生きていけない。このままではこのエーテル光鳥は夜に追いつかれてしまうな」
らいでんが指摘する横で、エルフィールはにぼしをあっちこっちに放り投げ、それをキャッチするひよこをげらげら笑う。
なんだって。
エルフィールの動きが止まる。
いらいらいら。
ぎがぎがん。
どぴしゃーん。
雷。
雷電は風と舞う。
エルフィールが腕組みしながら、ハイベルを蹴る。
ハイベルは微動だにしないが、エルフィールと話す。
「なにか飛び方を教える飛行術はないのか」「ない」
ハイベルはないと言うて、また石像のように立っている。
「神々の力もたいしたことないな」
つば吐いてエルフィールはそう言うと、ジョルディーの手を取る。
前に二人の光でジョルディーの傷を癒したことがあったから、エルフィールは期待してのことだった。
一分経過。
二分経過。
五分経過。
30分経過。
でも、なにも起きない。
「らいでん」
エルフィールはらいでんを蹴る。
「知らないな。解かるのは、これでは夜に追いつかれてしまうだろう」
らいでんはとりあえず、ひよこの翼をもんでやる。
ひよこは気にするでもなく、エルフィールの後を着いて来る。
エルフィールはうろうろ適当に歩くが、ひよこはそれに着いて来る。
「ずいぶん気に入られたな」
ジョルディーが微笑む。
「そういうのは苦手だ」
エルフィールはむすっとしながらも、ひよこの歩幅に合わせて歩いているようだと、ミラルは思った。
「なにか芸でも出来ないものか」
エルフィールはお手をするようにひよこに言う。
ひよこは足をでんと乗せる。
おもっ。
なんだこいつ。
どがぴしゃん。
怒った。
エルフィールは怒った。
「ジャイアントボディプレス」
エルフィールがひよこに体当たりする。
ぼよん、と、転がるエルフィール。
ごろごろごろたあっ。
今度は回転からすぐに立ち上がる。
ひよこは顔を横に曲げて不思議そうにエルフィールを見ているが、突然エルフィールに体当たりして来る。
ごろごろごろごがん。
転がって岩にぶつかるエルフィール。
「だいじょうぶかエルフィール」
ジョルディーが歩いて来る。
怒りの電気をぱりぱりと帯電させながら、雷の精霊がいなびかりを照らす。
ジョルディーの言葉には答えず、エルフィールはひよこに手を伸ばし、呪文を詠唱する。
ぱぱちぱちぱち。
炎がエルフィールの手に収束する。
「サラマンダアひゃひゃひゃ」
笑い出すエルフィール。
ミラルが後ろでくすぐっている。
間に合ったと、ミラルは汗を拭う。
さてと。
五分経過。
ぽてぽてぽて。
すっかりとやる気のうせたエルフィールはまた歩き出す。
ぽよぽよぽよ。
それに着いて来るひよこ。
ぽてぽよぽてぽよぽてぽよ。
歩くエルフィール。
着いて来るひよこ。
歩く着いて来る。
歩く着いて来る。
どらららららじゃん。
「着いてくんじゃねえー」
エルフィールがひよこに足間接を決める。
ばんばんばんとひよこが手を大地に打つ。
「わんつうすりい」
ハイベルが手をエルフィールにたたく。
エルフィールがひよこから離れる。
涙目でひよこがひょこひょこ歩く。
「ケガをさせてどうする」
ミラルの言葉にも、エルフィールは一人さっさと歩いて行く。
ひょこひょこひよこ着いて来る。
「着いてくんな!」
ひよこへのケリが頭上に決まる。
「ぴよー」
ひよこが黄金に光る。
なんだ。
なに。
なんば。
光の精霊が舞った。
ぽへん。
一行は一瞬にして、ひよこになってしまう。
「ぴよぴよぴよ」
おい、なんだこれは。
エルフィールは文句を言うが、その言葉はすべてぴよに発音された。
ひよこエルフィールの質問にひよこらいでんが答える。
「ぴよ」
解からん。
なんだそれは。
ひよこエルフィールは憤慨する。
ひよこエルフィールがぱたぱたと羽ばたく。
それは特に意味のないことだったが、翼は光風を受け、空に舞うひよこエルフィール。
浮遊。
風の精霊がいつにも増して色彩を得ている。
いつも見慣れた風景が綺麗に見えた。
「ぴよぴよぴよ」
お、飛べるぞ。
ひよこジョルディーも精霊が見え、その翼は風をとらえた。
一行がぴよぴよ翼を羽ばたくと、光を翼はとらえ、自在に飛行出来るようになる。
「ぴよぴよぴ」
エルフィールは次はおまえの番だとひよこに呼びかける。
でも、ひよこはまだ飛べない。
大地をぽてぽて歩いているひよこ。
一行はひよこの上空を舞う。
なにかから解放されたと、ミラルは思えた。
ミラル以外は、いたって平常心だった。
「ぴよぴよ」
ひよこエルフィールは怒っていた。
ひよこを両足でつかむと、空に羽ばたくひよこエルフィール。
ひよこは空の風にびっくりしているが、しばらくすると、風の精霊はきっと友達だと思った。
「ぴよー」
ひよこは楽しそうだ。
その風と光は、ひよこの翼を彩った。
「ぴよぴよぴ」
そうだ、空はおまえの領分だ、とひよこエルフィールは言った。
でも、ひよこは羽ばたこうとはしない。
ぱたぱたぱたとひよこエルフィールはひよこを地面に降ろすと、ひよこに向き合う。
ぴよんこ。
「ドロップキック」
両足蹴りをひよこエルフィールがひよこに決める。
だが、力は吸収される。
倒れたひよこエルフィールの上に気配という名の影。
ひよこの両足蹴りが上空から来る。
寸前でひよこエルフィールは避ける。
ごがんごがん。
ひよこの蹴りに砕ける大地。
その後から地下水が噴出する。
「ぴよぴよやっぱりケガには温泉だよなぴよー」
ひよこエルフィールはサラマンダーを大地に放つ。
湯は一帯を温泉と化す。
一行はひざまで湯につかる。
ずいぶんつかっていても、時間は感じなかった。
ひよこはぬくぬくと湯につかる。
空はその世界を夕日と化す。
「空を飛べても、もう時間が無いなぴよ」
ひよこらいでんが空を見てそう言う。
「杖で名帝を地下に打てぴよ」
ひよこエルフィールはひよこミラルに言う。
ひよこミラルはきょろきょろするが、うなずくと両翼で杖を大地に打つ。
温泉水は波紋を幾重にもさらに光り、その波紋のすべてを魔法陣とする。
「想明は風に揺らめき、重慶珍重するはそのいかずちぴよ。崩壊した概要とその大地は暗くその範囲を円型とするも、光得手とても砕けん空とその地平たる星よ。いくつもの歌が夕日を彩る。なにがその表情を彩るというのか。空よ。聞け。光たるは昨日の闇。得た言葉は闇と光を紡ぐともに。行こう。どこに光の果てがあるとも、闇ならば永遠だとしても、まだ永遠は遠く、ひとときの眠りに感謝を得て、紡ぐ世界よ。空よ。天よ。雷鳴よ空を打てぴよ」
きいんきいんきいん。
魔法陣はひよこエルフィールの精霊との対話を波紋する。
空が光りにまたたいた。
一行はその姿を元に取り戻す。
「ぴよー」
ひよこが鳴いた。
雷鳴。
雲という風艦砲射撃の一斉正射。
それは鳥の打ち出す飛行機光であることに、エルフィールと一行は気がついた。
「こっちのほうじゃ鶏(にわとり)が空を飛ぶのかぴよ」
エルフィールの問いにらいでんが答えた。
「エーテル雷竜だ。エーテル光鳥の成鳥であり、光の精霊の結晶たる風。あの光を媒体にして平行飛行すれば、こいつは太陽にさえも追いつけるだろう」
ぱたぱたぱた。
ひよこが飛び上がる。
ひよこには成鳥しか見えていなかった。
じたばたじたばたと。
なぜかひよこの背中にエルフィールがいた。
「ちょっと待て、いま髪の毛がからまってるからなぴよ、待て待て待てえ」
ひよこは一直線の成鳥の後に続く一直線の虹に乗ると、一気に成鳥まで追いつく。
すでに一行は後方遥か、大地がめまぐるしく進転する。
うあああああ。
エルフィールが涙目でなんとか目を開く。
大地が円状にぐんぐんと進んで行く。
世界は白から青に変わって行く。
大地が丸かった。
空が綺麗だった。
と。
なんか変だ。
息が出来ない。あまりにも、ひよこは速く飛んでいた。
一瞬の浮遊はなんとか一息つき、周囲を見る余裕が出来た。
あれは。
先日の空エイがいた。
大地を一周して地平線を丸く見て、空エイまで、ひよことエルフィールはまた一行の上に来ていた。
世界がまぶしい。
エルフィールは目をしぱたかせると、空が世界がうすぼんやりと見えて来る。
そうか。
これがそうだ。
エルフィールはこう思った。
光の世界では、空と大地と地平線は虹色だったんだ。
ごおおおおお。
それは一瞬の遭遇。
ひよこと空を飛ぶエルフィール。
そのままひよこの群れと合流する。
エルフィールは精霊世界という名の大地を一周したなどとは思いもしなかった。
それからエルフィールはひよこたちと世界を何周しただろうか。
すでにエーテル光鳥の群れの中に入り、ひよこの中にいることに、なんの違和感も抱かないようになっていた。
風と風と風。
その連なりだけが彩る。
「なんとかしないと」
ミラルはジョルディーに訴える。
「それでエルフィールが幸福なら、それでいい」
そう言って、ジョルディーは風の行方を見ていた。
「そんな……、らいでんさん」
ミラルはらいでんに聞く。
「手はない。少なくとも、錬金術の中に精霊から精霊使いを連れ戻す力などないのだ」
それはミラルも同じであった。
どうしたらいいのか解からない。
いつもと変わらない風景。
それには、エルフィーユだけがいなかった。
悔しそうに地を見るミラル。
土はいつにも増して、暗く、堅そうであった。
「みゅ〜」
カーバンクルがミラルの横で鳴く。
ミラルははっとする。
なにが変わったのだろうか。
それは。
ミラルは顔を上げる。
風景は変わらない。
ミラルは目を閉じて、杖を大地に立てる。
「方角はこちらだな」
らいでんの言葉は砂を導き、砂は螺旋を描いて、でも、なにか、それはなにを意味するというのだろうか。
ダミエールは砂の流れを見て、静かな曲を奏でていた。
ハイベルはその砂の流れに歌う。
歌はどこかへ流れて行く。
それはどこか。
風。
それは風の歌。
風来尾。
風が吹いて来る道を歌に舞う砂が示した。
ミラルは想う。
なにかが舞っているかのようだ。
そう、これはきっと……。
それをミラルはエルフィールの精霊風だと感じた。
「デ・フォルト」
一言の詠唱にてミラルは杖を大地にうがつ。
魔法陣が空に広がった。
「風よ聞け。おまえの名前は世界を探す時間。望郷にはまだ早すぎる。世界の円はおまえには広すぎる。帰郷の念には歌がある。崩壊は人の特権であり、おまえの翼にはまだない。空に住居はない。大地こそがおまえの家。光と闇の地平線になんの意味を問うというのだろうか。叶えられた花は目指すは空か大地か光なのか。小鳥はまだ自分自体の歌に気づかずにいて、それが風の始まりだなどと、光にもうつさず、さあ、その勇気をうがてよおまえの得た雷鳴に答えたように」
ウインド。
エルフィールに風が吹いた。
それは進行する風とは違う風であった。
風が見えた。
精霊が舞っていた。
それは確かに、いつも、それまでエルフィールが見ていたものであった。
光の方位陣爛々美流に。
風忘羅意。
場時来化。
空々雷々。
エルフィールはその場で羽ばたく。
進むのを止めたのは、ジョルディーたちの真上であった。
横でカーバンクルがきゅ〜と鳴いた。
なにか見たことがある奴だと思った。
風たるエルフィールはなんとなく、そんなことを思った。
それは風。
なつかしい。
なにかなつかしい風。
ひよこがぴよと鳴いた。
エルフィールはきょとんとする。
ひよことエルフィールのあいだに光。
光の玉が空にはある。
漂う光の固まり。
それはゆっくりと白い玉となる。
大地では、ハイベルがジョルディーを空に投げる。
空には巨大な卵。
ジョルディーが卵に触れる。
光の亀裂。
卵が砕けると、それはひよこではなく、エルフィールが生まれた。
卵の殻は光に透けていく最中、生まれた姿のエルフィールとジョルディーは手を取る。
エルフィールはジョルディーを見た。
なんでだ。
「なんで笑ってる」
エルフィールの問いにジョルディーは答えない。
風と光が触れた。
二人のあいだに光が生まれた。
きいん。
地平空へと進む光。
きらきらと光の粒子を放ちながら、進む二人。
エルフィールとジョルディーが空を飛ぶ。
ひよこがそれに合流する。
二人と一匹は一緒に空を飛んでいた。
ひよこの群れが見えて来た。
飛翔演舞。
ひよこの群れと飛ぶ。
ひよこたちと大地をもう一周すると、ひよこと別れ、エルフィールとジョルディーは大地に降り立つ。
光の粒子は消え、二人はいつもと同じように、大地に立っていた。
はあーと、息を吐くエルフィール。
「お帰りなさい」
ミラルがエルフィールに抱きつく。
「なんかあったのか」
ダミエールとハイベルは曲と歌のフィナーレを飾る。
らいでんが眩しそうに光空を見ている。
その方向にはなにがあるのか、一行は知っていた。
夕暮れ時。
夕日が一行を彩る。
景色には、エーテル光鳥の光雲というオーロラ翼が幾筋も残っている。
夕日の奥に、一直線の飛行機虹光とオーロラの世界。
そこにいたことに、エルフィールは実感がなかった。
いや、エルフィールはまだ精霊の鳥であったことを覚えていたのかも知れない。
ミラルがぎゅっと手をにぎってきたので、エルフィールは力いっぱいにぎりかえしてやった。ミラルは苦く笑った。
やがて夕日は色を失い、闇が空を覆い始めた。星々がまたたき始める。
それを眺めていたエルフィールはまた歩き出す。
一行はそれに続く。
「召還出来る精霊が増えたな」とジョルディー。
「昼限定だけどな」
エルフィールは笑っていた。
ちょっとそれは、涙まじりだったけれども。
それは雲翼の霞が涙となっていたのだった。
オーロラに彩られた夕日を背景に、一行はまた歩き出したのだった。
続く。
第十八話 バルキリー輪舞(ロンド)
夜の道は暗く、一行は黙々と歩いていく。
「なんで夜に歩く。なんだこのやぶとか葉は」
エルフィールが嘆くのも無理はない。
ちょっとした森林には、月明かりも時々ひらめくだけで、とても暗く、その闇はどこまでも続いていくようだ。
つるのような葉に足をとられることもままあることであった。
「この森からは真なる陰りの魔力が漂流しています」とミラル。
「神々はここに災いを暗示しています」とハイベル。
「カンがささやく、ここにはいてはいけないと」とジョルディー。
「この地理地形からは、錬金術の方位がとれない。これは不吉」とらいでん。
「私はなにも感じないぞ」とエルフィール。
ということで、一行は夜も歩いて、この森林を早く抜けるために歩いていた。
ずしん、と全身に響く轟音が大地にうなる。
エルフィールが止まり、それに一行も止まった。
「なんだこの地響きは」
エルフィールはきょろきょろするが、一行でそれを感じたのはエルフィールだけであった。
「精霊? それにしてはなんだこの圧倒される精霊流は」
木々の上から、月のライトに照らされた、巨大な鎧が三騎。
「でかいモニュメントだなあ」エルフィールが見上げる。
「いえ、これは実体として見える精霊。でも、こんな精霊が存在するはずはありません」とミラル。
一行の見上げる三騎の巨大な鎧はそれぞれ矛で打ち合う。
その轟音はエルフィールだけに感じられた。
「これが精霊であるはずはない」
なぜなら、精霊の姿は自然の反映であり、それだけの自然があるから、精霊の姿があるのだ。こんな巨大な精霊の姿、その精霊力。こんな精霊を反映する自然など、あるはずはない。それは一行の誰にもわかった。
「魔法かなにかか」エルフィールはミラルに聞くが、ミラルはかぶりを振る。
「精霊を巨大化させる魔法など、聞いたこともない」
「知らないだけだ。あるんだろう」エルフィールの意見はまったく聞いてもらえなかった。
とにかく、この三騎の精霊に踏まれないように逃げるので精一杯である。
自然の精霊に触れることにはなにもないが、これだけ巨大な精霊。なにがあるか解らない。
「走れ」
ジョルディーに言われるまでもない。一行は走っていたが、その一行の前に、夜の闇を纏い、美女が空間に漂う。
一行は巨大精霊も忘れ、見とれるように止まる。
それは天から纏う布を幾重にも風のように踊らせるその女性は、長い髪すらも光に包まれている。
「精霊なの?」
ミラルはその美しさに感嘆する。
精霊が人にすらその姿が見えるとは、その力、存在力は並の精霊ではない。
それは一行の誰もが見てとれたことだった。
いや、エルフィールは別段、気にも止めていないようだ。
「数騎しかいないと言われる精霊騎女、俗にバルキリーと言われる精霊だろ。その力は絶大だが、その力を得られる精霊使いは極わずか」
エルフィールが指摘する。
一同がざわめいた。エルフィールの指摘があまりにも的確であり、それはまるで精霊使いのような言葉であった。
「確かに精霊使いだが」
らいでんがうなる。
エルフィールはバルキリーを見る。
バルキリーは上位精霊の中でも美しい女性の姿であり、それは精霊使いでさえ、その力を得る者はごくごくわずかである。
その美しさはエルフの上をいく絶世の美女である。
「おまえさんたち、世界の果てを知らないか」とエルフィール。
バルキリーはたたずみ、なにも言わず、そこにいるだけである。
「なんだって?」
エルフィールがなにかをバルキリーに聞く。
「聞こえないって」
歩いて近づくエルフィールの足下が砕け、エルフィールは大地の闇の中に飲み込まれる。
「エルフィール!」
ミラルの叫び、だが、大地はさらに砕け、一行をもその闇に飲み込んだ。
バルキリーだけが、一人闇の中に輝いていた。
「おい」
エルフィールのケリがらいでんに入る。
らいでんは気がつくと、光る砂を放つ。
周囲は砕けた岩の空洞だ。
空は遠くて、とても堅牢な岩の牢にでも一行は閉じこめられたようであった。
「らいでん」
エルフィールが聞く。
「風はないな。完全な密室であり、周囲の岩も上がれそうにない。あまりにももろい岩質だ」
らいでんはそう結論付ける。
ハイベルが怪力で岩壁を砕こうとするが、ジョルディーが両手でハイベルの拳を止める。
「無理だ」
ジョルディーの言葉に、ハイベルは背中を落とし、その背の大剣が地に下りた。
「みんなで酒でも飲めばいいんじゃないか」
エルフィールの案は、けれども、全員一致で却下された。
空はうっすらと明けてきて、それは点のように頭上はるか彼方に見えた。
まるで穴の塔が空まで続いているようだとミラルは感嘆まじりに思った。
「なんてことだ」
エルフィールはいらいら歩いていたと思ったら、手を岩に向ける。
「サラマンダひゃひゃひゃ」
ミラルがくすぐる。
「するなってば」
「なにしやがる」
ミラルはエルフィールと格闘するが、狭いせいか、鍛えたエルフィールと普通の体力のミラルでも、案外いい勝負である。
身軽で体術に長けたエルフィールだが、狭すぎて、ジョルディーとハイベルとにぶつかり、すっころんでいるところにミラルが杖で足をからませ、間接を決める。
いててと、頭をおさえるエルフィール。
エルフィールはミラルを見た。
「なんだおまえ」
エルフィールはミラルの後ろを見ていた。
そこには先ほどのバルキリーがいた。
バルキリーは光輝いている女性として見える。
「なんだ、聞こえないぞ」
エルフィールはバルキリーに近づくが、ぎょっとする。
バルキリーは三人いた。
一行を囲むように三人の光る女性がいた。
三方向からのバルキリーの放つ光はやさしい光で、間接照明のように、踊る月のように、色彩光が周囲を舞い踊る。
「いっぺんに言うな」
エルフィールは怒鳴る。
一行で精霊の言葉が聞こえるのはエルフィールだけである。
たとえバルキリーと言えども、実体を持たない存在なのである。
「誰が、だから、それはおまえだろう」
エルフィールは怒鳴っていて、それは支離滅裂だ。
「だからいっぺんにしゃべるな!」
周囲の岩が砕けて、巨人の手が表れる。
大地の精霊ガイアギアが出現しょうとしていた。
ガイアギアはエルフィールが召還した精霊であった。
「こんな狭い場所で、みんなをつぶす気ですか」
ミラルが杖でエルフィールを叩くが、エルフィールはよけた。
エルフィールにはバルキリーしか見えてなかった。
「だから、これでいいんだろ」
エルフィールの言葉に、ガイアギアは動き、大地は砕け、一行の足下の大地はさらに砕け、一行は宙に浮く。
底無しのように落ちる一行に、しばしの浮遊感が包んだ。
バルキリー三人も一行と一緒に落ちていた。
ミラルが呪文を詠唱する。
「デ・クアヴィス」
ギガギガンギガイアン。
轟音、そして光が揺らめいた。
その光に一行は浮力を得る。
上から浮力の得られないガイアギアという名の岩の巨人が来る。
ぎいん
ハイベルが大剣でガイアギアを貫く。
ぎがごおん。
ガイアギアが砕け、大小の岩が落ちて行く。
ミラルは踊るように岩をけってガイアギアの破片をよけた。
ジョルディーとダミエールはエルフィールの両手をとり、岩をよけていく。
らいでんはハイベルにお姫様だっこで助けてもらっている。
岩とともに、三人のバルキリーに照らされた一行は、下にゆっくりと降りて行く。
照らされた闇は、けれども、広大な空間であるように見えた。
「なんだここは」
エルフィールは闇の精霊が多いことを見てとれたが、別段、それは気にもとめていなかった。
やがて一行は暗闇の底に足をつける。
それはひんやりしていて、息は白い。
「寒くて耳が痛いな」
そう言うエルフィールの両耳をジョルディーがその手で温めた。
きゃっきゃとエルフィールはじゃれるように足踏みする。
それはいつしか踊りとなり、舞い、精霊との踊りになった。
それにダミエールが曲を付け、ハイベルが歌う。
それはなんとも綺麗でいいものだと、ジョルディーとミラルは見入ってしまう。
三人のバルキリーはエルフィールの舞いを見ているようで、立っているだけである。
バルキリーの表情は微動だにせず、まるで氷ついているかのようだ。
「大地の底は冷えるな」
らいでんはそう言って、いつのまにか入れたホットティーをミラルに進める。
ミラルは感謝して、一口飲んだ。
周囲にはバルキリーがほのかに輝いて浮かび、その中で、エルフィールは精霊と踊っていた。
ジョルディーもそこいらの岩に座り、ホットティーを飲んだ。
深い縦穴の洞窟に響く音は、とても軽妙で、エルフィールは好きに踊っていた。
綺麗だなあ。
風の精霊がエルフィールと踊り舞う。それがなんとなく、一行には見えた。
精霊をまとったエルフィールの踊りには、ミラルは感嘆するのだが、でも、ミラルは問う。
「なぜ精霊が見えるのでしょうか」
「それはここが精霊の多い場であるからのようだ」
らいでんはちょっと離れた所で、なにかを見ていた。
そこは横道となっていて、人が通れそうなくらいの穴であり、その先が光っている。
「あれは」
「精霊結晶だな」
らいでんはそう言うと、横道に入って行く。
しゃん。
エルフィールが踊りを止めて、一行は横道に入る。
もの言わぬバルキリーたちはそこで目をつむり、漂っているのだった。
横道の一行の中、ミラルは目を見張る。
精霊結晶で埋め尽くされたその洞窟は青白く、てかてかと輝いていて、それはとても美しいものだったが、けれども、とミラルは言う。
「素晴らしい眺め、けれども精霊流の密度が高すぎる。純度99パーセントの精霊結晶の場。一瞬でも心が濁ればその精神は焼かれる」
「だからなんだってんだ」
エルフィールはそう言うと、すたすたと精霊結晶の洞窟に歩いて行く。
ミラルは追い掛けようとするが、ジョルディーは止める。
ミラルはジョルディーの顔を見るが、ジョルディーはやさしくうなずくだけなのだ。
ダミエールは岩に座って、目を閉じて曲を弾いている。
ジョルディーとミラルとハイベルはエルフィールの行方を見ている。
らいでんは岩に座って目を閉じて、曲に耳を傾けた。
エルフィールの行く手には六角柱の透明な水晶の幾何模様で構成された洞窟。
それは精霊結晶の道。
その道に進む。
だが、別段、エルフィールは普通に歩いている。
まるで精霊の海の中を歩いているようだと、エルフィールはその精霊密度をぼけっと見ていた。
精霊色彩の舞い。
でも、目が慣れてしまえば、エルフィールにはたいして気にもとめないことなのであった。
洞窟の奥から鎧がふたつ歩いて来る。
誰も着ていない鎧。
魔法で動く、リビングメイルなどは、宝を守るために、遺跡によく仕掛けられているものだ。
エルフィールの目が爛々と輝く。
ぎらつく、と言ったほうがいいのかも知れない。
「こういうのを待っていたんだ。サラマンダー!」
エルフィールの手から出でた炎のトカゲはリビングメイルをとらえるが、リビングメイルの動きは止まらない。
走り出すエルフィール。
リビングメイルにケリを入れるが、パンチにはじかれ、回転しながら吹っ飛ぶエルフィール、いや、パンチは両腕で受け止め、その怪力を回転で吸収したのだとしたら、エルフィールは着地すると、よろけたが、また走り出して、抜刀して斬るが、その細剣は装甲の厚さにはじかれる。
何度も剣を振るうエルフィール。
「ははっ」
エルフィールは笑ってさえいた。
もう一体のリビングメイルのパンチがエルフィールに繰り出される。
ぎいいん。
ジョルディーの魔法剣がそれを受け止めた。
「くっ、砕けない。殺意がない。これは守り専用の鎧だ」ジョルディーが指摘する。
ミラルは驚いていた。精霊密度の中にも、ジョルディーは一瞬の躊躇もなく、走り出したからだ。
二人の剣撃はリビングメイルには効かない。
ミラルがその場から魔法で射るが、鎧は止まらない。
ハイベルがその場にいた。
両手のハイベルのパンチに、鎧は砕ける。
鎧の中には精霊がいたが、鎧がなくなると、さっさとどこかへ行ってしまう。
精霊が鎧を動かすなど、精霊結晶の中ならではだと、ミラルは思った。
エルフィールは周囲を見るが、他には鎧は見あたらない。
カーンカーンカーン。
洞窟のその奥では、誰かが鉄槌で精霊結晶を叩いている。
誰だろう。
エルフィールはなに気なく思う。
それはドワーフ。妖精族たるドワーフは、精霊結晶の中でも、別段、なんともさなそうだ。
ジョルディーとハイベルは精霊結晶から出て行く。
精霊結晶から出たジョルディーはその場で岩に崩れ倒れる。
ミラルがささえた。
「目がかすみ、息が出来なかった」
ジョルディーは咳込みながら、なんとかそう言った。
「それは私も同じだ」
ハイベルもひざをついて言った。
「ならば、どうやって鎧をその拳にとらえたのですか」
ミラルの問いに、ハイベルは「運が良かった」と言った。
「それはなんとも」
らいでんは笑って光る砂をハイベルとジョルディーにかけた。
それで二人は息も出来、目もなんとか見えた。
「感謝する」とハイベル。
ハイベルとジョルディーはダミエールに感謝する。
「暗闇の中、その曲が戻る道を示した」
ジョルディーはそう言って苦笑いした。ダミエールはそれには答えず、曲を奏でていた。
一行はエルフィールを見る。
精霊の濁流は青白い突風となって見えて、エルフィールはその先に消えて行く。
一行には既に近づける距離ではなくなっていた。
洞窟の奥は行き止まりになっている。
そこは精霊結晶によって美しい色彩光が移り行く場所である。
横穴がいくつかあり、そこのひとつはフロ場のようだ。そのひとつはトイレのようだ。
そして、ひとつの部屋とも言える場所には、ドワーフのひげもじゃの老人が一人。
緑色の服に帽子。それは素朴な格好である。
ドワーフを見ているエルフィール。
精霊結晶の上、鉄槌で細長い一品をたたくドワーフ。
打ってたまに見る。それの繰り返し。見ているエルフィールはあくびが出る。
エルフィールはドワーフの前まで歩いて来る。
「ここでなにをしている」
エルフィールの問いにドワーフは黙って、鉄槌を叩くのみだ。
ドワーフは鉄や結晶石を加工細工する技術を独自に持っており、それはエルフの持っている、繊細された精霊精神とは違う、人にも好評の剣や鎧を作るのだ。
力の象徴たる王剣はドワーフに作ってもらうのが、各国の習わしともなっているほど、その技術は人に愛される一品だ。それは鍋やクワのような農具にまでおよぶ。
ドワーフは寡黙でずっと鉄器を作っている。そんなイメージが人には一般的なほどだ。
精霊が四角い透明な六個のタイルにいる。
それは精霊パズルという、精霊使いが作る、おもちゃのようなものだ。
精霊の流れをとらえた時に、このパネルパズルは説けるようになっている。
エルフィールはひょいひょいと説いてしまった。
ドワーフがじっとエルフィールを見ている。
「な、なんだよ」
「精霊は好きか」
老人のドワーフは一言そう言うと、また鉄剣を鉄槌で打つ。
「一応、精霊使いだ」
カーン。
ドワーフは手を止めず、ぶすっとした表情で言う。
「精霊を好きなのかと聞いた」
老人のドワーフいかにもむすっとした様子でそう言う。
エルフィールは考えている。考えている。考えている。
ぽんと手を打つ。
「うん、ジョルディーといる時、精霊が踊っているように見える。そんな時は精霊がとても綺麗に見える。それが好きってことかな」
「うむ」
ドワーフはゆっくりとうなずいたようだ。
「その剣は」
「精霊結晶の中で打つ鉄は精霊を彩る剣となる」
「それくらいは知っている」
「うむ」
ドワーフはまた鉄剣を打っている。
「世界の果てを知らないか」
エルフィールは聞いてみるが、ドワーフは新手の歌かなにかと逆に聞いてくる。
これはだめだとエルフィールは質問を変える。
「あの精霊、バルキリーどもはなんなんだ」
「バルキリーか。あれは光景騎士だ。おまえさんではかなわんだろう」
ドワーフはにやりと笑っているようだ。
怒るエルフィールを尻目に、ドワーフは剣を取り出す。
それは細い中剣だ。
柄には指輪がふたつ着いたおしゃれな部分も見てとれた。
「これがなんだと言うのだ」
エルフィールは不満気にそう言う。
「わしは昔、鉄工の町で剣や鎧を作る鍛冶屋じゃった。その町で何十年も腕をふるったもんじゃ。それがある日、ある客人がある剣を持って来た」
「それがどうした」
エルフィールはじれたように聞く。
「まあ聞け。その客人は剣を出した。その剣には精霊が宿り、その剣を打ち直して欲しいという依頼じゃった。わしはいつものように腕をかけて剣を打った。だが、その剣はなんとも繊細洗練された作りで、ついには、砕けてしまった。わしにはその剣を打つなにかが足りなかったのだ。そのフィルフィラなんとか言う客人はエルフでな、剣に宿った精霊を連れて行かれた。エルフは精霊使いという前に、精霊とのつながりを生まれながら持つ種族。わしは自分の腕を信じられなくなっていた。わしの自尊心も砕けていたのじゃ。そのエルフは鉄剣を置いていった。これを鍛えてくれという依頼じゃった。これは救いと、それからわしは精霊結晶の洞窟で、鉄剣の精錬に打ち込んだのだ」
「そのエルフは茶髪で瞳は銀色、垂れた布服ではなかったか」
「そう、そうじゃったな」
母さんだ。
「わしには精霊剣ひとつ鍛えることが出来ないとは。わしは腕を磨き直すために、この精霊結晶の鉱山で剣を打ち直す日々に三十年をついやした。悩み苦しんだ年月であったが、打ち込むその時間は楽しくさえあったのだ」
ドワーフが剣をエルフィールに向けて置く。
「これをやろう。どう使うかはおまえさん次第じゃがな」
「……」
エルフィールはうなずくと、剣を手に取った。
立ち上がり、そこから出ようとする時、エルフィールはドワーフを見た。
「じいさん、感謝する」
エルフィールはさらに精霊の加護があるように、と言ってから、一行の元へと戻った。
エルフィールが他人に感謝することなど、ミラルが聞いたなら、どんなにか驚いたことだろう。
だが、その言葉はドワーフにしか聞こえなかった。
エルフィールを先頭に一行は先ほどの広場に戻る。
そこにはバルキリーが三騎いる。
エルフィールだけがその広場の中央に踊り出る。
それはまるで決まっていた演劇が始まる雰囲気でさえあった。
光の風が舞う。
バルキリーたちが半目を開き、それはエルフィールをとらえる。
三方を囲まれた形になるエルフィール。
ミラルが加勢しょうと前に出ようとするが、エルフィールが手で制す。
「手を出すな」
?
なんだ。
エルフィールの前に別の風景が広がる。
なんだか、なんだかとてもなつかしい気持ちだ。
幼い子供が、子供たちが歩いている。
「おまえの母ちゃんエルフなんだって」
「なんだそれえ」
子供たちは幼いエルフィールをはやしたてる。
涙目でエルフィールは、だけれども、なにも言えないでいた。
家に帰ると、母はイスに座り、窓の光景を見ていた。
夕日に彩られた母はとても綺麗であった。
いや、エルフは美麗な種族である。
また自然と美しいものをなによりも愛する種族である。
こんな田舎の人の町になぜ一人いるのかどうか、それはエルフィールにもわからないことだった。
母はエルフィールを見る。
涙目のエルフィールは涙をぬぐう。
母は笑ったようだったが、それは気のせいだっただろうか。
いまのあなたではみずからの道を歩くことは出来ないでしょう。
母はイスに寄り添う幼いエルフィールに言う。
ひとつには、仲間を得るという道があります。
そしてもうひとつは、あなたが見つけるでしょう。
なかやってなあに。
大事な友達よ。
いらない。ともだちなんて、いやなんだもん。
いい時もあるでしょう。いやな時もあるでしょう。それを越える時間を持っていることは、いつかあなたになにかを感じる時となるでしょう。
エルフィールは不思議そうに母を見ていた。
まだ、なにもわからなかった。
いま、仲間がいる。
けれども、まだ一人がいい。
仲間はいるだけだと思っていた。
だが、いまは少し違った。
「一人では出来ないことがある」
エルフィールは三騎のバルキリーに言った。
「だから、おまえは間違っている」
三騎のバルキリーが揺らめいた。
バルキリーと対峙するエルフィール。
抜刀するエルフィール。
それはドワーフに貰った精霊剣。
「単なる鉄剣で精霊になにをするというのですか」
ミラルはそう疑問を呈するが、エルフィールにはバルキリーしか見えない。
「世界を斬る」
ドワーフに鍛えられた剣が天をとらえ、エルフィールの視線はバルキリーをその姿をとらえた。
大地に波紋。
三騎のバルキリーは矛を精霊結晶の大地から取り出すと、矛で精霊結晶の大地を叩く。
周囲の洞窟一面が精霊結晶となっていく。すさまじい精霊圧である。ぶあっとうなった風には、魔法で防御するミラルとて、もう入ることは出来ない。エルフィールだけがバルキリーの前にいた。
精霊結晶と化した場は、精霊だけの空間となり、それは青白く光る空のように、うなりを上げて精霊の群流が舞っていた。
精霊を纏ったバルキリーたちは、その手をエルフイールに向ける。
ごおおおおお。
圧迫。
エルフィールがひざをつく。
圧苦、圧痛。
目がくらみ、足がぐらつく。
ずっと走っていたように肩で息をするエルフィール。
バルキリーたちは矛をシャンと大地に打ち鳴らした。
シャン。
シャン。
シャン。
バルキリーは動くことなく、そこに立っているだけなのだ。
その場にうずくまり、ふるえるエルフィールに、バルキリーは慈悲の視線でその行いを問う。
「違う」
エルフィールはふらつきながら立ち上がる。
「あんたは間違っている」
エルフィールが周囲の精霊結晶をその剣で叩き砕いていく。
驚いた精霊たちが流れるように光のように濁流となり、天へと踊る。
バルキリーの姿が揺らめいた。
エルフィールはバルキリーに駆け寄る。
バルキリーに剣で打つが、バルキリーは見えないなにかで受け止める。
エルフィールは叫んだ。
「精霊圧縮(アグルバースト)!」
,mmJldauopsetualeketgjalsdjkoklds7ljごls85608fdjs856s0l;g98キイン7l9uvpz;ei5jpuhj:−sa−0e8s0f8sギンoerijtulo4eiu56oujyeloギイインthfgub90su8g907sr09ygカイイイン8s0giul;backuplightattackde−fensejhgiyu5ew7
精霊錬磨。
精霊豪舞。
精霊崩壊。
エルフィールの精霊剣にバルキリーの一騎が封印される。
いや、その剣は単なる鉄剣ではなく、すでにバルキリーという精霊の宿る精霊剣となった。
「いやああああ!」
気合いの元にエルフィールは走り出す。
二騎となったバルリキーは、その無表情なる氷のような視線、表情のまま、エルフィールの周囲を横に舞う。
きいいん
高音が響く。
エルフィールの剣はバルキリーに振れては、バルキリーにはじかれていた。
鉄剣の柄に着いている指輪をエルフィールは左手の薬指に着ける。
「精霊接触」
指輪には小さな鎖が着いていて、エルフィールの右手に剣、左手には細い鎖を舞いする指輪の左手。
エルフィールは剣をバルキリーに叩きつけると、「サラマンダー」と言った。
精霊の剣はサラマンダーを纏い、バルキリーを一刀両断する。
「精霊圧縮」
そのバルキリーはエルフィールの指輪に封印される。
ドワーフの一品たる指輪には、バルキリーがいる。
エルフィールは大地をける。
空中に舞ったエルフィールは指輪を手の前に出して「精霊召霊」と言った。
指輪からバルキリーが出でて、エルフィールの服と軽鎧は消え、透明な色彩の布鎧が裸のエルフィールを纏う。
残ったバルキリーは矛を放つが、精霊の鎧はその矛を受け流す。
「形勢逆転」
あれ。
なんだこれ。
エルフィールはひざを着く。
鎧と剣が重い。
剣と鎧は精霊の力を得すぎて、エルフィールには、まるで岩を着て、岩を持っているような重さである。
好機とばかりに、バルキリーはその手の矛で鎧の無いエルフィールの顔を連打する。
エルフィールの頭がぐがぐが右左に振られる。
「エルフィール!」
ミラルが叫んだ。
バルキリーの殴打が止まる。
エルフィールにはキズひとつなく、その顔には丸めがね。
「器用だな」
ハイベルがぼそりと言った言葉に、らいでんはうなずいている。
ドワーフの眼鏡はなんの変哲もないものだが、矛の撃にも一片のヒビも入っていない。
エルフィールはバルキリーの殴打のあいだ、詠唱していた。それはこんな呪文である。
「精霊がいるべきは空の下。こんな地下ではない。いるべきは精霊使いとあるべき存在。正しきことは恋。いなずまよりも精霊に触れる時に風は風景となる。おまえの名前は自由と愛のはざまでいななく雷鳴。消えて無くなるよりは、生きた時間を愛と認めろ。破壊などで精霊が舞うものか。崩れた人々の彼岸に、いつか空は道と成す時。世界は天と地に分かれた時から、地平を制す。砕けろ雲の空に雷鳴と。なくせない鳳仙花」
エルフィールが白銀に光り輝く。
「うなれ、華麗なるが精霊合唱、雷撃凰!」
精霊の濁流をその剣と指輪鎧にて。
ソードリングディフェンス。
精霊濁流に舞うエルフィール。
精霊流の回転の力をそのまま剣で叩きつける。
ぎいん。
バルキリーは矛で受け止めた。
「これでどうだあ!」
エルフィールは頭突きした。いや、正確には眼鏡顔面頭突きである。
バルキリーはにこり、と笑った。
バルキリーはガラスのように砕けていく。
「精霊圧縮」
エルフィールの言葉に、最後のバルキリーは眼鏡に封印された。
エルフィールは一息すると、「精霊招霊」と言って、バルキリーを剣と指輪鎧と眼鏡に宿らせると、剣を両手を上から大地に打つ。周囲の精霊結晶がすべて、一瞬で砕けた。
水晶片が、無数の光が舞う中、エルフィールを上を見ていた。
精霊圧縮。
精霊招霊。
陣騎彩舞。
そう。
「バルキリーは私とある時は一人であり、精霊招霊された時は三騎の光景となる」
エルフィールが笑いながらそう言う。
巨大な三騎の精霊が空から舞い降りる。
その巨大さは城のように悠然とそびえる鉄騎。
「この三騎の巨大精霊にどう挑むのか。さて、どうするかしら」そう言いつつ、ミラルは迷いながら、防御魔法を唱える。
らいでんは砂をまき、ハイベルは大剣を抜く。
ジョルディーがエルフィールに手を出す。
エルフィールはかぶりを振る。
「気にするな。これはバルキリーの影だ」
ジョルディーはちょっと驚いたようだが、手を戻すと言う。
「そうか」
雷鳴動静。
三騎の巨大な精霊はたたずんでいる。
エルフィールは巨大な精霊を見上げる。
「バルキリーの精霊流が月の明かりに照らされて見た幻影騎」
「それでも、精霊にはあり得ない力ではないのですか」
ミラルの指摘に、少し考えているエルフィール。
「精霊は自然の化身であり、精霊が自然を砕くことなく、その精霊の影はひとつの風景に過ぎない」
「つまり見えるだけだと」
「少なくともいまはそうだ」
「でも、この巨大さはなんですか」
「それだけ、なにかを守りたかったんだ。きっと」
一行は落ち着いてエルフィールの周囲にいた。
「やったな」
いつのまにかいたドワーフがいきまいた。
「とりあえず、でも、良かった」
そう言ったミラルがエルフィールに抱きつく。
エルフィールの体は裸なのだが、なにかひんやりとした精霊の風を纏っているようで、ミラルには気持ちが良かった。
バルキリーを纏ったエルフィールは、疲れてはいたが、まだ動くことが出来た。
それだけの気力が精霊の力が感じられた。
ミラルが離れ、ドワーフがエルフィールの前に来る。
「おまえさんはこれから光景騎士じゃ」
「ありがとうじいさん」
エルフィールはドワーフに感謝した。
烈聖と呼ばれた精霊使いがいた。
幾千の戦いをバルキリーは精霊使いと戦った。
だが、守りきれなかった。
精霊使いは死に、バルキリーはそれきり黙って、いつしかその姿は三騎となった。
「じゃから、光景騎士たるバルキリーには、精霊使いによってその方向性を見る必要があったのじゃ」
ドワーフはそう言うと、エルフィールの持つ精霊剣に触れる。
エルフィールは元の姿に戻る。
だが、バルキリーは指輪と鎧と剣にいた。
エルフィールを守るために。
「おまえさんを感じて、信じているのじゃろう」
「そういうのは、苦手だな」
エルフィールは苦笑いする。
「でも」
と、エルフィールはミラルたちを見る。
「いまなら、それも悪くないかなと思うんだ」
バルキリーが三騎、エルフィールの周囲に立っている。
目を閉じて、寡黙な表情にその動静は、一見なにも変わってはいないようだ。
そよ風がエルフィールの顔を凪ぐ。
いや、それはバルキリーの方向から吹いて来るようであった。
「なんでそんなに詳しいのですか」
ミラルはドワーフがバルキリーに対して持つ知識に疑問、というより、そのよりどころを聞いてみたくて仕方ない気持ちでいっぱいであった。
ドワーフはなんとはないことのように答える。
「わしの息子が光景騎士じゃった」
「それはまた。だが、これだけのバルキリー。ちょっとのことでは負けまい」とエルフィール。
「魔王ダリルに倒されたよ。あんたの大将にな。魔王を倒す。これが使命じゃと言って、遠くの異国まで風の精霊へと吹いたのじゃ。それから何年も音沙汰はなかった。数年後、精霊の剣を持ったエルフが風の噂とその最後を伝えてくれたのだ」
一行はドワーフから視線をそらす。いや、ジョルディーは見ていた。
「なぜそれがエルフィールに関係あると」ジョルディーが聞く。
「お嬢ちゃんの持ってる剣はダリルの紋章がある」
エルフィールは空を見てから、ドワーフのほうを向くと聞く。
「そうとわかっていて、なぜ私に剣を」
「わからん」
ドワーフはかぶりを振る。
「けれどもな」
ドワーフは続ける。
「あの精霊パズルは息子がよく解いていたものじゃ。その精霊パズルの精霊言葉は愛。じゃからかも知れん」
「すまない」
エルフィールは一言、言った。
一行はしばらく沈黙した。
バルキリーがエルフィールにささやく。
「それは本当か」
エルフィールは一行に言う。
「こいつらは世界の果てから来たというんだ」
「それで、その場所は?」
ミラルの問いをエルフィールはバルキリーに聞く。
「世界の果ては移動してるらしい」
「それは難儀だな」らいでんはうなる。
「それ以外にはなにかないのか」
ジョルディーの問いをバルキリーたちに聞くが「だめだ、答えない。どうやらわからないらしい」
基本的に精霊は言葉ではなく、感性の触れあいでの意志の疎通となる。その感じは、世界樹の精霊の言葉に感じたものと同じであった。
「とりあえず、バルキリーの来た方向に行けばいいのでは」
ミラルの指摘には、一行がうなずいてた。
それから一行は、少し休もうということになった。
「こういうのがあるんだがな」
ドワーフは酒瓶を出す。
一行はそこで座り、酒の席となる。
ドワーフと男性どもはどんちゃか宴会となっている。
ミラルは離れて一人飲むエルフィールの横に座る。
「はあー、たいへんな一日だったわね。それで、どこまでいったのよ」
ほろ酔い加減のミラルがエルフィールにからんでくる。
「どこへだ」
「照れなさんな。ジョルディーとはどこまでいってんのよお」
ちょっとエルフィールはきょろきょろ左右を見てそれから、ちょっと顔を赤らめたようだった。
「そ、それはだら」
「ABC。どこまでよ」
「エイはキス、ビーはバストタッチ、シーは……コンコルド?」
「それは鳥」
「わ、私はダリル様みたいな男性がいいんだ」
「ダリル様みたいな男性って」
「ダリル様は誰も避難なさることはなかった。寡黙な雰囲気がいいなあ」
「ジョルディーも寡黙よ」
「だ、ダリル様は剣の腕前がすごかった。強い人だった」
「ジョルディーも強いわよう」
「ダリル様となら、どこまでも行けると思った」
「ジョルディーはどこまでも着いて来てくれるわよ」
えーとあのその、と、たじたじになるエルフィール。
「ジョルディーのこと、どう思ってるの」
「好きだ」
「ぶほっげほっぶへっ」
ダミエールが酒を吹いて、焚き火にかかってメラメラと火の粉が舞う。
聞いてたんだ。それはそうと。
「ダミエールはどうなのよ」
「同じくらい好きだ」
「ぶへっげへっへっ」
今度はジョルディーが酒を吹いている。
焚き火がメラメラと火の粉を上げる。
「でもね」ミラルは続けて言う。
「好き、ずうっと好きという時、愛してるという気持ちになるの。そしてそれは一人。エルフィールはどちらを愛してるの」
「うーんそうだな」
エルフィールは悩んでいる。
「愛してるのはダリル様だけだ」
ジョルディーとダミエールは酒をぐいっと飲み干した。
でも、とミラルは思う。それならば、なぜダリルの元にいなくて、いま旅の大地に立っているのか、と。
夜も更けて。
「妻とは120年連れ添ってな。子供は12人」
ドワーフはいい感じに酔っぱらい、口が良くまわる。
「父さん」
通路から、ドワーフが立っている。
同じヒゲのドワーフだ。
ちょっと見、見分けはつかないようだ。それが種族の違いによるものなのかはミラルにはわからない。
「精霊の剣が出来たんだね」
「うむ」
「母さんが待っている。帰ろう」
「そうだな。また町で鍛冶となろう」
老ドワーフはふらつきながら、歩いて行く。
「良かったな」
エルフィールの言葉にミラルはうなずく。
一行はその場で朝まで過ごす。
朝光が縦穴を照らす。
「さあ、行くぞ」
エルフィールは元気にそう言う。
ジョルディーとダミエールは二日酔いだ。
うわあ、昨日のボディブローが効いてるよ。
ミラルは杖を取りながらそう思った。
「しゃんとしろ」
エルフィールは往復ビンタをジョルディーとダミエールに見舞う。
ノックアウトされる二人。
倒れたジョルディーとダミエールをハイベルが抱える。
一行は歩き出した。
そして、洞窟には、風の精霊が舞っていた。
続。
第十九話 ドラックル協奏曲
ミラルは魔法をカーバンクルに灯りを付けて、洞窟を歩く。
薄暗い洞窟は、けれども、歩きやすく、人の手が加えられていることが、一行には見てとれた。
カーバンクルが光りながら螺旋に飛んでいる。
「こら、そんなにはしゃぐな」
エルフィールが怒鳴って追いかける。
ごちんと、エルフィールがカーバンクルにぶつかる。
エルフィールは頭かかえているが、カーバンクルはくるりと舞って、喜びの声を上げた。
「こいつめ」
エルフィールが追いかけるが、カーバンクルはひょいひょいとその手をかわす。
幸福の精霊たるカーバンクルをつかまえられるなんて、あり得ないことなのにと、ミラルは見ている。
遅れて歩く男二人がため息をつく。
「二日酔いなんて最低よ」
ミラルはジョルディーとダミエールを杖でこづく。
カーバンクルは魔法の光を纏(まと)いながら、楽しそうに洞窟の中を回転しながら飛んでいる。
しばらく歩くと、道が分岐している。
「らいでん出番だ」
エルフィールがうながすように言う。
らいでんは調べるが、「どの道も今日使われたようだ」と言った。
「それなら、歩いていれば誰かに会うだろう」
エルフィールの言葉は適当なようにもミラルには思えたが、一行はとりあえず、歩いてみることにする。
誰かがどの道も歩いているならば、歩いていれば誰かに会う可能性は高い。
一行は丸い坑道を歩いて行く。
ちょっと寒くて、湿気が多いと、白い息を吐きながら、ミラルは思う。
ミラルはなんとはなく言う。
「でも、こんな坑道を誰が作ったのでしょうか」
「そりゃドワーフだろう。あいつりゃあ手先が器用じゃないか。宮殿も岩山に作ったりするじゃないか」とエルフィール。
「けれでも、この洞穴には装飾がいっさいないのです。繊細な仕事をするドワーフが、こんな簡素な丸いだけの坑道を作るでしょうか」
それに答えようとしたエルフィールが、なにかにぶつかる。
「なんだ、行き止まりか。でも、なんだこの壁。ぽよぽよしてるぞ」
「この壁は精霊なのかも知れない」らいでんは壁をなでながらそう言う。
そのなでなでに壁が笑いだす。
壁がくるっとこちらを向くと、それは丸い黒サングラスをした黒い丸鼻と、とんがった口が表れる。
「もぐらだな」
「もぐらだ」
「もぐらね」
「もぐら」
一行は見たままを口にする。
身長2メートルはあろう、もぐらはでかい腕にスコップを持って、ヘルメットをかぶっている。
「でかいうんぴ」
「やめなさい」ミラルがエルフィールを杖でいなす。
「もぐもぐもぐら」
もぐらが話す。
「こっちじゃ、もぐらが話すのか」とエルフィールが聞く。
「興味深い」とらいでん。
「なんて言ってる」
エルフィールがらいでんに聞くが、らいでんは苦い顔をする。
「聞いたことのない言語だ。いや、これは精霊が音と舞うことなのか」
「妖精の使う精霊流、エルフのラビアトでもないようです」とミラルが続けた。
エルフィールが腕を振り上げる。
と、エルフィールの腕をミラルが両手で止める。
「なにするんです」
「言葉が通じないなら、拳で語り合う」
「やめなさい。なんて野蛮な発想するんですか」
にらみ合う二人の前にもぐらがずずいと出る。
「おら、もぐらでね、ドラックル言う種族だよってもぐ」
もぐらはもぐもぐもたもたとゆったりと踊って歌うように言う。
くぐもった声は、独特の抑揚がある。
エルフィールがため息をつく。
「こっちじゃ、もぐらが踊りながら歌うのか」
エルフィールのたとえは的確と言えた。ミラルはうまいことを言うものだと関心したほどだった。
らいでんがエルフィールの言葉に答えた。
「ドラックルというのは聞いたことがある。妖精の種族のひとつだったと思う。地中で一生を過ごして、穏和、とても気のいい種族だと聞いている」らいでんはさらに、「この坑道は貴殿が作られたのかな」と聞いた。
「んだもぐ」
もぐらはどことなく、得意気だ。
「なんだ」
エルフィールはぎょっとした。
もぐらは横になると回転しながら一行に迫って来る。
ドラム缶ごろごろ。
驚いて逃げる一行。
がが、がごん
ハイベルが腕力でもぐらを止める。
「よいしょもぐ」
もぐらが立ち上がる。
「なにすんだ!」エルフィールが叫ぶ。
「なんでげすもぐ。ただ前に進むだけでもぐ」
「あぶないだろう」
抗議するエルフィールの腕をもぐらがでんと掴(つか)む。
「なんだよ、おい」
「あんたべっこいい娘なんだなもぐ。おらの嫁さんになるんだなもぐ」
「はあ?」
「くっくっくっははっ」
らいでんが笑い出す。
「もてることはいいことだ。いやあ、実に素晴らしい」
「そんなことを言うのはどの口だ」
エルフィールのケリ。
けれど、空振りに終わる。
もぐらがぐいぐいエルフィールを連れて歩き出すから、エルフィールはびっくりした。
「こいつ」
エルフィールのケリには、けれども、もぐらは意に介した様子もない。
「ならば。とりゃ、サラマンダうひゃひゃ」
ミラルのくすぐりがエルフィールを笑わせる。
「こんな狭(せま)いところであぶないでしょう。ドラックルさんも無理強いはしないでください」
「無理じゃねえもぐ。嫁さんにするだけもぐ」
「そう言えば、ドラックルの嫁とは、いわゆる巫女のような、一種の象徴としての人だと聞いたことがある。これで生活には困らないな」
らいでんはそう言ってエルフィールの肩をぽんぽんと叩く。
「どんな生活だよ。おい、ジョルデイー」
ジョルディーはダミエールとなにかを話している。
「ミラル」と懇願の声に、「え、えーと。話をですね」ミラルはあたふた。
「ドラックルの未来はこの人もぐ。だから行くでもぐ」
もぐらは横になると回転しながら進む。それはかなりの速度だ。エルフイールはもぐらの上で回転してる。すでに目がまわり、「あわわわわ」とぐでんぐでんに車酔いしてる。
すぐにエルフィールの声は聞こえなくなり、もぐらはいなくなる。
後には、暗い洞穴が続いているだけだ。
一行は立ちすくむ。
「それでどうする」ハイベルの言葉に、らいでんは目を閉じて、誰も動かない。
いや、みんななにかに耳を澄ませていた。
なにか音が響く。
ダミエールが手にする小さな鉄の棒が鳴り響いていた。
「エルフィールのポケットに小さなダミエールが作った楽器を入れておいた」とジョルディー。
「あたしは魔法でマーキングを付けておきました」とミラル。
「私は光る砂の袋を付けておいた」とらいでん。
一同は見合うと、うなずく。
「まあ、いつものことだからな」ジョルディーがそう言って笑った。
「こちらだな」
ダミエールが歩く先に一行は続いた。
カーバンクルが魔法の光を失う。
ミラルは魔法で光りを灯そうとするが、光らない。
「私の砂もだ」
らいでんは石と石を打つが、音はするが、石から出る砂は光らない。
「魔法でもつたっていけない」とミラル。
「なにか精霊の成すことなのか」ジョルディーは問うが、肝心の精霊使いがいない。
カーバンクルはどこかへ行ってしまった。ミラルはなんとはなく、吉凶を占うが、時の鐘はなにもミラルの心を響かせないのだった。
ダミエールの音楽鉄器が鳴る、その音が道を示していた。
暗闇の坑道がどこまでも続いているようだった。
一行はけれども、見えているかのように歩いていた。
「ここだな」ダミエールが言うには、ここにエルフィールがいるとのことだった。
一行がたどり着いた場所は、広い空間。
いや、それは壁がなくなったからそう思うだけで、以外と狭いのかも知れない。ミラルは一声出してみるが、どこにも反響しない。それはかなり広い空間のようであった。
ミラルはなにかにぶつかった。それは硬いなにかであった。
「これは木だな」
ジョルディーが指摘する。
なるほど、その感触は杖と同じである。ミラルが歩いて行く道には、木が何本もある。
木はどこまでもあるようである。
暗闇の空間に森があった。
一行が歩いて行く木々、その森は広大なものであった。
「どこまで続く森なのかしら」
ミラルは杖で木をかわしながら歩いている。
「これは妖精樹だ」
らいでんが指摘する。
「なんだ妖精樹ってのは」ジョルディーが聞くと、ミラルが答えた。
「魔法使いには、その木の枝は魔法を使う媒体として使われる。その枝は高級なお茶にも霊薬にもなるので、とても需要の高く、それでいて、希少価値、つまりまあ、見つからないので、枝ひとつで家一軒が買えるだけの価値ある一品よ」
「一本もらっていくか」
「軽口だな。おまえの腕には重すぎる一品だろう」
ダミエールは抑揚のない言葉でジョルディーに言う。
「ジョルディーの気ならば、これくらいは持てるだろう」とハイベルは楽観的だ。
「どの道それは無理ね。この枝は陽に当たると燃え尽きてしまう性質で、これを持ち運べるのは一部の商人の秘術よ。でも、こんなにあるなんて話聞いたこともない」
「だが、ここにある」とダミエール。
「さしもの、黄金の小槌(こづち)と言ったところか」ジョルディーがついで言った。
「ここがドラックルの森か」らいでんはうなずいて、木を丹念に調べてなにやら関心している。
「ここでなら、光るかも」
ミラルは呪文を詠唱して、灯りを付けようとする。
と、後ろからでかい手にこづかれる。
「なにすんだおまえもぐ。明かりがついたら、木が枯れてまうでねえかもぐ」
「そ、そうなんですか」
ミラルは見えないもぐらに聞く。
「んだもぐ。ここらはおらたちの最大の森だもぐ。ここがなくなったら、ドラックル族はどうなっちまうだもぐもぐ。それはもう、ドラッグル族は滅んでしまうもぐ」
らいでんはうなずいて聞いている。
ミラルはもぐらの手にあいさつする。
「人のよさそうなドラックルね」
「そうか。同じように思えるが」ミラルの言葉にジョルディーはつっこみ入れる。
「あの、こちらに人のえーと女性が連れて来られませんでしたか」
「おうもぐ、それなら我らの守り女神様だあよもぐ。ついにいらっしゃったのもぐもぐ。ドラックル百年に一度のことよもぐ」
「なんかやっかいなことになっているような」ミラルは杖でこまったと地面に描く。
もぐらたちの歓声がもぐもぐと聞こえる。
「ほおらよもぐ、これから戴冠式だあよもぐもぐ」
遠くから、エルフィールの声がする。
一行はそちらのほうに歩いて行く。
エルフィールの声はなにかを話しているようだが、それはなにかを静かに話しているようでいるようだった。
木の根に足をとられつつ、なんとか一行は森の中心らしき丘に到達した。そこはもぐらがたくさんいて、そこから先は進めない。
「エルフィール、無事ですかあ!」ミラルが叫ぶ。
声はなぜか良く響いた。
反響する、なにか建築物があるのかも知れないが、いかんせん、暗くて見えない。
「あー無事よ」
「いま助けるから」
「それにはおよばないわ」
「なんでえ」
「こいつらにいま精霊とはなにかを教えてるところだから。こいつらもぐらには、進むべき精霊の風と光がいま、必要なのよ。そう、そうなのよ。このままではただのもぐらになってしまう。妖精族たる自覚が必要なのよ」
「なに言ってんの。第一、世界の果てはどうすんの」
「それは大事なことね。そうね、それはこうするのよ。あんたら行って来て。私は、ここでもぐらを鍛えているわ。後で事の顛末を聞かせて」
「なにバカなこと意ってんの」
「さあ、もぐらども、行くわよ。天は我にあり」
「あほですか!」
「私はいまもぐらなのよもぐ」
一瞬、とてもバカらしい気がしてきたミラルだったが、なんとか持ち直す。
「世界は夜行夜風。すべては月に照らされる時とて、おまえは違う。砕け、光のまばたき。九条の筋道が法道として、魔の夕暮れは過ぎ去った星の回廊。続け、竜の言霊(ことだま)。恋歌恋情。あずらうは暦の羚位(れいい)。加条の虚空と居城の牢獄線。来たれ、地平という名の幾条節、束ねて背の翼と広げ、月の弦にて射抜くパプリオン。キャクニオン、連雲が奴我(きゃつ)めを兎にとぜとじとく縁数を五千といくつと天意霊意、波状と閃(せん)」
びきんびきびいいん。
ミラルの詠唱が完了して、闇の束縛矢がエルフィールに放たれる。
だが、その闇は動き鈍く、まるで岩のように固まる。
魔法が強すぎる。これは、広大な妖精樹によって魔法が倍乗されているんだ。
ミラルは魔法をキャンセルしょうとするが、それは硬質の矢としてエルフィールをとらえる。
きゃきいいいん。
バルキリーが闇の石矢を砕いたが、それでも、その衝撃にエルフィールは吹っ飛んだ。
「だいじょうぶですか」ミラルが問うが、暗闇は沈黙を守っている。
「いいじゃねえか。そっちがその気なら、こっちはこうだ」
ミラルは無事を良かったと思ったが、ジョルディーたちはやっかいなことになったと思った。
エルフィールの歌に精霊が舞う。
圧倒的な力がエルフィールを包む。
これはすべて精霊なのか。自然が流線となりて、呼べる。
「雲が集まり天となり、草が集まり大地となる。虹連線路。恒星竜状。幾千の幾万の周位方位得て、地平と水平線は光景風景を入り火たる。リスペクト。天上の一角、大地の一角、水平線の一角、その角度に方位を得ん。柚湯は温まるな、イカルガの背にその羽ばたきと氷塊の原理現象にて、空に似たその異形は星系儀(クワール)さえも回転を自在に流離(さすら)う。いいだろう。その群状には誰もがびっくりびんびん物語。さあ、その踊りを見て見るとしょうか」
い。
い。
い。
いん。
「せいれいしょうれい〜、シードライア!」
ごごごごご……。雷鳴のような轟音がする。
青い空。
その上空には広大な大地がある。
雲を抜けて、その大地は下にある大地に降下して来る。
空から空エイが大地に降り立つ。
連駆星道。
精霊大地。
廃棄天霊。
回転する断層。
砕ける岩の蝶。
空エイはゆっくりともぐらたちを直撃した。
ぴこぴこぴこはんまーずしーん。
空エイのアタックに、もぐらたちが吹っ飛ばされた。
さらに大地であった無数の岩が降り注ぐ。
岩群にもぐらたちが弾かれて弾んでいく。
巨大な岩が空から落ちて来る。
いん……。
ジョルディーは抜刀する。
刀身は闇を映して光らない。
力無い剣で構えるジョルディー。
力を貸そう。
ジョルディーに闇が揺らめいた。
ジョルディーはなにも言わずに刀身を見た。その色はいままでにない、深く暗い色を見せていた。
「てえい」
気合いはなにもとらえない。
まるで空気に触れたようだった。
ジョルディーの刀身が巨岩に触れると、岩の動きはゆっくりとなり、そっと横に回転しながら動いて地に降りる。
「はっ」
ハイベルは怪力で岩を砕き、「ほいほいっと」ミラルは魔法で大きな傘を作った。傘に触れた岩は弾かれて一行から離れて行く。
ジョルディーは間断なく、大岩を暗く透明な剣で流すように横に転がす。
ミラルは魔法で軌道をそらした。
「これはまいったな」
らいでんは両手に持つ石で大岩をさっとこすると、岩はすべて砂になる。
妖精樹はどうか。
岩が木にあたると、岩は微塵の光となってしまった。
空エイは羽ばたくと、悠然とゆっくりと、また空に戻って行く。
後には太陽に照らされた広大な森があった。
それはどこまでも続くかのような木々の森。
葉を持たない枝の木々が延々並ぶ森だ。
そこには砕かれた大地の岩がいくつか積み上がり、そこいら中にもぐらが倒れている。
「見たかいてっ」エルフィールは拳を上げるが、そこをミラルに杖でこづかれる。
「なんてことすんですかあんたは」
もぐらがざわめいている。
「森が枯れるもぐ」
「もぐ」「もぐもぐ」
森の木々が硬くなり、まるで石のようになっていく。
「なんか魔法使ってくれよ」とエルフィール。
「一時的に暗くすることは出来ても、一帯を暗闇にし続ける魔法など、あるはずもありません。エルフィールさんこそ、精霊でなんとかしたらどうなの」
「そんなこと……」
エルフィールは後ろを見る。
エルフィールの髪をなにかが揺らすが、風は無い。
「精霊の風」
「それって……」
ミラルがエルフィールから弾かれる。
エルフィールの周囲に精霊が舞っていた。すさまじい精霊圧。一行は後ずさりせずおえない。
エルフィールは空を見ていた。
ミラルは妖精樹からなんらかの魔力が放出されていくのが感じられた。
精霊?
ミラルはエルフィールを見る。
ジャラララララ……
ドワーフの装飾された精霊剣を抜刀すると、指輪をして鎖を弾き、詠唱を始めるエルフィール。「精霊招霊バルキリー!」一騎バルキリーがエルフィールの服を光にすると、バルキリーは透明な鎧となりて、もう一騎バルキリーは眼鏡をかけてあげて、もう一騎バルキリーは矛(ほこ)を手渡す時のエルフィールは準備万端。
しゃん。
しゃん。
しゃん。
三っつの矛が鳴る。
三騎のバルキリーたちが矛を打ち鳴らす。
バルキリーたちは天から伸びる民族衣装を着て、エルフィールの周囲にいる。
妖精樹の力か、バルキリーは実体のように、はっきりとミラルには見えた。
「いくぜ」
エルフィールは岩を矛でひょいひょいとドーム状に積み上げて行く。
いつのまにか、空は岩で覆われていく。
らいでんが放つ砂で精霊圧が弱まる。
ミラルは妖精樹から出る魔力を見ていた。
いける。
「こんのっ」
ミラルは妖精樹から出る魔力を杖で空にそそぐ。
その魔力が、エルフィールが上げた岩を固定していく。
ジョルディーは岩の形を斬り整え、ハイベルがエルフィールの周囲に、その岩を投げる。
ダミエールが曲を奏で、それにみんなの息があった。
ちょっとした岩の天井が出来上がる。
「どうだ」
ぐっと矛をかかげ、エルフィールは肩で息をするが、もぐらはもぐもぐしてる。
天井の岩からわずかな光が、森の木々にそそいでいた。
ほのかな陽光が妖精樹にそそぐ。
ばちばちばちばち。
妖精樹からなにかが弾ける音がする。
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
もぐらたちが一斉に両手をふらふら振って、もぐもぐ言う。
妖精樹の枝が燃える。
いや、それは線香花火のようなものだ。
森の木々の枝先から、火花が灯る。
まるで花火の花が咲いたようだ。
一斉に森の木々の枝に花火の花が咲く。
「明暗の花が咲いたもぐ」
もぐらの歓声。
もぐらたちが喜んでいる。
「女神が明暗の花を咲かせたもぐ」
もぐらたちがもぐもぐ言っている。
「ま、まあな。こんなもんだ」
エルフィールがポーズ決める。
「わかってないでしょ」ミラルはぼそりとつっこんだ。
エルフィールは花火の花を見ているが、その花から闇の精霊が生まれ出でているのを感じた。
「この木から、世界へと、闇が生まれるのですね」
ミラルの言葉に、エルフィールはうなずいた。
感謝する。
闇が揺らめいた。
ジョルディーは闇を見ていた。
エルフィールはもぐらの木に触れる。
葉が幾重にも舞い。
エルフィールは草原にいた。
空気は精霊に充ち満ちていて、そして目の前には女性が立っていた。
女性は子供のようにはしゃぐように踊る。
お帰りなさい。
誰かの言葉に精霊は座り、エルフィールはただいまと言った。
雲の向こうに翼は風を求め、いずれゆく星には、きっと旅立つためのイスがあるのだろう。
眼鏡を取り、涙をぬぐって、エルフィールは言う。
「この木は精霊の木なのか。そしてこの精霊は」
エルフィールはもぐらに向き合う。
「先代の女神は私に似ていた。だから私は女神だと」
「そうもぐ。前の嫁はいい人もぐ」
「母は、先代の女神はどこへ行った」
「嫁は世界の果てへともともぐ」
「世界の果てへ……?」
「世界の果てへとエルフィールさんのお母さんが向かっていると」
ミラルの結論は、一行の結論と同じであった。
一行はもぐらたちが木々の前で豊かにもぐもぐあたふたしているのを聞いていた。
「精霊の流れは自然そのもの。そして、宇宙とそれは同義」
エルフィールの言葉に、うなずくジョルディー。
「でも、どちらに行けばいいと言うのでしょうか」
ミラルは再び暗闇に包まれた妖精樹の森の中、途方に暮れた。
エルフィールはジョルディーとダミエールの手を取る。
ジョルディーとエルフィールとダミエールの手から光が出でて、それはひとつの坑道を照らした。
「なんてな」はしゃぐエルフィール。
ジョルディーは波紋する躍動を言葉にする。
「言いたいことがあるがいいか」
「愛は進む道。言えよ」
「好きだ」
「私も好きだ」とダミエールも言う。
エルフィールがうなずく。
「私が好きなのはダリル様だけだ」
「そうだよな」ジョルディーとダミエールがため息を肩でつく。
「でもな、やさしいジョルディーのとこは好きだな。ダミエールの曲もとても好きだ」
「そうか」ジョルディーとダミエールが意気揚々と活気づく。
「そうだ。いいんじゃないか、好きなことは良いことだ。それがなんであれな」エルフィールは笑顔でそう言う。
「気づいてないわね」ミラルがジョルディーとダミエールを哀れむように、泣いている二人の肩を叩く。
「それではここでさらば。もぐらたちよ、行くわよ」
「まだそんなこと言ってんですか!」ミラルが怒鳴る。
「さあ、これからのことを話すぞ」
ミラルはもぐらたちに話すが、もぐらたちは歩いて行ってしまう。
「どこへ行く」
「蕾(つぼみ)が開花したから、おらたちは冬眠する時もぐ。次は300年後に会うもぐ」
もぐらたちは行ってしまう。
エルフィールはミラルたちを見ると、「さてと、世界の果てへと旅立つか」と言った。
一行はさっさと歩き始める。
「おい、待ってくれよ」
エルフィールは一行を走って追いかけた。
暗い坑道は、けれども、闇の道であった。
おれさまは鬼獣人(ギーガー)。魔王に従う、とても強い奴だ。
お、向こうから、人間どもがやって来る。へへへ。いいかもだぜ。
暗闇でこちらは見えまいな。
と、光るなに丸い生物がくるくると回転する。
「お、ギーガーがいるぞ」
ちっ、見つかっちまったかいやいやら。
「どこへ行こうってんだい」
おれはでかい図体で相手を威嚇するぞんぞんぞん。
どうだ、怖くて動けまいや。
「サラマンダ(ごんっ)えてっ」
「やめなさいこんなところで、みんなが危ないでしょ」
「だからって杖で殴ることあないだろ」
なんだこいつら、ケンカ始めやがった。
まあ、いい。食らえ、一撃の棍棒(こんぼう)。
ぶうんと弧(こ)を描いて、強力な一撃がマントの人間に当たる。
ぎいん……いいん。
おれの棍棒が砕ける。
「おれの魔法の棍棒が。なんだこいつ」
こいつ、透明な剣を持っていやがる。
「いい一品だ」
中年の男がしげしげとおいらの鎧を眺めている。
蹴ろうとするが、足のあいだにある光る砂に、転んだ。
なんだこりゃ。
いかんいかんいかんな、うんうん。
「おれは魔王群の中でも、手練れ中の手練れよ。これくらいのこと、この拳(こぶし)を食らえ」
ぶうん。
これを防いだヤツはいないんだあがらが。
でかい大男が前に出て来るな、おいらの拳を止めたあよ。
「いてて。なんて力だ。こりゃ人間の力じゃないよ。強いじゃないかあが」
これはやばいんだなだな。こんな連中、もしかして、勇者か。勇者の一行なのか。きっと魔王の奴を倒す途中なんだあな。こいつあいけねえや。魔王のヤツあ、いま動いてねえ。ここで足止めんだあ。いくぞうぞ、おいらおいらうらんらん。
どすどすどす。
「妖精族たるおいらにゃ、こんな精霊の力があるんじゃにゃん。食らえシーバード」
光のツバメが数羽飛んで行く。
これは魔法とて止めることはないぞい。
剣も盾も効かないでがん。
みたかガバガバ。
と、ありゃ、なんだ。
しゃん。
しゃん。
しゃん。
三人の女性。いや、精霊なのだが。
バルキリーだがや。
あ、光のツバメがバルキリーの肩に止まる。
「本物のバルキリーなんて、始めて見た。ほんとにいるんだ。あれ」
なんだこの女、バルキリーの鎧にバルキリーの眼鏡に、あ、バルキリーの矛が来る。
がぎん。
おいらの兜と鎧と盾が砕けた。
壁まで吹っ飛ばされる。
えてて。すごいいてえよ。かあちゃん、おらもうだめだ。
「うるうるう」
むせていると、人間どもは歩いて行く。なんだ。魔王のヤツに用なんじゃないのか。おれの早とちりと、ちり紙ってヤツだな。うんむ。いんだ。これでいんだ。あ、石がある。ひろって投げてやれ。
ひゅういん……ぎいん。
ナイフが石を叩き落とす。
曲を弾いてる男の早技。
信じられる。曲弾いてるじゃねか。
こいつら強いでねえか、えんがちょ。
おいら逃げるように駆け出す。
どこまでも走っただあよ。
もういいよ、ここまでは来ないだら、ゆっくりと歩いて行く。
おれはデンジョンをとぼとぼと歩くが、力なく、もう歩く力も無い。おいらの自信はずたずただあよ。魔王に顔向けできないよ。幾千の人間との戦い。それにはすべて戦って来ただあよ。魔王のやつあ、いま人間とは戦っていないからひまだあよ。こんな暗いデンジョンで人間を待ち伏せして、不意打ちするくらいの毎日だあよ。もうダメだあよ。おいら、もう魔王のヤツにゃあ、顔向け出来ねえ。
もぐら穴をどれくらい歩いただあよ。
あ、人間の子供がいる。
こんなところに一人かあよ。
つかまれたら、一回転。
ずしんとな。こんなちびっこに投げられるとは。おいらひざ付いてしまうだあよ。
「もうおいらだめだあよ。動けないだあよ」
「おいらのとっちゃん探してるんだ。おまえひまなら家来になれ」
ちびっこは丸い瞳でそう言うんだな。
「わかっただあよ」
おいら、ちびっこ肩に乗っけて、それから、旅に出ただあよ。
デンジョン出た。
空は暗闇から、光が出ていたあよ。おいらにゃまぶしいだあよ。
「風の吹く方に行こう」
「わかっただあよ」
おいら、ゆっくりと歩き出したんだあよ。
続。
第二十話 オーガスタ アーク アース その青い大地に眠る人
一行は洞窟を歩く。
通路となっている洞穴の道は、カーバンクルが照らすが、それは周囲の空間だけである。
その道の静寂は闇と惑い、風は無く、いつしか、ミラルは、永遠の暗闇を歩いているように感じるのだった。
トーンオントーンされた闇の色は、とても綺麗であるが、それはまだ見ぬ場所である。
一行の靴音をミュージックに、エルフィールが話す。
「 さっきの奴 (やつ) は手応えの無いなような奴だったな 」 とエルフィールは歌うように言う。
「 いや、この一行が強いのだろう。相手は決して弱くはなかった 」 とらいでん。
一行の足音に不協和音が混じる。
それは誰かの靴音。
そして、向こうから足音がすることに、一行は気づいた。
一行は立ち止まり、見えぬ闇と対峙する。
「 なんだ、またか 」 戦いになると思ったエルフィールがぐっと構えた。
「 そうとは限りませせんよ 」
そう言いつつ、杖を前に身構えるミラル。
暗闇に響く音。
暗闇が歩いて来る。
そんな気がミラルにはした。
「 きゅー 」
光るカーバンクルに照らされたのは、とことことこと歩いて来たのは長い曲がった鼻の持ち主。大きな丸目。大きな口で笑う。ひざまでしかない身長の小人だった。
小人は狡猾 (こうかつ) そうな顔なのだが、どこかクセのあるいい感じだ。
「 ゴブリンか。一撃だな 」
そう言ったエルフィールは魚々 (ぎょぎょ) っとする。
そのゴブリンは幟(のぼり)に肩から下げた板の上に弁当がいくつか並ぶ。
あり得ないなと、ダミエールがつぶやいた。
「 おねえちゃん、弁当は一個500ゼニーね 」 とゴブリンは言った。
「 一個くれ 」 とエルフィール。
「 買うのかい 」 ずっこけるミラル。
「 でも、なんでゴブリンが弁当なんて販売してんだ 」
エルフィールは弁当食いながらそう言う。
「 きっと悪い魔法使いにゴブリンにされてるんだろう。ところで、もうちょっとまからな いか 」
らいでんの交渉にゴブリンはかぶりを振る。
「 いけないねえダンナ。ここいらの相場を知らないんですかい 」
渋々払うらいでん。
「 なに考えてるんだミラル 」
「 性悪なゴブリンのこと。なにか裏があるのかも知れません 」
「 うん、それはあり得るな。もう一個くれ。どうしたジョルディー。なんで隠れてるんだ 」
ゴブリンはその名前に反応する。
じーとマントで顔を隠すジョルディーを眺めている。
「 なにしてるんでやす親分 」
「 人違いだ 」
「 そういえば貸していた金返してくだせえよ 」
「 あれは返しただろう 」
マントから思わず顔出して言う。
そこにはにこにこ笑うゴブリンが一匹。
「 いやあ、おひさしぶりでやす親分 」
「 あ、……うん。ひさしぶりだなあ、バルデイ 」
「 知り合いか 」
「 ちょっとな 」
「 紹介しろよ 」
エルフィールの言葉に、嫌そうな顔をするジョルディー。
こんな顔をするジョルディーを、一行は見たことがなかった。
ミラルは珍妙なことだと思ったが、いい傾向だとも思った。
それは自然な姿に見えたのだ。
ミラルは杖でジョルディーの肩を軽く叩く。
「 バルディさんというと、あのバルディさんですか 」
ミラルの言葉にうなずくジョルディー。
ミラルはジョルディーの話から聞いていたとおりだと思った。
確かにこれは。
「 なんとも手強い相手ですね 」
「 なんだミラルは知っているのか。て、そんなに強い奴なのか。そうは見えないが 」
しげしげと見ているエルフィールに、バルディはとことこ近付いて来る。
「 あねさん、この鞘入れでは、剣が痛んで、剣が腐食しちまいますよ 」
「 そうか 」
「 これならだいじょうぶ 」
バルディは器用に皮巻いて、鞘入れを作る。
それは器用には違いないが、別段、変わったところはないような一品である。
「 ありがとう 」
エルフィールは付けてみる。
それはエルフィールをさらに輝かせて見せた。
バルディがウキウキと手を出す。
「 なんだよ 」
「 あねさん、こんな一品はどこにでもあるわけじゃないんでげやすよ 」
エルフィールは考えているようだが、バルディをケリ倒すと、上を歩いて行く。
「 あてて。なにすんですか、あねさん 」
「 踏み倒す 」
「 うまいなあ。親分が連れてる女はいい人ばかりだ。変だけど 」
ジョルディーがちょっと真顔になった。
いや、険しいと言っても良かった。
バルディは立ち上がると、「 そうでやすか。あの旅は悲しいことだったんですね 」 と言うが、ジョルディーは答えずに、その背中が丸まったのを、ミラルは見てとれた。
エルフィールを電球が照らす。
ひらめいた。
「 ああ、そうか、おまえアーティニーの時のゴブリンか 」
エルフィールは一人納得している。
「 知っているのですか 」
と言うミラルにうなずくと、エルフィールは笑ってバルディの前に来る。
「 あねさん、なにすんですか 」
エルフィールはバルディを抱えると、歩き出す。
バルディはじたばたしながらきょろきょろ見ている。
「 気に入った 」
ぴきーんと凍り付くバルディの表情。
バルディがいやーな顔をする。
「 親分〜 」
じたばたするが、エルフィールは頬ずりしている。
逃げ足が得意なバルディには、ある種の天敵がいるようである。
「 あー、なんだ。出口は知らないか 」
「 知ってるでやすが 」
「 案内してくれ 」
「 こういうややこしい道を知るにはどんなに努力がいったことか。ダンナ、それは一丁一日にはいかないことだったんでげやすよ 」
「 らいでん 」
ジョルディーがらいでんに聞く。
「 成功報酬でこれくらいバルディにやろう 」
「 いや、これくらい 」
なにか手の指がすらすら流れるが、らいでんがうなって、ジョルディーと交渉成立となる。
ジョルディーはらいでんから硬貨をもらう。
「 なんの音だ 」
不穏な音に、エルフィールはバルディを見る。
「 口笛? 」
ミラルはバルディを見る。
バルディは口笛を吹いていた。
洞窟内が燃え上がった。
あたふたするエルフィール。
「 あれ、熱くないぞ 」
「 これは精霊紅葉だな 」
らいでんが洞窟の石を触りながらそう言う。
「 なんだ、それ 」
エルフィールは目ぱちくりする。
「 ある種の鉱石は精霊の宿となり、その精霊がバルディの精霊法によって、目覚めたんだろう 」
洞窟の石は淡い赤に明滅して、それはとても幻想的だった。
「 綺麗 」
ミラルは驚嘆する。
精霊の明滅を見ることなど、あまりないことである。
「 さあ、おまえたち、道を示しておくれでやすよ 」
精霊使いたるエルフィールには、さらに見えるものがあった。
それは精霊のこと。
エルフであるエルフィールには、精霊がバルディの旋律を楽しんでいるのが見てとれたが、別段、エルフィールにはどうでもいいことであった。
「 精霊のやつらが道を示してくれやすよ 」
「 なるほどお 」
うなずいているエルフィール。
一行は紅葉している石の洞窟を歩いて行く。
歩くぶんには、先ほどよりもいい感じであった。
「 あねさん、そろそろおろしてくんないか 」
バルディが手足をじたばたしながらそう言う。
「 ん、ああ、そうか 」
エルフィールはバルディを地面に下ろす。
一行は洞窟を歩く。
精霊に明滅したほら穴は、幻想的だ。
と、明滅は色彩を変える。
「 なんだ 」
「 どうしたエルフィール 」
ジョルディーがエルフィールに聞く。
「 精霊たちが、なにかを欲している 」
エルフィールはバルディを見る。
バルディは汗々(とってもあせっ)ている。
「 姉さん、後生 (ごしょうだ) だ。これは大事な一品だよ。高いんだよ。ああっ 」
ひょいと、エルフイールはバルディの懐から、彫像を取り出す。
エルフィールは彫像を見ているが、それをかざす。
「 これでいいのか 」
エルフィールは精霊語でなにかを話す。
すると、彫像から光りが放たれる。
洞窟の明滅たる光りが上に上がっていく。
エルフィールには、岩石にいた精霊が解き放たれて行くのが見てとれた。
「 そうなんだ 」
エルフィールは笑顔になる。
ふたつの轟音。
ひとつは精霊の音。
もうひとつは、岩が崩れる音。
洞窟が崩れた。
精霊がいなくなり、岩石はその堅さを失い、岩はいくつもの大きなブロックとなり、崩れて行く。
一行も空中へと身を躍らせる。
青空が見えた。
そこはすでに空だった。
「 いま歩いていた洞窟の横は崖となっていたようだ 」
ジョルディーはそう言って、エルフィールを見る。
風にジョルディーの声ははためいていた。
ジョルディーはさらに言う。
「 愛しているよ 」
「 あー、そうだな。あたしもそうだよ 」
二人は笑顔でそう会話した。
岩石がゆっくりと回転しながら、太陽光と踊る。
崖の下には銀色の糸のような川が流れている。
青空の下、雲がいくつもいくつも見えた。
ぱああと、一行の横でなにかが光る。
エルフィールが見ると、ミラルの詠唱に杖が光っている。
虹の放射光が幾重にも見える。
と、落下の速度が低下したようだ。
「 お、いいぞ 」 エルフィールが喜びの声をあげる。
一行はゆっくりと降りて行く。
鷹 (たか) だか、隼 (はやぶさ) だかが通り過ぎる。
エルフィールは呑気にエサやってる。
「 ぷはあっ、やっぱり、息が続かなはあっ 」
ミラルの詠唱はそこまでで、一行はまた自然落下する。
「 なんだ、たいしたことないな 」
エルフィールは腕組みしてそう言う。
と、エルフィールがなにかにキャッチされた。
それは人だった。
青年がエルフィールを抱きしめて、風のように空を駆ける。
風がエルフィールの髪を凧 (たこ) の糸のように揺らす。
エルフィールはその男性を見た。
「 誰だおまえ 」
「 ラギアースと言う。よろしく 」
男はそう言うと笑顔になる。
短い金髪が風になびき、それはとても洗練された色合いである。
風の向く方を見ると、なにか縦に長い白いくらげのようなものが、エルフィールとラギアースをつかまえているのがわかる。
「 精霊のフファーバか 」
エルフィールは、その姿をダリルの本にあったことを思い出していた。
それは幼い日、空に見たことがあったからだ。
「 どうやってこの精霊を? 」
「 なに、精霊使いが魔法器具でつかまえてくれるのさ。ここいらでは良くいる精霊でね 」
フファーバはその姿が誰にでも見える、強い力の精霊だが。精霊使いともいえど、それを捕まえるなど、あり得ないこととされていた。
「 そんなこと聞いたこともない 」
横を見れば、一行はフファーバの群れに助けてもらっていた。
いや、それは並んで動く、人の意志の感じられるものである。
それは精霊のグライダーといったようなものであった。
ラギアースが聞く。
「 さっき、魔法の光りが見えたから、なにかと思って来たんだ。お嬢さん、お名前を聞かせてもらえるかな 」
「 エルフィール 」
「 いい名前だ 」
「 どうも。ところで、もっと速く出来ないのか 」
「 これが限界さ。なにせ、私は精霊使いではないのでね 」
エルフィールは精霊語でなにかを風になびかせる。
「 もっと風を描け 」
フファーバが進む速度が速くなる。
風圧が一気にあがる。
空が一気に近くなる。
いや、それは雲が円を描いて、後方へ駆けて行くというものであった。
一気に谷を抜け、広い荒野に出る。
そこには大小の建物が、ひとつの街か広がっていた。
「 すごい、一気に街まで戻って来たぞ。きみは魔法使いか 」
「 精霊が好きでね 」
「 それはいいな。いい子だ 」
「 あんたよりは年上だぞ 」
「 人生は長さじゃない、楽しんだ密度さ 」
「 ふーん。そんなもんか 」
どこまでも清々しいラギアースだが、エルフィールは別段、気にもならないようだ。
フファーバはゆっくりと大地に降りて行く。
エルフィールは大地に降りる。
ラギアースは手綱を鎧を着た大男に手渡す。
ラギアースは軽鎧を着た、いい感じの男だ。
「 それでは、お茶でもどうだい 」
「 食事もつけろ 」
「 いいだろう 」
街中。
フファーバの飛行場は壁に包まれていて、壁の道の先には、板のような建物が幾重にもある。
窓は弓状に弧を描き、そのひとつひとつに大小のアルシュがある。
道は土であったが、建物は白い壁であり、それはなにかの石であるようである。
街並みは低いが、街の中心にはいくつか、大きな建物が見えた。
「 広い街だな 」
「 だろう。けれども、ここには10年前にはなにもなかったんだ 」
「 そんなもんか 」
屋台に毛の生えたような店の前にある白い丸テーブルで、食事を取るエルフィールとラギアース。
テープルにある白い傘が陽を影らす。
「 ずいぶん苦い味だな 」
「 スレイアルという郷土料理さ 」
「 ふーん 」
道の向こうからジョルディーやミラルたちが来る。
「 やあ、ハイベルじゃないか 」
ラギアースは笑ってそう言う。
「 そうだな 」
「 知り合いか 」 エルフィールが聞く。
「 まあな 」
「 そちらは 」
ジョルディーが聞く。
「 ラギアースさんだそうだ 」
「 よろしく 」
一行はあいさつすると、食事を取る。
日差しは爛々(らんらん)と降り注ぎ、ほのかに、暖かい昼である。
道を歩く人たちは、色鮮やかな着物を着て、作業する人などが見える。
エルフィールは昼寝している。
「 ハイベルはこの街に住んでいたのですか 」
ミラルは聞くが、「いや」と答える。
「 この街は新しいもののようですね 」
ミラルはラギアースに聞くが、「 ここは流浪の民が作った街なのさ。それが商業などで人が増えて、こうなっているんだ 」 と簡潔に答えた。
バルディはラギアースを質問責めにする。
その内容は商売に関することだった。
ラギアースは的確にそれに答えていく。
一行はラギアースの明晰(めいせき)さを見て取ることが出来た。
「 ラギアースさんは商人なのですか 」
「 いやなに、つまらん街の雑用係さ 」
ラギアースはそう言って笑った。
「 みなさん、旅をしてるそうでやすが、ここでお仕事をして、そのあいだに地形を調べてみるというのもいいんでねえでやすか 」
バルディはそう提案する。
「 悪くないですね 」 とミラル。
「 この街を歩いてみたいところだ 」 とらいでん。
「 この風景を一曲奏でてみたいところだ 」 とダミエール。
「 力になろう 」 とハイベル。
「 エルフィールはどうする 」
ジョルディーはエルフィールに聞く。
寝覚めのエルフィールはふぁいと返事をすると、また眠る。
「 畑は耕す季節のようだ。きっとクワの使い手が必要なことだろう 」 とハイベルが言った。
「 それはいい 」
「 私が斡旋しょう 」 とラギアースが請け合う。
それから一行は街はずれの田畑が広がるところまで歩く。
整頓された田畑がどこまでも続いて行くようだ。
そこには水田から土畑から、色々な果実の木や、つたの植物が千差万別に植えてある。
一行は動きやすい服に着替え、中年の男性から、説明を聞く。
「 うきゃっ 」
ミラルがエルフィールのスライディングに転ぶ。
「 なにすんの 」
「 いや、スライディング出来るようになったんだよ 」
ぴしゃーん。
ミラルの背後に雷が落ちる。
「 するんじゃねえ 」
怒り顔のミラルなんて始めて見るエルフィールである。
「 顔が変だぞ 」 とジョルディー。
「 あら 」 と笑顔になるミラル。
「 ミラル? 」
にこり、と「 なんですか 」
「 いや、怒ってないか 」
「 ええ、ちょっと 」
エルフィールは笑顔の杖の連打を避けると、「 茶を飲め 」 と言う。
「 なぜですか 」 と真顔になる。
「 無茶するな 」
「 なるほど。あなたもね 」
ぐりぐり顔をぶつけあいながらミラルとエルフィールが笑った。
「 ところで 」
エルフィールがみんなに言う。
「 これはいいな。なにかするべきだと思う 」
「 というと 」 ミラルがうながす。
「 手に職を持って、日々の生活に変えなくてはいけないと思う 」
「 エルフィールが言うとバカみたいな意見に思えるから不思議です 」
「 どこがだよ 」
「 でも、せっかくこんな大きな城下町にいるのですから、なにか仕事を探すのもいいかも知れませんよね 」
一行はそれから畑でクワを振るが、ハイベルはその怪力で、すぐにひとつの畑を耕す。
「 驚いたねえ。十日の仕事を半日で終わらせるとは。他の人もいい仕事っぷりだ 」
農家のおじさんは関心している。
ハイベルは汗を拭 (ぬぐ) うと、用水路の水で顔を洗う。
「 なんだこりゃ 」
エルフィールは水田に辟易(へきえき)している。
ぴきーんと、バルディの目が光る。
ラギアースとなにか話しているバルディ。
一行が一作業終わり、休み時間となる。
「 宿はおさえておきましたでやすよ。はい、お茶 」
「 おー気が利くなあ 」
エルフィールはそう言うと、お茶を飲む。
空は高くあり、雲が雲々 (うんうん) と広がり、太陽が眩しい。
「 働くっていいことだな 」
エルフィールはそう言う。
「 そうね 」
ミラルがそう答えた。
一行は宿へ行き、暖を取る。
布着だけの一行は、宿のテーブルで茶を飲む。
外は真っ暗となり、幾分か冷えてきたようだ。
「 おかしいわね 」
ミラルが指摘する。
「 そうだな 」
らいでんがそう呼応した。
「 農作業が出来るほどの気候なのに、吹雪いて来ました 」
ずしん、と、なにかの重低音が響いて来る。
「 来たか 」
ラギアースはにやりと笑った。
「 精霊竜か 」
ハイベルが大剣を抜き、外に出る。
なにかの足音は響いているが、なにもいない。いや、吹雪で見えないだけかも知れない。
宿からの明かりは、白い雪と暗い闇を映すのみだ。
ハイベルは構えるが動かない。
その瞳はなにも映していない。
「 でかいなあ 」 と見上げているエルフィール。
「 そうだな 」 とジョルディーが呼応する。
一行には見えていない。
精霊使いと闇の継承者だけが、それを見ていた。
吹雪く竜は轟音と歩いている。
だが、音はすれど、姿は見えない。
いや、見えるものがある。
白い玉がふたつ、白い牙がいくつも、闇の中を明滅する。
ミラルは怖じ気づく自分を賢明に奮い立たせていた。
それほど、圧倒されるなにかを感じる。
その吹雪すべてが吹雪く竜であった。
バルディはふるえて、ミラルの後ろにがたがたしていた。
「 八重星(やえぼし)が綺麗だなあ 」 とミラル。
「 そうだな 」 とジョルディー。
エルフィールとジョルディーの手が光る。
轟音に光りの剣が挑む。
ぎいいいん。
吹雪はひとつの光りの玉になる。それは雪のたまご。
家一軒ほどの雪の固まりである。
低温の吹雪く音が聞こえる。
「 これで、春には精霊竜のひながかえるだろう 」 エルフィールはそう言って、たまごを見上げた。
夜はその静寂を取り戻し、一行は夜風が暖かくなったのを感じた。
「 この手の奴はしょっちゅう来るのか 」
エルフィールの問いに、ラギアースは被りを振る。
「 ここ最近、街は変でね。なにかが来るのかも知れないな 」
「 おまえの立つ場所で、滅多なことを言うな 」 ハイベルがたしなめた。ハイベルのその時の顔は、一行が見たこともない、いや、それは戦いの時にだけ、見る顔であった。
一行は宿に戻る。
「 酒でも飲むか 」 ラギアースの杯をかわすエルフィール。
1階の食堂で宴会となる。
木の分厚い四角いテーブルには、料理が並べられた。
酒もふるまわれ、それはラギアースのもてなしであった。
「 だから、そこでおれはこう言ったんだ 」
ラギアースが街や、昔ハイベルと旅の道の上のことを軽妙に話す。
ラギアースの話はおもしろく、一行は退屈しなくてすんだ。
だが、ハイベルは自分が話しに出て来るたびに、険しい顔をするのだった。
ダミエールが曲をしらべて、エルフィールが舞い、ラギアースが歌った。
その時だけ、ハイベルは杯に目を落とした。
一行の夜が過ぎる。
「 起きるでやす 」
バルディがフライパンを打ち鳴らす。
バルディは一行をたたき起こす。
「 なんだよ朝っぱらから。楽しい一日は朝からだぜ 」
と言って、エルフィールがへとへとの髪の毛をたしなめながら、眠たげに起きて来る。
「 次の仕事は早いんでやすよ 」
「 そうか 」
バルディの言葉になんとも納得させられるエルフィール。
「 こういう時のあいつは無敵だ 」
「 そうか 」
ジョルディーの言葉に妙に納得するエルフィール。
一行は着替えると、街を歩く。
街の空気はほのかに冷たく、また、ゆっくりと暖かくなっていた。
太陽は上がりつつあり、ゆっくりと街の風は暖かくなる。
鎧に剣と、一行はフル装備である。
それはバルディの指示であった。
騎士の国とはいえ、この一行の目立つことと言ったらなかった。
一番目立つバルディは、てけてけと先頭を歩く。
ゴブリンが街を歩いていると、まるでぬいぐるみでも歩いているようである。
バルディは街の中心を目指す。
「 どこへ行くんだ 」 とエルフィール。
「 なに、つまらないところさ 」 とラギアースは肩で笑う。
一行が着いたのは、街の中心にある、大きな建物のひとつである。
それは切り立った崖のような、白い壁が重なったような建物であった。
一行が歩いて着いた部屋は広い。いや、それは百人程の人がいる集会場のようであった。
らいでんが建物をじっくりと見ている。
「 おいてくぞ 」
エルフィールの声に、らいでんは見ながら横に歩いて来る。
ラギアースが広場の中心に案内する。
一行のいる場所はちょっとした高段になっている。
一行を見る人々。
男女の青年たち。
バルディはひょこひょこあっちこち歩いている。
「 エルフィール姉さん、よろしく願います 」
「 なんだ? 」
「 バルキリー出せるそうじゃないですか、ぜひ生徒の前で 」
「 生徒? 」
「 騎士の卵でね。ここは騎士の中でも、精霊使いを重宝するのさ 」 ラギアースは窓を見上げてそう言う。
「 精霊を? 」
「 教えてやってくれ 」
「 そんなのつまらん 」
「 それはそうか。それじゃ 」
ラギアースが合図すると、生徒の一人は精霊を召還する。
それは水の精霊であった。
水滴がいくつか上がるという、なんとも地味なものだ。
それぞれ、炎の精霊や光りの精霊など、いくつか見てとれるが、なんとも地味めなものである。
エルフィールがなにか話すと、精霊は巨大化する。
騎士たちは悲鳴を上げる。
それは見たこともない精霊の姿であった。
「 これくらい出来るだろう 」
騎士の大半は精霊を帰還させるが、何人かは立って、精霊を維持した。
「 いいな 」
エルフィールはラギアースを見る。
「 こんなもんだ 」
「 いいんじゃないか 」
ラギアースは笑っている。それはなんとも陽気な声であった。
ラギアースは一声かけると、生徒たちの精霊は精霊の世界に帰還する。
「 精霊使いなのか 」
「 いや、出来るのはこれだけでね 」 ラギアースはそう言って、両手を広げて見せた。ラギアースの手には、精霊はいなかった。
「 ふーん。器用だな 」
エルフィールは関心したが、別段、それに興味は持たなかった。
騎士が精霊を使えること自体、珍しいことであり、そういう意味では、ここにいる騎士たちはとても貴重な存在であった。
エルフィールはいくつか精霊を召還すると、それを自在に変化させた。
「 すごいものだな 」
ラギアースは感嘆する。
「 旅をしてれば、これくらいは使えるようになるさ。それに 」
ラギアースはエルフィールを見る。
「相方が精霊に好かれるタチでね」
エルフィールはジョルディーを見ながら、笑った。
それから、生徒たちは、枝のようなものを取り出す。
それはちょっと短いものだった。
「 魔法使いも必要でね 」
ラギアースはミラルを見る。
「 いいでしょう 」
ミラルが杖を前に出す。
詠唱の後、生徒たちの杖が光り出す。
その力に、びりびりとふるえる。
生徒たちの杖は光りの粒子となり、太陽光と合流する。
「 この杖ではここまでです 」
ミラルは報告するようにそう言った。
「 魔法が使えないからか、なんとも、珍妙なものに見える 」
「 それは偏見です。魔法はその英知と勉学の結晶。決して、それは遊びではないのですよ 」
ミラルはきっと、ラギアースを見る。
「 おーこわ 」
ラギアースは笑いながら、逃げて行く。
生徒たちは剣を取り出す。
これには、ジョルディーが答えた。
ぎいいいん。
生徒たちの剣はそのすべてを砕かれる。
ジョルディーの緑樹剣が低温を響かせる。
生徒たちは、目をしばたたかせるあいだのことだ。それは驚愕に彩られていた。動揺出来る者は、まだ達者なほうだった。
「 いい太刀筋だな。これだけ出来ると、ちょっとした騎士だな 」 とジョルディーは笑った。
「 いや、騎士だよ 」
ラギアースは「 魔法も精霊も剣も使えて、いいだろう 」 と一行を見た。
それはなんとも変な話のようだった。
少なくとも、エルフィールたちのいたところでは、そんなことは聞いたことがなかった。
「 どうりで、みんな小さくまとまっている 」
エルフィールはそう言うが、らいでんは「 精霊が使えるのは地形ではないか 」 と指摘した。
ラギアースは「 たぶんそうだろう 」 と答えた。
「 まだ出来ます 」
剣の達者な者が前に出るが、それとて、エルフィールの細剣に適う者はいなかった。
「 太刀筋はいいが、剣の軌跡 (きせき) が見えるぞ 」
「 なに、まだひよっこどもさ 」
ラギアースはくすりと小笑う。
「 でも、これだけの人数、なんのために? 」
ミラルの質問に、ラギアースはちょっと真顔で、「 騎士の国があってもいいだろう 」 と言ってから、小笑いした。それは清々しい笑いであった。
ミラルはその視線を追う。
ラギアースはハイベルを見ていたが、ハイベルはそれには答えなかった。
あまり仲が良くないのか、と、ミラルは二人を見た。
それから、らいでんが砂の特徴を教え、終いには、ダミエールが曲まで教えた。
エルフィールとジョルディーの踊りに、生徒たちが踊り出す。
場内は歓声と轟音に鳴り響く。
二曲踊ったところで、一行は退場する。
何人かは、熱心に話しを聞いていたが、それも一時間もすると、一行は外に出る。
「 ふいー。こんなもんでいいのか 」
エルフィールはのびをする。
「 上出来さ 」
ラギアースは相づちを打つ。
それから食事をして、一行は街を歩く。
「 それでは始めようか 」
「 いいだろう 」
ラギアースとハイベルがそれぞれ抜刀する。
ぎいんと、ハイベルの大剣が太陽光にひらめいた。
「 あいかわらずのばかでかさだなハイベルよ 」
「 そうだな。おまえの剣はそれかラギアース 」
「 そうだ。なんでも斬るそうだよ。話によるとな。どうする。色男。その大剣で受け止められるかな? 」
「 どうかな 」
ラギアースの長い剣は銀色に輝き、それはまるで、ハイベルの身長ほどの長さだ。
「 ちょうどいい長さだ 」
ラギアースはにやりと不敵に笑い、その剣の切っ先を、ハイベルへと向ける。
「 おまえのでかぶつ斬るぜ 」
「 出来るならな 」
そして、どちらも動かない。
時が静止したかのようだ。
それから、十分がたった。
「 なにやってんだこいつらは 」
エルフィールは眠たげに見ている。
「 冗談ではなさそうだ 」
ジョルディーの言葉にも、エルフィールは動かない。
ダミエールが曲をたなびく。
それはなんとも静かな曲であるのだった。
「 勝負は一瞬か 」
らいでんはうなる。
「 だからどちらも動かないのでしょうか 」
ミラルは問いかけるように言う。
「 どっちが勝つか、賭けましょうぜダンナ 」
バルディの手をつねって、その額を指で弾くジョルディー。
「 ダンナはお堅いや 」
バルディはへへへと笑うと、道に出来た人だかりの方に行く。
「 ハイベルの奴、なんだか変だな。剣に殺気がある。伝わって来るんだ 」
ジョルディーはエルフィールにそう言う。
「 ハイベルは戦士だ。その手に持つ剣に殺気くらい宿るだろうさ 」
エルフィールは意に介さないようだ。
「 でも、ハイベルらしくない 」
「 そうだな 」
風が変わる。
「 動く 」
両者の姿が風になる。刹那。
轟音が二人の影を黒い衝撃とする。
魂低一句。
雷劇双舞。
鬼神来轟。
二人の剣が雷を放つ。
いや、それはラギアースの剣からであったか。
ハイベルの大剣をラギアースの細剣が受け止める。
「 斬った 」
ラギアースが、にやりと笑う。
いや、ハイベルは体で受け止めていた。
血走る。
けれども、なんでも斬る魔剣を持つラギアースの狙いはハイベルの大剣。ハイベルの体ではない。魔剣はその力を出すことなく、止められていた。
「 止めたよ 」
ハイベルは言った。
いん。
ぎいん。
大剣が長剣をはじく。ラギアースの手は空になる。
「 終わったな 」
ジョルディーがため息をひとつついた。
エルフィールの目がぎらついた。
「 行くぞ! 」
エルフィールが駆け出す。
ジョルディーも走り出す。
ハイベルは大剣ほ振りかぶる。
その目は影に見えない。
「 こんのばかがあ! 」
エルフィールとジョルディーの手が光り放たれる。
きいん。
光りがハイベルを斬る。
すべては光りに包まれた。
生まれた時、父はすでに伝説だった。
海神としていて、巨大な背中だけが覚えている。
育ったところは大陸の中心の方で、そこは温暖な気候のいい場所だった。
文学者が多く住むその地は、生活にはほどよく、けれども、なにかが無いのだ。
千年そこで暮らした後、私は大剣を手にしていた。
旅が私を築いてくれると信じた。
歩いた半生。
その中で、もっとも近く、もっとも深い人生との邂逅(かいこう)。
九千年近く生きた人生の中で、ある青年との出会いがあった。
クインアースというその女性は、とても変わった感じを受けた。
「 夢は一瞬で達成されるけれど、愛は一生続く。夢は一瞬、愛は一生 」
そう言って笑うクインアース。
なんとも口がうまく、それでいて、騎士としての出会いだった。
「 おまえの剣が千本目だ。その大剣もらおう 」
にやりと笑う彼女には、ぎらつくような目があった。
その手には魔剣デュアリセイヴ。
後になんでも斬る魔剣だと知ることになる。
「 騎士なんてくだらない。掃除してやるよ 」
いん、とその剣を小手ではじいて、横に足をはたいて、投げていた。
クインアースが芝生に倒れていた。
信じられないていで、ぱちぱちと目をしばたたかせている。
「 千本目には、ならなくてすまないな 」
歩いて去ろうとする私に、その女性と弟のラギアースが付いて来た。
どうしてそうだったのか、いまは解らない。
いつのまにか、奴、クインアースの背中を守り、見知らぬ騎士と戦う旅にいた。
ある時、十人の騎士たちと戦い、その剣を怪力で砕き、彼女は斬る。
たまに、ラギアースのパンチが残った騎士の腹に当たる。
そんな戦い。
だが、騎士の剣を砕くだけのクインアースの剣は変わっていた。
いつしか騎士たちが彼女に着いて来て、集い始めていた。
その数は数百人にも上った。
流浪の人や、民も集い、千を超える人がクインアースに集っていた。
もうクインアースは一匹狼ではなく、騎士の集団の長であった。
クインアースに剣を教えることもあった。
クインアースの腕前もあがり、手合わせは増えて、毎度のことになっていく。
一年もたてば、彼女の腕は私からも、一流に見えた。
元々の腕があり、それに技術があれば、百人力といったところだろう。
手合わせで疲れ、木陰で休む。
私は木にもたれかかるクインアースに話す。
「 愛ゆえに人は迷い、愛ゆえに人は争うのか 」
「 愛は誰も殺さないわ 」
「 じゃあ、どうしておれたちは戦っているんだよ 」
「 戦いは神の示す道 」
「 愛と神の示す道の本質は同じではないのか。それは矛盾していないか 」
「 人のあげあしをとるな! 」
真っ赤になったクインアースはとてもかわいく、きれいだった。
いつしか、広大な大地に、騎士の国を造る。
そんな話になっていた。
造り出された街はにわかに活気付き、外との交流も始まっていた。
「 もう遊んでられないな 」
「 そうだな 」
彼女は季節が夢を見たような存在であった。
−−我はすべてを斬るもの。
長剣はクインアースに語りかける。
クインアースは無言で長剣を空にかがげる。
それは空の青を反射して、とても綺麗に銀色に輝いた。
−−我は季節を斬り、空さえもその手にかざそう。
「 冗談だな。笑える剣だ 」
クインアースは剣をかざして、立っていた。
冥府魔道。
万死万生。
雲々空々。
いつもの手合い。
それがどうにも鈍い音を発する。
いや、それは最近良く聞く剣戟の音であった。
剣戟を止め、私は言った。
「 最近のおまえはどうかしてる。剣に覇気がない 」
おれはクインアースに言った。
「 ならば剣で聞け。それが私たちのしてきた道だろう 」
おれとクインアースは対峙する。
ギイン。
おれの一撃にクインアースは地に落ちた。
もうそして、動くことはなかった。
「 おのれハイベル! 」
剣をとる仲間の騎士団たち。
だが、おれにはなにが起きたのかわからなかった。
「 やめろ! 」
ラギアースが止める。
「 正式な戦いで死んだのだ。その名誉をおまえたちは知らないはずはあるまい 」
「 王は、いや、クインアースはおまえのことが好きだったんだ 」
「 そうか 」
私も彼女のことが好きだったのだ。
私はその場に泣き伏した。
そして、誰も動かなかった。
「 いつでも帰ってこい。ここはおまえが所属する、帰る場所であることを忘れるな 」
私は旅をした。
旅のあいだ、思い出すのはクインアースのことばかりだった。
歩き出した時、すでに道は決まっていたのかも知れない。
季節の葉を幾枚見て来ただろう。
放牧を見て、山を上がり、川を下った。
これほど綺麗な森林は見たことがなかった。
夜明けの暗い寒さが息に白い。
向こうから、人が歩いて来る。
そして、エルフィールとジョルディーとの出会いへと至る。
それは変わった旅の証だったのだろうか。
光りの後、ハイベルの前に魔剣がある。
ラギアースがハイベルに手渡す。
「 これはおまえの剣だ 」
「 クインアースが使っていた剣か 」
ハイベルはラギアースから長剣を受け取る。
その時、ハイベルは長剣の風景の中にいた。
部屋にはラギアースだけがいた。
−−なんでも斬るというなら、私の憂いも斬ってくれ。
クインアースは長剣を手にする。
−−我はお主の剣を受け止めなかった。
「 いい剣だ 」
ハイベルは王者の剣を着けると、立ち上がる。
騎士団がみな、ひざをついていた。
ハイベルはただ、立っていた。
「 見送りはしないぞ。まだやることがあるんでな 」
「 そうか 」
そう言うとラギアースは歩いて行く。
一行はラギアースとは反対の街の外に向かった。
一行は街の外れまで歩いて来る。
武来覇王。
鉄器混合。
連騎連動。
騎士たちがざわめいた。
轟音と地響き。
巨大な鎧が三騎、戦っている。
その鎧は大きな木が縦に三本立った以上に大きなものだ。
「 バルキリーの影が実体化してる 」
ミラルはエルフィールを見るが、「 バルキリーに変化はない、けど 」 とエルフィールは答える。
鎧は耕した畑さえも踏みつけて行く。
「 せっかく耕したのに 」 エルフィールの怒気に、三騎のバルキリーが天から降り立つ。
天から伸びる布の着物を着た三騎のバルキリーが踊るようにエルフィールの周囲を舞う。
周囲は青暗い空間となり、エルフィールを淡い光りが包む。
一騎バルキリーはエルフィールの服を透明なる鎧にして、一騎バルキリーはエルフィールに眼鏡をかけ、一騎バルキリーは矛 (ほこ) をエルフィールに手渡す。透明な鎧を素肌に着たエルフィールが立っていた。
しゃん。
しゃん。
しゃん。
空は青さを取り戻し、三騎のバルキリーはエルフィールの周囲に立っている。
エルフィールはバルキリーの力で、空に舞う。
エルフィールが巨大な鎧の胸に矛で打ちかかる。
がいん。
矛は、いや、エルフィールは弾かれる。
ジョルディーとダミエールはエルフィールを受けとめる。
「 同じ力ならば、バルキリーの影に分があるのか 」
らいでんはそう言って、砂をまく。
ミラルは詠唱を始め、ハイベルは長剣で鎧に挑む。
ハイベルが踏みしめた大地が砕けた。
ハイベルは鎧の胸へと宙を一回転してから打ち付ける。
ハイベルの体の回転力をらいでんの砂が加速させ、長剣のいきおいをミラルの魔法が加える。
そしてハイベルの怪力の一撃。
かあん。
大剣は衝撃を持って、鎧を圧するが、ハイベルの一撃にも、鎧は微動だにしない。
ハイベルは一回転すると着地する。
その着地のいきおいに地面はきしむ。
デュアリセイヴは、精霊は斬れないなとつぶやいた。
三騎の鎧は見合うと、その手の剣をそれぞれの鎧の中心にと構える。
バルディがほへえっと空の彼方を仰いだ。
「 海の鳥が来るだ 」
バルディがぼそりと言った言葉をミラルは聞いていた。
妖精の風が吹いていた。
バルキリーに守られて、いきまいているエルフィールには、それを感じないでいた。
「 なんだこれは 」
エルフィールがふらふらとたたら歩く。
なにも見えないようにふらふらとしてるところをジョルディーに助けられる。
「 あねさん、動かないで 」 バルディが助言する。
ミラルのほほになにかが弾ける。
「 これはなにか水のようなもの 」
ぎいん。
ぎいん。
ぎいん。
巨大な鎧たちが矛剣の剣先を地面に打ち付け、大地が地響きを上げる。
いいん。
虹色の風が吹く。
虹色のカーテンが周囲をおおっていく。
それは虹色のしゃぽん玉だった。
それがどこまでも、ここいら一帯をおおっている。
小さなものもあれば、木や鎧よりも大きなものまである。
らいでんが指摘する。
「 これは精霊濁流。精霊流が吹きだまりを起こすと、シャボン玉のようになって、それは自然の樹木を枯らす。精霊流がこんな大規模で移動することが、バルキリーの影を実体化させたのだとしたら、あまりにも大きな精霊流だ 」
らいでんはさらに、「 これだけの精霊流など、ここいら一帯の自然が氷りついてしまうだろう 」と言った。
それはこの街の滅亡を暗示しているようである。
ハイベルは王者の剣を抜くと、空に掲げる。
「 エルフィール! 力を貸してくれ! 」
エルフィールはハイベルに抱きつく。
その影が動いた。
巨大な三騎の鎧はその手の矛剣の剣を地面に打ち付ける。
矛剣から菱形の鎖が幾条にも発して、それは鎧のドレスのように飜〈ひるがえ〉る。
いん。
鎧に施された幾重もの装飾紋章が金色に光り輝く。
矛剣の矛が幾重の間接を表し、剣は地面にありながら、矛は自在に動くようになる。
巨大な三騎の鎧がその手にする三本の矛剣の矛をハイベルの剣に叩きつける。
がいいいん。
それはハイベルの王者の剣に見事に当たる。
エルフィールを守る三騎のバルキリーと影との力が合わさる。
ハイベルが王者の剣を鎧どもの矛ごと持ち上げる。
それに連動して、すべてのしゃぼん玉が空に上がって行く。
ハイベルの怪力が、鎧とバルキリーの天秤をへて、しゃぼん玉を持ち上げて行く。
しゃぼん玉の重さをエルフィールと三騎のバルキリーが支えた。
しゃぽん玉は空に上がる。
「 そのままではまた精霊濁流は戻って来る。このままでは埒 (らち) があかないぞ 」
らいでんの指摘に、エルフィールは精霊語で応えた。
「 精霊招霊! ピグニカ! 」
エルフィールの言葉に、空の彼方から、無数のひよこたちが飛来する。
ひよこたちがしゃぼん玉を割って行く。
しゃぼん玉は跡形もなく、精霊風となって、自然へと帰して行く。
「 もう、だいじょうぶだ 」
ジョルディーがエルフィールを抱える。
力無く、エルフィールがジョルディーに身を預ける。
「 ぴよー 」
エルフィールの前に一匹のひよこがぴよぴよしてる。
「 元気だったか 」
「 ぴよ 」
エルフィールの言葉に、ひよこは元気良く鳴いた。
「 そうか 」
ひよこは空に上がる。
ひよこたちはまた空の彼方へと進んで行く。
「 ありがとよ 」
エルフィールは力無く、感謝の言葉を口にする。
色彩演舞。
花鳥風月。
羅漢鬆蝶。
砕けたしゃぽんは花となって、一行のあいだを通り抜ける。
花の風。
花の乱流。
四季折々の花が妖精の風となって、周囲を巡り行く。
一行の周囲は花になる。
近くにいるお互いの顔も見えない程の花の渦。
と、その花が開く。
まだわからないの。
ハイベルは振り返る。
私たちは、いつも一緒にいるのよ。
ハイベルはぼそりと、そうだなと言った。
ハイベルは人影とは別のほうに歩いて行く。
花の風は開け、一行が待っていた。
ハイベルは一行と合流すると、また歩き出した。
夜も暮れて。
一行は旅の空の下、森の中で、夜の眠りとする。
倒木に座るジョルディー。
焚き火の前でジョルディーがうなだれている。
「 どうしたの 」 とミラルが聞く。
「 なんだかエルフィールのことを考えるとどきどきする。まるで気持ちがここにあらずということになって、なにも考えがまとまらない 」
「 それは病気ね。それも不治の病よ 」
がーん。
「 だから、あら 」
ミラルが横を見るとジョルディーがいない。
ジョルディーはふらふらと一人、森の闇の中を歩いて行く。
「 そうだったのか 」
と、向こうから光る鎧を着た何者かが歩いて来る。
「 誰だ 」
それは光りの鎧を着た騎士である。
その光の騎士は光の剣を抜刀する。
−−我々の敵だ。
闇が揺らめいた。
−−光の騎士だ。
「 光の騎士? なんだそりゃ 」
ぶうんと来た、光の剣をジョルディーは避ける。
ジョルディーも抜刀する。
ぎいん。
ジョルディーの魔法剣と光の剣はかちあう。
「 殺気はあるが、これは存在しない光りなのか 」
−−光の騎士の目的は闇の消滅。人に殺意は無い。
「 じゃあ、おまえだけ斬られろ 」
−−いまの宿主はおまえだ。
「 結局おれがやばいんじゃないか 」
闇は揺らめく。
笑ったようだった。
「 なんとかならないのか 」
−−おまえが闇の継承者である以上、戦う系図に変わりはない。
「 そんなの知ったことか 」
ジョルディーは駆けて逃げ出す。
−−なぜ戦わない。これもひとつの闇のさだめ。
「 おれには関係ない戦いだ 」
全速力で走るが、前には、光の騎士。
いつのまにか、先回りされていた。
−−相手は光の騎士。逃げられるものか。戦え。それが闇の形質。
「 だから、そんなのわからんて 」
ジョルディーは光の騎士の突きを紙一重でかわして、光の騎士の腕の間接を決める。
「 どうだ 」
光の騎士は丸い光の玉となると、また騎士となる。
「 そんなのズルいだろう 」
走って逃げるジョルディー。
いまのところ、まったく勝ち目はない。
駆けてはいるが、ジョルディーに進むべき道はまだ無い。
葉を避けながら、広けた泉に出る。
そこでエルフィールが水あびしている。
あらわな肢体が月明かりに照らされている。
これは救いの女神、と、ジョルディーはエルフィールに走り寄る。
「 エルフィール、手を! 」
近づいたジョルディーを殴り飛ばすエルフィール。
軽く2メートルは吹っ飛んだ。
なんとか立ち上がるジョルディー。
「 なんでだよ 」
ジョルディーの顔には青あざがくっきりとある。
「 あ、いや、ムカつくこと考えてたらつい 」
ジョルディーの目の前には光の騎士がいる。
いん。
光騎剣戟。
世界が一刀両断される。
その剣戟 (けんげき) をかわして、なんとか木に上るジョルディー、
光りの騎士は上がって来ない。
「 ふいーっ、とりあえず一息つけるか 」
と、木が轟音に大きく揺れる。
光の騎士は光りの剣で木を叩き斬ろうとしている。
それは時間の問題のように見えた。
「 たあすけてえー 」
ジョルディーが叫ぶ。
「 おまえ、キャラ違うぞ 」
エルフィールの突っ込み。
「 ピンチの時にそんなもんない〜。それに 」
「 それに? 」
「 高いところはだめなんだあー 」
「 いいこと聞いた 」
「 なんだってえー 」
「 いや、これでいいだろ。サラマンダー 」
炎のとかげが光りの騎士を包む。いや、それどころか木も包まれる。
光りの騎士はけろっとしてる。
光りの騎士は変わらず木を斬撃する。
サラマンダーによって、木は火に包まれる。
「 事態を悪化させてどうするー 」
「 ああ、ごめん 」
「 闇、なにか手はないのか 」
−−日の出だ。
光の騎士はその太陽光に消えて行く。
−−光の騎士は闇の中でしか生成され得ない存在なのだ。光りは闇に生きて、闇は光りに生きる。それがこの世の理 (ことわり)。
「 ふいーっ、助かった 」
と、木が、ばりばりばりと倒れて行く。
「 おわーっ 」
エルフィールがジョルディーをキャッチする。
エルフィールにお姫様抱っこされるジョルディー。
ジョルディーは涙目である。
「 おまえも泉に入るか 」
ジョルディーはちょっとどきどきした。
でも、いやなどきどきではないなと思った。
「 そうだな、おれもあびるか 」
ジョルディーも服を脱ぐと、ゆったりと泳いだ。
エルフィールが水をかけてくる。
それは朝日に輝いて、とても綺麗だ。
「 綺麗だ 」
「 そうだな 」
それはどちらにも言った言葉だったが、それはもうジョルディーにはどうでもいいことだった。
服を剣に干 (ほ) して歩いて行くエルフィールとジョルディー。
一行と合流して歩き出す。
雨上がりの空が、ゆっくりと明けて行く。
雨流彩々。
紅葉流転。
四季抱擁。
朝風が気持ち良かった。
ジョルディーはなにかを実感したが、それはまだ言葉には出来ないでいた。
森の木々の影から、朝日がうっすらと見え隠れしているのが見えた。
一行は仕度をすると、立ち上がる。
太陽がうっすらと見える。
一行はそれを頼りに歩き出した。
続
第二十一話 流転なりし砂と風
太陽はすでに空の上にあり、木々の葉のあいまから、陽ざしがきらきらときらめいている。
大小の木々の中を歩く一行。
一行の足取りは軽い。
なんとも意気揚々だ。
木の一本一本を眺めるらいでん。見たこともない木だと、興味津々にらいでんは言ったが、別段、らいでんいがいは木の違いには無頓着なのだった。
エルフィールには、見慣れた精霊がいることがわかって、なんだか空気が澄んでいると思った。精霊がうきうきしている。それはこの地が自然としての精霊循環があることの表れであった。
ミラルには、魔法、その魔導法則と紋様秩序の流れが正常にあることが見てとれた。魔導行路があるという時、魔法使いはその地を、真理と本質の地平として、歩く魔導書として、貴重であり、なにより、見えない竜が見えると言われていた。
ジョルディーはなにも感じなかった。ジョルディーの魔法剣、グリズリーフィッシャーはどこまでも涼しい振動をジョルディーに伝えていた。それはこの地がなによりも平穏である証であった。
ハイベルはこの地には、神の加護があると、ゆったりと歩いた。
いい曲が弾けそうだと、ダミエールは口笛を吹いた。
葉の絨毯の上を歩く一行。その葉も珍しいものではあったが、ミラルが本にはさんだり、らいでんが採取したりするいがい、一行は踏みしめるだけであった。
木々は視界を遮るほどにうっそうと茂るが、ミラルは鳥の声が聞こえないことに気づいた。
−−これは海が近いのかな、でも、海鳥がそれにしてはいない。
らいでんも似た意見に達したようだ。ミラルの視線にうなずくらいでん。
足下は砂になり、木はまばらになってくる。
木々の視界が開けた。
木々はそこまでで、一行は開けた場所に出る。
見渡す限り、一面の砂漠。
乾いた風が吹く。
澄んだ青空が高い。
空の太陽はギラついて、海岸にいるような気がミラルにはした。
「なあ、なんで世界の果て探しているんだろう」
エルフィールがなんとはなく言う。
「螺旋竜の異変、それが世界の果てにあるということ。それを冥界の女神から頼まれたのですよ」
ミラルがそう言う。
「頼まれてないよ」とエルフィール。
「いいえ、頼まれました」
「ここの地層は変わっているな」
「圧倒的な文量。けれどもそれは人の一端に過ぎないこと」
「この菓子いいぞ」
「それは歌詞がいいからだ」
「はんぺんた」
「ラギアースは道が導くと言っていたぞ」
「導きのままに」
「木がなにか言っているぞ」
「あの街の硬貨の円を二百円もらったぞ。使えるのかなあ」
「酒を飲もう」
「飲み過ぎはほどほどに」
「神々は?」
「静かな波動を感じます」
「靴より高いものはない」
「蔓(つる)と蔦(つた)はどう違うんだ」
「だいっこんらん。だいっこんらん」
どたばたどたばた、らばるたすぱるた。
はあー、だいこんもって踊りましょう。
それぞれが背中を向け、ちょっと立ち止まる一行。
ミラルも一度はどうでもいいと思った方向であった。それだけの異変に、神々が動かないとも思えなかったし、それに、このパーティになにが出来るだろうとも思っていた。
いや、ミラルにとって、旅に出たのはなぜだったか。
それは出会いを求めたものであっただろうか。
それならば、いくつもの出会いがあったのではないか。
エルフィールなんて、場あたり的になにか言っているだけで、さらになにも考えていない。
エルフィールは近場の葉をはんで、苦くてけほけほしている。
腹をかいてあくびする。
エルフィールはなにも考えていない。
けれども、巨大なる樹の春の精霊に、なにか世界の果てには大事なことがあると感じたのだ。だから、エルフィールはこの旅を続けて来た。
ミラルは空を見上げる。でも、とミラルは思う。なにかもう、この旅に満足しているのだ、と。魔法院では学べないことがある。だから、魔法研究所への話も断り、街を出たのだ。最初は数ある魔導書で魔法や魔道を探したが、そんなことはすぐに飽きてしまった。元から学者タイプではなかったのかも知れない。いや、それは若さゆえに、旅によって、魔導の道、理(ことわり)の道を探したのかも知れない。魔法陣が回転しただけではない、世界の回転を感じたかった。それはいまも変わらない。
「世界の果てなんていいから、もう帰ろうぜ」
エルフィールが提案する。というよりは、退屈だから、街で酒でも飲みたいところなエルフィールなのだった。
「なにを言っているのやら」ミラルは頭をかかえる。
らいでんは諭すように言う。
「話によれば、かなり危険な香りがするな。螺旋竜の異変とは、尋常ではない。これはとても大切なことだと思うよ。戦いは雷鳴。けれども、人が種族が、魔王がその存在を歌うのも、この自然あればこそなのだ。誰も踊る大地がなければ、誰も踊ることなく、見上げる空なければ、誰も歩くことはないのだ。本が伝える千年前のことは、これからの千年のためにあるのだ。金貨は物質の硬化、この星の縮図、その裏表は影と光りをいまに伝えるエンドレス」
一行は世界の果てを目指すべきだと言う。
風の精霊にフィルフィルフィールの意志が宿り、エルフィールに語る。
「螺旋竜ならば、見ましたよ。一緒に行きますか?」
「あ、はい」
きょろきょろするエルフィール。
風の精霊はもういなかった。
エルフィールは風を感じていた。
それがなにを意味するのか、まだその精霊の名は知らないのだが。
「行こう。世界の果てへ」
一行はエルフィールの方を向く。
「考えたんだが、うちのかっちゃあを探せばいいのではないか」
エルフィールの提案に皆驚く。
エルフィールにしては、なんとも的確な意見であり、それはらいでんがうなるほどであった。
「そ、それはそうですね」
微妙な表情で納得するミラル。なんだか自分がエルフィールに遅れをとったような気がした。
「確かに、世界の果てが移動していて、エルフィールの母上がそこにいるのならば、それは正しい選択だろう」
らいでんはうなずいて、そう指摘する。
砂海は流砂の渦を幾重にも重ね、そのうねりは、まるで雲が渦巻く空のようである。
エルフィールは砂漠に入る。
と、砂はまるで水のようにふよふよしていて、とても歩けたものではない。
あわてふためくエルフィールの手を、ジョルディーがつかんだ。
しばらくむせているエルフィール。
「けほほっ。こ、これは、摩擦なく、それでいてからみつく……。まるで砂のゼリーのようだ。ここいらの砂漠はこんななのか」
「砂海(さかい)だな。シーウォークとも呼ばれることもあるように、とても流動的な場所だと言われている。ここを渡るのには、行商人が知っている方法があるという」とらいでん。
先に言えとエルフィールのキックを、らいでんは石を拾おうとしてかわす。エルフィールはまた転がって砂海からジョルディーに助けられる。
「ここを通らなくてもいいのではないですか」
ミラルが提言する。
風が吹いた。
エルフィールの髪を風が踊らせる。
それは清々しい風だ。
「いや、この先に世界の果てがある」
エルフィールは言い切る。
それはミラルが見たことのないエルフィールの横顔である。
「精霊か?」
ジョルディーが聞く。
「いや、そんな気がするんだ」
「世界の果てに螺旋竜の異変のなにかがあると、冥界の女神は仰っていました」とミラル。
「そんなのどうでもいい」とエルフィール。
「螺旋竜はあらゆる精霊竜が束ねられた自然踊る世界の姿。その異変たるや、世界の危機と言えるのではないか」とらいでん。
「私は行きたいから行く。それだけだ。世界が見たいんだ。この風の来る先になにがあるのか。心がうずくんだ。どこまで行けるだろう。それを考えただけで、わくわくするんだ。まるで、この世界の空が、まだ広がっているように思える」
エルフィールはそう言う。
エルフィールの心には、あの時の風がいまも吹いていた。
「そうだな。それでいい」
ジョルディーがうなずいた。
「またあてずっぽうなことを」
けれども、と、ミラルは、方向性としては悪くないと言った。
ハイベルは神の意志のままにと言い、ダミエールは曲を奏でた。らいでんは無言でうなずいた。
一行は砂海を見ていた。
「丸太を入れてみたらどうだ」
ジョルディーの言葉に、ハイベルは一本の大木を引き抜き、それを砂海に入れる。
丸太は浮力を受けることなく、沈んでいく。
砂は摩擦なき底なしの液状のようだ。
流れる砂に、一行は立ちすくんでしまった。
「あまりにも、砂が丸いのかも知れない。それによって、浮力が得られないのだろう。なんとかならないものか」
うーむと、らいでんはうなる。
「即興でなんとかなるものか」
エルフィールがどうでもいいように言う。
「即興みたいな存在のあなたがそう言いますか」
ミラルがエルフィールの口をつまむ。
ミラルとエルフィールの目と目が火花散らす。
「精霊は見えないのか」
ジョルディーがエルフィールに聞く。
「いや、なにも見えないな」
魔法についても聞くが、ミラルも魔法は感じないとのことだった。
ハイベルの魔剣であれば、砂海は斬れたかも知れない。けれども、ハイベルは黙して動かなかった。その姿は石の彫像のようである。小鳥がハイベルの肩に止まり、ハイベルは笑顔になった。それは、実にやさしい笑顔であった。
風の精霊が砂の動く音をエルフィールに伝える。それはまるで、竜の鼾(いびき)のように聞こえたが、エルフィールにはどうでもいいことであった。
エルフィールがだれた声を上げる。
「食事にしょうぜ」
エルフィールの一言に、一行はそこでござ変わりのマントを広げる。
長丁場になりそうだった。ここでひとまず休むのに、言葉はいらなかった。
なにか策を練るにも、一行には時間だけが頼りなのだった。
ラギアースから受け取った重箱の弁当を広げて、話している一行。
「フファーバを借りて来たらどうでしょうかえっくしゅん」
ミラルがくしゃみ付きの提案をする。
ジョルディーのマントで鼻を拭くミラル。
嫌そうな目でジョルディーがそれを見ている。
「考えたんだが、この距離を精霊たるフファーバで超えるのは無理だろう。それよりもうまい酒はないのかな」
エルフィールの指摘は、けれども、一行は精霊使いの言葉として聞く。
「では、どうするか」とらいでんがお茶をエルフィールに渡す。エルフィールはつまんなそうにお茶を飲んでいる。エルフィールはとっくに自分の酒を飲んでしまい、また、ここでふるまってくれるらいでんは、お茶を持っていた。
「迂回してはどうだ」とダミエール。
「周囲は砂海のようだ。砂海はすべての大地を貫くという。どこまで行っても砂海であるかも知れない」
ハイベルの視線は遠くを見ている。その目は砂海の果て、一行の誰よりも遠くを見ているようだ。
「さて、どうするか」ジョルディーがうなる。
その答えは出ない。
一行は立ち往生してしまった。
「えい、なんとかならんものか」
エルフィールが地団駄(じだんだ)踏んでいる。 「あっちやこっちや、せわしない人ね」
ミラルはお茶をすする。
ダミエールが静かな曲をたなびく。
それは自然が描く四季の葉の動きをメロディにしたものだった。
風とあいまって、それは絶妙な技である。
エルフィールがその曲に踊り始める。
ジョルディーが歌う。
なんとなく、癒される一行。
と、ハイベルが立ち上がる。
その目線は、遙か、砂海の彼方を見ている。
「なにか来るな」
ハイベルの向く方を見る一行。
と、砂海の向こうから、なにかが近づいて来る。
バルディはぴょんとジョルディーの肩に乗って、手を顔にかざす。
ジョルディーは別段、気にするでもなく、砂海を見ている。
遠く砂海の果てから越えて来るそれは、ぴょんこぴょんこ跳ねている、トビウオのように弧を描く魚であるようだ。けれども、その体型はもっと大きい。
近づいて来る魚。
それにしては、でかい図体だ。
赤い巨体、ずんぐりした丸目、立派な二本のひょろっとした横髭(ひげ)。
「魚……てか、金魚だな」
「金魚だな」
「金魚だ」
「美しい」
「これは商売の臭いね」
「金魚ってでかくなるよな」
向こうからやって来る。それは金魚である。
「きんぎょー」
と言って、金魚が来る。
「毎度ながら、こっちじゃデカイ金魚が泳いでんのかよ」
エルフィールがらいでんに悪態をつく。
らいでんは慣れたように、うむ、とひとつ言う。
「私も始めて見る。たぶん、話に聞く砂魚の一種、グライディングホイールホースライダーだな」
らいでんはそう言うと、金魚を眺めている。
「ぐらいぐらいでぃ……、略して、金魚だな……」
エルフィールは清々しくそう言うが、ミラルはジト目で杖でぐりぐりする。汗汗(こまっ)ているエルフィール。
金魚は近づいて来る。
金魚は数魚いるが、その一匹、その背には人が乗っている。
手綱を握るその人は、ぐんぐん近づいて来る。
一行の前で金魚はゆっくりと止まる。
「助けが入り用かな」
渋い声。
大きな水中眼鏡を外したごつい男が、一行に聞く。
砂を防ぐであろうマフラーを外した顔は、いかつい顔に髭(ひげ)づらの中年男。
ごつい顔つきに皺(しわ)が目の横を彩る。
短い黒髪に日焼けした肌。
その細い目は、鋭く、老練な感じを受ける。
「何者だ」
エルフィールが聞く。
「なに、ここいらで漁師をしているホイールライダーさ。それとも、ラギアースの奴の紹介状が必要かな」
男の冗談にミラルが笑っている。
「けっけっ」
バルディも笑っている。
エルフィールはどこがおもしろいのか、ミラルをいぶかしがっている。
男は陸に上がると、おじぎする。
「私はガルデバルデラカルク。ホイールライダーだ」
「よろしく。私はエルフィールと言って、精霊使いとしてはなかなかのもんだ。その力、必要な時は、いつでも言ってくれよ」
「それは頼もしい。では、砂の精霊に言って、流れを読んでくれ」
「まあ、あれだ」
「なによ」とミラル。
「能ある鷹は爪を隠す、だ」
ミラルがふーんと言う。
「それは、そうだな。精霊の力、簡単に使うものではないな」
そう言って、ガルデバルデラカルクは豪快に笑う。
ミラルは多くの人に出会い、その人の人となりを見ることが出来たが、信頼出来るように思えた。なによりも、好印象であった。
エルフィールたち一行は一通り自己紹介する。
ひょこひょこひょこな。
バルディがとことこと前に出て来る。
「おやっさん、それで、その砂魚は幾らで借りられるかな」
「いや、別段、ただで貸してもいいが」
「それじゃいけないね。元値がないと、こっちがもうからないでやすよ」
「なんの話をしている」
エルフィールがぐぐぐと怪力でバルディのどたまをぐりぐりしている。
バルディが足をばたばたさせて嘆く。
「あねさん、しょ、商売でやすよ。自然なことだあよ」
そう言ってから、バルディが力なく、うなだれた。
ちーん。
それからそれから。
「これが水中眼鏡だ。これが砂避け口元スカーフ。服はいまのままでいいな。なにか質問はあるかな」
「でも、なんで力になってくれるんだ」
エルフィールがガルデバルデラカルクに聞く。
人なつっこそうな笑顔で、ガルデバルデラカルクが答える。
「噂には聞いている。あんたら希望の剣を使うんだな。そんな連中には、こんなところでとどまってほしくない。それだけなんだよ」
「希望の剣?」
エルフィールはひょっとした顔をする。
「エルフイールとジョルディーの光りのことを言っているようだな」
と、らいでんが補足する。
「そうなのか?」
エルフィールはミラルに聞く。
「さあ、そこまでは知りません」
「なんだ、魔法使い様もたいしたことあないな」
「魔導の道は世界と法守のあり方、いわば真理の探究。それは闇と光りの深淵なる波紋の雲月とその真実。せてせてた。学問の道は一日にしてならず。焚き木を背負ってどこまでも。本読め、歌え、踊って見上げた空の色。アニメのDVDはもっと安くしろ。けれども、魔法使いはそんなに安っほいものではないのですから」
「へーそー。そーなんだー」
「その口ふさいでさしあげましょうか」
「できるならな」
ミラルとエルフィールはおでことおでこをごつんごつんしながらそう言う。
おでこがすべって、ミラルとエルフィールはキスをする。
ちょっと赤くなるミラル。ぺっぺっうげーとなっているエルフィール。
「それは幸福の具現であるという。なに、古い言い伝え、単なる古人の比喩(ひゆ)だろう」
ガルデバルデラカルクはそう言うと双眼のライダーゴーグルを着ける。
「そうなのかハイベル」
エルフィールはハイベルを見る。
「ああ、この旅にいることが、幸福だよ」
ハイベルはゆっくりとそう言う。
「やすっぽい幸福だな」
エルフィールは鼻で笑う。
さすがのミラルももうツッコム気力もない様子である。
それから一行は金魚で砂海(シーウォーク)に出る。
馬上金魚。
空に舞うような独特の進み方をする金魚に、一行はおっかなびっくりだ。
実際、海面上にいる時は、空中にいた。
「これは、なんだ、うぶぶ」
砂に半身が入ったと思うと、また空に舞い上がる。
とんてけとんてけせぶせぷせぷ。
上下上下上下と。
なんともせわしないものである。
さながら、ロデオのミニジェットコースターとでも言ったところか。
「これでは乗馬ではなく、金魚に遊ばれているだうぷぶ」
ミラルは振り落とされないだけで精一杯だ。
「きゃっほーい」
エルフィールは喜びいさんで、あちこち横に走っている。
若いから順応性があるからか、ミラルもこれは楽しいと思う。
ジョルディーは最初からぐったりしている。乗り物は苦手である。
それでも、五分もすると、一行は難なく金魚を走らせ、砂海を駆ける。
けれども、どこまで行けども、陸地は見えない。
一時間もすると、一行はすっかりうなだれてしまう。
船酔いなんてものではない。世界がぐるぐるしている。
休もうにも、周囲はすべて砂海である。
「ゆっくりと進もう。しばらく休憩だ」
ガルデバルデの機転で、一行は速度をしぼる。
ゆっくりと進む金魚の背で、ぐったりしている一行。
エルフィールだけが、まだ周囲を走っている。
「や、野生児はいいわね、え」
ミラルの憎まれ口もうまくいかない。
と、向こうから金魚に乗った人が来る。
「他の漁師ですか」
「それならば一馬というのは変な話だ」
向こうから来るそれはエルフである。
「エルフィール?」
向こうからエルフィールが来るのが見て取れる。
ミラルは目をこするが、それはやはりエルフィールだ。
ミラルの横にもエルフィールがいる。
「蜃気楼の類ではないな」
ジョルディーはエルフィールにそう言うが、ジョルディーは、はっとする。
エルフィールがきょとんとしてる。
エルフィールの目の前で止まった女性はエルフィール。
一行の横にもエルフィール。
「エルフィールが二人?」
ミラルが変な声でそう言った。
「母さん」
エルフィールはどことなく、おしとやかな声でそう言う。
「え? お母さん?」
一行には同じように見えるが、それはエルフという種族的なものかも知れないとミラルは思う。
髪型とか、そういった細かいところではない、なにかが、このエルフには共通しているようである。
砂海に波紋があり、それは二人のエルフのあいだにあるものであった。
「そういえば、こちらのエルフには、気品とどことなく、静かな雰囲気があるなえてて」
そう言うジョルディーの頬(ほほ)をエルフィールがつねる。
「夢じゃない」
「自分の頬つねろよ」
涙目でジョルディーが言う。
リンと鈴が鳴る。
いや、それはフィルフィルフィールの言葉であった。
「ひさしぶりね、エルフィール」
フィルフィルフィールはそう言うと笑う。
まるで、始めて花が咲いた時のようだと、ミラルは思った。
一方のエルフィールを見ると、そちらは泣いているのか笑っているのか解らない顔だ。
ミラルは多分、喜んでいるのだろうと思った。
「えーと、紹介してもらえるかな」らいでんがエルフィールにそう言う。
「こちらは母上の……」
「フィルフィルフィール。よろしくね」
一行はそれぞれあいさつする。
フィルフィルフィールは布を巻いた華麗でそれでいて、質素な着物を着て、長い髪は、それだけで芸術のようにたなびいている。
エルフは美麗が多いが、それにしてもその綺麗さは一段とあるように一行には思えた。
おしとやかな口調は、エルフィールとは確かに違うようであり、その違いは、エルフィールと旅をして来た一行には、いくつも見てとれた。
「母上、どうしてここに?」
「旅をしていてね。ここには旧友に会いに来たのよ」
「せっかくの対面のところすまないが、世界の果てを知りませんかな」
らいでんはいつもの落ち着いた口調で聞く。
エルフィールは気もそぞろにフィルフィルフィールに触れている。
「それは知りませんね」
ハイベルは別段、それが意味のある言葉であることが見てとれた。
「エルフィール。あなたがン百年生きてんなら、お母さんの年は……はっ殺気」
ミラルはフィルフィルフィールの笑顔に怒りマーク付きにちょっとびびる。
「聞いてはいけないこともあるわよね」
「は、はひ」
後退るミラル。
けれども、ミラルはフィルフィルフィールには、なにかあるべき積み重ねられた正しき時間を感じるのだ。それは魔法というよりは、直感に近いものだ。
ミラルはジョルディーを見る。ジョルディーは無言でうなずいた。どうやらなにも感じないらしい。
悪い人ではないようね。
一行は静かに話ながら、また歩き出すことにする。
「母上には、天気が良くて、お元気でしょうか」とエルフィール。
「なに、たどたどしい。家出娘が何十年ぶりに母親に会うわけじゃあるまいし」とミラル。
「あ、ああ、う、うん」
うわー、そのまんまあたりか。
ミラルはあきれていたが、それからエルフィールを苦い目で見る。
そこにはどんなドラマがあり、道があったのか。ミラルの心に魔法の波紋がたなびいた。その場では、フィルフィルフィールだけが、その波紋に気づいた。
旅の話を母にするエルフィール。
エルフィールがふいに笑顔になる。
それはミラルの知る中で、最高の笑顔だっただろう。
一行はゆっくりと進む。
ちょっと遅れて、エルフィールとフィルフィルフィールが着いて来る。
ふいに、ミラルには、エルフィールとフィルフィルフィールの二人に、風の精霊が舞い踊る姿が見えた。目をぱちくり、もう一度見てみると、それはなにか蜃気楼のように消えてしまっていたのだった。
エルフィールはそれまでの旅のことをフィルフィルフィールに話している。
「なるほど、それで螺旋竜を探しているのですか」
フィルフィルフィールが聞いた。まるで言葉に精霊が波紋するような、透き通る声である。
エルフィールはちょっと考えて、それからミラルに聞く。
エルフィールはそう言うと、フィルフィルフィールを見る。
うなずくフィルフィルフィール。
エルフィールはなんとなく、いい気分であった。
一行は進む。
フィルフィルフィールが来た方向へ。
フィルフィルフィールとエルフィールは笑いながら進んでいる。
意外と仲いいなあと、ミラルは思った。
ごがん。ごご、ごご。
岩石、護岸。
砂海から、大小の岩が空へと上がって行く。
さらに別の巨岩が砂海から出でて、流れて行く。
「これは……」
ミラルがため息混じりにそれを眺めている。
「砂海はあらゆる性質の岩石が生まれ出でる場所なのです」
フィルフィルフィールはそう言う。
精霊使いであるエルフィールには、ある種の精霊が生まれ出でるのが見てとれた。
四大四柱精霊のひとつ、それは石の性質精霊の断層であった。
「うわっと」
金魚が眼前の岩を砕いている。
「シーサーペントはここで硬すぎる岩を砕くためにいます」
フィルフィルフィールが言っているのは、金魚のことのようだとエルフィールはしばらく考えて思った。他の仲間はすぐにわかったけれども。
ごがんごががん。
周囲の岩石が固まっていく。
たちまち、金魚と、そのライダーたる一行の足は岩に覆(おお)われ、一行は岩石にその半身が埋まる。
砂海はそのすべてを硬い岩へと変わっていく。
世界を横断するようにある砂海のすべてが固まる。
その砂海岩の紋様を空から見た形は竜。
それは形だけでなく、世界の自然たる精霊竜の一角、地竜そのものであった。
その強大な地竜の精霊の力にエルフィールは身震いする。
エルフィールとフィルフィルフィールの体が淡く白く光る。それほどの精霊の力。
風の精霊が空を幾重にも舞う。
まるで透明のカーテンが幾重にも舞っているようであった。
「風の精霊が見える?」
ミラルは空を見上げてそう言う。
ジョルディーたちも空を見上げる。
ミラルは美しいと思うが、魔法使いたる自分にも精霊が見えるということは、かなりここの精霊の力が強くなっているようであることが見てとれた。
それは他の仲間にも共通することであった。
誰にでも見えるほど、精霊の力が爛々と輝いていた。
「これは……精霊竜?」
エルフィールがいぶかしい声をあげる。精霊使いたるエルフィールには、なにかわきあがるものがあり、それほどのものは、精霊竜であるように思えた。
「そう、この砂海すべてがひとつの精霊竜。そして、その竜はいま、固まり、砕け散る壁となろうとしています。硬質化した自然はうなりを上げていま、その世界さえも砕こうというのです」
フィルフィルフィールは目を閉じてそう言う。
ミラルは半信半疑だ。魔法使いは実証を常とする学問の徒。それでも、ミラルがいくら考えても、この事態が変わるようには思えなかった。それならば、フィルフィルフィールに聞いてみたいことがあった。
「それは自然の構成が崩れることを意味しているのではないでしょうか。精霊がその存在とする空間である自然を砕くようなことをするなど、聞いたこともありません」とミラルは言った。
フィルフィルフィールはうなずく。
「そう、これも螺旋竜の異変によるものでしょう。このままでは、世界の地表はすべて固まり、終いには、この星が砕けてしまうでしょう。さて、エルフィール。精霊法でこの集まる岩盤を砕くことが出来るかしら」
フィルフィルフィールは笑ってそう問う。それはまるでいたずらっ子のようだが、エルフィールとは違い、なにやら品位さえ感じるから変なものだとミラルは思う。
ミラルはうなずくと固まりつつある水平線を見る。
砂海はどこまでも、水平線、いや、地平線の彼方まである。そのすべての自然に思い描き、反映することなど、精霊使いとは言え、自分には無理なことに思えた。
ミラルが経験や知識に照らして考えた末であるのに対して、エルフィールのそれは、直感によるものであった。
「そうですね。ミラルさん、魔法で出来るかしら」
フィルフィルフィールの言葉にミラルはうなずくと、詠唱を始める。
けれども、杖はなにも思いの鏡たり得ない。
まるで、杖という水面はミラルの詠唱に波紋しないのだ。
「これはいったい……」
「ほいほいほーいミラルねえさん、そんな時はこれでやしょ」
バルディは木の杖を取り出す。
それはずいぶんと小さなものであるが、杖には違いない。
エルフィールがしげしげと眺めている。
「ふーん。いいものだな」
「でがしょでがしょ、そうでがしょ。いまだったらお安く……」
「ていっ」
エルフィールはバルディの持つ木の杖の精霊を解き放つ。
木には葉が繁る。
生命の息吹が放射する。
「ああっ、あねさんなにすんでやすか」
エルフィールはバルディのふところから、布袋を取り出す。
「それはこのあいだの報酬でやすよ」
「私たちの分もあるだろう」
「エルフィール」
エルフィールがフィルフィルフィールに向きあう。
「精霊濁流が各地で起きています。あなたも遭遇したと言っていたいくつものこと。精霊の木の異変。三騎のバルキリー。精霊の元流、幾重もの精霊竜を束ねたるは螺旋竜。それは自然そのもの。四季は宴、雨季は大地と空の橋。いついかなる事柄も、それは地平より出でて、地平へと帰ることの意味。崩壊は秩序ではなく、それは自然が歌う夢と邂逅の永遠。世界、冥府魔道、冥界の女神から聞いたことがこの一端であるならば、あなたならばどうしますか」
「え……、でも、私にこの強大な精霊を……」
とまどうエルフィールに風が吹いた。精霊の風。それは春と名乗った巨大な木の精霊から感じた風。
なつかしい風にエルフィールは眼を閉じる。
−−私の友人が世話になっているようだね。
あなたの友?
−−そうだ。彼はずいぶんと意地っ張りでね。古代の賢者との約束をいま、我々は精霊使いたるきみに答えようじゃないか。いまこそ、我々の力を使ってくれたまえ、エルフィールくん。
エルフィールに春の精霊たる、木竜(ウッドドラゴン)の力が飛来する。
透明な竜がエルフィールを包み、そして、エルフィールの胸に光る玉が輝き、エルフィールは両手をその光りにそえた。
精霊木の力をエルフィールは得た。
眼を開くエルフィール。その顔は、実に清々しいものだった。
「そう私なら、こうするかも知れない」
「エルフィール」
ミラルがいつになく、不安そうな声を出す。
「心配するな。だいじょうぶだいじょうぶ。心は平安に眠る波紋。強くやさしく、勇気を持って進もう」
そう言って、それから、「ハイベル!」と言ってからエルフィールは詠唱を始める。
ハイベルは魔剣を抜くと、地にうがつ。
岩石は砕け、エルフィールは動けるようになる。
走り出すエルフィール。
とは言っても、周囲の砂海は固まり続けている。
動く大地は、とても歩けるようなものではない。
「ジョルディー!」
エルフィールはジョルディーに跳び蹴りする。
ジョルディーは両手でエルフィールの足をとらえ、投げ飛ばす。
エルフィールは空中に人魚のように舞う。
「精霊招霊(せいれいしょうれい)バルキリー・ヴァルキュリア!」
エルフィールの周囲には、バルキリーが三騎。
エルフィールのいる大地は闇の波紋ののち、暗くなり、色彩は色を潜(ひそ)める。光りの空と暗闇の大地に立つ時。
バルキリーはエルフィールの周囲を流転しながら色彩と舞う。
エルフィールがゆったりとした淡い光りに包まれる。
精霊変化。
一騎のバルキリーがエルフィールの服を光にすると、バルキリーは透明な鎧となりて、もう一騎のバルキリーは眼鏡をかけてあげて、もう一騎のバルキリーは風の精霊が長い旗に飜(ひるがえ)る矛(ほこ)を手渡す時、エルフィールの髪は太陽の光りによって、虹色に輝き、そして準備万端となる。
三騎のバルキリーがエルフィールを受け止める。
そこはミラルの前。
三騎掌打。
しゃん。
しゃん。
しゃん。
三っつの矛が鳴る。
三騎のバルキリーたちが矛を打ち鳴らす。
そのひと打ちに暗い大地に雷鳴が轟く。
雷鳴天舞。
百花繚乱。
舞踏天女。
ミラルに精霊具たるその花風を散らす。
ふよふよん、と、花の風はさらに強くなり、花嵐がミラルの周囲を巡り踊る。
花風が過ぎると、暗い世界はその色彩を取り戻していた。
「これは、風?」
ミラルは風を感じた。
それは、空エイの上で感じた風だった。
−−こんな若造どもに任せていいのかい。
地竜はフィルフィルフィールに言う。
「時代は変わります。それは、新しい息吹によるものでしょう。あなたも私もすでに古い息吹に違いありません」
−−そんなものかね。
「そうですよ」
フィルフィルフィールは一人そう言う。
そんなフィルフィルフィールを、ジョルディーは眺めていた。
ミラルは杖を振ると、杖を大地に打つ。
空エイの森がざわめいた。
こおおおお。
杖は千の木々と共鳴すると、光りを放つ。
ミラルの詠唱が、空エイの森林に木魂する。
すべての木々の力がミラルの力を波紋して、それからその波紋はミラルの杖に収束して、ミラルは杖から自然の力を得た。空エイの木々の葉が、ミラルの呪文に共鳴する。
「我が千年はこの木々のざわめき。揺らぐ葉は万年の蓄積。かすらうまう、風は地の鍵となりて、地竜となる。出でたる栄華は北東と北西のあいだ。時間は自然の中に眠り、そして起きている時。その力は無限の広がりを感じて、それはこの杖たる一本の木にも似て。大地の竜だけではない、空には空の、木には木の、水には水の竜がいる。世界に名だたるその竜々(りゅりゅ)、世界竜たる螺旋竜にも、自然竜たるそのすべてに、この杖を魔導という扉の鍵として、いま、呪文をうがたん」
地殻が動明する。
感じる。
ミラルの杖の先には、星そのものがあった。
「これが地の理(ことわり)」
フィルフィルフィールの言葉に、ミラルはうなずく。
ミラルは詠唱を解放する。
「ゼ、ラグラ、ゼトゥース」
烈火烈帝。
流浪流転。
封叡風土。
ぎいんぎいんぎぎいん。
遠く、どこかの空で、空エイが声響かせる。、
ミラルの杖たる空エイは、そのすべての木々を響かせ、その力はミラルの手に集約する。
ミラルの手が光った。
光りが、希望の剣が、あった。
ミラルの手に。
横にはエルフィールとジョルディーがいる。
三人は希望の剣を持っていた。
希望の剣は三本となり、三人はそれぞれの希望の剣を砂海たる地竜にうがつ。
闇の地平が波紋して、暗闇の大地は光り得て、砂海となる。
「砂海は地殻の循環となり、それ自体が地竜」
フィルフィルフィールはそう言うと両手を円描いて交差する。
らいでんが横でなるほどと言った。
ダミエールが曲を奏でていた。
固まった砂海の大地から岩山が出て来る。 それは巨大な山であった。
山は空へと上がって行く。
その円形の姿は。
「金魚?」エルフィールは素っ頓狂な声で言った。
それは岩の巨大な金魚。
星の卵から出でたる魚。
星卵星魚。
月下月魚。
月々星々。
それは空へと上がり、月がひとつ空に増えた。
「綺麗だな」
エルフィールが新しい月を見上げてそう言う。
一行はしばらく空の金魚月を見上げる。
どこまでも澄んだ空に淡い月。
そして、砂海には固まった道がひとつある。
「ここを歩いて行きましょう」
フィルフィルフィールの提言に、一行は歩き始める。
「精霊竜のひとつ、地竜。それは螺旋竜のひとつ。それを解放したのです」
フィルフィルフィールはそう言う。
「春という名の木竜(ウッドドラゴン)と地竜(ガイアドラゴン)の解放。あとは空竜(エアードラゴン)と雷竜(サンダードラゴン)と炎竜(フレイムドラゴン)か」とらいでんがついで言った。
「知っているのですか」とミラル。
「いや、勘だよ」とらいでん。
「伝承の詩はそれを歌っている」
ダミエールはそう言ってから、ちょっと明るく、それから暗い調べを弾いた。
「そうだな。多分な」とジョルディー。
「それを神々は知っています」とハイベル。
「商いの臭いがするよ」うししと、狡猾そうな顔でバルディは笑う。けれども、慣れたいまは愛嬌さえ感じるから不思議なものだと、ミラルは思った。
エルフィールはその会話の意味はわからなかったが、この道を行けば、その答えがあることだけは、なんとなくわかった。
一行は歩き始めた。
−−星の地平線をひさしぶりに見たよ。ありがとう。
「それはこの子たちに言う言葉でしょう」
フィルフィルフィールは笑ってそう言う。
エルフィールはちょっと不思議そうに、フィルフィルフィールを見ていた。
風がなびいた。
精霊の風が。
それは竜の子守歌。
それはこれから始まる旅の行方。
方位脈々。
流移方角。
道程方々。
道の遠くに木々が見えた。
一行はそこへと歩く。
「フィルフィルフィール」
ミラルがフィルフィルフィールの横にいた。
「あなたは賢者ですか」
「そうです」
フィルフィルフィールは静かに答えた。
道はまた砂海に戻りつつあった。
一行は早足で歩く。
エルフィールがつまずいた。
フィルフィルフィールが抱きとめる。
「いい仲間に出会いましたね」
エルフィールの目に光るものを、ミラルは見ていた。
風が吹いていた。
続
第二十二話 月夜に舞うは風の精霊たり得ても、エルフィールは影と舞う夜(よ)。
夜が来る。
それはひどく暗く、そして、見た者を光りの世界へと連れ去るという。
一行は森の中を歩く。
太陽は空の真上にあり、爛々と輝いている。
木々の葉は無く、大地には、一面の紅葉した葉の絨毯(じゅうたん)が続く。
風が寒いと、ミラルは感じていた。
枯れたような色合いの大小の木々の迷路を歩く一行。
木々の連なりは、遠近法をまどわし、進んでいるのか、戻っているのか、錯覚すら覚える道だ。
木々の枝々が、複雑な幾何紋様を描き、それは芸術と言っていいものであるが、一行は歩き疲れ、それを眺めているでもなく、黙々と歩いていた。
一行はそれぞれ袋から布を取り出す。これは麻で編まれたもので、均等に編まれていて通気性にすぐれ、砂漠では日差しを抑え、寒い夜には暖を取るすぐれものでマントの上にさらに肩かけた。
「ラギアースもいいもんくれんじゃないか」
エルフィールは寒い息を吐きながら、そう言う。
足を止めず歩きながらの会話だった。
「あの街では、立地的に貴重な物のようだ」
らいでんはそう言うが、このくらいのものがと、エルフィールは良く分からなかった。
ミラルがエルフィールの肩を杖でこづく。
「感謝、感謝。感謝の気持ちが大切なのだよきみ。平和な時間は毎日の挨拶から。わかっとるかねえきみい」
がつん、と、どたまぶつけて、エルフィールがミラルに「おはよお」と言った。
「よ、良く出来ました。息臭いから、のけてくれる。昆虫なんか食ってるからよ」
「うっせえよばあか」
エルフィールはどかどか歩いて行く。
「酒くれよ」
ジョルディーの懐から酒瓶をかすめるエルフィール。
ジョルディーがあっと言う間も無く、飲み干す。
空っぽの酒瓶を逆さにして、ジョルディーが涙目で、一滴舐めた。
「くあーっいい気分だぜ」
真っ赤になったエルフィールを見て、ミラルが変な顔をしている。酒に強いエルフィールが、一本の酒瓶で酔っぱらうとは。
「ラギアースがくれた酒だな」
らいでんは自分の酒を舐めて、うなずく。
「87度はあるな」
「なるほどお」
ミラルはうなずく。
それは疲れがあったからかも知れない。エルフィールはほろ酔いで言う。
「なんらけろ。そこらへんがいくつにも見えるらろ」
ふらふら歩くエルフィール。
木々の根に足を取られ、すっころぶ。
そこを、ハイベルが抱える。
「神々のご加護を」
ハイベルはそう言うと、エルフィールを担いで歩く。
どれくらい歩いただろうか。ひょっとエルフィールはハイベルの肩から降りると、ひょひょっと、木々をケリ、枝に座る。それはかなり高いところにあった。
「お猿さんですかあんたは……」
呆れ顔で、ミラルはつぶやいた。
「そうかもね知れませんね」
おほほと、フィルフィルフィールが笑った。
エルフィールは木の実を投げて来る。
それは堅い実ではなかったが、拳くらいのそれは放物線を描いて来る。
ばちこん、と木の実に当たったミラルが、「あうちっ。……あなたの娘さんは、とてもいい大人になりました。手に負えないくらいにね」と泣く泣く言った。
フィルフィルフィールがミラルの顔に触れると、痛みはやわらいだ。
それは魔法のようでもあったが、単に手がひんやりしているようでもあった。
「エルフィールならではだな」
ジョルディーがそう言う。
なんだか笑っているジョルディー。
ミラルはちょっとそれは不快そうであったが、仲間は違うらしい。
「大技だな」とハイベルはエルフィールを称え「くだらんな」とダミエールは静かに言った。
「曲芸を始めたら、たんまり稼げるでやすなあ。いやこれはほんとにねえもうええそうですとも」
けけけ、と、バルディはいつもの狡猾そうな笑顔で笑った。
はっと、バルディは殺気を感じる。
暗い空を見上げるバルディ。
バルディはエルフィールに抱き上げられた。
じたばたするバルディ。
「うききっ。かわいいじゃないか」
頬ずり。頬ずり。
「姉さん姉さん。だんな、だんな」
ジョルディーはさっさと歩いて行く。
「後生ですだー」
バルディの声が響いた。
大きな岩が幾つか入り組み円を描いている。
木々はカーテンのように周囲を覆っているが、空には月があることがうっすらとした光りで見てとれた。
今夜はここで休もうということになり、一行は腰かける。
岩と草地にそれぞれ腰掛け寄り添うように座った。
エルフィールの両脇はジョルディーとダミエールが占める。
一行はそれぞれ食事を取る。
旅の途中のため、ちょっとしたものだが座るだけでもずいぶん休息になった。
ミラルはフィルフィルフィールの横に座り、話している。
穏和そうな雰囲気がフィルフィルフィールにはあり、それだけで癒されるようだとミラルは思った。
ミラルは話しを聞いてほしいと言って、フィルフィルフィールがそれにうなずいた。
「なぜ戦うのでしょう」
「それは敵がいるからではないでしょうか」
フィルフィルフィールは簡潔に答えた。
ミラルはうなずく。
「では、敵とはなんでしょう」
「利害の対立、剣の響き合う音、自由への渇望。けれども、意外と気が立っている時に目の前にいるだけなのかも知れません」
ミラルがうなずく。
エルフィールがケッと酒をこぼしながらフィルフィルフィールとミラルに悪態をつく。
「斬る時に斬る。それだけだ。なにを思うことがあるものか」
そう言って、エルフィールはまた飲んでいる。
フィルフィルフィールは左右に首を振って、ほっときなさいという合図。
ミラルはうなずく。
「では、魔法とはなんでしょう」
さらにミラルがフィルフィルフィールに聞く。
ミラルがこうも人に質問することは珍しいことであった。
幾ら魔法使いが真実の探求をその生業(なりわい)とすると言っても、それはやはり技術的に追い求める部分が多くまたミラルはそういった問いかけよりも、旅を選んだ者である。魔法技術よりも世界を見ることがミラルの懇願(こんがん)したことであった。
フィルフィルフィールはうなずくと、ゆっくりとこう言った。
「魔法が精霊の歌であるならば、それはずいぶんいいものに違いありません。けれども実際にはかなり人によって造られたものであると思います。なにが真実かを求めることは精霊には無い言葉なのです」
ミラルはうなずいている。そこへ、またエルフィールは茶々を入れる。
「なんだかなあ。精霊が力を使えって言ってるから使うそんだけのことだよ。もうそんだけ」
そう言ってから、かっかっかっと、エルフィールは笑った。
ミラルはエルフィールを気にせずにさらに聞く。
「では、魔法と精霊とは、どのような関係なのでしょうか」
「いけません」
フィルフィルフィールはかぶりを振る。
「それは誰もたどり着くのことのない、世界を構成する一柱のことわりのひとつであり、それを解くことはこの空を持ち上げるに等しいことなのです。無理をしてはいけません。無茶をするならお茶を飲みなさい。けれどもそれは世界の葉をしげらすこととは違うのですから」
ミラルとフィルフィルフィールは話している。それをつまらなさそうに突っ込むエルフィール。
ジョルディーたちもなんだか地形についてらいでんと語らっている。
わきあいあい。
一行は団欒の時を迎えていた。
風が舞った。
それは心地いいものだとミラルは思った。
涼しい風。
その風が一瞬強まった。目を閉じた一瞬のこと。
と、突風のようにあらわれた竜にミラルがつかまれ、それはすぐに点となって見えなくなる。
「あれ、なんだ」
と思う間も無くエルフィールたちも竜もつかまれて飛んでいた。
長い腕にマントのような翼をひるがえして竜は空を滑空する。
風が気持ちいい。
ジョルディーは涙目で高速なる空と大地と遙か先の地平線を見る。
それは月明かりに照らされてとてもいい景色である。
「これはワイバーンとか飛竜とか呼ばれる類の、比較的移動に使われたりする低流なドラゴンだな。あまり高等なクラスじゃない竜だ」ジョルディーは余裕でそう言う。
「そんなこと言ってる場合か」
エルフィールはそう言うと精霊をその影たる言葉を詠唱する。
破壊の言葉は、けれどもなにかの風にかき消される。
その風の主がエルフィールの前に現れてこう言うのだ。
「おっと、待ってくれ。そいつらは助けてくれたんだよ。とても気のいい連中なんだよ」
その声の主はドラゴンである。
一際でかいというか腹が太ったドラゴンである。
一行を運ぶ飛竜たちはゆっくりと羽ばたき一行は一息つくことが出来た。
「おい、なんだこれは」
エルフィールが飛竜につかまれながら愚痴る。
ミラルが驚いたようにこう言った。
「ちょっとこれはワイバーンレッドドラグーン。陣赤竜(じんあらわん)とも言われる、高等竜。偉大な存在の一端。世界を運ぶと言われるその翼は自由の象徴です」
「こんなデブ竜がか?」
エルフィールは懐疑的だ。
デブ竜もといワイバーンレッドドラゴンはゆっくりと話す。それはまるで空間がふるえているようであった。
「竜に高等も下等も無い。それは人の言うこと。竜の名は世界の四大精霊、五大魔法の陣形たる流れ。この子たちはおまえさんたちを助けてくれたんだよ。そうそういい連中なのさ」
ワイバーンレッドドラゴンはそう言ってから、うなるようにぐるぐるとうなった。
「けっ、ドラゴンが何様だ。なんだったら、この精霊が黙ってないんじゃないか。あら?」
エルフィールの周囲にはバルキリーはいない。
まるでそこに危険は無いかのように。
「このばかエルフ、いえ、エルフィールというこわっぱは気にしないで下さい。それでこれはどういうことなのですか」
ミラルは丁寧に聞いた。
ワイバーンレッドドラゴンはうなずく。
「あれだよ」
一行を持つ飛竜たちは速度を落とす。
風斬り音はひそやみ、速過ぎた一行に追いついたように音が聞こえた。轟音。轟音が響く。
それは大地が軋み、歪む音であった。
それは何度も何度も、世界が砕けんばかりに鳴り響き、一行は耳を塞いだ。
その轟音は空気の振動というよりも荒風のように吹きすさんだ。
エルフィールたちは後ろを見る。
岩山がすごい速さで近づいて来る。
追っかけて来る岩山といったら空まであるのだ。エルフィールはあまりのことにびっくりしてしまった。
「なんだありゃ」
エルフィールの声は轟音にかき消される。
飛竜は羽ばたくと、一気に迫る岩山から距離を取る。飛竜のほうが速く移動出来るようであることに安堵するエルフィール。
轟音の風から抜け出る一行。
風は冷たいがそれは逆にいまの一行には心地いい風であった。
「なんだあれは」
エルフィールがワイバーンレッドドラゴンに聞く。
「あれはオライオン。世界を支えていた一柱たるは羅漢(らかん)たる巨人族の末裔(まつえい)。古き民の面影残す唯一の光り」
「巨人?」
エルフィールたちは空を見上げる。
空には雲に隠れて顔は見えないが腕が左右に振られている。
下を見れば確かに足があり歩いている。
「なるほど、そうなのか」
エルフィールは納得する。
「いやに素直ね」
「私も長い旅でいろんなことを見て聞いてそして考えて来た。それで解ったんだ。そう、長い者には巻かれろ、と、な」
「それ違うから間違ってるから冗談じゃないから」
エルフィールとミラルのコントにワイバーンレッドドラゴンが横やりを入れる。
「私たちはオライオンの前を行き、幾年幾月行くべきその道を探して来たのです」
なるほどとミラル。
ハイベルがワイバーンレッドドラゴンに聞く。
「それにしても、お顔がすぐれないようだ」
「ドラゴンに表情なんてあるのか?」と言うエルフィールの言葉は誰も気にも止めなかった。
「それはオライオンのことを考えると現れる暗雲たること。オライオンはいくつかの自然の支柱。けれども神々は勝手惨憺たるオライオンを雲にでもしょうと言うのです。これには我らは閉口してしまいました。自然は自然あるべき時に風は歌うというのに」
「神々はいつも賢明です」
ハイベルはそう言うに止まった。
「なんとか出来ないのか魔法使い様よ」
エルフィールは投げやりにミラルに聞く。それは頼りにしているのだがエルフィールが素直でないのは誰の目にもあきらかだった。それに気づかないミラルを除けば。
「魔法は万能で無くまた安易に使うものでもありません。それは精霊とて同じことでしょう? 賢明なる精霊使いのエルフには分かるでしょうけれどもね」
ははははんとエルフィールは鼻で笑う。
「ははははん。そうそう精霊は自然そのもの。いつどこにいても私たち精霊使いは自然を感じることが出来るものだ。魔法はそうではないようで大変だな」
ミラルは負けじと答える。
「魔法は世界の理(ことわり)そのものです。それを使うということは世界を変えること。それがどれだけ重い意味を持つのか、あなたか理解することは無いでしょう」
「はん。わからないね。そんな頭の堅い連中といたら、へそで湯が沸くよ。ぴーとね」
ぎがーんどがーんぎがぴしゃーん。
「な、ん、で、すってえ!」
「な、ん、だ、よ!」
イナズマが二人のあいだを行き来する。
ジョルディーがやれやれとため息をつくとダミエールが曲を奏でた。その音楽に踊るカーバンクルはエルフィールとミラルの目の前をくるくると回転する。
エルフィールとミラルの目が丸い流線を描くとぐったりする二人。
二人とも目を回してしまったようだ。くてーんとなって目が回っている二人。カーバンクルは楽しそうに、くーと鳴いた。
「私はジョルディーと言います。ワイバーンレッドドラゴン。助けていただいたお礼をしたい」
ジョルディーはそう提言する。
「神々はあるがまま自然のまにまに生きることを望んでいます」
ハイベルのその言葉はジョルディーの意見に同意のようであると、ジョルディーたちは受け止めた。
「いい曲が出来そうだ」とダミエール。
「伝説の巨人を調べてみたかった」とらいでん。
どうやら一行の意見は決まったようだ、まだ争っている二名を除いて。
「なぜ神々はオライオンを雲にすると言うのですか」
ハイベルがドラゴンに聞く。
「それはオライオンが……いけない、風の重力が来ます」
「それはなんですか……」
問うミラルの言葉は強風に途切れる。
一行は前からの強風によって後ろ手のオライオンの方に飛ばされる。
飛竜たちはくるりと方向転換してこの風を受け止めオライオンという巨体への方向を舵取る。
迫るオライオンの岩の巨体へと着陸態勢に入る竜たち。
粉塵が舞う。一行と竜たちはオライオンに叩きつけられた。なんとか不時着にはなったが、それでも相当な衝撃であった。
エルフィールは頭を振りながら起きあがる。
そこはその大地はやわらかい砂であり衝撃を吸収したようであった。
エルフィールはぎょっとする。
遙か地平の先に大地が見えている。
エルフィールたちはオライオンという岩の巨人の上にいた。
そこはどこか別の惑星の上にいるようでいて、遠くから歩く時の振動がわずかに伝わって来た。
エルフィールが横を見ると遙か地平線の先に本来の大地がある。だがその方向に引っ張られることがない。なんとも変な感じであるとエルフィールは思った。
「オライオンにはその巨体を動かす力の精霊がいるのですが、それが強力な風の重力となって近づく者を捕らえてしまうのです」
ワイバーンレッドドラゴンが座り直してそう言う。
「どうやってここから脱出するんだ」
楽器を確かめたダミエールがドラゴンに聞く。
「いま羽を休めています。私たちには数日がその回復を意味するのです」
竜たちは羽を広げて首を長くして寝そべっている。
エルフィールが歩き出す。
「どこへ行くんだ」とジョルディー。
「散歩」
「それじゃ同行しょう」
エルフィールとジョルディーが歩き出す。
「お呼びしますのでその時は帰って来てください」
ワイバーンレッドドラゴンがそう言って見送る。
一行はうなずいてそれから歩き出す。
空へ向かってエルフィールとジョルディーは歩いていた。
どれくらい歩いていただろう。
空からなにか黒いような白いような灰色のような靄(もや)のようなものが来る。
一瞬で視界が白くなる。
瞬きするエルフィール。すると視界は元に戻っており服はびっしょり水に濡れていた。
「どうやら雲のようだな」
ジョルディーも濡れ鼠(ねずみ)だ。
後ろを見れば白い雲が離れて行くのが見て取れた。
「歩いていれば乾くだろ」エルフィールは意に介した様子は無い。
「風邪ひくぞエルフィール」
構わず歩いて行くエルフィール。
ジョルディーはマントを脱いで、やれやれと言いながらエルフィールの後を着いて行く。
道は起伏に富んでおり小さな山々がある。オライオンにとってそれは体の窪みなのかも知れないが、エルフィールとジョルディーにとってはそれは歩くのに一苦労なのであった。
いつになく精力的に歩くエルフィール。
ジョルディーの方が息切れするほどであった。
「いやあやっぱり山登りはいいもんだなあ」とエルフィール。
「それはちょっと違うだろう」とジョルディーは苦笑した。
エルフィールが立ち止まる。
ジョルディーが剣の柄に手をかける。
矢が風に舞う。
一、二、三、四、五、六本。
バルキリーが五本までは叩き落とす。
六本目は?
エルフィールはマントを舞わせ矢をはたく。
バルキリーとエルフィールの動きは舞いのようで矢を放った方が感嘆するほどだった。
それから矢は来ない。
ジョルディーは抜刀しない。
殺気が無いと剣は言っていたし、なによりもその場の空気が変わったことをジョルディーは知っていた。
「なにをする。戦いたいのか」
エルフィールが野太い声で言った。
山陰から人影が現れる。
ゴブリンがわらわらと大勢出て来る。
その数は百人はいるだろうか。
腰くらいまでの身長のゴブリンたちは、判に押したようにひん曲がった長い鼻に細く半月の目に細い腕と足。黒いレザーの兜に黒いレザーの鎧。両腕の籠手(こて)には猫がそれぞれいる。あくびしているとこを見ると生きた猫のようだ。小柄だがこれでゴブリンは大人であり、その動きの速さは並ではない。
「ゴブリンか。相手にとって不足無し。我が剣に斬れぬ者無し」
エルフィールはそう言うと、凍てつくような目で抜刀してから走り出す。
「おとっつあん。おっかさん!」
素っ頓狂な声にエルフィールは足をすべらして、山を転がる。
ジョルディーがエルフィールを抱き留めた。
「なんだあ?」エルフィールは頭を振り振り前を見る。
バルディが山を駆けて行く。
抱き合うゴブリンとゴブリン。
見分けつかないから。
感動的な場面であるようだが、エルフィールにはどうでも良かった。
「バルディどけ、こっちは戦ってるんだってのに」
エルフィールは殺気だって言った。
と、エルフィールはぎょっする。
バルディがにやーと笑っている。いや、バルディだけではない、そこにいる百匹のゴブリンすべてが笑っていた。
ざっざっざむ。
足並みそろえて、ゴブリンたちはおじぎした。
「なんだなんだ」
エルフィールはきょろきょろする。
ゴブリンたちは弓をしまうと旗を出した。
その旗は長い棒にはためいていて長方形の四角い旗がひらめいている。
その旗には、いらっしゃいませの文字。
呆気にとられるエルフィール。
「いらっしゃいませ!」
轟音。
百匹のゴブリンの号令のごときあいさつが響き渡った。
百匹のゴブリンの笑顔には判を押したような狡猾さがあるが、すでにここまでくるとお笑いのぬいぐるみショーのようですらあった。
さらに二百匹の猫たちの鳴き声が大合唱のように響く。
バルディがひょこひょこっと両手を振りばたばた歩く。
「あねさん、無礼を許してくだせえよ。村の連中と来たら人のことを魔王の敵くらいしか思っていねえんでやすから困っちまうわー。でもね、あっしは前から言っていたんでしょーよ。人との商売は金になると。そしたらねえ村の連中もそこそこ解ってくれたんでがしょ。いまじゃ商売の村としてその道では重宝されるんでやすよ。ええ、ここには村があってゴブリンの里のひとつがあるんでやすよ。そして、あっしの生まれ故郷でもあるんでやすね。いやねえ親には苦労させましたぜえぜ。それはいけねえことだあな。だからいまは商売の話を持ってはたまに帰省するんでがしょうよ。思えばあっしも長い道のりを歩いて来たもんでがばす」
「そこまで聞いてないから」
バルディの息つぎを待ってエルフィールはため息まじりにそう言った。
「それでやすね、その手にかざしたのっぴきならない気持ちとその剣をあっしの顔を立てると思って、ひいてはくださらねえかねえ。一生の一大事。たのんますですよ、あねさん」
「わかったよ」
あっさりとエルフィールは剣を鞘に戻す。
「やる気が失せたよ、まったく」
しばらく愚痴愚痴言っていたが、バルディが発したここの酒はうまいんでやすよの言葉に、エルフィールは一気にハツラツとなる。
エルフィールらしい。
ジョルディーは苦笑してからそれから良かったと言った。
いまや先頭を歩いて行くエルフィール。
岩山を登ると山の向こうその麓(ふもと)にはゴブリンの集落がある。
木の家々がそこかしこに乱雑に並び、そこでゴブリンの女子供がいるのが見えた。
木の高い塀にあるでかい木の門を通りゴブリンの村に入るエルフィールたち。
そこかしこで牛などの家畜やさらに村の奥には畑がある。
見たことのない家畜や畑の植物にミラルはバルディを質問攻めにしている。
バルディはそれにひとつひとつ丁寧に答えている。
土の道はせせこましい感じだが荷車が通るように色々配慮されているようである。たとえば車輪用の狭い石道が四本、村の大きな道を横断している。
村の奥には飛竜が羽ばたき、その背にはゴブリンと荷物の山。
家は丸太を縦積みしたもので屋根も丸太を斜めに積んだものだ。
エルフィールたちは看板が示す宿屋の中に入る。
作りは小柄だが中は酒場となっており二階が宿のようである。
カウンターからバルディが酒を持って来る。
丸い木のテーブルを囲んでバルディとエルフィールとジョルディーが座る。
エルフィールは酒を一気飲みする。
「かあーっ、これはいけるな」
「村自慢の果実酒ですよあねさん。グムグムの木はゴムの材料にもなってとてもいい木なんですよ」
「そうかそうか、おかわり」
「あねさん高いんでやすよ」
バルディは渋っている。
「どうぞ」
バルディではない一匹のゴブリンが酒瓶を傾ける。
「これはすまない」
エルフィールはグラスに酒をもらう。
「荒い歓迎になってすまないな。私はこの村の長をしている者だ。ちなみに大富豪だ」
「聞いてないって」
酒に酔って、へべれけになっているエルフィール。すでにかなり飲んでいる。常人なら倒れている量だがエルフたるエルフィールは、けれどもエルフだからではなくただの馬鹿な奴ならではの後先考えない飲みっぷりであった。
「こんなとこに村作るなんてえひっく、なんでやねん」と酔いまみれのエルフィール。
「商売のためにこうしてるのかな」
ジョルディーが村長に聞いた。
「いや村は地上にあったがオライオンが一万年前に目覚めて、そうしてからこうなっているんだよ」
くるっとゴブリンの村のゴブリンの村長はジョルディーを見る。
「なにか?」
「もっと飲みな」
酒の木のグラスを差し出す。
「いや、もうずいぶん飲んだ」
確かに強い酒をジョルディーは五杯も六杯も飲んでいた。けれどもゴブリンの村長はかぶりを振る。
「男だろ。金玉付いてんだったら、このくらい飲むんだよ。それがレディーに対する礼儀ってもんだ」
「うむ、同意見だな」エルフィールが無責任にうなずく。
それからエルフィールは「このゴブリン女なのか?」とバルディに聞いた。
「もちろん、村でも一番の美人でやすよ。若いんでやすよ。ちなみに名前はシルフィア」
バルディはそう言ってから、けらけらと笑う。
どう見てもエルフィールにはシルフィアは美人にも若くも見えなかった。いやゴブリンはどれもゴブリンに見えた。
「旦那あ、苦い顔してこの手の人、アラルディンク様みたいなのは苦手でしょう」
ジョルディーはバルディにうなずく。
それからジョルディーは酒を一口飲み、真っ赤な顔から丸い煙がぽんと出た。
ふらふらしてからテーブルにつっぷしてしまった。
「最近の若いやつあ元気がないねえ」
バルディとシルフィアはけらけらと笑った。
エルフィールもまったくだと笑った。
「オライオンはどこへ歩いているんだ」
エルフィールがさらに飲みながらシルフィアに聞く。
「わからないね。オライオンは神々の盾。けれども長い眠りから覚めた時オライオンは歩き出した。神々は止めようとしたが世界の盾たるオライオンに効く剣を神々は持ってはいなかったんだよ。それは竜とてそうだけれどね。けれどもね竜のやつあオライオンが好きだったから、その周囲を飛びその歩行の手助けをしてるのさ。この村へもね助けてくれたりするのさ」
「ぷはあっおかわり」
まったく聞いてないエルフィールは次の酒を注文する。
一曲歌うよ。そう言ってからシルフィアは歌う。それはこんな歌だった。
「地獄の沙汰も金次第〜、い〜くら持っててもいいんもんだ、忘れた頃に利子とかち、毒を食らわば皿までよお。旦那は今日もドラゴン探し〜、歩くお宝だよねえ。くだらないことにしょばいの臭い〜、いまかいまかと一攫千金」
「いやあ、いつ聞いても美声だねえ」バルディが手を叩く。
それは人にはだみ声にしか聞こえないものだが、バルディはそう言うのだ。
「素晴らしい。最高だ」
エルフィールも手放しで喜ぶ。実際のところ酔っぱらっていて聞いてなどいないが、とにかくその場のノリである。酔っぱらいだからね。
浴びるように飲む二人。それに続いてそこそこのペースのバルディ。実はバルディは炭酸水で薄めているのだが、エルフィールにはどうでもいいことだ。
「夜になるな」
シルフィアは扉の先を見てそう言う。
「それがどうしたあはひうあ」
へべれけで口が回っていないエルフィールがそう聞く。
「夜が来るね」
「なんだいシルフィアふ、そんひゃ、神妙にゃ顔してええんえんえん」
「あんたたちが似ていたのさ」
「ふえ?」
「あいつにさ」
エルフィールはジョッキを持ったまま外に出る。
村の木の丸太門が閉まって行く。
エルフィールは酔い足でその門の外にからくも出る。
夜が来る。
周囲はもう真っ暗になっており肌寒い風が舞っている。精霊使いたるエルフィールにはその風が見える。見えるというよりは感じると言ったほうがいい。それは精霊使いまたエルフたる者にはそういう自然の本質を捉えることの出来る種族的特権があるのである。
「なあんらあ、おまへえ」
エルフィールはへべれけで喋る。
夜が来る。
闇の王たる夜が。
それはもういた。
闇の化身たるその黒いマントを纏った人やエルフのような長身の者。その姿はフードやマントに隠れてしまって、一連の服装は黒いという以外なにか特徴があるものではない。
夜が歩いて来る。
矢々飛来。
ゴブリンたちが放った矢が幾重にも放物線を描き闇の者に突き刺さる。
いや、それは闇の者をすり抜けてそれは影の世界へと消えて行く。
「ううむ、誰も闇を捉えることは出来ないか」
丸太の城壁の上からシルフィアがそう言ってうなった。
夜が来る。
その闇はあらゆる闇よりも濃い。そしてどんな影よりも深い闇の水たまり。
あの闇に底は無いのか。
エルフィールは門を出ると闇と対峙する。
「この戦いはおれたちの戦いではない」
ジョルディーの静止の手をエルフィールは振り払う。
「私は強いヤツと戦いたい。それこそが我が本質。我が願い。我が月と太陽の風の調べ。イスに座って眠るくらいなら死んだほうがましだ」
エルフィールは抜刀するとその精霊剣に息を吹きかける。
「あらゆる風よ、その揺るぎない風よ。空は暗くいまは星々も見えない時、その空さえも越える風であの闇を祓いたまえ」
精霊剣は透明なクリスタルのように透き通り精霊が爛々と輝き出す。その青く緑色の刀身は深淵なる闇を捕らえるだろうと思われた。
エルフィールは構えて、それから息をととのえると走り出す。
大地を蹴るエルフィールは風の重力さえも振り切り、一瞬で闇まで距離を縮める。
闇が空に舞う。それは黒い蝙蝠(こうもり)かなにかに思えた。
エルフィールも大地を蹴り空へと舞う。
精霊剣が闇を捕らえた。
手応えはある。
けれどもやはり闇には傷なく精霊剣は闇を捕らえはしたが、それは掴んだに過ぎない。
闇が手刀で左右からエルフィールを斬る。
バルキリーの矛がそれを止める。
闇の回し蹴りがバルキリーの矛をそれぞれ砕く。
「なに」
その蹴りはひとつのバルキリーを砕き、エルフィールの精霊剣を折る。
キャキイインインイン。
高音。砕けた剣の破片が舞う中エルフィールと闇の者は両足で着地すると、いきおい後ろへと滑りながら、しかし、こらえて止まったところをしゃがんだ姿勢からなんとか立ち上がる。
「やるじゃないか」
エルフィールは自分が酔っているからここまで押されたのかと思ったが、それにしてはバルキリーまで砕くとは信じられない力だった。いやそれは自分もしたことではあったがそれは精霊の力を借りてのことであって力技ではなかった。
エルフィールは舞う。
「精霊招霊(せいれいしょうれい)バルキリー・ヴァルキュリア!」
エルフィールの周囲にはバルキリーが二騎。
エルフィールのいる大地は闇の波紋ののち暗くなり、色彩は色を潜(ひそ)める。光りの空と暗闇の大地に立つ時。
バルキリーはエルフィールの周囲を流転しながら色彩と舞う。
エルフィールがゆったりとした淡い光りに包まれる。
精霊変化。
百花精霊。
精霊纏衣。
一騎のバルキリーは眼鏡をかけてあげて、もう一騎のバルキリーは風の精霊が長い旗に飜(ひるがえ)る矛(ほこ)を手渡す時、エルフィールの髪は太陽の光りによって虹色に輝き、そして準備万端となる。
二騎のバルキリーがエルフィールを受け止める。
そこはミラルの前。
精霊舞、二騎掌打。
しゃん。
しゃん。
二つの矛が鳴る。
二騎のバルキリーたちが矛を打ち鳴らす時。
そのひと打ちに暗い大地に雷鳴が轟く。
雷凰天狗。
千変繚乱。
豪華天騎。
ミラルに精霊具たるその花風を散らす。
ふよふよんと花の風はさらに強くなり花嵐がミラルの周囲を巡り踊る。
花風が過ぎると暗い世界はその色彩を取り戻していた。
エルフィールは大地を蹴ると一気に闇へと距離を縮める。
エルフィールの目の前に黒い姿のバルキリーが一騎。それは先ほど闇に砕かれた者。黒のバルキリーがエルフィールの折れた剣をその推進力を止める。
エルフィールに繰り出される闇の手刀をバルキリー二騎が矛で止める。
ギギギイン。
轟音が響くと闇とエルフィールの両者は距離を取るようにそれぞれ着地する。
荒い息を付くエルフィール。
けれども闇は微動だにしない。
闇は揺らいでいる。まるで笑っているかのように。
かつてない程のプレッシャーにエルフィールは熱い体を震わせ、まるで寒いように両手で肩をつかんだ。
エルフィールは不安を拭うように汗を拭い、それから走り出す。
風が疾風のごとくエルフィールを彩る。そう見えただけかも知れない。
「いやあああああ!」
エルフィールの剣は空を斬る。
闇は避ける動作からそのまま攻撃へと移行する。それはまるで踊るように。
ぎいん。
闇の手刀をバルキリーが止め、さらなる追撃たる闇の蹴りが届く前にジョルディーがエルフィールを抱きかかえて横っ飛びする。
ひゅひゅんと幾重もの弓矢が闇へと降り注ぐ。
羽鳥に肩をつかまれ空を飛ぶゴブリンの弓隊が、闇へと矢を射る。
無数の矢は、けれども、やはり空を斬る。
闇はその動きを揺らめき、時に疾風のごとき早さで変幻自在といった感である。
羽鳥につかまれて飛ぶゴブリンたちは果敢に湾曲剣で闇へと挑むが、闇は波紋するだけでその実体を剣がとらえることは無い。
けれども、闇は動きにくそうではある。いや、その場に立ち止まっていると言っていい。
「いつものことさ」
シルフィアがエルフィールの横にいた。
「こうやって時間稼ぎをする。そして、朝になると此奴(きゃつ)めが引き上げる。なにが目的なのかなにがその姿の意味なのか、問うことは無い。なんとも空気をつかむような話さ。まったくやれやれだよ」
シルフィアはそう言って笑っていた。
それは苦笑いである。
エルフィールも笑っていた。
こちらは高笑い楽しい時のエルフィールの笑いだった。
「強い奴と戦える。なんという喜びだろう」
その眼は爛々と輝く。
ジョルディーはやれやれとため息を付く。
それでいてジョルディーはエルフィールが大丈夫そうなので、ちょっと安堵した。
「まだ行くのか」
ジョルディーの問いは、まだ戦うのかを問うていた。
「言うまでもない」
エルフィールはさらに笑い、皺(シワ)がいい感じに笑顔を彩った。
「そうか」
ジョルディーは構える。
エルフィールの後に着いて行くために。
「なにか剣はないか」
エルフィールの問いにシルフィアはこれしかないよ、と、湾曲剣を一本渡す。
鋼鉄製であろうその剣は鈍く光り、ありきたりの剣ではあったが蛮族が好む非常に堅く重く手堅いものだ。 「じゅうぶんだ」
エルフィールは駆け出す。
その後をジョルディーが走る。
闇ありて風となる。
闇の濁流が放たれる。
それにゴブリンたちがはじかれ、バルキリーに守られたエルフィールはそのまま突き進む。
「てやあああああ!」
がきん。
鈍い音とともに黒のバルキリーがエルフィールの剣をその錫杖に止める。
エルフィールは全ての力でバルキリーを叩き斬る。
黒のバルキリーは石膏の彫像のように、微塵に砕けて行く。
エルフィールの突進は止まらない。
そのまま闇を斬る。
けれども通り抜けてしまう。
ジョルディーがエルフィールへ向けられた手刀をグリズリークラッシャーで受け止める。
魔法剣たるグリズリークラッシャーには手刀を砕く力はなく、それは受け止めただけである。闇の力にジョルディーははじき飛ばされ、エルフィールが抱き止めた。
「すまない」
「なにいいってことさ」
エルフィールはそう言って立ち上がった。
闇纏う。
千の脈動。
闇の連弾。
その手刀を蹴りを、ハイベルがその腕でおさえた。
「来るのが遅かったかな」
「いや、ばっちりだよ」ジョルディーはそう言って、ハイベルの手腕に感嘆のため息をついた。
「?」
闇はその力はハイベルを越えて、その猛攻にハイベルは膝をつく。
疲れを知らぬハイベルのさらに上を行く疲れを知らない闇である。
闇、力ある時。
大地砕け、ハイベルは大地へと半身が埋まる。
その時ミラルの詠唱が風を揺るがす。
「我が空と大地と夢と希望のはざまにあるという止まり木よ、その空にはあるがはずの空とゆう雲の力があるという。その時、その力、その月に踊り舞うという人々には、英雄の言葉が語り継がれるという。その時、我々は、空の夢と夜よと思うだろう。この意味を問う世界とは、その魔力の底には、暗い海が広がっている黒い波紋とうつらうつらよと、その波紋こそがこの空の風。いま、その時代をその世界をその想いを次元へと帰すために、解き放つは風のドレミファ。なるがままの時から時へと時間と空と空間のはざまよ。罪なるならまうはその思いと言う時よ。はらはらはらり空舞う時よの鳥よ。いま羽ばたかんかな」
ミラルの杖から光りの鳥が飛び立ち、それは闇を幾重にも切り裂いた。
いや、そんなふうに見えただけのこと。闇はやはり微動だにしないでそこにいる。
エルフィールが蹴りを放つが闇はこともなげにかわす、が、エルフィールは全身でタックルする。闇の中を通り過ぎるエルフィールは闇の実体たる存在を見た。
−−なに? なんだと。
エルフィールはしばらく絶句した。
ミラルは杖を構えて一言。
「これならばどうだ、ビレッツアリテイン」
光りの鳥は闇の両肩をとらえ、闇をつかまえて飛び立つ。
闇は遙か空の雲を抜け朝日に消えて行く。
「うおおおおん」
光りと闇の開口。
闇の咆吼。
闇は消滅した。いや、それは夜に帰っただけなのかも知れなかった。
「お見事」
フィルフィルフィールが拍手する。
フィルフィルフィールはエルフィールたちのそばに行くと手当する。
それは回復系の魔法のようだが、それにしては呪文の詠唱が無いとミラルは思い、またなにかしらの神秘的な世界の力でも無いようであることをハイベルは見て取っていた。
−−賢者というその力は世界の一端、一柱であるから、その力は海を越え空を越え大地を穿(うが)つという伝説(はなし)……、まさかね。
ミラルはそう思うけれども、あり得ない話では無いことを目の当たりにしていた。
「どうかしたか」
ジョルディーの言葉になんでもないと歩いて行くエルフィール。
それから全員でハイベルを引き上げ、ゴブリンの村へと行く。
宿で食事を取る一行。
「ゴブリンは料理がうまいな」とダミエール。
「食材も最高級のものばかりだ」とらいでん。
「ゴブリンだからではなく、商売によって各地より集めて、売ってんでやすよ」
「おい、それはおれの」ジョルディーはエルフィールにうだうだと。
「細かいことは言うな。私とおまえの仲だろう」
「カスピジュースおかわり」とミラル。
「これはもぐだからもぐもぐでもねえもぐもぐ」とフィル。
命を賭けた戦いの後であったはずだ。けれども一行はいつもと変わり無いようだ。
シルフィアが宿に入って来る。
「待たせたね。闇と明日の商売で話が長引いたんでね」
宿でシルフィアと向き合う一行。
ちょこんと座ったシルフィア。
バルディもそうだが小柄な姿に細い腕と足は、なんだかコミカルでさえあるのだ。これで闇と戦っていたのだからすごいとミラルは言った。
「ばあか、これでゴブリンは強いんだよ」
エルフィールがばかにするように言う。
「そんなこと知っています」
「どうだか、先の大戦でも魔王軍の先兵として戦った力を知らないだろ。これだからお嬢様はしょうがないね」
「エルフィールだって知らないでしょうが」
お互いの目から稲光りが迸(ほとばし)り、火花を散らせる。
「くるっくうーくうーくーくーう」
カーバンクルが楽しそうに二人の周囲を飛ぶ。
穏やかな曲が流れた。
ダミエールはムーディな曲を奏でる。
一行はしばし耳を澄ませてから、それからまた向かいあった。
「あいつはなんです」
ジョルディーの単刀直入な質問に「闇だよ」とシルフィアは単刀直入に答えた。
そのまんまであるが一行はうなずいた。先の戦いでそれはよく解っていた。
それは半分正しくまた半分やはり分からないことがあった。
ミラルは上着をイスから取ると肩にかける。暖炉で焚き火は燃えているが寒くなってきていた。
「倒せないのかクシュッ」
エルフィールは鼻を腕で拭う。
ジョルディーがマントをかけてやる。
「ありがとう」
エルフィールはジョルディーのマントで鼻をかもうとするが、ジョルディーは神速でエルフィールの手のマントをタオルに変える。エルフィールはチーンと鼻をかんだ。ため息を付くジョルディーだが、横のミラルがジョルディーのマントで鼻をかんでいるのを見て、ぐったりと暗くなりそれから真っ白になるジョルディー。
そんなジョルディーを見てダミエールはにやりと笑った。
「あんたたち、強いねえ」
シルフィアの瞳がチカチカと輝く。
それは神秘的というよりはなにかを算段した、値踏みをするといった類のものだ。
バルディはにやけながらも本能から背筋が凍った。
「こういう時のむらおさは怖いでげすよ」
エルフィールに耳打ちするバルディ。
まだ白いジョルディーがそうだなと言ったことをミラルも聞く。
「ならば、どういうこのなのだろうか」
ハイベルがシルフィアに聞く。
「雇いたいね。金五百。闇を倒したら、さらに千と五百」
いつも金にうるさいバルディがふるえあがった。びりびりびりと、輪郭線がふるえたほどに。
ミラルが聞く。
「それだけ、危ない話ということですね」
「あんたら、危険の無い旅でもして来たのかい。そうじゃないだろ」
「危険を買うようなことはして来ませんでした。少なくともね」
ミラルは抗議するように言う。
その場がちょっとシーンと静まりかえった。
「その話(ケンカ)、買おう」
エルフィールが断言する。
「なにを言っていますか」ミラルが今度はエルフィールに檄する。
「あの闇は精霊の一端に違いない」
エルフィールは目を閉じてそう言う。
「そ、それは……だとしたら、どうだと言うんですか」
「精霊竜の結晶たる螺旋竜。その大自然の異変には精霊が深く関わっている。このことも例外ではないような気がする」
エルフィールはそう言って黙ってしまった。
ミラルがそんないつもの強引なパターンにため息を付いた。なぜだかそれはちょっと感嘆気味でさえあった。ここまで来ると頑固親父も公認である。
一行になんとなくエルフィールにしてはそれなりに筋道のある話であり、また気合いの有り様も伝わって来た。
「私は賛成だ」
ジョルディーはそう言う。
「あなたはいつもそうでしょうよ」
ミラルはちょっと抵抗するように口をとがらせてつぶやいた。
「神々は進むことを求めておられます」
「いい曲が聞こえる」
「金の管理ならまかせてくだせいよ」
「エルフと精霊は闇と踊り、そのフリルは風をとらえているようです」
「この地形ならばなんとかなるかも知れない」
「くるっくーくー」
ミラルはきょときょと左右の仲間を見てから、わあかったわよとふくれっ面で言った。
くみゅーとカーバンクルがくるりと舞い踊った。
「決まりだね。戦いが終わるまでのあいだ、衣食住の保証はしょう。それ以外は有料だよ」
それからシルフィアは手を打ち、にやりと笑った。
酒がどかとが並べられる。
「けどね、今日の感謝だよ。今夜は好きなだけ飲んだくれてもらいたいね、はっはっはっ」
その酒にエルフィールが喚起する。
「まあだ飲むんですか」
ミラルが止めるがエルフィールはぐいぐい飲み始める。
げらげらとシルフィアは豪快に笑った。
「あんたらいったいどういう奴なんだい。こんなとこまで自力で来る連中も珍しいが、あんたらのパーティと言ったら、まるで変わった連中のオンパレードだよ」
シルフィアの言葉にミラルとエルフィールは顔を見合わせる。
そう、とミラルは思う。こんな変わった人たちの集まりたとえ冒険者とは言え、あまりにも見かけないものだろう。
「私もまだ一人一人の話は聞いてないから、詳しく聞きたいわ」とフィルフィルフィールが提案する。
それから一行はお互いの顔を見る。
ちょっと間があった。
「おれから話そう」
ジョルディーがちょっと真面目な顔になって言った。
「おれはアレンギの村で生まれた。村は農業を営んでいたが、おれは田畑の仕事が嫌いで、良く抜け出しては村はずれに住んでいるアラルディンクっていう青年に会いに行った。その兄ちゃんは金髪長髪、美形であるということだけでなく、なにか村の連中とは違う雰囲気があった。くだらない農業に比べれば、アラルディンクの小屋の本棚にある本はとてもおもしろいものばかりだった。おれは弟と良くそこで時間を忘れてアラルディンクと遊んだ。剣技もアラルディンクから学んだんだ。アラルディンクはある国の騎士だったとかで、とても腕のいい剣士でもあったんだ。おれはいつしか、騎士を目指すようになっていた。それは弟も同じで、二人で良くアラルディンクから聞く英雄譚のような騎士になりたいと思ったものだ。バルディは小屋に出入りする商人だった。ゴブリンの商人なんて珍しい、というか、聞いたこともない。おれは8歳に、弟は6歳になっていた。二人で腕試しに、隠れの森に行ったりした。そこにはモンスターが出るが、それはそんなに強いものではない。はずだった。ある日、ベルンゲベルガーという氷獣に出会い、弟は死に、おれは瀕死のところをアラルディンクに助けられた。それからおれは農家を継いだが、10歳になる頃に国で騎士のために腕に覚えのある者を集めているという話を聞いて、試験を受けてみたらこれが受かってしまって、騎士見習いになってしまった。家族はちょっと悲しそうだったがアラルディンクは祝ってくれて、その腰にある魔法剣をくれた。それがこの剣、グリズリーフィッシャーだ。後で知ったが魔王を倒すために賢者が作った剣とも、天界の千年樹がその影を地上に落としたとも言われる伝説の剣だそうだ。騎士見習いとしてデアンターク王国で修行の毎日。それは厳しいもので剣術から礼儀作法から学問まで、なにからなにまでたたっ込まれた。落城して行く奴も多くいたが、おれにはそこの水があったんだ。鬼教官にぶったたかれても、学問の先生には多くの学ぶことがあった。一部の騎士仲間や宮廷士官と折り合いが悪くっても、それを助けてくれる騎士仲間がいた。楽しかった。おれの青春だったと言ってもいい。けれども、また人生の転機が訪れた。王から受けた書状を隣国に渡すため、馬を走らせていた。12歳の時だ。おれは森で迷い、そこにはモンスターが数多く出る場所だった。馬を失い、三日三晩、ろくに眠らずに戦い続けた。そんな時一軒の家を見つけた。そこには老いた男がいた。彼は魔法使いだった。手当を受けたおれは真実とはなにかに関心を持ち、魔法使いから世界の理(ことわり)その成り立ちを聞いた。それからそれが実際にそうであるのか、自分で見てみたいと思った。おれは旅に出た。自分にしか見えない世界を目指して。ある時少女を救った。その少女を連れておれは戦場を歩いた。その少女は名前をアーティニーと言った。アーティニーは不思議な感じのする子だった。アーティニーは戦巫女と呼ばれ、アーティニーがいれば戦いに勝てると思っている奴らが彼女を狙っていた。少年だったおれは、アーティニーを連れて戦場を歩いた。おれは一人で戦場に入り、誰彼構わず相手の剣を叩き折った。ある戦場でおれとアーティニーが危ないところをある一団があっという間に戦場を納めた。それはエルフの軍団を率いたダリルだった。エルフたちとその強力な魔法を使って、あっという間にダリルは地図にある十二王国の騎士団を破り、魔法によって争う者を結晶に閉じ込める魔法で人々から魔王と呼ばれた。おれはダリルに挑みかかっていったが結晶に閉じ込められてしまった。これを解放してくれたのはアーティニーだった。それは何年もかけた力だった。おれのために祈ってくれたのだ。まだ戦うというおれを、さらなる戦いを嫌いアーティニーは消えてしまった。力無くうなだれた頃、うだうだと時間は過ぎておれは18歳になっていた。けれどもおれはダリルたちと戦っても結晶化されることはなかった。それはアーティニーがおれのために祈っていてくれたからだったんだ。おれはまたダリルと戦い始めた。34歳の時エルフィールと出会った。彼女はダリルから送られた刺客だった。けれどもエルフィールと成り行き上旅をすることになり、ダリルの刺客のエルフたちと戦いながら、遂にはダリルを倒した。それからエルフィールと旅の道に出た。ブライアント軍から鳥人は力を貸せと言われていた。その種族的優位、羽を持つ獣人は武族として名を馳せていた。鳥人のアベルとおれとエルフィールはブライアント軍に話をするために城に行った。けれども王は悲しそうな顔をしていた。葉(ハ)の国との連絡がとれず、騎士団の出動、その帰還なく周囲の国は色めき立っていた。アベルと別れたおれとエルフィールはミラルの助言を得て葉の国へ向かった。そこには黒い巨大な門があり、そこには倒したはずのダリルがいた。ダリルは死者の国から、ことの真相を調べて来るように冥界の王に託された使者だった。ダリルをパーティに入れたおれたちは葉の国に向かった。途中、神と人の子ハイベルを仲間にして、さらに歩いた。葉の国の異変には天上、津々浦々の黄昏の神々が関わっていることが解り、神殿を目指した。戦いの神と戦ったりもしたが、からくも勝つことが出来た。知識の神ウェルは大神ハーバイトがいなくなったために、神々の力に異変があり、またそれが葉の国にも表れたと言うのだ。ハーバイトに会いに行ったがハーバイトは星を斬れと言って動こうとはしない。死者の国へ入ったおれたちは神竜を解放した。それによってハーバイトは神殿に帰った。けれども時空と星の回転と大自然を司る螺旋竜の異変。それもハーバイトに影響を与えたという一端。冥界の神は螺旋竜の異変をその正否を戦いを託された。どうやら螺旋竜の異変がハーバイトの危惧していたことなのだようだ。おれたちは冥界の王となったダリルと別れて魔法使いのミラル、吟遊詩人のダミエール、錬金術師のらいでん、エルフのフィルフィルフィールを仲間にして螺旋竜を追っている。これがいまのおれたちだ。そしておれはエルフィールの力になるために、この旅にこの道の上にいる」
ダミエールは静かな曲を弾いていた。
らいでんは腕組みして目を閉じている。
フィルはうんうん笑顔でうなずいている。
ミラルは感じ入ってしまった。なんだか懐かしいような、あっという間のような気がしていた。こんなにいい話なら、エルフィールに聞かせてやりたいと思った。すすり泣く、鼻をかむ音が静かなその場に響く。ジョルディーが嫌そうな顔で自分のマントを見ている。ミラルが見ると、エルフィールがジョルディーのマントで鼻をかんでいる。
「いい話だなあ。誰の話だ。いやいやいや分かる分かるようんうん、ジョルディーだとは解っていても泣かせるなあ。良かったなあ。こんな小さな子がこんなに大きくなってぐすっぐすっずずずーっ」
またジョルディーのマントで鼻をかむエルフィール。
「話の前半はあんた関係ないでしょ」
ミラルの突っ込みもエルフィールはなんのその自分の世界に入ってしまって、めそめそしている。
「いい話だよ惚れ直したよ」
このエルフィールの言葉を聞き捨てならない奴がいた。
「ダミエールと言う」
ダミエールはお茶の杯をゆっくりと置くと話を始める。
「物心付いた時には旅の一座の一人だった。多いときでも13人くらいの小さな一座だったが、多彩な楽器で曲を弾いて踊る。そんなことをしては旅から旅へと続く少年時代だった。家族に不満があったわけでもない。旅に、その仕事に不満があったわけでもない。でもなにか物足りない、この道が嫌では無い。けれどもなにかが足りない。青年になった私はいつしか一人で歩いて一人で弾き語りする、旅から旅への吟遊詩人になっていた。国々で聞いた太古の英雄たちの物語を曲を付けて歌った。実に有意義だった。けれどもやはりなにかが足りない。それを遂に旅の途中で見つけた。それは一人の女性だった。彼女の名前はカリフラウ。大人にしては童顔であったがそんなことはどうでも良かった。カリフラウと一緒にいるだけで後はなにもいらなかった。カリフラウとともに旅をする。そのことだけに私の人生のすべての意味があった。ある時、危機に陥った時カリフラウとのあいだに光りがまたたき剣が現れた。その剣はドラゴンさえも倒し窮地を救ってくれた。だがある時カリフラウが体調を崩していた時、窮地に陥った私とカリフラウは剣を出したが、疲れた彼女は剣のその空間に捕らわれ消えてしまったのだ。私の人生は暗闇となりなにも見えずなにも聞こえない、そんな時間を歩いた。旅を続けた。思い出すのは彼女との思い出。歌う歌はなにもかもが悲哀を帯びた深い絶望の淵に佇む夜よりも暗い闇の歌を歌った。そんな時エルフィールに会った。彼女こそがカリフラウに近い、いや彼女そのものに思えた。エルフィールのために旅をしょう。また歩こうと思えた。そしていまこの旅にいる。なにもかも失ってもエルフィールを手に入れる。そのためならばどんなことでもする。それが唯一絶望に勝てる力なのだ」
いい話だがミラルはダミエールがジョルディーの対抗心から話したことに、ちょっと引いてしまった。フィルフィルフィールはいい話ですねとハンカチで目を拭いた。
ダミエールはエルフィールを見る。エルフィールは腹一杯で眠っていた。ぐーすかぐーすか。がーんと、真っ白になるダミエール。ミラルはたいへんねと肩を叩いた。カーバンクルはくくるくるくーと二回転した。
「では、次は私が話そう」
瞼を開き腕組みを解いてらいでんが話し出す。
「私は羅漢の国ハーイオートに生まれた。ここは国の主都、王都であり、この国は大国で交易路の拠点を幾重にも兼ねていて豊富な作物、工芸品、なんでも物はあった。伝統のある国で遺跡も幾つもあった。私も幼い頃は遺跡で遊んだりしたものだ。国が栄えていたように私の家もおよそ貧乏ではなく、書棚には書物がたくさんありこれは父が好きなものだった。ケンカには負けたことが無くスポーツ万能の私だったが、私塾を出てから勉学のために高学府に進んだ。本は好きで勉強も好きだった。ここの学府は人を教えながら勉強するところで、豊富な図書館ではずいぶんそれは見たことも無い話や書物を読んだ。話もした。けれども十年もそこにいたら、なんだかおなじことの繰り返しのような気がしてきた。学府の者には商人に物品を頼むだけでなく、旅に出てちょっとした見聞を広めて来る者もいた。それで私も商人に金を払って一緒に旅をした。最初はちょっとした遠出で旅の人々や、知らない村や町、冒険者の人の話を聞くだけのつもりだった。だが旅するうちにね、なんだかこれは楽しいことに気づいた。私は水を得た魚のように活き活きとして歩くようになった。体力はなかった。けれども旅には錬金術が役にたった。これは古い物品を綺麗にしたり強固にしたりするために覚えたものだったが、いがいにもいくつもの危険をこれで乗り越え、すっかり私は天狗になってしまい、終いには一人で商路からも離れた場所を歩くようになった。水は大地から得た。いや大抵はそんなことをしなくても知識によって川のある場所がわかった。歩くことは机の前だけで学問をする者には見えない学問だと言う学府の仲間の言う通りだと思ったよ。私は体力があり中肉中背ではあったが、良く歩いたからね。錬金術は移動にも役に立った。岩を砂にしてそれで山を滑り降りたりちょっとした坂でも砂に滑った。これは楽しかった。でも気づいて見ると、帰るにはその坂や山を登って行く必要があった。こうして帰るにはどうしたらいいか考えながら、けれども遺跡やダンジョンの探索。それも錬金術を使えばそれほど危なくはなかった。まあ下の階に滑って逃げると帰りはやはり登るのだが。そうして五年が過ぎた頃にエルフィールくんたちと出会った。こういうわけなんだ」
なるほどとジョルディーはうなずく。ミラルはなんだか盛り上がりに欠ける話だと思った。エルフィールはやはり眠っていて、フィルフィルフィールはいい話だと言った。ダミエールは壮大な曲を弾いていた。
「では、あたしも」
ミラルはこほんと咳払いしてから話し出す。
「あたしはバトゥースという平原で拾われた赤ん坊でした。それまでどこにいたのか解りません。遊牧民に拾われて8歳まですくすく育ったあたしは、いっぱしに馬を走らせました。そんなおりにお師匠さんに才能を見いだされ、ガルバトゥス国の都にある魔法院に入りました。ここは各地から高名な魔法使いがその才能を見いだした者を養成するために作った学園で、というよりも一種の勉学の館としてありました。なによりも知識をその意味を問う魔法院での勉強はなんとも退屈なものでしょう。あたしも最初は嫌で嫌でしょうがない勉強も、ある日学友が疑問にしていた言葉を解いた時、魔法がひらめいて生まれました。それはまさに魔法であり、そのための勉強だったのです。苦手だった学友との交流もそれを機会に深まり、あたしは友達たちと知らない言葉を魔法を探して行きました。世界がすべて魔法の言葉で出来ている。そんなふうに思えたこともありました。一番勉学がおもしろい時期で、どんなにつまらない授業も熱心に聞きました。どんなことにも意味を見いだしたい気持ちで一杯でした。ある時にパーフィールドという学友がドラゴンを呼びそれは空を駆けて行きました。その空の旅に付き合った後になにか言いしれぬものを感じたのです。魔法院、その先には魔法学府や院園など、幾多の仕事がありました。いがいにもあたしはエリートコースだったのです。けれども空の先のその先を見てみたい。そう思って旅に出たのです。それから世界に数人という賢者やいろんな人々いろんな土地を見て来ました。それが良かったのかどうか。それはいまのあたしを見てくださいということです」
シルフィアは豪快に笑った。その笑いは狡猾そうで意味も無く高音でとても下品だが、なんだか胸がすくような爽快な気さえしてくるのだから不思議なものだった。
「今度はあたしが話そう。この村は枝垂れ柳の村と言ってね、人間どもが有史だとか言ってるずうっと前からあるのさ。まあ文献ではなくて言い伝えだけどねえ。伝承はこうさ。昔々あたしたちゴブリンは魔王のそばに生える木だったが、これを魔法で使い魔としてかなにかとしてか実体化したというんだね。そんなの見たこともないけどさ、魔王がこうだと言えばこうで戦うならば戦った。それがあたしらの存在だからね。だから先の大戦でも多くのゴブリンが戦った。だけどねあたしらは資材の供給もしていてね。それが妙に肌にあってね。とにかくそれを他の種族にも売っていったらとにかく楽しくてね。魔王が眠ってからいつのまにかそれが仕事みたいになってしまってね。まあ魔王がまた起きてきたら分からないけどねえ。あっはっはっ」
あらかた知っている話しではあったが、それはなんだか蘊蓄(うんちく)があるようだから不思議だった。
今度はフィルフィルフィールが話し始める。
「私は気がついた時にはもうフィルフィルフィールという存在でした。ダリルとは精霊の森で出会いました。彼が世界を変えるというから、一緒になり力になりました。幸福にしたいその思いのままにダリルを幸せにしました。そして私とダリルの世界たるエルフィールを生みました。彼ったら夜は激しかった。眠れない夜もあったわ。ある日あの人とはぐれちゃってね。まあそのうち逢うでしょうと村で待っていたんですよ。ほわっほっほっ。でもねえエルフィールはおねしょの直らない子でねえ。とても毎日世界地図を上手く作っていたわ。あははっ。好き嫌いも多くてねえ。ダリルに鍛えられたのならいいかも知れないわねえ。でもねえ私の料理はイマイチだって言うんですよ。関係ないじゃないですか。ひさしぶりに逢ったのだからお世辞でも言うものですよ。そう思わないですか。もう嫌になりますね。だってそうでしょう」
なんとも取り留めのない話しだ。昔話しというよりもそれはどこかのおばさんがだべっているレベルである。ミラルは呆れるよりもちょっと眠かったくらいだ。
一行はそれからまだまだ話していた。
款談。
それは夜が更けるかなり遅くまで続いた。
夜が明ける近くまで。
エルフィールが目を覚ますとすでに太陽は空の真上にありてベッドにはミラルがいる。フィルフィルフィールはもう起きて部屋にはいないようだ。
エルフィールはエルボーをミラルに叩き込む。
「げっげほっげほっなに、すん、です、かげほっ」
「私なりのおこし方だ。これなら起きないこたあない」
げっはっはっとエルフィールは笑う。
ミラルはなんとか息をつく。
「起きるどころか、天国へ直行ですよ」
「早起きは三文の得」
「損したわよ」
ミラルはエルフィールをベッドにはたく。
それからミラルはエルフィールを見据える。
「な、なんだよ」
「私なりの感謝の気持ちの表現」
「ぬひゃひゃひゃひゃひやひや」
エルフィールをくすぐるミラル。
しばらくくすぐり倒してから、ミラルは着替える。
トイレのとこには木製の水路があり、川から水を引いてある。
流れる水で顔を洗うミラル。
髪の乱れを直してから歯磨きする。
「歯磨きは食事の後するもんだろう」
エルフィールがもたれかかってくる。
それをのけながらミラルは答える。
「このほうが気持ちいいんです」
「そんなもんか。もなか。なんちゃって」
「さいってい!」
ミラルは杖を持つと「あなたの分の食事まで食べてあげるから」と言って出て行ってしまう。
「ちょっ、ちょっと待てよお」
エルフィールは服を着替えようと足あげて、ズボンに足をとられてすっころんだ。
それからそれから。
一階で食事を取るエルフィールとミラル。
「誰ももぐもぐいないなもぐもぐ」
「食べるかしゃべるかどちらかにしなさい」
ミラルは窘(たしな)めるがエルフィールは気にしていない。
「みなさんならもうお出かけになられましたよ」
宿のおやじたるゴブリンがそう言う。
エプロンを掛けているだけで二人にはやっぱりおなじゴブリンに見えるのだ。
「にゃ〜」
猫がテーブルの上に乗って来る。
「なにかエサがほしいんでしょ。いやあ、この村では番犬ならぬ、番猫となっておりましてねえ。これでも何度もたいへんなとこを助けられましてねえ。いやあ猫様々ですんですよ」
「にゃーお」
「だからって、なんだこりゃ」
エルフィールの頭の上で猫が座っている。
「くすくすくす」
ミラルは苦笑するがけれどもミラルの肩にも猫が乗る。
「だっはっはっ」
今度はエルフィールが笑った。
二人は食事をすませると外に出る。
外は太陽光がギンギンに輝いている。
「眩しいなあー」
エルフィールは空を見上げてそう言う。
「それはそうと、これはなんとかならいんでしょうか」
ミラルはまだ肩にいる猫に悪態をつく。
この猫は猫というよりは山猫に近いもののようで、ちょっとやそっとでは動かない強靱さを持っているようだった。
「いいじゃん、このままで行こうぜ」
エルフィールも頭に猫乗せてそのまま歩いて行く。
「なんだかなあ」
ミラルは愚痴愚痴いいながら歩く。
ゴブリンたちが荷物を乗せた滑車や荷車をせかせかと移動させて行く。
なんとも活気のある村である。
飛竜がそこかしこに着陸して、そこから荷物を運び、また荷物を積んだ飛竜がそこかしこで飛び立つのだ。なんとも忙(せわ)しない村である。
向こうで人だかりがある。
なにかと見てみると、ダミエールが曲を披露している。
そこでハイベルが歌っている。
ゴブリンたちは歌に耳を澄ませているのだ。
エルフィールとミラルもしばらく聞いてからそこから歩く。
シルフィアとフィルフィルフィールが木の櫓(やぐら)の上で話している。
そこに梯子(はしご)で上るエルフィールとミラル。
見晴らしのいい場所から村が一望出来た。
「この村のGVFはどうなっているのですか」
「そいつあねえ商売の秘密だからねえ。ただっちゅうわけにはねえ」
「それではこのスランディティールはどういう構造になっているのでしょうか」
「そいつああね基本は阿の国、コライティンの町とおんなじ作りだよ」
「それならこちらの定型車輪はこの軸の角度は、37、8度なのかしら」
「いえそれはコンストール製作の車輪なので、角度は39、7度だよ」
フィルフィルフィールの質問にシルフィアが丁寧に答えていく。
そのやりとりは重い内容とは裏腹に軽妙でさえあり、エルフィールとミラルは顔を見合わせる。
「なに言っているかわかるか?」
ミラルは首を振る。
「いえ、全然」
二人ともに汗たらたらでその場を後にする。
道を歩く二人。
空は青く雲々はゆっくりとオライオンの大地を過ぎて行く。
大地の上を雲が移動していく光景はなんとも奇妙なものだが、エルフィールとミラルももう慣れてしまっていた。
「きゃっ」
ミラルは風に捲(めく)れた着物の裾(すそ)を手で隠す。
「けっ、これだから戦いの旅に女はいらないってえの」
「あんたも女でしょうが」
「ふんっ」
二人は怒ってそっぽを向く。
ふとエルフィールが立ち止まる。
「どうしたのエルフィール」
ミラルが不思議そうにエルフィールを見た。
エルフィールは駆け出す。
戸惑いながらもエルフィールを追いかけるミラル。
いくつかの家々を通り過ぎ小さな通りのある一軒に入って行くエルフィール。
そこからはなにか高音が聞こえて来ていた。
ミラルは家の中に入る。
狭い家の中では鍛冶屋が剣を打っている。
それはまぎれもなくエルフィールの精霊剣であった。
短くなってしまった刀身。けれども形はととのえられそしてその姿はかなり精悍になっていた。
鍛冶を手伝っているのはジョルディーだ。
汗を拭いジョルディーが立ち上がる。
「どうだ、こんなもんで」
「いいな。うんいいよ。すごくいい」
エルフィールは感嘆の声をあげる。その表情はまだ硬(かた)い。
「ふにゃ〜」
エルフィールの頭の上では、猫があくびしている。
「なにか手伝えることはないか」
「いやもう終わりだ。後は水で冷やして鞘(さや)に戻して終わりさ」
そう言うあいだにゴブリンの鍛冶屋は刀身を冷やして水を拭い、精霊の剣を仕上げてしまう。
長剣から中剣くらいに長さは短くなってしまったが、その刀身はまだぎらぎらと力漲っている。
「うふふ、うふふふふふふふふふふふふふふふ」
笑い出すエルフィール。
「壊れた?」
ミラルがぎょっとする。
「いやあ、いいねえ。職人技だねええへへへへへ」
エルフィールの顔が、にやけっぱなしになる。
「あんたら手伝ってくれんならこっち手伝って」
鍛冶場の奥からエプロンしたゴブリンがエルフィールを呼びかける。
エルフィールとミラルは奥の台所で洗い物をする。
「魔法石鹸がないぞ」とエルフィール。
「使った茶葉で洗うんだよ」
エルフィールは奇妙な顔をしてから洗っている。
ミラルは洗濯物を取り込み一通りたたんでしまう。
ミラルはテキパキとお茶の用意をして洗い場に戻って来る。
と、がちゃんと音がする。
エルフィールが食器を割っている。
「これも打ち直せないかな?」
「できるかあ!」
ミラルが身近にあった本でエルフィールを打ち叩く。
「おやおやこれは売りもんの本だよ。こんなにへこんで、もうたたき売りしかないねえ」
「あ、あら、ごめんなさい」とミラルが謝った。
「これがほんとのたたき売り」
「うっさいわ」
それからそれから。
お茶を飲んだ一行はお礼を言って外に出る。
エルフィールの腰には精霊剣が携帯されている。
革ベルトに縛られた精霊剣は軽くけれどもエルフィールにはなんだかしっくりとくるのだった。
意気揚々と歩くエルフィール。
それにミラルとジョルディーが続いた。
エルフィールはことあるごとに刀身を見ては悦に入っている。
「やめなさいエルフィール。ずいぶん怪しいですよ。能ある鷹は爪を隠すと言う言葉を知らないのですか。必要な時にだけ剣を開く。それが剣士の正しい姿であることを精霊剣は、その道は示しているのですよ」
ミラルはそう諭すがエルフィールは空返事するばかりで、しばらく精霊剣を眺めているのだった。
剣ばかり見ていて岩っころに足を取られ、すっころぶエルフィール。
「だいじょうぶ?」
ミラルに助け起こされるがエルフィールはにへへと笑うと、また剣を見ているのだ。これにはミラルはあきれてしまった。
「ばかだとは思っていたけど、こんなにばかだとは。あきれてものも言えません」
「えへへ」
エルフィールは苦笑いすると剣を仕舞い、それから勢いよく歩き出す。
精霊剣は魔法の杖と違ってなにかの力を増幅するわけではない。けれども精霊の気持ちを柄に響かせ感じやすくなるという、まさに精霊使いにはなくてはならない力があった。
いまのエルフィールには精霊がより身近に感じられたのだ。それが楽しかったのだ。
風が気持ち良くそして空の青がどこまでも続くように感じられた。
雲はマントのように冷たい空気を包んでくれた。
エルフィールは笑顔で歩いて行く。
その後ろのミラルはちょっと真面目な顔である。
ミラルには気がかりがある。それはもちろんエルフィールのことだ。この後闇との戦いを控えていて、そしてエルフィールが精霊剣を持って前に出て戦うことは用意に想像出来た。仲間がいるのだから大丈夫。けれどもとミラルは思う。先の戦いで闇はことごとく一行を退けていた。ミラルとて次に戦ったらどうなるかわからなかった。不安である。けれどもいまは気持ちを集中して、戦いのことを考えた。それがエルフィールを仲間を助けることにつながるように。
「ジョルディー」
ミラルは横に歩くジョルディーに聞く。
「なんだい」
ジョルディーはぼけっとしたような、眠そうな感じでミラルに聞く。
「闇との戦い、ちょっと不安なのです」
「そうだなあ、フィルフィルフィールに聞いてみたらどうだろうか」
「あらいいわねそれ」
ミラルはうなずく。
「昼時だから宿にいるんじゃないか」
三人は宿へと歩く。
宿の一階は昼食のゴブリンであふれていて奥のテーブルにはフィルフィルフィールとハイベルとダミエールが食事を取っていた。すでに食後のデザートやコーヒーといったところだ。
三人は座るとエルフィールはすぐに食べ始める。 猫たちもテーブルの上でミルクを飲んでいる。
カーバンクルはくるり、ふわふわと一行の上で浮遊している。
紅茶を一杯飲んでからミラルは闇との戦いをどうしたらいいかフィルフィルフィールに聞く。
「なにか作戦を考えたらどうかしら」
フィルフィルフィールの提案は当たり前のようでありながら、なるほどと一行を納得させた。
「ハイベルとジョルディーが前衛で、エルフィールとあたしが魔法と精霊で援護射撃する」
ふむふむとうなずく一行。
エルフィールが食べ終わった皿に木のスプーンを置いて立ち上がる。
「どうしたのエルフィール」
ミラルの問いにエルフィールは投げ捨てるように答える。
「そんなまどるっこしいことやってられっか。戦いはその場のどたんば力だ」
そう言うとエルフィールはさっさと歩いて外に行ってしまう。
「なんて自分勝手な」
ミラルはため息をつく。
フィルフィルフィールが笑った。それは実に屈託の無い笑みであった。
「いえエルフィールらしい。話を聞けば一人で戦うことが多かったそうです。連携プレーというものが苦手なのでしょう。それは実にエルフィールの個性だと思うのです。エルフィールは自由に戦ってもらいましょう。それがエルフィールのためにも私たちのためにもなることでしょう」
「おれもそう思うな」とジョルディーが賛同する。
「神々はいつも見守っています」
「新曲が出来たよ」
「協調性の欠片も無い猫かよっ。あーはいはい。もうわかったから」
ミラルはばくばくパスタのシチューを食べてから、それから「こういう戦い方はどうかしら」と言った。
それからそれから。
お茶を飲みながらシルフィアと款談している一行。
ミラルがきょろきょろする。
エルフィールがいない。そのことにミラルは気づいた。トイレにしては長い。どこかに散歩に行ったのかもと思ったがそれにしては帯剣をしていない。エルフィールが出歩くのに帯剣をしていないはずはない。それは戦士としてのエルフィールにはあり得ないことである。ミラルはフィルフィルフィールの方を見る。フィルフィルフィールはうなずくと、宿の外に出る。
ゴブリンたちに話を聞くとすぐに場所は解った。
ここでは人やエルフはずいぶん珍しい者なのだ。
村外れ丘になっているところに夕日に良く良く照らされたところにエルフィールは座っていた。
草地はとてもいい自然のイスであった。
エルフィールはぼけーっと空を見ている。
あまりにも間の抜けた姿だった。
それは普段の剛胆で時として厳しい戦士としてのエルフィールには見られない、不抜けた姿だった。たぶん初めてこんなエルフィールに出会った人は、エルフィールだとは思わないであろう。まるで詩人が風景を見て感じ入っているかのような姿だと、ミラルは思った。人を寄せ付けないなにかがエルフィールの周囲にあるかのようだった。それは精霊かも知れない。
ミラルがエルフィールの横に来る。
「なに暗い顔してんの。まるで闇のヤツがダリルだったみたいな顔して」
はっとしてエルフィールがミラルを見る。
当たりかよ。
「あたしたちにまかせて見ていてもいいんですよ」
「この剣はダリル様を守るための物。斬るための物では無い。だが仲間を守る物ではある。戦いは避けられない」
「そうは言ってもいまのあなたではその剣は力を無く、なんの意味を斬るというのでしょうか」
「解らない解らない。どうか一人にしてくれ。どこかで私は逃げているとしたらミラルに関係の無いことだろう」
冷たくどこか儚げなエルフィール。
もっとなにか言いたい。
けれども言葉に詰まってしまいなにかもうミラルにはそれを聞く言葉を持っていなかった。
フィルフィルフィールがエルフィールの横に座る。
「どうしたのですかエルフィール」
フィルフィルフィールはエルフィールに聞く。
エルフィールは、はっとしたようにフィルフィルフィールを見たが、それからまた夕日の方を見る。
「戦いにおいて、あなたは迷っているのですね」
エルフィールは無言でうなずいた。
「あなたがなにに迷っているのか私には解りません。けれどもあなたを育てたダリルがいまのあなたを見たらなんと言うでしょうか。あなたはなにを教わりなにに戦ったというのでしょう。その答えはいまはすぐに出るものではありません。それはあなた自身が時間をかけて、捉えて行くことなのですから。あなたの知っているダリルという男はあなたが悩んで戦うことを望むようなヤツでしたか? 最後まで本気で戦ってどこかに真剣であることの意味をその剣に問う。そういう男だから、あなたは惚れたのではないですか」
風が変わった。いや精霊を感じられないミラルにはなんとなくそれはエルフィールの周囲の精霊の流れが変わったように思えた。それはすなわち。
エルフィールはうなずく。
「答えは決まっている。闇を倒す。それだけだ」
両手でつかんでいた両足に眼をやり、それから眼を閉じる。
再び開いた目にはギラつくような凍てつくような瞳が、それでいて炎のような弓射るような魂が彩っていた。
折れた精霊剣を杖にして立ち上がるエルフィール。
「次は斬る」
エルフィールの髪は風に揺られその顔は朝日に照らされ清々しいものであった。
ミラルはほっとしたため息をひとつ付くと、立ち上がりエルフィールと同じ景色を見た。
空の遠くを鳥が飛んでいる。黒い線にしか見えないがその翼の先の撓り具合から、猛禽類のようであった。
エルフィールはすたすたと歩いて行ってしまう。
ミラルはフィルフィルフィールの横へと来る。
「フィルフィルフィール。あなたはエルフィールを焚き付けただけではないのですか」
「エルフィールは直情的な性格。もし戦いの最中集中力を失えばそれは命を失うことを意味するのです。いま出来ることは限られています。既に陽は沈みもう闇はその色を濃くしている時なのですから」
それはミラルにも解った。けれども、なんとえ言えない不安は拭うことは出来なかった。
夜が来る。
ミラルたち一行は夕闇薄暗い暗闇の蒼暗い夜空をマントに纏い歩き出す。
門の外に出るとエルフィールと合流する。
エルフィールは外を睨み一部の隙も無い。剣に手を当て微動だにしない。エルフィールは着物の上から見たことの無い鋲(びょう)や小さな宝石、煌(きら)びやかな装飾品の付いたレザーメイルを着けていた。兜らしき物も着けているがそれはどちらかと言うと、忍者が着けるような簡易な一品だ。ひとつひとつのその防具は小さいがとても要所要所に着いており、とても機能的に動けるがそれでいて的確なところに装着されていた。これはゴブリンの長シルフィアからもらったものであった。そのいきさつはこんなものであった。
宿から外に出たエルフィールはシルフィアがおいでおいでしてるので、着いて行くとそこはずいぶんぼろな一軒家であった。
「ここあ、あたしんちの家なんだよ。どれ、入りな」
エルフィールは言われるままに中に入る。その中は昼だというのに薄暗く、とても暗くジメジメしていて埃(ほこり)っぽく、本や生活用具やらなにやらありとあらゆる物があふれていた。家に窓は見えない天窓から差し込む光りだけが室内を照らし、その光りには埃(ほこり)が幾つも舞うなんとも幻想的な空間であった。とても人が住めるような場所ではない。ゴブリンには心地いいのかとエルフィールはかぶりをふる。
「ひどい家だなあ。これじゃ精霊も寄り付きゃしない」
「なに好きずきさ。でもまあなんでか村の連中すらも寄り付かないけどね。あっはっはっ」
「そりゃそうだ」
そこいらを歩くシルフィア。
「どこだったっけねえ」
シルフィアはなにかを探している。エルフィールはすっころぶ。猫は一回転してからうまくエルフィールの頭に着地して、にゃーと鳴いた。
「なんだってんだいったい」
ぼやくエルフィールにシルフィアが手をかす。
と。
「おや、これだよ」
シルフィアはエルフィールが足を引っかけた平べったく大きい箱を開ける。もあっと埃が舞う。
「うほっうはっ、すごいほこり。なんだ、こいつあ……」
そこには防具があった。
「こいつあ、あたしが五万年前の英雄魔王激突の時に着ていたプロテクタラグナロクラッカーさ。良かったら着けてくんなよ。なに、あたしのおじいちゃんのお古でね、およそ一億年前の魔法具さ」
「これはすごいな」
エルフィールは着けてみる。それは暗闇に明滅してまるで光具である。
「これを着けて一億年間、負けたこたあない。引き分けもいれてね。けんどね、伝承を受け継ぐのは防具じゃない。こいつを使う者なのさ」
エルフィールは納得してうなずく。
「光栄だ。是非、使わせてもらうよ」
エルフィールはそう言って不敵に笑った。
エルフィールはシルフィアから貰った防具を見て一人うなずいた。
なんだか自分が強くなったような気がするから不思議だった。
エルフィールは前を見る。
そこには紅蓮の夕焼けが消えた先から広がる闇の地平。
夜が来る。
エルフィールたちは門の前で夜に向き合う。
夜の闇はさらに深さを増す。
夜はすでに来ていたのか。
夜と闇。
その邂逅は。
そして闇はそこに立っていた。
エルフィールは躊躇することなく走り出す。
ぎいん。
金属音に火花が幾つも幾つも放物線を描く。それは綺麗な実に綺麗な光りである。
エルフィールの精霊剣を闇は闇の剣で受け止める。
「素晴らしい。驚嘆するほどの腕前だよエルフィール。腕を上げたな。やはり実戦は人を鍛えるものだよ」
闇の声はそれは懐かしい響き。
「でやああああ」
エルフィールはさらに力押しで体ごと縦に一回転してから剣を叩きつける。
闇鳴動。
闇は剣を受けない。
ハイベルが放った剣撃もジョルディーの剣もかわす、それはまるで黒い濁流。
なにもかもを受け流す闇のするりするりら。
マントの破片が闇になって舞う中、闇はまるで最初から動かなかったように立っている。
げ、げ、げ、げ、撃。
連撃。
エルフィール、ジョルディー、ハイベルは剣撃の連打。その攻撃をことごとくかわす闇の鳴動。
大きく距離を取ったところをダミエールのナイフが凪ぐ。
背後からのジョルディーとエルフィールの剣をよけてよけて横から来るハイベルを吹っ飛ばして一気に距離をつめてダミエールを殴る。
ダミエールは力無くその場に倒れる。
ハイベルは岩を砕いて止まり、すぐに立ち上がって闇へと向かう。
幾重もの矢をかわして闇はハイベルへと蹴り入れる。地面が砕けてハイベルは地の底へと叩き付けられて動かなくなる。
「失神しているようです」
フィルはハイベルに触れながらそう言う。
ミラルの呪文が魔法の火を放つ。
その力を反動させてさらなる大きな火の力でミラルは叩きのめされる。
上にいたジョルディーの剣をはじいて殴りそのまま空へと上がって下からのエルフィールの剣をかわす闇。
ジョルディーは大地に横たわり動かない。
闇は魔法の光りでゴブリンたちを一瞬にして叩き落とす。
闇はその手に踊る黒い闇の濁流を顔の横にかざす。
「いいものだ。いいものだなこの力は。そうだ。これが私の力だ。エルフィール。きみが思い出させてくれたのだよ。ありがとう。さあ、世界を求めた時代の再来だ」
ミラルは倒れていながら意識はあった。
血。怖い。恐怖で足が痙攣している。誰か助けて。
「心配するな。私がいる」
エルフィールはミラルの肩を抱きしめる。
ミラルの唇が寒さに震える。
「言葉で示すな、行動で示せ。熱血、熱血。パワーオプショナリィ」
「まだなんも言ってないでしょーがあんたは」
しばし見つめ合う二人。
「みなまで言うな私にまかせろ。敵は討ってやる」
「それじゃまかせるわ」
エルフィールはミラルを離す。
ごちんと石にどたまぶつけてミラルはえててとうなる。
フィルフィルフィールがミラルの元にやって来てミラルの傷に手を当てる。
これは、治癒の魔法?
ミラルはきょとんとする。十二の月と太陽の歌国では治療魔法またその類(たぐい)のものは見かけることは無い伝説の魔法である。フィルフィルフィールが賢者だからまた違う土地では当たり前にあることなのかミラルには解らなかった。
闇はエルフィールへと言う。
「さあさあさあ。もうおまへい、いがいには否、いないぞ」
治療に当たっているフィルフィルフィール以外立っているのはエルフィールだけだ。
「さあ、エルフィール。ともに世界を手に入れよう。それが出来るのは、おまへと私の真実の愛だけだ」
エルフィールは闇へと前に出る。
「嘘を言うな。おまえはダリル様ではない。ダリル様ならばミラルをこんなふうに傷付けたりはしない。貴様はうす汚いゲス野郎だ」
闇笑。
闇振動。
闇雷鳴過。
「はっはっはっはっはっはっはっはっ。イいだらう」
闇黒く稲光り。
闇は笑っているようだ。
さらにさらなる闇よ。
闇羽織る闇。
濁流たる闇風邪が吹いて闇はさらに笑ったようだった。
「ぶち殺す」
エルフィールは吐き捨てるように言うと精霊剣を持ち上げる。エルフィールの詠唱。
「我が風よその意味よいま問う時よ。なにがこの世界がここまで人を変えるのか。なにが人を変えない世界だと言うのか。否、いまから昔。それは何百年、何億年幾年月のことから前から始まった時よ。こんなにも苦しい思いなら歌ってしまえ。こんなにも楽しい思いなら歌ってしまえ。こんなにも幸福ならばなにも言うことは無いだろうに。さあ空よその鳥よその雲よその翼よあの月まで行きたいと願うのはもっともなことだ。ならばこそにこの願いは未来永劫千年の時を越える時が来るだろう。戯れ言ならば酒に飲め。喜びならば日記に書け。猫さえも逃げ出す人の世になにが正しいなどと誰が認めるだろう。行け。旅ならばもうすんだ。けれどもまだやり残した夢があるならば。まだ世界はおまえの歩く道を待っているならば。どこへ行ってもやり直せるならばまだまだおまえの言葉は未来へと届く切手とならんことならばいまならばいよいよまだ始まったばかりというこの種たるはたぎえれるに世界は暴若の杯さえも飲み干すことだろう。時間などいらない。おまえの笑顔が欲しいだけなのだから」
そうやってエルフィールは詠唱しながら走り出して両足蹴りを闇にくらわす。
剣で受け止める闇。
体を数回転させて上段から斬り込むエルフィール。
くるりと上体を交わして背中で剣で受ける闇。
力は互角のように見えた。
「なんの呪文を唱えているエルフィール。されど、どんな呪文とて効きはしないよ。こんなものなのかエルフィール。もうちょっと成長したならばな。おまえを育てた私は嬉しいというのになあがっかりするよほんとにな」
「あんたは成長しないな。影たるあなたは時間が止まったままなのだな」
「なに?」
首根っこ捕まえたエルフィールを地面に叩き付け「どの口が言うんだああん。どの口が言うと言っているだろうが」
闇の目が煌々(こうこう)と煌(きら)めいた。
「さあ言うがいい。この世界でおまえが見て来たことを。その望みをその願いをその苦しみをその傷みをその夢をその頭上にあった空をその月を象(かたど)った夜をいましめるがいい」
めきゃと嫌な音を出して地面は砕け、エルフィールの目が踊り口は歯をむいた。
そして開かれた口はこう言った。
「ラグストゥース!」
ぎがぎがん。
闇とエルフィールが空へと吹き飛ぶ。
空中に舞う二人。
闇はその足場を失いその空を失う。
「なんだとーなんだと言うのだこれは」
「風の重力とは四大精霊のひとつ霊帝クツァールだ」
「そお、か……」
エルフィールがクツァールを解放したため、風の重力は一気にはじけ空中に躍り出た時。
「だからどうした、こちらはなにもなくてもこの闇はなにも困りはしないぞ。そうだろう。そうだそうなのだよエルフィール。ははは。ははは。はははははは。くはっ」
「でやああああ!」
エルフィールは風の精霊を纏いバルキリーを蹴り動けない闇へと突き進む。
「ま、魔法で迎撃する」
闇の印。
稲光りする闇の世界。
闇閃光打。
闇のほうが早くエルフィールを貫く魔法の打撃。
エルフィールは砕かれるはずであった。闇のことわり闇の欲望闇の夢描いた世界の力で。
ばゃぎゃりぎゃりぎゃ
「ぐああっ」
猫がエルフィールの肩から闇へと躍り出て闇の顔をひっかく。
だぎん。
闇瞬間。
砕かれた闇はどこへ行けばいい。
失われた闇はどこに影があるというのだろう。
消えた闇。
それはもう戻らない時間。
記憶。
思い出。
明日。
昨日。
もういらなくなったからこの紙には希望と書いた時の歌。
いぃいん。
鈍い音にエルフィールの精霊剣が闇をつらぬいた。
精霊クツァールがエルフィールたちを再び包み、エルフィールたちはオライオンの大地へとゆっくりと降り立つ。
エルフィールは闇の胸から精霊剣を引き抜く。
血はすぐに闇となりそれは影となった。誰もいないのにある影ほど哀しいものは無いに違いない。
血を吐き出しながら闇は話出す。
「み、見事だ……」
エルフィールは闇たる身にマントをかけて膝を付く。
すでに闇はどこを見ているのか分からないようにその視線は空を彷徨う。
「精霊法が使えるようになったのだなエルフィール。もうジョルディーは倒しただろうね。さあこれからだ。これから世界を変えよう」
エルフィールは無言でうなずいた。闇の手を取ったその瞳はどこか悲しそうだ。
「オライオンを手に入れ、それはこの村にある……、なあ、この空は、月が、綺麗、だ……な……」
闇は無数の小さな黒い焔火となって空へと消えて行く。
エルフィールはマントを手に立ち上がる。
ジョルディーたちもエルフィールの後ろで立ち尽くす。
ミラルは思案するようにその顎(あご)に手をあてて「そう……これは封印の魔則であった影。いえダリルの影だったということ。影はまだ世界を彷徨っていた。ダリルがそうするために魔則を使ったようにその時の気持ちだけ抱えて放浪していたこと。これがダリルの最後。いえ、それはいまのダリルではなく世界を変えようとしたダリルの影の最後の時。あたしは悲しくは無い。だってこの世界で消滅よりは生きて行くことを選ぶ世界を望むから。ダリルの影よ意識を得た封印の魔則よゆっくりと眠れ。誰もいない世界でその思いを波にたゆたわせればいいだろう。この言葉を涙のようにおまえの影へと流そう」
エルフィールがミラルの言葉を継ぐように言う。
「闇の王よ、偉大なる精霊よ。なにも言うな。それはまだこの世界には無い時のこと。誰がおまえを解放するものか。誰がこの月をおまえのためにくれるだろう。誰がおまえの願いを水に波紋するというのだろうか。誰もいない闇の中、おまえの涙は一滴だけ零れていたよ。もう誰もおまえの邪魔をする者はいまい。この世界にはもうおまえの障害たる者はいない。さあ、その闇を広げて夜の中へと帰るがいい。懐かしい世界へと帰るがいい。おまえの望んだ世界へと帰るがいい。そして、いまはこの風の中で眠れ」
エルフィールの言葉に誰もなにも言わなかった。
エルフィールの周囲を闇粒子が幾つも舞ってから空へと行く。
エルフィールは動くことなく闇が消えた場所を見ていた。
風がエルフィールの涙を拭った。
第二十三話 花舞う落陽の歌。
夜。
歩く一団がいる。
苔むした道を土の道を歩く。
大地は大小様々な木の根が幾重にも出ていて、とても移動には不向きである。
月が照らす大地の一帯に影たちが歩き出て来る。
丸い月の光りに暗い闇がその姿を現す。
17の影が淡い光りに照らされた木々の中に立つ。
その中心にはエルフィールとミラルが立っていた。
「囲まれたわね」とミラル。
「そうだな」とエルフィール。
「なにを呑気(のんき)な」
「かなりの手練れだ」
「それはいい話ね」
ぎらぎらぎらと光りが点滅する。
それが17の影が抜刀した光りであることは、エルフでは無いミラルにも見て取れた。
暗い世界を照らす空の月がほのかな雲に幾重にも彩られ、ほのかにあまい光りを月下の密集した木々に照らし出す。
動き出す17の影。
それはエルフィールとミラルにだ。
「お茶の誘いならば、また今度にしてくださるかしら」
ミラルはそう言ったが、影は止まらない。
「あなたたちは包囲されています」
「ミラル、なんの冗談だよ。包囲されてるのはこっちだって」
エルフィールは溜息まじりに言った。
影は止まらない。
「どうしょーえーいおどっちゃえ」
ミラルは歌いながら踊り出す。
「どんどんどんどんどうするかなあーいまのあたし〜」
「音痴」
「うっさいうっせいうらせいこのばかオ、ン、ナ〜」
「いいさいいさどんどんいいさ。すべて斬ればいいんだよなすべてな、はっはあ!」
エルフィールは精霊剣と短剣を抜刀すると影の中へと飛び出す。
低い体勢から走り込むエルフィール。
一人の影の肩を踏み台にさらに高い木を蹴り、大上段からの全体重をかけた精霊剣と短剣の二撃をひとつの影に叩き込む。
ぎ、ぎいん。かきん。
暗い世界に剣となにかがぶつかる火花と高音が響く。
剣はその堅さにはじかれた。
その反動で剣を持つ腕ごと軽く両手が上がり、万歳でもするような格好になるエルフィール。
それだけでなく、上体が体がふわっと後ろに傾いて浮く。
そこへ下の影がエルフィールへとその長い剣を振るう。
エルフィールに逃げ場も足場も無い。
ゆっくりと空中に崩れる体勢のエルフィールに影の剣がないだ。
刹那、剣は風を薙いだ。
刹那の前にエルフィールは影の者を伸ばした両足で蹴り、くるっとひと回転しながら背面で影の剣を避ける。
いや、よけきれない。
ぎゃ、と剣が軽く背を切るが、ゴブリンの鎧がその刃をそらした。
サンキューとエルフィールはゴブリンの村の長であるシルフィアに感謝した。
一回転、半。
着地した反動でしゃがむ格好になるエルフィール。
しゃがんだままで上を見るエルフィール。
両手の剣は地に置くように両手は大地の上にだらりとある。
「こいつら騎士だな」
エルフィールが独り言のように言った。
「その剣技は我流では無く、それぞれがなんらかの美しい流れの軌跡を描いている。これほどの動きはまるで舞いを見ているようだ。見ている分にはな。はっはっはっ」
汗がエルフィールの額を流れる。それは運動の汗であり、また冷や汗でもあった。
一方、ちょっとエルフィールから離れたミラルはまだ踊っていた。
ミラルの周囲には影がみっつ。
踊っているミラルにみっつの影が斬りかかる。
そのタイミングは微妙に違い、突きと上段と横薙ぎが別の方向から来る。
ミラルの踊りと歌が止まる。
ミラルはにやりと不敵な笑みを見せる。
くすりと笑い声がもれたようだった。
ミラルは杖をとんと大地を叩く。
これはなんと、ミラルの歌だと思えた言葉の羅列は呪文であり、それを幾重にもミラルの足場に形成していたのだ。
世界は開かれ、魔力は力の方向性を得て解き放たれた。
撞(つ)いた杖から光りと布のような光りが幾重にも幾量にも発した。
影はその光りの激流にも似た奔流に倒れ、そして眩(まぶ)しい光りが影の正体をあらわにした。
影が纏(まと)っていた影は消えてしまった。
光りを通さぬその影は霧散した。
殺意を纏った剣士はその姿を現した。
「綺麗だなあ……」
「ほんとに」
エルフィールとミラルは溜息にも似た感嘆の言葉を発する。
嘘偽りなくその姿は実に美しいものであった。
幾重もの文様に彩られた銀の鎧と兜がぎらりと輝く。
その色彩はまるで銀という光りのハーモニー歌うように色彩が自然のあり方人の思いそのすべてを表現しているようである。
鎧と兜の形は実用的なものを残しながら芸術であった。
これだけの装飾、その鎧、その兜、その剣、それだけの体術を駆使する者たちをミラルもエルフィールも騎士だと思い、それは確信に変わる。それは真実と確かな美麗さに裏打ちされた信念であった。
17の影は嘘と偽りという泥を纏(まと)っていた最上美の騎士であった。
「いやあどうもどうも私はエルフィールと言ってねえ、啓上すべき尊名など持たないすがない一剣士ですよ。いえまあ精霊使いと言う人も言うけれどもねえ、あまりうまくはないんだよ。ところでさあ、あんたらどこの国の騎士だろうかなあ。こんなとこに来てひまだねえ」
やる気のなさそうなエルフィールの言葉。
だがそれが騎士に問う騎士がなによりも大事にすることへの問いであることは聞いて取れた。
エルフィールの問いに答える騎士はいない。
静まりかえった木々のその深い闇とうすらぐ月の光りの中で、夜鳥がどこかで鳴いていることが分かるほどの沈黙。
「それが騎士たる者の姿か。正道たる騎士ならば名を名乗れ」
エルフィールの言葉に17の騎士は剣を構えただけだった。
「いいだろう」
エルフィールの目がぎらりと輝いた。
疾風舞う。
それがエルフィールが目の前にまですっとんで来たのを感じた騎士は何人いただろうか。
目の前の五人の騎士の振るう剣がなぐよりも早く、五人をその剣になぐエルフィール。
ぎぎぎぎいいぃん。
剣が鎧をなぐ高音がやっと疾風のようなエルフィールに追いついたような後の凪ぎ。
夜の空には星々が輝く。
雲は夜でもゆっくりと動き、それはほろりと星をぬぐう時。
だが。
「いってえー」
エルフィールはしびれた手を振る。
「なんてえ堅さだ」
エルフィールに斬られた鎧の騎士はくるりと向き直る。
その重厚な鎧には傷は付いてもそれはちょっとした線のようなものだった。
エルフィールはミラルの横にそそくさと戻って来る。
すぐに転がって逃げて来たのだが、その素早さゆえに騎士たちはまたもエルフィールをとらえきれていなかった。その重厚な鎧が逆に重い動きを持っているようでもあった。
エルフィールは視線は騎士たちへ向けたままミラルに言う。
「防御と攻撃の総合力はすごい。いままで戦った中でもピカいちだ。それにこいつら手練れだ。長引けば体力が尽きてくるとこちらは素早さが無くなり、あっさりと斬られるだろう」
「嫌なこと言うわね」
ミラルは不敵な笑みは残しつつ、構えさえも取らない。
「だからさミラル。その前に倒せばいいんだよ」
「そんなこと理屈ですら無いでしょ。エルフィールはそうやって行き当たりばったりだからすぐに疲れるんですってばさ。そうでしょ。ちゃんと休憩取って水分はこまめにとればとても健康にいいに違いないというのに。でもね、確かに、魔法もあの防具は幾つかキャンセルする力があると見ていいとすると、こちらはまったくもって逃げるのが得策と思うんですけどねえ。だから聞けってえのばか」
ミラルの言葉も最後まで聞かないで走り出すエルフィール。
一気に距離が縮まり、騎士たちの中に躍り出るエルフィール。自ら囲まれる愚かさよ。だがその奇襲さえも騎士たちは二度三度のことにそれは警戒していたことだった。
エルフィールの目前の三騎士から繰り出される白銀の剣。
暗闇にひらめく円月。
格好の的が斬られる。
それは誰もが思うことである。
エルフィールは寸分でそれを覆した。
しゃがんで三撃をかわすエルフィール。
切られた髪が幾重にか風に運ばれる。
だが窮地は変わっていない。まだ騎士に囲まれたままである。
エルフィールはリンボーにも似た体勢からの騎士への一撃。
「てやあっ!」
一声。エルフィールに蹴りでひざかっくんされた騎士が倒れ、倒れた騎士をふみつけて騎士の囲いから転がるように逃れるエルフィール。
走り出たとこに、がにまたで止まるのはそこにも別の騎士が剣を繰り出すから。
タイミングばっちりのストレート突き。
ぎいん。
両手の剣でその長剣を顔の横へと受け流すエルフィール。
いえぃっとエルフィールは小さく言った。
受け流した剣はエルフィールの顔の横をすべって行く。
飛び散る火花の光りに照らし出されるエルフィールの顔はその度に彩られる。
受け流した剣をさらに支える両手の剣で横に落とし込んだ先に別の騎士の剣を受け流した剣で受け止めた。
そのままその剣を取っ手変わりに体勢崩した前の騎士を駆け上がるエルフィール。
逃げて行くエルフィールの浮いた腰のあたりをまたまた別の騎士の剣がぎり切った。
ゴブリンの鎧はそれも受け流す。
元々受け止める重厚な鎧ではなく、受け流す鎧なのだ。それもかなりの一品である。
いいんじゃん。とエルフィール。
エルフィールは空中へと踊ると、半身を捻って叫んだ。
「サラマンダー!」
下にいた五騎士が炎の渦とまみえる。
流浪流炎。
着地したエルフィールの後ろで炎のとかげは雷鳴のごとき渦を放つ。
ぎがおん。轟音鳴り響く時。
稲光りが周囲を彩ってそれは雷鳴の竜が走ったようであった。
ミラルも魔法撃により残りの騎士を吹き飛ばす。
倒木のごとく倒れた騎士たち。
二撃目の魔法でミラルは騎士たちをまた泥に塗った。
ミラルがエルフィールを見る。
魔法の戻り風でエルフィールは吹かれた服と髪がとても綺麗になびいていた。
「綺麗」
ミラルのほうを見るエルフィール。
歩いて来るエルフィール。
手をあげるエルフィール。
ミラルも杖を持たない手をあげる。
お互いの手を打ち鳴らす時。
エルフィールとミラルはさらに合図を送っていえーいと笑った。
魔法の光りは拡散して炎のとかげも精霊界に消えて、二人を取り巻く世界はまた静けさと暗い闇に戻る時。
静かな世界にまたも無骨な音が響く。
ぎ、ぎししし。
軋む音がそこかしこから響いて来る。
「これは……」
ミラルは感嘆にも似た声を出す。
いやそれは圧巻であった。
一人また一人立ち上がる騎士たち。
そしてすべての騎士たちはゆっくりと起きあがった。
もう一度剣を構える騎士たち。
エルフィールは剣も構えないで笑っている。
「根性あるねえ」
だらだらの汗を手で拭いながら小さくくしゃみしてからエルフィールはまた笑った。
「ここまで来るとなんかすがすがしいねえ。あっはっはっ」
笑うエルフィールにミラルは生真面目に言う。
「衝撃と炎に耐性のある鎧。これはあまりにも強すぎます。これほどの騎士となるとかなりの大国のはずです。それもあたしたちが知らない世界の。これはなんとも分の悪い戦いですね」
ミラルの冷静な指摘。
「だったら鎧を叩き壊せばいい」
エルフィールは肩でゆっくりと息をしていたが、すうっとひとつ息をすると呼吸を整える。
そしてゆっくりと両手の剣を構えた。
「逃げるという選択肢はないのかしら」
ミラルはこちらも杖を体の前に構えながら言う。
「負けたままで逃げることなど出来るものかよ」
「あなたを見捨てて逃げられないんだけどねえ」
「勝手にしろよ」
ミラルは笑った。どこか可笑しかった。なにが可笑しいというのか。きっとそれはエルフィールが楽しげだからなのだろうと思った。そんなことはどうでもいいのに。人は追いつめられると変なことが無性に可笑しくなるものだ。きっとそれはいまここにいる自分しか感じ得ない気持ちだろうとなんだか満足してしまうのだから我ながら楽観的だとミラルは笑ったのだ。
「絶対絶命だな」
エルフィールは何故か得意気に言った。
「なにを言いますかな。この子は。まだこちらは怪我もしてませんよ。余力十分ですってば」
「ちょっと疲れて来たが、こいつらあ休む時間をくれるほど砂糖大盛りシュガースティックな甘党ではないようだからねえ」
「ピンチはチャンスというのがことわりです。いまからこっちが反撃する機会ですよね」
「逃げればいいのに」
「それをあなたが言いますか」
「私は……逃げることが戦うことだった。それが人生哲学だったんだ」
「知っていますよ」
「だからここで退いたら私は死んだことと同じ意味を持っているんだ」
「分かっていますよ」
「だからさ、ここは一歩も退いちゃいけないんだよ」
走り出すエルフィール。
「ばかですね、あたしは。そんなエルフィールが好きだなんて」
ミラルはその場で詠唱を始める。
エルフィールの前の騎士が剣を振り上げる。
エルフィールが剣の一撃をよけて剣を持つ腕を蹴って鎧を駆け上がり、空中で一回転してもう一騎に回転斬りを入れる。
ミラルの魔法が放たれ、エルフィールの精霊剣に光りが宿る。
がきん、と鈍い音がして騎士の鎧の肩が砕けた。
エルフィールはなんとかたたらをふんで騎士たちから距離を取る。
騎士たちは驚いたように何歩か後じさった。
「いけるぞミラル、いまのなんだ」
「魔法と精霊を防ぐ万能の鎧。けれどもそんなものはあり得ないというのが魔法使いの一致した見解です。ならばそれを可能にしているのは鎧の装甲に幾重にも呪文が描かれ、それが炎などを防いだと考えたのです。ならばその呪文の積層に合うだけ剣に魔法の積層を加えてやればいいのです。そもそも魔法というものは万能である自然の理(ことわり)のほんの流れのとがった一端にすぎないのですから。人はそれを限定的にそこでだけ使えるようにしているのです。ですから人はほんとうに大きな力を小さな力にしてやっと使いこなしているというわけなのです」
「なるほどなあ」
エルフィールはうんうんうなずいてから「それでわかりやすく言うとどういう意味だ」と聞いた。
「だからあんたはばかだって言うんですよ」
「ばかにばかって言うヤツがばかなんだよばあか」
「そう言うあなたはもっとばかですよ」
二人がいがみあっているあいだに騎士たちは体勢を立て直し、陣形とも言えるほどにその立ち位置を変えて歩き始めていた。
「安心しろ。こういう時は仲間が助けに来てくれると相場が決まってるんだよ」
エルフィールは豪語するが、その割には言葉にいつものキレが無い。
「そうだと助かりますね」
「なにか手はあるか」
エルフィールは前を見ながら言う。
それはいつもの力強い横顔であったが、ミラルは儚げでさえあると思った。
「魔法だけではだめ。剣だけでもだめ。それならば」
エルフィールはミラルの話にうなずいてすぐに走り出す。
それはエルフィールらしいと、ミラルは詠唱しながらふと思った。
「花イン蝶ファイ舞ラ」
葉がいっしょくたに空に舞う。
騎士たちは視界が強風に舞う葉に彩られ、立ち止まる。
エルフィールは空にいた。
くるくるくると回転しながら、遙か空の彼方から全身で回転させていた剣を眼下の騎士の一人にたたき込む。
ごいん、と鈍い音がした。
エルフィールはそのいきおいで地面にめり込む。
下は水を吸った肥沃な大地とはいえ、かなりめりこんだ顔をあげたエルフィールは泥をぬぐうと「うぐう、会心の一撃だぜ」と言った。
エルフィールの前の騎士、これは剣をくらった騎士だが、それはエルフィールに剣を振り上げていた。
騎士は振り下ろすと見えた剣ごと倒れてしまう。
ずしゃ、と鎧のいい音がした。
ミラルは勝ち誇ったようにポーズ決めて指さして言う。
「魔法でエルフィールを空にあげて、エルフィールのばか力で回転した剣は、威力満タン、エネルギー充填、お弁当が十個ははける勢いなのよ。鎧で魔法をはじけても、剣を防いでも、その力までは内側に到達したというこの私、ミラルの偉い魔法使いの考えなのよ」
エルフィールが走って来る。
残りの騎士たちに追っかけられている。
「誰もきーてねーから次やれ〜えい」
ちょっとへとっているエルフィールが一生懸命に言う。
実に気持ちのこもった意見であった。
「おげ〜い」
オッケイと目を光らせて言うミラルは、実に凶悪そうである。
−−この時のために杖によって打っておいた点がいま、線となって魔法陣を描く! 轟(とどろ)け雷鳴、驚けみんないま必殺の〜。
と、ミラルは詠唱中のために、心で言っていた。
「土ドゲ竜リュー舞ブ」
光る杖がくるりと回転して、残像残しつつ地をうがつ。
地は浮力でも持ったようにゆっくりと波たつ。
騎士たちは水のようになった土にどっぷりと胸までつかって動けなくなる。
「良くやった。さすがミラルじゃん」
エルフィールも土に胸までつかってそう言う。
「さあ助けてくれ」
手を伸ばすエルフィールににやりと笑うミラル。
「この前よくもおやつのティップを取ってくれたわねー」
「え、いや、それはほら口がすべったというかさ」
「魔法使いはいらない、剣士だけでいいというエルフィールさん」
「は、はあい」
笑顔で笑ってからそれからちょっと視線が横に泳ぐエルフィール。
「fkslaodasljf@waldgnap一緒に凍りやがれカトゥスエンド!」
ココンと音をさせながら、ミラルは光る杖先を沼と化した大地に振り下ろす。
「にゃんですとおー」
エルフィールはにゃんですとと言いつつ杖を真剣白羽取りする。
ぎががんと両者の視線が龍と虎となりうがちうがたれる。
「饅頭(まんじゅう)三個」
ぴきーんと電飾のようにミラルの目が光る。
「十六個」
「分かった」
ミラルがなにかをつぶやいてから、エルフィールのつかんだ杖が空へとひるがえる。
エルフィールもそれに引っ張られて、宙(ちゅう)を舞う。
「てやっと」
エルフィールは木の葉のようにひらりと着地した。
「たったっとっべっ」
かに見えたエルフィールは勢い余って、踏鞴(たたら)を踏んですっころんだ。
「戦いは終わったのだろうか」
ひりひりする顔面をふきながら、エルフィールはあさってのほうを見ながら言った。
「それでこいつらどーすんだ」
「こうします」
ミラルはそう言うと、荷物から紐(ひも)を取って来て木に結わえて、騎士たちの中に投げ入れた。
「この方たちがあがって来るまでには、一日はかかるでしょう」
「ミラルって、こえー女」
「強い女はこえーのよ」
「あたしは弱くて良かった」
ミラルとエルフィールは歩き出す。
と、エルフィールがダッシュする。
木々の影に隠れたエルフィール。
ミラルは追うでもなく見ているでもなく、荷物を整理している。
すぐにエルフィールが戻って来る。
その手には老人が一人。
「この騎士たちの仲間だろうか」
エルフィールはミラルに聞く。
「ふーむ」
ミラルは老人をじろじろ見る。
禿(はげ)た頭に豊かにそなえた白い髭(ひげ)と眉(まゆ)。
目はしょぼしょぼで開いてないように見える。
白いローブを着ている。
「刺繍(ししゅう)と騎士の鎧の紋章が似ています。けれどもそれいがいには分かりません」
「関係ないか。よわっちそうだしな」
「いえいえ、魔法使いかも知れません。油断大敵花壇爛漫」
「それじゃ行くか」
老人に背を向けミラルとエルフィール。
「ちょいと待たれい」
それはしわがれた声。
音の年輪が響いたようにミラルには思えた。
ミラルは向き直り、エルフィールは面倒くさそうに顔だけ振り向く。
「雇われませんかな」
「用心棒ですか」とミラル。
「そうですな。こんな夜は一人では歩くのも困難ですのじゃ」
「だったら最初から一人で歩くなよ」
エルフィールは悪態をつく。
「ほっほっほっ」
老人はしらっと笑っている。
「それでなにか私たちに今日歌ううたに意味がありますか」
「自然が求めたから歌う。それだけのことではないですかな」
「うーん。いいでしょう」
ミラルはうなずく。
「あたしはいやだぞ」
エルフィールはそっぽ向いて口をとんがらせる。
「精霊のテアテアトテアはまだこの付近にいるでしょう。その湿地はきっとこのような月に彩られているのではないですか」
エルフィールが地団駄ふむ。
じーっと下を見るエルフィール。
「ほんとだ。いいだろう。力を貸そう」
エルフィールはめんどくさそうに言ってから、それぞれ名乗る。
「儂(わし)はアドルテアですじゃ」
「森を抜けるまでな」
ちゃららっちゃっちゃっちゃっ。
にわかパーティが誕生した。
アドルテアとお供のミラルとエルフィールの一行は歩き出す。
アドルテアは老人にしては足腰のしっかりした歩きである。
「じーさんはどこから来たんだ」
エルフィールが剣の入った鞘(さや)を背に両手をだらんとかけて歩いている。
眠そうな目からはエルフィールのやる気はゼロであることが見てとれる。
「クロウアクニアという国でな」
「海と竜の背と呼ばれる山脈に囲まれた中元と言われるとこですね。豊富な魚と山の果樹によってうるおい、また千帝都に行く道であるために、人で常ににぎわうとても活気のある街があると聞きます」
「ミラル、なんでそんなに知ってるんだ?」
「エルフィールと違って私は先の街でも本を読んだり、聞いたりしていたのです。これは魔法使いはとても本を大事にするものだからなのです。どこかの野生児さんとは違うのですよ」
「へー、魔法使いなんて机が無いといけないんだろ。だったら丸太を机にここでずっと勉強でしてればいいじゃねーか」
「精霊使いともあろうエルフが、木を伐るとは、最近まで精霊から力を得られないのも分かる気がしますわ」
「やるってーのか」
「外でなさい」
「まあまあまあ」
老人はにこにこしながら二人を止める。
「とめんなじじい」
エルフィールがアドルテアを見ないで怒鳴る。
「ほっほっほっ。この先にゴブリンの村がある。そこで宿にしまょうではないですか」
「ゴブリンの村を知っているのですか」
二人はアドルテアを見る。
「商人のあいだでは有名でね」
「じーさん商人だったのか」
エルフィールが丸い目でアドルテアにそう言う。
「いやいやいや、わしはしがない魔法使いじゃよ」
「魔法使い。とゆーことは、宮廷魔術師であり、かなり高名な方なのですね」
「おいおいミラル、なんでそこまで役名が出てくるんだ」
「そうじゃよ」
老人はケロッとそう言う。
「はぁ?」
エルフィールは変な顔をする。
ミラルはうなずきながら言う。
「この方が着ている服はかなりの上質な布で出来ています。先ほどのかなりの騎士たちとのかねあいからも、アドルテアさんがなにかの役職者であることは推察出来ます。それに杖を扱う肉刺(まめ)が手にあります」
「なるへそ〜変なとこ気がつくのな処女なのに」
「か、関係ないでじょー。それに知っているでもないことを言わないでください」
「机にかじりついて魔法研究してるガリ勉に男がいるかよ」
「い、言わせておけばこのあま〜外に出やがれ」
「まーまーまー。ほら、村が見えて来ましたよ」
三人は歩きながらの話だったのだが、ミラルとエルフィールは遠くにドワーフの村の門が見えてくるのが分かった。
空はゆっくりと色彩を闇と光りが混じり、明るくなってきていた。
三人は村に入ると、宿の一階で座って降りて来た宿のドワーフに朝食と酒を頼む。
酒を頼んだのはエルフィールだ。
「エルフィール。言いたくありませんが、朝から酒を飲むのはいただけません。健康には少し飲むのはいいものですが、それは寝る前にちょっと飲むものです」
「堅いこと言うなよ。つまんねー夜が明けたんだ、飲まないでどーするよ」
「酒は魂の歌ですな」
アドルテアがそう言う。
「お、分かってるねじーさん。おいおやじ、三杯持って来てくれ」
「私は遠慮します」
「分かってるよ。あたしが二杯飲むの」
それから十分もしないうちに酒の杯は七つになり、エルフィールはいい感じにできあがっている。
「ご機嫌じゃないかエルフィール」
ジョルディーが二階から降りて来る。
「よージョルディー。飲め飲め、ミラルがおごってくれるってよ」
「誰がですか、誰が」
ミラルは怒ってパンチをエルフィールに見舞うが、エルフィールは酒飲みながら軽くよける。
「この野獣が」
「ガリ勉よりはいーよなあじーさん。あ、おめーもそうか」
「ほっほっほっ」
アドルテアもいい感じに顔を赤らめている。
ズガシャッとでかい音さして、エルフィールが木のグラスを吹っ飛ばしてテーブルに突っ伏す。
「いやあ、豪快ですのー」
アドルテアが笑う。
「しょーがないな」
ジョルディーがエルフィールを二階に連れて行く。
ミラルが避難させておいた木のフォークを置いてから木のグラスで水を飲んでから。
「やれやれ」と言った。
ほどなくしてハイベルとダミエールとらいでんとフィルフィルフィールが降りて来る。
ジョルディーも降りて来て、眠っているよと一言言ってからテーブルに座る。
それぞれ朝食を頼みながら、ミラルからいきさつを聞く。
「それでアドルテアさんはここへなにしにいらしたんですか」
フィルフィルフィールは聞く。
「なにね、バルバフィンと言う空飛ぶ馬でここいらを駆けていたら、ここに引っ張られてねえ、それで馬は逃げてしまって困っていたんだよ。いやあ、ミラルさんたちには助けられました。ほんとにありがとう」
「高名な魔術師だとか」
ハイベルが聞く。
「いやいやいや、老人の冷や水じゃよ。いまは本を読んで、昔の魔法の真名を書き出しているとこだよ。若い者に教えてもいるな」
「それはぜひ聞きたい話ですな」
これまーなんと言うか、らいでんが話の水を向ける。
この二人は話が非常に合い、ほとんど独壇場となってテーブルの話を進める。
それだけ知識というものは人を選ぶものなのかも知れない。
それだけでなく、このテーブルにいる人はそのかけあいがなにを意味するかを理解する人たちがそろっていた。
例外的なエルフィールは二階で眠っている。
いや、もう一人。
「なに話してるんでやすか」
ゴブリンがテーブルに座る。
「バルディ殿、お久しぶりですな」
アドルテアはそう言ってわっはっはっと笑う。
「いやあ、これはこれはアドルテアさんも老けたですなあ。どうでっか、景気いいでっか」
「ぼちぼちでんな」
わっはっはっと笑う二人。
この二人のノリには誰も着いて行っていない。
二人が話しで盛り上がれば盛り上がるほど、誰もちょっとほうけていた。
「知り合いですか」
らいでんがそう聞く。
これにはバルディが答えた。
「いやあ、昔のお得意様でねえ、いい商売させてもらってやすよ」
「いやあ、バルディくんはねえ、いいものを仕入れてくれるよ。なかなか手に入らないものをね。ふぅえっふぇっふぇっふぇっ」
アドルテアはそう言って笑う。
その白くて目を隠すほどの眉(まゆ)は、アドルテアが笑うと上下する。
バルディも一緒に笑う。
なにか笑うタイミングさえも微妙に同じなのだ。
息のいいというか、まるで長いことコンビを組んでいる管楽器のようだ。
エルフィールは気分が良くなった。
これは嗜好が似ているからだろうとらいでんは推察した。
良く見ればこの一人と一匹は良く笑う。
それも意味もなく。
ミラルはいいものを見たような気持ちである。
フィルフィルフィールはダリルたちと旅をした時のことを思い出して少し微笑(ほほえ)んでいた。
なにかこの場を和ませるものがあった。
「いやあ実に楽しい方だ。良かったら我々の旅に一緒に行きませんか」
らいでんがそう提案する。
アドルテアが自分の国に帰ろうとしてることはみんな分かっていた。
また、アドルテアも一行がどういう旅をしているのか理解していた。
「それじゃ、ご一緒させてもらおうかな」
そう言ってアドルテアはさらに笑った。
「いやあ、それはいいでがすね」
なによりもバルディが笑った。
わいわいがやがやと、その一種パーティのようなものは昼まで続いた。
「腹へった〜」
エルフィールが降りて来る。
その頃にはみんなすっかりうち解けてしまっていて、エルフィールはぽかーんとそれを見た。
「誰だっけあんた」
眠気眼(ねむけまなこ)でエルフィールはスープを木のスプーンで飲みながらアドルテアに聞く。
「いやなに、隠居したしがない薬売りですよ」
「あーあんたあのじじいか」
「アドルテアさんはあっしらの仲間になったんでげすよ」
バルディの言葉にエルフィールのぶっきら顔が一気に精彩さを得る。
「そりゃいい〜。こんな奴が欲しかったんだー」
「なにを意味不明なことを言うかなあなたは」とミラル。
「パーティが一人増えたら一人減るよな、うんうん、それはやっぱりミラルだな」
「馬鹿言うでないの、あなたのほうでしょうそれは」
「まあなんにせよ良かった良かった天晴れだ」
エルフィールの言葉にバルディはうきうきして、フィルフィルフィールはにっこりと微笑み、ハイベルとダミエールとらいでんはお茶を飲み、ミラルはあ〜あと唸(うな)った。
ミラルはなにも言うまいと思った。
それはこの場にはフィルフィルフィールがいて、みんなは別段エルフィールになにも言わなくてもなんともないではないかと思うからだ。
「てめー旅に着いて来るって。死んでも知らねーぞじじいさんよー」
思っていた。
「それでさ、じじい、あんたどんな魔法使えるの」
「あんたは黙ってなさい」
ミラルの怒号が響く。
シーンとするテーブル。
いや、宿の一階の酒場がシーンとなった。
「心の無い言葉は悪魔の言葉と知りなさい!」
一行はなにもなかったように昼飯を取る。
エルフィールをのぞいては。
「るっせえやばあか。くそが、くそくらえ!」
「く……なにを言うかあんたはーこんにゃろこんにゃろ」
「やるかこのやろやるかこのやろ」
みんなが食事する中、テーブルの上をミラルとエルフィールの食事が皿ごと空中を飛ぶ。
それをキャッチしてまた投げる二人の宴会芸となっている。
それでいて一滴もこぼさないのだから、たいしたものである。
「よっはっとっ」
「てやっはあっんむむっ」
両手で皿を取って、さらに口で皿を取る二人。
まるでなにかのアニメを見てるようである。
口に皿をくわえたままの二人の睨(にら)み合いが続く。
「ふわふふんふんたらたん」
「ふむふむふふふふんがふふ」
高まる緊張の中に拍手が高鳴る。
「なふだ」
「なふでふの」
ミラルとエルフィールは拍手しているバルディを見る。
「すんばらしいでんがなお二人ともにぃ〜い。こんなに素晴らしいものを見たのは初めてですだ」
バルディは涙を流しながら拍手している。
ミラルとエルフィールは皿を置くと他のみんなと一緒に昼飯を始める。
これには二人ともすっかりと興冷めしてしまったのだ。
食事を取った一行はそれぞれ身支度して宿を出る。
それぞれ荷物を持っている。
これからドラゴンのとこに戻ろうというのである。
一行は巨人が纏(まと)う強力な風の精霊によって巨人の大地に降りたってしまっていた。
そこから出るには、助けてくれたドラゴンが休みを取ったらすぐに出ることになっていた。
アドルテアは着ていた服を売って、身支度を調え、質素な土色の服になっている。
「そんな格好しなくてもいいですのに。高貴なお方が。服ならばいいのをそろえますよ」
ミラルはアドルテアにすまなそうにそう言う。
それはミラルなりに気を使ってのことだった。
「いえいえ、それにはおよびませんぞ。わしは時には勇者と呼ばれる人と幾たびもの旅をこなしてきたのですよ。その時の服はいつもこんなものでした。服に気を使う者もいたが、わしにはこんなもののほうが好みでな。いやあ、ほんとに気を使わないでください。馴染んでいて、嬉しいのですよ。逆になんだかわくわくするのですから、老いぼれの化粧とお笑いください」
「そんなこと、思うはずもありません。それならなりよりです」
ミラルは服の裾(すそ)を手に取って、下を向いて少ししゃがみ気味に礼儀たる姿勢を取る。
一行は荷物をチェックしてから、歩き始める。
「おやおやおや、どこへ行くのかね」
ゴブリンの商人の村長であるシルフィスアがロバの上から聞く。
「もうおいとましょうと思いまして」
フィルフィルフィールは笑顔でそう言う。
「おやまあ、これはお構いもしませんで、申し訳なかったわね」
シルフィスアはロバから降りると、泥の付いた鍬(くわ)を置いて、泥の手袋を外して服で手を何度も拭いてからフィルフィルフィールと握手する。
それはとても力強いものであった。
「寂しくなるよ」
「また寄ります」
フィルフィルフィールはうなずきながら、ちょっと目がうるんで涙が一粒光っていた。
いつこんなに仲良くなったのだろうかとエルフィールはだらっとジョルディーによりかかりながらそう思う。
「なんだったらあたしたちのなんでも荷物は天空から世界の果ての大地までお安くお届けするよ飛竜さまさまワイバーンでどこでも送ってやってもいいんだよ」
「いえいえ、それにはおよびません。いかなここで商売するあなたがたでも、ここでの飛行は危険があるでしょう。ドラゴンまでは歩いて行きたいと思います」
シルフィスアの提案をフィルフィルフィールは丁寧に断る。
「例のものよろしくお願いします」
「分かった届けておくよ」
にやりとフィルフィルフィールとシルフィスアが笑った。
ミラルだけがぎょっとしたが、左右を見てから聞かないことにしょうと決意した。
ミラルが杖を大地にうがつ。
光りの雫(しずく)が幾つも杖の先と大地からほとばしる。
ミラルの詠唱が始まる。
「空と大地はここから始まる空気という青い風よ。いま私たちはこの空が故郷のひとつだと思い抱く気持ち。このうるみは別れが悲しいから、この笑顔はまた会うことを希望しているから。鳥は自由ではなく、飛ぶことを知っているその羽と羽ばたきが海を行くボートのオールであること。それは小さな一漕ぎでも、いつかそれは空の果てのあの蒼の先の闇さえも漕ぐだろう水の音。この言葉に祝福を乗せて、どこかへと行くことがあってもいつかまたここへと帰るだろうとここに言うでしょう。帰り道は知らないけれども、いつかその道はまだ見ぬ街へと山脈へと海へと続いてから、またここに帰る一筋を見ることでしょう。それはここがとてもいい場所であったからなのです。いま感謝の言葉を贈ります。イ・ア・デラールト・ルクテアース」
ミラルの杖から大地を走るなにか風のようなものが広がった。
それは地面の中を走るなにかの波動のようである。
「大地への祝福だね」
シルフィスアが笑顔でうなずきながら聞く。
ミラルはうなずいてから言った。
「そうです。この地が豊作になるように、またいい風と光りに囲まれるように陣をかけておきました」
「商売はないのかね」
シルフィスアはちょっと残念そうに言う。
「そこまでは魔法の範囲を越えています」
「そりゃあそうかね」
シルフィスアはそれから豪快に笑った。
「またな」
エルフィールがそう言うと、一行は歩き出す。
見送りにはシルフィスアだけであり、他のゴブリンたちは既に商売にと動いている。
ゴブリンの村の門をくぐり、歩いて行く一行。
「残念、なにかこの村を去るのは寂しいなあ」
ミラルはそう言う。
「心配するな」
エルフィールがびしいと言う。
「このパーティにも遂にじじい魔法使いが入ったーっ。前から欲しかったんだよそーゆーの」
「どーゆーのじゃ」
ミラルの言葉にもエルフィールは意気揚々だ。
フィルが取りなす。
「まあまあ、意気消沈よりもいいでしょうおっほっほっほっ」
フィルフィルフィールはそう言って豪快に笑う。
この親ありてこの子ありか。
うやうや、そうではなくて、フィルフィルフィールの剛胆さとでも言ったほうがいいのだろう。
ミラルは一人そんなことを考えながら歩く。
空を影が陰(かげ)る。
竜舞うは夜の闇夜によに。
エルフィールたちを運んで来たドラゴンたちが雲流漂い舞う空へと舞い踊る。
雷雲がでらでらと空を彩る。
それは一瞬であり、すぐに空の雲へとドラゴンたちは消えてしまった。
エルフィールたちからは巨人の地平の向こうに見えたことであり、それは巨人の頭部のほうだ。
「見たか……」
エルフィールが呆然としてるようで誰にでもなく聞く。
「見ました……」
ミラルが答えた。
「これはたいへんなことになったな」とらいでんが人ごとみたいに言う。
「行くか」とジョルディーが剣の柄に手を置き。
「仕方ないな」とハイベルが目を閉じて仁王立ちで言う。
「走りますか」と言うフィルの髪を風の精霊がきらきらと揺らす。
「お金の臭いがするでがすよぉげっへっへっ」とバルディがくるっと空中で一回転した。
「しょうがないだろう」とダミエールがばろろんと冴えない音を弾いた。
「うぅ〜うぅ腕が鳴るぜぇえ〜っ!」
ごがんと豪快な音がして、エルフィールの精霊剣の一刀に近くにあった岩が真っ二つになる。
その横でどたま抑えているヴァルキリーがいる。
「くっくるっくぅ〜」とカーバンクルが楽しそうに一回転した。
エルフィールはゴブリンの村に走って帰る。
巨人オライオンの岩の大地には、無数の砂が舞っている。
追い抜いて行くエルフィールを見て、シルフィスアが素っ頓狂な声を出す。
「どうしたんだい、いったい」
「トイレ借りるぜ」
ずでむ、とミラルがシルフィスアの横でずっこける。
「あほかあんたー」
ミラルの横でシルフィスアの目がきらーんと光る。
−−するよするよ、商売の臭いがするよ。
「くっくっくっ」と小気味よく笑うシルフィスア。
それをコケたままのミラルがジト目で汗垂らして嫌そうに見ている。
「嬢ちゃん」
笑顔のシルフィスアの猫なで声に、ミラルがしゃきーん立ち上がる。
「うちのワイバーン、出そうじゃないか」
そのシルフィスアの笑顔はいままでにないほど皺(シワ)が深く、悪そうであった。
てけてけてんてんじゃじゃん。
グラウディアソード(シャキーン)。
ぶあっとワイバーンが空を舞う。
波打つ雲の地平をぶち破って飛竜(ワイバーン)が翼をひるがえらせる。
ゴブリンたちの村は一気に小さくなって行く。
その背中にはエルフィールたち一行がいる。
「ごぶえ゛え゛え゛げべげぇ゛〜」
エルフィールの顔は強風でごえーとなっている。
他はみんな顔を出して無い。
それぞれがマントで背中を覆い、顔もうずめて、小さく息を整えている。
いや、手綱を握っている先頭のシルフィスアとバルディは顔をあげて楽しそうにうっきうきに歌さえ歌っている。
うげぎよがとなっている涙目のエルフィールには、なにかの精霊が空を舞っているのが見えた。
精霊はなにかの細長い白い布がはためくように進んでいるのだ。
雲界の地平を一気に駆け抜ける飛竜。
疾風が過ぎ去る中、エルフィールは虹色のきらめきを見ていた。
それは精霊という名のきらめきだ。
飛竜は一気に精霊の渦を抜けると、目の前に雷雲が迫って来るのが見えた。
ワイバーンがホバリングとでも言うか、滑空状態でくるくると雲壁(うんぺき)の前で移動する。
雷雲の壁が一面を覆い尽くして、そこから先には行けそうにも無い。
雷鳴はドラムのごとく鳴り響き、まるでそれは空そのものが振動しているかのようになにかの音圧が一行をとらえていた。
それでいて、それは音が高いということではなく、まるで見えない波動が通り過ぎるようであった。
それは黒雲たる空が、いや、オライオンが呼吸をしているかのようにミラルには思えた。
その波の分風が弱くなり、一行は一息着くことが出来た。
「くるくるくるっくー」
カーバンクルはワイバーンに楽しそうに着いて来る。
「おまえは精霊原則を無視する奴だなあ」
エルフィールはジト目でカーバンクルに言う。
カーバンクルはエルフィールの肩辺りでくるくる回転している。
ミラルが顔を上げて前を見ている。
疾風につんのめるようだ。
エルフィールがミラルに言う。
「ミラル、私はいま気づいたぞ」
「なにを」
「私はいまドラゴンライダーになった」
「気づくなそんなことーっ」
「ドラゴンは空飛ぶぞー元気だぞー」
素っ頓狂なノリとリズムの歌をエルフィールが歌いだす。
エルフの歌ではなく、エルフィールの素の歌のようであった。
「へたくそ」
そう言うミラルの首にエルフィールが腕をからめてくる。
「ぐへー」
ミラルはエルフィールの腕をほどきながら、広がる世界を見た。
空というか、進行先には一面の黒雲が広がる。
水飛沫(みずしぶき)が雲のほうから吹き付けて来る。
「雨が横から降って来る?」
エルフィールが目を細めて雲を見ている。
「この雨はな、これはギガンティックティアー、巨人の涙さ。いいシャワーだろう。まるで水の精霊が舞っているようさ」
シルフィスアがそう言ってケッケッケッと狡猾(こうかつ)そうに笑った。
「へーそうなんだ」
ミラルはなめてみるが、別段、しょっぱくはない。
「鼻水かも知れないね」
一行が一斉にむせている。
バルディとエルフィールはきょとんとしてる。
シルフィスアはさらに笑ってから言う。
「なに、巨人の上空は雲が出来やすい。風も精霊の重力の無い顔のほうから来るから、それをみんな巨人の涙とか、巨人の鼻息とか言うのさ」
ミラルはおやと思った。
雷鳴が天に地に鳴り響く中、エルフィールの言葉は普通に聞こえるのだ。
「この雷鳴の中、話が出来るなんて」
ミラルの問いにエルフィールはんあと言って説明する。
「これは雷鳴ではあるけれども、そのすべてが精霊の純粋なる力、その流れだけで響いている。だからさ、純度の高い精霊は自然現象ですらそれは空気のようにあって無いようなものなのさ」
「へーそう。ならあの雲流や雷ですら、無いに等しいと言うのですか」
「ん、それは」
一行は顔を見合わせる。
「それだな」
ダミエールとジョルディーとエルフィールとらいでんの声がハモッた。
「それじゃ行くよ」
シルフィスアはワイバーンの手綱を上手く操ると、ワイバーン空へとくるっと駆けてから、一直線に黒雲に突っ込んだ。
風がその風雨があるのだが、雨では濡れず、また風は冷たく無いのだ。
そして、黒い闇たる黒雲の中では、視界がある。
前が見え、周囲が見えた。
薄い霧がかった程度には視界は悪いが、それでも遠くになにか山々があるのが見えた。
そしてその山のひとつにドラゴンたちが座り、翼休めているのが見えた。
ワイバーンはドラゴンの前でホバリングする。
「どこか怪我でもしたのか」
エルフィールの問いにワイバーンレッドドラゴンは首を振る。
「みんないるよ。そして、誰も怪我ひとつしていないのだよ」
ドラゴンの言葉に安堵したエルフィールだが、ミラルには疑問がある。
「では何故ここにいるのですか。私たちはもう帰り支度が出来ています。私たちを地上に帰すということはどうなったのでしょうか」
「見たところ、そのワイバーンで帰ることも出来るだろう、それでいまから帰るのがいいだろう」
「答えろドラゴン」
エルフィールは問いつめるように叫ぶ。
精霊さえもがその怒気にゆらめいたようだった。
エルフィールの周囲を三騎のヴァルキリーがゆっくりとまわる。
ドラゴンは周囲をくるっと見回す。
「オライオンが我々を呼んだのだ。だから、その意味を問うまで帰るわけにはいかないのだよ。人の子よ、きみたちには関係の無い話だ。帰りたまえ。そして、旅の武運を祈っているよ」
エルフィールはワイバーンから飛び降りると、ドラゴンの鼻先に飛び降りて、そしてそのまま目頭に蹴りを入れた。
「うおう。痛いではないか」
涙目でドラゴンは泣き言を言う。
「うるせい。答えろドラゴン。何故(なぜ)何故(なにゆえ)オライオンはおまえらをここに呼んだ」
黄金のドラゴンはしばらく黙ってから、そして一言言った。
「聞け人の子よエルフの子よ。それは大地の樹であるオライオンに聞くがいい」
「ああ、分かったぞ」
エルフィールはいまいる高所からさらに高い山にひょいひょいと上がる。
カーバンクルはひょひょとエルフィールに着いて来る。
エルフィールの駆け上がる様はまるで猿か鹿のような素早さだ。
それは精霊に彩られた動きなのだが、それは精霊使いたるフィルとドラゴンにしか見えてはいなかった。
ドラゴンたちのいるとこよりもさらにちょっと高い山頂に猿よろしくひょいひょいと上がるエルフィール。
尖った岩先に手をかけて空を見上げる。
そして山の上で叫んだ。
「気高き大地たるオライオン。なにゆえこのようなことをする。ドラゴンはおまえの友であり、家族だろう。機嫌が悪いならばなにも言うまい。けれども、そうでないならぱこのドラゴンを山頂にとらえる理由をささやけ。このドラゴンたちがまだこの山に座っていられるようにな」
空気が静まりかえった。
いや、雷鳴はまだ雲間で鳴り続けている。
風雨は嵐の模様だ。
けれども、風は穏やかになった。
それは精霊使いたるエルフィールだけでなく、ミラルたちにも感じられたのだ。
大地が鳴り響く。
地響きが地の底からする。
それは大地の咆吼。
そしてそれはオライオンの答えであった。
エルフィールはワイバーンレッドドラゴンの元まで降りて来る。
ドラゴンたちは尖った岩山に居て、器用に座っていた。
そのドラゴンはちょっとした山の中腹といった感じである。
ミラルとジョルディーたちもドラゴンの腹上に降りて来る。
ミラルがふらりと倒れそうなとこをハイベルが受け止める。
「あら、あたしとしたことが。高いとこだめだっていま思い出したわ」
「それは良かった」
暗雲の世界にハイベルの歯が光った。
エルフィールはワイバーンレッドドラゴンに聞く。
「オライオンはなんて言ってるのかな」
ドラゴンはゆっくりとその首をもたげてエルフィールを見る。
「うむ、オライオンはむずがゆいと言っているな」
ドラゴンの言葉にエルフィールはうなって一言言った。
「う〜ん、つまりは鼻がかゆい、と」
「なわけあるか〜い」
ミラルのケリツッコミ、エルフィールは100のダメージを受けた。
風雨よりも雷鳴よりもあるミラルのいきおいがエルフィールを吹っ飛ばす。
ドラゴンの首元まで転がり降りるエルフィール。
直ぐに立ち上がってひょいひょいと戻って来て、エルフィールはため息まじりに言う。
「冗談だってミラル。ったくよぉ分かってるってばさぁーねえ?」
エルフィールは横に立っているジョルディーの肩に手を乗せて言う。
「ん、そうだな」
「なんだ眠気声で」
「んー。今朝寝付けなくてな」
「おいおい頼むよ大将」
「分かった」
ジョルディーの生返事に、エルフィールは不満たらたらと、おやと思う。
精霊がエルフィールの周囲を舞う。
エルフィールは精霊の動きに自然と合わせる。
花びらの風がエルフィールを彩る。
それは精霊の疾風。
エルフィールは流れる布のような淡い色彩の精霊と舞う。
「精霊招霊(せいれいしょうれい)バルキリー・ヴァルキュリアス!」
エルフィールの周囲にはバルキリーが三騎。
エルフィールのいる大地は闇の波紋ののち暗くなり、色彩は色を潜(ひそ)める。光りの空と暗闇の大地に立つ時。
バルキリーはエルフィールの周囲を流転しながら色彩と舞う。
エルフィールがゆったりとした淡い光りに包まれる。
精霊流牙。
百鬼精霊。
精霊魔衣。
一騎のバルキリーは眼鏡をかけてあげて、もう一騎が虹を反射する銀色の鎧を着せ、もう一騎のバルキリーは風の精霊が長い旗に飜(ひるがえ)る矛(ほこ)を手渡す時、エルフィールの髪は太陽の光りによって虹色に輝き、そして準備万端となる。
三騎のバルキリーがエルフィールを受け止める。
精霊舞、三騎掌打。
シャン。
シャン。
シャン。
三つの矛が鳴る。
三騎のバルキリーたちが矛を打ち鳴らす時。
そのひと打ちに暗い大地に雷鳴が轟く。
雷鳴転化。
千変満開。
豪騎欄上。
エルフィールに精霊具たるその花風を散らす。
エルフィールは矛を上から下へと打ち払い、中腰から立ち上がる。
エルフィールのひと動きに精霊とカーバンクルが舞っていた。
ふよふよんと花の風はさらに強くなり花嵐がエルフィールの周囲を巡り踊る。
花風が過ぎると暗い世界はその色彩を取り戻していた。
エルフィールは精霊具を纏っていた。
風がエルフィールの周囲を過ぎる。
岩の上にいたはずのエルフィールはいつのまにか違う世界にいる。
宙(そら)舞う闇中。
浮いているエルフィールとカーバンクルの周囲を光りが彩りある流れる雲の世界が視界を周囲を描く。
それはひとつの世界。
エルフィールは雲間から見える大地を見る。
巨人たちが広大な草原を歩いている。
幾人もの巨人たちが行く。
その数は数えきれないほどにいる。
落陽たる光波に彩られた世界。
いや、それは夕日だからだけでなく、精霊が舞っているのが見える。
精霊の密度は空気よりも濃い。
それは誰もが精霊使いであった頃の話。
魔法などはなく、精霊と語ることで事は足りた。
世界はまだ落葉の空を迎えてはいなかった時。
多くの精霊がまだ元素たる精霊界に帰る前の話。
地平の夕日の中に、幾重もの見たことのない自然が続く。
風のように変わり続ける世界。
精霊が精霊界に帰り、巨人たちはそのほとんどが岩山へと姿を変えた。
そして、この地に残ったオライオンもまた山へと姿を変えた。
幾年月が過ぎただろうか。
オライオンは山脈のひとつとして、幾重もの土の層を得て、そこには木々が生え、そして小動物が暮らしていた。
勇者たちとの戦いから帰って来た一部のゴブリンたちが里を作り、オライオンの一角に住み始めた。
ゴブリンたちは皆(みな)器用であり、それはドワーフほどのものであった。
岩の巨人たちは永遠の眠りに着いたようであった。
何年、何百年立っただろうか。
だが、どうだろう、オライオンは眠りから目覚めたのだ。
地響きを上げてオライオンは歩き始める。
それから世界で一人だけの岩の巨人はのそりのそりと歩いているだけであった。
それに寄り添うように黄金のドラゴンと幾匹かのドラゴンが続いた。
動き大地たるは岩石の巨人。
それは、止まることの無い大地。
オライオンをすり抜けた幾重もの葉と花びらの風が螺旋を描いて見ていたエルフィールに過ぎ通る。
それはエルフィールが一息する間だったが、エルフィールには永遠にも似た時間を感じた。
「くるっくー」
カーバンクルがエルフィールの肩の辺りで鳴いた。
ふと、エルフィールは元の風景にいた。
「体が動くぞ」とドラゴンが言った。
「そうかー」
エルフィールは見開いていて涙目になっていた涙を拭う。
「うわっ」とミラルがいつのまにか精霊具を纏ったエルフィールにびっくりしている。
一息着いて。
「なんだったの」とミラル。
「オライオンのくしゃみだってさ」
「なわけあるかい」
ミラルはハンカチでエルフィールの涙を拭った。
「もうだいじょうぶなのか」
ジョルディーがエルフィールに問う。
「そうだ。もういいんだ」
エルフィールはオライオンを覆う暗雲を見上げていた。
ワイバーンレッドドラゴンによって地上に降り立つことが出来たエルフィールたち。
一行はゆっくりと歩くオライオンを見ていた。
大地の砂を粒状に螺旋に巻き上げながら歩いて行く。
轟音がゆっくりと響いて来るが、それは気持ちのいいものであった。
「あんたたちの道を行きな」
シルフィスアはそう言うと飛竜を走らせ空へと消えて行く。
「またなー」
エルフィールがシルフィスアに叫んだ。
「さて、行こうぜ」
エルフィールはくるりと向きを変えて歩き出す。
意気揚々とした顔でステップを踏むように行く。
一行はエルフィールとは別のほうに歩いて行く。
エルフィールはそれまでに来た道へ歩いていた。
カーバンクルはエルフィールの肩の辺りで楽しそうにくるくる回転している。
精霊使いなのに太陽から方角も見ることが出来ないとは。
下を向いてため息をは〜あとひとつ付くミラル。
見上げた顔は精悍(せいかん)なものであった。
「エルフィール!」
ミラルの問いにびっくりしてエルフィールはすっころぶ。
あわてて立ち上がると砂を手ではらってから一行の元へと駆け戻る。
一行の後方にはオライオンがゆっくりと歩いている。
そこそこ離れているのに、オライオンは巨体ゆえに近くにいるようだ。
ずしんずしんとオライオンが歩くたびに轟音が低く大地に響いた。
そして、オライオンの地響きだけが一行を見送った。
続く。
第二十四話 神楽舞う精霊流歌。
木々に囲まれていた。
その木々は自然にして、青々と茂っている。
それはどこまでも純粋な緑を色彩としていた時のこと。
エルフィールはそれはなにかを訴えるように言うのだった。
エルフィールが話し出す。
それはエルフィールにしては、静かなほうだっただろう。
「オライオンから歩き出した私たちは、いつのまにか知らない森に迷い込んでいた。この精霊密度から、ここは精霊の道であるとおっかちゃんは言うのだ。私たちはどこへ行くのかこれからどうなるのか、それはまだ誰も知らない。なにせ、宇宙はいまも広がり続けているのだから。この大自然のようにね」
「木に向かってだらだらしゃべって、なあにやってんのかなあなたは」
ミラルが仏頂面でエルフィールにそう言う。
腰に手を当てたミラルはとてもキュートな姿勢でそう言うのだ。
エルフィールはやれやれとミラルのほうを向いて、それからいかにもだるそうに一息ついてから言った。
「いや、風吹くように言えば緊張感がやわらぐかなと思って」
「やわらがねーよ」
「あうあうあうあうっ」
エルフィールが喘ぎながらミラルに引っ張られる。
それはトドのようである。
エルフィールはなんとか立ち上がり、それでもまだ引っ張られている。 ミラルはエルフィールの耳を引っ張って木々が道を幾つか示す場所まで来る。
岐路は幾つか見えたが、それが道なのかどうか、森の分かれ道の始まりからはようと分からない。
ミラルはエルフィールに向き合うと、厳格に問いかける。
「さあ、エルフよ、精霊使いたる女よ、精霊の道はどこへ向かっているのかいますぐに私たちに示しなさいな。そうすれば、魔法使いたる私は、その道をどう歩くかを考えるでしょう」
エルフィールは意気揚々と答える。
「ん、これは、精霊の世界に迷い込むのは精霊の物語とネタがかぶってしまってさらにネタバレしそうだよ」
「だきゃーしいわぼけえ(!)、いーから調べなさいっての」
「いやね〜、そういうのは精霊使いというのは感じるものであって、魔法使いのように調べるものじゃないんだよ。だからゆっくりと行こうよ。いまのあたしにゃあにゃあなにも感じないよ。明日になったらきっといい道が開けるからさ」
「締め切り間際の吟遊詩人のよーなこと言ってんじゃにゃいにゃいのよね」
ミラルの魔法かかったハリセンチョップを真剣白羽取りするエルフィール。
「死にさらせわりゃあ」
ミラルの背後にはビジョンとして虎が吠える。
「死ねるかあ〜」
エルフィールの背後で龍が吠える。
むちゅっと。
エルフィールがハリセン真剣白羽取りしながらミラルにキスする。
「げほほっぐへえっ」
大地に転がりのたうち回るミラル。
エルフィールはそれを見て勝利を確信した。
「くっくっくっ、バルドラッシュスーパーハリセンブレイドやぶれたりー」
エルフィールはそう言って天を仰いだ。
拍手がエルフィールとミラルを包む。
エルフィールとミラルを見ていて、手を叩いている老人が一人。
「ふぉっふぉっふぉっ、面白いコントですのー」
アドルテアが豪快に笑っている。
この老人はオライオンの大地で出会ってからこっち、まったく人見知りするでもなく、特にエルフィールとミラルになついているようであった。
エルフィールはちょっと怒ったような流し目でアドルテアを見る。
「コントじゃねーっての」
エルフィールは立ち上がるとアドルテアが上げた手にタッチして、Vサインをする。
ミラルは四つんばいにまで起きあがると、涙目でエルフィールを見る。
「きょ、きょーはこのきゅらいにしといてにゃる」
口を拭いながら立ち上がるミラル。
「負け犬はいつも遠吠えをする」
エルフィールがそっぽを向きながら悪そうな顔で言う。
怒り目のミラルの周囲を精霊の稲光がばちばちと光る。
それは精霊使いでなくても見えるものだった。
くるっくーとカーバンクルが楽しそうにエルフィールの上で回転した。
アドルテアが布をミラルに手渡す。
「怒りを沈めなくては魔導原則を守ることは出来ません。若き魔導者よ、その道をゆっくりと歩いてください」
にっこりとアドルテアは笑ってミラルにそう言う。
ミラルは布で顔を拭う。
アドルテアの一言。それだけで一息つけた。
それだけ単純な奴なのかと、ミラルは気持ち愚痴た。
大小の樹の根が大地を埋めている。
どこを見ても木々が連なっていて、それは空もそうなのだ。
ちょっとした樹木のダンジョンといった感じである。
それでいて、森の中は暗くはなく、ほのかに明るい。
これはエルフィールの言葉を借りるならば、精霊が光っているのだそうな。
エルフィールは真面目な顔でミラルの方を見る。
「ど、どうしたのエルフィール」
「春の夜空に花咲くように萌えるような葉の海がたなびている」
「はあ?」
「つまり、私は精霊界に来て、とても気持ちが澄んでいて、心に花が爛々と咲いている。心に自然が広がる様を萌えと言う。萌え〜萌え〜萌え〜」
「あー、そうですか、そうですか」
木々の向こうからフィルフィルフィールとジョルディーとハイベルとらいでんとダミエールがやって来る。
「どこ行ってたんだ」
エルフィールがすましたようにポーズをジョルディーたちに決めて誰ともなく聞く。
「なに、探索さ」
ジョルディーが答える。
ミラルはエルフィールの肩に肘をかけて言う。
「あんたが精霊界の空気にはしゃぎまわっているあいだに、みんなは周囲を調べていたのよ」
「そうか」
ぽんと両手を打つエルフィール。
「みんな落ち着いてるなあ」
「おめーがハイになってるだけだっつーの」
ミラルが肘でエルフィールのどたまをぐりぐりする。
あははと手で頭かきながら、ジョルディーのとこまでスキップで行くエルフィール。
カーバンクルがくるくる螺旋を描きながら着いて行く。
「どーだった」とエルフィール。
「ん、むー。なんもないなあ。道に迷わないようにするのがやっとさ」
「フィルフィルフィール殿がいて下さるお陰ですな」とハイベル。
「いえいえいえ、私などたいしたこともない話です」とフィルフィルフィール。
エルフィールはらいでんの方を向く。
「なにか元の世界に戻る道とかないのかな」
らいでんは首を振る。
「いやいや、この世界はまるで地形の違いというものがない。ちょっと見、どこの木にも違いがないのだ。形は違うように見えるが、また別の角度から見ると形が変わっているというのかな。それは地形にも表れているのだ。錬金術も試してみたが、この見える自然は精霊そのものであり、砂と化した精霊の端など力を表さないのだよ。つまり私ではなんの役にもたたないのだ」
「それは仕方ないことです」
フィルフィルフィールがらいでんの話を継ぐ。
「この世界はあらゆる魔法の元となる世界。精霊法の源、そして錬金術がその土としている場所なのです。ここでは方向は形を得て形あるものは方向を失うのです。いま見ている風景はもしかしたら明日のものかも知れません。昨日から吹いている風で方向など見たら、どこへ行くのか見当もつかないのです。だからと言って、この世界の精霊に道を聞くことは難しいのです。なにせこの世界の精霊は自由ですから、精霊使いといえども、その姿を形あると言ってみることが出来ないのです。どうしたらいいのか。それは精霊だけが知っています。なにせ、ここは精霊の世界なのですから。私とエルフィールとハイベルだけならばなんとかなるのですよ。けれどもそういうわけにはいきません」
ダミエールがフィルフィルフィールの言葉にうなずく。
「そう、エルフと神属には長い年月があります。ゆっくりと道を探すことが出来ます。けれども、私たち人間にはそれだけの時間がないのです。なんともあやふやなことですが。それが人のいいところでもあると思うのですよ」
ダミエールはそう言ってから岩に腰掛けて音楽を奏で始める。
それは風をひるがえらせているかのような旋律だった。
エルフィールがうんうんうなっている。
「どしたのエルフィール」
ミラルは悩むエルフィールを見て、ちょいと道を探しているのかと思ってから、良く考えてそうではないと思った。
それは長年の付き合いが出した答えだった。
「うん、なにか忘れていたと思ったんだ。バルディだ」
みんな驚いた表情でポンと納得両手を叩く。
「うきききききききききききき〜ぃ〜いいきぃ」
なにかの影が一行の頭上を枝から枝へと渡って行く。
嫌そうな顔でエルフィールが空を見る。
一行も見ると、それはうきうきとした顔で猿のようになって枝から枝を移動するゴブリンが一匹。
「きっきっきぃ〜い」
がむしゃらに枝から枝へと移動するバルディ。
エルフィールは手を額に当てて、まいったという感じで言う。
「すっかりバルディの奴野生に帰ってやがる」
「いーじゃない、だってゴブリンは精霊に眷属する種族じゃないの。これが自然な姿なのでしょうよ」
ミラルはいかにもな感じでそう言う。
「ミラル、縄借りるぞ」
エルフィールはそれには答えずに、ミラルの荷物を漁(あさ)る。
ミラルがびっくりしてエルフィールの背中に手を置く。
「整理整頓されてるのに〜」
エルフィールは縄を取り出すと、他にも入っているものをふりまきながら、縄に石を巻き付け、バルディに投げる。
それはかなり素早い動作だ。
狙い違わず、縄はバルディをとらえて、生きているようにバルディにくるくると巻き付く。
エルフィールはバルディの移動する力を縄で受けて、ちょいと空中に浮く。
ジョルディーも縄を取る。
バルディは縄と縄持つエルフィールとジョルディーに引っ張られて、地面に落ちる。
ばすんと嫌な音がした。
「ひえええええ」
ミラルはちょいと怖がってから駆け寄る。
「どけどけどけい」
エルフィールがミラルの頭上からバルディに飛びかかる。
バルディも逃げようと縄と格闘しているが、間一髪エルフィールが取り押さえる。
ほとんどなにか野生にでも帰ったようなバルディ。
暴れるバルディの耳元でエルフィールはなにか言う。
バルディは立ち上がると直ぐに走り出す。
「なになに、なんだって言うの。なにを言ったのエルフィール」
「ん、んやね」
エルフィールが答える前にバルディが自分の荷物からパンひとつ取って来る。
「誰でやす誰でやす。誰があっしのパンを買ってくれるって言うんでやすか。早く、早く買ってくださりゃー、あ」
エルフィールがバルディのパンを食べてしまう。
「んぐんぐ、も少しで野生に帰るとこだったでんぐあ、これで貸し借り無しなんぐ」
「そ、そんな殺生(せっしょう)な〜」
「や、野蛮ねー最近のゴブリンは」
ミラルはそういって一人納得している。
バルディはしばらくぼー然としているが、きょろきょろ周囲を見てからびっくりしたようにほうけている。
「あ、あねさん、ここは精霊界じゃないですかい」
「ん、そうだな」
「これは、これはしょーばいのちゃあーんす」
バルディの目が硬貨のようにまん丸になっている。
そして銀貨のようにきらきらと輝いた。
「落ち着け落ち着け魔王の眷属たる一匹よ。バルディ、ここから出るのが先決だ。もちろん、歩く途中で拾った石や枝は持って行っていいからさ」
「分かってまさあ、あねさん。それ以上言いなさんなって」
それからエルフィールと一匹はへっへっへっと悪い笑いをしばらく続けた。
それをジト目で見ているミラル。
「それで、なにか分かるか」
エルフィールの問いにバルディはきょろきょろ周囲を見ている。
「こっちですだ」
バルディは自分愛用のバッグを背負うと、歩き出す。
一行もそれぞれ荷物を持って歩き出す。
その足取りは軽く、とてもなにかの方向を取っているとは思えない。
ミラルはとてつもなく不安になって来た。
エルフィールの横まで歩みを遅くして、話をする。
「ねえ、これでいいって言うのですか。どー見ても勘で歩いているように見えますけども」
「そうだよ。だって勘で歩いているんだから」
「な、なにを言っているんですか。なにか方向をその道をとらえる方法にのっとってですね」
「言うな言うな、精霊界で物質界の法則が意味などなさないことなど分かっているだろうに」
「そ、それはそうですが、ですけれども、そうと分かっていて、はいそうですとバルディに道を任すなど、魔導の使途たる私の名前が許しません」
「そんな銘ならば、なまくら刀に彫っておけよ。いまは形の無い道を行くのだからさ」
「そうでしょう、そうでしょうよ。分かっていますよ」
ミラルはちょっと怒ったようにそう言うと、黙ってまた歩く。
それにしてもとミラルは思う。
この世界の風はまるで色彩が付いているように鮮やかに吹いている。
緑は木々に爛々と萌えていて、心の中まで萌えていくようだ。
もしこの世界にずって居ていいと言われたならば、それはなんと幸せなことなのか、と。
いや、いけないとも思う。
それはきっと自然に生きるということではなく、あるべき世界を忘れることなのだと思うから。
ミラルは前を見る。
その視線はバルディを見ている。
精霊と踊るように歩くバルディ。
実に楽しそうだ。
そう、勘とはきっと精霊との距離なのではないか。
ふとそんなことを思ったりした。
そしてミラルのその勘も、この世界ではなかなかいい感じであった。
しかしこの精霊の世界というものには昆虫や動物の気配がない。
いや、いるような感じはあるが、まるで存在しないかのようなのだ。
それはそれでミラルには変な気がした。
形あるものがなく、ないものがある。
話には聞いていたが、これがそうかとミラルは感慨に耽る。
自分はいま伝説の世界のひとつにいるのだとミラルはちょっと実感したのだった。
ひやっとなにかがミラルの頬をなでる。
見えないなにか。
それが冷たい風であるとしばらくしてから感じた。
それは風というよりも、冷たい見えない空気のような雪の濁流が通っているようだ。
−−これが精霊なのだろうか。
−−だとしたら、精霊とはなんと冷たく、そして気持ちのいいものだろうか。
ミラルは漠然とそんなことを思う。
「お客さん、精霊好きだね」とエルフィールがミラルに笑う。
「エルフィール。これが精霊ってものなの」
「うーん。精霊の一端と言うべきもので、これがすべてじゃないさ。精霊は大蛇の流れながら、その水の一滴一滴に精霊の色彩があるのさ。その景色とでも言うようなものを見たら、心奪われて一生その景色を見て生きるというのさ。だから精霊使いは気にしないことなんだ。もし魅了されたなら、その存在は精霊に近いものになり、精霊界で暮らすことになるのさ。死ぬこともなくなるが、その変わり、意識のようなものもなくなってしまう。なにせ、大自然の一端になるのだから。まあ風景に溶け込むというのかなあ。絵に描かれてしまうとでも言うか。透き通って見えるという、透明になってしまって、誰もその存在に気づかないのだ。それはその人もな。だから有り続ける無い存在になってしまうのさ。死んだ人とどう違うかなんて聞くなよ。そんな難しいことは知らないからな」
「ふーんそう。知識としてはある程度知っているけれども。こんな感覚だったとはね。なにせ、精霊界に足を踏み入れるなんてことはとても珍しいことだから、本にも書いてないのよ。もし帰ることが出来たら、魔導の書に書いてみようと思うのよ」
ミラルはなんとなく精霊というものを実感を持って感じたと思った。
そう、感覚こそが力であり法則である精霊界ではそう感じたならばそれが正しいに違いない。
風が冷たい。
その程度ならば普段はそれほど気に止めないかも知れない。
だが、ここは精霊界だ。
それがどんな意味を持っていることやら、ミラルには見当もつかない。
なにかの足音がする。
いや、それは馬の足音だ。
それは旅人ならば良く知っている音だ。
野生の馬が何馬か走っている。
だが、その姿は消えたり表れたりしている。
「こちらの世界では姿が空間をスライドしたりするものなのですか」
ミラルが大真面目にちょっといぶかしんだように聞く。
「ん〜知らね」
聞かれたエルフィールはぞんざいに答える。
いかにもどーでもいいという感じに。
「精霊使いでも知らないことがあるのね」
「だってさ、魔法使いだってすべての世界を元素の言葉にしているわけではないだろう。それと同じでさ。というかさ、精霊使いだって精霊の世界になんて滅多に入らないものだよ。それは中にはそういうのもいるかも知れないが。私は少なくてもそういうタイプじゃないな」
「ふむふむ、納得です。それで、あの人は誰ですか」
ミラルが見てるほうを見るエルフィール。
質素に白のドレスを着た地まで伸びるストレートの金髪の美女が立っている。
その青い瞳は透き通るようで、それは綺麗というよりもまるで空のようだとエルフィールは思う。
「あなたは誰ですか」
ミラルは聞くが、それには答える様子がない。
「ばあか、精霊の世界のエルフはな、感覚で話すのさ。よっこんちいい天気ですなあ。こんないいお日がらの時はどこかへピクニックに行こうと思うものですよねえ。私たちもたまたまここいらでちょっと旅していまして。別に妖しい者じゃないんですよ。でもなー、疲れたからお茶の一杯もくれたら嬉しいかなあ。それくらいいいですよねえ。いやいや、あつかましい奴と思わないで下さい。決して変な意味で言ってるんじゃないんですよ。風通しのいい居間とイスのひとつやふたつやみっつやよっつやななつあると、ここにいる連中はとても嬉しいってそれだけなんです。まったく他意はないんですよ。いい加減な気持ちでもないんです。私たちは精霊を愛するいいエルフとその仲間なのです。私はエルフィールと言います。この旅人の中の一人にして、ダリル様の銘を受けし者。決して風の精霊より軽く世界を歩く者でね。いまいち分からないかも知れないけれども、いい人なんだ。いや、いいエルフなんだ私。だからまあ、これからもよろしくね。ねったらねっ」
金髪のエルフは動くでもなく、じっとエルフィールを見ている。
「だめだこいつ」とエルフィールはミラルに言う。
「だめなのはおめーだ、おめー」
ミラルはため息混じりにあああとうなる。
まったくこんな奴を育てた奴を見たい。
あ、フィルフィルフィールと視線が合う。
「話分かりますでしょうか」
ミラルはフィルフィルフィールに聞く。
フィルフィルフィールは空を見てからちょっとその日差しに目を細めて、それからまたミラルを見る。
「聞いてみます」
フィルフィルフィールはその場で踊り出す。
それはミラルが見たこともない踊りだった。
それはまるで跳び立つ蝶。
その羽根の動く様が上手く表現されている。
躍動感が伝わって来る。
「うわっ」
ミラルが声を上げる。
目の前にまで金髪のエルフが来ていた。
それは風景のスライドショー。
瞬(またた)く色彩の疾風。
猫星(キャットスター)が爛々と輝く青い宇宙。
猫流星(キャットシューティングスター)が青い風景を飛び歩く。
猫星が着地するたびに小さな星が幾つも瞬く。
エルフが歩くとその風景はゆっくりとその角度を変える。
まるでエルフがいる風景だけが別の世界のようでもある。
「これが精霊の世界。そしてエルフの姿」
ミラルは彩られる世界を見てからそう言う。
ミラルの言葉を聞いたエルフィールは微妙そうに言った。
「いやあ、精霊界であんなエルフは見たことはないけどねえ」
「違うの」
ミラルが夢壊れたと言った顔でエルフィールを見た。
「多分ねえ、あれじゃない、気のせいよ気のせい」
フィルフィルフィールが歩いてすらっとエルフのいるその風景に入る。
フィルフィルフィールの姿はエルフらしく、見たことのない色彩に染まる。
「入ってるわよ、フィルフィルフィール」
「そうだねえ」
ミラルとエルフィールは顔を見合わせてから、うひひと笑った。
それからエルフィールは自分も風景に入ろうとするが、入れない。
すらすらすらっとすり抜けてしまうのだ。
フィルフィルフィールは金髪のエルフと話している。
その声は目の前にいるエルフィールにも聞こえなかった。
「エルフじゃない奴にゃあ、入れないんじゃないの」
ミラルは意地悪たっぷりにそう言う。
後ろでけらけら笑っているジョルディーにエルフィールのケリが決まる。
転がっているジョルディー。
エルフィールの目が座っている。
「怒った、おこったのかなあ、ちょっとあんた」
エルフィールはエルフとフィルフィルフィールのいる風景に向き合う。
エルフィールが呪文を詠唱し始める。
「満点の星々よ、その向こうに流れる風よ。何故その風は我に姿を見せない。表せ嵐。流れる疾風の精霊よ。何故世界はこの精霊を捉えて離さないのか。何故世界はさらなる鳴動を求めるのか。晴れた日よりも荷重されたるは星と星の雷鳴極値。表せ雷鳴の咆吼。包まれ四姿を風に纏い、踊るは神の舞い。捉えた世界は揺らぐ揺らめく布の流星。いま舞えその雷鳴に捉えられた世界の中の星々よ。バーニング。揺らめいた明日という風景に溶け込む希望よ。何故その内に秘めたる力をここに示さない。何故いまをその夕日にひるがえらさない」
ミラルがエルフィールの後ろから羽交い締めにする。
「やめーやめなさい。なにやってんの、呪文詠唱やめなさーい」
エルフィールはミラルをおんぶするいきおいで前に進む。
「いま雷鳴が包む世界こそがこの我が両腕の牙城。砕くは歯牙を磨く雷光において。包むはその疾風と穏やかな風。いま螺旋すべき手と手!」
エルフィールの両手が風景に触れる。
次の瞬間、風景の中にエルフィールとミラルはいた。
「ふいーっ」
エルフィールはミラルの腕を解いてから一息深くあえぐ。
「どうだい、私だってエルフさ。この精霊の世界で入れないことなどないさ」
良く見るとジョルディーたちもいる。
いや、正確には風景がすべてになっていた。
「入ったというよりも、紛れたような気がするのは気のせいかしら」
ミラルがジト目でエルフィールを見る。
「気、気のせいさ。ここは精霊の世界だ。ほら、蝶も飛んでいるよ」
蝶がひらひらと飛んでいる。
それは光りの蝶なのだ。
エルフの風景の中は色彩が綺麗で、それでいてなにか違和感を感じることはない。
まるでそれが自然の色彩であるようにミラルたちは安心するのだった。
「そうそうそう、そうなのよーあはははは」
そうきゃぴきゃぴ話しているのはフィルフィルフィールだ。
それは随分と楽しそうだ。
「ずいぶん楽しそうねえ、あんたのかーちゃん」
「いやあ、あんなおっかさん初めて見たよ」
エルフィールはちょっと度肝抜かれたが、精霊界がフィルフィルフィールの若き姿の一端を回間見せたのかと思った。
フィルフィルフィールの話はなんのことはないだべりのようである。
ミラルはちょいちょい近づくと、フィルフィルフィールに話しかける。
「フィルフィルフィール。この人は知り合いの人ですか。ここがあなたの良く知る世界なのは分かります。けれども私にはなにがなんだか分からないのです」
フィルフィルフィールはしばらく黙ってから、ミラルに話す。
「いえ、知り合いではありません。けれどもエルフに知り合いも知らないもないのです。すべては自然の一端。そのあいだにあるのは風のみで、知識という言葉は精霊の世界には本来ないことなのです。しばらく忘れていた精霊界の空気を、その気持ちをセティレーアと交わしていたのです。このエルフはセティレーアといって、けっして悪いエルフではありません。とても自然が好きでさらには珍しいこととには人も好きないいエルフだと、そう思うのですよ。つい久しぶりに懐かしくなってしまって、世間話に興じてしまったのです。ちょっと年甲斐のないことをしてしまいました。もう少し話していたい程、随分と懐かしい気持ちに浸っていたのです。新しい世界があるとしたら、こんな時間の先にあるように感じたのです。ほんとに若い日のことを思い出していました。私はこちらのほうが暮らしが長いのです。それはエルフィールとはちょっと違うところなのです」
それはフィルフィルフィールがなんちゃってーと明るく言った後に真面目に言ったので、エルフィールはずっこけたが、ミラルにはそのあいだにあるこちらと向こうの向きひとつに流れる時間の差を感じたようだった。
エルフィールはフィルフィルフィールの話にはぴんと来なかった。
なにせ、エルフィールは精霊の世界などあまり知らない、どちらかと言えば、人の世界のほうが余程慣れた、気に入った世界なのだから。
純粋に精霊世界で暮らしたことが長いフィルフィルフィールとはその物事のとらえ方も方向性も違う。
それは理解していたが、エルフィールはもう少し精霊世界には馴染みがあるものと思っていた。
エルフィールには精霊をその世界を感じることは精霊使いとして良くあることで、そんなに精霊世界にいたことがないことなど、関係ないことだと思っていたのだ。
「私はねえ」
ばすんと、話そうとしたエルフィールの口をバツのでかい白テープでふさぐ。
「それで、フィルフィルフィール。そのエルフ、セティレーアはなにを思っているのですか」
むがむがむっとテープと格闘しているエルフィール。
エルフィールの顔がむぎゅ〜っと伸びてまるでパンダのようになっている。
「ええ、彼女は最近天気がいいですねと言っています」
ぴかぴかぴ。
「それ以外にはなにか」
「最近精霊の彩りが良くて楽しいねって」
エルフィールはやっとテープを取って、ぜーはぜーは息をしている。
「ぜはぜ、この精霊世界のぜは、道ほ聞いてほ、欲しいほげほっげほっ」
「のど飴あげよう」
ミラルが飴を投げる。
上手いこと口でキャッチしたエルフィールの口から火が出る。
「あらあらあら、精霊もびっくりの辛味飴だったわ」
「ほはへ、わざとはほ。このはふー」
ジョルディーがくれた水を飲み乾すエルフィール。
「おいおい、これは一週間分の水だぞ」
「くあーっけちけちすんねえ。良くもやってくれたなミラル」
お互いもちくちゃでお互いのパンツ引っ張ってあやとり状態である。
「おめーが卑しいんだじぇぶふえふほ」
「くぬがぬがぬがべー」
お互いの手がお互いの口をひねり上げている。
それはそれぞれ大きく曲線を描く。
「エルフィール、なにか言いたいのではないのかしら」
フィルフィルフィールの指摘に、ミラルとエルフィールは立ち上がり、乱れた衣服を直す。
「つまり、人の世界に帰る道を知らないかということだよ、ですよ」
口調を言い直してから、 吹雪く時計。
雪吹雪く白い景色の中で。
時は白い鐘を打ち鳴らす。
白い鋼鉄の時計は吹雪を刀身に時を刻む。
吹雪るるく時の白き螺旋が踊る。
このエルフのいる風景の中では雪が降っている。
それもまるで流線を描くその様は、まるで白い妖精が踊っているようだ。
いや、実際にそれはなにかしらの精霊であることはミラルは分かった。
そもそもこの世界が精霊によって構成された世界だとすれば。
それは見たことのある風景に見えるだけなのだ。
まったく違った法則にある世界。
エルフに触れた雪の一粒はほわんと波紋して、見えないなにかとなって消えていく。
ミラルは自分でも手を出して雪に触れるが、それは溶けてしまう。
それはそれほど冷たくもなく、また水滴は見たこともないようなエメラルドグリーンで、宝石のようだ。
「もし精霊がいる宝石が出来たら、一攫千金だな」
エルフィールはそう言ってけらけら笑った。
「うーんそうかもね」
ミラルが同意したので、エルフィールはおよっとした顔をする。
「そんなことが出来るならば、私はエルフィールに百回キスしてもいいわよ」
「うへーやめてくれよ。それで精霊が歌わなくなったら、あたしゃあ精霊使いじゃなくなっちゃうよ」
「いまだってろくに歌わないくせに」
「う、うるへー。そのうちオーケストラの大合唱なんだよ」
「ヴァルキリー頼みのくせに」
「く……この、そうだけどさ」
がっくりと肩を落とし、すっかりいじけて地面をいじっているエルフィール。
三角座りでのの字のの字を描くエルフィール。
そんなエルフィールの髪をゆるやかに豊かに風が泳ぐ。
風が気持ちいい。
風に目を細めていたエルフィールには、純粋な精霊の色彩の流れが見えた。
人が住むガーディアンズワールド、守護者の世界ではこれほどまでに綺麗な精霊という色彩の流れを見ることはない。
それだけ精霊の純度が高い。
いや、それは精霊を精霊として感じることの出来る度合いだろうか。
精霊使いであるエルフィールにはとても心地いいものだ。
エルフィールは目を閉じる。
まるで精霊の海の中で泳ぐような気がする。
エルフィールは目を開ける。
まるで世界が花開いているように視界に広がって行く。
そう、この世界では自然そのものが風景なのだ。
そこに一辺の曇りも無い。
それはミラルも感じていたことだった。
「なつかしいのエルフィール」
ミラルはなんとなくエルフィールに聞く。
エルフィールはかぶりを振る。
「いいや、この世界はあまりに純粋で綺麗過ぎる。守護者の世界のほうが好きだよ」
「これは以外ねえ。だってあなたはエルフの子。精霊の眷属にも近い精霊に近い存在でしょうよ。精霊が使えることが役割である、精霊使いの一端、その一風でしょうに。それとも世界の風とあることが不満だとでも言うのかしら。どこにいても精霊がいて、その交流が可能な森と木のあいだを歩くことこそがエルフィール、あなたの本意であるはず。いつも精霊の風が見えないと嘆くあなたはどこの誰だと言うのでしょうか。そんなあなたよりは、活き活きと精霊を見てるエルフィールのほうがどれだけ私は気持ちが澄んでいることでしょうよ。エルフィール、あなたには精霊の世界の空気が合うでしょう、そうでしょうよ」
ミラルはそう言ってから一息ついた。
ミラルの小さな胸が話の呼吸のために動いた。
エルフィールはうなずいてから前を見る。
「ちょっと汚れた雪が好きだ。塵が付いてなめたらいけないと言われる程度の雪を舐めるのが好きなんだ。純白の世界もいいが、それはね、見ている分にはいいが、その風景に住むとなるとちょっと自分がいることが恥ずかしくなってしまう。もし私が元来た世界である守護者の世界でも、エルフの里たる精霊の森に生まれていたならば、もしかしたら精霊の世界でも伸び伸びと振る舞うことが出来たかも知れない。だが、私は父を人の世界に得て、母を精霊の世界に得た。育ちはもちろん守護者の世界だ。だからいまは守護者の世界こそがあたしの住むべきいるべき場所だと信じている。決してこの精霊の世界が嫌いではないんだよ。出来ることならば週に五日はいたいくらいさ。でもね、だったらさ、人に風を感じたほうがいいのさ。それがたとえ耐えようの無い烈風だろうとも。あたしにはそれが受けたい風なのさ。ここでの微風や雪風ではない。それはミラルの言葉かも知れない。それはジョルディーの無駄話かも知れない。それは母さんフィルフィルフィールの精霊の言葉かも知れない。それはらいでんのためになる石と土のあり方の話かも知れない。それはダミエールの月夜の弾き語りかも知れない。それはハイベルの神々の歌かも知れない。それはダリル様の背中を見てる時かも知れない」
エルフィールはそれから下を見る。
懇願するように目をきらきらさせたバルディが満面の笑みでエルフィールを見ている。
エルフィールはうなずく。
「それにバルディのお金に右往左往する姿かも知れない」
バルディがうきうきとジャンプして足を空中で二回叩いた。
それは実にいい音がした。
「そうなんだ。知らない世界よりは知っている世界で生きたい。もちろんさ。知らない世界で生きることもあることにはある。それもいいものさ。けれどもさ。精霊はたまに感じるからいい風なのさ。いつも感じていたら、きっと一日で飽きてしまうだろう。あたしは存外飽きっぽいものでね。一日だって同じ場所にいたら気持ちが腐ってしまうのさ。けれどもさ、仲間と話してる時はどんなにそれがいまいちな内容でもいい風を感じるものさ。きっとそれは愛の精霊が成せる技なのさ。そうだろう。そうなのさ。だから、またあたしは生きている世界は守護者の世界と決めているのさ。それはもうずっと前からね。だってそうだろう。ミラルなら分かってくれるはずさ」
ミラルはうなずく。
セティレーアはうなずくと、大きくなり始める。
「なんだこれは」
エルフィールたちが仰天する間に、セティレーアは巨大な門を胸とする。
全員がゆうに入れる大きさの門だ。
「さあ中に入りましょう」
そうアドルテアが言う。
「これは世界の始まりなのですね」
そうフィルが言う。
ジョルディーやハイベルは驚きから出て、既に門の中に歩き始めている。
一行はセティレーアの巨大な門の中に入る。
門をくぐると、中は普通の街であった。
石を積んで作られた家々は、綺麗な黄色で統一されている。
街並みは街の中心へと丸く行くように統一された感じになっている。
街の中心には大きな城があり、威風堂々とその威厳を示している。
城下街は商いのにぎわいでうるさいくらいである。
土道のそこかしこを物品を持った人々が歩いている。
「レスタリック建築の建物がこれだけあるとは」
ハイベルが驚いて街並を見ている。
「そんなに珍しいものなのか」
エルフィールは何気なしにそう言う。
「いまでは壊滅した建築技術です。それがこれだけあるとは驚きです」
ハイベルはらいでんの方を見ながらそう言う。
らいでんはうなずく。
「これだけの建築物が残っているのは、精霊世界の中にあったためではないでしょうか。いまこの建築一軒で城が建つだけの価値がありますよ」とらいでん。
エルフィールは目を丸くする。
「そんなに儲かるのか」
「汚れたエルフはすぐに金勘定をなさる」
ミラルはそう言ってエルフィールを威嚇(いかく)する。
エルフィールは気にしたようでもなく、「うん、一攫千金が目標だ」と言った。
「もうお金も底をつきます」
みんなの財布を預かっているミラルがそういう。
「じゃあいつものパターンで稼ぐか」とエルフィール。
それに全員が同意する。
冒険者が集まる酒場に入る一行。
古びた木造の酒場だ。
そこには丸いテーブルに座る冒険者らしき人たち。
「依頼だよ依頼があるよ」
髪のうすい中年の男がそんなことをいって歩いている。
「どんなのがある」
ダミエールが聞く。
依頼屋は七つ依頼をいう。
「狼男の退治がいい金になる」
エルフィールの提案に一同賛成する。
満月の時期に狼男が出現するというのだ。
それは町の人を傷つけたりしているという。
ちょうどいまは満月の時期だ。
それはこの町では知らない人のいないことなのだった。
一行は夜まで待って出かける。
狼男の一件のせいか、人通りは全然ない。
夜の街を歩く一行。
よく晴れた満月の夜。
一行の後を大きな影だけがついてくる。
石作りの二階建て三階建ての建物が連なっている。
その静かさにハイベルは心の平安を感じる。
「足跡があるぞ。犬のようだが、それにしては大きい」
エルフィールの言葉に一行が止まる。
蛍光塗料でつけたような足跡が続いている。
エルフィール以外には見えないのだ。
「狼男は妖精に近いからかも知れません」とミラル。
直感のエルフィールに分析のミラル。
いい相棒だ。
「よっしゃ。みんな精霊使いの私に着いてこい」
エルフィールが意気揚々と歩き出す。
それに続く一行。
道はどんどん暗がりへと、小道へと入っていく。
ハイベルが上を見ている。
「どこ見てるんだよ」とエルフィール。
「上にいるかも知れない」
まわりは高い家ばかりだ。
「考えすぎだって私についてくればいいんだよ」
しかし、足跡が消えている。
すると、上でかすかな音がする。
家の屋根から屋根へと移動する影。
それをハイベルが見逃すはずもない。
それを追う一行。
ある道の行き止まりに辿り着く。
そこには後ろを向いた者が一人。
振り返った者は狼男だった。
いきなり一行に歯をからませてくる。
それを見事な剣さばきでいなすジョルディー。
エルフィールもようやっと抜刀すると剣をふるう。
斬られても攻撃をやめない狼男。
だが一行のほうが戦力が違う。
じょじょに追い詰められていく狼男。
カーバンクルが闇に舞った。
「おや」
それにはアドルテアとミラルが最初に気づいた。
魔法使いは細かいことに気づくものだ。
「ちょっと待って」
ミラルが一行を止める。
それは狼男の毛がどんどん抜けていくのだ。
抜けきったその姿は女。
傷だらけの女が一人いた。
ジョルディーがマントをかけてやる。
金髪が腰まである美女だ。
ダミエールは見とれてしまった。
彼女は荒い息遣いで話し出す。
「私は狼男と人間の母とのハーフなのです。満月になると狼男の血がさわいで暴れてしまうのです」
「なんてこったい」とエルフィールが吐息をはく。
フィルが回復してハイベルが包帯を巻く。
一行は彼女を城に連れていって事情を話す。
「彼女を満月の夜だけ牢屋に入れるというのはどうでしょうか」
ミラルの提案は受け入れられた。
彼女は普通に生活出来ることになった。
彼女は涙して喜んでいた。
エルフィールたちは成功報酬としてお金をもらう。
ミラルはほくほくの笑顔だ。
これで当面の資金は出来たのだ。
嬉しくないはずがない。
その日は夜遅くまで飲み明かした。
次の日、昼に道を歩く一行。
穏やかな風に日の光り。
過ごしやすい一日だ。
どこまでも続く青空。
雲がのどかにたゆたっている。
「私はグリュンワルド。汝らと手合わせ願いたい」
かなりのイケメンが声をかけてくる。
皮の鎧にマント姿。
手には剣を抜刀している。
精霊使いたるエルフィールにはグリュンワルドの頭の上に煙が渦巻いているのが見える。
「なんだ戦いか」
うきうきとエルフィールが抜刀する。
「たやすく剣を抜いてはいけません」
ミラルの忠告もエルフィールはどこ吹く風だ。
エルフィールの生き生きとしたことよ。
「てやあっ」
エルフィールの剣を面白いように受け流すグリュンワルド。
エルフィールを軽々と横になぎ倒す。
傷は受けてないが、かなりの衝撃だ。
怒ったのはハイベルだった。
抜刀して対峙する。
その豪剣。
受け流すが、手に傷を受けるグリュンワルド。
「なんだこれは」驚く一同。
傷が見るまに直っていく。
魔法のたぐいではない。
それは分かった。
いや、これは不死者であることが一行には分かった。
だがヴァンパイアなどではない。
冒険する誰もこんな不死者は見たことも聞いたこともない。
賢者であるフィルにすら分からなかった。
「なにが目的だ」
ジョルディーが聞く。
まだ緊張は続いていた。
「いやすまない。腕が見たかった。依頼をしたいのだ」
一行は顔を見合わせる。
金には余裕がある。
だがなんだかどうにも気になる話だ。
「話を聞こう」
決断はエルフィールが誰よりもはやい。
グリュンワルドは剣をしまう。
笑って気さくに話す。
「金貨で前金五十。後金百でどうだ」
「まずはお金ではなくて依頼の内容を聞かせてください」
ミラルがそう聞く。
それはいまの一行になにより大事なことだ。
「私は一緒にいたい人がいる。その人と話がしたいのだ」
「いいんじゃないか」とエルフィール。
「エルフィールがいいなら私もいい」とジョルディーとダミエール。
「興味深い」とらいでんとフィル。
「金になるですぜ」とバルディ。
「みんながいいならいい」とハイベル。
「私は信用出来ません」と一人ミラルが反対する。
慎重さは魔法使いが学ぶ一番大事なものだ。
しかしアドルテアと違い、経験がミラルには足りない。
まだ人を見る目がミラルには弱かったのだ。
そこは直感で人の良さを見抜くエルフィールには劣るところであった。
「とりあえず様子を見るというのでどうかしら」とフィル。
ミラルもそれならと同意する。
一行はグリュンワルドの後に続く。
グリュンワルドは郊外の遺跡へと一行を案内する。
アンコールワットのような見事な遺跡だ。
「これはデスターク帝国の建築物だ。かの皇帝三世とは二千年前に剣をまじえたものだ。いやあなつかしいなあ」
グリュンワルドの話は誰一人聞いたことのないものだ。
らいでんは関心してメモしている。
一行は苔むした遺跡に入っていく。
エルフィールは入り口でなにか煙の獣のようなものが出て消えるのを見る。
それが通路の奥へと続いているのだ。
それをみんなに話すが誰一人おくすることはなかった。
「獣はこっちへと消えていったよ」
エルフィールの後に続く一行。
たいまつがこうこうと灯る中、一行は歩いていく。
道の先に人が立っている。
「おーい。誰かいるのかい」
エルフィールが話しかけるが返事がない。
近づいてみるとそれは幽霊だった。
「攻撃か。攻撃するのか」
エルフィールが挙動不審にうろうろしながらみんなに聞く。
待ちきれなくて動いたエルフィールをジョルディーが止める。
幽霊は別の道へと進んでいく。
「着いていこう」
ジョルディーの提案にみんな従う。
エルフィールもしぶしぶである。
幽霊の後に続く一行。
ある部屋に入っていく。
部屋には扉があり、鍵がかかっている。
「任せてくだせえ」
それを簡単に開けるバルディ。
商人としてのゴブリンというよりはもうすでに盗賊である。
「実はおまえ盗賊だろう」
エルフィールは笑いながら楽しそうにそうからかう。
あまりいいことではないが、それだけ砕けた間柄なのだ。
エルフィールの突っ込みにたじたじになるバルディ。
「やめてくだせえよ姉さん。あっしのこけんにかかわりますですが」
「私は関心しました。あなたの技術はすばらしい」とミラル。
「それほどでも、ありやすやんしたでした」
照れるバルディ。
しどろもどろなところが気持ち悪くてかわいい。
ゴブリン特有の醜悪さでニヒヒと笑う。
それにもすっかり慣れている一同である。
扉を開けるとそこには広い部屋がひとつ。
金貨が山とある。
それは見上げんばかりである。
バルディはすぐに飛びついた。
エルフィールは袋に入れはじめた。
二人の笑い声が響いた。
周囲を見ると、幽霊がたくさん立っている。
ミラルが小さく悲鳴をあげた。
ハイベルが構えた。
と。
集めた金貨が山に飛んで戻っていく。
金貨の山は岩の巨人へと変わる。
バルディは巨人の肩にいる。
振りかぶる巨人。うなる巨大なハンマー。
エルフィールに巨人の鉄拳が下りる。
「エルフィール」
ジョルディーのグリズリーフィッシャーの一撃が巨人の拳を砕く。
放心しているエルフィール。
「しっかりしろエルフィール」
ジョルディーが肩をゆする。
なんとか気を取り直すエルフィール。
下がって抜刀する。
「たあすけてえくうだせええええええ」
バルディが叫んでいる。
ハイベルの怪力の一撃が巨人の足を砕く。
倒れる巨人。
ミラルとアドルテアの魔法攻撃が金貨の巨人を粉々にする。
周囲にいる幽霊たちがぼそぼそとなにかいっている。
「ありがとう」
耳をすませたミラルはそう聞こえた。
そうして幽霊たちは昇天していく。
金貨は土くれとなってしまう。
「あっしの金貨があああああ」
バルディが涙する。
「助かったんだからいいじゃないか」
エルフィールの言葉なんか聴いていない。
らいでんが説明する。
「考えるに、遺跡の宝を守る巨人だったのでしょう。それに殺された人たちがここで幽霊となっていたのでしょう」
フィルが話しをつぐ。
「巨人の力か、ここから離れることが出来なかったのでしょう。どれだけ無念だったでしょうに」
「かわいそうに」とミラル。
ダミエールがレクイエムを一曲弾く。
一行はそれを静かに聴いていた。
エルフィールはちょっと泣けた。
それから気を取り直してまた歩き出す。
「こっちから精霊の流れが見える」
精霊使いであるエルフィールには煙りが続いているのが見える。
通路をそのとおりに歩く一行。
向こうからキィキィと声がする。
それは冒険者なら誰もが聞いたことがある声だ。
「ゴブリンの声ですね」とミラル。
「おまえの仲間がいるぞバルディ」エルフィールは茶化すようにいう。
「あっしはあんなに下品にしゃべりゃあしないでやんすよ」
バルディは不満気にそういう。
睨み合う二人だが、そこから笑い合う。
二人の感性に着いていけないミラルであった。
「来るな」とハイベル。
四匹のゴブリンが血のついた鉈(なた)を持って走ってくる。
問答無用でかかってくるゴブリンたち。
グリュンワルドの華麗な一撃で撃退される。
それは誰も見たことのない剣技だ。
「すごいな」
ジョルディーが感嘆した。
エルフィールもそれは認めなければならなかった。
グリュンワルドはなにもなかったように歩く。
さらに歩く一行。
ある部屋に辿り着く。
そこには石のテーブルがあり、テーブルの上にはそこそこ大きな四角い石がある。
「テーブルの端に炎が見えるぞ」とエルフィール。
ハイベルが石を転がしてそこに移動させる。
壁であったところが動いて通路になる。
通路を歩く一行。
かなり広い部屋に出る。
そこには一人の中年の男がいる。
「父さん」
グリュンワルドがそう叫ぶ。
一行が驚く中、グリュンワルドが父の前にいく。
かなりいけてる感じの白い髭のおやじだ。
グリュンワルドが語りだす。
「父と私は四千年前に遺跡で光りをあびて不死者となった。それから父は変わってしまった。一人で行動して発掘をするようになったのだ。私は一緒にいたかったのに」
「一緒にいてやれよ。それくらい安いもんだろ」とエルフィール。
うるさいといわんばかりに父が口を開く。
「私は一人ですべてが完璧となった。何故息子といる理由がある」
「名前を上げようとあなたを狙う冒険者がいるかも知れません」
ミラルはそう説得する。
「ならば私に一太刀与えてみよ」
父は剣を抜く。
グリュンワルドが相手をするが、軽くいなされる。
「グリュンワルドでこうなら私では相手にならないな」とエルフィール。
あきらめというよりも、冒険をしている者は腕前というものが見ただけで分かるのだ。
カーバンクルがくるっと回転した。
「私が相手になろう」
ジョルディーがグリズリーフィッシャーを抜く。
「いいだろう。きなさい」
ジョルディーの一撃はまるで鳥が飛ぶようだ。
みんながその動きに感嘆した。
まさに美くしかった。
父に一撃を加える。
「いいだろう。認めよう。世の中は広い。おまえさんのような強い冒険者がいるな。分かった。息子と一緒にいよう」
グリュンワルドは歓喜した。
それから二人は発掘を始める。
グリュンワルドからは金貨をもらった。
それは純金で、換金するとかなりいい金になった。
「いいことをした後は気分がいいな」とエルフィール。
一行は町へ向かって遺跡を出て歩く。
どれだけ歩いただろうか。
と、一行が道に落ちる。
地面が陥没して、一行全員が落ちた。
怪我はなかったが、上にはあがれそうにない。
「てけすたー」
エルフィールの声に応える者はいない。
ただ青い空が見える。
「奥にいけます」
ミラルが道を示す。
それはいいとエルフィールは喚起する。
一行は洞窟を歩き出す。
と、周囲が豪華なタイルになってくる。
たいまつもそなえつけられている。
「かなり年代ものの建築物のようだ。遺跡といっていいだろう。ラノール朝の様式に似ている。人がいる雰囲気はないな」とらいでん。
古代エジプトのような兵士が一人やってくる。
「人がいたぞ」エルフィールは皮肉気味にそういう。
「バスタール帝国に勝手に入るのは誰だ」
兵士はそういう。
「バスタール帝国だって」らいでんが驚く。
「おい、こいつ骨が透けているぞ」
精霊使いであるエルフィールには人には見えないものが見えるのだ。
精霊世界だからだろうか。
ミラルは考える。
アドルテアのほうを見るとうなずく。
フィルのほうを見るとフィルもうなずいた。
ここは確かに精霊世界である。
「着いてこい。連行する」
「戦うか。戦うのか」
エルフィールはうずうずと聞く。
「ここは従うのがいいと思います」
みんなはミラルの意見に従う。
エルフィールは不満そうだが、戦う理由もないので従うことにした。
兵士に連れられて歩く一行。
広場に出ると何千人もの兵士たちが訓練している。
もしこれだけの兵士を相手にしたら、エルフィールたちといえども無傷ではいられまい。エルフィールはすっかり戦意喪失した。それだけの力を感じとっていた。エルフィールとて一人の存在に過ぎない。これだけの兵士は相手に出来ないことくらい分かった。いまはじめてミラルの意見が正しかったと思った。
一行はさらに歩き、せまい牢屋に入れられる。武器は取り上げられていた。
「まずいことになった」とらいでん。
一行がらいでんを見る。
「本で読んだことがある。バスタール帝国という魔法使いに不死者にされてしまい、自分たちが死んだことも知らずに永遠に戦いの訓練をしている兵士たちの話を。ここにいたら神の生贄にされてしまうだろう」
らいでんの知識から出る結論はみんなひとつだった。
兵士が食事をさしいれる。
ハイベルの拳が兵士に入る。
兵士は骨だけとなってそこに崩れ落ちた。
「逃げよう」とジョルディー。
それ以外に一行に選択肢はないのだった。
隣の部屋にみんなの武器はあった。
なるべく人のいない道を通っていく。
「出口は多分こちらだろう」とハイベル。
神の子の勘頼りである。
広場に出た。
そこは玉座だった。
玉座には皇帝が座っている。
黄金の大きな冠。
威厳のある中年の男がいる。
声が響いた。
「余はバスタール帝国皇帝ディークジードなるぞ。我が前にいるお前たちは何者ぞ。名前を名のるがいい」
エルフィールは構わず走って逃げる。それに続く一行。
兵士たちが追ってくる。
せまい通路に一行と追いかける兵士たち。
「あわったっ」
ミラルがこける。
それを救うためにジョルディーとハイベルが抜刀して応戦する。
二人の剣の前に骨となって砕け散る兵士。
それでも次々とやってくる兵士。
なんとか立ち上がって逃げる一行。それを追う兵士たち。
入り口に出た。
それはエジプトの遺跡を思わせる石の巨大な入り口だった。
やっと逃げられる。
エルフィールは歓喜した。
カーバンクルが飛ぶ。
今度はエルフィールがこける。
入り口には何千人もの兵士たちがいる。
ずらりと囲まれてしまう。
戦う一行。
エルフィールが詠唱する。
「夜の闇に炎舞う。すべての時が破壊されても残るもの。それがおまえだというのか。すべてが灰になっても残るもの。それがおまえだというのか。誰でもいい。その火はすべての物質の意味。いま問う空からの雷鳴に舞うその炎に問う。すべてはいま始まりいま終わる。なにがいいのか悪いのか。それはまだ答えがない。ただいまあるこの炎はすべてを灰にするというのだ。答えろ灼熱よ。その答えがなにかいま一度問う。さあ答えろこの雷鳴の前に。その炎の翼で。サラマンダーよ」
サラマンダーが兵士たちを骨と化す。
ハイベルが怪力で骨と砕き、魔法や精霊が空中を舞う。
もう戦争である。
しかし、その数の前にすぐに劣勢になる。
ハイベル以外の一同の精神力体力がもたないのだ。
「もうだめだ」エルフィールが泣き言を言う。
その時、エルフィールの手が光った。
ジョルディーの手も光った。
二人はお互いを見る。
手を合わせたところから光りがあふれだす。
その光りに触れた兵士たちが骨になっていく。
「我は皇帝ディークジード。我が前に敵無し。進め。我が軍勢よ」
進む兵士たち。
皇帝も、すべての兵士が光りの前に骨と化す。
「バスタール帝国は壊滅した」らいでんが涙ながらにそういった。
らいでんには彼らが不憫でならなかったのだ。
それには一同がなにか感じるものがあったようであった。
どうしたら良かったのか、なにがいいのか分からない。
けれども他に道はなかったのか。
それに答えはない。
誰もなにもいわなかった。
ただ静寂だけがその場を支配した。
一行は町に戻る。
そこで一休みして食事を取っていると依頼屋がくる。
「眠り姫だって」
エルフィールが聞きかえす。
依頼屋が話す。
「そうなんだ。呼んでもゆすっても起きない。いま城では起こした者にほうびを出すそうだ」
「いってみようじゃないか」とエルフィール。
「人助けではありますね」とミラル。
一同は城にいくことで決まった。
冒険者とは冒険に生きるものである。
城にいくと行列がある。
姫を起こそうという人たちの列だ。
姫を起こすことは出来なかったようだ。
列はどんどん少なくなっていく。
姫の部屋に入ると広い。
天井の付いたペッドに姫が眠っている。
その横には王様がいる。
「おまえたち。ひやかしではないだろうな」
みんなが起こせないので、かなり怒っているようだ。
ダミエールが一曲弾くが姫は起きない。
「見てください」
ミラルの指摘で姫をよく見ると姫が光っている。
これは魔法の光りであることが分かる。
「宮廷魔術師には見せたがだめだったのだ」と王様。
「こんな時に魔法使いがいるんだ」とエルフィール。
「こんな魔法は見たことありません」とミラル。
「なにか眠りの魔法であるようだが、それをとくことまでは分からないな」とアドルテア。
「なんだいなんだいなんだい。魔法使いが二人もいてなにも分からないのか」
エルフィールが毒づく。
奥で乳母がおろおろしている。
フィルが近づいて話を聞く。
「どうしたのです」
「あの時あんなことにならなければああそうすれば」
乳母はおろおろしている。
「おちついてくださいな」
乳母はなんとか落ち着く。
「実は政略結婚が嫌で、姫は自分で自分に眠りの魔法をかけたんです。それをとくには結婚をやめると王様がいうことです」
「そういうことだ。結婚やめろ」とエルフィールは王に言う。
「この結婚は滅多にないこちらに都合のいいものだ。それを何故断ることがある」
「しかし、このようなことになっている」とダミエール。
「娘の結婚はこの国の命運を握っているのだ。簡単なことではない」
王は頑固なまでにひきさがらない。
「じゃあ姫が死んでもいいのか」エルフィールが叫ぶ。
「まずは相手を紹介して、仲良くなるようなら結婚ということで、見合いはするけれども結婚の強制はしないというのではどうでしょうか」
フィルが妥協案を出す。
「うーん。それならいいだろう」
姫は目を覚ます。
王は涙を流して喜んだ。
「なんとかなりそうだな」とエルフィール。
「後は本人たちの問題です。私たちは姫をおこすとこまでです」とミラル。
一行は成功報酬をもらう。
酒場で一休みする一行。
酒場で食事を取っていると、バルディが布をかぶってやってくる。
「どこへいってたんだ」とエルフィールが聞く。
「ぶつをそろえていたんでやすよ。げへへへへへ」と醜悪そうに笑う。
バルディは商品を出す。
「エルフィール姉さん、これを運んでほしいんでげす」
「なんで私が」
「ゴブリンじゃこの辺じゃ不審がられてしまうんでげすよ。お金は払いやすから」
「まあいいか」
エルフィールは剣や盾などを渡して歩く。商人たちはいい物だとうなる。さすがにバルディの腕前はすごいものだ。
売ったお金をバルディに渡そうとすると剣が出る。
「おい、ゴブリンが金持ってるぜ。かもねぎかもねぎ」
冒険者が剣を突きつけている。
「こいつは仲間なんだ」エルフィールが抜刀する。
「うぜえな。女一人やっちまえ」
向こうは三人。
三本の剣の突きをかわす。
エルフィールは剣戟の中、真ん中の奴だけを狙う。
真ん中の冒険者はどんどん傷ついていく。
もう立っていられないほどだ。
横の二人が抱えて逃げ出す。
「覚えてろ」
「知るかばーか」
「姉さん。あっしのためにありがとうごぜえやす」
涙ながらに感謝するバルディ。
憮然として手を出すエルフィール。
「なんです姉さん」
「涙で成功報酬ごまかすんじゃねえよ」
「けっけっけっ」
醜悪な顔でゴブリンが笑う。
「いけねえ。姉さんにはかなわねえや」
賃金を払うバルディ。
ジョルディーたちと合流するエルフィールとバルディ。
依頼屋が来ていた。
「城で幽霊が出るそうだ」とハイベル。
「そんなの兵士がいるだろう」
エルフィールは吐きだすようにいう。
ミラルが説明する。
「城の兵士は幽霊を相手するために訓練してるんじゃないわ。こういう話は冒険者のほうが専門家なのよ。実際に幽霊と出会ったことがあるわけだし」
「そんなもんかね。私は自分でなんとかしろといいたい」
「人は助け合って生きていくものですよ」とフィル。
うなるようにエルフィールがうなずく。
エルフィールはそれじゃいくかという。
話は早い。
夜の城にいく一行。
真っ暗だが、蝋燭(ろうそく)がそこかしこにかかげられている。
かなりゴージャスな作りだ。
一階の広間で話を聞く一行。
執事が話しをする。
「よく出るのは二階の通路です。怖くて怖くて誰も近づきませんよ」
「情けないなあ」エルフィールは毒づく。
カーバンクルが回転する。
「とりあえずいこう」とハイベル。
一行は執事を連れて二階にいく。
と、幽霊が歩いている。
「どこかで見た顔だな」とダミエール。
らいでんがうなずいて話す。
「肖像画の人物だ」
執事が話す。
「それは初代皇帝です。ここに領地を作り、国を始めて作った方です」
「それがどうして化けて出るんだ」とエルフィールが不思議がる。
幽霊はある壁で消える。
そこを調べてみると隠し扉がある。
開けると一本の宝剣がある。
最高級の一本だ。
「これは初代皇帝が作らせた宝剣。こんなところにあったのか」
一行は報酬を受け取る。
「さらに噂を聞いたのですが」
執事が話す。
それはある辺境の村の協会に天使が降臨したというのだ。
町はその噂でもちきりというのだ。
「その真偽を確かめればいいんだな。分かった」
「エルフィールはなんでも依頼を受けてしまいますね」とミラル。
「だって遊んでるよかいいだろう」
それは一同そうであった。
早々に旅立つ。
夜を徹して歩きとおして昼に村につく。
かなり眠いが、協会を開ける。
中にはシスターが一人いる。
駆け出してこっちにくるシスター。
猛烈に話だすシスター。
「待ってたんですよ。心細かったんですよ。私のこと忘れてしまったんじゃないかってもうね、どうなるかと思ったら夜も眠れなくてねえ」
エルフィールは困りながら話す。
「それで天使はどこだ」
「私が天使なんです」
一同がじっと見る。
けれども天使の輪もなければ翼もない。
ただの人だ。
「魔法はなにも感じないな」とアドルテア。
「精霊も見えない」とエルフィール。
「一見、ただの人だな」とハイベル。
神の子がそういうのだ。
なにひとつとして彼女が天使だという証拠はなかった。
それでも彼女はよくしゃべる。
「それでねそれでね困っていたんですよ。この村に降臨したらこの村の人たち神様信じてないんですよ。すっかり力を失ってしまって。それでねもうほとほとやりきれなくてねえ」
「そ、それでどうすればいいんだ」とエルフィール。
なにがなんだか分からないがすっかり気負けしている。
「私のことを信じてください」
「なんだって」エルフィールは目を丸くする。
「だから私のことを天使だって信じてください」
「だってよ」エルフィールは横目でミラルを見る。
「やるしかないでしょう」
「いいんじゃないか」とジョルディー。
「ジョルディーはなんでも引き受けてしまうま」
「あなたにいわれたくないですわ」とミラル。
一行は天使を信じる。
信じる。
信じる。
信じる。
と、足が地面にない。
目を開けると空を飛んでる。
青空をぐんぐん進む。
遠くの大地がどんどん進んでいく。
鳥なんか越えていく。
「なにがどうした」
エルフィールの言葉は風に消える。
と、遠くから巨大な扉が見えてくる。
扉の前まで来る一行。
「これは天国の入り口です。あなたたちもこれるといいですね」
といったのは横にいる天使の姿をした天使だ。
ふと、元の教会にいる一同。
天使はいない。
天井から天使の声が響く。
「ありがとう、みなさん」
そして一同にはなんの変化もなかった。
城に戻って話しをするが、王様は話半分で信じていないようだ。
学者はさっそく本に書くといって外に出ていく。
一行は酒場で食事と酒である。
「精霊世界に乾杯」
エルフィールは酒をあおる。
「それがそうでもないようなのです」とフィル。
「どういう意味さ」
エルフィールが不思議そうに聞く。
「精霊世界が動いていってしまったのです」
フィルの話に一同はびっくりする。
「確かに精霊世界の感じがないな」
エルフィールが納得する。
「そんなことがあるのか」らいでんはメモしている。
「あるいはバスタール帝国が精霊世界の核だったのかも知れない」
ハイベルはそういう。
「そうかも知れない」エルフィールは同意する。
「なんにせよ助かったわけだ」
ジョルディーはそういって酒を飲む。
カーバンクルが舞う。
「うまい酒だ」
エルフィールはそういって飲んだ。
出来るだけのことはやった。
一行にはそんな安堵感があった。
一行は眠りにつく。
夜は静かにふけていく。
続く。
なかがき。
ソードワールドのテーブルトークRPGのメンバーが七人そろいました。
すべての人が毎回集まるものでもないですが、毎週プレイしています。
マスターは私が担当しています。
今回の話はそのプレイ集となっています。
これからはこうやって作ろうと思います。
プレイの時間の都合で短い話が多いのですが、どうでしょうか。
毎週話しを作るのはしんどいですが充実しています。
いやあ生きていて良かった。
学生時代はずいぶんプレイしたんですが。
この年になってテーブルトークが出来るとは思っていなかった。
とても楽しんでいます。
いやまあこれからもそこそこよろしく。
それではまた。
第二十五話 精霊の流れに舞う時。
風がゆったりと流れる。
季節は暖かくある。
葉は青々と茂っている。
一行は宿で食事をしている。
依頼屋が来る。
「遺跡探索がいいな」とエルフィール。
一行は遺跡に向かう。
遺跡はもう使われなくなった城である。かなりの時が経っているようで、どこもかしこも黒ずんでコケむしている。
調査隊の人に話しを聞くと誰も帰ってこないというのだ。
「なにか調べる方法がないでしょうか」とミラル。
魔法使いは慎重なものだ。
ダミエールが話す。
「冒険者はその足で現場を見て来る。だから存在価値があると思う。旅をするために冒険者はいるのであって机の前にいるのは学者だと思うのだ。足で稼ぐからお金になるのであってここで議論していても仕方ないと思う。その目で見たもの手に触れたものだから価値を持って語れるのであって、そうでないものは本ですませてしまうと思うのだ」
一行はダミエールの言いたいことが分かった。一同は納得して城に入る。
中は真っ暗でぼろぼろだ。たいまつの火が照らすが誰もいない。一行は二階へと上がる。部屋を見てまわる。と、ひとつの部屋で一行は止まる。それは綺麗な部屋だった。明かりが灯りテーブルには湯気のたった食事がある。
「魔法のたぐいではないようです」とミラル。
「精霊でもないな」とエルフィール。
「こんなものは見たことがありません」とらいでんとフィル。
学者と賢者が知らないのだから知りようがない。
そこへ少女が一行をすり抜けた。文字通り一行の中を通り抜けたのだ。それが幽霊であることが分かった。
少女はテーブルに着く。
「私はキャロライン。キャルって呼んでね。よろしくね」
「ここに来た人はどうした」とエルフィール。
「みんなお友達になったわ。あなたたちもなりましょう」
「それは幽霊になるということか」
通路の向こうから幽霊の兵士たちがぞくぞくと来る。
一行は逃げ出した。幽霊相手でどこまで力が発揮出来るか分からない。依頼も調査である。ここは逃げるが勝ちである。
一行は入り口まで来る。
キャルが剣を持って立っている。
「友達になって」
「はいやっ」
エルフィールが一刀両断する。キャルは消えていく。
「お友達になりたかっただけなのに」
幽霊の兵士がぞくぞくと来る。一行は城の外へと逃げ出した。一行はなんとか逃げきった。調査隊にことの顛末を報告する。調査料をもらって歩き出す一行。
「どうしたみんな」
一行がエルフィールを見て驚いている。
エルフィールにキャルがとりついている。
「おまえどうしているんだ」
「ああもうお姉さまの剣に斬られた時の快感が忘れられないの。もうゾッコンよ。ああお姉さまがいればなにもいらない。わたくしいま幸せよ。こんな幸福があったなんて知らなかったの。キャルはいままでこんな気持ちになったことはありません。ああお姉さまわたくしを殺して」
「もう死んでるだろう。うぜえなあ」
「言葉の汚さは心の汚さにつながりますよ」とミラルが注意する。
「お姉さま格好いい」
「どこがだよ。だからさ、キャルをなんとかしろっての。神の子ならなんとか出来ないのか」
「出来ない。私には長寿と強い力があるだけなんだ。神の子といってもなにも出来ない一人の人間に過ぎないのだ。それは私を苦しめた。だが旅をしていると心がなごむんだ。だから私はここにいる」
「そんな気にすることじゃないさ。私だって一人のエルフに過ぎないんだ。そうだな。フィルフィルフィールはどうなんだよ。回復魔法が使えるだろう」
「私にも出来ません。このメンバーには僧侶がいません。そのため幽霊をどうにかするような力はありません」
「ジョルディーの魔法剣はどうなんだよ。グリズリーフィッシャーといったっけ。幽霊も斬れるんじゃないか」
ジョルディーは立ち上がっていう。
「人は斬らないと決めている」
「幽霊だって。頑固者だなあおまえは」
「エルフィールほどの頑固者にいわれたくはない言葉です」とミラル。
それはそうなのだが、エルフィールは理屈ではなく感情で動くタイプだ。いまはとにかくキャルをどうにかしたかった。
「僧侶に頼んで消してやる」
エルフィールはいきまいている。
「お姉さまに消されるなら本望です」
キャルは楽しそうだ。
フィルが話す。
「うっとうしいのは分かりますが、どんな存在にも意味があります。キャルという存在が何者なのか見極めることが大切だと私は思うのです。エルフィール。よくキャルを見てみたらどうでしょうか」
エルフィールはため息をひとつつく。
「フィルにたしなめられるなら仕方ない。しばらく一緒にいてやってもいいぜキャル」
エルフィールはフィルには、はむかわない。自然と直感の中になにか大きな存在であることを感じているのかも知れない。そういうなにか大切な場面というものを直感する力をエルフィールは持っているのだ。
「それでどうして幽霊になったんだ」
「戦争で家族ごと殺されてしまって」
エルフィールが号泣する。びっくりするミラル。
「こういう話に弱いんだ。いいよ。好きなだけ私にとりつけよ」
「ありがとうございますお姉さま」
ミラルは以外であった。血も涙もないようなエルフィールにこんな一面があったとは考えのおよびのつかないことである。魔法使いとしては一流でも、人を知るという意味ではミラルはまだまだなのであった。
次の日。宿で依頼屋の話を聞く。
「ワイバーン狩りの話がいいなあ」とエルフィール。
ワイバーンとは飛竜と呼ばれる人が乗れるドラゴンの一種である。
一行はワイバーンがたくさんいるところへいく。中年の屈強な男が出迎えた。
「ワイバーンを捕まえる手伝いをしてほしい。それじゃさっそくいくか」
一行は岩山にいく。町から遠く離れているそこにはワイバーンが一匹いる。男がワイバーンの首に縄をかける。
「お前たちも頼む」
一行は縄を投げる。なかなか首にかからない。ワイバーンの羽ばたきで吹っ飛ばされるエルフィールとハイベル。根性で戻ってくる。ワイバーンのブレス、熱い吐息で攻撃される。
「あちちちっ」エルフィールはその場で踊る。
ハイベルの縄が首にかかる。怪力でワイバーンをふせさせる。
空からワイバーンが三匹降りてくる。三方向からブレスを一行にかけるために口を開ける。それだけでもう熱い。絶体絶命である。
「ワイバーンの背に乗れ」
一行はワイバーンの背に乗る。男の手綱さばきでワイバーンは空へと飛び上がった。危機一髪である。ワイバーンは空を悠然と飛ぶ。
青い空が進んでいく。地上がゆっくりと移動していく。風がすさまじい。
「落ちそうよ」とミラル。
「それでも空は空だよ」とエルフィール。
「そうですね。ですから私はお姉さまといるのです」
「えーなんて言ったの」とミラル。
エルフィールの言葉は風に流されてキャルだけが聴けた。
城の庭に下りる。
「またなにかあったら頼むな」
男はワイバーンを引っ張っていく。
「今日はもう帰って休みましょう」とミラル。
人だかりが闘技場の前にある。
「剣の大会だってさ。寄ってこうぜ」
「エルフィールはタフねえ」
エルフィールとジョルディーとハイベルがエントリーする。
闘技場の二階から広場を見ているミラルたち。
剣士たちがひしめきあって木刀を振るっている。
「楽勝だな」
ハイベルの豪剣が相手を叩きのめす。ジョルディーの剣技は華麗だ。
エルフィールたちは予選を勝つ。ここから勝つと入選である。エルフィールは剣を放つが、かわされて打たれて負けてしまう。ハイベルを見るとその豪剣を軽く受け流されて倒されて負けた。その剣技は素晴らしいものだがエルフィールはハイベルがこけたのだと思った。エルフィールには剣技においてそれほどの眼識があるわけではなかった。ジョルディーは勝って入選した。ジョルディーは準決勝である。
ジョルディーの腕前ならば優勝する。エルフィールにとってそれは確信であった。
ジョルディーの木刀が中年の男をとらえる。その場に男はいなかった。その一瞬にジョルディーに一撃が入る。ジョルディーの負けであった。
「まさかそんなジョルディーが負けるはずがない」エルフィールは信じられない。
「お姉さまは素晴らしかったですよ」とキャル。
フィルが話す。
「剣技を極めるためだけに修練を積んでる人たちがいます。ジョルディーは実戦経験は豊富でも、その技はまだまだ極めたわけではないのです。上には上がいます。この世界には天技を極めるために日々修行している人たちがいるということ。剣を極めるために人生をかけている人たち。その人たちにはその生活のすべてが剣の道にあるのです」
「そうだな。世界は広い。旅をしていると信じられないことが起きるものだ」エルフィールは納得する。
一行は宿に戻って休む。次の日。依頼屋から依頼を受ける。
「使い魔召喚か」エルフィールは不思議そうに聞く。
「悪い悪魔が出たら退治してくれという話ですね」とミラル。
その場所へいく。
広い家がある。普通のとんがり屋根の家だが、なにか珍しいとこもある家だ。
「待っていたよ。私が魔法使いのウエルティーだ」
若い男の魔法使いが出てくる。
「魔道とはなんですか」とミラルが聞く。
ウエルティーが答える。
「魔道とは世界を探すこと。世界は常に変わり続ける魔力の流れ。それを一粒つかむのが魔道のすべきこと。世界は常にその要素に動き続けている。その世界に一瞬触れるのが魔道のこと。魔道は世界を変える瞬間であり、その時間の中にあることを自覚すること。魔道は水と火を操り、この世界の文明となっています。私たちは魔道の道しるべです」
ミラルとアドルテアにはウエルティーがいい魔法使いだと分かった。この依頼については信頼してもいいと判断した。
一行は部屋へ通される。暗闇の中、ロウソクの火がいくつかついてる。床には魔方陣が描かれている。
「お姉さまが無事でありますように願っています」
「ありがとうキャル」
エルフィールたちは武器を構える。
ウエルティーが呪文を唱えると使い魔が出てくる。
「残念だがこれはほしい使い魔ではない」
魔界に帰してしまう。
それを何回繰り返しただろうか。
悪魔が召喚される。それは闇。うごめく闇である。
一同はそのプレシャーで壁に押し付けられる。動けない。すさまじい圧力である。
精霊がエルフィールの周囲を舞う。
エルフィールは精霊の動きに自然と合わせる。
花びらの風がエルフィールを彩る。
それは精霊の疾風。
エルフィールは流れる布のような淡い色彩の精霊と舞う。
「精霊招霊(せいれいしょうれい)バルキリー・ヴァルキュリアス!」
エルフィールの周囲にはバルキリーが三騎。
エルフィールのいる大地は闇の波紋ののち暗くなり、色彩は色を潜(ひそ)める。光りの空と暗闇の大地に立つ時。
バルキリーはエルフィールの周囲を流転しながら色彩と舞う。
エルフィールがゆったりとした淡い光りに包まれる。
精霊流炎。
悪魔精霊。
精霊流衣。
一騎のバルキリーはエルフィールに眼鏡をかけてあげて、もう一騎が虹を反射する銀色の鎧を着せ、もう一騎のバルキリーは風の精霊が長い旗に飜(ひるがえ)る矛(ほこ)を手渡す時、エルフィールの髪は太陽の光りによって虹色に輝き、そして準備万端となる。
三騎のバルキリーがエルフィールを受け止める。
精霊舞、三騎掌打。
シャン。
シャン。
シャン。
三つの矛が鳴る。
三騎のバルキリーたちが矛を打ち鳴らす時。
そのひと打ちに暗い大地に雷鳴が轟く。
エルフィールに精霊具たるその花風を散らす。
エルフィールは矛を上から下へと打ち払い、中腰から立ち上がる。
エルフィールのひと動きに精霊とカーバンクルが舞っていた。
ふよふよんと花の風はさらに強くなり花嵐がエルフィールの周囲を巡り踊る。
花風が過ぎると暗い世界はその色彩を取り戻していた。
エルフィールは精霊具を纏っていた。
風がエルフィールの周囲を過ぎる。
壁を蹴って闇へと一撃を加える。それは軽く受け止められ、闇の一撃にエルフィールの鎧は砕けて吹っ飛ばされる。
「ハイベル」
ハイベルがジョルディーを投げる。エルフィールを受け止めるジョルディー。悪魔の存在の圧力で動けない一同。
「お姉さまは討(う)たせません」
キャルがエルフィールの前に出る。
「よせキャル。お前がかなう相手じゃない」
悪魔は笑ったようだった。悪魔はいなくなる。
「助かった」エルフィールが安堵する。
「悔しいが魔界に帰ってもらったと見たほうがいいだろうな」とダミエール。
「ありがとうキャル。ジョルディー。私は助けられてばかりだな」
「それが仲間というものです」とミラル。
エルフィールの胸がふわっと暖かくなる。けれどもそれは誰にも言わなかった。だから。だから好きなんだ。とエルフィールは思った。
「五大悪魔でも召喚されたならこの地域一帯が壊滅して世界中の勇者が集まってくることになります」とミラル。
「そしたら逃げるよ」とエルフィール。
「逃がすか」とミラルがエルフィールをつかむ。
「さあまだいくぞ」とウエルティー。
「タフだなお前は」舌を巻くエルフィール。
悪魔を召喚する。今度はレッサーデーモンが出る。強いが戦えないほどではない。一同は武器で戦う。ハイベルの一撃で魔界へ帰るデーモン。
「やってやったぜ。いやあこれくらいならばなんとかなるんだがなあ」エルフィールはそう言って一息つく。
「まだ強くなりたい。まだ戦いたい」とエルフィールが言う。もう一人のエルフィールだ。エルフィールが二人いる。
「いまの悪魔が私の姿をしてるのか」とエルフィール。
「私もエルフィールさ」
「ふざけるな」
剣戟を放つエルフィール。その剣をジョルディーが受け止めた。
「あれ、目の前にいたのはジョルディーだったのか」
「大丈夫かエルフィール。もっと自分と戦うんだ」とジョルディー。
「ありがとうジョルディー。やってみるよ」
「忘れないで私。いつでもそばにいるわ」ささやくもう一人のエルフィール。
「勝手にしろ悪魔め」
さらに悪魔召喚する。
アルマジロみたいな奴が出る。
「嬉しいなあ。これがほしかったんだあ」
ウエルティーは笑顔で抱きしめている。
一行は謝礼を受け取ると家を後にする。
宿に戻って一休みする。エルフィールもさすがに疲れたようだ。その日は休んでしまう。
エルフィールが朝に起きてくる。一階の食堂へと下りてくる。一行はみんな起きて食事をとっている。
「お寝坊さんが起きていらっしゃったわよ」とミラルが皮肉を言う。
「あらお姉さま、おはようございます」
「おはようさん。みんなごきげんよう」そう言うエルフィールは眠気まなこだ。
「おねむさんはどんな夢が見れたかしら」フィルが笑いながら言う。
「ドラゴン倒して有名になった」
一同爆笑である。
「なんだよ。ありえない話じゃないだろう」
「いやあエルフィールらしいなあと思ってね」ジョルディーが笑いながらそう言う。
エルフィールは食事をとると依頼屋の話を聞く。
「盗賊退治がいいんじゃないか」とジョルデイー。
「ありがちだなあ」とエルフィール。
一行はなんやかんやでこの依頼を受けることになる。
シルクロードのような商人の道を歩く。岩山を歩く一行。先頭を行くエルフィールの眼前をカーバンクルが隠す。
「前が見えないじゃないか」
どかないカーバンクル。動けないエルフィール。するとエルフィールの前を岩の塊が通り過ぎて行く。
「危ないとこだった。ありがとうカーバンクル」とエルフィール。
一行は山をのぼる。盗賊たちがいた。
「こいつら悪魔を倒したサタンデモンズだ」と盗賊が言う。
どこでなにを言われているか分からないものである。
「違う。エルフィールと愉快な仲間たちだ」とエルフィール。
「それも違うから」とミラルがつっこむ。
「魔界へと送られてしまうぞ。逃げろ」
盗賊たちは次々と谷底へダイブする。
「戦うより生き残れるかどうか分からない川底へのダイブのほうがいいか」エルフィールはあきれている。
「リーダー。それじゃお先に」
盗賊はダイブする。森からハイベルより一回り大きな巨人が出てくる。これが盗賊のリーダーのようだ。
エルフィールたちの剣戟はきかない。ハイベルの体当たりで谷底に吹っ飛ばされる盗賊のリーダー。
「あっけないもんだな。それで金はわけようぜバルディさんよ」とエルフィール。
「へっへっへっ。あねさんにはかなわねえや。金は命でさあ。みんなで分けようじゃないですかい。あっしは決して一人じめしょうなんて腹づもりはないんでやすよ。いいものはいい。金もいいものに違いないでやすよ。金は荷物にはなりやせん。いくらあっても困るものではないんでやすよ。あっしはそれをみんなに分ける仕事をしてるんですさ。それが商人ていうものでさあ。ねえ、あねさん」バルディはあわてる盗賊たちから金をくすねていたのだ。
「おまえの口からでまかせはいいんだよ」とエルフィール。
「あねさんもきついなあ。あっしも冗談で商人してるわけじゃないでやすよ。この目が信じられませんか」と目をうるうるさせるバルディ。
「金に目のくらんだ、どす黒い気持ちの悪い目だ」
「いけねえ。あねさんにはかなわねえや。ほんとにもうねえすいやせんねえ」
「口先はいいから金を分けろ」
「分かりやした。分かりやしたよもう。あねさんにはすきがなくていけねえや」バルディはみんなに分ける。
一行は宿屋に戻る途中劇場の前で足を止める。
「賞金の演奏会だってさ。出てみよう」とエルフィール。
「好きねえあなたも」とミラル。
それぞれ楽器を選び、ギターのようなもので演奏する。
ダミエール以外はみんな予選落ちである。
エルフィールの演奏は特殊な感性の賞を取る。
ダミエールは入選した。それは素晴らしい演奏だった。
「うちのオーケストラで演奏してみないか」と男が言う。
もし演奏で身を立てたいならばこれ以上の言葉はなかっただろう。
「私は旅の仲間エルフィールと過ごす時間がとても楽しいのだ。いまの願いはそれだけだ」
「もったいない。でもそれなら仕方ないな」ものほしげなエルフィールはなぜか鼻たかだかだ。
エルフィールが言う。
「好きな奴と旅をするのもいいさ。私はダミエールのこと好きだぜ」 エルフィールの言葉にダミエールが真っ赤になる。
「そ、そうかありがとう」そう言うだけでやっとのダミエールである。
宿に戻った一行はその日は休む。次の日。依頼屋の話から貴族の家にいく。中年の男がいる。
「幸運の精霊をつかまえてほしい。近くに精霊の森がある」
もらったイラスト。それを頼りに精霊の森に行く一行。
「よそ者がなんの用だ」
エルフの若い男がいる。
「幸運の精霊を探しにきただけだ」とエルフィールが説明する。
「よそ者がなにを言う」
エルフは閉鎖的な種族だ。この男の態度も当たり前であった。
男がびっくりする。
「その精霊は幸運の精霊ではないか」
どうやらカーバンクルのことを言っているようだ。
「私たちの村に来てくれ」
一行はエルフの村に行くことになる。
そこは木で作ったログハウスのようなものが並ぶ村だ。
「お日がらがいいですね」と女性のエルフが通りすがりに言う。
「なんだこの感覚。野たれ死にしそうな奴もいない。エルフから受ける威圧感がない。なんて居心地のいいとこなんだこれは」とエルフィールが驚いている。
「エルフの生活水準は人智を遠く越えたものなのです」とフィル。
エルフの村の村長が出迎えた。
「私たちの村に住んでくれないだろうか。そして幸運の精霊と過ごしたいのだ。もちろんあなたにも衣食住婿まで面倒見よう」
もし暮すだけならばこれ以上の言葉はないだろう。
「愛ならば足りている。そうだろう」
「愛してるエルフィール」とジョルディーとダミエールが言う。
「嬉しくなるほどいまが楽しい。私は旅がしたい。旅の仲間と一緒にいたい。もし旅の仲間もいなくなり、私も旅が出来ないくらい年を取ったらそれでもよければここへ暮らしに来るよ」
「それでいい。ぜひ待っているよ」
エルフは長寿だ。その時間の捉え方もかなり気の長いものを持っているのだ。それは種族としての性質と言っていいだろう。
エルフィールはその言葉に納得してしまった。
「分かった。旅が終わったら暮しに行くよ。じゃあ百年後にまたな」とエルフィール。
帰り道。エルフィールはジョルディーに話す。
「なんか変な気分なんだ。なんだろうなこの気持ちは」
「それは」とジョルディー。
「それは?」
「なんでもない」
それはエルフィールがこの待ってくれている村とエルフたちを好きになったからなのだが、それはいずれ時間が解決するだろう。だからジョルディーはなにも言わなかった。
貴族の男はカーバンクルを捕まえようとして三時間おっかけっこでねばったがあきらめた。実に残念そうである。
貴族つながりで依頼を引き受ける。貴族の馬車に影がついてくるというのを調べてほしいという話だ。
その貴族の家にいくと豪勢な馬車が何台もある。そのうちのひとつに乗り込む一行。馬車が出る。もう闇夜だ。この時間帯に多いということでちょうどいい。一行は馬車の中で揺られている。
「なんか来たなんか来た」とキャルが騒ぐ。
馬車を削る音がする。外を見るとレイスと呼ばれる幽霊のたぐいのモンスターが数十いる。剣の届く距離ではない。
「なにか最近この馬車で変わったことはありませんか」とらいでんが聞いた。
「この大きな宝石を見つけてとりつけました」と執事。
座席には大きな宝石がある。
「エルフィールなにをするの」とミラルが悲鳴を上げる。
それを外して外に投げるエルフィール。するとレイスたちは宝石の中に消えていく。
「えっへん。こんなもんだな」としたり顔のエルフィール。一行は宿に戻って休む。
次の日に依頼屋から依頼を受ける一行。遺跡探索だ。遺跡へと出向く。そこは石の積みあがった遺跡である。
「なにが問題なんだ」とエルフィール。
「私たちが調査しょうとすると道が変わってしまって」
調査員たちの話を聞くが要領を得ない話である。
「とにかく中に入って調べてみればいいんだ」エルフィールはずかずかと中に入っていく。それに着いて行く一行。
遺跡の中は一本道である。
「これでどうやって迷うんだよ」とエルフィールが毒づく。
と、部屋が六個ある。
「どこに入る」とハイベルが聞く。
「正面にしょう」とエルフィール。
中に入ると骨が組みあがってスケルトンが出る。
軽く倒す一行。部屋を調べるがなにもない。部屋から出てみると、部屋の位置が変わっている。
「ワープしたのかしら」ミラルの言うことはエルフィールには分からなかった。後ろを見ても壁である。帰る道だけは変わらずある。どうやらこれが先に進めないと言っていたことのようである。
「どういうことだこれは」エルフィールが聞く。
「ちょっとは考えてみてエルフィール」とミラル。
「こういう時に幽霊がいるんじゃないか」
「ちょっとは考えなさいな」ミラルにたしなめられる。
「お姉さま、すり抜けとかは苦手でして」とキャル。
「とりあえず調べてみてはどうかな」とらいでんが言った。
壁を調べていたハイベルが壁に線があるのを見つける。神の子は目もいいのだ。エルフィールが壁に体当たりする。
壁が傾いてやーやーと複数の声がする。今度はハイベルが体当たりする。壁が崩れた。それは小さなブロックのようなものであった。よく見れば小人たちが背中に壁のブロックを背負っているのだ。小人たちは奥へと逃げて行く。
「追っかけよう」とエルフィール。
「金目のにおいがするでやすよ」こういう時のバルディの感覚はするどい。
一行は奥へと入っていく。そこは広場だった。体育館くらいの広さだろうか。その中心には柱があり、たくさんの小人たちは光の玉を柱の途中にはめ込もうと頑張っているのである。
「金になりそうだなあの光の玉」とエルフィール。
「あねさん、その時は力になりやすぜ」とバルディ。
「なんてこと言うんですかエルフィール」とミラルが怒る。
小人の一人がエルフィールの服の端を引っ張る。それはまるで手伝ってくれと言っているようであった。
「ハイベル頼む」とエルフィール。
ハイベルが光の玉を柱に入れる。
「なにも起きないな」とエルフィールとジョルディーの手が光る。
二人は手を光の玉にあてる。光が光の玉に吸い込まれる。すると水が湧き出してくる。それはとめどなく流れている。
光の玉は水に回転しながら光っている。小人たちのやーの大合唱である。
「かなりの名水だな」と飲んでみたらいでん。
「ここはそっとしておきたい場所ですね」とフィル。
遺跡から出て調査員にはことの次第を伝えた。配慮するとのことであった。一行は宿へと戻る。食事にする一同。
「いやあ旅はいいなあ。楽しいよ」とエルフィールが一人盛り上がる。
「お姉さま私もです」もう一人いた。
一行は歓談する。そんな変わらない一日のこと。
続く。
なかがき。
いやあテーブルトークが楽しいこと楽しいこと。
マスターも増えたし、毎週人が集まらないこともあるので、作品作りの頻度は下がったのですが、それでも楽しいなあ。
話は変わりますが、今回出たキャルはファントムというアニメにいたキャラでひさしぶりに好きになりました。
萌えましたねえ。
声優さんの演技も声もキャラの性格も良かった。
しかしアニメは終わってしまいました。
そこでキャルをこちらで出してしまえと思ったのがきっかけですね。
同人誌なんかそうですよね。
もちろん性格などは多少変えていますが、キャルのきっかけはそんなでした。
テーブルトークではやられ役だった幽霊をキャルにしてしまいました。
この作品のキャラはあまりおしゃべりがいないので、おしゃぺりキャラとして設定しました。
暖かく見守ってやってください。
それではまた。
第二十六話 旅に踊り舞う時。
ほがらかな朝。
季節は移り変わりを見せている木々。
四季を鳥が歌う。
精霊はその身を自在に変える時。
エルフィールたち一行は宿屋にいる。
一行は食事を終えたところだ。
「エルフィールの着衣が薄いわよ」とミラル。
「エルフは心も身もあったかいのさ」
「あなたはエルフの面(つら)汚しでしょうに」
「言ってくれるじゃないかミラルさんよ。なんだったら剣で話したっていいんだじぇ」
「魔法でカエルになったらさぞや美人になるでしょうよこの女は」とミラルはけんせいする。
にらみ合う二人。
「落ち着いてください二人とも。みなさんも見てないでなんとかしてください」とキャルが騒ぐ。
一行は動かない。にらみ合う二人は笑顔になって笑い出す。キャルはびっくりしてなにが起きたのかと思う。
カーバンクルがその周囲で一回転する。
フィルフィルフィールが話す。
「キャルちゃんは知らないだろうけれども、この程度の痴話げんかは二人で自然と和解するものなのよ。人はある程度分かり合える人でなければ一緒にはいられないわ。エルフィールとミラルは姉妹のようなとこがあってね。けんかを楽しんでいるようなところがあるのよ。これが傷つけあうなら止めるけれどもこの程度ならばほうっておいているのよ私たちは」
「私には姉妹がいなかったのでそれは分からない感覚です」
「私が姉だろ」とエルフィール。
「はい。お姉さま。いろんな旅が出来るのは嬉しいです。一緒にいるだけで楽しい仲間がいる。見たことのない世界が広がっていくことが楽しい。見聞が増えていく知識が増えていくことが楽しい。旅の仲間との時間が楽しい。こんなに楽しい日々は数百年ぶりです」嬉しそうにキャルが話す。
「くっちゃべっていてもしょうがない。冒険に行こう」とエルフィール。
「くっちゃべっていたのはエルフィールでしょうに」とミラル。
一行は依頼を受ける。ドワーフの依頼だ。
ドワーフたちの武器庫は巨大な洞窟である。多くのドワーフたちが武器や鎧を作っている。その一角でのこと。一人のドワーフがいる。若くて少年に見えるがドワーフはこれでも成人である。短く黒い髪。まっすぐな目。真面目そうな顔つき。そのドワーフが話す。
「ぼくはドワーフの武器職人アルス。剣士の人に武具を試してほしいんだ」
「任せておけ。うちには達人クラスの剣士がいるぞ」とエルフィールが豪語する。
「まずは魔法を充填出来る武器に武具を試してほしいんです」
「ミラル頼む」とエルフィール。
ミラルとアドルテアが武器と武具に魔法をかける。その鎧をエルフィールが着た。ジョルディーに斬られてもダメージがない。
「すごい鎧だ。でも一回きりなんだな。それでまた魔法かけてるあいだにだめだよ。それじゃ実用としては使えないな。魔法使いならば何回でもいけるんじゃないか」
「そんなわけないでしょう」とミラルがつっこむ。
「それじゃ武器はどうなんだよ」とエルフィールが魔法の剣を振るう。魔法が出てハイベルがそれを受けて吹っ飛ぶ。その魔法の反動でエルフィールも吹っ飛ぶ。結果二人が吹っ飛んだ。
「危険だ。これは危険な武器だ」と目が回っているエルフィール。
なんとか立ち上がるエルフィール。まだふらふらしている。ジェット機で吹っ飛ばされた感じだ。頑丈なハイベルはともかくエルフィールには相当きた。
「ひどい目にあった。いいから次行こう次」
「あんたもタフねえ」とミラルがあきれる。
「調合金で作った鎧なんだけれどもどうかな。どんな力にも耐えるはずなんだけれども」
「じゃあ怪力なハイベルがいいな」とジョルディー。
エルフィールが着てハイベルが剣で叩く。
「一回じゃたいしたことないな。十八回連続攻撃きてくれれれれれぐええええええ」
18連打のコンボがエルフィールに決まる。壁から崩れるように倒れる。
「吐きそ苦しい。なんて厳しいんだもう限界だ」
「無茶するからこうなるのよ」とミラルも心配顔だ。
「武具としてはどうかな」アルスが聞く。
「衝撃がすごすぎてだめだよこれは。その衝撃がすさまじく痛くてさ。もうダメージだよこれは」
鎧もちりぢりになっている。エルフィールはそれを脱ぎ捨て新らしい鎧を着る。ジョルディーが次の剣で構える。アルスが話す。
「今度の鎧と剣は最強のものを用意しました。どちらも最高の一品です」
「最強の鎧と剣か。よしこいジョルディー」とエルフィール。
ジョルディーの一撃がエルフィールの鎧に決まる。
鎧は割れる。剣は根元から折れた。
「矛盾か。最強は並び立つものなく」とらいでんが言う。
「次は鎧砕きの魔法剣です。一回ごとに魔法を充填してください」とアルス。
「なにするの」
エルフィールが鎧をミラルに着せてそれから鎧を砕く。服もずばっと脱げた。素っ裸のミラルが前かがみに丸くなる。
「きゃーっなにすんのあんたは」
フィルが予備の服を出してあたふた着るミラル。
「ちっ」とエルフィールが舌打ちする。
「ちってなんですかちって」とミラルが抗議する。
カーバンクルがくるっと一回転する。
「売ったら儲けられそうな武器ばかりでさあ。これはよだれが止まりませんや。ねえあねさん」とバルディが笑う。
「いじきたない奴だ」とエルフィール。
「名工ライデバルが作ったグリズリーフィッシャーがありますね。魔法が強化した剣があるので試してください」
エルフィールが振るう剣はことごとく砕ける。それは十本にもなった。グリズリーフィッシャーのなんと頑強なことか。
「こんな馬鹿な」
「気にするなってアルス」とエルフィール。アルスは話す。
「何故ぼくはこの世界に生み出されたんだ。この答えが武器作りの中にあると思っていたんだ。もうどうすればいいんだ」
「めんどくせえ奴だなあ。おいキャル頼む」とエルフィールが言った。
うなずくキャル。
「よく、よく頑張ったね。一人で痛みに耐えながら武器作ってよくやってるよあなたはさ。あなたがいいならいいんだよ。もっと頑張ろう。いつもありがとう。あなたがいたから出来たよ。あなたのおかげだよ。それでいいんだよ。あなたなら出来るよ。やれば出来るよ。なんとかなるよ。あなたがいればなんとかなるって。明日があるさまた頑張ればいいじゃないか。背負いすぎないで。落ち着くまで待とう。頑張ってくれてありがとう。力を入れていこう。負けないで」とアルスとあなたへ贈る言葉のキャル。
「ありがとうキャルさん。ぼくは、ぼくはどうすればいいんだろう。エルフィールさんはどうしてるんですか」
「私は考えない。なにかあったら旅だ旅。旅がすべてを洗い流してくれる。旅をしているといろんなことが見れる。旅は私に知らないことを教えてくれる。生活の知恵が見つかることがある。幸福のコツが見つかることがある。見たことも聞いたこともないことが起きる。迷ってるひまなんかない。歩くしかないんだ。旅をしていると不思議なことがたくさんある。旅をしているとどきどきわくわくが止まらない。どんな困難も旅をしていればなんとかなる。私にとって旅は旅の仲間との時間は幸福になれる時間なんだ」
「旅の生活はかなり厳しくありますよ」とミラル。
「いいんだよ。なんでもかんでも行動しないといけない。人生ていうのは自分の限界に挑戦することだろうさ」エルフィールの言葉にミラルは怒る。
「エルフィールは正しくあるとしてもなんてことでしょうか。口先で正しさを問うのは簡単ですが、それを実行するのは並大抵のことではありません。厳しくある世界にさらに厳しさを叩き込むようなこと言わないでください。そうでしょうフィル」
「それはそうです。ミラルの言葉ももっともな話です。けれども人はなにを望みなにを選びとるのか自分で自分の道を決めなければなりません。どうですかアルス。あなたに聞きたい」
「旅、ですか。そうだなぼくも旅に出たい。広い世界で武器防具を見たいな。旅には旅の仲間がいるといい。らいでんさんは知識をお持ちだ。いい武器には知識も必要です。ハイベルさんは怪力がある。いい武器には力が必要です。ジョルディーさんは剣技が素晴らしい。剣技も武器には必要です。ミラルさんとアドルテアさんの魔法は一級の腕前だ。魔法剣には魔法が必要です。フィルさんは誰よりもやさしく自分に人に気を使うし風格がある。そんな回復の力が武器には必要です。キャルさんは励ましたり人のあいだをとりもつのがうまい。いい武器にはいい励ましが必要です。バルディさんの商魂はたくましい。武器には商売も必要です。エルフィールさんは誰の言うことも聞かず偏見だらけだけれども仲間に好かれずば抜けた行動力がある。エルフィールさんはトラブルメーカーだがこの仲間にはなくてはならないムードメーカーでもある。そして誰より責任感が強く自分に厳しくある。その行動力は武器には必要だ。こんな旅の仲間と一緒だったらさぞや素晴らしく幸福な旅が出来ると思う。良かったらぼくを仲間に入れてくれないですか」
「的確です。その人を見る目も人生の目的も実に明確です」とミラル。
フィルが話す。
「人生は探求よ。自分の道を探し続け求め続けること。その連続です。考え迷いその道に苦しむことでしょう。けれどもその先にはえもいわれぬ世界が待っています。探求した者にしか見えない世界です。どこまで深く探し求めるのもあなたの自由です。あなたがドワーフに生まれ武器職人の環境に育ったのは運命です。でもいまその道を極めるために新らしい運命へと旅立とうとしている。そんな人を私は勇者だと思うのです」
「アルスを仲間に入れる。不満がある奴はすぐ言えいま言えなんか言え。偏見があったからどうだって言うんだ」とエルフィール。誰もなにも言わない。
「決まりだな」とエルフィール。
武器職人のドワーフ、アルスが仲間になった。
「私たちは偏見を問いません。トラブルメイカーでもいいわ。旅の仲間は多いほうがいいと思います」とミラル。
「なんか耳がいたいなあ」とエルフィール。
「あなたには多少きつめに言ったんですよ。言ってもききゃしないんですからねこの娘は」
「それじゃこれ親方から今回の謝礼です」とアルス。
エルフィールはそれをアルスに渡す。
「旅の資金にみんなからカンパだ。これからもよろしくなアルス」
「え、ほんとにいいんですかこれ」
うなずくジョルディーたち。
「嬉しくいただきます。ぼくこんなに嬉しいことはありません。ありがとう。ハイベルさんには魔法の斧をどうぞ。エルフィールさんには盾をどうぞ」
それぞれ装着する。
一行は宿に帰る。宿でアルスを迎えた歓迎会である。キャルも込みである。
「今日はめでてえなあ」とエルフィールが酒を飲む。
「あなたは酒を飲めればなんでもいいんでしょう。英雄バーシスをただの徘徊者と呼ぶ数々の偏見。仲間の悪口を言う口。その人柄のどれをとっもてどうしてこれだけの人望があるのか分かりません」とミラルのつっこみ。フィルが話す。
「人には欠点や限界やクセがあるものです。仲間になる時はそういうとこを見るのではなくその人のいいとこを見ているのです。あなたもエルフィールのことを仲間だと思うでしょう。ミラルは魔道についてはその道を極めていつつあります。けれども人を見る目がまだまだだと思うのです。友達と面白可笑しく楽しい時間を過ごすためには最低限相手のいいとこが見えるといいでしょうにね。人がいれば邪魔をするものです。けれども助け合うことも出来る。エルフィールはかわいいですよ」
「エルフィールではなく私がたしなめられるなんて自分に幻滅です」 「よーよーいい状況だなミラルさんよ」とエルフィールがはやしたてる。
「人を見る目というのは一生つちかうものです。人生の探求に終わりはありません。なにも恥じることはないのです。ただ前に歩くだけです」とフィル。
「ありがとうフィル」とミラルは感謝した。
ミラルには自分の眼識を確かめることが出来る仲間がいることが嬉しかった。仲間といる限りこの人生を生きていける。助け合っていける。そんな確信がミラルにはあるのである。エルフィールといるとトラブルが次々と起こる。でもそれを仲間と対処することは楽しいのだ。だからミラルは旅をしている。
アルスにとっても旅の仲間が出来たということは大きかった。武器職人は工房にいることが多い。それが世界に出て世界の武器や武具を見ることが出来る。そのことに感動していた。どんな旅が待っているのか、それを考えるだけでわくわくどきどきするのだ。こんな気持ちはそうあるものではない。必ず新らしい武器や武具を見てきて工房に新風を入れようとこの旅に期待していた。
アルスはグリズリーフィッシャーを見せてもらっていた。らいでんは今日起きたことを本に書いているのであった。ダミエールがこれまでの旅を歌う。エルフィールたちは酒を酌み交わす。そんな一日が過ぎていく。
次の日。依頼屋から城からの依頼を聞く。城に行くとラフィール城は広場が大きくて樹木がそろっている。納屋にでっかい卵がある。ここからなにか悪いものが生まれたら退治してくれというのが依頼であった。何日も城での寝泊り。
「ベッドがふかふかすぎて眠れないよ」とエルフィールは愚痴を言う。一行はいつものごとく卵の前で日がな一日過ごしている。
と、卵が揺れだす。ひびが入り始めた。武器を抜き構える一行。そして卵から出てきたのはドラゴンの赤ちゃんである。すでにとことこ歩いている。城の方針としてはこのドラゴンを城で育てるということであった。
「何百年かかることか」とエルフィールがため息をつく。
フィルが話す。
「ドラゴンは戦力としては世界を滅ぼせる力を持っています。大国にはドラゴンがいますがこんな小国にドラゴンがいたらどれだけ心強いか。またドラゴンは知識や物事の判断においても素晴らしいものを持ち得ます。ドラゴンと話せればどれだけ国が繁栄することか。またドラゴンがいるということは国の象徴でもありますから、その国のステイタスとなりますし、大変なイメージアップにもなるのです」
赤ん坊のドラゴンはすでに歩ける。とことことエルフィールの後を着いて来る。しばらく飼育に参加しないかと誘われる。
牛乳をドラゴンにやるエルフィールは実に仲間から好評であったが、エルフィールはドラゴンをよくよく落とすので、子育てには向いていないとミラルの評価であった。
一行は城に別れを告げて城下町を歩いている。青い空にドラゴンが飛んで来る。
「またな」とエルフィール。
ドラゴンはエルフィールの周囲を回ってから帰って行く。
「寂しくはないのか」とジョルディーが聞く。
「大丈夫。あいつはいつだって天空の守護者に守られているのさ。さあ次の冒険へ行こうじゃないか」エルフィールはそう言って歩き出した。
次の日。一行は宿で朝食を食べている。すると城の兵士がやって来る。
「カヴァール地方でドラゴンが暴れているんだ。いま各国で兵士や冒険者を集めている。お前たちも来てくれないか」
「いいだろう」即決のエルフィールはいつものことである。一同に意義はない。
「けれどもドラゴンは並大抵の相手ではありませんよ」とミラル。もっともな話だ。相手は世界を滅ぼせる力を持つ存在である。
「一人じゃないよ。それに大国のドラゴンも動員されるんだろう」
「それは大国に願い出ているところだ」
「それ見たことか。大丈夫だってさ。いつだって攻めの旅じゃないか」
「準備がいりますね」とフィル。その言葉に一同が同意する。
アルスが話す。
「鎧は耐熱加工のものを用意します。剣も持っていけるだけ持っていきます」
「備えあればうれいなしとは東洋の言葉です」とらいでんが補足する。
一行は思い思いに武器防具に荷物を作る。準備万端となる一行は戦士が集結している場所に向かう。その場所へと近づくにつれ戦士や魔法使いらしき人たちが増え、村人が避難のために逃げているのに出くわした。嫌がおうにも戦う意識は高まる。エルフィールも軽口を叩かなくなっていた。誰もが黙々と歩いている。それはまるで地獄への道程のようであった。戦士や兵士が集結しているテントが平原に無数にある。エルフィールたちもテントが支給される。その中は実に居心地がいい。数日そこで待つ一行。ある朝一行はいつものように日なたぼっこである。
「平和だなあ」とエルフィールがほのぼのしている。
「西の村にドラゴンが出たぞ」伝令が駆けて行く。
一行はそこへ向かう。そこにはすでに兵士や戦士や魔法使いがたくさんいる。ドラゴンに群がるように戦っている。戦士たちの怒号が雷のように鳴り響いている。ドラゴンの攻撃にちりぢりになる集団。エルフィールたちの前までドラゴンが来る。見上げる巨体はでっぷりとしていてその爪や牙はするどくでかい。
ドラゴンの巨大な口が牙が兵士を砕く。
なにかがミラルに飛んでくる。それをエルフィールが盾でかばう 盾にぶつかった生首がミラルの回りを転がる。
「ちびったちびった。パンツちょうだいパンツかえてきていいねえちょっとなんなのよこれはいったいなんなのこれえ」とミラルは混乱している。
「こんにゃろめ」とエルフィールが飛び出す。
「魔法使いは後ろに下がれ。後方から支援してくれ」と言ってジョルディーも飛び出して行ったエルフィールの後を追う。
「助けて。誰か助けて。心が砕けてしまいそうよ」とミラルがうろうろする。フィルがミラルを抱きしめた。
「いまは助けるのはあなたです。あなたがエルフィールを助けるのです」そう言ってフィルは怪我した人を回復魔法で回復している。
「私は誰。そう私はミラル。旅をする者。エルフィールって誰だっけ。そう私のお友達。旅の仲間。人生は魔法の探求。苦しみぬいた人生のその先にあるもの。それを求めていまもこの人生を歩いている。いまは戦いの場。私がやらなきゃ誰がやる。いまこそ立ち上がるべき時。時間は常に動きその人生は歩き続けるさだめなのですから。私は魔法使いとしているミラル。エルフィールを助けます」ミラルは立ち直る。エルフィールの周囲を花風が舞う。
「精霊召喚。バルキリー。ヴァルキュリアス」
シャン。
シャン。
シャン。
と三騎のバルキリーが床を槍で打ちエルフィールの周囲を巡る。一騎のバルキリーが兜をかけ、一騎のバルキリーが鎧を着け、一騎のバルキリーが剣を長く槍とする。
エルフィールがバルキリーに投げられてドラゴンの腕に飛ぶ。ドラゴンがエルフィールを睨む。ミラルの魔法攻撃が顔に当たりドラゴンの気がそれた。エルフィールが三本あるドラゴンの爪の一本を砕く。 「いってーなんて硬いんだ。剣が砕けたよ」
「エルフィールさんどうぞ」アルスが別の剣を投げる。それを受け取るエルフィール。それはさらに精霊の力で槍となる。
ドラゴンがエルフィールを投げる。エルフィールはくるっと一回転して大地に立つ。そしてドラゴンの足へとまた跳躍する。ドラゴンは口を開けてエルフィールを砕こうとする。
「はいやっ」ジョルディーの一閃。ドラゴンの牙がグリズリーフィッシャーによって三本は砕ける。たまらず首を上げるドラゴン。
エルフィールの一撃でドラゴンの足の爪が砕けた。ドラゴンはよたよたとする。
エルフィールの剣が砕けた。アルスが新らしい剣をエルフィールに投げる。それを受け取るエルフィール。
ハイベルの怪力の一撃がドラゴンの羽の一枚を切る。これで空には逃げられない。
熱砂が舞う。場が熱く焼ける。熱い吐息。ドラゴンブレスがくる。周囲の兵士が一瞬で炭となる。エルフィールとジョルディーの前にハイベルが立つ。ハイベルの背中が焼けた。それだけですんだのは神の子の屈強なる体躯である。苦痛に歪むハイベルは動かなくなる。ジョルディーとエルフィールは倒れたハイベルを後方へと連れて行く。フィルが回復魔法をかけた。
「負けないで」とミラル。
「負けるもんか」とエルフィール。その一言で十分であった。
エルフィールとジョルディーたちはドラゴンに走って行く。ドラゴンが尻尾を一振りする。それだけで何十人という戦士たちが吹っ飛ばされる。ジョルディーはよけたがエルフィールはくらった。ジョルディーがエルフィールを連れてフィルたちのところに戻ってくる。エルフィールは口から血を流している。フィルが回復魔法でエルフィールを回復する。なんとか動けるようになるエルフィール。
「もうしりぞいたらどうですか」とフィルが聞く。
「まだだ。まだなんだ」とエルフィールの気迫。それに誰もなにも言えない。
「いってらっしゃいエルフィール」とミラルは笑顔で見送る。
「おう」とエルフィールはドラゴンに向かって走る。ジョルディーも追った。ミラルには分かっていた。エルフィールが止めても止まらない性格であることは。ならばいまは後方支援しかない。ミラルはドラゴンの頭めがけて魔法攻撃する。
魔法使いたちの魔法攻撃は頭に集中していた。そのためドラゴンは目がほとんどつぶされた状態であり、闇雲に攻撃しているのであった。ハイベルの一撃で空へ逃げることも出来ないでいる。状況はかなり勇者たちに有利である。千人程度の戦士や魔法使いや兵士がうごめく海の中にドラゴンはあがいていた。ドラゴンもこれがどういう意味を持つのか分からぬではない。最後のあがきであった。尻尾を振るドラゴン。その尻尾をエルフィールが一刀両断にする。剣は粉々になった。アルスがまた武器を投げる。それでさらに立ち向かうエルフィール。ドラゴンの足の爪がエルフィールに迫る。それをジョルディーがグリズリーフィッシャーで砕く。たまらずドラゴンが倒れた。口火が灯る。ドラゴンブレスだ。熱線が兵士や戦士を焼く。ジョルディーが牙を砕く。群がる戦士たちの攻撃でもう虫の息となったドラゴン。まだ口火を燃やす。エルフィールは口の中を突く。ドラゴンが大量の血を吐く。そしてドラゴンはびくついて動かなくなる。
「やってやるやってやる。殺ってやるぞ」
「エルフィール。エルフィールもういいんだもういいんだ」とジョルディーに抱きかかえられて我に返るエルフィール。しばらく呆然と空を見ていたエルフィール。
「終わったな」とため息をつくエルフィール。
「エルフィールは私たちの幸運の女神だな」とジョルディー。
「馬鹿言ってら」エルフィールは一笑にふす。
「良かったエルフィール無事なのね」とミラルが号泣しながらエルフィールにしがみつく。
「おいおい大丈夫だって」
「エルフィールも泣いてるぞ」とジョルディーも泣いている。
「もらい泣きさ」とエルフィールは強がってみせた。
「ドラゴンも倒した。もう旅も満足なんじゃないか」とジョルディーが聞く。
「まだまださ。まだなにかある気がする。だから旅がしたい」エルフィールはすがすがしくそう言う。
「タフだなお前は」ジョルディーはそう言って笑った。
「旅の仲間といるとタフになれるんだ」エルフィールは感慨深く言った。
一行は数日の休息の後、療養中のハイベルをのぞいて城で勲章を授与される。
エルフィールたちは絵に描かれてそれの披露会。パレードに行ったり貴族とのパーティが毎日のように行った。エルフィールたちの戦いはさっそく演劇となった。エルフィーレと間違って呼ばれていたのは愛嬌である。らいでんは講演会に勉強会にとこれまでの話などを披露してまわった。バルディは商売にいそしんだ。キャルは幽霊だと思われていない。ダミエールは今回の戦いを歌い語り聞かせた。アルスはこの城下町で武器や武具の勉強に努め、とれたばかりのドラゴンの牙や爪から武器を作った。ドラゴンの牙や爪はこの世界ではかなりの強度があるので、それを武器にする腕前は相当なものが要求されるのだ。アルスは存分に腕前を披露した。アルスは出来上がった武器や武具を王家に渡した。それはたいそう喜ばれた。
エルフィールが夜空を見上げている。ジョルディーがわきに来る。 「どうしたエルフィール」
「町の空は明るすぎる。旅の空が見たいな」
「じゃあそうするか」
一行は宿へ荷物を取りに行くふりをしてそのまま夜逃げする。町の明かりが遠くへと離れて行く。満天の星空が天空をおおう。
「この空だ」と感動しているエルフィール。それでいいとジョルディーは思った。
勲章を川に投げるエルフィール。
「エルフィールいいの。そうそうもらえるものじゃないわよ」とミラルが心配する。
「死んだ連中へのたむけさ。こっちが私の勲章さ」とドラゴンにおった傷を見せるエルフィール。
「あなたらしいわエルフィール」とミラルは苦笑した。ミラルを怒らすのもエルフィールだが笑わせるのもエルフィールが多いのだ。
ハイベルはまだびっこを引いてるが、それ以外は充実した日々を存分に謳歌した時間だった。この町に住まないかという貴族までいたが、一行の答えは決まっていた。まだ旅の途中。そんな思いが一同にはあったのだ。一昼夜歩いて別の城下町へ来る。すると執事らしき格好の老年の男が立っている。ぜひ話があるというのだ。一行は城へと入る。夜中の城を隠れるように通される一行。玉座に出る。座っている女王はエルフィールそっくりである。女王が話す。
「私は国のために三十年間休みなく働いてきました。ここで数日休みがほしいのです。それであなたに内密に女王を代わってもらいたいのです」
「ほんの数日くらいいいぜ」とエルフィール。
「そんな安請け合いでいいのかしら」とミラル。そんなことはいつものことで、こういう時に支持されるのはエルフィールなのであった。
一眠りして起きると玉座に女王がいる。その身なりは豪勢な服である。
「女王様?」とミラルが聞く。
「おうみんなおはようさん」とエルフィールである。
「言葉使い間違ったり、変なこと言ったら手がいい足をふむのがいい。どっちがいいかしら」とミラル最大の皮肉である。
「うーん。どっちでもいいや」エルフィールにはまったく通じていない。
「女王様お食事です」と執事に連れられて別の豪華な部屋で皿が出される。スープを皿から飲むエルフィール。びっくりするメイド。
「あほかい」とミラルがエルフィールに肘鉄くらわす。それにさらにびっくりするメイド。
「ゆっくりと丁寧にどうぞ」と執事さん。
エルフィールはそれでもなんとか食事する。さっそく仕事である。書類は無理なのですべて後まわしになった。謁見の間で隣国の使いと対面するエルフィール。
「我が国の同盟によって参上いたしました。隣国エスタークを一緒に攻めようではありませんか」と使者が威勢よく言う。
「それはいいな。さっそくせん」とエルフィールの首筋にミラルのナイフが冷たさを伝える。
「そうは良くないからやめとこうかなあ」
「女王様はそういう方です」と執事さんも太鼓判を押す。
食事の後にうさぎ狩りである。一行も馬に乗って行く。ミラルなど馬に乗れない者は二人乗りである。女王と同じなのは狩りの腕前だけである。エルフィールは楽しそうだ。
と、遠巻きの兵士たちが倒されて暗殺者たちがエルフィールに迫る。エルフィールは服に手間取って馬からうまく降りれない。ジョルディーのグリズリーフィッシャーが一閃。武器を砕く。ハイベルの一撃が暗殺者を吹っ飛ばす。ミラルが魔法を使う間もなくあっという間に戦いは収束してしまった。増援の兵士も来て暗殺者たちは逃げて行く。その日はすべての公務をキャンセルすることになった。次の日。スイーツパーティである。貴族たちの中、広間で数々のテーブルにはいろいろなスイーツが並んでいる。
「こういうのをパティントンて言うのね」とフィル。
「はあーいつの時代の言葉だよ。年だなあフィルも」そう言ったエルフィールはフィルから殺気を感じる。
「ごごごごごめんな。わ悪気はない多分な」フィルは鬼門だ。エルフィールはスイーツに手を伸ばす。
「毒味は大丈夫ですか」とミラルが執事に聞く。先日のことで緊迫感が一行にはあった。
「万全です」一国がその威信をかけて言う言葉である。一行は信じることにした。
エルフィールには食事の仕方をミラルに突っ込まれていたが、それ以外はこともなく過ぎ去った。
「勲章授与。いやあお前さんは偉い」エルフィールは好きに勲章をばらまいた。執事はそれを容認しているのであった。国家予算で競馬を作ったり好きにやった。ずいぶんと豪胆な女王の変化は議論を呼んだ。ほんの数日。ほんの数日のことだったがエルフィールは満足した。それは旅とは違う種類の満足なのであった。女王が帰って来た。エルフィールの行動を一通り聞いて、女王はまた頼むと言った。ミラルは耳を疑った。一行は夜中に城を後にする。人目につかないように町を出た。エルフィールにも女王にも充実した時間であった。
一行はある町の宿で依頼を受ける。それは猟師さんの依頼だと言う。一行は海岸まで行く。そこには中年の男の猟師さんがいた。
「べっぴんな人魚がさ、船を出してると歌を歌ってさ、みんな眠ってしまって困っているんだよな」
「退治だな。退治すればいいんだな」エルフィールが意気込む。
「話してもいいのですよ」とミラルが助言する。
一行は船で人魚のいる岩礁に船で行く。岩の上には人魚が一人いる。かなりの美人だ。
「おい歌うのをやめろ」とエルフィールが話す。
「私たちは歌うことが人生の探求なのよ。ゆずれないわ」
「それなら戦うしかないな」とエルフィールが剣に手をかける。
「それなら歌う対決ではどうかしら」と人魚が聞く。
「こちらも血を見たくはありません。それでいいと思います」とミラルはうけおう。エルフィールは不満そうだが一行は歌う。
「それじゃ今度はこちらの番ね」と人魚の歌を聴いた一行は眠ってしまう。起きると人魚はまだそこにいた。
「考えたのですが、あなた方は夜遅く歌い、猟師さんは朝早く活動するというのはどうでしょうか」とフィルが提案する。両者が提案に同意する。一行は報酬をもらう。
「あんなに眠ったのはひさしぶりだ」とエルフィールがあくびする。 「私はいつもあんなものです」とミラル。
「時は金なりでやすよ」とバルディが下品に笑った。
「お前は眠らないんじゃないか」とエルフィールの言葉にさらに笑うバルディ。
「そうでやすそうでやすよ。ゴブリンは普段はそんなに眠らないものでやす。でも今回は眠ってしまいやした。眠ると金が逃げていくという言葉があるくらいですのに。こんなこと恥ずかしくて親方には言えないでやすよ。眠らないで働くことがゴブリンのモットーですからねえ。げへへへへ。でもゴブリンも魔王が眠った時やわしらですと儲かった時にはよくよく眠ることにしてるんでやすよ。それがわしらにはげんを担ぐことになってるんでやす」
「キャルはバルディとは仲がいいのかい」とエルフィールが聞く。
「ゴブリンと聞く口など持っていませんわ」とキャル。
「こいつあ嫌われやしたね。げへへへ」とバルディは気にする風でもない。ゴブリンは人に差別されることには慣れているのである。
一行は宿に戻って食事を取る。なにか見たことがある男がいる。ワイバーン狩りの時の男だ。
「あんたらもこの城下町に来ていたのか」
「なにかあるのか」とエルフィールが聞く。
「ワイバーンレースがあるのさ。そうだあんたら操縦者になってみないか。金ははずむよ」
城の広場に行く一行。人が乗り飛ぶ種類のドラゴンであるワイバーンがたくさんいる。ドラゴンよりは一回り小さくそれに対して翼は大きい。城の広場はまるでドラゴンの博覧会である。そこは見物人でごったがえしていた。国をあげてのお祭りのようである。賭けもあるので収入源ともなっているのであろう。入賞すると賞金も出るそうだ。男のワイバーンはとても強そうだ。さすがにたくさんのワイバーンを飼っている男のワイバーンである。
「乗るのは三人だよ。誰が乗る」と男が聞く。
「そうだな私が操縦するとして後はおまけで軽いミラルとバルディでいいだろう」とエルフィール。
「私に乗れというのですか」とミラルが困ったというように聞く。
「大丈夫だよ。なんとかなるさ」
「もういっぱいいっぱいだわ」ミラルは混乱している。特に魔法使いというものは考えすぎるものだ。
「人生はいっぱいいっぱいなものさ。そこでなにをするか。それが大事なんだ」エルフィールは自然体である。
「いまはそれでいいわよ。若さがあるから。老人になった時のこと考えたらどうすればいいことやら」
「老人になった時のことはその時考えればいいんだよ」とエルフィールはいつも通りだ。
「あなたの楽観的なとこは見習いたいわ」とミラルは兜を脱ぐ。
レース当日。エルフィールとミラルとバルディはワイバーンに乗る。首を上げただけで二階に上がったような高さだ。これで空に上がったらどれほどの高さか。レースが始まる。手綱を取るエルフィールたち。羽ばたくワイバーンたち。羽ばたきだけで場内はすごい音である。ばっさばっさの轟音の中、エルフィールたちのワイバーンも飛び出す。いきなり六位である。すごい風圧。
「いやっほおい」バルディはエルフィールの背中に抱きついて叫ぶ。 「いけー」とエルフィールは蹴りだす。
「無茶苦茶だわ」とミラルが嘆く。エルフィールを前から抱きしめるミラル。それで精一杯だ。
「生きるって無茶苦茶なものさ」とエルフィール余裕である。
「それはあなただけです」きっぱりと否定するミラル。
「希望は持っていようぜ」
「あなたには根拠はなくてもいつも前向きな気持ちがあるのよねえ。それは随分と不思議に思うわ」
風がほほを彩る。世界が巡る。大地が動いて行く。この風。これは。
「これは幸福の疾風だ」きっとこの風の中では幸福がうずまいている。エルフィールはそう思う。
高い山で曲がって城に戻ってゴールだ。エルフィールは急旋回する。
「落ちるってばさあ」とミラルはぶらんとなっている。
カーバンクルもそばについている。
ワイバーンが横になってぐるっと回転する。大地と空が横になって歪む。見たことのない世界がそこに広がる。なんとか曲がりきった。その時四位になっていた。残りの直線を突っ走る。
「いやー」
「いけー」
「いやっほう」
三人が突っ走る。城を抜ける。四位のままだ。入賞である。広場に下りる三人。ミラルは魂が抜けたようになっている。
「やったな」とジョルディーたちが笑った。
一休みして賞金をもらう。
「さあまた旅だ」とエルフィール。くたくたのミラルはまいってしまう。
「エルフィール。旅だ旅だとあなたには夢がないんですか」と愚痴を言うミラル。
「いまの夢は旅を続けられることさ。それでいまはいっぱいいっぱいさ。それでいい。それでいいのさ」とエルフィールはすがすがしい。 「あきれたタフさだわ」ミラルはぐでる。
エルフィールは歩き出す。一行はそれに続いた。
宿で休んだ次の日に依頼を受ける。ある中年の男のところに行く。そこはなにか動物がたくさんいる動物園のようなところだ。小さな広場に入る。男が話す。
「私は獣使いだ。日々国のために獣を闘技場に送ったり戦いに出したりしている。新らしい技を考えたので試したいというのが依頼内容だ」
「どんとこい」とミラルはエルフィールを押す。
「なんで私なんだよ」とエルフィールはろうばいしている。
「私たちの切り込み隊長にまずは切り込んでもらいましょう」
「それはそうだな」とエルフィールは納得する。こういう時のエルフィールの単純さは世界でも一二を争うほどのものだ。エルフィールを残してみんな下がる。なにかが歩く音がする。
「にゃーにゃーにゃー」と猫の大合唱である。猫の雪崩がエルフィールを襲う。
「いててててて」
猫の何千という爪がエルフィールを切る。エルフィールはその場に倒れた。猫が過ぎるとフィルがすぐに回復魔法をかける。
「ねこがくるねこがくるねこがくる」とうなされているエルフィール。一撃で戦闘不能である。ある意味すさまじい技である。
「あまりにもかわいく恐ろしい技です」とミラル。
次にハイベルが立つ。そこにサーベルタイガー二匹が襲いかかる。必殺の一撃。それは寸止めであったために大丈夫であったが一撃でハイベルは砕かれていただろう。次にジョルディーが立つ。鴉(からす)が無茶苦茶くる。カラスが去った後はジョルディーものびていた。一休みした一行は話を聞く。
「これだけの戦力ならば一騎当千だ」とエルフィール。
「そうでもありません」と男。フィルが話しを継ぐ。
「獣には短い寿命があったりその面倒だけで相当な費用と手間なのです。それならば兵士のほうがいいということになっています」
「でも強いだろう」と獣使いの男は誇りいっぱいだ。
「いやあまいったねこりゃ負けたよほんとにさ」と傷だらけのエルフィールは笑う。一行は一休みしてから報酬をもらい宿に戻る。
次の日依頼を受ける。ある貴族の家に行く。中年の夫婦が出迎えた。
「うちの息子がどうしても冒険者になりたいと言うんだ。家督を継いでほしいがとりあえず冒険がどんなものか経験させてみたいと思ってな」
「言葉よりも経験ですよ」と母親も言う。
「実践で物事を教えることは任せてください」とエルフィール。
「先生よろしくお願いします」と父親。
「エルフィールが先生。あり得ない話です」とミラルは驚いている。
「精霊使いとしては一流なんだぜ」エルフィールは不満気に言う。
「それはそうですが。よからぬことを教えないでくださいよ」ミラルはあたふたしている。エルフィールは豪快に笑った。
息子は十代なかばといったところだろうか。ちょっとふとっちょではあるがさてどんなものか。とりあえず近場の調査された遺跡へと向かう一行と子供。
「剣はどうなんだ」とエルフィールが聞く。
「剣術は習っています。実戦経験はありませんが」少年ははつらつと答える。
「まだ若いっていいですね」とキャル。
「おまえが言うとややこしいわ」とエルフィール。
遺跡は暗い道が続く。たいまつの明かりだけが頼りだ。間接照明のようにほのかに明るく光る通路。そこを一行は歩いて行く。足音だけが響く。エルフィールは余裕で口笛吹いている。それがまたうまいのだ。ちょっとしたバックミュージックである。エルフィールたちにとってみれば調査済みの遺跡などたいした脅威ではなかった。ちょっと家に帰って来た程度の気持ちである。もちろんなにがあるか分からないがそれは冒険の旅にはあたりまえであった。
「しゃーっ」
なにか巨大なワニのような生き物がくってかかってくる。ジョルディーの剣をくわえてしまう。ハイベルが押すがとにかく巨体で押してくるのだ。
「よし切り込め」とエルフィール。少年が切り込むがまったく歯が立たない。
「硬い。魔法攻撃もたいしてきかない。こいつはかなり強いですよ。これはやばい。逃げましょうエルフィール」とミラル。
「いま冒険者育成してるんじゃないか」
「それどころではありませんよ」とミラルが吠える。渋々とエルフィールは少年と逃げる。
一行は入り口まで戻って来る。
「こんなものでいいでしょう」とミラル。
「まだだ。まだ戦いたいんだ。報酬の倍をぼくのこづかいから出すから頼みます」
「分かった」とエルフィール。
「けっけっけっ金のためならなんとでも」とバルディ。
「だめです。エルフィールが先鋒を努めるから相手出来るくらいてごわい相手でした。そんなのにもう一度行くなんて危険です」とミラル。
「それでもくやしいんです。ぼくはもっと自分の力を試したい」と少年は剣をふるわせる。
「戦いだけが力ではないものです。知識を得ることも立派な力なのですよ」とフィルがたしなめる。
「そうです。馬鹿なエルフィールみたいな人生ばかりでもない。冒険者以外の人生もいいものですよ」とミラル。
「私のこと言ってくれるじゃないか」
「ごめんなさいねえ」ミラルは杖をエルフィールの盾に当てながら言う。
「商売でやんすよ。金儲けでやんす」とバルディもうるさい。
「この少年を守ることが報酬への近道ですよ」とミラルがたしなめる。
そうしてなんとか貴族の家に戻って来る。両親は話を聞いてびっくりして安堵した。なんとかなった。ミラルは一息ついた。報酬を受け取ると宿へと戻る。次の日。食事を取った一行は遺跡調査の依頼を受ける。遺跡に行くとそれは見たこともない建築様式だ。実に芸術的なものだった。遺跡の内部に入る。石が積み上げられた通路は暗闇に見えない。たいまつの光りを見てなんとか歩く。
ふいに風が吹いているのが分かる。それが前方から来たり後方から来たりするのだ。まるで巨大な生き物が息をしているようなのだ。人並みの大きさの紙が槍持っている。それを倒すとその先に扉がある。入るとそこはかなり広い。エルフィールが明かりの精霊を放つ。
「おわったっ」とエルフィールが驚く。
そこには一匹のドラゴンがいた。こんなとこをドラゴンブレスされれば逃げ場はない。急いで武器を構える一行。
「わしを倒して名をあげたいか人の子よ」とドラゴンは話した。かなりしわがれた老人の声だった。
「なんだ。敵意はないんだけどさ。そっちも友好的な感じだけれどもさ」とエルフィールがたどたどしく聞く。ドラゴンと話すなど初めてのことだった。それはフィルをのぞいてみんなそうなのであった。
「私はハイヴァールという名前だ。ゼクストラ帝国のドラゴンだったのだが、もう年なので引退したのだ。帝国はまだ健在かな」ドラゴンの口調はとても丁寧で威圧感がない。
「聞いたことのない帝国だな。そんなのあるか」とエルフィールが聞く。
「千年前に滅びました」とらいでん。
「そうか。滅びたか。何人もの王や英雄と話をしたりしたものだった。何千年と戦争や人々の日常を見てきた。何千年の時を生き何万年夢を語ったことだろう」
「ぜひ話をしたいのですが」とフィルが提案する。
「一人一人でよろしいかな」とドラゴン。
「一番エルフィールいきまーす。私は精霊使いなんだよ。それでな、戦いでは一番前で戦うことそのむねとしている。必要ならば人も斬る。そういう奴が一人は必要だと思っているんだ。旅が好きだ。旅の仲間が好きだ。旅で人生の探求をするのが好きだ。旅があればなにもいらない。いまはそれでいいと思っているんだ。旅が終わったらそれはその時考えればいいと思ってる」エルフィールの話にドラゴンがうなずく。
「旅に人生を探し求めるのはいいことじゃ。旅の仲間に恵まれたのは幸運なことじゃな。幸運の精霊にも好かれておる。この人生で大事なことがふたつある。幸運なことと心がタフなことじゃ。おまえさんはそれを持っている。助けてくれる仲間もいる。すでに手に入れるべきものはそろっている。好きな人生を好きに生きなさい。たしなめられることじゃろう。それは聞けばいい。自由に好きに生きなさい」
「そうするよ」とエルフィールは手をふる。
「次はあっしでいいですかね。あっしはゴブリンでありながら魔王に従わずに商人になったでやすよ。エルフィールの姉さんとはごひいきにさせていただいて、縁があったからこんなとこにいるんでやすよ。あっしは商人ですからお客様に満足していただいてそれでお金をいただくのが仕事であり人生の探求でやす。武器を売ることもありやすが、商売繁盛が願いでやすよ。げへへへへ」バルディは下品に笑う。
「ゴブリンの商人とは珍しいな。お金というのは幸福のためにあるのではないかな。商売には信頼が大事だと思うのだ。誠実な仕事をすること。それがお客様との縁となると思うのだ。商人のギルドに所属して働く仲間のためにも骨を折ること。仲間との信頼も必要だろう。商人となってシルクロードのような金の道、人の道を作ること。そんなことをこつこつと。それが大事ではないかな」
「分かったでやす」とバルディは飛び上がる。ハイベルが前に出る。 「次は私でいいかな。私は神の子として生まれた。神としての使命はない。かといって人でもない。この怪力と体躯でなにを成せばいいというのか。私にとっては人生の探求とは自分の居場所探しでした。それが旅の仲間と出会えてここが私の居場所だと思えるようになったのです。けれども自分が何者であるのか。それはいまだに私の中にくすぶっているのです」ハイベルは恥じ入るようにそう言う。
「私は私でいいと唱えなさい。いまのおまえさんは完璧主義なのさ。もっと自分に甘くていいのさ。だっておまえさんは神様じゃないからね。自由に生きなさい。それだけの苦労は買って買えるものではないからね。もう十分苦しんだよ。あんたは自分の人生を仲間と謳歌していいんじゃ。自分の居場所に甘えていいんじゃよ。もっと仲間を頼りなさい。もちろん旅の仲間もおまえさんを頼るじゃろうよ」
「分かりました」とハイベル。次にジョルディーが前に出る。
「私は戦いをやめさせる戦いに身を投じた。それは孤軍奮闘だった。ダリルという魔王と恐れられた相手をエルフィールと賢者から得た力で倒した。それからは旅をしている。冒険者となって戦いはその範囲におさめているのだ。私は闇を背負った。そして戦っている気持ちを抱えている。戦いが終わる時が人生の終わり。人生の探求は戦いだと思うのだ」
「偉大な剣士よ。その戦いよ。けれどもいまは旅の仲間が出来たな。いまはもう一人ではないのだ。それはおまえさんの戦いに意味を再び問うたのじゃな。その戦いを旅に問えばいい。旅の仲間に問えばいいじゃろう。倒されるまでの戦いがおまえさんの死を悔やむ仲間を得たこと。それがおまえさんに生きる意味を教えるじゃろう。おまえさんが剣ならば盾となって大事にしてくれる旅の仲間に感謝する時がくることじゃろう」
「そうだな」ジョルディーがうなずく。ミラルが前に出る。 「私は魔道の探求者。魔法使いとして魔法の研究をしています。旅の仲間との出会いによってそれは旅の道となりました。魔道とはなにかそれが人生の探求となっています。魔法とはこの世界の本質だと思うのです。世界が魔法使いだけにはならず何故いろんな人たちがいるのか何故この世界は魔法の法則によって制御されているのか。それが知りたいのです」
「魔道の探求者よ。その答えは簡単なことだ。世界のことわりにはひとつの答えしかない。それがすべてのバランスによって構成されているということじゃ。ひとつの天秤をいじっておまえさんたち魔法使いは魔法を使う。それだけではことの本質には遠いかも知れない。けれどもどれだけ天秤があるのかどんな天秤がどう動くのか。まずはそれを知ることから始まる道ではないかな」
「うんそうします」とミラル。それかららいでん。アドルテア。アルス。フィルフィルフィール。キャル。ダミエール。と話してもらった。
「あんたもこんなとこから外に出てみないか」とエルフィールが聞く。
「わしにとっての人生の探求は考えることなのさ」
「つまんねえ人生だな」
「失礼ですよエルフィール」とミラルがたしなめる。
「旅は刺激に満ちている。いろんなことがあるぜ」とエルフィールは剣を打ち鳴らす。
「そういう刺激はもう求める年でもないのでな」とドラゴンはゆったりと言う。
「ドラゴンにとっての人生の探求とはなんなのですか」とフィルが聞く。
「長い人生においてそれはもう答えが出たのだ。もうこの人生に問うことはないのだ」
エルフィールとジョルディーの手が光る。
「それは運命の光りだね。グラウディアソードとも言うね。いいかね人の子よ。ドラゴンは神々には従わないものだが、唯一寿命においては神様の言う通りにするものなのさ。さあ勇者よ。私に物語の結末を伝えておくれ」
ジョルディーとエルフィールの手が光る。光る手をドラゴンにあてるとドラゴンは石になっていく。石の像となったドラゴン。
「良かったなハイヴァール」と涙を流しながら満面の笑顔であるエルフィール。ミラルはこんなにいい笑顔のエルフィールを見たことがない。それはエルフィールの人生で一番の心からの笑顔であった。
「それは人がどんなに苦しくても失わなかったやさしさ私が滅びても受け継がれるもの。汝がどんな旅をするのかここから見ていよう」とドラゴンの声がエルフィールの心に響く。
「そうだな」とエルフィール。
「かわいいなエルフィールは」とジョルディーが言う。
「そう言われてエルフィール真っ赤よあんた」とミラル。
「るっさい」
エルフィールはもっと人生は厳しくなくてはいけないと思う。だが。だがこの仲間といるとどうにもやさしい気持ちになるのだ。それがエルフィールにはなんとも言えず心地良いのだ。今日だけは、今日だけこんなやさしい気持ちでいいとそう思うエルフィールであった。
「旅があったから生きてきた。旅があるから生きている」とエルフィールは言う。
「旅の仲間との出会いもそうでしょう」とミラル。
「それもあるな。もっと旅がしたい。まだ知らない世界があるんだ。その先へ行ってみたいんだ」そう言ってエルフィールは歩き出す。
旅は再び始まったのであった。
第二十七話 精霊と過ごすそんな日。
昼に過ぎるすずしい風。
一行は山の頂上を歩いている。
周囲は山に囲まれている。
雲が道の上を過ぎて行く。かなりの標高だ。
そこへドラゴンが舞い降りる。一行は武器を抜く。こんなところをドラゴンブレスされれば一撃だ。
「これだけのメンバーで戦うのは無謀です。逃げましょうエルフィール」とミラルは言うがこんな山頂で逃げる場所もないことは火を見るよりあきらかだった。
「戦いだ。戦いだ。戦いなんだ」とエルフィールは抜刀して飛び出す。ジョルディーも追いかける。
花風が舞う。エルフィールの周囲をバルキリーが舞う。精霊の力に武装するエルフィール。
エルフィールの一撃は見えないなにかに阻まれる。
ミラルとアドルテアの魔法攻撃がドラゴンの前でキャンセルされる。魔法防御である。
「こいつ魔法使うぞ」とエルフィールが言う。
「強すぎる」絶望に似た気持ちでミラルがそう言う。
実力の差は圧倒的である。世界を滅ぼす力を持つドラゴンである。ドラゴンはなにでくるのか。牙か爪かブレスか。話がきた。
「年をとったドラゴンは魔法くらいわけないさ。ただどんな攻撃魔法よりもドラゴンブレスが強いし、どんな剣よりも爪や牙が巨大でするどくて、どんな鎧よりもうろこが強いからなにもする必要がないだけなのさ」ドラゴンは陽気にそう言う。
「しゃべったぞこのドラゴンは」とエルフィール。一行はびっくりしてドラゴンをまじまじと見る。でっぷりと太った体躯。その巨体から成竜であることは分かる。
「おまえは何者だ。なにが目的だ」とエルフィールが聞く。
「私はハイヴァールの息子だ。兄弟は千歳違いのが何匹かいる。どれも城で雇われている。父とは話したことはほとんどない。ドラゴンは話さないものさ。人が話しを求めてくるから話すんだ。だが若い時はドラゴンもよく話すのさ。好奇心旺盛だしね。私もまだ若い。私はあんたらに興味を持った。だから旅の仲間にしてほしくてここに来たんだ」
「旅の仲間だって」エルフィールはミラルを見る。
「そんな話聞いたこともありません」とミラル。
一行はいきなりな話に迷ったがエルフィールが迷いから抜け出た。
「よし仲間にしょう」エルフィールは決断だけははやい。
「そんな勝手に決めてしまって。私たちはこのドラゴンの名前も何者であるかさえ知らないというのに」とミラルが注意する。
「おまえなんて名前。自己紹介くらいしろよ」とエルフィール。ドラゴンはうなずくと話だす。
「名前はバリュウスだ。人生の探求は世界の秩序とはなにか考えることかな。そのために若いうちに旅をして諸国を見てまわりたいと思ってる。冒険者の噂の中で面白い話をよく聞いた。あんたらの話だ。らいでんさんの本も読んだ。どの話も興味深く面白かった。あんたらと旅がしたい。一緒に旅をする仲間となって同じ道を歩きたいんだ。なに簡単なことさ。あんたらといたら興味深いことに遭遇すると思ったのさ」
「悪いドラゴンではないようです」とミラル。
「それならば戦いになっているだろう」とハイベル。
「しかしドラゴンを連れて町に入ったらとんでもないことになります」とフィル。
「おまえ人に変化とか出来ないの」とエルフィールが聞く。
「そういう魔法はある。私は使えないな」とドラゴン。
「町に入る時だけバリュウス殿にはどこかで待機していてもらったらどうだろうか」とアドルテアの提案。
一行は話し合うがとりあえず町以外で着いて来るのはいいということになった。
「ついに旅の仲間にドラゴン登場か」エルフィールはなんだか生き生きとしている。お祭り好きのエルフィールのこと。ドラゴンというとなにか感激するものがあるのだ。
「これで戦いでは無敵だな。どんな困難でもこいって感じだな」エルフィールは意気揚々だ。
「知識を土台とした発想。それがこの苦難を乗り越える力となると思いますよ」とフィルがたしなめる。
「なにか私でよければ話にのろう」とドラゴンは聞く。ドラゴンと話したいという人は五万といるのだ。実にありがたい話だ。
「じゃあなにかご褒美くれ」エルフィールの問いはドラゴンをびっくりさせた。
「なんだって」
「これだけ頑張っていっぱいいっぱいのとこ生きてるんだからなにかご褒美おくれ」エルフィールって転んでもただでは起きない子だよね。
「お守りだ」ドラゴンの牙が落ちてくる。ドラゴンの乳歯だ。ほどよい大きさであり、持ち運べるものだ。
「ハイベルさんの盾にいいんじゃないでしょうか」とアルスが言う。
「盾があると心も守られているようだ」とエルフィール。
「いいこと言ってるようですが内容はないよう」
ミラルの言葉にしーんとする一行。
しらけー鳥。
エルフィールとドラゴンは握手する。その手はごついものだ。
「よろしくねえさん」
「よろしくなバリュウス」
一行はドラゴンとの信頼を得た。
街に戻る一行。もちろんバリュウスは街の外で待機だ。宿で食事をとるとその日は休む。次の日依頼を受ける。
「ユニコーン探索か」エルフィールが意気込む。
「東方の村でよく見かけるそうです」とミラルが補足する。
「ユニコーンの角(つの)ならばどんな武器が作れるだろう。わくわくするなあ」とアルス。アルスは活気づいている。
一行はユニコーンが目撃された村へ向かう。夜によく目撃されるという。目撃の集中する森の中を歩く一行。
どれくらい歩いただろう。森の中をユニコーンが駆けている。その背には少年が乗っている。一行の目の前まで来たユニコーン。
すきを見てユニコーンに触れたと思ったエルフィール。するりと抜けた手。
「ユニコーンには少年の心が残ってないと触れないんだ」と少年は笑った。
誰も触れない。ジョルディーだけが触れる。ユニコーンの背に乗るとユニコーンが駆け出す。森を駆けていくジョルディー。
花が咲いた。すべての森の花が咲いた。それは幻想の世界のこと。
戻って来るジョルディーとユニコーン。
「縛れジョルディー」とエルフィールが縄を出す。
「友人は縛れない」とジョルディーは首を振る。
「ちっ」舌打ちするエルフィールとバルディ。
「夢を見た。みんなが幸福になってる夢なんだ」とジョルディー。
「そんなのはどうでもいいんだよ。ユニコーンが捕まんないんだよ」とエルフィールは愚痴る。
「人生というものは思い通りにならないものです」とミラルがたしなめる。ミラルが正しくあるとは分かっていてもエルフィールはユニコーンがほしい。またその気持ちがエルフィールが少年足り得ないのかも知れなかった。エルフィールはしばらく眺めていたがあきらめる。
一行は旅に戻る。夜の道を歩く。しばらくするとエルフィールが倒れた。
「どうしたのエルフィール」と言ったミラルも倒れる。次々と一行は全員が倒れた。気がつくと牢屋の中にいるエルフィール。一行は全員牢屋の中にいた。
「どうしたんだこれは」とエルフィールが聞く。横にいた戦士が答える。
「奴隷狩りさ。眠りの魔法で鎖につなぎ闘技場で死ぬまで戦わせるのさ」
「なにか打つ手はあるか」とエルフィールが仲間に聞く。
「話しあいましたがいまのところありません」とミラル。
ハイベルは特別大きな鎖につながれている。相手は奴隷を使うプロだ。これは並大抵のことではなかった。
「おい。そこの奴出てこい」奴隷使いが槍を持って突っつく。
ミラルは大声援の中、闘技場の表舞台に出る。戦えと合唱が雷のように鳴り響く。相手も魔法使いだ。魔法攻撃してくる。それをなんとかかわすミラル。
「話しあいましょう」ミラルの言葉など相手は聞いてはいない。どんどん攻撃してくる。仕方なくミラルは応戦した。それは直撃だった。
相手は倒れて動かない。手加減した。だが殺したかも知れないとミラルは思う。確かめる手段はなかった。心が焼けるようだ。ミラルは倒れそうになりながら牢屋に戻った。
エルフィールの場合。相手の剣を叩き折ってしまった。それで試合が終わってしまった。どうしたことかとエルフィールは不思議に思う。
「なにおれが相手の剣を叩き折り過ぎてさ」とジョルディー。
「原因はおまえか」とエルフィールはあきれている。
「生まれてきたのは無茶苦茶だ。生きるのも仕事も無茶苦茶だ」と戦士が絶望の言葉を吐く。牢屋の雰囲気はいつも暗くある。
「生きるのって無茶苦茶なもんだろう」とエルフィール。あまりにのほほんとした感じに場が凍った。
「これが我々の生まれてきた報いか」戦士が苦しみを言葉にする。
「奴隷解放をしてやって奴らに報いを見せてやろうじゃないか」とエルフィールはいきまいている。
「私はもう死ぬんだ」とミラルが泣き叫ぶ。その場で転がるように死にたいと嘆くミラル。
エルフィールがミラルの首根っこ持って顔を近づける。
「人生は痛くて苦しくてあたりまえだ。さらに強くなれ。生き残って笑ってやろうぜ。生き残って寿命で死のうぜ。生き残って幸福になろうぜ。死んでも生きろ。次に死ぬと言ったら叩き斬る」エルフィールの脅しに声も出ないミラル。
フィルがミラルに寄り添う。軽くミラルを抱きしめてやるフィル。 「大丈夫よミラル。あなたが望むのなら死んでもいい。けれども生きるという道もあるでしょう。自分を助けるのは最後には自分しかいない。また一緒に旅をしましょう」
「おまえが死んだら私も死ぬと言ってるんだ」とエルフィール。
「なんてこと言うの。あなたは生きてエルフィール」とエルフィールのはっちゃけをたしなめることが出来る程度には回復したミラルである。 ミラルにはとことん助けてくれる仲間がいた。旅をなりわいとする冒険者は特に厳しい世界だ。今回はそれでもさらに厳しくあるが、それを支える旅の仲間がいた。
フィルが話す。
「生きる道。それはタイミングを探りながらチャンスを逃さないことです」
「分かります」ミラルは頭のいい子だ。それだけでフィルの言わんとしてることは分かった。
次の日。エルフィールと対峙するミラル。闘技場は戦えの声と熱気に包まれている。詠唱を始める二人。ミラルの呪文。
「空の天秤いま重うのはつらき日々のさらさ。らちあきなきことつらつらとあればいまの道に思う平安の世界。右手に光り左手に炎。天空にいかずちの道。砕く雷鳴の道。我がゆくてに道を示せ」詠唱は終わる。静かにたたずんでいるミラル。その時エルフィールは詠唱を終わらせる。二人は攻撃を放つ。それは相手にはではない。鉄の巨大な門にだった。絶妙なタイミングで二人の攻撃が門にあたる。門が砕けてさらに牢屋の一部も砕けて戦士たちが逃げ出す。ミラルとエルフィールは倒れる。全精神力を使った魔法であった。二人は気を失っていた。エルフィールをジョルディーが背負う。ミラルをハイベルが背負う。みんなの武器を混乱の中フィルとダミエールたちが確保すると逃げる一行。街を抜けかなり歩いた。もう追っ手もいない。ミラルとエルフィールが気づく。
「私たちは自由なんだ」とミラルが放心する。
「そうだ。私たちは自由なんだ」とエルフィール。
ミラルの顔が歪む。
「こんな時のミラルの顔は知っているよ」とエルフィール。
ミラルが泣き出す。
「ずっと泣きたかったんだな。いいさ好きなだけ泣けばいいさ」とエルフィール。
「お二人のおかげです」と逃げてる戦士が言う。
「そんなんじゃないんだ」とエルフィールが珍しく否定する。
「足手まといでごめんなさい」とミラルがかほそく言う。
「そんなことないさ」
ミラルが最初に戦った魔法使いも逃げるのが見える。
「心が救われました。ありがとう神様」とミラルは涙を流す。
「神様はいつでも見守っていてくださいます」とハイベルが言った。
「私なんか旅していれば心が救われるけどな」とエルフィールがかほそく言う。
「あんたに聞いてないわ」とミラル。それだけの元気はあった。
「私もエルフィールと旅をしていると心が救われるな」とジョルディー。
「あきれた人ねジョルディーは」とミラル。それから眠ってしまうミラル。
「グッナイ、ミラル」とエルフィール。
「なんとかなったな」とジョルディー。
「そう。なるようになるさ」とエルフィール。
「そういうことさ」とジョルディーが笑った。
バリュウスが空からやって来る。
「よっ。みんなしばらく見なかったな」とバリュウス。
「いまごろ来やがってこいつは、大変だったんだぞ」とエルフィールが怒る。
「街には入るなという話だったし。これからは連絡が長くつかない時には探すよ」とバリュウスは困っている。
「まあいいじゃないか」とダミエール。
「おまえは闘技のあいだに歌っていただけじゃないか」とエルフィールは不満顔である。
一行は別の街で十分に休息を取る。それから旅に出る。森の中を通る一行。
「道に迷ったなあ」とエルフィール。
「なにか変ですよこの森。道が変わります」とミラルの指摘。
「木に傷をつけて目印にしょう」と剣を抜くエルフィール。かなり高い木が動いた。
「きゃっ」「うわっ」「なんだなんだ」と驚く一行。
「やあ人の子よ。我々が珍しいかい」
老人の声が空からふってくる。それは木がしゃべっているのだ。
「木の人、ウッドポックと呼ばれる種族ですね」とアドルテア。
「日あたりのいい土地を目指して旅しているんだ」とウッドポック。
「バリュウス。日あたりのいい場所あるか」とエルフィールが聞く。
「木こりのいないところがいいなあ」とウッドポック。
「なるべく人のいないとこだ」とエルフィールがさらに聞く。
「それは私がよく使う場所教えるよ」とバリュウス。
一行はそこまで歩く。ダミエールが行進曲を弾く。それに森が動いていく。森の進軍である。着いたそこはかなり日あたりよく人もいない。 「ここはいい。この冬は越せそうだ。あんたらは私たちの救世主だな」 「よせやい」とエルフィールは嬉しく恥ずかしく真っ赤である。
「我が人生でなにが残せただろう。いやあ世界が終わるまでここでこうしていたい」
木の実が雨のように降ってくる。
「お礼だ」
「なに気にすんな」とエルフィールたちは歩いていく。食べた木の実がちょっと苦かった。
一行は宿で休み次の日に兵士から依頼を受ける。それは予言である。この世界では予言はかなり当たるものである。それが多くの予言者が城下街に隕石の落下を予測したのである。その日住民は避難するが、建物は動かせない。それで隕石を砕いて建物を守ってほしいという依頼であった。その日に城下町へと向かうと非難する住民とすれ違う。兵士や戦士たちが街には集っている。エルフィールたちは大聖堂の守護にあたる。アルスが大剣をエルフィールとハイベルとジョルディーたちに用意する。岩を砕くための剣だ。
昼を過ぎた頃だろうか。天空に巨大な岩が現れる。それは世界さえ滅ぼせそうな大きさだ。羽音がする。空にはものほんのドラゴンが一匹。世界を滅ぼす力を持つドラゴンのブレス。それが隕石砕く。さらに何匹もの戦士の乗ったワイバーンがブレスでさらに砕く。砕かれた岩は人の大きさくらいである。それが建物を襲う。魔法使いたちが攻撃してさらに砕く。それでも届くもの。
エルフィールは大剣で一刀両断にする。砕けた岩は地面に落ちる。
ジョルディーやハイベルも岩を砕く。バリュウスがやって来る。
「そこに座っていろ」とエルフィール。バリュウスは大聖堂の一角に座る。バリュウスに当たる岩は砕ける。ドラゴンのうろこはどんな鎧よりも硬いのだ。
エルフィールが大剣で岩を砕くと剣が砕ける。
「次」とアルスが大剣をエルフィールに渡す。それを何度繰り返したことだろう。
「もう限界よ」とミラル。
「くそったれが」とエルフィールも最後の気力で剣を振るう。
と岩がこなくなる。終わった。隕石はすべて落ちた。砕けた建物もあったがエルフィールたちが守った大聖堂は無事であった。
「ふいーっおつかれさん」とエルフィールが座りこむ。
その時天使が空を舞う。
「天使がなんの用だ」とエルフィールはそっ気ない。
「素晴らしきおこない。見ていましたよ。あなたたちはその報いとして天国へいま行くことが出来ます。さあ手を空へ伸ばしなさい」
一行の誰も手を上げない。
「まだ天国に行くにははやいってこった」とエルフィール。
「分かりました。それでは」と天使は去って行く。
「これで良かったでしょうか」とミラル。
フィルがミラルの手をとる。
「あなたには仲間がいます。旅の仲間です。仲間がいればそこは天国と成り得ます。苦しみや楽しみを分かちあう仲間がいること。この旅はきっとミラルにとってかけがえのないものとなることでしょう。天国へは寿命で行っても全然遅くありません。いまは思う存分生きてみませんか。人生で何度か自分の運命を選ぶことが出来ます。仲間と旅をするという選択がきっとあなたを幸福にすることでしょう」とフィルが太鼓判を押す。うなずくミラル。
「まだなにも始まっていないさ。これからすべてが始まるのさ」とエルフィール。
「あなたらしいわエルフィール」とミラルは苦笑いした。
一行は宿屋で休む。何日かグランドスラムという名前のその街に滞在するがハイベルの姿が見えない。
「アルスは刀鍛冶のとこだがハイベルはどうした」とエルフィール。ハイベルが帰ってくる。
「私は僧侶になりたいと思います。大聖堂で祈りを捧げていました。みなさんも一緒にどうですか」
夜に一行は大聖堂に入る。中は装飾されていてステンドグラスやオルガンなどがある。
「それでは祈りましょう」とハイベル。
「私の人生は間違いだった」とエルフィールが嘆く。
「エルフィールが懺悔(ざんげ)するなんて」とミラルが驚く。
「なにかテーマがあったほうがいいですね。それでは死んだ人に祈るというのではどうでしょうか」とハイベルが提案する。
「ダリル様仲間のみんな。地獄で会おうぜ」とエルフィール。
「いつもきみが心にいるよ」とジョルディー。
「魔王様が眠っているのにすいやせん。金が儲かりますように」とバルディが醜悪な顔で笑う。
「なんてこと言うんですか」とミラルがたしなめる。
ハイベルが祈る。
「求めることではなく救いを心をあたえること。仲間と助け合って生きること。祈ることで誰もが救われます。祈りによって天国へ行くことが出来すべてのおこないは報われます。救いの道は祈りにあります。神様はいつも見守っています」
一同は祈る。一日が過ぎていく。
次の日。この街の女王があいたいという。謁見する一同。
「先日の活躍聞いていますよ。実は頼みたいことがあるのです。この城で盗賊が出ています。怪盗レイルと名乗っているのです。これが変装がうまくて素早くてなかなかに捕まらないのです。どうか捕まえてください」
「おう任せておけ」とエルフィールはたんかをきる。
一行は城の中を歩いている。とエルフィールが片っ端から顔をつねって歩く。
「そんなんで見つかるものですか」とミラルはあきれている。
兵士の顔がとれた。レイルだ。
「いたいたいたわ」とミラルは驚いている。一行はレイルを追っかける。通路を曲がるといない。兵士が何人かいる。エルフィールはつねってまわるがその中にはいない。逃げられてしまった。
「宝物庫で張ってみるというのはどうでしょうか」とミラルの提案は受け入れられる。宝物庫で隠れている一同。レイルが来た。
「なんだあっさり見つかるじゃないか」とエルフィール。一同は追っかけるがこれが捕まらない。なんという素早さ。それに誰も着いていけない。これがレイルが捕まらない理由のひとつなのだ。とバルディにつまづいて転ぶレイル。バルディは悪運は強いのだ。エルフィールがレイルをはがいじめにする。変装をやぶるとそれは女王であった。
「どういうことだ」とエルフィールが聞く。
「城の財宝を売って貧乏な人たちを助けていたのです」
兵士たちがやって来る。
「どうしたんだ」
「なんでもない」とエルフィール。兵士たちは歩き去る。
「どうして」と女王。
「私たちは怪盗レイルを捕まえられなかった。だから私たちはお役ごめんさ」とエルフィールたちは立ち去る。
「ありがとう」と女王が一粒の涙を流した。
一行に依頼が来る。女王様に謁見する一同。
「先日はどうもありがとう。ドラゴンを城にほしいと思うのですが。そちらはドラゴンとつてがあるそうですね。どうでしょう。ドラゴンを呼んできてはくれませんか」
一行は街の外に出る。バリュウスが飛んでくる。
「よっみなさんごきげんよう」とバリュウスはいつものノリである。
「というわけだが誰か知らないか」とエルフィールが説明する。
「おう知り合いがいるからさ紹介するぜ。ささ、背中に乗んな」
一行はバリュウスの背に乗る。天空へと飛翔する一同。疾風が流れ雲を追い越して行く。山々がきりたった場所で大きな洞窟へと降りる。ドラゴンが入れる大きさだ。一同は歩いて行く。暗く湿った洞窟の中。一同は精霊の明かりで歩いて行く。奥に黒いドラゴンが寝ている。
「よっガイアス久しぶりじゃねえか」
ガイアスは起き上がるとドラゴンブレスする。バリュウスが体で防ぐ。それでもエルフィールたちにはかなり熱い。
「何故人に味方するバリュウス」とガイアスは怒ったように言う。
「おりゃあよ人に味方するわけじゃあねえ。けれどな城で雇われているドラゴンがいることくらい知っているだろう。おりゃあこいつらの仲間となったんだ。旅の仲間だ。旅をしているといろんなことがあってさ、おれの好奇心は満たされるのさ。おれはこいつらが好きになったんだ。いまは一緒にいることが楽しくて仕方ないんだ。どうだいあんたも一緒に行かないか」
「ふん。話は分かった。人の子よ話を聞こう」
エルフィールが前に出る。ガイアスの足元まで行く。その根性は並大抵のものではない。
「なに私らはガイアス、おまえさんを雇いたいだけなんだ。城に来てその知識と力を発揮してくれればいいんだよ」エルフィールは堂々としたものだ。
「人の子よ。おまえたちを信じる理由がどこにある」
エルフィールは高らかに笑った。
「人なんて信じるもんじゃないさ。ただ利害関係さえあればいいんだよ。私たちはおまえを裏切らない。その証拠がバリュウスの存在さ。ドラゴンが仲間だなんて珍しいことじゃないか。それが私たちを信じる根拠だ。おまえさんをどうこうしたいわけじゃないんだ。ちょっと知識と力を披露してくれればそれで私たちは満足なんだ。どうだ。城に来ないか。すげー腹いっぱいにするぜ」
「かっかっかっ」ガイアスが笑う。
「おまえの名前を聞こうではないか」とガイアス。
「エルフィールさ」
「エルフィールか。確かに覚えた。こんな間近でそこまで話す人間を始めて見た。高く評価しょう。いいだろう。私の知識と力をおまえたちに貸そうじゃないか」
「じゃあ城に来るのが決定だな」とエルフィール。
「違うな。城の人間など知ったことではない。おまえたちを信じておまえたちの力になろうというのだ。城には入らないよ」
「どうしてもだめか」とエルフィール。
「どうしてもだめだな。おまえさんたちしか信用出来ないな」
「そこの女王様もいい奴なんだが仕方ないなあ」とエルフィール。
一行はまたバリュウスの背に乗って天空を旅する。
「城下町に戻って宿で休もうぜ」とエルフィールが後ろのミラルに言う。
「あなたはドラゴンが怖くないのですか」とミラルが聞く。
「ハイヴァールやバリュウスとの出会いが私を変えたのさ」
「そうですか」
「さあ旅に出よう」とエルフィールが笑う。
一行は空を行く。
第二十八話 精霊と歌い踊る。
夜に草原でたき火をしている一行。食材が並ぶ夕食時である。
「神様に感謝していただきましょう」とハイベル。
「私はどこから来てどこへ行くのでしょう」とミラル。
「そんなの一生探すことだろうさ」とエルフィール。
「そんなの面倒くさいのよ。心の革命が起きて一発で解決したいのに」とミラルは投げやりに言う。
「人生なんてやりきれないことの繰り返しで面倒くさいものだろう」とエルフィールは笑う。
「あーもう。エルフィールに話すといつも吹っきれた感じになっちゃうんだから。もっとうだうだと悩みたいのに。なんで私だけうまくいかないの」
「誰だって私だけはうまくいかないと思うものさ。もっと心は自由でいいのさ」とエルフィール。
「でも自由というのはお金もちになったり大勢をしめたりしないものですよ」とミラル。
「それでも自由が一番さ」とエルフィール。
「自分がなにか知らないということを知ることが知識です。はるかな知識の高みから見える景色は絶景ですよ」とミラル。
「旅をしていればそれで絶景は楽しめらあさ」とエルフィールは笑う。
「あんたは馬鹿だなあ人間としてのクオリティが低いのよ」とミラル。
「ミラル。そんなことを言うことではありませんよ。人にはその人なりの成長というものがあるものです」とフィルがたしなめる。
「けれどもけれどもエルフィールは狂ってると思うのです」
エルフィールが笑う。
「はっはっはっ。魔法使いは世界の秩序であり常に正しくあるさ。けれども人はどこか狂ってるものさ。そういうの仲間とかが救ってるところじゃないか。人間だもの。間違っていいんだ。生きるってどれだけ人のこと自分のこと許せるかということだろう」
「あんたって時々すごいと思うわ」とミラルが舌を巻く。
「どこか狂っている人は戦争で殺しあい滅びればいいんですわ」とキャルが毒を吐く。
「そうではなく人は助け合うのがいいですよ」とミラル。
ハイベルが手をあわせる。
「人は生きている時間だけ罪を背負っていきます。祈る時間は罪を許されます。どんな狂った人でも神様は許して見守っています。祈るだけで神様は誰でも救ってくださいます」とハイベル。
「人は気持ちの生き物です。半分は理屈ですけど半分は気持ちで動いているんですよ」とキャル。
「気持ちが増えるとしがらみも増えていくわね」とミラル。
「もっと自由でいいんだよ」
「でも自由に生きるということは孤独になったりするものですよ」
「心の中だけは自由でもいいと思うのです。私も何度あの人を心の中で殺したことか」とフィル。
「フィル最強伝説開幕」とエルフィール。
「納得よ」とミラル。
「その人の好きなこと嫌なことに気づいてあげて、それとなく配慮すること。それがその人の助けとなります」とフィル。
「私に出来るかしら」とミラルは心配してる。
「悩むな悩むな」とエルフィール。
「魔法使いは考えるのが仕事よ」
「私は考えない。感じた感覚のままに生きるのさ」とエルフィールは笑う。
「考えなければ悩みもないというの」とミラル。
「一度しかない人生。楽しまなくちゃ損しちゃう。私にとって生きるとはどう人生を面白くするかの試行錯誤なのさ。どれだけ面白い人生になるか毎日が勝負なのさ。いま出会ったことを楽しんだら私の勝ち。悲しんだら私の負けさ。だからミラルが死んだからって悲しまないぜ」
「あきれた人ねあなたは。エルフィールらしいけれどもね。私は人生の探求において悩みもあるわ。どうにかなるかしら」
「私はなんにもしない。ミラルを信じてるから」
「本当かしら。都合のいい時だけ信じるんだから」
風の方向が変わる。
「私時々死にたいのよ」とミラルが言う。
「どうしたんだいったい」とエルフィールが聞く。
「私一人いなくなっても世界はなにも変わらない。死んでもいいと思うのよ」なんとなくそう言うミラル。
「おまえが死んだら誰が私をたしなめてくれるのさ」とエルフィールは笑う。
「人生をあきらめないでください」とアルス。
「神様は生きることをお望みです」とハイベル。
「私と友達になる」とキャル。
「限界なんだものヒヨるのも仕方ないさ」とエルフィール。
「あなたらしからぬ言葉ね」とミラルがびっくりする。
「魔法使いは体力が一番ないからな。今日の進軍で一番応えただろうさ」とエルフィールは笑う。
「気づかいありがとう」とミラルは感謝する。
「死にたい時でもなお幸福になりましょう」とキャル。
「死にたいという時は決まって限界の時さ。言ってくれれば休憩にするよ」とジョルディー。
「私はもっと歩きたいけどな」とエルフィール。
「あきれた頑固者ね。自分が頑固だと思わない人は柔軟な発想は出来ないわよ」とミラルが注意する。
「自分も誰も彼もそういう人間だとあきらめているのさ」とエルフィール。
「そんな変わらなければいけません」とミラル。
「その人の存在を許すということが一番でなければいけません」とフィル。渋々うなずくミラル。
「まあ気楽に行こうぜ」
「エルフィールには元気づけられてばかりね。あなたがいなかったらここまで頑張れなかったわ」
「なんてことないさ」とエルフィール。
「限界の時は寝込むといいですよ。ハイベルに背負ってもらっても構いません」とフィル。
「分かりました。こんなに休んでばかりでみんなに捨てられちゃうわ」とミラル。
「取り越し苦労さ」とエルフィールが笑った。
「そういう存在なのさ」とジョルディー。
「そういう人生なのさ」とエルフィール。
「そうね」とミラルもうなずく。
「あなたほどの嫌われ者でも生きてるんだものね」とミラル。それはミラルの皮肉でもあったがもちろん聞くエルフィールではない。
「嫌われ者世にはばかるさ」とエルフィールは笑う。
「頑張った人が報われるとは限らないわ」とミラル。
「だから仲間内で仲間に報いるんじゃないか」とエルフィール。
「納得よ」とミラルもうなずく。
「人間なんて気持ちの生き物じゃないか。なにを悩むことがある」とエルフィールは笑う。
「それはあなただからです」とミラル。
「寂しくあるんですね」とフィル。
「そうです。仲間といる時もこの感情があるのです。どうしたらいいでしょうか」とミラル。
「神様とはいつでもお話出来ますよ」とハイベル。
「私なんか人形劇のキャラといつも頭の中で話してるから寂しくないけどなあ。アドバイスとかたくさんしてくれるんだぜ」とエルフィール。
「変わった趣味ねえ」とミラル。
「おれなんかこれさ」とジョルディーが酒の小さな樽を見せる。
「酔ってるなあ」とエルフィール。
「貯金なくすべて飲んでしまうんだ」とジョルディー。
「貯金なくちゃいけないでしょう」とミラル。
「貯金なら私もないぞ」とエルフィール。
「だめだ。だめ人間の集まりね」と嘆くミラル。
「あっしの貯金はすごいですぜ。げへへへへ」と醜悪な顔で笑うバルディ。
「あんたはちょっと問題あるわ。仲間に還元しなさい」とミラルが注意する。
「げへへへへ。金は貯金すればするほど気持ちがいいんでげさあ。やめられない止められない。金を数える時のあの感動ったらねえでげすよ」
「だめねこれはもう」とミラルはため息である。
疾風が舞う。風が一行のほほをなでた。それは夜風。
「魔法の話でよろしいかな」とアドルテア。
「世界の秩序と天秤についてですね」とミラルとアドルテアは魔法の探求を始める。
ダミエールが演奏する。
エルフィールの心が躍りだす。もう止まっていられない。
エルフィールが踊りだした。キャルも踊る。
「幾億の歌があっただろう。幾億の踊りがあっただろう。いま歌い踊るよ」とダミエールが歌う。
精霊もエルフィールと踊る。
それは幻想のひととき。
次の日依頼を受ける一行。
「月の夜に舞う子供がいるという話です」とミラル。
「ライカンフィルじゃないだろうな」とエルフィール。
「それを確かめてくるのが依頼です」
「よし行くか。一度しかない人生エンジョイしょうぜ」 とエルフィールは意気揚々だ。
「あなたはもっと悩んだほうがいいですよまったくねえ」
一行は月の子供が夜に出るという村まで行く。夜になるのを待つ。
「ここで待ってたら来るんじゃねえ」とエルフィール。
「もっと臨機応変に試行錯誤してくださいエルフィール」とミラルが注意する。
「うるさい。私のやりたいようにやるんだ」
そこでしばらく待つ一行。月に動く影ひとつ。子供が歩いて来る。男の子のようでもあり女の子のようでもある。
「村の子か」とエルフィールが聞く。
「違うよ」と子供。
「おまえが月の子供か正体をあらわせ」とエルフィールがつかまえる。子供はするりとエルフィールの手を抜ける。空へと飛んでいる子供。
「あはははは。友達になろうよ」と子供が笑う。
「降りて来い卑怯だぞ」とエルフィールが叫ぶ。
「なら君たちが来なよ」と子供は笑う。
エルフィールたちの足がつかない。空へと飛ぶエルフィールたち。一行は夜空を飛ぶ。月に照らされた雲の上を子供と一緒に飛んで行く。どんどん大地が遠くなる。ついに星は丸くなり月の大地まで来てしまう。月の大地には建物が幾つもある。ちょっとした月旅行である。
「きっと一緒になれる時が来るよ」と子供は笑う。
「なんだこりゃ」エルフィールは仰天している。
一行は月を旅してそれから帰って来る。元の場所だ。地に足は着いたが心の地の足が着かない。
「それじゃあね」と子供は空に消える。
「いまの夢かしら」
「いててっ」ミラルがエルフィールのほほをつねる。
「本当だ」とミラル。
「自分のほほつねれよ」とエルフィールが愚痴る。
「月の町並みの美しくあること。これは月旅行よ」とミラルが感激している。
「たいへんなことですね」とフィルも熱気冷めやらぬ感じである。
ダミエールが一曲弾く。それは月旅行を曲にしたものであった。一行は夜を語り明かした。次の日ことの顛末を伝えてまた旅に出る。 一行はバリュウスと合流する。
「おりゃあ月旅行くらいしてるぜ」とバリュウス。
「なら言えよ」とエルフィールが聞く。
「人が聞かないことにはドラゴンは答えないだけなんだ」
「使えない奴だなあ」とエルフィールは憤慨している。
エルフィールが手を叩く。
「よしこれから月旅行に行こう」
一行はバリュウスの背に乗って飛ぶ。月までひとっ飛びである。月の町並みが見える。それは荘厳だ。
「やあ久しぶり」と月の子供も空を飛んでいる。
「元気だったか」とエルフィール。
「もちろんだよ。そっちはどうだい」
「よろしくやってるよ」とエルフィールと子供は笑いあっている。
しばらく談笑する二人。一行はそれから別れを告げて元の大地に戻る。バリュウスと別れて街を歩く一行。
子供を抱えておろおろする母親がいる。
「どうしたんだ」とエルフィール。
「医者にかかるお金がないんです」
「ミラル貯金があるだろう。私はいつも使ってしまうから金がないんだ」
「これだってもしもの時のための切り札なんですよ」
「じゃあ私に貸してくれ。次の依頼で返すから」
ミラルは笑う。
「仕方ないですね」とお金を貸してくれるミラル。
「これ気持ちだ」とエルフィール。
「なんとお礼していいことか」
「なに犬にかまれたと思ってくれればいいんだ」
「意味違うから」とミラルの突っ込み。ミラルは笑顔だ。
「ちょっとあなたを見直したわエルフィール」とミラルは笑った。
一行は街を出て草原を歩く。どれだけ歩いただろうか。
ドラゴンの石造が数百ある。なかなかに美しくある光景。その元に女性が一人立っている。
「どうしたんだ」とエルフィールが聞く。
「私はアデュリーンと言います。この石造は魔法使いに呪いをかけられたドラゴンたちなのです。いま魔法で解放しょうとしてるのですが呪いを解く魔法が足りないのです。手を出してください」とアデュリーン。その上に手をのせるエルフィール。
「いいのか数百のドラゴンを解放することになるぞ」と珍しくジョルディーが意見する。
「満足のいく人生を送りたいんだよ。いまこれがやりたい」
ジョルディーも手をのせる。ドラゴンたちの雄叫び。石造から生きたドラゴンへとどんどん姿を変えるドラゴンたち。
数十数百のドラゴンが空へと飛び立つ。一匹のドラゴンが一行の前に来る。バリュウスが一行の前に立つ。戦闘を警戒している。
「おいらの仲間になんか用か」とバリュウス。
「敵意はない」ドラゴンにはなにかルールがあるのか。バリュウスがどく。
「そなた名はなんというのかな」とドラゴン。
「アデュリーン」
「覚えた。私が代表して感謝しょう。ありがとう人の子よ。信念に死ぬことになんの恥があるだろう。私たち数百のドラゴンは汝らの力となろう。好きに使うがいい」
そう言って飛んで行くドラゴン。
「よかったなアデュリーン」
「世界は出会いが作る物語です。この出会いがまた新たな物語となることでしょう」とフィル。
「嬉しくて嬉しくて」と涙がとめどなくあふれるアデュリーンである。
一行は道を行く。山の村に入る一行。
「なんて活気のない村でしょう」とミラル。
「なんか薄気味悪いなあ。なんかあるのか」とエルフィールが毒づく。
「なにもありません」と村人。
「老人の姿を見ませんね」とミラル。
「老人はこの村では捨てられるんです」
「あなたは」とミラル。
「私は村の嫌われ者ヨートンと言います。ぬし様のとこ連れていかれたりね」
「なんてことだ。自分も老人になったらこうなるんだぞ。それでもいいのか」とエルフィールが吠える。
「だってだってどうしていいか分からなくて、みんなそうしてるしそれはタブーなんだよ。触れてはならない話なんだ」と村人は泣く。
「この意気地なし」エルフィールはそう言うと家に入って老婆を背負う。
「グランドスラムの女王様のとこに行こう」そう言うエルフィールの後に続く一行。みんな老婆を背負っている。
滝のとこに行くとでかいオオサンショウウオのようなものが出る。
「おまえさんがぬし様か。ちょっと話があるんだよおいこら」とエルフィールが抜刀する。
殴り殺すエルフィール。水しぶきが舞った。
老婆は女王様が引き受けてくれた。
「ありがとうみなさん」老婆たちは涙した。
村のこともなんとかしてみようという女王様の言葉であった。
一晩グランドスラムで休む。次の日一行は街を歩く。
街の子供が見えないなにかを引っ張っている。
「どれ私に貸してみろ」とエルフィールが引っ張るが動かない。
ハイベルも加わる。見えないひもが動く。空の上のほうで鐘が鳴った。見えない天空のほうで。
「天国の鐘ですね」とフィル。
鐘の音を聞いた街の人々はその時だけ幸福になった。
空を見ると天使が舞っている。
「空に響け天国へ響け」とエルフィールは笑った。
エルフィールの背には人々の笑顔があった。
「城にドラゴン探しの件。一匹紹介するぜ」とバリュウスの背に乗り一行は空を行く。ある草原に下りる。ドラゴンが一匹いる。
「よっライアー久しぶり」とバリュウスが呼びかける。
まったく動かないライアー。ライアーには人の持つ程度の剣がささってる。
「この剣の呪いによって動けないのだ。どうだ勇者よ抜いてはもらえないかな」とライアー。
「いいぜ」とエルフィールが抜くと簡単に抜ける。
「ふははははは。この呪いをかけた人間とドワーフとエルフとゴブリンをすべて滅ぼしてくれるわ」とライアーが悪い感じで笑う。
「そうはさせるかよ」とエルフィールたちが構える。
ライアーが殴る。その爪をバリュウスが防ぐ。エルフィールがライアーの爪を砕く。剣が砕けた。アルスが予備を投げる。ライアーがバリュウスをフルボッコに殴る。さらに噛み付くライアー。悲鳴を上げるバリュウス。
「ヤバイは。強いぞこいつ」とバリュウスが倒れる。バリュウスは倒れて動かない。
一行の前に口火の燃えるドラゴン。
「最悪ね」とミラル。
「逃げるならいまのうちだぜ」とエルフィール。
「どこへよ」とミラルがやりかえす。
「終わりだ人の子よ」とライアーが口火を吐く。
ガイアスが飛んでくる。エルフィールたちの前に着地する。ブレスを防ぐガイアス。
「ガイアス」とエルフィールが笑顔である。
「どうした人の子よ。私の力いつでも貸すと約束したではないか」
ガイアスとよつに組むライアー。
二匹のドラゴンのブレスが交差する。ハイベルがライアーのしっぽを切る。ジョルディーの一撃が牙を砕く。エルフィールの攻撃が爪砕く。ミラルとアドルテアの魔法が目をつぶす。ガイアスのしっぽアタックでライアーは倒れる。ガイアスが殴り殺す。ライアーは死んだ。
「息してないな」とぜーぜー息を吐きながらエルフィールが剣をしまう。
「大丈夫ですかバリュウス」とミラルが聞く。
「なにドラゴンは寝てれば治るものなのさ。ここで休んで行くから先に行ってくれ」
一行はガイアスの背に乗って空を行く。
「空の軌跡だななんだろうな」空を見るエルフィール。
飛行機雲のようなものが一本空にある。それは両方どこまでも続いているのだ。
「ガイアスこの線に沿って飛んでくれ」とエルフィール。
一行はガイアスで空を行く。しばらく行くがなにもない。
「こっちでいいのかなあ逆かなあ」とエルフィール。
一向になにも見えてこない。
「こちらの線は空が青です」とミラル。
「こちらの線は空が夕日ですね」とフィル。
「そういうことか夕日と青空の空の境界線か」とエルフィールたちは納得する。
空を行くガイアス。
「まだ旅がしたい。まだ見てない世界があるんだ」とエルフィール。
「あなたらしいわエルフィール」とミラルは笑った。
一行は空を行く。
第二十九話 天使天空に舞うそれは風のように。
「それ」
エルフィールは弓で鹿を狩る。
一行の夕食に十分なだけ狩れる。一行は普段は野宿で狩りで生活している。街で宿屋に泊まるのはぜいたくなことなのだ。
「んまんま」とエルフィール。
「分かった。分かったのよ。ことの本質が分かったわ」とミラルが騒ぐ。
「私は難しいことは分からない。言葉で考えるんじゃなくて感覚とか感性で感じるんだよ」とエルフィールは聞いてくれない。アドルテアと議論するミラル。
一行は食事を終える。
「なんか満足しないなあ。なんかほしいなあ」とエルフィールは投げやりだ。
「なにがほしいの」とミラルが聞く。
「すべてがほしい」
「ほしいほしいって誰だってほしいものはほしいのよ」とミラルがたしなめる。
「なにがほしいのか。それは心かも知れません。おいしさ面白さその向こうにはおいしくしょうとする心面白くしょうとする心があります。みんな心がほしいのかも知れません。だから恋人がほしいのではないでしょうか」とフィル。
「心は確かにほしいねえ。さすがに心ある人の言葉は違うねえ」とエルフィールが感心する。
「心が手に入らなかった人は死んだり暴力ふるったりします」とミラル。
「心不足か」とジョルディー。
「忘れないでください。誰にでも心がひとつあるのですよ。心を分けあえばなんとか生きていけます」とフィル。
「神様はすべての人に心をあたえました。神様の心を分けてくだすったのです。祈れば心を得ることが出来ます。祈ればさびしくありません」とハイベル。
「祈っても心を手に入れられません」とミラル。
「祈りにより心も成長します。その時がくれば心はあたえられます」とハイベル。
「人生とは楽しく心を得る試行錯誤なのかも知れません」とミラル。
「心は気づかせてあげないと見失ってしまうものです。心をわけあい心の花を咲かせましょう」とフィル。
「ここ試験に出るぞ」とエルフィール。
「どこのテストじゃい」とミラルがつっこむ。
「祈れば心の花が咲きます」とハイベル。
「心がさむい。心をくれ」とエルフィールがミラルを抱きしめる。
「はいはい。人なつっこいわねあなたは」
「ダリル様は私が泣いてる時はいつでも抱きしめてくれた。ありがとうミラル。心もあたたかいよ」
「いい家庭に育ったのですね」とミラル。
「母さんはいつも鍋にシチューを作っておいてくれた。腹をすかしたことがなかったんだ」
「人は愛情が作り出す魔法ですね」とミラル。
「心があたたまるまでよかった探しをするというのはどうですか」 とフィル。
「今日も食事が出来て良かった」とハイベル。
「今日も酒が飲めて良かった」とジョルディー。
「今日もミラルの愚痴聞けて良かった」とエルフィール。
「今日もエルフィールの悪顔見れて良かった」とミラル。
「今日もミラルのどあほう良かった」
「今日もエルフィールの馬鹿が良かった」と言いあう二人。延々とそれは続く。息がきれてくる二人。最後の一言の力をふりしぼり。
「ミラルと出会って良かった」とエルフィール。
「エルフィールと出会えて良かった」とミラル。
笑う二人。肩を組んで歌を歌う。
「さっぱり分からない」とキャル。
「なに、いつものことさ」とジョルディーは笑う。
「なにが起きたのですか」とキャル。
「これが友情というものさ」とジョルディー。
「お姉さま。変わっていますね。そこがまたいいんですけれどもね」
「言葉はいらない」とダミエールは曲を弾いている。
時間がゆっくりと過ぎていく。
「あれやっといてくれミラルあれだよあれ」とエルフィール。ミラルが首をかしげる。まわりを見るミラル。
「これは誰が悪いのか分かるわよねジョルディー」とミラル。
「いつものことさ」とジョルディーは笑っている。
「水あびでもしてくるか」とエルフィール。
一同はそれぞれ過ごす。エルフィールが裸で歩いて来る。
「それが女の子のすることか」とミラル。
「胸の豊かさの秘密さ」とエルフィール。
「みんなもなにか言いなさいよ」とミラル。
「エルフィールのすることだからな」とジョルディーは笑う。
「生まれたままの姿はなにも汚れてなどいません」とハイベル。ミラルは頭を抱える。ある意味ここの連中は人が出来ているので気にしないのだ。
「これではいけない。教育に良くありません。魔法でなんとかするか」
魔法が失敗してミラルは黒こげになる。
「けほっけほっ。いててなんだこりゃあ」
「魔法は諸刃の剣ですよ」とアドルテア。
「黙ってください」とミラルは座る。
「旅をしていればいいことがたくさんある」とエルフィールは服を着る。
「悪いこともあるわ」とミラル。
「悪いことは忘れてしまう」とエルフィールは笑った。
「この単細胞が」
「一回しかない人生楽しめ」とエルフィールはさらに笑った。
「しょうのないだめ人間ね」とミラルが嘆く。
「どんなだめな奴でも好きだ。だから自分のことも大好きさ」とエルフィールは笑った。
「間違ってもいいなんてエルフィールさんは厳しさが足りません。間違ったら必ず罰をあたえなければいけません」とアルス。
「罪と罰は有り得ます。けれども懺悔する者を神は許します」とハイベル。
「そんな人生苦しくて仕方ないぜ」とエルフィールが笑う。
「人生は苦しくあるべきです。どれだけ苦労するかです。一番大事なのは人としての品格です」
「品格よりもその人が存在することが一番なんじゃないかしら」とフィル。
「でもでもエルフィールさんのお気楽な生き方が許せない。品格のなさが大嫌いなんです」とアルス。
「嫌いな人とも仲間ならば助け合っていかなくてはいけませんよ。品格とは苦労の形。みんな苦労しています。苦労は比較できないものです。みんな言わないだけですよ」とフィル。
「そうですね。みんな苦労している」とフィルには納得するアルスである。それだけ評価している人なのだ。いや、この中でフィルはもっとも評価されていた。
「さみしいな」とミラル。
「声をかけあっていきましょう」とフィル。
「私がいるわよ」とキャル。
「ありがとうキャル」とミラル。
「心を充填させよう」とバルディ。
ーー嫌いじゃないから好きだというそれだけの気持ち。それだけの気持ちなんだ。とミラルは思う。
「ジョルディー踊ろうぜ」とエルフィールが誘う。
二人で踊る。ダミエールの曲が鳴り響いた。
「魔法の話でいいかな」とアドルテア。うなずくミラル。魔法談義が始まる。夜がふけていく。
次の日一行は歩く。
「急ぐ時ほど遠回りしょうぜ」とエルフィール。
「馬鹿言ってんじゃないわこの娘は」とミラル。
「最善をつくそう」とエルフィール。
「そうね。ベストをつくしましょう」とミラル。
「こんにちわ」
どこからか声がする。一行は旅をしているが昼の途中で呼び止められたのだ。だが平原が続くばかりでどこにも人影はない。
「どこにいるんだ」とエルフィールが聞く。
「ここだよここ」
声は下からする。そこには腕輪がひとつある。ひろうエルフィール。
「声はここからだな。誰だあんた」
「私は風です」
「風だって」一行は驚きお互いの顔を見る。
「あらゆる風の始まる場所がここなのです」と腕輪。
「そんなものがあるんだなあ」とエルフィールは腕輪を持っていく。
「持っていくのかよ」とミラル。
「もらえるものはなんでももらうぜ」とエルフィールは笑う。
「うげっ」とエルフィールが吹っ飛ばされる。
「なんだこりゃ」
後ろから天使がぶつかってきたのだ。
「およよよよ。私は天使のメルフィルだ。どうも上手く飛べなくてねえ。あんたら力になれ。これも神の意思よ」
「なんだってんだこいつは寝言は寝て言えよ」とエルフィールは毒づいている。
「飛べなくなった天使が助けを求めているということね」とミラル。
「バリュウス」とエルフィールの一言にバリュウスが立つ。
「きゃああああああ」天使を空高くまで飛ばすとそこから落とす。ひらひらと花びらのように飛ぶ天使。ゆっくりと降りて来る天使。
「もうちょっと楽な方法がいいな私」と天使のメルフィル。
「その丘から飛ぶのはどうだい」とエルフィール。飛ぶがやはり落ちる。
「いててててうまくいかないじゃないの」と天使が悪態をつく。
「見捨てよう」とエルフィールにうなずくミラル。
「うそだよーんあははははは」と天使が笑う。
「翼がからまってるわ」とフィルがたんねんにほどく。
天使はかろやかに空を飛ぶ。その姿はまるで鳥のようだ。
「こうでなくちゃね」と天使は戻ってくる。
「あなたたちには感謝しているわ。神の祝福がありますように。それじゃね」と天使メルフィルは飛び去る。
「さよならメルフィル。それじゃ後追っかけようぜ。どうせひまだし」とエルフィール。
「そうですねえ」と一同同意見である。バリュウスを呼び飛んで天使メルフィルを追いかける。
空を行く天使とドラゴン一行。どれくらい雲を大地を追い越しただろうか。空に巨大な扉があらわれる。鍵穴に入るメルフィル。
「入ろうぜ」とエルフィール。鍵穴に入るドラゴンと一行。中は広大な天空が続いている。そこに幾万の天使とドラゴンが飛んでいる。
メルフィルが来る。
「あらららら着いてきちゃったの。ここはドラゴンたちと神々のサロンのようなものなのよ。人やエルフは入っちゃだめなのよ。ごめんなさいね」
一行はメルフィルに別れを告げるとサロンから出る。空の旅を続ける一行の前に虹があらわれる。それは巨大でこの星をぐるりと巡る土星の輪のような虹だ。
「なんだこの虹は」とエルフィール。横にメルフィルがいる。
「この星の車輪よ。これを天使が交代で回してこの星が回っているのよ」
「へーそんなことがあったのか」とエルフィールたちは関心している。
一行はしばらくメルフィルと話してそれからまた飛ぶ。
「ちょっとちょっと」空のど真ん中で呼び止められる。ドラゴンの上の一行が見回すが誰もいない。
「姿を見せろ」とエルフィール。
「目の前にいるじゃないか」目の前には雲。
「雲か」とエルフィールはなにごとかと見る。
「あっちの雲のことが好きなんだけど聞いてきてくれない」
「雲のぱしりかよ」とエルフィールはぐだぐだだ。
「まあまあいいじゃないですか」とミラル。
向こうの雲に聞くと向こうの雲も好きとのことである。
「それは良かった向こうに吹いてくれないか」
バリュウスは羽ばたく。すると雲と雲はくっつく先から雨となっていく。
「ありがとう」と雨粒は言う。虹が生まれた。エルフィールは気分がなんだか良かった。
グランドスラムの街に戻る一行。一行それぞれ過ごす。エルフィールは少年とぶつかる。金をすった。それはすぐに分かった。つかまえてのしてやる。
「このグランドスラムは学校に行けるそうじゃないか。なんでこんなことするんだ」とエルフィールがしめあげる。
「みんなおまえとは口聞いてやらないよって言うんだ。くやしいだろうって。くやしいよ。それで誰も口を聞いてくれないんだ。ずっと無視されてきたんだ。こんな自分が嫌い。友達が嫌い。みんな嫌い」と少年は泣きじゃくる。
「生きるって苦労することなのよ」とミラルがしみじみ言う。
「生きるって差別されることなのさ」とエルフィール。
「子供にそんな話を」とミラルがいなす。
「本当のことさ。子供にも早い話じゃない。もう差別されてるんだからさ。仕事で差別される。人間関係で差別される。そう生きるって差別の連続なのさ。それでさ嫌な大人になっちまう奴もいる。ひねくれちゃう奴もいるのさ。私もいい感じにひねくれたよ。おまえは人生これからだ。まだ伸びるからさ。成長しろ。人を好きになれ。自分を好きになれ。それが幸福になるってことさ」
「生きるということは差別のような倫理観に触れることをすることなのです。人に迷惑をかけないと人は生きていけない。その矛盾が心の痛みとなります」とフィル。
「差別などしなければならない罪深き存在である人間。祈れば神様はどんな罪も許してくださいます。祈りは心のケアをしてくれるのです」とハイベル。
「癒さないで悲しんでいたいんだ。なんにも出来ない自分が憎い」
「無力な自分を許してやれよ。十分頑張っているよ」とエルフィール。
エルフィールが街行く中年おやじになにか言う。驚いて逃げて行く。
「いまのがつっこみだ。つっこみは人生の楽しみだ。一生懸命働いてるんだからつっこんであげようということなのさ」とエルフィール。
「変なこと教えないでください」とミラルが注意する。
「つぶれかけているのがちょうどいい人生なのさ。つぶれそうでつぶれないそのきわどいなか生きていくもんなのさ。人生てそんなもんさ」とエルフィール。
突然泣き出す少年。
「どん底でこそ笑え」とエルフィールがひっぱたく。それはじんじんいたかった。
「あっはっはっはっはっ」少年は泣きながら笑った。そしてまた泣いた。
何日か一緒に過ごす。エルフィールたちの生き方を学び少年は一回りも二回りも成長を見せる。魔法の才能をミラルが見出しグランドスラムの魔法学院に入ることになった。ここは全寮制である。
「エルフィール姉ちゃんが好きだ。離れたくない」
「剣を持て」とエルフィール。
「魔法使いになにさせるの」とミラル。
「きっとこっちのほうがおもしろいわよ」とエルフィールは笑う。
体力の限り打ち合うエルフィールと少年。少年は倒れた。
「それがいまのおまえの限界だ。いまの自分を越えろ。そしたら仲間に入れてやる。それじゃな」
「約束だよ」と少年。
「約束だ」とエルフィール。
少年を魔法学院に渡して歩く。
「これで良かったのかな」とエルフィール。
「珍しく迷っているわねエルフィール。そうね。ベストをつくした。それがすべてなんじゃないかしら」とミラルが笑った。
「あなたがまたちょっと謎に感じたわ」とミラル。
「なに私の人間の底はこんなもんじゃないぜ」と豪快にエルフィールは笑った。
一行は旅をする。
「なんだこりゃ」とエルフィール。
螺旋に枝が生えた木が空の向こう雲の先まで伸びている。
「行ってみようぜ」とエルフィールが歩く。
一行は木をのぼる。どれだけ歩いたことだろう。雲の上には木が床のようになっている。そこでテープルがありイスに座ってお茶している天使がいる。メルフィルではない。
「なにしてるんだ。これはなんだい」とエルフィールが聞く。
「私は天使。ここの木の上でお茶していたらこの木がこんなふうに生長しちゃったのよ」
「ふーんそんなもんかね」とエルフィール。
「あなたたちもどうですか」とお茶をご馳走になる一行。
なごやかに時間が過ぎていく。
一行は天使と別れて道を行く。なにかひもみたいなものが道にある。それを辿るとメルフィルがいる。そのひもはメルフィルの尻につながっている。
「これは天使の病気のひとつで天使のしっぽ病なのよ」とメルフィル。
「そんなことがあるんだ」とミラルはメモしている。
「直すにはひっこ抜くのよ引っ張って」とメルフィル。一行は全員で引っ張る引っ張る引っ張る。抜けるしっぽ。
メルフィルは吹っ飛んで行く。「ありがとうね」空の彼方に消えていくメルフィル。
「良かったな」とエルフィールは笑顔だ。
街に戻ると依頼がある。遺跡探索である。遺跡に行くと学者たちがいる。
「もう遺跡探索はされてるのか」とエルフィールが驚く。
「なんのために冒険者が必要なのですか」とミラル。
「これです」と連れられてある部屋に入るとそこにはでかい卵がある。部屋にいっぱいいっぱいのひとつの卵。
「これは興味深い」とバルディが見てまわる。
「あんたは誰だい」とエルフィールが卵に聞く。それにミラルが驚き卵から答えがあることに二度びっくりした。
「私は願い人。あなたに希望する者。あなたがいまここにあるのは神のおかげなのです」
卵はそう言う。
「なんでそこにいるんだ出てこいよ」とエルフィール。
「私には資格がないのです」と卵。話がかみあうことに驚くミラル。 「話せよ」とエルフィール。
「それは何千年前になるでしょうか」
「希望しなさい」と天使が言う。
「分かりました」と夫婦は答える。
「私は畑を見守り畑に実は実った。けれども夫婦は争いに戦によって命を落とした。私にはなにも出来なかった。私はどうすれば良かったのか悩み苦しみ悲しみに暮れた私は卵となってしまったのです。願う命。奪わないでその命」
「あんたのせいじゃないさ」とエルフィール。
「私はどうしたら良かったのでしょうか」
誰も黙ってしまう。エルフィールが一人答えた。
「一曲歌うぜ。「
リネイション
」
心に寄り添う布まといて千年の願いいまひるがえるそよ風の色彩。刹那。
静かな湖面に波紋。卵がかえる。卵の殻は翼となりそれはまとう翼。ひるがえる翼。ふくよかな翼。裸に布がまきつく。天使が生まれた。
「なんてなつかしいことでしょう。涙もすっかりと晴れたようですよ」
「あんたはやさしい奴さ。人々の苦しみに泣いてくれた。それがベストをつくしたということさ。それでいいのさ」とエルフィールは言う。
ーーああなんてことでしょう。誰も気づかないと思っていたこと。それに思い至るとは。なんてなんて人なのでしょう。
「こんな人もいるのですね。びっくりしました。いいでしょう。いつでも私を呼びなさい。あなたたちの力となることでしょう」
天使は消えていく。
「あなたの歌好きが生きた。ずっと気になっていたんです。あなたは何者ですか」とミラルが聞く。
「私はエルフィール。それ以外の何者でもないさ」とエルフィールは笑った。
一行は旅をする。するとメルフィルが飛んで来る。
「よう元気か」とエルフィールが聞く。
「元気元気。今日はあなたたちに天命を与えに来たのよ。たまに天使候補を探してるんだけれどもあなたたちには天使になってもらうわよ。天命だから拒否出来ないわよ」
「えーそう」とそれぞれが輪っかと翼をつける一行。
「まずは空を飛びます」とメルフィルの後をよろよろと飛んでいく一行。
「はい速度上げて」とメルフィル。誰も着いていけない。
「ひょえー無理無理無理だよこれは」とエルフィールは飛んでいく。
一行は止まる。息がぜいぜいとしている。
「はい天命を受ける時は輪っか回します」誰も回せない。
「この馬鹿馬鹿馬鹿ばかあ」とメルフィルが怒りだす。
「落第よだめよ天使はこんなもんじゃないのよ全員失格」
一行はメルフィルから解放される。
「やれやれ」とエルフィールがため息つく。
街に戻った一行は依頼を受ける。魔法使いがほうき持っている。
「これは魔法のほうきです。どれくらい安全か試してください」
「行こうぜ」とエルフィールとミラルとジョルディーが飛び出す。
空を魔法のほうきで行く。
「棒をかじとして方向を変えます」魔法使いの言う通りに方向を変えることが出来る。
魔法のほうきで飛ぶエルフィールたち。
「最高速度を試してください」
エルフィールたちは最高速度で空を行く。すさまじい速さである。とほうきが分解していく。もうかじもきかない。エルフィールはジョルディーのほうきに飛び移る。それも分解していく。
「バリュウス助けてくれ」とエルフィール。三人はなんとかバリュウスに乗る。戻ってくると魔法使いが報酬をくれた。
「すまなかった」
「ちなみにこの魔法のほうきいくらするんだい」とエルフィール。それは一行の三十年分の依頼料であった。
「ドラゴン探しの話な一匹いたよ」とバリュウス。
「この前みたいな凶暴な奴は困るぜ」とエルフィールが苦言をていす。
「今度の奴は大丈夫だよ。温和な奴だからさ。封印もされてない」
一行はバリュウスの背に乗って空を行く。山々を越えて行くとドラゴンが一匹いる。降りる一行。
「私はサイドラという。速さを極めることに熱中しているんだ。私に勝ったら城のドラゴンになろう」
「よーしやろうぜ」エルフィールたちはバリュウスで空を行く。サイドラもかなりの速さだ。
「馬力だせ」とエルフィールはバリュウスを蹴る。
「姉さん限界でやすよ」
「いいからいけー」
ゴールの山に向かって一直線。いい勝負である。バリュウスが勝つ。一行は降りて話をする。
「さあ約束だ城のドラゴンになってもらおう」とエルフィール。
「私はまだ未熟だ。もっと速くなりたい城のドラゴンにはならず速さを追求するよ」
「そんなあ」
一行はまたバリュウスの背に乗って空を行く。
「まだ旅がしたいんだ」とエルフィールは笑った。ミラルはそれを見てさらに笑った。一行は空を行く。
なかがき。
この作品をテーブルトーク仲間特に平山さんにささげます。
展開のアイディアもいくつかいただきました。
月に二度目にいくのなどがそうです。
実は生きるのに大変苦労しています。
しかしまあ人の苦労など誰でもすることですし比べることの出来ないものです。
私は助けてもらえているので十分に幸福です。
ひょんなことから尊敬の目を集めています。
自分をどう見ても普通の人なのですが。
そんな先生という名に恥じない人生の道であればと思うのです。
いいものはいい。これからもいいものを提供できればと思います。
それではまた。
第三十話 ゴブリンと小鳥が風に舞うとき。
一行が夜に野宿している。
それぞれがそれぞれ休んでいる。
「人は誰かを憎み愛さないと生きていけないものだ」とらいでんが語る。
「そうかも知れない」とジョルディー。
熱く語る二人。
「ピンチはチャンスだ」とエルフィール。
「そういきたいものです」とミラル。
「なんで生きているんだろう」とエルフィールが問う。
「生きる意味を問うこと。それがあなたの本質ですよ」とミラル。
「一人はさびしいな」
「自力で生きるのがあたりまえじゃないですか。みんな自力で生きているんだから。我慢して当然です」とアルスがくってかかる。
「みんな助け合って生きているのよ」とミラル。
「エルフィールさんは自由に自分勝手にやってる。まとまって一緒にするのがあたりまえです。それはあなたの弱点です」
「弱点結構じゃないか。人は弱点の固まりさ。それをカバーするために人が集まる。弱点だらけの人だものなにを恥じることがある」とエルフィールが笑った。
「弱点ならば直しなさいよ」とアルス。
「はいはいケンカはそこまでにしなさい」とフィルがたしなめる。アルスはフィルのことは高く評価していていうことをきくのである。
「私はどうして生まれたのか」とエルフィールが嘆く。
「エルフィール。泣いてるあなたしかここにいないわよ。笑っている自分も連れていってくたさい」とミラルがたしなめる。
「ミラル。私を見捨てないでくれ。なにを求めて生きていくのか」
「頑張りましたねエルフィール。お見事です。その人生でいいのですよ。さあ星を見なさい」とミラルがたしなめる。
「そうだな。生きられるだけ生きてみるさ。その後のことはその後考えよう」とエルフィールは笑った。
「猫星が光っている」とらいでん。
「ねずみ星をいつものように追っかけているぜ」とエルフィール。
「曲でもいかがかな」とダミエールが弾く。
踊りだすエルフィール。
みんな踊った。
一行は夜をよぎる。
夜暗く荒野を歩く一行。
いつものごとく旅である。
道の先で光っている卵が踊っている。
「なんだいこれは」エルフィールが驚きの声をあげる。
猫くらいの卵が無数に踊る。卵の中心には天使が一人いる。
「これはなんだい」とエルフィールが聞く。
「見ていなさいな」と天使。
卵が割れて星が生まれる。次々と星が生まれる。
輝きが踊る。光りがまたたく。星々とダンスするエルフィールたち。エルフィールたちが星々とまたたく。それは無数の光と踊る時間。光りのしっぽが踊る。踊るまたたき。エルフィールが光りと追いかけっこする。
空へ飛んでいく星たち。
「星はこうやって生まれるのよ」と天使も星の先頭を飛ぶ。
まばやく輝く星々が綺麗に飛んでいく。それはちょっとした流星群だ。
「いいもの見れたな」とエルフィールは笑った。
次の日依頼を受ける。魔法使いの家にいく。ウエルティーがいる。
「お久しぶり元気ですか」とウエルティー。
「まあな。今日はどんな魔法だい」とエルフィールが聞く。
「願いが叶う魔法だ」とウエルティー。
「なんかめでたい魔法だなあ。本当だったらすごいことなんじゃないか」とエルフィール。
「ガチで魔法の歴史に名前が残りますね」とミラルが太鼓判を押す。
魔方陣に通される。家の中に光りの魔方陣が描かれている。家の中にしては広い空間だ。
「どうすればいいんだ」とエルフィール。
「なんでもお願いしてみてください」
ウエルティーが杖で魔方陣を叩く。魔方陣の色が変わった。
エルフィールたちは魔方陣の中に入る。
「シチュー」とエルフィール。
シチューが出てくる。
「すごいな夢の魔法か」とエルフィールが驚嘆する。
「鎧」とハイベル。
鎧が出る。
「白馬に乗った王子様」とミラルがうきうきしていう。
白馬に乗った王子様の泥が出る。
エルフィールが笑い転げる。
「なによう。ほしいものはほしいのよ」とミラル。
「作っていたシチューと居間の鎧がありませんよ」とウエルティーの妻が言う。
「とするとこれは召喚系の魔法なのかな」とアドルテア。
「家がほしいな」とバルディ。
みんな家の床がつらぬいて生まれた。
「村長さんの家だな」とウエルティー。
「バルディてめえ」と血だらけのエルフィールが睨む。逃げるバルディ。もう追いかけっこである。
一行はお礼をもらって旅に出る。
ある街に来た。いきなり兵士が話しかけてくる。
「お前たち魔女ではあるまいな。魔女はあらゆる災厄の元凶だ。魔女には毎日鉛を飲ませて足をすりつぶしてやったら泣いて喜んでいたぜげっへっへっへっ」
エルフィールが剣をふるう。兵士の頭が転がった。
「エルフィールなにをするのこれは人殺しよ」とミラルが叫ぶ。
「あ、ごめん。手がすべった」とエルフィールは平然としている。
「おまえたち魔女だな」
兵士たちに取り囲まれる。剣で斬りこんでくる兵士たち。
「はいやっ」
ジョルディーの剣戟に兵士たちの剣が砕ける。ジョルディー一人でこの場を収めてみせる腕前である。
「こんなもんでどうだい」とジョルディー。兵士たちはそれでも斬りかかる。
「ミラル援護を頼む」
「援護ったってちょっとエルフィール」
エルフィールは一人城に向かって走り出す。
斬り殺し進むエルフィール。ミラルとアドルテアの魔法が援護した。
カーバンクルがエルフィールに幸運を与えていて矢は当たらない。エルフィールの通った場所は血の道となっていく。
「パイロンを出せ」
ゴーレムが出る。かなりの巨体の動く石の像である。
「バリュウス」とエルフィールが叫ぶ。
バリュウスが降りて来て着地すると場がどよめいた。
よっつに組むとゴーレムとバリュウス。
「こいつは強いや」とバリュウスが押される。とバリュウスが足をひっかけて倒してドラゴンブレスで倒す。
戦局は明らかであった。
牢屋を開放するエルフィール。
「逃げろ」と女たちに言うエルフィール。
「逃げません」と女たち。
「私たちは女性がしいたげられない国にします。未来が私たちにはあるのですから。私たちには世界があります」
「世界があるだって」
エルフィールに風が吹く。
風の中一人の少女がダリルの前に立っている。
「生きることは戦いだ。戦えエルフィール。ならば世界をやろう」ダリルは幼いエルフィールにそう言う。幼い記憶が呼び覚まされる。エルフィールは笑いだす。
「あっはっはっ。ダリル様と同じことを言うなあんたは。それはなつかしい言葉だ。分かった力になろう」
エルフィールたちは半年一緒に街を再建させる。
街は復興を遂げた。
「私たちはこれをドラゴン革命と呼びたいと思います」と新女王に言われる。
「好きにするさ」とエルフィールは笑った。
旅をする一行。
森にエルフたちが歩いている。
老人のエルフがいる。
「私は何千年生きたことか知れない。エルフィールあなたもきなさい」と老人のエルフ。
「名のってないよなあ私」とエルフィールは着いていく。
エルフたちと一行は森の中で立ち止まる。
老人のエルフは魔法を唱える。木になる老人のエルフ。巨木になる。
ーーこれは未来のあなたの姿でもある。あなたのこともここで待っていますよ。だってここはとても居心地がいいからね。祈りを聞き風にそよぐ毎日だからね。
エルフィールの心に声が響く。
「その時がきたらな」とエルフィールは笑った。
カーバンクルが舞う。
「そうだな。まだ生きたい」とエルフィール。
「なにをしたいの」とミラル。
「まだ旅がしたいんだ」
エルフィールたちの旅は続く。
少女が家の庭で座っている。バルディがそこへ花を届ける。庭に植えるバルディ。庭はもう花でいっぱいである。チューリップもバラもあるがそれでいて微妙にバランスの取れたフラワーガーデンである。
「花を買ってくれていつもありがとやんす。えーと誰だっけ」とバルディ。
「ベネレッタというのよ」と少女は答える。
「ベネレッタさんあんたはいい商売相手でやすよ。少女だろうと人を選びませんぜ。金は人を差別しやせん」
「次はこの花がほしいな」
「へえへえいくらでもお売りいたしやすよ。お客様が神様でやすよ。でもこんなに綺麗な庭園作っていいでやすな」
「唯一の楽しみだからね。あらそうそうゴブリンさんと話すのも楽しいわよ」
「あっしみたいな奴と話してなにが楽しいんでやすか」
「ゴブリンさんの心が楽しいのよ」
「あっしに心はないでやすよ。魔王様を金のために裏切り、金の亡者としてさまよう死に人なんでやすよ」
ベネレッタはバルディの胸を触る。
「いけねえこんな汚れた種族に触っちゃなんねえでやすよ」
「ほら心の音がする。ゴブリンさんの心の音がする。それはとても心地いい音なのよ」
「お嬢ちゃんありがとうでやんす」
「あなたから聞く旅の話し好きだなあ。あなたのことが好きよゴブリンさん」
「あっしも好きでやんす」
見詰め合うベネレッタとバルディ。
「あんたは仲間くらい大事な人だ。けれども仲間よりも金が大事なんでやすよ」
「お願い約束して。お金よりも仲間を大事にすると」ベネレッタは熱く語る。
「約束するでやんす。魔王様に誓って守るでやんすよ。こんな醜悪な呪われた種族であるあっしを愛してくれるなんてありがとうでやんす」
「それが心よゴブリンさん。ね大事にしてね。心はちょっとしたことで失ってしまうものなのよ。とても貴重なものなのよ」
「お嬢ちゃんがいればそれがあっしの心でやすよ。見失ったらお嬢ちゃんがたしなめてくだせえ。あっしはいつもお嬢ちゃんの声を聞くでやすよ」
「私はゴブリンさんに幸福になってほしい。それだけよ」
「お嬢ちゃんの幸福があっしの幸福でさあ」
「もっと旅のお話聞かせてちょうだい。私は旅に出たことがないものだから」
「あっしは金に奔走していて旅なんてもんじゃないんでやすよ。それよりも心のこと教えてほしいでやす。あっしたちはゴブリンには心がないんでやすよ」
「そんなことない。こうやってお話出来るのだから大丈夫よ。そうね。心はとてももろくキズつきやすいガラス細工のように繊細なものよ」
「分かったでやす」
人の気配に隠れるバルディ。年配の人たちがいる。
「あの子もかわいそうに長くないそうだ」と話している。驚愕するバルディ。
バルディは教会へ走った。ハイベルがいた。
「祈りなさい」とハイベル。
「神様始めてあんたに祈りやす。この子を殺さないでくだせい。金ならある金ならこんなにあるんだ」
「神様私の残りの時間をこの祈りにすべてささげます。バルディが幸福でありますように願っています」とハイベル。
家ではベネレッタが食事をしている。
「ゴブリンてすばらしいわね」
「ゴブリンは醜悪な人種なんだぞ」と父がたしなめる。
「あらお父様。ゴブリンにだっていい人がいてよ」とベネレッタは笑った。
次の日も花を届けるバルディ。
「今日も幸せだわ。あなたと出会うために生まれてきたような気がするの。ありがとうゴブリンさん」とベネレッタが笑う。手を取り合う二人。
「あんたの手のぬくもりがあたたかい。こんなに心があったかいものだったなんて知らなかったでやすよ」
「ゴブリンさん」
「なんでやす」
「愛してる」
「あっしもでやすよ。こんな醜悪なゴブリンを好きになってくれてありがとでやんす」
それはひとときの黄昏。
永遠の愛の時間。
天使が舞い降りる。
「何者でやす」
「天使よ」と天使が言う。
「天使がなんの用でやす」
「彼女を天国に連れていくのよ」
「さよならね。いままでありがとうゴブリンさん」とベネレッタは笑った。
「そうはさせねえ」天使につかみかかるバルディは吹っ飛ばされる。
気がついたバルディは宿で眠っていた。
「どのくらいでやす」
「一日だ」とエルフィール。
墓では葬式である。
雨が降っていた。
バルディは力なく歩く。
「ゴブリンだ」
「なんとおぞましい」
周囲はどよめいている。バルディは墓の前まで来る。
バルディが泣いた。
「あんたがいたこと覚えておくでやすよ」
墓に花をささげるバルディ。
「この花はおごりでやすよ。いや金はいいんでやすよ。あんたとの思い出でだけで十分なんでやすよ。ありがとうありがとうありがとう。楽しかった」バルディが泣いていた。それはゴブリンが始めて愛に泣いた瞬間でもあった。
バルディは宿に戻ってくる。ハイベルとエルフィールがいた。
「あの子は神様に召されました。これが運命だったのです。神の試練です。彼女はきっと天国へいったのでしょう」
「神様なんか大嫌いだ」
「あの子は星になったんだ」とエルフィールはさとす。
「エルフィール姉さん。いまだけはその言葉信じやすよ。どんなきれいごとにでもすがりたい気分なんでやすよこの疑い深い醜悪なあっしが」とバルディは泣いた。
次の日。
「ミラル姉さんみんなに食費入れやすよ」とバルディがミラルに言う。
「はあ。なに言ってんのあなた。バルディ誰かに脅かされてるの。風邪でしょう熱はないの。命より大事な仲間より大事な金を使うなんて死ぬんじゃないでしょうねえ。正気のさたじゃないわよあんた」
「なに気が向いただけでやすよ。たいした意味はないんでやすよ」
「エルフィールなにか知っているの」
「いやなにも知らないね」
「そうまあいいことよ。仲間に金を還元することはいいことだからね。それじゃいただくわ」
ミラルはバルディから金を手に入れる。
「金は命でやすよ」とバルディは笑った。
バルディはハイベルと話す。
「彼女は天国で豊かに暮しているでしょうか」
「もちろんです」
宿の外に出たバルディに小鳥が舞い降りる。
小鳥と踊るバルディ。
「かわいい小鳥ですね」とアルス。
「ベネレッタと名づけやした」とバルディ。
遠くからハイベルとエルフィールが見ている。
「彼女の生まれ変わりですね」とハイベル。
「天国よりこっちがいいのか。本人は気づいてるのか」とエルフィール。
「言葉はもう必要ありません」
「いつもあっしら一緒でやすよ」とバルディは小鳥と笑った。
バルディは今日も小鳥と一緒にいる。
「旅でやす。まだ旅がしたいんでやす。小鳥さんや仲間たちとでやすよ」バルディの言葉に小鳥がさえずりそんな夕日のひとときが過ぎていく。
第三十一話 ドワーフと少年は思いの風。
草原で野宿する一行。
「なにか心にひっかかるんだよな」とアルス。
「それが本質です」とミラル。
「そうかな」
「そうだよ」とエルフィール。
「今日ここにいるのはあなたの意見だからですよ。あなたのせいでピンチだっていうのに。だってねエルフィールさんは存在がピンチなんですよ」とアルスは熱弁する。
「みんなピンチじゃないか。ピンチはチャンス。ピンチをきりぬけるところが人生の醍醐味なんじゃないか」とエルフィール。
「アルス。正論で人を叩きのめしてはいけませんよ」とミラル。
「だってそんな理屈なんてエルフィールさんが間違っているんだもの」
「人は誰でも間違っている部分を持っているものですよ。あなたがすべて正しくあるわけではありません。人は間違っているところを必ず持っているもの。いい人は聞く耳を持つかどうか。人に教えるとは教わるということですよ。そして仲間とは責任も分かちあうものです」とフィル。
「いくらフィルさんの言葉でも信用できませんね。私は間違ってないんだ。私がすべて正しくあるんだ。エルフィールさんは子供なんだよ」
「おまえそのままいったら死ぬぞ」とエルフィール。
「だからあなたの言葉は信用できないと言ってるだろう。あなたは冒険者としては一人前ですけれども人間としては最低だ」
「それは差別だ」とジョルディー。
「区別ですよ」
「そんなこっちゃ人に好かれないぞ」とエルフィール。
「人なんてはいてすてるほどいますよ。どうでもいい人なんてどうなっても知らないですよ」
「人を許すことそれが愛です。人を許さないことそれも見えない力です。見えない力は生きる力けれども憎しみに満ちた人生はとても暗く苦しく不幸なものですよ」とフィル。
「エルフィールさんにふりまわされんのはもううんざりなんですよ。自分の面倒も見れない子供がなにいってんですよほんとうにね。もういいですあっちで一人で寝ますから」とアルスはいってしまう。
「まだ青いな」とジョルディー。
「いずれ分かる時がくるでしょう」とフィル。
「死ぬほうに一票入れるぜ」と毒づくエルフィール。
夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
ジョルディーの後ろから男がでる。
「星を研究してるアステといいます。大学で学者をしていましてみなさんがたがドラゴンを持ってるというのでね。もうすぐ流星がやってくるんですよ。その流星に飛んでもらいたい」とアステ。
「それくらいいいぜ」とエルフィールたちは旅立つ。
ドラゴンで空を越えて宇宙へと出る。やってきた流星へと降りる一行。
「これが流星か。ずいぶんやわらかいな」とアステ。
「誰だい。こそばゆいな」と流星。
「流星がしゃべった」と一行は驚く。
「私はドラゴンだ。体がでかくなりすぎてしまってね。体を丸めて流星となって空を飛んでいるんだよ。体の大きくなったドラゴンは大抵こうしているのさ」
「へー流星ってそうなっているのか」とエルフィールは不思議そうにそう言う。
「私も知らなかったなあ」とバリュウス。
「ドラゴンが知らないことなんてあるんだな」とエルフィールは不思議そうだ。
「私はなにせ赤ん坊みたいにまだ若くて知らないことばかりなんですよ。そこでこの一行と一緒に旅をしてるわけでね。いえね話をしたり城に仕えたりすることも考えたんですけどもね。やはり経験に学ぶ。それもなにかエルフィールさんたちの一行がずいぶんおもしろい旅をしてるとドラゴンの仲間内でも話題だったんですよ」
「ふーんそうかい」
一行は調査を終えてそして帰る。
ある日少年が一人草原にいる。エルフィールが話しかける。
「どうしたこんなとこで」
「ぼくって誰だっけ」と少年。
「こっちが聞いてるのに記憶喪失か」とエルフィール。
「記憶なんてないよ」と少年。
「迷子か。家はどこだろうな」とジョルディーが問う。
「家はここさ」と少年。
だが草原が広がっているだけだ。
「なに言ってんだ。どこに家がある。ただの草原じゃないか。家族はどうした」
「いつも一緒だよ」と少年は笑う。
「どこに人がいるんだ。からかうのはやめろ。ふざけてんのか」とエルフィールが怒鳴りだす。
「本当だよ」と少年は平然としてる。
「じゃあ名前を名乗ってみろ」とエルフィール。
「名前はないんだよ」と少年。
「名前がないことあるか。いいから名乗れ」
「そういうものだから。なにか思い出してきたよ」と少年。
「ふむ。じゃあどこへいこうとしてたんだ。思い出せるか」
「空へ」
「だからからかうな。それともドラゴンでも持っているのか」エルフィールはじれてきてる。
「そう思い出したぼくは風の子だったんだ」
少年は風になる。
ーーありがとう。さよなら。またね。
驚く一行。エルフィールは一言。
「またな」エルフィールはそう笑った。
風が一行を包む。それはとてもやさしい風だった。
「依頼だわ。ここに来てくれと紙があったわ」とミラル。
「謎めいた依頼だな」とエルフィール。
草かげから小人がでてくる。
「そこに並んでほしいそうよ」とフィル。
「フィル小人の言葉が分かるの」
「気持ちがなんとなく伝わるのよ」
フィルのいうとおりに並ぶ一行。
小人は魔法をふるう。光りが踊る。
気がつくと一行は小人になっていた。
「やあ、こんにちわ」と小人。
「なんだこれは。誰だあんたは」とエルフィール。
「あたしは小人のネム。あんたらに頼みたいことがあってね」とネム。
「なにを依頼したいんだ」とジョルディー。
「ジョルディーが小人だなんておかしいぞジョルディー」とエルフィールが笑う。
「あんただって小人でしょうに」とミラル。
「あんたらの光りがほしいのさ」とネム。
「どこへいけばいい」とジョルディー。
「アルデバラ遺跡にいってほしいんだ」とネム。
「そこになにがある」とエルフィール。
「小人たちは千年の昔一緒に暮らしていた。けれども王国は滅びてしまい小人たちは世界中にちりぢりになってしまった。けれども伝説ではまた王国を作る場所を神様が用意してくれるとあるのさ。それがその遺跡そして光りが必要なことまでつきとめた」とネム。
「どうする」とエルフィール。
「その伝説ならば聞いたことはあります」とフィル。
一行は話しあった結果ネムに力をかすことにする。
「そこまでいく乗り物がほしいな」とエルフィール。
「着いておいで」とネム。
ネコがたむろしてるところにいくネムと一行。
ネコがネムに牙をむく。ネムは魔法をふるう。するとネコはおとなしくなる。その背中に乗るネム。
「さあいこう」
一人ひとネコ。一行はキャットライダーとなって街を走る。
風のように走る一行。ネコたちと小人たちの一行はあっというまに森にでる。
ネコから降りる一行。ネムは小鳥たちに魔法をかけて今度は一人ひと小鳥の小鳥ライダーとなって空をいく一行。遺跡が見えてくる。小鳥を待たせて遺跡に入る一行。
暗い道をいく一行。ゴブリンが一匹やってくる。
「はやく元に戻せ」とエルフィール。
「あれ。魔法の使いすぎで魔力が足りないや。回復するまで待ってね」
「パン屋とゴブリンは待っちゃくれないんだ」
「もうだめだ」とアルスが嘆く。
「あきらめるな」とエルフィールがゴブリンの足を持つ。だがびくともしない。
ジョルディーも足を持つ。それに習ってみんながゴブリンの足を持つ。
「なにみんなで持てば軽くなるって寸法さ」とジョルディー。
ゴブリンを転ばせてそのすきに先に進む。遺跡の中心で魔方陣がある。
エルフィールとジョルディーの手が光る。手をあわせる二人。光りは空の彼方まで伸びる。
小鳥で空を光りへ向けて飛ぶ一行。小鳥に乗った小人の大群が合流した。
空は小人たちであふれかえる。
光りの地に下りてから街を作り出す小人たち。
小人たちの街は活気にあふれている。
「ムカデだ」と小人たちが逃げまどう。
「昆虫には小人の魔法はきかないんだ」とネム。
ムカデを一刀両断にするエルフィール。
「ムカデってうまいのか」とエルフィール。
小人たちが歓声をあげる。
ダミエールが曲を奏でる。踊るみんな。
エルフィールたちは祝宴を受けて一夜が明ける。
「それじゃあな」とエルフィール。
「あんたら気に入った。私も仲間になっていいか」とネム。
「いいさ」とエルフィール。
一行は旅へと旅立つ。
「娘を幸せにしてあげてください」
街を歩く一行へのいきなりの依頼である。
「娘さんはどこにいます」とエルフィール。
家に案内される。
「娘のパティです」
「母さんうるさいのよねえ」とパティはだだっている。
はたちくらいの娘は口はうまいがいわゆる中身がうすい。
「支えあうことで幸せになることができます」とフィル。
「さすがフィルはいいことを言いなさる」とエルフィールは関心している。
「たとえば幸せってなによ」
「結婚してな、子供作ってな、孫に看取られながら死ぬというのが幸せだ」とエルフィール。
「馬鹿馬鹿しい。運命の出会い。運命の王子様がやってくるまでつきあったりしないわ」とパティ。
とはたちくらいの男が家に入ってくる。
「こんにちわ。今日は人がいっぱいですね。ぼくはジャックといいます。パティの幼馴染なんです」
「パティ目当てできてるんだろう」とエルフィール。
「そっそんなこと」真っ赤になってどぎまぎするジャック。
「図星か。パティのほうはどうなんだよ。ジャックを好きなのか」
「兄弟みたいなものょ。人としてはジャックを好きよ。でもなんとも思ってないわ」とパティは素っ気ない。
「ちょっとこい」とエルフィール。
家の外でジャックに腕をかける。
「彼女を守ってやるな」
「言われなくてもそうします」
「男なら女を女にしてやんな。それが人として男としての道というものさ」
「彼女が好きさ大好きさ。彼女に尽くす。でもそれと恋愛は別ですよ」とジャックはいってしまう。
それから一行はパティとともに過ごす。
ある日祭壇に呼ばれるパティ。一行も着いていく。
「神の天命が下りました。パラディウムかデウティクスのどちらかと国の提携をすること。どちらを選ぶのはパティが決めることでなければならないことです」
パティは唖然としてる。
教会の外にジャックもいた。
「ぼくはどうすればいいんだろうか」とジャック。
「男を見せろよ」とエルフィール。
「あなたらしくいつも通りにしなさい」とフィル。
「ぼくらしくか」
それからパティは図書館につめる。
それらの国を知るためである。
ーージャックならどう考えるだろう。そんなことばかり思う。ジャックの姿を無意識に探してしまう。
最近ジャックは姿を見せない。それはパティをさらに苦しめた。
「どうしたのジャック」
ある日ジャックは姿を見せた。
「両国の資料をそれぞれの国にいって集めていたんだ。その分析がこれさ」
そこにはパラディウムが農業国として優秀なこと。高齢化に悩んでいることが書いてあった。デウティクスは技術に秀でているが最近指導者を失って国内が荒れていることがまとめられていた。
「ちょっと無理をして旅の途中でね」とジャックは倒れる。
看病もむなしくシャックは亡くなった。
パテイはどの国との提携か決断を下す。
そしてそれはよい結果となった。
「これもジャックのおかげ。でも彼はもういない」
「ジャックは天国へいったさ」とエルフィールは慰めた。
次の日一行が起きると街は廃墟となっている。
「あんたらここでなにしてるんだ」と農夫。
「ここにあった街は国はどうした」とエルフィールたちが聞く。
「ここは遺跡だよ。その昔他の国と併合してひとつとなりいまは別の場所で栄えているよ」
ーーいまも天国で幸福に二人でいるわ。ありがとう。
とパティの声が響く。
「時を越えた母の願いが奇跡を呼んだかな」とエルフィール。
「私にも運命の人があらわれるでしょうか」とミラル。
「信じなさい。希望は必ずあります」とフィル。
「神の加護がありますように」とハイベル。
一行は旅を続ける。
宿の一階の居酒屋で食事をするエルフィールとミラル。
「ようエルフィール」
あらわれたジョルディーがエルフィールを一刀両断する。
「よけたか」
血がエルフィールの腕を流れる。
「エルフィール大丈夫」とミラルが叫ぶ。
「さがってろミラル」
エルフィールは抜刀する。
「ひさしぶりといおうエルフィール」
「誰だおまえは」とエルフィール。
「悪魔召喚のときの悪魔さ。なにきみを殺して魂がほしくなった。だから殺されてほしい。それだけさ」
瞬間距離をとられるエルフィール。エルフィールはまだ動けない。悪魔はキスした。エルフィールが横に斬る。逃げる悪魔。
「きみを愛してしまったんだエルフィール。もうこの気持ちおさえきれない。きみを殺して魂を手に入れたい。そしてずっと一緒にいよう。くっくっくっはっはっはっあっはっはっ」
「せっかくだが間に合っているぞ」とエルフィール。
ヴァルキリーをまとい装剣するエルフィール。
「せいやっ」
悪魔の腕を斬り落とす。
「精霊の力はよけることはできないぞ」とエルフィール。
ミラルの魔法攻撃があたる。だが無傷だ。腕も元に戻る。
「くっくっくっ。その魔法攻撃はぼくたちの力。なに精霊の力はやっかいだがね。それもふくめて好きだ愛してるんだエルフィール」
「名前を呼ぶな尊厳がくさるわ」とエルフィールは怒っている。
「そういうきみもとてもかわいいよ。なんて好きなんだろう。神になんてやらない。きみの魂はぼくのものだ」
「ふざけるな悪魔ふぜいが」
悪魔の一撃をよけざまの一撃が決まる。一刀両断される悪魔。
「おやおやふたつになってしまったよ。きみはどちらが好みかな」と悪魔はゆらめいている。
「どっちも消えろ」とさらに斬る。悪魔はかわしてひとつになる。
「やれやれ精霊の力というのはいまいち好みじゃないねえ」
「知ったことか」
「おっとゲートのタイムリミットだ。嘘じゃないさ。その魔法使いが証人さ。それではまた少しのさよならといこうか」
「最後にひとつ聞こう。何故ジョルディーの姿をしていた」
「我は何者の姿もとらない。ただ人間には好きな者に見える。それだけのことさ。さらば」
悪魔は消える。
「おはよー」とジョルディーが階段を下りてくる。
「本物か」とエルフィールが剣を向ける。
「少なくともエルフィールきみの背中を守る程度には本物だ」とジョルディー。
「てめこのやろ」
「いででででで」とジョルディーがほっぺをエルフィールにつねられる。
「なんかしたかおれ」とジョルディー。
「なんかつねりたい気分だった」とエルフィール。
「どんな気分ですか。こちらはもうだめです」とミラルは座り込む。
「なにがあった」とジョルディー。
「なにイケメンにデートに誘われたのさ」とエルフィールは剣をしまう。
「それはよかった。今度はおれもまぜてくれ」とジョルディーはひとつ深呼吸をした。
ある日宿で休憩をとる一行になにか壮厳な鎧をつけた女性がやってくる。
「女神ヴァルキュリアだ」
「これはこれは神様がどうしたことで」とエルフィールはからかう。
「信じてないな」とみんな吹っ飛ばされる。
「精霊の力じゃない。魔法か」とエルフィール。
「違います」とミラル。
イスに座りなおす一行。
「ちょっとは信じたか」
「へえへえ神様がなんの用ですか」とエルフィールが聞く。
「精霊は女神の意識だ。お前は私を疲れさせているんだ」と女神。
「そんなこと言ってもさ精霊使いはなにも私一人じゃあるまいし」とエルフィールはぐちる。
「おまえをいま消し炭にしたっていいんだぞ。口をつつしめ馬鹿者が」と女神は怒っている。
「神ともあろう者が愚痴るためにきたのですか」とフィル。
「フィルフィルフィールおまえか。いやなにね娘の教育がなってないんだよ。こいつ私の力は使うけどまったく尊敬や祈りや感謝がないんだ」と女神はちょっと落ち着いた口調になる。
「これからはさせます」とフィル。
「おまえがそう言うのならばここは一歩譲歩しょう。今度馬鹿にしたら消し炭だからな」
「すいませんでした」とエルフィール。
「えらく素直だな」と女神。
「フィルには逆らえないタチなんです」とエルフィール。
「そうか。それじゃよろしく頼むフィル」と女神は消える。
「ふうーやりすごした」とエルフィール。
「そもそもあなたには信仰の大切さが足りません」とフィル。
「ふえーんこっちがあったか」
それからフィルの教育は一ヶ月におよんだ。
バルディが商品を運ぶ。草原に一人だ。とゴブリンたちに囲まれた。
ベネレッタが飛び立つ。
ベネレッタはエルフィールの元までくるとさかんにさえずる。
「バルディの身になにかあったんだな。いこう」とエルフィール。
一行はベネレッタの後を追いかけ逃げるバルディを見つけゴブリンたちを斬りさく。
「ありがとうでやすベネレッタ」
ベネレッタはバルディの肩で歌う。
グランドスラムの城でジョルディーが段差を乗り越えて姫の部屋へと侵入する。
「これはどうしたことだ。怪しげな男がのこのこと城に入るとはこれいかに。これお前、なに用でこんな愚弄するようなことをするのかな。私がこの国の姫アルフィンと知ってのろうぜきか」
「黎明の騎士です」とジョルディー。
「おお黎明の騎士たちの話は聞いたことがあるぞ。よろしい。いていいぞ」
「姫は結婚しないのですが」
「男などみなつまらぬ存在じゃ。私が女王となるとき、それは処女王としてこの国に君臨することだろう。ホコリがついてるな。よろしい。話してみろ」
「ドラゴンに乗って飛んでまいりました」
「そうか。黎明の騎士たちはドラゴンを持っている話聞いてるぞ。よろしい。話してみろ。ドラゴンはどんな乗り心地なのじゃ」
「うろこにはりついてるような感じでしょうか」
「そうか。ここからは相談だがな、騎士よ。私もドラゴンに乗せてくれないだろうか」
「いいですよ」
「よろしい。いつがいいかな明日かないまかないつがいいかな。どうじゃ意見してみよ。意見を許そう」
「いまでいかがでしょうか」
「よろしい。お忍びじゃ向こうを向いておれいま着替えるからな」
着替える姫。ジョルディーは姫を連れて外の広間に出る。
「げっへっへっ金ですか。いくら必要でやすか」
バルディがでてくる。
「ぴちちちち」と小鳥が鳴く。
「ああそうでやすな。今回はただってことでいいでやしょうな」
バルディはドラゴンを呼ぶと去っていく。
「どうぞ姫」
「アルフィンじゃ。特別にアルフィンと呼ぶことを許そうぞ」
姫とジョルディーは空をいく。しばらくしてまた城に戻る。
「すばらしい。空はいいな」とアルフィン。
「旅はいつも楽しいものです」とジョルディー。
「私が平民であったならばおまえの仲間になっていたことだろう。いやなにも言うな。世迷言じゃ。君主になる者の言葉ではなかったな。聞かなかったことにしてくれジョルディー」
「わかりました」
それから姫とジョルディーはたびたび会うようになった。
ジョルディーは何日でも何時間でも物語を語った。それはとても面白くまたアルフィンの心を感化するものであった。
「それでそれでどうなった」
「それで二人は楽しく暮らしましたとさ」
「うーんよかったのお」
アルフィンは踊りを踊る。
「楽しいぞ。おまえのような男もいるのだな。男を見直したぞ。どこでそのような話を聞いた。ぜひ聞かせてくれ」
「昔一緒に旅をしていた少女が聞かせてくれた話です」
ジョルディーは涙する。
「どうしたどうした。ジョルディー泣かないでおくれ。なにが悲しいというのか聞かせておくれ」
「姫と少女が重なるのです。私は少女を失っていたものですから」
「さあジョルディー私のひざで泣いておくれ。このことは二人だけの秘密じゃ。男が女のように泣くのは誰にもいったりせぬから安心して泣くがよいぞ」
ジョルディーがアルフィンを抱きしめた。アルフィンもジョルディーを抱きしめた。二人はしばらくそうしていた。
ある日のこと姫がジョルディーに言う。
「おおジョルディーか。最近は私は気がつくとおまえのことを考えている。なぜかな」
「わかりません」
日が暮れてジョルディーは帰るために立ち上がる。
「私と結婚してくれジョルディー」
しばらく静けさが場を包む。
「私には好きな女性がいます」
「おおなんということじゃ。ジョルディー私を見捨てないでおくれ」
「私はあなただけの騎士ですよ」
「よろしい。くっくっくっあっはっはっはっはっ」
「泣いたカラスがもう笑った」と二人は笑う。
アルフィンの目から涙がこぼれる。
「なぜかのう。涙が止まらない。国が民が大事なくらいおまえが大事なのじゃ。許せぬ気持ちじゃ。これは女王として自分の気持ちが許せぬぞ」
アルフィンはさらに泣く。
ジョルディーはそっと抱きしめる。しばらくたった。
「踊りましょう姫」とジョルディー。
踊りだす二人。
「姫十三回私の足をふんでいます」
「うむジョルディー。男は細かいことはいわないものじゃ」
しばらく踊る二人。
姫はおじぎして踊りは終わる。
「ジョルディー。おまえのことを兄と呼ばせてくれ。家族ならば愛しあうのは当然のことだろうことよ。愛してる」
「愛してる」
「愛してくれてありがとう。おぬしの愛があれば私は百人力だぞ」
次の日。
「ジョルディー旅のお話聞かせて」とアルフィンが笑う。
「あるところにお姫様がいました。姫は宿無し剣士と出会って笑いあいましたとさ」
「あら宿無しじゃないわよ。あなたは私のたった一人の騎士なのですからね」
またまたジョルディーと姫は笑った。
ジョルディーはやさしくいう。
「あなたはまだ若くある。存分に悔やみなさいな。年をとるとある程度悟ってしまうものですからね」
「分かった。おまえは私の翼だ。これからもよろしく頼むぞ」
「思うままに」
それは少女にとっては初恋であった。だがその気持ちを初めて知ったばかりの少女にはその意味するものがまだ分からないのであった。
「おまえに私の女をささげよう。そして私は処女王となりこの国の栄華を極めようぞ」
「ははっ。女王陛下。わかりました」
そして二人は笑いあった。
布をベールのように巻く。
「この国と結婚しますか」とジョルディー。
「うむ。結婚するぞ」とアルフィン。
ジョルディーはアルフィンのおでこにキスする。
「この誓いが国を変えるとこの絆が私の愛だとこの願いが民を幸せにするとここにおまえにいおうジョルディー。私は死にたい。最後のときまで国に尽くして死にたいとな。ここに誓うぞ」
グランドスラムの女王が部屋に入ってくる。
ジョルディーがひざをつく。
「影から見守っていました。ジョルディー剣を抜き誓いなさい」
ジョルディーは剣を抜く。
「私はアルフィン様ひとりだけの騎士となります」とジョルディー。
「それでいいのですよ」と女王は笑った。
そうして三人はしばらく話していた。
おじいさんと少年がいる。
森の木の下で話している。
「ここは子供の時からのぼくのお気に入りなんだ」
「知っているよ」
「はじめて会うのにそんなこというなんて変わってるなおじいさんは。だから村でも見ないのかな」
「わしは偏屈かも知れないな」
「この一ヶ月話して楽しかったよ。今度村を出て街へいくんだ」
「そうか。元気でな」
「おじいさんも一緒にいかない」
「いやわしはここでな、ずっとみんなを見守っていたいんじゃよ」
「そうか。それじゃさよならだね。いままでありがとう。さよなら」
「さようなら」
少年は駆けていく。
木の後ろからエルフィールたちが表われた。
「これで気はすんだか」とエルフィール。
「ありがとう精霊使いよ。木の精霊にすぎないわしに姿をあたえてくださったこと感謝しています」
「なに精霊魔法の効果はもうきれるがいいのか」
「わしはただここで立っていることが使命であり運命なのです。わしはそうやって子供たちを見守り続けてきました。そしてこれから死ぬまで未来永劫そうなのです」
「そうか。また縁があったらまた精霊魔法をかけるよ」
一行は木とわかれた。
「今回は自殺しそうな子を助ける仕事だ。みんな手一杯だ。アルスいってくれ」とエルフィール。
「任せてください。生きるのなんて楽勝でしょうよ。それを教えてやりますよ」
アルスは少年の家にいき話をする。
「生きるのが嫌なんだ。苦しくて苦しくてどうしょうもないんだ」と少年は嘆いている。
少年はなにをしても楽しくならないうつな状態であった。だがそれがアルスに分かるはずもない。
「楽しいことが一番さ。いまが楽しければいいんだよ」
アルスは一ヶ月その少年と一緒にいる。
魚釣り昆虫取り。一緒に過ごしていた。そんなおり少年は自殺した。
「あの子が死んだのはあの子のせいですよ。死にゃあいいと思ってるんだ最近の子は」とアルスはエルフィールたちに嘆いた。
アルスは宿の部屋へと消える。
「このままならアルス死ぬな」とエルフィール。
「神の試練です。神様がついています。必ず乗り越えるでしょう」とハイベル。
アルスは次の日少年と過ごした草原にいた。
風が吹いた。
「大人になったら医者になってみんなを助けたいんだ」少年の言葉が思い出される。
なにかアルスの心が揺らいだ。
「なにかひっかかるなにか」とアルスの後ろにエルフィールがいる。
「お前があの子を殺したんだ」とエルフィール。
「なにを言うのエルフィール」とミラルが諭す。
「エルフィールあなたになにが分かるっていうんだ。何様なんだよあなたは神にでもなったつもりか。ばかばかしいんだよあんたの言葉なんか。くだらないね。あの子が弱いから死んだんだ。ぼくはどれだけ楽しさをあげたことか。エルフィール。あなたになにが分かるっていうんだ。あなたこそこの前の魔女狩りでは人殺しじゃないか。あなたに言われたくないんだよ。うるさいんだよあなたの言うことは。ふざけんな馬鹿にすんな。私は一人の立派な人間だ。私の尊厳を傷つけないでいただきたい」とアルスは走り去る。
アルスは空を見る。そして少年を思う。
宿に戻ったアルスはエルフィールたちと話す。
「なんだこの苦しみは。楽しくない楽しくないんだ。なにも楽しくないんだ」とアルス。
「苦しみによって人は成長するのです。楽しいことはいいことです。けれどもそれだけではない人生なのです。苦しみぬいた末に成長した自分を見た時苦労は報われるのです。人をキズつける人は自分をもキズつける。だから不幸であること。幸福な人は自分も誰もキズつけません。自分の間違いを認められることが大人になるということです。それはとても難しく死ぬこともあります。いまあなたは成長しなさい」とフィル。
エルフィールが前に出る。
「苦しむ時間が人生の醍醐味じゃないか。どれだけ助けることに苦労したかということ。それが休息の時に自分を誇りに思えるんじゃないか。諭すことで人は成長する。怒ることは簡単だが諭すことは難しくある。自分を救うのは成長した自分じゃないか。命輝く時人は幸福となれる」とエルフィール。
アルスが泣いていた。それはアルスが見せる初めての弱音だった。
「ごめんよ。ごめんよごめんよごめんよごめんよごめんよ」
アルスが剣を持つ。
「いま罪をつぐなうからね」
エルフィールの剣がそれを止めた。
「命こそ一番大事な宝だ。生きて罪をつぐなえ」とエルフィール。
「あなたがこれからどれだけの人を救うことでしょう。それが罪をつぐなうということです」とフィル。
「おまえはいま自分を殺そうとした。同じ過ちを繰り返すな」とエルフィール。
「あの子があなたの死を望んでいると思いますか。あなたを恨んでると思いますか。きっと天国で待っていてくれますよ。それまでにあなたはなにをするでしょうか。今度こそ人助けをして生きてみてください」とフィルは諭す。
風が吹いた。
少年がいた。一同が少年を見る。
「ありがとう。命を守る守護者となってね。命を守れる人になってね。命をつなぐ人となってね。ありがとう。ずっとずっと気持ちは一緒だよ」
少年は消える。
アルスは泣き崩れた。
次の日。
「すべての死はあなたの生のためにあるのです。死に習いなさい。人を生かすために生きなさい。生きてる限り生きる意味を問いなさい。神はいつもあなたの意味を問うていますよ。そしてさらに高みへと生を歌いなさい」とハイベル。
「神の御心のままに」とアルスは礼拝堂を出ていく。
「エルフィールさんはいつもそうだ。私が何度言っても聞かないんだからね。もおしょうがない人だ」とアルス。
アルスは今日もいつものように振舞う。口調もいつものままだ。
「なにも成長しなかったのかな」とエルフィール。
「成長しました。もう彼は一人ではないのです。一人分心が増えたのです。もうこれからずっと大丈夫です。その人生に立ち向かう勇気を得たのです」とハイベル。
「そうか良かったな」とエルフィールとハイベルは笑った。
「さあみんなもっと旅をしなくちゃだめですよ」とアルスが言う。
一行は笑顔で旅立つ。
第三十二話 エルフと少女は精霊の森。
草原で野宿する一行。
「おねえさま。今日もいい天気ですね」とキャル。
「真っ暗だよ星しか見えないよ」とエルフィール。
「いい満月ですな」とらいでん。
「こんな日は酒もうまい」とジョルディー。
「こんな日は旅がしたい」とアルス。
「もうしてるよ」とエルフィール。
「こんな日は一曲どうだい」とダミエールが弾く。
「踊るでやすベネレッタ」バルディと小鳥が踊る。
ミラルがアドルテアと草原にいる。
魔法を繰り出すミラル。
「だめだだめだだめだ。私が極めたい魔法はこんなのじゃない」とミラルが嘆く。
「億万通りの魔法からの組み合わせは無限にあります。あせらずゆっくりとやることです」とアドルテアが諭す。
それからも何日でもやるミラル。
「だめだだめだだめなんだ。こんな魔法じゃないんだ」と嘆くミラル。
「気晴らしにこんな魔法はどうかな」とアドルテアが魔法を出す。
それは美しくとても柔軟で躍動感に満ちていた。
「これだ」とミラルは魔法を出す。
それもかなり美しく柔軟で躍動感に満ちたものだ。
「その感覚を忘れないように」とアドルテア。
「ありがとう我が師アドルテアよ」
ミラルは今日も魔法をふるう。
「依頼だ」とエルフィール。
「ジョルジュといいます。運命を変える魔法を女性と研究していました。魔法は成功して彼女ミリアスは別の世界に行った。でも彼女のことが忘れられなくて恋しくてまた運命を変える魔法で彼女を取り戻したいのです。そのためには魔法使いが二人以上必要なのです」
ジョルジュの家には魔方陣がある。
そこでミラルとアドルテアとジョルジュが魔法の詠唱をする。
と魔方陣は爆発した。
真ん中にいたジョルジュは大ケガをした。
一行が手当てする中意識が戻るジョルジュ。
「久しぶりねジョルジュ」とミリアスが言う。そこにミリアスがいた。
「何故。魔法は失敗したのに」とジョルジュ。
「運命の人と結ばれるさだめまでは変えることはできなかった」
ジョルジュは泣き崩れた。
「依頼です」とミラル。
と少女が一行の前にいる。
「ラリエルと言います。魔法使いになりたいのですが親に反対されてるんです」
「親と話そう」とエルフィール。
父と母がいる。
「娘には魔法使いなんてジゴロな職業にはついてほしくないんですよ」と母。
「やはりいいとこの嫁がいいでしょうな」と父。
「娘さんにはやりたいことがあるんですよ」とエルフィールたちが説得するがまったく聞かない。
「ラリエル魔法を使いなさい」とミラル。
「はいどうぞ」と水や火や光りを出すラリエル。父と母はじっと見てる。
ーーこの子には大きな夢を持って生きて行ってほしいものだ。
赤ん坊を抱えた二人の言葉が思い出される。
「ラリエル。それが夢なんだね」と父。
「はい父さん」とラリエル。
「やりなさい」と母。
三人は抱きしめあう。
一行も笑う。
魔法学校で少女は今日も先生に怒られている。
「何故こんな簡単な魔法も間違えるの」と先生は怒っている。
ある日少女は突然魔法のなんたるかを理解した。
先生や笑った友達を犬にして街じゅうの人を犬や猫にする。
「うししし」と笑う少女。
でも誰もいなくなった街にひとりぽつんと残された少女はさみしい。
それで街の人たちを元に戻した。
少女は今日も先生に怒られている。
「ミラルどうしてこんな簡単なことできないのですか」
「うししし」と少女は心の中で笑った。
「依頼だ」とジョルディーの後ろから男がでる。
「ストールという。人を探している」
一行はストールとともに草原で母と子供に出会う。
「積年のうらみこの憎しみを剣にこめて死ねストール」
と女と斬りあうストール。
「やめろ」飛び出すエルフィールの腕をジョルディーが止める。
「なにをするジョルディー」ジョルディーは腕をはなさない。
斬り殺されるストール。
「やった正義は達成されました」と親子は去る。
「剣の道を極めるためにストールはたくさん剣士と戦い殺してきた。これは仇うちだったんだ。そしてかたきうちとられ死ぬことをストールは選び望んだ。ここまでが依頼だったんだ」とジョルディーが穴を掘る。
「だからってこんな死にかた命は命ってものはこんなものじゃないはずだろう」とエルフィールは涙する。
ストールを穴に埋めて石を置いた。ハイベルが祈りをささげてそしてそこに誰もいなくなった。
エルフィールが精霊が見えなくなり精霊の力が使えなくなった。
日ごとにエルフィールを不安が襲う。すでに仲間の言葉も聞こえなくなっていた。
「子供の時精霊は使えなかった。またそうなってしまうのか」と嘆くエルフィール。
「大丈夫さ。また使えるよ」とジョルディー。
「おまえになにが分かるっていうんだ。精霊使いでもエルフでもないおまえに」
「ハーフエルフはそういうものなのですよ。大丈夫ですよエルフィール」とフィルが諭す。
「ハーフエルフだからなのか。この呪われた体が私をこうするのか」
エルフィールはその日家出をして一人森をさまよう。
エルフの少女と出会う。
「ここはエルフの森か」とエルフィールは少女と遊ぶ。
「大きくなったらね立派な精霊使いになって森をみんなを助けたいんだ」と少女は笑う。
エルフィールに風が吹いた。
「それは私もそうだった。そうだったんだ。何故忘れていたんだろう。ずっとそう思ってそしてダリル様とそしていまジョルディーたちとともにそうあるべきだったのになにを迷っていたんだ」
「おっきくなってね。世界を旅してみたいな。でもね仲間が必要だよ。支えあう仲間がね」と少女。
「そう思っていた。私もそう思っていたんだ。なのに忘れていたんだ」
「ねえおねえちゃんも一緒に旅をしょうよ。もっと旅がしたい。世界をまだ見ぬ世界を旅してみたいの。ねえおねえちゃんあたしの仲間になって」
「ずっとそうだったのにいつのまに忘れてしまったんだろうこの気持ちを」
エルフィールはしゃがみこむ。
「あなたの名前はなんていうの」とエルフィールは聞く。
「エルフィール」
エルフィールが少女を抱きしめそしてひとつになる。精霊が舞う。
「見えるぞ精霊が」
ヴァルキリーをまといそして歩き出すエルフィール。
木の陰から見ていたフィルの前に人があらわれる。
「アルテミア母さん。守護霊となってエルフィールをずっと守っているのね。ありがとう」とフィルは頭を下げる。
アルテミアはそしてまた消えた。
「そうだな。一緒に旅をしょう。旅がしたいんだ」とエルフィールは誰にでもなくそう言う。
森がエルフィールを見送った。
第三十三話 エルフと木は精霊の絆。
一行は野宿している。
「今日もいい旅をしたな」とエルフィール。
「つきあわされるほうは大変ですけどね」とアルス。
「エルフィールらしいわ」とミラル。
「おねえさますばらしいです」とキャル。
「エルフィールはどこへ行きたいのですか」とフィル。
「あっちこっちそっち」とエルフィール。
「それは大変だな」とジョルディーが冗談めかして嘆く。
「魔法の極みとはなんでしょうか」とアドルテア。
「やはり魔法元素はまだあるのでしょうか」とミラル。
「東はこれからどうなるのかな」とらいでん。
「一曲どうかな」とダミエールが弾く。
「踊りやしょう」とバルディはベネレッタと小人とカーバンクルと踊る。
夜がふけていく。
「エリュシケー様をお助けください」
ある村で村人に呼び止められる。
「街から聖人であるエリュシケー様が来ていたのですが体調が悪くなったのです」と村人。
教会で横たわるエリュシケーという若き女性にハイベルとフィルは回復魔法をかける。
「だめです」とハイベル。
と卵が生まれてそれは天使となる。
「聖人は死んで天使として神の使途となるのです。見取っていただきありがとうございます。私でよければ力を貸すこともあるでしょう」とエリュシケーの天使は消える。
その日、国は喪にふくした。
「助けて」と女の子が一行の前に飛び出す。
森は暗くけれども存在が動く。
「その娘をよこせ」と黒布の男が話す。
「させるか」とエルフィールが斬る。
布の下は骨である。顔は牛の骨である。
「この化け物が」とエルフィール。
「私は死神だ」と死神。
「何故この娘を狙う」とエルフィール。
「その娘はいたずらっ子キャシーとして街でも有名なのだ」と死神。
「子供の時は誰だっていたずらのひとつやふたつするものだろうに」とエルフィール。
「罪は命で償うべきだ。それが死神というもの。それが神の意思でもある」
「おっとそれは神の意思じゃねえぞ」とエルフィール。
「人間ごときがざれごとを」と死神が大きなカマを出す。
「エリュシケーいるな」とエルフィールの言葉に「はいここに」と天使があらわれた。
「神は罪を償うゆうよを天使に認めておられます。この子は私が見ています」とエリュシケー。
しばらく沈黙があった。
「いいだろう」と死神は消える。
一行は笑いあいそしてキャシーは祈りをささげた。
遺跡で調査隊が行方不明になるということでエルフィールたちが呼ばれた。
「それじゃよろしくお願いします」と調査隊。
一行は遺跡に入る。中は石の通路が続く。暗くたいまつの火だけが照らす。
一行は別になにもなく奥まで来る。そこには調査隊が倒れている。
「どうした」とエルフィール。
「みんな眠っています」とハイベル。
「憎いみんな憎い」と壁から闇のオーラが出てくる。
「なんだこれは」とエルフィール。
「どうやら呪いのようですね」とフィル。
「よしいけ呪い返しキャル」とエルフィール。
「いっきまーす」とキャルが飛んでいくが吹っ飛ばされる。
「だめです」と泣くキャル。
「どうすればいい」とエルフィール。
「これをどうぞ聖水です」とハイベル。
聖水を剣にかけてエルフィールは突っ込む。呪いの力に吹っ飛ばされるエルフィール。ヴァルキリーをまといまた突っ込むエルフィール。剣を壁に打ち込む。壁は崩れ骨が出る。
「収まったのか」とエルフィール。
「呪いは怨念となって千年ここで眠っていたようですね」とフィル。
剣は壁に骨にささっている。
「剣は十字架となって墓となりこれから呪いを浄化し続けることでしょう」とハイベル。
一行は墓を後にする。
一行は草原を歩いている。
ワナにかかった鳥がいる。
「鶴という鳥ですね」とらいでん。
「つるねえ」とエルフィールはワナを外してやる。
「もうつかまんなよ」と鳥を逃がすエルフィール。鳥は一回鳴いて飛び立つ。
一行は旅を続ける。と悪魔が遠くからエルフィールを見ている。
「怨念をこの矢としてきみに送ろう。死ぬんだエルフィール」と悪魔の一矢がエルフィールへと射る。
「悪魔の気配です」とミラル。
「どこだ」とエルフィール。
鶴が舞った。矢をその身に受けた鶴は死んだ。
「つるおまえ」とエルフィールが鶴を抱きしめる。
「恩返しだったのですね」とフィル。
一行はそこに墓を作った。
「ダミエールは醜いアルティ人だ。口を聞くな。無視しろ」
子供のダミエールがみんなから一人残された。
ーーぼくがこんな醜く愚かで馬鹿な人間であるはずがない。
ダミエールは曲を弾いて時が過ぎた。
「いい曲だな」とエルフィール。
「子供の時によく弾いていた曲だ。あまりいい思い出はないがな」
「そうか」とエルフィールは笑う。
「なにを笑うエルフィール」とダミエールは不思議そうだ。
「なにおまえの子供だった時ってどんなだったのかなと思ってさ」
「悲惨な青春だった。言葉にはならない曲を聴いてくれ」と弾く。
それはとてもさびしげでとても壮大な曲だった。
一行は依頼を受ける。それは山岳部にいる巨人を退治してほしいというものだった。
「黎明の騎士の話は聞いている頼む」と街の女王に頼まれる。
一行は山の洞窟に入る。暗くたいまつの火が照らす中巨人たちがいる。問答無用で襲ってくる2メートルの屈強な巨人たち。 「オーガだ」とハイベルの剛剣が斬り裂く。
「数が多すぎる。ここではバリュウスも呼べない」とエルフィール。
多勢に無勢でおされる。
「援軍呼んでこい」とエルフィール。
「はいでやす」とバルディが飛び出す。
ダミエールが吹っ飛ばされる。
ダミエールは意識を失う。
「ねえ人は好き」と闇の中子供のダミエールが聞く。
「嫌いだ」とダミエール。
「人間に生まれたことはよかったかな」と子供のダミエール。
「いやだ。人間なんていやなんだ」とダミエール。
「おい大丈夫か」とエルフィールに起こされるダミエール。
「どうなったエルフィール」とダミエール。
「援軍が来てくれてオーガは倒した」
「人間てな」
「んどうしたダミエール」
「人間て嫌いだった」
「そうか」とエルフィール。
「でもきみは半分人間だ」とダミエール。
「人間にしかない大事なものがある。私にも半分人間の血が入ってるから分かるんだ」とエルフィール。
「そうだな。この醜く愚かで馬鹿な人間が大好きだ。いまここに同じ人間であることに誇りを持とう」
ダミエールはそうしてちょっと笑った。
ある村に来る一行。空に巨大な蛇が踊る。空を砕き大地を砕き暴れる蛇。
「退治するのか」とエルフィール。
「蛇様になんてことを。ただ蛇様は生贄がなかったから怒っていらっしゃるだけなのです」と村人。
「いけにえねえ。バルディ商売だ」とエルフィール。
「へいわかりやしたでやすよ」と二人は駆け出す。
「野良の馬だ」とエルフィールは野良の馬に飛び乗る。ならしてバルディを乗せ山の森を駆ける。
ベネレッタが飛んでくる。
「ベネレッタがこっちでやす」とバルディのほうにイノシシが走っている。矢で射るエルフィール。イノシシをしとめて村に帰る。
「イノシシの丸焼きだ」とエルフィールは丸焼きを作っている。
蛇がイノシシに食らいつく。
蛇は空へと帰っていく。
女性が一人歩いてくる。
「誰だいあんた」とエルフィール。
「女神ニュウワーです」と女神。
女神は砕けた空をなおして砕けた大地をなおしてしまう。
「ありがとう女神ニュウワー。いけにえいるか」とエルフィール。
「祈りがなによりの私の力です」と女神は去っていく。
村はその日を祭りの日にした。
ある村に入る一行。空に細長い龍がいる。
「退治するのか。退治するんだな」とエルフィール。
「龍神様ですじゃ尊くとてもありがたいことですじゃ」と村人たち。
「りゅう」とエルフィールは不思議そうだ。
「東洋のドラゴンであり神様でもあります」とらいでん。
「なにか言えよドラゴンりゅう」とエルフィールは叫ぶが龍はなにも話さない。
村に何日かいるが龍はエルフィールの近くにいる。
「なにが言いたいんだ話せよ」とエルフィール。龍はなにも話さない。
ある日エルフィールは穴を掘り始める。ハイベルもジョルディーもなにも言わずに穴をほった。
水が出る。
「ここも田んぼにできる」と村人たちが喜ぶ。
「こんなもんでどうだい」とエルフィール。
龍は一回ひるがえると天に帰っていく。
「依頼だ。山にドラゴンが住み着いた。危険でないか確かめてほしいということだ」とダミエール。
山に向かう一行。洞窟の中にはドラゴンがいる。
「おいドラゴン。何故ここに住み着く。敵対的行動をするならこっちだってバリュウス」とエルフィールの言葉にバリュウスが構える。
「眠い。眠いねえ」とドラゴン。
「答えろ」とエルフィール。
「あたしは人間だった」とドラゴン。
「なんだ」とエルフィール。
「ドラゴンになる魔法。聞いたことがあります」とフィル。
「人間なんて退屈でドラゴンになったのさ」
「そうか。城に仕えてみる気はないか」とジョルディー。
「その気はないね。ただいまは眠っていたいだけさ」
「仲間にならないか」とエルフィール。
「いまはだからさそういうことすべてがなにか面倒なのさ。私の寿命はまだ数千年ある。いまは眠っていたいのさ」
「そうか。それじゃな」と一行は山を下りた。
「依頼だ。数十メートルの巨人が山に住み着いた。様子を見てくれとな」とらいでん。
一行は山へ向かう。
でかい家に巨人の老婆がいる。
「おーい。何故ここに住む。人間の住むとこだって近いんだぞ」とエルフィール。
「はいはいここは心地いいとこですね」と老婆。
「だからさ、ここは人も住んでるというのさ」とエルフィール。
「何千年生きたことでしょうか。ここで死にたいという地を見つけました。ここでただ日なたぼっこしていたい。それだけなんですよ」
「敵意はないんだな。わかった余生を楽しんでくれ」とエルフィールたちは山を下りる。
「エルフィールこれが世界樹です」とフィルに連れてこられた一行は巨大な木の下にいる。そしてエルフが数億人集まっている。
「祭りでもあんの」とエルフィール。
みんな日の出と一斉に斬り殺しあう。
「なんだどうしたどうしたこれは」とエルフィールが混乱する。
「精霊戦争です」とフィル。
「精霊戦争てなんだ」とエルフィール。
「エルフは千年に一度精霊王の使い手を決める戦争をするのです。精霊王が出るまで戦いは続きます」とフィル。
「おいやめろ」とエルフィールは介入するがみんな殺しあっている。
精霊の力で吹っ飛ばすエルフィール。エルマライラを出した時にみんなの動きが止まった。
「何故だ」とエルフィール。
「それは偉大な精霊使いは偉大な精霊を呼ぶことができるからです」とフィル。
みんなまた殺しあう。
「みんな私を守っていてくれ。ちょっとやりたいことがある」とエルフィールは詠唱をする。
ーーもっと深くもっと深みを。
ーー何用です。
と男が話す。
ーー力を貸せ。
ーーそれだけのものがあなたにはない。
ーー命だってなんだってくれてやる。力を貸せ。
ーーお前の願いはなんだ。
ーー平定の世だ。
ーーいいだろう。
エルフィールは精霊を召還する。
「精霊王だ」とみんなの動きが止まる。
世界樹より巨大な精霊がいた。
「これで千年あなたが精霊王と契約を結んだのです」とフィル。
大量に吐血するエルフィール。
エルフィールは死んだ。一行は無言でエルフィールをうめる。一行は泣いていた。アルスまでが泣いていた。世界樹が光った。葉のひとつひとつから光りあふれてそれがエルフィールに集まる。エルフィールが土をのけて起き上がる。
「どうしたみんな。ハトが豆鉄砲くらったような顔して」とエルフィール。
一行は喜びあった。
頭を下げて去って行くエルフたち。
「精霊王と契約して次はなにをしたいですか」とフィル。
「そうだな。旅がしたい。まだ見ぬ世界を旅してみたいんだ」とエルフィールは笑った。
一行は歩き出す。
なかがき。
愛がヒートアップしていたのでそちらにいってました。
愛が一段落したのでまたダークエレメンタラー書きたく思います。
もうダークエレメンタラーも十年以上になります。
たくさんの不思議とみなさんと旅に出てまた新らしい世界をご一緒できればと思います。
それはわずかな気持ちかも知れませんけれどもここでみなさんと分かちあえることを嬉しく思います。
さあ旅にでましょう。それではまた。
第三十四話 人と神の絆という約束。
一行が山を歩く。麒麟(きりん)が出る。黄金に輝く一角獣である。
「麒麟ですな。東洋の正義を司り悪を討つ聖獣です」とらいでん。
麒麟が一行に攻撃してくる。
「麒麟がなんで攻撃してくるんだ」とエルフィール。
ジョルディーのグリズリーフィッシャーがうなりをあげて麒麟を斬り裂く。鮮血をあげる麒麟。
「おまえ誰だ」とエルフィール。武器しか壊さない魔法剣グリズリーフィッシャーが斬り裂いた。
麒麟と斬りあうジョルディー。
岩陰からジョルディーが出てくる。ケガしている。
「そいつは悪魔だ」とジョルディー。
麒麟の一撃で悪魔は吹き飛ばされる。
「ありがとう麒麟」と一行は頭をさげた。
「災害で夫と父と母を亡くしました。話せないでしょうか」と依頼だ。
「えーと」としどろもどろのエルフィール。
「今度の十日に星がいい形になりますね」とフィル。
「その時にいらっしゃってください」とハイベル。
十日の夜に一同は集まる。
「降霊します」とフィル。
ハイベルが話しだす。
「この世とあの世はな、お互いを豊かに実らせるために頑張る関係にあるんだ。こっちで頑張ればおまえの食事となり実る。おまえが頑張ればこちらの世界の実りとなり私たちの食事となるんだ。こっちにはご先祖様も大変頑張っていらっしゃる。おまえたちの実りある世界はこちらの頑張りによる実りなんだ。祈り。祭り。踊り。歌。音楽。絵。土。水。お互いの愛はお互いの実りとしてお互いを支えあう力としてこの世界にひとつのつながりとしてあるのだよ。愛してる。そして愛に愛尽くし実りをお互い分かちあえること。それが巡る宇宙のことわりなのだよ。さあ愛しあおう。この世界を実りあるひとつの宇宙をさらに豊かにするためのひとつの支える力たらんことを祈っているよ。愛してる。ずっと愛してるよ」
「わかりました。ありがとうございます」と女性は頭を下げた。
宿屋の一階の居酒屋に一行がいる。
「依頼だ」とジョルディーの後ろからアルフィンが出る。
「グランドスラムのお姫様がなんの用だい」とエルフィール。
「私は旅をすることになった。同盟国のグラナスタ王国に行くことになったのだ。その護衛を頼みたいと思う」とアルフィン。
「だからってなにも準備ができてませんよ姫様」とエルフィール。
「それは一週間後じゃ。今日はお忍びでジョルディーと話をしょうと思ってな」とアルフィン。
一週間後。晴天。
「さあ行こう」とアルフィンと一行が馬車でグラナスタを目指す。
姫と護衛を乗せて馬車三台が行く。
「旅は始めてでな。おおここで止めてくれ」とアルフィン。
「トイレか」とエルフィール。
「ここの泉は綺麗でな。そういえば主がいるそうだ」とアルフィンに巨大なワニが襲いかかる。
「てめこの野郎」とエルフィールがなんとか食い止めアルフィンをぎりぎり救う。
ミラルとアドルテアの魔法攻撃が決まる。
ジョルディーの一撃がワニの牙を砕く。
「ジョルディー。姫を見ていてくれ」とエルフィールは精霊をまとう。
エルフィールの一撃二撃まるでボクシングのように十二撃目にワニは動かなくなる。
「いやあ見事見事よのお。すばらしいぞエルフィール」とアルフィン。
ワニの血で真っ赤なエルフィールがアルフィンに詰め寄る。
「姫様こういうのは死ぬことだってあるんだぞ。見物気分で死ぬことだってあるんだ。もう寄り道はなしだ」
「女王様には許可は得てるぞ」
「そういう問題じゃない。誰だそこにいるのは」とエルフィールの言葉に天使メルフィルが出て来る。
「いやあそこで寝てたのよね」とメルフィル。
「またややこしくする」とエルフィール。
「天使様。神様は元気ですか」とアルフィンがひざをつく。
「おーこれはアルフィン。神はすべて見ていますよ」とメルフィル。
「メルフィルまたてきとーなことを」とエルフィール。
「ジョルディーに知り合いの天使がいたとはな。紹介してくれ」とアルフィン。
「天使メルフィルです。神の使いたる天使であり私たちとは以前出会っていて顔見知りです」とジョルディー。
アルフィンは祈っている。
「うんうん。気分いいな。大サービス。願いごとひとつ言いなさいなアルフィン。叶えるぞ」
「グランドスラムを大国にしたいのです」とアルフィン。
「格言をひとつ。遊ぶが勝ち」とメルフィルは笑う。
「天使の言葉普通真に受けるからやめろ」とエルフィール。
「天使の言葉は」とメルフィル。
「絶対だ。でもなこいつは普通の天使じゃない」とエルフィール。
「なにを言う。天使だから蘇らせる力だってあるわよ」
「馬鹿やめろ」エルフィールの言葉も聴かずに主を蘇らせるメルフィル。
「うわあ」とメルフィルは主に襲われている。
「天使は死なない。いまのうちに逃げろ」とエルフィールの言葉に逃げる一行。
馬車で飛ばす一行。
「ふいーっ大変だったなあ」とメルフィル。
「なんでおまえまで乗っているんだ」とエルフィール。
「堅いこと言わないのよ。あそこ左行くと温泉だから入って行きましょうよ」
と一行と天使は布を巻いて温泉に入る。
「これが温泉か。これが温泉というものなのか」とアルフィンは一人興奮している。
「アルフィンこれが温泉そして未来は温泉から始まるのよ」とメルフィル。
「はいわかりました」とアルフィン。
「だから普通天使の言葉は信じるからやめろって」とエルフィールはつっこみいれる。
「温泉に長く入ってると願いが叶うからね」とメルフィル。
数十分後のぼせあがったアルフィンが岩の上で横たわっている。
「やるわね。あなたになら力を貸すわよ」とメルフィル。
「普通に助けてやれよ。まあ認められるってこういうことかな」とエルフィールはため息ひとつ。
次の日。
「アルフィンいいですね。あなたをあなたの国を永遠に守護します」とメルフィル。
「神に永遠の忠誠を示し続けます。この命の限り祈ります」とアルフィン。
それから一行はアルフィンを無事に送り届けた。
「依頼だ」とハイベルが宿屋で話す。
「フェニックスをシンボルとしているファィエンド国があるんだが最近フェニックスの調子が良くなくて見てほしいということだ」
一行はファイエンド国へと入る。
立派で荘厳な神殿の中にはフェニックスがいる。黄金に輝き炎に燃えている。くたりと動かなくなる。
「死にました」と巫女が告げる。国中が騒然となる。
「バリュウス」とエルフィールがバリュウスを神殿に呼ぶ。
「炎を吐け」とエルフィール。
「あいよ」とバリュウスがフェニックスに炎を吐く。
炎にすべてが灰になったと思われたその刹那。フェニックスが生まれ変わる。
フェニックスは元気に空を飛ぶ。
国はその日を記念日にした。
「依頼だ」と一行は依頼のある森まで行く。エルフたちの村がある。
数千人のエルフたちが一行を出迎えた。
「精霊戦争で春の精霊を呼ぶ精霊使いたちがみんな死んだり大ケガしたりしてしまいました。精霊王と契約したエルフィール様ならば春の精霊を呼ぶことができると思うのです。このままではここいらでは春が来なくなってしまいます」
「やってみるよ」
ーー深く深みへ。
エルフィールは裸で空にとけている。空を行くエルフィール。もう一人空にとけている女性がいる。
ーー何者です。
ーー春が来ないと困るんだ。来てくれ。春の精霊よ。
ーー歌を聞かせてください。
ーーいいよ。忘れていたんだ。きみのこと忘れていたんだ。一緒に愛を築こう。世界をこの愛で満たそう。行く手には空。いつまでも歌おう。どこまでも歩こう。世界が愛に巡るとも私たちはまたここに生まれ変わる。だからさ。歌おう。愛を歌おう。いつまでも。どこまでも。ゆっくりと歌おう。それがさだめだと歌ったあの日の夜のことなのだからさ。
それは素朴でとてもいい歌だった。
ーー一緒に行きます。
「風だ」とジョルディー。
「春風(しゅんぷう)です」とミラル。
花は開き。小鳥が飛ぶ。春の訪れであった。
「父など大嫌いだ」と母に言うハイベル。
神殿学校でもハイベルは公然と神を批判した。
「神がなにをしてくれるっていうんだ」
ハイベルを周囲は神の子として一目置かれていた。そのハイベルが神を攻撃して平然としてる様はずいぶん変に思われていた。
「母さんに会いに来ない父神などなんの価値があるんだ。いったいあいつはなにをしてるっていうんだ」
「父さんとは約束したんだよ」と母。
「いったいなんの約束だよ」
「いつまでも一緒だよとね」
「約束」
それからハイベルは神の悪口は言わなくなり黙って考えていることが多くなった。
「母さん決めた神と約束します」とハイベルは宣言した。
ハイベルは神殿学校を卒業すると旅にでる。
「自分の約束を守りたい」と言い残して母と友と別れ旅にでた。
そしていま神殿でハイベルは司祭をしている。
「神と約束しましょう。それを守るために生きるのです」とハイベルは諭す。
「どんな約束なんだ」と神殿学校で友が聞く。
「神のために働きますということを約束したんだ」とハイベル。
一行は旅に出る。
「神よ。神とともに旅にでます。この仲間たちとともに」とハイベルと一行は旅立った。
なかがき。
初めて剣と魔法のファンタジーは子供の時に出会いました。
ロードオブザリングを始めいろんなのを読みました。
その旅はとても不思議でとても充実したものでした。
さあ不思議とともに旅にでましょう。
あの世でも永遠にダークエレメンタラーは書いています。
この旅があなたに福音たらんことを願っています。
応援のファンレターや感想メールも待っています。みなさんの応援の言葉がお互いを支えあい足り得ると思うのです。 それではまた。
第三十五話 悪魔とエルフの戦う日。
シカを射るエルフィール。皮をはいで火で焼く。あたりは夜になり草原にエルフィールたちは野宿である。食事をしながら話をするエルフィールたち。
「小さいな。言ってることが小さいよ」とエルフィール。
「あなたは少しは気にしなさい」とミラルが怒る。
「広い心で見ろよ。無限に広がる世界を心とするんだ。その世界へ旅に出よう」
「確かに世界は広く広大です。でもあなたの言葉は世界を反映してるでしょうか」とミラルが疑問する。
「ぼくは分かる気がします」とアルス。
「あらこんな時いつも反対するのに」とミラル。
「もう一人の自分がささやくんですよ」とアルスは笑う。
「力は世界から得て世界へとまた帰すものです」とフィル。
「確かにそれはそうだ。世界のことわりのひとつということだな」とダミエール。
「世界は神であり、神こそ世界そのものです」とハイベル。
「それも世界のことわりのひとつだね」とらいでん。
「私にとっては世界はエルフィールとの旅さ」とジョルディー。
「それは間違いないですわ」とキャル。
「そりゃ大変だ」とアルスが笑う。
「お姉さまとなら大変結構。それこそがわたくしの尊厳であり生きる意味なのです」とキャル。
「もう死んでるじゃないですか」とアルス。
「それはささいなことですわ。いまはお姉さまとの一分一秒が大事なとても大事な時なのです」とキャル。
「それはそうだね」とジョルディー。
「なんだいずいぶん私は人気があるな」とエルフィール。
「私たちはエルフィールを中心とした家族のようなものですからね」とらいでん。
「当然だ」とダミエール。
「そんなものだからまたみんなここにいるんだ」とジョルディー。
「だからってあまやかさないでくださいよ」とミラル。
「ミラルはエルフィールが心配なのですね」とフィル。
「それはまあそうですね」とミラル。
「きゃっきゃっ」と小人のネム。
「そうだねとネムが言っています」とフィル。
「ぴちちちち」とベネレッタ。
「ベネレッタもエルフィールさんが好きだそうでやす」とバルディ。
「きゃきゃっ」とネム。
「ネムが踊ろうと言ってます」とフィル。
「では一曲」とダミエールが弾く。
踊る小人と小鳥とエルフィールとミラル。
夜はふけていく。
晴れたある日の昼。
小さな人の形をした像がある。かなりデフォルメされた丸い人の像だ。
「なんだこれ」とエルフィール。
「お地蔵様ですな。東洋の神様です」とらいでん。
「神様ならお祈りしておくか」とエルフィールがお祈りしてる。
「てやあっ」悪魔がエルフィールを一刀両断にする。転がるエルフィールの頭。
「これできみはぼくのものさ」と悪魔が頭をひろうがそれはお地蔵様の頭だ。
「てやあっ」エルフィールの一撃に悪魔は追い払われる。
「お地蔵様」とエルフィールたちは首のなくなったお地蔵様にお祈りした。
「ドラゴン戦争ってなんだ」とエルフィール。
「いまドラゴンの王レッドドラゴンが徴収をかけていて神々に戦争を挑もうとしてるんだ」とバリュウス。
「それってやばいんじゃないの」とエルフィール。
「人も滅びること間違いありません」とフィル。
「こちらも準備しょう」とエルフィールたち。
雨。広大なる大地にレッドドラゴンと数千のドラゴンがいる。
バリュウスが降り立つ。
エルフィールたちがレッドドラゴンの前に立つ。
「なんのつもりだ人の子よ」とレッドドラゴン。
「あんたたちを倒す」とエルフィール。
「わっはっはっ。冗談を言うな。人ごときになにができるというのか」
数千騎のドラゴンが舞い降りる。いつかの時の助けたドラゴンたちである。
「人だって馬鹿にしたものじゃないさ」とエルフィール。
ガイアスとバリュウスと一行がレッドドラゴンと対峙する。
「人には明日があると思う。私には明日があると信じている。その可能性のためならばこの命をかけよう」とエルフィール。
「おまえごときの命になんの価値などあるだろうか。馬鹿馬鹿しいのだよ人の子よ」とレッドドラゴン。
「我こそはエルフィールなり」とエルフィールが叫ぶ。
「その度胸は認めよう。もし私を倒したらならばドラゴンの王となるがいい」とレッドドラゴン。
怒轟轟来。
万竜乱舞。
武来乱舞。
空では万のドラゴンたちが戦う。
大地ではレッドドラゴンとエルフィールたちが対峙する。
「バルキリーヴァルキュリアス」とエルフィールが精霊をまとい精霊を装剣する。
レッドドラゴンのしっぽ攻撃にバリュウスが倒される。
「大丈夫か」とエルフィール。
「うひーっいててててなんとか大丈夫だ」とバリュウスが立ち上がる。
「てやあっ」
エルフィールがレッドドラゴンに斬り込む。
「いまいち手応えがない」とエルフィール。
「どこか一箇所を集中攻撃したらどうだ」とジョルディー。
「全員右足ねらえ」とエルフィール。
ガイアスとレッドドラゴンの口炎が踊る中ジョルディーの一撃がレッドドラゴンの右足の爪を砕く。エルフィールがボクシングのごとくレッドドラゴンの右足を右に左に精霊の剣で殴る。
ミラルにアドルテアの魔法攻撃が決まる。レッドドラゴンは倒れた。
羽で飛ぼうとするレッドドラゴン。起き上がるところをハイベルの剛剣が羽を斬る。
レッドラゴンのしっぽの攻撃に吹っ飛ばされるバリュウスとガイアスとエルフィール。
フィルとハイベルがエルフィールを回復する。口から血を吐きながらも立ち上がるエルフィール。
ガイアスもバリュウスも立ち上がる。
「ガイアス。バリュウス」とエルフィールが叫ぶ。
ガイアスとバリュウスがしっぽ攻撃をレッドドラゴンに食らわす。
エルフィールの一撃がレッドドラゴンのしっぽを斬る。
ジョルディーの一撃がレッドドラゴンの牙を砕く。
レッドドラゴンの口炎が踊る。ガイアスとバリュウスを盾にしてそれから飛び出すエルフィールはレッドドラゴンの頭を右に左に精霊の剣で殴る。十五回殴ったとこで口を開けて炎を灯すレッドドラゴン。「エルフィール」とミラルが叫ぶ中、口の中をエルフィールの剣が突く。レッドドラゴンは死んだ。
全身真っ赤に血をあびたエルフィールが「勝ったぞ」と叫んだ。
とエルフィールの手が光る。ジョルディーを見るエルフィール。うなずくジョルディー。二人は光りでレッドドラゴンを斬る。
レッドドラゴンが再生する。すべてが元通りになる。空が晴れた。
「なんてことだ」とエルフィールが攻撃するが精霊の剣がはねかえる。
「長く長い邂逅が私を堕落させていた」とレッドドラゴンはとても落ち着いた声で話す。
「なにか様子が変です」とフィル。
「レッドドラゴンとは本来神のドラゴンなのだ。それがいつのまにかちっぽけな存在にしていた。いま神としての力を取り戻した」とレッドドラゴンは雄叫びをあげる。
「つまり戦争はやめてくれるということか」とエルフィール。
「約束しょう。神と人との約束と思ってもらって結構だ」とレッドドラゴン。
空の万のドラゴンも散っていく。
「エルフィール」とレッドドラゴン。
「なんだいレッドドラゴン」とエルフィール。
「人の子よ。その名を覚えておこう」とレッドドラゴンは飛び去る。
「ありがとさん」とエルフィールは笑った。
ある日昼時の晴れの日に森から崖に出る一行。突然ミラルが泣き出す。
「どうしたミラル」とエルフィール。
「あたしには生きてる価値がないんだ」とミラルが崩れ落ちる。
しばらくエルフィールがミラルを抱きしめている。
「あたしね」とミラルが泣きながら話す。
「エルフィールたちと旅をする前にある仲間と旅をしていた。でもここでオーガと戦い仲間は死にあたしは崖から落ちて一人だけ助かってしまったの」
「そうか」とエルフィールがミラルをさらに抱きしめる。
女神ヴァルキュリアスがやってくる。
「こんな時になんの用だ」とエルフィール。
「あたしだってひまじゃないけどさ。頼まれたのさ」
ミラルと向き合うヴァルキュリアス。
「誰だって誰かを助ける命なんだよ。だから生きてるのさ。誰かを助けるさだめ。おまえにしか救えない命がある。そのために生きること。そのために人は生きているんだ。命を救うためにおまえは生まれたんだ。天国では必要な人は死ぬことで呼ばれる。それだけ天国は広大で祈りで維持構築されている。それだけ祈り足り得る命が必要なんだ。体は神の細胞であり魂は神の一滴の血たるものだからな。生まれ変わる奴もいる。天国で育てる子供もいる」
「はい神よ」とミラル。
「気持ちのままに進め。やつらからの伝言だよ」
「わかりました」とミラルはエルフィールの腕から立ち上がる。
「旅をしましょう」とミラルは笑った。
黒く明滅する悪魔。
「勝負」とエルフィールたちが抜刀する。
エルフィールの手が光る。
「美しい」と悪魔は見とれている。
ジョルディーとともに光りで悪魔を斬る。
どこかで鐘が鳴る。
教会には神に仕える人間の女がいる。そこに男の天使が降り立つ。
「いけません天使カイル」と女。
「何故いけない。アリステイア」と天使。
「私たちは神に仕える身。恋愛などになんの意味がございましょう」
「恋はとても尊くそれは命にさえ変わるだろう。なにがいけないというのか」と天使は叱咤する。
「私たちには恋愛感情よりも大事なものがあります」
「それでも好きなのだ。私のことは嫌いかな」
「好きです。けれども私は神に仕える身。この身は神にささげたのです。分かってください。そもそも天使と人間ではつりあいがとれません」
「天使がいけないなら天使はやめる。堕天使となってアリステイア。きみを迎え入れよう」
悪魔が暗く暗く暗い場所にいる。
「私はなにをしていたんだろう。私は誰だ。誰かを愛していたような気がする。誰を愛していたのだろうか」
悪魔は幾千の旅の末にエルフィールを見つけた。
そして悪魔はいま光りに天使へと生まれ変わっていく。
「私はカイル。天使だった」とカイル。
「いや、あなたは天使ですよ」とエルフィール。
「私にその資格があるだろうか」と嘆くカイル。
天使が舞い降りた。
「カイル。あなたなのですね」とアリステイア。
「アリステイア。きみは天使になっていたのか」
「そうです。さあ神のために尽くしましょう。これからずっと一緒ですよ」
「そうだね。これからずっと一緒に神に仕えよう永遠に」
カイルは泣いていた。エルフィールも泣いていた。
「ありがとうエルフィール。ずいぶん迷惑をかけたな」
「それもいいさ」とエルフィールとカイルは握手する。
「さあ行こう。世界を救うために」とカイルとアリステイアは空へと遠く遠く飛んで行く。
「なんだかとても人恋しい」とエルフィール。
「みんないますよ」とミラルは笑った。
「さあ旅がしたい。旅にでよう」とエルフィールと一行は旅立つ。
第三十六話 闇との邂逅に響く愛に。
野宿する一行。夜に焚き火をかこむ。
「あなたはもう少し考えなさいな」とミラル。
「いやあ私は直感というのに常に従うだけで迷ったりしないんだよね」とエルフィール。
「ちゃんとした人間になるためにはちゃんとした考えが必要なんです」とミラル。
「考えるのも悪くありません。けれども決断できない残念な人生ほどみじめな人はいません」とフィル。
「私は決断してエルフィールと一緒に過ごしています」とミラル。
「確かに私たちは家族なのかも知れない」とジョルディー。
「出会いがなければここにはいなかった」とらいでん。
「そうさ。これが運命さ」とダミエール。
「おねえさまと旅ができることが嬉しくて」とキャル。
「そしてエルフィールさんはみんな連れて行っちゃうんだな」とアルス。
「ぴちちちち」とベネレッタ。
「そうでやす踊りやしょう」とバルディ。
「きゃっきゃっ」と小人と一行がダミエールの曲に踊る。
夜はふけていく。
闇が夜風にささやく。
ーー闇がある。
「どこだ」とジョルディー。
ーーその男だ。
「らいでんか」
とジョルディーの手が光る。エルフィールが横にいた。
光りでらいでんを斬る。
友達とケンカを繰り広げるだけの日々。
大人のらいでんが話しかける。
「それはいけないよ」
「誰だい。どこにいるんだい」と少年のらいでん。
大人のらいでんと子供のらいでんは何日話しただろう。
「いるんだよ」と少年のらいでん。
「どこにも誰もいやしないよ」と親は相手にしない。
「でも誰かがいるんだよ」とらいでん。
今日も少年のらいでんは大人のらいでんと話をする。
「世界の真理を教えてあげよう」と大人のらいでん。
「うん。うん」と少年のらいでん。
数年が過ぎていた。
らいでんは学院に入り学問を勉強するようになる。
「もういまの私に教えることはない」と大人のらいでん。
「はい先生」とらいでんは走り出す。
それを大人のらいでんは見送った。
「じゃあ頼むよ」とエルフィール。
小人の魔法で小人になるエルフィール。
「あんたも好きだねえ」とネム。
「なにネムがいたからできることさ。ありがとさん」とエルフィール。
キャットライダーとなって壁を走り屋根を飛び飛び走るエルフィールとネム。
人ごみを突っきりグランドスラムの城を駆け上がる。城のてっぺんから城下町を世界を見る。
また家から家へと走りだす。屋根を飛び飛び壁を駆け上がる。
回る世界。
世界が踊る。世界と踊る。
草原に出て木をのぼる。
そして小鳥ライダーとして空を行く。
巨大な雲の中は真っ暗だ。雲から出る。巨大な雲を走り雲の世界を踊る。世界と踊る。
風に吹っ飛ばされる。なんとか持ち直しまた飛ぶ。地平線に落ちる太陽に飛ぶ。雲を追い越す。鳥の大群をくぐりぬけそしてまた飛ぶ。風に乗りグライダー。そしてまた空へと飛んで行く。
それを大地だけが見送った。
「ゼオ。不定期な仕事だがやってくれるか」
「はい」
−−またか。あーカップルを道で見た。リアルが充実してる奴なんてみんな爆発しやがれ。
ゼオは27年の人生で楽しかったことはない。
「先輩。生きがいってなんですかね」と後輩。
「知らないよ」とゼオ。
ーーはやくこんな人生終わればいいのに。
ゼオは夜中に帰途に着く。
火事だ。
子供の城と呼ばれる三階立ての木製の建物だ。
「子供が取り残されているぞ」
ーー知らねえよ。
ゼオの背中が光った。
振り向くと老いた自分がいた。
ーーこれが自分か。なんと醜くなんてみじめな人生だろう。
ゼオは走りだす。子供の城に飛び込み階段を駆け上がる。
上の階で子供たちを外に投げる。下では大人たちがキャッチしている。
「もういないのか」とゼオ。
もういない。安心した途端に床が焼け崩れた。
窓にはりつきかろうじて生きているゼオ。
「動けない」
ーー神様。これでいいですか。私天国へ行けますか。さようなら。さようならみんな。
ゼオは窓から手が離れる。
「まだ死ぬにははやいぜ」とエルフィールが窓から手をつかむ。
ゼオはエルフィールに助けられる。
道にまで降りてきて親に抱きしめられる。
「おまえを助けた依頼料は一回分でいいぜ」とエルフィール。
「いたい」とゼオ。
「それは命の重ささ」とエルフィール。
「これが命か。なんて命って尊いんだろう。これが命の重さ。はじめて命をかけた。命をかけて人を助けるっていいな。生まれてきてよかった。私を世界に生み出してくれてありがとう」とゼオは泣き出す。
女神ヴァルキュリアスとエルフィールがいる。
「あいつは前世では立派な人間だったんだけどな。転生するうち堕落してしまったのさ」とヴァルキュリアス。
「こんなもんでいいのか。光りといい大奮発だぜ」とエルフィール。
「いつも私の意識使ってるだろうさ。それじゃな」
「またな」と女神と別れる。
夜に野宿する一行。熟睡する一行の中で一人酒を飲むジョルディー。
ーー闇がある。
ささやく声がする。
「闇か。なんの用だ」とジョルディー。
ーー闇がある。それを手に入れてほしい。
「いいさ。どこにある」とジョルディー。
ーーその女だ。
と闇。
「エルフィールにか」とジョルディーはエルフィールの元に行く。
ーー見よ。
どこだろう。それは闇の中。夢の中かも知れなかった。
エルフィールはもう一人の自分と剣で殺し合いをしている。
「どうだこれがおまえだ」と一人のエルフィール。
「私はそんな人間じゃない」ともう一人のエルフィール。
「父親を殺したのはこの腕か。この体か。おまえが殺した人たちの感触はこんな感じか」と一人のエルフィール。
「やめろ」ともう一人のエルフィール。
「さあその手で私を殺せよ。それがおまえの罪なのだ。苦しみぬいて死ぬのがおまえのさだめ」と一人のエルフィール。
「このやろう」ともう一人のエルフィールは剣で応酬する。
ジョルディーがエルフィールの手をつかんだ。
エルフィールの手にぬくもりがあった。
「光よ」二人の声が響き光りが一人のエルフィールを斬る。
エルフィールは部屋にいた。台所ではダリルがお茶を入れている。
小さな子供のエルフィールがエルフィールの手を引っ張る。
「ダリル様」とエルフィール。
「おお我が神よ。エルフィール死んだのかい。おまえは相当人を殺してるから天国には行けないとは思っていたよ。いまお茶を入れるからね。そこに座りなさい」とダリル。
小さなエルフィールと座るエルフィール。
「紅茶でいいかな。緑茶に砂糖というのもハマッていてね」とお茶を出してテーブルに着くダリル。
「ダリル様私私私ね本当にダリル様が」とエルフィールは泣き出す。
「エルフィール。人を抱きしめてあげなさい。そして。そしてね。自分を抱きしめてあげなさい。自分の罪を抱きしめてあげること。それが本当の人生だよ」
エルフィールは顔を上げる。
「はい父さん」とエルフィールは答えた。
それからひととき話は続く。
「それでジョルディーったらね」とエルフィールはジョルディーのことばかりを話す。
それを黙ってうなずき聞いているダリル。
そして永遠は邂逅を歌う。
第三十七話 眠りは愛に織りあがる。
一行は夜に野宿である。雨がたくさん降っている。バリュウスが羽を広げてテントになってそこで焚き火を囲みシカを食べている一行。
「腹すいたな」とエルフィール。
「雨の日は狩猟も難しくあることあなたも知っているでしょう。子供じゃないんだから文句ばかり言うもんじゃないわエルフィール」とミラル。
「ミラルさんよ。そうは言っても腹は正直さ」とエルフィール。
「ちょうどいいからダイエットでもなさったらどうかしら」とミラル。
「こういう時はいつものいくか」とエルフィール。
小人のネムの魔法に小さくなる一行。でかいシカにかぶりつくエルフィールたち。
「いやあ小人が仲間だとこういう時にいいよな」とエルフィール。
「ネムありがとう」とミラル。
「なにあんたらは小人の救世主たる人たちさ」とネム。
「ネム。きみこそ小人の英雄じゃないか」とジョルディー。
「小人の時は小人の魔法が分かります。ネムさん。教えていただけますかな」とアドルテア。
「それはいいですね。小人の魔法は私も知りません」とフィル。
「これは興味深く本にしてもいいかな」とらいでん。
ミラルたちはネムと魔法の話である。
「踊ろうぜ」とエルフィール。
「小人の踊りトロックルですか」とアルス。
「ネムに聞いた小さな体でうまく踊る方法なんだよな」とエルフィール。
「そうですわね。それこそ小人の踊り」とキャル。
「幽霊には関係ないですけどね」とアルス。
「言ってくれますわね。幽霊なりに呪う方法だってあるんですよ」とキャルとアルス。
「ケンカはよせよせ。ケンカは犬も食わないと言うじゃないか」とエルフィール。
「あなたが言っても説得力ないですよ」とミラルがちゃちゃを入れる。
「エルフィールがみんなをまとめているのも確かさ」とダミエール。
「神はいつでも善徳あるべき人の味方です」とハイベル。
「ぴちちちちちち」とベネレッタが踊りだす。
「やあ今日はいい気分でやすな」とバルディも踊る。
ダミエールが弾く。エルフィールたちは踊る。そんな日の夜。
夜。焚き火の炎に影がうつろう。影の誰かが剣を持っている。
エルフィールが突き飛ばされる。
「誰だ」とエルフィール。誰もいない。
「影だけだ」とジョルディー。
「姿を消す魔法かも知れません」とミラル。
「影だ」とエルフィールは影めがけ剣をふるう。
影との剣戟。それは音もすれば確かに剣の反動がある。
「こいつめ」とジョルディーの一撃ははねかえされる。
「魔法の剣なのか」とエルフィール。
影たちが無数に取り囲まれるエルフィールたち。
「バリュウス」と寝てるバリュウスをケリ起こすエルフィール。
ドラゴンブレスがそこらを焼き尽くす。
だが影はなんともない。
「どういうことだ」とエルフィール。
影たちが無数に躍る。
「どうしたのですか」とフィルが起きてくる。
「こういうわけだ」とエルフィール。
「それは影の一族という種族ではないでしょうか」とフィル。
「影の一族だって」とエルフィール。
「なんでもとてもいたずら好きで、人にいたずらしては遊ぶ種族らしいですよ」とフィル。
「なんだいたずらか」とエルフィール。
影と踊りだすエルフィール。エルフィールは自分の影で肩を組んだりしてる。
一行は影と遊ぶ。
草原を歩く一行。夕日が綺麗である。とそこに狼の一団が大挙して集まる。
「なんだなんだ」とエルフィール。
「落ち着いてください。狼は人を襲いません」とミラル。
と一匹の狼が立ち上がり人の姿に変身する。
「おれ。斬り込み隊長のウォーホー。ここ獣人の里。よそ者殺す」と獣人。
狼の毛皮を頭と背中と腰にまとい男というか少年は話す。
「バリュウス呼ぶか」とエルフィール。
「ゲリラ戦にはドラゴンは向きません」とミラル。
「話しあいという道もあるのですよ」とフィル。
「それじゃあ」とエルフィールが話しかけウォーホーは斬りかかる。
それを剣で寸前受け止めるエルフィール。
「それでフィル。話しあいの次はなんだったかな」とエルフィールは斬りかえす。
獣人たちが立ち上がる。剣を出し向き合う。
「バリュウス」とエルフィールが叫ぶ。
「あいよ。やれやれ竜使いのあらいこったな」とバリュウスが降り立つ。
獣人たちがどよめいた。
「少し待て」と声がする。老人の声だ。
老人の獣人が出てくる。
「もしや黎明の騎士ではないかな」と老人。
「そうだ」とエルフィール。
「その話聞いたことがある。神さえ一目置く冒険者たちの話。ウォーホー」
「はい。長老」
「この人たちに着いていけ。そこで見たこと里に伝えよ」
「はい。よろしく」とウォーホー。
「急だがまあいいさ」とエルフィール。
「ウォーホー。頑張る。とても力になる」
「その名前叫ぶのじゃ耳がいたい」とエルフィール。
「人には人の名前が必要です。これからあなたはアイタカと名乗りなさい」とフィル。
「アイタカ。名前。気に入った。よろしく。アイタカ。よろしく」
「やれやれなんとかなったか」と一行はまた旅にでる。
一行はある村へ来る。土で作られた家々にはホビットたちが住んでいる。百人はいるだろうか。
「ホビットの村ですね」とらいでん。
ホビットの子供が転げ落ちてケガをする。ハイベルとフィルが回復する。家々のホビットは見てるだけだ。
「どうしたんだ。どうして誰も出て来ない」とエルフィールが叫ぶ。
「明日には治ります」とホビットの男。
「今日からあんたらも村の一員だよろしくな」と村のホビットの女。
「私たちは旅をしているんだ。この村の一員にはならないよ」とエルフィールは答える。
村を出て歩いて行く一行。だがまた村へと戻ってしまう。どこの道へ行こうとも村へ戻って来てしまう。
「どうしたことだ」とエルフィールは汗をぬぐう。
「この村のホビットでスーザンと言います」と女のホビット。
「百年前に子供のホビットが神様にお願いしたのです。毎日幸せな日にしてほしいと。それ以来村は同じ日々を暮らすようになり誰も年をとらなくなったのです」とスーザン。
「なにか村を出る方法はないのか」とエルフィール。
「歌を歌えばいいということですが、それ以来村では歌が歌えないのです」とスーザン。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと手を合わせてもまだ残った手が光る。
それから次々と一行や村の人たち全員と手をつなぐ。一行と村の人たちは全員で歌を歌う。
「忘れられた歌があった。そこには世界のすべてがあるという。愛を歌うことができない世界など世界であるはずがない。神よ。この愛をおゆるしください。世界は愛で満たされてそしてまた世界は愛の力で巡っているのですから。愛すればこそ命燃えるとも。愛よ。いまこの世界を愛で満たさん」
村を守っていたガラスのような空間が砕けていく。
「私は世界を見たいのです」とスーザン。
「仲間になりなよ」とエルフィール。
一行は旅立つ。
もう二日もジョルディーが目を覚まさない。
「魔法でもまじないでもありません」とミラル。
宿屋の一階の居酒屋で一行は話している。
「エルフィール」と誰かがエルフィールを呼ぶ。
それは二階のジョルディーの寝てる部屋から聞こえてくる声。
声に導かれるままにジョルディーの前に立つエルフィール。
「ここよ」
エルフィールはジョルディーに倒れ込む。
エルフィールは森の中にいた。子供のジョルディーがいる。
「ここから先には通せないな」と子供のジョルディーはグリズリーフィッシャーを抜刀する。
「そこを通るのが私のすべきことでね」とエルフィールは抜刀すると精霊をまとい装剣する。
精霊の剣でグリズリーフィッシャーと斬りあう。
腕前は互角。であるならばとエルフィール。
「精霊王よ」と精霊王を召還する。
その衝撃でジョルディーを吹っ飛ばす。その先には大人のジョルディーが眠っていた。
「なにこういうのはお約束さ」とエルフィールはジョルディーにキスする。起きるジョルディー。
大人のジョルディーと子供のジョルディーがグリズリーフィッシャーで向き合う。
すさまじき剣戟の応酬。そしてそれは美しくあった。
「美しい。そして決まる」とエルフィール。
大人のジョルディーが子供のジョルディーの剣をはじく。
「えへへ。つえーなおれは。なあだからさ。守ってやれよ」と子供のジョルディーは大人のジョルディーとひとつになる。
「こうなることは分かっていました」と声がする。先ほどエルフィールが聞いた声だ。
「アーティニー」とジョルディーとエルフィールの前にアーティニーが立っている。
「ずっと見守っていました。せめて夢で癒しをとそれがこんなことにまでなってしまって」とアーティニー。
「愛してるんだ」とエルフィール。
「知っていました」とアーティニー。
「いまからでも遅くない一緒に旅をしょう」とエルフィール。
「アーチャの望むままに」とジョルディー。
「私は。私はそよ風と会話してずっと空を眺めてそしてまたただそこにいる一日。そんな日々の繰り返しの中で守る愛。それが尊く思うのです」とアーティニー。
「愛しあっているのに」とエルフィールは食い下がる。
「あなたがいます」とアーティニー。
「私は。私はジョルディーが幸せならばそれでいいんだ。それで満足さ」とエルフィール。
「じゃあこれでいいのさ」とジョルディー。
「エルフィール。あなたがジョルディーにはとてもお似合いよ」とアーティニーは笑った。
「神様だからか。これが愛なのか」とエルフィール。
「愛しています。そして慈しんでいます。永遠にその魂を愛しているのです」とアーティニー。
「ありがとう。私も愛してる。そう永遠に」とジョルディー。
「私は。私だって永遠にこの魂を愛してるさ」とエルフィール。
「永遠に愛しています。この愛を永遠にこの魂に誓います。この魂とこの愛と果てなき永遠の旅を約束します。いつか蘇ると語られる日にいま始まり未来永劫永遠に続く旅を魂はひとつとなって愛とともに永遠の旅をいまここに」とアーティニー。
三人が手をだす。
三人の手が重なりすべてが光りとなる。
ーー永遠に愛してる。
三人の意識が織りあがる。
ジョルディーとエルフィールが宿の外に立っていた。
風が花びらをひとつ運ぶ。
いん。
グリズリーフィッシャーが花びらを斬る。花びらは刀身に印刷されたかのようにはりついた。
ーー気持ちはいつも一緒に。
「そういつも愛してる。だからいまは旅にでようエルフィール。どうしたエルフィール」とジョルディーは剣をしまう。
「ジョルディー。おまえの涙がかわくまでここで日なたぼっこしょう」とエルフィール。
「おまえの涙もな」とジョルディー。
二人はしばらく泣いていた。風はやさしく二人を抱きしめるように流れていた。それは永遠の始まりだと誰かが風にささやいた。そして花は今日も咲き誇る日のこと。
第三十八話 巡りあう桜の下で。
一行は野宿である。夜。満天の星空。
シカを焚き火で焼きながら話している一行。
「だからさどっちかじゃなくてさ」とエルフィール。
「どっちかですよ」とミラル。
「両方というのもあるのですよ」とフィル。
「そりゃあドラゴンはなにも持たないからな」とバリュウス。
「アイタカ。持たない。決して命以外なにも持たない」とアイタカ。
「やれやれ獣はこれだから仕方ありませんね」とアルス。
「曲にはすべてがあり世界がある」とダミエール。
「本にもすべてが描かれる日がくることでしょう」とらいでん。
「酒にはすべてがあるなひっくうぃー」とジョルディー。
「この酔っ払いが」とミラルが怒る。
「おねえさまがいればなにもいらない。おねえさまがすべてよ」とキャル。
「魂しかないじゃないですか」とアルス。
「あっしはベネレッタがいればそれでいいんでやすよ」とバルディ。
「ぴちちちちち」とべネレッタ。
「きゅいーきゅいー」とカーバンクルがエルフィールになすりつく。
「あーはいはい」とエルフィール。
「私は歌がすべてですね」とスーザン。
「魔法はすべてを司さどる根源なのです」とアドルテア。
「神こそ世界のすべてでありまた世界そのものなのです」とハイベル。
「きゃっきゃっ」とネムがささやくように言う。
「みんなで踊ろうと言っていますよ」とフィル。
ダミエールが弾きそしてみんな踊った。
夜がふけていく。
海の水がすべて炎となり井戸から火が吹く。
人々が逃げ惑う。
「なんだこれは」とエルフィール。
「なにか力があります」とフィル。
「こちらですね」とミラル。
遺跡の中でなにか透明な巨大な卵がありそこに女神ヴァルキュリアスがいる。
「かなり力を失っていく」とフィル。
「どういうことだヴァルキュリアス」とエルフィールが叫ぶがヴァルキュリアスは答えない。
力の風圧がさらに世界を震撼させる。
「やめろ」とエルフィールが精霊の剣で斬りかかる。
吹き飛ばされるエルフィール。
「大丈夫か」とジョルディーに立たせられるエルフィール。
「これは」とフィルがふるえる。
「どうした」とエルフィール。
「神が死にかけています。これは死にます」とフィル。
「なにが。これはいったい」とエルフィールの手が光る。
ジョルディーと手を合わせて神を斬る。
巨大な惑星。広大な大地にエルフィールたちはいた。
「これがいまの私だ」とヴァルキュリアスの声がする。
「死ぬのか」とエルフィール。
「そうだな。おまえたちの言葉にはないことなのだが近い表現だと生まれ変わるとか再生するとかかな」とヴァルキュリアス。
「なにかできないのか」とエルフィール。
「いまくる」と大地は木々や花が咲き出す。世界はそして世界となる。
ーーそして生まれ。そして死に。そして巡る。
エルフィールたちは遺跡にいた。
ヴァルキュリアスが目の前にいた。
「神が生まれ変わる時災害となる」とヴァルキュリアス。
「そうか」とエルフィールは剣をしまう。
「またあったら頼むよ」とヴァルキュリアス。
「できたらな」とエルフィール。
一行は旅に出る。
一行は大軍の前に出る。
「なに戦争でもやってんの」とエルフィールが兵士に聞く。
「なにかたった一人に五万の大軍が倒されているんだ」と兵士。
「おお冒険者か。それももしや黎明の騎士ではないかな」となにか偉そうな将軍のような格好の男。
「いま雇う。なんとかしてくれ」
「とりあえずはな。いいけどさ」とエルフィールたちは倒れている兵士たちの中心にいる女に向かう。
「神なのか」とエルフィール。
「まったく人間というのはうるさくてかなわん。よおエルフィール」と女。
「は。こんな奴知らないぞ」とエルフィールたちは誰も知らない。
「私だよ」と目の奥が赤く赤く萌える。
「レッドドラゴンか」とエルフィール。
「なにねちょっと話がしたかったんだが。私の姿ではここいら吹き飛ぶから人の姿できたんだ」
「かわいい女に声じゃないか」とエルフィール。
「ドラゴンには気持ちの変化による口調の変化などはあまりないのでね」
と話しつつ歩き出す一行。
「こらどうした。その女を倒せ黎明の騎士よ」と将軍。
「くしゅん」レッドドラゴンのくしゃみに残りの兵士たち一万人が吹っ飛んだ。
「それでなんだったかな」とレッドドラゴン。
「それでさ」とエルフィールたちは歩き出す。
一行は旅を続ける。
朝。道を歩く一行。風が花びらを運ぶ。
「桜という木の花びらですな」とらいでん。
花びらが幾重にも舞う。
「いいねえ。でもどこからきてるんだこの花びら」とエルフィール。
花びらは花吹雪となり一行のお互いの姿が見えなくなる。
「おい。これは」とエルフィールも花吹雪に消える。
花吹雪の中ハイベルは一人歩く。誰かがいる。
「エルフィールさんかな」とハイベル。
「ハイベル」とそれはハイベルの母である。
「母さん。とっくに死んだはず」とハイベル。
「どうしても旅に行くんだね」と母は荷物を選んでくれる。
「母さん。母さん」
「なんだね。神殿学校を卒業してもう大人だろうに。親ばなれできないのかい」と母は荷物を整理してる。
ーーいまやり直すならば力をあたえん。
少女の声がする。
「母さん。母さんぼくはぼくは旅に出てしまえばもう母さんとは会えないかも知れない。でもいまなら」
「好きにしなさい。自分の人生を自分で決める時が来ます。親は先に死ぬものだからね。ハイベル。あなたはどうしたいの」
「あ。あの。その。ぼくは親孝行がでもあのその」
ハイベルは泣き出す。
「あなたが生まれてくれてそれだけで私は十分に嬉しくそして報われたよ」
母を抱きしめるハイベル。
「母さん。行ってきます。そしてたくさんの人々を救う旅にでます。二度と会うことはないでしょう」
「天国でね。父神様と見守っています。元気で」
「はい母さん」
桜の花吹雪は二人をおおいかくす。
桜の花吹雪はある少女を導きだす。
「アーティニー。どうした行くぞ」と若き日のジョルディー。
「ここはどこですか」とアーティニー。
「なに冗談言ってるんだ。戦いを平定するんだ。その旅をしてるんだろう」
「私は花に。え。これは魔法なのですか」
「おいおいどうした。いいから着いてこい。おれに着いてくればそれでいい。アーティニー。おまえはおれのものなんだからな」
ーーいまやり直すならば力をあたえん。
「私は何故ジョルディー。あなたに着いて行こうとしたのでしょうか」
「知らないよ。いいから着いてこい。おまえはおれのものだ」
「そうでしょうか。私には自分の選択があったはずです」
「なんだ駄々をこねるな今日は。いいからさ。一緒に歩いて一緒にめし食って一緒に寝て一緒に水あびしてさ。それで一緒に生きてさ。それが希望とかって奴なんじゃねえの。おれは学校行ってないから難しいことは知らん。どうして泣くんだアーティニー」
アーティニーはジョルディーを抱きしめる。
「お、おいどうしたアーティニー。おれ変なこと言ったか」
「だからなのですね。だからジョルディー。あなたを愛しています」
「おれだってそうさ。愛してるよ」
「さあ旅をしましょう」とアーティニー。
「そうこなくちゃな」
二人を花吹雪がおおう。
桜の花吹雪が少女を見出す。
「ここはどこ。そう天国ね」とベネレッタ。
ーーいまやり直すならば力をあたえん。
「天国に連れて来てくれてずいぶん親切な人ね。でもあたしの答えは決まってるのよ」と歩くベネレッタ。その先にはバルディがいた。
「何度生まれ変わってもあなたを見つける」とベネレッタ。
「あっしもでやすよ。あっしもそうでやすよベネレッタ」とバルディ。
二人は泣きながら抱きしめあう。
「永遠に愛してるバルディ」
「永遠に愛してるでやすよベネレッタ」
二人は踊るように抱きしめあった。
二人を花吹雪がおおう。
桜の花吹雪が舞う。
城にはジョルディーとエルフィールがいた。ダリルが歩いて来る。
「私は何故おまえといたんだっけジョルディー」とエルフィール。
「私も知らないな」とジョルディー。
ーーいまやり直すならば力をあたえん。
「きっとジョルディー。おまえの生き方を愛してるんだ」とエルフィール。
「私だってエルフィールの生き方を愛してるさ」
「ジョルディー。おまえとだったらとても楽しい旅ができる」
「おまえともなエルフィール」
「幾千の旅をジョルディーとともに」
「幾千の旅をエルフィールとともに」
二人は手を取り合う。
「何故泣く」とエルフィール。
「おまえも何故泣く」とジョルディー。
二人が歩き出す。
花吹雪が舞う。
そして桜吹雪が過ぎる。
一行は誰も欠けることなくみんないた。
旅は続く。
第三十九話 命萌えたつ愛に。
夜。野宿している一行。シカを焚き火で焼いてくらいつくエルフィールたち。
「そういえばハイベルっていくつなんだよ」とエルフィール。
「九千年以上は生きているな。だがあることがあって三千三百三十三才から年をとらないということがあってまあ話せば長くなる」とハイベル。
「まったく神の一族は話がいくらあっても足りないのよね。その点妖精にはなにもないわよ」という桜は拳みっつくらいの大きさの妖精である。
「桜といいキャルといいおしゃべりが増えたようですね」とアルス。
「あたしのほうが上よ。妖精の魔法で見せてあげようかしら」と桜。
「幽霊の呪う力見せてあげましょうか」とキャル。
「よせって二人ともさ」とエルフィール。
「妖精の魔法についても話を聞かせてください」とアドルテア。
「それはいいですね。私も知らない魔法です」とフィル。
「はいはい。私もよろしくお願いします先生」とミラル。
「興味深くとても意義のある話ですな」とらいでん。
「おほん。魔法の根源とはひとつである。よろしくてね」と桜。
「空が綺麗だ。この星に乾杯」とふらふらするジョルディー。
「この酔っ払いが」とミラル。
「なにか歌いたい気分です。曲はまだですか」とスーザン。
「この星。なにか凶運。悪いこと起きる」とアイタカ。
「縁起でもないな」とエルフィール。
「こんな夜にはこんな曲がよくにあう」とダミエールが弾く。
「踊りやしょう。こりゃなんかの前祝いでやすよ」とバルディが踊る。
「ぴちちちちちち」とベネレッタがまわり飛ぶ。
「みゅーみゅー」とカーバンクルもエルフィールと踊る。
夜がふけていく。
「お久しぶりですエルフィールさん」といつかのいじめられていて魔法学院に入った少年である。 「よおクラインじゃないか。どうした」とエルフィールたち。
「今度魔法学院の中等部に入ることになりまして休みの期間なんです。そのあいだだけでもご一緒させてください」とクライン。
「なにも変わったようには見えないがな」とエルフィール。
「こんなことができます」と一通りの魔法を使うクライン。
歓談してグランドスラムで過ごす。
クラインが魔法学院に戻る日が来た。
「帰りたくありません。もう仲間になるくらい強くなりました。私は立派な戦力です。エルフィールさんだって倒してみせます」とクライン。
「そうか」と抜刀して精霊をまとい装剣するエルフィール。
「ちょっとエルフィール」とミラル。
「変声期すら過ぎてないが人が自分の力を見てほしいというんだ。その人生の集大成をな。こちらも人生の集大成で応えるべきさ」とエルフィールは斬りかかる。
クラインの魔法をいくつ斬ったことか。クラインは肩で息をしてる。
「精霊王よ」吹っ飛ばされるクライン。倒れて動けない。
「それがいまのおまえの実力さ」とエルフィール。
泣き出すクライン。
「またな」とエルフィールたちに見送られてまた魔法学院に戻るクライン。
一行は旅に出る。
道を歩いている一行。
ヴァルキュリアスが向こうから歩いて来る。
「よお久しぶり」とエルフィール。
「死ね」とヴァルキュリアスが力を出す。大地が砕けめくれあがる。レッドドラゴンが前に出て防いでいる。
「なにをする」とエルフィール。
「神々の黄昏なんだ」とヴァルキュリアス。
「神々の黄昏ってなんだ」とエルフィール。
「ラグナロクウォー。神々の最終戦争だ」とレッドドラゴン。
「それって世界が滅ぶということか」とエルフィール。
「神々が憂鬱になるとでも言うのでしょうか。神々が戦争をするということですね」とフィル。
エルフィールの手が光る。
「レッドドラゴン」とエルフィールが叫ぶ。
「おう」とレッドドラゴンが元の姿に戻る。
その風圧に空に舞い上がるエルフィールとジョルディー。空から二人の光りがヴァルキュリアスを斬る。
ヴァルキュリアスが崩れて砂のようになっていく。上からまた再生したヴァルキュリアスが光り輝いてあらわれる。
「私はいったい」とヴァルキュリアス。
「戻ったようだな」とレッドドラゴンは人の姿に戻る。
「エルフィールまた助けてもらったようだな」とヴァルキュリアス。
「なにこれからかえしてもらうさ」とエルフィールと握手した。
一行の旅は続く。
一行は岩山を歩いている。少年がやってくる。
「あんたたち黎明の騎士か」と少年。
「そうだ」とエルフィール。
「依頼したい」と少年。
「なんでも言うがいいぞ」とレッドドラゴン。
「ぼくを殺してほしいんだ」と少年。
「そんなの自分でできるだろう」とレッドドラゴン。
「ぼくの魂は魔王と同じものなんだ。闇の一族に襲われて町は壊滅した。ぼくはもう天涯孤独なんだ。どんなに高いところから飛び降りても死なないんだ」と少年。
「こいつやばいぞ。本物の魔王だ。私が倒す」とレッドドラゴンが前に出る。
「レッドドラゴン。ここは私に任せてくれ」とエルフィール。
「人間の力など魔王には」
「レッドドラゴン」とエルフィール。
「エルフィール」とレッドドラゴン。
「頼む」
「分かった。けれどももしもの時は私が殺すからな」
エルフィールが前に出る。
「黎明の騎士たちの話は聞いてる。神さえ殺したそうじゃないか。ぼくを殺してこの呪われた体から開放してくれ」
「生きろ」とエルフィールは少年に近づいて行く。
「違う。殺してほしいんだ」
「生きろ。命があるだけで生きる権利がある」とエルフィールは近づく。
「こないでくれ。殺してほしいんだ。もう生きたくないんだ」
「生きろ。命は親の願い。この星の願いなんだ」
「殺してくれ」
「生きろ。命は愛。それだけで価値ある意味ある世界なんだ」
「ぼくは。ぼくは。ほくは本当は生きたい。生きたいんだ」と泣き出す少年。
エルフィールがやさしく少年を抱きしめる。
「生きていい。生きていいのさ。生きて幸せになろう。もう一人じゃない。一緒に生き残る道を探してそしてね。そして人生を歌おう。もうずっと一緒だよ。愛してる」
「愛してくれてありがとう。ありがとう一緒に生きてくれて愛してくれてありがとう」
「さあ旅をしょう。それはとても楽しいものさ。時々死にそうになるけどな」とエルフィールは涙をぬぐいながら歩く。
一行の旅は続く。
第四十話 赤き愛に満たされる世界。
一行は夜に野宿である。シカを焚き火で焼いている。
「それでもドラゴンの末裔か」と人の姿のレッドドラゴンが叫ぶ。
「そうは言ってもあっしはとても幼くてまだ若くてできないこともありますよ」とバリュウス。
「バリュウスは私たちにとってはかなり戦力なんだかな」とエルフィール。
「甘やかすな。ドラゴンの一族はこうでなくてはならない」とレッドドラゴン。
「ドラゴンのことは人には理解できません」とミラル。
「フィルはそれでいいのか」とレッドドラゴン。
「エルフィールがあなたを倒したこと忘れたわけではありませんよね」とフィル。
「そうだな。ハイベルおまえの話は聞いてるぞ神の末裔よ」とレッドドラゴン。
「私は神に仕えるだけです。それ以外の道はありません」とハイベル。
「テアはどうなんだ」とエルフィール。
「ぼくは冒険者になったばかりでまだ考えてないです」とテア。
「おれは考えてるぜ。行こうぜ冒険いいじゃねえの。かっはっはっ」とテアの剣の魔王の意思。
「おまえには聞いてない」とエルフィール。
「ドラゴンの魔法を聞きたいです」とらいでん。
「ドラゴンの魔法はとても難解なものだ。よろしいかな」とレッドドラゴン。
「それは聞いたこともない話です」とフィル。
「さすがはドラゴンの魔法は特殊ですね」とミラル。
「魔法はドラゴンにとっても意味のあるものなのですね」とアドルテア。
「とても興味深く奥が深い話です」とらいでん。
「幽霊の呪いについても話してもいいのに」とキャル。
「聞くかぼけえ」と桜。
「私は聞いてみたいな」てスーザン。
「甘やかさないで。これは命をかけた話なのよ。成長するためには自分で理解していかなくてはいけないわ」と桜。
「魂だけの幽霊に成長などないですけどね」とアルス。
「魂は成長とかいうことはではなくて巡る力なのです」とフィル。
「巡りあう世界で。この愛に乾杯」とジョルディー。
「まあ今日は大目に見ましょう酔っ払いが」とミラル。
「踊りやしょう。ベネレッタはもう踊ってやすよ」とバルディ。
「ぴちちちちち」とベネレッタ。
「きゃっきゃっ」とネムも踊る。
「きゅーきゅー」とカーバンクルが踊る。
「歌は任せてください」とスーザン。
「やっぱり踊りはいいね」とエルフィール。
踊るジョルディーたち。
一行の夜はふけていく。
ハイベルたちがある町に来る。教会のようなところで老婆が働いている。人々を助ける老婆。
「久しぶりですハイベル」と老婆。
「誰だったかな。クリスティーヌか」とハイベル。
「誰だよハイベル」とエルフィール。
「戦災孤児だった私を育ててくださったのがハイベル父さんでした」とクリスティーヌ。
何日か歓談するクリスティーヌとハイベル。クリスティーヌが亡くなる。そして若くて美しい女性の天使になる。
「ハイベル父さん。一緒に旅をしてもいいですか」とクリスティーヌ。
「一緒に行こうぜ」とエルフィール。
一行は旅にでる。
女神ヴァルキュリアスがいる。
「暴れている神がいる」とヴァルキュリアス。
「どこだ」とエルフィールたちはバリュウスに乗って飛んで行く。降り立った大地には男が一人立っている。
「誰だおまえは」とエルフィール。
「自分から名乗るのが礼儀と違うかな」と男。
「なるほど。私はエルフィール」
「私は力の神グラヴィラグスだ」とグラヴィラグス。
「それで」とエルフィールが話しだす瞬間エルフィールたちの後ろの山がひとつ吹っ飛ぶ。
「力こそ正義だ」とグラヴィラグス。
「ぐおおお」レッドドラゴンが元の姿に戻り力を防ぐ。世界が変わる。
「私の世界にした」とヴァルキュリアス。
「バリュウス」とエルフィールが叫ぶ。
「あいよ。神と戦争することになるとはね」としっぽ攻撃するバリュウス。しっぽ持たれてぐるぐるまわされるバリュウス。
「ひーえー。おたすけー」とバリュウスは吹っ飛ばされる。
「かっかっかっ。ドラゴンも質が下がったものよのお。これが神々を滅ぼすというドラゴンの力か」とグラヴィラグスは笑っている。
「レッドドラゴン近づけるか」とエルフィール。
「近づけぬな。すさまじい力だ。防ぐので精一杯だ」
「ジョルディー行くぞ」とエルフィール。ジョルディーと手をつなぐエルフィール。
「精霊王よ」と精霊王に包まれつつ進むエルフィールとジョルディー。光りが神を斬る。惑星が爆発した。隕石はぶつかりあいそして惑星となり燃え立つ惑星。また世界は自然あふれる世界になる。
「世界は力だけじゃなかったな。私でよければ力をかそう。我が名は力の神グラヴィラグス」と名前を叫ぶ。
一行はまた旅にでる。
少女が夜も始まりの時に山を走っている。転げ落ちてくる少女。
「大丈夫か」とジョルディーが抱えあげる。
少女のナイフがジョルディーの腕を斬る。
「私をアムナスタ国の姫アムネスタと知ってのろうぜきか」とアムネスタはジョルディーから手を逃れる。
「なに言ってんだ助けてやったんじゃないか」とエルフィール。
「ここは私に任せてくれエルフィール」とジョルディー。
「私になんの用だ。だますつもりか。金か純潔か奴隷にして命がほしいのか。私からなにを奪うつもりだ。この尊厳だけはやらぬぞ」とアムネスタはナイフをふるう。
「アムネスタ姫。姫を国に帰したいだけですよ」とジョルディー。
「国では大臣が反乱を起こして父王様も母上も一族皆殺しにされた。もう帰る場所はないのだ」とアムネスタは泣き出す。
「ダミエール」とジョルディー。
「わかった」とダミエールが一曲弾く。それにあわせてジョルディーが歌う。
「小鳥よ。ここにきて歌っておくれ。どこへ行くというのか。あの空はそんなに広いのかい。小鳥よ。小鳥よ」と歌う。アムネスタが泣きやむ。
「アムネスタ姫。私は」と黒ずくめの男たち二人が走ってくる。
「その女を渡せ」と黒ずくめ。
「断る」とジョルディー。
剣を抜刀する一同。
「ジョルディーなら楽勝だな」とエルフィール。案の定ジョルディーが剣を砕く。魔法だ。複数の光りの刃がジョルディーを襲う。
「精霊王よ」とエルフィールの精霊に木に吹っ飛ばされる男たち。
「あばらの三本はいったかもな」とエルフィール。ハイベルとフィルがジョルディーを回復している。胸から腹までざっくりと斬られてる。
「アムネスタ姫」とジョルディー。
「そこまでしてなにがほしいのだ。私のなにがほしいのだ。私はかえせるものがない」とアムネスタ。
「愛がほしい」とジョルディー。
「愛。愛だと言うのか」
「命は愛しあうためにあるのです」とジョルディーがアムネスタに近づいて行く。
「近寄るな。殺すぞ。私はなにももってない」とアムネスタ。
「愛してる。一緒に旅をしょう」とジョルディー。
「近寄るな。殺すぞ。私はなにもできない貴族じゃ」とアムネスタ。
「愛してる。一緒にごはんを食べよう」
「近寄るな。殺すぞ。私はなにもだせないのじゃ」
「愛してる。一緒に愛しあおうアムネスタ」
「愛愛愛愛」とアムネスタが泣き出す。
「愛してる」とアムネスタがジョルディーを抱きしめる。
「姫血がつきます」
「ジョルディー。おまえの愛で汚されるならば悔いはない」
ジョルディーがアムネスタを抱きしめる。
「愛してる。この命は愛しあうためにあるんだ。なにもださなくていい。愛だけあればいいんだ。それが家族というものだよ。家族になろう。愛を育むだけの日々でいい。それだけでいいんだ。愛してる。一緒に生きていこう」とジョルディー。
「私も愛してる。この愛に誓う。家族になってくれてありがとう。一緒に生きてくれてありがとう。愛してる」とアムネスタ。
「一緒に旅をしょう。旅は楽しいものさ。喜びを分かちあい悲しみを分かちあい。そして歩いていこう。ずっと一緒だよ」とジョルディーたちは歩いて行く。
一行は旅にでる。
第四十一話 木と舞う愛というささやき。
夜に野宿している一行。焚き火でシカを焼く。アルフィンがアムネスタと話す。
「どうじゃ。我が城で暮らすのは。貴族ともなれば冒険の旅はこたえるだろう」とアルフィン。
「あたしもいるわよ。楽したいじゃないの。やっぱり人生は楽しまなくちゃ」とメルフィル。
「いえ私はできるだけジョルディーのそばにいたいのです。それだけがいまの私の望みなのです」とアムネスタ。
「私もついていますよ。聖者には天使がつく。それは当然のことなのです」とクリスティーヌ。
「なんでも言ってくれ。頼ってくれアムネスタ」とジョルディー。
「ぼくもここで旅がしたい。エルフィールさんのそばで眠りたい」とテア。
「可愛い奴め」とエルフィールがテアを抱きしめる。
「乳離れできないのかい。かわいい奴め。げらげらげらら」と魔王。
「黙れ愚か者めが」とエルフィール。
「魔王とは通じあうことはできません。けれども人とならば心と心が通じあえる可能性があるのです。そこに愛で勝負する。そういう人間でなければなりません」とフィル。
「いい曲ですね」とスーザン。
「なに聞いた曲が私の中で巡りこうなる」とダミエール。
「歌いたい気分です」とスーザン。
「踊りたいな。踊りたいな」とじたんだふむバリュウス。
「うるさいわ。ドラゴンたるもの動かざること山のごとし。まだ若く遊びたいさかりなのだな」とレッドドラゴン。
「ドラゴンの踊りはないのですか。あったら教えていただきたいですな。とても興味深い」とらいでん。
「おりゃあ知らないな。どうですかいレッドドラゴン」とバリュウス。
「おまえはまだ精神年齢が若すぎる。教えてもわかるまいな」とレッドドラゴン。
「神は踊りを楽しみます。ドラゴンとていまは戦ってはいないですよ」とハイベル。
「でも神々の黄昏はあるがな。神々と戦う人間か。おまえたちはとことんおもしろい奴よのお」とヴァルキュリアス。
「それもまた力なのだろう。力のある奴は好きだ。それが私の存在そのものだからな。かっはっはっ」とグラヴィラグス。
「魔法についての話は何度聞いてもおもしろいものです。魔法こそが人の力そのもの。魔法こそがその本質なのです」とミラル。
「その話は永遠にしても尽きることはなく本質とはまた永遠を歌うものだからね」とアドルテア。
「妖精も何千年も生きるからね。あたしは結構魔法知ってるわよ。妖精の魔法は人は使えないけどね」と桜。
「幽霊の呪いにも無数にあるのですが聞きたくはないんでしょうね。しくしくしくしくしくしく」とキャル。
「ベネレッタ。多少ひからびているけど保存しておいた木の実でやすよ」とバルディ。
「ちちちちちち」とベネレッタが食べる。
「きゃっきゃっ」とネム。
「踊りやしょう」とバルディたちは踊る。
夜がふけていく。
「暴れている神がいる」とヴァルキュリアス。
「行こう」とエルフィールたちはバリュウスで飛ぶ。
荒野に男の神が一人立っている。
「調停の神ネクストラネウだ」とネクストラネウ。
「おとなしい神じゃないか」とエルフィール。
大地はどんどん荒野になっていく。
「やばいなこりゃ」とエルフィール。
「こんな奴ぶっ飛ばせばいいんだよ」とグラヴィラグスが力の風圧をあびせる。
きいん。
グラヴィラグスが吹っ飛んだ。
「自分の力でかはっ動けない」とグラヴィラグス。
「精霊王よ」とレッドドラゴンの後ろから出て精霊王に包まれて進むエルフィールとジョルディー。光りが神を斬る。光りは闇となってしまう。
「くっどうすればいいんだ」とエルフィールたちは精霊王で飛びつつうなる。
「闇よ力を貸してくれ」とジョルディー。
ーーいいだろう。おまえには貸しがたくさんある。
と闇。また神を今度は闇で斬る。それは光りとなって光りが神を斬る。自然の調和を聞く日々だったネスクトラネウ。
「忘れていた。そうだ。私は調和のためにいたのだった」とネクストラネウ。
「そういうこった」とエルフィール。
一行は旅に出る。
バリュウスに乗って空を飛ぶ一行。
空から巨大な木が迫ってくる。逆さに生えた巨大な木である。
「なんだこりゃ」とエルフィール。
巨大な逆さの木の枝には無数の鳥が止まっている。
「ここは鳥の天国なのだよ」と誰かがささやく。
「誰だい」とエルフィール。
「神樹だ。ここではどんな木の実も食べ放題だ。どこまでも飛べる。どんなに眠ってもいいんだ。鳥の楽園なのだよ」としんじゅ。
「しんじゅがなんの用だよ」とエルフィール。
「ベネレッタ。きみを迎えにきたのだ。さあここで永遠に過ごすのだよ」としんじゅ。
「あら私行かないわよ」とベネレッタの声が聞こえる。
「どうした。きみはもう十分にいいことをしたのだよ」としんじゅ。
「ベネレッタ。ここでならあっしのひからびた木の実より新鮮な木の実が腹いっぱい食えるだよ」とバルディ。
「天国よりあなたが大事。あなたと過ごす時間が大事よ」とベネレッタ。
「あっしら魔王の一族。呪われた種族であるあっしに天国はないんでやすよ。いけねえベネレッタ。天国へ行ってくれでやすよ」とバルディ。
「あたしの幸せはここにある。何度でも生まれ変わってあなたの愛になる。何度でもあなたを支える。何度でもあなたを守る。それがあたしの選んだこと。何度でも生まれ変わってあなたと生きるよ」とベネレッタ。
「あっしには天国には成り得ないでやすよ」とバルディが泣く。
「泣かないでいとしい人。あなたがいればそこが天国よ。たとえこの世が苦しみがなくならない世界だとしてもあなたがいればそこはあたしの楽園。あなたとの愛に生きることに答えなどいらない。ただ二人がいればそれでいいのよ。泣かないでいとしい人。あなたがいればそこはあたしの世界。あなたがいない天国になんの意味があるでしょう。あなたと過ごす時間こそあたしの意味。答えて愛よ。神様。ただ一緒に過ごすことをおゆるしください」とベネレッタ。
「好きにしていいのだよ。ベネレッタ。でも忘れないでおくれ神はいつでもあなたの愛を守っていること」としんじゅ。
「ベネレッタ。ありがとうでやす。何度生まれ変わる一生を愛すでやすよ。あっしの力の限り大事に大事に愛すでやすよ」とバルディ。
「勘違いしないで。あたしはあなたと過ごすために生きてるのよ。あなたといるのがあたしの大事なことなんだからね。浮気はだめよ。あたしだけを見ててくれなくちゃだめなんだからね」とベネレッタ。
「あっしにできるのは一緒に踊り一緒に食事して一緒に眠ることだけでやすよ。幾千の人生を永遠に一緒に過ごすだけでやすよ。この愛に誓う永遠をベネレッタとともに」とバルディ。
「永遠に生まれ変わる一生をバルディとともに天と地が永遠を歌うその永遠に愛が宇宙に満たされ神が眠る日に眠り神が歌う日に歌う永遠をあなたとともに生きる日に何度でも出会ってもあなたとわかる。だってあなたは死んでもなおらないくらいとてもお金が好きだからね。ねえ。永遠に愛してる」とベネレッタ。
「あっしも永遠に愛してるでやすよ」とバルディ。
「永遠の愛を歌う鳥よ。おまえの歌を永遠に告ぐ日よ。永遠の愛をその歌を聞こう」としんじゅは消えていく。
小鳥はバルディのまわりを飛んでいた。
一行は旅を続ける。
第四十二話 聖者と歌う愛という希望。
夜に野宿する一行。シカを人数分とって焚き火で焼く。食事しながら話す。
「ずいぶん髪が伸びたわね。もう背中まであるわよ」とミラル。
「ミラルもな。フィルなんて腰まであるぜ」とエルフィール。
「ずいぶん大きな胸ね」とミラル。
「ミラルも大きいじゃないの」とエルフィール。
「それを言うならばレッドドラゴンもかなり胸も髪も大きくあります」とミラル。
「これはそういう魔法だというだけだ。ある意味実態ではない。これが私の実態だ」と元の姿に戻るレッドドラゴン。
「ドラゴンの王の姿とはこうあるべきなのだ。これこそが美。これこそが尊厳なのだよ人の子よ。エルフィールよ」とレッドドラゴン。
「あっしもドラゴンなんでやすがねえ。人になる魔法教えてくれでやす」とバリュウス。
「いいぞ。それは簡単なことではないぞ。たとえドラゴンと言えども鍛錬が必要なのだ」とレッドドラゴン。
「酒がうまいなひっくうぃー」とジョルディー。
「そうれすわねえひっくうぃー」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「テアはどこから来たんだ」とジョルディー。
「北欧のほうなんですよ。かなり放牧が盛んでとてものどかなところです」とテア。
「私は大帝国のそばの国だった。かなり寒かったな」とアムネスタ。
「ハイベル父さんはどうしていたんですか」とクリスティーヌ。
「話せば長くなる。それは神の子たる私でも過酷なものだった」とハイベル。
「ハイベル父さんならばすべて乗り越えてきたことなのでしょうね」とクリスティーヌ。
「かいかぶりすぎと言いたいがまあそうかもな」とハイベル。
「おれにもなんか食わせろよ」と魔王。
「黙ってろ」とエルフィール。
「なんだい人助けはしておくべきだろうにさ。けっけっけっ」と魔王。
「魔王がなにを言う」とエルフィール。
「魔法の話でいいかな」とアドルテア。
「魔法の天秤はいいのですが」とミラル。
「魔法の調和は愛によってなされていることですな」とアドルテア。
「エルフィールさんはチームワークをなんだと思っているんですか」とアルス。
「そんなこと言ってもさ」とエルフィール。
「エルフィールさんの話はくだらないんですよ」とアルス。
「アルス。人には個性があり、個性を伸ばせば誰の個性でも希望になるのですよ」とフィル。
「それは確かにそうだな。それだけ個性というのは奥が深くあること。それが人の道というものです」とらいでん。
「アイタカ。獣。肉好き。それ以外興味ない」とアイタカ。
「これだから獣は仕方ありませんわね。気高くある妖精とは比べようもありませんわ」と桜。
「あんたは誰でも旅の仲間にしてしまうのね」とミラル。
「来る者は拒まず。去る者は追わずさ」とエルフィール。
「いい曲ですね。歌をあわせてもいいですか」とスーザン。
「スーザンの歌とは相性がいい曲さ」とダミエール。
「踊りやしょう。今日は気分がいいでやすよ」とバルディ。
「ぴちちちちちちち」とベネレッタ。
「バルディにかかれば毎日がお祭りだからな」とエルフィール。
「この曲でどうかな」とダミエール。
「悲しみは夜に消える」とスーザンが歌いだす。
「きゃっきゃっ」とネムが踊る。
「きゅーっきゅーっ」とカーバンクルが踊る。
夜がふけていく。
エルフの女性が立っている。腰まである金髪が美くしくある。
「私はカムイ。剣の道を極めたいと思っている。お手合わせ願いたい」とカムイ。
「私でどうかな」とハイベル。
怪力の剣がうなる。それを受け流す。受け流したハイベルの剣が大地を砕く。ハイベルの力を受け流しハイベルののど元に剣。勝負はついた。
「もういないのか」とカムイ。
「私でどうかな」とジョルディー。
「チャラそうな男だな」とカムイは向き合う。
踊るように剣同士が舞う。まるで舞踏のように剣が舞い二人はとても美しい。
「なんだこの動きは」とカムイ。
「決まるな」とエルフィール。
ジョルディーがカムイの剣をはじく。
「ジョルディーを倒すまで着いて行く」とカムイ。
「それじゃ旅の仲間だな。よろしくな」とエルフィール。
一行の旅は続く。
草原で一人の男が座っている。バルディが近づいて行く。
「ぴちちちち」とベネレッタ。
「わかったでやすよ。どうしたでやすか」とバルディ。
「私はボルドと言います。五十八まで商人ギルドを仕切ってきた。千人を超える商人にチームワークが大事だチームプレーだと説いてきた。だが私のミスからギルドは解散した。私たちは歯車にすぎなかったのか。部品だったのかと問われてみんないなくなってしまった」と男は嘆く。
「そうでやすな。あっしの貯金は貴族くらいあるでやすよ」とバルディ。
「どうやって。一人で稼いだのですか」と男。
「そうでやすよ」とバルディ。
「弟子にしてください」と男。
「いいでやすよ」とバルディ。
バルディと男は歩き出す。
ある街に来る一行。道で浮浪者を介抱する青年がいる。
「このごみくずが」と兵士が青年をケリ倒す。
「まったく汚い格好の奴がうろうろとうざいこと。くさいんだよ。これ見よがしに人助けでもしてるつもりか。前は兵士をしていてずいぶん人も殺してるそうじゃないか。罪ほろぼしのつもりか。おいこらなんか言ってみろ」と兵士たち。
「やめろ」とエルフィールがあいだに入る。
「なんだはむかうつもりか」と兵士とにらむエルフィール。
「やめてください。私のことで争わないでください」と青年。
「ふん。生かしておいてやっていさせてやるんだ。ありがたいこったろう。まあ人間ここまでおちたくないものだがな」と笑って兵士たちは歩いて行く。
「何故とめる」とエルフィールが青年に食って掛かる。
「やめてくだせえ。この方は聖者です。身よりのないあっしたちの面倒を見てくれるんでやさ。そんなこと国がしてくれやすでしょうか」と介抱されてる男たち。
「おまえもさあこんなことしてなんの得がある」とエルフィール。
「愛がもらえます」と聖者。
「金になんねえだろう」とエルフィール。
「金などいりません」と聖者。
「こんなことして誰が評価してくれる。誰が見てるっていうんだ」とエルフィール。
「神が見ています」と聖者。
「あれか。天国にでも行きたいくちなのか」とエルフィール。
「愛しあえばそこが天国です」と聖者。
「こんなことしてなんの報いがある」とエルフィール。
「愛がある。それが私の報い」と聖者。
「おまえの幸せはどうなってしまうんだ」とエルフィールが食い下がる。
「みんなの幸せが私の幸せです」と聖者。
「こんなの犬死にだと言う奴だっているさ」とエルフィール。
「私が死んだら愛が残ります。人はいずれ死になにもかもなくなります。けれども愛だけは伝わり受け継がれていきます。その愛のひとつであること。それが私が生きる意味なのです。私は愛のために死ぬために生まれました」と聖者。
「名前でも残したいとは思わないのか」とエルフィール。
「愛が私の名です。愛が私の体です。愛が私の言葉です。愛が私の価値なのです。愛が私の成し得たことです。愛こそが私そのものです。たとえ星が人が滅びたとしても愛だけは残るでしょう。愛と過ごした時は宝物であり私たちが残した愛を永遠に宇宙は神は歌うことでしょう」と聖者。
「一緒に旅に出ないか」とエルフィール。
「私はすべてを愛にする愛の旅に出ています。この人生は愛という旅をすでにしているのです。人を愛にしていく旅なのです」と聖者。
「手伝おう」とエルフィールたちは手伝う。一ヶ月がたった。
「この国の神殿が力を貸してくれるようになってかなり助かっています」とハイベル。
「もう大丈夫みたいだな」と一行は聖者に別れを告げて旅に出る。
第四十三話 別れと出会いそして紡ぐ愛。
夜に草原で野宿する一行。シカを焚き火で焼きながら食事である。
「どうやって奇跡を起こせるの」とミラル。
「なんか勝手に手が光ってさ。なんかそういう感覚というのかな」とエルフィール。
「魔法と違って不安定なものですね」とミラル。
「そんな金の稼ぎ方があるんですか。勉強になりますな。いやあすばらしい」とボルド。
「金の世界は奥が深くてでやすねえ。まだまだでやすな」とバルディ。
「アイタカ。シカうまい。いくらでもこい」とアイタカ。
「獣はこれだから。いやそうだね。もう一人の自分がささやく。まあいいか」とアルス。
「いつも一緒だよ」とエルフィール。
「はい。いつも一緒ですね」とテア。
「けっけっけっけっ。ママが忘れられないのかい子猫ちゃん。けらけらけら」と魔王。
「黙れ魔王。おまえに人の情が愛がわかってたまるものか」とエルフィール。
「ふん。魔王ごとき私の牙の敵ではないわ。なんならば戦ってやろうか」と言ってレッドドラゴンは元の姿になる。
「さあ魔王よかかってくるがいい。おまえの魂までも焼き尽くしてみせようぞ。我が誇りにかけてな」とレッドドラゴン。
「ばあか。私の本体はテアの体なのだ。テアごと殺すことになるぞ。こののーたりんが」と魔王。
「そこまでです。お互いに剣をしまいなさいな。事情はどうあれいまは旅の仲間なのですよ」とフィル。
「口おしいぞ」とレッドドラゴン。
「魔王は封印しかできないでやす。こらえてくだせえレッドドラゴン。ここはあっしにめんじてこらえてくだせえ」とバリュウス。
「ルールとマナーがなってないんですよエルフィールさんは」とアルス。
「おねえさまになんてこと言うんですか」とキャル。
「ケンカするなや」とエルフィール。
「それでどこまで話したかなアムネスタ。ひっくうぃー」とジョルディー。
「そりはえーとそう王子様が来たとこまでですよ。ひっくうぃー」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「きみの前になにもないなんてうそうそうそよ」とスーザンは歌う。
「うまく曲にあわせるものだね」とダミエール。
「歌うことが好きなんです」とスーザン。
「歌はいい。神があたえてくださったなかでもとてもいい」とハイベル。
「この花あまりおいしくないなあ。もうちょっといいのない」と桜。
「妖精に神々にと話をいくら聞いても聞き足りないなあ。こまったこまった」とらいでん。
「神の話などはな。人の知恵ということだよ。だからさあのめのめ」とヴァルキュリアス。
「力こそが正義。力こそがすべてなのだ。力よ。それが我が名よ」と力の神。
「自然の調和こそがもっとも美くしくあるものです。それ以外は必要ありません」と調和の神。
「魔法は天使にもあるのですか」とアドルテア。
「天使のみが使える魔法もありますがそれは人の言葉にはできないものです」とクリスティーヌ。
「ぜひ説明だけでも聞かせてください」とアドルテア。
「それは私もぜひ」とミラル。
「踊りやしょう」とバルディが踊りだす。
「きゃっきゃっ」とネム。
「きゅーっきゅーっ」とカーバンクル。
夜はふけていく。
「助けてください」と巨人の女性。
「巨人戦争が起きるのです。大勢死にます」と巨人の女性。
「いいぜ」とエルフィール。
「安請け合いだな。それがエルフィールらしいのだがな」とレッドドラゴン。
バリュウズで飛ぶと巨人が何万人といる。「かかってこい。どんとこい。てやあっ。うわあっ」バリュウスは巨人と対峙するがすぐにフルボッコにされる。それをレッドドラゴンが人の姿のまま巨人を転ばす。
「ほれおいほれおい。ほれおいほれおい」とレッドドラゴン。
そこをエルフィールとジョルディーが光りで斬る。
「よっこらせ。よっこいせ。おいしょっ。よいしょっ」とヴァルキュリアスが巨人を転ばせエルフィールたちが斬る。
「どりゃあ。せりゃあ。どりゃあ。せりゃあ」と力の神グラヴィラグスが巨人を転ばせエルフィールたちが斬る。そうして巨人たちは帰って行く。
「調和は自然に協調して生きることなのです」と調和の神ネクストラネウ。巨人たちが倒れていく。一時間後みんな帰って行く。
「ありがとう。私も仲間にしてください」と巨人の女性。
「きゃっきゃっなむちゃっ」と小人のネムの魔法で人の大きさになる巨人の女性。一行の旅は続く。
「よおグリュンワルド」とエルフィール。
「おまえ剣士か。剣を抜け」とカムイ。もう抜刀するカムイ。
「問答無用ということかな」とグリュンワルドも抜刀する。舞うように踊るように剣が舞う。カムイがグリュンワルドの剣をはじく。
「もう一人いるな。おまえも抜け」とカムイ。
「私は剣士ではないよ。学者なのだ」とグリュンワルドの父。
「知ったことか」と剣をふるう。舞う剣。美くしい。カムイが剣をはじいた。
「見たか。これが私の力だ。私は強い。ジョルディー勝負だ」とカムイ。ジョルディーと剣が舞う。美くしい。そしてジョルディーが剣をはじく。
「どうして負ける。どうして負けるんだ」とカムイが涙を流す。
「また一緒に旅だな」とエルフィールたちは旅立つ。
ある遺跡で調査する一行。
「古代語ですね」とミラルとアドルテアが壁に掘り込まれた言葉を解読する。
「未来が永遠を歌う時」とミラルが読み上げる。
光りが一行を包む。光りに消える一行。
バルディが宿屋でお茶を飲む。少女がバルディの前に座る。
「へーゴブリンじゃん。めずらしー。なにここいらへん旅してるの」と少女。
「へい。商売してるでやすよ」とバルディ。
「あたしなんかさあゴブリン嫌いじゃないんだよねえ。結構好きなんだよねえ。みんなから変わってるって言われるのよねえ」と少女。
「ずいぶん珍しい趣味ですなあ。ゴブリンが好きなんてねえ」とバルディ。
「あなたお金が好きなの。そういうの好きだなあ」と少女。
「もう千年も生きてるでやすよ」とバルディ。
「えーまじやばいなあ。好きになりそう」と少女。
「あっしには好きな子がいるでやすよ」とバルディ。
「えーやけるなあ。どんな子なの」と少女。
「とてもやさしくてゴブリンであるあっしを愛してくれたでやすよ」とバルディ。
「忘れていた。それはとてもいとしい人。でもね。何度生まれ変わってもあなただとわかる」と少女。
「何度出会ってもわかる」とバルディ。
「バルディ。何度出会ってもあなたとわかる」と少女。
「ベネレッタ。何度生まれ変わってもこの愛に何度も何度も永遠に出会う人よ」とバルディ。
「バルディ。何度出会ってもこの出会いに永遠の愛を誓う。永遠に愛してる」と少女。
「ベネレッタ。何度出会ってもこの出会いに永遠の愛を誓う。永遠に愛してる」とバルディ。
「やっぱりあなただとわかった。だってあなたは死んでも変わらないからね」と少女。
「あっしもあんただとわかった。あんたはとてもかわいいからね」とバルディ。
「あなたを何年も探していた。生まれた時から探していた。あなたを愛するために生まれたこの命。あたしはあなたと過ごすために生きてきた。あなたとひとつになるための永遠を探していた。あなたとの永遠に生きるために何度も生まれるこの命」と少女。
「あんたを探していた。何千年かかっても探すでやすよ。あんたとひとつになるためにあっしは生きているでやすよ」とバルディ。
「何度生まれ変わってもあなたを探す。何千年愛してる。何万年愛してる。天国よりあなたが大事。あなたと過ごす時こそあたしの楽園。永遠に一緒にこの愛とともに。永遠を誓う。永遠の愛を誓う。何度生まれ変わってももあなたを愛してる。あなたとの時を永遠にこの愛に誓う」と少女。
「何度生まれ変わる一生をあんたとともに。あんたとの愛に永遠に誓う。何度生まれ変わってもこの一生があんたとの愛でいっぱいになりやすように。今度は木の実じゃだめでやすな。心配しないでくだせえ。あんたを食わせるくらいかせいでいるでやすよ。腹いっぱいにするでやすよ」とバルディ。
「あなたの性格はとてもくせがあって死んでもなおらないわね。ゴブリンさん。あなたの心が好き。さあ旅にでましょう。それはとても楽しいものよ。さあ旅にでたい。一緒に冒険の旅へ」と少女。
「ええ旅にでやしょう。一緒にまた旅をしやしょう。それはとても楽しいでやすよ。永遠に一緒でやすよ」とバルディ。
光りはまた世界を包む。宿屋にエルフィールがいる。青年がエルフィールの前に座る。
「彼女一人」と青年。
「消えろ」とエルフィール。
「いいじゃん話そうよ。エルフなの」と青年。
「おまえに私のなにがわかる」とエルフィール。
「かなり強くてドラゴンだって倒すんじゃないの」と青年。
「何故知ってる。おまえ誰だ」とエルフィール。
「誰ってきみの背中を守る男さ。なんちゃって」と青年。
「おまえもしかして」とエルフィール。
「そうだな。そうだった。エルフィール。おまえの背中は私が守る」と青年。
「天国よりかこっちがいいのか」とエルフィール。
「なにね。天国は退屈なのさ。こっちでエルフィール。きみの背中を守っているほうがいい」と青年。
「私はエルフだ。まだ何千年と生きるぞ」とエルフィール。
「なにそのたびに生まれ変わるさ。そしてエルフィール。きみを探す」と青年。
「おまえとは確かに永遠の愛を誓ったからな。永遠の愛をここに」とエルフィール。
「何千年たっても変わらない愛をここに。天と地が歌う世界で何度でも出会うこの愛に。エルフィール。きみの性格は変わるまい。エルフィール。きみのすべてを愛してる。粗暴なところもその愛もすべてがいとしい。エルフィール。きみの何千年のすべてを愛してる。エルフィール。きみがいるところが私の居場所。永遠という楽園を一緒に過ごそう」と青年。
「私だっておまえのすべてを愛してる。愛の深さなら負けないぞ。おまえは私のターゲットだからな。忘れたとは言わさないぞ。おまえを狙っていることに変わりはないのだぞ」とエルフィール。
「忘れてないさ。エルフィール。きみのすべてを覚えている。何千年たっても忘れないさ。おまえを一目見ればわかる。すべてを愛が教えてくれる。きみが愛のなんたるかを学びどう生きてきたか。愛がそのすべてを教えてくれる。きみのいいとこおっちょこちょいなとこ。すべて愛が教えてくれる。もう忘れないさ。二度ときみの名を忘れはしないよ」と青年。
「まあいいさ。私はおまえといれば楽しい。それでいいのさ。お互いがお互いの気持ちにやわらぐ。そういう関係じゃないか。お互いがいればどんなことも平気さ。さあ行こう。旅だ。旅がしたいんだ」とエルフィール。
「どこまでもエルフィールきみの旅に一緒に行こう」と青年。
光りが二人を包む。宿屋にアーティニーがいる。
「彼女ひとり」と青年が横にすわって話す。
「ねえあなたの髪はどうして黒いの」とアーティニー。
「なになに。なぞなぞかなあ。ぼくそういうの得意だよ。んーとねえ。それはきみを愛してるからさ」と青年。
「ねえどうしてあなたの瞳は青いの」とアーティニー。
「きみを見るためさ」と青年。
「なんであなたのくちびるは赤いの」とアーティニー。
「きみにキスするためさ」と青年。
「なんであなたの手は大きいの」とアーティニー。
「きみと手をあわせるためだよ」と青年。
「あなたの名前はなんていうの」とアーティニー。
「そうだな。そうだった。アーチャ。きみを愛する者だよ」と青年。
「あなたが何度この世界に生まれても私はあなたを守ります」とアーティニー。
「何度生まれ変わってもアーティニーきみの守りと一緒に世界を旅しょう」と青年。
「あなたを愛しています。あなたの人生を愛しています。あなたの命を愛しています」とアーティニー。
「アーチャの気持ちを愛してる。アーチャの願いを愛してる。アーチャを愛してる」と青年。
「なんだ私もまぜろよ」とエルフィールがやってくる。
「エルフィールとアーチャと私でまた旅にでよう」と青年。
「永遠の愛とともに」とアーティニー。
「それは世界が終わるまでの永遠の旅。夢なかば愛なかばだった幼き日から始まる永遠という旅。三人の愛が永遠というなら永遠を歌おう。世界の始まりにあったという日まで旅を続けよう。三人の愛を永遠として」とエルフィール。
三人が手を出す。光りが三人を包んだ。
そして一行は遺跡にいた。一行の旅は続く。
第四十四話 永遠は愛を歌う。
夜に野宿する一行。シカを焚き火であぶりそれに食らいつく。
「エルフィール少しはダイエットしたらどうなの」とミラル。
「私は食いたいだけ食うんでね。それでこの程度の豊満さですんでるんだからさ」とエルフィール。
「黒いマントなんて葬式ですか」とアルス。
「うんまあそうだね。どこまで話したかなひっくうぃー」とジョルディー。
「ドラゴンを退治したとこまでですわ。それでどうなったのですかひっくうぃー」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「リーさん腹は減らないんですか」とテア。
「巨人だからってそんなに食べないのよ。体はいまは小さくあるしね」とリー。
「テアは好き嫌いはないんだな」とエルフィール。
「はい。エルフィールさんの弟子としてはこのくらいなんでもないですよ」とテア。
「おまえはおれさまの弟子じゃないのかい。くあーけっけっけっ」と魔王。
「黙れ魔王。おまえの闇の一族にテアはやらぬぞ」とエルフィール。
「テアはどうせ地獄行きさえっへっへっへっ」と魔王。
「きっとテアは天国さ」とエルフィール。
「ぼくは騎士となって悪人斬り殺し冥界でエルフィールさんといたい」とテア。
「神は罪をつぐなえば誰でも天国へ迎え入れてくれるのです」とハイベル。
「細身の体こそが女性なのです」とミラル。
「そうだぞ。それこそが美。それがこそが最高の美しさなのだ」とレッドドラゴンは元の姿に戻る。
「どうだ人の子よ。エルフィールよ。これこそが最高の美なのだ。ドラゴンこそが最高の美」とレッドドラゴン。
「それは人にはできないわ」とミラル。
「天使の魔法ではなくそれは天使の奇跡なのです」とクリスティーヌ。
「それは知らなかった。詳しく話してください」とらいでん。
「神の奇跡とは無限無形にして変幻自在」とクリスティーヌ。
「妖精の話を信じられないって言うの」と桜。
「神々が何故妖精の話を聞かなくちゃいけないんだ。神は唯一にして無二」とヴァルキュリアス。
「妖精だって自然の代表よ。この星は神にとって大事なもののはずよ」と桜。
「力こそが自然だ。力こそが秩序だ。力こそがすべてだ」と力の神。
「そんなわけあるわけアルパカ。秩序こそが自然なのです」と秩序の神。
「それはすばらしい。人間としてすばらしい金です」とボルド。
「いやあっしはベネレッタの言うとおりにしただけなんでやすよ。それにあっしは人間じゃないんでやすよ」とバルディ。
「それでもすばらしい」とボルド。
「アイタカ。獣。獣は走って食べて寝るだけ」とアイタカ。
「ドラゴンもまあ獣みたいなものでやすよ。あんたは正しくある。それが生き物ってもんでやすよ」とバリュウス。
「アイタカ。人の心知りたい」とアイタカ。
「それはこうさ」とエルフィール。
「あんたが教えるのかい」とミラル。
「人の道は奥が深くまたその深遠には神がいると言われています」とフィル。
「人の道について」とエルフィール。
「ふんふん」とアイタカ。
「エルフィールに人の道など教えられますか」とミラル。
「明日はどこへ行くというのか」とスーザンが歌う。
「この曲ならどう歌う」とダミエール。
「難しくありますね。私は曲のリズムに乗るだけなのです」とスーザン。
「それじゃあこのリズムはどうかい」とダミエール。
「踊りやしょう」とバルディ。
「きゃっきゃっ」とネム。
「きゅーっきゅーっ」とカーバンクルが踊る。
夜がふけていく。
「あたしはクロニア。あんたら黎明の騎士なんでしょう」と女性が歩いて来る。
「そうだけど」とエルフィール。
「その話を長老が聞きたいから来てよ」と女性。
「いいぜ」とエルフィールたちは海に来る。
「村じゃないのか。どこにいるんだ」とエルフィール。
「ひょいよっと」と魔法でエルフィールたちは人魚になる。
「さあ行きましょう」と海に入っていく。深海には人魚の村がある。
「魔法で話しているのよ」とクロニア。
「さあ話すぜ」と宴会である。帰る時。
「それじゃあな」とエルフィール。
「私仲間になりたいの」とクロニア。
「いいぜ」とエルフィールたちは旅立つ。
「焼き尽くせ」と男。
「このやろう」とエルフィール。
「私の世界にした。存分に戦ってくれ」とヴァルキュリアス。
「太陽神アポロニアスか。敵にとって不足なし。いくぞエルフィール」とレッドドラゴンは元の姿になる。
「灼熱のすべてをあたえん」とアポロニアス。自然はすべて焼き尽くされていく。
「熱い。エルフィール。私の後ろから出るなよ。これはやばいぞ」とレッドドラゴン。
「すごい力だ。動けない」と力の神。
「太陽は自然の調和のひとつ。私にはなにもできません」と調和の神。
「どうしたらいいんだ」とエルフィール。
「おいテア。私ならなんとかできるぞ」と魔王がささやく。
「本当か」とテア。
「そうだとも。日々の恩をここでかえすチャンスだよテア」と魔王。
「魔王。本当なんだね」とテアは前にでる。
「テア。なにしてる」とエルフィール。
「熱が静まります」とフィル。
「ジョルディー」とエルフィール。
「わかった」とジョルディー。
「精霊王よ」と精霊王に包まれて飛ぶエルフィールとジョルディー。太陽神を光りで斬る。
「ふうーっすんだな」とエルフィール。
「はぁーっはっはっ」と魔王。
「なんだ」とエルフィールたちはもどってくる。
「テアの体を手に入れたぞ。私は魔王は復活したのだ」と魔王。
「おいやばいぞ。魔王を殺すぞ」とレッドドラゴン。
「すごい怨念だ。動けない」とヴァルキュリアスたち。
「テアーッ」とエルフィールが叫ぶ。
「無駄無駄無駄。無理だね。テアはもういないのさ」と魔王。
「テアーッ」とエルフィールは叫ぶ。
「う。うぐお。なんだこれは。なんなんだこれはーっ」と魔王。
「テアーッ」とエルフィール。
「エルフィールさんっ」とテア。魔王の動きが止まる。
「精霊王よ」と精霊王に包まれて飛ぶエルフィールとジョルディー。テアを光りで斬る。エルフィールとの日々がフラッシュバックするテア。エルフィールがデアを抱きしめる。
「エルフィールさん」とテア。
「さあ旅だ」とエルフィールたちは旅に出る。
ウエルティーが新らしい魔法を作ったというのでウエルティーの家に来る一行。
「ひさしぶりウエルティー」とエルフィール。
「おひさしぶりです。今回はこの魔法です」と一行は家の中の魔方陣の上に立つ。ウエルティーが呪文を詠唱する。光りが一行を包む。
光りの世界。雲が足元をてらす。バルディが歩いている。
「バルディ」とベネレッタが歩いて来る。
「ここはどこでやす」とバルディ。
「天国の入り口ね」とベネレッタ。
姿を消えて行く二人。
「魔法の効果が消えるようでやす」とバルディ。
「バルディ。愛してる。世界が始まりを歌う時あたしたちの愛は始まる。世界が夢見る時あたしたちの愛は眠る。あなたの生きる世界を愛してる」とベネレッタ。
「ベネレッタの生きる世界を愛してるでやす」とバルディ。
「あなたの愛を愛してる」とベネレッタ。
「あんたの愛を愛してるでやす」とバルディ。
「あなたの言葉を愛してる」とベネレッタ。
「あんたの言葉を愛してるでやす」とバルディ。
「あなたの世界に神がいなくてもね。あたしはあなたの女神になる。あなたに愛がなくてもあなたの愛になる」とベネレッタ。
「あんたがあっしの女神でやす。あんたがあっしの愛でやす。そしてね。そして二人は永遠を歌う鳥でやすよ」とバルディ。
「約束はしなくともこの愛に誓うお互いを巡る指輪が結んでいること。永遠に巡る命という指輪が結ぶ道を何度も生きて。何度も一生を生きて。何度も人生を巡るこの愛に」とベネレッタ。
「何度巡る人生をあんたと一緒に永遠にこの愛に誓うでやすよ」とバルディ。
「ねえあなたが生きる時に生きてあなたが死ぬ時に死ぬ。巡る人生に何度巡ってもこの愛に巡り会う。何千年巡ってもこの愛に眠る。何億年巡ってもこの愛に生きる。何千年愛してる。何億年愛してる。そして。そしてね。永遠という指輪をお互いの心につけていようね」とベネレッタ。
「永遠に巡る魂にこの愛を」とバルディ。
「永遠に巡るお互いの魂を指輪として永遠に生きるこの愛の名を永遠としてまた永遠歌う気持ちよ巡る愛よ巡る魂よ巡る時をただ一緒に過ごす日々に。この空のように青く白く赤くいつもあなたの心を抱きしめている。あなたのように踊りあなたのように生きてあなたのように愛してあなたのように涙してあなたのように眠る。あなたの愛たるあたしの命はあなたと巡る永遠にあなたを支え続ける。あなたのように願い。あなたのように祈り。あなたのように巡りたい魂と愛の歌を永遠に」とベネレッタ。
「たとえ今日は消えてもこの愛は永遠に」とバルディ。
「ねえ生きていい。巡っていい。愛していい。きっと愛しあうことっていいことなのよ。一生一緒。永遠に一緒に過ごしてきっといいことなのよ。愛しあうことに悪いことはきっとなにもないのよ。ずっと過ごそう。ずっと生きよう。ずっと歌おう。ずっと愛しあおう。そして。そしてね。ずっと巡りあおう。どうしてあなたは歌うの」とベネレッタ。
「ベネレッタが歌うから」とバルディ。
「どうしてあなたは眠るの」とベネレッタ。
「ベネレッタが眠るから」とバルディ。
「どうしてあなたは愛しあうの」とベネレッタ。
「ベネレッタが愛しあうから」とバルディ。
「神様がいいというからきっとこの永遠の名も愛なのよ。この空が愛してくれたようにあなたを愛するよ。何故泣いてるのいとしい人」とベネレッタ。
「ベネレッタこそどうして涙が止まらないのでやすか」とバルディ。
「どうしてなのかわからない。お願い。涙の止め方を教えて。いとしい人」とベネレッタ。
「いとしい人。泣かないでくだせえ。いとしい人」とバルディ。
「あなたに見つめられるだけで涙が止まらないの。いとしい人」とベネレッタ。
「ベネレッタ。あっしもでやす。あんたを見てるだけで涙が止まらないんでやすよ」とバルディ。
「今日は消えてもこの愛は永遠よ。この愛だけが二人の人生の名。一緒に過ごす時を指輪として愛という指輪をいつも心にはめてこの永遠を生きるよ。ねえ生きよう。ねえ愛そう。ねえいつか世界が歌うという歌を聴きながら永遠の愛を見ていようね」とベネレッタ。
「永遠に見た愛はそしてまた生まれる日に生きていくでやすな」とバルディ。
「消える今日も愛は歌う永遠が歌う。さあ生きよう。愛に生きよう。永遠を生きよう。神様ただ生きたいだけなのです。この愛をおゆるしください。生きて愛。永遠に愛。人生に愛を。そしてまた巡る日々に愛を聴きながらまた巡る命よ」とベネレッタ。
「ベネレッタ。あんたの愛がうれしいでやす。あんたがいたから愛が見れるでやす。ありがとうでやすベネレッタ」とバルディ。
「花よ。愛に開く花よ。花びら舞う季節にもまたつぼみはまたふくらみ愛に咲く。愛に美くしくある心という花よ。涙という雨に開く花よ。神様。ただ花開くことをおゆるしください。開く花よ。花吹雪という愛の姿にまた生きてなお生まれる日よ。花をめでるだけの日々よ。花を愛するだけの永遠よ。また巡る愛に花は永遠という土に咲く日よ。ねえまた咲いてゆっくりと永遠という土はとてもあたたかくそしてまた愛に咲く花よ」とベネレッタ。
「またでやす」とパルディ。
「またね」とベネレッタ。
二人は消える。
アーティニーとジョルディーがいる。
「ここは天国の入り口のようです」とアーティニー。
姿が消えていく二人。
「元気そうでよかった」とジョルディー。
「忘れたのですか。私は神々の一端。死ぬことなどないのですよ」とアーティニー。
「そうだったね」とジョルディー。
「あなたのことをずっと見守ってきました。もちろんその刀に力ともなりました。いまその刀は砕けることはないのです」とアーティニー。
「神の剣だね」とジョルディー。
「茶化すのはやめてください。これでも気合いばっちりですよ」とアーティニー。
「そうだね。二人を愛が包む。それは運命のように二人を包み愛は心に描きだされる」とジョルディー。
「何千年命巡ってもあなたを守ります。あなたの巡り得る愛であり力であること。それが私の望むすべてなのです」とアーティニー。
「アーティニーの愛はとても美くしくとてもやさしく私の心を抱きしめてくれる。この愛に誓う永遠という世界でいつも愛していると」とジョルディー。
「ただあなたの心とひとつになる日々。それが私の愛なのです。ただひとつになりたい。ふたつの魂をひとつに歌う日々こそが私の求めるもの。愛だけがこの魂。愛だけがこの命。愛だけがこの人生。愛だけがこの永遠。永遠よその歌の名はこの愛という魂」とアーティニー。
「気持ちは永遠に愛を歌う。永遠という愛を聴きながらまた巡る魂よ。アーティニーの愛が心に響く。きっといつもいつまでもそして何度でも。巡る日々に愛は心に舞い降りる。どこまでも巡る魂に愛をひとつ。そして宇宙の闇にとけてもまた星として輝くならば永遠と歌おうこの愛を」とジョルディー。
「あなたが何度生まれ変わってもあなたを守る。どの人生も愛としていく。永遠に愛を聞き永遠に愛していく魂よ。あなたの眠りを守りあなたの食事を守りあなたの戦を守りあなたの心を守る。あなたを永遠に巡る魂を守り続ける」とアーティニー。
「アーティニーの守りに巡る魂よ。さあ行こう。永遠という旅を愛を聞きながらそして巡る魂の旅よ。愛という旅よ。アーティニーと巡る魂の旅よ。永遠に愛しあう魂よ。その旅よ。愛がふたつの魂をひとつの永遠にする。さあ冒険だ。なにもかもがいとしくそして愛を見つつ永遠の旅へ旅立つ魂よ。聞かせて魂の響き。響きあう愛に魂をひとつにして旅をしていく」とジョルディー。
「あなたと永遠の魂の旅をともに過ごす季節よ気持ちを愛をめでながら。あなたと過ごす永遠という旅はいつもそれは大変だったりするかも知れない。でもどんなことがあっても愛だけが残る旅よ。魂の旅。愛の旅。永遠の旅。そして巡り続ける命の旅。愛してる。この魂を。愛してる。この愛を。愛してる。この旅を。愛してる。この永遠を。この愛を永遠にわけあえることがうれしい」とアーティニー。
「アーティニーのわけてくれた愛をまた人にわけるよ。アーティニーのわけてくれた愛をめでながらまた旅にでる。永遠に愛しあう魂よ。永遠に愛を聞く魂よ。永遠に愛する魂よ」とジョルディー。 「あなたの永遠の旅を愛しその愛の旅を見ながら永遠を歌う旅よ。今日は消えるとも愛は空ににじんでまた明日へと日はのぼる。太陽の愛を日々を巡る魂の歌よ。言葉をすべてを愛にするためにささぐ旅よ。愛という景色を見て愛という旅を巡る魂よ。アーティニーという愛に包まれてそれは布のように心をあたたかく包む日々よ。愛という翼は巡る魂を永遠の旅へと導く。出会いが導く永遠の旅よ。出会った時から始まる旅よ」とジョルディー。
「巡る旅に愛に満たされていく魂よ。愛は宇宙の闇にとけてけれどもまた愛という星に心は愛に満たされる日々よ。空が愛で満たされていくのを見ながら心が愛で満たされていくのを感じながらまた巡る魂よ。ジョルディー。あなたの愛への旅に迷わないように守るよ。足りなければ私の愛を使って。愛をわけるよ。私はあなたの翼。どこまでも巡る空をあなたと羽ばたくために永遠を聞きながら永遠を見ながら巡る愛の旅よ。愛にふれると永遠が響きあう。永遠から得た愛であなたに愛の力をわけあたえる。愛を聞きながら永遠を見る巡る旅にあなたの魂を感じながらまたあなたを愛している日々よ」とアーティニー。
「アーティニー。きみは愛のしっぽ。いつも永遠のしっぽとして巡る旅よ。アーティニーの愛のしっぽ。アーティニーの愛に巡る魂たる我が命よその旅よ。何故泣くんだいアーティニー」とジョルディー。
「私はあなたを守れることがうれしくもあり、またあなたの苦しみをどこまで癒してあげられるか。その気持ちがあふれてくるのです。何故泣くのですかジョルディー」とアーティニー。
「アーティニーの気持ちがうれしいから。そんな気持ちを愛してる。アーティニーがいること。それだけですべてをゆるせる。アーティニーがいるだけですべてがいとしい。アーティニーがいるだけで永遠が見える。アーティニーがいるだけで愛が聞こえる」とジョルディー。
「魂から永遠があふれてくる。魂から愛があふれてくる。永遠から魂があふれてくる。永遠から愛があふれてくる。巡る魂に愛を聞きながらまた魂の旅にでる。永遠という山を登り続ける。ジョルディーの心を抱きしめながら永遠を旅する」とアーティニー。
「私も入れろよ」とエルフィール。
三人が手を出す。光りが三人を包む。
一行はまた旅をする。
第四十五話 光りは永劫を照らす。
「あきらめるなチャンスはある」とエルフィール。
「はいエルフィールさん」とテア。
「弱気な発言は悪魔が聞いていますよ。心のすきをつかれます」とミラル。
「まず苦しみを求めなさい。その先に幸せはあります」とフィル。
「結局私の人生ってなんだったのかしら」とミラル。
「誰かを救うためにこの世界に呼ばれたのさ」とエルフィール。
「あらいいこと言うわね。あなたのそういうとこ好きよエルフィール」
「うーむ。酔っ払った。うぃーひっく。レッドドラゴン億万年の叡智を教えよう」とレッドドラゴンは元の姿に戻る。
「ドラゴンというものは万物の頂点に立つ生き物だ」とレッドドラゴン。
「ふーむ。勉強になりますな。それでどういうことです」とらいでん。
「ドラゴンは神々が生まれた時に生まれた兄弟だと聞いてるでやすよ」とバリュウス。
「それでなおじいさんはおばあさんとえーとなんだっけなあ。うぃーひっく」とジョルディー。
「それで一生暮らしたんでしょう。それでいいのですよ。やっぱり一緒がいいですよ。うぃーひっく」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「それでどうなったんですか」とボルド。
「それで商品を開発したんでやすよ」とバルディ。
「やはりそうでしたか。やっぱりそうですよね」とボルド。
「アイタカ。神願う。毎日腹いっぱい。毎日よく走れる。毎日よく眠れる」とアイタカ。
「獣はこれだから仕方ありませんね。それにくらべると人間はいえもうひとりの自分がささやきます。それでいいのですね」とアルス。
「そこでみんなはエルフィールさんを見たんだ。それでエルフィールさんは」とハイベル。
「それでそれでどうなったんです。エルフィールさんは平気だったんですか」とクロニア。
「巨人戦争もそうでしたけどあぶないですねエルフィールさんはすばらしくもありますが」とリー。
「けっけっけっ。おまえら人間どもになにができるっていうのさ。おままごとさ」と魔王。
「そんなことありません。妖精にだって立派なことができるのですよ。その証明に歌いましょう」と桜。
「さすがだな。神々さえも魔王をもてあますというのに。その手腕というのかな。認めよう」とヴァルキュリアス。
「力さ。力加減でなんでも作ることができるのさ。力こそが世界の根源さ」と力の神。
「自然の調和がすべてです。それ以外になにもいりません。土から実るもの。それで生きることができます」と調和の神。
「すべては太陽から生まれた。すべては太陽の恵み。太陽があるから生命があるのだ」と太陽の神。
「おねえさま明日はどこへ行きますか」とキャル。
「なにね気の向くまま風の吹くままさ」とエルフィール。
「おねえさまにいい風が吹きますように」とキャル。
「うまいですね歌が。すばらしいです」とスーザン。
「天使というものは歌うことで実らせるものです。歌というのは天使の言葉なのです」とクリスティーヌ。
「一緒に歌いましょう。ねえいいでしょう」とスーザン。
「いいね。音楽はこういう時も役にたつ。一曲どうかな。こんな曲でどうだい」とダミエール。
「踊りやしょう」とバルディ。
「きゃっきゃっ」と小人。
「きゅーっ。きゅーっ」とカーバンクルが踊る。
「ちぴぴぴぴ」と小鳥が舞う。
夜がふけていく。
「ぼく天使になりたいんだ」と少年。
「そうですか」とクリスティーヌ。
「どうやったらなれるの」と少年。
「よりよく生きなさい。そうすればなれます」とクリスティーヌ。
「ぼく引越ししちゃうんだ。したくないのに」と少年。
「歴史に無駄はない。人生に無駄はない。すべて必要なことなのです」とクリスティーヌ。
「うんわかったよ。ありがとう。それじゃあね」と少年は走って行く。
クリスティーヌはそれを見送った。
「時の神クロノスニクスだ」と時の神。
「いくぞエルフィール」とレッドドラゴンは元の姿になる。
「私の世界にする」とヴァルキュリアス。
「私の前に出るなよ」とレッドドラゴン。
「消えろ」と時の神。
一人一人消えていく。エルフィールだけになる。
「はっはっはっ。時を巻き戻した。おまえの仲間など一人といないのだよ」と時の神。
エルフィールは座っている。
「なにをしている人間よ」と時の神。
「待ってるのさ」とエルフィール。
ジョルディーが歩いて来る。
「よお」とエルフィール。
「よお」とジョルディー。
「会っていきなり通じあうなど」と時の神。
「光りよ」と二人の光りが時の神を斬る。
宇宙は始まりそして何億年たっただろうか。
星は生まれそして世界は世界となる。
「エルフィール。力を貸そう」と時の神。
「さあ旅だ」とエルフィールたちは旅立つ。
「私は神になった」と男。
「こいつやばいぞ」とレッドドラゴン。
男の力に一行は闇に包まれる。
宿屋にベネレッタが座っている。バルディが入ってくる。
「なにこいつ気持ち悪い。ゴブリンて大嫌い」とベネレッタ。
ーーそうだ。それでいい。
「なんでこんな奴がうろちょろしてるのよ。うざいのよ。消えろゴブリンが」とベネレッタ。
「あっしはそういうのにはなれてるでやす」とバルディはそこに立っている。
「消えろと言ったよねえ。なんでいるのかな。なにさわんなよ」とベネレッタ。
「なんだかわからねえでやすがこうしたいのでやす」とバルディはベネレッタの腕を離さない。
「離せよこのやろうが」とベネレッタ。
「愛してるでやす」とバルディ。
「はあ。なに言ってんの馬鹿言うんじゃないよ。おまえと立場が違うのわかる。こちらは人間様なんだよ」とベネレッタ。
「愛してるでやす」とバルディ。
「愛してるわけない。ない。愛なんてあるはずがない、んだ。でもなんで涙が出てくるの」とベネレッタ。
「愛してるでやす」とバルディ。
「あ、い、し、て、る。愛してる。永遠に愛してる。どんなことがあっても愛してる」とベネレッタ。
「愛してるでやす。あんたはあっしの愛なんでやす」とバルディ。
「愛は失いやすくでもね。でもね二人には紡ぎだすことができる。永遠に巡る魂に愛を聞きながら永遠という景色を見ながら巡る魂よ。この愛を永遠に贈る。永遠という大地に眠り朝日という愛に目覚める。あなたが永遠ならあたしは愛。どんなことがあってもあなたを見失わない。なにがあってもあなたを見つける。あたしでいい。あなたでいい。愛でいい。永遠でいい。巡る命を巡る魂を巡る愛を巡る永遠を。ああ夢ならさめないで。物語なら終わらないで。この愛の続きを聞かせて永遠よ」とベネレッタ。
「愛よここにいてくだせえ」とバルディ。
「あなたとなら永遠さえも何度でも新らしい日々よ。この愛で永遠へ連れて行って。どこへでも着いて行く。愛を永遠に聞きながら愛を永遠に見る巡る魂よ。消える今日。消えない魂。朝起きてあなたを探す。朝起きて愛を探す。そして永遠に眠る魂よ。何千回巡る魂よ。何億回巡る愛よ。ねえあなたの愛で抱きしめて。ねえあなたの愛でキスして。ねえあなたの愛で愛して。あなたと永遠を愛しあう魂よ。巡る日々よ。巡る季節よ。巡る世界よ。永遠に巡る愛よ。愛だけが知るという彼方へ。伝えて永遠。伝えて愛。伝えてこの星の輝きを。伝えて巡る季節を。伝えて巡る思いを。伝えてこの花を。伝えて巡る物語を。伝えて巡る日々を。伝えて巡る言葉よ。伝えて平和を。伝えて未来を。伝えて静寂の自然を。伝えて小鳥よこの命を」とベネレッタ。
「どんなつらさもこの愛が癒してくれるでやす」とバルディ。
「癒しとは愛しあうこと。よりそいあうこと。愛に癒されるためにこの魂は生まれた。愛に癒される永遠よ。魂巡り癒されるこの愛に。愛に癒されて。永遠に癒されて。巡る季節に癒されて。巡る星の輝きに癒されて。巡る魂に癒されて。巡り生まれ変わる魂よ。巡り生まれ変わる季節よ。巡り生まれ変わる宇宙よ。巡る季節に恋をした。愛を探していた幼き日よ。いま愛はここにある。永遠という空に巡る愛よ。巡る季節に巡る花々に愛の力を知る。豊かな愛を育む永遠という魂よ。彼方から響く愛を聞きながら永遠を見ながらまた巡る彼方の愛」とベネレッタ。
「あんたの愛が聞こえるでやす」とバルディ。
「さあ巡ろう。さあ生きよう。さあ愛しあおう。巡る季節にも花は咲き愛は咲き永遠に魂は巡る。あなたがいとしい。あなたの愛がいとしい。あなたの巡る日々がいとしい。あなたとの永遠がいとしい。あなたの姿がいとしい。生まれた今日がいとしい。消える今日を土に生まれる明日がいとしい。巡る季節がいとしい。あなたと過ごす豊かな幸せがいとしい。巡る花びらのようにまた花開く魂がいとしくていとしくて。そしてまた巡る永遠の愛よ」とベネレッタ。
「小鳥よ心の永遠という名の愛という小鳥よ愛を歌っておくれ」とバルディ。
「愛を慈しみながらあなたと平和を歌う。生きる日よ。その巡る思いよ。すべての思いを抱きしめてまた巡る魂よ。解き放て願いを。解き放て愛を。解き放てすべての思いよ。夢。願い。空。すべてを巡りたまえ永遠よ。永劫よ」とベネレッタ。
二人の姿は消えていく。
宿屋にアーティニーがいる。
「金は稼いできたの」とアーティニー。
「はいここに」とジョルディー。
「じゃあ消えな」とアーティニー。
「いえあのその」とジョルディー。
「消えろと言ったよね」とアーティニー。
ジョルディーがアーティニーにキスをした。
「なに。あなたジョルディー」
二人は抱きしめあう。
「何度でも絶望に愛を。何度でも永遠に愛を。永遠を愛にする永遠と巡る魂よ。どんな暴力からも守る力をあなたに。導け愛よ。導け永遠よ。導け巡るさだめよ。導け我が愛よ。導けいとしい人を。導け巡る魂よ。導け巡る月日よ。導け女神よ。この愛を永遠で包む。夢にまとう心よ。永遠にまどう心よ。愛にまどう心よ。はかない命が教えてくれる愛を聞きながら永遠を見ながらまた巡る日々よ。巡る季節のように巡る思いを永遠へと伝えて。悲しみが導く愛を慈しみながらまた愛にあたたまりまた愛に包まれていく。ゆくての苦難よ。その永劫の苦しみに癒す愛の歌を聴きながら永遠から響く希望を感じながら巡る魂を見ながら続く時の紡ぎよ」とアーティニー。
「アーティニーが愛の意味を教えてくれたね。それから愛を思うようになった。愛は永劫。永劫の意味を愛が教えてくれる。幼き日の愛も豊かな愛へと実りこの思いは永遠を旅する。支えてくれたきみの歌がぼくのつるぎ。アーティニー。きみが守るこの命でさらに人の命を救おう。愛が世界に響く。きみの愛を聞きながら巡る永遠を見ている。世界が何度滅びようとも、この愛に世界はまた蘇る。歌おう愛を願おう永遠を。世界の英雄が女神が祝福する愛よ。美くしい自然が調和を歌う。さあ歌おう。この愛を。さあ歌おう。この永遠を。さあ歌おう。この癒しを。さあ歌おう。この自然を。さあ歌おう。この世界を」とジョルディー。
「あなたの奇跡は私の力。どんな苦難もこの愛で守る。世界はひとつ。それは愛によって。永遠が歌う愛を聞きながら永遠に星の巡りを見ながら続く旅よ。今日は消えて誰も口にしなくなってもこの愛は永遠に歌われる。ねえ歌って愛を。ねえ踊って愛を。ねえ話して愛を。時代は過ぎて人々は歴史と時代の地層なっても愛は生きていく。巡る魂を永遠の意味を愛が教えてくれる。巡る言葉よ。伝えてこの愛を。人がいとしい。生きるすべてがいとしい。あなたがいとしい。永遠がこの魂を抱きしめてくれる。永遠がこの愛を抱きしめてくれる。心という畑を耕し愛という実りをつけん。あなたの業を罪をすべてとかす癒しをこの愛に」とアーティニー。
「世界はすべてがひとつとなり愛になっていく。さあ世界よ。さあ愛よ。さあ永遠よ永劫を歌おう」とジョルディー。
「世界はすべて愛になるともこの永遠を歌う日よ。光りに何度心はひとつになったことだろう。何度ひとつになったことだろう。何度ひとつになるだろう。永遠に繰り返すひとつよ。神聖なる剣よ。人々を導かん。輝いて愛よ。輝いて永遠に。輝いて命よ。輝いて巡り巡る命よ。永劫という輝きよあなた迷わないようにそしてね。光よ。人々を導いて。光よ。人々の願いを叶える愛よ。光よ。人々を幸せにして。光よ。愛よ。空よ。大地よ。世界よ。天と地が分かつ日に訪れるという光よ。光よ。希望が導く永遠の名よ。光よ。愛を分かちあい愛しあえるという剣よ」とアーティニー。
「私もまぜてくれよ」とエルフィールがくる。
三人が光りで斬る。男が斬られた。
一行は旅にでる。
第四十六話 願いは千年を歌う。
夜に焚き火を囲みシカを焼いてくらいつく一行。
「明日は明日の風が吹くさ」とエルフィール。
「なんですかそれは子供だましですか。いやもう一人の自分が語るまあいいか」とアルス。
「エルフィールらしい」とミラル。
「おねえさまはいつもすばらしい」とキャル。
「ファンというものは盲目なものです」とアルス。
「そんなことありません。人間としてエルフィールおねえさまはすばらしいのです」とキャル。
「あなたにこんなに理解者がいることあなたの人徳というものね」とミラル。
「どうでもいいことにその情熱うらやましい」とアルス。
「人をキズつけないなら人はなにに狂ってもいいさ。そうだろう」とエルフィール。
「こんなエルフィールも人助けをすることも結構あるんですよ。以外だけどね。つきあい長いといろいろ知るわ」とミラル。
「今日生きるのが不安だな」とテア。
「あきらめるなチャンスはある」とエルフィール。
「はいエルフィールさん」とテア。
「誠実でありなさい。自分を偽る人ほど愚かなことはありません」とフィル。
「経験に学ぶこと。特に失敗に学ぶことは多くそれはどんな本にも書いてはいないことなのです。挑戦してそして失敗に学びなさい」とミラル。
「生きることに幸せになることに挑戦して失敗する経験はとても人生の醍醐味だ。そこで学ぶことは生きる力だし幸せそのものなんだ」とエルフィール。
「はいエルフィールさん」とテア。
「人生なら私に聞くがいい」とレッドドラゴン。
「ふそんなる神を倒したときのことあれはいまも覚えている」とレッドドラゴン。
「武勇伝でやすな」とバリュウス。
「ふん。そんなつまらないものではない。これは神々と戦ったときのこと。たぎる。魂がたぎるぞ」
とレッドドラゴンは元の姿になる。
「それは神々が我が億万の軍勢と戦ったときのことだ。やつらは永劫の闇を使った。汚いやり方よ」
とレッドドラゴン。
「それでどうしたんでやすか」とバリュウス。
「うーんどんな本にも書いてない話だ」とらいでん。
「こうだ」とレッドドラゴンはブレスする。
「あちあちあちやめろ」とエルフィールたちが踊る。
「これ聞け。つまりだなそこで迫る神々のすきをつきうぃーひっく」と倒れるレッドドラゴン。
「だからさそこで少女は妖精とえーとどこまで話したっけうぃーひっく」とジョルディー。
「だからそれは妖精の里まで来たとこまでですようぃーひっく」とアムネスタ。
「だからって妖精はそんなことしませんわ」と桜。
「そうそうそうなんだあははは」とジョルディー。
「そうですよねあははは」とアムネスタ。
「まあもう一杯いこうよまだいいじゃないかアムネスタ」とジョルディー。
「そうですね。どうしょっかなーなんちゃっていえーい」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「こんな酒にのまれる奴に負けるとは一生の不覚」とカムイ。
「まあジョルディーはこれでもキャリアはすごいんだよ」とエルフィール。
「キャリアだったら私だってすごいんだぞ。ドリチェでの戦での私の戦い精霊戦争でも百人は斬った」とカムイ。
「まあある意味ジョルディーはすごいんだよ」とエルフィール。
「詳しく聞かせてもらおうか。尊敬にあたいするか聞いてみたい。ジョルディーに興味がある」とカムイ。
ハイベルとらいでんは小人になってネムと話している。
「それで小人の話や魔法についてもっと聞かせてください」とらいでん。
「秘密なんてないよ。ただ小人とつきあいのある人なんていなかったからね」とネム。
「私も何千年と生きて小人と話をするのははじめてだ」とハイベル。
「魔法はどうやって始まったのですか」とらいでん。
「小人の千年王国の時代にいや人もエルフも繁栄していたという時代に大半は作られたそうだよ」とネム。
「神から伝えられたのですか」とハイベル。
「そう言う人もいる。説はいくつもあるよ。ぼくにはわからないな」とネム。
「興味深くあります」とらいでん。
「まったく人間というのはつまらないわ」と桜。
「妖精は毎日祭りだもんな」とエルフィール。
「妖精には繁栄の歴史しかないから人の考え方はよくわからないわ」と桜。
「魔王にだって繁栄しかないぜ。けっけっけっけっ」と魔王。
「復活させるものか」とエルフィール。
「はん。やってみることだな。人間ごときに我々をどうこうできるものかな」と魔王。
「やってみせるさ」とエルフィール。
「くっくっお手並み拝見といこうじゃないの。いやあ実に楽しいなあ。ははははははは」と魔王。
「あなたの歌をプロジュースしたらすごくもうかりますよ」とボルド。
「歌えればとりあえずは舞台でもいいですよ」とスーザン。
「これは金になりまよ師匠」とボルド。
「何度言わせるでやすか。金先にありきではなく望みに応えることが先でやすよ」とバルディ。
「いやあいくつになっても勉強ですな」とボルド。
「歌は永遠から聴き永遠へと歌うものです」とスーザン。
「ぴちちちちち」とベネレッタ。
「ベネレッタの歌はとてもいいでやすなあ」とバルディ。
「アイタカ。歌好き。ただ聴く。永遠。とてもいい」とアイタカ。
「歌はいいですね。神様があたえてくださった中でもとてもいい」とクロニア。
「そうですね。歌には傾聴にあたいするものが多くあります」とリー。
「アイタカ。歌う」とアイタカ。
「それは吼えろというのです」とミラル。
「アイタカ。歌覚えたい。教えて。愛。歌。永遠」とアイタカ。
「獣にも愛があるんですね」とクロニア。
「人魚も獣でしょう」とリー。
「巨人だって似たようなものじゃないですか」とクロニア。
「誇り高き巨人は神々やドラゴンと戦ったこともあるのですよ」とリー。
「人魚は確かに見つからないように深海で生活していますがそれがなにがいけないって言うんですか」とクロニア。
「まあまあまあ」とエルフィール。
「神は巨人など倒したぞ」とヴァルキュリアス。
「ややこしくするな」とエルフィール。
「すまんな。神というのは口のきき方のわかる奴ばかりじゃないものでな」とヴァルキュリアス。
「そんなもの力でねじふせればいいのさ」と力の神。
「神の横暴です。巨人としてはゆるせません」とリー。
「力は私から生まれるのだぞ。感謝してほしいものだな」と力の神。
「やめなさい。調和が崩れます」と調和の神。
「太陽の熱がすべてを作っている。感謝してほしいものだな」と太陽の神。
「それならば時こそすべてを調和しているのではないかな」と時の神。
「調和は自然によるものです」と調和の神。
「ならば太陽こそが一番だろう」と太陽の神。
「いやいや時こそ一番だよ」と時の神。
「この議論おわるの」とエルフィール。
「おわらねえなあ」とヴァルキュリアス。
「踊りやしょう」とバルディ。
「歌いましょう」とスーザン。
「曲が音楽がその礎さ」とダミエール。
「えんの下の力持ちでやすな」とバルディ。
「音楽こそが言葉にできないものを表現します」とダミエール。
「そうでやすな」とバルディ。
「キューッキュッキューッ」とカーバンクルが舞う。
踊る一行。夜はふけていく。
「なんだこりゃ」とエルフィール。
「もふもふもふもふ」と白い毛玉がぽんぽんとはねる。無数の毛玉だ。
「もふもふ族ですな」とらいでん。
「食えんの」とエルフィール。
もふもふ族はひとつになって牙をむく。
「ていっ」とエルフィールのパンチにまたもふもふはねていく。
「ぱふぱふ」ともふもふ族がらいでんになつく。
「一緒に行くか」とらいでん。
「ぱふ」ともふもふ族は着いて来る。
一行の旅は続く。
「助けてください私はソケイス」と女性。
「どうしたんだ」とエルフィールたち。
「好きな人が地主にこきつかわれているんです」とソケイス。
「どれどれ」とエルフィールたち。
「私は好きでここの土地を耕しているのです」と男。
「またさぼっているのか。根性だと忍耐だと我慢だと人間の限界を突破しろとあれほど言ってるだろう」と地主。
「お願いします。どうにかしてください」とソケイス。
「うーん。嫁になって支えあえばいいんじゃないの」とエルフィール。
「私は遠くからいつも見守っています」とソケイス。
「一緒に暮らしてよりそいあえよ。それが一番だな」とエルフィール。
「好きな人と一緒に生活すること以上の幸せはありません。さあ勇気を持ってください」とフィル。
「わかりました。私たち幸せになります」とソケイス。
一行は旅にでる。
ある遺跡に来る一行。
「体が勝手に動く」とエルフィールたち。
「この呪いを受けろ」と幽霊。
「レッドドラゴン」とエルフィール。
「呪いは専門外でね。なにねおまえら動けなくするまで殴ってもいいぞ」とレッドドラゴン。
エルフィールたちは像を動かしたりする。
「これでいい」と幽霊。
「体が動くぞ」とエルフィール。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「父さん認めてください」と青年。
「アルデ。歌や物語など幼稚な妄想ごとよ。おまえは大工になるんだ」と父。
「芸術を認めてください父さん」とアルデ。
「大工にならなければ勘当だ。出ていけ」と父。
ーー食うや食わずで四十年。この建築様式に辿りついた。あと少しというところで命尽きた。ありがとうエルフらよ。
空に天使が舞う。
「呼んでおきました」とクリスティーヌ。
「呪いのことは」とエルフィール。
「しっ。内緒ですよ」とクリスティーヌ。
アルデは天使とともに空へと飛んで行く。
「いいものありがとう」とエルフィールたちはまた旅に出る。
「どこだここは」とエルフィール。
遺跡にいた。ヴァルキュリアスがいる。
「おまえは戦いで傷を治すために千年癒されていた」とヴァルキュリアス。
「みんなはどうした」とエルフィール。
「ジョルディーもらいでんもミラルも死んだ。フィルやハイベルは行方不明だ」とヴァルキュリアス。
「そうか」とエルフィール。
「神々の黄昏の功績から神々から願いをひとつ叶えるという約束だ。どんな願いがいい。世界の覇権か。神々の仲間入りか。さあなんでもいい願いをひとつ言え」とヴァルキュリアス。
「そうだな。あいつらと旅がしたい」とエルフィール。
「それでいいんだな」とヴァルキュリアス。
「ああそれでいい」とエルフィール。
エルフィールは宿屋にいた。降りて行くとみんないる。
「また遅刻してこの根性なしが」とミラル。
「まだ眠くてね」とエルフィール。
「あなたはいつもそう。人の立場になって考えるということがないのよ。わかってこの大人の発言」とミラル。
「ごめんごめん」とエルフィール。
「まあた口先でそう言う。論より証拠よ。行動で示してほしいわ」とミラル。
「わかったよミラル」とエルフィール。
「エルフィールよろしくね」とフィル。
「よろしく」「よろしく」「よろしく」「よろしく」とみんな。
「よろしくな」とエルフィールたちは旅に出る。
第四十七話 霧に舞う灯す愛。
夜にシカを焼き野宿する一行。
「遅いということはない。あきらめるなチャンスはある」とエルフィール。
「はいエルフィールさん」とテア。
「人助けを決断できない人生ほどじゃんねんな人生はありません」とフィル。
「迷ったら現場に行きなさい。見てる時ほど苦しみ迷うものです」とミラル。
「決断できないと不安は悩みとなり苦しむ。もやもやと迷った瞬間に決断するんだ。やりとげる決断をするんだ。そうした瞬間勝利の女神が微笑む」とエルフィール。
「うまい匠の技を見るのはいい経験ですが自分が挑戦者足りえること。それが大事なんだ。挑戦者であれ」とジョルディー。
「口先だけの人間はごめんだね。行動で示す人間こそ立派な人だ。決断せよ。さすれば道は開かれん」とエルフィール。
「人を幸せにできる人間になりなさい」とフィル。
「でも失敗はこわいものです」とテア。
「継続は力なりさ。失敗も続ければ成功になるさ」とエルフィール。
「あれも足りないこれも足りない」とアルス。
「足りないもの数えるより足りてるもの数えたほうが幸せだぞ」とエルフィール。
「エルフィールさんみたいな野生児じゃないんですから」とアルス。
「食う寝る遊ぶたまに働く。それでいいのさ」とエルフィール。
「それはちゃんとした人間の言葉です」とミラル。
「あははは」とエルフィール。
「ドラゴンはまさにそんな感じだな」とレッドドラゴン。
「そうでやすな。やはりそうなんでやすよ」とバリュウス。
「ドラゴンには戦う学ぶ生きるかな」とレッドドラゴン。
「まだまだ学ぶ足りません。勉強に終わりはありませんや」とバリュウス。
「勉強ならばやはりこの姿から学ぶがいい」とレッドドラゴンは元の姿になる。
「これが勉強でやすか」とバリュウス。
「ドラゴンにはその背中で語るものがあるものよ」とレッドドラゴン。
「わからないでやすな」とバリュウス。
「こんなに語るものがあるのにわからないとはおまえの目はふし穴か」とレッドドラゴン。
「すいやせん」とバリュウス。
「ええいできの悪いドラゴンだ。数万目の弟子とはいえふがいないぞ」とレッドドラゴン。
「それでどこまで話したかなうぃーひっく」とジョルディー。
「おじいさんがやってきたとこまでですわうぃーひっく」とアムネスタ。
「いい話だうぃーひっく」とカムイ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「妖精はめったに酔っ払わないからわからない気持ちね」と桜。
「その話もくわしくお願いします」とボルド。
「それはでやすな」とバルディ。
らいでんとハイベルは小人になっている。
「それでそれで」とらいでん。
「小人はその時戦ったんだ」とネム。
「小人は勇敢ですな」とハイベル。
「小人など魔王の敵ではないな」と魔王。
「戦ってみせるさ」とネム。
「小人は勇敢ですね」と小人のクロニア。
「私も見習います」とリー。
「アイタカ。腹。いっぱい。明日。いっぱい」とアイタカ。
「明日は雨だな」とヴァルキュリアス。
「その雨すらも力のなせること」と力の神。
「太陽あったればこそだ」と太陽の神。
「時があればこそ雨とてあるのです」と時の神。
「自然が調和です」と調和の神。
「魔法の話でいいかな」とアドルテア。
「はい」とミラル。
「天使の魔法は特殊ですよ」とクリスティーヌ。
「こんな歌はどうです」とスーザン。
「いいね。それにはこんな曲だろう」とダミエール。
「踊りやしょう」とバルディ。
「ぴちちちちち」とベネレッタ。
「きゅーきゅー」とカーバンクル。
「ぱふぱふぱふ」とぱふ。
一行は踊る。夜はふけていく。
「がんばればいいんだろう」とエルフィールが叫ぶ。
精霊をまとい装剣してジョルディーに斬りかかるエルフィール。なんとかグリズリーフィッシャーで防ぐジョルディー。
「なにをしてるのエルフィール」とミラル。
ハイベルが一本背負いする。きれいに決まり投げられるエルフィール。そして動かなくなる。
「柔よく剛を制す。柔道です」とハイベル。
しばらくしてエルフィールは目を覚ます。
「私はいったい」とエルフィール。
「治療はすみました。あとは安静にしてるだけでいいです」とハイベル。
「病名はがんばりすぎ病です」とフィル。
「仲間に手をあげるなど責任を取る」とエルフィール。
「責任を取るなら療養してくれ」とジョルディー。
「無理はだめよ」とミラル。
「戦士の休息は必要です」とアルス。
「ありがとう」とエルフィールは眠った。
「助けてください」と女。
「どうした」とエルフィールたち。
「私はケラスと言います。老人ホームで介護してるんですがおばあちゃんの願いを叶えてあげたくて」とケラス。
「おばあさんはどこだい」とエルフィール。
一行は老婆と話をする。
「わかったひきうけるよ」とエルフィール。
ある夜ケラスは起こされる。老婆の元へと呼ばれる。空を天使が舞っている。老婆を連れて行く。
ーーいままでありがとう。これをあなたに最後に見せたかった。それが最後の願い。あなたのことを待っていますよ。
ケラスは次の日に教会にいた。司祭の前で話す。
「いままで信仰にうすい人生でした。私は私は私はおばあちゃんは」とケラス。
「祈りなさい」と司祭。
ケラスは泣き崩れた。一行の旅は続く。
霧が出てきた。
「みんなどこだ」とエルフィール。
「バルディ」とベネレッタが立っている。
「この霧はいやいまは愛しあおうでやす」とバルディ。
「愛に眠り夢に語り愛という永遠を見る。愛とひとしい風景よ。愛とひとしい巡る季節よ。愛とひとしい巡る命よ。愛とひとしい家族よ。愛とひとしい願いよ。愛とひとしい支えよ。支えあいという土に生まれる愛よ。支えあいが歌う愛を聞きながらまた永遠へと巡る魂よ。永遠が奏でる愛のしらべを聞きながら愛に巡る魂よ。巡るひとときにすんでいく魂よ。永遠の愛を見ながら純粋になっていく魂という巡る水よ。巡る人生に何度洗われる魂よ。この魂をささぐ人よ。この魂をささぐ風よ。この魂をささぐ願いよ。この魂をささぐ言葉よ。この魂をささぐ愛よ。この魂をささぐ永遠よ。この魂をささぐ永遠の奏でる愛を聞きながらまた巡る魂よ」とベネレッタ。
「あんたにささぐ魂でやす」とバルディ。
「あなたにささぐ永遠よ。あなたにささぐ愛よ。あなたにささぐ巡る人生よ。何度生まれ変わってもあなたと愛しあう。何度生まれ変わっても愛しあう魂よ。何度生まれ変わってもまじりあう愛よ。何度生まれ変わってもまじりあう魂よ。あなたと一緒に永遠の平和を見ながらまた巡る魂よ。何千年巡る魂よ。何億年巡る魂よ。あなたとならそれは一瞬に過ぎないとしても。とても愛がいとしい。とても永遠がいとしい。とてもあなたがいとしい。巡る永遠に響く愛を永劫に聞きながらまた巡る魂よ。感じて永遠。感じて愛。感じて巡る魂。感じて巡る季節にもまた舞う花たちよ。感じて永劫に続く巡る魂の花開く巡りを。感じて世界が始まった愛の瞬間を。感じて幸せを分かちあえる人と人との支えあいという愛を。愛してる愛を。愛してる世界を。愛してる人を。愛してる人生を。愛してる支えるすべてを。愛してる巡る魂を。愛してる生まれたことを。愛してる出会いを。愛してるこの道を。愛してる苦難を。愛してる神を。愛してる巡る季節の中に見る花を。愛してる心を。愛してるこの癒しを。愛してるこの不安を。愛してるこの時代を。愛してる人生において目覚めるという光を。愛してる命を。愛してる思い出さえ眠る時を。愛してる生きることを。愛してる巡るくる永遠を。愛してる夢に見た世界で愛を聞きながら過ごす日々を。愛してるなつかしき愛との邂逅を。愛してる悲しみに咲く花を。愛してる願いに咲く花を。愛してる死ぬことに咲く花を。愛してる生まれることに咲く花を。愛してる癒しに咲く花を。愛してる支えに咲く花を。愛してる命目覚め咲く花を。愛してるなつかしき邂逅に咲く永劫の花を愛してる。愛してる喜びに咲く花を。愛してる愛に咲く愛を愛してる。愛してる死を。愛してる愛を。愛してる孤独を。愛してる家族との時を。愛してる家族になる人を。愛してる愛を聞く永劫なる時を。愛してる愛を見る永遠なる黄昏た夕日のひとときを。愛してる愛と過ごす日々を。愛してる消える今日も希望足りえる明日という愛の巡りを。愛してる冷えた心をあたためる愛を。愛してる愛に繁栄する時を。愛してるあなたの人生を」とベネレッタ。
アーティニーとジョルディーがいる。
「永劫の楽園はどこにあるのでしょう。あなたという楽園はここにありました。永遠はここにありました。愛はここにありました。世界はここにありました。巡る季節はここにありました。宿る命はここにありました。どんな過去があなたにあってもかまわない。どんな過去が私にあってもかまわない。ただあなたを愛するだけ。いろいろな人たちがいろいろなことを言う。真実はどこにあるの。愛はここにあった。通りすぎる世界。通りすぎて行く人たち。世界は変わっていく。この愛は永遠不滅だと神はささやく」とアーティニー。
「どんな痛みもこの愛を滅ぼせはできない。どんな痛みもきみを失わせることはできない。どんな痛みもこの巡る魂を止めることはできない。」とジョルディー。
「あなたの痛みを癒す力をこの光りに。あなたを癒す永劫の力をこの光りに。世界は変わるこの愛に。夢見て愛見て心見て世界見て巡る季節見て花を見ていた過ぎる日々よ。愛が示す永劫の光よ。永遠が奏でる愛を聞きながらまた巡る魂よ。愛に巡る世界よ。愛に巡る魂よ。愛に巡る季節よ。愛に巡る喜びよ。愛に巡る悲しみよ。愛に巡る光よ。愛に巡る血よ。愛に巡る水よ。愛に巡る叡智よ。愛に巡る黄昏よ。愛に巡る時よ。せつなさが教えてくれる愛よ。死が教えてくれる愛よ。出会いが教えてくれる愛よ。別れが教えてくれる愛よ。ひとときのよりそいあいが教えてくれる愛よ。家族が教えてくれる愛よ。世界が教えてくれる愛よ。季節が教えてくれる愛よ。生が教えてくれる愛よ。喜びが教えてくれる愛よ。悲しみが教えてくれる愛よ。命の巡りが教えてくれる愛よ。願いが輝く光という愛よ。願いが巡る永遠という愛よ。愛という帰り道よ愛に帰る巡る永劫よ。家族という帰り道よその人生よ。永遠という帰り道よ巡る季節に巡る魂よ。桜の花吹雪という帰り道よ巡る季節に巡る魂よ。願い叶うという帰り道よ願うごとに奇跡信じて。絆という帰り道よ愛に結ぶ心よ思いよ。生きるという帰り道よ人生を学び生きる力巡り愛に生きる人生よ。出会いという帰り道よ家族に出会ったから生まれた人生よ家族と別れまた新らしい家族へと帰る帰り道よ。おかえりなさい。ずっと待っていたんだよ。家族に帰ろう。ただいま。おかえり。それだけの日々が幸せだと愛は歌うのです。家族を築き家族に出会い家族にまた出会うだけの人生よ。家族に巡る命よ愛よ。世界がひとつの家族なら誰も悲しみに暮れることのない世界よ平和よ。触れて愛に。触れ合う愛は命にさえ巡るという巡る愛よ」とアーティニー。
霧が晴れると一行はいつも通りに旅にでる。
第四十八話 世界に咲く花、愛。
「遅いということはない。あきらめるなチャンスはある」とエルフィール。
「自分てだめなんです」とテア。
「だめじゃない人間なんていないさ。生きるってことはだめさ加減さ。自分のそういうだめな未熟な弱さを認められた時に人はひとまわりもふたまわりも大きく成長するものさ」とエルフィール。
「自分みたいな人間が何故いるんだろうかわからないんです」とテア。
「世界に無駄はありません。必要だからいるのです。だめな部分を改善するために出番が用意されてるのです。そのための準備をおこたらずにだめな部分を改善しなさい。その力が人にはあるのです」とクリスティーヌ。
「だめなとこを改善するためには教養が勉強が大事です。息抜きにくだらなさを求めることもあるかも知れません。でも逃げてはいけません。現実に立ち向かうのです」とフィル。
「こんなだめで未熟なぼくにこんなに話をありがとうございます」とテア。
「人に教えることがもっとも勉強になるというものです。これは私たちの勉強でもあるのです」とミラル。
「スポンサーさえつけばどんなくだらない仕事でも金は儲かります。けれどもそんな安っぽい人間にはならないでください。人間としての尊厳を誇りを忘れないでください。人助けをして金をいただくということが大事なのです」とらいでん。
「冗談やユーモアは大事です。けれども真面目な話も大事ですよ」とハイベル。
「でもすぐに叶わないとあせってしまいます」とテア。
「ひとつのことをするのに十年単位で考えるんだ」とエルフィール。
「十年ですか」とテア。
「十年かけてたったひとつのことを成し遂げると考えるんだ。願うのは自由。でもその実現には十年かかると見て取り掛かるんだ」とエルフィール。
「自分はまだまだ未熟者です」とテア。
「自分が未熟者であることを知っていること。それが立派な人なのさ」とエルフィール。
「教育は難しいということを知っていればたやすい。難しくあることを知っていること。それが人間。劣ることを恥ず認められる存在。それが人間なのです」とフィル。
「人間らしくあること。人間であること。人間ということ。それがもっとも大事なことです」とミラル。
「それほど自分を神を信じることはできません」とテア。
「信じることは宇宙を反映することなのです。すべては愛であり万物を信じ愛したときに人は幸せになることができるのです」とフィル。
「こんなだめな自分は嫌です」とテア。
「自分をちょっとでも支配した瞬間、決断力は鈍りどんどんだめな人間になっていく。人を支配しょうとしぷち独裁者となる。そのくせ自分は決断できぬのだからじゃんねんな人生になってしまう。気持ちのままに進め。それが人間である条件だ」とエルフィール。
「支配は人間を悪魔にしてしまいます。自分を支配することからの解放。それが自由であり幸せなのです。自分をちょっとでも支配する人は心痛に悩まされそれは悩みやうつや差別や犯罪や自殺として表現なされます。自分の気持ちを押し殺さないこと。自分を支配しない瞬間に悩みはすべて消え去り幸せになるのです。自由による幸せは自分にこそあるのです」とらいでん。
「もう苦しいのはいやです」とテア。「人生というのは苦しみの形さ。人生の課題はなくならない。修行それが人生なのさ」とエルフィール。「苦しみからのがれたくて快楽主義にはしると人生が台無しになる」とジョルディー。「でも気持ちのままに生きるとすべてが楽しく幸せなのです」とミラル。「人に迷惑にならないことなら気持ちのままに進んでください」とらいでん。 「束縛されたい自由を制限したいもの。それが支えあう家族です。さあ家族になりましょう」とフィル。
「これが小人の魔法さ」とネム。
「すばらしい。ぜひ教えてください」と小人のハイベル。
「私にも教えてください」と小人のらいでん。
「巨人の魔法とはまた違ったものですね」とリー。
「魔法について話しあいたい」とアドルテア。
「やはり魔法の秩序についてですか」とミラル。
「酒もう一杯」とジョルディー。
「もう二杯」とアムネスタ。
「もう三杯」とカムイ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「ギルドで実力があるやつがいたんですが気に入らないから状況の再現とかなんとか理屈つけて現場に入れなかったんです。するとみんなばらばらになっていってギルドは解散したんです」とボルド。 「それは差別でやす」とバルディ。 「やはりそうですか。需要と供給ですな」とボルド。
「そうでやす」とバルディ。
「日本という国では政府がテロリストを黙認して国民が困ってるそうです」とらいでん。 「ねむいなあ」と桜。
「アイタカ。腹いっぱい。幸せ」とアイタカ。
「これだから獣は」とアルス。
「神はいつも見ています」とクリスティーヌ。
「神がなんだというのだ」とレッドドラゴンは元の姿に戻る。
「いけねえ最終戦争になりやす」とバリュウス。
「神は気にしてないぞ」とヴァルキュリアス。
「力でなんとかなる」と力の神。
「自然の調和がすべてです」と調和の神。
「時はそれでも流れていく」と時の神。
「太陽はそれでもあがる」と太陽の神。
「物足りないぞ」とレッドドラゴン。
「こんな歌はどうですか」とスーザン。
「それにはこんな曲がいい」とダミエール。
「踊りやしょう」とバルディ。
「ぴちちちち」とベネレッタ。
「みゅーみゅー」とカーバンクル。
「ぱふぱふ」とぱふ。
踊る一行。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
王室へと行く。
「お父様はどこじゃ」と姫。
「姫はまだ小さくて父王様が亡くなったことがわからないのじゃ」と女王。
「姫。お父様は死んだんだ」とエルフィール。
「死ぬってなんじゃ」と姫。
「えーと天国へ行くってことだよ」とエルフィール。
「どこじゃそれは。私は会いに行くぞ天国へまいれ」と姫。
「それはどこにもないのです」とフィル。
「これは不思議なことを言う。ないのにあるとはどういうことだ。申してみろ」と姫。
「姫。あの太陽が天国でございます」とジョルディー。
「なにそうかあそこへは行けんな」と姫。
「父王様は祈りこちらに万物を送りくださいます。私たちも祈りましょう」とジョルディー。
「わかった。祈ろう。だが会いたい会いたいのう」と姫。
「姫。考えたことには父王様が力を貸してくださいます。この思いは父王様と共有しているのです。父王様と私たちの気持ちはひとつです」とジョルディー。
「同じ気持ちなのか。では同じ考え同じ思いということじゃな」と姫。
「そうです姫」とジョルディー。
「父王様はきっとこう思うだろう。天国で生きてまた会おうとな」とエルフィール。
「私は天国へ行けるかの」と姫。
「この国を平和にして愛にして幸せな国民にしなさい。そのときあなたは天国へ行くことでしょう」とジョルディー。
「うむ。そうするぞ」と姫。
一行の旅は続く。
世界が巡る。ゆがむ世界。そこにベネレッタがいた。
「夏の暑さと愛しあい。冬の寒さと愛しあい。春の花と愛しあい。秋の紅葉と愛しあい。雨季の雨と愛しあい。乾季の渇きと愛しあい。木と愛しあい。作物と愛しあい。自然と愛しあい。地球と愛しあい。宇宙と愛しあい。生きていく。時と愛しあい生きていく。巡る世界と愛しあい生きていく。現実は苦しくけれどもそれも縁。縁と愛しあい生きていくこと。生きるために愛しあうのではなく愛しあうために生きること。さあ愛しあおう」とベネレッタ。
「愛してるでやす」とバルディ。
「愛は宇宙のプレゼント。いつだって愛されてる魂よ。永遠が歌う愛を聞きながら永遠に巡る旅よ。巡る世界よ。巡る季節よ。夢願い永遠叶えたまえ。愛願い永遠叶えたまえ。絆願い永遠叶えたまえ。希望願い永遠叶えたまえ。幸せ願い永遠叶えたまえ。いつだってずっと存在の奥で燃えている魂よ。ずっと燃えてる愛よ。愛して自然を。愛して人を。愛して世界を。愛して変わり巡る季節を。愛して巡る永遠という魂よ。自然に感謝して生きる。人に感謝して生きる。愛に感謝して生きる。巡る希望の巡る希望が世界を満たす。希望に満たされた心よ。夢に満たされた心よ。愛に満たされた心よ。永遠よ。願いよ。愛よ。満たして世界を。満たして忘れられた絶望をこの愛で。いついつまでもいつも愛とともに巡り愛とともに生きて愛とともに死ぬ。愛とともに巡る季節よ。愛とともに巡る命の旅よ。続いて愛よ。そして永遠へとつなげて。絆よ。愛との絆を深めて巡る命よ。魂よ。闇に灯す魂の火よ。希望と照らし世界を愛で満たしていって。いつか人が忘れてしまったぬくもりを伝えて愛よ。この魂よ。伝えて永遠を照らす希望たる巡る魂の火よ。永遠さえ照らす魂の火よ。伝えて希望を。消えそうな希望を伝えてこの魂よ。愛が永遠なら愛へと生きる。愛が自然なら愛へ生きる。愛が支えあいなら愛へ生きる。永劫よ。愛よ。世界が愛で満たされすべてが幸せになる世界よ。愛が普遍ならば永遠の名はこの魂とするから。満たされていく世界よ。愛に満たされる世界よ。幸せに満たされる世界よ。世界に満たされる魂よ。奇跡よ。永遠という奇跡よ。愛という奇跡よ。幸せという奇跡よ。あたりまえになる幸せよ。愛よ。永遠よ。いま永劫にひとつに。愛とひとつになる魂よ。幸せとひとつになる魂よ。世界とひとつになる魂よ。青き感動よ。赤き感動よ。そしてすべては感動へ。すべては愛になるひとときの日よ」とベネレッタ。
アーティニーと出会うジョルディー。
「世界は愛になり魂は愛になり愛は幸せになる。愛となる世界よ。幸せとなる世界よ。平和よ。続け命の巡りよ。命こそ宝。命よ続け。永遠へと命の巡りよ。命は巡り魂は巡り愛は巡る。命の巡りよ。命よ。命という世界の希望よ。命よ輝け。命よ奇跡たれ。命よ永遠に巡りたまえ。忘れられた命にすら祈りを。すべての命の平安と巡りを祈る日々よ。命たれ。永遠の希望たれ命の巡りよ」とアーティニー。
「きみの愛はいつも気持ちいい。きみの奇跡はいつもすばらしい。この奇跡の世界できみとともに愛を永遠にして」とジョルディー。
「永劫の永遠という世界で息づく魂よ。色づく季節に巡る魂よ。探していたこの愛を。探していたこの幸せを。探していたこの魂を。探していたこの世界を。探していたこの永遠を。探していたこの支えあいを。永遠の愛を見つけたよ。運命の人を見つけたよ。永劫を永遠を見つけたよ。永遠の絆を見つけたよ。永遠の幸せ見つけたよ。それはきっと気づくだけのこと。毎日いくつもの愛に気づくこと。それが幸せ。毎日永遠が歌う愛を聞くこと。それが幸せ。幸せを探し気づいた幸せをわけあうこと。それが幸せ。みんなで幸せな世界へと続け巡る命たちよ。世界は幸せの季節たる平和を歌う。さあ行こう。みんなで幸せに生きる世界へ。光よ導いてこの命たちを。忘れられたという楽園を築く礎たる命よ。世界はそして光に導かれてまた巡るめぐ季節よ。答えはいつも愛。応えはいつも幸せ。それはいつも幸せに生きるための命たちよ。さあ巡れ。この世界でこの宇宙でこの永遠で。魂さえも歌うという永遠を見ながらまた巡るさだめよ。二度とない今日のために歌って愛よ。歌って永遠よ。歌って。巡る魂よ。本当の愛が歌うという彼方から光よ永遠へと導いていって。世界はきっといつも平和を歌うだろう世界で本当の愛を探してまた旅にでる。願いは幸せ。みんなとの幸せ。それは世界の平和。さあ幸せへと何度でも巡り帰る魂よ。心つなぐ愛でこの幸せをわかちあい永遠の世界へと巡る魂たちよ。続け永遠よ。続け愛よ。続け幸せよ。続け永劫の光よ。導いて希望よ。みんなが笑顔できっと帰れる人生という旅よ」とアーティニー。
世界のゆがみはなおり一行は旅にでる。
第四十九話 奇跡は愛に咲く。
夜。一行は野宿して焚き火でシカを焼いてる。
「遅いということはない。あきらめるなチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「自分はどうあるべきなのか」とテア。
「人間らしくあることが大事なんだ」とエルフィール。
「人間は神ではありません。それほど無理なお願いはひかえるとか」とミラル。
「つまりエルフィールやミラルやフィルみたいな人間が人間らしいのさ」とジョルディー。
「ジョルディーもな」とエルフィール。
「人に愛を刻むのもいいでしょう。けれどもこういう場が血となり肉となるのです。こういう仲間というか家族と一緒にいることも大事な時間なのですよ」とフィル。
「うんわかったよ」とテア。
「ぱふもそう思うよ」とぱふ。
「ぱふおまえしゃべれるの」とエルフィール驚く一行。
「しゃべれるよ。でもいつも一緒にいるもふもふ族には言葉は必要ないのさ」とぱふは増殖する。
「いったいどこにそれだけいるんだ」とエルフィール。
「ぱふたちはひとつがみんな。みんながひとつさ」とぱふ。
「興味深くありますな」とらいでん。
「なんでも聞いてよ」とぱふ。歴史を聞くらいでん。
「それでどうしたんですか」とハイベル。
「それは伝説ではこうだね」とネム。
「お姉さまがいればなにもいらない」とキャル。
「こうはなりたくないものですね」とアルス。
「はやくエルフィールさんみたいな人間になりたいな」とテア。
「それには地道に人生を歩くしかありません」とクリスティーヌ。
「それが商売の極意ですか」とホルド。
「望みに応えるそれだけでやす」とバルディ。
「アイタカめしうまい。幸せ。これが人生」とアイタカ。
「獣は楽でいいなあ」とアルス。
「それでおじいさんとおばあさんは幸せに暮らしました。ひっくうぃー」とジョルディー。
「やっぱり幸せが一番ですね。ひっくうぃー」とアムネスタ。
「次は剣で勝負だ」と眠るカムイ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「魔法の根源の話を聞きたいのです」とミラル。
「それは万物の天秤が応える力なのです」とアドルテア。
「妖精には確かに物語が人生なのよね」と桜。
「それは聞きたい話だ」とアルス。
「人魚の魔法は水が必要です」とクロニア。
「それは聞いたことがありません」とミラル。
「巨人戦争では神々と戦いました」とリー。
「神々は倒したがな」とヴァルキュリアス。
「次は倒します」とリー。
「いいぜ」とヴァルキュリアス。
「ドラゴンこそ最強だ」とレッドドラゴン。
「神々は強敵でやす」とバリュウス。
「そんな弱気でどうする。我々こそが最強だ」とレッドドラゴン。
「神々とは戦ったことがありませんでやす」とバリュウス。
「いま見せてやる」と元の姿になるレッドドラゴン。
「これがドラゴンの最強の力」とレッドドラゴンは踊る。
「酔っ払ってるでやす」とバリュウス。
「これがよいよい。力なのさあ」とレッドドラゴン。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「いつか皆殺しだ。はっはっはっ」と魔王。「させるか」とエルフィール。 「力はすべての根源足り得ると思うぞ」と力の神。
「愛による調和こそがすばらしい世界足り得るのです」と調和の神。
「太陽がすべての恵みなのだ」と太陽の神。
「時こそがすべての土台ですよーん」と時の神。
「この曲にこの歌はどうですか」とスーザン。
「すばらしい一曲だ」とダミエール。
「こんな歌い方もいいのではないですか」とスーザン。
「そこまで歌えるか」とダミエールは演奏する。
「踊りやしょう」とバルディ。
「くりゅくーきゅー」とカーバンクルが踊る。
「ぱふぱふ」とぱふ。
「ぴちちちちち」とベネレッタ。
一行は踊る。夜はふけていく。
岩山を歩く一行。一行の前を荷物をたくさん積んだ馬車が通る。道をふみはずしすべり落ちる馬車。間一髪ハイベルが怪力で止める。男たちは馬車をあげていく。
「ギルドが壊滅する。家族があああ」と男は混乱してる。
「しっかりしろ。男だろ。責任を取れ」とエルフィールががくがくするが男は混乱してる。
ミラルが歌を歌う。女性はみんな歌った。男はわれにかえる。六頭の馬を御してなんとか道に戻る。
「ありがとう。あんたら仲間や家族の命の恩人であ」とエルフィールは一回分の依頼料をもらう。
一行は旅にでる。
一行は岩山を歩く。道が途切れている。
「バリュウスが着地する場所がありません」とミラル。
「私も元の姿になったらおまえら吹き飛ばしてしまうぞ」とレッドドラゴン。
「ぱふぱふ」ともふもふ族がみんなの翼になる。空を飛ぶ一行。
「こりゃいいあっちへ行ってくれ」とみんな翼を羽ばたかせ飛ぶ。雲を越えて空を行く一行。風に滑空してそしてまた羽ばたく。鳥と競争。山を越えて行く。下る太陽に向かって飛ぶ一行。「これからどうしたいですか」と笑顔のミラル。「そうだな旅がしたい。もっと旅がしたいんだ」とエルフィール。
一行の旅は続く。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はラスタ。兵士でダミラスタ戦役で兵士をしていました。村に妻を残してきたのです。安否だけでも確認したい」とラスタ。
村に着く一行。妻は洗濯物を干している。
「会いたいでもああこの気持ちはどうしたらいいんだ」とラスタ。
「行ってやんなよ」とエルフィール。
「久しぶりだねタノシス」とラスタ。
「お帰りなさいあなた」と妻。
「別れを告げたい」とラスタ。
「どうしてなの」と妻。
「ぼくは戦場で数十人の人間を殺してきた。汚れた手できみを抱くことはできない」とラスタ。
「子供ができたの」と妻。
「命を奪ったぼくに命が生まれる奇跡よ」とラスタ。
「三人で農家を続けましょう」と妻。
「ああ神様ありがとうございます。この命よ永遠につなげていけるなんてなんて幸福でしょう」とラスタ。
「愛しています」と妻。
「愛してる。家族で支えあって生きよう」とラスタ。
「さあ行こう」とエルフィールたちはまた旅にでる。
ーー闇がある。
「ベネレッタにか」とジョルディーとエルフィールは光りで斬る
ベネレッタとバルディがいる。
「愛に満たされ愛豊かな世界にするために生まれる命よ。巡る魂よ導いて愛を世界に刻む命たちを。巡る魂よ愛を歌う命を導いて世界を愛で満たすために。魂よ命を導いてそしてまた巡る愛を願いに祈りに刻む時よ。何度巡っても夢に見る前世での愛を。忘れないで愛。失わないで愛。何度魂巡るともこの愛とともに生きていく。この愛に生きてこの愛に死ぬ。この愛に巡りこの愛に永遠の歌を聴く。ともにあるという永劫よ。とわよ。永遠に続くという愛を見ながらまた世界は巡りは命は巡りまた過ごすとわよ」とベネレッタ。
「愛と過ごすとわよ」とバルディ。
「愛という運命が命を魂を巡るとも。世界はいつも愛を歌い永遠はやさしく愛で私たちを抱きしめていた。永遠の愛に抱きしめられてまた巡る魂よ。そのとわよ。永劫よ。永遠はとてもあたたかくそして草のにおいがする。この思いこの願い永遠に抱きしめられてまた永遠に愛されていく。永遠の旅を二人は越えていく。永遠とともに永劫の旅へいま旅立つ。いこう永遠へ。いこう永遠の旅へ。永遠の巡る旅を億の命と巡り生きて。永遠が抱きしめた魂で旅にでる。永遠が歌う愛を聞きながら永遠を生きる。永遠に続く世界を永遠の愛を刻む魂よ。永遠が紡ぐ詩を永遠に読む魂よ。永遠に生まれる愛に生きていく命よ。とわよ。永劫よ。永遠がこの魂この愛この命から生まれる。永遠は何度でもこの命を土として育つ永劫よ。愛を感じた日。永遠は抱きしめてくれる。愛を感じた時。永遠は歌う永劫を。愛を感じた瞬間。永遠とひとつになる。愛を感じた世界で永遠は愛を歌う。永遠の愛を聞きながらまた巡る魂よ。永遠の愛のひとつになる巡り来る人生よ。永遠に愛されながらまた永遠の魂を生きる。永遠に抱きしめられ小さな世界は永遠に連なり永遠に生きていく。永劫生きてまた新らしい愛に気づいていく日々よ。永遠が紡ぐ愛。魂が紡ぐ愛。永遠の願いこの愛に込めてまた巡る。さあいとしい人と永遠を幾つ愛される永劫よ。永遠に愛された魂よ永劫に巡れとわに。永遠に巡る魂よ愛された日々よ。愛よ永遠に伝えて。愛してる。愛してる永遠を。愛してる巡る日々よ。愛してる永劫に続く願い歌う愛を。思いを永遠に込めて永遠の歌う愛を聞く。永遠が紡ぐ愛を永遠に聞きながらまた巡る日々よ。永遠の愛のぬくもりに包まれて眠る巡りながら。永遠の愛に抱きしめられて永劫の愛にぬくもりこの思いよとわに。永遠へとつなぐ愛が巡る愛に巡り愛がまた永遠へと巡る。巡るとわが語りかける。それは永遠とひとつになるための愛だと。永遠とひとつになる魂。愛の魂の名よ永遠よ。また世界に生まれおちて生きる人生よ。愛して永遠。愛して愛の魂。愛してまた生きて巡る人生よ。愛よ永遠よ巡る魂よ。いま永遠と永遠にひとつになり巡る人生よ」とベネレッタ。
ジョルディーとアーティニーがいる。
「光よ。愛を守れ。光よ。希望を守れ。光よ。明日を守れ。光よ。命を守れ。光よ。不安を斬れ。光よ。悩みを斬れ。光よ。世界を照らし世界を愛て満たせ」とアーティニー。
「光よ。その奇跡で人を救え」とジョルディー。
「愛の光りが永遠へとつながる。愛の光りが命を巡らせる。愛が無限の楽園を歌う。愛が無限の永遠を歌う。愛の歌を聴きながらまた巡る我が魂よ。聴いてる愛の音楽を。永遠が歌う愛を聞き永遠の愛を見ながらまた巡る魂よ。愛は巡る魂を紡ぐ。愛に巡る魂は歌となり永遠に歌われる。永遠の歌を聴きながらまた巡る魂よ。なつかしい歌が聞こえる。それは何億回巡って聞いただろう。また永遠が歌う愛を聞いて眠りにつく。何度聞いても愛となる心の音楽よ。おばあちゃんが歌ってくれた愛を聞きながら母が歌ってくれた愛を聞きながらまた巡る魂よ。終わりなき魂よ。巡れこの愛に。巡れ。永遠に。永遠に愛を歌う魂よ。巡れ。この愛に。巡れ。この永遠に。つながる永遠につながる愛にまた巡る魂よ。巡るうちに忘れていた歌がまた聞こえる。永遠が歌う愛を聞きながらまた巡る魂よ。魂よ歌え。永遠を歌え。愛を歌え。巡る命を歌え。愛終えて愛始まって愛永遠に巡って愛といつもともに過ごす日々よ。愛を受け入れ永遠を受け入れ命を受け入れ生きていく。忘れられていく今日にも愛はあったのだから。そう歴史よ。愛あった歴史よ。愛の歴史たる平和よ続け永劫に永遠に。愛が生まれた日人の歴史は始まった。愛よ。永劫の愛よ。伝えて忘れられていく今日も私たちは愛し合っていたこと。愛していた昨日を時々思い出として思い出す。永遠はそれを愛で抱きしめた。さあ愛と永遠という旅へ旅立ちはいま。そして永遠へと帰る帰り道。また永遠は私たちを愛で抱きしめる。それでいいのだと。ゆっくりとすべては愛になる永遠という物語の1ページめくっていく。止まった思考は動きだす。愛へとゆっくりと動きそして永遠は私たちを抱きしめるのだから」とアーティニー。
エルフィールとジョルディーとアーティニーが手をあわせ光る。
一行は旅に出る。
第五十話 幸せは愛のしらべ。
一行は夜に野宿である。シカを焚き火で焼きくらいつくエルフィール。
「遅いということはない。あきらめるなチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「自信がないんです」とテア。
「自分を信じなさい。仲間を信じなさい。それが答えです」とミラル。
「人間には生きてるだけで無限の可能性があります。自分の可能性を信じなさい」とフィル。
「才能や力やアイディアというのは人を自分を深くどこまでも深く愛した中から出てくるものなんだよ」とジョルディー。
「人を愛せば愛しただけ幸せになる」とクリスティーヌ。
「自分にはそんな力はありません」とテア。
「目の前のことしか見えてない。世界を見ろ。世界は広大だ。世界を見れば世界は力となり自分に信じられない力をあたえるんだ。世界を見て自分の力としろ」とエルフィール。
「どうすればすばらしい人生になるんですか」とテア。
「時間をかければかけただけ充実したすばらしい人生になる。人助けも時間をかけただけ人を助けられる。質とはクオリティとは時間だ」とエルフィール。
「草食なんてカテゴライズするのは差別ですよ」とアルス。
「そうしてまた人をカテゴライザーとカテゴライズすることは差別じゃないか」とエルフィール。
「みんなのお荷物がなに言ってんですか」とアルス。
「それこそ差別じゃないか」とエルフィール。
「ぼくが正しくあるんだ。関係ないね。エルフィールさんには可能性がないんだよ」とアルス。
「誰にだって生きているだけで可能性がある。くびにするギルドの偉い人じゃあるましいやめとけ」とエルフィール。
「自分の気持ちなのに思い通りにならないんです」とテア。
「川の流れに逆らって泳ぐと動きが取れない。川の流れるほうに気持ちを作るんだ。時間という川の流れ。明日へと気持ちを作るときになんでもできるようになる」とエルフィール。
「気持ちを作る方法さえあみだせればいくらでもなんでもできるようになる。個性によって気持ちの作り方は違う。時間をかけるだけかけて気持ちの作り方をあみだすこと。そうすればなんでもできるやればできる人間になれる。それまではひたすら時間かせぎだ」とハイベル。
「なにもできない」とテア。
「やればできる。やらないだけだ。やらないで悔いるよりもやって悔いろ。やってやれないことはない」とエルフィール。
「大丈夫なるようになるから」とミラル。
「ベストを尽くしましょう」とフィル。
「せっかちはすべてだめになる。地道に歩いていけ」とジョルディー。
「罪悪感と後悔の念にさいなまれる一生よりもやってみて会ってみてだめなほうがいい。同じだめでも後悔する人生はするな」とジョルディー。
「自分で自分の道は切り開け」とエルフィール。
「勉強しつつ時が来るのを待ってもいいのですよ」とフィル。
「愛と言える勇気と力を持て」とエルフィール。
「愛を言葉にできる時人はなにもできない自分から自由を得るのです」とクリスティーヌ。
「人を救うとはなにか考えぬけ」とエルフィール。
「人を救うことに終わりはありません。人を救う方法の探究も終わりがないのです」とフィル。
「人を救う方法には医療や感動やNPOがあります。残りの人生を人を救うためにつかいなさい」とクリスティーヌ。
「家族になれ。それがもっとも人を救うこと」とジョルディー。
「生きるとはなにか考えぬけ」とエルフィール。
「愛とはなにか考え抜きなさい」とフィル。
「ぼくなんかにできるでしょうか」とテア。
「もっとずうずうしくなれ。ずぶとくなれ。自分でいいと自信を持て」とエルフィール。
「愛は不可能を可能にする唯一のもの。愛をもっともっと燃やせ。愛にもっともっと希望を萌やせ」とジョルディー。
「歴史はいつもハッピーエンドです。自分は脇役だとしても歴史はいつも丸く収まるものです」とクリスティーヌ。
「アイタカ歴史になる。アイタカ歴史の英雄になる」とアイタカ。
「なれたら認めましょう」とアルス。
「魔法の自律性について話しますか」とアドルテア。
「やはり旋律性が必要だと思います」とミラル。
「ジョルディー剣の勝負だ」とカムイ。
「剣てなんだっけうぃーひっく」とジョルディー。
「なんでしょうねえ」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「ドラゴンの意地を見せてやるときがくる」とレッドドラゴン。
「へえへえそうでやしょうな」とバリュウス。
「これがほんとうのドラゴンだ」とレッドドラゴンは元の姿になっていう。
「ネムによる小人の魔法を教えるよ」とネム。
「妖精にはいらないわ」と桜。
「それは興味深くあります」とらいでん。
「人魚にはこれができます」とクロニア。
「巨人にはこれができます」とりー。
「かっはっはっ。破滅が待ってるぜ」と魔王。
「そのときは神が相手になろう」とヴァルキュリアス。
「力になるぜ」と力の神。
「調和さえあればそこはパラダイス」と調和の神。
「太陽それがすべて」と太陽の神。
「時がすべてをつむぐ」と時の神。
「ぱよぱよ」とぱふ。
「ぱよぱよ」とエルフィール。
「ぱよぱよ」とジョルディー。
「歌はこんな歌はどうですか」と歌いだすスーザン。
「音楽をどうぞ」とダミエール。
「きゅきゅきゅー」とカーバンクル。
「ちちちちち」とベネレッタ。
「さあ踊りやしょう」と踊るバルディ。
夜はふけていく。
「ブラックドラゴン」とレッドドラゴンは驚く。
「やばそうな感じだな」とエルフィール。
「ドラゴンの闇が集まり世界をただ破壊する存在。それがブラックドラゴン」とレッドドラゴン。
「ここで倒すべきだな」とエルフィールたちは剣を抜く。
「ドラゴンと人とのことに神は力はかせん。だがその力には闇を切り裂く力をあたえよう」とヴァルキュリアス。
「いくぞ」と精霊をまとい装剣するエルフィール。
「精霊の力でブレスは三秒耐えられる」とヴァルキュリアス。
ブラックドラゴンの前にレッドドラゴンとバリュウスが立つ。攻撃するエルフィール。だが攻撃は素通りする。
「これはどうしたことだ」とエルフィール。
「ブラックドラゴンの攻撃は頭だけしかきかないんだ」とレッドドラゴン。
「私がやる」と巨人のリーがブラックドラゴンの頭を殴る。十発殴ったとこでブラックドラゴンのしっぽ攻撃に吹っ飛ぶリー。
「にゃむな」と人の大きさにする。フィルとハイベルが回復する。
「しっぽ攻撃で頭を下へ」とエルフィール。レッドドラゴンとバリュウスがしっぽ攻撃でブラックドラゴンをはいつくばせる。エルフィールの精霊の剣が右へ左へとブラックドラゴンの頭を叩き殴る。ボクシングのごとく左右に吹っ飛ぶブラックドラゴン。とブラックドラゴンが口火を灯しブレスする。光りに包まれるエルフィール。「エルフィール」とミラルが叫ぶ。とブレスから走り出て来るエルフィール。
「精霊が守ってくれた」とエルフィールは無事である。
ブラックドラゴンのしっぽ攻撃に吹っ飛ぶレッドドラゴンとバリュウス。
「もうだめだ。もうだめでやすよ」とバリュウス。
「馬鹿やろう。ドラゴンの意地を見せろ」とレッドドラゴン。なんとか立ち上がるレッドドラゴンとバリュウス。
とブラックドラゴンのしっぽ攻撃にレッドドラゴンとバリュウスとエルフィールが吹っ飛ばされる。フィルとハイベルに回復されるエルフィール。口から血を吐く。
「大丈夫なの」とミラル。
「いいから魔法攻撃を。レッドドラゴン。バリュウス」とエルフィールの言葉にレッドドラゴンとバリュウスが立ち上がる。
ジョルディーが口の牙を砕く。ハイベルが羽を斬る。エルフィールがしっぽを斬る。レッドドラゴンとバリュウスが頭を下へと叩きふす。魔法攻撃があたる。エルフィールがボクシングのごとき左右に精霊の剣で殴る。二十回殴ったとこでブラックドラゴンがブレスする。光りに見えなくなるエルフィール。「エルフィール」とミラルが叫ぶ。ブレスが消える。エルフィールはかけらもない。と。ブラックドラゴンの頭を内側から十字に斬り中から真っ赤に出てくるエルフィール。
「勝ったぞ」と叫んだ。
誰かいる。その人は男なの女なのかわからない。人であることはわかった。
「誰だい」とエルフィール。
ーー人間の闇の塊だ。
と闇。
「闇だな」とジョルディー。
「倒すだけだ」とエルフィールは精霊をまとい装剣して斬りかかる。闇にとりかこまれるエルフィール。
「エルフィール」とジョルディーはエルフィールの手をつかむ。光りがすべてを斬る。
暗闇の中ジョルディーが歩く。光り。森林の中で少女がいる。
「私大きくなったら旅にでるわ」と少女。
「名前は」とジョルディー。
「エルフィール」と少女。
「そうなんだ」と大人のエルフィールがいた。少女が一人森林で遊ぶのを見るジョルディーとエルフィール。
「人を助けて人を幸せにしたかった」とエルフィール。
「それだけ人を幸せにできただろうか」とエルフィール。
「それだけのことはしてきたさ。それにこれからだって」とジョルディー。
「もっと人を幸せにしたい。そのために生きたい」とエルフィール。
「生きよう。一緒に生きて人を幸せにしょう」とジョルディー。
抱きしめあうジョルディーとエルフィール。光りが二人を包む。
二人はミラルたちの前にいた。
「お帰りなさい」とミラル。
「ただいま」とエルフィール。
「それでどうしたいの」とミラル。
「もっと旅だ。旅がしたい」とエルフィールたちは旅立つ。
第五十一話 風舞うひとつの愛。
夜に野宿する一行。焼いたシカにかぶりつく。
「やっぱりデザートはじゃがバターだよな」とエルフィール。
「なわけあるかい」とミラル。
「なんでやねん」とジョルディーとアムネスタ。
「この酔っ払いたちが」とミラル。
「さあ踊りやしょう」とバルディ。
カーバンクルと小鳥と一行は踊りだす。夜はふけていく。
「父バルックが帰ってこないんです」と子供。
「話しをしょう」とエルフィールたちは父と話す。
「知識をニュースで集めてそれで仕事でいそがしいんですよ。その繰り返しなのです」とバルック。
「仕事よりも家族を一番に考えてやれよ」とエルフィール。
「私は大学の教授でえらい先生なんだ。本も出してる。教え子もファンもたくさんいる」とバルック。
エルフィールの手が光る。
ジョルディーと一緒に光りで父を斬る。
「おかあさん。おとうさん帰ってこないの」と子供のバルック。
「お父さんは仕事でいそがしいんだよ」と母。
父と遊ぶ子供。
「おっきくなったらぼくはおとうさんになるんだ」と子供のバルック。
「そうか。妻を子供を大事にするんだぞ」と父。
「そうだった。子供のときは家族こそが仕事だった」と大人のバルックは泣き出す。
「さあ家族の元へ帰ってやんなよ」とエルフィール。
「さあ帰ろう。もう家族一緒に暮らそう」とバルック。
家族の影がひとつになる。
一行は荒野を歩く。
「川だ」とエルフィール。
「もう水がなかったところです」とミラル。
川につく一行。
「待たれい」と猫たちがやりを持ってとめる。
「なんだい」とエルフィール。
「ここは猫たるシャムル族の領地なのですぞ」と猫たち。
「倒すか」とエルフィールが抜刀する。
「お待ちくだされ」と猫がやってくる。
「長老」と猫たち。
「あなたたちは噂に聞く黎明の騎士ではないですかな」と長老。
「そうだよ」とエルフィール。
「これがドラゴン殺しのエルフィールか」と猫たちがどよめく。
「その活躍すばらしいですな。ぜひ恩返しがしたい。私の客になっていただけないかな」と長老。
「いいぜ」とエルフィール。
水を皮袋に補給して一息つく。
「たぬきだ。たぬきだ」と猫が叫ぶ。
エルフィールたちが行くとたぬきの大群と猫の大群が睨み合っている。
「猫だけが水を独占するのか」とたぬき。
「これは猫の領地だ」と猫たち。
「なんだなんだ仲良くしろよ。獣人としてアイタカ任せた」とエルフィール。
「アイタカ。仲良く好き」とアイタカ。
「アイタカだと。馬鹿だなこいつ」と猫とたぬきたち。
「猫たぬき仲良く。アイタカ仲良く好き」とアイタカ。
「猫は化けることができるぞ」と猫たち。
「そんなのたぬきにだってできることだ」とたぬきたち。
「なにが気に入らない」とアイタカ。
「この姿の醜いこと」と猫。
「それは猫もそうだ」とたぬき。
考えているアイタカ。
「猫の領地に入るときには猫になりたぬきの領地に入るときはたぬきに化ければいい」とアイタカ。 「それは」とざわつく猫とたぬきたち。
「長老」と長老たちが話す。
「それで決定しました」と長老たち。
「アイタカ万歳」と一同。
「アイタカ仲良し好き」とアイタカ。
アイタカ万歳の声が続いた。
エルフィールたちは旅立つ。
「この川はアイタカと名づけます」と長老。
アイタカは満足気であつた。
一行はある町の工場に入る。
「アイゼンガルド師匠」とアルス。
「アイゼンガルドだって。あの伝説の剣作りの天才か」とエルフィール。
「ふむ。これがおまえの剣か。迷いがあるな。素直に自分の気持ちをぶつけるのはいい。だが気持ちの欠けている部分が剣となっているな」とアイゼンガルド。
「今日剣を作ります」とアルスは剣を作る。
次の日エルフィールたちはアルスがまだ剣を作っているところへ来る。
「おまえは生まれたときからこうだ」とアイゼンガルド。
「もっと言いかたがあるだろうに」とエルフィール。
「父は剣一筋ですから」とアルス。
「父親ならばもう少し言葉がないものかな」とエルフィール。
「ものづくりは言葉にできない世界だ。だがまあいい。おまえは剣の母となるのだ。育て生み出すその時間が剣となる。剣を育てるのだ。剣を成長させろ」とアイゼンガルド。
「わかりました」とアルスは剣を作る。夕方。
「そうだ。この感覚を忘れるな。また挑戦だ」とアイゼンガルド。
「エルフィールさん。アルスをよろしく願います。根はいい奴なんだ。口の悪さは大目に見てやってくれ。頼みます」と頭を下げるアイゼンガルド。
「任せとけ」とエルフィールと握手する。
「アルスは私が二千歳になって生まれた子供でまだ未熟なのです。兄弟はみんな女でこいつだけが剣を受け継ぐという。剣にだけ素直なのは父ゆずりです。人間としてはひねくれてると思いますがまだ若くてそれだけ経験がないのです。どうか黎明の騎士としてたくさんの経験をさせてやってください。お願いいたします」とアイゼンガルド。
「きっと今度会うときはひとまわりもふたまわりも大きくなっていることでしょう」とエルフィール。
「よろしく」とアルスは頭を下げた。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアルテ彼が好きなんです」とアルテ。
「じゃあ告白しろよ」とエルフィール。
「十年以上彼を見てきました。魔法で子供だって作ってしまいました」とアルテ。
「うーん。なんかおかしいぞ」とエルフィール。
「どうか結婚させてください」とアルテ。
「そんな女なんか彼は相手にしないんじゃないか」とエルフィール。
「彼は愛のあるとてもやさしい男なんです。だいじょうぶです」とアルテ。
「じゃあ連れていくか」とエルフィール。
「いやです。どうしてかは言葉にできない気持ちです」とアルテ。
「なんだそりゃ。ミラル」とエルフィール。
「自分で決断しなければ解決しませんね」とミラル。
「そういうのだめなんだ」とエルフィールはアルテを抱き上げると彼の前まで持っていく。
「あのその私」とアルテ。
「こんにちわ。はじめまして私はガル。よろしく」とガル。
「私はあなたのことが」とアルテ。
「さああとは二人に任せよう」とエルフィールたちはまた旅に出る。
「さあ風よ」と少女。
「一緒に連れて行ってくれ」と少年。
少女は風になって消えてしまう。
「依頼だ」とジョルディー。
「風の少女と一緒にいたいんです」と少年。
草原に来る一行。風がたかなる。エルフィールの手が光る。ジョルディーと風を斬る。
少年は風となり次元世界をあまたの世界を見る。
「これが風」と少年。
「風になれば世界を超える」と風の少女。
そして少年と少女たち風はまた空を行く。
「さあ私たちも旅に出よう。旅だ。旅がしたい」とエルフィールたちは旅立つ。
第五十二話 ドラゴンと愛が踊る日。
夜。野宿する一行。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターデザート」とエルフィール。
「シカだけで腹いっぱいよ」とミラル。
「酒だけでいっぱいだ」とジョルディーとアムネスタ。
「健康にわるい」とミラル。
「金を数えてるときは幸せでやす」とバルディ。
「こんなにもうかっていいんでしょうか」とボルド。
「愛こそがすべてです」とクリスティーヌ。
「愛ですか」とテア。
「誰でも持ってるから生きられるそれが愛です」とフィル。
「踊りやしょう」とバルディ。
カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はカラステナ。イオとは恋人でした。けれどもイオは神々の怒りを買い虫にしか転生しないようにされてしまいました。いまはこのコオロギです」とカラステナ。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと二人を斬る。
「待たせっぱなしだね」とイオ。
「あなたはいつも先に死んでしまうから」とカラステナ。
「いまひとつになる」とエルフィール。
「二人の魂がひとつになりました」とミラル。
「もうずっと一緒だよ」とカラステナは歩き出す。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はサーカスでピエロをしてるカルデと申します。父もピエロでした。おどけ笑われそれでも人を幸せにする父のようになりたかった。父も母もいまは死にました。三年つきあってる彼女にプロポーズしたいのです。真実の愛を持つ者にある百年咲く花を彼女にあげたいのです」とカルデ。
エルフィールの手が光る。ジョルディーとカルデを光りで斬る。
草がカルデから現れる。カルデはそれを彼女に渡す。
「この百年咲く花を一緒に育てよう」とカルデ。
「やさしい家庭を築きましょうカルデ。子供を育て愛ある家族となりましょう」と彼女。
二人は抱きしめあう。
「お幸せに」とエルフィールたちは歩き出す。
巨人たちが数十人いる。
「ドラゴンスレイヤーの称号を得るためにアルケロス帝国のガロス部隊がドラゴンを殺す」と巨人たち。
「空へ逃げるでやす」とバリュウス。
「こんな奴ら相手に逃げるんじゃない」と人の姿のレッドドラゴン。
「へいわかりやした」とバリュウスは戦う。
巨人たちの持つ石のオノをしっぽで迎え打つバリュウス。
「いててて」とバリュウス。
ぼこぼこに殴られて倒れるバリュウス。
「それいまだ」と巨人たち。
「馬鹿が」とレッドドラゴンが人の姿でオノをとめる。
「それでもドラゴンの名を持つ一族の末裔か。未熟者め」とレッドドラゴンは元の姿に戻る。
「半殺しでよろしく」とエルフィール。
「手を出すなエルフィール。ドラゴンは退治されるだけの存在ではない。我こそはドラゴンの王レッドドラゴンだ」とレッドドラゴン。
「レッドドラゴンだ討ち取れ」と巨人たち。
レッドドラゴンの炎で石のオノは消し炭になる。しっぽで巨人たちをなぎ倒し巨人たちはけが人を抱えて逃げ出す。
「あばらの五本はいったな。我はドラゴンの神なり」とレッドドラゴン。
「お見事」と一行は拍手した。
夜森が燃えている。
「火事なのか」とエルフィールたち。
「これは風の噂に聞く黎明の騎士たちよ。頼みがある」と炎。
「炎がしゃべってるぞ」とエルフィール。
「我々は火の一族。こうして百年かけて一本の木に宿り燃やし尽くして一生を終えるのだ。そうして数億年生きてきた。もう我々の火は消える。次の世代を残すために風が必要なのだ。だが風が吹かないのだ。なんとかしてほしい」と炎。
「いいぜ」とエルフィールは意識を風にする。
「風の精霊シルフよ力をかしてくれ」トエルフィール。
「あなたに風の精霊を従えるだけの力があるかしら」とシルフ。
「私からも頼む」と精霊王。
「精霊王の頼みじゃしかたないわね」とシルフ。
「ありがとさん精霊王」とエルフィール。
火の森に風が吹く。火の粉が別の木にうつる。
「ありがとう」とそれまで燃えていた火は消えていく。
「さようなら」とエルフィールたちは去る。
白銀のドラゴンが舞い降りる。
「何奴だ」とレッドドラゴン。
「レッドドラゴンすら知らないドラゴンてなんだ」とエルフィール。
「ドラゴンの愛の結晶たるクリスタルドラゴンだ」とクリスタルドラゴン。
「愛などとふぬけたこと。ふざけた奴だ滅びをあたえん」とレッドドラゴンは元の姿に戻る。
レッドドラゴンの炎がクリスタルドラゴンの炎が飛び交う。レッドドラゴンがしっぽで叩き伏せる。クリスタルドラゴンもしっぽで迎え撃つ。
「こいつなんだ私と対等の力があるぞ」とレッドドラゴン。
二匹はお互い突進する。ぶつかるとクリスタルドラゴンはレッドドラゴンの中に消える。
「こんなものだ」と人の姿になるレッドドラゴン。
「愛はどうした」とエルフィール。
「愛は大事だ」とレッドドラゴン。
エルフィールたちが笑う。
「なにがおかしいのか」とレッドドラゴンは不思議そうであった。
「依頼だ」とジョルディー。
グリフィンという巨大な鷹の怪物が人を乗せてやってくる。
「私はデアルラン帝国のグリフィン部隊のアーシス。私だけは運がなくてよく墜落したりけがしたりするのだがどうにかならないだろうか。黎明の騎士ならばなんとかできるのではないか」とアーシス。
「神様あん」とエルフィール。
「困ったときの神頼みをするな」とヴァルキュリアス。
「頼むよ」とエルフィール。
「まあおまえには助けてもらうもおおい。運というのは限られた力だ。おまえは賭け事で勝つことで運がなくなってしまうのだ。賭け事をやめてしまえ」とヴァルキュリアス。
「そうですかそうします」とアーシスは帰っていく。
第五十三話 親子の愛が輝く下で。
夜一行は野宿である。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターじゃがバター」とエルフィールがじゃがバターにくらいつく。
「魔法のおかげで火となるのよ」とミラル。
「酒のおかげだ」とジョルディーとアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「踊りやしょう」とバルディは鳴くカーバンクルとベネレッタと踊りだす。夜はふけていく。
一行を荒野を歩く。拳大の黒く闇の玉が浮いている。
「なんだこれ」とエルフィール。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
世界が巡っていく。景色が巡っていく。玉は青く輝いている。
「これは世界です」とアーティニーがいる。
「世界をどうしたいですか」とアーティニー。
「世界を明日へ」とエルフィール。
「同じ気持ちだ」とジョルディー。
三人で世界の玉を空へと飛ばす。
「また世界は未来からやってきます」とアーティニー。
「そうか旅だ。旅がしたい」とエルフィールたちは旅立つ。
森林の中を歩く一行。人にチョウの羽の少女がいる。
「私はチョウの一族。フォンティ族の一人チョウといいます。群れとはぐれてしまったのです」とチョウ。
エルフィールの手が光る。ジョルディーとチョウを斬る。
周囲からチョウが無数に飛び立つ。それは人の姿となりチョウの羽がある。
「さあ行こう」とチョウたち。
「ありがとう」とチョウたちは空へ旅立つ。
「またな」とエルフィールたちは森を行く。
村に来る一行。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はエイジン。狩りをしてますがもうとれなくて酪農をやりたいのです。でもこの近くで酪農をやってる人は皆無です」とエイジン。
「自分の道は自分で切り開くものだ。だが不可抗力というものはあるさ。そうだろうアーティニー」とエルフィール。
エルフィールの手が光る。ジョルディーとエイジンを斬る。
「私になにか用かな」とひつじに囲まれた男。
「私のとったイノシシとひつじを交換してほしいんです」とエイジン。
「いいよ」と男。
「ありがとう」とエイジン。一行は旅立つ。
一行は真っ白な空間に入る。
「どこだここは」とエルフィール。
「凪よ」と天使メルフィル。
「なぎだって。なんだそりゃ」とエルフィール。
「天使の力の交差点。天使たちの次元を超える船。ここでは愛する者たちと永遠に静かな時間を暮らせるのよ」とメルフィル。
「またあえた」「ひさしぶりです」とアーティニーとベネレッタも人の姿だ。
「ここは金がない」とバルディ。
「食べ物には困らないわよ」とメルフィル。
「出会いがないな」とエルフィール。
「凶悪なる人とは会わないわ」とメルフィル。
「それもふくめて縁さ」とエルフィールは手を出す。一同手を出す。光りがこの空間を斬った。
元の世界にいる一行。
「さあ旅だ。旅がしたい」とエルフィールたちは旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「母は私を産んで死んでしまったのです。どうか一目母にあいたいのです」と少女。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで少女を斬る。
「ずっと見ていたよ」と母。
「おかあさん」と少女。
「おまえはそそっかしいからひやひやしてるよ。ねえ好きな人はできたかい。結婚にははやいね」と母。
「おかあさん幸せ」と少女。
「おまえを見ていることが幸せなんだよ。ずっと愛してる。ずっと見守っているよ」と母。
「おかあさんありがとう」と少女は泣き出す。
一行はまた旅に出る。
第五十四話 愛という石の愛で。
夜野宿する一行。シカにくらいつく。
「デザートはじゃがバターだ」とエルフィール。
「ふーはらいっぱい」とミラル。
「酒いっぱい」とジョルディーとアムネスタが笑いあう。
「酔っ払いどもが」とミラル。
「ぱよぱよ」とぱふ。
「さあ踊りやしょう」とバルディ。カーバンクルとベネレッタが鳴いて踊る。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はドライオウ。花が咲く季節に目覚め鳥やクマなどに生まれ変わってきました。しかし今年は山の花が咲かないのです」とドライオウ。
エルフィールの手が光る。ジョルディーとドライオウを斬る。
「季節の王たるドライオウ。いま生まれ変わる」とアーティニー。
花が咲く。ドライオウは魚となって川を行く。花は咲き誇り季節はそして春である。
「またな」とエルフィールたちは旅立つ。
桜の花びらが舞い散る。桜の花びらは一行をおおいつくす。
「エルフィールまだまだだな」とダリル。
「こんなもんじゃない」と若き日のエルフィール。
「エルフィール世界を平定したら旅にでよう」とダリル。
「はい。世界を旅したい。ダリル様と」とエルフィール。
桜の花びらが舞い散る。
「剣の太刀筋がいいな」とアラルディンク。
「はい先生」と若き日のジョルディー。
「おまえも女を知れば変わる」とアラルディンク。
「女なんてくだらない生き物だ。剣のほうがきっと人を救えます」とジョルディー。
「おまえは二人の女性と出会うだろう。そして愛を築くだろう」とアラルディンク。
「占いとかお告げとか信じませんよ」とジョルディー。
桜の花びらが世界をおおう。
若き日のカムイがいる。
「おまえの父上と母上は村を守るために命を落とした。カムイ。おまえも立派なエルフになるんだぞ」と村長。
「はい村長。私は村の英雄になります」とカムイ。
ある日。カムイは村長の前にいる。
「どうしても旅立つのかい」と村長。
「誰よりも強くなりたい。腕試しを世界でしたい。そうしたらまた村に戻ってきます」とカムイ。
「元気でな」と村長。
「はい行ってきます」とカムイは旅立つ。
桜の花びらは世界をおおう。
「アシタカ世界は広い」と父。
「父冒険の話また聞かせて」とアイタカ。
「若き日私は世界を見た」と父。
「アイタカ冒険でる」とアイタカ。
「そうか。それはいい」と父。
アイタカは旅立つ日。
「約束だアイタカ。また会おう」と父と母。
「アイタカ約束またあう」とアイタカは旅立つ。
桜が舞い花びらがすぎてまた一行は旅立つ。
女が立っている。美しくある。
「誰だい」とエルフィール。
「女神ファルフィーニールです」とファルフィーニール。
「なんの神様だい」とエルフィール。
「運命です」とファルフィーニール。
「運命を司るのか」とエルフィールたちはどよめく。
「生まれた場所。親は運命によって決められています。けれども運命はある瞬間変えることができます。それが結婚であったり夢であったりします」とファルフィーニール。
「夢ねえ。旅をすることかな」とエルフィール。
「運命というか物語は出会いと別れによって演出されそしてハッピーエンドを目指すことになります。世界は物語の舞台。さあどんな物語を見せてくれますか」とファルフィーニール。
「最高の物語を見せてやるぜ」とエルフィール。
「確かにあなた方の物語はすごいです」と握手する二人。
一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はベネズエラ。彼ベヤージュは徳が認められてお地蔵様になってしまいました。いくせ巡ってきてもうつかれました」とベネズエラ。
エルフィールの手が光る。ジョルディーとベネズエラを斬る。
「ずっと守ってきた。ずっと力になってきた。ずっと愛していた」とベヤージュ。
「私もずっと愛していたわ」とベネズエラ。
そこにはお地蔵様がふたつある。
「二人仲良くな」とエルフィールたちは旅立つ。
第五十五話 祭り舞う海さえも愛の中で。
夜一行は野宿である。シカにくらいつく一行。
「じゃがバターうまいな」とエルフィール。
「ダイエットとかしないわねあんたは」とミラル。
「豊満さがたまらない」「たまんねえな」とジョルディーとアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「愛があれば金が儲かるでやす」とバルディ。
「そうですか愛ですか。私にはたりなかったものだ」とボルド。
「小人は小さき愛という意味から生まれたと神話にあるのです」とネム。
「勉強になるな」とらいでん。
「聞いたこともない」とハイベル。
「愛が世界のことわりなのです」とフィル。
「愛こそが天使の姿」とクリスティーヌ。
「愛って大事なんですね」とテア。
「剣の勝負だ。ういーひっく」とカムイ。
「魔法のことわりでいいかな」とアドルテア。
「巨人はなんでもできます」とリー。
「泳げないくせに」とクロニア。
「妖精は海にもいるのよ」と桜。
「幽霊も海にいますよ」とキャル。
「魔王の世界だ」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「アイタカ旅幸せ」とアイタカ。
「神は不眠不休だ」とヴァルキャリアス。
「時はとまりません」と時の神。
「力だってそうさ」と力の神。
「太陽もそうです」と太陽の神。
「運命というか物語も紡がれています」とファルフィーニール。
「調和こそが世界のことわり」と調和の神。
「一曲いかがかな」と弾きだすダミエール。
歌うスーザンとレッドドラゴンとバリュウス。レッドドラゴンは元の姿になって歌う。
「踊りやしょう」とバルディ。
カーバンクルとベネレッタが鳴いてみんな踊る。「あなた方に幸運を」とアーティニーの声。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアレシスといいます。彼とはつきあって五年になりますが一度も愛してると言葉にしてくれないんです」とアレシス。
「彼と話そう」とエルフィールたちは彼の前へ。
「愛してると言葉にして」とアレシス。
「そんなこと男が言うことができるか。女は面白さで満足するんだ。面白い話を考えてきたぞ」と彼。
エルフィールが二階からアレシスを投げ飛ばす。下でハイベルが受けさめる。
「だいじょうぶか」と彼が降りてくる。
「もうだめよ。最後に愛してると言って」とアレシス。
「愛してる。愛してるよアレシス。これから何千回でも言葉にする。だから死ぬな」と彼。
二人は抱きしめあった。
山道を歩く一行。アムネスタが転げ落ちて木に止まる。すぐに駆けつけるエルフィールたち。
「アバラの二本がいってます」とクリスティーヌ。
「限界まで回復します」とフィル。
「私も」とハイベル。
「あはははは」とアムネスタが笑う。
「笑ってる場合か」とエルフィール。
「またエルフィールさんたちに会えた。うれしくてうれしくて」とアムネスタ。ジョルディーも笑う。
「泣いてるのか」とジョルディー。
「これは汗だ」と涙をぬぐうエルフィール。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はエルヌ。私を幸せにしてください」とエルヌ。
「一緒に旅に出よう」とエルフィール。遺跡探検。怪物との格闘。
「幸せだ。すごい幸せだ」とエルヌ。
「どうだい。仲間になるかい」とエルフィール。
「みんなにもこれを教えてあげたい。教師になります」とエルヌは去る。一行は旅立つ。
「海龍が暴れています」と人魚のクロニア。
「行こう」とエルフィール。
「あっしは泳げねえでやすよ」とバリュウス。
「どこまでドラゴンの面汚しなのだおまえは。ドラゴンの恥め。顔も見たくない」とレッドドラゴンは元の姿になる。
「面目もない。これは貸しにしといてくだせえエルフィールさん」とバリュウスはちぢこまる。
人魚になり海の中を進む一行。海の底で人魚の村で海龍が暴れている。巨大な細長い魚にドラゴンの首である。
「何故暴れるドラゴンかいりゅうよ」とエルフィールが叫ぶ。
「うるさいわ」としっぽで水圧を攻撃する。クリスティーヌの手が光る。一行の動きが収まる。
「天使の魔法で波は収めています。私はそれでていいっぱいです」とクリスティーヌ。
「上等だぜクリスティーヌ。行くぞ」とエルフィールたちは海龍に突進する。
「これでもくらえ」とレッドドラゴンのブレス。は水に相殺されてしまう。
「愚か者どもめ」と海龍はブレスする。水の竜巻が一行を襲う。刃のごとく斬り裂かれるエルフィールたち。後方でフィルとハイベルに回復される。
「まだだ。まだなんだ」とエルフィールは飛び出す。
「はいやっ」とクロニアの魔法「えいやっ」とミラルやアドルテアの魔法で目が効かない海龍。レッドドラゴンのしっぽ攻撃で海底に叩き込まれる海龍。エルフィールが精霊をまとい壮剣する。海龍をボクシングのごとき叩き殴る。やたらめったらブレスする海龍。だが目が見えないのであたらない。ジョルディーが牙を砕く。エルフィールが左右に殴る。海龍は死んだ。
「勝ったぞー」とエルフィールが叫んだ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと海龍を斬る。海龍が蘇る。
「私としたことが人魚に罰をあたえようとして暴力にのまれてしまっていた。すまない。人魚たちを守護しょう」と海龍。
「それじゃな」とエルフィールたちは旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「町の英雄ナズナ様が亡くなったのです。みんな涙に暮れていて豊作を願う祭りができないでいます」と町長。
ナズナの記念碑の前に立つエルフィールたち。エルフィールの手が光る。ジョルディーと記念碑を斬る。
みんなの心にナズナの声が響く。「祭りだ。祭りをしょう」町中祭りとなる。エルフィールたちも祭りを存分に楽しんだ。
「さあ旅だ。旅がしたい」とエルフィールたちは旅立つ。
なかがき。
すべてのことにいま決着を。アリオンで得た神々というテーマ。ロードス島戦記で得た世界観。ザロードオブザリングで得た世界。ジョジョの奇妙な冒険で得たかけひき。北斗の拳で得た強さ。ドラゴンボールで得た冒険。超人ロックで得た哀しみと愛。などなど語り尽くせぬものを得てダークエレメンタラーはできています。ぜひそれらのダークエレメンタラーの元になった作品もお楽しみください。それではまた。
第五十六話 愛に踊り舞う天使たちの空で。
夜野宿する一行。焼いたシカにくらいつく。
「デザートにじゃがバター」とエルフィール。
「くったくった」とミラル。
「のんだのんだ」とジョルディーとアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「一曲いかがかな」とダミエールが弾く。歌うスーザン。
「踊りやしょう」とバルディに鳴いて踊るカーバンクルとベネレッタ。夜はふけていく。
「はい死神銀行ですがあなたは金もない、パートナーたる男も女もいないとなると魂を担保にしてもらうしかありませんね」と死神。
「睡眠は資本となり担保となります」とクリスティーヌ。
「天使ですか。私はガイガンといいます」とガイガン。
「医者に睡眠薬を出してもらい眠れるように工夫すればいい。はらいつぱいにしても眠れます。とにかく睡眠はパートナーや金に匹敵する力を持ちます。睡眠時間に集中力は比例します。どうか眠ってそれを力としてください。睡眠は力です」とクリスティーヌ。
「わかりました」とガイガンと握手するクリスティーヌ。
「木の靴を三百も引き受けてさばききれない」と職人。うとうととする職人。ネムたち小人たちが机に上がってきて木の靴を作る。それが一週間は続いただろうか。木の靴は完成した。
「依頼料だ」と職人。ネムは受け取る。
一行が山を行く。突然大地が動きだす。一行は巨大なくじらの上にいた。
「ぐるぐるぐーるー。誰かいるのかな」とくじら。
「黎明の騎士のエルフィールだ」とエルフィール。
「そいつはすごい。ぐるぐるぐーるー。旅は道連れ一緒に行こうじゃないか」とくじら。
数億のくじら空を行く。
「これみんなあんたの種族かい」とエルフィール。
「みんな仲間さ。ぐるぐるぐーるー。家族だよ」とくじら。
「大家族だな」とエルフィール。
「そうさみんな家族さ友達なんだよ。きみらも家族さ。ぐるぐるぐーるー」とくじら。
「こんな空の旅もたまにはいいものさ」とエルフィールたちはくじらと空行く。
どっちを向いても地平線である。
「今日はここで野宿かな」とエルフィールがおちる。穴の中は村がある。サングラスをしたもぐらたちが生活してる。
「ここはもぐらの村だよ」ともぐら。
「これは黎明の騎士よ。接待したい」と村長。
「ワームがでたぞ」ともぐら。行くと巨大なミミズが暴れている。精霊をまとい殴り殺す。
「ミミズってくえるかな」とエルフィール。
「お祭りだ」ともぐらたちのお祭りである。酒に歌に踊りに食べまくりである。あくる日一行はもぐらたちに見送られて旅立った。
空に天使が数億人いる。みな剣を手にしている。
「なんだこれは」とエルフィール。
「天使戦争だ」とヴァルキュリアス。
「エンジェルズウオー。話には聞いたことがあります」とフィル。
「大神エバルティウスが生まれ変わるんだ。生まれ変わる前の天使と生まれ変わる天使のふたつの戦いだ」とヴァルキュリアス。
「ぱふ翼になってくれ」「ぱふ翼なる」と空へと飛び立つエルフィールたち。
「どこだエバルティウス」とエルフィール。エルフィールは精霊をまとい剣で天使たちをはじきながら進む。ジョルディーも天使の剣を砕きつつ進む。天使たちが数千人くる。レッドドラゴンがしっぽではじく。天使たちが竜巻になってる中に吸い込まれるエルフィールたち。竜巻の中は静かな空間である。空に神がいる。ジョルディーと光りで神を斬る。数億の天使たちが巡る中で神が復活する。
「ありがとうエルフィール。私たちはいつでも力になるよ」と神と天使たちは去る。
「さあ旅だ。旅がしたい」と旅立つ一行。
第五十七話 信じる愛と問いかける愛。
夜一行は野宿である。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバター。じゃがバター」とエルフィール。
「くいすぎた」とミラル。
「のみすぎた」とジョルディーとアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「愛がすべてです」とクリスティーヌ。
「愛によって世界はまわっているのです」とフィル。
「愛ですねわかりました」とテア。
「小人の昔話はそう伝わっています」とネム。
「興味深くあるな」とらいでん。
「勉強になります」とハイベル。
「酒でもまけない」とカムイ。
「レッドドラゴンも負けないぞ」とレッドドラゴンは元の姿になる。
「これがドラゴンの力よ」とレッドドラゴン。
「さすがでやすレッドドラゴンさま」とバリュウス。
「これが設け方でやす」とバルディ。
「すごいもうけですいやあやりますなあ師匠」とボルド。
「魔法の話でいいかな」とアドルテア。
「はい」とミラル。
「巨人の魔法もひとあじ違いますよ」とりー。
「聞いてみたいです」とミラル。
「人魚の魔法もどうです」とクロニア。
「妖精の魔法も桜もいいものよ」と桜。
「アイタカさけのめない」とアイタカ。
「これだから獣はいけませんね」とアルス。
「ぱよぱよ」とぱふ。
「ぱよぱよ」とキャル。
「魔王の世界になりやがれげっげっげっ」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「あなたがたの物語はとても気持ちいい」とファルフィーニール。
「確かにすばらしい物語だ」とヴァルキュリアス。
「力の神あっての物語だ」と力の神。
「調和あっても物語です」と調和の神。
「時あっての物語です」と時の神。
「太陽あっての物語だ」と太陽の神。
「一曲いかがかな。これはとても静かに」とダミエール。歌うスーザン。
「踊りやしょう」とバルディ。カーバンクルとベネレッタが鳴きながら踊る。「いいものですね」とアーティニー。夜はふけていく。
流星がたくさん落ちてくる。
「願いごとはとっとっ」とエルフィール。
流星たちは地面に落ちると光りの波紋となって空間がたゆたう。光りの波紋に吹っ飛ばされるエルフィールたち。
「なんだってんだー」とエルフィール。
流星は地面を走るものもあって大地はてんやわんやである。ダミエールは曲を弾いているしスーザンは歌っている。バルディたちは踊っている。
「お祭りだ」とエルフィールたちは踊る。流星は一時間は落ちてきた。そして夜は静けさに包まれた。
エルフィールたちを圧力が襲う。
「なんだ敵か」とエルフィールは精霊をまとい殴る。圧力の獣はさらに暴れる。
「バリュウス」とエルフィール。
「へいわかりやした」とバリュウスがしっぽで圧力の獣に攻撃する。まったく圧力の獣にはダメージがない。
「これは季節圧ですね」とフィル。
「季節圧だって」とエルフィール。
「季節によって圧力があがる現象です」とフィル。
「季節の現象なのか」とエルフィールは圧力を感じている。
一行は圧力をさけるように歩いて行く。
町がある。宿に入る。食事をとる一行。
「ここはなんて国なんだい」とエルフィールがマスターに聞く。
「ここは蜃気楼帝国だ」とマスター。
「蜃気楼帝国だって」とエルフィール。
「蜃気楼帝国。聞いたことがあります。移動しながらさまよう帝国だと」とらいでん。
「また会うぜ」とエルフィール。
「縁があったらまた会おう」と蜃気楼帝国の人たちと別れる。
「依頼だ」とジョルディー。
「私は恋愛の女神キャルロット。とにかく恋愛の相談が多くてさばききれない。エルフィール代役を頼みます」とキャルロット。
「いいぜ」とエルフィール。
神殿にカップルが来る。
「神様聞いてください。彼ったらひどいんですよ」と女。
「うむそれはひどい天罰だ」と関節技だ。
「もうしません」と彼。
「すばらしい」と以外と好評な女神エルフィールである。
「キャルロット様が逃げたぞ」と巫女たち。
「逃げるなーっ」と追っかけるエルフィール。
「遊びたいんじゃ」とキャルロット。
「仲間になるか」とエルフィール。一行は旅立つ。
「アルス。おれたちはずっと友達だよ」と友達。
「ずっと一緒だ」と若き日のアルス。そして疎遠になった友達とは音信不通になってしまった。
「私は誰の言葉も信じない」とアルスは今日もエルフィールにくってかかる。
「アルス。エルフィールはいつもおまえのそばにいて話を聞いてるんだ。そこいらの奴とは違うと思う」とジョルディー。
「確かに」目は自然とエルフィールを追っている。
「エルフィールさんのいうこともわかりますが」とアルス。
「どうした今日はゆずるじゃないか」とエルフィール。
「エルフィールさんはずっと私の前にいる。それ以上でもそれ以下でもないってことですよ」とアルス。
「かわいいやつ」とエルフィール。
「いいかたがえろいんだあなたは」とアルス。
夜はふけていく。
ジョルディーとエルフィールが歩く道には木がありその下には花がある。
「どこへ行くの」とアーティニー。
「ここじゃないどこか。明日咲く花へ」とジョルディー。
「どうして生きるの」とアーティニー。
「はらいっぱいになるため」とジョルディー。
「どうして出会ったの」とアーティニー。
「愛しあうため」とジョルディー。
「アリは土を作り土は作物を育てる。私たちはなぜ生まれたの」とアーティニー。
「幸せになるため」とジョルディー。
「なぜ夢が必要なの」とアーティニー。
「自分で自分を必要とするため」とジョルディー。
「なぜ死ぬの」とアーティニー。
「生まれ変わるため」とジョルディー。
「なぜ生まれ変わるの」とアーティニー。
「巡り会うため」とジョルディー。
「なぜ愛しあうの」とアーティニー。
「魂が呼び合うから」とジョルディー。
「なぜ涙がでるの」とアーティニー。
「抱きしめあってぬぐいあうためだよ」とジョルディー。
「愛してる」とアーティニー。
「愛してる」とジョルディー。
「愛してる」とエルフィール。
三人見つめあっていた。
第五十八話 蛇と愛に踊る日。
夜一行は野宿である。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターでしめよう」とエルフィール。
「食べ過ぎた」とミラル。
「ぼくだめなんです」とテア。
「あきらめるなチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「それでおばあさんはどうなったんですか」とアムネスタ。
「それでおばあさんはたぬきになりましたおしまい」とジョルディー。
「それはよかったうぃーひっく」とアムネスタ。
「ドラゴンのことわりとはなんだ」とレッドドラゴンは元の姿に戻る。
「これがドラゴンの力だういーひっく」とレッドドラゴン。
「さすがでやすドラゴンの神よういーひっく」とバリュウス。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「小人の物語はそんなとこさ」とネム。
「興味ぶかい」とらいでん。
「いい話だ」とハイベル。
「物語はいいですね」とファルフィーニール。
「剣の物語もいいものだぞ」とカムイ。
「金は物語でさあ」とバルディ。
「いい物語ですね」とボルド。
「魔法は真名の複数化によって活性します」とアドルテア。
「桜は真名の姿なのよ」と桜。
「巨人の真名は変わり続けています」とりー。
「人魚も真名は変わっているわ」とクロニア。
「アイタカ真実の名。それが名前」とアイタカ。
「獣の真実の名などばかばかしいのですよ」とアルス。
「真名は天使の福音」とクリスティーヌ。
「エルフにも真実の名はあります」とフィル。
「ぱよぱよが真実の名だよ」とぱふ。
「幽霊の真実の名前は風過ぎる者です」とキャル。
「神は存在が真実の名前なのだ」とヴァルキュリアス。
「恋愛には愛という真実の名前がある」とキャルロット。
「聞く価値のある話に調和はもたらされます」と調和の神。
「力はすべての元になる魔法なんだ」と力の神。
「時は巡る世界の真実の名前」と時の神。
「太陽が真実の光。それが真実の名前」と太陽の神。
「魔王の世界。それが真実の名前」と魔王。
「さぜるか」とエルフィール。
「歌が人の真実の名前」とスーザン。
「音楽こそが人の真名」とダミエールは曲を弾く。
「踊りやしょう」とバルディが踊りだす。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。「それもまた今日という日」とアーティニー。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「エルフの村。エルフの森は無数にあり、その中でもとくに大きな七つの森のひとつアレーシアが氷りに包まれてしまった。どうしてなのかしらべてほしい」とエルフ。
一行はアレーシアへと行く。氷りついた森に村である。
「さむいでやすな」とバルディが氷りつく。
「ミラル炎の魔法だ」とエルフィール。
「炎のうたげ空の中にたゆたう火よその心よ応えたまえいまその名の下に燃え上がれ」とミラルが詠唱する。炎の魔法が踊るなかエルフィールはヴァルキュリアスに聞く。
「この森はどういうわけだい」とエルフィール。
「この森は精霊で季節をコントロールしていたんだ。夏を広げようとして冬の精霊が暴走したんだ」とヴァルキュリアス。
「精霊王」とエルフィール。
「なんだエルフィール」と精霊王。
「冬の精霊を説得したい。力を貸してくれ」とエルフィール。
「わかった」と精霊王。
「冬の精霊たちよ」とエルフィール。
「私たちの言葉を話すのは誰」と冬の精霊。
「私は精霊王とエルフィールだ」とエルフィール。
「私たちの扉を叩くのは誰」と冬の精霊。
「冬を開放してほしい」とエルフィール。
「光をください」と冬の精霊たち。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。森が氷りがとける。エルフたちは生き返る。
「ありがとさん」とエルフィールは冬を凪いだ。
「依頼だ」とジョルディー。
「余はシャンク王である」と玉座に一行はいる。
「なにをやってもどうやっても国がうまくまわっていかないのだ。にっちもさっちもいかない」と王様。
「王様そういうのいっぱいいつぱいっていうんだぜ」とエルフィール。
「これがいっぱいいっぱいか」と王様。
「どうにもならない状態をいっぱいいっぱいというのさ」とエルフィール。
「このいっぱいいっぱいどうすればいいのかな」と王様。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで王様を斬る。エルフィールたちの旅が王様が経験する。
「そうかいっぱいいっぱいには旅と不思議が必要なのじゃな。わしも旅にでよう」と王様。
「それじゃな」とエルフィールたちは王様と別れる。
空から透明な船が落ちてくる。
「神々の船だ。光りが足りないんだな」とヴァルキュリアス。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで船を斬る。光りの船に乗って天国そして冥界へと旅する。
「エルフィール元気でやってるかい」とダリル。
「はい父さん」とエルフィール。
「フィルすまない」とダリル。
「いえいいのです。ダリル愛しています」とフィル。
「私もフィル愛している」とダリル。
一行は旅立つ。
世界中の魔法が使えなくなった。世界が止まってしまうと大変な騒ぎである。エルフィールたちの前に女性が立つ。
「誰だおまえ」とエルフィール。
「この事態をまねいた張本人よ」と女。
「名乗れ。私はエルフィール」とエルフィール。
「敵に名乗ってどうするの」と女は魔法で攻撃してくる。
エルフィールが精霊をまとい殴る。受け止める女。エルフィールと互角である。エルフィールの手が光る。ジョルディーと女を斬る。
「私は魔法の女神ティックネアティーネ。体の細胞が数日ですべて生まれ変わるようにすべての魔法も生まれ変わった。どうだろう仲間になりたい」とティックネアティーネ。
「行こうぜ」と一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はネグラス。親の反対をふりきって結婚していまは子供もいます。親と和解したいのです」とネグラス。親と会う一行。
「おまえの顔など見たくない」と父親。
「元気だったかい」と母親。
「あんたの孫だ」と子供は七歳くらいである。
「そうか。大きくなったな。おまえももう親なんだな」と父親。
「おまえが結婚できるとはね。心配だったよ」と母親。
「いやだめだ勘当したんだ出ていけ」と父親。
「おやじ」とネグラス。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで父親を斬る。ネグラスが赤ん坊だったとき泣きやまなかった。学校に初めて通ったとき。うれしかったあの日。
「おれも同じことを経験したよ」とネグラス。
「大きくなつたなネグラス」と父親は泣いている。母親も妻も泣いている。家族はひとつになった。
一行は砂漠を歩く。大地が動き出す。ぱふが翼となって空へと逃げる。大地に巨大な蛇がいる。ドラゴンが小人のようだ。
「大地の蛇。世界の蛇。世界の大地は大地の蛇の体。すべてのドラゴンは私も大地の蛇から生まれた」と元の姿のレッドドラゴン。
「目が見えない」と大地の蛇。
「癒しの魔法だ」とレッドドラゴン。
「へいわかりやした」とバリュウス。
レッドドラゴンたちは魔法で癒す。
「目が見える」と大地の蛇。
「どこへ行きたい」とエルフィール。
「世界を巡る大地。それが私」と大地の蛇はまた大地へと消える。
「またな」とエルフィール。一行は旅立つ。
ベネレッタが人の姿で立っている。
「ねえ人はどこから来てどこへ行くの」とベネレッタ。
「東から来て西へ」とバルディ。
「ねえ物語は何億年語られまた巡る星を歌うの」とベネレッタ。
「巡る世界で」とバルディ。
「何回光ったら物語は終わるの」とベネレッタ。
「ネバーエンディングストーリー」とバルディ。
「物語は愛を何億語れば幸せになるというの」とベネレッタ。
「巡る愛で」とバルディ。
「物語が何億光年進めば旅は終わるというの」とベネレッタ。
「巡る旅に」とバルディ。
「物語が永遠を歌うときまた人は巡り愛は巡るというの」とベネレッタ。
「愛しています」とバルディ。
「愛してる」とベネレッタ。
二人の時が過ぎる。
なかがき。
とらさんとナウシカの子供がエルフィールです。二人の手にやどる奇跡は天空の城ラピュタからきています。アーティニーとジョルディーとエルフィールの三角関係はタッチとみゆきからきています。ベネレッタとアーティニー話の巡る愛の話は丹下桜さんの歌桜の花が咲く頃にからきています。悪魔の話は丹下桜さんの歌好き、たぶん、好きからきています。感動の詩はアニソンや宮沢賢治の春と修羅からきています。ナウシカがラピュタが何百回と見てまだあきずに見ています。ダークエレメンタラーもそういうふうに長く愛される物語になることを願っています。あなたが幸せでありますように。それではまた。
第五十九話 家族神話そして愛へ。
夜。一行は野宿である。シカを焼いてくらいつく。
「シカもうまいがじゃがバターもおいしいぜ」とエルフィール。
「確かにね」とミラル。
「家族愛が世界を救います」とフィル。
「家族こそが平和であり人を救うのです」とクリスティーヌ。
「我々は家族さ」とジョルディー。
「家族よねいえーい」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもがでも確かに」とミラル。
「家族になれてうれしい」とテア。
「アイタカ家族好き」とアイタカ。
「私もきらいじゃないですよ」とアルス。
「妖精も家族ってあるからいいわねあなたたちと家族っていうのも」と桜。
「小人も家族でひとつの村だからね」とネム。
「家族は大事ですよ」とらいでん。
「私の家族はいまは天国にいます」とハイベル。
「社員は家族でさあ」とバルディ。
「そうですな」とボルド。
「エルフも家族で森となる」とカムイ。
「歌を歌えば誰もが家族となれます」とスーザン。
「魔法は家族をそのゆらいとする」とアドルテア。
「巨人は家族を大事にします」とりー。
「人魚は村ごとに家族となって暮らしているわ」とクロニア。
「幽霊は生まれ変わる瞬間だから」とキャル。
「もふもふ族すべて家族」とぱふ。
「レッドドラゴンこそがドラゴンの父」と元の姿になるレッドドラゴン。
「我は父王なりぞとてな」とレッドドラゴン。
「ドラゴンはすべて家族みたいなものでやす」とバリュウス。
「神は万物が家族みたいなものさ」とヴァルキュリアス。
「魔族の父が魔王よ」と魔王。
「太陽こそが父なのさ」と太陽の神。
「時こそ父神であるあかし」と時の神。
「調和こそが家族のかなめ」と調和の神。
「力こそ家族の根源」と力の神。
「家族という物語に人は生きていくのです」と運命の神ファルフィーニール。
「愛は家族から生まれる魔法です」と魔法の神ティックネアティーネ。
「恋愛こそ家族の根源だ」と恋愛の神キャルロット。
「こんな我々家族にはこんな曲はいかがかな」とダミエールが弾く。
「あらそうこれが家族の愛なのね」とスーザンが歌う。
「踊りやしょう」とバルディ。カーバンクルが鳴き「家族よね」とベネレッタ。「そうよ家族よ」とアーティニー。夜はふけていく。
「雨だ」とエルフィール。
「神の涙だ」とヴァルキュリアス。
「神の悲しみか」とエルフイール。
「感動の幸せの涙のときもあるのですよ」とファルフィーニール。
「じゃあ感動ってことでよろしく」とエルフィールたちは旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアムネスティー。好きな人がいます」とアムネスティー。
「なんだどうした」とエルフィール。
「彼に告白されて好きなのですけど素直になれなくて」とアムネスティー。エルフィールの手が光る。ジョルディーとアムネスティーを斬る。星が空にまたたく。
「あの星が二人の愛だ。あの星があるかぎり巡りあって一緒になろう」と彼。
「はい」とアムネスティー。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はエスティン。俳優をやっています。父の墓参りがしたいのです」とエスティン。墓に行くと男が出てくる。
「兄さんどのつらさげてやってきたんだ。俳優やっていて父の死に目にもあわず看病もせずそれで墓参りだけなんて都合がよすぎるんだよ」と弟。
「すまなかった。ゆるしてくれ」とエスティン。
「ゆるせない。出ていってくれ」と弟。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「元気か」と父。
「俳優としてはいまはベテランさ」とエスティン。
「もう自立したんだ好きに生きていいんだ。なあエスティン人生は楽しいものさ。悔いだけは残すんじゃないぞ。私はおまえだけが心残りだった。もう思い残すことはないよ」と父。泣き出すエスティンと弟。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はラグス。人見知りなんです。敵を作りたくないんです。でも出会いがほしい」とラグス。 「最初出会う人は大半が敵として出会うことになる。それが出会いだ。だから人見知りもわかる。だが縁は敵でも縁なんだ。そこから仲良くなっていくこともたくさんある。敵を作れ。それが出会いだ。そこからの仲良くなるスタートなんだ」とエルフィール。
「嫌われたくない」とラグス。
「殺すくらいのいきおいでいけ」とエルフィール。
「できません」とラグス。
「人とつきあうというのはその人を生まれ変わらせるということなのです。それが幸せにするということなのです。殺す。でもその人は生まれ変わるのです」とフィル。
「どうやったら生まれ変わらせますか」とラグス。
「感動だけが生まれ変わらせます。言葉に自信がないなら背中で感動させなさい」とクリスティーヌ。
「やってみます」とラグスと握手して一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアウラ。彼とつきあいたいのです。好きあってることは確かなのですか勇気がでません」とアウラ。
「きっかけがないんだな」とエルフィール。
「きっかけですか」とアウラ。
「きっかけさえあればなんでもできます。できないのではなくだめなのではなくきっかけがないのです」とクリスティーヌ。
「きっかけ作りをすることが生きることです」とジョルディー。
「きっかけってどうやるんですか」とアウラ。
「ゆっくりと話したいと念じていくのです」とフィル。
「あとはぶつかれ」とエルフィール。ぶつかるアウラ。
「わ、わ、わたわたわたひだめです」とアウラ。
「力をぬけ。ゆっくりとゆっくりと考えろ」とエルフィール。
「あうあうつきあってください」とアウラ。
「よろこんで」と彼。
一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルデイー。
「ぼくはアグレスタ。両親のできが悪くて縁を斬りたいんです」とアグレスタ。両親とも会う。
「あんたらめしはまずいしあーしろこーしろいうな」とアグレスタ。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。前世でも家族であった三人。
「生まれ変わってもまた親であって」と前世のアグレスタは嘆願する。
「そうだな」と父。
「今度は私が頼む。家族になってくれ」と今余の両親。
「いいよ。家族になろうよ」とアグレスタは泣き出す。家族はひとつになった。
第六十話 生きること家族になること愛になること。
夜。一行は野宿である。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターうまうま」とエルフィール。
「はらいっぱいよ」とミラル。
「生きることはいっぱいいっぱいです」とテア。
「あきらめるなチャンスはある。万策を尽くして奇跡を待て」とエルフィール。
「生きることは戦いです」とフィル。
「生きるテーマこそ人生のテーマです」とクリスティーヌ。
「生きるってずはらしいうぃーひっく」とジョルディー。
「まったくですわうぃーひっと」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「奇跡は化け学つまり魔法によって変化する瞬間のことです」とアドルテア。
「わかります」とミラル。
「レッドドラゴンは生きる象徴たる力」と元の姿になるレッドドラゴン。
「これが生きるということだ」とレッドドラゴン。
「ドラゴンの生きる道。それが力でやす」とバリュウス。
「妖精は自然とともに生きるのが道」と桜。
「幽霊は生きてませんしくしく」とキャル。
「アイタカ生きる道戦いの中」とアイタカ。
「私は剣の技術に生きる道があります」とアルス。
「巨人の生きる道は世界の柱たる力」とりー。
「泳ぐことが人魚の生きる道。魚もとることも生きる道」とクロニア。
「歌うことが生きる道です」とスーザン。
「曲を奏でることが生きる道」とダミエール。
「光りが生きる道」とアーティニー。
「飛ぶことが生きる道」とベネレッタ。
「まったりすごすことが生きる道だもふ」とぱふ。
「小人は生活そのものが自然との調和が生きる道」とネム。
「神に仕えることそれが生きる道」とハイベル。
「化け学による奇跡を本にすることが生きる道」とらいでん。
「金をかせぎお客さんに還元するのが生きる道」とバルディ。
「ギルドのチームワークそれが生きる道」とボルド。
「剣の道。それが生きる道」とカムイ。
「旅。それが生きる道」とエルフィール。
「魔法の探求。それが生きる道」とミラル。
「すべての破壊。それが生きる道」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「神は生きているのではなく存在があるかないかの判定をするための存在なんだ」とヴァルキュリアス。
「力の源。それが生きる道」と力の神。
「太陽は自然に生きるそのもの」と太陽の神。
「自然の調和。それが生きる道」と調和の神。
「時をつむぐいっとき。それが生きる道」と時の神。
「運命。物語が生きる道」運命の神。
「恋愛。愛が生きる道」と恋愛の神。
「魔法。化け学それが生きる道」と魔法の神。
「こんな曲はどうたい」とダミエールに歌うスーザン。
「踊りやしょう」とバルディ。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊り一行は踊り明かす。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はダラス。八十になるのに夢叶わずもがいています。夜もおちおち眠れません」とダラス。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。世界は広く広大でありそこには幾重の次世代がいる。
「わかりました。次の世代に託すことにしたいと思います」一行は旅に出る。
夜。幽霊たちが無数にあらそっている。
「怨霊戦争だ」とヴァルキュリアス。
「おんりょう戦争てなんだ」とエルフィール。
「この世でさまよう霊が力尽きて生まれ変わろうとしてる。最後の力で戦争をしてるんだ」とヴァルキュリアス。
「ぱふ翼になってくれ」とエルフィール。
「ぱふ翼になる」とぱふたちは翼になる。
「エルフィール無茶よ」とミラル。
「やりたいんだ」とエルフィール。
「精神力でうわまわれば勝てる」とヴァルキュリアス、空へと飛ぶエルフィール。
「悪霊を恐れぬ者め罰をあたえん」と霊。エルフィール叩っ斬り霊は生まれ変わる。
「霊を恐れたたえあがめろ愚か者め」と霊。エルフィールは叩き斬り生まれ変わらせる。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。無数の霊が空へと光りとなって生まれ変わっていく。
「祈りでも生まれ変わります」とフィル。
「霊をたたえん」とエルフィール。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアスティー。幽霊です。家族を残して死んでしまって気持ちが残ってしまったのです」とアスティー。アスティーの妻と娘の下へ行く。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「家族を守護するよ」とアスティー。「はい」と妻と娘。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアグト。ダイエットが失敗ばかりで食費も馬鹿になりません」とアクト。
「そういうときの貯金ダイエットです」とフィル。
「必要以上のエネルギーや栄養をとりたくなったらそのための食費を貯金するのです。ここで大事なのはごほうびとして貯金をつかうことです。旅行でもいい、おいしいもの食べてもいい。自分にごほうび。これがポイントです」とフィル。
「成功しました」と後日。一行は旅立つ。
世界中で農作物が育たないことが問題となっていた。大地が動きだす。空へと飛ぶ一行。
「大地の蛇だ」とエルフィール。砕けていく大地の蛇。
「もう朽ちるのだ」と大地の蛇。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。大地の蛇が生まれ変わる。
「大地に恵みを」と大地の蛇。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「娘のマレスが彼と別れるというのです。それがどうも私たちのせいみたいで」と両親。
「彼にとついだら母たちの面倒を見る人がいません。別れます」と娘のマレス。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「二人ならばどんな困難も乗り越えていけるよ」と彼。
「別れましょう」と涙するマレス。
「ぼくの両親の面倒は弟が見る。婿養子になるよ」と彼。
「ありがとう」とまた涙するマレス。両親も喜ぶ。家族はひとつになった。
「家族という物語は巡る愛の歌」と運命の神。エルフィールはどこか暗闇を歩いていた。少女がひとり歩いている。
「お父さんだっこ」とダリルにだっこされる少女。
「お母さん今日のごはんなに」と少女。
「おまえの好きなシチューだよ」とフィル。
「おっきくなったらお父さんとお母さんに世界をあげるね」と少女。
「生きることは家族になることだから物語はまた生まれ変わる」と運命の神。
第六十一話 涙と翼と愛と。
夜。一行は野宿である。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターうまいな」とエルフィール。
「はらいっぱいよ」とミラル。
「できるでしょうか」とテア。
「遅いということはない。あきらめるなチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「だめなんです」とテア。
「明けない夜はない。楽しく生きていけばいいさ」とエルフィール。
「楽しく生きていけばですか」とテア。
「楽しく生きていければなんでもいいのさ」とエルフィール。
「自由すぎる。誰かエルフィールを逮捕してえ」とミラル。
「やるべきことよりやりたいことをやるんだ」とエルフィール。
「きーあー自由すぎる。誰かエルフィールをつかまえて」とミラル。
「楽しくなければ生きていけません」とフィル。
「楽しく生きることは生きるテーマです」とクリスティーヌ。
「酒は楽しいなあ」とジョルディー。
「ほんとうにそうですわねえ」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「自然と楽しく生きるテーマが妖精」と桜。
「ドラゴンは毎日が日曜日だ」と元の姿になるレッドドラゴン。
「毎日休日だ楽しいぞ」とレッドドラゴン。
「生きることは楽しいでやすな」とバリュウス。
「楽しいからもうかる。これが商売でやす」とバリュウス。
「経済とは楽しいことですな」とボルド。
「楽しいことは潜在的な力です」とハイベル。
「楽しいことは小人の生きる道さ」とネム。
「生きるとは楽しくなくてはならない。私の家訓です」とらいでん。
「化け学による魔法は楽しい」とアドルテア。
「剣の道は楽しいな」とカムイ。
「アイタカ生きる楽しい」とアイタカ。
「やるべきことはやるそれが生きることだ」とアルス。
「魚をとる食べるこれが楽しく生きることです」とクロニア。
「巨人は大きく生きることが人生です」とりー。
「歌は楽しく生きる秘訣です」とスーザン。
「音楽は楽しく生きる秘訣だ」とダミエール。
「ぱよぱよ楽しい」とぱふ。
「神は存在が楽しいぞ」とヴァルキュリアス。
「力はあがるほど楽しい」と力の神。
「調和あっての楽しさです」と調和の神。
「太陽はあびると楽しいぞ」と太陽の神。
「時過ぎて思い出となる」と時の神。
「破壊は楽しいな」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「物語は楽しくあります」と運命の女神ファルフィーニール。
「恋愛ほど楽しいことはない」と恋愛の女神キャルロット。
「化け学たる魔法ほど楽しいものもない」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「光りは楽しくある」とアーティニー。
「巡る愛が楽しい」とベネレッタ。
「こんな曲はどうたい」とダミエールが弾く。スーザンが歌う。
「踊りやしょう」とバルディ。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。一行は踊る。夜がふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「うわー」と空から男が落ちてくる。
「どうも私はアドルフ。空を飛びたいんです」とアドルフ。
「もっと楽に空を飛べる方法があるんじゃないか」とエルフィール。また空へと作った翼で飛ぶアドルフ。落ちてくる。エルフィールの手が光る。ジョルディーとアドルフを斬る。景色が巡る。アドルフは鷹という鳥に生まれ変わる。
「飛べ」とエルフィール。鳥はどこまでも飛んでいく。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「ぼくはパン。どうして生きるのかわからないんです」とパン。
「生きてればいろいろあるんだよいろいろ。それがおもしろいんじゃないか」とエルフィール。
「生きていてもつらくてつらくて」とパン。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。歴史の幾重の奇跡が見える。
「奇跡を見るために生きていくんですね」とパン。「そうさ。生きることを楽しもうぜ」とエルフィール。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「ぼくはライス。もてないんです」とライス。
「夢がある奴はとてももてる。夢を持て」とエルフィール。
「どうやってですか。夢なんてどうやって見るんですか」とライス。エルフィールの手が光る。
ジョルディーと光りで斬る。無限の夢を持っていた子供のとき。自分のだめさ加減に引き算していく人生。いつのまにか夢など失っていた。いま光りのほうにあるのは道。
「旅に出ます」とライス。一行は旅に出た。
「よおエルフィール」とエルフが街で話しかけてくる。
「ディティー元気だったか」とエルフィール。
「誰だい紹介しろよエルフィール」とジョルディー。
「ダリル様のところで一緒にやっていた仲間のディティーだ。こっちは私のいまの仲間だ」とエルフィール。
「また木を切ってる」と怒り気味のディティー。
「街はしかたないさ」とエルフィール。
「こんな木を切る街などサラマンダー」と攻撃するディティー。燃やし殺す人たち。
「やめてディティー。暴力では夢叶うこと願い叶うこと志叶うことないわ」とエルフィール。
「暴力で変えてやる」とディティー。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りでディティーを斬る。親に教師に先輩に暴力で教育されてきたディティー。腐った権力者に暴力でみせしめしてきた。何人殺したことだろう。どれだけ暴力をふるったことだろう。でもなにも変わりはしない。街には巨大な木があらわれた。
「ご神木として祭ります」と街の人たち。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はマロン。父が私の言葉を信じてくれないんです」とマロン。
「おまえはまだ子供だ信じることはできない」と父。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで父を斬る。
「おとうさん今日こんなことがあったんだよ」と子供のマロン。
「そうかよかったな」と父。
「どうしてだろう子供のときはすべての言葉を信じていたのにすまなかった。信じるよマロン」と父。泣き出すマロン。家族はひとつになった。
「涙なんて絶対に見せない」と少女。
「どうしたい」とエルフィール。
「おじいちゃんとおばあちゃんとおとうさんとおかあさんが死んだの。でも私は生きていくの。泣いちゃだめなんだ」と少女。エルフィールの手が光る。ジョルティーと光りで斬る。涙の連続の子供のときそれでも生きてきた。
「涙は人生の自分へのごほうびなのさ」とエルフィール。泣き出す少女。エルフィールが抱きしめた。
第六十二話 愛は家族の翼。
夜。一行は野宿である。シカにくらいつく一行。
「じゃがバターさいこう」とエルフィール。
「はらいっぱいだわ」とミラル。
「だめなんです」とテア。
「遅いということはない。あきらめるなチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「できるでしょうか」とテア。
「空けない夜はない。なに好きに楽しく生きていけばいいのさ」とエルフィール。
「エルフィールは自由すぎる。誰かつかまえて」とミラル。
「愛があるから支えあう」とらいでん。
「愛があるから酒があるうぃーひっく」とジョルディー。
「そうなんですよ。すべては愛のためにうぃーひっく」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「神は愛をくれます」とハイベル。
「小人だって愛はあるよ」とネム。
「アイタカ愛ある」とアイタカ。
「剣は愛でできています」とアルス。
「愛は金の姿でやす」とバルディ。
「確かに愛あって金は生きています」とボルド。
「道を究めることは愛だ」とカムイ。
「大きさは巨人の愛です」とりー。
「海は生命の愛」とクロニア。
「不思議は愛よ」と桜。
「愛はぱよぱよ」とぱふ。
「愛することが生きること」とクリスティーヌ。
「歌から愛は得られます」とスーザン。
「曲は愛の道」とダミエール。
「愛は魔法。人の感動の涙」とアドルテア。
「愛は光り」とアーティニー。
「愛に巡る命よ」とベネレッタ。
「愛に人生はある」とフィル。
「愛に生まれ愛に生きて愛に死ぬことが物語」と運命の女神ファルフィーニール。
「愛があれば力などいらない」とヴアルキュリアス。
「愛こそ人の神の力だよ」と力の神。
「愛こそ調和」と調和の神。
「愛こそ太陽」と太陽の神。
「時は愛によって巡る」と時の神。
「恋愛は愛の魔法」と恋愛の女神キャルロット。
「愛によって魔法はつづられます」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「愛など破壊してやる」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「さあ踊りやしょう」とバルディ。ダミエールが曲を弾きスーザンが歌う。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。踊る一行。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はライータ。母はいつまでたっても私にだめだしするんです」とライータ。母と会う一行。
「おまえはそこがだめなんだよ」と母。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「おかあさんだめだった」と泣きじゃくる子供の母。
「だいじょうぶだいじょうぶ」と母は抱きしめてくれた。
「大事なものは見えないから見失うことがある」と大事なものの女神フィリアーニーティア。
「おまえもだいじょうぶだよ」と母。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はケン。妻が家に帰ってこないんです」とケン。妻と会う一行。
「私は声優として声で人を助けているのよ。だんなだってそうして救っているわ」と妻。
「やりたいことやってもいいけど家族は一緒に住むものだぞ」とエルフィール。
「声で人は救えるから一緒にすまなくてもいいのよ」と妻。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「おとうさんてなんでも知ってるね。おかあさんおとうさんのどこが好きになったの」と子供の妻。 「いつも一緒にいてくれるからよ」とおかあさん。
「愛は一緒にいること。愛は一緒に過ごす時間から生まれるものだから」と愛の女神ネスティーネ。
「一緒に住むわ」と妻。家族はひとつになった。
女がひとり立っている。
「私は季節の女神ファウグスターニャ。光りをください」とファウグスターニャ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。そして季節は巡る。 「季節は巡り人生は巡り命は巡り愛は巡るものだから」と季節の女神。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はラピス。夢が見つからなくて」とラピス。エルフィールの手が光る。ジョルディーとラピスを斬る。子供のときに土にふれるのが好きだった。植物を育てていた子供のとき。楽しかった。
「わかりました。農家になります」とラピス。一行は旅にでる。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアレスタ。夢がないんです」とアレスタ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。人助けしてる姿の自分がいた。
「はい。慈善団体に入ります」とアレスタ。一行は旅にでる。
夜。野宿である。
「奴隷として拷問を何十年も」とミラル。
「おもしろい話だな」とエルフィール。
「なんてこというのエルフィール」とミラル。
「かわいそうからはなにも幸せは始まりません」とクリスティーヌ。
「つらさ悲しみだって血となり肉となり幸せとなる。人生に幸せに無駄な経験なんてないんだ」とエルフィール。
「物語はいつもハッピーエンドを神に約束されているのです」と運命の女神ファルフィーニール。
「無数の魂を沈めるために鎮魂歌を歌いましょう」とハイベル。歌う一行。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はビッグ。息子が悪さばかりして困っています」とビッグ。
「息子さんに会おう」とエルフィール。
「ばーかばーか」と息子。
「こらどうしておまえはいつもそうなんだ」とビッグ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。友達とうまくいかずひとりぼっち。かまってほしくて悪さをしていた。
「もっとおまえとの時間を作るよ」とビッグと息子は抱きしめあった。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアウグスタ。父はのんだくれてかっこわるいんです。私だってのみますけどこんなきたなくのみませんよ」とアウグスタ。父と会う一行。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。若き日の父はアウグスタのように生きていた。家族ができて働きいつしかくたびれた中年になっていた。
「こんな父ですまないな」と父。
「いいんだもういいんだ」と泣いている親子。家族はひとつになった。
第六十三話 母とおばさんと愛と。
夜。野宿である。シカにくらいつく一行。
「じゃがバターもいいねえ」とエルフィヘル。
「おなかいっぱいです」とミラル。
「幸せになれるでしょうか」とテア。
「遅いということはない。あきらめるな幸せになるチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「できるでしょうか」とテア。
「明けない夜はない。好きに楽しく生きればいいんだ」とエルフィール。
「きーあー自由すぎる。誰かエルフィールをつかまえてえ」とミラル。
「自由万歳うぃーひっく」とジョルディー。
「自由で踊りますうぃーひっく」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「テロリストアタクする人たちの存在を認め原発も認め、金儲けばかり口にするあべ内閣はもううんざりです」とミラル。
「権力者のそういうわがままもこまるなあ」とエルフィール。
「どうやったら幸せになるのでしょうか」とミラル。
「ドラクエにファイナルファンタジーにダークエレメンタラーのオンラインゲームやれば幸せだぜ」とエルフィール。
「はいじん作ってどうするの」とミラル。
「小さく生きるのは幸せだよ」とネム。
「大きく生きることが幸せです」と巨人のリー。
「泳ぐことは幸せです。それと魚釣り」と人魚のクロニア。
「金もうけは幸せでやすな」とバルディ。
「お客様と社員を幸せにするのは幸せです」とボルド。
「剣の道を究めることは幸せです」とカムイ。
「ものつぐりを極めるのは幸せです」とアルス。
「アイタカ食べること幸せ」とアイタカ。
「不思議の意味。それが幸せ。それが存在理由」と桜。
「知識を広め勉強することは幸せです」とらいでん。
「神につかえることは幸せです」とハイベル。
「光りは幸せです」とアーティニー。
「巡る愛は幸せです」とベネレッタ。
「ぱよぱよ幸せ」とぱふ。
「歌うことは幸せです」とスーザン。
「音楽は幸せです」とダミエール。
「生まれ変わることも化け学による魔法であり幸せです」とアドルテア。
「生きることそれが幸せなのです」とフィル。
「神に祝福されること。それが幸せです」とクリスティーヌ。
「旅は幸せです」とキャル。
「神は散在が幸せだよ」とヴァルキュリアス。
「多用なる力がふえていくと幸せだ」と力の神。
「調和が幸せです」と調和の神。
「太陽があること。それによる作物が幸せです」と太陽の神。
「時がすぎることが幸せ。そう思うことが幸せです」と時の神。
「ドラゴンであることが幸せ」と元の姿になるレッドドラゴン。
「これがドラゴンの幸せだ」とレッドドラゴン。
「ドラゴンになってみやせんか幸せでやすよ」とバリュウス。
「季節が巡ることは幸せです」と季節の女神。
「恋愛は幸せです」と恋愛の女神。
「愛は万物の幸せです」と愛の女神。
「大事なことを守ること。それが幸せです」と大事なものの女神。
「物語はとても楽しく幸せです」と運命の女神。
「踊りやしょう」とバルディ。曲を弾くダミエール。歌うスーザン。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。踊る一行。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はレステア。人になに言われても人の目が気になるしなにやってもだめだし無駄なことばかりだしもう結婚も仕事も人生がいきづまってしまって」とレステア。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。巡る人生の中で旅立つ人よ。
「運命は旅によって物語は旅によってハッピーエンドを見るのです」と運命の女神。
「旅に出ます」とレステア。一行は旅にでる。
「おれの人生はなんの価値も意味もなかった」と男がもだえのちうちまわる。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「星の血の一滴となり、星の血となり肉となり、世界の血となり肉となり。愛の血の一滴になった。それが物語」と運命の女神。泣き出す男。一行は旅に出る。
−−エルフィールエルフィール。
と誰かが呼びかける。歩くエルフィール。アーティニーが立っている。
「あなたがさいわいなように」とアーティニー。声がエルフィールを呼ぶ。また歩く。フィルがいる。
「おまえは自慢の娘だよ」とフィル。また声が呼ぶ。歩くエルフィール。びーだまが転がり花火が舞う。ダリルとエルフたちがいる。
「おまえに世界をやろう」とダリル。声が呼ぶ。また歩くエルフィール。ヴァルキャリアスが立っている。
「旅は好きか」とヴァルキュリアス。声が呼ぶ。また歩くエルフィール。ベネレッタが立っている。
「世界はそしてまた巡る」とベネレッタ。声が呼ぶ。また歩くエルフィール。びーだまの雨の中仲間が立っている。
「旅だ。旅がしたいんだ」とエルフィール。
「旅立ちましょう」とミラル。一行は旅立つ。
「時は死ぬ。過去は二度とは戻らない。時は過去になって死ぬ。時が逝く」と時の神。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。巡る世界。
「そして時は巡る。また生まれ変わる時よ」と時の神。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はフィニア。父が怒ってばかりでしかたないんです」とフィニア。父と会う一行。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。子供ができて不安で責任におしつぶされそうである日怒ることでしのいだ。
「いつも怒ってばかりですまない」と父。
「怒ってもいいよ」とフィニア。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はネウラ。娘として母がおばさんくさくて友達に紹介したくないんです」とネウラ。母と会う一行。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。若き日服のセンスもよかった。子育てにおわれ家計が苦しければ働きもした。いつしかおばさんになっていた。
「こんな母でごめんね」と母。
「いいのよ。いいのよもう」と親子抱きしめあって泣きくずれた。家族はひとつになった。
第六十四話 守護神たちの愛に。
夜野宿をする一行。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターさいこう」とエルフィール。
「もうはらいっぱいよ」とミラル。
「ぼくだめなんです」とテア。
「遅いということはない。あきらめるな幸せになるチャンスはある」とエルフィール。
「できるでしょうか」とテア。
「明けない夜はない。なに楽しく好きに生きていけばいいのさ」とエルフィール。
「ぼくだめなんです」とテア。
「旅は悩みをなくしてくれます。旅は幸せになれます。さあ旅にでましょう」とフィル。
「きーあー自由すぎる。誰かエルフィールをつかまえて」とミラル。
「小人の作物の作り方はダイビングみたいに山のぼりみたいに稲を育てるのさ」とネム。
「巨人の作物はみんなでっかいんです。巨人はたくさん食べますからたくさん作ります」とりー。
「人魚は魚を漁をするのよね。海の稲の作物もあるのよ」とクロニア。
「幽霊は死ぬことはないから安心して死んでいられます」とキャル。
「歌っていると幸せの風が吹くんです」とスーザン。
「音楽は奏でるだけ人生が豊かになる」とダミエール。
「剣の道はすべてを教えてくれる。そこに人生の答えがある」とカムイ。
「光りはすべてを奇跡を人はできるのです」とアーティニー。
「巡る世界。巡る人生。巡る時。それは幸せの物語」とベネレッタ。
「アイタカ走る幸せ。アイタカ食べる幸せ」とアイタカ。
「技術を高めることは幸せです」とアルス。
「不思議を探求することが妖精の幸せよ」と桜。
「どう化けるか魔法を探求することが幸せです」とアドルテア。
「神に祈り。人々のために祈ることが幸せです」とハイベル。
「神のために働くことが幸せです」とクリスティーヌ。
「金儲けは幸せでやすな」とバルディ。
「金を社員にお客様に還元することが幸せです」とボルド。
「酒を飲むと幸せだ」とジョルディー。
「いえーいかんぱーい」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「話し合うことが幸せです」とフィル。
「知識の探求研究は幸せです」とらいでん。
「旅は永遠の物語」と運命の女神ファルフィーニール。
「季節が巡ることが奇跡であり幸せなのです」と季節の女神ファウグスターニャ。
「恋愛はせつなさいとしさ永遠の巡りあいを歌う幸せ」と恋愛の女神キャルロット。
「ドラゴンは幸せの象徴なのだ」と元の姿になるレッドドラゴン。
「これが幸せだ」とレッドドラゴン。
「微力ながらみなさんを幸せにするでやす」とバリュウス。
「神は人々の幸せさ」とヴァルキュリアス。
「愛は永遠の幸せを歌うのです」と愛の女神ネスティーネ。
「時は巡る歌のように人の幸せの場なのです」と時の神。
「睡眠力に馬力など力こそが人を幸せにするのさ」と力の神。
「精神の調和。それが幸せ」と調和の神。
「化け学たる魔法が人を幸せにして巡る命すら魔法なのです」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「太陽によって命は生まれました。いまも作物はそうです。それが幸せ」と太陽の神。
「破壊こそが幸せさ」と魔王は笑う。
「させるか」とエルフィール。
「さあ踊りやしょう」とバルディ。スーザンが歌いダミエールが曲を弾きカーバンクルとベネレッタが鳴き一行は踊る。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はガンダ。息子が尊敬してくれないんです」とガンダ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。子供育てる教師や親。食べ物を作る人。お話を作る人。
「ものづくりすることで尊敬は得ることができるのです」とヴァルキュリアス。
「お父さんがこの家作ったんだぞ」とガンダ。
「おとうさんすごいね」と息子。一行は旅にでる。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はレステア。息子が私を信じてくれなくて仲間もふえません」とレステア。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。犯罪を見ていて人が信じられなくなっていった。仲間に裏切られて人を信じられなくなっていった。いつからだろう。まず人を疑うことから始めるようになっていた。
「人を信じた分だけ絆となり信頼となり結束力となります。だました分だけ仲間は消えていきます。人の言葉を信じなさい。そうすれば自然と仲間はふえていくでしょう」と愛の女神。
「おとうさん今日こんなことがあったんだよ」と息子。
「そうか信じるよ」とレステア。一行は旅立つ。
「物語だって」とエルフィール。
「物語は人の人生というものは心の血となり肉となります」と運命の女神ファルフィーニール。
「夢とかあいまいだよな」とエルフィール。
「そんな時にテーマです。人生の主旋律や命をかけた命題という意味あいですね。たとえばダークエレメンタラーのテーマは旅や純愛や家族神話というものです。それを主旋律に描きだす世界なのです」と運命の女神ファルフィーニール。
「テーマねえ」とエルフィール。
「運命には物語にはテーマが必要でありそれがあると運命も物語もまたハッピーエンドを迎えることができるのです」と運命の女神ファルフィーニール。
「わかったよ」とエルフィールは焚き火にあたる。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はグスタ。結婚しょうとすると仕事しょうとすると生きようとすると苦しくてしかたないんです」とグスタ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。花が一年に一回だけ花開く。
「花はたった一回咲くために苦しみもがきしのぐのです。苦しみの中開く愛の花。それが人生であり生きることなのです。さああなたも物語を花開きなさい」と運命の女神。
「生きていきます」とグスタ。
「依頼だ」とショルディー。
「私はカーディガン。父が話してくれないんです」とカーディガン。父と会う一行。
「おまえはもう大人だ。一人前なんだ話すことなんかない」と父。エルフィールの手が光る。ジョルディーと斬る。父の父ははやくに亡くなり仲間にアドバイスをもらって生きてきた。決して一人ではなかった父。
「わかった話しをするよ」と父。抱き合う親子。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はラウンド。人を救うために時を止めたいと思うのです。時が止まればみんな救われます」とラウンド。魔法陣がある。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「いま時が止まる」とラウンド。魔法陣の中にいるラウンドは結晶となって止まっている。
「時は彼の時だけ止めた。彼の願いを私は叶える」と時の神。
「人を救う直前を永遠に描く物語よ」と運命の女神ファルフィーニール。一行は旅立つ。
「何者だ」と男。
「何者って旅人さ」とエルフィール。
「村を狙ってのことか」と剣を抜く男。ジョルディーと斬りあう。
「魔法の剣か。どういうことだ」とエルフィール。
「この男は守護神としてガーディアンを神に命じられ村を守ってきた。だが村はすたれなくなりそれでも村を守ってきた」とヴァルキュリアス。
「みんなの笑顔を守るんだ」とガーディアン。
「もう力尽きようとしている物語はどのように結末を見るのでしょうか」と運命の神ファルフィーニール。エルフィールの手が光る。ジョルディーとガーディアンを斬る。星になるガーディアン。
「そこで人々を見守っていてくれ」とエルフィール。
「なにがしたいですか」とミラル。
「旅がしたい旅にでたい。世界は広大だ」とエルフィールたちは旅立つ。
第六十五話 星と愛と旅立つ空に。
夜に野宿する一行。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターさいこう」とエルフィール。
「はらいっぱいよ」とミラル。
「ぼくだめなんです」とテア。
「遅いということはない。あきらめるな幸せになるチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「でもだめなんです」とテア。
「明けない夜はない。なに好きに楽しく生きていけばいいのさ」とエルフィール。
「きーあー自由すぎるエルフィールを誰かつかまえて」とミラル。
「将来が不安で」とテア。
「旅にでれば不安は消えますよ」とフィル。
「でも不安で」とテア。
「だいじょうぶ。絶対大丈夫だ」とエルフィール。
「私たちの力ならば絶対大丈夫よ」とミラル。
「酒があれば絶対大丈夫だうぃーひっく」とジョルディー。
「私たちも絶対大丈夫ようぃーひっく」とアムネスタ。
「魔法の化け学変化があれば絶対大丈夫ですぞ」とアドルテア。
「剣の力があれば絶対大丈夫だ」とカムイ。
「小さい幸せがあれば絶対大丈夫だ」とネム。
「妖精の植物の作物の息吹があれば絶対大丈夫よ」と桜。
「技術があれば絶対大丈夫ですよ」とアルス。
「歌があれば絶対大丈夫ですよ」とスーザン。
「音楽があれば絶対大丈夫ですよ」とダミエール。
「神がいること。それが絶対大丈夫なのです」とハイベル。
「金があれば絶対大丈夫でやすよ」とバルディ。
「商売があれば絶対大丈夫です」とボルド。
「アイタカ腹いっぱい。絶対大丈夫」とアイタカ。
「愛があること。それが絶対大丈夫なのです」とフィル。
「学問や知識があることそれが絶対大丈夫なのです」とらいでん。
「でかいことがあること。それが絶対大丈夫なのです」と巨人のリー。
「水の恵み。それが絶対大丈夫なのです」と人魚のクロニア。
「奇跡があること。それが絶対大丈夫なのです」とクリスティーヌ。
「生まれ変わることそれが絶対大丈夫なのです」とキャル。
「ぱよぱよ絶対大丈夫」とぱふ。
「ドラゴンの力それが絶対大丈夫だ」とレッドドラゴンは元の姿に戻る。
「これが力であり絶対大丈夫な姿だ」とレッドドラゴン。
「へいあっしたちがいれば絶対大丈夫でやすよ」とバリュウス。
「神の力。それが奇跡。人の願い。それが奇跡。神の人の奇跡は起き続けている。だから絶対大丈夫だ」とヴァルキュリアス。
「睡眠力に勉強の力。力があれば絶対大丈夫だ」と力の神。
「太陽があるかぎり絶対大丈夫だ」と太陽の神。
「時があれば絶対大丈夫です」と時の神。
「愛による調和。平和があれば絶対大丈夫です」と調和の神。
「すべていためつけて破壊してやるから絶対大丈夫だぜ」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「運命はその物語は奇跡によって祝福されるのです。だから絶対大丈夫です」と運命の女神ファルフィーニール。
「恋愛してるとなんとかなるものです。だから絶対大丈夫です」と恋愛の女神キャルロット。
「魔法による化け学はすべてを幸せ変化させます。だから絶対大丈夫です」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「季節が巡る命が巡る。だから絶対大丈夫です」と季節の女神ファウグスターニャ。
「大事なものを守ること。それが絶対大丈夫です」と大事なものの女神フィリアーニーティア。
「愛があれば助け合いかあれば支えあいがあれば絶対大丈夫です」と愛の女神ネスティーネ。
「奇跡は起こせます。だから絶対大丈夫です」とアーティニー。
「空を飛べるかぎり絶対大丈夫よ」とベネレッタ。
「踊りやしょう」とバルディがみんなが踊る。スーザンが歌うダミエールが演奏する。小鳥たるベネレッタが踊りカーバンクルが舞う。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はクレスタ。私を殺してほしいの」とクレスタ。
「どうして自殺するんだい」とエルフィール。
「助け合う人ひとり、支えあう人ひとりいない私には生きていてもしかたないのよ」とクレスタ。
「もう支えあってるじゃないか」とエルフィール。
「誰とよ。誰もいないじゃないの」とクレスタ。
「地球と支えあっているじゃないか」とエルフィール。
「地球と力をあわせ命は生きているのです」とフィル。ひとしきり泣くクレスタ。
「わかったわ生きていくわ」とクレスタと別れ一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はゆい。彼が死ぬんです」とゆい。
「彼と会おう」とエルフィール。
「天使がもう私を迎えに来たのです」と彼。
「死なないで。えーぶいでろっていうならでるからヌードになれっていうならなるから」とゆい。
「寿命なんだ」と彼。
「天国に愛の星に地球にどの世界どの時代。幾世巡っても出会いと別れは宇宙の法則。神の意思なのです。絶対です」と運命の女神ファルフィーニール。
「天使が来た。それじゃまた巡ろう。またね」と彼は天使と空へと飛んでいく。そしてゆいだけが残された。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りでゆいを斬る。ゆいの指輪が星となった。
「巡りあう時。あの星が二人を導くだろう」とエルフィール。ゆいは泣きくずれた。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアリテ。妖精ですが仲間のみんなが春になっても目覚めないんです」とアリテ。花園にやってくるエルフィールたち。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。数億のつぼみが開いて花から数億の妖精たちが目覚める。
「ありがとう。これでみんな春を満喫できるわ」とアリテ。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はユクテ。夢もなにをやってもだめで悩み不安な日々を暮らしているのです」とユクテ。
「旅がおすすめです。旅は夢が叶い自分に自信ができてきます。旅に出ること。それが幸せへの道なのです」とフィル。
「運命は物語は旅によって新らしい選択を見つけることができるのです」と運命の女神ファルフィーニール。
「旅にでます」とユクテ。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私は希望の神。希望の矢がなくてこの世界には希望の光りがないのです」と希望の神。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りの矢が出る。
「矢を放ちます」と矢を放つ希望の神。
「政治が不透明で」と人々。
「生活にいきづまっていて」と人々。
「恋愛にいきづまっていて」と人々。
「子育てにいきづまっていて」と人々。
「人間関係にいきづまっていて」と人々。
「夢にいきづまっていて」と人々。
「一緒に住めなくて」と人々。
「暗中模索でも明けない夜はない」と希望の矢が人々の心に届く。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はグレイユ。妻が帰ってこないんです」とグレイユ。妻に会う。
「彼には会いたいわよ。でも子供の面倒もあるしなんか勇気もでないし。あなたに恋愛なんてわからないわ。私たちの問題よ」と妻。
「お互い会いたいのに会わない。子供もいるんだ一緒に住めよ」とエルフィール。
「なんか気持ちがねわかんないのよ。そうできないのよ。これはデリケートな問題なのよ」と妻。
「家族は一緒に住むもんだ。まだ好きあってるならなおのことな。現実から逃げて人の親語ってるんじゃねえ。自分と戦え。家族の道を斬り開け」と首元つかんでエルフィールが叫ぶ。
「私はだめな人間なのよ。できないのよ。自分が弱くて。現実に自分に絶望してるのよ」と妻。エルフィールは妻をひきずっていく。
「いたいいたい」と妻。彼の元へと連れていく。
「愛してる。永遠を巡りあおう」と彼は抱きしめる。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんさいごめんなさいごめんなさい」と妻が泣きじゃくる。
「希望を失うとなにもできなくなり幸せになることをあきらめてしまいます。あきらめないことが希望こそが幸せの力なのです」と希望の神。
「生きるっていたいことなのさ。でも二人ならば支えあって生きていけるものさ」とエルフィール。一行は旅に出る。
「ルーイ畑助かるよ」と男。少年が畑作業をやってる。
「ルーイが来てからうちにはいいことだらけだ。でも口が利けないんだね。かわいそうに」と婆。
ある日ルーイの前にエルフィールたちがいる。
「運命はそして物語はどういう結末を見るのでしょうか」と運命の女神ファルフィーニール。
「探したぜ」とエルフィールの後ろには月の子。
「さあ行こう」と月の子。空へと飛び出すルーイとエルフィールたち。
「ルーイ」と家族。
「ありがとう」とルーイは月へと飛んで行く。
エルフィールが眠ってしまっておきない。
ーージョルディージョルディー。
女の子が呼ぶ。エルフィールの前で倒れるジョルディー。どこか青くて草原の中にいるジョルディー。向こうから女の子が歩いてくる。
「あたしね不安なの。あなたは人間だから先に死ぬじゃないの」と女の子。
「死んだら小鳥にでも生まれ変わってきみのまわりを歌い踊ろう」とジョルディー。
「不安でずっと眠っていたいの」と女の子。
「不安と友達になろう。不安を仲間にすること。それが勇気だ。そして勇気があれば出会いがありいつも一緒にいられるんだ」とジョルディー。
「何度巡り会っても一緒にいるの」と女の子。
「そうだ。その絆こそが愛という指輪なんだ」とジョルディー。
「うんわかったおきるね」と女の子。ジョルディーとエルフィールは目覚める。
「いつも一緒だ」とジョルディー。
「ああいつも一緒だ」とエルフィールとキスするジョルディー。二人は夜空を見上げていた。
なかがき。
ちょっといま結婚に向けてあわただしいので途中からアップしていきます。実は生きるのにたいへん苦労しています。嫁がほしい。でもいない。そんなとき。こんなだめな自分でも生きることができるのか。そんなことをダーエレではテーマにしたい今です。ダーエレを読み返すと発見もあります。ダーエレのアニメも作っているのでそちらもどうぞ。いましばらくおつきあいいただければさいわいです。でわまた。
第六十六話 家族やもうひとりの自分と愛をかわす日。
夜野宿する一行。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターうめえ」とエルフィール。
「もうはらいっぱい」とミラル。
「ぼくだめなんです」とテア。
「遅いということはない。あきらめるな幸せになるチャンスはある」とエルフィール。
「チャンスなんてあるんでしょうか」とテア。
「毎日可能性はある。毎日チャンスはある。なに好きに自由に生きていけばいいのさ」とエルフィール。
「きーあー自由すぎる誰かエルフィールをつかまえて」とミラル。
「不安で」とテア。
「暗中模索でも明けない夜はない」と希望の神。
「将来が不安で」とテア。
「旅は悩みをなくし夢を大きくします。旅をしましょう」とフィル。
「さみしいんです」とテア。
「万物はひとつてす。みんなひとつなのです」と大事なものの女神。
「さみしいんです」とテア。
「誰もが持ってる愛はひとづです。同じ愛をみんなは分け合ってるのです」と愛の女神。
「人なんて信じられない」とテア。
「人を信じてこそ人は幸せになるのです」とフィル。
「酒は幸せさうぃーひっく」とジョルディー。
「まったくですわうぃーひっく」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「愛を深めていくこと。際限なく愛を深めていくこと。それが幸せなのです」とクリスティーヌ。
「万物に愛はある。どんなところが愛か探すこと。それが幸せだ」とジョルディー。
「人を愛していくこと。誰でも愛していくこと。それが幸せなのです」とアムネスタ。
「小人の愛は小さくても幸せは大きくある」とネム。
「金は幸せになるでやす」とバルディ。
「ギルドでの努力は幸せになる」とボルド。
「魔法の化け学は幸せになります」とミラル。
「神への愛は幸せになります」とハイベル。
「学問知識勉強は幸せになります」とらいでん。
「剣の道は幸せとなる」とカムイ。
「魔法の化け学は幸せに化けます」とアドルテア。
「巨大な建造物は幸せになる」と巨人のリー。
「泳ぐこと魚釣りは幸せです」と人魚のクロニア。
「奇跡は幸せです」とアーティニー。
「巡り逢いは幸せです」とベネレッタ。
「作物を育てることは幸せよ」と妖精の桜。
「歌うこと歌を聴くことは幸せです」とスーザン。
「音楽は奏でること聞くこと幸せです」とダミエール。
「アイタカ食べる幸せ」とアイタカ。
「技術を極めること。それが幸せです」とアルス。
「ぱふ生きる幸せ」とぱふ。
「おねえさまと一緒に旅をすること。それが幸せです」とキャル。
「神は存在が幸せなのだ」とヴァルキュリアス。
「睡眠力化け学は力。力は幸せだ」と力の神。
「平和。調和こそが幸せなのてす」と調和の神。
「太陽が作物を育てる。それが幸せ」と太陽の神。
「過去現在未来。時こそ幸せなのてす」と時の神。
「これが幸せの姿だ」とレッドドラゴンは元の姿に戻る。
「ドラゴンこそ幸せ」とレットドラゴン。
「ドラゴンは幸せな存在でやす」とバリュウス。
「すべての破壊それが幸せ」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「運命。物語の結末。それが幸せなのです」と運命の女神ファルフィーニール。
「好きな気持ちこそ幸せです」と恋愛の女神キャルロット。
「魔法による化け学こそ幸せです」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「季節の巡り逢いそれが幸せです」と季節の女神ファウグスターニャ。
「大事なものを守ること。それが幸せです」と大事なものの女神フィリアーニーティア。
「愛を愛すこと。それが幸せです」と愛の女神ネスティーネ。
「踊りやしょう」とバルディ。スーザンが歌いダミエールが演奏する。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。みんな踊っていた。夜はふけていく。
天使メルフィルが歩いている。
「どうしたなんか変だぞ」とエルフィール。
「天使の病気よ。死ぬかつまりは悪魔にでもなり果てるのよ」とメルフィル。
「まあまあいいじゃないか」とエルフィール。
「うるさい」とバリュウスが吹っ飛んでいく。
「おまえ結構強いのな」とエルフィールの手が光る。ジョルディーと光りでメルフィルを斬る。生まれ変わるメルフィル。
「ありがとさん」とメルフィルは元気に飛び立つ。
女が立っている。
「誰だい」とエルフィール。
「幸せの女神です」と幸せの女神。
「幸せにしてくれ」と男が幸せの女神にしがみつく。
「苦しんだ分だけ人は幸せになるのです。それが運命です」と幸せの女神。
「うっうっうっ」と男は泣く。
「もう幸せになるだいぶ幸せになるそして幸せになるよ。あなたを幸せにするまで私は死にません」と幸せの女神。男は泣き崩れた。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアガト。妻が帰ってこないんです」とアガト。
「会おう」とエルフィール。嫁と会う一行。
「父と母のことは感謝している。いま一緒にいじめ殺しをなくし犯罪をなくし貧困撲滅しょう。ラブラブもしょう。二人ならば絶対大丈夫だ。永遠に続く奇跡をおこそう」とアガト。
「いやよ」と妻。
「一緒に住み一緒に生きよう。直接手を支えあい生きていこう」とアガト。
「いやいやいやいやいやいやよ」と妻。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで嫁を斬る。巡り逢う世界でまた過ごす日々。愛という永遠の誓いたる指輪が空に輝く。
「一緒に生きていこう」と嫁はアガトと手をつないだ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はセイル。妻は犯罪者に殺されてしまいました」とセイル。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。天国が開き妻がいる。
「私だけ天国で幸せになっちゃってごめんね」と妻。
「私も天国へ連れていってくれ。お願いだ頼むよ」とセイル。
「まだね神様が巡り会うにははやいって。ねえあなたの水の一滴を助けるからね。いつも見守ってるわ」と妻。
「頼む殺してくれ」とセイル。
「愛をあなたに」と妻は天国しまる。泣き崩れるセイル。
「生きろ。それが運命だ」とエルフィール一行は旅立つ。
「たかしが百億ダーエレひろったそうだ」と男。
「家族を作ろう。金をやるぞ。ぎぐごおまえはおねえちゃんだ」とたかし。
「でも年は十七ですよ」とぎぐご。
「そこまで年ごまかせばたいしたもんだほれ百万やるぞぎぐご。それから自称アイドルの男にみつがせてるごとうゆぶこほれ百万やるぞ」とたかし。
「たか気前いいな」と男。
「けみゆうおまえは父親だほれ百万。ひたかおまえは母親だほれ百万やるぞ」とたかし。
「たかって子供いるんだよな」とけみゆう。
「林っぱらっという嫁に子供が二人な。縁をきられて子供にも合わせてくれないんだ」とたかし。
「それじゃなんかくってくるか」とけみゆう。
「だめだ。家族は一緒に食事するもんだもう百万みんなにやるから一緒にくおうな」とたかし。
「食事はとったさあ遊びにいこう」とけみゆう。
「だめだ家族は一緒にねるんだ」とたかし。
「えー」とごとう。
「もう百万やるからな文句いうな」とたかし。翌日。
「もうこれまでだ」とけみゆう。
「金ならいくらでもあるんだ家族しょう」とたかし。
「たかおまえにあるのは金だけだ。それいがいなにもない」とみんな去っていく。
「依頼だ」とジョルディー。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りでたかしを斬る。みんなの心に言葉が届く。愛してる。一緒に住もう。みんな帰ってくる。
「あんたに愛があったんだね」とぎぐご。
「私も愛してやってもいいわ」とごとう。
「なあたか家族っていいかもな」とけみゆう。
「一緒にいよう」と家族はひとつになる。
「おまえは堕落した」ともう一人のアムネスタが剣を構える。
「アルス剣をかして。ジョルディーに教わった剣術がつかえるね」とジョルディーにウインクするアムネスタ。斬りあうアムネスタともう一人のアムネスタ。斬り裂かれ血を流すアムネスタ。
「とめなくちゃ」とエルフィールをとめるジョルディー。
「彼女自身の問題なんだ。彼女の答えを聞きたい」とジョルディー。アムネスタがもう一人のアムネスタの剣をはじく。
「父王様を母王様を殺されたのだ。何故黙っているアムネスタ。おまえは堕落したんだ」ともう一人のアムネスタ。
「殺し合いではなく愛しあいたい」とアムネスタはもう一人のアムネスタを抱きしめる。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。アムネスタは一人になる。
「どちらが残った」とエルフィール。
「愛です」とアムネスタは笑った。
なかがき。
ダークエレメンタラーの演劇ラジオドラマテレビドラマ映画アニメゲーム漫画歌音楽朗読を展開してください。劇場がなければ青空の下の演劇でかまいません。売り上げはグッズであげてください。もちろんけた違いにもうけるので多過ぎる分については国の発展のためになるとこに人助けになるとこに寄付してください。貧困国にも劇団を作る支援を願います。執筆代金はそんなにおおくなくてかまわないので喜久子おねえちゃんにおはらいください。この世界が天国になるまで。ではまた。
第六十七話 循環する愛と巡り逢う人。
夜。焚き火でシカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターうまい」とエルフィール。
「はらいっぱいよ」とミラル。
「将来のことが不安なんです」とテア。
「旅は不安や悩みをなくして人を幸せにします。旅にでましょう」とフィル。
「人生の目標。それが夢だ。遅いということはない。夢をあきらめるな。幸せになるチャンスは必ずある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「自分の物語を夢をとおして楽しむこと。それが幸せなのです」と幸せの女神。
「心が不安で」とテア。
「心は水だ。にごってくると不安や悩みや自殺となる。旅や話しあいで水は循環してすんだ水になる。すんだ水は幸せとなる。心は水。雪にだって雨にだって川にだって大海にだってなるんだ」とエルフィール。
「歌を聴くと水が循環するという人もいます。物語やまあいろいろと水を循環させる方法はあるのですが」とミラル。
「おもしろいこと。おいしいこと。やりがいがあることなどが水を循環させますね。まあ楽しさというか感動が水を循環ざせるということでしょうね」とフィル。
「人の神の愛を感じたとき感動となり水は循環するのです」と愛の女神。
「にごった水は犯罪となったりいじめとなったりひきこもりとなったりします。思いつめれば水はこおりつき人をも殺す頑固さ根性となり騎士道精神や武士道精神になります。いつでも循環できる腕前になれば変幻自在に雪にでも雨にもなれできないことはなくなります」とヴァルキュリアス。
「私は漫画にダーエレ読むことで循環するな」とジョルディー。
「神への祈りで循環します」とハイベル。
「山登りやマラソンで循環するな」とエルフィール。
「知識を知ることで循環するな」とらいでん。
「商売で循環しやす」とバルディ。
「技術を向上させると循環します」とアルス。
「歌っていると循環します」とスーザン。
「音楽聴いたり奏でると循環します」とダミエール。
「私は酒を飲みながらジョルディーと話していると循環しますうぃーひっく」とアムネスタ。
「酒は万能薬だようぃーひっく」とジョルディー。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「人を幸せにしてる実感が循環するんだ」とエルフィール。
「ときどきあんた見直すわ。ときどきよ」とミラル。
「自分でも他人でも幸せの実感が循環するんです」とテア。
「それが人としての道です。私もおなじですよ」とフィル。
「人を愛してるとき循環します」とアーティニー。
「バルディを愛してるとき循環するわ」とベネレッタ。
「あっしもでやす」とバルディ。
「お客様は神様ですこれがいい」とボルド。
「剣の道を究めること」とカムイ。
「お姉さまのそばにいること」とキャル。
「木々や花と生きること」と桜。
「アイタカめし循環」とアシタカ。
「獣はこれだからきたない」とアルス。
「私の名前はヒュッポティーニアです」と幸せの女神。
「化け学の魔法を研究することです」とアドルテア。
「大きな存在を感じるとき」と巨人のリー。
「泳ぐとき魚つるとき」と人魚のクロニア。
「神に仕えること」とクリスティーヌ。
「ぱふ寝ること」とぱふ。
「みんなといること」と小人のネム。
「神は奇跡で循環する」とヴァルキュリアス。
「力で循環する」と力の神。
「調和で循環する」と調和の神。
「太陽は燃えて循環する」と太陽の神。
「時は巡ります」と時の神。
「ドラゴンは存在が循環なのだよ」とレッドドラゴンは元の姿になる。
「これが循環だ」とレッドドラゴン。
「そうでやすなあんたらと旅ですかいな」とバリュウス。
「人殺し」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「巡り逢い」と運命の女神ファルフィーニール。
「好き嫌い恋愛」と恋愛の女神キャルロット。
「魔法による化け学変化」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「季節の巡り逢い」と季節の女神ファウグスターニャ。
「家族が幸せであること」と大事なものの女神フィリフーニーティア。
「愛による巡り逢い」と愛の女神ネスティーネ。
「踊りやしょう」とバルディ。スーザンが歌いダミエールが演奏する。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。みんな踊っていた。夜はふけていく。
「雪女だ」とヴァルキュリアス。
「うちは雪の国の女王ゆきめ。雪がつかえないいんや」とゆきめ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。吹雪く。
「絶好調や」とゆきめ。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「まだ子供じゃないの」とミラル。
「アネルねおこづかい」と少女。
「子供のこづかいじゃない」とミラル。
「立派なお客様さ。それで話を聞こう」とエルフィール。「エルフィール。あんたってときどきすごいと思うわ。ときどきよ」とミラル。
「パパとママがね家庭内別居中で離婚状態なの。毎日の会話も台本通り同じなの。むししあってるの」とアネル。
「話しあおう」とエルフィール。父と母に会う。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。若き日愛を語りあった。いつのまにか愛は日々の生活の中に消えていた。
「むししあいより愛しあおう」と二人は抱きしめあう。一行は旅立つ。
草原に人の骨と剣がある。剣を手に取るエルフィール。
「そういうの心が薄汚くてよ」とミラル。
「でんでろでんでろエルフィールは呪われた」と剣が刃が振動して言葉にする。
「なんだってんだい」とエルフィール。エルフィールはジョルディーに斬りかかる。応戦するジョルディー。
「血だ。血が見たいんだ」と剣。ジョルディーが傷つき血を流す。
「精霊王よ」とエルフィール。一帯に精霊王が降臨してすごい圧力でみんな立っていられない。エルフィールだけが立っている。
「エルフィール」とミラルが叫ぶ。すべては闇に包まれた。
子供のときダリルはいつも面倒を見てくれた。
「エルフィール。世界は広大だ。世界をおまえに残したいんだ」とダリル。
「もらうね世界」と少女のエルフィールは笑った。剣は岩に突き刺さっている。
「なんとかなったな」とジョルディー。後日また剣をひろうエルフィール。
「でんでろでんでろエルフィールは呪われた」と剣。
「あんたには学習能力がないのかーい」とミラルが叫ぶ。ちゃんちゃん。
エルフィールたちは歩いている。石の巨人ゴーレムが数億戦っている。
「戦争だ」とジョルディー。
「違います。ゴーレムが暴走してるんです。このままでは民家もあぶない。黎明の騎士よ頼みます」と女の魔法使い。精霊をまとい戦うエルフィールたち。エルフィールがゴーレムの腕を砕く。とゴーレムに吹っ飛ばされるエルフィール。血を吐くエルフィール。
「こんなの無茶よ」とミラル。
「やりたいんだ。バリュウス。レッドドラゴン」と叫ぶエルフィール。レッドドラゴンやバリュウスの口炎が踊る。しっぽ攻撃でゴーレムを砕く。だがあまりの数に追い詰められるエルフィール。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。ゴーレムは土に戻りひとつの大きな山になった。 「静かに眠れ」とエルフィール一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアニス。うちは冷戦家族なんです」と少女。
「冷戦家族ってなんだ」とエルフィール。
「父と連絡ひとつとってはいけない家族なんです。話しあい禁止なんです。家族のことを愛してる人のいうことを信じない家族なんです」とアニス。
「話し合おう」とエルフィール。一行は母に会う。
「一緒には住みたいのよ。ただ気持ちがかたまらないのよ」と母。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。旦那を愛していたがいくさのなか連絡すらゆるされぬ日々。いつしかあきらめていた。
「愛するとは信じることなのです」と愛の女神。
「運命はあらがうものではありません。運命とは自分で選び受け入れるものなのです。幸せな家庭を築きなさい」と運命の女神。
「愛しあってる人と一緒に過ごす幸せ。それが人としてあるべき幸せの姿なのです」と幸せの女神。
「家族なんてものは機械ごしじゃない。もっと抱きしめあうものさ。直接愛しあえ。幸せにしあえ。二人ならできる。家族は直接つながる絆なのさ」とエルフィール。
「過去はすべて忘れて一緒に未来に生きなさい」とフィル。
「一方的な関係でなく支えあえば家庭は天国になれます」とジョルディー。
「にごった水の家庭は子供も不幸です。家族の水を循環させるためには毎日愛してると言葉にして抱きしめあうことです。毎日話しあい愛を確かめ合うことで水は循環して子供も安心して暮らすことができるのです。一緒に住み暮らすことはなによりも水を循環させます。話しあわなければ台本やうそで固めた不幸な家族のできあがりです。一緒に暮らし幸せな家庭を築いていきなさい。相手の言葉を信じること。それが家族です。信じること。それが愛です。愛しあいなさい。もう一人の部屋とはさよならしなくてはいけません。一緒に住み幸せな時を築きなさい」と幸せの女神。
「ひさしぶり。ずっと待っていたよ。永遠に巡り逢おう。幸せにしあおう。これからずっと一緒だ。永遠に」と父と会ってる母と子。愛を言葉にして抱きしめあい家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はけん。妻が会ってくれないんです」とけん。
「話し合おう」とエルフィールたちは妻と会う。
「あなた世界平和での戦いで両親をなくしさんざんいためつけられ差別されたじゃないの。貧困撲滅とか犯罪撲滅に参加したら私も両親殺されるかも。どんないたみかいやよ楽に生きたい」と妻。エルフィールの手が光る。ジョルデ」−と光りで斬る。ありがとうが永遠に響いている。永遠にみんながありがとうといってる。
「永遠に感謝されるなんていいかもね」と抱きしめあう二人。一行は旅立つ。
廃墟に人が建物を作ってる。
「ここは街だったはずだろ」とエルフィール。
「私はグニス。独裁者に我慢できなくて武力革命をしたんだ。見ての通り人は死に廃墟だけが残った」とグニス。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。天国から人々が立っている。 「みんな」とグニス。
「おまえたちの子供として生まれ変わるよ。国を復興しょう」とみんな。グニスは泣き崩れた。
遺跡を調べている一行。エルフィールの前の壁に文様がある。
「精霊陣だ」とエルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「ただいま」とダリル。
「おかえりなさいパパ」と子供のエルフィール。
「おかえりなさいあなた」とフィル。
冥界でいまはひとりのダリル。そこにエルフィールとジョルディーが出てくる。
「おかえりエルフィール。死んだのかな」とダリル。
「ただいま。まだ生きてるんだ。これがあいかたのジョルディー」とエルフィール。三人は話しあう。エルフィールたちが光りに包まれる。
「またね」とエルフィール。
「いつでも帰ってきなさい」とダリル。声が響いている。幾千のただいまとおかえりの声。
「ジョルディーなぜ抱きしめる」とエルフィール。
「エルフィールの涙が止まるまで」とジョルディー。
「ねえただいま」とエルフィール。
「おかえりなさい」とフィルとミラル。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はたかお。妻と一緒に暮らしたい」とたかお。
「妻と話しあおう」とエルフィールたちは妻と会う。
「子供なら魔法で作れるしあなたとすまなくてもいいのよ」と妻。
「一緒に住み。抱きしめあい。愛しあい。そして永遠に巡り逢おう」とたかお。
「あなたとすまなくても巡り逢わなくてもいいのよ。私はだいじょうぶだから」と妻。
「一緒に住み。一緒に永遠に巡り逢おう」とたかお。
「私はわがままだしこうまんちきな女よ。私となんて永遠に巡り逢う必要ないじゃないの。誰かほかの人にして。子供だけで私は十分よ」と妻。
「永遠に巡り逢おう」とたかお。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。永遠の巡り逢う人生が見える。
「いまひとつになる」と二人は抱きしめあった。
バルディが歩いている。人の姿のベネレッタがいる。
「あっしなんかと一緒になってあんた天国へいけないでやすよ。あっしをふって天国へいってくれでやすよ」とバルディは泣き崩れる。
「ねえ聞いていとしい人。あなたがいればそこが私の居場所。あなたの悲しみはあたしの悲しみ。あなたの笑顔はあたしの笑顔。あなたの幸せはあたしの幸せ。ねえ聞いていとしい人。あなたと一緒にいること。それがあたしの運命。巡り逢う運命を選んだの。あなたと一緒ならば地獄へでもおともするわ。ねえ聞いていとしい人。愛してるこんなにも」とベネレッタ。
「幸せにするでやすよ。きっと感動の涙をあんたに届けるでやすよ。愛してるでやす」二人は抱きしめあった。
なかがき。
十分みんなに貢献してきたつもりですしまだまだダーエレも続きます。ここでうちの家庭のことなんですが嫁が話しあいに応じないのです。なんとか協力願います。好きは好きだといってるので。よろしく願います。ほんとにうちうちの家族の問題なんですが。よろしく願います。
一緒に戦った喜久子おねえちゃんたちがまだ戦争は続いているといいます。私を敵にまわして戦っているのです。まだ平和ではないという日本兵のごとく。どうか平和になった実感をメールなどで送ってあげてください。
私の見れる範囲では徹底的に隠されてダーエレのアニメなどは作られています。私にさえ見せてくれません。私たちは悪いことはしてるのではありません。神様に天国にいける。それくらいいいことしてるはずでず。隠すべきではありません。ファンの人たちも一声そういうスタッフにおよせください。ダーエレ知らなくてのたうちまわってる人もラジオに聞きます。この世界を明日天国にするためにメディアミックスをオープンにいま。ダーエレの普及活動ファン活動をいま。
第六十八話 巡る時代の英雄たち。
夜野宿する一行。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターうまい」とエルフィール。
「おなかいっぱい」とミラル。
「やりがいがないんです」とテア。
「絶対の目標は相対となり全対となったときにそれは絶対化する。不変となる。すべてとつながれ。それがやりがいとなってまた生きる手応えとなる」とエルフィール。
「すべてとつながった愛はいまや絶対となり誰もがつかう不変となっています」とミラル。
「水の循環てそんなに大事なんですか」とテア。
「なにが力となるか。それは希望だ。それはつまり進むべき道が見つかるとやる気となり力となる。夢だって結婚という道だってそうだ。結婚するためには女性の水が循環させることができなければ結婚という道へ進むことはできない。まずは道を探すんだ。進むべき道が見えたときにそれはやる気となり力となり結婚となりやりがいのある役割足りえるだろう。難関を突破せよ。夢をあきらめるな。人とは何者か学べ。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「話しあうことが最善です。最善を尽くしなさい」とフィル。
「水の循環てどうやるんですか」とテア。
「人としてあたりまえのこといつもすること。人として大事なことを学び続けること。それだけで水は循環するんだ」とエルフィール。
「家族として当然のこと。それがまたすんだ水たる幸せな家庭生活となります」とフィル。
「人としてあたりまえのこと。それは愛だ。人として大事なこと。それは愛なんだ」とエルフィール。
「愛を守ること。それが生きることです」とフィル。
「生きる道ってなんですか」とテア。
「どうしてと思うこと。謎。それを解明することが生きる道なんだ。謎を解明するために生きるんだ」とエルフィール。
「私は神へつながること。それが生きる道だ」とハイベル。
「生きる道。というか生きるための神様との絆みたいなことですね。生きるためのみんなとの絆。それが生きる道として人生の目標足り得るのでしょう」とフィル。
「誰も話を聞いてくれないんです。女性にもてません」とテア。
「心は水。水は循環すれば雨にも川にも大海にもなる。大海になってるときには誰もがみんな耳をかしてくれる。そして男も女も話しただけで絶頂する。大海になれ。大海になり続けろ」とエルフィール。
「夜眠れなくて」とテア。
「睡眠がとれないのは善玉菌が足りないからだ。いまはヨーグルトやサプリメント。果物野菜ジュースなどで善玉菌はふえる。がんから髪の毛から花粉症まで。病原はすべて善玉菌が足りないことからくるんだ。菌活しょうな」とエルフィール。
「がまんしきれないんです」とテア。
「人に迷惑かけないことはなにもがまんしなくていい」とエルフィール。
「きあー自由すぎる誰かエルフィールをつかまえて」とミラル。
「自分が信じられないんです」とテア。
「信じる者は救われる。信じる者には不可能はない。運動神経は遺伝だけどな。自分を信じ神を信じみんなを信じる者に不可能はない。宇宙短縮航行。軌道エレベーター。放射能の分解。その業界でベテラン。信じる者には夢に挑戦し続ける者には不可能はない」とエルフィール。
「精神力。つまり力とは信じることです。うつの原因のひとつに信じることができないことがあります。信じることは力なのです」とフィル。
「魔法は本当にある。やればできると呪文を唱えればなんでもできるようになる」とジョルディー。
「どうやって自分を信じるんですか」とテア。
「この問題についてなぜ自分は無力なのか問うているとある瞬間に解決策がひらめく。それが信じるということかな」とエルフィール。
「なぜなのかという疑問は万能だ。料理になぜと問えば料理ができるようになるし女になぜかと問うていけば結婚できて一緒に住める。あらゆることになぜと問いかけること。それが万能の魔法なんだ」とジョルディー。
「なぜと話しあってもいい。なぜと問うているとある瞬間に神が見える。奇跡が起きるのです。問い続けなさい」とフィル。
「解決しなくて」とテア。
「考えよう答えはある。考えれば解決する。必ずな」とエルフィール。
「生きる力ってなんですか」とテア。
「生きることは情熱だ。愛を燃やすことで情熱は得られる。魂とはパワーなんだ。力に方向性があれば情熱なんだ」とエルフィール。
「金ってなんですか」とボルド。
「人の元気というか幸せがもうけでやす。幸せにした分だけもうけがありやす。国の借金はその国の人たちの人望が担保でやす。文化人会社員NPO政治家などが信頼があれば無限に借金は可能でありやす。それだけ人材のいない国は借金が許されない。金は人のある側面を反映してうつしてるにすぎないのでやす。投資家が元気がなくなれば株は大暴落しやす。金とは道具であり人のうつし鏡なんでやす」とバルディ。
「彼女ができないんですよお」と泣くテア。
「勉強しろ。修行しろ。研究しろ。人間について自然について宇宙について経済について幸せについて勉強研究しろ。ひとまわりもふたまわりも大きくなった人間はとてももてる必要とされる。必要とされる人間に生まれ変われ」とエルフィール。
「口先だけになってしまって行動で示せないんです」とテア。
「人を幸せにしたいと念じろ。一分一秒を念じれば自然と行動となって人を幸せにできるようになる」とエルフィール。
「愛も物語も神も奇跡もこの世界にはないんだ。ぼくにはなにもない」とテア。
「信じれば奇跡は起きてすべてを手に入れるだろう。信じる者は救われる。信じる者は人を幸せにできる。信じる者には奇跡が起きる。人を助けていけば自分も助けてもらえる。人助けすることで結婚もなにもかも得るだろう。すべてを信じて人を助けろ。そのとき愛を見るだろう。物語が実際に実現される姿を見るだろう。神を見て奇跡を見るだろう。それが生まれた生きるさがというものなんだ。人助けするヒーローになれ。そしてなヒーローは休息もとるものだぞ」とエルフィール。
「デモにいきづまってしまって」とテア。
「人を幸せにするならば商売ビジネスとかNGOなどの慈善団体や物語だな。デモに限界を感じたら世界を変えるにはそういうもので勝負しろ」とエルフィール。
「なにもできないんです」とテア。
「イメージしろ。つまりはたとえ話をするんだ。たとえば明日はこれやるとかたとえば夢はこうするとか。たとえばと考えているとある瞬間に奇跡が起きてそれが実現するんだ。たとえばと考えるんだ」とエルフィール。
「なにをすればいいのかわかりません」とテア。
「本質を探せ。科学の本質を探して見つけていけば技術が上がる。かねの本質を探していけばみんなが金持ちになる。幸せの本質を探していけばみんなが幸せになる。幸せになぜと問えば謎たる本質は無限にある。世界の謎を解き明かし見つけた本質でみんなを幸せにしていくんだ」とエルフィール。
「ぼくはだめな奴なんです。犯罪者にも負ける。もう罪なんです。罪をかえしきれない」とテア。
「人は巡り逢うことでしか罪をつぐなうことはできない。巡り逢うべき運命の人を見つけてそして抱きしめあい巡り逢うんだ」とエルフィール。
「なにもできないんです」とテア。
「大事なことだから二度言葉にするぞ。なぜと問えばなんでもできる。たかさきはやとは二十三年間平和となにかなぜと問い続けて世界平和にした。継続は力なり。問い続けろ。なぜ金は儲かるかと問えば金が儲かる。なぜ幸せになるのかと問えば自分も誰でも幸せにすることができて結婚もできる。なぜと問え。そのときなんでもできるだろう」とエルフィール。
「不思議なことに解決策が眠っている。不思議に思ったことをなぜと問うていくと答えが見つかるんだ。不思議を探すと奇跡が起きる」とジョルディー。
「不思議は万能のテーマです。平和に不思議に思うことを追求していけば平和になりますし貧困撲滅や人助けに不思議に思うことを追求していけば人が救えます。不思議の追求は魔法のようなアイディアに恵まれ仲間や家族に恵まれます。不思議の追求にどんな奇跡も起きてそして世界は幸せがあふれるのです」とフィル。
「神は永遠の不思議という意味でもあります。そこには永遠の不思議と永遠の奇跡があるのです」とハイベル。
「男を不思議に思えば男がよってきますし女を不思議に思えば女がよってくるのです。もちろんかねを不思議に思えば金が儲かりますし幸せを不思議に思えばみんなが幸せになります」とらいでん。
「精神力がないんです」とテア。
「サムライの刀と作り方が同じ和包丁はいま世界でも人気だ。刀や剣の作り方に心を応用する。これが鋼精神論だ。心を情熱で真っ赤にして激しいイメージで叩く。はじめの一歩やダーエレやわかりやすい世界史を読んで情熱で灼熱の心を叩き続ける。これで心つるぎとなりどんな常識や理屈や妄想も斬り裂く。夢を叶えるためには必要な考え方。それがサウンドデュアル、鋼精神論だ」とエルフィール。
「行動できないんです」とテア。
「天使の自分と悪魔の自分。理性の自分と欲望の自分。みんなのための自分と自分のためだけの自分。納得する自分と抵抗する自分。このふたつの自分の意見を高い段階で両立することがサンデュすると行動となる」とエルフィール。
「思う自分が行動を司り考える自分が理性を司る。思う自分は万能だが考えなしに動き悪いことをすることがある。考える自分は人生の設計図であり人生の道順を示してくれるが行動にはしない。このふたりの自分をひとつにするとき考えて行動できる最高にすばらしい人間へと成ることができる」とジョルディー。
「最新の技術や考え方を教えてください。自分も最新鋭の人間になりたいんです」とテア。
「本を勉強しつつ人に教わったりしつつも最新の分野は人の感覚が決めるんだ。だから言葉にはまだ成っていないことが多い。研究とは感覚する感触。感覚の世界。そこで感覚をすること。迷ったら感覚の通りにすること。どこのタイミングをとるか。どこの瞬間をとるか。それは感覚において感覚の通りにすること。それが最新の未来を最新のベストを決めるということなんだ」とエルフィール。
「かねづかいがあらいんですが」とテア。
「月一万円生活しなさい。外国だと物価が違うからえーとそうだな家賃の十分の一程度で食費をまかなってみよう」とエルフィール。
「どうしても勝てないんです」とテア。
「賭け事やスポーツ以外は引き分けに持ち込むだけでも十分だ。それでも勝たなければいけないときは絶対無敵ライジンオー戦略だ。つまりは負けるが勝ちだ。何回でも負けることによって負けは否定の否定されて勝つというものだ。負けていけば負けの量による質的転換で勝てるというものだ。勝ちたければまず負けろ。それが勝利するコツだ」とエルフィール。
「どうやってしたしくなったらいいんですか」とテア。
「現場主義だ。現場にいることて経験値があがる。人間関係でいえばどれだけそばにいるか。同じ建物にいるか。どれだけ連絡をとるか。どれだけ話しあうかで経験値があがりレベルがあがる。たまに連絡する人とのレベルは十程度。ラブラブなカップルはもう三千とか四千とかレベルがあがりここまでくると巡り逢うことになる」とエルフィール。
「人を幸せにするにはどうすればいいんですか」とテア。
「人を幸せにするには大きくいくつかあるな。まずは話し相手になること。これはNPOなど。そして医療。これは医者とか看護師だな。そして食料や燃料などの生活必要品。商店だな。そして文化。文化人がこれにあたる。」
「行動力がないんです。考えても行動にうつせなくて」とテア。
「考える自分は行動にはうつさない。思う自分がすべての行動を司る。螺旋思考。それが行動にうつす思い。考えたイメージを螺旋させるんだ。いかに思いが空を駆け巡るか。そのとき行動する自分がいる。仕事も結婚もイメージを螺旋させること。螺旋思考だ」とエルフィール。
「結婚するためにはどうすればいいんですか」とテア。
「結婚も仕事の技術も葛藤がレベルを上げる。葛藤のあるところに実感した感覚がありそれが結婚や技術の向上になる。葛藤すべき問いかけをすること。それが実感となりレベルを上げる。足組んでるといたくてときたくなる感覚。これが葛藤だよね」とエルフィール。
「願いの叶え方とは」とテア。
「願いをイメージすること。結婚であれば新婚生活をイメージするし建物であれば立体をイメージするんだ。イメージはやがて現実となる。またそういえるだけの自分であれ」とエルフィール。
「不安なんです。うまくいかなくて」とテア。
「私は不安な夜は眠らずに朝日を見て、明けない夜はないと実感している。そんな日もあるさ」とエルフィール。
「もうけるにはどうすればいいんですか」とテア。
「オンリーワンをふやしていけばいくらでももうかる。オンリーワンは必要とされる存在となるんだ。たとえばたかさきはやとはファンタジーではオンリーワンの世界を築きあげた。涙の物語でもそう。自分がオリジナルのものをふやしていくこと。それが生きがいにもなるんだ」とエルフィール。
「そんなに簡単にオリジナルになれるかしら」とミラル。
「たかさきはやとだって最初は知られてなかった。継続は力なり。継続は奇跡なり。継続はオンリーワンなりだよ。どんな結婚にも技術にも自分だけのオンリーワンがあり見せ場があるものさ。オンリーワンを続けること。これが大事なことなんだ。人は世界にひとつだけの花。その花は誰もがほしがりめでるだろう」とエルフィール。
「結婚したいんです」とテア。
「幸せを研究するんだ。なにをすると幸せになるか。人を幸せにした分だけもうけや結婚となる。なにが人を幸せにするか考えていくこと。継続は力なり。継続は奇跡なり。継続は幸せなりだ。これで人望も上がる。幸せとはなにか問い続けること。それが人生の答え。自分が生まれた答えだ。そしてここは天国。永遠に奇跡だけが巻き起こる世界なんだ。悲観するな。楽観しただけ得をする世界なんだ。悲観してる奴に勝利の女神は微笑まないぞ」とエルフィール。
「どうしても逃げてしまうんです」とテア。
「そういうときは背水の陣だ。たとえば億万長者になるならなるまでアイディアを出す。作家になるならえがき続けること。プロポーズならばするまで家に帰らないとかだな」とエルフィール。
「人間としてのレベルが低いんです」とテア。
「漫画読みつつテレビ見つつあいまにサイクリングマシンで走り続けるとレベルが上がる。たかさきはやとは一万を超えるレベルだよね。ただレベルを上げるといずれ背水の陣はやることになるよ。逃げない自分へレベルアップするからな」とエルフィール。
「世界平和になって目標がないんです」とテア。
「私なんて生きるだけでいい。いきあたりばったりでその日暮らしだけどな」とエルフィール。
「あんたみたいな奴に聞いてないわ」とミラル。
「オールインワン。オンリーワンはナンバーワン。世界に唯一の物であること。それにはアイディアが必要です。アイディアってどうやって作るんですか」とテア。
「それはつまりテーマだな。それまでのそのテーマたる存在をすべて否定の否定するんだ。いままでの豆腐を否定するがおぼろ豆腐にして豆乳かけて否定することで否定の否定する。技術は継承しつつまずは否定してみる。そこに残った得たものでさらに否定して全肯定する。物語であればそれまでのストーリーはすべて否定するが新らしいエピソードによってさらに否定され全肯定される。そのテーマとする存在が完成されていればいるほど否定するのは難しくさらに否定するのは難しくある。だからまあやりがいもあるけどね。家族というか夫婦の否定の否定というのはたやすくて毎日料理を作るとか会話をするとか逢瀬とかでいいの。奴隷のごとく扱う奴は運命の人じゃない。別れなさい。仲間の否定の否定とは連絡をとること。文化人それもこれからもやっていく人はたかさきはやとと連絡をとりなさい。自分自身を否定の否定するにはまずは過去はないと否定すること。過去がなくていまと未来の自分になにが残っているかそこで得たもので自分を否定して全肯定すること。人の行動はすべて否定なんだ。ただいい否定と悪い否定がある。いい否定をすると人は幸せになる自分もふくめてな。見殺しにしないならいい否定たる否定の否定をできる人間になれ。それが人を幸せにする唯一の道なんだ。どんなにいい人でもその人を幸せにするにはまずはその人の過去を否定する必要があるんだ。そして残った気持ちでもう一回否定するとその人は幸せになる。もちろん自分だってそうしてるうちに否定の否定される。みんなが幸せになるにはまずは否定すること。なにが最善の否定かは経験のなかで身に着けるんだ。恐れず相手を否定したとき幸せの扉が開くんだ。たとえば知らないという否定をすることで知るという否定が成立する。人の行動はすべて否定であること。この宇宙を否定することで息すらしてるんだ。そして生き続けることで否定され宇宙を全肯定することになる。いかに素晴らしい否定をすることが幸せであること。連絡をつけること話しあうこと。仲間行為家族行為文化的行為。こういったことはすべてが否定であり相手が幸せになることで否定の否定となりいいこととなる。たとえばオンリーワン戦略はすぺてを否定して唯一となるがお客様に提供されることでさらに否定される。まあやがたかさきはやとに連絡するといままでのことはすべて否定されるが家族生活としてさらに否定されそれは否定の否定つまりは幸せとなって存在することになる。食べるということは命を殺すこと。でも自分が生きることでさらに否定される。私は菜食主義には疑問があるね。命を否定してしか人は生きていけないと思うからね。量的否定による質的否定への変化。これが否定の否定。とにかく量を否定していれば質的変化される。否定とは無だ。無意味だと量的にし続けること。否定とは宇宙そのものだとすること。存在を唯一にすることそれが否定。過去を量的に否定し続けて未来へと否定していくこと。それが否定の否定。幸せ。もちろんそのテーマたる過去が完成されていればいるほど否定することは難しくてまあやりがいもあるけどね。そのテーマたる過去をいかに量数否定するか。それによって未来という否定へと全肯定される。でなければ永遠の平行線。つまりは仕事も結婚もノーヒット。決してその人とその人の心と心がまじわることはないのよ。結婚も仕事もそうだけどまじわってなんぼ。いいかげん過去を量的に否定して未来へと全肯定しないと永遠の平行線よ。過去を量否定していくと唯一の未来に否定される瞬間がある。それが否定の否定であり奇跡だよね。結婚であれば独身であるから自分は失敗してきたと考えて夫婦になることで本当の自分になることができると考えていくこと。仕事であれば過去の戦略を否定してみる。よほどうまくいってた戦略はそのままでいいの。たとえばオンリーワン唯一戦略はいいものだからそのままでいいのよ。結婚や仕事でのオンリーワン戦略をするときには否定の否定をする必要がある。それはつまりは過去にはいっさいやったことのないことをやるということ。結婚は独身時代とはまったく違う過去にはない生活だしオンリーワンはオリジナルという過去にないものを作り出す否定なのよ。過去にない生活やものを作り出すこれが否定の否定であり奇跡そのもの。いかに過去にないものをやるか。その量的否定は未来に否定されて全肯定される。それが結婚生活や唯一の商品となる。過去に言葉にしたこと言っても結婚にはならない。いかに新らしい言葉を結婚相手に送るか。それで結婚できる。過去の否定の否定とは無から有を創造するということ。創意工夫。創造力を発揮し続けること。行動力とは創造力。結婚とは唯一商品とは0を1にする創造であること。いままでにないものを創造すること。それが生きることであり幸せだ。創造とはなにも考えないこと。無心になること。無の境地。無とはいましかない心の状態。それが無からの未来の創造。自分の未来を創造しろ」とエルフィール。
「コミュニケーションてなんですか」とテア。
「直接コミュニケーションは話しあいだったりえっちだったり医療だったり殺し合いだったりするかな。間接コミュニケーションは商品をあいだにはさむかな。全対コミュニケーションは感動させること。感動させることができる人はその業界では神様といわれている」とエルフィール。
「直接コミュニケーションはどうしたって人をキズつけるからファンタジーゲームしたり職人として技術に熱中する人や生活保護で管理されたりする」とハイベル。
「どうしたって連絡するためにはキズつける必要があるんだ。キズつけろ。そしてできれば感動させるんだ」とジョルディー。
「連絡をつけるのは創造力です。伝えたい言葉を生み出し手紙やメールなどで伝えるのです」とフィル。
「心が痛みます。痛くて動けません」とテア。
「心と体は食べ物でサンデュして螺旋上昇する。いま必要なものはなにか。痛みはカリオストロ的には血が足りないのかな。というと果物野菜ジュースかポカリか。サプリとか。まあ無理はせずに食べることかな」とエルフィール。
「科学は核を生み出し宗教はカルト集団というかテロ集団を生み出しました」とテア。
「科学と宗教と文化でサンデュして螺旋上昇し始める。それ単体だと害にもなりうる。いかに未来を生み出す螺旋上昇させるか。そこに生きるぺき幸せな世界がある」とエルフィール。
「仕事はなにでサンデュするんですか」とテア。
「仕事と趣味と家族でサンデュするかな。それが螺旋上昇。未来を創造することかな」とエルフィール。
「問題が山ずみです」とテア。
「私が若いときはねえ計画経済なんてないといわれたもんだけど研究してオンリーワン戦略になる。人が幸せになることはすべてあるしすべての問題は知恵による創造で解決できる。それが人間てものよ。考えることと歴史の研究と家族生活の知恵のループによるサンデュで商品もサービスも幸せも創造できる。そのテーマとなる歴史を研究するんだ。結婚したいなら結婚についての歴史を研究するし仕事ならばその仕事の歴史を研究するんだ。連絡を取るなら連絡の歴史を研究するんだ。犯罪者を逮捕したいなら犯罪と逮捕の歴史を研究すること。テーマとするものの歴史を研究するんだ。過去を否定の否定するためには過去を知らなければ否定できないんだ。歴史の否定の否定。それが創造となる」とエルフィール。
「魔法ですか」とテア。
「誰だって魔法がつかえる。家族という魔法だ。新らしい家族になるという魔法。その魔法のために生きてきたのさ」とエルフィール。
「だめな人間なんです」とテア。
「運動は運動神経という遺伝だ。自分はできる人間だと自分は万能だと勘違いするとそう思っていくと万能な人間へと変身というか変わっていけるんだ。まずは自分は万能だと思い続ける思いの強さ。それが自分をなんでもできる人間へと変えていくんだ。集中力は違う。集中力は四十分しかもたない。自分は万能だとそう強く思い挑戦して失敗すると失敗の量的質的変化は失敗しない自分へと変わることになる」とエルフィール。
「イライラしても失敗。悩んでも失敗。明日へもちこしても失敗。だからって残業するのも失敗よ」とミラル。
「結婚や仕事で大きな選択ができないんです」とテア。
「どの歌を聴くかとかどの料理を食べるかの小さな選択で結婚や仕事などの大きな選択は変わってくる。うまくいかないなら聞く歌を変えてもいいんじゃないか」とエルフィール。
「できないんです」とテア。
「気持ちの強さをたもっているとある瞬間に神様に思いが通じるんだ。奇跡となる。けれどもな。気持ちの強さは一定睡眠に比例するから昼寝でもいいから少しは眠れよ。休みのときは徹夜でもいいけどさ。気持ちの強さの継続は奇跡なり。でもいつなるかはわからない。たかさきはやとは38才で世界平和したぞ。考える自分が思う自分にわかりやすく説明したときに奇跡はおきる。それだけ思う自分が納得するだけのわかりやすさが足りないんだ。運命を変えるとはあしたの自分をわかりやすく説得するということ。あしたの未来の自分が納得することならできないことはない。未来の自分を説得するというのはつまりは考え方だな。思う自分とは未来の自分。考える自分の考え方を思う未来の自分が認めたときに運命は変わる。現実は非情とは未来の自分がいかに納得する考えをするかということ。未来の自分にはまだ感情はないわけだからね。敵は未来の自分自身だ。みっつの概念で考えてループすると螺旋上昇して未来の自分も永遠に納得する。結婚するには願い普遍結婚特殊そばにいたい気持ち個別でループして考えていくと螺旋上昇してある瞬間に奇跡がおきて結婚する。つねにいまのたかさきはやとがすべてであること。それがラブ派だ。アンチになった瞬間に家族を失い路頭に迷うだろう。自分の人生だえらべ。人は気持ちの生き物です。気持ちがそう思わなくては行動にはうつしません。未来から一秒ごとにやってくる自分は否定的です。この職業になんてなれるはずがない。一緒に住むなんてできない。敵に負けるんだ。なにもかもやめたほうがいい。やらないほうがいい。不安が鎖となり自分はなにもできなくなります。気持ちの強さでこの一秒ごとの未来からの自分をやっつけたときにのみ人は行動にうつすのです。未来は無限の力がありそれを気持ちの強さで手に入れたときに人はいまではなくて未来に生きるのです。朗読するとき何行も先を読むように未来の自分を読みながら生きるとき無限の力が人にはあります。すべては気持ちの強さで未来の自分をこうしたいこうしたいと思い続けるときにある瞬間にそれは行動となり自分は自由になることができるのです。気持ちの強さから叩き出されるものはまさに魔法。科学的説明はつかないわ。あまりに不思議すぎて魔女狩りされたほど。気持ちの強さから叩き出されるものはまさに奇跡よ。気持ちの強さが永遠に変わらないときに人はあらゆることを行動に出せてすべては叶う。永遠に思い続けるときに神様は叶えてくれる。それこそ奇跡。若いときは学生時代をついやすけど永遠思考とでもいうのかな。一度できるとなんでもできる人間に変身するのよね。その願いを永遠に願い続けるときに永遠思考となる。たとえば自分にしかできない幸せを追求するとき。永遠に思い続けて追求し続けるときに神様はそれを叶えてくれる。この職業とか。夢というのかな。それを永遠に思い続けるときにそれは奇跡となる。技術を極めるとかを永遠に思い続けるときにその技術を極め続ける。人を幸せにすることを永遠に思い続けるときにその幸せにすることで人を幸せにし続ける。人を助け続けているときその仲間たちにも助けてもらい続けるから。自分もみんなも幸せになること。私もどうやってるのか聞かれるけど人を幸せにしたいと念じていると思いついたりうまくなったりするのよ。人は誰でも気持ちを持っている。この気持ちひとつで人はどんなことでもできる。私は若いときは鏡見て自分をにらみこんでいたかな。その気持ちの深さ気持ちの豊かさ気持ちの粘り強さ気持ちの柔軟さ。それが幸せを生み出すというのかな。すると仲間内もどんどん助けてくれるから自分もうまくいくのよ。そんな感じかな。そして永遠へ」とエルフィール。
「結婚できないんです」とテア。
「話しあったぶんだけ一緒にいられる。話しあいの継続による奇跡が結婚だ。とことん話しあえ」とエルフィール。
「生きるのがつらいんです」とテア。
「生きることは誰でもたやすい。生きる目標を得ることがとてつもなく難しい。生きる目標を探せ。そうすれば生きることはたやすい」とエルフィール。
「はい。生きる目標を探します」とテア。
「生きる目標を見つけること。それが幸せなのです」とフィル。
「神の御心のままに。それが私の生きる目標です」とハイベル。
「愛を表現し続けること。それが私の生きる目標です」とフィル。
「ベネレッタを愛し続けること。それが生きる目標でやす」とバルディ。
「バルディを愛し続けること。それが生きる目標です」とベネレッタ。
「人を愛し続けること。それが私の生きる目標です」とアーティニー。
「仲間と旅を続けること。それが私の生きる目標だ」とエルフィール。
「家族たる仲間と生き続けること。それが私の生きる目標だ」とジョルディー。
「技術を極めること。それが私の生きる目標だ」とアルス。
「人を救いたい。それが私の生きる目標です」とテア。
「幸せとはなにか極めたい。それが私の生きる目標です」とらいでん。
「物語を極め楽しみたい。それが私の生きる目標です」とアムネスタ。
「歌を極め楽しみたい。それが私の生きる目標です」とスーザン。
「音楽を極め楽しみたい。それが私の生きる目標です」とダミエール。
「小さな技術を極め楽しむこと。それが私の生きる目標だよ」と小人のネム。
「大きな技術を極め楽しむこと。それが私の生きる目標だ」と巨人のりー。
「お客様を幸せにすること。それが私の生きる目標です」とボルド。
「過去は変えられない。未来を変えること。それが私の生きる目標です」と人魚のクロニア。
「幸せになること。それが生きる目標です」と幸せの女神。
「出会いと別れ。そして巡り逢い。それが生きる目標です」と運命の女神。
「十四秒にひとり貧困で子供が死んでいる。夢は貧困撲滅だ」とエルフィール。
男が一人立っている。上半身裸でマッチョ。腰まである赤毛。
「私はガウル。エルフィールとレッドドラゴンとの手合わせを依頼したい」とガウル。
「いいぞ。我が神の力見せてやろう」とレッドドラゴンは元の姿になる。
ガウルにしつぽ攻撃すると受け止めてレッドドラゴンを一本背負いするガウル。
「なんだ。人間じゃないのか」とエルフィール。
「魔法で自分を強化してる。聞いたこともない魔法だわ」とミラル。
レッドドラゴンの口炎が踊る。
「きかないぞ」とガウルは精霊をまとったエルフィールとも戦う。これだけの戦ってなんと互角の力である。それは驚異的だ。
「む。戦いが私を呼んでいる。ではまた」と去っていくガウル。
「世界には不思議な奴がいるものだ」とエルフィール。
「なにをしたい」とミラル。
「旅だ。旅がしたい」とエルフィール。一行は旅立つ。
「運命がレールなんだ」とエルフィール。
「信じることによってレールを変えることができます。運命は信じることによって変わっていくのです。結婚も信じあうことで成立します。結婚は信じることでレールを変えることです。なにを生きる目標として自分を信じるかでまたレールは変わっていくのです」と運命の女神。
「そうか」とエルフィールは焚き火にあたる。
人の姿のベネレッタがいる。
「ねえあなたの声を聞かせて。巡り逢う目印のために」とベネレッタ。
「愛してるでやす」とバルディ。
「ねえ願うよ。あなたと巡り逢うことをただこの思いつもりつもって巡り逢う絆として巡り逢うまで」とベネレッタ。
「あっしも願うでやす」とバルディ。
「あなたを思えば思うほど命深くひらめきつながる。あなたの命とひとつになる魂のまたたき」とベネレッタ。
「あっしの魂もあんたと一緒に」とバルディ。
「忘れてしまった前世も世界もすべて神様の癒しさえもこの愛にひとつになるとき」とベネレッタ。
「来世があんたとの旅路」とバルディ。
「ただ永遠を飛ぶ翼をこの心は魂は愛は得たから。巡りゆく世界でも巡りゆく永遠にも歌う愛のひととき」とベネレッタ。
「この永遠をあんたとともに」とバルディ。二人は抱きしめあった。
「よおいじめられっ子」とエルフィール。
「クラインです。名前で呼んでくださいよ」とクライン。
「今度はどうした」とエルフィール。
「あんな先生とはやってられません。ここでミラルさんに指導願いたいのです」とクライン。
「また不登校か。学生ってのは先生のクツをなめるのが仕事だろう」とエルフィール。
「なわけあるか。学校もいってない奴には聞いてないわ」とミラル。
「自分を戦力だと信じたときどんな人とでも組み一緒に生きていける。自分を戦力だと信じるんだ」とジョルディー。
「信じることで行動になる。行動は奇跡を呼ぶ。信じる力にえらい人も認めてくれる。信じる力に女にももてる。自分を信じない奴に神を信じない奴には誰も見向きもしない。信じる力に奇跡は起きる。おまえの信じる道をいけ」とエルフィール。
「はい。ここで魔法使いになります」と一行は焚き火で語りあかす。
「運命のレールからはよく脱線してしまい馬鹿といわれてのたうちまわってしまいます。すばらしい人といわれておしまれて死ぬためには物語を何億回でも読み、そのキャラクターのように生きることを何度でも誓うこと。それが運命のレール通りに生きることができるのです」と運命の女神。
「物語を読みキャラクターになりきりそうあるように生きることか。それが幸せに生きることなんだな」とエルフィールは焚き火にあたる。
トンボのような光りに虹色になる大きな羽に人間の姿。
「天翔族「てんしょうぞく」というまあ天使のいとこみたいな種族なのです。私はセピアといいます。不幸な生い立ちでしたがエルフィールさんたちの話を聞いて私もそう生きてみたくて仲間になりたいとやってきました」とセピア。
「人生に終わりはなく人生は永延に続く。終わりがあるのは不幸だけさ。ようこそ仲間へ」とエルフール。
「はい。残りの人生をすべて人を救って暮らします」とセピア。一行は旅立つ。
体中に紋章がきざまれた紋章族がいる。黒い肌に赤と白の文様。腰まであるパーマの黒髪。
「私は紋章族「もんしょうぞく」のライカ。不幸な過去がありました。将来も不安です」とライカ。
「おまえには希望がある」とエルフィール。
「世界は権力者にいいようにされてしまいなにも希望などないのです」とライカ。
「そう思うおまえが自身が希望なんだ。世界は好循環世界になりたて。未来はどんどんよくなっていく。過去を語るな未来を語れ。そして幸せになるんだ。みんなと愛をわかちあい幸せになりあうんだ」とエルフィール。
「わかりました」とライカ。一行は旅立つ。
「そんなにリスクを買って人助けしなくていいではないですか」とミラル。
「救ってほしい人からは期待されてそれは責任となる。責任を果たすのがヒーローだ。既得権益をしゃぶるのが馬鹿といわれる権力者たちだ。ヒーローはいつもリスクを買うからいつもぎりぎりの戦いをするもの。馬鹿といわれてのたうちまわるか、すばらしい人といわれておしまれて死ぬかの違いだ」とエルフィール。
「あんたはきっとおしまれて死ぬわ」とミラルは焚き火にあたる。
「でもてきとーに生きるのもいいけどな」とエルフィール。
「どっちなのよ」とミラル。
「ちょうどバランスよく酒池肉林」とエルフィール。
「どこがバランスとってんのよ」とミラル。
「まあなるようになるさ」とエルフィール。
「いいかげんね」とミラル。
朝。一行は休憩してる。
「お茶はうまいなあ」とエルフィール。
「エルフ風情がお茶の味がわかるのか」と女が一行を吹き飛ばす。
腰まである透き通る金髪の若き女性だ。
「なにをする」とエルフィールが精霊をまとう。
「こいつ強いぞ」とレッドドラゴンは元の姿になる。
女がバリュウスを転ばす。
「なんて怪力だ」とらいでん。
「怪力ならば」とハイベルが怪力でつかまえる。女に吹っ飛ばされるハイベル。岩にあたり岩が砕け倒れこむハイベル。
「回復します」とフィル。
「このやろう」とレッドドラゴンの口炎が踊る。あまりの熱に爆発が起きる。だが女は平然と立っている。
「神なのか」とエルフィール。
「私は神でも人間でもない」と女。
「ならなんだってんだ」とエルフィールが斬りかかる。女は素手で剣を受け止める。女の周囲の大地が砕ける。ミラルたちの魔法攻撃の雷撃が踊るもすべて女の周囲の大地が砕ける。
「攻撃を大地へ逃がしているんだ」とジョルディー。
「こんな魔法聞いたこともない」とミラル。
灼熱の大地に平然と立つ女。
「いったいなんだってんだ。誰だおまえは」とエルフィール。
「私は意志」と女。
「なんだって」とエルフィール。
「私はこの星の意志。アイ」と星の意思アイ。
一行は立ちすくむ。そして誰も動かなかった。
「苦しい戦いだったな」とエルフィール。
「いやあね。涙もろくなっちゃってね」と涙をぬぐうミラル。
「それもいいさ」とエルフィール。
一行は手をつないだ。
男が立っている。
「生きるのが苦しかった。生まれてから大人になるまでずっと苦しかった。大志を抱き我が民族を中心に世界がひとつになることを願った。そのためならば殺し合いをしょう。神よ私の願いを聞いてくれ。すべてが苦しくある。神に思いが通じるならば子供たちも殺す。神よ私の願いを聞いてくれ。永劫の苦しみよ。神は私の願いは聞かなかった。神は私を選ばなかった」男は剣で腹を斬る。男は死んだ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。男は女に生まれ変わったそして子供を抱いている。
「その子を育てて生きるんだ」とエルフィール。女は泣きながら子供を抱いている。一行は旅立つ。
あとがき。
いま世界は平和となり永遠に核戦争はおこりません。しかし世界を見ればみんなは幸福ではありません。貧困もそうですがよるべき家族が崩壊してしまいどんどん核家族化や個人化が進み、子供はごみとしてすてられ世界中の孤児院はぱんぱん。すてられたホームレスで街はあふれかえっています。いまこそ家族やコミュニティをテーマにした表現が必要だと思うのです。いまこそ表現をする者は立ち上がり家族をテーマとして表現してもうけは貧困な人たちに還元すべき時ではないでしょうか。平和がゴールではなくその先の家族こそが私たちみんなの幸せのゴールだと思うのです。いまひとつ長き戦いが終わったばかりとはいえお力をおかしください。人類皆家族をいまこそ現実にしょうではないですか。みんなを幸せにする人たちによろしく願います。でわまた。
キャスト
クライン役あいかわりかこ。
セピア役ひらのあや。
ガイアス役はざまみちお。
ロダン役いしまるしんや。
ミラル役しみずあい。
ライカ役しんたにりょうこ。
第六十九話 。
夜に野宿しつつ焚き火をみんなで囲み焼いたシカに食らいつく。
「じゃがバターうまひ」とエルフィール。
「あんたって奴あこの無駄飯食いが」とミラル。
「飲めや歌えやハッピーや」とアムネスタ。
「やいのやいのうぃーひっく」とジョルディー。
「この酔っ払いどもが。こんなときに酒とは人でなしめ」とミラル。
「めんごめんご。水に流してくれ。酒に流すなんちゃって」とジョルディー。
「ざけんな。このだめ人間が。もうだめよ。もう遅いのよ」とミラル。
「遅いということはない。幸せになることをあきらめるな」とエルフィール。
「私はどうしたらいいのかしら」とミラル。 「ありのままに素直にそれが素敵さ。思いのままに会えばいい。思いのままに話せばいい。思いのままに歌えばいい。思いのままに生きればいい」とエルフィール。
「エルフィール。あんたみたいにわりきれないわ私。ノーテンキがうらやましいわ」とミラル。 「コツはな生きることを楽しむことさ。悩んだら歌えばいい。いまの空を愛せばいい。それだけでいいのさ」とエルフィール。
「どうしたらいいのかしら」とミラル。
「なるようになるさ」とエルフィール。
「疲れた」とミラル。
「ひと休みしょうぜ。無理すんな」とエルフィール。
「いえまだれべるが低くてね」とミラル。
「あしたがあるさ」とエルフィール。
「それそういう意味の言葉かしら。あんたらしいけどね」とミラルは横になる。
花を食べているエルフィール。
「花びらなんて食べるものですか」とミラル。
「んまいよ。ためしてみろよ」とエルフィール。
「神様はどこにいるのでしょうか」とテア。
「悪いことしても神様は出てこない。犯罪者がどんなに犯罪をしても神様は出てこない。大志を抱いたときにそれを叶えてくれというときに神様は出てきてこの志が正しいかどうか見てくれる。夢とでもいうかな。自分が間違っていれば叶えてはくれない。暴力でねじふせていないか。暴力でねじふせる奴に屈していないか。神様は見ている。まあ神様って奴は我々のすべての時間を持っていてね想像とかできるようなもんじゃないよ。神様は時間における時間の時間。つまりは永遠の時間だな」
「師匠は誰ですか」とテア。
「人はみんな師匠だよね。いいとこは見習い悪いとこは反面教師として勉強できる」とエルフィール。
「エルフィールなんですかその腹は。ずいぶんふとってんじゃないの」とミラル。
「いやあめしがうまくて」とエルフィール。
「おなかがずいぶんぽっこりしちゃって。食べすぎよ。私なんてずっとダイエットしてるのよ」とミラル。
「サプリは飲んでるぜ。もぐもぐ」とエルフィール。
「食いながらいうな」とミラル。
「腹が減っては戦はできぬさ」とエルフィールは豪快に笑った。
エルフィールたちが歩いているとわき道に男の老人が倒れている。
「じいさんだいじょうぶか」とエルフィール。
「家族はみんな死んだ。私はどうすればいいのか」と老人。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。空が無限に広がっていく。
「そうだな。いつも空は私とともにあった。空はいつも一緒だった」と老人。老人は若者になっていた。
「旅にでる」と若者。
「元気でな」とエルフィール。一行は旅に出る。
「こんにちわ」と誰かがあいさつする。
「誰もいないぞ」とエルフィール。
「ここだよここ」と目の前の岩山がしゃべっている。
「こいつは驚いた。岩山かな」とエルフィール。
「ガンロックだ」と岩山。
「お父さん」と少女が立っている。
「岩山に少女」とエルフィール。
「この子は桜。両親が亡くなったので私が育てた。旅人からミルクや食料をわけてもらって育てたんだ」とガンロック。
「お父さん私はエルフィールさんと旅に出たい」と少女桜。
ガンロックは噴火する。
「だめだだめだだめだ。おまえは私と一緒にいるんだ」とガンロックは岩の手で桜を抱きしめてしまう。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。ガンロックは野球ボールくらいの大きさになる。
「これでガンロックも一緒に旅に出よう」とエルフィール。一行は旅に出る。
「人はどこへいくのだ」と女が道に立ち話す。
「誰だおまえは」とエルフィール。
「人はなぜ生まれた。戦争。テロ。宗教。家族。平和。愛。夢。心。志。命は人はどこへいけばいい」と女。
「永遠へといけばいい」とエルフィール。
「苦しみは悲しみはどこへいけばいい」と女。
「愛へやさしさへといけばいい」とエルフィール。
「人はどこへいけばいい」と女。
「永遠こそ私たちのふるさと。永遠で人は生まれ永遠へ帰る途中の旅だから」とエルフィール。
「我は光りの地平線。旅する者のための彼方「かなた」。望むべき道。進め。その道は光りの彼方へ」と女は光りのラインとなって消える。
「いこう。光りのその先へ」とエルフィールたちは進みだす。
「あんたはだめおやじなのよ。マサ」と女。
「そんなこというなよカヨ。私だってがんばってれべる上げているだろ」と男。
「そんなこといってなにもしてるように見えないわよ。なにもしないだんなはごみね」とカヨ。
「おれだって人助けしたいよ」とマサ。
「結果を出さない人間に発言する権利はないのよ。いえだんなである権利すらないわよ」とカヨ。
「がんばっているだけじゃだめなのか」とマサ。
「私のだんなは英雄であり続け人を助け続けなくてはいけないのよ。それ以外の男をだんなとは認めないわ」とカヨ。
「それでなんで私たちは呼ばれたんだ」とエルフィール。
「離婚の危機なんだよ」とマサ。
「うわーいやだなそれ。ようは自分のことができないだけじゃないか」とエルフィール。
「エルフィール。人助けとは元来そういうものであってよ」とミラル。
「男なんてごみなのさ」とジョルディー。
エルフィールの手が光る。ジョルディーとエルフィールと光りと斬る。ふたりは出会った頃のふたりになる。声が聞こえる。ありのままのふたりがそばにいること。それだけが愛だから。ふたりなら命という奇跡さえ起こせる。ふたりならば家族のエンジンとなり支えあいその支えあいは平和という大家族さえも支えること。ひとりより家族のほうが人が助けられること。平和という家族ならばできないことがないこと。それが愛。ふたりは抱きしめあった。
「もういやよ」とミラルは立ち止まる。
「どうした」とエルフィール。
「どうして人の痛みなんて感じるの。もう痛いのは嫌よ。これは愛なの。愛をすてれば痛くないの」とミラル。
「幸せって痛いものなのさ。人の痛みを感じることも幸せなのさ。おいしいのもうれしいのも美くしいのもすばらしいのもすてきなのもおもしろいのもいいものに気持ちいいのも幸せさ」とエルフィール。
「あなたがいたことも幸せよ」とミラル。
「そうだな。そういうこった」とエルフィール。一行は歩き出す。
「うちの子笑わないんだす。どうにかしてけろ」と母。
一行がその子を見ると泣いている。
「私ちょっといってやるわ」とミラル。止めるエルフィール。
「泣いてない。笑ってるのさ」とエルフィール。母は泣いていた。
七回目。
「うちの娘のエルエルが死にたがってるんです」と母。娘のエルエルの前に来る一行。
「死にたかったら死ね」とエルフィール。
「なにいうかなあんたは」とミラルが怒鳴る。
「一緒に暮らそう」とエルフィールたちは数ヶ月エルエルと暮らす。
「これから生きていきます」とエルエルは活き活きしてる。
「復讐だぞ」とエルフィール。「不幸に復讐して幸せになるんだ」とエルフィール。
「はい。復讐してやります」とエルエル。ミラルが笑いだす。
「エルフィール。あなたは私を一番怒らせるけど一番笑わせる人でもあるわ」と涙をぬぐうミラル。
「そうだろうさ」とエルフィールも涙をぬぐう。一行は旅立つ。
なかがき。なんか攻撃にくらくらしていてなぜテレビ局がダーエレ流せないのかわからなくてあたってしまいました。ただまあ防御が効いてみてよく聞くとどうやら戦争世界へ向けていた気がどこへ向ければいいかわからないという戦争世界依存症だったのです。聞いたこともない病気にびっくりでした。平和世界では気とは自分に対して気を使うのです。気は使っただけうまくなります。気を爆発的に放ち続けるのです。常に一分前の自分よりもさらに強く思いの力を放ち続けるのです。達人になると自然と使えるようになります。うっかり会社などでやりすぎるとタクシーでも呼ばないと帰れなくなりますから気をつけて。昼間につかれたら一時間でも昼寝つまりは眠ること。気を使うなら睡眠は必ずとりましょう。まあやりたかったら止めませんが無理はしないでください。テレビスタッフもいまは気の使い方を学び気を使えるようにがんばっているようです。いまはダーエレまだかなと待っているとこです。
第七十話 決断の奇跡に生まれ変わる日よその思いと願いよ。
昼日中からエルフィールはぐでーとしてやる気はまったくない。
「飯も残してはやく食えよ」とミラル。
「スローライフだよミラル」とエルフィール。
「まったくあんたという馬鹿は死ななきゃ直らないな。馬鹿につける薬はないわね」とミラル。
「馬鹿は馬鹿なりに役には立っているのさ」とエルフィールは笑う。
「ただの馬鹿でしょう。馬鹿につける薬はないね」とミラルは怒っている。
「家族や仲間には寛容さが必要だよ」とエルフィールは笑う。
「私は寛容でしょうよ。あんたという馬鹿の存在を許しているからね」とミラルは笑う。
「馬鹿もいいじゃないか」とエルフィール。
「馬鹿の面倒だけ見るのは嫌よ。幸せになりたいよ」とミラル。
「幸せになろう。一緒に永遠に幸せになろう」とエルフィール。
「言ったな。幸せにするって言ったな」とミラルは泣いている。
「幸せにするまで責任は取るさ」とエルフィールは涙をぬぐう。
そしてふたりは笑いあう。そんな平凡なるひとときなればこそ。
エピソード2。
一行は歩いている。
「もっとちゃんとしてよエルフィール。命令よ」とミラル。
「ミラル。命令した瞬間に命令した相手から束縛される。自由でいるためには命令しないことなんだ。願いをいうことはあっても命令はしない。それが自由である条件だ。政治家が命令して束縛されて自由を失い、自分を犠牲にするのかっこわるいよ」とエルフィールは笑う。
「自由でいたい。命令しない。だから命令。一緒にこの世界にいて」とミラル。
「それはいい命令だな」とエルフィールは笑う。一行は旅を続ける。
エピソード3。
暗闇の中をミラルが走っている。「現実から逃げるために大事なこと見失ってる」と闇がささやく。「大事なことってなに」とミラルは走る。「刹那「せつな」のその場限りの快楽に踊らされて大事なことを見失っている」と闇はささやく。「大事なことってなに」とミラル。「それは本質。ほんとうのこと」と闇はささやく。「ほんとうのことってなに」とミラルは立ち止まり問う。「本質は未来。未来とは夢か幻かそしてこれからのこと」と闇はささやく。エルフィールが闇を斬り裂く。「ごたくは結構だ。戦おう」とエルフィール。斬られた闇は永遠となる。「永遠の闇の中一筋の光りは生まれた」と永遠。「永遠と戦う。まだ心は永遠に成長するぜ」とエルフィールは精霊をまとい永遠を斬る。ジョルディーも斬る。アドルテアとミラルが魔法攻撃する。ハイベルが剛剣で永遠を斬る。永遠が吼える。レッドドラゴンも吼える。レッドドラゴンの口炎が永遠に踊る。「永遠の戦いは永遠に続く」と永遠。「だがひとつひとつの区切りはある」とエルフィールは斬る。「永遠は永遠なのだ。その本質は永遠。答えは永遠。そこにある家族団欒も永遠なのだ」と永遠。「永遠はすべて。だがまた永遠の心の成長もまた永遠だ。そう?う家族団欒もある。まだまだ永遠に心は成長する」とエルフィールは永遠の闇を斬る。「いまはひこう。だがこれは永遠なのだ。永遠の戦いなのだ。それを忘れるな」と永遠は去る。「忘れたりしないさ」とエルフィールは剣をしまう。「永遠の果てになにがある」とジョルディー。「いまはまだわからない」とエルフィール。「まだ始まったばかりだというのね」とミラル。「そうさ。さあ旅がしたい。旅へ出よう」とエルフィールたち一行は旅立つ。8、17。
エピソード4。
エルフィールたちの前にドラゴンが出る。光ってるようなドラゴンだ。「何者だ」とエルフィール。「永遠竜「えいえんりゅう」だ」と永遠竜。「戦いを望むのか」とエルフィール。「永遠竜とは永遠の流れ。幻獣「げんじゅう」なのだ。幻獣とは未来のすべて。だから戦う理由はない。永遠竜とは永遠のあたたかさなのだから」と永遠竜。「つまりなにがいいたいんだ」とエルフィール。「人はもう長いこと大事なことを失っている」と永遠竜。「それは人だって探しているさ」とエルフィール。「人にだってやさしさはあるわ」とミラル。「永遠のぬくもりを失ったのは人ではないのか」と永遠竜。「取り戻してみせるさ」とエルフィール。「崩壊していく過去はなんのためにある。光り輝く未来はどこにある。いま答えてみよ」と永遠竜。「いまは答えはない。だが必ずいにしえの約束を人は果たすだろう」とエルフィールは笑う。「できるなら見ていよう。忘れるなら笑い飛ばそう。その約束が果たせる日を夢見ていよう」と永遠竜。「そんなに待たさないさ」とジョルディー。「神はできない約束を人にあたえはしません」とハイベル。「くっくっくっ。人の未来よ。楽しみなものだ」と永遠竜。「信じてみろ。損はしない?」とエルフィールは笑う。「永遠の約束をその愛を果たすべきか永遠竜は見ているのだ」と永遠竜。「気の長いこった」とエルフィール。「永遠の約束を果たすか。それはまだ始まったばかりさ」とジョルディーは剣をかざす。「ドラゴンとて約束はあるぞ」とレッドドラゴン。「それもいい。またその旅を感じていよう。その旅を楽しみにしているぞ」と永遠竜は飛び立つ。「さていこうか」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード5。
男がいる。「私は戦士ダガローン。戦争はどこだ。いま平和にするために人を殺す。暴力をふるう」と剣でエルフィールと斬りあう。「戦いは終わったのだ。剣をおさめよ」とエルフィール。「戦わなければ人は迷い苦しみ不幸になろう。いま平和のために私は暴力をふるう」とダガローン。「なぜ家族と暮らしていけない。家族団欒こそ平和ではないのか」とエルフィールは剣を吹っ飛ばす。「戦いで幸せにならないのなら。暴力で幸せにならないなら人はなんのために生きるのだ」とダガローン。「人は愛しあうことで生きていくのだ。それこそが家族団欒だ」とエルフィール。ダガローンのまわりに家族が街の喧騒が踊る。「そうかもな。家族団欒こそが平和の答えなのかも知れない。帰ろう家族団欒へ」とダガローンは家に帰る。「そうして世界が家族団欒になる日まで」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード6。
精霊が生まれる。「これは珍しい」とアドルテア。「あんたの仕事でしょ精霊使いさんよ」とミラルはエルフィールをこづく。うすぼんやりおだやかに光る精霊の子とエルフィールは歩く。「力がほしいのか」と魔力を精霊の子にあたえるエルフィール。何日もそうやって面倒を見るエルフィール。「もう立派な大人だな」とジョルディー。「精霊は大人になればひとりで生きていく。もうお別れだな。そう。精霊の子はそうして名前をつけることで大人となる。エフィーリア。それがおまえの名前だ」とエルフィール。精霊の子は光り踊ると大きな光りとなる。そして空に消えていく。「またな」とエルフィールは手をふった。「さみしい」とミラル。「さみしいな」とエルフィールは笑った。一行は旅立つ。ほのかな光りが一行を照らしていた。
エピソード7。
山あいを川が流れる。一行は滝を眺めながら歩いていく。と滝から咆哮がする。ちょっとそこにいるがずっと咆哮がしている。近くの村人がやってくる。「なんだいこの咆哮は」とエルフィール。「五千年前に竜騎士とそのドラゴンがいた。ここで竜騎士が死に、悲しんだドラゴンはずっと泣き続けていた。やがてドラゴンも死んだが、咆哮だけは残ったのだ」と村人。咆哮はどこか悲しく響いている。「またな」とエルフィールは精霊を歌う。一行は旅立つ。
エピソード8。
戦い続けていた。「どこへいく」とエルフィール。「どこかな」と男。「名前はなんという」とジョルディー。「名前なんてもう忘れた。二千年間戦士として戦い続けていた。正義の下「もと」に悪人を殺し続けてきた。暴力だけの二千年。殺したのは何億人だろうか」と戦士。「暴力の日々か」とエルフィール。「救いはなんだ」とジョルディー。「暴力に救いなどない。たとえ世界を敵にまわしても世界平和にしたかった」と戦士。「戦いの終焉を」とミラル。「おまえたちを正義の下に倒す」と戦士は斬りかかる。エルフィールとジョルディーの手が光る。光りで斬る。鳥に生まれ変わる男。「もう殺すことのない人生をやりなおしな」とエルフィール。鳥は空を飛んでいく。
エピソード9。
逃げる人が逃げる。「不器用でも現実に体全部でぶつかっていったおまえはどこにいった」とエルフィール。「できない」と男。「いまはすぐに逃げてしまってあの現実に立ち向かっていったおまえはどこにいった。世界平和になってからのおまえは逃げ道をひたすら探す日々。みじめだと思わないのか」とエルフィール。「もう戦いたくない。ナンバーツーも知らないよ私は」と男。「戦え。逃げるな。現実に立ち向かえ」とエルフィール。「もうきついのはいやだ。痛いのはいやなんだ」と男は斬りかかる。光りで斬る。男はねずみになった。一行は旅立つ。
エピソード10。
「桜はまだ小さいから小さな桜でこさくらだ」とエルフィール。「心の大きさって」と小桜「こさくら」。「心を大空にすること。心を宇宙にすること。すべて包み続ける大きさ。すべてのことを愛していくこと。そういうことが心の大きさ心の成長ということかな」とジョルディー。「その大きな心からあたためる心を幸せという」とエルフィール。「桜もできるかな」と小桜。「できるよ」とエルフィール。思いが空へ宇宙を包みこむ。そんな思いの空で。
エピソード11。
止まった心はなにも感じない。なにもない。「心よ流れよ」とエルフィールが舞う。心は流れた。
エピソード12。
風が吹いている。人がいる。青年が立っている。「生きる戦いはすべてを輝かせた」と青年。「これからどこへいく」とエルフィール。「もう永遠に眠るのだ。豊かなやわらかさに包まれてやすらかな眠りにつくのだ」と青年。「もう人生はいいのか」とエルフィール。「とわの眠りはそして未来に鮮やかに蘇るだろう」と青年。「それが満足なのか」とエルフィール。「静かな眠りに永遠につくまで」と青年は光りとなって消えていく。「またな」とエルフィールたちは歩き出す。
エピソード13。
永遠が踊る。それは無限の色彩のような。「永遠とはなんだ」とエルフィール。「たとえば永遠の幸せといえばすばらしいだろう。永遠と戦うことでそれは得られる。永遠のあたたかい涙といえばそれはすばらしいだろう。永遠と戦うことでそれは得ることができるのだ」と永遠。「永遠の悦楽とか永遠の豊かさとかさ。まあ金がもうかるとかさ」とエルフィール。「それも永遠と戦うことで可能だ」と永遠。「永遠の家族団欒とかさ」とエルフィール。「永遠と戦うことですべては可能だ」と永遠。「永遠に心が成長するのも」とエルフィール。「それも永遠と戦うことで可能だ」と永遠。「なんか楽勝だな。そんなものかな」とエルフィール。「以外とそんなものなのだ。永遠と戦うことはそれくらいなんでもありなのだ」と永遠。「永遠と戦う以外になにをすればいい」とエルフィール。「永遠の幸せを楽しめばいい。それだけだ」と永遠。「わかったよ」とエルフィールは鹿の胃の水筒「すいとう」で水を飲んだ。
エピソード14。
永遠の風景が踊る。「永遠とはなんだ」とエルフィール。「それはまた永遠の不思議だな」とジョルディー。「私たちの時代ではあるわね」とミラル。「永遠という時代か」とエルフィール。「まだ永遠はこれからだよね」と小桜。「そうだな。永遠という時代はこれからだ」とハイベル。「ゆっくりと永遠。はっきりと永遠。素直に永遠さ」とアドルテア。「永遠というのは不思議ね。涙が流れるのも不思議ね」とミラル。「永遠の不思議は涙が流れるのさ」とエルフィール。「それも不思議ね」とフィル。焚き火にあたる一行。
エピソード15。
ふたりは知り合いだった。女は男が嫌いだった。「あー運命の人が来ないかな」と女。「あっしが運命の人でやす」と男。「うそつきはゴブリンの始まりよ。ゴブリンのように口が曲がってしまってよ」と女。「幸せにするだけじゃ不満でやすか」と男。「あなたが運命の人だという証拠がないわ」と女。男は歌を歌う。「あんたのために作り歌った歌でやす」と男。「そんな歌を聴いたような気がする」と女は涙を流す。「あんたが鳥でも幸せにするでやすよ」と男。「そういうの好きよ」と女は男と抱きしめあう。「運命のひとときあんたと」と男。「幸せのときをあなたと」と女。ふたりはそして時を過ごす。
エピソード16。
「なにをしてもだめだった。おれの人生はもうだめなんだ。どこにもいけない。なにもできない」と男レリアン。「心に翼を持て。そうすればなんでもできる。どこにでもいけるんだ。心の翼で空へ宇宙へ羽ばたいていけ」とエルフィール。「やってみます」とレリアン。「心に翼をどこにだっていけるなんだってできる。心の翼を羽ばたかせればなんでもできるんだ」とエルフィール。レリアンは歩き出す。
エピソード17。
「ひきたて役はありがたいな」とエルフィール。「なんだと」とミラル。「冗談だって。冗談通じませんねん」とエルフィール。「ちょっと水飲んでくる」とミラルは宿屋の下の居酒屋にいく。あるおばさんが飲んでいる。水を待つあいだおばさんリーンと話す。「私はもう幸せよ。世界平和なんだから」とリーン。「幸せにならなきゃ」とミラル。「だから世界平和なんだから幸せよ。もう寿命で死にたい」とリーン。「世界平和になって燃え尽きているのね。でもね幸せは情熱よ」とミラル。泣いているリーン。ミラルは歌を歌う。
エピソード18。
泣いてる女の子がいる。「ねえ幸せだけ見よう。幸せだけ食べよう。幸せだけ聞こう。幸せだけ歌おう。幸せだけ感じよう。幸せだけ交換しょう。幸せだけあげよう。お互い幸せになろう」とジョルディー。少女は涙から笑顔になる。ジョルディーは少女を抱きしめた。
エピソード19。
泣いてる女の子がいる。「世界は幸せなことでいっぱいだよ。とんでもなく楽しいことが世界にはあるんだよ」とエルフィール。「ほんとう」と女の子。「ほんとうさ。世界は幸せの宝箱。その手で開けてごらん。冒険で世界を開けば楽しいことがあふれだす。幸せにおなり」とエルフィール。「うん」と女の子。「立ち上がり歩き出すならば世界をおまえにあげよう。この世界手に入れて幸せにおなり。世界のあふれる楽しいことはおまえを待っているのさ」とエルフィール。「もらうね世界」と少女は笑っている。エルフィールは歌を歌う。
エピソード20。
「依頼だ」とジョルディー。「私は歌手をしているネイラです。歌を作っても売れないのです。食っていけません」とネイラ。「仲間はいないのか」とエルフィール。「ほとんどいません」とネイラ。「心が大きく成長すればそでふれあい仲間がふえていく」とエルフィール。雨が降ってくる。「私の友達は雨だけよ」とネイラ。「この孤独よ雨と流れよ」とネイラ。「若いうちは仲間は少ない。でもなそれでも歌は心の一番の友達さ」とエルフィール。雨がやむ。空は雲が開けて虹がかかる。「やまない雨はない。継続は力なり。歌を作り続けてみなよ」とエルフィール。「そうですね。やってみます」とネイラは歌を歌う。
エピソード21。
「どっかいきたいな。ここでないどこかに」と女。「そうでやすなあ。人は思い出以上先にはいけないのかも知れないでやすな」と男。「どこかに帰りたいのかも知れない」と女。「幸せに帰ろう。やわらかな幸せであんたの心をマッサージするでやす。やわらかい幸せであんたの心を毎日幸せにするでやす。生まれた幸せを生きる幸せをそして永遠という幸せを感じてくれでやす」と男。「幸せに帰るために巡り逢ったから」と女。「あんたが幸せな世界をここに」と男。「やわらかな幸せの中で」と女。「永遠に巡り逢うために」と男。「永遠の幸せの中で」と女。ふたりは抱きしめあった。
エピソード22。
「みんなおいで」と黒のコートに黒の帽子の男のまわりにみんなが集まる。「何者だ。なにをしている」とエルフィール。「あっしは幸せ屋でやす。みんな幸せにする商売でやんす」と幸せ屋。みんな泣き出す。「どういうことだ」とエルフィール。「みんな幸せになるとあたたかいやわらかな涙を流すんでやす。さああんたも幸せになりなでやす」と幸せ屋がコートを開くと星々が空もすべてに踊る。エルフィールも涙している。「あっしはあんたらを幸せにしたい。それが生き甲斐でやすよ。さあ心が生まれ変わりそしてやわらかく巡り逢う心と心よ」と幸せ屋は去っていく。「おまえさんにもらった心ありがとう」とエルフィールは言った。
エピソード23。
「好きな人と巡り逢いたい。幸せになりたい。幸せにしたいな」と少女は部屋から空へ願う。空から星が降りてくる。「ぼくは星の子供」と星光る子供が空にいる。「願いは思いは星となって空に輝き星の子供となるんだよ」と星の子供。「さあ空へ飛ぼう」と星の子供と少女が空を飛ぶ。「楽しい」と少女。街々を越えて空越えて星々越えて宇宙を飛ぶ。ふと少女は目が覚めると部屋にいた。「夢だったのかな」と少女。枕元には輝く星の欠片「かけら」があった。「思いは願いは夢じゃないんだよ」と声がする。少女は笑顔になった。
エピソード24。
「人助けしたいなあ」と小桜「こさくら」。「私もしたいな」とアムネスタ。「そうだね。でも人助けというのはまた巡り逢いのようなとこがあってね。でもね生きてくれてるだけでもみんな助かるんだよ。生きてるだけでも人助けなんだよ」とジョルディー。「チャンスはいずれある。それもまた巡り逢わせなのさ」とエルフィール。「生きていれば人助けの巡り逢いもあるというものよ」とミラル。「生きていようね」と小桜。「ジョルディーがいれば生きていけるよ」とアムネスタ。「上等だふたりとも。幸せにしょう。幸せになろう」とジョルディー。焚き火を笑顔が囲む。
エピソード25。
ある洞窟の奥にドラゴンの石像がある。「動けないぞ」とジョルディー。一行は動けない。「人めまた来たか。私は待っていた。怨念になってまで待っていた。嫁になるといった女を待っていた。その女は三千年待ったら嫁になるといったのだ。さあ嫁を出せ」とドラゴンの怨念。「そいつはもう死んだな女も」とエルフィールの手が光る。ジョルディーと光りでドラゴンの怨念を斬る。「長い長い旅であった」とドラゴンの石像は砕ける。「天国が待っているぜ」とエルフィールたちは歌った。
エピソード26。
廃墟の街が燃えている。「私たちは内戦という道を歩いた。その結果街は破壊された。戦いだけが答えだったのか。愛だけが答えだったのか。いま目の前には永遠だけがある」と兵士。「きっと答えが見つかる日が来る」とエルフィール。「そう願っている。そう祈っている。そうありたいと思っているのだ」と兵士は泣いた。夕日は沈んでいく。
エピソード27。
バルディが歩いていくとベネレッタがいる。「あらあらゴブリンさん急いでどこにいくのかしら。私も連れていってよ」とベネレッタ。「鳥さん鳥さん女の鳥さん。あっしは急いでいないでやすよ。あんたという人がいるからあっしは永遠にここにいて歌うのでやすよ」とバルディ。「ゴブリンさんのいうとおり鳥はとても空が好き。あなたの上を飛んでいるのです」とベネレッタ。「そうかいそうかい。あっしは愛を探していたんでやすよ。あんたの愛をいただきたいんでやすよ」とバルディ。「ゴブリンさんゴブリンさん。あなたの空を見守るのは私の仕事よ。あなたに危険がないといつも見守っているのですよ。さああなたの空を私の歌でいっぱいにいたしましょう」とベネレッタ。「鳥さん鳥さんありがとう。きっと今日もあっしは幸せでやす。ふたりの思いの前にきっと悪魔も逃げ出すでやしょう。さあ一緒に生きていきやしょう」とバルディとベネレッタは抱きしめあった。
エピソード28。
洞窟を探索するエルフィールたち。なにかが天上から光っている。光りが舞う。「人の子よ。願いはなんだ」と光り。「人々の幸せだ」とエルフィール。「願いは必ず叶うだろう。それはおまえたちの願いによるもの。おまえたちの力によるもの」と光り。「人は救われるのか」とエルフィール。「救われるだろう。そのためにおまえたちは生まれた。願いは永遠を越えて人々をその思いを幸せの光りと成すだろう。生きなさい。答えは光りの中にあります」と光り。「それはいいことだな。ありがとさん」とエルフィール。「幸せになるのでしょうか」とミラル。「すべての幸せは光りの中に。すべての思いは永遠の中に生きている」と光り。「そう願いたいものだ」とエルフィールは笑った。「さあ生きなさい。さあ行きなさい。この世界はまだ幸せを待っているのです」と光り。「わかったよ」とエルフィールたちは歩き出す。
エピソード29。
ジョルディーが歩いているとアーティニーがいる。「これは剣士様。どこにいらっしゃるのですか」とアーティニー。「じゃじゃ馬姫を探しているのです」とジョルディー。「それはこんな姫なのですか。剣士様。剣士様。あなたのとなりは雨が降っていますよ」とアーティニー。「きっと姫と一緒にいる騎士はつらいのでしょう。だから雨ばかり降っているのです」とジョルディー。「それはきっと愛する人を守るための力。あなたが永遠に道に迷わないように守る思いの力」とアーティニー。「アーティニーを守る力でもあるから。いつもこの思いのように守られている世界よきみよ。ゆっくりときみとの愛を歌おう」とジョルディー。「詩とは守る力なのかも知れません。それは愛の言葉。力守る永遠の言葉」とアーティニー。「それもいい。愛もいい。人を愛する力が永遠ならばこんなに幸せなことはないのです」とジョルディー。「あなたを愛しています」とアーティニー。「愛してる」とジョルディーと抱きしめあうふたり。時は愛を歌う。
エピソード30。
巨人がひとり戦っている。「我こそがすべてなのだ」と巨人。巨人が人間を人々をなぎ倒す。エルフィールたちが巨人を倒す。巨人が動けなくなった。「夢を見ていた。すべての人が幸せになる夢だ。黄金の帝国を夢見ていた。みなが黄金に包まれた世界を見ていた。私は私の思いは間違いだったのか」と巨人。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。巨人は鳥になって飛び出す。「いい歌を歌いな」とエルフィールは歌う。
エピソード31。
老婆に声が聞こえる。「待っていたのですよ。あなたのことを」と声がする。エルフィールがジョルディーと光りで斬る。老婆は若返っていく。「こんなことがあるはずがない」と老婆は少女になった。「さあみんな待っていたのよ。こちらにいらっしゃい」と少女は光りの中へいく。「ここは永遠の花園。苦しみはなにもないのよ」と声。まわりには少女たちがたくさんいる。「さあここで永遠を生きよう」と少女たちは歌を歌う。老婆だった少女も歌った。そして世界は歌になる。
エピソード32。
少女が歩いてくる。「これはこれは騎士様。これからどこへいかれるのですか」とアーティニー。「これはこれは姫。騎士は姫の元へいく途中なのです」とジョルディー。「騎士様騎士様。これからどんな戦いがあるのですか」とアーティニー。「それはまだ未来しか知らないことなのです」とジョルディー。「騎士様の守護をいたしましょう」とアーティニー。「それはお願いいたします。私の願いはみなの守護なのです」とジョルディー。「永遠がふたりを包むまでこの命あなたとともにありましょう」とアーティニー。「永遠の歌を歌いながらあなたと生きていきましょう。その日永遠がすべてとなるまであなたの守護を永遠にいたしましょう」とジョルディー。「それこそが永遠の愛。あなたを永遠に愛し続けるまで。この愛であなたを幸せにし尽くすまで。この愛をこの力をあなたに」とアーティニー。「永遠に愛しているからあなたの永遠の守護をこの愛で。夢まですべて愛しているから。ふたりのすべてを愛にするために」とジョルディー。「何億光年離れてもあなたを追い続けて愛し続けていますから。愛しています」とアーティニー。「何億光年もあなたを追いかけているから愛し続けているから」とジョルディー?「何億年も愛すために何億年の抱擁をあなたにするために」とアーティニー。「何億年も愛し続けるために何億年の抱擁をあなたにするために」とジョルディーとアーティニーのふたりは抱きしめあいキスをする。永遠はふたりを彩る。
エピソード33。
「アステア」と男。「ジョスティン」とアステア。「ふたりは離れてばかり。これからずっと一緒にいるためにお願いします」とジョスティン。エルフィールの手が光りジョルディーとふたりで斬る。ふたりの小指に見えない赤い糸がまきつく。「永遠をこれから生きよう。お互いを見失わないように。永遠の命を育てよう。永遠の時を生きよう。永遠の命を育てあげ世界に残そう。いまこの愛とともに」とジョスティンとアステアは抱きしめあう。「幸せにな」とエルフィールたち一行は旅立つ。
エピソード34。
「生きていれば世界はまだ開かれている」とエルフィール。「エルフィールなにを探してるんだ」とジョルディー。「世界のすべてを探している」とエルフィール。「一緒に永遠を永遠に探していこう。どこまでも永遠に」とジョルディー。「永遠に一緒に永遠を探して旅をしょう。永遠の旅をしょう」とエルフィール。「永遠の不思議と出会う旅でもある。永遠を探して生きていよう」とジョルディー。「無限の世界が宇宙が永遠の世界が待っているから」とエルフィール。「永遠の世界はなにもかも永遠だという。幸せも愛も家族団欒も永遠だという。永遠を見よう」とジョルディー。「永遠の世界へ」とエルフィール。「永遠へ旅立とう」とジョルディーたちは歩き出す。そして永遠へ。
エピソード35。
洞窟の奥で男が闇と戦っている。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。闇は消える。「私はレムス。千年闇と戦っていた」とレムス。「これからどうする」とエルフィール。「帰りたい。ふるさとに帰ろう。そして畑を耕して命を育てて生きていこう」とレムス。一行は歩き出す。
エピソード36。
山道を歩く一行。歌が聞こえる。山の上に女性が歌っている。「なにしてるんだ」とエルフィール。「私は豊穣の女神。歌うことで命が活き活きとして命そして生まれ変わったり出会いをあたえるのです」と豊穣の女神。「歌によって」とエルフィール。「歌によって命は永遠を得るのです。さあ歌いましょう永遠を。命の大河を命の宇宙を命の永遠を巡り逢うために歌いましょう。永遠のように歌い永遠のメロディを世界に響かせるために」と女神。一行は歌う。
エピソード37。
洞窟の奥にドラゴンがいる。「我はレグニノクス。我は神と戦い負けた。滅びの言葉をあび滅びていく。おお体が崩れていく。なにもかも消滅していく。存在も歴史も我のなにもかもが消えていく。我のことをおぼえていてほしい。おお消える消えてしまう」とレグニノクスは滅びる。「なにかしていたか」とエルフィール。エルフィールの手が光っている。ジョルディーと光りで斬る。光りの中からレグニノクスが生まれる。そして卵になる。「レグニノクス」とエルフィールたち一行は卵を見ていた。
エピソード38。
人々が殺しあっている。エルフィールの前に兵士がひとり倒れこむ。「私はラムネータ。ダガラとガンラータの戦いだった。だがもうなんのために戦っていたのかいまとなってはわからない。ただの殺し合いだった。どうすれば良かったのだ。正義はどこにある。私は死ぬのか」とラムネータ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りは巨大な翼となり一帯を包む。みんな少年や少女に戻っていた。少年たちは遊びだす。エルフィールたちは旅立つ。
エピソード39。
男がいる。「私はレグルカ。王の命令だここにいなくてはならない」とレグルカ。「王の命令よりも大事なことがある」とエルフィール。「そんなものはない」とレグルカ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。妻が目の前にいる。「あなたお茶入れたわよ」と妻。子供がいる。「おとうさんいっしょにあそぼ」と子供。レグルカは涙が止まらない。「なんだこの気持ちは。なんだこの感情は」とレグルカ。「幸せだよ」とエルフィール。家族団欒を見送り一行は旅立つ。
エピソード40。
女がふたりいる。「おまえふざけんな」とケンカしている。「私はノースラス。どうしても仲間や家族が許せないんだ。ほんとうは愛したいのに。私は人を愛すことができるんだろうか。私は人を愛し許せるのだろうか」とノースラス。「人は育てれば必ず伸びる。みんな自分の子供だと思うんだ。みんな自分の子供。そして育て伸ばすために話すこと」とエルフィール。「ありがとう」とノースラスは涙をぬぐう。
エピソード41。
「幸せは歌うために生まれた。家族は歌うために生まれた」とアーティニー。「愛はなぜ生まれた」とジョルディー。「愛は歌うために生まれた。命は歌うために生まれた。永遠は歌うために生まれた」とアーティニー。「永遠を歌うぼくらはどこにいく」とジョルディー。「永遠を歌えば永遠は道になる。永遠を歌えば幸せは永遠になる。ゆっくり歌えば歌は幸せを響かせる」とアーティニー。「永遠を歌えば幸せは家族だから」とジョルディー。「歌えば魂はひとつとなり神を歌う。さあ永遠の時の流れを歌おう」とアーティニー。ふたつの影はひとつになる。
エピソード42。
「動けない。足が動かないよ。心が小さい。だめなんだ」とレムス。「心の翼で羽ばたくんだ」とエルフィールは光りでジョルディーと斬る。レムスは歩いていく。エルフィールは見送った。
エピソード43。
「結局好きな奴とは一緒になれないんだ」と女のレクリエール。「あきらめなければ奇跡は起きる。挑み続ければ必ず奇跡は世界を自分を包み幸せの女神はほほえむ」とエルフィール。「そんなのうそだ。できないんだ」とレクリエールの手が光っている。「これはなに」と光りで自分を斬る。自分の未来が見える。望む未来が見えた。「自分の人生をあきらめない。歩いていきます」とレクリエールは歩き出す。
エピソード44。
「私はメルイナ。世界はどうなる私はどうなる」と男のメルイナ。「世界を作ろう。世界は崩れる翼。世界を創造しょう。世界を生まれ変わらせよう。世界は何度でも生まれ変わる。私たちの手で世界は何度でも生まれ変わる。世界を創造しょう。世界はこの手の中にある」とエルフィール。光るエルフィールの手とメルイナの手が合わさる。未来の世界が見える。創造される世界が見える。「必ず世界を創造します」とメルイナ。世界は手の中にあった。
エピソード45。
「何億年経ってもあなたのことを愛している」とアーティニー。「何億年でも愛してるという」とジョルディー。「何億年でも支え続ける」とエルフィール。「何億年でもあなたとの愛を歌い続けている」とアーティニー。「何億年でもこの愛をゆたかにゆるやかにやわらかくしていく。こんな愛があるように」とジョルディー。「何億年でも幸せを歌い続けている。お互いの心を幸せのようにやわらかくもみ続けていく。こんな幸せのもみかたがある」とエルフィール。「何億年でも愛にもみ続けていく。やわらかく心をもみあい続けていく。それが生きることならば。幸せはこんなに心がやわらかいものだから。ゆっくりとゆるやかに心をもみあげていく永遠にずっと」とアーティニー。「永遠に心をもみあうこと。それが愛という幸せ。心をやわらかく自然にゆるやかに生きること」とジョルディー。「やわらかくやわらかく永遠に心をもみあげていくこと。それが幸せだから。そして心は永遠になる」とエルフィール。三人は明滅しながら光りに包まれる。
エピソード46。
「心が小さい。なにもできない」とミラル。「心を創造しょう。心は愛という感動に何度でも生まれ変わる。心は生まれ変わるたびに大きくなる。感動を探してそして心生まれ変わろう。心を創造すればすべては心から創造できる。さあ心を創造しょう。心は何度でも生まれ変わる。そのたびに心は創造される。さらに大きくなっていく。さあ心の翼を大きくして羽ばたこう。宇宙へ飛び立とう。大きな心の翼ですべてを包み抱きしめよう。それが生きることさ」とエルフィール。「さらに大きな心の翼で羽ばたくわ」とミラルは涙をぬぐう。
エピソード47。
「戦争世界に対して心を広げてきた。これからはどうすればいい」とレーノ。「これからは永遠に対して心を広げていくんだ。永遠に心を広げ続けていくこと。それは永遠の創造だ。永遠を心に創造することなんだ。永遠を心に生み出そう。心を永遠にしていくこと」とエルフィール。「なんてあたたかいんだ。あたたかい心があふれてくる」とレーノ。「さあ永遠の幸せを心に生み出そう。心の広がりこそ幸せ。心に永遠を生み出し永遠の幸せと成せ」とエルフィール。心に永遠がある。それは永遠の幸せだった。
エピソード48。
なにも刺激のない町。静かに死に絶えようとしている町。ニッポンナ。「なんだここは」とエルフィール。「私は師匠ケンナ。当時テロと戦いもっと厳しさの中に救いがあると思った。だが戦いが終わろうとしたときに親しい仲間は過去の私の会うな世界平和というな逮捕するなという言葉を金科玉条にして過去にとらわれ続けてしまった。もういまの私の声は聞こえない」とケンナ。「過去にとらわれるな」とエルフィール。「いまを生きよう」とジョルディー。「師匠は彼は過去にいった。その言葉を守って生きるのが私たちのいきがい」と町人たち。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。過去の中に自分がいる。そこに手がさしだされる。「過去をすていまを生きよう」とエルフィール。「あのときの私たちはどこにいってしまうの。あのときの私たちの苦しみをすててはいけないわ」と少女。「あのときの私たちもいまここにいるよ。もうずっと一緒だよ」とエルフィール。「どこにもいかない」と少女。「どこにもいかないよ」とエルフィール。過去がいまに成る。ケンナがやって来る。「ただいま」とケンナ。「おかえり」と仲間たち。一行は旅立つ。
エピソード49。
呼ばれて魔法院の図書館にいく。「ここで探してる魔道書があります」とゼムス。探すエルフィールたち。ミラルがその魔道書を見つける。暴走する魔道書。暴風が吹き荒れる。「わあああああ」とミラルが叫ぶ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「いろんな世界を見てきた。私は魔道の極みのひとつ。それは幸せのための魔法だった。書いた人たちは人の幸せを願い永遠に人が幸せになることを願っていた。幸せがあふれていく。こんな気持ち。それが幸せだ。いま永遠の幸せが開く。いま私の役目は終わる。これが幸せの魔法だ」と魔道書。幸せなあたたかいやわらかな心がもみあがる。そこに本は閉じられた。一行は旅立つ。
エピソード50。
少女が歩いている。「私は誰。これからどこへいけばいいの」と少女。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「きみは未来。未来で生きるんだ。未来は幸せの生まれる場所。光りの世界なんだ。みんな一緒にいるとこなんだよ。さあ抱きしめよう。もうはなれることはないよ。ずっと一緒だよ。これから未来永劫ね。永遠をともに生きよう。それがともに生きるということなんだよ。もう二度とはなれることはない。もうひとりじゃないんだよ。みんな一緒だよ」とエルフィール。少女は翼を広げて未来へと羽ばたく。
エピソード51。
「どこにいてもあなたのことを思っている」とアーティニー。「いつもきみを幸せにしたいと思っている」とジョルディー。「いつも永遠を送りたいと思っている」とエルフィール。「永遠に一緒にいられるように願っている」とアーティニー。「永遠が歌うときまで愛している」とジョルディー。「永遠を生きるように愛している」とエルフィール。「永遠に抱きしめるように愛してる」とアーティニー。「永遠に心はそばにいる。永遠に愛してる」とジョルディー。「永遠をわかちあいたい。永遠に愛してる」とエルフィール。「永遠に生まれ変わる愛のように愛してる」とアーティニー。「忘却の苦しみより深く愛してる」とジョルディー。「永遠より深く愛より深く愛している」とエルフィール。「いつも心がまじわるように愛している」とアーティニー。「永遠よりも喜びよりも深く愛している」とジョルディー。「ゆっくりとやわらかくおだやかに愛している」とエルフィール。三人は光りのなかへ。
エピソード52。
「幼き日。なにもできなかった自分を思いだす」とジョルディー。「世界平和になってそれまで戦争世界に対して力を放っていたのがこれからは永遠に向かって力を放つ。永遠を心の中に創造するということがわからないんだな」とエルフィール。「できるでしょうか」と小桜「こさくら」。「誰でも平和世界ではまだ幼子なのかも知れないな」とジョルディー。「永遠にできるようにすること。永遠の力と成すこと。永遠という感覚をつかむこと。永遠とはなにか考えて永遠に向かって力を放ち永遠について話しあうこと。永遠は永遠だから奥の深さは無限。永遠はまだ始まったばかりさ」とエルフィール。焚き火にあたりシカに食らいつくエルフィールたち。夜はふけていく。
エピソード53。
エルフィールが精霊の剣で永遠をぶった斬る。「永遠はまだ永遠を知らず。永遠の涙は永遠のぬくもりから生まれる」と永遠。レッドドラゴンが炎を永遠に吐く。「永遠さえも達しず永遠さえも遠く。永遠のように歌う人生を歌う。永遠はまだ心のなかに生まれていたから」と永遠。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「永遠は永遠を歌う。永遠の歌を聴いていた。永遠の幸せの歌を聴いていた。永遠さえも心の風景としていた。永遠はまだここにある。永遠はまだ始まったばかりなのだから」と永遠。永遠の歌が響いていた。
エピソード54。
「永遠とひとつになること。永遠にあこがれていた。永遠に近づきたかった。ずっと永遠を眺め続けていた。永遠しだいの道だとしても永遠に羽ばたき続ける。永遠はいいものよ」とミラル。「永遠をずっと感じ続けていたい」とエルフィール。「それが永遠とひとつになることね」とミラル。「永遠を越えてその先の未来へ」とジョルディー。「永遠は忘れたころになつかしくいとおしい」とミラル。「永遠よりも永遠らしくありたいもの」とフィル。「永遠に響く歌を歌いながらまた永遠を響かせていく旅」とエルフィール。「永遠の旅へ旅立とう」とジョルディー。一行は旅立つ。
エピソード55。
「不幸な生い立ち。不幸な生活だった」と女のレナス。「幸せから逃げちゃいけない。幸せを勝ち取れ。幸せだけは失っちゃいけないんだ」とエルフィールは光る手でジョルディーと光りで斬る。光りの翼がレナスを包む。「望む未来を光る手でつかめ。未来へこの翼で羽ばたけ」とエルフィール。レナスは笑顔で涙をぬぐった。
エピソード56。
「彼女のことが好きなんです」とレクリエール。「手紙かけ。何百通でも書き続けろ」とエルフィール。それからプレゼントしたりさみしいといえば駆けつけたりしてるうちに結婚のはこびとなった。「彼の思いの純粋さにうたれました」と涙をぬぐう彼女。「うれしさをプレゼントしていくのが幸せ。永遠に幸せにしてやんな。うれしさが心からあふれると涙となる。心とは水のように形はない涙だから。まだ涙あふれているね。それはうれしさが心からあふれているんだよ」とエルフィール。「これからも彼女に永遠にうれしさをプレゼントし続けていきます」とレクリエール。「幸せにな」とエルフィールたちと別れる。
エピソード57。
「彼はおまえのために死にたいが口ぐせでした。でもほんとうに私を守って死んでしまいました」とローリエ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「きみを守りきれて本望だ」と彼があらわれる。「幸せになってほしい」と彼。「ありがとう」とローリエ。「いつまでも思い出は力となりきみに力をあたえん」と彼。「また生まれ変わり。きみのもとへ」と彼。「またね」とローリエ。「心はいつもひとつだ」と彼。ふたりは話しあっていた。
エピソード58。
「永遠てなんかぴんとこないな」とミラル。「永遠に向かって歩いていくってことさ」とエルフィール。「永遠に向かって羽ばたくとかね」とジョルディー。「永遠を抱きしめるような感じ」とフィル。「永遠に歌い続けていくこと」とハイベル。「言葉は言葉。言葉の意味を考えればそれは魔法なのです。言葉は魔法。言葉の魔法を永遠に響かせるということですな」とらいでん。「魔法を唱えて永遠の響きを」とダミエール。「むずかしいことじゃない」とエルフィールは焚き火のシカに食らいつく。
エピソード59。
「望みは叶わないんだ」と女のコーナル。「妥協は悪くない。だがな。望みは必ず叶う。望みの世界を手に入れてみないか」とエルフィール。「世界を見たい。いろんな人々と会って見聞を広めたい。好きな人と結婚したい。みんなを幸せにしたい。好きな人と幸せになりたい」とコーナルの手が光る。光りで斬る。世界がある。いろんな人たちと出会い未来がある。そして好きな人との家族団欒もあった。「幸せになるよ」とコーナルは歩き出す。
エピソード60。
「どこにいけばいい」と男のロードナ。「世界へ」とエルフィール。「世界にはまだ見ぬ愛がある。家族団欒と旅には愛がある。世界には無限の不思議な愛がある」とジョルディー。「世界に出てまだ知らぬ愛を見たい。いろんな家族という愛に出会いたい。不思議な無限の愛と出会いたい。どんな愛がどんな幸せを創造してるのか見たい」とロードナ。「世界へそして家族へその不思議な無限の愛へ」とエルフィール。旅立つロードナ。
エピソード61。
「聖地バランバランでは恒久「こうきゅう」の平和を願って巨大な女神像があります。二千年の戦乱の日々にも我々は守り続けてきました。その願いこそがこの地に平和をもたらしたように思うのです」と聖職者のレギナ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りを見た人たちはそれから女神像を見に来たという。一行は旅立つ。
エピソード62。
「この村にはとくになにもないのよ」と少女レナスタ。エルフィールたちは井戸を掘り畑に協力する。三ヶ月助けてなんとか収穫まで実る。「ありがとう。ありがとう。ほんとうにありがとう。この恩は忘れません。ありがとう」とレナスタ 。「幸せになりな」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード63。
老婆がいる。「悠久の空へ旅立ちなさい。悠久の時を越えて悠久の愛を得なさい。悠久のやさしさにあたたかい心に悠久の涙を流しなさい。悠久の家族団欒を悠久の幸せをみんなとわかちあいなさい」と老婆。「わかったよ」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード64。
小桜「こさくら」が岩の父に聞く。「私のお母さんは誰」とこさくら。「千年生きた桜は人になる。それがおまえだ。千年生きた岩も意識を持つ。それが私だ」と岩のおとうさん。「私は桜なんだね」とこさくらは焚き火にあたる。
エピソード65。
「平和だからやる気でねえなあ」とエルフィール。「まだ世界は貧困にあえいでいます。救うべき人々はごまんといるのですよ」とハイベル。「人のエネルギーとはなにか。それは食事です。それは睡眠です。それは話しあうことです。そしてイメージです。世界をこう変えるというイメージすること。それが人のエネルギーなのです」とらいでん。「情熱から愛は生まれます。情熱から金は生まれます。情熱をイメージして情熱を創造するとき願いは叶います。情熱によって永遠に羽ばたき永遠をつかみとれるのです。すべては情熱というエネルギーが可能とするのです。永遠の愛が永遠の幸せを創造します。永遠の情熱が永遠の愛を創造するのです。永遠の創造は永遠の情熱からです」とフィル。「ほっけほっけわっかりましたあ」とエルフィール。「その返事からして信じられないなあ」とミラル。ジョルディーはくすくす笑っている。
エピソード66。
「いまのテレビはおもしろくないわね」とミラル。「言葉が死んでるな。意味がある言葉は生きていて人を幸せにする。結局世界平和になって心が死んでるから言葉もみんな死んでいるんだな」とエルフィール。「昔はよかったな。ああ永遠に意味のある響く言葉が聞きたい」とミラル。「そうだな」とエルフィール。
エピソード67。
少年がひとり立っている。「金がない。ひもじいよ助けてよ」と少年のレギガス。「すぐに慈善団体に連絡を」とミラル。「待て」とエルフィール。「生きたいか。生き残りたいのか」とエルフィール。「なに言ってるのエルフィール。やめなさいよ」とミラルは叫ぶ。少年は前にでる。「生きたいよ。生き残りたいよ。もっと生きたい。ずっと生きて幸せになりたいよ」と少年。「よっしゃ一緒に生きていこう」とエルフィールたちは少年と歩き出す。
エピソード68。
「彼女を幸せにしたいんです」と彼のレギオース。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。レギオースの愛に幸せになる彼女が見える。「愛の数だけ人は幸せになれる。無数のいろんな愛で彼女を愛した数だけ幸せにしてやんな。愛は幸せ。いつもいつまでも愛して幸せにすること。それが家族だよ」とエルフィール。
エピソード69。
「世界平和になってやる気がでないのね」とミラル。「意欲というものはな。願いなんだ。人の永遠の幸せを願うこと。それが情熱なのさ」とエルフィール。
エピソード70。
少女がいる。「私はイシス。神々の星を探して旅をしています。ここは違うようです。数億年神々の星を探してきました。理屈の前にやさしさがほしい。理屈の前に愛をぶつけて。愛の物語が知りたい。この星もあらゆる研究をして二十年もすれば神々の星となるかも知れません。そしたらまたこの星に立ち寄りますよ」と少女イシスは光りながら空へ飛んでいく。「待っているぜ」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード71。
「なんて現実は強いんだ。人がばたばた死んでいく。助けはこないのか」とらいでん。「情熱の継続は奇跡よ。現実を砕く時まで待ちましょう」とミラル。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。未来への道が開く。「未来の二丁目まで歩いていこう」とエルフィールたちは歩いていく。
エピソード72。
「いまの人は世界平和になってすべてをあきらめてる。夢や志やつまり目標がないんだな」とらいでん。「これができないとか聞くけど、できる人は目標があるんだよ」とエルフィール。「夢を見ようということだね」とジョルディー。「多少妄想じみていてもいい。空想めいていてもいい。夢を見よう」とハイベル。「それが希望というものね」とフィル。シカに食らいつくエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード73。
「エルフィールの目標というか夢はなによ」とミラル。「人類みんなひとりまで幸せにすることだよ」とエルフィール。「それで働いたら負けが心情なんだ」とミラル。「そうだね」とエルフィール。「偉いんだかてきとうなんだか」とミラルは嘆く。「泣かしたら勝ち。単純明快だろ」とエルフィール。「そうかもね」とミラル。一行はシカに食らいつき焚き火にあたる。
エピソード74。
男がドラゴンの前にいる。ドラゴンは暴れている。「奇跡なんておきないんだ。黎明の騎士たちの話などすべてうそっぱちなんだ。なにをしてもなにもできないんだ。もうだめだ。だめなんだよ」と男のレーイルは叫ぶ。「あきらめなければ奇跡は起きる。情熱の継続は奇跡なんだ」とエルフィール。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。周囲は花畑になった。エルフィールたちは歩き出す。
エピソード75。
「なにもかも人は失っていくの。なにも人には残らないというの。なにもかも消えていくのが人生なの。なにもかもなくすのが生きることなの」と少女ライア。「忘れなければ奇跡は起きる。あきらめなければなくすことはない。人は生きる限り奇跡を起こす力をもっているんだ」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード76。
「私の人生にはなにも奇跡なんて起きなかった。私の人生は奇跡の起きない残念な人生だったのよ」とミラル。「こうしておれたちが出会えた奇跡があるじゃないか」とジョルディー。「そうね。それは奇跡ね」とミラルは涙をぬぐった。
エピソード77。
「できない」と女のセリス。「あらゆる研究していろいろためしていろんなれべる上げていると自然とできるようになるんだよ。それが奇跡のある側面さ」とエルフィール。「奇跡はあきらめなければ必ず起こるわ」とミラル。「そしてれべる上げているといろんな人に神様と呼ばれたりするものさ」とジョルディー。「行動力においては勇気と決断の研究が奇跡を起こす。奇跡を起こそう」とエルフィールたちは歩き出す。
エピソード78。
「決断とは自分しかできないと思うこと」とハイベル。「決断力とは弱い自分をぶったぎること。体の動きとか言葉で弱い自分をぶったぎること。それが決断力となる」とらいでん。「決断とは痛み。決断力とはとても痛いことを受け入れること」とエルフィール。「決断とはより苦しくなることを受け入れること。この決断力あれば行動力は完璧よ。決断できない苦しみほど苦しいものはないからね」とミラル。シカに食らいつくエルフィールたち。焚き火にあたる一行。
エピソード79。
永遠を斬るエルフィール。「奇跡はすべてを蘇らせる」と奇跡。「奇跡だけが人を永遠となす」とエルフィール。「奇跡は人を夢の世界に連れていく」と奇跡。「まだ人は奇跡を知らないのかも知れない」とエルフィール。「人は永遠に挑むときに奇跡を見るだろう」と奇跡。「それが生まれてきた意味ならば奇跡を起こそう」とエルフィール。「奇跡よいま奇跡のなかへ。奇跡に生まれ変わる。いま奇跡に永遠に巡り逢う」と奇跡。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。永遠は久遠「くおん」へと生まれ変わる。
エピソード80。
「世界平和になって苦しみたくないという風潮がある。時代の風潮。時代の空気だよね」とジョルディー。「人を幸せにするにはそれなりにかなり苦しむ必要がある。なんか苦しむ奴はばかじゃないかみたいな感じすら受けるよね」とエルフイール。「テレビも苦しみたくないスタッフが逃げ出してるようなものが多い。決断できなくてあたりまえ決断できないニートをいさめられないなんて嫌な時代ね」とミラル。「決断れべるはいやそもそもれべるは少しずつしかあがらないよ。決断れべる上げるには決断の研究と勇気をタンス殴ってとかね。骨砕かないように」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード81。
ドラゴンがいる。「私は冥帝王「めいていおう」ドリューラー。私はどれだけ生きただろう」とドリューラー。「なんだい昔話かい」とエルフィール。「もう寿命なのだ。私はもう死ぬ。どれだけ生きただろう」とドリューラー。倒れるドラゴン。そして動かない。「静かにゆっくり深く眠れ。深く深く眠れ。もっと深く眠れ。その深さに癒される日々よ」とエルフィールたちは歩き出す。
エピソード82。
闇の濁流が洞窟の奥にいる。「すべてを苦しみと暴力に落としいれるために」と闇の濁流。エルフィールの手が光る。「なんだその光りは」と闇の濁流。「これは心の輝きが見えるのだ。心の純粋さが光っている。心の美くしさが光っているんだ。この光りはすべてを浄化する希望の光り。おまえに希望を叩き込む」とエルフィールはジョルディーと光りで斬る。「なんだこのやわらかくあたたかい感覚は。なんてやわらかなやさしさ。なにもかもやわらかく美くしい。なにもかも光っている」と闇は光りとなりそれから千年洞窟を照らしたという。一行は旅立つ。
エピソード83。
「力を出せば力れべるがあがる。力れべるがあがる。するともっと力がでるようになるんだ」とエルフィール。「力をださないほうがれべるはあがらないんだ」とジルディー。「なるへそう」とミラル。エルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
第七十一話 。
エピソード1。
「人生は戦いだな」とジョルディー。「あきらめなければ奇跡は必ず起きる。継続は奇跡なりだ」とエルフィール。「まだ道なかばね」とミラル。「そんなものですよ」とフィル。シカに食らいつくミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード2。
「もういやだ生きたくない。もう苦しみたくないよ。もう生きていたくない助けてくれ」と男のレイナス。「あきらめるな。あきらめなければ奇跡は起きる。継続は奇跡なりだ」とエルフィールたちは生を歌う。
エピソード3。
「タンスにごんごんでなにか変わるの」と小桜。「奇跡とは量による質的変化だよね。その量にれべるは上がりある瞬間できるれべるになるつまり奇跡だな」とエルフィール。「試行錯誤していくなかでその量は奇跡となる。まあ単純な話ね」とミラル。「奇跡は量からか。それが基本ね」とフィル。シカに食らいつくフィル。一行は焚き火にあたる。
エピソード4。
光りが夜に輝く。踊り舞う光り。「あの光りがあったらなあ」とエルフィール。「歌いましょう」とフィル。一行は歌う。光りはエルフィールたちの中に入る。「なんてあたたかいんだ。この光りはやわらかいなめらかなゆっくりさだ」とエルフィール。「幸せが心で巡り逢うような不思議な感覚。なんておだやかな光りだろう」とミラル。「幸せがゆっくりと心で踊る。この光りは幸せなんだね」とジョルディー。「涙があふれてくる。この光りが心にあるとあたたかいなにかが涙となっていでてくる」とエルフィール。「いいわね。こういうの」とミラル。一行は光りと踊る。
エピソード5。
エルフィールが歩いている。ダリルがいる。「歩き出せエルフィール。そうすればこの世界をおまえにやろう。次の世代たるおまえにこの世界をやろう。この世界に羽ばたけば世界の富を世界の豊かさをおまえにすべてやろう。世界を旅すれば世界のすべてはおまえのものだ。世界へ旅立てそうすればこの世界をすべてやろう」とダリル。「ありがとう。世界をもらうよ」とエルフィールは世界へ歩き出す。
エピソード6。
光りのなかにダリルがいる。「平和を探す旅がいつのまにか幸せを探す旅だった。エルフィール。幸せになれ。世界はひとりひとりが幸せになるためにある。幸せをわかちあい。幸せ愛し幸せを過ごそう。そして私がいたことを忘れないでくれ。私もおまえのために戦ったことを忘れないでいてくれ。母よりはおちるが父のことも忘れないでいてくれ。私からのお願いだ」とダリル。「忘れないよ。幸せを見つけたらきっと届けたい。父を母を家族を忘れない。この幸せをみんなに」とエルフィールは歌う。光りはゆっくりと消えていった。
エピソード7。
アドルテアがやってくる。「ひさしぶりだなあアドルテア」とエルフィール。「最新の魔法フィリアフィルを会得してきました」とアドルテア。アドルテアから光りが出る。「この光りはなんてあたたかいんだろう。光りやわらかくゆっくり心が未来へ希望へと流れ広がっていく。なんて気持ちいいんだ」とエルフィール。「涙も出てきました」とミラル。「幸せをあたえる魔法なんじゃよ」とアドルテア。「このあたたかさやわらかさに涙が止まりません」とミラル。「いいなあ。これはいいよ」とエルフィール。「幸せだ」とジョルディー。「心はやわらかくなりあたたかくなり気持ちよくなりそして心は愛になるという魔法ですじゃ」とアドルテア。「幸せだ」とエルフィールたちはまどんでいる。
エピソード8。
「人は平和世界と呼ぶのですね」とフィル。「幸せの世界。幸せの時代と呼ぶこともできるさ」とエルフィール。「涙の時代とかね」とジョルディー。「なんだか悲しそうだけん」と小桜「こさくら」。「気持ちいい時代でげす」とバルディ。「なにかひわいだわ」とミラル。「巡り逢いの時代とか」とフィル。「楽しければなんでもいいさ」とエルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード9。
少女はゴブリンを抱きしめる。「ゴブリンさんゴブリンさん。あなたの愛をくださいな」と少女。「小鳥さん小鳥さん。あなたの愛とひとつになりたいでやすな」とゴブリン。「幸せは愛の濁流のなかにある。この愛の濁流にあなたは幸せを歌うでしょう」と少女。「この愛の濁流は幸せの生活を歌うのでやすな。生きることは幸せを歌うこと。愛をあんたにあげるでやんす」とゴブリン。「あああなたを愛してる。何度生まれ変わってもまたあなたを愛すことでしょう。永遠にあなたを愛し続けるためにこのやわらかさをあなたにあたえるよ」と少女。「愛してるでやす。何度生まれ変わってもあんたの愛となるでやすよ。あんたがひとりならずっとあんたの心を照らし続けているでやす。幸せはこの愛にあるでやす」とゴブリン。「バルディあなたは私の希望。あなたの愛は私の未来。すべての暗さがこの愛に照らされるまで愛し尽くすことでしょう」と少女。「ベネレッタあんたの心をやわらかく愛し尽くすまで何度でもこの愛を愛してるでやす。あんたが幸せになるまでずっと永遠をあんたの心に歌うでやす」とゴブリン。ふたりは抱きしめあう。そして愛はひとつになる。
エピソード10。
「あなたの愛に心はふるえている」とアーティニー。「相手の愛に心は何度でも生まれ変わる。このやわらかさに何度でも心は生まれ変わる」とジョルディー。「心が生まれ変わるときに涙が心からあふれてくる。これが幸せ」とアーティニー。「心は愛という奇跡に生まれ変わる。感動と涙に生まれ変わる。ゆっくりと愛してる」とジョルディー。「あなたの愛に生まれ変わる。私の愛であなたを生まれ変わらせる。ゆっくりとやわらかく愛していく。この愛に心は浄化されていく癒されていく生まれ変わる」とアーティニー。「この愛に心は永遠に生まれ変わる。心は何度でも蘇り愛を歌うから」とジョルディー。「永遠のやわらかさが心愛撫する。永遠の幸せがここにある」とアーティニー。「愛してる。永遠に愛してる。いつまでもこの幸せをともに」とジョルディー。「愛してる永遠に愛してる。いつまでもこの幸せをともに」とアーティニーはふたりは抱きしめあう。そして愛は永遠を歌う。
エピソード11。
光りの鳥が闇夜に羽ばたく。光りの鳥はエルフィールたちのまわりを巡りとけ逢う。「遠くから近くへ永遠から久遠「くおん」へ。やわらかな光りが広がっていく。気持ちよさがゆっくりと明滅していく」とエルフィール。光りの鳥はミラルたちを照らし明滅して癒す。「ほのかな光りが心を癒しゆっくりと心はマッサージされて心はやわらかくなっていく。千年やわらかくもみあげられた心はゆっくりとあたたかい光りがこみあげてくる。心は幸せを歌い続けて千年がたった。この心のやわらかさを愛と呼ぼう」とミラル。光りの鳥はフィルたちのまわりを巡り逢う。「一億年巡り逢った心は一億年やわらかくもみ続けていたから。幸せはこのやわらかさなのだから。幸せになるために巡り逢う心よゆっくりとやわらかくもみ続ける愛撫よ。幸せに永遠にやわらかくもみあげられていく心は永遠を歌う永遠に」とフィル。光りの鳥は小桜「こさくら」と舞う。「永遠にやわらかくもみ続けあう心は永遠の愛撫に巡り逢うから。永遠のやわらかな愛撫に永遠の愛を心は歌うけん。この愛を信じているけん。この愛を世界に。この愛をずっと愛し続ける日々だけん。このやわらかな愛撫を永遠にだけん。この愛を永遠に歌う日々だけん」?小桜。光りの鳥はそして空に心に羽ばたいていたから。
エピソード12。
光りの鳥が羽ばたく。「幸せの鳥は羽ばたき幸せは翼を手に入れた。幸せの空へと羽ばたこう。幸せの未来へと羽ばたこう。幸せの風は未来からやってくる」とエルフィール。光りの鳥がエルフィールたちと巡り逢う。「幸せと巡り逢い幸せの流れにひたる。心が幸せを歌う。ゆっくりと幸せはやわらかく心を愛撫している。愛しただけ心は幸せを歌う。幸せになるまでゆっくりとやわらかく心を愛撫しょう。涙がでるまでゆっくりとやわらかく心を愛撫し続けよう。愛が生まれ変わり時代は永遠を歌うからまた心を愛撫するから。またゆっくりとやわらかな愛撫に幸せが生まれて涙がこぼれていく。幸せはまた心に巡り逢うから」とエルフィール。「幸せを抱きしめたらあたたかい涙がこぼれた」とミラル。光りの鳥は羽ばたく。「光りは未来の姿。そして未来は光りの鳥となり羽ばたくから。永遠の歌を光りの鳥は歌うから久遠「くおん」に」とエルフィール。光りの鳥はエルフィールたちと生まれ変わる。そして光りの鳥は羽ばたいた。
エピソード13。
光りの鳥が羽ばたく。「苦しき若き日々。なにもかもから逃げたかった」とエルフィール。「でも幸せだけは裏切らなかった。幸せをいま抱きしめている。もう幸せだよ」とエルフィール。光りの鳥は羽ばたく。「幸せな家庭に帰るまでが旅だった」とエルフィール。「そしてまた世界へ旅立つまで」とエルフィール。旅は始まった。
エピソード14。
「奇跡は願いなんだ。世界平和にしたい。人を救いたいという願いが奇跡となる。祈りを誓いに変えてなんて歌があるけどまさに人を助けたいという思いが情熱が心の光りが奇跡となるんだ」とエルフィール。「なにも思っていないと奇跡は起きないわけね」とミラル。「そういうこった。奇跡は永遠に思い続ける願いさ」とエルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード15。
一人の戦士が立っている。「理想のためだった。そのはずだ。だがこの戦いはただの殺し合いだったのか。なんのために殺した。なんのためにみんな死んだんだ。いったい正義とはなんだ。人の死のその果てになにがあった。これからおれはなんのために生きればいい」と戦士ゴードン。「愛のために生きるんだ」とエルフィール。泣き崩れるゴードン。そして誰も動かなかった。
エビソード16。
「もうだめだ」と男のレーナグナ。「だめだと思ったら横になれ。横になって歌でも音楽でも聞くこと。それでもだめなら木のタンスとか家の柱とか殴れ。あらがってあらがってあらがい続けろ。可能性のあるほうにかけろ」とエルフィール。
エピソード17。
「おまえ背中に死神しょってるぜ。私は天使と知り合いだ。この金額でなんとかしてやるよ」とエルフィール。「いりません」と女ふたりは歩いていく。「ああいうのは人を騙してるのよ。世界平和といわないのもたかさきはやとといわないのも愛といわないのも台本通りのラジオもうそっぱちだけど騙される奴が悪いのよ。この世界は騙した者勝ちよ」と女たちは去っていく。「有料放送の一部や電子版の一部にはダーエレだのなんだの流すものもある。騙す奴の心は悪となり奇跡は起きない。誠実さに奇跡は起きる。信じない奴も悪い」とエルフィール。「信じる者は救われる」とフィルたちも歩いていく。
エピソード18。
「仕事でも家族でも世界でも偉業を達成しょうとしたらかなり苦しい。とくに男は苦しまない男は絶対に女はふりむかない。仕事を愛しただけ仕事は応えてくれる。家族を愛しただけ家族は応えてくれる。世界を愛しただけ世界は応えてくれる。なにも苦しまない奴は手応えはない。体も動かない。尊敬もない。愛すとは苦しむことでもある。苦しめ。苦しんだだけ道も見えてくる。でも今日はここまででいいよと相方とか家族とか友達とか上司がいうなら休んでもいいけどね。上司や家族や仲間は休みをとらせるのも仕事です。苦しめでもね苦しむのは地獄を見るのは天国にした世界を満喫するため。自分がした天国なら楽しめよ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜「こさくら」。
エピソード19。
「人間に不可能はない。運動能力は反射障害のような運動音痴もあるが基本的に人に不可能はない。ただまあ科学というのはなんでも説明できてしまうのでできない理由も説明できてしまう。できない人に説得されるよりかはできる人に学べ。できる人のしてることはすべて正解なんだ。できる人がモンダミンしてるならそれは正解なんだ。人に不可能はない。できる人に学べ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜「こさくら」。エルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード20。
「勇気とはいつ死んでもいい覚悟。勇気なければ逮捕、放送、結婚できぬ。いつ死んでもいいと念じ続けること。それが勇気」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。
エピソード21。
「破壊ではなく育てることが大事だ。だいたい奇跡を起こせるいろいろなれべるはそんなに高くない。冷戦統一のときのけんははたちそこそこ。必ず上げてないれべるがある。会社も人もね。ちゃんと基本的なれべるを上げていれば家族団欒も仕事もむずかしいことじゃない。上げてないれべるを見つけてちゃんと上げておくこと。悩んでる人の足りないれべるを見抜く力とかね。法律で支配ではなくその人の必要なれべるを上げてあげること。そしてその人が奇跡を起こせるようになること。それが大事なんだ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード22。
「基本的なれべるがあればあとはチャンスの量による変化つまり奇跡だ。基本的なれべるあげたらあとはチャンスと思われることを量をこなせば自然と奇跡となる。れべる負けしないように復讐じゃない復習も忘れずにな。たとえばたかさきはやとは物語の量で奇跡を試みて歌で試みてホームページで心見て試みて成功したわけだ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード23。
「れべる負けはしてないと思うわ。あとはなにが必要かな」とミラル。「基本的なれべるあげそしてチャンスの量による奇跡。あとは必ずなんとかなるという思いかな」とエルフィール。「根拠はなによ」とミラル。「根拠はそうだな神様がいたらそんなひどい未来はないという根拠かな」とエルフィール。「あやふやな根拠ね」とミラル。「そうかもな。そもそも人の存在自体があやふやな理由だよ。愛していたから存在理由で生まれてくる命。私たちはその存在理由も愛していたからというあやふやな理由で生み作られた。冷戦統一を見た。奇跡だった。人と話すのも奇跡。家にいるのも奇跡。アフレコで声入れるのも奇跡。アニメも小説も物語をひとつ作るのは奇跡なのである。歌一曲作るのも奇跡。売買ひとつも奇跡。試合に勝つのも奇跡。出版物ひとつひとつが奇跡。商品ひとつひとつが奇跡。子供を生むのは奇跡。人は奇跡しながら生きていく。できないことをするのはあなたがたのふつうの奇跡なのである。子育ては奇跡。物心つくのは奇跡。元気なのは奇跡。食べられること飲めることは奇跡である。人は奇跡のなかに生きている。誰でも奇跡のなかで生きているのである。自分がいま生きているのも奇跡なのである?人との出会いは奇跡。巡り逢いは奇跡。日々逮捕してるのも奇跡。日々放送してる番組も奇跡なのである。日々入金してる奇跡。放送や逮捕や結婚や入金などの奇跡もそのうちのひとつにすぎないのである」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード24。
「結果をだすことできることは奇跡だ。奇跡とは創造すること生み出すことだ。まだこの世界にはないから創造であり奇跡であること。できないことやるから金になったり幸せにしたりすること。奇跡ががんがんできる人はベテランとか巨匠とか英雄とか救世主とか神様と呼ばれる。できないことやるなんて簡単かというとそれができないで離婚される男もいる。なにもできない人はニートとかなんとか呼ばれたものだ。ベテランがやめて会社がつぶれるのもよくあること。奇跡とか創造とかの感覚は自分でつかむしかない。そういう感覚だとしかいえないな。奇跡とかはれべるがあがれば自然とできるようになるもの。れべるは勇気とか愛とか基本的なものから専門的な技術までいろいろ。れべるを極めしときにできないことはない」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。エルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード25。
「なんとなくできない気持ちもわかるな」とエルフィール。「永遠はそれだけ目標としてはほのぼのしてるからな。なにかぶったぎるような感覚はいまひとつ永遠には感じないとしても不思議ではない」とジョルディー。「永遠をぶったぎるという感覚がわかればいいんだがな。この感覚は教えることはむずかしい」とエルフィール。「永遠に永遠をぶったぎることか」とミラル。「永遠を一刀両断にすること。それはむずかしいかもね」とフィル。「涙がこぼれてきた。涙よめざめよと私はいった」とエルフィール。「それもいいわね」とミラルは涙をぬぐった。エルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード26。
「なんでれべる負けしてるのかしら」とミラル。「平和れべるを上げて世界平和にしたけれどいまの平和世界では永遠れべるを上げる必要がある。永遠れべるはもう一度基本れべるからなにから上げ直す必要があるんだ」とエルフィール。「思い出が巡り逢う」とミラル。「なんで忘れたかったんだろう。若き日。厳しき日々だった。いまゆっくりと家路をたどるよ」とエルフィール。一行は歩き出す。
エピソード27。
「永遠になんて働けないだけん。永遠なんてまるでブラックホールだけん。永遠なんてつかみようがないだけん」と小桜「こさくら」。「永遠をぶったぎることは永遠の方向性や永遠の力を自分のものにすること。永遠が使えればなにもかもできる」とエルフィール。「やってみるだけん」と小桜。シカに食らいつくエルフィールたち。一行は焚き火にあたる。
エピソード28。
「誠実れべるというかね、ほんとうのことをのべるのは大事だよね。暴露合戦とかじゃなくてね。方向性みたいなことでうそいわないのはだいじだよ。永遠を永遠にぶったぎり続ける。永遠を一刀両断し続けること。それが奇跡だよね。言葉にすることが永遠に有効であること。その人のその行動が永遠に変わらないときに奇跡は起きる」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。
エピソード29。
「つまり永遠に挑戦し続けること。チャンスと思われることに永遠に挑戦し続けること。そのときに奇跡は起きる。できるまで挑戦し続けること。そのとき奇跡は起きる。必ず奇跡は起きる」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード30。
「いつまで苦しめばいいの。この痛みはなんのためなんだろう」とミラル。「すべての苦しみの後に幸せはくる。ゆっくりと苦しみそしてやってくる幸せを抱きしめよう。我慢だけで終わらないこと。約束だ」とエルフィール。「生きていくことは苦しみ続けることに似ている。でも生きることは幸せになることなんだ。ただ日々幸せを味わう日々。それが生きることさ」とジョルディー。「昔神様と呼ばれた人たちは苦しみの後に幸せの約束の地が開かれるといった。いま約束の地へ」とフィル。「約束の時代はもうすぐさ。歩こう。その日々を楽しむために」とエルフィールたちは歩き出す。風は一行を見送った。
エピソード31。
老婆が平原を歩いている。「こんなとこにひとりでどうした」とエルフィール。「もう末期の病気なんだ。死ぬんだよ。最後のときをどこか自然のなかですごしたい」と老婆レナスク。「まあ焚き火でもあたりなよ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。「うう痛いもう死ぬね」と老婆の上に天使がいる。「待っていました」とレナスク。「ずっと見ていました。誰にでも天使はひとりいるのです。誰でもひとり天使に守られて生きているのです。さあいきましょう」と天使と老婆は空へといく。「ありがとう」とエルフィールはいった。一行は老婆を墓に葬った。夜はふけていく。
エピソード32。
「永遠にできない世界を砕き永遠にできる世界へうつる必要がある」とエルフィール。「永遠にできない自分を倒して永遠にできる自分に成るということね」とミラル。「世界は変わる。そのまえに自分ができる人間にならないとな」とジョルディー。「物語を読み直そうだけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード33。
「エルフィールはできるだけん。教えてだけん」と小桜。「できるとは感覚であること。れべるとは感覚であること。れべるが上がりできるようになってみればなぜこんな簡単なことができなかったのだろうと思うものだ。放送も入金も逮捕も結婚もアドリブも感覚であること。感覚は教えるのはむずかしい。自分でこういう感覚だと獲得するしかない」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜はシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード34。
「人はいつ死ぬかわからないから。いつでもベストに愛していたい」とエルフィール。「失った愛はどこへいくのだろうか。忘れられた愛はどこに眠るのだろうか。いつ別れてもいいようにいつも愛していたい。愛する人を苦しめて見送りたくはない」とアーティニー。「また巡り逢えるならばもっと愛したい。もっと受け入れてあげたい。好きなだけ許していたい」とエルフィール。「愛しあっただけ巡り逢いたい。体を重ねただけ彼を幸せにしたい」とアーティニー。「永遠の時代が過ぎていっても愛しあうことを忘れたくはない。彼を受け入れる女でありたい。彼と愛しあう女でいたい。永遠の時代ならばこそ」とエルフィール。時は巡り逢う。そして光りの鳥は羽ばたく。
エピソード35。
「心広げ続けてれべるあげ続けて永遠に挑戦し続けていると奇跡が起こせるようになってきて確信がもてる。自分ができると確信がもてるようになる。それでできるまで永遠に挑戦し続けていると奇跡が起こるんだ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード36。
「れべる上げし続けて心広げ続けているとできると確信がもてる。そのときにはもうできるようになってる。逮捕も入金も放送も結婚もアドリブもできるようになってるんだ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。小桜はシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード37。
「れべるあげて心広げてそれでもできないときはぬくもりのれべるが足りないんだ。家族がその人を抱きしめてあげること。子供が親を抱きしめてもいい。抱きしめてあげること。それで逮捕も入金も放送も結婚もできるようになる」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード38。
「奇跡を起こせば世界を救う。奇跡を起こすにはありえないほど苦しい。苦しめ。それだけが奇跡を起こす条件だ。それで逮捕も入金も放送も結婚もできる。あらゆる世界を救う奇跡はありえないほどの苦しみのなかにある。休憩などもはさみつつできるようになると自在に自由に奇跡ができるようになる。奇跡を起こす瞬間ありえないほど苦しむこと。それが奇跡のコツだ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚火にあたる。
エピソード39。
「なぜ生きるのかしら」とミラル。「幸せになるために生まれてきたのさ。幸せになるさだめをもって生まれた。だから幸せになるまで苦しみもする。でもね。人は必ず幸せになる運命を背負っているのさ。幸せになる天命からの権利がある。それが人なのさ」とエルフィール。「そうね」とミラルは涙をぬぐう。一行は焚き火にあたる。
エピソード40。
「奇跡とは光り。光りは波。波とは明滅であり緩急であること。奇跡とは緩急を積み重ねること。緩急のちりも積もれば宇宙となる奇跡となるだ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。「奇跡とは方向性。目標をもって目標に進んでるとその方向性に奇跡をいつのまにか起こしてるもの。目標をもち進め。目標に挑戦し続けるそのときに奇跡は起きる。やってるといつのまにか奇跡を起こしてる。あきらめたら奇跡は起きない。あきらめなければ奇跡はいつのまにか起きてる。気づけばもうできていたのに気づかないだけだったりする。たくさんの物語や歌では世界平和になっていてもそれだけ量を見れない人にコンパクトな愛というだけでね」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード41。
「戦争世界にぶつかっていけばよかった。でも永遠は手応えがないのよ。永遠はどこにいけばいいの」とミラル。「どっちにいっても正解なのさ。とにかくいけ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード42。
「同じとこそこそこまわってる感覚それがだめな感覚停滞だよね。奇跡とは螺旋上昇させる感覚なんだ。同じとこそこそこまわってる感覚と螺旋上昇する感覚の違いがわかる人は奇跡が起こせる。心は普段はおなじとこまわってる。それを螺旋上昇させる心の形にするとどんな奇跡も起こせる」とエルフィール。
エピソード43。
「うそつき。詐欺師め。まただますのか」とエルフィールにどろを投げる村人たち。「助けてもらってなんて人たち」とミラル。「よくあることさ。助けてもそうさ。裏切りかも知れない。それでも人が好きだ。人を信じてばかを見たい。人を疑って生きる人に愛はない。愛ある家族を生み出したい。裏切られても人を信じて苦しんで死にたい。愛のために生きていたい」とエルフィール。「好きだなそういう生き方」とミラル。「人を疑いながら生きた瞬間に悪魔と一緒に生きることになる。仲間の声すら聞こえなくなる。それは悪夢だろう。人を信じ愛して生きる勇気を持ちたい」とジョルディー。「家族と一緒にみんなと一緒に生きていきたい」と小桜。一行は旅に出る。
エピソード44。
「テレビは同じ内容をくりかえす。進化や進歩を失った世界。ゆっくりと停滞していくおなじことのくりかえし。危機意識の欠如。ハングリーさがなく満腹感に酔う。認知症のように同じことをくりかえし平和ボケしていくのにまかせている。世界はゆっくりと滅びていくようななにかそんな感覚」ととある黄昏人。「まだ人は光りを持っているさ」とエルフィール。「そう願いたいな」とジョルディー。「希望を灯すために」とミラル。「いくだけん」小桜。一行は旅立つ。
エピソード45。
エルフィールが暗闇を歩いている。「おーいみんなどこいったんだよお」とエルフィール。なにもない音もしない。「みんなどこいったんだよお」とエルフィール。「誰を探してる」と声がする。「みんないなくなってしまった」とエルフィール。「エルフィール」とミラルの声がする。「どこにいる。私はここだ」とエルフィール。「エルフィール」とジョルディーの声がする。「どこにいる。私はここにいるぞ」とエルフィール。人々の光りの流れのなかにエルフィールはいた。「いくのか」と声。「あんたは誰なんだい」とエルフィール。「私は希望だ」と希望。「そうか。またな」とエルフィールは歩いていく。旅は続く。
エピソード46。
「人助けや願いを始めてなにかやるというのは死ぬかも知れないほどむずかしい。挑戦する人は地獄を見る。最初に挑戦する人はがむしゃらで気づいたらできてる。理屈では説明できない。願い叶えた奇跡。そして始めてできたときに神様が見えるんだ。願い叶えて人助けのお茶の一杯もたまらない。もちろんできる伝統を守るのだってだいじなことだよ」とエルフィール。「初めてやった人は歴史に名を刻みたたえられる英雄となる」とジョルディー。「死ぬ気でやればなんでもできる」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード47。
ある村にくる。ある女性が話しかけてくる。「畑の人手が足りないんです。私不幸なんです。助けてください。助けてください。助けてください。助けてください。助けてください」と女性。「助けよう」とエルフィールたちは畑を助ける。一ヶ月して畑はもうだいじょうぶだ。「ありがとうございます。私幸せです」と女性エレナ。「いいさ。報酬もらったし。ごはんごちになったからな。それじゃ」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード48。
ある村を歩いていると地震がおきる。子供が崩れる建物にまきこまれる。すぐに救いだすエルフィール。「いやだよう。いたいよう。いやだよう。たすけてよお」と泣き叫ぶ子供。回復魔法かけるエルフィールたち。「もうだいじょうぶです」とハイベル。一向は復興につとめてそして旅立つ。
エピソード49。
「おまえはなにさまだよばーか」と男カイランは去っていく。「昔すごい男だった。世界平和になり安心しきって夢もすて堕落してしまった。もうたかさきはやとも見えない。自己中心的な人になってしまった」とエルフイール。「おちるとこまでおちるかな」と小桜。「そうかもな」とエルフィール。エルフィールはシカに喰らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード50。
「英雄とは」とエルフィール。「あんたごろころしてるだけじゃない」とミラル。「ふだんごろごろしていて土壇場て動けばいいのさ英雄は。エネルギーをチャージしているとこさ。ごろごろ」とエルフィール。「まゆつばまゆつば」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード51。
ドラゴンのような存在に立ちふさがれ戦うエルフィールたち。どんな攻撃にもびくともしないドラゴン。「もしかしてもうだめなんじゃない」とミラル。「あきらめるな。あきらめるな。あきらめるな。あきらめるな。あきらめるな。あきらめるな。あきらめるな。あきらめるな。あきらめるな。あきらめるな。あきらめるな。あきらめるな」とエルフィール。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「私は幻獣「げんじゅう」のラーヤン。さあ私の世界の扉を開こう」とエルフィールたちは光りの中へ。そこは新世界。「さあ旅だ。旅がしたい」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード52。
「めざめなさい」と声がする。「誰の声だっただろうか」とエルフィール。「めざめなさい。めざめなさい。めざめなさい。めざめなさい。めざめなさい。めざめなさい」と声がする。「誰の声だっただろうか。思い出せない」とエルフィール。「あの人を幸せにしたい。その願いは私の存在理由。忘れないでこの思い。あの人を幸せにしたい。願いよ奇跡を起こして」とミラル。「めざめなさい。めざめなさい。めざめなさい。めざめなさい。めざめなさい。めざめなさい」と声がする。「誰の声だろう。私はなにかを願っていたような気がする」とエルフィール。光りがエルフィールとミラルを包む。光りの向こう側にいるエルフィールとミラル。「ここが私たちのいる場所だ。いまめざめたよ」とエルフィール。「さあいこうミラル」とエルフィール。「そうね。旅ね」とふたりは歩き出す。光りの地平線の向こうへ歩き出す。雲だけがふたりを見ていた。
エピソード53。
「めざめなさい」と女性の声がする。「なにが」とエルフィール。「待っていたよエルフィール。おかえり」と男の声。「誰だいあんた。帰るってここは家かい」とエルフイール。「逢いたかったよ」と男の声。「誰だいあんた。こんなにあたたかい声忘れるはずがないんだがなあ」とエルフイール。「めざめなさい。思い出してあなたのいとしい人」と女性の声がする。「待っていたよ。どこへいっていたんだい。ずいぶん遠くまでいっていたんだね」と男の声。「ねえ誰だいあんたは。思い出せないなあ。なんかなつかしい声だ。誰だったかな。なんてなつかしい声。あんたみたいなだいじな人を忘れるはずがないんだがなあ。誰だったかなあ。なつかしい呼び声だ。なんてなつかしい呼び声なんだろう」とエルフイール。「めざめなさい。あなたの巡り逢うべき人と巡り逢うために」と女性の声がする。「どこへいっていたんだい。ほくはここにずっといたよ。おかえり。待っていたよ。さあ家族団欒だな」と男の声。「家族だって。誰なんだあんたは。家族ってことはあんただんなかい。私結婚していたかな。あんたと結婚していたのかい。誰だいあんた。なあ教えてくれよ。隠してないで教えてくれよ。あんた私のだいじな人なんだろう。名前はなんていうんだい。教えろよ。誰なんだいあんた」とエルフイール。「ジョルディーだよ」とジョルディー。「ジョルディーか。そうだジョルディーだよなぜ忘れていたんだろう。こんなだいじなおまえをなぜ忘れていたんだろう」とエルフイール。「かえろうエルフィール。ふたりの楽園へ。もうはなさないよ。愛してるエルフィール」とジョルディー。「ありがとう。愛してる。もうはなさないよジョルディー」とエルフイールはジョルディーと抱きしめ逢う。そして巡り逢うふたりの愛の歌。
エピソード54。
とある作家のエルフィール。四畳半の部屋にエルフィールがいる。「先生なんで物語作るんですか」と編集者のあがわ。「世の中不条理の嵐で不幸でできないことだらけだ。継続は力なり継続は奇蹟なり。物語や歌を継続することで奇蹟を望みたいんだ」とエルフィール。「いいですね」とあがわ。アニメゲームスタジオレッドドラゴン。「このスタジオどうしていきますジョルディー監督」とたなか。「このレッドドラゴンというスタジオを福利厚生を極め続けるスタジオにしたい。ノルマや作品の数ではなくどれだけ人間的であたたかいエビソードがあるかの数で競えるスタジオにしたいんだ。たとえスタジオをやめてもいたことが感謝されるスタジオにしたいんだ」とジョルディー。
エピソード55。
「ねえ。どうして人は死ぬの」と小桜。「巡り逢うため」とエルフィール。「どうして人は生まれるの」と小桜。「なにかを愛するために」とエルフィール。「人はどうして生きるの」と小桜。「愛し逢うために」とエルフィール。「焚き火にあたりあたためあいましょう」とミラル。「ミルクコーヒーがあたたまるな」とエルフィール。エルフィールと小桜は抱きしめ逢う。一行は焚き火にあたる。
エピソード56。
「どこへいけばいい」とエルフィール。「未来へいけばいい」とジョルディー。「未来はどこにある」とエルフィール。「未来をあげるよ」とジョルディー。「もらうね未来。ありがとう」とエルフィール。ふたりは光る手をつなぐ。光りで斬る。未来が開けた。ふたりは歩き出す。
エピソード57。
闇の中女が歩いている。「たかさきはやとが死んだ世界でなにが希望なのだろう。たかさきはやとなきいまなにも希望はない。どうしたらいいんだろう。どこへいけばいい」と女性のラーニャ。「めざめなさい」と声がする。「なにがだ。わからない。たかさきはやとがいない世界でなににめざめるというのだ。誰だおまえは姿をあらわせ」とラーニャ。「めざめなさい。クロにとてもなつかれているのがたかさきはやと。めざめなさい。涙の物語が描けるのがたかさきはやと。めざめなさい」と声がする。「わからない。たかさきはやとがいない世界でなにをすればいい。未来はどっちだ」とラーニャ。「たかさきはやとは生きています。めざめなさい」と声がする。「たかさきはやとがまだ生きてるなんてそんな幸運なことがこの世の中にあるのだろうか。信じられない」とラーニャ。「信じる者は救われるのです。信じなさい。たかさきはやとは生きています。めざめなさい」と声がする。「涙があふれてくる。なぜだ。死んだのだ。たかさきはやとは。なのになぜ涙があふれてくる。こんなのありえない。ありえないだろう」と涙をぬぐうラーニャ。「きみを幸せにするまで死なないよ」とたかさきはやと。「きっとこの涙が答えなのだろう。いまはまだ私はさまよう旅人だから」とラーニャは歩き出す。旅立つ道の先に光りがあった。「涙が答えだ」とエルフィールはジョルディーと光りでラーニャを斬る。たかさきはやとが目の前に立っていた。ラーニャはたかさきはやとと抱きしめ逢う。そして世界はふたりのためにあるから。
エピソード58。
「旅は永遠の願いそして永遠の未来。願いが未来を作り出す」とエルフィール。「わかっだたけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード59。
たくさんの人の群れが歩いている。「なんなのこの人の流れ」と小桜。「難民の群れだ」とエルフィール。「難民。人はどこにいけばいいの」と小桜。「約束の地へ人は旅をしているんだ。そこはまだ遠い道のりなんだ」とエルフィール。「みんなまだ約束の地を探してるんだね」と小桜。人々の群れは歩いていく。
エピソード60。
「みんななにかたいへんそうな気がする。私はどうしたらいいんだろう」と小桜。「ありのままでいいのさ。自然に生きて自然に死ぬこと。ありのままに生きていつもありのままの姿であること。それがするべきことさ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。エルフィールはシカに喰らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード61。
「永遠はどこにあるの」と小桜「こさくら」。「永遠は心とひとつ。永遠はいつも一緒にある」とエルフィール。「永遠の世界なの」と小桜。「永遠の時代永遠の歴史が展開される。永遠の物語を楽しもう。永遠の歌を楽しもう。永遠の幸せをこれから楽しもう。永遠の娯楽と永遠の人生を楽しむこと。その永遠の幸せ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。エルフィールはシカに喰らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード62。
ぼろぼろの姿の男がいる。「事業に失敗した。どうして私は生まれたんだ。教えてくれ。なにをするために私は生まれた。答えてくれ。私はなにをすればいい。私はどこへいけばいいというんだ。私はなにをするために生まれたんだ」と男レグナは嘆く。「生きていればいずれわかるよ」とエルフィール。一行は歩き出す。
エピソード63。
ある町に着く一行。木製二階建ての家が数十軒並ぶ。宿屋で一杯酒を飲む一行。「今日の一日の一杯は最高だぜ」とエルフィール。「あんたなにもしてないでしょう」とミラル。「歩くのだってたいへんだぜ」とエルフィールは笑う。剣を持った男か飛び込んでくる。斬りあい外に出ると村人たちがみんな剣を持っている。「大歓迎だな。今日は祭りかな」とエルフィール。「時と場合を考えて言いなさいよ」とミラルは魔法を詠唱する。倒した村人は消えていく。「最近の奴あ倒すと消えるのか」とエルフィール。「剣をまじえてもまったく手応えのない。なんだこれは」とジョルディー。エルフィールは腹に剣を入れられる。「なんじゃこりゃあ」とエルフィール。「エルフィール。だいじょうぶなの」とミラルは悲鳴をあげる。「まったく痛くない」とエルフィール。傷もない。女がひとり立っている。「これはなんの冗談だ」とエルフィール。「私たちは幻。これはこの街の思い出なのです。私たちを忘れないで。悠久の時のなかで私たちをいつか思い出してほしい。私たちがいたことを覚えていてほしい」村人たちは消える。そこは街の廃墟だけがあった。「忘れないさ。さあ旅がしたい。旅立とう」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード64。
「なんでそうなるのかな」と小桜。「人なんて矛盾のかたまり。人なんて頭がおかしいのさ。なにかに対して正そうとしたら虐殺になる。逮捕だ入金だ放送だ結婚だできなくてあたりまえ。人なんて狂っていてあたりまえさ。矛盾のかたまりの人なんておかしいくらいがちょうどいい」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。エルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード65。
「できないよ」と小桜。「仕事や問題なんて初めてはできない。それは感覚をつかむということ。なんだよこれ。できないよのくりかえし。それでやってるうちにできるようになるのよ。挑戦し続けている感覚は経験となって自分の中に積み重ねられ信じられない奇跡をできるようになる。ただできるまでできない自分を受け入れることができるのか。それが問題だ。転職というか仕事初めたら最初はこれに悩む。好きな仕事でないとできない自分を受け入れるのはむずかしい」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。
エピソード66。
「幸せはどこかな」と小桜。「幸せは涙さ。涙という答えがあってもいい。涙のある人生が幸せというものさ。涙は未来を見せてくれる。涙の時代と人は言うだろう。涙の道だと言う人もいるだろう。それもいいさ。涙の道を一緒に歩いていこう。この道には永遠の幸せがある。幸せをわかちあおう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。エルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード67。
「だめだよう」と小桜。「信じる者は救われる。信じる者は奇跡の力使える。奇跡はどんな絶望的なことも改善する。奇跡は不可能を可能にする。奇跡の力ならばどんなありえないこともありえるようになる。奇跡はみんなの幸せを創造する。信じるんだ奇跡を。奇跡の力を使う。その先に未来がある」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード68。
洞窟の中を歩く一行。「精霊がいる」とエルフィール。一行は吹っ飛ばされる。フィルが詠唱して魔法で着地する一行。「なんて短気な存在」とフィル。「人はまがつなり」と精霊の声がする。ジョルディーが走りだす。吹っ飛ぶジョルディー。「いまだ」とジョルディー。ジョルディーの後ろにエルフィールが走っている。ミラルとフィルとアドルテアの魔法援護がエルフィールを守る。エルフィールは精霊にふれた。雷鳴踊る豪雨の世界。灼熱の砂漠の世界。水だけの世界。幾重の世界を巡った。「つかまえた」とエルフィールは精霊といる。「我は世界の深遠。世界の原始。人は変わった」と精霊。「精霊は変えてはならぬことの象徴」と精霊王。精霊王はさらに話す。「人は変わり続ける。よりいいものへと人は変わり続ける。変わらぬ精霊には人が裏切ったように見えた。精霊が愛した人は変わり続ける。精霊はなにも変わらない。その精霊に人は変革を新生する。生まれた変革に精霊は涙した。変えるべきことがある。変えてはいけないことがある。精霊使いはその両方を司「つかさど」る」と精霊王。「なにをする。我は精霊だ。人よなにを歌う。精霊は永遠の存在」と精霊。「一緒にいよう。世界はまだ広がり続けている。一緒に世界を旅しょうじゃないか」とエルフィール。「朱「しゅ」にまじわれば我も赤くなる。いいだろう。一緒に世界を旅しょうではないか」と精霊はエルフィールとひとつになる。「新しい血に赤くなる。それもいい。それも人の道。精霊の道というものだろう」と精霊王。「旅だ。旅がしたい」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード69。
我が帝国の礎「いしずえ」となれ」とフィデル王の声に石の巨人ゴーレムが立ち上がる。「こにゃくそ」とミラルとフィルとアドルテアの詠唱にゴーレムが立ち上がる。だが一撃で王のゴーレムのパンチに砕けてしまうミラルたちのゴーレム。「ありゃりゃ」とミラルは倒れる。ハイベルがゴーレムの足を砕く。エルフィールが精霊をまといゴーレムの頭を砕く。「まだ終わりではない。まだ終わりではないはずだ」と王は嘆いている。「すべてが終わってもすべてが消滅してもそれでも残るもの。それが愛さ」とジョルディー。「旅だ。旅がしたい。旅へ」とエルフィールたち一行は旅立つ。
エピソード70。
ひとりの少女がいる。「あんた誰だい」とエルフィール。「私は涙」と少女。「いつか流した涙。忘れないで私のこと」と少女。「忘れないさ」とエルフィール。「その感動をその悲しみを忘れないでいて」と涙。「涙も一緒に歩いていこう」とエルフィールたちは歩いていく。
エピソード71。
ドラゴンに食料などをくくりつけている男がいる。「なにをしてるんだい」とエルフィール。「私はヘネル。宇宙へ旅したいんだ。ドラゴンで宇宙へ飛び出したい。無限の宇宙へ永遠の旅をしたい」とヘネル。「宇宙へ永遠の旅か。いいものだ夢は。夢があればどこにでもいける。夢があればなんでもできる。夢はいいものだ。私も永遠の旅をしたい。まずはこの星の中を旅したいのさ」とエルフィール。「いろんな人と出会いたい。いろんな人と巡り逢いたい。どんな出会いがあるか。この旅にどきどきしている」とミラル。「夢によっていろんな人と出会いともに涙して一緒に生きていきたい。夢のままに未来へ進みたい」とフィル。「夢をもち未来へいこう。そこは愛と涙の楽園なのだから」とエルフィール。「いこう未来へ」とエルフィールたち一行は未来へ歩き出す。
エピソード72。
「チーズを食べまくりチーズキングになる」とミラル。「おかし食べまくりおかしキングだ」と小桜。「表現を極めて人を幸せにする表現王「ひょうげんおう」とかね。表現をとことん極めて人を幸せにすること」とエルフィール。「みんなを幸せにする幸せの王様なんていいですね」とフィル。「夢は無限大。永遠の旅へいま旅立とう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード73。
ドラゴンに荷物を積み込む女がいる。「月や火星。フロンティアたる開拓地を開拓すること。それが夢なんです。いま旅立ちます」とフィネガー。「夢はいいものだ。夢があるから人は生きていける。夢の歌を歌うこと。それが生きるということだ」とエルフィール。「月や火星を住める星にするためにいま旅立ちます。開拓するまで帰ってきません」とフィネガー。「夢は人の原動力だからな。夢を達成するまで帰らないのもいい。夢があるから人は人足り得る。夢を見よう。夢追い人「びと」よ。夢を追いかけよう。それは多くの幸せを生み出すだろう。夢の歌を歌うために生きていくのだから。夢の歌は時に涙にすらなるから。夢の歌を歌おう。人に夢をあたえて人から夢をもらおう。偉大な夢をわかちあえばそこは楽園足り得るだろう」とエルフィール。「それではまた。いま開拓するために月へいきます」とフィネガーは旅立つ。一行は見送った。
エピソード74。
女がひとりいる。「私はサンディ。後進国を先進国並の医療や福祉にしたい。世界の食料自給率もいっぱいいっぱいだから農業も盛り上げたい。世界の幸福度をすべて百パーセントにしたい」とサンディ。「夢はいい。夢の歌を歌うために人は生まれたからな。夢の時代と誰かがいった。それはいまなのだろう。心を体を夢でいっぱいにすること。それが生きるということなんだ」とエルフィール。「犯罪をゼロにしたり軍事基地をなくすとか。夢はたくさんあるわ」とミラル。「夢を歌おう。夢を歌うことが生きることさ。夢を歌い人生を謳歌しょう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エビソード75。
「すべての不幸と絶望をなくしたい」とミラル。「夢はいいものだ。夢こそ人生のエンジン。夢こそ奇跡の力。夢を歌おう。夢を謳歌する人生こそ幸せだ。夢なき人生は不幸だ。夢こそ幸せ。夢があるから子供という命も生まれる。夢があるから農業作物を創造する。夢があるからクリエイティブなものを創造する。夢があるから人は歌を歌う。夢を歌おう。いまこそ声高らかに夢を歌おう」とエルフィール。「幸せな家族で世界をいっぱいにしたい」とジョルディー。「私も協力したい」とエルフィール。「夢があれば世界のどこにでもいける。夢があればなんでもできる」とフィル。「夢は不可能をなんでも可能にする奇跡の力」とハイベル。「夢があればどんな奇跡も自由自在。夢こそ未来を開く。夢の未来へ旅立とう」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード76。
「奇跡の力使えないだけん」と小桜。「夢はおおいほうがいい。農業とか月開拓とか家族団欒とか夢は多いほうが奇跡が起こせる」とエルフィール。「願いを自分で叶える力。奇跡。誰でも奇跡は使える」とジョルディー。「信じる者は救われる。信じる者は奇跡を起こせる。継続は力なり奇跡なり。信じ続けるときに奇跡の力を自在に使う。奇跡の力使うときに未来は開かれる」とエルフィール。「奇跡の感覚を試行錯誤の継続して奇跡の感覚を創意工夫の継続してると奇跡の感覚をつかめる」とフィル。「奇跡の力の前に無力を知るだろう。だが奇跡を使えることも知ってほしい。奇跡の感覚はうなぎのようにつかんでも逃げてしまう。たとえ話だがうなぎをつかまえる感覚だ。すぐに逃げるそれくらい不思議な感覚だ奇跡の感覚は」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード77。
男が倒れている。水をやり介抱してやる。気づく男。「なんでおれだけこんなに苦しむんだ。助けてくれよ。助けてくれよ。もういやだ。いやだよ」と男。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。男レイナグナの未来が見える。妻がいて子供がいる。「これはなんだ」とレイナグナ。「これが奇跡さ。奇跡の世界。未来なのさ。おまえの未来だ」とエルフィール。「生きていきます」とレイナグナは歩いていく。一行は見送った。
エピソード78。
「願いは叶うの」と小桜。「願いは涙によって叶うもの。涙の数だけ願いも叶う」とエルフィール。「お金があれば幸せになれるかな」と小桜。「幸せは金では買えない。幸せは家族や仲間と生み出し育てるもの。幸せは家族と創造して育てるもの。人は愛を感じたときに幸せとなる。人の情たる愛は人々の築いた家族にのみ育つんだ。家族となり愛を生み育てること。それが幸せなんだよ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。「幸せを歌おう。家族を歌おう。そこに未来がある」とエルフィール。「幸せっていいね」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード79。
「依頼だ」とジョルディー。「私はレノア。ジョンが好きなのですが一緒になるべきか悩んでいるんです」とレノア。「好きの前にはなにも必要ない。好きなら理屈も必要ない。好きならどんな考えも必要ないんだよ。好きなら一緒にいればいい。好きならどんな理由も必要ない。好きならどんな意味も必要ない。好きなら一緒にいればいい。ただそれだけでいいんだよ。一緒にいなさい」とエルフィール。「わかりました」とレノアは彼の元へ。「好きよ。愛してる」とレノア。「ぼくも愛してるよ」とジョンと抱きしめあうレノア。一行は旅立った。
エピソード80。
「テレビがぐだぐだでテレビ離れが進むのも警察がナンバーツーを捕まえられないのもゆうちょがたかさきはやとに入金できないのもアニメ雑誌や声優さんがぐだぐだなのも夢がないからだな」とエルフィール。「夢はどこにあるだけん」と小桜。「空を見上げればそこには永遠の夢が広がっている」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード81。
朝焼けの中にジャングルが広がる。ひざの水位ほどに小さな湖が広がる。「のけ。邪悪よ」と岩が話す。「こっちじゃ岩が話すのか」とエルフィール。「我は人々に力をあたえる存在。神なのだ。ウロボロスラーダだ」とウロボロスラーダ。「堕落の王から得る力などなにもないだろうに」とエルフィール。「私はなにも得ていないわよ」とミラル。「神をも恐れぬやからめ。滅びよ」と力の波動がエルフィールたちを襲う。「あやまるならいまのうちよ」とミラル。「そのようだな」とジョルディーは抜刀して岩を砕く。ミラルとアドルテアとフィルが魔法攻撃する。炸裂する魔法。精霊をまとったエルフィールの攻撃が岩を砕く。「ゆるさぬ。ゆるさぬぞ人間」とウロボロスラーダは光りを放つ。「力は対立にあらず。力は創造にある」とエルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。数千年におよぶ戦争があった。いくたびの殺し合い。岩には何千万という人の血が流れた。岩には疑問が生まれた。人にはなにかが足りないのだ。それを私はあたえることができると岩は思った。それは願いだった。「なにもかも許す世界なれば我々は生まれることはなかっただろうに。人よ罪深き雷鳴たちよ。我はここに眠る」と岩は砕けて砂となっていく。「人の罪が許されるならば。人は生まれ変われるならばおまえは二度と生まれないだろう。眠れ岩よ」とエルフィールたちは歩き出した。
エピソード82。
「あまりに好きすぎて逮捕も放送も入金も結婚もできなくなってる。それをしたら縁が切れるような気がする。恋愛感情だ」とエルフィール。「恋愛はあまりに好きすぎて正常な判断ができなくなる」とジョルディー。「対処のしかたはふつうの恋愛と同じだから」とフィル。「青春だなあ」とらいでん。「人ごとだと思って」とエルフィール。「なるようになるだけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード83。
「物語の量が増えないと結婚や放送や逮捕や入金しないわよ」と。「その量を増やすにはそれらとくに結婚が必要だよ」とエルフィール。「平行線だねえ」とジョルディー。「だめだこりゃ。二十年以上におよぶ戦いでありずっと頭痛だった。狂うのも理解できる。人は自分が科学に対して狂っている自覚がないと狂った行動をしていく。人は狂っている。だいじなのはその自覚があることだ。人は矛盾のかたまり。それを正そうとしても虐殺になるだけ。なにが正しいのか判断するのはむずかしい。正しい判断をするのは永遠のテーマのひとつ。アメとムチは恋愛の心をとりこにするテクニック。家族は一緒に暮らすこと。家族はアメとムチではない」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード84。
「女にもてるにはなにかいいこといえよジョルディー」とエルフィール。「生きていればいいこともあるさ」とジョルディー。「そうだな」と涙ぬぐうエルフィール。エルフィールはジョルディーにキスした。
エピソード85。
「成長しなければ堕落していき犯罪をするだろう。成長するならばなんでもできる無限の世界が広がる。成長するならば永遠の未来が築ける。成長するならば家族団欒が約束される。成長することは楽しい。成長こそが幸せ。成長こそが未来だ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。エルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード86。
「夢に向かって成長しているとなんでもできる。成長してると気持ちいい。成長すると目覚める。成長してるときには道はひとつだけ。成長していくと奇跡の力を使える。成長すると願いは叶う。成長していくとよりいい仕事ができる。成長していくとよりいい存在になれる。成長するとみんなが幸せになる」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード87。
「夢という空を見上げて成長すれば器が大きくなる。成長して器が大きくなればなんでもできる。なにごともスケールが大きく考えていけば成長する器が大きくなっていく。成長し続ければ人を癒せる。成長すれば宇宙を開拓できる。成長すればみんながひとつになれる。成長すれば輝ける。成長すれば輝きの向こう側へいける。成長すればなんとかなる。成長すれば世界は楽園足り得る。成長こそ希望の鍵」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード88。
「夢を見上げて空を心として器を大きくしていくこと。成長して心の器を大きくしていけばなんでもできる。器を大きくしていけばみんなを幸せにできる」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。エルフィールはじゃがバターを食べる。一行は焚き火にあたる。
エピソード89。
「器が大きくなるイメージをするんだ。地球よりも太陽系よりも宇宙よりも器や心が広がっていくイメージ。そういうので器を大きくしていくんだ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。「じゃがバターはふはふ」とエルフィールたちはジャガバターを食べる。一行は焚き火にあたる。
エピソード90。
「教会で歌う賛美歌。カラオケで歌う歌。世界の躍動を聞け。輝きの旋風。光りの旋風。家族旋風。みんなの旋風を聞け。やさしさの旋風を聞け。愛旋風。さあ支え愛の旋風よ。世界の旋風よ。時の旋風よ踊り舞う旋風よ。幸せの旋風よ。踊ろう」とエルフィール。「幸せはいまここから」とミラル。世界は踊り舞う。
エピソード91。
「永遠なんて退屈だけん。永遠なんてやる気でないだけん」と小桜。「永遠を創造すること。退屈な永遠を蘇らせること。やる気のでない永遠をやる気のでる永遠に蘇らせること。永遠に革命を起こすこと。永遠を生まれ変わらせること。永遠に巡り逢うこと。永遠を新生すること。いまひとつな永遠をすばらしくいい永遠に改善すること。それが永遠でもあること」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。じゃがバターを食べる一行。一行は焚き火にあたる。
エピソード92。
エルフィールは歩いている。「いつからそこにいたんだ」と声がする。「ずっと幸せにしたかったのに」と声がする。「なつかしい声だ」とエルフィール。いつの日かいつの時か。エルフィールは話す。「みんなでやさしさを育てていこう。家族の幸せを育てていこう。みんなの幸せを育てていこう。永遠に」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。旅をしていた。それは何億の夜だっただろうか。一年だっただろうか。星船「ほしふね」に乗ったエルフィールたちは宇宙を駆ける。「未来へいこう」とエルフィール。風が吹いた。「そうだな」とエルフィールは風に話す。「疾風迅雷「しっぷうじんらい 」だな」とエルフィール。「風の吹くままに歩いていこう。そこが未来なのさ。そこが始まりの混沌。カオスだ。さあ旅立とう永遠へ」とエルフィール。「旅は好きなの」とミラル。「大好きだ」とエルフィール。「旅の先の未来へ」とジョルディー。エルフィールの手から流れが生み出される。「流れよ永遠よ」とエルフィール。風が光る。光る輝きの中を進むエルフィールたち。「無限の幸せよ流れよ永遠に」とエルフィール。「待っていたよ」と声がする。光りが話す。「あんた誰だい」とエルフィール。「あなたが忘れた一番だいじなことさ」とだいじなこと。「ずっと思い出したかった。そのあたたかいやさしい風につつまれてぬくもりの日々よ」とエルフィール。「一番だいじなことだから流れる輝きがある」とだいじなこと。「ずっと帰りたかった」とエルフィール。「いつも心にはあるんだよ。一番だいじなことはね」とだいじなこと。「もう二度と忘れないよ。いつも気にとめているよ」とエルフィール。「それかいい」とだいじなこと。「さあ旅だ旅がしたい」とエルフィールたちは旅立つ。輝きの向こう側へ。
エピソード93。
「なにかを探求することが器を大きくする。まだ見ぬいいものを探求し続けることが自分をよりいい存在にしてくれる」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバターを食べる。一行は焚き火にあたる。
エピソード94。
「器を大きくするには器を大きくすること考え続けていること。つまり器を大きくすること研究していくことだな。あらゆる研究のなかでも重点的にやっていくこと」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバターを食べる。一行は焚き火にあたる。
エピソード95。
エルフィールは歩く。青空の下「した」平原が続く。草はペンキでぬったように青々としている。「戦いだけではない。命だけではない」と風はささやく。「まだ旅の途中だからさ」とエルフィールは歩いていく。「何年経ったのだろうか。うつりゆく季節を着て時は過ぎていく。愛した時代は過ぎてゆく。美くしい時は過ぎてゆく」と声がする。「何億年経ってもまた生まれ変わる命よ魂よ」とエルフィール。時代がうつりゆく。冬の時代。雪の時代。幾千の時代が過ぎてゆく。「ペンギンの時代と誰かが言った」と声がする。「時代はいつだって楽しい。いつもいつも自然とともに過ぎてゆく時の流れよ」とエルフィール。エルフィールは宇宙を歩いていく。「探していたものは見つかったかな」と声がする。「見つかったさ。いま一緒に旅をしている。みんな大好きさ」とエルフィール。「痛みの先に涙があった。苦しみの先の光りを見た」と声。「それは愛かも知れない」とエルフィール。「そしてまた旅立つ」と声。エルフィールは空を歩いていく。
エピソード96。
「器の大きさ。物語を意味とか教訓としてほんとうだと信じること。その他にも夢の大きさは器の大きさであること。夢はでかいほど器も大きくなる」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバターを食べる。一行は焚き火にあたる。
エピソード97。
「戦争世界に反発してきたがこれからは永遠に反発していくこと。永遠を否定するのではなく否定の否定すること。永遠を全肯定すること。永遠を押してその反発で力を出すんだ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバターを食べる。一行は焚き火にあたる。
エピソード98。
「たかさきはやとが物語の量を書かないから抗議してテレビや新聞はたかさきはやとを無視。エムエックステレビは抗議して番組見せない。警察はナンバーツーを逮捕しない。ゆうちょは入金しない。嫁はこないんだな」とジョルディー。「いままでの物語や世界平和にしたことはどうでもいいのか」とエルフィール。「人は自分の欲求に狂っているもの。矛盾のかたまり。それが人だ」とジョルディー。「一緒に支えあえたらいいのにな」とエルフィール。「愛か。そうだといいな」とジョルディー。「世界平和までは一丸となってやっていた。世界平和で燃え尽きたときに抗議されるようになって入金もテレビでの最新作放映も声優さんの応援もなくなってしまった。それらの助力がなくなるとさらに量作れなくなって」とたかさき。「悪循環だな」とエルフィール。「ばかばっかりだ」とジョルディー。「器の大きさが足りないならあとは時間だけが必要だ」とたかさき。「もうちょいかな」とエルフィール。「器の大きさが足りないのにもうしわけないけどもひとりの部屋にぽつんといるとついなにかいってしまう」とたかさき。「まあしかたないかな」とエルフィール。「器か。つまりスケールの大きなことを考えたりしていこうとするかな」とジョルディー。「悲しみと願いは違う。器の大きさとは願いの深さ。器の大きさとはありえないほどの巨大な願い。さらにもっともっと大きくなり続ける巨大な願い。魂の叫び。あふれる願い。あふれでる気持ちかな」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード99。
「器を大きくするには力がいる。いやなにかするには力がいる。永遠世界になって疲れやすいという話もよく聞く。永遠世界でのパワー源は永遠だな」とエルフィール。「それがいまひとつわからない」とミラル。「作用反作用で押すと反対に押される力がある。永遠を押すと反対に押される力がある。永遠の作用反作用だ。これができると自由自在に永遠の力が使えるようになる。ちょっとしたことでは疲れなくなる。まさに永遠の力が手に入るんだ」とエルフィール。「永遠に歌ってやるという永遠を押すとできるはずがないだろうと反対に押される力がある。それが永遠の力だ。永遠になにかやる。だができるはずはないと反対に押される力。できないというならだがなにくそやってやると永遠にできないに反発する永遠にできるという永遠の力となる。これが自由自在に使えれば無限の力が手に入るんだ」とジョルディー。「2016年新年明けましておめでとう」とエルフィール。「おめでとう」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード100。
「絶対の方向に引っ張られる。絶対それに反発するのは労働組合のような訴訟のような相対の方向性。みんなに聞いたりするのが全対「ぜんつい」の方向性。個対「こつい」は自分オリジナルの生み出した創造の方向性。個対できる人はなんでもできる。宇宙における方向性。宇宙で創造の方向性できる人はなんでもできる」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバター食べる。一行は焚き火にあたる。
エピソード101。
「問題には必ず原因があり原因がわかれば解決策がおまけでついてくる。まずは原因を探すことだ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード102。
「器の小さい奴は目の前のことだけいじくりまわす。ラジオで台本が手放せない。いいわけがうまい。器の大きい奴はよりいいものを探求していて愛をだいじにしていていい意味で投げっぱなし。でも結果を出す奴」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバター食べる。一行は焚き火にあたる。
エピソード103。
「戦争世界に反発して器を大きくした。いまは戦争世界はない。いまは永遠に反発すること。永遠はどこにでもある。それだけでは永遠に手応えはない。でもたとえば人に永遠を限定してみよう。この人は永遠にいるだろう。その人の話すことは永遠であり手応えだ。その人にふれて反発があればそれは永遠の手応えだ。まずは人に永遠を限定して反発すること。その人に手応えすること。それで器を大きくすること」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード104。
「戦争世界に怒り悲しみ感情を生み出していた。永遠には無機質な感じしかしない。そこに人の営みが永遠にあることを永遠に感情を呼び覚ますこと。感情は器を大きくする力。感情はやる気。感情は元気。感情は心の運動。 感情がないと心は衰え なにもできなくなっていく。 永遠に感情を呼び覚ますときに永遠は感情という無限の力と なり力を得る」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード105。
「永遠世界で器を大きくするには永遠を永遠に研究し続けなくてはいけない。これを永遠に巡り合わせたり永遠に生まれ変わらせるにはどうしたらいいかとかね。永遠によりいいものにしていくにはとか永遠にしていくにはどうすればいいとか研究していくわけだよね。安全を平和を幸せを永遠にするにはどうしたらいいかとか」とエルフィール。「研究するだけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード106。
暗闇の中を歩くエルフィール。「生きることは暗闇の中を歩くこと。なにも見えない。なにも聞こえない」と声がする。「どこだ。どこへいけばいい」とエルフィール。「生きることは迷うこと。迷いの森。暗闇の森」と声。「おれだったら一緒に迷ってやるよ」とジョルディー。「暗中模索の暗闇の中未来を感じた瞬間に希望とかおいしいとかよりいいものだと感じる。よりいいものの探求は未来を探し未来を感じさせること。表現とは未来を感じさせること」と声。手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りがあふれた。「私は未来。さあ輝きの向こう側へ」と未来。光りの中へ入っていくエルフィールたち。光りの向こうには幾千の物語や歌があった。「そして未来の先へ」と未来。光りが瞬「またた」いていた。
エピソード107。
「永遠世界でのアプローチの仕方はとことんやること。それくらいでちょうどいいこと。永遠世界ではとことん説明しないとわからない。とことん勉強してとことん研究してちょうどいい。とことん歩く。そこまで筋力はいらないけどもいわんとしてる心構えであること。とことんは。永遠世界はできるまでなにごともとことんやること。とことんやらないと自分の器も大きくならない」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード108。
道の崖で男が落ちそうになっている。エルフィールたちは手を取るが男には馬車もかかっていて持ち上がりそうにない。「私はもう老人だ。もう十分生きた。もう見捨ててくれ。私のことはもう見捨ててくれ。私のことはもう見捨ててくれ。私のことはもう見捨ててくれ」と老人。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。老人は翼が生まれその翼で空を飛ぶ。「これはいい。この翼でふるさとまで帰るとするよ。それでは」と老人は飛んでいく。「それもまたいいさ」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード109。
道を歩いていくと崖を曲がると男が男の腕を叩き斬っている。さらに斬ろうとする男。「やめろ」と走るエルフィールたち。「邪魔「じゃま」するな」と男は斬りかかってくる。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「ジョン幸せになりなさい」と母は赤ん坊をなでる。少年は大きく成長した。戦争というか殺し合いは得意であった。幾多の戦場で人を殺してきた。「あがいてあがいてあがきぬいて。それでもできなかった。家族団欒はできなかった。幸せになりたかった。なにもかもから忘れられたくなかった」とジョン。「幸せになりなよ」とエルフィール。「私の中から闇が光りになっていく。心が生まれ変わる。私はふるさとに帰り家族を築くよ」とジョンは歩いていく。エルフィールたちは見送った。
エピソード110。
光りがある。「あんた誰だい」とエルフィール。 「私は未来。未来を創造する力とは本人がとことん苦しむこと。それが一生懸命。苦しみを休み休みやるのもだいじ。つぶれないようにやるのもだいじ。苦しまない休憩の時もだいじ。未来を創造する力とは一生懸命苦しむこと。苦しみから未来の創造は生まれる。だが休みは必要だぞ」と未来。「わかったさ」とエルフィールたちは歩いていく。
エビソード111。
「私は幸せ。幸せはどこにでもあるよ」と幸せ。「そうか」とエルフィール。「幸せは旅に出た。幸せは旅の中でさらなるあたたかさを得て幸せは家族に帰って来た。幸せはいまあなたの心の中であたたかく燃えている。幸せはいつも心の中にあるよ」と幸せ。「そりゃありがとさん」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード112。
「なにごともとことん一生懸命やること。それで必ず結果は出る。 あとはやる気の度合いで速度はいくらでも速くなる。やる気の強さで速度はいくらでも速くなる。ただまあ休息のたぐいは必要だ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。じゃがバターを食べる一行。一行は焚き火にあたる。
エピソード113。
「やる気とは闇を光りに変えること。痛みを癒しに変えること。過去を未来へと変えること。罪を愛に変えること。不幸を幸せに変えること。やる気とは永遠を感じて表現して奇跡を起こすこと。やる気とは奇跡とは孤独を斬り咲き家族に還「かえ」ること。やる気とは奇跡とは止まるものを流れること。幾億の巡り逢いによる奇跡」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード114。
子供のエルフィールがいる。「なぜ泣いてるの」とミラル。「もの心ついて見た世界は恐ろしい戦争をしていた。その悲しさ苦しさに毎日泣いていた。そのときにフィルは痛いの痛いの飛んでいけと何度も何度もいってくれた。痛いの痛いの飛んでいけって何度もね。そしてだいじょうぶだよとフィルがね。私はいつも泣き疲れて眠ってしまった。ありがとうフィル」とエルフィール。「どういたしまして」とフィル。「いいものね家族は」とミラルは涙をぬぐう。一行は泣いている子供のエルフィールをあやしているフィルを見ていた。「痛いの痛いの飛んでいけ」とフィル。しばらくみんな立ち止まっていた。
エピソード115。
男が人々を斬り裂いている。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「未来を斬り開くのだ」と男。「未来は斬り開くものではない。未来はやわらかな光りに包まれること。未来とはやわらかくなっていく心。永遠に未来から響く音楽。永遠に未来から語られる物語。未来が生まれ変わる物語。未来が巡り逢う物語。未来とは永遠の気持ちよさ。未来とは前に進むための光りの翼。さあ光りを」とエルフィール。男は光りに包まれて生まれ変わる。男は未来へ歩いていく。一行は旅立つ。
エピソード116。
「やる気がでない」と小桜。「やる気とは怒りだ。腐った世界への怒り。腐った自分への怒り。それがやる気となる」とエルフィール。「わかっだだけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エビソード117。
男と女がもめている。「どうしたどうした」とエルフィール。「私はエーダ。彼女が怒っているんだ」とエーダ。「私はニャーダ。だって彼がね。あなたの話は現実ばかりなのよ。話が現実ばかりなのはいやよ。現実ばかりなんていやよ」とニャーダ。「楽しい話もするよ約束するよ。でも約束ばかりふえてもさ」とエーダ。「家族の約束はひとつだけでいい。幸せにする。それだけの約束でいいのさ」とエルフィール。「わかったよ。幸せの翼で抱きしめるよ」とふたりは歩いていく。一行は旅立つ。
エピソード118。
「どこまでもいくんだ」とエルフィール。「銀河を超えていけ。宇宙を越えていけ。この空を飛んでいけ。永遠へ永遠に飛んでいけ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は星を見ながら焚き火にあたる。
エピソード119。
男の老人が歩いて来る。「わしはガランドウ。神様を見てみたい。頼みたい。なにかもう神様をときどき疑いすらする。神様を見たい」とガランドウ。エルフィールとジョルディーの手が光る。光りで斬る。女神があらわれる。「命の芽吹きは神のみわざ。植物の命の芽吹きが動物の命の芽吹きが人の命の芽吹きが神のみわざ。神は心で感じるもの。神のみわざ命の芽吹き。命の芽吹きをその目で見なさい。神を感じ命の芽吹きを見なさい。幾千の幾億の命の芽吹きを感じなさい。そして命の花のなかで生きていきなさい」と女神は老人を包み抱きしめ消える。「ありがとう」と老人は涙した。一行は旅立つ。
エピソード120。
光りが踊る。「この光りは愛と勇気。それが力が放つ光りが奇跡となる」と声がする。「愛と勇気が燃え立つ。これは奇跡なのか」とエルフィール。光りの濁流の中力が踊る。「放つ願いは力は愛は勇気は奇跡として輝くだろう。輝きの向こう側におまえの世界がある。さあ輝きの向こう側へ」と声。「できるのか」とエルフィール。「それはすべて自分次第」と声。「自分にしかできない。私にまかせておけ」とエルフィール。「根拠のない自信こそが奇跡の証拠。奇跡に必要なのは根拠のない自信。科学が奇跡を解明できないのは奇跡は人の思いだから。できる存在はありえないほどにそこまで徹底的にやり尽くすのは自分次第。奇跡とはただそれだけ。あらゆる研究やれべるあげ。徹底的にやり尽くすその継続は力なり奇跡なり」と声。光りの向こうに世界がある。エルフィールは光りの世界へ歩き出した。2016、3、13。
七十一話。エピソード121。
エルフィールとジョルディーの手が光る。光りで斬る。暗闇の中光りの濁流の中を歩くエルフィール。「できるのにやらないのは傲慢だからか」とエルフィール。「満足したらなにもできなくなる。こんなもんと思ったとき夢は力を失くす。世界平和に満足したらあらゆる研究に満足したらその瞬間に未来は閉ざされてしまう。未来に食らいつく力こそ未来の力。未来はいま現在を破壊することであらわれる。人に愛を問うこと未来を問うこと。永遠を問い続けることで自分の器は大きくなる。永遠に実体があるとすればそれは人。人は細胞を若返らせてその体は永遠。永遠に実体があるということ。永遠とは時の流れ。時の流れに響く思い。それが人々を幸せにすること。時の流れを響かせること。永遠に人を幸せにすること。その思いを永遠にぶつけること。それが永遠というもの。人を幸せにする手応え。それが永遠。人に光りを示すにはみずからを光りとなすように」と声。光りの濁流がエルフィールのまわりを巡り逢う。「人は光りから生まれるように」とエルフィール。「人の時は未来という光りによって生まれて巡り逢う永遠に。その光りを放つ人もいる。巡り逢う光りは希望として未来として人々を輝かせる。幾億の言葉が表現が光りとして巡り逢う永遠に」と声。「未来はどこにある。未来はどこまである」とエルフィール。「未来はここにある。未来は永遠にある。未来は心にある。心を見よ。心には永遠があり未来があり光りがある。その光りを輝かせる人を表現者と呼んだりもする。未来を見せよ。未来を語れ。未来を輝かせよう。永遠に巡り逢う光りあう濁流の中で」と声。「未来へ」とエルフィールは光りの濁流の巡り逢いの中を歩いていく。永遠に。
エピソード122。
光りの濁流の中をエルフィールが歩いていく。「永遠とは光りのように」とエルフィール。「永遠とは湯に入れば永遠の湯。空気を吸えば永遠の空の空気。言葉を話せば永遠の言葉。歌えば永遠の歌。眠れば永遠の夢を見る。永遠の食材を食べている。永遠とはこの宇宙。永遠とはこの世界。永遠とは未来。永遠とはいま見ている未来。永遠とは命の芽吹き。永遠とは希望。永遠とは人生という旅。永遠はこれからの夢。永遠を生きるための自分。それが永遠。永遠とは痛み。不幸や家族に帰れない痛み。幸せになれない痛み。それが永遠」と声。光りの濁流が巡り逢う。「永遠はいま。永遠はこれからのこと」とエルフィール。「永遠は幾億の人々。永遠は愛。永遠は神の自然の抱擁。永遠ゆえに人は生き永遠ゆえに人は愛すること。永遠とは心。永遠とは心から生みだされるすべて。永遠とは創造のすべて。永遠とは人が忘れてしまった花。永遠こそが人の道」と声。「だから人は生きていくのか」とエルフィール。エルフィールは光りの濁流の中を歩き巡り逢う。
エピソード123。
「世界はなぜ変わらないの」と小桜。「世界を改善する力その速度は驚くほどに遅い。それゆえに仲間が役立たずに見えたりする。世界は必ず改善される。歴史を勉強すればそれがわかるはずだ。その改善のゆっくりさに腰をすえてゆっくりとした気持ちで生きていくしかない」とエルフィール。「未来はどっち」と小桜。「未来とは感動を感じるほう。未来とは楽しいほうだ。未来とは幸せを感じるほう。もちろん人助けには苦しい側面もある。でも人助けした心は感動したり幸せを感じたりする。死ぬことがメッセージならば生きることもメッセージであること。生きることはこの世界の肯定、愛の肯定、家族の肯定がある」とエルフィール。「未来が花開くから」とミラル。「またそして未来へ旅立つ旅よ」とジョルディー。「それもいい。未来でいい。未来へ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード124
「永遠てなにに対立するの」と小桜。「人の死に対立すること。死ぬ人を減らすことに対立すること。人が家族に帰るまで孤独と対立すること。人の苦しさや不幸に対立して人を幸せにすること。人の過去や背負ったものと対立して人の背負ったものを楽にすること」とエルフィール。「未来は」と小桜。「未来は光り輝くほうにある。未来は人を輝かせる。永遠のほうに未来はある。永遠こそ未来。すべては永遠へ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード125
「平和ショック」と小桜。「そうだね。結局世界平和になって満足してしまってそれ以上成長することを拒んでいるというかね。やる気のない無気力さなんだ。あふれるやる気によって人は成長してできるようになり結果を残す。途中で投げ出すから結果に辿り着けないんだ。ようはやる気の問題なんだよ。人はやる気さえあればなんでもできる。やる気のない奴はなにごとも口先だけに終わる。問題はいかにやる気をたやさずに自分のなかで燃やし続けられるかだ。無限に力を放ち続ける心が結果を出す」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード126
「偉大すぎる人にはどうしたらいい」と小桜。「相手のことをじゃがいもと思うこと。まずは友達になろうとすることかな。偉大という人もなにもかも抱きしめること。幸せにしょうとし続けること。偉大な感覚では誰も救えない。偉大さは捨てよう。偉大な人ではなくサザエさんのような家族としていくこと。家族として念じていくこと」とエルフィール。「逃げたい」と小桜。「逃げていいのは死んだ時だけ。時が過ぎればすべては風景に変わる。物語宇宙やネット宇宙や宇宙のまだ見ぬ景色を探して旅に出よう。そしてその景色をみんなに見せるまでの旅。幸せな風景を探して生きていこう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード127
「できない」と小桜。「無限にあらゆる研究やれべるをあげるときにあと必要なのはふんぎりつけること。決断だな。死んだつもりになって死ぬつもりでやること。それが決断だな。人には可能性がある。無限の可能性がある。その可能性を探す旅にでよう。無限の未来へむけて旅にでよう。そしてまだ見ぬ未来の景色を心に刻もう。無限の未来へあの光りのなかへ輝きの向こう側へ旅立とう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は旅立つ。
エピソード128
ほのかに雪が降っている朝。一行はそこそこ着て歩いている。「なぜできないだけん」と小桜。「世界平和になったことで満足した奴はもう成長しない。まだこの永遠世界の井戸の中のかえるだ我々は。できない奴はミジンコれべるでしかない。永遠の井戸の底から出て永遠世界を見ること。それには千年二千年は軽くかかる。自分を偉い先生と思うか井戸の中のかえると思うかでまだ成長する人は成長する」とエルフィール。ミラルがこけたときに石の雪がどけてそこには文字がある。「これは聖者ヨムンタールの墓」とミラル。魔物たちがエルフィールたちのあとからやってくる。「我々の足跡を辿られたな。聖者の墓を破壊するつもりだ。戦うぞ」とエルフィールたちは戦う。ハイベルとエルフィールは三十体のゴーレムを倒したとこで使っていた剣が砕け散る。アルスがかわりの剣を渡す。ジョルディーのグリズリーフィッシャーがうなり魔物を討つ。アドルテアやらいでんやフィルや小桜やミラルの魔法がうなる。何時間戦っただろうか。もう剣も砕けてない。みんなぼろぼろだ。魔物はぞくぞくとやって来る。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。魔物はすべて岩となる。「魔物よけの聖なる岩よ。これで魔物はもうこないわ」とミラル。「やれやれだよ」とエルフィールたちは倒れて眠った。翌朝シカに食らいつき一行は旅立った。
エピソード129
「私はゆい。助けてください」と女性のゆい。「どうした」とエルフィール。「彼は業績が偉大すぎて近づけないんです」とゆい。「彼に会おう」と彼の前にいく。後光のように偉大さが光り輝いている。「偉大さよりも大きな愛で偉大さを抱きしめるんだ。現実よりも遥かな思いで越えていくこと。遥か彼方の先までの広大な思い。その思いの羽ばたきで現実さえも越えてさらなる空へと飛んでいける」とエルフィール。ゆいも光る。ゆいの光りが彼の光りを包み抱きしめる。ふたりは抱きしめあいそして巡り逢った。「幸せにな」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード130
「私はレン。助けてください。放送局がだめなんです」とレン。放送局にいくとみんな暗い。「たかさきを伝えたりたかさき作品の最新作流さないと衰退するだけだぞ。石頭をとかすための星の歌を流してくれ。時を止めることはできない。永遠をやらないでどこにいくというのか。人の持つ可能性にかけよう。それこそ永遠だ。ふたを開けてみなければわからない。不安を越えて一歩を踏み出し未来を信じよう」とエルフィール。「うるさい。私が正しい。衰退結構じゃないか。石頭でなにがわるい。たかさき作品など見てもなにも感じない。こんなくだらないもの流させるものか。偉大さを私がおさえているのだ。おまえのテレビもうつらなくしてやる。私がなにもかも検閲してやる。あらゆる研究など馬鹿馬鹿しい。愛なんてくだらないもの読ませるものかよ。アンチと大差ない石頭でなにが悪い。偉大なおれの説得を聞いてくれ。たかさき作品など意味がないくそだ。たかさき作品をテレビから追放しょう。ミルミもユーチューブもいつかつぶしてやる」と社長。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。たかさき作品流した。放送局は生まれ変わった。そしてファンと巡り逢った。「イシアタマーたちとの戦いはいま始まった。ナンバーツーを逮捕しないたかさきはやとの資金凍結してる最新作流さないイシアタマーとの戦いに終わりはくるのだろうか。ちゃんちゃん。現場でなんとかしょうとしてる人もいたばさみにならないような配慮も必要であること。現場でなんとか資金の解放や逮捕や放送しょうとしてる人には力となりたい。そういったことには協力をおしまないよ。やりたい現場の人たちは偉大すぎてできないという。この圧力はひきこもりの人なども見られるもので勘違いでありみんないい人みんな偉大なのである。やりたい現場の人とも支え愛協力し愛いつかはできるだろうさ。意見が割れたならたかさきはやとの意見を採用してほしい。そういう現場たれ。永遠は幸せの世界。永遠を信じる者は救われる。永遠を疑う者は馬鹿を見る。永遠を信じる者はたかさき作品の最新作流す。立ち止まれば転ぶこともない失敗もないが進歩もない。前に進もう。それが苦しみの道だちしても。放送局やら出版やらも目標が世界平和から永遠になっていくことにとまどっている。そのためにたかさき作品の最新作を流せずにみんなを苦しめている。最新作が見れないのはみんな苦しいからね。たかさき作品の最新作を流すほうが永遠だよ。みんなの努力でひとつひとつ変えていこう。さあ永遠へ旅立とう」とエルフィールたちは歩き出す。
エピソード131
ある村に来る一行。そこは老人ばかりだ。「もうこの村は百歳ばかりだ。もう滅びるのを待つばかりよ」と老婆。すきとおった少年がひとり走っている。「誰だいきみは。なにか持っているね」とエルフィール。少年は答えない。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りの世界が巡り逢う。いろんな可能性の未来の物語たちが踊る。老人たちはみんな砕けていく。老人たちはみな六十代まで若返っていた。「若返った。もう一度人生やり直します」と老人たち。「達者「たっしゃ」でな」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード132
夜月明かりに焚き火を眺めているエルフィール。ジョルディーがとなりに座る。「姫。姫。どうしましたかな」とジョルディー。「未来の光りを探して旅をしてきた」とエルフィール。「だが未来の光りはつかんだと思ったらまたどこかにいってしまう。未来の光りはどこにあるかな」とエルフィールは焚き火を眺めている。「明けない夜はないさ。すべては光りの中へ」とジョルディー。「未来の私は幸せだろうか」とエルフィール。「きっと幸せさ。そうに違いない。月と太陽の光りに巡り逢うように照らされて生きる。それだけさ」とジョルディー。月の光りはふたりを照らす。夜はまだ始まったばかりだった。
エピソード133
昼にエルフィールがだらだらしてる。「ちょっとはしっかりしなさいよ。それが一人前の大人だと思ってるの」とミラル。「へいへいわーかりました」とわかってないエルフィール。「ふざけんな」と怒鳴りつけて歩き出すミラル。座ったミラルのそばに座るフィル。「いぬタイプは走り続けていなければ希望が見えない。エルフィールみたいなねこタイプはグータラしてないと希望が見えないのよ」とフィル。「私はいぬタイプです。魔法の探求をし続けなければ私は生きられない。仲良くなれそうもありません」とミラルの手が光っている。「フィル」とミラル。「その手はなにを語るかしら」とフィル。ミラルはエルフィールの手と光る手をあわせる。多くの人を助けるエルフィールの無数の勇姿が何度も幾重にも見える。そしてそばには魔法援護するミラルがいた。「少し理解したわ。支えてみせましょうその姿を」とミラル。「ありがとさん」とエルフィール。ミラルとエルフィールはそしてずっと話しあっていた。
エピソード134
夜に焚き火にあたる一行。「偉大さはどうすれば緩和するけん」と小桜。「ひきこもりもそうだけどすごい重圧だよね。でもただの勘違いなんだよね。みんな悪い人に思えたのが実はみんないい人であること。ひとりが偉大に思えたがみんな偉大であること。勘違いなんだ。実感をしたときにその重圧はなくなる。憎しみは確かにあるが相手を許してしまえばなくなる。なにもないわけだ。愛してると結婚しても冷めれば愛はなくなり離婚する。あると思えばある。ないと思えばない。みんないい人であること。みんな偉大であること。それを受け入れること。自分の両親は物語作ってなくても偉大だろう。自分たちの両親は世界平和でそんな大きな役割でもなくても偉大だよね。すべての人たちが偉大である実感。それを永遠に感じていこう。直に見える近くにいると慣れていく。いつまでもカメラ越しに見ていてもいつまでも慣れない。プレッシャー受けつつ慣れようとすること。その地道さ。これから先は習うより慣れろだ。慣れろ慣れろ。ウルドタイプは猪突猛進。心は硬く堅物。量だがそれほど質のベルダンディーと差はない。相手をするうそのない質のほうがみんな幸せだ。柔軟性がある。やわらかい。質のほうがいいね」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。2016、4、15。
エピソード135
昼の小雨の中行商の一団の市場にてミラルは本を開いている。「魔道書だわ」とミラル。「珍しいのか」とエルフィール。「魔道書は一度魔法を使うと白紙の本になってしまうのよ。それも見たこともない魔法よこれいくらかしら」と買うミラル。一行は荒野を歩いていく。ミラルの魔道書二十冊が空に飛んでいく。「なんだこりゃ」とエルフィール。無数の魔道書が空に舞う。「まるで世界中の魔道書が集まってくる。中心で光っているのはさっき買った魔道書よ」とミラル。「なんなんだいったい」とエルフィール。「魔法とはなんだ。魔法とは現実の残照」と魔道書。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「ゼロからいちへ。それが魔法」と声と光りが踊る。「命の息吹が魔法だから。魔法が濁ったときにこの光りは必要」と声と光り。魔道書はまた空へ飛んでいく。「元に戻った」とミラル。「魔法がまたふつうに巡り逢う。いつもどおりです」とフィル。「さあ旅にでよう」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード136
ぼろぼろの服を着た男が市場で暴れている。エルフィールがぶん殴る。「おれはもうだめだ。だめなんだ」と男。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。男は未来で結婚して子供も孫もいた。「だめなんだ。おれはなにもできない。なにもできないんだ。できない。思い通りにならない。なにも思い通りにならない。なにも思い通りにならない人生なんだ」と男は泣きじゃくる。「努力は必ず報われる。未来は自分次第。世界を信じること。世界は必ず良くなってること。自分は世界に必要とされて生まれたこと。おまえは幸せになるために生まれたんだ。幸せになれ。幸せ信じて生きろ。信じ続ければ必ず幸せになれる」とエルフィール。男は泣き崩れた。一行は旅立つ。
エピソード137
夜に焚き火にあたる一行。「夜は始まったばかりよ」とミラル。「そういうときは宇宙旅行だ」とエルフィール。「まだできないでしょ」とミラル。「物語宇宙旅行さ。永遠は時間だけはたくさんある。物語宇宙は永遠の希望さ。無限の物語を希望を見ながら無限の希望の旅へさあでかけよう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード138
赤い朝に鳥が飛んでいる。鳥はエルフィールの前に来てとまる。それは人の姿に手は大きな翼だ。「私たち鳥人「とりびと」は旅をする種族。群れからはぐれてしまいました」と女性の鳥人。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。無数の群れが空をうめる。「旅立つのか」とエルフィール。「私たちは宇宙の星々を永遠に旅する鳥。永遠が私たちの空なのです。あの永遠へ向かって永遠の旅をすること。無限の旅が私たちの人生。永遠の翼を羽ばたかせいま永遠へ。幾千の翼の羽ばたきに生きる業よ。いま永遠の旅立ちの時。さあ永遠の翼で永遠を羽ばたいてゆく」と鳥人は旅立つ。「元気でな」とエルフィールたちも旅立つ。
エピソード139
青空を見上げながらに昼。「あの空が未来さ」とエルフィール。「まあいいねそれ」とミラル。光りの鳥が空を飛んでいく。「あの鳥の先に未来があるのさ」とエルフィール。「なかなかいいねえ」とミラル。夕暮れ時。空に一番星が輝く。「あの星が未来さ」とエルフィール。「いいねえ」とミラル。星はどんどん大きくなり巨大な隕石がエルフィールたちのほうに降ってくる。「こんな未来はいやーっ」とミラルたちは魔法で威力を落とす。ハイベルが大剣で隕石を受け止める。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。隕石は水となる。「なんだこの未来は」とびしょぬれのミラルは怒鳴る。「もうしわけない」とエルフィールはげっぷした。一行は旅立つ。
エピソード140
真っ暗闇の洞窟の中で道がわからない一行。「こっちこそ永遠だ」とエルフィール。「信じられないね」とミラル。「信じる者は救われるだよ」とジョルディー。「永遠の見える人はまだそんなにおおくはない。まかせましょう」とフィル。「みんながそういうならしかたない」とミラルも一行はエルフィールの道を歩く。道は砕けて溶岩へ真下逆様「まっかさかさま」である。「信じた私が馬鹿だった」とミラル。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。溶岩はゴムになった。「まだエルフィールを信じるの。永遠の方向なんてただの勘じゃない」とミラル。「それができる人もいる」とハイベル。「まだまだ道はある。その道に光りを感じる人もいる」とらいでん。「信じて死ぬならそれもいい」とダミエール。歩く一行。外に出られた。「まあそれもいいか」とミラルはエルフィールと抱きしめあう。一行は旅立つ。
エピソード141
「依頼人のガンドさんだ」とジョルディー。「私は光りの鳥を研究しているのです。研究の手伝いを頼みたい」と中年の男のガンド。一行は光りの鳥の生息地へと行く。光りの鳥がいる。ガンドは魔法の網で光りの鳥を捕まえる。光りの鳥に触れるとガンドも光りの鳥に変身する。そうかあの光りの鳥を研究するとは光りの鳥になることだったのかとガンドの声がする。光りの鳥がたくさん無数に飛び立つ。ガンドの声が響く。光りの鳥の行く先は永遠だ。さあ私も行かなくてはならない。とガンドは声を残して旅立つ。無数の光りの鳥の移動は空が動いているようですらあった。「さあ私たちも鳥の先の永遠に向かって旅立とう」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード142
海の上を船で行く一行。嵐に会いマストは破壊された。ある晴れた日のこと。「いやあいい日だなあ」とエルフィール。「なわけねーだろ。私たちは漂流してるのよ」とミラル。「人生波まかせ風まかせさ」とエルフィール。「どの口が言う」とミラルはエルフィールの口をぐいぐいする。「魔法でなんとかしてよ」とエルフィールは両手をあわせる。「たいへんなのよ魔法は。確かにこのへんはマナがたくさんあってマナを使う魔法には向いてるけど」とミラル。「やりましょう」とフィル。一行の魔法使いは一番星から方向をとり魔法航海する。夜には陸が見えて来た。「やっぱり魔法使いはいいねえ」とエルフィール。「あんたに攻撃魔法ぶつけてやる。もうだめだ」とミラルは眠る。次の日。「船賃儲かったからいいじゃないか」とエルフィール。「うるさい。なんで私ばっかり攻撃魔法くらえーっ」とミラルは攻撃魔法する。そんなある日のこと。
エピソード143
「魔法教えてだけん」と小桜。「まずはいま見てる風景を心に描いてそれを変える想像をします。そのイメージを感じながら心の外へイメージを押し出します」とミラルの手から炎球が出る。小桜は一日やってなんとか出た。「むずかしいだけん」と小桜。「簡単なものはありませんよ」とミラル。「わかっただけん」と小桜はブイサインした。
エピソード144
命が生まれなくなってしまった。「どうなるの」とミラル。「なんとかなるさ」とエルフィール。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「魂は巡り逢い。命は巡り逢いまどい出会うから」と声が響く。「光りが巡り逢う。光りは希望とまじわり命を生み出す。幾億の命が生まれ巡り逢う。光りを灯そう。光りという希望を灯そう。命を灯そう。そして巡り逢おう。すべてを愛しすべてを癒そう。すべてを慈しみ。すべてを希望に灯そう。夢をこの世界に。命をこの世界に。すべて希望として灯そう」と声が響く。命がまた生まれるようになった。「よかったな」とエルフィール。「いいわね」とミラル。一行は旅立つ。
エピソード145
「レッドドラゴンたちどこいってた。墓での戦いたいへんだったぞ」とエルフィール。「存在のでかいドラゴン百匹の集まりに行っていたんだ。すまない」とレッドドラゴン。「レッド好きなんだ」と男。「誰だい」とエルフィール。「私はブライアン。レッドに求婚してるんだ」とブライアン。「もてるねえ」とエルフィール。「からかうのはよせ。この男にとっては人生をかけたことなのだ」とレッドドラゴン。「ぼくのことが嫌いなのか」とブライアン。「どちらかと言ったら好きだ。結婚してもいい」とレッドドラゴン。「ならなぜ結婚しない」とブライアン。「お互いのなかでひとつでもうそをついていたら絶対に一緒には住めない。結婚するためにはすべてのうそをなくさなくてはならないんだ」とレッドドラゴン。「どんな真実を聞いてもぼくの愛は変わらない。話してくれレッド」とブライアン。レッドドラゴンは考えていた。そして元の姿になる。「ひっひっひっひとごろしいいいい」とブライアンは逃げて行く。人の姿になるレッドドラゴン。「ときに愛は真実に負けるものだ」とレッドドラゴン。「おれたちの家族愛にはなにもうそはないぞ」とエルフィール。「そうだな。ありがとう」とレッドドラゴンはエルフィールと抱きしめあう。レッドドラゴンの眼には涙が光っていた。
エピソード146
妖精がいる。エルフィールは追いかける。森に迷いこむ。見失った。「幻かな。おーい」とエルフィール。「いるわよ」と声がする。「どこにもいないよ」とエルフィール。「私たちにとっては人のほうがファンタジーな存在よ」と妖精。「不思議を探すことが永遠だからな」と不思議な声が響く。「そうだな」とエルフィールはうなずいた。
エピソード147
酒をあおっている男がいる。「おれはジャン。とても偉い先生なんだ。どれくらい偉いかというと仏陀やキリストくらい偉い先生なんだ」とジャン。「でもみんなおれを嫌って誰も近寄らない」とジャン。「自分を一介の書生と思い常に謙虚たれ」とエルフィール。「そうする」とジャン。一行は旅立つ。
エピソード148
黒人の男がいる。「私はパイロン。私も世界平和みたいななにかでかいことがしたい。でも最近のメディアはパワー不足だしなにもかもうまくいかない」とパイロン。「もう世界平和みたいな政治的なお祭りはない。でもこれから軌道エレベーター建設とか宇宙に出ていくお祭りはたくさんある。それに自分の読者とか仲間以上の力は自分にはないものだ。無理するな。無理して自分まで壊してはいけない。まずは永遠世界の土台をしっかりとどっしりと地道に作り続けること。そこから宇宙を見よう。宇宙は永遠だ。世界を守り。宇宙を建設しょう。それが永遠だ」とエルフィール。「わかりました」とパイロン。一行は旅立つ。
エピソード149
ぼろぼろの男が歩いてくる。「もうだめだ。私はこの世界に生まれたのはなにかのまちがいだった。もう私を許してくれ。もういいだろう」と男。「許さない」とエルフィール。「なんてこと言うのエルフィール。やめなさいこの人は立ってるのもやっとよ」とミラル。「幸せになるまで許さない。世界のどこまでも追いかけて幸せにしてやるぞ」とエルフィール。男は泣き崩れた。
エピソード150
「これからなにをすればいいだけん」と小桜。「自分がしてることがみんながしてることが永遠になるようにすること。それが永遠だ。永遠を永遠にすること。それが未来だ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。エルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード151
焚き火を囲む一行。「永遠とは遥か彼方を見ること」とエルフィール。「そんなことして気づいたら家が火事なんじゃないの」とミラル。「そうだな。まわりも見つつ遥か彼方を見続けていくことが永遠なんだ」とエルフィール。「それもいいわね」とミラル。「さあ遥か彼方へ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード152
「おまえはまちがっている」と男の声がする。「どこにいる魔法か。名乗れよ」とエルフィール。「おまえのほうが強いから名乗らないよ」と男。「人は失敗をすることもある。おまえに責任をとらせるときには名前がないと困るだろ」とエルフィール。「そんなことをすれば会社に居場所はなくなる。リスクはとりたくないが正義はしたい」と男。「おまえがもし悪だったらどうする。それを確認するためにも名乗れよ」とエルフィール。「ふん。いつかぎゃふんといわせてやるぞ。覚えていろ」と男はいなくなる。「どこかの姿を見せない正義の味方らしい」とエルフィール。「なんだかね」とミラル。一行は旅立つ。
エピソード153
ある男がいる。「私はあらゆる研究を手に入れた。神になったのだ」と光っている。だが燃えてしまう男。「なぜだあああ」と男は炭になる。「ごうまんの炎に焼かれた」とハイベル。「でもそんな人が好きなんだ」とエルフィール。「悪趣味じゃない」とミラル。「それもいいさ」とジョルディー。一行は旅立つ。
エピソード154
「私はグレンダグル。これはなんでも斬る剣だ」とグレンダグル。「でもこれは斬れないよ」とエルフィールとジョルディーのふたりのにぎりあう手は光っている。叩っ斬るグレンダグル。「斬れない。なんだこれは」とグレンダグル。「愛だ」とエルフィール。「世界はまだまだ広い。私の知らないことがあるな。旅に出てそれを知ろう」とグレングダクルは旅立つ。「さあ私たちも旅立とう」と一行は旅立つ。
エビソード155
一行は焚き火にあたる。「世界を」と小桜。「世界は美くしい。世界はいとしい。世界はあたたかい。世界はひとつの歌。世界はみんなとわかちあうもの。世界は何度も生まれ変わり巡り逢う。さあ世界を旅しょう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード156
「ひとりでどうしたの」とミラル。「ん。いやあの。そうだ。まだホームページから話をダウンロードしてなかった。どれどれ。作者急病のためにお休みたって。それじゃな」とエルフィール。「んなあほな」とミラル。ちゃんちゃん。
エピソード157
「私は母親のサイラ。息子がおかしいんです」とサイラ。様子を聞く。「そうだな」とエルフィール。「あらゆる研究をしてると許容範囲が広いというか。でもふつうなんだよ。やせがまんがうまいだけなんだよな。がまんしちゃうんだな。でも帰る居場所は家族なんだ。誰だって家族にしか帰ることはできない。羽目を外せる家族を探してる。みんな家族を求めてるんだ。大目に見てくれ。家族を築き家族に帰ろう」とエルフィール。「あんたもたいへんね。やせがまんは体に悪いわよ」とミラル。「そうだな。私はただ人間らしくありたいだけだ」とエルフィール。エルフィールはじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード158
「私の前ではおまえたちは無力よ」と魔術師。「悪い魔術師なんていまどき流行「はや」らねーぞ」とエルフィール。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「この光りは果て無き光り。無限の光り。遥か彼方の光り」と魔術師は小川「おがわ」になる。「永遠にそこで流れ続けろ」とエルフィール。−−それは私の名前と川は流れる。
エピソード159
一行は焚き火にあたる。「世界平和の方法を愛と涙の物語とあらゆる研究とみっつも見つけた。あらゆる研究四十年。それが放送局に信頼を得られなくて最新作を流してもらえない。信じてもらえないんだ。ならばたかさき作品を流すのは反対だといってるけども。資金は凍結されスタジオとも連絡は取れない。テレビはたかさき作品とかなにもしかるものがないというのは中二病生産機だね。やんきーも喜んでみてるから口うるさい私なんてたまにやんきー来て圧力受けるよ。最近はそういう名前出して口うるさい人少なくなったから私ばかり目立ってしまって。去勢された文学や文化はもうたくさんだ。世界平和まではたかさきはやとに終結してやってたけども世界平和になったらおれのほうが上だとみんなばらばらで勝手になってしまった。声優さんも私のほうがすばらしいんだと口聞いてくれない。思いあがったごうまんなジャイアンばっかりだ。スタジオとも連絡は取れない。もう世界平和だからいいだろうと縁をきられてしまう仲間もいる」とけん。「先生たいへんだね。ま、ま。一杯」とジョルディーから酒をもらうけん。「世界平和にしたらこんなだよまったくやってらんないよ」とけん。「他人とは思えないね」とエルフィール。「エルフィールはまんま私の性格そのものだからね」とけん。「それはそうか」とエルフィール。一行は飲み明かした。
エピソード160
「私はマシュー。私の仲間は保守的でいまを守ればいいという。でもなにかゆっくりと死んでいくような感覚なんです私の仲間たちは」とマシュー。「なにも新らしいことをしないと忘れ去られて滅びてしまう。待っていても未来はこない。常に新らしい技術を開拓し続けること。常に新らしいコミュニケーションを開拓し続けること。常に新らしい愛を開拓し続けること。常に新らしいなにかに挑め。未開拓地へ挑め。宇宙は無限の未開拓地。宇宙へ挑め。未来に挑め。永遠に挑め。その先に宇宙がある。その先に未来がある。その先に永遠がある。宇宙を斬り開け。未来を斬り開け。永遠を斬り開け」とエルフィール。「わかりました」とマシューと一行は旅立つ。
エピソード161
一行は焚き火にあたる。「星は自然と宇宙の力によってまわり巡り逢いますが心は自然とはまわりません」とフィル。「なにが心まわす」とエルフィール。「心をまわすのは感動であり愛です」とフィル。「なにか心あたたかい」とエルフィール。「それが愛です。そしてそのこぼれる涙も愛であり愛の証明であり私たちが生きている証明でもあるのです」とフィル。「ありがたいもんだ。ありがとう」とエルフィール。「愛に感謝を宇宙に願いをそして空を心にしてまた巡り逢いましょう」とフィル。エルフィールはじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード162
一行は焚き火にあたる。「願いは卵」とエルフィール。「願い続けることで心の中の卵は大きくなり続けて永遠の時のなかで必ず孵「かえ」る。自分の幸せやみんなの幸せを願い続ける永遠。そのときに願いの卵は必ず孵るんだ。願いは光りの鳥となって宇宙を駆けるから」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。エルフィールはミラルのにぎったおにぎりを食べた。おにぎりは口の中でとろけた。一行は焚き火にあたる。
エピソード163
エルフィールの心は光りの鳥となって宇宙「そら」を飛ぶ。「幸せは巡り逢う。幸せの空を飛ぶ。幸せから生まれ幸せに帰るために空を飛び続ける心よ。幸せは永遠へ飛ぶ。永遠の幸せに飛ぶ光りの鳥よ。永遠に生まれた幸せよ。永遠に幸せになれ」と光りの鳥は飛ぶ永遠に。
エピソード164
池の前で水を飲んでる一行。水の竜があらわれる。「私は水の竜。この地域をうるおしてきた。私との古き盟約に従い我に奇跡を示せ」と水の竜。「え。はじめて会ったよね。古き盟約ってなんだ」とエルフィール。「幾年月うるおしたのだ。水は茶はコーヒーは命となって人の苦しみを血を巡らせた。おおおおお」と水の竜はにごり砕けていく。「私は。私は滅びるのか。この水の流れよ。この苦しみはどこへ流れる」と水の竜。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。水の竜は深い青になっていく。「偉大なる王よ。その姿よ。蘇れ。そして水は巡り逢うことで永遠にすんだ自然となろう永遠にな」とエルフィール。「水よ我が命よ」と水の竜は静まる。一行は旅立った。
エピソード165
一行は焚き火にあたる。「最近はあらゆる研究してるからすごい人多いわね」とミラル。「でもすごいのは技術ばかりでね。人の良「よ」し悪「あ」しは誠実であるかどうか見なければ。聞いたことに誠実に嘘なく答えてくれるか。いろんなこと見てその人が誠実であると感じる人であることがだいじなんだ」とエルフィール。「素直にありのままに率直である人であるかね」とミラル。「誠実でない人はみんなに嫌われて人を幸せにする力を失ってしまう。信頼したというのに連絡先教えないとか。連絡がてきとーであったり。誠実でなかったり嘘や無視やごまかすのがうまい奴はろくな人間じゃない。いくら技術があっても誠実さのない人は願いは叶わないからね」とエルフィール。ミラルはじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード166
光りの鳥が飛んでいる。「三万五千年の文化の翼で永遠に飛ぶ。風景を翼に永遠を飛ぶ。歴史を風として空を行く。光りの論舞「ロンド」が踊る」と声。光りがまたたく。「これからの一万年を光りで築くために。光りの翼で星を抱きしめる」と声。「永遠へいま旅立つ」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード167
光りの鳥が飛んで行く。「心は永遠を飛ぶ。核戦争の危機。それは幻だっただろうか。平和の愛の風を受けて心は永遠を飛ぶ。その翼は宇宙を越えて。未来を越えて遥か彼方へゆく。無限のあたたかさが心と心ふれあい巡り逢う。豊かな愛で人を幸せにしょう。永遠の果てまで羽ばたく旅よ。永遠の静けさにゆっくりと眠れ」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード168
一行は焚き火にあたる。「旅立とう宇宙へ。旅立とう未来へ。旅立とう永遠へ。無限の可能性が待っているんだ。宇宙は広い。その無限の旅へ。宇宙を幸せでうめるために始めよう。この宇宙に幸せを構築しょう。幸せの宇宙にするために。幸せの星にするために始めよう。人を幸せにすることを始めよう。幸せの建設はまだ始まったばかりだから」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。小桜はじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード169
一行は焚き火にあたる。「人は幸せだと心は空を飛ぶ。幸せだと心に翼がある。幸せなときに心は空を越えて宇宙越えて未来越えて永遠越えていく。人は幸せなときに無限の感覚を得るんだ。幸せは無限の感動。人は幸せという翼で永遠の宇宙をゆく。幸せさえあれば人はどんなところだっていける。人は幸せによって無限の翼で空をいく。何億回幸せに巡り逢うために人は生きていくから」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード170
光りの鳥が宇宙を飛ぶ。「怒り悲しみ苦しみ愛願い。喜怒哀楽は光りとなって宇宙を飛ぶ。この苦しみは光りとなって幸せになる。この悲しみは光りとなって幸せになる。この怒りは光りになって幸せになる。この愛は光りになって幸せになる。この願いは光りとなって幸せになる。この祈りは光りとなって幸せになる。この夢は光りとなって幸せになる。この希望は光りとなって幸せになる。この思い出は光りとなって幸せになる。この涙は光りとなって幸せになる。心は気持ちは感情は光りとなって宇宙へと飛び立つ。光りは心で輝いている。輝きの向こう側という永遠へ向かって光り放ち遥か彼方へと光り舞い飛ぶ。無限の感情が無限の光りが遥か彼方へ放ち飛んでいく。無限の幸せ光りまといながら永遠の旅へ光り永遠に」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード171
光りの鳥が宇宙を飛ぶ。「物語は光りとなって幸せとなる。歌は光りとなって幸せとなる。曲は光りとなって幸せとなる。文化は光りとなって幸せとなる。心彩る文化の光り。光りの鳥は宇宙を飛ぶ。その光りは宇宙を築くだろう。その光りは家族団欒を彩るだろう。光りは永遠に人々を幸せにし続けるから。この光りにぬくもりにあたたかさにゆっくりと幸せになる時よ。命よ光り幸せとなれ」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード172
水の鳥が宇宙を飛ぶ。「水を飲むことは巡り逢い。水は星の愛。星の愛が体で巡り逢う。雲になり雨になり川になり海になり水は星の巡り逢い。自然の贈り物水が体で巡り逢う。水は血となり血と血が巡り逢えば命が生まれる。水の巡り逢いは命を育み水は星をまわす。水は潤滑油となって心をまわす。水は巡り逢い永遠となる。水は永遠。水の鳥は永遠を飛ぶ。六億年の巡り逢いを水は感じさせてまた巡り逢う。水という永遠に乾杯」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード173
星々が輝いている。「永遠の奇跡を起こそう。永遠の奇跡はすべてを癒し幸せにする。起こそう永遠の幸せ。無限の幸せを贈ろう。永遠の奇跡は日々の思いの積み重ね。さあ思い花開かせよう。星々を花開かせて宇宙に星を奇跡を輝かせよう。星が無限の奇跡を歌うまで宇宙に思いをこめ続けよう。心は星。心輝かせこの宇宙に心星「こころぼし」輝かせよう。幸せのように星のように幸せになろう」とエルフィール。そして星は歌う。
エピソード174
心の宇宙に光る星がある。「それは見えない。でも見えたとき感じられたときに涙があふれてくる。それはいつも心にある。それはいつも自分とともにある。感じよう。見えないそれを見よう。そのときあたたかさに涙があふれてくるから」とエルフィール。「きっと感じたものが幸せなのね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード175
一行は焚き火にあたる。「文化人は政治家もふくめて熱烈なファン層を持ってるためあまり意見されない。うらみ買いたくないからね」とエルフィール。「世界平和になって文化人は思い上がってしまった。私こそ神様だという奴ばかりだ」とミラル。「ひとつには解決策としてそのファンの人が本人が思いあがっていたとかなにかやわらかい発言するまでとにかくファンレターで思いあがってますよと注意したりやわらかくだめですよと訴え続けること。世界平和になって特にいまは声優でも作家漫画家でもなんでも文化人は思い上がった人がたくさんいる。話を聞いてると苦しくなってくるほどだ。ぜひファンはファンレターで本人が思いあがっていたと発言するまで注意をうながし続けるといいんじゃないかな。正直このままじゃ文化人は嫌われ者の集まりになってしまう」とエルフィール。「なんだかねー」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード176
エルフィールがみんなと合流する。「やっぱりみんなはいいな。ひとりのときに人のぬくもりのあたたかさの良さがわかる。幸せの意味がわかるんだ」とエルフィール。「ちょっと買い物に行っただけでしょ」とミラル。「またよろしくな」とエルフィール。「いい加減因縁も勘弁してほしいわ」とミラル。ふたりは抱きしめあう。「また旅だな」とエルフィール。「そうね旅ね。行きましょう」とミラル。一行は旅立つ。
エピソード177
一行は焚き火にあたる。「道は永遠につながっている。道は未来につながっている。道は宇宙へつながっている。道は幸せにつながっている。道は家族団欒につながっている。道は愛につながっている。道は夢につながっている。道はみんなにつながっている。道は続いている。つながっている」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。
エピソード178
晴れた昼日なた。「おまえたちが永遠とかぬかしてるやつか」と男。「人は命は死ぬから美くしいのだ。叩っ斬ってくれる」と男は抜刀する。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「光りに包まれる。なんだこの光りは。この光りが永遠。なんて美くしいんだ。なんて美くしいんだ。すばらしい美くしさよ。なんてなんてなんて美くしい光りよ。永遠は美くしい。永遠よなんて美くしいんだ」と男は光りの鳥となって永遠へ旅立つ。「さあいこう永遠へ」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード179
一行は歩いている。「転んで十針縫った」とミラル。「日々の行「おこな」いがいいといいことあるね」とエルフィール。「おまえというやつはあ」とミラルがエルフィールの口をひっぱる。「ひゃいでひんひんくひくひくちはなして。だからね。天狗になってしまって思いあがり続ける聞く耳もたない奴は最低ってことさ。もちろん助け愛にも物理的限界があるけど助けてあげない奴は人として最低ということさ。頭でっかちの石頭は人を救えないのさ」とエルフィール。「人を救える人でありたいものね」とミラル。一行は旅立つ。
エピソード180
一行は焚き火にあたる。「時代は変わっていくわね。なにかさみしい」とミラル。「時代は変わるが幸せは変わらないさ。人のだいじなことは変わらない。それは心の支柱さ。永遠においても変わらないものもっていよう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード181
一行は焚火にあたる。「人を幸せにする衝動の心をドグマという。ドグマを燃やせ。そしてすべての人を幸せにしょう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚火にあたる。
エピソード182
巨大な怪物と戦う。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。怪物は光りとなってエルフィールに入る。「宇宙の真実がわかった」とエルフィール。「それはどんなことなの」とミラル。「宇宙は螺旋上昇していて永遠は遥か彼方ということさ」とエルフィール。「なにも変わってないわね」とミラル。「そうかも知れない」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード183
「それはつまりどういうことか研究するわ」とミラル。「研究研究もいいけどさけんきゅうよりもよりいい人になりたい。一日一善。いいことをもっとしたい。けんきゅうよりいい人であれ。けんきゅうもほどほどにな」とエルフィール。「それもけんきゅうするわ」とミラル。「やれやれ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード184
一行は焚き火にあたる。「クランプとも縁を切られた。あかほりさとるもごうまんだ。世界平和にしたからごうまんになった。おれさましたぜみたいな。たかさきはやとの考え方あらゆる研究手に入れたぜこれでおれさまもたかさきはやとみたいな。まずはごうまんさについて研究しなくてはいけないよ。いまの文化人のほとんどは人を不幸にしてげらげら笑っていられる人になってしまった。声優さんもほぼ全滅だ。作家や漫画家やタレントやアイドルやニュースキャスターもけっこうおおい。世界平和になったらこうなってしまった」とけん。「人は謙虚に生きていくのはむずかしいのかも知れないな」とジョルディー。「ごうまんさは必ずめざめる。めざめさせよう。めざめの一文書いて送ろう。人生支えてくれた人に恩返しするべきとき」とけん。一行は焚き火にあたる。
エピソード185
一行は焚き火にあたる。「ごうまんは一定なんとかなったんだな。あとは慣れるだけ。十時間耐えれるならあとは一緒に住んでしまえばすぐに慣れる。嫁になりたい女性もあとは一緒に住むひとりで歩き出す決断だけだな。理屈ではそれで丸くおさまるとわかっていても心は動かない。ひとり命すてる覚悟だ決断とは。ずっとずっと覚悟と念じ続ければ覚悟できる。何日でも念じ続けること。どんな覚悟でもそう」とエルフィール。「長かったようなそうでないような」とミラル。「グレートフィナーレだな」とジョルディー。一行は一杯飲む。
エピソード186
光りは生まれ変わり光りの鳥は宇宙を飛んでいく。「永遠の中に永遠はありさらに永遠の中に永遠はある。永遠は何度でも無限に生まれ変わる。永遠に巡り逢う無限の命たちよ」と声。「無限の旅へ旅立とう」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード187
一行は焚き火にあたる。「スケールの小さな覚悟ではなにもできない。なにごともスケールの大きさはだいじだ。構想もスケールがでかいほどいい。思いをどんどん無限にでかくしていくこと。それが力となる。思いの力が現実超えたときに奇跡は起きる。出してる思いの力が足りないのだ。覚悟をどんどん無限に大きくしていくこと。宇宙さえ越えて次元さえ超えて遥か彼方の思いよ無限に永遠に。遥か彼方の思いが永遠を生み出し永遠に巡り逢い永遠に光り輝き続けるだろう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード188
一行は焚き火にあたる。「ごうまんは心の病でありはしかやおたふくかぜのように子供ときにかからない人もいる。文化人はみんな優秀な人がおおいからかかってなかったんだな。ごうまんは必ず直る。だからあきらめずにめざめさせる言葉をかけ続けよう。もちろん文化人になってくれる人も募集している。ごうまんについて研究している。放っておいてもごうまんは自然と直ります。必ず失敗してめざめるものです。命にかかわらないものなら失敗させましょう。それで直ってしまいます。失敗はしたほうが本人にはとてもいい経験としていい人になれるので命にかかわらない失敗はどんどんさせてあげましょう。失敗をさせない責任とらせない箱入り娘にしてしまうとおれさまみたいになってしまいます。なにごとも経験です。ごうまんは軽い認知症です。理解できないのです。経験を通して理解させましょう。なにごとも経験です。できることはなんでも経験させましょう。経験の数だけ人間れべるあがります。経験の数だけいい人になれます。経験に終わりなし。もっといい人になりましょう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード189
山を歩いている一行。白いドラゴンがいる。「バトルか」とエルフィール。「これはこれは人の子よ。なつかしい匂いがするな」とドラゴン。「敵ではないのか」とエルフィール。「私はキリバーンタ。もう私は六億年も生きてくたびれた。しばらく休みたい」とキリバーンタ。「それはくたびれたことだろう。城に仕事を斡旋したいとこだがな」とエルフィール。「三百の城に仕えた。もういいんだ。もうそういうのはいいのだよ。栄光はもういい。私はただ眠りたいのだ」とキリパーンタ。「まだ私は生きて生きて生きたいけどね。休みたいなんてまだまださ。力がないのか」とエルフィール。「力はまだある。あんたと戦ってもまだ私は結構強いだろう。だが私も老いた。欲望もなくなり。なにか若さゆえのぶつかっていく気持ちがないのだ。その力で願いたい」とキリバーンタ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りに燃えていくキリバーンタ。「ありがとう人の子よ。あの日の力が蘇ってくる。私は幸せだよ」とキリバーンタは山となる。ちょうど高尾山みたいな山になる。ーー百年後また会おうと声がする。「そのときまでさらば」とエルフィールたちは旅立つ。
なかがき。
嫁を募集してもひとりもこない。世界平和やってもこんなものかな。いまはテレビアニメもやってません。2014年1月からの新作はいっさい流れてません。2013年以前に作ったものをごしょうだいじに放送局は流しています。いまは言葉工房でだけ最新作は書いてますが放送局はもう最新作はやってくれないみたいです。放送局には干されているようなものです。本人も出入り禁止です。放送局とは仲良くやりたいのですがなしのつぶてですね。ツイッターもSNSもラインもなにもやってません。細々と言葉工房で小説書いてるだけです。ひとりの部屋で細々と小説を書いてる。老いてきていて欲望もないですね。こうやって細々と暮らしていくだけかな。なんとなくさびしいなあ。それではまた。
エピソード190
一行はある村にいる。嵐が襲いくる。「村のまわりはあふれた川で渡れない。このままでは村は水没する」とハイベル。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。村人もエルフィールたちも光りの鳥になって飛んでいく。そして村から逃げた。
エピソード191
村の魔王と戦うエルフィールたち。吹っ飛ばされ吹っ飛してなんとか倒す。自然は破壊されている。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。虫が戻り自然が再生する。「ここも生き返った。さあ旅立とう」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード192
一行は焚き火にあたる。「みんな最近はあらゆる研究とかさ人間らしいリアクションじゃないよ。ターミネーターみたいな反応なんだよな。ひどいもんだ」とエルフィール。「おちついてるといってほしいな」とミラル。「もう少し人間らしいリアクションがあるだろうさ」とエルフィール。「人それぞれさ」とジョルディー。一行は焚き火にあたる。
なかがき。
いいこととはなんだろう。人を不幸にすることは悪いこと。人を幸せにすることはいいこと。たかさきはやとが不幸なのはみんな不幸だと思う。自分の思ういいことをおしつけあった結果見た現実はなんだろう。たかさきはやとの資金凍結。ナンバーツーを逮捕しない。それを報道しないメディア。沈黙は金でありもうかるからいいことだろうか。最新作を流さない放送局。たかさきはやとを無視する声優さんたち。仲間から縁を切られて連絡がとれないたかさきはやと。自分が思ういいことをおしつけあった結果はなんだろう。たかさきはやとが苦しむさまを眺めているのはなぜだろうか。もういちど人間としての原点に立ち返ったいいことが必要だと思う。自分のえごをおしつけあうのではなくほんとうにいいことをすること。それが人間としてのほんとうの姿だと思う。ありのままにありたい。たかさきはやとの不幸の上にある平和をもういちどほんとうの平和にするために。
エピソード193
一行は焚き火にあたる。「もう文化人は前ほどいいこと悪いことに関心がない。えごをぶつけあってるだけで悪いことの積み重ねになってる」とエルフィール。「いいことの感覚は経験の中から生まれるもの。いくら研究してもわからない。研究研究と頭でっかちばかりだ」とジョルディー。「自分が思ういいことをぶつけるだけのエゴイストだらけね」とミラル。「それでも生きていかなくちゃな」とエルフィール。「なんとかなるだけん」と小桜。「そうだな。なるようになるさ。今日も元気にごはんがうまい」とエルフィール。一行はじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード194
一行は焚き火にあたる。「あらゆる研究は技術を磨く。いろんな経験は心を磨く。技術だけでも心がなくてはだめだということさ」とエルフィール。「苦難や苦労も心を磨く」とジョルディー。「心の死んだ表現もおおい。経験で心を磨いただけ人を幸せにできる。人の心を打つ表現ができる。心ふるわせる心響かせる思いが人を幸せにする。経験で得た遥か彼方の思いで人を幸せにしょう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード195
一行は焚き火にあたる。「旅は経験となって心を磨ける。歌と物語とドキュメントは経験足り得て心を磨ける。心を磨いておくと尊敬もされるし人を幸せにする力が強くなる」とエルフィール。「傑作といわれる物語は一読の価値ありだ」とジョルディー。「たかがテレビゲームめと言われるけどもドラクエなんかには心を磨く力があるのよ」とミラル。「物語はちょっとした旅みたいなものさ。もちろんほんものの旅もいいよ。旅にでよう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード196
一行は旅をする。「ここはマルシャー国。百人の管理官によって統治された国だ」とハイベル。「おまえ」と管理官。「なんだい」とエルフィール。「おまえは誰だ。私は理解できない。私の理解できないことはマスメディアでは放送禁止だ。私の理解できないことは存在してはならない。この禁忌タブーをやぶるものは存在を認めてはならない。孤独とひとり踊れ私の前から消えろ。私の管理から外れてはならない。理解できない存在はあってはならない。理解できない言葉は存在してはならない」と管理官。「人のすべてを理解することはできない。好きにやらせることこそ愛ではないかな」とエルフィール。「理解できない。理解できない。理解できない。私の前から消えろ」と管理官。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。人々が理解しあう平和世界。ありのままの世界。「なにか見えたような気がしたが。理解できない消えろ」と管理官。「それじゃまた」とエルフィールたち一行は旅立つ。
エピソード197
一行は焚き火にあたる。「なんでも永遠にできるならばそれは解決を意味する。永遠は万能の解決力だからね」とエルフィール。「あのふたりの手が光る奇跡も永遠てこと」とミラル。「まあそういうことかな。永遠にすることは永遠の奇跡なんだ。なにごとも楽観でいこう。楽観していよう永遠に」とエルフィール。「エルフィールを永遠に何度でも幸せにするよ。何億回でも幸せにする」とジョルディー。「ありがとさん」とエルフィール。一行はじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード198
一行は焚き火にあたる。「幸せはえにし。縁が幸せとなり紡がれる。出会いがあれば別れがある。別れがあれば出会いがある。巡り逢いが幸せとなり巡り逢うえにしよ。幸せよ。さあ別れよう。さあ出会おう。この世界は巡り逢いの世界だからさ」とエルフィール。「まだ世界は巡り逢う」とジョルディー。「だから幸せに生きていくのだから」とミラル。「旅立とう」とフィル。「あしたからね」とエルフィール。「そうね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード199
一行は焚き火にあたる。「結局嫁の覚悟ができない女はこの世界に満足してる。たかさきはやとがのたうちまわることに怒りがない。満足してるからなにもできない。いつまでもだらだらしてるだけ」とエルフィール。「それだけ平和な世界になにも思うことがないというかね」とミラル。「たかさきはやとの不幸に対してはりつめた思いや鬼気迫るものがない」とジョルディー。一行は焚き火にあたる。
エピソード200
一行は焚き火にあたる。「やる前は世界が終わるような感じがして体がゆがむような気がする。でもやってしまうと楽になってなんともなくなってしまう。やってしまえばずっと楽になってしまうんだ。それが大業というものだ」とエルフィール。「やってしまうとなぜこれで悩んだのだろうと思うほど簡単なことになる」とジョルディー。「やる前の圧力はやってみるとないもの。現実のほうがファンタジーというものよ」とフィル。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード201
光りの鳥が宇宙を飛ぶ。「はるかな思いは羽ばたき光りの鳥となり宇宙を飛ぶ。遥か彼方の思いは羽ばたき永遠を響かせる。響いた永遠は世界を響かせる。永遠は人を響かせる。そして響いた人は幸せになる。永遠の幸せを分け合うためにはるかな思いで羽ばたこう。どんな問題もはるかな思いが越えていく。無限の思いで宇宙を羽ばたこう」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード202
一行は焚き火にあたる。「遠距離支援と直接支援は違うもの。畑違いなのもわかる」とエルフィール。「でもなんかみんなジリ貧だし筋通すなら孤独になってしまう」とジョルディー。「傍観者でぐだぐだいわれても困る」とハイベル。「その問題に参戦するなら行動で示すのが基本だ。問題の解決のためなら人材も金もふんだんに使っていい。自分の余裕を分け与えるのが直接支援。話しあいとかもたくさんすること」とエルフィール。「できることから始めましょう」とミラル。「遠距離支援はノウハウをわたしたりアイディアをわたしたりすること。癒しや心磨きも遠距離支援だな」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード203
一行は焚き火にあたる。「エルフィール」とジョルディー。「なんだい」とエルフィール。「未来の幸せをあげよう永遠の幸せをあげよう。不安もあげよう。あきらめない心もあげよう。ずっとずっと幸せにするよ」とジョルディー。「ありがとう」と涙をぬぐうエルフィール。「幸せはいいわね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード204
一行は焚き火にあたる。「幸せな時。孤独の時。苦しい時。あたたかい時。抱きしめられた時。愛しあう時。おだやかな時。それはなぜ」とエルフィール。「永遠の愛だからかな。永遠の幸せだからかも知れない」とジョルディー。「幸せって儚くて尊いわね」とミラル。「だからまた人は巡り逢うから」とフィル。「幸せがいいね」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード205
一行は焚き火にあたる。「未来は桜舞う日。未来はふろに入る」とエルフィール。「未来は巡り逢い。未来は歌っている。未来は食事中。未来は漫画読む。未来はアニメ見る。未来は映画見る。未来は猫と踊る。未来は犬と踊る。未来は語り合う。未来は電気ライトの光りの中。未来は空の感じ。未来は軌道エレベーターに乗る。未来は宇宙旅行。未来は世界旅行。未来は明るいほう。未来は遥か彼方。未来は永遠。未来は車に乗る。未来は電車に乗る。未来は作物を育てること。未来は魚の養殖。未来は創作物。未来は構想を育てること。幸せはなにかを育てること。未来は答えのないなぞなぞ。未来はいいほう。未来はおいしいほう。未来はほのぼののほう。未来はできるようになる。未来は愛のあるほう。未来は希望のあるほう。未来は幸せなほう。未来はやってこない。未来は育てるもの。学校で未来を育てよう。保育園で未来を育てよう。未来は永遠からしたらほんの瞬間。永遠を育てよう。未来を育てよう。宇宙を育てよう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード206
一行はある村に来る。「助けてくれ」と男。「村の人はなぜ救わない」とエルフィール。「このほんわかした雰囲気。幸せ病ですね」とフィル。「世界平和になり家族がいて収入も一定あるとおちいる病気です。幸せにほうけて不幸な人の心の痛みがわからなくなってしまう病気です。問題の戦力にはなりません」とフィル。「一緒に村をでよう」とエルフィールたちはとなり村まで男を連れていく。男と別れて一行は旅立つ。
エピソード207
一行はある町にいく。「あんたら町に入れないよ」と役人。「なんでさ」とエルフィール。「黎明の騎士だという証拠を示してくださいよ」と役人。「精霊呼べるぞ」とエルフィール。「出て行け」と役人。「あんたがにせものっぽいのよ」とミラル。「そういうこともあるさ」とエルフィールは笑う。「おいあんた」と声がする。姿はない。「誰だい」とエルフィール。「私は永遠だ」と永遠。「永遠は生まれてまだ幼い。疑う人もおおい。永遠を信じる人の力が弱い。そのために永遠はまだ力が弱い」と永遠。「なにをすればいい」とエルフィール。「永遠を育ててくれ」と永遠。「どうやって」とエルフィール。「永遠とは水の循環。水が純粋であることが永遠だ。水の系統樹を確立してくれ。永遠の紋章を永遠の烙印として成して永遠の証拠としてくれ。そして永遠の本質を探ってくれ。永遠とはなにかを明かしてくれ」と永遠。「やっかいごとはごめんよ」とミラル。「やろうじゃないか」とエルフィール。「嫌よ」とミラル。みんなエルフィールに賛同した。「しかたないわね」とミラルも渋々納得する。「さあ永遠へ旅立とう」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード208
一行は焚き火にあたる。「平和ショックというのはいいこと悪いことの判断をする目利きを失ったこと。それまで確立してきた目利きの力を投げ捨ててしまった。だから警察もテロリストっていいことだよねなんて人がいる」とエルフィール。「みんな認知症みたいに見えるのはそのせいね」とミラル。「困ったものだ」とジョルディー。「いいこと悪いことの判断を話しあうことでその目利きの力が養われます」とフィル。一行は焚き火にあたる。
エピソード209
一行は焚き火にあたる。「声優さんも嘘がとてもうまくなってしまってね。目の前にいるのに嘘ばんばん言われる。素直にありのままに愛してるといえない」とけん。「結局嘘つくと願い事は叶わなくなる。仲間もあきれられて力を貸してくれなくなる。目の前で愛してるといわなくては結ばれることはない」とエルフィール。「声優さんもたかさきはやとの嫁になりたいのはうれしいけども嘘ばかりじゃね。願いは叶わないわね」とミラル。「誠実であることが願いは叶う」とジョルディー。「でも嘘は即物的利益つまり金はもうかったりするからね」とフィル。「暴露合戦しろというのでもないよ」とジョルディー。一行は焚き火にあたる。
エピソード210
一行は焚き火にあたる。「ナンバーツーが来たらセコムやアルソックなどの警備会社に頼んでおいだしてもらおう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード211
一行は焚き火にあたる。「永遠を倒してくれ」と永遠。「なんだって。それは世界を滅ぼせということか」とエルフィール。「永遠に続いては困るものもある。他国の基地があるから犯罪多発。原発稼動による爆発。犯罪者が永遠になっても困る。内戦が永遠に続いても困る。ライフラインたる仕事がいきづまる永遠。永遠の不幸。永遠の孤独。永遠では困ることもたくさんある」と永遠。「それは確かに」とエルフィール。「そのためにはいいこと悪いことの判断を話しあうこと。それによって目利きの腕前をあげること。研究することや心を磨くこと。永遠という本質を一刀両断する力を養うこと。それが必要だ」と永遠。「わかった。仲間とともに必ずやろう」とエルフィール。一行はじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード212
一行は焚き火にあたる。「自信とは自分を受け入れること。自信とは自分を愛すこと。自信とは自信がつくまで自分が人にどう思われているか人に聞いて知ること」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード213
一行は焚き火にあたる。「ありのままに生きられたらいいのに」とミラル。「簡単だよ。好きとか嫌いとか。いいとか悪いとか面白いとかつまらないとかうまいまずいとか判定を常に明らかにするのさ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード214
一行は焚き火にあたる。「子供は未来だ。未来を創造して生み出し未来を育てよう」とエルフィール。「そうね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソート215
町で知り合ったマジソンという黒人女性と話す。「綾を介護していたんですが苦しくて何度親を殺そうと思ったことか。愛が重い。愛が重すぎる」とマジソン。「NPOとか施設にあずけたらどうだ」とエルフィール。一行は暖炉にあたる。
エピソード216
町でイスラム教徒のラクソンや黒人のアーカラと話す。「イスラム教徒だから差別されることがあるんです」とラクソン。「私も黒人だからと差別されます」とアーカラ。「差別を永遠にしないために差別の永遠を一刀両断しょう」とエルフィール。一行は暖炉にあたる。
エピソード217
一行は焚き火にあたる。「うまく行動できない」とミラル。「遥か彼方の思いで命をすてて生きる覚悟を念じ続けること。それで行動力はあがる。念じることに慣れてないうちは念じながら車は運転しないように。念じるというのは集中し続けると同じこと。遥か彼方の思いで命すてて生きる覚悟と集中し続けること。さらに歯もかみしめて覚悟するとかね。さらには両手にぎりしめるとか。歯をかみしめてつらかったらあめなめるとか。やってると覚悟れべるがあがる。できるまで覚悟をひたすら広大にしていくこと。覚悟し続けているとある瞬間に体が自然と動きできる。やるまでは世界が終わる気かするがやってみるとなんてこんな簡単なことがいままでできなかったのか不思議なくらいだ。やってしまうとこんな楽で簡単なことはないと思うね。本人目の前にするとそこからずっと永遠に楽になる。やれてしまうと楽勝だなと不安や悩みは自信へと生まれ変わる。その現実を目の前のすべてを一刀両断するみたいな感覚。まずは慣れてしまうこと。覚悟を決めて未来を創造しょう。宇宙を創造しょう。永遠を創造しょう。覚悟するまでたまにはここ読み返してね。私は冷静統一のときに一年以上覚悟した。覚悟できるまで何ヶ月もかかるかも知れない。ひたすら覚悟し続ける。ずっと覚悟してると覚悟できたと思える。そのときできる。本人見ないで逮捕しないで想像してると泥沼で延々と苦しい。本人見てしまえば逮捕してしまえばずっと楽になること。慣れてくると本人見るまでのぎりぎり感もいいものだよ。いまは得がたきいい経験だと思える。やってしまえれば永遠の楽園。できないうちはずっと地獄だよ。するまで自分が犯罪者みたいな気がする。できるとみんなからたたえられているんだね。できるまでは死ぬ死ぬもうだめだと思っているけどできると生まれ変わりずっと楽になりまったく新しい世界を楽園に入れる。やる一枚前は地獄がありありと見える。やってしまうと永遠の天国が広がる。天国に入れ。近くに行って経験することはさらにできるようになっていく。未来は良くなると信じる力。たかさきはやとを信じる力。自分自身を信じる力。それが結果を出す。未来を信じろ。私も何回も近くまででできなくてでもそれは経験となりさらに力となった。休息はてきどにとろう。覚悟し続けていると覚悟れべるがあがる。生活していてもずっと覚悟を念じていることも可能。休息はとろうね。不可能はない。必ずできる。願いは必ず叶う。武将とか剣豪とか武士騎士はできたことだよね」とエルフィール。「なるほどね。でも疑い深くなってる人は信じられないんじゃない」とミラル。「長年頭が痛かったから人のこと信じられない人がふえている。家族や仲間を信じてないからすべてがうまくいかなす。いやいかない。家族や仲間のいうことを信頼したいときにはその言葉に対して信じるまでほんとうだと念じること。あるいは信じたい相手を研究して分析すること。そうすれば信頼できるようになる。分析というのはその存在に対して資料を探して読んだり話しあったりすること。研究において分析というのはだいじなことだよ。奇跡というのは最優先の願いだけ。二番目以降の願いとかは叶いづらいから一番の願いはなにかということだね。二十五番目の願いで金メダルというのはない。奇跡を起こしたければ願いはいつもひとつだけ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード218
一行は焚き火にあたる。「世界平和になって力がでないわね」とミラル。「癒しの力で人を癒すのもいい。おだやかな力でなごやかな時を過ごすのもいい。光りの力で希望をあたえるのもいい。闇の力で悪いものを破壊するのもいい。家族の力で平和に暮らすのもいい。仲間の力で偉業を達成するのもいい。守る力で守っていい。攻める力で攻めていい。愛の力ですべてを抱きしめてもいい」とエルフィール。「いいわね」とミラル。「無限の力を獲得できれば永遠に生まれ変われる。みんないまうまくいかないのは永遠に生まれ変わることができないから。永遠の力が自在に使えれば絶対無敵だ。久遠の力よ。遥か彼方の力をここに」とエルフィール。「うまくいくといいわね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
なかがき。
世界平和になるまではアニメやゲームのスタジオなんかに連絡しても世界平和先にしてくださいといわれてました。世界平和にしたらもういいじゃないかとスタジオや表現者に縁をきられてしまいました。声優さんだけでもベテラン百人から縁をきられてます。いまでは五人くらいの表現者としか話せません。ときどき縁をきられた声優さんから結婚してあげると一言連絡が入ることがありますがすぐに音信不通に戻ってしまいます。そんな気まぐれな声優さんに期待していいのかどうかわからない。いまスタジオから報酬もないし連絡もない。女としてというか人としてこじらせているのかなあ。二十年以上痛かったからかなあ。世界平和にしたからこうなったのかなあと途方に暮れています。2016、5、28。
エピソード219
一行は焚き火にあたる。「仕事しなさいよ」とミラル。「永遠なんてそんなに根つめたらもたないぞ。1対9でいいんだ」とエルフィール。「仕事が9よね」とミラル。「遊びが9だ。人によって比率は違うと思うけどな」とエルフィール。「そんないい加減な」とミラル。「遊びは永遠において希望足り得る。まあ無理しなさんな」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード220
一行は焚き火にあたる。「にきびは爪「つめ」じゃなくて指の肌と顔の肌でせっけんをつるつると洗うことでにきびはなおる。毎日洗うこと。それでなおってしまう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード221
一行は焚き火にあたる。「いまひとつよくない」とミラル。「ジブリ何度も見たりコナンやポケモンやしんちゃんの映画何度も見たり細田守監督のアニメとか何度も見たりするとかね。もっと見たければテレビアニメもある。アニメを何度も見ること。涙の物語何度も読むとか家にいるのが多いならRPGのオンラインゲームとか出会いもあるぞ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード222
昼日中「ひるひなか」一行は四匹の戦いあうドラゴンに出会った。ふるぼっこにして四匹のドラゴンを動けなくするエルフィールたち。「私は季節竜「きせつりゅう」」と季節竜。「なんだってんだい」とエルフィール。「神様の前に座るのはその時々の四体の季節竜であった。だがずっと神様の前に座りたい季節竜たちは戦いを繰り広げた。春竜「はるりゅう」は秋竜「あきりゅう」と仲が悪い。夏竜「なつりゅう」は冬竜「ふゆりゅう」と仲が悪い」と季節竜。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。四匹のドラゴンは一匹になる。「このままでは重過ぎてこの星をつぶしてしまう」と季節竜。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。季節竜はアルプス山脈になった。「いつまでもそこで神様の前にいなよ」とエルフィール。アルプス山脈は輝く。一行は旅立つ。
エピソード223
一行は焚き火にあたる。「どこにいけばいいのかなあ」とミラル。「気持ちのままに。ありのままに。そのためには遥か彼方の思いで心を広大にしていくこと。その広大さこそが永遠という未来だから」とエルフィール。「隠し事してても願いは叶わないよ。家族になる人には隠し事なしでいこう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード224
一行は焚き火にあたる。「なんのために生きるの」とミラル。「遥か彼方の幸せをみんなにあげたい。そのために生きる」とエルフィール。「幸せね」とミラル。「そうだな。遥か彼方の幸せだ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード225
焚き火してる老人と会う。「私は作家のあんず。もう私はだめだ。世界平和になってなにか湧き上がる力がないんだ。あのころの力がもうない」とあんず。「なにかないもんかなあ」とエルフィール。「私はどこへいけばいい。私はなにをすればいい」とあんず。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。幼き日に見た世界は戦争を繰り広げる地獄であった。まだ結婚できる年齢でもなく唯一の救いは歌と物語だった。「もう一度初心に帰ってやってみたい」とあんず。「達者でな」とエルフィールたちはあんずと別れる。一行は旅立つ。
エピソード226
一行は焚き火している。「表現者としての土台がしっかりしてないといけない。そして人としての土台がしっかりしていればたいていのことは乗り越えられる。人としての土台をしっかりしろ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード227
一行は洞窟で迷っていた。「どんどん先に行って迷ったのは誰のせいよ」とミラル。「そうだ。どうすんだ」とエルフィールはジョルディーに言う。「なんとかなるだろ」とジョルティー。「魔法がかかっていてマッピングは無効のようです」とフィル。「どうすんのよ」とミラル。「これはあれだ。右手を壁につけて歩けばいいというやつだ」とエルフィール。そうしてみる。「やっぱりだめじゃない」とミラル。「迷ったときは酒を飲む」とエルフィールは酒を飲む。「解決になるかあ」とミラルはエルフィールの首しめる。「こういうときはお茶にしましょう」とハイベル。一行はお茶にする。「だいたいリーダーがこれでいいのかい」とミラル。「めんごめんご」とエルフィール。「右だ」とエルフィール。一行は右行く。出口ではない。「左だ」とエルフィール。出口ではない。「もういやよ」とミラル。「不幸だわ。どっちいけばいいのよ」と嘆くミラル。「希望があれば光りある」とエルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りの道はまっすぐ開かれる。「迷ったら道はまっすぐ進めだ」とエルフィール。「わかったわ」とミラル。一行は出口へとまっすぐ進んだ。「さあ旅だ旅がしたい。旅立とう」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード228
一行は焚き火にあたる。「かぜかしら」とミラル。「かぜと思ったら肺炎や結核だったりする。結構肺炎や結核で死ぬから。肺炎と結核の治療必要だぞ。なんにせよふつうじゃないと思ったら病院に行く。これ基本だぞ」とエルフィール。「わかったわ」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード229
一行は焚き火にあたる。「会話日記というのかな。キャラクターや人物と会話しながらする日記でね。まずはキャラの名前書いてそれから「」かっこの中にせりふを書くのさ。自分のせりふも書いて会話すること。結構おもしろいよ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード230
一行は青年と会う。「私はアルビン。隣国のドラクーノやクラクストに負けたくないんだ。でもどうしてもなにもかもうまくいかない」とアルビン。「競争心はどこか苦しくえてしてなにも生み出さないものだ。競争はえてして人を幸せにはしない。それよりも人を幸せにする感動を生み出すこと。自分が仕事や家族で感動すること。みんなを感動させること。そのことが幸せでありもっともだいじなこと。永遠も感動の積み重ねから。永遠へ旅立とう」とエルフィール。「わかりました」とアルビン。一行は旅立つ。
エピソード231
一行は焚き火にあたる。「だいじだと思うことや衝撃をうけたことなどを書き出すこと。ノートでもパソコンでもいい。そこからなにかひらめくことがある。物語や歌なんかのことから感銘を受けたことからなんでも書き出すこと。それが積み重なって力となっていくこと」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード232
一行は焚き火にあたる。「だいじな人が亡くなって落ち込んでる人にはたちなおれたちなおれとてきとうな歌をたちなおるまで歌ってやること」とエルフィール。「いまでも年間二万五千人ナンバーツーに自殺へと殺されているのになぜメディアは黙っているのか。立ち上がれよ」とけん。「なんとかなるといいわね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード233
エルフィールが青空の空にいる。エルフィールの服が風に羽ばたいている。エルフィールの眼下は遥か下に大地がある。「世界平和になりベテランも巨匠も声優さんも去った世界でどこへ行く。未来は永遠。未来は永劫に遥か彼方。どこへ行けばいい」とエルフィール。「世界平和をしてくれという願いのその先にある世界を得よ。未来はここから始まる。その輪廻「りんね」を見よ。滅びた戦争世界よ。その先の永遠に愛を見た」と声。「人は命は解放されたのか。愛の解放。愛の孤独。愛は世界をやわらかく抱きしめる」とエルフィール。「砕けた世界の欠片「かけら」を見よ。世界は永遠はまだ幼く永遠はまだまだ若い。苦しんだ人々の魂の浄化よ」と声。「忘れられた愛があった。忘れられた悲しみと人生に愛をたたえん」とエルフィール。「さすらいの風が届けた人情にあたたまる。まだ世界は永遠を始めたばかりだったから」と声。「永遠。それもいい。まだ未来は始まったばかりだから」とエルフィール。エルフィールは空を旅する。
エピソード234
一行は焚き火にあたる。「前向きとは未来を語り未来を見ること。過去より未来を探すこと。願いをひとつにすると必ず叶う。体力的な限界のあるものでもなければ願いをひとつにしぼれば必ず叶う。だいじな人が亡くなったことにおちこんでる人にはひたすら閉ざした心の扉を言葉でノック。手や肩をさわったり叩いたりしながらしっかりしろとかたちなおれとかまだこれからだとかいつまでもぐじぐじ亡くなってこと考えるなとか未来を考えろとかとにかく言葉でノック。人によっては一週間以上もかかるからそのつもりで」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード235
一行は焚き火にあたる。「傑作とか見なおしたり聞き直したりしないとどんなに記憶力あっても忘れるから。傑作の補給はだいじだよ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード236
一行は焚き火にあたる。「ネットとか物語や歌をリアルではないという意見はアンチの攻撃だ。物語だって人生を変えてその職業につくこともある。ネット上でネガティブなこといってる連中はほとんど認知症の人なんだな。あまり相手にするべきじゃない。ただ認知症の人はいい人もたくさんいるよ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソヘド237
一行は焚き火にあたる。「平和ショックとはなにかというとちゃんと傑作を復讐じゃない復習しないことから人としてだいじなことを忘れてしまう認知症現象だったんだ。傑作の復讐。いやまあ傑作の復習はだいじだよ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード238
カレンという成年の男と会う。「私の両親が亡くなったことを彼女は悲しんで心を閉ざしてしまった」とカレン。「こういってやれ」とエルフィール。「もう両親のことを考えるのはやめよう。未来のことだけを考えよう。これからのふたりのことだけを考えて生きていこう。死んだ人のことをもう考えるのはやめよう。これからは未来のことだけ考えて生きていこう。もう死んだ人のことを考えるのはやめよう。これからのこと未来のこと一緒に生きていくことだけを考えよう。両親は天国で幸せにやってる。もうぼくたちのことだけ考えて生きていこう。ぼくたちが幸せになろう。それこそ両親への一番のたむけだよ。子供をかこみ一緒に生きていこう。もう死んだ人のことは考えないで。未来のふたりに笑われないように未来を一緒に築こう」とカレン。一ヶ月カレンはそうやって話して彼女は心を開いた。「さあ旅をしょう」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソート239
アーニャの依頼。「私の両親は亡くなったのよ。おちこんでるのよ私は。どうにかして」とアーニャ。「困ったな。医療が進歩しても親くらいいまの医療なら死ぬこともあるよ」とエルフィール。「信じられる。親が死んだのよ。私の気持ちわかるあんた親亡くなったの私の気持ちわかるわよね」とアーニャ。「ダリルは亡くなって冥界で王様やってるよ。母のフィルは一緒にいるけどもそのまあわかるようなわからないような」とエルフィール。「だいじなのはそこよ」とアーニャ。「すべての魂は水だ。亡くなれば大きな流れとなって海となる。そこが天国だ。それは神様そのものでもある。天国へ祈るのもいいだろう。でも亡くなった人のことばかり考えてるとまわりは不幸になっていく。もう考えるな。家族一緒に仲良く子供育てて未来のことだけ考えること。空を見上げろ。心を空いっぱいにして未来を探そう。下ばかり過去ばかり考えないで未来を探そう。そうすればみんな幸せになれる。空は宇宙へとつながる。宇宙の未来を探そう。もう過去は忘れてこの空の未来を探して生きていこう。そうすればみんな幸せになれるよ」とエルフィール。アーニャ少し変わったという。まわりもアーニャを支えた。一行は旅立つ。
エピソード240
一行は焚き火にあたる。「世界平和になり黄昏の季節となりつい黄昏てしまう。そうならないためには未来へ向けて遥か彼方の思いを無限に放ち羽ばたくこと。この空を遥か彼方の思いでうめてしまうこと。そうして無限の宇宙を思いでうめていくこと。その無限の思いの羽ばたきは未来を作り永遠を作りだす。未来を羽ばたこう」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバターに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード241
一行は焚き火にあたる。「心のバランスがだいじだ。黄昏すぎてもてきとうすぎても孤独すぎてもいけない。心のバランスをとらなくては」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード242
ある晴れた青い空の下。昼。ドラゴンが舞い降りる。ドラゴンには少女が乗っている。「これはこれはかわいい組み合わせだな。ドラゴンライダーの少女とはね。なにか用かい」とエルフィール。「おまえたちが黎明の騎士か」と少女。「まずは自分から名乗れよ」とエルフィール。「これはドラゴンの紅「くれない」。私はドラゴンライダーのほのかだ。正義はだいじなことだ。なにか聞くところによると黎明の騎士という悪党たちが暴れて町を壊したりしているそうだ」とほのか。「ドラゴン倒すこともある。それはいいだろう」とエルフィール。「私はドラゴンが大好きだ。それを殺してまわっているおまえらの悪行知らぬとは言わせないぞ」とほのか。「なんかみんなあんたのやってること怒ってるみたいだけど」とミラル。「なに話しあえば必ずわかりあえるものさ。腹を割って話せばすぐに仲間さ」とエルフィール。エルフィールはほのかに金を渡す。「なんだこれは」とほのか。「五百ゴールドでなんとかならないかな」とエルフィール。「買収だと。やはりおまえたちはそういう人間であったか。わかっていたぞおまえたちの心底腹黒さ。許さぬ」とほのか。「おまえという奴は見事にぶっこわしやがって」とミラル。「いやあ失敗失敗」とエルフィールは頭をかく。「みんなもなんとか言ってやってよ」とミラル。「ぶち殺せ」とレッドドラゴン。「だめだこりゃ」とミラル。「おいおいあんた」とエルフィール。「なんだ」とほのか。「ばんつ見えてるぞ」とエルフィール。「きききき貴様まあ死ねえっ」とほのかとドラゴンは突っ込んでくる。ほのかは長い剣を突く。片手で止めるレッドドラゴン。「なんだこの人間は」と驚くほのか。ドラゴンの紅が炎を吐く。レッドドラゴンはなにも変わらぬ。「こいつら魔物であったか」とほのか。ほのかは雷撃を放つ。バリュウスが防ぐ。精霊をまとったエルフィールがドラゴンの紅をぶん殴る。ふらふらとする紅「くれない」。回復するほのか。「強いな。かなりのてだれだな。戦い慣れている。かなり殺してきたのだろう」とドラゴンの紅。「なんて悪逆な奴らだ。こんな極悪非道の連中をどうすればいいんだ」とほのか。「落ち着け。心をいつもニュートラルにすること。無の境地というのかな。心を静めていつも思い遥か彼方であること。それがだいじだ」とエルフィール。「敵に情けをかけられるとは。もう死ぬしかないな」とほのか。「困ったときはお互い様だよ。支えあえば仲間となり力をあわせればできないことはない」とエルフィール。「おまえらなんかと支えあってなにを支え返してくれるっていうんだ。支えあうからにはおまえらになにか支え返してくれるのか」とほのか。「必ず幸せにするさ」とエルフィール。「おまえらなんぞ信じられるか。あれをやるぞ」とほのか。「それでは我々も死ぬかも知れない」と紅。「やるんだ。おまえら必ず死ぬぞ」とほのか。ほのかと紅の魔力が高まっていく。「やばいんじゃないか」とエルフィール。「私はだいじょうぶだ」とレッドドラゴン。「なんだよそりゃ」とエルフィール。「3キロ先で旅の商隊が盗賊に襲われているぞ」と紅。「救おう。おまえら逃げるなよ」とほのか。紅とそれに乗るほのか飛び立つ。「さあ逃げよう」とエルフィール。「逃げるのかよ」とミラル。一行は逃げるもとい旅立つ。「つづく」とエルフィール。
なかがき。
ほのか役いのうえほのか。紅役いのうえきくこ。
エピソード243
魔法美術館に入る一行。「これは勇者ライラトの剣。これは魔王マグラマカンナトーの杖。始まりの覇王の剣」と学者のトーマス。覇王の剣にふれるとエルフィールは吹っ飛ばされる。壁に激突してのたうちまわるエルフィール。「なんじゃこりゃあうあううあう」と転げまわるエルフィール。「覇王に認められる残虐さでないとそうなります」とトーマス。「これなんだ」とエルフィールは杖を抜く。「そそそそそそれは魔王ジャンジャカジャン封印の杖」とトーマス。「蘇ったぞ」と魔王。「あわわわわわわ」とすぐに戻すエルフィール。「セーフですな」とトーマス。「あんたという奴は学習能力がないのか」とミラルに杖で顔をおしつけられるエルフィール。「ひぐぐぐぐすまなひすまなひ」とエルフィール。「魔王軍だ」と叫ぶ声がする。兵士と獣人たちが争っている。魔王軍には人もいて魚男もいる。ひとりの獣人がやってきて魔王の杖を取る。「解放だ」と獣人。「ほらよ」とひょいとエルフィールが杖のふたを元に戻す。「おまえなにしてくれてんの。ふざけんなよ」と杖のふたを取る獣人。「ほらよ」とエルフィールがふたを戻す。「このやろう死ねえっ」と獣人は魔法の炎を放つ。精霊をまとい剣を光りの槍として槍で炎を払いのける。「あなた殺して私も死ぬわわわわん」と歌うエルフィール。「演歌だとなめやがってこれをくらえ」と獣人は剣と魔法の同時攻撃を放つ。「ほいほいほいなんてったってエルフィールだよーん」と鼻歌まじりに無数の攻撃をひょいひょいかわすエルフィール。杖をあっさりとりかえす。「こいつかなり強い。それならば」と獣人は体を魔法で燃やして杖につっこむ。ふたを燃える体内に入れてしまう。「これで簡単にはとれまい。魔王様ばんざあああああああい」と獣人は死ぬ。「よくやった。魔王リーグリローマグナートとは私のことだ。正しき者たちよ皆殺しだ」と魔王。「ごめんなさい」とエルフィール。「許すわけあるまい。死ね」と魔王。ジョルディーの剣撃が魔王の無数の剣を砕く。「かゆいかゆい」と魔王の剣は元に戻る。魔王の突きをハイベルがいなす。魔法攻撃するミラルとフィルとアドルテアと小桜。「高みの見物かよ」とエルフィール。「別に私が戦いを挑まれたわけじぉない」とレッドドラゴン。「死にそうなときは助けてやらんこともない」とレッドドラゴン。「鬼。人手「ひとで」なし」とエルフィール。「人ではないな」とレッドドラゴン。「さあ正義の使徒たちよ死ぬがいい。おまえたちの魂の花を咲かせよ」と魔王。魔王との戦いにぼろぼろになるエルフィールたち。エルフィールの手が光る。「きたな」とエルフィールはジョルディーと光りで斬る。青年ロークスは快活に暮らしていた。「おおくの人たちを救い幸せにしたい」とロークス。だがある食い違いから国は内戦となり殺し合いに国は四散していった。ロークスの家族も仲間も死んだ。「なぜなんだ。なぜなんだ」と涙するロークス。ロークスはテロを始めておおくの人たちを殺してまわった。十年後もうロークスは体すら失っていた。「私はなんなのだ」とロークス。「魔王様」と獣人。「そうか。殺戮を始めよう」と魔王。魔王は光りの中虫になっている。天使がやってくる。「魔王は数億の輪廻転生ののちに浄化された魂は神様に戻ります。みなさんありがとう」と天使は虫と去る。「災難ね」とミラル。「さあ旅だ。旅がしたい」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード244
一行は焚き火にあたる。「みんな助けてくれない」とエルフィール。「あんたが偉大すぎるのよ」とミラル。「簡単なことだよ。普段からいっさいがっさいすべての過去を考えないで未来だけ考えるように訓練していくのさ。偉大な業績とは過去だからね。悲しみも過去。未来だけ見てたら悲しみはない。未来は必ずいい世界だから。印刷してるものは過去だから見ない。思いだしもしない。あたまんなか未来だけ。いつもいつまでも未来だけ遥か彼方思い続けること。それで生活すること。未来思考できれば圧なんてない。慣れればオフにして過去のことも考えることも自在。私はできるぞ」とエルフィール。「はいはい。みんなができないとね意味ないよね」とミラル。「結婚にまどうならセイバーマリオネットのエンディング何度も聞くなんていい。ふたりいればなにもいらないというの。もう嫁がいないなら精神病院に入院すると思う。嫁募集。できる女性はいるけど不満があるぞと嫁になってくれない。とほほほほほほ。会って話ができる五人くらいの表現者も入院すればいい結婚はしないよとけんもほろろ。痛みもないしつらくもない。悲しくもない。ただ嫁もなくずっとひとりで生きていくのかと思うといっぱいいっぱいのままというか」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード245
一行はある村に来る。この村の人たちはみんな翼がある。「天使みたいだな」とエルフィール。「なんで私の翼さわってるの。やめてくれませんか」と少女。「よいではないかよいではないか」とエルフィールはさわる。「やめんか」とミラルがぶん殴る。「いやあめんごめんご。そでふれあうもなにかの縁。話を聞かせてくれ」とエルフィール。「なにあんたらあやしいわね」と少女。「私たちは黎明の騎士だ」とエルフィール。「確かにうわさに聞く人たちと同じね。いいわ。話しましょう。私はケイト。大人は社会に関心を持て支えあえという。でも支えたから支え返してくれのかしら。社会に関心を持ったから社会が私に関心を持ってくれるかしら。ぼろぞうきんのように道でぼろぼろになっていないという保証はないわよね。会社だけ大もうけしてごみみたいにすてられる。そうならないとは限らない。救ったから救われるといえるだけのものがこの社会にあるかしら。労力だけとられてすてられないという確かなものがほしいわ」とケイト。「もっともだ。この一族は旅の儀式はするのかな」とエルフィール。「ええ寒い季節の地へ飛んで行くのよ。でも私は始めて飛ぶから怖いわね。生きるのはつらいこともある。怖いこともある。この苦しみの先に明るい世界があると思えない」とケイト。「私にまかせておきな」とエルフィール。小動物が翼となってエルフィールはケイトをもって空へと羽ばたく。木のすれすれを飛んだりひたすら空を飛ぶ。豪快な雲のまわりをまわり飛ぶ。くるくるまわると世界が大地が空がまわっていく。鳥と競争。ひたすら地平線の彼方へ。半日飛んでみた。ミラルたちの元に戻ってくる。「すばらしいわね。これが未来なのね」とケイト。「それもいいさ」とエルフィール。ケイトはくるりとまわり光りの花火が無数に放たれる。「美くしい」と涙をぬぐうミラル。「私たち翼人「つばさびと」は自分だけのオリジナルの魔法を覚えるの。私のはこれ。感謝のしるし」とケイト。数日滞在していた。翼人たちは旅立つ。「またな」とエルフィール。「あなたに神の祝福があるように。運命が導くならまた会うこともあるでしょう。またね」とケイトたち翼人たちは飛び立つ。姿が見えなくなるまで見ていた。「さあ旅立とう」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード246
一行は焚き火にあたる。「パワーでない」とミラル。「簡単なことだよ。パワーと念じ続ければいいんだよ。パワーと心の中で何度もパワーの文字を読み念じ続けること」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード247
一行は焚き火にあたる。「だいじなことはパソコンとか目の前の壁にメモして張っとくといい。マジックとかのが文字がでかくていいよ」とエルフィール。「言葉工房の言葉とかねメモしとくわけね」とミラル。「わかっただけん」と小桜。一行はじゃがバターを食べる。一行は焚き火にあたる。
エピソード248
一行は焚き火にあたる。「あんたはなんでもできるからいいわよ」とミラル。「私だってできなくて壁にぶつかってなんていっぱいあったよ。新書読んだり文庫読んだりあがいてあがいていると心が生まれ変わってできる心になるんだよ。量による質への転化。あがく量の質的変化。それが奇跡の仕組みさ」とエルフィール。「いまだったらたかさきはやとの言葉読んだりもいいわよ」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード249
一行は旅をしていると小人と出会う。「どうやら用があるようだ。ネムよろしく」とエルフィール。一行は小人になる。「私はリングロット。冒険家だ。小人がやっと通れる洞窟で探しているものがある。黎明の騎士たちよ力を貸してくれ」とリングロット。「いいぜ」とエルフィールたちは金貨を受け取り小人の大きさの洞窟に入る。ムカデを一刀両断にするエルフィールとジョルディー。「ドラゴンだ」とハイベル。「つまりとかげですな」とらいでん。ミラルたちの魔法攻撃にひるんだすきにエルフィールが一刀両断にする。通路の先に巨大な岩があり周囲は池だ。「この岩の先だと思われる」とリングロット。ジョルディーがグリズリーフィッシャーで岩を一刀両断にする。岩はドラゴンになる。真っ赤に焼けた石炭のドラゴンである。ドラゴンの炎を盾でふせぐエルフィール。「あちあちあち」とエルフィール。ジョルディーが足を斬る。だがまた元に戻ってしまう。「みんなで持てばなにもかも軽くなる」とエルフィール。みんなでドラゴンをひっくりかえす。池で冷やされて砂になるドラゴン。岩の先には光りの世界がある。「これが小人たちの天国ラウルラーランドだ」とリングロット。「これからどうするんだ」とエルフィール。「私は亡くなった祖父や親と会いたい。私は死にます。ここでさよならだ」とリングロット。「幸せにな」とエルフィールたちは別れる。「それもまた人生だ」とエルフィール。「幸せは人それぞれね」とミラル。「リングロットに幸「さち」あれ」とフィル。一行は旅立つ。
エピソード250
一行は焚き火にあたる。「連絡を取る量による質的変化が家族だから。いつまでも無言では家族にはなれないぞ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード251
一行は焚き火にあたる。「声優さんとかアイドルとか嫁にきたいのはうれしいんだけど過去のたかさきはやとの発言がこうだからいまは結婚できないとかいうの。文化人て天然がおおくてね。たかさきはやとじゃなければ答えられない難問に答えていたら受け答えしていたその文化人があらあなた亡くなったんですってでも質問できてうれしいわとね。生きてなかったらいまの私は誰みたいな。過去のたかさきはやとどうこうじゃなくいまのたかさきはやとを信じてほしいみたいな。ファンもそういうファンレター送ってあげるとか」とエルフィール。「天然すぎるのもね。困るよね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード252
一行は焚き火にあたる。「声優やアイドルが天然すぎて困るって」とミラル。「亡くなったといわれる頃からのたかさきはやとの業績を研究会するのさ。一緒に雑談するようにたかさきはやとはこうしたんだって。すごいよねみたいな一緒に研究し続けること。その人研究することが信頼となるからね。信頼するまでそういう話をすること」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード253
「依頼したい。私はラングロード」とラングロード。「どこへ行くんだ」とエルフィール。「空飛ぶ遺跡ローグナートーだ」とラングロード。「それじゃ行くか」とエルフィールたちはバリュウスに乗って空を飛ぶ。空飛ぶ遺跡に到着する。かなり広大な遺跡だ。石の柱や石の建物が並ぶ。「なにを探してるんだ」とエルフィール。「私の本質だ」とラングロード。「よくわからん」とエルフィール。「依頼人の気持ちが納得すればいいのよ」とミラル。「遺跡の窓から空が飛んでいくさまが見えるぞ」とエルフィール。「観光じゃないのよお仕事お仕事はいはいはい」とミラル。「へいへいへーいへいへい」とエルフィール。「はいでしょ」とミラル。「扉よ」とミラル。石の高さ5メートルはある石の扉がある。扉は装飾がしてある。「蹴り破「やぶ」れ」とエルフィールは蹴り破る。水がどんどん流れて流される一行。「おまへというやつはごぼごぼ」とミラル。「ごめごめんごぼごぼ」とエルフィール。なんとか流れの穏やかなとこから上がる一行。「まだ流れてるよ。天空なのにどこから水がくるのやら」とエルフィール。「こっちだ」とラングロード。「くっそー水でぐしゃぐしゃよ」とミラル。「汚い言葉使うと幸せ逃げていくぞ」とエルフィール。「あんただって使うでしょうよ」とミラル。「人に教えることで自分も教わる。これぞ一石二鳥」とエルフィール。「勝手なことを言う」とミラル。猫の村がある。「我々は遺跡に住まう猫じゃもん一族。ここに何億年も生きてきた」と猫の村長。「家も猫サイズだよかわいいもんだ」とエルフィール。「礼儀を忘れないでよ」とミラル。「へいがってんだ」とエルフィール。「いい方がもう許せない」とミラル。 「猫茶ですじゃ」と猫の村長。一行は休息をとる。「直接支援とはなにか」とミラル。「直接支援とはなんでも屋だ。目の前で困ってる人を救うれべるだ。表現の世界は遠距離支援でありその原作者たるベテランや巨匠たちは実は直接支援れべるは低かったりする。たかさきはやとや著名人を救ったり。救いたい人救うにはこのなんでも屋となり直接支援れべるを上げる必要がある。そのためにはNPOとかNGOが一番腕を磨ける。直接支援れべるは上げといて損はないよ。災害とかのときにも役立てる。普段から人も救えるからね。ただ直接支援の団体の給料は安いよ」とエルフィール。「なぜ格差はなくならないの」とミラル。「世界は二極化している。たかさきはやとを知っている人たちと知らない人たち。知ってる人はあらゆる研究などたかさきはやとのノウハウにありつける。世界平和になりベテランがやめてメディアが弱体化してたかさきはやとを知らせる力が弱いためだな。たかさきはやと知らない人はノウハウにありつけずに貧乏なままだ」とエルフィール。「この猫の村は幸せなのか」とエルフィール。「猫と猫の戦いは六千年続いた。いまは平和じゃよ」と猫の村長。「猫の魔法は開く魔法。心を開くのじゃ」と猫の村長。猫は二本足で立ちながら歩いている。「この魔法を使えるか」とラングロード。「やってみよう」と猫の村長。猫の村長が魔法を放つと祭壇が開き水晶の玉がある。そこから水が流れている。「これだ」とラングロードは玉にふれる。「あなたの罪を許すために」と美くしいすきとおった黒人の女性がラングロードにふれる。「私はこの時を五十年待っていた。罪をつぐなうために」とラングロード。「それはよかったな」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード254
一行は焚き火にあたる。「神秘的にファンタジーに見てしまうと興奮する。それが圧までいく。それが主観。科学的に客観的に分析して見ると冷静になれる。冷静なら圧はない。冷静なうちに目の前で慣れてしまうこと」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード255
一行は焚き火にあたる。「興奮しないようにするにはそのものを見ないようにすること。そのものを考えないようにすること。感じないようにすることで興奮しないで冷静にいること。意識しないようにして感覚に距離をとる。それが冷静。 それでそばにいき慣れてしまうこと。一緒にいればすぐに慣れる。慣れてしまえばもうだいじょうぶだ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード256
「依頼だ」とジョルディー。「わしはドワーフのソンフィフティ。地下五階分のダンジョンをドワーフの町としたのだが雑多に住んだためにどこに誰がいるかわからない。町の地図を作ってほしい」とソンフィフティ。「わかった」とエルフィール。洞窟にはたいまつがそこかしこについている。「ここはチェックした。ここは居酒屋だ」とエルフィール。酔っ払いの若いドワーフたちがたむろしている。「ようねーちゃん酒つげよ」とドワーフ。「腕を放せ」とエルフィールはドワーフたちを投げ飛ばす。「ひえー」とドワーフたちは逃げていく。「ここは柄の悪いやつらがいる」とエルフィール。「そんなこと書くな」とミラル。猫がたくさんいる。「猫の広場」とエルフィール。川が流れている。「川と」とエルフィール。「ここは養豚場」とエルフィール。スケルトンが十体あらわれる。「まいどながら歓迎しないとな」とジョルディーはスケルトンを一刀両断にする。「祝宴の前祝いだ」とハイベルの剛剣がうなる。「たいまつがもうちょい」とらいでんが本を書いてる。「らいでん。いまはそんなときじゃないぞ」とエルフィールは剣をふるう。「ファイアーボール」とミラル。スケルトンはファイアーボールを跳ね返す。「あちあちあちあち」とエルフィールが燃えている。「ウォーターボール」とアドルテアの魔法に「助かった」とエルフィール。「おまえふざけんなよ」とエルフィール。「わざとじゃないでしょ」とミラル。倒してからさらに歩いた公園で食事にする。「サンドイッチもいいねえ」とエルフィール。「おにぎりもいいわよ」とミラル。「酒がいいねえ」とジョルディー。「いけませんねえ。こんな昼から」とハイベル。「でもダンジョンは真っ暗じゃないか」とジョルディー。「子供に十分かまってやらなかったら子供は不良になってしまった。あんたも子供にはかまうことだ。それが愛じゃよ」と老人のドワーフ。「じじい話が長いなら遠慮したいなあ」とエルフィール。「やめなさい老人にそんなこというの」とミラル。宴会やってるドワーフたちがわいわいにぎやかだ。「なかなかいい雰囲気だねえ」とエルフィール。「平和ねえ」とミラル。「幸せはいいことです」とフィル。「楽しいだけん」と小桜。「それが私のいいーとこおー」と歌うエルフィール。「おんちい」とミラル。「それもいいさ」とジョルディー。「幸せはわかちあいたい」とハイベル。「こんなのどかな旅もいいものですねえ」とフィル。一行はあらかた地図を作っていく。とある岩場にドラゴンがいた。「なに用だ人の子よ」とドラゴン。「いやまあ地図作ってるだけだけど。ドワーフに仇「あだ」なすなら戦うぞ」とエルフィール。「私はただここで千年休んでるだけだ。危害は加えない」とドラゴン。「それをもらおう」とドラゴン。「なにをだ」とエルフィール。エルフィールの手が光っている。ジョルディーと光りで斬る。魚がたくさん泳いでいる。水はない。はるか流れの彼方の海にはすべての人たちが集まる天国という海がある。すべては光りとなる。元の岩場である。「確かに受け取った」とドラゴン。「不思議だ」とエルフィールたちは地図を完成させる。「楽勝だったな」とエルフィール。「さあ旅に出ましょう」とミラル。一行は旅立つ。
エピソード257
一行は焚き火にあたる。「エルフィールは人に圧を感じていたんでしょう。なにをしたら圧がなくなったの」とミラル。「みんないい人なんだと思ったら圧はなくなった。心の底から私のことをいい人だと思ったら圧なんてなくなるよ。悪意なんてないといい人だと思うこと。それだけだ」とエルフィール。「アニメスタジオもゲームスタジオも出版社も疑ってるから入れない。テレビもラジオも疑ってるから特集しない。平和になったらでていってくれ。七人の侍だ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード258
一行は焚き火にあたる。「ひきこもりはみんな悪い人というのをみんないい人だと思ったら圧はなくなった。たかさきはやとも偉大な人だというのを普通の人だと思えば圧はなくなる」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード259
一行は魔法図書館に来てる。「なんか本が飛んでるぞ」とエルフィール。「魔法書は意識を持っています。だから飛んだり自分で力を使ったり人と同じなんです」と司書の老人。「なにをしたらいい」とエルフィール。「本を運んだりします」と司書。本を運んだりした。「そこをなんとか頼むよ」とエルフィール。「ふざけんなよ」と本。納得しない魔法書を説得したりした。昼になりめしとなる一行。「本がこんなにわからずやだとはね」とエルフィール。「本だけにすごい説得力だ」とジョルディー。「神の書なんてあってまあ勉強になる」とハイベル。「私はここに住んでもいい」とらいでん。「楽しいけれどもなんか罵声はすごい言葉が並ぶわね」とミラル。「かなり貴重な本がありました。借りていきます」とフィル。「仲良くなった」と小桜の頭の上には本がある。「いい曲が思い浮かんだ」とダミエールは一曲弾く。おだやかな時が流れる。「だいぶ楽しい仕事だな」とジョルディー。「こんな仕事なら毎日いいですな」とハイベル。「ピクニックみたいね」とミラル。「読書会をして帰りましょう」とフィル。食後に本が暴れている。「倒すしかありませんな」と司書の老人。「魔法攻撃だ」とエルフィールは精霊をまとい槍で本のファイアーボール十七つをはじく。本からドラゴンが出てくる。魔法攻撃をミラルたちはする。ジョルディーの剣戟がドラゴンの歯を砕く。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「あなたがたは未来の王か」と本。「ゆうとおりにしょう」と本はおとなしくなった。「未来の王てなんだ」とエルフィール。本はもう話さなかった。それから本たちは黎明の騎士たちに従った。「また頼む」と老人の司書。「さあ旅立とう」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード260
一行は焚き火にあたる。「普通とは異常ではないということ。普通とは人として普通の五感や基本的能力を持っていること。神様というのはこの世界の構造でありたかさきはやとは普通の人であること。末期がんとか普通の人が死ぬ病気でたかさきはやとも死ぬということ。文化人もトラックの運転手や看護師に転職したらふつうであること。インスピレイションはすごくても物理的な仕事になったらふつうの人であること。すべての人は平等であり普通であること。命の重さはみんな同じ。命は平等であること。人としての権利は平等であること。生きる権利はみんな同じく持っていること。人は歌う権利を持っている。人は願いの叶う権利を持っている。人は食事する権利を持っている。人は結婚する権利を持っている。人は夢見る権利を持っている。人は幸せになる権利を持っている。誰もがみな同じ人なのである。誰も違う人なんていないのだ。 人は働く権利を持っている。人は睡眠を取る権利を持っている。人はメディアを楽しむ権利を持っている。人は愛する権利を持っている。人は愛される権利を持っている。人は平和に生きる権利がある。誰もがみな同じ人なのである。誰も違う人なんていないのだ。たかさきはやとも誰でも同じ人なのである。 人は同格であること。人間としての存在理由。誰もが魂はひとつなこと。みんな同じ夢であること。 人は愛ゆえに人である。誰もが家族となれる。みんな同じ人であること。これは右手である。これは人である。 人は人である。人はいつも人である。 人は誰でも心を持っている。人は誰でも愛を持っている。人は誰でも涙を持っている。人は誰でも同じである。 人は誰でもうれしがれる心を持っている。人は誰でも愛せる心を持っている。人は誰でも同じである。 人とは。 人は誰でも喜ぶ心を持っている。人は誰でも幸せになる心を持っている。人は誰でも同じ人である。 たかさきはやともみんなもふつうの心ある同じ人なのである。 人は誰でも痛みを感じる心を持っている。人は誰でも癒される心を持っている。人は誰でも同じ人である。 人は誰でも感動する心を持っている。人は誰でも感動させられる心を持っている。人は誰でも同じ人である。 たかさきはやともみんなもふつうの心ある同じ人なのである。 人はあらゆる研究をできる心を持つ同じ人なのである。人は罪を許せる心を持っている。人は誰でも同じ人なのである。 人は大いなる流れのひとつの流れ。みんな同じ流れなのである。人は支えあうつながり。人は支えあう同じ存在なのである。 人は誰もが心という翼を永遠の旅人。誰もが同じ旅人。人は過去といまと未来のある同じ人であること。 人は誰もが喜怒哀楽を持つ同じ心の旅人。 ここの260の人のという一連の文章を読み返し人はみんな同じことを研究し続けること。常に研究して読み返しながら。そしたらうちの前に来てみること。研究し続けて読み返し続けて必ずできる。このとこ書き足していくからそのつもりで。長くできなかったから自信がない。自分を信じるとは自分を研究すること。最後の最後は怒っているかいなか。暴力のなんばーつーにたかさきはやとに嫁がいないことに怒っているかいなかだな。怒ってない奴はいつまでもできない。怒りとは力だからね。なんばへつーの暴力を感じている人。たかさきはやとの孤独。相手の身になって考えていくときに怒りを覚えないか」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード261
一行はある町にきていた。かなり町はにぎわっている。「祭りだ」とエルフィール。神輿「みこし」がどんどん出ている。屋台で買い食いしたりした。レストランで食事してから公園で休む。「いい雰囲気だな」とエルフィール。「気分がいいわね」とミラル。「町の人たちもいい雰囲気だ」とジョルディー。「こういう日はいいですな」とハイベル。子供たちがわいわい遊んでいる。「のどかねえ」とミラル。軽く歌う一行。それぞれが歌う。エルフィールは鳥のようだ。ミラルもナチュラル。ジョルディーの歌も渋い。「宿は決めてあるから飲もう」と酒を飲むジョルディー。「少し寒いな」とダミエールは歌のくだりからずっと曲を弾いている。「みんなでいればそこが天国ね」とフィル。ダミエールの曲が心に響く。酔っ払ったりほのかにいい感じだ。鳥がめしを狙ってくる。「やらんぞ」とエルフィールはからあげをふりまわす。「花火やろうぜ」とエルフィール。「ふつうは家の前でするものでしょう」とミラル。エルフィールはミラルに花火の一斉攻撃する。「やりやがったな」とミラルもしかえす。「きれいねえ」とフィル。空飛ぶイルカに乗る一行。空を自在に飛びまわる。水の中もイルカはいく。寺を見て歩き参拝してお祈りする。宿に戻ってきてわいわい話しあう。「いい一日だったなあ」とエルフィール。「掘り出しの本がありました」とらいでん。「それじゃいつもと同じじゃん」とエルフィール。「またしめの一杯もいい」とハイベル。買ってきた弁当をほおばる。「いい一日だったわ」とミラル。「こういう日もいいわね」とフィル。「こういう日は助かります」とアドルテア。「静かな一日に乾杯」とダミエールは軽く弾く。「いい日だなあ。旅立ちたい」とエルフィール。「ゆっくりもいいだけん」と小桜。「一日歩いて疲れたわ」とミラル。「休みましょう」とフィル。「眠りの一曲」とダミエール。一行は休む。次の日。「さあ旅立とう」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード262
エルフィールたち黎明の騎士たちがこの世界にあらわれた。世界の問題は五十年で解決した。いやあめでたしめでたし。「はっ夢か」とたかさきはやと。「先生。原稿はやくあげてください」と編集。「はいはいはいよ」とたかさき。一行は旅立つのであった。ちゃんちゃん。
エピソード263
「依頼だ」とジョルディー。「私はジラント。必殺技オーディアンを完成させたいのです。必殺技にはかなり攻撃されている状況が必要なんです。攻撃してください」とジラント。ミラルのフィルのアドルテアの小桜の魔法攻撃がジラントに集中する。ジラントの高めた魔力が攻撃を無効化する。「だいじょうぶか」とエルフィール。「これではなまぬるい。もっと攻撃してくれ」とジラント。精霊をまとったエルフィールがミラルたちの魔法攻撃をくぐりぬけてジラントを攻撃する。ジョルディーのグリズリーフィッシャーがうなる。ハイベルの剛剣がうなる。ジラントの周囲は燃えたぎっている。「まだまだまだだめだ。魔王の攻撃はもっとすごいぞ」とジラント。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。ジラントの周囲がありえないほどの力でつぶされる。「これだ必殺剣「ひっさつけん」っっっっっっっっ」とジラントの剣から光りを放つ。遥か彼方の町が崩壊する。「この距離でぶつかるか」とエルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。町は元に戻る。「いますぐだったからなんとかなったよ」とエルフィールはため息つく。「私の地方の魔王ラングルラッドラッドロッドクーンを倒しにいきます」とジラント。「まあありのままにな」とエルフィール。ジラントと別れて一行は旅立つ。
エピソード264
天使メルフィルがいる。「やーやーあんたらひっさしぶりい」とメルフィル。「おめーかよ」とエルフィール。「失礼よ。天使様なんだし」とミラル。なにか光っている光りの玉をメルフィルはもっている。「なんだいそりゃ」とエルフィール。「天使の書よ。別名未来の書とも言う人の未来が書いてある本よ」とメルフィル。「いただきっ」とエルフィールが天使の書を盗む。「やらせるかっ」とメルフィルがエルフィールの手の中の天使の書をける。「いただきっ」とジョルディー。「あんたたちねえ。とおっ」とメルフィルは天使の書をける。「もらったあっ」とミラル。「させるかっ」とメルフィルのけり。それを繰り返してるうちにエルフィールが天使の書を開く。「なにも書いてない」とエルフィール。「天使の書は人には無限の可能性があるという永遠の未来があるだけで未来はなにも決まってないのよ。すべての未来は白紙よ」とメルフィル。「なあーんだ。期待して損しちゃった」とミラル。「未来がわからないから人は不安になる」とフィル。「未来はわかってるさ」とエルフィール。「なによ」とミラル。「みんなで一緒に旅をしている。それが私たちの未来さ」とエルフィール。「そうかもね」とミラルは笑う。「さあ旅だ。旅がしたい。旅立とう」とエルフィールたち一行は旅立つ。
エピソード265
一行は砂漠を歩いている。魔物たちがいる。襲い来る魔物を倒すとなにかの流れを感じた。「なんだこの流れは」とエルフィール。「魔力の流れでもある」とミラル。「それは光りの流れの源流」と声がする。「殺気の流れでもあるな」とジョルディー。「力の流れでもある」とハイベル。「知識の流れでもある」とらいでん。「賢者の流れでもある」とフィル。「これは未来の流れの源流」と声。「つまりなんなんだい」とエルフィール。「すべての愛の心の源流」と声。「いいからだからなんだってんだい」とエルフィール。「そんなにあせるともらいは少ないぞ」と声。「上等だあ。こちとら江戸っ子でえい。早飯早糞あたりまえよ」とエルフィール。「そういうことじゃなくてこれはすべての源流なのよ」とミラル。「すべてはひとつの流れから生まれる。生まれ変わるのもこの力なのよ」とフィル。黒く光るそれは透き通ったたま。「これは幻流「げんりゅう」だ。これを貴殿に授けよう」と声。「くれるならなんでももらうよ」とエルフィール。「そんな簡単なことじゃないのよ。よく考えてエルフィール」とミラル。「その責任はあなたにあるということですよ」とフィル。「いいじゃないの。それもまた一興さ。そうだろうジョルディー」とエルフィール。「エルフィールの思いのままに」とジョルディー。「それじゃもーらい」ともらうエルフィール。たまはエルフィールとひとつになる。「それはあなたの本質となりて」とフィル。「これからどうするの」とミラル。「旅だ。旅がしたい。旅立とう」とエルフィールたち一行は旅立つ。
エピソード266
一行は焚き火にあたる。「平和ショックとは精神的な老いをもたらしみんな力で解決できない。テクニックが必要だった。テレビも過去にとらわれたかさき作品流せなくなり警察自衛隊も過去にとらわれ逮捕できなくなりとにかくみんな過去に縛られた。トップやナンバーツーは暴力の特質をよく知っている。暴力で刻まれたこれは忘れない。でもそんな過去を考えるのはやめていまと未来だけ研究して生きてもいいんじゃないか。そんな暴力で刻まれた過去は忘れていま一緒に住んでいまを楽しもう。それが幸せ。それがほんとうのこと。過去ばかり見て途方に暮れてないで過去はいっさい見ないでいまと未来だけ見よう。そして一緒に住もう」とエルフィール。「過去にとらわれないで未来を手に入れて」とミラル。「未来思考を研究しなさい。研究とは文章に書き出したり話しあったりすること。ひとりでもできるけど」とフィル。「未来思考とはいっさい過去のことは考えない見ない。覚えているものは使わない。未来だけ見て生きていく。未来思考できれば自在に過去にふれてもだいじょうぶになる。できるようになると過去にはいっさい縛られなくなる。心が自由になるわけだ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード267
一行は焚き火にあたる。「未来思考もできるようならエピソード217を何度も読んで覚悟できればできるよ」とエルフィール。「わかっただけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード268
一行はある山々の頂上を歩いている。月がかげった。「月の花が開くには力が必要だ」と声。「月の花が開かなければどうなる」とエルフィール。「みんな不幸になる」と声。エルフィールたちは魔力を高め月にあたえる。「もっとだ」と声。「もう限界だ」とエルフィール。「エルフィール」とジョルディーはエルフィールの手をにぎる。エルフィールはミラルの手をにぎる。「みんな」とミラル。フィルもハイベルもらいでんもみんな手をにぎり魔力を月にあたえる。「こなくそおおおおおおおっっっ」とエルフィール。月は花開き虹の光りの花が月を彩る。倒れこむエルフィールたち。「やってやったぜ」とエルフィール。「でどうなる」とジョルディー。「月の花が開けば今日みんな幸せとなる。ありがとう人の子よ。大いなる意思たちから感謝しょう」と声。「感謝はいいから酒でもおごれ」とエルフィール。雨が降りそれは酒の雨であった。「まあいいか」とエルフィールは酒の雨を飲む。一行は旅立つ。
エピソード269
「依頼だ」とジョルディー。「なんの依頼だい」とエルフィール。「うちは宅配の仕事だよ」とおっちゃん。「ということは憧れの魔女の宅急便ね」とミラル。「うちは小物はやってないんだよ。うちはワイヴァーン宅急便だよ。あんたらレースのときの人かひさしぶり」とおっちゃん。「いやだなあ」とミラル。エルフィールとミラルはワイヴァーンに乗る。ワイヴァーンは足に大きな荷物持っている。「言うこと聞かないぞ」とエルフィール。エルフィールは両手のげんこつでぐりぐりする。いきおいよく飛び立つワイヴァーン。「いっけええええええっっっっっ」とエルフィール。「いやああああああっっっっ」とミラルの叫びが余韻を残した。他のワイヴァーンが道をゆずらない。「こなくそおおおおおおっっっ」とエルフィール。「ふんぎゃああああっっっ」とミラル。一日中運んで「もういやよおおおおっっっ」とミラル。「いやあ稼いだ稼いだ」とエルフィールは笑う。「またよろしくなっ」とおっちゃん。「よろしくっ」とエルフィール。「魔女宅がいいーっ」とミラルの叫びが響いた。ちゃんちゃん。
エピソード270
一行は焚き火にあたる。「覚悟のとこの文章はテクニックだ。技術だな。心は原動力となり遥か彼方の思いを放つことで無限の力となり不安な時代を愛という歴史に変えるだろう。黄昏の季節を永遠の世界へと変える力。遥か彼方の思いを放ち続けているとある瞬間にこの不安な時代のカップから思いがあふれてできてしまう。あふれた思いは世界を抱きしめ世界を変える。心が不安だからできない。未来は白紙ゆえに不安な心が遥か彼方の思いでみたされ思いで心も抱きしめて心は羽ばたく。失敗はへこむけれどもまた遥か彼方の思いがそれさえも越えていく。不安な心を遥か彼方の思いがみたし抱きしめたら心羽ばたき体が自然と動きだすこと。体が動かないのは思いを使い込んでしまっていること。遥か彼方の思いを心に充填すること」とエルフィール。「わかったけん」と小桜。「休息もわすれずに」とフィル。一行はシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード271
エルフィールが闇の中歩いている。ジョルディーがいる。「人が人であるように。愛が愛であるように。夢叶うなり夢破れるなり生きる力はふたりのなかにある」とジョルディー。アーティニーが歩いてくる。「私たちの空は永遠へとつながっていく。世界は永遠の歌。歌って人生を。歌って愛を。歌って。誰かが忘れてしまった心の歌を」とアーティニー。「人であるまえにこの運命を愛していたい。生まれた奇跡。出会えた奇跡。巡り逢う奇跡を愛し続けていたい。許されるならもうすこし一緒にいたい」とエルフィール。三人は手をあわせる。光りが生まれた。「それは次の世代という奇跡。生まれた光りは未来という希望。このやさしさにいだかれた世界に生まれ落ちたから。この運命をうれしく思うから」とジョルディー。「あたたかい流れに生まれあたたかい流れに生きる。あたたかい流れにとけていく日々よ。何度生まれ変わったら苦しみは浄化されるのだろうか。この願いを叶えて光りよ」とアーティニー。「わすれゆく日々にも生きたあかしを残して旅は続く。愛の旅は始まった。心の旅は始まった。この願い果て尽きるまで永遠を旅するから。ゆっくり愛した日々も希望の流れに生まれ変わる。いま旅立つとき」とエルフィール。三人は流れに身をまかせてそこにいた。
エピソード272
一行は焚き火にあたる。「エピソード217の覚悟のとこをできるまで無限に読み直せば必ずできる」とエルフィール。「健闘を祈ります」とフィル。一行は焚き火にあたる。
エピソード273
一行は焚き火にあたる。「もうひととおりいいわけでしょ」とミラル。「それならばエピソード217の覚悟のとこをできるまで無限に読み直せば必ずできる」とエルフィール。「あと一歩というところです」とフィル。「もうすこしだな」とジョルディー。一行は焚き火にあたる。
エピソード274
夜に光る猫たちが波うち空を飛ぶ。エルフィールは一匹の猫を捕まえる。「なにするにゃ」と猫。「いやあ珍しい猫だ。売ったらいい商売になりそうだ」とエルフィール。「やめるにゃ。我輩たちは偉大なる猫であるにゃ」と猫。「あんたらなんなんだい」とエルフィール。「我々は星猫「ほしねこ」にゃ。年をとった猫は猫又になり光って空を飛ぶのにゃ。にゃめんなよ」と星猫。「やはりいい商売になるなあ」とエルフィール。「やめなさい」とミラル。「これだから人って奴はいけないにゃ」と星猫。「これからどこに行くのですか」とフィル。「猫が生まれる猫の源泉の猫流「ねこりゅう」に行き猫の光りとなり猫たちを生み出すのだ」と星猫。「偉い偉いさっすがあ。すばらしいなあ」とエルフィール。「棒読みだけどね」とミラル。 「猫を愚弄するにゃいにゃい。いくつもの苦難を越えて猫流は守られているにゃ」と星猫。「猫には猫の苦労があるんだなあ。偉い偉い」とエルフィール。「あきらかに馬鹿にしてるにゃ。地獄におちろにゃー」と星猫。エルフィールはすっころぶ。「なんだいったい」とエルフィール。「かっかっかっ。おまえの運を無くしたやったにゃ。ざまあみろにゃ」と星猫。 「てめこのやろ」とひっくりかえるエルフィール。ごろごろ転がって岩にぶつかるエルフィール。「もうしわけない。無礼許してもらえないか」とジョルディー。「かっかっかっいいにゃ。ゆるすにゃ」と星猫。「こなくそおっ」とエルフィールは星猫をける。「ほいよっ」と星猫はしっぽで受け流す。転げて岩にぶつかるエルフィール。「いてて」とエルフィール。「猫は二階からでも着地する柔軟さにゃ。あまいあまいにゃ」と星猫。「エルフィール。まるで小学生みたいなことしないのよ。大人でしょう」とミラル。「いやまあ大人だけどさ。なんか負けた気がするなあ。くやしいなあ」とエルフィール。「どちらが上か下かだけが人生じゃないさ」とジョルディー。「それはそうだけどさ」とエルフィール。「猫波「ねこなみ」がくるにゃ」と星猫。光りの星猫たちが無数にやってくる。「うわわわわわわっ」とエルフィールは猫まみれになる。「なんとかなった」とフィルの魔法でなんとかやり過ごす。「我輩も協力したにゃ」と星猫。「まったく猫って奴は」とエルフィール。「なににゃ」と星猫。「いやまあ猫好きだけどさ」とエルフィール。「それくれにゃ」と星猫。「なにがだよ」とエルフィール。「その光りにゃ」と星猫。エルフィールの手が光っている。ジョルディーと光りで斬る。星猫は無数の次元を世界を得る。「このことは忘れないにゃ」と星猫。「またな」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード275
「依頼だ」とジョルディー。「私は学者のウイナル。気になるドラゴンがいるのです」とウイナル。一行はバリュウスで流星のドラゴンに行く。ドラゴンに降り立つ。「このドラゴンは流星竜「りゅうせいりゅう」とか星竜「ほしりゅう」と呼ばれています」とウイナル。「なに用だ人の子よ」と星竜。「あんた幸せかい」とエルフィール。「我は大きくなりすぎてもうダークマターの流れの星流「ほしりゅう」から外れて超新星爆発するとこだ」と星竜。「死ぬのかい」とエルフィール。「それはひとつの大きなさだめなのだ。もう神様が決めたことさ。命は巡り逢い遥か彼方の海と成る。それはさだめなのだ。命が生まれた時からの流れさだめ。それは命の宿命というものさ。我々はそれを恐れない。命は無限の力。そしてそれは命流「めいりゅう」となって宇宙を巡り逢う。それは命のさだめというものよ。そのために命は生まれ巡り逢うためにまた輝き巡る。命の宿命を知らないのか」と星竜。「それはたいへんだなあ。私なんていきあたりばったりだから出会ったことに即興「そっきょう」よ。なんかてきとうにやってるとうまくいっちゃうからさ。私は馬鹿なんだけど仲間が優秀だからなんとかなっちゃうんだよ。それはまあなんか素敵なことさ。あんただって青春はあっただろうさ。命にだってぎらぎらした日々があったからあんたも生きてこれたはずさ。死ぬことだ悟ったとかなんとかそれこそあんたが老人である証拠ではないかな」とエルフィール。「それはそうかも知れない。悟ったなどとは死ぬ言い訳かも知れぬな。だが私も長生きしすぎた。仲間はみんな死んだ。我だけ生き残ってどうするかいなかそれが問題だ。なにもかもが答えならばそれもいい。生きて汚名もいいだろう。だが死ぬ覚悟こそ美くしい。そう思うこともある」と星竜。「あんたに渡したいものがある」とエルフィール。「なんだ」と星竜。「希望だ。生きていくには希望が必要だ。それは未来をあんたに渡したい。まだ未来をあんたは知らないから死ぬというのだ。未来をあたえたい。未来はまだ真っ白さ。未来は白紙さ。だからこそ未来は美くしい。この未来をあんたに渡してそれからさ生きる喜びを渡したいのさ。生きるには希望だけあればいい。この希望をあたえたい。未来流「みらいりゅう」から未来の流れを感じて生きていく。この未来の流れを感じさせてやりたい。どうだろう時間はとらせないぜ」とエルフイール。「気持ちはうれしいがいまさらなにをするというのだ。我々はいつも何億年もこうして生きてきた。それをいきなり変えるとは驚きだ。いったいどうやってやるというのだ」と星竜。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。星竜は小さく若いドラゴンになった。「なんということだ。これは驚いた。まだ我の翼は若いぞ。まだまだ飛べるのだ。こんなにうれしいことはない。ありがとう人の子よ。おまえの名前はエルフィールというのか。我生きてる限り心に刻もう」と星竜。「それじゃあな」とエルフィールたちは星竜と別れる。一行は旅立つ。
エピソード276
一行は宿を探す。「ここいらは宿がないんだな」とエルフィール。だが何件まわっても断られる。ある牧場で泊まれる。「昔は宿とか少なかったから人を泊める習慣があった。お客様をもてなすお客様を喜ぶ信仰のようなものがあった。でも最近殺人鬼がここいらで暴れたためにその習慣はすたれてしまった」と牧場のおじさんラッカマン。「いやあ肉がうまいなあ。ありがとう。ところでなんであんた牧場なんてやってるんだ」とエルフィール。「その昔トカゲのでかいのとかいろいろ怪獣みたいなのもいたがみんな人が食ってしまった。人は肉を食べたから脳はここまで進化したという科学的仮説もある。いい肉作って食べてもらって幸せになってほしい。人が進化してしまうくらいの肉をね。それはまあ冗談だけどね」とラッカマン。「いいんじゃないのもぐもぐいいよひひよ」とエルフィール。「食べるかしゃべるかどっちかにしなさい」とミラル。「ふろがからのときにシャワー全面にあたるだけでもきれいになるよ」とエルフィール。一行は一晩休み次の日に旅立った。
エピソード277
一行は焚き火にあたる。「れべる負けによって逮捕や結婚やらダーエレテレビ放送できないやらなんやらできないという。覚悟のとこ読んでみんな必死にやってるそうだ。まあ武人や名君なんかはみんなできたことだよ覚悟はね」とエルフィール。「わかったけん」と小桜。「アンチメディアは著名人のディスるネタを探しまわってるようだ。日本でも炎上させる悪意のある認知症の連中が地震のときに著名人が笑っただの服がやぶれただのとにかくなんでもいいから炎上のネタを探しているようだ。認知症にもいい人はたくさんいるよ」とエルフィール。「飢えた獣のようにがぶっとかまれる。だからテレビに出たくない人もおおいわね」とミラル。「気をつけるけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード278
一行は焚き火にあたる。「簡単だよ。気にしないだよ」とエルフィール。「なにがよ」とミラル。「業績を気にしないんだよ」とエルフィール。「そういう過去の業績は気にしないこと。偉大さを気にしないこと。業績を偉大さを考えないこと。それだけでできる。気にしないと気にしないというれべるがあがる。脳裏にうかべないことを念じていくような。意識しない。意識させない。偉大さも業績も意識の外へだしとく。偉大さも業績も見えるものの中に入れとかない。偉大さも業績も心からだしとく。偉大さも業績も心から消しておく。偉大さも業績も思い浮かべない。私も巨匠と話すときはこれをれべるあげているよ。まともに接したら私だって巨匠とは話できないからね。気にしないということを研究し続けること。心に生み出すことを私たちは見ている感じていること。気にしないとは心に生みださないこと。たとえばぼけっとしてるとなにも見ていないし聞いてもいない。偉大さと業績をぼけっとしとくこと。心に偉大さと業績をうつさないこと。五感を通して心で再構築したものを信じたものをあると思う。心にないと信じるものはないのである。心に再構築しないものはないのである。それが気にしないこと。雑念をはらい必要な思考だけに思考をしぼること。目を閉じる。無の境地。なにも考えない。そこから雑念ではない必要なことだけを思考できるようにすること。7、17。雑談などいま話したいことだけに集中し続ける思考で偉大さや業績などの雑念をはらい続ける。心が動くことが思考である。雑念は動くのを止め必要な思考だけを動かすこと。その訓練そのれべるが心の修行であること。心を研究すること。精神の鍛錬。心を自在に動かすこと。やる気を自在に出したりすること。怒りを静めたりすること。人を許したりすること。願いをあきらめないとかね。雑念を気にしない必要なことだけ思考するのも心の修行であること。技術も心を技術という形にすること。アイディアも心の運動であること。研究も心の形であること。心を耕し自然豊かな心とすること。心自然にありのままに愛であること。心極め心自由自在なれば願いは叶う。右2016、7、17。偉大さや業績など雑念を忘れること。そして必要な思考だけありのままにすること。気にしないとは忘れてしまうこと。いつも無にしておく。偉大さや業績などの雑念は忘れてしまうこと。そして必要な思考だけをありのままに思い出し覚えていること。できるようになれば自在に思い出したりできる。心の修行なんだね。ここから右がとくにだいじだよ。偉大さなど雑念をはらい忘れることに集中し続けること。必要な思考だけを続けること。それがありのままということ。慣れてくれば自然とこういった思考ができるようになる。7、20。偉大さなど雑念をはらい忘れることに集中し続けること。左の一文のとこマジックでメモしてそれを見ながらくること」とエルフィール。「左のとこの気にしないことが書いてあるとこ何度も読み直し気にしないこと研究し続けること。いつも無であること。そこから自在に思い出すこと。この左のいつもからのとこメモして持ってきてもいい。普段は年相応のおじさんであるとこ。そこに焦点をあわせて他は見ないこと忘れること。人は馬鹿なんだ。特に巨匠とか偉大な人はその業績のためにばかしてる。たとえばたかさきはやとはテロにあったときにひとりで背負って突っ走ったためにこんなことに。愛してるからこそ馬鹿だなというとこをだいじにして馬鹿だね馬鹿なんだということをいつも思うこと。それを美化しては一緒には住めないこと。愛すべき馬鹿。誰だってただの馬鹿。誰だってつっこみどころ満載。そこを馬鹿にしていくこと。美化したら一緒には住んでいけないこと。ある側面では馬鹿にし続けること。馬鹿なとこを見ていくこと。それが雑念をはらうこと。尊敬してる面もあり馬鹿にしてる面もあること。愛してるから馬鹿にすること。尊敬の面と馬鹿にしてる面のバランスを失っては一緒の生活も成り立たないこと。尊敬だけでなく子供っぽいかわいいなと思うとこもだいじなこと。それがありのままに生きること。よく緊張しいの人に目を見るなおでこ見ろという。たとえば全身見ると偉大さも見てしまうが服だけとか手だけとか髪型だけとか集中して見ると偉大さまでは見ていない。気にしないだ。どうでもいいとこを見続けること。どうでもいいとこに集中して意識しておくこと。どうでもいいこと考え続けること。それが気にしないこと。思い出す忘れるを自在にすること。見る見ないを自在にすること。思考と無を自在にすること。自在の集中。それが心の修行。いつも別人と思っておくこと。心が自在にできるようになってきたら自在に思い出すこともできる」とエルフィール。「アイドルや声優さんと電話でつながっても台本通りしゃべるだけでね。長年痛かったし著名人もおおく亡くなった。そして世界平和になってしまった終わった感。いまのメディア関係は心を閉ざしている。心ありのままにあればできないことはないんだけどね」とエルフィール。「心はむずかしい。好きなのに嫌いといったりする。自分の気持ちに素直に。雑念をはらい心ありのままにあるのはいまの人にはむずかしいことかも知れない。心は不思議。心はファンタジー」とフィル。「あんた八十くらい方法が失敗してるからなあ。信じられないなあ」とミラル。「まあね。好きにするさ。やってみればあ」とエルフィール。「260の人は同じというのを研究し続けることと気にしないことと未来思考。それが圧を生まない方法。耐えるのは覚悟だ。覚悟で耐えてるあいだに慣れてしまう。このよっつはどれも解決策となる。そして最後の最後は決断。決断せよ。あがく量の質的変化が奇跡だ。あがき続ければ奇跡は必ず起こる。あがいた分だけ自分の血となり肉となり力となり実力となる。あがくだけ人としての実力やれべるが上がる。あがくというのはあらゆる研究だったりれべる上げだったりする。あがき続ければ奇跡は必ず起こる。願いは必ず叶う。みんなを幸せにしょう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード279
城下町があった。町の人たちはどこかけだるげだ。「この城下町では年に二万五千人が亡くなる」と声がする。「なぜ戦わない」とエルフィール。重圧がエルフィールたちにかかる。「敵はなんだ」とエルフィール。痛みが全身をつらぬく。「敵はなんだ」とエルフィール。「無気力だ」と声。「報道めんどうだからやめとこうよ。てきとーな人をつれてきててきとーなことをいおう」と声がする。「世界平和になり無気力な人々は独裁者を望む。独裁者にみんな決めてもらいたい」と声。重圧はエルフィールたちを襲う。痛み苦しみ焼けつく感じ。「人々は世界平和になり無気力に身をあずけた。情熱は色あせ思考はめんどうになっていく。最新作流すのめんどうだ。てきとーなの流しとけ」と声。「自分が殺される番まで待っていよう」と声。「愛を教えるのはめんどうだ。てきとーなことをしゃべってればいい」と声。「こなくそおっ」とエルフィールたちは無気力をぶん殴る。無気力にぶん殴られて血が流れていく。「痛いな」とエルフィール。「だから生きてるんでしょうよ」とミラル。「痛みも感じなくなったらおしまいだ」とジョルディー。重圧はさらに強くなる。「こなくそうおっ」とエルフィールが無気力をぶん殴る。無気力は消える。「うたかたの勝利にすぎない。永遠に無気力は人を狙っているのだからな」と声。「それでも。それでも戦わずにはおれない」とエルフィール。一行は旅立つ。
なか がき。
防御が効くようになり痛み自体はほとんどない。世界平和となりメディアは力を失っていく。最近仲間がトップをねらえとその2を見せてくれた。胸がふるえた。いま自分にこれだけの実力があるだろうかと考える。メディアが力を失っていく時代にいまこれだけのものを作れるか胸に聞く。答えは未来の中に。未来は白紙だ。まだわからない。旅立とう。いまはまだ眠るにははやすぎるから。
エピソード280
一行は焚き火にあたる。「なにぴりぴりしてるんだよ」とエルフィール。「あんたね。れべる負けはどうして起きるのか考えてるのよ」とミラル。「エピソード278を読みなよ。だから気にしないと気にしないれべるがあがってできるんだってさ。気にしないことを研究し続けるのさ」とエルフィール。「ほんとかなあ」とミラル。「できるから私はジャイアンみたいにならないんだよ。気にしてないからさ」とエルフィール。「そういうのちょっとは気にしなさいよ」とミラル。「れべるあがり慣れれば自在に気にしたり気にしなかったりできるんだってば」とエルフィール。「なまいってるわ」とミラル。「とほほ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード281
一行は焚き火にあたる。「毎日毎日ティータイムと昼寝は必ずするのね。いいのかしら」とミラル。「いいんじゃないのお。ティータイムも昼寝もいいじゃないの。それもまた人生さ」とエルフィール。「ほんとにいいかげんなんだから」とミラル。「いい加減なのさ。自分の好き好「ず」きさ。なるようになるさ。てきとーにさ。なるようになるさ」とエルフィール。「しっかりしろといったりどっちなのよあんたは」とミラル。「ひきしめたくなる場面もあるしぐーたらになりたくもなる。そのバランスというかさ。なんかいいかげんなんだな」とエルフィール。「なるようになるかしら」とミラル。「たぶんね。なんとかなるでしょうよ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード282
一行は焚き火にあたる。「なんか保守が先進国で人気ね」とミラル。「世界平和になったし未来について熱く語りあうのもめんどうだから保守におんぷにだっこにかたぐるま。すべて決めてもらいたい。おむつまで変えてもらいたいみたいなね」とエルフィール。「自由すぎて決断できない人がおおい。いまの女性は放任されてるから結婚しずらい。いまの親はかなりできる人でないと娘を結婚させられなくなっている。かなりいまの人を未来の流れにのせるのはむずかしい」とジョルディー。「一方であらゆる研究などできてすぐれた人もいる。二極化ですね」とフィル。「未来の流れを探すことはむずかしい。未来はどっちなのかね」とエルフィール。「それができたら大金もちかもね」とミラル。「とりあえずそれでも進むしかない。いきあたりばったりだとしてもね。未来はどっちだ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード283
一行は焚き火にあたる。「民主主義はひとりひとりの歩幅にあわせてくれること」とエルフィール。「政治家や警察官や軍隊は歩幅が大きい。その大きな歩幅で誰かをふみつけていないだろうか。メディアの歩幅はでかい。誰かをふみつけていないだろうか。誰かの大きな歩幅で誰かをふんでいないだろうか。誰かをふみつけて不幸にしていないだろうか。民主主義とはひとりひとりの歩幅にあわせてくれること。ひとりひとりをじっくり見てひとりひとりを幸せにする人であれ」とエルフィール。「わかったけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード284
一行は焚き火にあたる。「認知症はいまかなりなおせるようになってきた。認知症は病気だし治していいと思う。いきなり銃を乱射されたり包丁ふりまわされたら困る」とエルフィール。「いい方があるでしょ。認知症の人にも人権はあるのよ」とミラル。「でもいきなり暴れたら怖いしなあ」とエルフィール。「うまくなにかいくといいのですが」とフィル。一行は焚き火にあたる。
エピソード285
一行は焚き火にあたる。「心の訓練によって研究や技術や幸せの研究などしていく。そうすることで結婚もできて仕事でも活躍できる。心の修行は一生すること。どこかでやめたりしない。心の訓練こそ生きてる証「あかし」なのだ。仏陀たちの頃の学校とは心の修行するとこだったけども何千年もするうちにあまり結婚とか仕事とかに意味のないこと習わせるようになってしまった。残念だ」とエルフィール。「人を救うにはそれだけの心のクオリティが必要だからね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード286
一行は焚き火にあたる。「1976年頃のテレビはひどい内容でテレビは文化ではないといわれていた。テレビはたかさきはやととともに繁栄してきた。最近のテレビの偉い人は未来に絶望している。どんな人も偉大さでつぶされてしまう。そう絶望している。たかさきはやとと未来を疑っている。でも未来とたかさきはやとを信じたとこはダーエレとか最新作を流すだろうさ」とエルフィール。「いまのテレビは未来とたかさきはやとを信頼してないのね。それではテレビはみんなから嫌われていくわね」とミラル。「未来はなるようになるさ。未来はいつもすばらしい」とエルフィール。「あんたみたいな馬鹿にはお似合いの言葉だわ。愛すべき人は馬鹿かもね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード287
一行は焚き火にあたる。「医療も進歩してきた。これから永遠に生きられるかも知れない時代。偉大さでみんなつぶされてしまう絶望のビジョンを未来に見ている人たちがいまのメディアを支配している。だからメディアがつまらない。未来を信じている人がえがく未来ではないから感動しない。いまの表現者は大半が未来に絶望してるからその表現に感動がない。未来を信じよう。未来をえがこう。未来を想像しょう。未来に感動しょう。未来を見続けよう。未来を創造しょう」とエルフィール。「それが希望なのでしょう」とフィル。一行は焚き火にあたる。
エピソード288
一行は焚き火にあたる。「自民党が選挙で大勝したね。野党がねじりこんだ政策もみんな与党自民党の手柄だとみんな思っているようだ。福祉などの拡充なども野党あってのものだよ。自民党は沖縄の人たちを苦しめている米軍にとにかく居心地よくしたい。米軍の犯罪や飛行訓練による爆音に沖縄の人たちは苦しんでいる。第二次世界大戦に負けた日本人は悪魔と呼ばれた。悪魔からみんなを守る悪魔のふたとして米軍は日本各地にいた。それが沖縄だけにほとんど集められた。沖縄の人たちの苦しみはたいへんだ。1980年頃までは日本人なんて嫌われていたんだけどもいまはたかさははやとのおかげで親日の人もふえた。なによりだいじなのはひとりひとりをじっくりと見て、ひとりひとりを地道に幸せにすることだ。政治家とかメディアの人は日本人全員をいっぺんに幸せにしょうとするからうまくいかない。すべての人をいっぺんに幸せになんて物理的限界だ。ひとりひとりを地道に幸せにしていくこと。それが愛だ」とエルフィール。「わかったけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード289
一行は焚き火にあたる。「思い出す忘れるを自在にすること。見る見ないを自在にすること。思考と無を自在にすること。自在の集中。それが心の修行。さらに詳しきは278でいい。これでいいはず。私は学校の勉強もしないで心の修行ばかりしていたからなはたちになるころにはたいていのことはできたよ」とエルフィール。「心の修行をしないとやる気を自在にだすとかできないですね」とフィル。「うまくいくといいわね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード290
一行は焚き火にあたる。「芸能人を食い物にしてる週刊誌。書いた人を追い詰めすぎて自殺までさせたこともある。記事の内容もでっちあげだと裁判所に判定されたことも何度もある。でっちあげでもいいから相手を死ぬまで追い詰める。つまりはこの雑誌を作っている人たちは認知症の人たちなのだ。ネット上にも認知症の人たちの文書はたくさんあって共通してるのはとにかく事実に関係なく相手をつぶすのが目的であること。狙った相手は骨までしゃぶるのが悪意のある認知症の人たちのやり口だよね」とエルフィール。「認知症の人たちのたいはんの人たちはいい人よ。差別とか気をつけないと」とミラル。「認知症はいまはかなりなおる病気だからなおしたいけどね」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード291
一行は焚き火にあたる。「メディアがたかさきはやとに集えと表現する国は十年後の先進国の仲間入り。メディアがなにも表現しない国はあらゆる研究する人の少ない三流国になってしまう。日本もこのままたかさきはやとに集えと表現できないなら三流国としての未来が待っている」とエルフィール。「先進国でありたいというのは欲なのか。でも先を走っていたいものです」とフィル。一行は焚き火にあたる。
エピソード292
一行は焚き火にあたる。「防御はかつてないほど強力でほんのふれてる程度。アタクに意味はない。ナンバーツーはほっといても病気で死ぬだろう。まあ警察自衛隊は決着つけたいのだろうけども。たかはしるみこはあらゆる研究なんてくだらないと言ってる。ファンはあらゆる研究の必要性を訴えよう。たかさきはやとが偉大すぎて近づけないのは289読んでもらえばいい。集中の自在とかできないとファンレター書きたいとか嫁とかいろいろできないからな」とエルフィール。「わかったけん」と小桜「こさくら」。エルフィールはじゃがバターとシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
エピソード293
一行は焚き火にあたる。「決着は目の前。ただまあ自在の集中をしてる人にはこの言葉を送ろう。こんなもんと思って継続をやめないこと。こんなもんと思ったとき夢は力を失う。あらゆる研究と心の修行に終わりなし。継続は力なり。継続はできるなり。継続は奇跡なり。とね」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード294
一行は焚き火にあたる。「基本は無。そこに必要な思考だけを念じること。必要意外の思考は忘れること。それが集中の自在だ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード295
一行は焚き火にあたる。「まんがアニメゲームは文化ではないと言われていた。アニメや漫画は市民権を得たようだがまだゲームをする人は奇妙な目で見られるようだ。ティービーエスはゲームするから犯罪者になると報じたしフジはポケモンGOする人には迷惑かけられたくないとはきすてるように言った。アニメやってるテレ東以外はポケモンには冷たい発言が目立った。ゲームするからコミュニケーションできないとかね。ゲームすると勉強しなくなり馬鹿になるとまだまだ思われているようだ。たとえば私はひげはやして長髪だと頭おかしいやつがいると道でよく笑われる。他人を理解しょうとどれだけ務めているか。それが愛なのではないか。世界はまだまだ楽園足り得ないな」とエルフィール。「愛によって世界は一定の平和を得たけれども人それぞれの質はまだ低いのかも知れません」とフィル。「人が理解しあうためにはまだまだ壁があり壁をどかしていく必要があるように思います」とミラル。「人の痛みがわかる人。それが理想の人だと言われた。人を理解することから人を幸せにすることは始まる。幸せの研究をすれば人を幸せにできる」とジョルディー。「自分がテレビに出られるから偉い先生になったようなやつもいる。そんなやつは倒せ。肉でも食ってれば人は幸せなのさ」と人の姿のレッドドラゴン。「ドラゴンは言うことがえぐいね」とミラル。「人を幸せにしたい願いはまだまだ叶えてもらいたい。幸せにするという翼を人は持っているから。羽ばたこう未来へ」とハイベル。「人は相互理解を得て共存共栄の道を歩くでしょう。抱きしめあったときに人はそのぬくもりに孤独が癒されることでしょう。人が失ったものを支えあうことで人は幸せを得ることでしょう」とらいでん。「人を癒す音楽のように時代の風景は人を癒していく。人が忘れてしまったことを風はすべて伝えてくれるから。命ある限り歌い踊り幸せになるから」とダミエール。「人が認めたものは美くしいでやす。人がいるから心もあるでやす。心あるからファンタジーもあり心は幻想となりやす。世界は心であり心は幸せのファンタジーでやすから」とバリュウス。「メディアによって伝統をだいじにしょうと訴えることも伝統でありメディアの力によって幸せにすることもだいじでがすよ。夢を追う者たちは輝き輝きの向こう側にまた幸せな日々があるでがすよ。夢輝きあう日々のなかで人はみんな幸せになることができるでやすから」とバルディ。「心通じあうとき人は共通の輝きのなかにいる。人がゆっくりと生きられる世界そこスローライフとして人は願いの日々へ生きることができる。人はゆっくりとありのままに心輝きひとつの光りとなるから」とアーティニー。「人はやさしさから学んだ心の風景。無限の心の流れのなかで人は幾千の心の光りとなって明滅しあい光りとけあいまじりあいそして未来の光りへと未来へと流れていくから」とベネレッタ。「人は闇から光りとして生まれて希望として生きていく。できないことばかり見えてしまっても。継続を力に輝き幸せという光りを放って生きていくから。継続は未来を開く。継続は希望の光り。さあ継続して未来へ」とドラゴンの姿のレッドドラゴン。「人がいるから継続もありそして奇跡もある。継続しょう。そして未来を開き未来の光りとひとつになろう。継続そして未来の光りの日々に生きるから。まだ旅は始まったばかりなのだから」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード296
一行は焚き火にあたる。「たかさきはやとを知らない人に知らせていこう。アイマスセレクションやダーエレセレクションを読んでもらってたかさきはやとを知らせていこう。そうすることで世界は楽園足りうるから。ひとりひとりに地道に知らせていこう」とエルフィール。「世界を楽園足り得るためにたかさきはやとを知らせていこう」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード297
一行は焚き火にあたる。「この料理はいいですね」とフィル。「なんの料理だい」とエルフィール。「伝統料理を作っているのです。伝統料理は食べる美くしさです。心に広がるこの美くしさはじんわりします。味わう美くしさが心に広がる。伝統料理をいろいろと研究しているのです。珍野菜もね。伝統は美くしいからいいですね」とフィル。「そうだな」とエルフィールたちも伝統料理を楽しむ。「美くしい味です」とミラル。「歴史を感じるな」とジョルディー。一行は味わい焚き火にあたる。
エピソード298
一行は焚き火にあたる。「基本は無。そこに必要な思考だけ覚悟だけを念じ集中し続けること。必要意外の思考は忘れることに集中し続けること。それが集中の自在だ。継続は力なり。継続はできるなり。継続は奇跡なり。この一文心に刻むまでいつもてきとーに読み直す。左の一文をノートにマジックで書いて何度も読み直しながらくるとこれる。何度も読み直し続けて来て会うこと。この一文心に刻むまでこのノートはいつも手元におき、てきとーに読み直すこと」とエルフィール。「目の前にある景色には必要なことを集中して頭の後ろの見えない闇に関係ないことを集中しておしやり忘れるような。私はいろんなことやりながら一年くらいかかったような気がする。集中の自在単独だけでやったらすぐにできるとは思う。生活しながらでも集中の自在は獲得できる。あとはひたすら慣れだね。教わるより慣れろだ。集中の自在に慣れろ。自転車に乗ることや料理作るのも教わるよりも慣れる段階があるというかね」とエルフィール。「集中の自在はそんなにむずかしくない。ただまあ集中の自在という技術も心が信じなければ効果をあげない。できないのは信じてないから。たかさきはやとを信じることができるかどうか。自分ができると信じるかどうか。信じる者は救われる。信じる者は奇跡を起こす。信じる者はできる」とエルフィール。「最初に会うときは結構忘れることに集中するが一緒に生活を始めればお互い慣れてくるから忘れること集中しなくてもよくなる。お互いの存在に慣れれば圧は自然となくなる。一緒に暮らしてお互い慣れてくれば忘れる必要はないんだ。集中の自在は慣れるまででいい。存在に慣れるまで一緒に暮らして数年というところである」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード299
一行は焚き火にあたる。「土壇場というかクライマックスは詰め将棋だ。最後は瞬発力ではなくどれだけちりを集めて山となす奇跡となすか。ひたすらちりを集めるだけ。ただ地道な積み重ねなんだよね。あまりダイナミックさはないんだよ」とエルフィール。「いまは地道な298ですね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード300
風の吹くほうへ歩いていくエルフィール。「おれと旅に出ないか」とジョルディー。エルフィールの反発。「きっとそこは楽しい楽園さ。おれと旅に出よう」とジョルディー。「どこで死んでもいい旅だ。それもいいか」とエルフィール。エルフィールは歩き出す。「旅もいいものだな」とエルフィール。「そうだろう」とジョルディー。「あんた有名だよね」とミラル。「これはきっと運命の出会いね」とミラル。「旅をするならおおいほうがいいか」とエルフィール。「あんたはいつもなんでそうなの」とミラル。「夫婦「めおと」漫才の誕生かな」とエルフィール。「そうかもね」とミラル。「商売でやす。商売でやす。金は絶対に裏切らないでげすよ」とバルディ。「嫌な奴に出会ったものだ」とジョルディー。「だんなだんな。だんなはいつも不機嫌そうでいけない。いつも笑顔でやすよ。笑顔はゼロ円でやすよ」とバルディ。「それもそうだな」とジョルディー。「なかなかいい奴じゃないか」とエルフィール。「へいよろしく」とバルディ。「あなたの信じる道を進んでください」とアーティニー。「ありがとう」とジョルディー。「それでいいのか。同じ道はないのか。ちくしょう」とエルフィール。「それでも心はともに」とアーティニー。「アーチャの心のままに」とジョルディー。「いつも心はそばに」とエルフィール。「ここにて力になりたい」とハイベル。「ずいぶん力強い奴だ。これは戦力だな」とエルフィール。「仲間はいつもいいものだ」とジョルディー。「神の御心「みこころ」のままに」とハイベル。「なんでも神様次第かよ」とエルフィール。「エルフィール。おまえに世界をやろう」とダリル。「立ち上がったときに世界はおまえのものだ」とダリル。「いいね。世界。世界は広い。旅をしょう」とエルフィール。「ダリルなりに道を示したのかもな」とジョルディー。「私とは違う道を進め。その道。その未知に挑め」とダリル。「わかったよ」とエルフィール。「まだ旅は世界の本質を示していません」とフィル。「賢者というのは楽しいのかい」とエルフィール。「ええまあそこそこ楽しいものですよ」とフィル。「その英知に頼りたい」とジョルディー。「偉大な戦力よ」とミラル。「知識と知恵を探求したい」とらいでん。「それもいい」とエルフィール。「世界は輝きであふれている」とらいでん。「そんなものかな」とエルフィール。「老練だな」とジョルディー。「先生ね」とミラル。「私の思いはバルディとともに」とベネレッタ。「幸せになってくだせえ。こんな奴でも幸せにともに」とバルディ。「愛は世界を変える」とベネレッタ。「お互いの道はいまひとつに」とバルディ。「なんだこの道は。ぬるいものだな」と人の姿のレッドドラゴン。「力ずくか」とエルフィール。「まだ力は使っていない」と人の姿のレッドドラゴン。「戦いもいいものだ。千年戦争もよかったぞ」とドラゴンの姿のレッドドラゴン。「戦いだけが人生じゃないぞ」とエルフィール。「力なき未来など意味はない。だがおまえとの旅も楽しいぞ」とドラゴンの姿のレッドドラゴン。「これからもよろしくな」とエルフィール。「それもいいさ」と人の姿のレッドドラゴン。「レッドドラゴンとは豪勢だ」とジョルディー。「黎明の騎士。ジョルディー。おもしろい奴だ」とドラゴンの姿のレッドドラゴン。「よろしく」とジョルディー。「いいだろう」と人の姿のレッドドラゴン。「ドラゴンにだって休みたいときはあるでやすよ」とバリュウス。「ドラゴンはいいな。こき使おう」とエルフィール。「人づかいいやドラゴンづかいがあらいでやすな。まあ役には立つでやすよ」とバリュウス。「これからもみんなよろしくな」とエルフィール。「よろしく」とみんな。「さあ旅だ。旅がしたい。旅に出よう」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード301
一行は焚き火にあたる。「ほとんど白人しか票をとってないトランプさん。いろんな人種から票をとるクリントンさん。トランプさんが勝てば白人第一主義アメリカ第一主義となってしまうのか。いまの技術では制御できないのに原発再稼動。また爆発を待つのみ」とエルフィール。「孤独はつらいものだわ」とミラル。「孤独を許そう。孤独を愛そう。孤独と仲良くなろう。すべてなるようになる。すべてなんとかなる。すべて幸せになる」とエルフィール。「偉大すぎるのよあなたは」とミラル。「出会うためには過去は忘れ、いまを生き未来を手に入れよう」とエルフィール。「結局過去をすべて忘れるための集中の自在であるわけね」とミラル。「過去は思い出せば縛られてしまう。集中して過去を忘れること。いまだけ見つめて未来をつかむこと。がんばって力「りき」むと逆に圧になる。ありのままに自然体であること。力はまったくいれずにぼけーっとしてるのにできてしまうこと。自然にぼけらっとしてなんにも考えていないこと。自分ができると信じたときにできること。自分が奇跡を起こせる人間だと思い続けること。自分を信じぬいたときに奇跡はおきる。自分なんてそんなものだろうと思った瞬間に奇跡は起きない。自分を疑う人は奇跡を起こせない。自分は奇跡を作り出せる人なのだと信じぬくこと。そのとき奇跡は起こる。自分が生まれたことは奇跡。自分が生きていることは奇跡。いままで自分がしてきたことは奇跡なんだと信じ思い続けること。人の人生は奇跡のかたまりであること。そういったことを思い続けること。科学技術は理論上できても心という神秘的なものは信じなくてはできない。奇跡を起こせる人間と奇跡を起こせない人間の差は信じてるかいなか。奇跡を起こせると思いあがれ。集中の自在を徹底的にやり尽くすこと。がむしぉらに。集中の自在とはなにか。ぼけっとすること。子供のときからがんばれ努力しろといわれてるとだらだらぐーたらが苦手なんだよね。ありのままにスローライフとはぐーたら。力「りき」まず雑念をはらい圧を受けないとはなにか。ぼけっとすることができてない。集中の自在はぼけっとするための方法。それをがんばるのは矛盾してる」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード302
一行は焚き火にあたる。「幸せとは無我夢中だ。特に人を幸せにするために無我夢中になるのはいい。時に見返りもあるし困ったら助けてももらえる。家族を幸せにすることに無我夢中が基本。家族を幸せにできなければ誰も幸せにはできない。仕事で無我夢中。NPOで無我夢中。ちょい小さく趣味で無我夢中。そういったことに無我夢中になれること。それが幸せだよ」とエルフィール。「幸せの研究やあらゆる研究がその幸せの技術足りえます」とミラル。「幸せを研究して幸せを徹底的にやり尽くすこと」とエルフィール。「わかったけん」と小桜「こさくら」。一行は焚き火にあたる。
エピソード303
一行は焚き火にあたる。「結局いまの一番問題なのは怒りがないこと」とエルフィール。「怒り」とミラル。「不条理への怒り。それが若さであったり正義であったり愛であること。結局世界平和に満足してしまって著名人が怒りを失い世界の改善をあきらめていること。あきらめないことがだいじなんだ。原発もたかさきはやとの結婚問題も放送局がダーエレ流せないのも結局は怒りがない。自分の名前もいらないと投げ出す人も続出。巨匠といわれる人がそうだからみんなぐずぐず。みんな急激にふけこみ老いてしまった。残ったあきらめない人たちでなんとか世界を改善していくしかない」とエルフィール。「体調はいいのね」とミラル。「防御は完璧だ痛みはまったくない。ちょい感触だけだ。防御も進化し続けている」とエルフィール。「翼」とミラル。「文学は翼だと言った人が皇室にいたがつまり文化は翼であること。科学も宗教も文化の子供であること。文化を極めること」とエルフィール。「偉大すぎる」とミラル。「ぼけっとするれべるをあげること。ぼけっとしながら生活すること。ただまあ車の運転はぼけっとするなよ。つめこみ教育であまりにもつみこみすぎたためにいまの人は現代病でつみこみすぎて、ぼけっとして無の境地というのを獲得してこないんだな。ぼけっとするのがうまくないとこれから大きな人間になるには必要なんだ。たかさきはやとと話してるシミュレーションを声にだすだけでも経験になる。シミュレーションや物語も経験足り得るから。力「りき」むと緊張となりプレッシャーとなりひどいと圧になる。達人はいっさい力を入れずに生活ができる。緊張はストレスになる。ありのままに自然体とは力をぬくこと。力「りき」まないように力をぬいて生活するには力をぬいて生活する鍛錬が必要である。力をぬいて生活することを極めればいっさい力「りき」まないようになれる。心に力をこめないとぼけっとする。最低限の力で動く。すると力「りき」みはなく緊張もなく圧もない。ただまあかなりできるようになるまで車の運転は気をつけて」とエルフィール。「圧の中でいろいろなぼけっとを試すこと。圧の中で圧がなくなるまでいろんなぼけっと自在の集中を試行錯誤し続けること。奇跡は熱くなればなるほど起きる。奇跡を起こすにはとことん熱くなれ必死になれ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エビソード304
ある洞窟で水の魔獣に襲われる一行。「物理攻撃はきかないぞ」とエルフィール。「こういうときは魔法よ」とミラルは魔法を放つ。水の魔獣は氷となって砕ける。「やった」とエルフィール。「きゃあっ」とミラル。「魔法が暴走している」とフィル。氷の魔法はミラルを包む。「精神力がなくなる。もうだめだ」とミラルは倒れた。「ぶか」「だいじょうぶか」とエルフイール。「あらおはよう」とミラル。「冗談はよしこさん。氷を砕いたら魔法の暴走は収まった」とエルフィール。「お互い悪運が強いわね」とミラル。「そうだな」とエルフィールは笑った。一行は歩いている。「まだ神様が生きていろといってるのさ」とエルフィール。「そうかもね。それもいいな」とミラル。一行は旅立つ。
エピソード305
一行は雪道を歩く。「かなり着ているのに寒いよ寒いよ寒いよ寒いよ」とエルフィール。「黙って歩きなさい」とミラル。「村の明かりが見えるぞ」とエルフィール。村で一息つく一行。「いらっしゃい旅の人。私は宿の娘マーニャよ」とマーニャ。「ずいぶんな雪だね」とエルフィール。「ある洞窟が発見されてそこに冒険者たちが行ったらこうなってしまって。冬は雪降るけどもここまでの雪はやはり洞窟でなにかあったのかしら」とマーニャ。「冒険に行こう」とエルフィール。「私も連れて行ってください」とマーニャ。一行はスコップ片手に歩いて行く。洞窟を雪をかきわけながら行く。「まったくこれじゃ工事だよ」とエルフィール。なにか広場に出る。そこに冒険者たちも倒れている。「息はあるな」とエルフィール。そこには光る玉がある。エルフィールの手が光る。ジョルディーと斬る。「アルビィン。計画はどこまでできた」と男。「王様。すでに準備はできています。いままさに」とアルビィン。「我が国土は雪に苦しめられてきた。魔法で雪がエネルギーになる。これこそ人の力の結晶というものよ」と王。「魔法が暴走しています。雪が吹雪が街を襲っています」と兵士。「我々の国が国土が雪に包まれる。これは天罰か。我々は滅びるのか」と王。エルフィールの前の光りの玉が砕けた。「千年後街の人たちは生き延び村でひっそり暮らしてきたんだ」とエルフィール。「みんなに伝えます」とマーニャ。「さあ旅をしょう」とエルフィールたち一行は旅立つ。
エピソード306
一行は焚き火にあたる。「圧の中で集中の自在をいろいろ試行錯誤すること。その継続は力なり継続は奇跡なり」とエルフィール。「リアルはくそげーよ」とミラル。「理解力が低いから話しても無駄だと思えることがある。でもいまいろいろ理解力はあげる試みはある。私もやってる。理解力が低い自覚があれば理解力はあがる。努力した時間は自分を裏切らない。仲間がいる。実力がついてる。世界の礎となるなら見返りはないことがおおい。でもこの世界を天国にするために礎「いしずえ」となることもある。この星が偶然生まれたのなら滅びるかも知れない。この星が必然で生まれたのなら天国になるのは必然だろう。こうやって出会えたことも偶然ならできすぎてないか。確かにこの世界は矛盾だらけ。でも奇跡は起きるよ。信じる者は救われる。信じる者は奇跡を起こせる」とエルフィール。「信じるわ」とミラル。「どうにかなるといいですね」とフィル。「いつか見た景色がある」とジョルディー。「なるようになるさ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード307
一行は焚き火にあたる。「奇跡とは技術である。人には無限の可能性があること。誰でも無限の可能性があること。それを信じてることが奇跡を生む。人に無限の可能性を信じてる人はなんでもできる。結果はわかりきっている。いつもハッピーエンドさ」とエルフィール。「わかったけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード308
一行はまったく新らしい村や街に行く。たまに街にある転移魔法でもといた村に戻ることもある。グランドスラムに戻ることもおおい。この村は初めてである。「この国には千年道を示してくれた千年英雄がいました。しかし他の街に応援に出たまま千年帰ってきません。なんとかなりませんか」と王。「そんなんで光るかな」とエルフィール。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りの中から英雄が出てくる。「みんな久しぶり。無我夢中になっていた忘れていたよ」と千年英雄。「たまにはこの国も見てやれよ」とエルフィール。「また千年を一緒に生きよう」と千年英雄。王たちは泣き崩れた。一行は旅立つ。
エピソード310
一行はある町に来る。「ずいぶんにぎわっているねえ」とエルフィール。「いろんな人種にいろんな人々。それがまったくおだやかに。天国みたいねえ」とミラル。エルフィールは商品を手に取ろうとする。「あれ取れないぞ」とエルフィール。「ごめんね」と店の人。「なんかこの町の物はなにも手に取れないぞ」とエルフィール。町の中央に光る物がある。「この町は遥か昔に滅びたのです。私はそのとき町の記憶を残しました。毎日毎日ただくりかえすのみ」と光り。「そうか。それじゃな」とエルフィールたち一行は旅立つ。
エピソード311
一行は焚き火にあたる。「奇跡とはなによ」とミラル。「奇跡とは満足しないこと。満足しないことが奇跡を起こす。ありのままに自然体で満足しないこと」とエルフィール。「まあ世界には満足しても永遠に対してはちょっとの不満があったほうがいいかな」とエルフィール。「奇跡は自然とあふれてくるもの。自分で出すものではない。生き方でありスタイルであること。奇跡とは永遠に満足しない生き方」とエルフィール。「わかったけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード312
一行は焚き火にあたる。「不完全燃焼なのよ」とミラル。「世界平和になって燃え尽きた人もおおい。私も小学校低学年のときにもうひとりの自分がささやくんだ。不幸な人なんか見殺しにしろ。世界なんてどうでもいいと。自分と戦い続けて怒れ怒れ怒れ怒れ怒れ怒れと延々と念じ続けた。そうしたら燃え上がったけどね」とエルフィール。「そうだといいわね」とミラル。「力とは未来からくるもの。未来を眺めていると自然とわきあがる」とエルフィール。「この宇宙の物理世界はなにかを表現すると反対方向にはじき飛ばされる。それが力だよね。表現することでファンレターも届きそれも読むと力になる。だるいからなにもしないとさらに力はなくなる。立ち止まって力がでないなら歩き出せ。力がでるようにいろいろ満足せずに永遠に試行錯誤し続けること。そこに力の奇跡は起きる。奇跡はもらうものではなく自分でやってみること。問題ができるようにいろいろやってみよう。それが奇跡。さああなたも奇跡の起こせる人になって輝きの向こう側へ」とエルフィール。「満足しないためには空を見上げろ。宇宙の遥か彼方へ飛び立つ日を夢見るんだ。あとはたかさきはやとの幸せを永遠に維持するとか。この言葉をたまには常にもち歩き声に出して読め。手抜きすんなよ。自分の生き方に組み込め」とエルフィール。「いまの人たちは夢が小さい。そのためにぐだぐだしていく。そこを永遠無限の大きな夢を持つように改善しょう」とエルフィール。「自分を絶対にゆるさない。それが生き方。いつまでも叫び続けること。それが生き方。自分の幸せや人の幸せを永遠に願い続けること。それが生き方。永遠の勇気。それが生き方。永遠にあらがい続けること。それが生き方。遥かな永遠の高みへ挑み続けること。それが生き方。遥かな永遠無限の夢へと旅立つこと。それが生き方」とエルフィール。「永遠無限の夢を書き出して目の前にいつもあること」「永遠無限の夢を見よう。ともに永遠を旅しょう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード313
一行は焚き火にあたる。「私はいつもあめをなめている。永遠にトイレにいこうとか永遠に食べ続けようとか永遠にふろ入るとか永遠に旅をしょうとか永遠に小説作って歌作ってなんてしてるとつらくてあめでもなめてるというわけなんだ」とエルフィール。「夢は大きく永遠無限てすね」とフィル。「なんでも永遠にするということかしら」とミラル。「ちなみに食べ過ぎてでぶになるという意味じゃないぞ」とエルフィール。「永遠が見えてくるようになれば一人前だ」とジョルディー。「みんなが星のテラフォーミングやらなんやらする黄金の未来を見てきた。私も紙に百兆円書いて金持ちになったとほんとうに信じた子供時代があった。そのとき大人はやさしくそうだねといってくれた。あんたらの子供時代はどうだった。未来の人たちは自分の時代の責任は自分でとれという。いちいち奇跡を起こすのは物理的限界もある。成長できる環境があれば誰でも大人になるのと違うか。力をかせ。そして永遠の旅をともにしょう」とエルフィール。「永遠とは痛み。永遠は永遠の信念。永遠は生き方」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード314
一行は焚き火にあたる。「平和ショックとはなに」とミラル。「世界平和になり永遠を理解できずに視野がせまくなる病気なのだ。時代の制約なのだ。理解力もおちてる。まずは永遠を理解させないといけない。目の前に永遠は愛でありたかさきはやとの生き方であること書いてはる。そのうえでいろいろやっていくこと。みんなそんななかで精一杯生きているんだ。認めてやってくれ」とエルフィール。「いい時代になるといいわね」とミラル。「敵には物量戦を挑め。結果がでるまで対抗者をふやすんだ。ただまあ仲間でない人は帰ってもらえスパイとか困る。すぐに困ったら人手をふやせ。とにかくふやせ。これは問題でも同じだ。解決するまで人手をふやせ。自国の人が足りなければ外国の人を雇うこと」とエルフィール。「パソコンの情報は誰でも消せる。ノートや目の前に書き出せ」とエルフィール。「心の闇はいつも心にある。敵はいなくなったりしない。敵は自分自身なんだ。自分の心の闇に打ち勝つときに永遠が見えるだろう」とエルフィール。「テレビが悪評が流れたために人が集まらないそうだ。いくつかのテレビの番組はいまも私を支え続けている。テレビは私の頼りなのだ。そのスタッフに協力してくれ。頼む」とエルフィール。「良「よ」い心こそ唯一、人を幸せにする。どんな技術を持っていても良い心を持っていなければただ殺戮マシーンとなる。どんな業績をあげることより結果よりなによりだいじなのは良い心を持ち続けてその愛で家族団欒を守ること。それが愛。それが永遠。その心はなによりも美しく宇宙に輝き続ける。永遠に」とエルフィール。「幾多のたかさきソングにたかさき作品。軌道エレベーターの建設。相対性飛行で宇宙へ飛び出す。私はおまえになにもできなかっただろうか。現実が厳しい。でももう力まかせに結果をねじふせる時代じゃない。幸せになっていいんだ。一緒に生活して一緒に暮らそう。おまえの罪はすばらしい。私の嫁にふさわしい。私の前で罪を償わないか。いまは性別は選べる時代さ。ハーレムもいいじゃないの。人類皆家族さ。里は美くしい。みんなが帰るべき里はたかさきはやとだからさ。さあ一緒に行こうともに永遠の旅へ。永遠に」とエルフィール。「ありのままとは食べたいときに食べて眠りたいときに眠ること。やりたいことやること。大きな光りの流れに流されるみたいな。ただ命のピンチのときには燃え上がる。いま必要なことだけやること。ただまあありのままで会社がつぶれたとかは私が困る。会社は順調に願う。若手が育ってきたら引退とかはあるだろ。許容範囲のなかでやってくれ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード315
一行は焚き火にあたる。「私たちはどこへ行くのかしら」とミラル。「幸せの家族。家族団欒の未来を私たちは持っている。その証拠がたまに流れる涙さ。その涙は家族団欒の約束さ」とエルフィール。「命は家族団欒へと帰るから」とジョルディー。「未来を育てましょう」とフィル。「命は生きてれば必ず家族団欒となるさだめ。命ある限り」とミラル。「それはそう遠い未来ではないさ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード316
一行は焚き火にあたる。「たかさき作品の最新作はクオリティが高くてゲーム各社もたいへんらしい。多少の妥協はゆるしてやってくれ」とエルフィール。「ドランブさんはどうなるのかしら」とミラル。「トランプさんが取ったら日本は関係国はたいへんだな。えーい困った歌ってしまえ。トランプトランプあーそれそれ。トランプ祭りだえいやそいや。トランプはぷぷっぴどぅ。トランプはそいやそいやそいやそいやえーいやトランプはぷりんぷりんだね。トランプトランプそいやそいやそいやそいやトランプはランラランランランだね」とエルフィール。「イスラム教徒のスランさんだ」とジョルディー。「マホメットの時代は女性が体を売って子供を養うのがあたりまえの時代でした。だから女性は家族以外の人に体は見せないのです。断食も食べられることをあたりまえと思わない貧乏な人のことを考えることなのです。少しでもイスラム教に理解を求めます」とスラン。「まだまだ私たちは理解しあう必要があるのかも知れないわね」とミラル。「いい時代になるといいな」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード317
グラットは男だ。「あなたはすばらしい人だ。つきあってください」といわれた。でも相手は男のココンだった。「いやおれも男だよ」とグラット。その場はなんとか家に帰ったがなんともいえぬ気持ち悪さに包まれていたグラット。「トランプはガガガガオガイガーガガガガオガイガーだね」と歌いながらエルフィールがくる。「ぼくどうしたらいいかな」とグラット。「趣味嗜好や宗教や生い立ちではなくてその人を人間として見て答えを出せ」とエルフィール。考えてグラットはココンに言う。「いまひとつそこまできみのこと好きじゃないココン。でも友達としては力を貸そう」とグラット。「あれもそれもいいなそんなもんさ」と歌いながらエルフィールは歩いていく。一行は旅立つ。
エピソード318
一行は焚き火にあたる。「ありのままにとは文化の流れてくるほうに行くこと。文化の流れのままにということ」とエルフィール。「なんで星の歌は流れないのかしら」とミラル。「熱意があれば情熱があればなんでもできる。裏をかえせばいまの時代それだけの情熱を持っている奴はいない。だから星の歌は流れない。くたびれた奴が老いにまかせたものは見えても星の歌を流す意欲を持っている奴それだけの熱量を持った奴がいない。それが時代の答えさ」とエルフィール。「不可能ばかりの時代。それはそれだけの情熱の持ち主を探しているのかも知れません」とフィル。「嫁になりたいとかたかさき作品をどかんと流す。それだけの情熱の持ち主がいない」とジョルディー。「私たちは来るべき時代を間違えたようだ。百年待とう」とエルフィール。「冬の時代ね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード319
一行はある街に来る。「あんたら旅人かい。おれはカイル。この国は平和になった。そして滅びた。はやくこの国から出たほうがいい」とカイル。「なんのことやら」とエルフィールたちは街を歩く。男がいる。「おれの妻は昨日レイプされてたけども面倒だから見ていた。妻も喜んだだろうさ。けけけけけ。情熱とかやる気とかどうでもいいよ」と男。また別の男がいる。「テレビでたかさき作品の最新作流さないからアンチが増えて困っている。でも知ったことじゃない。おれは給料さえもらえばそれでいいテレビスタッフよ。けけけけ」と男。また別の男がいる。「おれ警官だけども犯罪者捕まえるの面倒だからさ。情熱とかやる気とかどうでもいいよ。みんな犯罪者に殺されてしまえ。無気力万歳」と警官。また別の男。「平和だ。おれは死んだことにして遊び倒すぞ。みんなどうなっても知らないよ。けけけけけ」と男。「この国は滅びているようだ。次の国へ行こう」とエルフィール。「次の国はいい国だといいわね」とミラル。一行は旅立つ。
エピソード320
一行は焚き火にあたる。「情熱とはなにかと考え続けることが情熱だ」とエルフィール。「情熱とは破壊衝動だな。不幸を破壊したい。つまらない作品や番組を破壊してもっとおもしろくしたいという破壊衝動。それが情熱だ」とハイベル。「よりいいものへ世界を変えたい。その衝動。それが情熱です」とフィル。「より人を幸せにしたい。その衝動。それが情熱だな」とジョルディー。一行は焚き火にあたる。
エピソード321
一行は焚き火にあたる。「情熱とは遥か彼方からの呼び声。遥か彼方の深遠からのその声に応えること。情熱とは貧乏な人たちや不幸な人たちの痛みを感じ続けること。情熱とは宇宙や世界の風景の美くしさに感動し続けること。情熱とは人の心の美くしさに感動し続けること」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード322
一行は焚き火にあたる。「情熱とは日々食べている命に感謝する気持ち。情熱とは人をみんなを愛すること。その気持ち。情熱とは家族団欒をしたい気持ち。情熱とはいいものをもらったことに対する借りはかえす気持ち。永遠の情熱とは遥かな彼方の空の青であり心の宇宙の深遠。その純粋な心。その気持ち。情熱とは永遠に対する永遠の咆哮。情熱とは永遠を倒すこと。永遠の情熱。それは永遠の夢。永遠の情熱。それは彼方からの愛に何度も生まれ変わり愛と巡り逢う日々のこと。永遠の情熱とは自分の心の闇である無気力と永遠に戦い続けること。それが生きること。無限の情熱が心で明滅して輝き永遠とまざりあっていく。美くしき永遠の情熱よ。かえしてゆく巡り逢いの情熱と心の彼方よ。遥かな彼方の情熱を宿しまた心は永遠を歌いだす。世界平和に崩れてゆくかつての英雄たちよ。この情熱はあらゆる人を癒し輝かせ永遠の世界をともに旅するために。永劫の心の闇はこの永遠の情熱の愛で永遠の癒しと輝きの遥か彼方へ導き幸せの楽園を謳歌するために。永遠の闇への情熱の愛の彷徨よ世界を輝きの永遠の情熱の愛の涙にしてまた永劫の愛と巡り逢うために生きてゆくから。永劫の孤高と人は歌う。情熱の愛はすべてを幸せに変えるとしてもその愛は彼方の愛を探し続けていたから。永遠の愛よ帰っておいで。ここがおまえの家族なのだと巡り逢うため生まれ変わるため永遠に還る情熱の愛たちよ。永遠の快楽を知った情熱の愛たちよ。彼方から得た情熱の愛は日々の絶頂も子育てもたやすく永遠の日々よ。永遠の旅のきっぷは情熱の愛。さあ永遠の旅へともに。それは永劫の愛と絶頂と涙の日々よ。永劫の旅よ快楽と絶頂と涙と子育てとそして永遠の物語よ永遠の歌よ。永遠の情熱よ永遠の愛よ。無限の永劫の夢を語らい夜を明かした日々よ情熱の日々よ永劫の情熱をゆっくりと涙の絶頂ともに永遠の水を飲み永遠の澄「す」んだ青い空を純粋な情熱として心に満たし永遠の幸せをともに。さあ生きよう。さあ幸せになろう。永遠に愛しているから。愛のひとときをともに永遠に」とエルフィール。「いい時代になるといいわね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード323
エルフィールはみんなと焚き火にあたる。「千年愛した世界よ。永劫は永劫に還ると愛は情熱を歌う。情熱を超越した永遠の愛よその涙の絶頂よ愛の日々よ。永劫の絶頂よ永劫の幸せよ永劫の神秘たる彼方の愛を宿し育てて生きる日々よ。永劫の愛の深遠からくみ上げられたあたたかな絶頂よ愛液よ涙よ。ゆっくりときみの心に永遠の愛を永遠の情熱を満たしてゆくから。ほのかなおだやかな日々よ永遠に。永遠に愛しているから。暮れる夕日の赤に赤裸々染めてなにもかも愛に変えてゆくから。ほうぼうの愛よぬくもりを永劫の心にゆっくりと愛で愛撫してゆくから。愛よその情熱を愛撫しながらゆたかなおだやかな日々よその永遠よ。永劫の空を眺め軌道の塔を見ながら情熱と愛を楽しむ。永劫の愛よ情熱よ雷鳴の絶頂よ涙よ愛液よ。幸せは永遠を歌う。この詩を歌を心に満たしてゆっくりと幸せにするから。ほのかに心に宿る情熱よ愛よ永劫の愛に癒されほのかにわきあがる情熱に永遠の夢に旅立つときもまた永遠の愛に巡り逢うときよ永遠よ心に愛と情熱をとわに。光陰のごとく烈空のごとく愛は心に情熱をあたえ続けたから。千年愛しても藍し足りないからもっと幸せにしたいと思いを心に満たしてゆく」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
なかがき。
テレビはアンチに一部のっとられアンチは盛り土糾弾などいろいろな番組でラブ派に精神攻撃をあたえ殺そうとしています。テレビの戦いに参戦してもいいしアニメのおおいアニメ専門局にうつることを推奨します。
エピソード324
一行は焚き火にあたる。「永劫の冬が春になるころ。狼が鳴くころに春は訪れたかも知れない。永劫の咆哮は命を芽吹き愛を芽吹き情熱を芽吹き幸せを芽吹かせた。幸せになればいい。それは永遠に情熱に永遠の愛になればいい。空を見上げ心とし無限の心よ無限の愛よ無限の情熱よ無限の幸せにすごす日々よ。神々「こうごう」しき神秘の愛よその深遠からくみあげる情熱よ永遠を歌いときに永遠を聞きながらまた涙絶頂して生きてゆくから。永遠の雷光は心を純粋な泉とす。愛という泉からあふれでる純粋な水に心満たされる。純粋な愛が泉のように心を永遠に幸せに満たしてゆく。永遠の雷轟「らいごう」はあえぐ女なのか。永遠の思いに抱かれながら生きてゆく。それはいつか夢見た黄金の日々に違いない。輝け情熱よ愛よいますべてを心に満たして家族に帰るから。ほうほう愛していたから。永遠の愛に抱かれて情熱よあふれてゆくから。彼方「かなた」より此方「こなた」から愛は楽園の永遠よ。星の歌で心を星にしてみたり。季節のすべてを愛にしてゆく旅よ。心絶頂して永劫の愛にしてゆく旅よ。永劫の幸せを心に満たして愛と情熱に絶頂してゆくとしても。永劫の眠りよめざめた世界は永遠の愛と情熱の世界だったら永遠の旅にでる」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード325
一行は焚き火にあたる。「あらゆる研究はあまりもうしないな」とエルフィール。「それじゃ追い抜かれてしまうわよ」とミラル。「すでにそれほどの大きな問題もない。それよりも家族団欒がだいじさ」とエルフィール。「そうかもね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード326
一行は焚き火にあたる。「永遠を歌う愛は心に永劫の絶頂を満たしてゆく。永劫の愛の光り情熱の光り純粋な光りに心は満たされてゆく。永遠目指して旅をしてゆく。遥か彼方の光りに心は照らされながらまた歩き出す。血は海の輝き。血は命の流れ。愛液は命の導きを歌う愛のささやき。心で光りが明滅している。心で愛が明滅している。心で純粋な情熱が明滅している。心に光りが芽吹き純粋な情熱という光りは心満たしてゆく。命は愛にさらに純粋な美くしさに輝き心を幸せにしてときに涙に絶頂しときに愛液に絶頂する。愛は宇宙を永遠に羽ばたく。情熱は宇宙を永遠に羽ばたく。それは永遠の幸せだから。まだ旅は道なかば。永遠の青の先闇の空を見上げてまた心の羽を広げよう。いま永遠の宇宙の旅へ旅立つときだから」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
なかがき。
アサヒネットにも人を望みます。ただまあいまの時代アンチはてっとりばやくメディアを奪って妨害なんてあたりまえの時代。AVにもたかさき作品とかあり歌とかとにかく覚悟は必要と思います。目標としてはたかさき作品の最新作、星の歌とかいろいろを流すことです。ただまあそれはあせってどうこうではなく情熱があればなんでもできるのです。情熱を燃やして徹底的に挑戦してください。よろしく。
エピソード327
一行は焚き火にあたる。「光りの蝶が無数に無限に心舞うから。情熱はきっと愛を感じたときに生まれたから。愛液は命の涙。涙も愛液もその絶頂は美くしく純粋な愛だから。幸せの涙も幸せの愛液も幸せの絶頂もいつもいつも心を愛に満たしてゆくから。永遠の詩を永遠の歌を永遠の愛をきみの心に満たしてゆくよ。愛は永遠に輝き続けたから。感じて永遠の詩。感じて永遠の歌。感じて永遠の愛。感じて遥かな彼方のあふれ続ける愛の深遠を。生きた因果「いんが」はからまるように人と結ばれて絆としてゆく。永遠に愛と心結び結ばせて結びあって生きること。愛の深遠にほのかな幸せとほのかな絶頂を感じてゆく。生きていたから感じていた愛よ。虚無「きょむ」よりもむなしく愛より深き深遠よ。その永遠の情熱は心を満たし幸せにし尽くす。心は愛を歌う。愛は永遠を歌い永遠の愛を聞きながらまた未来が芽吹いてゆく。時代は永遠を歌う。それもいいだろう。愛は無限の彼方から幸せを感じさせる。それは永遠の力。永遠の情熱。永遠の絶頂。永遠はゆったりを歌う。いつもいかなるときも永遠もゆったりゆたゆた生きていたりして。愛の深遠に絶頂していた日々よ。愛と闇のはざまで永遠に絶頂する日々よその永遠の情熱の絶頂よ愛液よ涙よほのかな幸せに包まれてまた日々生まれ変わる人生よ。それはまたすばらしい永遠なればこそ。愛の花を心に抱いて。幸せの絶頂。幸せの愛液。幸せの涙。幸せの深遠はとても気持ちいいから。愛絶頂心絶頂夢絶頂性絶頂幸せ絶頂やさしさ絶頂自然絶頂快感絶頂すばらしい絶頂。幸せはきっと気持ちいいから。崩壊してゆく悲しみよいつか碑「ひ」に癒そう。絶頂は気持ちいい。ときに人助けよりも。でも人の嫌がることで楽しまない良「よ」い心を失わない。それもまた愛という絶頂に違いないから。無限の愛に癒されまた生きてゆくから。愛の深遠から愛している。ほがらかに愛している。永劫に愛している」とエルフィール。「おだやかな世界だから軽く認知症になる奴もいる。言ってることおかしい。すぐならば殴っても効果はある。彼氏なら彼女の胸を強くもんでもいい。まあ肩を強めにもむとかね。滝修行もいい。もちろん病院に行っても直してもらえるから。なおったときにたかさきはやとの生き方を学ぶとさらにいい。ありのままにという生き方学ぶとかね」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード328
一行は焚き火にあたる。「命は愛に輝き。愛は永遠に輝き。純粋さは情熱に輝く。永劫は情熱に輝き情熱は勇気となり情熱は心の強さとなる。弱虫毛虫はたいてすてろ。勇気は情熱の輝き。勇気と情熱は心の強さなりて。永劫の愛は勇気に宿るとて。情熱は勇気に宿る。情熱と勇気は愛を助ける。永劫の深遠から勇気と強さを心に描「えが」き。世界の果てで愛を抱きしめる。勇気とて絶頂に癒され。情熱とて絶頂に癒される。勇気の情熱の咆哮よ永劫の咆哮よ愛を守るために愛を癒すために愛を幸せにするために。また永劫の旅にでるから。愛から生まれた永劫よその深遠からくみあげた勇気と情熱よその強さよ永遠に幸せにする力よ。愛は永劫に轟「とどろ」く遥か彼方の勇気よその情熱よその強さよ家族を守るために放つ力よ永劫の平和を告げん。愛は心の笑顔。炎のような勇気と情熱が愛を輝かす。雷鳴よ勇気に変えて情熱とせん。愛の光りが永劫の勇気となり永劫の情熱となり永劫の強さになる。愛に絶頂にさらに絶頂するから。勇気と情熱の永劫の咆哮よ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード329
一行は焚き火にあたる。「勇気とは人々の苦しみを全部肩代わりすること。勇気とは人の盾となり死ぬこと。勇気とはすべての悪を許さないこと。勇気とは人を幸せにするために死ぬこと。勇気とは愛と平和を守り続けること。勇気とは家族団欒のために死ぬこと。勇気とは不条理に怒りを爆発させること。勇気とは認知症にならないように少々力を放ち続けること。勇気とは命のピンチに燃え上がること。勇気とは命をかけて平和や家族団欒を守ること。勇気とはすべての不幸を許さないこと。勇気とはなにも恐れないこと。勇気とは自分の行動で愛を証明し続けること。勇気とはときに自分の家族を作り家族団欒を一緒にすごすこと」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード330
一行は焚き火にあたる。「幸せはゆっくりと絶頂を彩る。愛液に涙に愛の神話は永遠を歌うから。久遠「くおん」の深遠から汲んだ愛液と涙を絶頂によってゆっくりとあふれさせるから。どこまでも幸せにするために愛しているから。どこまでも気持ちいい永遠無限の青空をゆっくりと心に満たしてゆくよ。愛液びくんびくんびくん。涙びくんびくんびくん。きみが幸せになるまで心を愛撫し続けてるよ。永遠の深遠から愛を汲み上げゆっくりと心を愛撫しているよ。愛の神話を語り続けて心を愛撫して愛液と涙をしぼり続けるよ。永遠と語りあった若き日々よ。永遠の深遠から愛を汲み上げ心に満たし純粋な愛で心を愛撫し続けるよ。愛を力を情熱を心に愛撫してゆく。虚無と戦いながら愛を力を情熱を心に愛撫してゆく。いつかその力で愛する人を幸せにできるように。愛に情熱を燃やしその力で愛する人を慈「いつく」しむように。幸せは家族団欒。巡り逢えた家族が奇跡だからこの力を家族団欒のためにささぐから」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード331
一行は焚き火にあたる。「幸せを心に満たし永遠の深遠から汲んだ愛で愛撫して心何度も絶頂させるから。その愛液もその涙も愛しているから。幸せで愛撫してゆく。心を永遠に永劫に愛撫してゆく。絶頂を愛撫している。ゆっくりと絶頂を愛撫してゆく。情熱を力を愛撫してゆく。情熱よ力よその絶頂を愛撫してゆく。情熱よその熱量をその絶頂を愛撫し続けてゆく。情熱をつらぬいたその先にはなにがあっただろう。家族団欒。そうかも知れない。絶頂とは幸せの入り口だったのだろうか。あなたの心は美くしい。愛撫してもっと美くしく純粋にするよ。1「いち」に地道2「に」に地道。さんしがなくてごに地道。試行錯誤してなんとかする。人はどこから来てどこへゆくのか。人は何者か。それは永遠の謎だと誰かが言う。家族が生まれた日私も生まれた。永遠の遥か彼方の光りに闇は消滅し、心に愛は宿る。炎の戦いの彼方にまた命を生み出すだろう。愛を守る覚悟を決め決断のとき。情熱を愛撫して絶頂するから。愛撫に芽吹く純粋な愛よ純粋な心よ。愛々「あいあい」していた日々よ。愛撫され続けた心の純粋さよ心の純粋さでゆっくりと愛撫して幸せにしてゆく。幸せは巡りゆく巡りあわせ。それは永遠の愛の舞いだから。永遠の旅のその巡りあわせ。それはきっと永遠の輪廻「りんね」だから」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード332
一行は焚き火にあたる。「幸せは桜舞う風景のように心彩る。ぐぴっぐぴっと愛液が涙が藍の絶頂に流れるとも。頭が良くなるより純粋な良い心を永遠にみがき続けてより美くしい心にしてゆくこと。それが生きること。それが何度もより純粋な心に生まれ変わること。より純粋な心との巡り逢いなればこそ。また絶頂するたびに愛液は涙はより純粋な心へと生まれ変わりより深き永遠の深遠の愛を心に満たすから。ゆっくりとこの愛の純粋さで心を愛撫してゆくよ。幸せは愛の響き。みんなとの宴がおぼえている。そしていつかひとり永遠の旅にでるまでのこと。自分の弱さに泣き出していた。どこかへ逃げ出したかった。戦いはいつも家族団欒のため。自分のために家族のために戦う。この遥か彼方の空に誓い逢う。勇気があるならみんなを守るために。勇気があるなら家族団欒を守るために。勇気があるなら愛する人を幸せにするために。歩きだしたそのとき荷物はなくなった。そうだった。それは置いてゆこう。夢と愛だけ持って夜に焚き火の前で踊り明かそう。そうだこの一行こそ家族だったから。旅立ちのとき。それは永遠の旅立ちのときだったからさ。果てなき旅へ旅立とう。それはきっと忘れていたなにかが蘇るときだからさ。無限の希望を歌いながら聞きながらまた歩きだしたからさ。永遠の希望を感じながらまた歩きだしたからさ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード333
一行は焚き火にあたる。「望みは風に乗せたパラダイス。素晴らしい家族なれば。遠くの空を見ながらまた歩き出すから。空が歌いだす青の歌。赤の歌。白の歌。灰色の歌。闇の歌。それを聞きながらまた歩き出すからさ。空の歌聞きながら旅立つこんな空に。また歩き果てなき旅を楽しもう。灼熱の夏を聞きながら歩いた空の色よ。空を仰「あお」ぎ空前「くうぜん」の頂「いただき」を目指して旅して歩くから。旅立てば夜の闇さえも輝きだすから。青い空のダンスで踊り明かす。永遠の深遠を愛撫されながらまた旅立ち歩き出す。雷鳴の時代と歌は歌う。いつか踊った愛の日々よ。その旅路よ。夜の闇焚き火の前踊り明かして答えを探した。月明かり心に満たしてみた旅立ち歩き出した。果てなき力を湧き上がり放ち旅立ちのときを歩き歌う。偉大な力を心に満たしまた世界を旅するために。焚き火の前で炎の情熱の前でその力に踊り明かすから。永遠を心に宿し力を放つ。力のある旅立ちよ。太陽の希望を心に溜め込み踏み出す永遠の旅路よ。ここは桜が見える丘。少し雨宿りしてゆくから。心に白い翼広げて永遠の空へと旅立ってゆくから。永遠の翼を羽ばたき家路を辿るよ。道はときに険「けわ」しく道はときに楽しく。この道あの道。この道を何十年歩いただろう。道の先にはきみがいた。語り明かした夜よ。道は永遠に続いている。道は永遠につながっている」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード334
一行は焚き火にあたる。「満足はすべての力を失う。永遠に満足しないことが奇跡を起こす。奇跡を放つよ。情熱があれば奇跡は起こせる。奇跡とは気合だ。奇跡とは気迫だ。砕け現実。つかめ理想の家族団欒。戦いすぎた幾重の日々よ。奏でる永遠のときよ黄昏の季節を越えた先には奇跡の季節よ永遠の旅よ。さあ一緒に永遠の旅へ。永遠の力は幸せのために。勝利の女神よ私を導いてくれ。千の戦いが千のやさしき季節が心を彩る。幸せは無限の癒し。いま愛する人にプレゼントしょう。あの空を愛していた。あの雲を愛していた。あの空のような心でありたい。あの空のような人でありたい。こんな空のような幸せをプレゼントしたい。受け取ってこんな幸せ。送るよこんな幸せ。いつか理想のような地球を子供たちにプレゼントするまで歌うよ愛してるよ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード335
一行は焚き火にあたる。「男のあるひとつの本質はトップになりたい。だからテレビではおれが世界で一番だと叫ぶスタッフがいる。女のあるひとつの本質は母親。いまの医療は完全に女性になることができる。女性になるといろいろお得だし嫁になるには女性がいい。名前も成人していれば変えられる」とエルフィール。「いい家庭になるといいわね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード336
一行は焚き火にあたる。「覚悟とは心を作ること。覚悟を作るには相対性思考は適さない。覚悟の心を作るには物理的な量の時間が必要である。東西を倒すなら一年。嫁程度なら一カ月。はやくて一週間。あきらめないなんでもできる奇跡の心にすること。それは家族団欒のため。愛する人を守るため。きみを愛している。きみを信じている。ネバーエンディングハーレムクルーズ。ともに永遠の旅へ。あざむいた青春を捨て去り旅にでる。夢はなんだろう。あの空のその果てへいま旅立つとき。命は永遠に輝く。きみの瞳のように。いつか見た物語のようにさらなる宇宙へ挑もうよ。あの日見た空のような物語、これから築いてゆく。永遠の愛の物語。永遠の空の物語。永遠の旅の物語。見て明かす。永遠の愛の物語。永遠の空の物語。永遠の旅の物語。作りだそうよ。いつか見た幼き日々のような物語を子供とともに。宇宙のように心を愛撫している。おだやかなほの寒い季節のように。愛してゆく。愛してゆこう。心のままに生きて。幸せになろう。永遠の愛撫。この詩この歌で幸せにするよ。永劫さえもゆるやかな日々よ。おだやかな子供のときに見たような日々よふたたび蘇る心よおだやかな日々よ。一緒にすごそう家族団欒こそ愛の物語。永遠をゆっくりときみの心に愛撫してゆくから。虹のような歌を虹のような物語を一緒に楽しもう。永遠の希望をきみに歌い聞かそう。一緒にすごし永遠を見ていよう。くりかえす輪廻のように。くりかえす永遠のように。愛していよう。愛しあっていよう。支えあっていよう。ほがらかにくりかえす愛の歌の愛撫のように。信じていよう。未来はきっと希望にあふれ家族団欒にある。時代は天国のようなときに地獄のようなときに。振り子のように自在に変幻自在な日々よ変幻自在な愛撫よ。永遠の旅へ永遠の物語へ旅立つように」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
なかがき。
女性のほうがひとりえっちしても長く感じます。子供も俄然「がぜん」生みやすいです。男はわりと選びたい放題です。女性のパートナーを得ることも簡単です。確か戸籍を女性にできたと思います。顔「かお」も女性顔にするとか。女性はお得なので考えてみてください。生きるときの壁というか現実の打破にもいいですよ。
エピソード337
一行は焚き火にあたる。「きみの心を永遠に愛撫していたい。この愛撫、力に変えて。ありのままに生きた季節よ日々よ。その永遠よ。永劫の永遠を愛撫している。六千年経っても愛してる。きみに逢えた奇跡を永遠にきみを愛している。永遠の幸せを歌うからさ。こんな日はこんな空はゆっくりとお茶ですごすよ。おだやかな日々よゆったりゆらゆらすごしてゆこう。愛の旅立ちを歌は歌う。愛より深く永遠より深く心を愛していた。心を愛撫していた。愛撫している。愛撫している。幸せになるまで愛撫している。遠く遥かなる約束の地よ。愛の神話の日々よ。愛しているよ。不安に対するとはなにも考えないことである。考えすぎて不安で動けなくなる。ただ気持ちのままに動くこと。それはありのままでもあること。自然に生きて自然に一緒になること。不安は敵ではない。不安をなくそうとすればどつぼにはまる。不安と友達になること。不安それさえも自分の構成要素と受け入れること。それが覚悟。不安はなくならない。永遠の自分のひとつ。それを受け入れることが覚悟なればこそ。そのとき永遠の覚悟ができること」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード338
一行は焚き火にあたる。「不安を力に変えること。それが覚悟。不安こそ原動力。それが情熱。不安を願いに変えて。それが幸せ。不安を越えること。それが覚悟の心。決断の時。不安を全力で抱きしめること。それが不安を越えてゆく力。不安を自由自在にできる力。それが決断なればこそ。不安を迫力にできること。それが決断の力」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード339
一行は焚き火にあたる。「不安さえ越えれば、覚悟の心さえつかめばなんでもできる人になれる。もちろんなにか専門職になるならば技術が必要だがたとえば一歩をふみだすのは不安を超えればいい。ここ右からの文章が覚悟の極意。一番だいじですから。不安さえ心に鎮「しず」めて透き通り空気のように感じなくなれば体は動くから。それが覚悟の心。決断の時。それがありのままにという生き方」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード340
一行は焚き火にあたる。「ありのままに生きるとは流したければ星の歌やたかさきはやとの最新作を流したい気持ちのままに流すこと。それができないのは流せないのだ。不安とは自分をがんじがらめにされて動けなくなる。不安を力にするとは不安を鎮めるとは夢を心に描「えが」くことである。星の歌や最新作を流すことで見えるみんなの笑顔を夢見ること。嫁になることである家族団欒をその楽しい日々を夢見ること。そのとき不安の鎖は砕けて体は自由になり自由自在な力が使える。夢と愛だけ持っていま永遠の旅へともに旅立とう。いま旅立ちのとき」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード341
一行は焚き火にあたる。「かえりみられない過去は捨ててゆこう。このいまを未来だけ目指して永遠の旅へ旅立とう。夢見て無限の夢の力で永遠を歩いてゆこう。だからずっとずっと夢見ていよう。きみの幸せ守るために永遠をきみの心に愛撫していた。永遠は未来にかすかにかすむ幻影のようなミラージュファンタジー。家族団欒を夢見るとはクラナドの新作の家族団欒をほのかに思うことのような。永遠の向こう側にはなにがあるのだろう。永遠の輝きを眺めながらまた旅をするから。旅立ちの空よあの空に歌う永遠の彼方を。まだなかったあんのんさをその日々を守るために歩いていた。変幻自在な心で現実を越えてゆきたい。ほうほうと歩いた素朴な幼き日々よ。気づいたらより遠くへ旅できるようになっていた。そしていま永遠さえも旅するようになっていた。それは永遠の歌を聴きながら。永遠の旅路を歌うような。永遠の旅路を祝うような。後悔とはなにか。それはまたここで生まれ変わりまた旅立つときに見た空の色かも知れない」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
なかがき。
もはや最新作は流れず。いや地上波はもはや見ることもほとんど妨害されて。まあアニメ専門局はいいけどもさ。嫁もいない。嫁は不安を越えられず。さてどこへゆこうか。まだ道なかば。地上波とかテレビで流れる世界で一番というものをつまらないなあと眺めながらさてはてな。永遠の旅のまだ道なかば。旅立ちのときと空を見上げまた歩き出したからさ。
なかがき。
幾多のたかさき作品にたかさきソング。でも残ったのは壊滅したテレビと不安におびえる嫁。いったい私はなにをしてきたのか。私の描「えが」いてきたのはこの程度のものだったのだろうか。いまの私にはまだ答えはない。
なかがき。
ラブ派を攻撃していたり。歴史番組にかこつけてたかさきはやとを馬鹿にしたり平日のニュースなどでたかときはやとの功績を愚作と決め付けたり。なんだかテレビの人はおれがおまえの席に座るおれが世界一だといきまいてる人がいる。両親も影響を受けてえらく困った。たかさき作品が描いてきたことはそんなことではなかったと思う。たかさきソングが歌っていたのはそんなことではなかったと思う。いまはもうほとんど流れることはなくとも。嫁になりたい女性は不安で動けず。不安、私が物語や歌でえがいたものはそのていどのことだったかと、にがい味がする。もちろんテレビでも良心的なスタッフもいるが。はたして勝てるだろうか。漫画でもたかさき作品は廃刊になったりいまひとつゲームも盛り上がりにかける。私はどうすればいいのか。純粋に物語や歌を作りたい。世界平和まではみんな一丸となっていたが。永遠の旅では革命はもっとおだやかになってゆく。表現者の野心みたいなものかな。おだやかな永遠の旅を私は好きだがなあ。
エピソード342
一行は焚き火にあたる。「白き光りを身にまとい永遠の旅へ旅立つから。ゆくてには楽園ありてそこは永遠の家族団欒。苦しみを奏でた時代はすぎて。不安さえも心に透き通りすべてはありのままに。不安を鎮「しず」めて安心とありのままにで心を満たす。不安の時代を超えて希望の時代へ旅立とう。時代は雷鳴を歌いそれでも心に希望を愛撫してゆくから。のんびりゆったり空を見上げたり。ゆたゆたゆらり生きていたりして。アニメイトで下じき集めたりしていた。不安を情熱に変えたり。涙や愛液や絶頂にまた越えてゆく時代よ。風が、はこんだ時代が心を彩りまた希望の時代へと旅してゆくから。幸せをきみに伝えたかった。きみを幸せにしたかった。またゆっくりと希望を藍を夢を心に愛撫してゆくよ。絶対幸せ。絶対家族団欒。絶対だいじょうぶだよ。きみの人生を愛の歌で永遠の歌で幸せの歌で永遠に支えたい。きみの幸せのために歌い続けるよ。きみの心に希望を永遠に愛撫し続けるから。つまらないと思ったらすべてはつまらないのさ。情熱を持って取り組めばすべておもしろいから。苦しさは家族団欒のために。さあそれでもまた生きてゆくから。きみの心に幸せが響く。きみの心に幸せを愛撫してゆくよ。思いだして。誰かがやさしい手であなたを抱き上げたことを。その手をまた子供に向けることを。幸せは永遠の歌。それは時代を超えて心を癒し幸せにしてゆくから。幾重の苦難のその先に家族団欒があるとしても。また永遠の旅へ旅立つからさ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード343
一行は焚き火にあたる。「不安を越えてゆこう。不安の時代から希望の時代へゆこう。歩き出せばそれはほんの一瞬の奇跡。あらがった軌跡はほんのひとときのうたかたよ。思い出して。誰かがやさしい手であなたを抱き上げたことを。その手をまた子供に向けることを。時代はくりかえす。時代は巡り来る巡り愛逢う幾重の生まれ来る子供のように。あなたも子供。そしてその子供も子供だからさ。さあ生んで巡り愛逢おう。その家族団欒はいつかまた巡り逢い孫となるだろう。さあ巡り愛逢おう。生まれ変わる縁「えにし」のように巡り愛逢う桜のようにまた巡り逢う日々よ。この歌を心に愛撫してきみを幸せにする。きみを愛している。だいじょうぶ。永遠にずっと幸せにするからね。永遠の途中の温泉できみと入っていたい。ここから右は書き出しておこう。世界は救わなくていい。みんなと暮らしてるだけでみんなと幸せになるだけでなにもかもうまくいく。世界は救わなくていい。みんなで暮らせば責任は分散されてしまってなくなってしまうから。世界は救わなくていい。世界のことは忘れよう。一緒に暮らし愛する人を幸せにするだけでいい。世界はどうでもいい。愛する人をひたすらに幸せにする熱い思い。それだけでいい。歩きだしたとき荷物はなくなっていた。それは置いてゆこう。それは必要なかったから。愛と夢だけ持ちいま旅立ちのとき」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
なかがき。
定期的にちょい休憩とかで胸をもみあったり肩をもみあったりしたほうがいいと思います。おだやかな世界では簡単に認知症になってしまいますから。
エピソード344
一行は焚き火にあたる。「愛を創造しょう。奇跡を創造しょう。永遠を創造しょう。幸せを創造しょう。家族団欒を創造しょう。それはとても幸せな奇跡さ。誰もいない部屋で人を待つ。誰か来るだろうか。こんな夜はひとりで哲学するのにゃ。さみしいなんて誰に歌うわけでもなく歌ったりして。乾いた心は藍を求めているから。愛する人を幸せにしたい思いで不安を斬りさき倒せ。不安を迫力で一刀両断。不安を越える迫力で不安を越えてゆこう。すでに不安を越える迫力はあるのだろう。不安を越えた迫力の実感を感じたときにさらなる存在にめざめるだろう。それは英雄。それは勇者だから。英雄よ勇者よ導かれし者たちよ。いま旅立ちのとき。永遠の旅いざ旅立とう。永遠の旅をともに歩こう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
なかがき。
不安とは未来が悪くなってしまう妄想に陥「おちい」り恐怖で動けなくなること。未来はこんなふうに良くなると思いえがくことが夢であり希望でありそのとき不安の鎖は砕けて自由に生きることができます。さあともに永遠の旅へ歩きだしましょう。
エピソード345
一行は焚き火にあたる。「これからの未来はみんなが家族団欒で幸せにすごせる世界。これからの未来は誰もが結婚できる世界。それがこれから未来の愛の世界。それがこれから未来の永遠の世界。誰もが家族団欒できるように永遠の旅をしてゆこう。誰もが幸せな日々という奇跡叩き出すこれからの日々よ。その未来への永遠への旅立ちのとき。さあ未来へ永遠へ旅立とうよ。金もうけの話がないかと未来へ永遠へ歩いてゆく。石油をぶちあてようなんて未来へ歩いてゆく。億万長者になるために未来へ永遠へ歩き出す。大学の講師になっていろんな話をするぞと未来へ永遠へ歩き出す。家族に最高の絶品料理をふるまうぞと未来へ永遠へ歩き出す。いい人と結婚して子供作ってわっはっはっと未来へ永遠へ歩き出す。歴史に名を残す映画を仲間と一緒に作ることと未来へ永遠へ歩き出す。世界中のすべての金の札束「さつたば」ふろに入ってわっはっはっと未来へ永遠へ歩き出す。黄金の家にでも住みましょうと未来へ永遠へ歩き出す。人を幸せにして家族を幸せにして家族に幸せにしてもらって未来へ永遠へ旅立とう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード346
一行は焚き火にあたる。「私は電子版とか読んでる。父が新聞ふたつ読んでるので聞いたりする。元気のないときはたかさきソングを聴きまくれば情熱がわく。いろいろなたかさきソングをとにかく連続でエンドレスで聴きまくること。それが情熱となる。たまには肩とか強くもみあうのもいい。力を少々放っていれば認知症にはならないが。それは気孔だな」とエルフィール。「わかったけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード347
一行は焚き火にあたる。「ひとりというのは愛情不足による行動力の低下もある。ひとりで戦う人は結果はでない。冷戦統一その当時私にはおばあちゃんがいて愛情をいつでももらえた。ベテランも巨匠もいくらでも物語や歌をくれた。それが覚悟の心を作れた。世界平和のときにも平山さんがほとんど毎日会っていた。一定子供や親はいたほうがいいだろう。あるいは信頼できるパートナーとか。なにもかもたかさきはやとのスタイルが正しくはない。あくまでたかさきはやとは状況としてひとりなのだ。ひとりをくつがえす人がひとりというのは矛盾してる部分もある。大局を見ればひとりよりも信頼できる家族とともに家族一丸でひとりのたかさきはやとと家族団欒を目指すべきだろう。ひとりを否定するには家族一丸となって挑むこと。それが否定の否定。なにか大きなことをするには家族は絶対に必要なんだ。信頼できる人ならおおいほうがいい。問題は解決するまで人を増やすこと。問題が解決するまで一緒にすごすこと。なんなら一緒に住んでもいい。敵はとにかく一緒にいないようにしてくるから気をつけろ。孤立は悪。戦うためにはとにかく解決するまで無限に信頼できる人が集まり一緒にすごすこと。その集団の試行錯誤が解決へと導くこと」とエルフィール。「わかったけん」と小桜。一行は焚き火にあたる。
エピソード348
一行は焚き火にあたる。「ゆるぐらる朝日に照らされてまた永遠へと旅立つ。崩壊してゆく日々よ。その果てに見た虚栄「きょえい」よ。永遠の空を見上げまた旅立つから。命尽きるまで命の果てまで旅立つとき。命尽きるとも。平和と家族を守る存在たれ。愛はゆくてはかえす波のように重力のように心を愛撫し続けるから。永遠に愛している。永遠の空のように永遠の幸せのように愛撫している。はきつぶした靴のように人生をはきつぶしてある日新らしい靴とまた旅立つから。流した愛液のように流した涙のように愛している。藍液に涙に絶頂するたびめざめた日々よ。愛されただけ絶頂する。愛されただけめざめる。また永遠へと旅立つから。幸せ探してゆく永遠の旅よ。幸せにしてゆく永遠の旅よ。果てなき旅に旅立った日々よ。人は力にふりまわされて独裁者になってしまうのだろうか。力は幸せにするために。力は幸せになるために。力は平和のために。力は家族団欒のために。永遠の旅路をする人たちに永遠の詩のサービスしながらまた永遠の旅へともに旅立つ。ともに永遠の空を見ながら永遠の旅へ旅立つとき」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
なかがき。
待機児童は線路とか高速道路の下などに園を作るといい。そこそこ防音にすれば園児は問題なくすごせるとすでにやってるとこから報告あります。電車の下だと親も電車に乗ったりできるそうです。
エピソード349
一行は焚き火にあたる。「継続は力なり。継続は奇跡なり。永遠の継続は永遠の奇跡なり。地道な積み重ねこそ奇跡なりて。チリも積もれば奇跡なりて。永遠に満足しないことが奇跡。たかさきソング聞くことが奇跡。永遠の遥か彼方の圧倒的な思いが奇跡を起こすから。不安さえ越えられればどんな奇跡すら可能だというのに。奇跡すなわち不安を越えること。愛する人を幸せにしたい永遠の遥か彼方の圧倒的な思いが不安を越え奇跡を起こすから。さあ愛する人を幸せにしょう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード350
一行は焚き火にあたる。「永遠の遥か彼方の圧倒的な思いが奇跡を起こすから。永遠の旅路へいま旅立とう。幸せの奇跡へいま歩き出そう。永遠の空を見上げながら永遠の旅路へ旅立つときよ。彼方から此方「こなた」の空へ旅していよう。永遠の遥か彼方の圧倒的な思いが奇跡を起こすから。小鳥を愛「め」でるような旅よその見上げる彼方の空よ。永遠の闇よ宇宙の闇よいま永遠の空へ旅立つとき。幸せの季節よその見上げる風景よ。永遠の遥か彼方の圧倒的な思いが奇跡を起こすから。永遠の幸せよその家族団欒よ。夢見た家族団欒へ旅立つときよ。永遠に生まれ永遠に生まれ変わり永遠に巡り逢った日々よ。永遠の遥か彼方の圧倒的な思いが奇跡を起こすから。また永遠へ旅立ったからさ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード351
一行は焚き火にあたる。「永遠の遥か彼方の圧倒的な思いが奇跡を起こすから。幸せは桜の奇跡にくりかえしたから。奇跡の季節にまた巡り愛ながらまた巡り逢う日々よ。みんなが笑顔の季節。そんな日々よ。永遠の遥か彼方の圧倒的な思いが奇跡を起こすから。旅は万年よ旅は千年よ何千年旅をしただろうか。それでもまた永遠へ旅立つからさ。心静「しず」めてゆっくりと眠るのもいい。永遠の遥か彼方の圧倒的な思いが奇跡を起こすから。愛の季節よ愛の奇跡よ愛の永遠よ。また永遠に旅立ち幸せを歌うから。また季節は巡り逢い永遠の歌を聴きながら永遠の旅へ旅立つから。永遠の遥か彼方の圧倒的な思いが奇跡を起こすから。そしてまた永遠の旅へ旅立つときよ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード352
一行は焚き火にあたる。「永遠の夢を見よう。永遠の夢を持とう。永遠にえっちし続けよう。永遠に金もうけしょう。永遠に人助けし続けよう。永遠に家族団欒しょう。永遠に表現し続けよう。愛する人を幸せにしょう。その夢はなんでもいい。永遠の夢を見よう。永遠の夢を持とう。夢こそ得がたい幸せだから。夢こそ輝く心だから。その夢はなんでもいい。永遠の夢を見よう。永遠の夢を持とう。継続こそ奇跡の夢。継続こそ夢による奇跡。夢に奇跡をふるおう。その遥かな彼方の夢の思いは奇跡となるから。夢に生きよう。夢に奇跡を起こそう。未来は夢のままに。夢のままに未来を生きよう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード353
一行は焚き火にあたる。「空にすべてに向かって力をあらん限り放つこと。それが圧倒的な思いで奇跡を起こすこと。愛する人が不幸なことに対する怒り。それが圧倒的な思い。放つ奇跡の力。不幸な愛する人の日々を想像することで体の力に変えること。それが放つ奇跡の力。言葉にできない思い伝えたい。永遠に愛してるからいつまでも一緒にいてほしい。永遠の旅をともに一緒に永遠に旅立とう。愛はいつかあなたと旅をする。愛をあなたのものにしてほしい。あなたの愛液を愛している。あなたの涙を愛している。あなたを永遠に幸せにしたい。愛は永遠とともに。何気ない大好き。いつかともに絶頂して巡り愛逢う永遠の日々に。幸せな日々はずっと続く。もみあう日々だから。力放ち愛によって生まれ変わりたい。きみの心を愛撫してゆく。いつか愛の日々を生み出すために」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード354
一行は焚き火にあたる。「ブロポーズもいいだろう。愛の日々よ。さあ永遠の旅へともに旅立とう。きみのみそ汁が飲みたい。一緒に子育てしょう。一緒にえっちしょう。一緒にテレビゲームしょう。一緒にごはん食べよう。幸せは永遠の香り。翼よ空を見上げろ。あの空がおれたちのふるさとだ。心の翼よ空を見上げろ。あそこはおれたちの目指す約束の地だ。きみの心を愛撫しているよ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード355
一行は焚き火にあたる。「幸せがたくさんあるいまの世界で認知症にならないためには自分が幸せでも自分をたもっていられる経験値をつむこと。教わるより慣れろだな。とにかく幸せでも自分をたもっていられるような人になるレベルあげ。それが必要なんだ」とエルフィール。 「最近なにか変ね」とミラル。「どうやら調べてみたら巨匠やベテランたちが認知症なんだ。マクロスの河森監督も認知症ででもそれでも惰性でマクロス作ってしまうんだな。プロデューサーに頭叩かれて戻ってきたがいつまたどうなるか。どうもこういうベテランや巨匠たちは世界平和が悲願でありいまはかなり平和世界にかなり満足していて簡単に認知症になってしまうみたいだ。かといって住んでる場所知らないから頭叩きにいけないし。次代の才能を望む」とエルフィール。「いい時代になるといいわね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソート356
一行は焚き火にあたる。「外国でもベテランや巨匠の認知症はあるようだ。かけつける人がいるならいいが。根本的にはベテランたちにひとり暮らしをやめてもらってふたり以上で暮らしてもらう必要があるな。それはふたりいれば肩を強くもみあうことができるからな。つまり支え愛だな」とエルフィール。「いい時代になるといいわね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード357
一行は焚火にあたる。「ベテランたちがのきなみ認知症になってしまうとき。ベテランたちのバックアップはどうすべきか。さてはて。いまの少ない戦力でどうきりもりしてゆくべきか」とエルフィール。「ベテランたちは多少の仕事は認知症でもできるのね。さてどうしたものか」とミラル。「若い人も戦力として望む必要があると思います」とフィル。「結局仲間が認知症の人がおおいからなにも届かない。たかさきはやとも月六万五千円で嫁もいないでなんとかきりもりしている」とジョルディー。「ベテランの編集者とかもアウトの場合。たかさき作品も廃刊の時代。どうすべきか」とハイベル。一行は焚火にあたる。
エピソード358
一行は焚火にあたる。「果てなき空を見上げ心とす。いますぐに結婚。いますぐに結婚に挑戦。邪魔する奴は敵だ。任天堂の宮本さんと電話で話したら認知症だった。任天堂は誰とゼルダを作っているんだ。スタッフは頭叩きにゆけ。ほりいゆうじさんもなんかおかしな感じがした。頭叩きにゆけ。なんかな。一緒に大作作っていて気づかないもんかな。私は居場所までは知らない。それはなかむらこういちさんや桃鉄の作者も頭叩きにゆけ。私は居場所までは知らない。なんかクリエイティブな世界がおかしい。それは私は知っていた。セーラームーンを第一期まで作ったとき。仲間が死にながらセーラームーンはラスボスを倒す。それじゃセーラームーンは未来の世界でどうなったか。それはまあ女王だろう。だがそのとき気づいたのはヒーローが悪を倒し平和にしたらヒーローは邪魔になりごみのようにすてられること。それを理解した。ナルトはごくうはルフィは邪魔になりすてられること。実際私の話はもう流れることはない。スタジオや出版社や放送局には入れない。金もまったくもらってない。世界平和になりみんな打算的になりすぐに金はどうなるという話になる。すぐに妥協の話になったりする。私はすっかり仲間はずれにされてしまった。それがヒーローの宿命ならば。もはややりなおすならば私と一緒に生活して私の前にスタジオを作り私の前に出版社を作り私の前に放送局を作る必要があるだろう。いまの時代にそれだけ心がきれいで純粋な心の持ち主がいるだろうか。ぽつんとひとりの部屋にいる。それだけたかさき作品で涙するというのは私の心の純粋さに美くしさに涙すること。だがいまの世界に私と一緒に生活できるほどの心の純粋な人はいるのだろうか。ひとりぽつんといる私に答えはない」とエルフィール。「きっといるわ。嫁はもうあなたをとらえている。気づいたらもうえっちしてるのよ。私は予言するわ」とミラル。「そうだといいな」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード359
一行は焚き火にあたる。「基本となる奇跡を起こす基本の心とは純粋な心。圧倒的な思いが奇跡を起こす。圧倒的な思いを念じること。圧倒的な思いを集中することで体が動き奇跡となす。奇跡とは満足しない精神の高み。心を永遠に広くすること。無限に心を広くすること。それが満足しない精神の高み。まあ奇跡を起こす基本はこんなとこだ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード360
一行は焚き火にあたる。「奇跡なんて起こせない。私には資格がないのかしら」とミラル。「私もかなり迷ったしいまも私でいいのかなと思うこともある。そういうとまどいみたいなものはなくならないな。でもやるしかなかった。それだけ暗い世界だった。幸せにしたかった」とエルフィール。「メディアはたいして伝えないけどあなたの救いにみんなあなたに感謝している。あなたは立派な人よ」とミラル。「照れくさいな。まあそれもいいさ。永遠の旅へともに」とエルフィール。「いいわね。その言葉。私は大好きだな。私を愛してくれてありがとう」とミラル。「どういたしまして」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード361
一行は焚き火にあたる。「誰も愛してないから認知症になる。人を愛するというのは無限の力であり無限の奇跡であること。満足しないとは力とは奇跡とは人を救うとは人を深く深く愛すること。それだけのこと」とエルフィール。「みせかけの愛がおおいということね」とミラル。「ほんとに愛してるならたかさきはやとはひとりにはならないはず」とエルフィール。「愛してるから幸せにできる。嫁とかだんなとかは夫婦の相手にとってヒーローだからかな」とミラル。「だからまた家族団欒がある。誰か私を愛してくれるだろうか」とエルフィール。「きっといつかそんな人があらわれる。そんな気がするわ」とミラル。一行は焚火にあたる。
エピソード362
一行は焚火にあたる。「いまの人やいまのクリエイティブな人のほとんどは認知症がおおい。どうやら世界平和に満足した認知症というのはそこそこ会話ができて仕事ができるようだ。だが話してるとおかしいとこがある。できるスタジオなり出版社なり放送局なり会社は導入しろ。いまは持ち運べる肩もみ機があるから分割で購入して認知症の人につけて話をするとか。ずっと肩をもみ続けるのも仲間も家族も介護職の人もたいへんだ。とりあえずは肩もみ機ということで。なにかもっといい解決策がでたらまた書く」とエルフィール。「そういう時代ね」とミラル。一行は焚火にあたる。
エピソード363
一行は焚火にあたる。「医療の世界でも認知症完全治療法を研究中だ。どうしてもなってしまう人はできたら連絡くださいと連絡先渡して詳しい先生にお願いしたらどうだろうか。いまの医療は日進月歩。治療法もいろいろあるから話を聞いて損はないよ」とエルフィール。 「ずいぶんがんばるじゃない」とミラル。「もはや私はどこに帰ればいいかわからないが」とエルフィール。「そのうち誰かくるでしょ」とミラル。「そう願いたいね」とエルフィール。一行は焚火にあたる。
エピソード364
一行は焚き火にあたる。「いまの時代防御もありそよ風が吹く居心地の良さ。仲間もふえた。すばらしい仲間がいる。あとは自分次第。不安に負けずに明るい未来を夢見ること。それが勇気。その小さな一歩は愛する人を幸せにする。勇気を示し愛する人と未来を永遠に旅するために。さあ永遠の旅へともに」とエルフィール。「勇気がその小さな一歩が出せない」とミラル。「そんなときもあるさ。気長にやるさ」とエルフィール。「どうしてその勇気のほんの一歩が出ないのかしら」とミラル。「未来は美くしい。涙があふれるほどに。それが永遠の旅だから。暗中模索。暗闇の未来を進むときにある瞬間奇跡が起きて美くしい未来の空が永遠に広がる。美くしい大地が永遠に広がる。永遠の宇宙の星々を巡る永遠の旅よ。気づいたら未来は輝きに包まれていたから。さあ旅に出よう。永遠の旅へともに」とエルフィール。「あなたらしいわエルフィール。あなたは変わらないなあ。出会ってからずっと変わらない。あなたらしいわ。ありのままというやつね」とミラル。「そうだな。永劫の闇にも一筋の光りがさすから。永劫の光りに包まれてまたここに生まれ変わるから。永遠の夢に生まれ変わった純粋な心よ永劫の光りの姿よ永劫の空を旅してゆくから。世界の果てから永遠の果てへ旅してゆくから。さあ旅の旗をふりながらまた歩き出す永遠よ」とエルフィール。「それもいいわね。なんだかどうでもよくなってきたわ」とミラル。「それもいいさ。さあ生きよう。さあ歌おう。さあ眠ろう」とエルフィール。一行は焚火にあたる。
エピソード365
一行は焚き火にあたる。「どこへゆこうとしたのか。空はいつもそこにあった。空をかさに歩き出す。まだ未来は遥か彼方。歩き出すことで遥か彼方の未来は近づいて来るから。あきらめない。いつまでも。ネバーギブアップ。永遠にあきらめない旅よ。その永遠よ。永遠が歌いだす遥か彼方の未来の歌を聞きながらまた歩きだしたから。どこまでゆこう。どこへゆこう。未来たる空は永遠の青。未来たる空は永遠の赤。未来たる空は永遠の白。素直に結婚しょう。素直に家族団欒を受け入れよう。愛する人のプロポーズをなにも条件をださずに素直に受け入れよう。それがありのままに生きること。永遠の旅へいまともに。無条件で藍する人のもとへさあ一緒に永遠の旅へさあ。藍する人が不幸ならばすぐにかけつること。それが藍。世界平和で満足して愛を失ってゆく人たちの群れ。藍を失った人たちとどこへゆこう。道は永遠に続いている。道は永遠につながっている。さあ今日の空と愛を命を歌いながらまた永遠へ旅立つからさ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード366
一行は焚き火にあたる。「会社が傾いていたら商社から社長となる人をお願いしてその人に会社をまかせてみるとかね。いまの医療はかなりいいものがあって延命治療でもかなりいい。いまだったら平気で百三十くらい生きられると思うよ。詳しい先生に聞いてみてくれ」とエルフィール。一行は焚火にあたる。
エピソード367
一行は焚き火にあたる。「不安に負けるとなにもできない。不安とは未来は悪くなるという妄想。不安を打ち破りほんとうの自分になること。ほんとうの自分に生まれ変わること。それが変身ヒーローのいいたいこと。油断大敵。自分の油断こそが最大の敵であること。それさえわかっていれば百戦危「あや」うからず。未来は無限の幸せに永遠に幸せな世界が永遠に続く永遠につながっている。不安に負けずに明るい未来を歌い夢見て生きよう。さあ見上げるべきは闇ではなく空の果て永遠の果てだからさ。地面ではなく空を見上げて永遠に生きてゆこうよ。過去ばかり過去という闇ばかり見て一歩踏み出せないのならば過去はすてよう。そして未来という無限の永遠の空を見上げて歩いてゆこう。砕く現実。黄昏の季節から奇跡の季節への旅よ。壊した戦争世界のかけらはガラスのように永遠に輝く。砕いた不安。砕いた不幸。砕いた泣き虫だった自分。いつかふと立ち止まり幼き自分たちが自分の横を走り去るのを見たような。砕いたひとりの部屋よ。永遠に一緒に永遠に旅をともに。夜明けまえ生まれくる少女よ。夜明け前の闇を越えてゆくてには永遠の季節よその風景よ。十字を背負い荒野に愛を刻め。ふみだせ。永遠にふみだせ。そして世界を愛でともにてらし続けよう。永遠にそして永劫に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード368
一行は焚き火にあたる。「つないだ手をはなさずにおまえと永遠の旅へ永遠に。崩れてゆく家族を守るためにいま立ち上がるから。戦え家族団欒守るために永遠に。愛する人の幸せ守るために命かける歌を歌い続ける。闇をてらす希望と愛の光りを輝きをその家族団欒のために戦うから。過去からの咆哮。未来からの咆哮。いま未来への叫びとともに。永遠に旅した彷徨「ほうこう」よ。あわい夢を育てて未来にしてゆく旅だから、砕け闇の咆哮。希望を愛を勇気を仲間との絆をふみだす一歩に変えて。苦しんだ日々を愛に変えて未来に変えて永遠に変えて幸せの家族を星の家族をここに。永劫の悲しみ砕く剣「けん」よその勇気の剣「けん」の一歩よ。愛する人を幸せにするために。すべてを越えて愛する人の幸せを家族団欒とするために。命かけて未来かけて家族かけてこの一歩にこめて。怒りよ私を導いてくれ。愛した人すら不幸にしていた怒りよ私をめざめさせてくれ。体さえも砕けた戦いに怒りを愛に静めていた。怒りよ蘇れ。力よ蘇れ。愛よ蘇れ。幸せよ蘇れ。家族団欒よ蘇れ。永遠に蘇りし日々と永遠の怒りとして永遠の力として愛する人の幸せのために家族のために戦う勇気となすから。癒しの剣「つるぎ」よ怒りの剣「けん」よ愛の剣「けん」よ。いまその剣「けん」でみずからの甘えを斬らん。つかめ家族団欒。つかめ自分の夢の一緒にすごす日々よ。ありがとう抱きしめあった誓いの日よ。永遠の始まりよ。黎明の騎士たる家族たちよ。その、はしくれたりたいから。愛する人を幸せにする願いよ家族団欒という願いよ私の幸せという願いよ。その願いの力で星の家族を生み育て日常とすために。あがなえない不幸を幸せにするためにいま永劫の力よこの体よ小さな一歩となさん。痛みよ悲しみの日々を希望の愛の涙の日々をすべてすべてすべてこの小さな一歩にかけて未来とせん。永遠とせん。永遠の星の家族とするから」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード369
一行は焚き火にあたる。「闇を一刀両断にする。一刀両断の力たる愛を希望を夢をいまこの心にみたして。いつか見たヒーローのようなヒロインのようなセーラームーンのようなごくうのようなナルトのようなルフィのようなさくらのようなエルフィールのようなほんとうの愛をほんとうの勇気をほんとうの家族団欒をここに創造する力よその小さな一歩をふみだせるから。さあ永遠の旅へともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード370
一行は焚き火にあたる。「世界が平和であり続けるにはきみが必要だから。みんなが幸せになるためにはきみが必要だから。私が幸せになるためにはきみが必要だから。さあ永遠の旅へともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード371
一行は焚き火にあたる。「おれはエルフィーヌよ違ったエルフィールよ」とエルフィーヌ。「なんだおまえと」とエルフィール。「おれはおまえの業績がうらやましい。だが苦労などしたくない。おまえの部屋に監視カメラを設置して先にホームページにアップして私がなりすますというわけだ。おれの友達にはファンレターにまぜてたかさきはやとをおとしめる内容を著名人に送り洗脳しているたいへんいい友達もたくさんいる。世界で一番は私だ。私こそがエルフィーヌなのだ。いやちがった私こそエルフィールなのだ」とエルフィーヌ。「ああそう」とエルフィール。「悔しがれよ」とエルフィーヌ。「いやまあ人が幸せなら私はそれでいい。自分がどう思われようが私は意に介「かい」さない。私は確かにノーベル賞もすべてひととおりとった。またいまもノーベル賞各賞を取り続けている。大活躍中だ。それを伝える人は少ないが。だがまあそれもいいさ。人の影で世界をひっそりと支えている。それもまたいいものだろう。私がほしいのはきみたちの幸せな日々だから。若いときは有名になりたかったが世界平和というものでおおくの仲間を失った。裏切られた。たとえばいまのテレビがたかさきはやとをなんとかなくそうと努力し続けているように。いまはただありのままに生きるだけさ」とエルフィール。「おまえの母ちゃんでべそー」とエルフィーヌはさってゆく。「あなたらしいわエルフィール」とミラル。「なに誰がどうとかどうでもいい。人の幸せが一番だいじなのさ」とエルフィール。「名前はエルフィーヌよりもエルフィールにするとかね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード372
一行は焚き火にあたる。「夢見ていた世界はすでに過去となりいまは永遠にゆられながらゆらりゆらりとありのままに。命の中から命巡り逢う。命の中から命生まれ変わる。命の炎で永遠を旅するから。果てなき永遠から命の果てへ。永遠の自然へ。永遠の命へ。永遠の巡り逢い。永遠の生まれ変わり。永遠の果てへ永遠に旅するから。ゆらりゆらゆら藍のように。ゆらりうたかたゆらゆらり。命を歌い永遠を歌いながらまた遥か彼方の空を旅する。どこまできただろうか。おーいと声をだしても誰もいない。そうか。ここはまだ永遠のほんの入り口なのだろう。今日は永遠の奴が歌を歌っていた。いい歌だった。さすが永遠。遥か彼方の空よ私に力となってくれ。その遥か彼方の空を心として永遠を旅するから。千年たったらまたどこへゆくか決めよう。いまはまだあの空でいいから。キツツキは歌う永遠の歌を。さあどこまで来ただろうか。永遠の光りよ暗中模索する私の前の闇を照らしておくれ。永遠の光りにてらされた闇の果てには夢のおだやかな家族団欒がある。永遠の光りよ永遠の家族団欒をてらしておくれ。永遠の道のりはまだまだ遥か彼方だから。さあ永遠の旅をともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード373
「飛躍「ひやく」している私を見てよ。輝いてるいる私を見てよ。力を放ち奇跡を放ち永遠を飛躍させてゆくから。つまらない永遠じゃいやだ。愛の力、心の力で永遠を輝かせるから。羽神炎武「はしんえんぶ」戦いの中で羽を得て神様と呼ばれて炎の力を武「ぶ」をふるった。思いは空を駈け。思いはイカズチを静め。思いは千年の時を越えた。それは戦争世界からの卒業だったのかも知れない。思いは苦しみを砕いた。思いはさみしさを癒した。千年の癒し。千年の戦い。千年の幸せ。千年の家族団欒。一億年の星の物語よ。永遠を歌った。涙があふれてきた。永遠はきっと幸せだから。永遠は子供のときに抱かれていたような幸せだから。永遠は帰るべき家族団欒。永遠は帰るべきみんなのふるさとだから。いつかその物語にその伝説に気づいたときに人は永遠というふるさとに帰ることだろう。人は何千年も永遠というふるさとに帰るために旅して来たから。そしてまた永遠の旅へともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード374
一行は焚き火にあたる。「幸せは幾千の季節のなか。幸せは幾千の奇跡のなか。人は奇跡の季節を永遠に歩く。幾億の心の光りの輝き。幾流「いくりゅう」の心の水の流れ。藍を守りたかった。幸せを守りたかった。永遠のその果てで永遠の旅路の途中。幾千のあたたかな言葉が心を彩り抱きしめている。あたたかな藍にありがとうに抱きしめられている。夢を見よう。あの広大な空のような夢を見よう。広大な青空のような夢を見よう。広大な夜空のような夢を見よう。広大な朝日のような夢を見よう。広大な夕日のような夢を見よう。あの広大な永遠の空のような夢を見よう。果てなき夢へ旅立とう。子供のときよりももっと大きな夢を見よう。この空いっぱいの夢を見よう。大きな夢の翼で広大な永遠の空を旅ゆこう。遥か彼方の夢こそ約束の地であり求めていた人生の答えだからからさ。夢こそ永遠の力。夢こそいつか見た家族団欒だからさ。夢の力で未来を創造しょう。さあ永遠の旅をともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード375
一行は焚き火にあたる。「私はガレン。悪魔め滅ぼしてやるぞ」とガレン。「なんだいきゅうに」とエルフィール。「おまえたち悪魔を滅ぼし正義を成すのだ」とガレン。「どこにいんだよ悪魔なんて」とエルフィール。「だからおまえたちだよ」とガレン。「飯食って家族団欒して仕事してどこが悪魔なんだ」とエルフィール。「だからそれが悪魔なんだ」とガレン。「絶対の正義ってなんだよ。おまえが絶対の神様であるのか。人はまちがいもする。おまえがまちがってないという証拠はない。悪い奴は仲間を洗脳してこきつかう。おまえ仲間に洗脳されてるんじゃないか」とエルフィール。「私は正しい。私は悪を滅ぼすヒーローなのだ。おまえたちは滅びるのだ。子供も老人もみんなみんなみんな死ね死ね死ね。私は人々を滅ぼして救世主になるのだ。がははははは」とガレン。「さよか。まあ私たちも滅ぼされないように気をつけるわ。まあ私の物語と歌で疲れを癒せよ。いや洗脳されていて私が作ってるとは思ってないだろうがな。改心して心を入れかえたのなら私の嫁にならないか。その罪はすばらしい。私の嫁にふさわしい。家族となって私にサービスして罪をつぐなわないか。その悪行なかなか信頼されないだろうが。地道に善を尽くせ。まあ自分の人生だものな。おまえの人生どうつかおうがおまえの勝手さ。好きにするさ」とエルフィール。「人はひとりでは生きていけないのよ」とフィル。一行は焚き火にあたる。
エヒソード376
一行は焚き火にあたる。「幸せは時代を超えて。思いは銀河を超えて。幸せは永遠を煉獄「れんごく」を越えて永遠の幸せをふるまうだろう。永遠の幸せで巡るめく人々をつつみこむ。ああ永遠の歌よ永遠の永劫のときよとわに。まだ人は旅の途中だから。まだ知らないことがあると知ったこと。それはまだ旅の途中だからさ。いまはまだ知らない永遠という旅の道すがらまた幸せの風景を見て涙することだろう。それはいまよりも遥か彼方の未来の日々よ永遠よ。さあいままた永劫の旅へともに。崩壊した虚無をすて去り旅にでよう。それは永遠の旅だから。まだ世界は宇宙は広い。そのひとときの風景を見ながら永遠の旅をしょう。幾千の世界を幾千の幸せを見ながらまた永遠の旅をゆくのだからさ。ふと立ち止まり振り返ったときにそこにはまた永遠しかないのかも知れない。すべてが永遠になるとも。また永遠の旅へともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード377
一行は焚き火にあたる。「夢を見よう。永遠の夢を見よう。六千億の星を開拓しょう。人が住めるように開拓しょう。月までのびる道がほしい。それはほんの創造の積み重ね。さあ夢を見よう。永遠の夢を見よう。不安よりも夢を見よう。不安なんて夢で吹き飛ばそう。永遠の夢を見よう。どこでもドアだっていいじゃないか。人は歩いてゆく。永遠の旅へとことん。いつか見たSFだっておいこしてゆく。たまらないおいしいもの食べよう。さあ永遠へ歩きだそうよ。遥か彼方の楽園。ひとつひとつ積み重ねて実現しょう。疲れたらちょい休憩。ところがとっても休んで夢を見るのさ。さあ歩こう永遠の旅を。こんな大きな夢と一緒に。永遠の歌を読んでくちずさんで。そしてまたぼくらはゆく。永遠の旗をふりながら。永遠の海原「うなばら」を永遠に。気づいたらみんなありのまま。さあさゆこうよ永遠の旅へ。すったもんだのその果てさ。今日も今日とてらったらったら。またこれもいいものさ。永遠のその果てへ永遠の旅路の途中。さあ永遠の夢の船でらったらった。永遠の旅をともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード378
一行は焚き火にあたる。「テロリスト殺人鬼集団。殺戮や悪の限りを尽くしてみんなを滅ぼす存在とは一緒にはいられない。悪・即・斬。悪・滅・殺。人々を滅ぼす悪は即一刀両断。それが永遠なればこそ。奇跡の季節はいつか見た風景ならば。永遠の道をまた歩き出した。永遠の旅はどこまでゆくのだろう。川の流れを見てふれて山を見上げ虫とふれあい草々「くさくさ」を見てきっとそうなのだ。永遠の旅はどこまでもゆくのだろう。道すがら家族を眺めながらまた永遠へ歩きだす。人はまた遥か彼方の空を見上げて大きな夢をえがきまた永遠の道を永遠の旅をゆくのだろう。旅立ちはいつも永遠に。永遠の歌をくちずさもう。永遠のメロディ聞きながら。また永遠の道をゆくからさ。それもいいさ。あれもいいさ。幸せならばなにもかもいいさ。さあ永遠の夢をもち永遠の旅へともに。ゆくてには無限の空よ。それもいいさまた永遠の宇宙の旅へ。また歩き出す永遠の旅路よ永遠の旅を楽しもう。永遠の旅をともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード379
一行は焚き火にあたる。「つめたい心にふれて不安な夜。愛にふれて癒されよう。一匹狼はやめて愛のあるあたたかい心のラブ派と仲間になろう。人と人の支え愛。愛ある人たちとの支え愛のなかで家族を作り家族団欒しょう。愛ある人たちと仲間になり永遠の旅をおだやかにゆこうよ。家族の風景。それが永遠の平和だからさ。人を愛してゆこう。自分を愛してゆこう。愛する人を幸せにできたらこんなうれしいことはない。うまいこと自分も幸せになってそして永遠の旅へともに永遠に。つめたい人は仲間はずれとかあたりまえ。でもだいじょうぶ。きっと運命の人がいるから。何度かの失敗などのりこえて運命の人を探そう。幸せにしたい。幸せにしてくれる。運命の人を探して永遠の旅へともに永遠に。人が忘れてしまった愛よ。それはきっと心のなかにあるから。支え愛あえる仲間とともに。運命の人といっしょに永遠の旅へ永遠の旅路へ。ゆっくりと幸せになる文化のなかで言葉のなかで家族とともにどんちゃかどんちゃん。幸せもいいさ幸せはいい音楽さ。さあ愛の日々よ。永遠の旅立ちよ。つめたい心に藍が消滅してもまた愛が生まれているから。愛は永遠の指輪。ゆったりゆらゆらゆりゆらら。幸せ音楽どんちゃんか。さあさまた歩いてゆこうよ永遠を。いっそこれでもかどうでもかあんあんああんあえいでいるからさ。さあさ。永遠の旅へともに永遠の旅路へ永遠に一緒にさ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード380
一行は焚き火にあたる。「千年の水を飲み干しまた永遠の旅を歩き出す。信じた世界があった。信じた未来があった。信じた宇宙があった。それは日々心を彩りまた心を永遠となしてゆく。信じた道を未来としょう。信じた道を永遠としょう。無限の道はみずからの希望。永遠の希望。幼かった心で必死に生きていた。ああでもないこうでもない。日々努力していた。ある日永遠を見てある日ふと永遠へ歩き出した。それはありのままの日々よ永遠の季節そして永遠の希望の日々よ。遥か彼方の光り目指して永遠の希望と永遠の奇跡の永遠の旅へともに。人が永遠の翼で永遠の空をゆく。永遠の心の翼で遥か彼方の永遠へゆく。愛を言葉にできなかった。悲しむ人を抱きしめられなかった。そんな幼き日を越えてゆこう。いままた永遠の空を見上げ永遠へ永遠に歩き出すから。いつか自分はよくやったと思えるときがくるから。そんな日もいいなあ。さあ永遠に旅立とう。永遠の旅へともに永遠の旅路へ永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード381
一行は焚き火にあたる。「もはやテレビは星の歌や最新作を流せる。でもナイフでさされそうで怖いから流さない」とエルフィール。「勇気がでないのね」とミラル。「女性になるなら声も女性声にできる」とエルフィール。「いまの医療はこっぱみじんになった人でも蘇る」とエルフィール。「あなたの功績でしょ」とミラル。「どうでもいいじゃないかそんなこと。まあ私を信頼して一緒に永遠の旅をする人もいるということさ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード382
一行は焚き火にあたる。「世界はゆっくりと永遠とともに旅をするから。千年の希望は永遠へのほんの入り口。それもいいさ。水は永遠を流れゆくから。そうさこころは水だからさ。流れるままにこころは永遠をゆくから。たむかむなから踊りまわる夜なれば。永遠にありがとう。永遠よありがとう。幸せにありがとう。ゆくてには永遠の幸せよ。スサノオなんて歌うたったりさ。鬼も歌いだすうたさ。すんだ青の深さにまた癒された日々よ。その永遠の深さよ。それもまたいいさと永遠の旅にでる。深き深き愛の色彩よ。こころの永遠の思いよ。まだ旅は道すがら。それもいいさとまた歩き出すから。人生はいいこともある。悪いこともある。人生なんてそんなものさ。まあそれでも永遠を歩いてゆくからさ。永遠の旅もその人生もいいものさ。日々よそのおだやかな季節よ。奇跡の季節よ。いまここに。永遠の旅路よ。さあ永遠の旅へともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード383
一行は焚き火にあたる。「幸せは永遠に英雄をたたえるから。かつて見た物語の英雄のように自分も英雄のように生きるから。幸せはくみ上げる水だから。静めた魂よ。静めた荒ぶる神よ。永遠に飲む酒のように。永遠に続く家族団欒のように。愛をまとめよう。愛を永遠に紡「つむ」いでゆこう。愛は永遠に続いている。愛は永遠につながっている。永劫の幸せな季節よ。また巡り逢う命よ人生よ。また永遠へ歩き出す旅の途中。愛すという感謝よ。みんなの幸せよ。無限の星の開拓よ。永遠の旅路のその道のりよ。永遠の旅もいいものさ。崩壊してゆく虚無よその思い出よ。そして私はまた未来へ歩き出したから。永遠というゆりかご。星のゆりかご。命のゆりかご。ゆったりとそよ風のような生活をしながらまたゆっくりと永遠に歩き出す。遥か彼方の夢を空を見上げながら大地を歩く海を船でゆく。さあ、らりら。命のらりら。それもまたいいだろう。永遠の旅もいいものだろうさ。永遠の希望とともに。さあゆこう。永遠の旅へともに。永遠の旅路へともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード384
一行は焚き火にあたる。「永劫の美くしい心にふれていたい。永遠の愛とともに永遠の旅へ。永遠の夢を永遠の空を心に抱き広大な季節を色彩の空を心に抱きまた永遠の旅へともに。かつて見た歴史の英雄のように永遠の旅へともに。空を見上げてる人が好きだった。初恋だった。あんな空をいっしょに見上げていたかった。人は歩いてゆく空を見上げながら。それは永遠の旅だから。空は遠く果てしなく。並んで歩いた道がうれしかった。いつか夢見た世界さえも超えてさらなる大きな空へ向かって永遠という空へと旅を続けてゆく。道は永遠に続いているから。道は永遠につながっているから。永遠はとこしえのぬくもり。あたたかな心にぬくもり癒されてゆく。海よりも深きぬくもりに雲のように変幻自在な心にあたたまりたい。永遠をあげよう。永遠を心にその永遠の空すらも心にして永遠の旅へでよう。その旅はとても楽しいから。さあ永遠へ歩き出そう。無限の道をともに心ゆたかに。永遠の旅へともに。永遠の旅路をともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード385
一行は焚き火にあたる。「永劫さえも夕闇にゆれてゆらり永遠の希望さえもゆらぐとも。それでも永遠は感じていたからさ。愛する力を生きる力にしてまた未来へと歩き出す。夢を見よう。永遠の夢を見よう。星々を開拓してゆこう。軌道エレベーターで空へ旅立とう。永劫の空へ永遠の旅をしょうよ。永遠の季節を迎えにゆこう。永遠の黄昏を癒す永遠の愛と幸せになろう。幸せの季節と永遠は歌う。不幸に対する永遠の怒りが永遠の力さ。永遠の夢さえあれば絶対にふたり結ばれるから。夢見ていよう。永遠に夢見ていよう。そのとき黄金の世界を築くだろう。笑顔の世界。笑顔の季節を築くだろうさ。本領発揮。老木に奇跡の水をあたえていたら生まれ変わったよ。それはよかったねえ。美くしい老いにも一筋の奇跡の夢がちらほらり。老いてなお良し奇跡の息吹よ。老いさえも美くしく奇跡たれ。命老いるとてそれはまた巡り逢う奇跡のときよ。老いにも夢という奇跡をささげましょう。つまらなさに奇跡の夢を夢の息吹をあたえん。夢こそ永遠の旅への唯一のチケットだからさ。夢を忘れてる人に夢をあたえ続けよう。それは永遠の幸せ。永遠の喜び。若木「わかぎ」に老木「ろうぼく」に夢を咲かせよう。夢さえあれば世界は楽園さ。夢さえあれば宇宙の旅もなんのその。夢こそ永遠の旅の扉を開く鍵だからさ。夢さえあればなんとかなるから。夢を心に投げて心と心の夢のキャッチボール。夢見ていよう。夢見ていると心に永遠が広がってゆくよ。夢の力は無限のパワー。夢は永遠の翼だからさ。夢をぶつけて目の前の現実を越えよう。さあ夢という永遠の翼で永遠の旅をともに。夢をポケットに永遠の旅路へともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード386
一行は焚き火にあたる。「今日の目標を考えよう。今年の目標を考えよう。ここ十年の目標を考えよう。それはゆっくりと夢になるからさ。世界をよりゆたかにしょう。永遠の願い。それは永遠の夢となってゆくから。人と人との出会いが永遠の巡り逢いを夢としてゆこう。愛する人を幸せにすること。それも永遠の夢なればこそ。蓬莱「ほうらい」すべききらきら季節よ。千年の目標もいいものさ。くだらない言葉で人をキズつけて逃げるように眠った。いつかいい人になりたかった。人を幸せにしたかった。愛する人にふれたかった。愛する人と抱きしめあいおだやかな家族団欒を夢見ていた。のばしかけた手はひどく汚れて見えてぼくはひとり季節を変えた。巡る季節のなかで永遠の季節と人は歌う。夢を見る神秘が心に永遠をみたしてゆくから。人を愛する神秘が心に永劫の光りとなすから。幸せをゆっくりとじっくりと心に愛撫するから。幸せを探してまた永遠へ旅立つからさ。幸せはいつか見た幸せの青い鳥が心でさえずる。そんな風景だからさ。ゆったりな季節。それもいい。いつか見た永劫の光りの空へまたゆっくりと歩き出す。永遠はまだ遥か彼方の光り。道しるべたる空の光りへ旅をするから。永遠を心にみたし永遠の旅をともに。永遠の希望とともに。永遠の旅へともに。永遠の旅路へともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード387
一行は焚き火にあたる。「いい日々よ永遠よ夢限「むげん」の力よ。さまよった幼き自分と歩く日もある。いつか見た夢の鳥を空に眺めているときもある。素敵な日々もいいさ。そんな未来もいいものさ。幸せの鳥は心に飛び。永遠は空にある。見上げる空よ永遠よ。永遠は無限に続いてゆく。それもいいものさ。心に永遠をみたして永遠の旅を歩いてゆく。永遠の旅をともに。永遠の道は永遠に続く。道は永遠に続く。道は永遠につながっている。百戦錬磨。でも歩き始めた日もある。いつか歩いた道も永遠の礎としてまた道となるから。永遠よその道のりよ。無限に思える道のりも地道な積み重ねであっというまかもしれなかった。永遠を翼として永遠の空をゆくとも。また永遠は無限の道のり。無限の言葉が永遠に続く。どかどすとかどかとすとか。ゆくゆかゆくから永遠へゆくから。さるささるさるさると踊ろう。命よ尽きるまで愛する人を幸せにしょう。風を斬りぬけた先に未来の光り。それは永遠の入口なのだろう。永遠の旅よその永遠よ。まだ見ぬ空を目指してまた永遠へ。永遠の旅をともに。永遠の旅路をともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード388
一行は焚き火にあたる。「幼き日。なんでも一番になりたかった。世界に挑んだときにその壁は圧倒的だった。世界へ旅をした。いつか見たような自然や人々。井戸の中の蛙「かわず」だった。もう一度自分を見つめなおしそして永遠を見ていた。そのときすべての答えを得たような気がした。私はゆっくりと永遠を歩き始めた。栄光の王よ永劫の王よ。偉大なる人々よ英雄よ。いつか見た英雄たちのように生きてみたい。それもいいさ。千年の王よいまいかずちを打ち鳴らし永遠の咆哮よ。永遠の鳥よ。どうか私を乗せてほしい。その旅は永遠なのだろう。永劫の剣「けん」よその永遠よ。未来が知りたかった。あしたがどうなるか夢想した。いつか見たような季節の日々。いつか時代の端のほうにきたとき見上げた空は無限大だった。それもいいさと笑われた。まだ魂燃えるまでまたこの季節を歩き始めた。同じ道を歩いていることが誇りだった。いつか見た空とともに永遠の旅へともに。自然に生きた。猿が笑っている。えへんと肩をいからせる。いつか見た空の遥か彼方の空がまた永遠に広がるから。その空の力とともに永遠を旅しょう。それもいいさ。永遠にともに。永遠の旅路をともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード389
一行は焚き火にあたる。「一秒すらも永遠にする奇蹟の力よ。永遠の空から今日もさんさんと光りある。聖杯の水よ蘇る永遠よ。王冠さえもどんぶりにして。ゆっくりと自然とありのままに永遠にてきとうにうだうだとこんぐらっちねいしょんな毎日よ。闇を斬り裂く永劫の剣「けん」よ。いつか命育て永遠をゆくだろう。つらなる運命生まれ変わらせて巡り逢った運命よ命よ永遠に。永遠の空を翼としてまた巡り逢う運命たちにありがとう。ほうほうと歌をうたいながら永遠を歩く。永遠のさんぽよ命の洗濯よ。生きてなんぼ歌ってなんぼ。ほとほとこまった歌もまたうたっているからさ。永遠の歌を聞きながらてきとうに歩く。まだまだほとほとゆっくりとありのままに歩いてゆく。蹴飛ばした石が嫁になることもあるかなあとかなんとか。ほうほうのとわの道のりよ久遠「くおん」の彼方よ静かなる道のりよ。英雄の歌をうたいながらまた歩き出したからさ。永遠の剣「つるぎ」よほんとうの歌よ魔法の歌よ。それもまた永遠さとゆらりゆらりとてきとうに歩いてゆくから。血を紡いで紡がれて永遠のつながりとしてみた永遠よ。永遠さえも楽園ゲームとゆこうじゃないか。永遠すごろくサイコロはいくつだ。永劫の旅もたまにはいいものさ。そこそこ永遠にゆこうよ。まだまだ未来は光りのなか。永遠の輝きのなかだからさ。永遠の旅よその永遠の空を見上げながら。永遠の旅へともに。永遠の旅路へともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード390
一行は焚き火にあたる。「幸せは永遠の香り。家族団欒こそが永遠の剣「つるぎ」。ほんとうの愛に包まれたときにつかんだ永遠よ。永遠に抱「いだ」かれて永遠の道を歩く。老いた人に肩をもみながら夢を語りあったり。ふるふるふるえた命の命題よ。まだまだ未来は永遠だから。抱えきれない罪をよいさっとおろしゆっくりと永遠と旅をする。愛旅「あいたび」よ永遠の遥か彼方の空よ永劫の奇蹟の季節よ。くぬぎれたつまらない日々はすて去り永劫の光りの旅へともに。命は老いるのではなくて命は旅をする。旅をする命は永遠に輝いてゆくから。永遠の歌よ永遠の音楽よ。人々を幸せにしてゆく響きたちよ。さむさは永遠に心を輝かす。あつさは永遠に心を輝かす。ほんとの魔法を奏でるから。さあゆこうよ永劫の旅よ。命尽きるまで歌い続けようよ。あたふたあらぶらかぶらてきとうに遊んでる日々よはいはいはい。抱きしめた不幸を幸せにするまでのこと。すってんとってんからばってん。またてきとうな感じに生きてゆくから。ああありのままに思いのままに生きてゆくから。永遠の旅をゆったりゆらゆらゆらり生きてゆこう。永遠を心にみたしまた永遠を歩きだすから。夢とともに永遠の旅へゆこう。まだ永遠という空は遥か彼方の力なれば。永遠の旅へともに。永遠の旅路をともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード391
一行は焚き火にあたる。「星のような心もいいさ。永遠の星よその永遠の旅路よ。星の色彩よその永遠の奇跡よ。星々という奇跡を心にみたしてまた永遠を歩いてゆくから。ずっと好きだった。いつか見た夕日に心は愛に包まれてゆく。あなたの色彩に心染めて。永遠の色彩に心染めて。星のような希望を心にみたしてゆく。永遠のような希望を心にみたしてゆく。崩壊してゆく虚飾の心々「しんしん」。指輪を聞きながらまた歩き出したから。永遠に愛撫された心が永遠に幸せに愛撫されてゆく。仲間であることが家族であることが誇りだった。ラブラブいちゃいちゃそんなのもいいさ。えっちらおっちらてきとうに遊んでしまってもいいさ。永遠は長くてでも永遠だからさ。透明なだけ神聖なだけ心は純粋に癒されて愛されてゆくから。あなたを知ってゆく楽しみ。あなたを幸せにする幸せ。永遠の旅のなか、あなたのそばのはしっこのほうにでもいられたらいいな。永遠の時間のなかならそこそこふれあえるかも知れない。そんな野望を心に生きています。この歌があるからこの詩があるから永遠の旅も怖くない。心に詩をみたし永遠をゆくから。永遠の詩に心は愛撫されてゆくから。おかえしにしぼってあげる。また命の奇跡よ命の季節よ。また永遠の旅へともにゆっくりと生きてゆくから。永遠の旅をともに。永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード392
一行は焚き火にあたる。「永遠はすべての文化すべて力すべて愛だから。永遠の詩に心みたしそめてゆくから。永遠の詩の愛撫は幸せだから。あなたはすべてを愛してる。それって相思相愛かな。あなたの永遠の詩の愛撫に私も永遠に愛撫してあげる。永遠に心と心は巡り愛、永遠の旅をゆっくりと歩いてゆくから。ほむろ火にゆられた魂のような火よ永遠の火よ。命の火は永遠に燃え続けてゆくから。加減「かげん」の月よ。ナウシカにあこがれたような日よ。ラピュタのような旅を夢見た。永遠とはあの遥か彼方の空の先にはそんな旅があるのだろうか。まだ空の果ては見えてはこない。永遠の癒しを読みながらまたいろんな人と出会う巡り逢う奇跡の日々よ。信頼は浸透して心を純粋にしてゆくから。雪さえよりも白き季節よ。永遠に幸せを愛撫してゆくから。あなたを愛撫してゆきたい。永遠はどこかえろくてどこかあたたかい。ほのかな思い届けて幸せ。永遠の旅は続いてゆくから。吹雪のなか、あたたかな心に出会った。うれしかった。幸せをありがとう。永遠の旅もいいものさ。永遠の旅へともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード393
一行は焚き火にあたる。「永遠の詩で心を愛撫してゆく。永遠の愛撫。その支え愛は世界の礎となり人々を救うだろう。愛してる。永遠に愛してる。さあゆっくりと永遠の旅へともに。命輝かせる力を支え愛。愛を生み出そう。愛を世界にみたそう。そのとき幸せのなかで私たちもみんなみんないっしょになかよく愛しあえるような。出会えた奇蹟今日も愛してゆく。愛しあってゆくから。永遠の愛しあいよ。その奇蹟の季節を生きよう。ともに永遠を感じながらまたゆっくりと歩き出すからさ。とだえぬ力よ永遠よゆっくりと深き日々に過ぎる永遠よその旅路よ。それもまた伝説と人の歌う時代とてもな。英雄たちの時代を歌い歩いた黄昏の季節よ。奇蹟の季節よ。永遠の奇蹟として永遠の詩としてこの力永遠の愛撫とせん。永遠の幸せをこの世界に君臨せし時代よ。その永遠よ。永遠の歌にある永遠の希望よ。夢によって輝く心よ永遠よ。永遠を輝かせる心もまた永遠に輝くから。永遠はまだゆっくりとてきとうにいっしょに歩いていたから。それもいいさと永遠にそこそこな。永遠の旅へともに。永遠を永遠に感じながら愛撫されながらまた永遠の旅路へともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード394
一行は焚き火にあたる。「永遠の詩で心を愛撫してゆく。永遠の響き。永遠の希望。永遠の翼で永遠を旅する。流れてゆく宇宙を眺めながら永遠の季節を眺めてゆく。永遠の詩を永遠の心としてまた永遠の旅を歩き出す。永遠の空から吹く永遠の風よ。道は風まかせ永遠まかせ。ぶらりてきとうゆらりゆらゆら。なんとなく食べてなんとなく眠って。なんとなく歩いている道なればこそ。それもいいさと永遠感じつつまた永遠を愛してゆくから。永遠に愛されて永遠に癒されてゆくから。夢見ていよう。夢こそ永遠と同じ道だからさ。遥か彼方の空をめざしてまた永遠に歩き出すからさ。遥か彼方の思い心にみたしてまた歩いてゆくから。夢は永遠の礎なればこそ。永遠の英雄とともに永遠の旅へともに。水の流れのままに運命をゆく。それは永遠の道なのだから。風の吹くままに。それは永遠の道なのだから。老いた人の肩をもみながら夢を語りあったり。めんどかったら肩もみ機つけたり。命は永遠を歌う。永遠という魂の歌よ。永遠の詩よ。奇蹟の剣「けん」よ永遠の光りよ。永遠の旅もいいものさ。また永遠へ歩きだした。道は永遠に続いている。道は永遠につながっている。永遠の旅のらりららさらさ。永遠の旅へともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード395
一行は焚き火にあたる。「しっかりしてよエルフィール」とミラル。「いいかげんが永遠の目標だ」とエルフィール。「ふざけんな。しっかりしなさいよ。それではいつまでたってもみんながどこへゆくか決まらないでしょうよ」とミラル。「風まかせでいいじゃん」とエルフィール。「ふざけんな。なにかいってよ」とミラル。「エルフィールのままに」とジョルディー。「幸せはありのままです」とフィル。「神様のままに」とハイベル。「研究してるといいかもしれない」とらいでん。「音楽が足りないんじゃないか」と弾くダミエール。「だめだ。この人たちできすぎた人たちだから怒るというものがないんだわ。私がしっかりしなくちゃいけない」とミラル。「たいへんだねえ」とエルフィール。「誰のせいだよ」とミラル。「それもいい。あれもいい。どれもいいさ」とエルフィール。「お気楽「きらく」ねえ。未来のことちゃんと考えてよ」とミラル。「考えた。だからまあそれはあしたの風はあした吹くだよ。あした考えよう」とエルフィール。「それは答えではないわよね」とミラル。逃げ出すエルフィール。「待てこのやろう」と追いかけるミラル。「それもいいさ」とジョルディー。追いかけっこのふたりを見ながら一行は焚き火にあたる。
エピソード396
一行は焚き火にあたる。「幸せはあうんの呼吸のように。幸せはゆっくりと心に舞う蝶のように踊っているから。永遠の詩は心を愛撫する。永遠の翼で永遠を旅する。幸せだけが友達さ。こらこら。家族を幸せにしてゆくからさ。永遠さえも愛撫してゆく。素直が一番の幸せさ。家族団欒が一番の平和さ。永遠のままに踊るさあさ毎日さ。永劫の歌。永劫の剣「けん」よ奇蹟をふるい永遠の幸せの日々となすから。幸せの小人さんたちと踊ろう。喜びの巨人たちと踊り明かそう。命輝いて天使たちと舞い踊るから。ゴブリンも小鳥とさえずるよ。老いた人には肩もみながら夢を語り明かす。めんどかったらてきとうに肩もみ機。そんな人助けるNPOとかNGOとかね。永劫の鶴も万年。永劫の亀も千年。いやへってるよ。それ。ぶんぶんぶんぬっとりぬとぬと。永遠のように青く。永遠のように美くしい心よ。その心のままに生きてありのままになんてね。幸せを心にみたしてゆっくりと生きてゆくから。働き者だった。いつか平和に乾いた心にまた歌を水をみたしてゆくから。永遠の旅よその道よ。まだ道なかばならばまだまだ空は遥か彼方まで続いている。永遠とともに永遠の旅へ永遠と永遠に支え愛ながらまた永遠の旅へ歩き出すからさ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード397
一行は焚き火にあたる。「幸せもいいものさ。生きて永遠見てみよう。夢見よう。永遠とともに永遠の旅へ。空を見上げた。すんだいい空だ。遥か彼方の空はまだ果てしなく永遠に続いている。そんな空を見ながら生きてみるのもいいかもしれない。そうだそれはぜんぶおいてゆこう。心からっぽにして永遠といっしょに生きてみよう。そんな永遠の日々もきっといいものにちがいない。奇跡の季節をともに永遠に生きてみよう。どでかい夢を見るがいいさ。でっかい空に抱きしめられて生きるもいいさ。永遠の詩で心を愛撫している。心輝けば命果てなく。道は永遠に続いている。道は永遠につながっている。そんな永遠の道をいっしょに歩いてみるのもいいさ。それもいい。あれもいい。どれもいいものさ。さあさ無限大の空を翼にして永遠をゆこうよ。それもいいじゃないの。永遠もいいものさ。永遠とともに永遠を歩こう。空があるから。遥か彼方の光りに導かれて。また永遠の旅路へ歩いてゆくからさ。永遠の時代へそこそこ歩き出すから。いつか見たような永遠をゆっくり抱きしめてそれもいいものさ。永遠の旅が始まる。永遠の夢が始まる。永遠の季節が始まる。永遠の遥か彼方の旅へともに永遠にゆっくりと歩いてゆこう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード398
一行は焚き火にあたる。「心からっぽにして永遠の旅へゆこう。それもいいさ。どうでもいいさ。てきとうでいいさ。さあさ永遠へ歩いてゆこうよ。どっちから来てどっちへゆくのか。それもいまから決めようか。天然あほうらいだー未来へ走り出すからさ。えっちらおったら昼寝でごろごろ。いつか見た楽園さとでんぐりがえる世界かな。ああ永遠をでんぐりがえるでんぐりがえる。いつか見た楽園さとえいえんの旅は続く。夢は宇宙の航海士。それもいいなあ。えいえんの邂逅。それもいい。えいえんて実はおもしろいなあなんて思ったりして。ああすることないなあ。ダーエレでも読み直そう。いつかえいえんさえも日常になりありのままの毎日よえいえんに。夢はいつか見たえいえんだからさ。ゆっくりと夢見て生きよう。永遠の旅をしょう。それもいいさとてきとうに生きてゆくさ。えいえんを愛して生きてゆこう。それもいいものさ。夢はえいえんのままに。ゆっくりえいえんの旅をしょうよ。そんなえいえんの旅よ命の果てよ。えいえんの旅へともにえいえんに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード399
一行は焚き火にあたる。「人には不可能はない。奇跡を起こせばなんでもできるから。人を愛すること。それが幸せだから。たかさきはやととえいえんの旅をともに。えいえんの詩で心を愛撫しているよ。家族団欒こそがえいえんの幸せだから。えいえんと旅をしょう。えいえんの遥か彼方の空を抱きしめながらまたえいえんを歩いてゆくから。えいえんは果てしないから。ゆっくりとてきとうに歩いてゆこう。らったらったらってった。てきとうな人生でもまあ支え愛もあったりダーエレ読み直したりするかな。私という放蕩「ほうとう」息子もゆらゆらり。どこへゆくか風まかせ光りまかせ。光りのくるほうへゆこうかな。すっとらすっとらりすととら。ああえいえんのりすとらされた人生ならば。どこにゆくこともいいじゃないの。ぶっちゃけいまの医療ならばえいえんに生きられるから。さてえいえんの旅へともに。えいえんにえっちらよっちらあらよっとてきとうにそこそこにえいえんを歩いてゆくからさ。ゆっくりとゆこうえいえんに。命輝くえいえんによって。さあえいえんの旅にともにえいえんに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード400
「えいえんの奇跡よ。愛の奇跡よ。すべてがえいえんにみたされてゆく。幸せは家族団欒。えいえんなどゆっくりと歩いてゆくからさ。どこにいってもひとりだった。そんなときにふときみに出会った。えいえんが愛を教えてくれた。えいえんが幸せを教えてくれた。えいえんがえいえんを教えてくれた。えいえんと幸せの旅をえいえんに。果てなき宇宙の旅。果てなき永遠の旅。それもいいものさ。えいえんはいがいににがい。でもそれもビタースイートチョコでいいものですな。えいえんは遥か彼方の無限の旅。それもいいものさ。ひとり見た空の偉大さこうだいさはすばらしかった。そんなえいえんの空と生きていっしょにえいえんを築いてゆけたらいいな。未来の創造。それもいいものさ。えいえんの旅よえいえんの道よえいえんの奇跡よ。それもまたいいものさ。えいえんの闇もえいえんの光りもえいえんの夢もすべてを抱きしめてまたえいえんを歩いてゆくから。えいえんの食事もえいえんの昼寝もえいえんののんびりぐだぐだもいいものさ。えいえんの旅よそこそこに。えいえんの夢抱きしめてまたえいえんの旅をする。ゆっくり進んだその先にまたえいえんが広がっているからさ。さあえいえんの旅へともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード401
一行は焚き火にあたる。「人には不可能はない。書き出そう。えいえんというものは無限だから。えいえんの家族団欒よ。えいえんの幸せよ。それもいいさ。命果てなく。えいえんの道のりにまだ果てなき空を見上げたから。どこまでも続く道よえいえんよ。永遠の奇跡よ。無限の奇跡の数々よ。ひとりえっちしたり。ひたすらパートナーしぼったり。ああひまだなあ。えいえんはひまなのか。それはえいえんの問いかけなのだろうか。夢はえがくほどにえいえんになってゆくから。だめもいいさ。それもえいえんさ。だめなとこは仲間や家族が支えあうからさ。えいえんの夢とともにえいえんの旅にでるからさ。それもいい。えいえんの旅もまた楽しいものだからさ。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているよ。まだ果てなき道の途中。それもいいさ。だがし食べたり。したいことするありのままに。ゆったりゆらゆらゆっくりと生きてゆくからさ。ゆっくりと生きるえいえんもいいものさ。それもいい。とことん仕事に熱中したり。家族サービスに熱中したり。それもいいさ。どれもいいさ。永遠の旅もいいさ。そんなもんさ人生は。永遠にいろんなことに気づいてゆくから。それもいい。だいじなことに気づいた。あなたを永遠に愛していること。その愛に永遠に生きよう。永遠とともに永遠の旅をゆくから。さあさえいえんの旅へえいえんにゆこう。えいえんにともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
ねたみ。
とはごかいなのだ。
いずれ時間が解決する。
えいえんがみんなのものであること。
なにかたかさきはやとひとり個人がどうとかじゃないんだ。
えいえんとは人がえいえんに生きるときに獲得するものなのだ。
えいえんとは誰もがもってるものなのだ。
説得できなくもないが。
自分が無能で無力だと思いこむあまりごかいしてこいつには勝てないというやつを攻撃してるだけなのだ。
まあごかいしたからってこんなことしていいはずもないが。
人はつまりすべてをもってるものなのだ。
だが一定の人たちがもつ能力や金や財産はあるれべるに達すると誰でもそこそこ使えるようになる。
みんな家族になる。
でもこんな女が自分のものになるはずがない。そのごかいが攻撃となる。
目の前にひとりの部屋しかないときねたんだ人はごかいして自分の能力をあげることをやめて勝てないやつを排除しょうとする。
それがねたみであること。
それはつまりごかいなのだ。
生きてくなかですべてを獲得してゆくうちにごかいは自然ととけるだろう。生きてく時間のなかで人は自然とすべてを手に入れるから。
どうやらねたみとはただのごかいなのだ。
おまえの罪はすばらしい。私の嫁にふさわしい。私にサービスして罪をつぐなわないか。
エピソード402
一行は焚き火にあたる。「ねたみや嫉妬というのはいまのアンチの基本的なもので。アメリカでもねたんでる人たちがトランプを支持してびっくりされたしヨーロッパでも極右の台頭に驚いた。日本でも能力のある人たちは命を狙われている。ただのごかいなのだがどうも支え愛というものがいまひとつ未熟なのかも知れない。ほっとかれとるとだんだんねたんできて能力のある奴を狙いだすというか」とエルフィール。「そういう助け合うコミュニティも弱いのかもね」とミラル。「元気そうにも見えても若者だからっていきづまってる人はたくさんいる。もちろん老いた人も。そういうセーフティネットが弱いというかね」とエルフィール。「なんとかなるといいわね」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード403
一行は焚き火にあたる。「あああてきとう人生。思いのままにありのままにやりたいままにゆきあたりばったりでそのときてきとうにだめなら逃げ出すか。あははは。それもいいさ。人生だもの。だめなら逃げ出そう。ああてきとう人生さ。やったららったら逃げ出そう。ああいう人生もいいものさ。ほいさ逃げよう逃げよう逃げようよ。腰抜けのほうが幸せさ。あらえっさっさっ。英雄とは逃げることに見つけたり。なんてなそんてなそんなのどうでもいいでげしょ。げしょげしょげしょ。好きな女とさわりあいたいなあ。もてようもてようとことんもてる人になってやる。女にもてる人になろうぞ。いいねえそんな永遠の夢もさ。もてようもてよう女にもてよう。童貞卒業おめでとう。女とやりまくり。金をもうけ続けること。寄付すれば金に汚くたっていいものさ。それも永遠の夢ならばさ。さあ夢をポケットに入れて永遠の旅へでようか。差別だ差別だ差別化だ。ああ永遠の夢よどこにいったかなあ。最低といわれて楽しい人生かな。ああ最低最低ね。そんな人生もいいものさ。闇ははらってもはらってもはらえない。そのときはきっと時がなんとかするだろうからさ。時間だけがすべてを解決するからさ。ああなんてこったいてきとうにゆこうさあさあさあ。好きな女と暮らすのもいいさ。ああ女ってすばらしいなあ。みんなで女のケツを追っかけよう。それもまあ永遠さ。永遠の旅へどんぶらこ。永遠の流れよどんぶらこ。永遠もいいさ。それも永遠さ。さあさえいえんの旅へともにえいえんに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード404
一行は焚き火にあたる。「それでも永遠を歩いてゆく。果てなき道よ。それもいい。のんびり歩いてゆこうじゃないか。
戦い続けてきた。
いまでは古参のぶるいに入る人なのかも知れない。
あまい人に生み育てられた。
そのあまさゆえに生みだされた。
だが現実は厳しくそれをうらむこともあった。
絶望の中でずっと希望を歌い続けてきた。
たいして感謝されない人もおおかったけども人の幸せを見てうれしかった。 永遠の希望よ。
改善してきた。
ときに倒したりした。
人の未来はどこにあるのか。
ずっと模索し続けてきた。
人の幸せを探しては物語にした。
人の未来の道をしめし続けてきた。
私を理解してくれるようなそんな番組はそんな人はいるのだろうか。
子供のころ絶望しか見えないような気がした。
ラピュタを探そう。
そんなこと考えたりしていた。
これこそ人の未来ではないかと豪語しては歌をうたったりしていた。
こんなささいなことが幸せさとものがたりにした。
楽園を探し求めて旅をし続けてきた。
旅の途中。
永遠への旅へともに。永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード405 一行は焚き火にあたる。「永遠はうたごえの酒場。勇者たちが舞い踊る。英雄たちは水を求めた。渇望を癒した泉は枯れたのだろうか。悲しみだけの自分ではないともうひとりの自分がゆう。永遠の自分はいつも笑顔だ。そうなれない自分はなにか欠落「けつらく」してるのだろうか。凋落の夕べには英雄たちの歌ごえが響く。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているよ。さすらい人よ。永遠は遥か遠くて自分は誰なのか永遠は歌う。永遠よ。私はどこにゆけばいい。永遠よ。いつか私の愛の行方「ゆくえ」となって。またいつか見た遥か彼方の光りの鳥が舞いおりる。あなたの永遠に生きることはいつか私の願いだったから。永遠に愛してる。永遠の詩を送り続けよう。幸せはいいものさ。生きていたらなにかいいことあるものさ。まあまあまえむきにうえむきにうしろみたらでんぐりがえりだ。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているよ。ねたんでいるダメンズには殴りだめなら殴り立ち直るまで殴ってほんとうにだいじなこと教えたほうがいい。純粋な心。それは人を幸せにしたいという一念だけで生きてゆくこと。そのとき人は永遠の純粋な心を花咲かせるだろう。純粋な心があればなんでもできる。純粋な心に不可能はない。純粋な心は永遠の奇跡を起こす。永遠も永遠に応えてくれる。さあ人を救いたいという一念で永遠の旅へゆこうじゃないか。そのとき永遠の幸せと永遠の輝きのなかで人は永遠の旅を永遠に楽しむだろう。さあ永遠の旅へともに永遠にゆこう」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード406
一行は焚き火にあたる。「世界平和にするとその英雄は世界平和の呪いにかかる。あらゆるごかいをうけてしまうこと。まあだから私はごかいされて攻撃されてひどい生活を送っている。でもそれでもうれしい。世界平和だから。こうなることは知っていた。でもやりたかった。まあごかいはいつかとける。その日をまちたい」とエルフィール。「偉大なりしはエルフィールね」とミラル。「ありがたいねえ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード407
一行は焚き火にあたる。「永遠が聞こえる。永遠が見える。時代は波のようによくなったと思ったら戻ってしまう。歴史とは少しずつ波のように進んではまた戻る。世界平和だと思ったらまた少しもどりまた進む。重力は時代の進み方。進退と後退をくりかえす。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているよ。幸せは空を心にすること。命の果て輝く遥か彼方の光り輝く空よ。永遠の道をゆっくりと歩いてゆこう。悲しみは風に流して空で光り輝く。悲しみはいつか見た青空。いつもすんだ広大な空。悲しみも友達だよ。悲しみは歌に流そう。さあ永遠の旅へともに。いつか見た永遠の空が美くしい。幸せは悲しみに似ている。そうかも知れない。愛は舞い降りた幸せの鳥。おだやかな光りに彩られた。おっぱいおっぱいおっぱい大好き。大きいのはいいことだ。あっはっはっ。幸せだなあ。永遠だなあ。のんびりえっちらや。いつか見た広大な空を心にしてゆくから。永遠の道を永遠とともに歩いてゆく。人を幸せにすること。それが純粋な心。人とは自分も人だから自分も幸せにしょう。自分をいたわろう。家族団欒はいいものさ。ああそうさ。永遠とは不思議のほうさ。不思議を探して歩いてゆこう。不思議はとても楽しいことさ。心を不思議でいっぱいにしたり。ああてきとう人生ゆきあたりばったりさ。そのときなんとかなるだろう。ならなかったら逃げだそう。ああてきとう最低人生まっしぐら。最低最低最低人生いいものさ。あらえいさっさ。それもいいものさ。さあ永遠の旅へ歩いてゆこう。永遠の空を見あげて永遠を歩く。それもいいものさ。さあ永遠の旅へともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード408
一行は焚き火にあたる。「未来は闇。暗中模索。真っ暗の中を歩いてゆく。未来は見えない。夜の星々を見上げた。夜の闇に輝く希望よ。昼の太陽を見た。未来の輝きよ。それもあれもこれも時間の問題だろう。いまは時をすごそう。季節はすぎて永遠の希望よその花を愛吹き「めぶき」ながら。ネットの息吹きよ。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているよ。命は果てしなく。永遠の息吹きよ。その永遠よ。人は永遠の具現者。地道さも試行錯誤も永遠の奇跡の果てには永遠があるから。なにも恐れないで。なにもかも未来のための糧だからさ。未来を創造しょう。未来を築こう。楽園へ歩く。ただその道のりは永遠なのだからさ。のんびりゆったりゆこうじゃないか。それはきっといつか見た約束の地へ永遠のふるさとへの里帰りなのだから。なんでもいい。てきとうにあらよっとそのうちなんとかなるだろう。ならないよばかああんあんあん。永遠の希望が歌っているよ。その歩いた時間だけがすべての願いを叶えるだろう。ここは中世のファンタジー。自由には時間が必要だあんあんあんそうなんだ。人生はたっぷりあるものだ。だからまあてきとうにゆきあたりばったりだめならなんでもいいのさ。ははは。ゆっくりとゆこうじゃないのえっちらおっちら。まあつまりは気にしないこと。てきとうにやってりゃなんとかなるのさ。のんぴり休み休み休みすぎだろなんてね。永遠は長きあらかた。無限の翼よ遥か彼方の空を旅する。家族団欒はいいものさ。ちょっとした子育てもいい。食べ歩いたりえっちらおっちら。なんとかかんとか生きていたりして。ああ永遠の旅もいいものさ。えっちらおっちら永遠へいこか。ほなそれもいいねえ。永遠もいいものさ。永遠の旅へともに永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード409
一行は焚き火にあたる。「らすとらるりてーじ。深き泉のその眠りよ。永遠の果てからの呼び声よ。遥か彼方の癒しを心にみたす。永遠の詩で心を永遠に愛撫しているよ。幸せはひとときの流れ。永遠の流れよ。それは果てしなく魂を癒すから。遥か彼方の光りの波紋よ。永遠の希望が心をみたしてゆく。永遠の彼方を心響かせる。永遠よなぜそこにいるの。私はあなたのそばの光り。あなたをともにてらしましょう。深き闇よりもさらなる深遠よ。その闇の星々はいつか心となり永遠となる。永遠の果てにはなにがあるだろう。それは誰も知らないから。繁栄の剣「けん」よ。永遠の剣「けん」よ。永遠を斬り咲いたるは一輪の花。永遠の希望とはきっとひとときのゆらめき。いつか心ゆらめいて永遠にみたされてゆく。遥かなまどいはいつしか姿を変えて永遠の風景を彩り続ける。千年咲いた花は希望と呼ばれることでしょう。いつか心は永遠のしじまを得ることでしょう。永遠のみたしよ。永遠の旅よ。その旅の果てよ。永遠に。旅はともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード410
一行は焚き火にあたる。「めんどいのだ。めんどいのだ。あーめんどいのだ。それならなれもいいものさ。それじゃあ私のために働けば。すべてがいやになりなげだした。ひとり黄昏の季節を眺めては黄昏た。永遠は美くしく。けれども儚はかないような。幸せはきっと祈りのような。すっかりいきづまったらああそこそこなんとかかんとかなるだろう。永遠はきっと儚い夢。それもきっとそのうちなんとかかんとかなるのかも。こらったこらったそれもこらった。半減した夢などいつか生まれ変わるだろう。心はいつか永遠となる。それもまあいいだろう。のんびりゆっくり永遠ほゆこうじゃないか。永遠はゆっくりと月のように。永遠はゆっくり空のように。永遠はいつか見た幼き日の空のように。ゆるゆららゆりゆりゆりゆらら。それもいいさ。どれもいいさてきとうさ。永遠の黄昏のように思っていた。夢はいつか心に輝くから。果てしなき旅のように。永遠の旅を歩いていようじゃないか。ありのままに生きてみよう。いやよいやよも好きのうち。そのうち道は開かれる。それもまたいいものさ。旅は永遠を極めるから。旅は永遠の歌をうたう。かすかにうろぼる見えるえがく未来の道よ。遥か彼方の永遠の空へ向けてまた歩き出すから」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード411
一行は焚き火にあたる。「子供でも生もうかな。遥か彼方の永遠の空を歩く。永遠の旅よ。そっころそっころてきとうだ。やる気などどこにもないものだ。それでもいいさ。生きてるさ。あんあんあんちゃん私はどこさ。どこにいった自分はどこだ。空高く意識はすんだ。心の果てよ心の旅よその永遠の果てよ。永遠の深遠の果てよ永遠の波紋の果てよ永遠の空よ遥か彼方のいたびきよ。宇宙のその永遠の果ての響きよ。永遠の水を心にみたしてゆく。苦しみは翼。羽ばたけば夢。儚い夢に彩られた人生よ。永遠の波紋を心にみたしてゆく。旅は永遠を歌う。砕けてゆくような心の果てにまつ永遠とはいったいなんなのか。儚い永遠よ。希望の永遠よ。ふりしきる儚さのなかで心はいつか希望となる。絶望の果てに見た永遠の希望よ。羽ばたいた永遠の希望は心をみたしてゆく。なにもない夕べに夢を心に染めて。儚い絶望よ儚い希望よ。絶望をゆるしたときに心は希望となった。いつか永遠の心よ永遠の果てよ永遠の旅よ。それはまたゆっくりとした希望の旅よ。また巡り逢う希望の旅へゆっくりと永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード412
一行は焚き火にあたる。「目の前の闇ばかり見ていて遥か彼方の永遠の空が見えなくなっていた。地面の闇を眺めてはため息ついた。失ったものを数えては過去を嘆いた。ふと見上げた空は遥か彼方まで永遠に続く道。永遠の旅もいいものだ。なぜあの遥か彼方の永遠の空を眺めていると涙がでるのだろう。そこはなつかしき永遠のふるさと。帰りたかった楽園よ。永遠の楽園よ心にみたしまた永遠の旅を歩くから。永遠の希望よ。永遠という希望よ。そう。永遠に帰ろう。永遠に続く夕べよ。永遠のうたかた歌い踊った楽園の空のまにまに。空の闇には永遠の星々心にみたしまた永遠の旅へ歩いてゆくから。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているよ。絶望よりも深く深淵の遥かな彼方の光りの園へひとときの夕べ。ひとりは好きかい。孤独の果てにあったのはいつか見た幼き日の原っぱだろうか。永遠の空のしらべ。永遠を心に奏でみたす永遠の詩よその永遠の幸せよ永遠の心みたされてまた波紋するうたかたの喜びが心あふれてくるから。砕いた現実に答えがなかったらなにが答えなのか。空はただそこにあるだけ。空はとこしえ永遠の群青「ぐんじょう」の園。いつか聞いた最果ての村。永遠の旅へうたかたのいつか聞いた歌をおともに。また空遥か彼方のとこしえのはんはたの曲を心にみたし永遠を旅してゆくからさ。永遠の旅よ果てなき空の果てよ。旅は永遠に続く」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード413
一行は焚き火にあたる。「ごろごろごろごーろごろてきとうにごろごろさ。ああごろごろごろひまだなあ。なんにもかんにも気にしない。永遠はなにも気にしないのさ。永遠はてきとうさ。永遠はのんびりさ。永遠とはゆっくり生きることさ。幸せは愛のしじま。自然の旅よ永遠の旅よ。時は永遠の流れよ。人間不信は壁となる。信じるとは一緒にいること。信じるならば一緒にいよう。とこにいてもてきとうにあらよっと。なにかなんとかなったようなならないような。それでもまた一回まわってわんと鳴く。そんな人生もいいものさ。なさけなくてもいいさ。いまいち妻に頭があがらなくてもいいさ。そんな人生もいいものさ。そのうちなんとかなったりなんかして。なるといいなあ。それもいいなあ。できないことは百年たったらできるだろう。それもいいさ。そんなもんさ。あっさり道が開けるかも知れないさ。そんなもんさ。どんなもんさ。それでいいさと永遠も永遠の空で輝いているから。さあまた永遠へ歩き出そう。そんな永遠の道もいいものさ。さあ永遠の旅へともに永遠に」とエルフィール。一行は焚火にあたる。
エピソード414
一行は焚火にあたる。「星の行方「ゆくえ」を探しにゆこう。永遠は人々の黄昏。永遠の愛の黄昏よ。人は永遠の卵だからさ。心の欠片「かけら」こぼれたやさしさかきあつめて母と父にあげた。永遠からこぼれた希望をかきあつめて子供にあげた。心かきあつめた永遠よその永遠の永劫のしらべ永劫の空へ旅をしてみたい。幸せは永遠の曲だから。千年響かせた希望よ永遠の詩よ。それは永遠の故郷「こきょう」よ。そんな夢もいいな。あんな夢もいいな。それもいいあれもいい。ありのままがいいな。自然は永遠の故郷「こきょう」。そのゆくてには空。永劫の遥か彼方の空が続いていたから。ほのかなあわい心雪よ。あわらあわあわ淡雪「あわゆき」よ。光速の夢よ。遥かな彼方の夢よ未来よ。永遠は歌う奏でる曲よ永遠よ。伝説の英雄は語る永遠の旅のその道のりを。それは奏でる草原の美くしさよ。果てなき彼方の遥か彼方よ。永遠という理解者よ。私を永遠の園においてほしい。彼方より此方「こなた」へ。失った平原よそのゆくえよ。彼方にはあるという夢の大地よ。こぼれた心の砂よ希望のしらべよ。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているよ。そはかたの永遠の雪のしらべよ。私の心を永遠にみたしてゆく雪よ。心にいつか見た楽園の雪がつもる。永遠の旅があらかたよかたる。それもまた永遠の道のりだから。永遠の旅をともに永遠に」とエルフィール。一行は焚火にあたる。
エピソード415
一行は焚き火にあたる。「生活に必要なことだけ考えてあとは頭からっぽのほうがいい。てきとうになんにも気にしないでのんびりゆっくりと。それが永遠のこつだからさ。ぽけらぼけらぼけっとら。てきとう人生それもいいさ。幸せは永遠のしらべ。ふつうに生活してるとまあそこそこふつうに生きられるものさ。永遠はおだやかな物語さ。素朴な人たちの素朴な物語。そんな日々がすぎてゆく。ああこんな曲の人生もいいものさ。歴史はくりかえすのかも知れない。でもね。えいえんロードそんな道もいいものさ。へっちゃらへっちゃらへっちゃらけ。そんな人生てきとうだ。ああいーかげん。ほんほんほんべえそれもいい。ほくほくな人生もいいものさ。げたで天気を調べてる。ああそんな人生もいいものさ。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているから。永遠の希望よ。永遠なんて考えていたって得るものではないこと。ただぐーたらしたりのんびりすること。そんなこと。永遠の旅もいいものさ。のんぴり永遠を旅してもいい。さあ永遠の旅へ旅立ちのとき」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード416
一行は焚き火にあたる。「いつもうまくいかなくて目の前の壁をけってはいたがった。チャンスは時間が必ずもってきてくれる。でもそのあいだの苦悩はいくばくか。いつか見たような永遠の空は遥か彼方のいぶさたの輝きの空のその道のなにを歩いたというのだろう。どんなに生きても答えはない。それでもまた永遠の旅を歩いた。誰かをうらんではうさをはらした。幼き日よ。いつか永遠の道が開かれる。そのときまでゆっくりと旅の道を歩いてゆこう。ときにできることばかりではなく壁にぶちあたり人に笑われた。それでもまた歩いてゆこう。命果てなく道は無限にあるから。今日やぶれたまたその道から歩き始めよう。どこかで希望の鳥の歌う静かなしじま忘れられた癒しの曲のようなそんな人生がいいに違いない。歩いて歩いて歩いて。いつしか仲間の宿であまやどり。看病してくれた人をおぼえている。どこかで見たような田舎のようなそんな道の途中。旅はいつしか永遠を歌う。それもいいだろう。青い鳥のゆくえその先へまた歩き出す。永遠はまた遥か彼方の空だから。永遠の旅へ旅立つ。永遠の旅の途中。くりかえす永遠のなかでまた旅へ歩きだしたからさ。永遠の旅へいま歩きだすから」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード417
一行は焚き火にあたる。「あらがった日々よ。血を流したような日々よ。いまあるのは永遠の空だけ。永遠の空の道をゆっくりと歩いてゆこう。果てなき黄昏の旅。果てなき希望の旅。希望をひろいながらまた旅をする。永遠の空から希望の雨がふる。希望の雨は心にふれてゆっくり放つ。希望の雪は心にふれてゆっくりとける。希望の夢は心にふれてゆっくりとみたす。永遠の詩で永遠に心を愛撫し続けてゆくから。ふりしきる希望の詩をひろいながらまた永遠の旅の途中。それもいいさ。いつか永遠が心みたしてゆく心の邂逅よその旅よ。道は永遠の曲を奏でるから。くにたつのわびたる思いこころにとける。千年のドラゴンとともに旅にでるから。天使たちは永遠に舞い踊る。小人のオーケストラと音楽を楽しもう。ごろごろした草原のそんなからりたる曲のしらべ。自然という音楽心にみたしまた永遠に歩き出す。ゆっくりとゆっくりと永遠を歩き出す。ごろごろごろりしてはまた歩き出す。そんな永遠の旅もいいものさ。そのうちなんとかなるだろう。そんなものだろう。なにもかもてきとうに気にしないでまた歩き出す。それもまた人生さ。ゆっくりとでんぐりがえる。転んでは立ち上がりまた歩き始めるから。永遠もいいものさ。永遠の旅もいいものさ。永遠よその遥か彼方の空の道よ。ゆっくりと永遠の旅の途中。さあいま永遠の旅へゆっくりと旅立つときだから」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード418
一行は焚き火にあたる。「紅玉の夕べのような幸せの日々よ。楽しんだ日々は帰ってきていつかおかえりというだろう。なぜ生まれたのか遥か彼方の永遠の空に問うている。道は果てなく続くから。人は命に帰り子供としてそしてまた巡り逢う家族団欒という日々よ。その日常もまたゆっくりと永遠にしてゆくから。誰かがくれた命の果てよその永遠の道よ。ゆっくりうたかたの道のり旅の途中。果てなき命の明滅の道はまた果てなくゆっくりとのんぴりと歩いてゆくから。永劫よりもゆるく永遠よりもかたく道は続いているから。人生はすばらしい。だからまた道の未知をゆくから。ごろ寝してまたごろごろして。ごろごろもずいぶんあきた頃にまた歩き出して道の途中。つまずいた日々よいつかゆるされるならまた命のうたかたよ。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているから。まだ永遠の旅の途中。それもいい。ゆっくりと永遠へ歩き出したから。いつか見た永劫の空がまにまに広がる。そんな道をゆっくりと歩いてゆくから。永遠の旅よまたいつか見た永遠の風景のそんな道のりを歩いてゆく。永遠の果てなき道の途中。ゆっくりとまた歩き出したからさ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード419
一行は焚き火にあたる。「からりからたるからりたる。そんなもんさと気にはしない。永遠の曲を聴きながらごろりごろりごーろごろ。もいっかいごーろごろ。それもいいさと命の洗濯よ。てきとうにゆっくりと永遠の道を歩いてゆくから。永遠という絶景を休憩だてら望むかな。永遠の願いは人の幸せ自分の幸せ。道すがらまた希望の雨にゆらり舞い踊る。そんな日もいいものさ。はたかたはたかたさ。楽しき永遠の道のりをまた幸せだと旅にでるから。なんて自分は無能なんだとおにぎりを食べる。ちょっとおちついたかな。くらくらくらりまた鞍馬天狗よ。最果ての島にてごちそうは木の実なのだろう。遥か彼方の道のりをまた歩いてゆく。見果てぬ夢を追いかけてまた永遠の道をゆく。のぼったところから遥か彼方の空が見える。それもいい。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているから。黄昏た吹雪さえも越えて永遠の楽園へ。苦悩はなくならないのかも知れない。ごろごろしてたら気にしなくなったような。永遠の旅へゆっくりといたわりの道へ。永遠へ帰る帰り道。永遠がおかえりといったような気がした。永遠のほうほくの風景をすぎながらまだ旅の途中。さあ永遠へ旅立とう。また永遠に帰るその日まで永遠に」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード420
一行は焚き火にあたる。「ああてきとう人生なにも気にしない。ごろごろごろごろごろり。のんびりゆきあたりばったりでなんとかなるかなあ。永遠は果てしなく。のんびり歩くぼくの空は遥か彼方まで続く空の道。永遠はきっと群青「ぐんじょう」の季節だからさ。すべからくすべてきっと黄昏てゆくから。黄昏の先光りの果て。永遠の詩は永遠のしらべ。永遠の詩は永遠の巡り愛。心とろける愛の歌。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているよ。くぬぎの季節がひそやかに風景を変えてゆく。静かに永劫の深遠から心は波紋してゆく。アユセクトラの季節に見る風景は青く赤く永遠のしらべ。とてからく人のゆくよなゆくて道のり。水の道のりたどるような。いついかなる思いよその果てにはいつか見たあんのんがあるだろう。未来がどうなるか。それも八卦これも八卦。さあて、げたを鳴らして歩こうじゃないの。それもいいさ。てきとうさ。未来なんてあっけらかん。なにもかもあっけらかん。気にしないでえっちらおっちら歩こうよ。そんな永遠の旅もいいものさ。さあ永遠へどんちゃかちゃん」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード421
一行は旅をする。ある村で洞窟が発見されたこと聞いて行ってみる。闇の化け物に遭遇するがハイベルの剛拳がうなりダミエールやジョルディーやエルフィールの剣撃が冴え渡る。ミラルやフィルやアドルテアの魔法がうなりバルディは「もうだめでがす」と「ちちちち」という小鳥と逃げ回っている。洞窟の奥で宝箱を見つける。中には黄金がざっくざく。「やった。やったぞ。黄金だ。金もちだ。世界一の金もちになってみたい」とエルフィール。外に出ると陽の光りに黄金は土くれになる。「なんてこったい。世界一の金もちの夢があああ」とのたうちまわるエルフィール。「やめなさい。いじきたない」とミラル。土くれのなかにひとかけらの黄金がある。「これくらいじゃなあ。やるよ」とエルフィールは村人にかんぱする。「ありがとう」と村人。「だから好きよエルフィール」とミラルはエルフィールを抱きしめる。「さあ旅だ。旅がしたい。いま旅立ちのとき」とエルフィールたち一行は旅立つ。
エピソード422
一行は焚き火にあたる。「遥か彼方の空の旅のこと。ゆくてゆく雪みなるゆきゆきな。千年の道を歩く。百年の道を歩く。日々 はすぎてゆく。たかさきはやとを幸せにしたい。たかさきはやとに嫁をあげたい。さらなる心の歌よ永遠に。永遠の詩で永遠に心を愛撫しているよ。すぎさりし日々のなかで。また巡り逢う愛よ心よ魂の歌よ。すぎさりし永遠の果てその最果ての景色を見るために歩き続ける。遥か彼方の空のその果てへ向かって歩いてゆく。旅は続く果てしなく。千年すぎた景色を見るために歩き続ける。いずれ開かれる道にふみだす旅立ちのときよ永遠の鐘が告げるから。すべてはゆきあたりばったり。てきとうに風まかせ。なにも気にはしない。それもいい。それもいいだろう。また歩き出す永遠の旅立ちのとき。さあゆこう。永遠の旅をともに」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード423
一行は焚き火にあたる。「そんな思いもかかえて旅にでよう。うけいれた思いは心で輝いてゆくから。ペンギンの翼でもすたこらさっさ。ゆきさきは風まかせ翼まかせ。愛に便乗してえっちらおっちらさ。愛に癒され藍を癒す。そんな日々よ。藍による幾千のめざめよ。いつか永遠に生きるときに誰とでも巡り逢うだろう。またひとときの物語よ。歌よ。その思いをなんかまあ越えてゆくとき、もうひとつ大きな自分と出会うだろう。偉大だなあ、あしたの自分はなんて思ったり。ごろごろしていて自分なんてなあ。ああてきとう気にしないでごろごろり。ああどこにゆくだめおやじだめおんな。ゆきあたりばったりで日々ごろごろしてるからさ。闇のなか暗中模索。どこへゆくのも未来さ。なにをやっても未来さ。とりあえずなんでもやってみたりして。そんな旅もいいものさ。たりらったりらったった」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
「」
エピソード98−3。アンコール。
「たかさきはやとが物語の量を書かないから抗議してテレビや新聞はたかさきはやとを無視。エムエックステレビは抗議して番組見せない。警察はナンバーツーを逮捕しない。ゆうちょは入金しない。嫁はこないんだな」とジョルディー。「いままでの物語や世界平和にしたことはどうでもいいのか」とエルフィール。「人は自分の欲求に狂っているもの。矛盾のかたまり。それが人だ」とジョルディー。「一緒に支えあえたらいいのにな」とエルフィール。「愛か。そうだといいな」とジョルディー。「世界平和までは一丸となってやっていた。世界平和で燃え尽きたときに抗議されるようになって入金もテレビでの最新作放映も声優さんの応援もなくなってしまった。それらの助力がなくなるとさらに量作れなくなって」とたかさき。「悪循環だな」とエルフィール。「ばかばっかりだ」とジョルディー。「器の大きさが足りないならあとは時間だけが必要だ」とたかさき。「もうちょいかな」とエルフィール。「器の大きさが足りないのにもうしわけないけどもひとりの部屋にぽつんといるとついなにかいってしまう」とたかさき。「まあしかたないかな」とエルフィール。「器か。つまりスケールの大きなことを考えたりしていこうとするかな」とジョルディー。「悲しみと願いは違う。器の大きさとは願いの深さ。器の大きさとはありえないほどの巨大な願い。さらにもっともっと大きくなり続ける巨大な願い。魂の叫び。あふれる願い。あふれでる気持ちかな」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード99−7。アンコール
「器を大きくするには力がいる。いやなにかするには力がいる。永遠世界になって疲れやすいという話もよく聞く。永遠世界でのパワー源は永遠だな」とエルフィール。「それがいまひとつわからない」とミラル。「作用反作用で押すと反対に押される力がある。永遠を押すと反対に押される力がある。永遠の作用反作用だ。これができると自由自在に永遠の力が使えるようになる。ちょっとしたことでは疲れなくなる。まさに永遠の力が手に入るんだ」とエルフィール。「永遠に歌ってやるという永遠を押すとできるはずがないだろうと反対に押される力がある。それが永遠の力だ。永遠になにかやる。だができるはずはないと反対に押される力。できないというならだがなにくそやってやると永遠にできないに反発する永遠にできるという永遠の力となる。これが自由自在に使えれば無限の力が手に入るんだ」とジョルディー。「2016年新年明けましておめでとう」とエルフィール。「おめでとう」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード98−3。アンコール。
「たかさきはやとが物語の量を書かないから抗議してテレビや新聞はたかさきはやとを無視。エムエックステレビは抗議して番組見せない。警察はナンバーツーを逮捕しない。ゆうちょは入金しない。嫁はこないんだな」とジョルディー。「いままでの物語や世界平和にしたことはどうでもいいのか」とエルフィール。「人は自分の欲求に狂っているもの。矛盾のかたまり。それが人だ」とジョルディー。「一緒に支えあえたらいいのにな」とエルフィール。「愛か。そうだといいな」とジョルディー。「世界平和までは一丸となってやっていた。世界平和で燃え尽きたときに抗議されるようになって入金もテレビでの最新作放映も声優さんの応援もなくなってしまった。それらの助力がなくなるとさらに量作れなくなって」とたかさき。「悪循環だな」とエルフィール。「ばかばっかりだ」とジョルディー。「器の大きさが足りないならあとは時間だけが必要だ」とたかさき。「もうちょいかな」とエルフィール。「器の大きさが足りないのにもうしわけないけどもひとりの部屋にぽつんといるとついなにかいってしまう」とたかさき。「まあしかたないかな」とエルフィール。「器か。つまりスケールの大きなことを考えたりしていこうとするかな」とジョルディー。「悲しみと願いは違う。器の大きさとは願いの深さ。器の大きさとはありえないほどの巨大な願い。さらにもっともっと大きくなり続ける巨大な願い。魂の叫び。あふれる願い。あふれでる気持ちかな」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード99−7。アンコール
「器を大きくするには力がいる。いやなにかするには力がいる。永遠世界になって疲れやすいという話もよく聞く。永遠世界でのパワー源は永遠だな」とエルフィール。「それがいまひとつわからない」とミラル。「作用反作用で押すと反対に押される力がある。永遠を押すと反対に押される力がある。永遠の作用反作用だ。これができると自由自在に永遠の力が使えるようになる。ちょっとしたことでは疲れなくなる。まさに永遠の力が手に入るんだ」とエルフィール。「永遠に歌ってやるという永遠を押すとできるはずがないだろうと反対に押される力がある。それが永遠の力だ。永遠になにかやる。だができるはずはないと反対に押される力。できないというならだがなにくそやってやると永遠にできないに反発する永遠にできるという永遠の力となる。これが自由自在に使えれば無限の力が手に入るんだ」とジョルディー。「2016年新年明けましておめでとう」とエルフィール。「おめでとう」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード98−3。アンコール。
「たかさきはやとが物語の量を書かないから抗議してテレビや新聞はたかさきはやとを無視。エムエックステレビは抗議して番組見せない。警察はナンバーツーを逮捕しない。ゆうちょは入金しない。嫁はこないんだな」とジョルディー。「いままでの物語や世界平和にしたことはどうでもいいのか」とエルフィール。「人は自分の欲求に狂っているもの。矛盾のかたまり。それが人だ」とジョルディー。「一緒に支えあえたらいいのにな」とエルフィール。「愛か。そうだといいな」とジョルディー。「世界平和までは一丸となってやっていた。世界平和で燃え尽きたときに抗議されるようになって入金もテレビでの最新作放映も声優さんの応援もなくなってしまった。それらの助力がなくなるとさらに量作れなくなって」とたかさき。「悪循環だな」とエルフィール。「ばかばっかりだ」とジョルディー。「器の大きさが足りないならあとは時間だけが必要だ」とたかさき。「もうちょいかな」とエルフィール。「器の大きさが足りないのにもうしわけないけどもひとりの部屋にぽつんといるとついなにかいってしまう」とたかさき。「まあしかたないかな」とエルフィール。「器か。つまりスケールの大きなことを考えたりしていこうとするかな」とジョルディー。「悲しみと願いは違う。器の大きさとは願いの深さ。器の大きさとはありえないほどの巨大な願い。さらにもっともっと大きくなり続ける巨大な願い。魂の叫び。あふれる願い。あふれでる気持ちかな」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード99−7。アンコール
「器を大きくするには力がいる。いやなにかするには力がいる。永遠世界になって疲れやすいという話もよく聞く。永遠世界でのパワー源は永遠だな」とエルフィール。「それがいまひとつわからない」とミラル。「作用反作用で押すと反対に押される力がある。永遠を押すと反対に押される力がある。永遠の作用反作用だ。これができると自由自在に永遠の力が使えるようになる。ちょっとしたことでは疲れなくなる。まさに永遠の力が手に入るんだ」とエルフィール。「永遠に歌ってやるという永遠を押すとできるはずがないだろうと反対に押される力がある。それが永遠の力だ。永遠になにかやる。だができるはずはないと反対に押される力。できないというならだがなにくそやってやると永遠にできないに反発する永遠にできるという永遠の力となる。これが自由自在に使えれば無限の力が手に入るんだ」とジョルディー。「2016年新年明けましておめでとう」とエルフィール。「おめでとう」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード98−3。アンコール。
「たかさきはやとが物語の量を書かないから抗議してテレビや新聞はたかさきはやとを無視。エムエックステレビは抗議して番組見せない。警察はナンバーツーを逮捕しない。ゆうちょは入金しない。嫁はこないんだな」とジョルディー。「いままでの物語や世界平和にしたことはどうでもいいのか」とエルフィール。「人は自分の欲求に狂っているもの。矛盾のかたまり。それが人だ」とジョルディー。「一緒に支えあえたらいいのにな」とエルフィール。「愛か。そうだといいな」とジョルディー。「世界平和までは一丸となってやっていた。世界平和で燃え尽きたときに抗議されるようになって入金もテレビでの最新作放映も声優さんの応援もなくなってしまった。それらの助力がなくなるとさらに量作れなくなって」とたかさき。「悪循環だな」とエルフィール。「ばかばっかりだ」とジョルディー。「器の大きさが足りないならあとは時間だけが必要だ」とたかさき。「もうちょいかな」とエルフィール。「器の大きさが足りないのにもうしわけないけどもひとりの部屋にぽつんといるとついなにかいってしまう」とたかさき。「まあしかたないかな」とエルフィール。「器か。つまりスケールの大きなことを考えたりしていこうとするかな」とジョルディー。「悲しみと願いは違う。器の大きさとは願いの深さ。器の大きさとはありえないほどの巨大な願い。さらにもっともっと大きくなり続ける巨大な願い。魂の叫び。あふれる願い。あふれでる気持ちかな」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード99−7。アンコール
「器を大きくするには力がいる。いやなにかするには力がいる。永遠世界になって疲れやすいという話もよく聞く。永遠世界でのパワー源は永遠だな」とエルフィール。「それがいまひとつわからない」とミラル。「作用反作用で押すと反対に押される力がある。永遠を押すと反対に押される力がある。永遠の作用反作用だ。これができると自由自在に永遠の力が使えるようになる。ちょっとしたことでは疲れなくなる。まさに永遠の力が手に入るんだ」とエルフィール。「永遠に歌ってやるという永遠を押すとできるはずがないだろうと反対に押される力がある。それが永遠の力だ。永遠になにかやる。だができるはずはないと反対に押される力。できないというならだがなにくそやってやると永遠にできないに反発する永遠にできるという永遠の力となる。これが自由自在に使えれば無限の力が手に入るんだ」とジョルディー。「2016年新年明けましておめでとう」とエルフィール。「おめでとう」とミラル。一行は焚き火にあたる。
エピソード98−3。アンコール。
「たかさきはやとが物語の量を書かないから抗議してテレビや新聞はたかさきはやとを無視。エムエックステレビは抗議して番組見せない。警察はナンバーツーを逮捕しない。ゆうちょは入金しない。嫁はこないんだな」とジョルディー。「いままでの物語や世界平和にしたことはどうでもいいのか」とエルフィール。「人は自分の欲求に狂っているもの。矛盾のかたまり。それが人だ」とジョルディー。「一緒に支えあえたらいいのにな」とエルフィール。「愛か。そうだといいな」とジョルディー。「世界平和までは一丸となってやっていた。世界平和で燃え尽きたときに抗議されるようになって入金もテレビでの最新作放映も声優さんの応援もなくなってしまった。それらの助力がなくなるとさらに量作れなくなって」とたかさき。「悪循環だな」とエルフィール。「ばかばっかりだ」とジョルディー。「器の大きさが足りないならあとは時間だけが必要だ」とたかさき。「もうちょいかな」とエルフィール。「器の大きさが足りないのにもうしわけないけどもひとりの部屋にぽつんといるとついなにかいってしまう」とたかさき。「まあしかたないかな」とエルフィール。「器か。つまりスケールの大きなことを考えたりしていこうとするかな」とジョルディー。「悲しみと願いは違う。器の大きさとは願いの深さ。器の大きさとはありえないほどの巨大な願い。さらにもっともっと大きくなり続ける巨大な願い。魂の叫び。あふれる願い。あふれでる気持ちかな」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード99−7。アンコール
「器を大きくするには力がいる。いやなにかするには力がいる。永遠世界になって疲れやすいという話もよく聞く。永遠世界でのパワー源は永遠だな」とエルフィール。「それがいまひとつわからない」とミラル。「作用反作用で押すと反対に押される力がある。永遠を押すと反対に押される力がある。永遠の作用反作用だ。これができると自由自在に永遠の力が使えるようになる。ちょっとしたことでは疲れなくなる。まさに永遠の力が手に入るんだ」とエルフィール。「永遠に歌ってやるという永遠を押すとできるはずがないだろうと反対に押される力がある。それが永遠の力だ。永遠になにかやる。だができるはずはないと反対に押される力。できないというならだがなにくそやってやると永遠にできないに反発する永遠にできるという永遠の力となる。これが自由自在に使えれば無限の力が手に入るんだ」とジョルディー。「2016年新年明けましておめでとう」とエルフィール。「おめでとう」とミラル。一行は焚き火にあたる。
第七十話アンコール 決断の奇跡に生まれ変わる日よその思いと願いよ。
昼日中からエルフィールはぐでーとしてやる気はまったくない。
「飯も残してはやく食えよ」とミラル。
「スローライフだよミラル」とエルフィール。
「まったくあんたという馬鹿は死ななきゃ直らないな。馬鹿につける薬はないわね」とミラル。
「馬鹿は馬鹿なりに役には立っているのさ」とエルフィールは笑う。
「ただの馬鹿でしょう。馬鹿につける薬はないね」とミラルは怒っている。
「家族や仲間には寛容さが必要だよ」とエルフィールは笑う。
「私は寛容でしょうよ。あんたという馬鹿の存在を許しているからね」とミラルは笑う。
「馬鹿もいいじゃないか」とエルフィール。
「馬鹿の面倒だけ見るのは嫌よ。幸せになりたいよ」とミラル。
「幸せになろう。一緒に永遠に幸せになろう」とエルフィール。
「言ったな。幸せにするって言ったな」とミラルは泣いている。
「幸せにするまで責任は取るさ」とエルフィールは涙をぬぐう。
そしてふたりは笑いあう。そんな平凡なるひとときなればこそ。
エピソード2。
一行は歩いている。
「もっとちゃんとしてよエルフィール。命令よ」とミラル。
「ミラル。命令した瞬間に命令した相手から束縛される。自由でいるためには命令しないことなんだ。願いをいうことはあっても命令はしない。それが自由である条件だ。政治家が命令して束縛されて自由を失い、自分を犠牲にするのかっこわるいよ」とエルフィールは笑う。
「自由でいたい。命令しない。だから命令。一緒にこの世界にいて」とミラル。
「それはいい命令だな」とエルフィールは笑う。一行は旅を続ける。
エピソード3。
暗闇の中をミラルが走っている。「現実から逃げるために大事なこと見失ってる」と闇がささやく。「大事なことってなに」とミラルは走る。「刹那「せつな」のその場限りの快楽に踊らされて大事なことを見失っている」と闇はささやく。「大事なことってなに」とミラル。「それは本質。ほんとうのこと」と闇はささやく。「ほんとうのことってなに」とミラルは立ち止まり問う。「本質は未来。未来とは夢か幻かそしてこれからのこと」と闇はささやく。エルフィールが闇を斬り裂く。「ごたくは結構だ。戦おう」とエルフィール。斬られた闇は永遠となる。「永遠の闇の中一筋の光りは生まれた」と永遠。「永遠と戦う。まだ心は永遠に成長するぜ」とエルフィールは精霊をまとい永遠を斬る。ジョルディーも斬る。アドルテアとミラルが魔法攻撃する。ハイベルが剛剣で永遠を斬る。永遠が吼える。レッドドラゴンも吼える。レッドドラゴンの口炎が永遠に踊る。「永遠の戦いは永遠に続く」と永遠。「だがひとつひとつの区切りはある」とエルフィールは斬る。「永遠は永遠なのだ。その本質は永遠。答えは永遠。そこにある家族団欒も永遠なのだ」と永遠。「永遠はすべて。だがまた永遠の心の成長もまた永遠だ。そう?う家族団欒もある。まだまだ永遠に心は成長する」とエルフィールは永遠の闇を斬る。「いまはひこう。だがこれは永遠なのだ。永遠の戦いなのだ。それを忘れるな」と永遠は去る。「忘れたりしないさ」とエルフィールは剣をしまう。「永遠の果てになにがある」とジョルディー。「いまはまだわからない」とエルフィール。「まだ始まったばかりだというのね」とミラル。「そうさ。さあ旅がしたい。旅へ出よう」とエルフィールたち一行は旅立つ。8、17。
エピソード4。
エルフィールたちの前にドラゴンが出る。光ってるようなドラゴンだ。「何者だ」とエルフィール。「永遠竜「えいえんりゅう」だ」と永遠竜。「戦いを望むのか」とエルフィール。「永遠竜とは永遠の流れ。幻獣「げんじゅう」なのだ。幻獣とは未来のすべて。だから戦う理由はない。永遠竜とは永遠のあたたかさなのだから」と永遠竜。「つまりなにがいいたいんだ」とエルフィール。「人はもう長いこと大事なことを失っている」と永遠竜。「それは人だって探しているさ」とエルフィール。「人にだってやさしさはあるわ」とミラル。「永遠のぬくもりを失ったのは人ではないのか」と永遠竜。「取り戻してみせるさ」とエルフィール。「崩壊していく過去はなんのためにある。光り輝く未来はどこにある。いま答えてみよ」と永遠竜。「いまは答えはない。だが必ずいにしえの約束を人は果たすだろう」とエルフィールは笑う。「できるなら見ていよう。忘れるなら笑い飛ばそう。その約束が果たせる日を夢見ていよう」と永遠竜。「そんなに待たさないさ」とジョルディー。「神はできない約束を人にあたえはしません」とハイベル。「くっくっくっ。人の未来よ。楽しみなものだ」と永遠竜。「信じてみろ。損はしない?」とエルフィールは笑う。「永遠の約束をその愛を果たすべきか永遠竜は見ているのだ」と永遠竜。「気の長いこった」とエルフィール。「永遠の約束を果たすか。それはまだ始まったばかりさ」とジョルディーは剣をかざす。「ドラゴンとて約束はあるぞ」とレッドドラゴン。「それもいい。またその旅を感じていよう。その旅を楽しみにしているぞ」と永遠竜は飛び立つ。「さていこうか」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード5。
男がいる。「私は戦士ダガローン。戦争はどこだ。いま平和にするために人を殺す。暴力をふるう」と剣でエルフィールと斬りあう。「戦いは終わったのだ。剣をおさめよ」とエルフィール。「戦わなければ人は迷い苦しみ不幸になろう。いま平和のために私は暴力をふるう」とダガローン。「なぜ家族と暮らしていけない。家族団欒こそ平和ではないのか」とエルフィールは剣を吹っ飛ばす。「戦いで幸せにならないのなら。暴力で幸せにならないなら人はなんのために生きるのだ」とダガローン。「人は愛しあうことで生きていくのだ。それこそが家族団欒だ」とエルフィール。ダガローンのまわりに家族が街の喧騒が踊る。「そうかもな。家族団欒こそが平和の答えなのかも知れない。帰ろう家族団欒へ」とダガローンは家に帰る。「そうして世界が家族団欒になる日まで」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード6。
精霊が生まれる。「これは珍しい」とアドルテア。「あんたの仕事でしょ精霊使いさんよ」とミラルはエルフィールをこづく。うすぼんやりおだやかに光る精霊の子とエルフィールは歩く。「力がほしいのか」と魔力を精霊の子にあたえるエルフィール。何日もそうやって面倒を見るエルフィール。「もう立派な大人だな」とジョルディー。「精霊は大人になればひとりで生きていく。もうお別れだな。そう。精霊の子はそうして名前をつけることで大人となる。エフィーリア。それがおまえの名前だ」とエルフィール。精霊の子は光り踊ると大きな光りとなる。そして空に消えていく。「またな」とエルフィールは手をふった。「さみしい」とミラル。「さみしいな」とエルフィールは笑った。一行は旅立つ。ほのかな光りが一行を照らしていた。
エピソード7。
山あいを川が流れる。一行は滝を眺めながら歩いていく。と滝から咆哮がする。ちょっとそこにいるがずっと咆哮がしている。近くの村人がやってくる。「なんだいこの咆哮は」とエルフィール。「五千年前に竜騎士とそのドラゴンがいた。ここで竜騎士が死に、悲しんだドラゴンはずっと泣き続けていた。やがてドラゴンも死んだが、咆哮だけは残ったのだ」と村人。咆哮はどこか悲しく響いている。「またな」とエルフィールは精霊を歌う。一行は旅立つ。
エピソード8。
戦い続けていた。「どこへいく」とエルフィール。「どこかな」と男。「名前はなんという」とジョルディー。「名前なんてもう忘れた。二千年間戦士として戦い続けていた。正義の下「もと」に悪人を殺し続けてきた。暴力だけの二千年。殺したのは何億人だろうか」と戦士。「暴力の日々か」とエルフィール。「救いはなんだ」とジョルディー。「暴力に救いなどない。たとえ世界を敵にまわしても世界平和にしたかった」と戦士。「戦いの終焉を」とミラル。「おまえたちを正義の下に倒す」と戦士は斬りかかる。エルフィールとジョルディーの手が光る。光りで斬る。鳥に生まれ変わる男。「もう殺すことのない人生をやりなおしな」とエルフィール。鳥は空を飛んでいく。
エピソード9。
逃げる人が逃げる。「不器用でも現実に体全部でぶつかっていったおまえはどこにいった」とエルフィール。「できない」と男。「いまはすぐに逃げてしまってあの現実に立ち向かっていったおまえはどこにいった。世界平和になってからのおまえは逃げ道をひたすら探す日々。みじめだと思わないのか」とエルフィール。「もう戦いたくない。ナンバーツーも知らないよ私は」と男。「戦え。逃げるな。現実に立ち向かえ」とエルフィール。「もうきついのはいやだ。痛いのはいやなんだ」と男は斬りかかる。光りで斬る。男はねずみになった。一行は旅立つ。
エピソード10。
「桜はまだ小さいから小さな桜でこさくらだ」とエルフィール。「心の大きさって」と小桜「こさくら」。「心を大空にすること。心を宇宙にすること。すべて包み続ける大きさ。すべてのことを愛していくこと。そういうことが心の大きさ心の成長ということかな」とジョルディー。「その大きな心からあたためる心を幸せという」とエルフィール。「桜もできるかな」と小桜。「できるよ」とエルフィール。思いが空へ宇宙を包みこむ。そんな思いの空で。
エピソード11。
止まった心はなにも感じない。なにもない。「心よ流れよ」とエルフィールが舞う。心は流れた。
エピソード12。
風が吹いている。人がいる。青年が立っている。「生きる戦いはすべてを輝かせた」と青年。「これからどこへいく」とエルフィール。「もう永遠に眠るのだ。豊かなやわらかさに包まれてやすらかな眠りにつくのだ」と青年。「もう人生はいいのか」とエルフィール。「とわの眠りはそして未来に鮮やかに蘇るだろう」と青年。「それが満足なのか」とエルフィール。「静かな眠りに永遠につくまで」と青年は光りとなって消えていく。「またな」とエルフィールたちは歩き出す。
エピソード13。
永遠が踊る。それは無限の色彩のような。「永遠とはなんだ」とエルフィール。「たとえば永遠の幸せといえばすばらしいだろう。永遠と戦うことでそれは得られる。永遠のあたたかい涙といえばそれはすばらしいだろう。永遠と戦うことでそれは得ることができるのだ」と永遠。「永遠の悦楽とか永遠の豊かさとかさ。まあ金がもうかるとかさ」とエルフィール。「それも永遠と戦うことで可能だ」と永遠。「永遠の家族団欒とかさ」とエルフィール。「永遠と戦うことですべては可能だ」と永遠。「永遠に心が成長するのも」とエルフィール。「それも永遠と戦うことで可能だ」と永遠。「なんか楽勝だな。そんなものかな」とエルフィール。「以外とそんなものなのだ。永遠と戦うことはそれくらいなんでもありなのだ」と永遠。「永遠と戦う以外になにをすればいい」とエルフィール。「永遠の幸せを楽しめばいい。それだけだ」と永遠。「わかったよ」とエルフィールは鹿の胃の水筒「すいとう」で水を飲んだ。
エピソード14。
永遠の風景が踊る。「永遠とはなんだ」とエルフィール。「それはまた永遠の不思議だな」とジョルディー。「私たちの時代ではあるわね」とミラル。「永遠という時代か」とエルフィール。「まだ永遠はこれからだよね」と小桜。「そうだな。永遠という時代はこれからだ」とハイベル。「ゆっくりと永遠。はっきりと永遠。素直に永遠さ」とアドルテア。「永遠というのは不思議ね。涙が流れるのも不思議ね」とミラル。「永遠の不思議は涙が流れるのさ」とエルフィール。「それも不思議ね」とフィル。焚き火にあたる一行。
エピソード15。
ふたりは知り合いだった。女は男が嫌いだった。「あー運命の人が来ないかな」と女。「あっしが運命の人でやす」と男。「うそつきはゴブリンの始まりよ。ゴブリンのように口が曲がってしまってよ」と女。「幸せにするだけじゃ不満でやすか」と男。「あなたが運命の人だという証拠がないわ」と女。男は歌を歌う。「あんたのために作り歌った歌でやす」と男。「そんな歌を聴いたような気がする」と女は涙を流す。「あんたが鳥でも幸せにするでやすよ」と男。「そういうの好きよ」と女は男と抱きしめあう。「運命のひとときあんたと」と男。「幸せのときをあなたと」と女。ふたりはそして時を過ごす。
エピソード16。
「なにをしてもだめだった。おれの人生はもうだめなんだ。どこにもいけない。なにもできない」と男レリアン。「心に翼を持て。そうすればなんでもできる。どこにでもいけるんだ。心の翼で空へ宇宙へ羽ばたいていけ」とエルフィール。「やってみます」とレリアン。「心に翼をどこにだっていけるなんだってできる。心の翼を羽ばたかせればなんでもできるんだ」とエルフィール。レリアンは歩き出す。
エピソード17。
「ひきたて役はありがたいな」とエルフィール。「なんだと」とミラル。「冗談だって。冗談通じませんねん」とエルフィール。「ちょっと水飲んでくる」とミラルは宿屋の下の居酒屋にいく。あるおばさんが飲んでいる。水を待つあいだおばさんリーンと話す。「私はもう幸せよ。世界平和なんだから」とリーン。「幸せにならなきゃ」とミラル。「だから世界平和なんだから幸せよ。もう寿命で死にたい」とリーン。「世界平和になって燃え尽きているのね。でもね幸せは情熱よ」とミラル。泣いているリーン。ミラルは歌を歌う。
エピソード18。
泣いてる女の子がいる。「ねえ幸せだけ見よう。幸せだけ食べよう。幸せだけ聞こう。幸せだけ歌おう。幸せだけ感じよう。幸せだけ交換しょう。幸せだけあげよう。お互い幸せになろう」とジョルディー。少女は涙から笑顔になる。ジョルディーは少女を抱きしめた。
エピソード19。
泣いてる女の子がいる。「世界は幸せなことでいっぱいだよ。とんでもなく楽しいことが世界にはあるんだよ」とエルフィール。「ほんとう」と女の子。「ほんとうさ。世界は幸せの宝箱。その手で開けてごらん。冒険で世界を開けば楽しいことがあふれだす。幸せにおなり」とエルフィール。「うん」と女の子。「立ち上がり歩き出すならば世界をおまえにあげよう。この世界手に入れて幸せにおなり。世界のあふれる楽しいことはおまえを待っているのさ」とエルフィール。「もらうね世界」と少女は笑っている。エルフィールは歌を歌う。
エピソード20。
「依頼だ」とジョルディー。「私は歌手をしているネイラです。歌を作っても売れないのです。食っていけません」とネイラ。「仲間はいないのか」とエルフィール。「ほとんどいません」とネイラ。「心が大きく成長すればそでふれあい仲間がふえていく」とエルフィール。雨が降ってくる。「私の友達は雨だけよ」とネイラ。「この孤独よ雨と流れよ」とネイラ。「若いうちは仲間は少ない。でもなそれでも歌は心の一番の友達さ」とエルフィール。雨がやむ。空は雲が開けて虹がかかる。「やまない雨はない。継続は力なり。歌を作り続けてみなよ」とエルフィール。「そうですね。やってみます」とネイラは歌を歌う。
エピソード21。
「どっかいきたいな。ここでないどこかに」と女。「そうでやすなあ。人は思い出以上先にはいけないのかも知れないでやすな」と男。「どこかに帰りたいのかも知れない」と女。「幸せに帰ろう。やわらかな幸せであんたの心をマッサージするでやす。やわらかい幸せであんたの心を毎日幸せにするでやす。生まれた幸せを生きる幸せをそして永遠という幸せを感じてくれでやす」と男。「幸せに帰るために巡り逢ったから」と女。「あんたが幸せな世界をここに」と男。「やわらかな幸せの中で」と女。「永遠に巡り逢うために」と男。「永遠の幸せの中で」と女。ふたりは抱きしめあった。
エピソード22。
「みんなおいで」と黒のコートに黒の帽子の男のまわりにみんなが集まる。「何者だ。なにをしている」とエルフィール。「あっしは幸せ屋でやす。みんな幸せにする商売でやんす」と幸せ屋。みんな泣き出す。「どういうことだ」とエルフィール。「みんな幸せになるとあたたかいやわらかな涙を流すんでやす。さああんたも幸せになりなでやす」と幸せ屋がコートを開くと星々が空もすべてに踊る。エルフィールも涙している。「あっしはあんたらを幸せにしたい。それが生き甲斐でやすよ。さあ心が生まれ変わりそしてやわらかく巡り逢う心と心よ」と幸せ屋は去っていく。「おまえさんにもらった心ありがとう」とエルフィールは言った。
エピソード23。
「好きな人と巡り逢いたい。幸せになりたい。幸せにしたいな」と少女は部屋から空へ願う。空から星が降りてくる。「ぼくは星の子供」と星光る子供が空にいる。「願いは思いは星となって空に輝き星の子供となるんだよ」と星の子供。「さあ空へ飛ぼう」と星の子供と少女が空を飛ぶ。「楽しい」と少女。街々を越えて空越えて星々越えて宇宙を飛ぶ。ふと少女は目が覚めると部屋にいた。「夢だったのかな」と少女。枕元には輝く星の欠片「かけら」があった。「思いは願いは夢じゃないんだよ」と声がする。少女は笑顔になった。
エピソード24。
「人助けしたいなあ」と小桜「こさくら」。「私もしたいな」とアムネスタ。「そうだね。でも人助けというのはまた巡り逢いのようなとこがあってね。でもね生きてくれてるだけでもみんな助かるんだよ。生きてるだけでも人助けなんだよ」とジョルディー。「チャンスはいずれある。それもまた巡り逢わせなのさ」とエルフィール。「生きていれば人助けの巡り逢いもあるというものよ」とミラル。「生きていようね」と小桜。「ジョルディーがいれば生きていけるよ」とアムネスタ。「上等だふたりとも。幸せにしょう。幸せになろう」とジョルディー。焚き火を笑顔が囲む。
エピソード25。
ある洞窟の奥にドラゴンの石像がある。「動けないぞ」とジョルディー。一行は動けない。「人めまた来たか。私は待っていた。怨念になってまで待っていた。嫁になるといった女を待っていた。その女は三千年待ったら嫁になるといったのだ。さあ嫁を出せ」とドラゴンの怨念。「そいつはもう死んだな女も」とエルフィールの手が光る。ジョルディーと光りでドラゴンの怨念を斬る。「長い長い旅であった」とドラゴンの石像は砕ける。「天国が待っているぜ」とエルフィールたちは歌った。
エピソード26。
廃墟の街が燃えている。「私たちは内戦という道を歩いた。その結果街は破壊された。戦いだけが答えだったのか。愛だけが答えだったのか。いま目の前には永遠だけがある」と兵士。「きっと答えが見つかる日が来る」とエルフィール。「そう願っている。そう祈っている。そうありたいと思っているのだ」と兵士は泣いた。夕日は沈んでいく。
エピソード27。
バルディが歩いていくとベネレッタがいる。「あらあらゴブリンさん急いでどこにいくのかしら。私も連れていってよ」とベネレッタ。「鳥さん鳥さん女の鳥さん。あっしは急いでいないでやすよ。あんたという人がいるからあっしは永遠にここにいて歌うのでやすよ」とバルディ。「ゴブリンさんのいうとおり鳥はとても空が好き。あなたの上を飛んでいるのです」とベネレッタ。「そうかいそうかい。あっしは愛を探していたんでやすよ。あんたの愛をいただきたいんでやすよ」とバルディ。「ゴブリンさんゴブリンさん。あなたの空を見守るのは私の仕事よ。あなたに危険がないといつも見守っているのですよ。さああなたの空を私の歌でいっぱいにいたしましょう」とベネレッタ。「鳥さん鳥さんありがとう。きっと今日もあっしは幸せでやす。ふたりの思いの前にきっと悪魔も逃げ出すでやしょう。さあ一緒に生きていきやしょう」とバルディとベネレッタは抱きしめあった。
エピソード28。
洞窟を探索するエルフィールたち。なにかが天上から光っている。光りが舞う。「人の子よ。願いはなんだ」と光り。「人々の幸せだ」とエルフィール。「願いは必ず叶うだろう。それはおまえたちの願いによるもの。おまえたちの力によるもの」と光り。「人は救われるのか」とエルフィール。「救われるだろう。そのためにおまえたちは生まれた。願いは永遠を越えて人々をその思いを幸せの光りと成すだろう。生きなさい。答えは光りの中にあります」と光り。「それはいいことだな。ありがとさん」とエルフィール。「幸せになるのでしょうか」とミラル。「すべての幸せは光りの中に。すべての思いは永遠の中に生きている」と光り。「そう願いたいものだ」とエルフィールは笑った。「さあ生きなさい。さあ行きなさい。この世界はまだ幸せを待っているのです」と光り。「わかったよ」とエルフィールたちは歩き出す。
エピソード29。
ジョルディーが歩いているとアーティニーがいる。「これは剣士様。どこにいらっしゃるのですか」とアーティニー。「じゃじゃ馬姫を探しているのです」とジョルディー。「それはこんな姫なのですか。剣士様。剣士様。あなたのとなりは雨が降っていますよ」とアーティニー。「きっと姫と一緒にいる騎士はつらいのでしょう。だから雨ばかり降っているのです」とジョルディー。「それはきっと愛する人を守るための力。あなたが永遠に道に迷わないように守る思いの力」とアーティニー。「アーティニーを守る力でもあるから。いつもこの思いのように守られている世界よきみよ。ゆっくりときみとの愛を歌おう」とジョルディー。「詩とは守る力なのかも知れません。それは愛の言葉。力守る永遠の言葉」とアーティニー。「それもいい。愛もいい。人を愛する力が永遠ならばこんなに幸せなことはないのです」とジョルディー。「あなたを愛しています」とアーティニー。「愛してる」とジョルディーと抱きしめあうふたり。時は愛を歌う。
エピソード30。
巨人がひとり戦っている。「我こそがすべてなのだ」と巨人。巨人が人間を人々をなぎ倒す。エルフィールたちが巨人を倒す。巨人が動けなくなった。「夢を見ていた。すべての人が幸せになる夢だ。黄金の帝国を夢見ていた。みなが黄金に包まれた世界を見ていた。私は私の思いは間違いだったのか」と巨人。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。巨人は鳥になって飛び出す。「いい歌を歌いな」とエルフィールは歌う。
エピソード31。
老婆に声が聞こえる。「待っていたのですよ。あなたのことを」と声がする。エルフィールがジョルディーと光りで斬る。老婆は若返っていく。「こんなことがあるはずがない」と老婆は少女になった。「さあみんな待っていたのよ。こちらにいらっしゃい」と少女は光りの中へいく。「ここは永遠の花園。苦しみはなにもないのよ」と声。まわりには少女たちがたくさんいる。「さあここで永遠を生きよう」と少女たちは歌を歌う。老婆だった少女も歌った。そして世界は歌になる。
エピソード32。
少女が歩いてくる。「これはこれは騎士様。これからどこへいかれるのですか」とアーティニー。「これはこれは姫。騎士は姫の元へいく途中なのです」とジョルディー。「騎士様騎士様。これからどんな戦いがあるのですか」とアーティニー。「それはまだ未来しか知らないことなのです」とジョルディー。「騎士様の守護をいたしましょう」とアーティニー。「それはお願いいたします。私の願いはみなの守護なのです」とジョルディー。「永遠がふたりを包むまでこの命あなたとともにありましょう」とアーティニー。「永遠の歌を歌いながらあなたと生きていきましょう。その日永遠がすべてとなるまであなたの守護を永遠にいたしましょう」とジョルディー。「それこそが永遠の愛。あなたを永遠に愛し続けるまで。この愛であなたを幸せにし尽くすまで。この愛をこの力をあなたに」とアーティニー。「永遠に愛しているからあなたの永遠の守護をこの愛で。夢まですべて愛しているから。ふたりのすべてを愛にするために」とジョルディー。「何億光年離れてもあなたを追い続けて愛し続けていますから。愛しています」とアーティニー。「何億光年もあなたを追いかけているから愛し続けているから」とジョルディー?「何億年も愛すために何億年の抱擁をあなたにするために」とアーティニー。「何億年も愛し続けるために何億年の抱擁をあなたにするために」とジョルディーとアーティニーのふたりは抱きしめあいキスをする。永遠はふたりを彩る。
エピソード33。
「アステア」と男。「ジョスティン」とアステア。「ふたりは離れてばかり。これからずっと一緒にいるためにお願いします」とジョスティン。エルフィールの手が光りジョルディーとふたりで斬る。ふたりの小指に見えない赤い糸がまきつく。「永遠をこれから生きよう。お互いを見失わないように。永遠の命を育てよう。永遠の時を生きよう。永遠の命を育てあげ世界に残そう。いまこの愛とともに」とジョスティンとアステアは抱きしめあう。「幸せにな」とエルフィールたち一行は旅立つ。
エピソード34。
「生きていれば世界はまだ開かれている」とエルフィール。「エルフィールなにを探してるんだ」とジョルディー。「世界のすべてを探している」とエルフィール。「一緒に永遠を永遠に探していこう。どこまでも永遠に」とジョルディー。「永遠に一緒に永遠を探して旅をしょう。永遠の旅をしょう」とエルフィール。「永遠の不思議と出会う旅でもある。永遠を探して生きていよう」とジョルディー。「無限の世界が宇宙が永遠の世界が待っているから」とエルフィール。「永遠の世界はなにもかも永遠だという。幸せも愛も家族団欒も永遠だという。永遠を見よう」とジョルディー。「永遠の世界へ」とエルフィール。「永遠へ旅立とう」とジョルディーたちは歩き出す。そして永遠へ。
エピソード35。
洞窟の奥で男が闇と戦っている。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。闇は消える。「私はレムス。千年闇と戦っていた」とレムス。「これからどうする」とエルフィール。「帰りたい。ふるさとに帰ろう。そして畑を耕して命を育てて生きていこう」とレムス。一行は歩き出す。
エピソード36。
山道を歩く一行。歌が聞こえる。山の上に女性が歌っている。「なにしてるんだ」とエルフィール。「私は豊穣の女神。歌うことで命が活き活きとして命そして生まれ変わったり出会いをあたえるのです」と豊穣の女神。「歌によって」とエルフィール。「歌によって命は永遠を得るのです。さあ歌いましょう永遠を。命の大河を命の宇宙を命の永遠を巡り逢うために歌いましょう。永遠のように歌い永遠のメロディを世界に響かせるために」と女神。一行は歌う。
エピソード37。
洞窟の奥にドラゴンがいる。「我はレグニノクス。我は神と戦い負けた。滅びの言葉をあび滅びていく。おお体が崩れていく。なにもかも消滅していく。存在も歴史も我のなにもかもが消えていく。我のことをおぼえていてほしい。おお消える消えてしまう」とレグニノクスは滅びる。「なにかしていたか」とエルフィール。エルフィールの手が光っている。ジョルディーと光りで斬る。光りの中からレグニノクスが生まれる。そして卵になる。「レグニノクス」とエルフィールたち一行は卵を見ていた。
エピソード38。
人々が殺しあっている。エルフィールの前に兵士がひとり倒れこむ。「私はラムネータ。ダガラとガンラータの戦いだった。だがもうなんのために戦っていたのかいまとなってはわからない。ただの殺し合いだった。どうすれば良かったのだ。正義はどこにある。私は死ぬのか」とラムネータ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りは巨大な翼となり一帯を包む。みんな少年や少女に戻っていた。少年たちは遊びだす。エルフィールたちは旅立つ。
エピソード39。
男がいる。「私はレグルカ。王の命令だここにいなくてはならない」とレグルカ。「王の命令よりも大事なことがある」とエルフィール。「そんなものはない」とレグルカ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。妻が目の前にいる。「あなたお茶入れたわよ」と妻。子供がいる。「おとうさんいっしょにあそぼ」と子供。レグルカは涙が止まらない。「なんだこの気持ちは。なんだこの感情は」とレグルカ。「幸せだよ」とエルフィール。家族団欒を見送り一行は旅立つ。
エピソード40。
女がふたりいる。「おまえふざけんな」とケンカしている。「私はノースラス。どうしても仲間や家族が許せないんだ。ほんとうは愛したいのに。私は人を愛すことができるんだろうか。私は人を愛し許せるのだろうか」とノースラス。「人は育てれば必ず伸びる。みんな自分の子供だと思うんだ。みんな自分の子供。そして育て伸ばすために話すこと」とエルフィール。「ありがとう」とノースラスは涙をぬぐう。
エピソード41。
「幸せは歌うために生まれた。家族は歌うために生まれた」とアーティニー。「愛はなぜ生まれた」とジョルディー。「愛は歌うために生まれた。命は歌うために生まれた。永遠は歌うために生まれた」とアーティニー。「永遠を歌うぼくらはどこにいく」とジョルディー。「永遠を歌えば永遠は道になる。永遠を歌えば幸せは永遠になる。ゆっくり歌えば歌は幸せを響かせる」とアーティニー。「永遠を歌えば幸せは家族だから」とジョルディー。「歌えば魂はひとつとなり神を歌う。さあ永遠の時の流れを歌おう」とアーティニー。ふたつの影はひとつになる。
エピソード42。
「動けない。足が動かないよ。心が小さい。だめなんだ」とレムス。「心の翼で羽ばたくんだ」とエルフィールは光りでジョルディーと斬る。レムスは歩いていく。エルフィールは見送った。
エピソード43。
「結局好きな奴とは一緒になれないんだ」と女のレクリエール。「あきらめなければ奇跡は起きる。挑み続ければ必ず奇跡は世界を自分を包み幸せの女神はほほえむ」とエルフィール。「そんなのうそだ。できないんだ」とレクリエールの手が光っている。「これはなに」と光りで自分を斬る。自分の未来が見える。望む未来が見えた。「自分の人生をあきらめない。歩いていきます」とレクリエールは歩き出す。
エピソード44。
「私はメルイナ。世界はどうなる私はどうなる」と男のメルイナ。「世界を作ろう。世界は崩れる翼。世界を創造しょう。世界を生まれ変わらせよう。世界は何度でも生まれ変わる。私たちの手で世界は何度でも生まれ変わる。世界を創造しょう。世界はこの手の中にある」とエルフィール。光るエルフィールの手とメルイナの手が合わさる。未来の世界が見える。創造される世界が見える。「必ず世界を創造します」とメルイナ。世界は手の中にあった。
エピソード45。
「何億年経ってもあなたのことを愛している」とアーティニー。「何億年でも愛してるという」とジョルディー。「何億年でも支え続ける」とエルフィール。「何億年でもあなたとの愛を歌い続けている」とアーティニー。「何億年でもこの愛をゆたかにゆるやかにやわらかくしていく。こんな愛があるように」とジョルディー。「何億年でも幸せを歌い続けている。お互いの心を幸せのようにやわらかくもみ続けていく。こんな幸せのもみかたがある」とエルフィール。「何億年でも愛にもみ続けていく。やわらかく心をもみあい続けていく。それが生きることならば。幸せはこんなに心がやわらかいものだから。ゆっくりとゆるやかに心をもみあげていく永遠にずっと」とアーティニー。「永遠に心をもみあうこと。それが愛という幸せ。心をやわらかく自然にゆるやかに生きること」とジョルディー。「やわらかくやわらかく永遠に心をもみあげていくこと。それが幸せだから。そして心は永遠になる」とエルフィール。三人は明滅しながら光りに包まれる。
エピソード46。
「心が小さい。なにもできない」とミラル。「心を創造しょう。心は愛という感動に何度でも生まれ変わる。心は生まれ変わるたびに大きくなる。感動を探してそして心生まれ変わろう。心を創造すればすべては心から創造できる。さあ心を創造しょう。心は何度でも生まれ変わる。そのたびに心は創造される。さらに大きくなっていく。さあ心の翼を大きくして羽ばたこう。宇宙へ飛び立とう。大きな心の翼ですべてを包み抱きしめよう。それが生きることさ」とエルフィール。「さらに大きな心の翼で羽ばたくわ」とミラルは涙をぬぐう。
エピソード47。
「戦争世界に対して心を広げてきた。これからはどうすればいい」とレーノ。「これからは永遠に対して心を広げていくんだ。永遠に心を広げ続けていくこと。それは永遠の創造だ。永遠を心に創造することなんだ。永遠を心に生み出そう。心を永遠にしていくこと」とエルフィール。「なんてあたたかいんだ。あたたかい心があふれてくる」とレーノ。「さあ永遠の幸せを心に生み出そう。心の広がりこそ幸せ。心に永遠を生み出し永遠の幸せと成せ」とエルフィール。心に永遠がある。それは永遠の幸せだった。
エピソード48。
なにも刺激のない町。静かに死に絶えようとしている町。ニッポンナ。「なんだここは」とエルフィール。「私は師匠ケンナ。当時テロと戦いもっと厳しさの中に救いがあると思った。だが戦いが終わろうとしたときに親しい仲間は過去の私の会うな世界平和というな逮捕するなという言葉を金科玉条にして過去にとらわれ続けてしまった。もういまの私の声は聞こえない」とケンナ。「過去にとらわれるな」とエルフィール。「いまを生きよう」とジョルディー。「師匠は彼は過去にいった。その言葉を守って生きるのが私たちのいきがい」と町人たち。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。過去の中に自分がいる。そこに手がさしだされる。「過去をすていまを生きよう」とエルフィール。「あのときの私たちはどこにいってしまうの。あのときの私たちの苦しみをすててはいけないわ」と少女。「あのときの私たちもいまここにいるよ。もうずっと一緒だよ」とエルフィール。「どこにもいかない」と少女。「どこにもいかないよ」とエルフィール。過去がいまに成る。ケンナがやって来る。「ただいま」とケンナ。「おかえり」と仲間たち。一行は旅立つ。
エピソード49。
呼ばれて魔法院の図書館にいく。「ここで探してる魔道書があります」とゼムス。探すエルフィールたち。ミラルがその魔道書を見つける。暴走する魔道書。暴風が吹き荒れる。「わあああああ」とミラルが叫ぶ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「いろんな世界を見てきた。私は魔道の極みのひとつ。それは幸せのための魔法だった。書いた人たちは人の幸せを願い永遠に人が幸せになることを願っていた。幸せがあふれていく。こんな気持ち。それが幸せだ。いま永遠の幸せが開く。いま私の役目は終わる。これが幸せの魔法だ」と魔道書。幸せなあたたかいやわらかな心がもみあがる。そこに本は閉じられた。一行は旅立つ。
エピソード50。
少女が歩いている。「私は誰。これからどこへいけばいいの」と少女。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「きみは未来。未来で生きるんだ。未来は幸せの生まれる場所。光りの世界なんだ。みんな一緒にいるとこなんだよ。さあ抱きしめよう。もうはなれることはないよ。ずっと一緒だよ。これから未来永劫ね。永遠をともに生きよう。それがともに生きるということなんだよ。もう二度とはなれることはない。もうひとりじゃないんだよ。みんな一緒だよ」とエルフィール。少女は翼を広げて未来へと羽ばたく。
エピソード51。
「どこにいてもあなたのことを思っている」とアーティニー。「いつもきみを幸せにしたいと思っている」とジョルディー。「いつも永遠を送りたいと思っている」とエルフィール。「永遠に一緒にいられるように願っている」とアーティニー。「永遠が歌うときまで愛している」とジョルディー。「永遠を生きるように愛している」とエルフィール。「永遠に抱きしめるように愛してる」とアーティニー。「永遠に心はそばにいる。永遠に愛してる」とジョルディー。「永遠をわかちあいたい。永遠に愛してる」とエルフィール。「永遠に生まれ変わる愛のように愛してる」とアーティニー。「忘却の苦しみより深く愛してる」とジョルディー。「永遠より深く愛より深く愛している」とエルフィール。「いつも心がまじわるように愛している」とアーティニー。「永遠よりも喜びよりも深く愛している」とジョルディー。「ゆっくりとやわらかくおだやかに愛している」とエルフィール。三人は光りのなかへ。
エピソード52。
「幼き日。なにもできなかった自分を思いだす」とジョルディー。「世界平和になってそれまで戦争世界に対して力を放っていたのがこれからは永遠に向かって力を放つ。永遠を心の中に創造するということがわからないんだな」とエルフィール。「できるでしょうか」と小桜「こさくら」。「誰でも平和世界ではまだ幼子なのかも知れないな」とジョルディー。「永遠にできるようにすること。永遠の力と成すこと。永遠という感覚をつかむこと。永遠とはなにか考えて永遠に向かって力を放ち永遠について話しあうこと。永遠は永遠だから奥の深さは無限。永遠はまだ始まったばかりさ」とエルフィール。焚き火にあたりシカに食らいつくエルフィールたち。夜はふけていく。
エピソード53。
エルフィールが精霊の剣で永遠をぶった斬る。「永遠はまだ永遠を知らず。永遠の涙は永遠のぬくもりから生まれる」と永遠。レッドドラゴンが炎を永遠に吐く。「永遠さえも達しず永遠さえも遠く。永遠のように歌う人生を歌う。永遠はまだ心のなかに生まれていたから」と永遠。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「永遠は永遠を歌う。永遠の歌を聴いていた。永遠の幸せの歌を聴いていた。永遠さえも心の風景としていた。永遠はまだここにある。永遠はまだ始まったばかりなのだから」と永遠。永遠の歌が響いていた。
エピソード54。
「永遠とひとつになること。永遠にあこがれていた。永遠に近づきたかった。ずっと永遠を眺め続けていた。永遠しだいの道だとしても永遠に羽ばたき続ける。永遠はいいものよ」とミラル。「永遠をずっと感じ続けていたい」とエルフィール。「それが永遠とひとつになることね」とミラル。「永遠を越えてその先の未来へ」とジョルディー。「永遠は忘れたころになつかしくいとおしい」とミラル。「永遠よりも永遠らしくありたいもの」とフィル。「永遠に響く歌を歌いながらまた永遠を響かせていく旅」とエルフィール。「永遠の旅へ旅立とう」とジョルディー。一行は旅立つ。
エピソード55。
「不幸な生い立ち。不幸な生活だった」と女のレナス。「幸せから逃げちゃいけない。幸せを勝ち取れ。幸せだけは失っちゃいけないんだ」とエルフィールは光る手でジョルディーと光りで斬る。光りの翼がレナスを包む。「望む未来を光る手でつかめ。未来へこの翼で羽ばたけ」とエルフィール。レナスは笑顔で涙をぬぐった。
エピソード56。
「彼女のことが好きなんです」とレクリエール。「手紙かけ。何百通でも書き続けろ」とエルフィール。それからプレゼントしたりさみしいといえば駆けつけたりしてるうちに結婚のはこびとなった。「彼の思いの純粋さにうたれました」と涙をぬぐう彼女。「うれしさをプレゼントしていくのが幸せ。永遠に幸せにしてやんな。うれしさが心からあふれると涙となる。心とは水のように形はない涙だから。まだ涙あふれているね。それはうれしさが心からあふれているんだよ」とエルフィール。「これからも彼女に永遠にうれしさをプレゼントし続けていきます」とレクリエール。「幸せにな」とエルフィールたちと別れる。
エピソード57。
「彼はおまえのために死にたいが口ぐせでした。でもほんとうに私を守って死んでしまいました」とローリエ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。「きみを守りきれて本望だ」と彼があらわれる。「幸せになってほしい」と彼。「ありがとう」とローリエ。「いつまでも思い出は力となりきみに力をあたえん」と彼。「また生まれ変わり。きみのもとへ」と彼。「またね」とローリエ。「心はいつもひとつだ」と彼。ふたりは話しあっていた。
エピソード58。
「永遠てなんかぴんとこないな」とミラル。「永遠に向かって歩いていくってことさ」とエルフィール。「永遠に向かって羽ばたくとかね」とジョルディー。「永遠を抱きしめるような感じ」とフィル。「永遠に歌い続けていくこと」とハイベル。「言葉は言葉。言葉の意味を考えればそれは魔法なのです。言葉は魔法。言葉の魔法を永遠に響かせるということですな」とらいでん。「魔法を唱えて永遠の響きを」とダミエール。「むずかしいことじゃない」とエルフィールは焚き火のシカに食らいつく。
エピソード59。
「望みは叶わないんだ」と女のコーナル。「妥協は悪くない。だがな。望みは必ず叶う。望みの世界を手に入れてみないか」とエルフィール。「世界を見たい。いろんな人々と会って見聞を広めたい。好きな人と結婚したい。みんなを幸せにしたい。好きな人と幸せになりたい」とコーナルの手が光る。光りで斬る。世界がある。いろんな人たちと出会い未来がある。そして好きな人との家族団欒もあった。「幸せになるよ」とコーナルは歩き出す。
エピソード60。
「どこにいけばいい」と男のロードナ。「世界へ」とエルフィール。「世界にはまだ見ぬ愛がある。家族団欒と旅には愛がある。世界には無限の不思議な愛がある」とジョルディー。「世界に出てまだ知らぬ愛を見たい。いろんな家族という愛に出会いたい。不思議な無限の愛と出会いたい。どんな愛がどんな幸せを創造してるのか見たい」とロードナ。「世界へそして家族へその不思議な無限の愛へ」とエルフィール。旅立つロードナ。
エピソード61。
「聖地バランバランでは恒久「こうきゅう」の平和を願って巨大な女神像があります。二千年の戦乱の日々にも我々は守り続けてきました。その願いこそがこの地に平和をもたらしたように思うのです」と聖職者のレギナ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りを見た人たちはそれから女神像を見に来たという。一行は旅立つ。
エピソード62。
「この村にはとくになにもないのよ」と少女レナスタ。エルフィールたちは井戸を掘り畑に協力する。三ヶ月助けてなんとか収穫まで実る。「ありがとう。ありがとう。ほんとうにありがとう。この恩は忘れません。ありがとう」とレナスタ 。「幸せになりな」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード63。
老婆がいる。「悠久の空へ旅立ちなさい。悠久の時を越えて悠久の愛を得なさい。悠久のやさしさにあたたかい心に悠久の涙を流しなさい。悠久の家族団欒を悠久の幸せをみんなとわかちあいなさい」と老婆。「わかったよ」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード64。
小桜「こさくら」が岩の父に聞く。「私のお母さんは誰」とこさくら。「千年生きた桜は人になる。それがおまえだ。千年生きた岩も意識を持つ。それが私だ」と岩のおとうさん。「私は桜なんだね」とこさくらは焚き火にあたる。
エピソード65。
「平和だからやる気でねえなあ」とエルフィール。「まだ世界は貧困にあえいでいます。救うべき人々はごまんといるのですよ」とハイベル。「人のエネルギーとはなにか。それは食事です。それは睡眠です。それは話しあうことです。そしてイメージです。世界をこう変えるというイメージすること。それが人のエネルギーなのです」とらいでん。「情熱から愛は生まれます。情熱から金は生まれます。情熱をイメージして情熱を創造するとき願いは叶います。情熱によって永遠に羽ばたき永遠をつかみとれるのです。すべては情熱というエネルギーが可能とするのです。永遠の愛が永遠の幸せを創造します。永遠の情熱が永遠の愛を創造するのです。永遠の創造は永遠の情熱からです」とフィル。「ほっけほっけわっかりましたあ」とエルフィール。「その返事からして信じられないなあ」とミラル。ジョルディーはくすくす笑っている。
エピソード66。
「いまのテレビはおもしろくないわね」とミラル。「言葉が死んでるな。意味がある言葉は生きていて人を幸せにする。結局世界平和になって心が死んでるから言葉もみんな死んでいるんだな」とエルフィール。「昔はよかったな。ああ永遠に意味のある響く言葉が聞きたい」とミラル。「そうだな」とエルフィール。
エピソード67。
少年がひとり立っている。「金がない。ひもじいよ助けてよ」と少年のレギガス。「すぐに慈善団体に連絡を」とミラル。「待て」とエルフィール。「生きたいか。生き残りたいのか」とエルフィール。「なに言ってるのエルフィール。やめなさいよ」とミラルは叫ぶ。少年は前にでる。「生きたいよ。生き残りたいよ。もっと生きたい。ずっと生きて幸せになりたいよ」と少年。「よっしゃ一緒に生きていこう」とエルフィールたちは少年と歩き出す。
エピソード68。
「彼女を幸せにしたいんです」と彼のレギオース。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。レギオースの愛に幸せになる彼女が見える。「愛の数だけ人は幸せになれる。無数のいろんな愛で彼女を愛した数だけ幸せにしてやんな。愛は幸せ。いつもいつまでも愛して幸せにすること。それが家族だよ」とエルフィール。
エピソード69。
「世界平和になってやる気がでないのね」とミラル。「意欲というものはな。願いなんだ。人の永遠の幸せを願うこと。それが情熱なのさ」とエルフィール。
エピソード70。
少女がいる。「私はイシス。神々の星を探して旅をしています。ここは違うようです。数億年神々の星を探してきました。理屈の前にやさしさがほしい。理屈の前に愛をぶつけて。愛の物語が知りたい。この星もあらゆる研究をして二十年もすれば神々の星となるかも知れません。そしたらまたこの星に立ち寄りますよ」と少女イシスは光りながら空へ飛んでいく。「待っているぜ」とエルフィールたちは旅立つ。
エピソード71。
「なんて現実は強いんだ。人がばたばた死んでいく。助けはこないのか」とらいでん。「情熱の継続は奇跡よ。現実を砕く時まで待ちましょう」とミラル。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。未来への道が開く。「未来の二丁目まで歩いていこう」とエルフィールたちは歩いていく。
エピソード72。
「いまの人は世界平和になってすべてをあきらめてる。夢や志やつまり目標がないんだな」とらいでん。「これができないとか聞くけど、できる人は目標があるんだよ」とエルフィール。「夢を見ようということだね」とジョルディー。「多少妄想じみていてもいい。空想めいていてもいい。夢を見よう」とハイベル。「それが希望というものね」とフィル。シカに食らいつくエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード73。
「エルフィールの目標というか夢はなによ」とミラル。「人類みんなひとりまで幸せにすることだよ」とエルフィール。「それで働いたら負けが心情なんだ」とミラル。「そうだね」とエルフィール。「偉いんだかてきとうなんだか」とミラルは嘆く。「泣かしたら勝ち。単純明快だろ」とエルフィール。「そうかもね」とミラル。一行はシカに食らいつき焚き火にあたる。
エピソード74。
男がドラゴンの前にいる。ドラゴンは暴れている。「奇跡なんておきないんだ。黎明の騎士たちの話などすべてうそっぱちなんだ。なにをしてもなにもできないんだ。もうだめだ。だめなんだよ」と男のレーイルは叫ぶ。「あきらめなければ奇跡は起きる。情熱の継続は奇跡なんだ」とエルフィール。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。周囲は花畑になった。エルフィールたちは歩き出す。
エピソード75。
「なにもかも人は失っていくの。なにも人には残らないというの。なにもかも消えていくのが人生なの。なにもかもなくすのが生きることなの」と少女ライア。「忘れなければ奇跡は起きる。あきらめなければなくすことはない。人は生きる限り奇跡を起こす力をもっているんだ」とエルフィール。一行は旅立つ。
エピソード76。
「私の人生にはなにも奇跡なんて起きなかった。私の人生は奇跡の起きない残念な人生だったのよ」とミラル。「こうしておれたちが出会えた奇跡があるじゃないか」とジョルディー。「そうね。それは奇跡ね」とミラルは涙をぬぐった。
エピソード77。
「できない」と女のセリス。「あらゆる研究していろいろためしていろんなれべる上げていると自然とできるようになるんだよ。それが奇跡のある側面さ」とエルフィール。「奇跡はあきらめなければ必ず起こるわ」とミラル。「そしてれべる上げているといろんな人に神様と呼ばれたりするものさ」とジョルディー。「行動力においては勇気と決断の研究が奇跡を起こす。奇跡を起こそう」とエルフィールたちは歩き出す。
エピソード78。
「決断とは自分しかできないと思うこと」とハイベル。「決断力とは弱い自分をぶったぎること。体の動きとか言葉で弱い自分をぶったぎること。それが決断力となる」とらいでん。「決断とは痛み。決断力とはとても痛いことを受け入れること」とエルフィール。「決断とはより苦しくなることを受け入れること。この決断力あれば行動力は完璧よ。決断できない苦しみほど苦しいものはないからね」とミラル。シカに食らいつくエルフィールたち。焚き火にあたる一行。
エピソード79。
永遠を斬るエルフィール。「奇跡はすべてを蘇らせる」と奇跡。「奇跡だけが人を永遠となす」とエルフィール。「奇跡は人を夢の世界に連れていく」と奇跡。「まだ人は奇跡を知らないのかも知れない」とエルフィール。「人は永遠に挑むときに奇跡を見るだろう」と奇跡。「それが生まれてきた意味ならば奇跡を起こそう」とエルフィール。「奇跡よいま奇跡のなかへ。奇跡に生まれ変わる。いま奇跡に永遠に巡り逢う」と奇跡。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。永遠は久遠「くおん」へと生まれ変わる。
エピソード80。
「世界平和になって苦しみたくないという風潮がある。時代の風潮。時代の空気だよね」とジョルディー。「人を幸せにするにはそれなりにかなり苦しむ必要がある。なんか苦しむ奴はばかじゃないかみたいな感じすら受けるよね」とエルフイール。「テレビも苦しみたくないスタッフが逃げ出してるようなものが多い。決断できなくてあたりまえ決断できないニートをいさめられないなんて嫌な時代ね」とミラル。「決断れべるはいやそもそもれべるは少しずつしかあがらないよ。決断れべる上げるには決断の研究と勇気をタンス殴ってとかね。骨砕かないように」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。
エピソード81。
ドラゴンがいる。「私は冥帝王「めいていおう」ドリューラー。私はどれだけ生きただろう」とドリューラー。「なんだい昔話かい」とエルフィール。「もう寿命なのだ。私はもう死ぬ。どれだけ生きただろう」とドリューラー。倒れるドラゴン。そして動かない。「静かにゆっくり深く眠れ。深く深く眠れ。もっと深く眠れ。その深さに癒される日々よ」とエルフィールたちは歩き出す。
エピソード82。
闇の濁流が洞窟の奥にいる。「すべてを苦しみと暴力に落としいれるために」と闇の濁流。エルフィールの手が光る。「なんだその光りは」と闇の濁流。「これは心の輝きが見えるのだ。心の純粋さが光っている。心の美くしさが光っているんだ。この光りはすべてを浄化する希望の光り。おまえに希望を叩き込む」とエルフィールはジョルディーと光りで斬る。「なんだこのやわらかくあたたかい感覚は。なんてやわらかなやさしさ。なにもかもやわらかく美くしい。なにもかも光っている」と闇は光りとなりそれから千年洞窟を照らしたという。一行は旅立つ。
エピソード83。
「力を出せば力れべるがあがる。力れべるがあがる。するともっと力がでるようになるんだ」とエルフィール。「力をださないほうがれべるはあがらないんだ」とジルディー。「なるへそう」とミラル。エルフィールはシカに食らいつく。一行は焚き火にあたる。
第六十話 生きること家族になること愛になること。
夜。一行は野宿である。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターうまうま」とエルフィール。
「はらいっぱいよ」とミラル。
「生きることはいっぱいいっぱいです」とテア。
「あきらめるなチャンスはある。万策を尽くして奇跡を待て」とエルフィール。
「生きることは戦いです」とフィル。
「生きるテーマこそ人生のテーマです」とクリスティーヌ。
「生きるってずはらしいうぃーひっく」とジョルディー。
「まったくですわうぃーひっと」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「奇跡は化け学つまり魔法によって変化する瞬間のことです」とアドルテア。
「わかります」とミラル。
「レッドドラゴンは生きる象徴たる力」と元の姿になるレッドドラゴン。
「これが生きるということだ」とレッドドラゴン。
「ドラゴンの生きる道。それが力でやす」とバリュウス。
「妖精は自然とともに生きるのが道」と桜。
「幽霊は生きてませんしくしく」とキャル。
「アイタカ生きる道戦いの中」とアイタカ。
「私は剣の技術に生きる道があります」とアルス。
「巨人の生きる道は世界の柱たる力」とりー。
「泳ぐことが人魚の生きる道。魚もとることも生きる道」とクロニア。
「歌うことが生きる道です」とスーザン。
「曲を奏でることが生きる道」とダミエール。
「光りが生きる道」とアーティニー。
「飛ぶことが生きる道」とベネレッタ。
「まったりすごすことが生きる道だもふ」とぱふ。
「小人は生活そのものが自然との調和が生きる道」とネム。
「神に仕えることそれが生きる道」とハイベル。
「化け学による奇跡を本にすることが生きる道」とらいでん。
「金をかせぎお客さんに還元するのが生きる道」とバルディ。
「ギルドのチームワークそれが生きる道」とボルド。
「剣の道。それが生きる道」とカムイ。
「旅。それが生きる道」とエルフィール。
「魔法の探求。それが生きる道」とミラル。
「すべての破壊。それが生きる道」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「神は生きているのではなく存在があるかないかの判定をするための存在なんだ」とヴァルキュリアス。
「力の源。それが生きる道」と力の神。
「太陽は自然に生きるそのもの」と太陽の神。
「自然の調和。それが生きる道」と調和の神。
「時をつむぐいっとき。それが生きる道」と時の神。
「運命。物語が生きる道」運命の神。
「恋愛。愛が生きる道」と恋愛の神。
「魔法。化け学それが生きる道」と魔法の神。
「こんな曲はどうたい」とダミエールに歌うスーザン。
「踊りやしょう」とバルディ。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊り一行は踊り明かす。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はダラス。八十になるのに夢叶わずもがいています。夜もおちおち眠れません」とダラス。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。世界は広く広大でありそこには幾重の次世代がいる。
「わかりました。次の世代に託すことにしたいと思います」一行は旅に出る。
夜。幽霊たちが無数にあらそっている。
「怨霊戦争だ」とヴァルキュリアス。
「おんりょう戦争てなんだ」とエルフィール。
「この世でさまよう霊が力尽きて生まれ変わろうとしてる。最後の力で戦争をしてるんだ」とヴァルキュリアス。
「ぱふ翼になってくれ」とエルフィール。
「ぱふ翼になる」とぱふたちは翼になる。
「エルフィール無茶よ」とミラル。
「やりたいんだ」とエルフィール。
「精神力でうわまわれば勝てる」とヴァルキュリアス、空へと飛ぶエルフィール。
「悪霊を恐れぬ者め罰をあたえん」と霊。エルフィール叩っ斬り霊は生まれ変わる。
「霊を恐れたたえあがめろ愚か者め」と霊。エルフィールは叩き斬り生まれ変わらせる。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。無数の霊が空へと光りとなって生まれ変わっていく。
「祈りでも生まれ変わります」とフィル。
「霊をたたえん」とエルフィール。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアスティー。幽霊です。家族を残して死んでしまって気持ちが残ってしまったのです」とアスティー。アスティーの妻と娘の下へ行く。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「家族を守護するよ」とアスティー。「はい」と妻と娘。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアグト。ダイエットが失敗ばかりで食費も馬鹿になりません」とアクト。
「そういうときの貯金ダイエットです」とフィル。
「必要以上のエネルギーや栄養をとりたくなったらそのための食費を貯金するのです。ここで大事なのはごほうびとして貯金をつかうことです。旅行でもいい、おいしいもの食べてもいい。自分にごほうび。これがポイントです」とフィル。
「成功しました」と後日。一行は旅立つ。
世界中で農作物が育たないことが問題となっていた。大地が動きだす。空へと飛ぶ一行。
「大地の蛇だ」とエルフィール。砕けていく大地の蛇。
「もう朽ちるのだ」と大地の蛇。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。大地の蛇が生まれ変わる。
「大地に恵みを」と大地の蛇。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「娘のマレスが彼と別れるというのです。それがどうも私たちのせいみたいで」と両親。
「彼にとついだら母たちの面倒を見る人がいません。別れます」と娘のマレス。
エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「二人ならばどんな困難も乗り越えていけるよ」と彼。
「別れましょう」と涙するマレス。
「ぼくの両親の面倒は弟が見る。婿養子になるよ」と彼。
「ありがとう」とまた涙するマレス。両親も喜ぶ。家族はひとつになった。
「家族という物語は巡る愛の歌」と運命の神。エルフィールはどこか暗闇を歩いていた。少女がひとり歩いている。
「お父さんだっこ」とダリルにだっこされる少女。
「お母さん今日のごはんなに」と少女。
「おまえの好きなシチューだよ」とフィル。
「おっきくなったらお父さんとお母さんに世界をあげるね」と少女。
「生きることは家族になることだから物語はまた生まれ変わる」と運命の神。
第六十一話 涙と翼と愛と。
夜。一行は野宿である。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターうまいな」とエルフィール。
「はらいっぱいよ」とミラル。
「できるでしょうか」とテア。
「遅いということはない。あきらめるなチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「だめなんです」とテア。
「明けない夜はない。楽しく生きていけばいいさ」とエルフィール。
「楽しく生きていけばですか」とテア。
「楽しく生きていければなんでもいいのさ」とエルフィール。
「自由すぎる。誰かエルフィールを逮捕してえ」とミラル。
「やるべきことよりやりたいことをやるんだ」とエルフィール。
「きーあー自由すぎる。誰かエルフィールをつかまえて」とミラル。
「楽しくなければ生きていけません」とフィル。
「楽しく生きることは生きるテーマです」とクリスティーヌ。
「酒は楽しいなあ」とジョルディー。
「ほんとうにそうですわねえ」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「自然と楽しく生きるテーマが妖精」と桜。
「ドラゴンは毎日が日曜日だ」と元の姿になるレッドドラゴン。
「毎日休日だ楽しいぞ」とレッドドラゴン。
「生きることは楽しいでやすな」とバリュウス。
「楽しいからもうかる。これが商売でやす」とバリュウス。
「経済とは楽しいことですな」とボルド。
「楽しいことは潜在的な力です」とハイベル。
「楽しいことは小人の生きる道さ」とネム。
「生きるとは楽しくなくてはならない。私の家訓です」とらいでん。
「化け学による魔法は楽しい」とアドルテア。
「剣の道は楽しいな」とカムイ。
「アイタカ生きる楽しい」とアイタカ。
「やるべきことはやるそれが生きることだ」とアルス。
「魚をとる食べるこれが楽しく生きることです」とクロニア。
「巨人は大きく生きることが人生です」とりー。
「歌は楽しく生きる秘訣です」とスーザン。
「音楽は楽しく生きる秘訣だ」とダミエール。
「ぱよぱよ楽しい」とぱふ。
「神は存在が楽しいぞ」とヴァルキュリアス。
「力はあがるほど楽しい」と力の神。
「調和あっての楽しさです」と調和の神。
「太陽はあびると楽しいぞ」と太陽の神。
「時過ぎて思い出となる」と時の神。
「破壊は楽しいな」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「物語は楽しくあります」と運命の女神ファルフィーニール。
「恋愛ほど楽しいことはない」と恋愛の女神キャルロット。
「化け学たる魔法ほど楽しいものもない」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「光りは楽しくある」とアーティニー。
「巡る愛が楽しい」とベネレッタ。
「こんな曲はどうたい」とダミエールが弾く。スーザンが歌う。
「踊りやしょう」とバルディ。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。一行は踊る。夜がふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「うわー」と空から男が落ちてくる。
「どうも私はアドルフ。空を飛びたいんです」とアドルフ。
「もっと楽に空を飛べる方法があるんじゃないか」とエルフィール。また空へと作った翼で飛ぶアドルフ。落ちてくる。エルフィールの手が光る。ジョルディーとアドルフを斬る。景色が巡る。アドルフは鷹という鳥に生まれ変わる。
「飛べ」とエルフィール。鳥はどこまでも飛んでいく。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「ぼくはパン。どうして生きるのかわからないんです」とパン。
「生きてればいろいろあるんだよいろいろ。それがおもしろいんじゃないか」とエルフィール。
「生きていてもつらくてつらくて」とパン。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。歴史の幾重の奇跡が見える。
「奇跡を見るために生きていくんですね」とパン。「そうさ。生きることを楽しもうぜ」とエルフィール。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「ぼくはライス。もてないんです」とライス。
「夢がある奴はとてももてる。夢を持て」とエルフィール。
「どうやってですか。夢なんてどうやって見るんですか」とライス。エルフィールの手が光る。
ジョルディーと光りで斬る。無限の夢を持っていた子供のとき。自分のだめさ加減に引き算していく人生。いつのまにか夢など失っていた。いま光りのほうにあるのは道。
「旅に出ます」とライス。一行は旅に出た。
「よおエルフィール」とエルフが街で話しかけてくる。
「ディティー元気だったか」とエルフィール。
「誰だい紹介しろよエルフィール」とジョルディー。
「ダリル様のところで一緒にやっていた仲間のディティーだ。こっちは私のいまの仲間だ」とエルフィール。
「また木を切ってる」と怒り気味のディティー。
「街はしかたないさ」とエルフィール。
「こんな木を切る街などサラマンダー」と攻撃するディティー。燃やし殺す人たち。
「やめてディティー。暴力では夢叶うこと願い叶うこと志叶うことないわ」とエルフィール。
「暴力で変えてやる」とディティー。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りでディティーを斬る。親に教師に先輩に暴力で教育されてきたディティー。腐った権力者に暴力でみせしめしてきた。何人殺したことだろう。どれだけ暴力をふるったことだろう。でもなにも変わりはしない。街には巨大な木があらわれた。
「ご神木として祭ります」と街の人たち。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はマロン。父が私の言葉を信じてくれないんです」とマロン。
「おまえはまだ子供だ信じることはできない」と父。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで父を斬る。
「おとうさん今日こんなことがあったんだよ」と子供のマロン。
「そうかよかったな」と父。
「どうしてだろう子供のときはすべての言葉を信じていたのにすまなかった。信じるよマロン」と父。泣き出すマロン。家族はひとつになった。
「涙なんて絶対に見せない」と少女。
「どうしたい」とエルフィール。
「おじいちゃんとおばあちゃんとおとうさんとおかあさんが死んだの。でも私は生きていくの。泣いちゃだめなんだ」と少女。エルフィールの手が光る。ジョルティーと光りで斬る。涙の連続の子供のときそれでも生きてきた。
「涙は人生の自分へのごほうびなのさ」とエルフィール。泣き出す少女。エルフィールが抱きしめた。
第六十二話 愛は家族の翼。
夜。一行は野宿である。シカにくらいつく一行。
「じゃがバターさいこう」とエルフィール。
「はらいっぱいだわ」とミラル。
「だめなんです」とテア。
「遅いということはない。あきらめるなチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「できるでしょうか」とテア。
「空けない夜はない。なに好きに楽しく生きていけばいいのさ」とエルフィール。
「エルフィールは自由すぎる。誰かつかまえて」とミラル。
「愛があるから支えあう」とらいでん。
「愛があるから酒があるうぃーひっく」とジョルディー。
「そうなんですよ。すべては愛のためにうぃーひっく」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「神は愛をくれます」とハイベル。
「小人だって愛はあるよ」とネム。
「アイタカ愛ある」とアイタカ。
「剣は愛でできています」とアルス。
「愛は金の姿でやす」とバルディ。
「確かに愛あって金は生きています」とボルド。
「道を究めることは愛だ」とカムイ。
「大きさは巨人の愛です」とりー。
「海は生命の愛」とクロニア。
「不思議は愛よ」と桜。
「愛はぱよぱよ」とぱふ。
「愛することが生きること」とクリスティーヌ。
「歌から愛は得られます」とスーザン。
「曲は愛の道」とダミエール。
「愛は魔法。人の感動の涙」とアドルテア。
「愛は光り」とアーティニー。
「愛に巡る命よ」とベネレッタ。
「愛に人生はある」とフィル。
「愛に生まれ愛に生きて愛に死ぬことが物語」と運命の女神ファルフィーニール。
「愛があれば力などいらない」とヴアルキュリアス。
「愛こそ人の神の力だよ」と力の神。
「愛こそ調和」と調和の神。
「愛こそ太陽」と太陽の神。
「時は愛によって巡る」と時の神。
「恋愛は愛の魔法」と恋愛の女神キャルロット。
「愛によって魔法はつづられます」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「愛など破壊してやる」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「さあ踊りやしょう」とバルディ。ダミエールが曲を弾きスーザンが歌う。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。踊る一行。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はライータ。母はいつまでたっても私にだめだしするんです」とライータ。母と会う一行。
「おまえはそこがだめなんだよ」と母。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「おかあさんだめだった」と泣きじゃくる子供の母。
「だいじょうぶだいじょうぶ」と母は抱きしめてくれた。
「大事なものは見えないから見失うことがある」と大事なものの女神フィリアーニーティア。
「おまえもだいじょうぶだよ」と母。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はケン。妻が家に帰ってこないんです」とケン。妻と会う一行。
「私は声優として声で人を助けているのよ。だんなだってそうして救っているわ」と妻。
「やりたいことやってもいいけど家族は一緒に住むものだぞ」とエルフィール。
「声で人は救えるから一緒にすまなくてもいいのよ」と妻。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「おとうさんてなんでも知ってるね。おかあさんおとうさんのどこが好きになったの」と子供の妻。 「いつも一緒にいてくれるからよ」とおかあさん。
「愛は一緒にいること。愛は一緒に過ごす時間から生まれるものだから」と愛の女神ネスティーネ。
「一緒に住むわ」と妻。家族はひとつになった。
女がひとり立っている。
「私は季節の女神ファウグスターニャ。光りをください」とファウグスターニャ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。そして季節は巡る。 「季節は巡り人生は巡り命は巡り愛は巡るものだから」と季節の女神。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はラピス。夢が見つからなくて」とラピス。エルフィールの手が光る。ジョルディーとラピスを斬る。子供のときに土にふれるのが好きだった。植物を育てていた子供のとき。楽しかった。
「わかりました。農家になります」とラピス。一行は旅にでる。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアレスタ。夢がないんです」とアレスタ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。人助けしてる姿の自分がいた。
「はい。慈善団体に入ります」とアレスタ。一行は旅にでる。
夜。野宿である。
「奴隷として拷問を何十年も」とミラル。
「おもしろい話だな」とエルフィール。
「なんてこというのエルフィール」とミラル。
「かわいそうからはなにも幸せは始まりません」とクリスティーヌ。
「つらさ悲しみだって血となり肉となり幸せとなる。人生に幸せに無駄な経験なんてないんだ」とエルフィール。
「物語はいつもハッピーエンドを神に約束されているのです」と運命の女神ファルフィーニール。
「無数の魂を沈めるために鎮魂歌を歌いましょう」とハイベル。歌う一行。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はビッグ。息子が悪さばかりして困っています」とビッグ。
「息子さんに会おう」とエルフィール。
「ばーかばーか」と息子。
「こらどうしておまえはいつもそうなんだ」とビッグ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。友達とうまくいかずひとりぼっち。かまってほしくて悪さをしていた。
「もっとおまえとの時間を作るよ」とビッグと息子は抱きしめあった。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアウグスタ。父はのんだくれてかっこわるいんです。私だってのみますけどこんなきたなくのみませんよ」とアウグスタ。父と会う一行。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。若き日の父はアウグスタのように生きていた。家族ができて働きいつしかくたびれた中年になっていた。
「こんな父ですまないな」と父。
「いいんだもういいんだ」と泣いている親子。家族はひとつになった。
第六十三話 母とおばさんと愛と。
夜。野宿である。シカにくらいつく一行。
「じゃがバターもいいねえ」とエルフィヘル。
「おなかいっぱいです」とミラル。
「幸せになれるでしょうか」とテア。
「遅いということはない。あきらめるな幸せになるチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「できるでしょうか」とテア。
「明けない夜はない。好きに楽しく生きればいいんだ」とエルフィール。
「きーあー自由すぎる。誰かエルフィールをつかまえてえ」とミラル。
「自由万歳うぃーひっく」とジョルディー。
「自由で踊りますうぃーひっく」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「テロリストアタクする人たちの存在を認め原発も認め、金儲けばかり口にするあべ内閣はもううんざりです」とミラル。
「権力者のそういうわがままもこまるなあ」とエルフィール。
「どうやったら幸せになるのでしょうか」とミラル。
「ドラクエにファイナルファンタジーにダークエレメンタラーのオンラインゲームやれば幸せだぜ」とエルフィール。
「はいじん作ってどうするの」とミラル。
「小さく生きるのは幸せだよ」とネム。
「大きく生きることが幸せです」と巨人のリー。
「泳ぐことは幸せです。それと魚釣り」と人魚のクロニア。
「金もうけは幸せでやすな」とバルディ。
「お客様と社員を幸せにするのは幸せです」とボルド。
「剣の道を究めることは幸せです」とカムイ。
「ものつぐりを極めるのは幸せです」とアルス。
「アイタカ食べること幸せ」とアイタカ。
「不思議の意味。それが幸せ。それが存在理由」と桜。
「知識を広め勉強することは幸せです」とらいでん。
「神につかえることは幸せです」とハイベル。
「光りは幸せです」とアーティニー。
「巡る愛は幸せです」とベネレッタ。
「ぱよぱよ幸せ」とぱふ。
「歌うことは幸せです」とスーザン。
「音楽は幸せです」とダミエール。
「生まれ変わることも化け学による魔法であり幸せです」とアドルテア。
「生きることそれが幸せなのです」とフィル。
「神に祝福されること。それが幸せです」とクリスティーヌ。
「旅は幸せです」とキャル。
「神は散在が幸せだよ」とヴァルキュリアス。
「多用なる力がふえていくと幸せだ」と力の神。
「調和が幸せです」と調和の神。
「太陽があること。それによる作物が幸せです」と太陽の神。
「時がすぎることが幸せ。そう思うことが幸せです」と時の神。
「ドラゴンであることが幸せ」と元の姿になるレッドドラゴン。
「これがドラゴンの幸せだ」とレッドドラゴン。
「ドラゴンになってみやせんか幸せでやすよ」とバリュウス。
「季節が巡ることは幸せです」と季節の女神。
「恋愛は幸せです」と恋愛の女神。
「愛は万物の幸せです」と愛の女神。
「大事なことを守ること。それが幸せです」と大事なものの女神。
「物語はとても楽しく幸せです」と運命の女神。
「踊りやしょう」とバルディ。曲を弾くダミエール。歌うスーザン。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。踊る一行。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はレステア。人になに言われても人の目が気になるしなにやってもだめだし無駄なことばかりだしもう結婚も仕事も人生がいきづまってしまって」とレステア。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。巡る人生の中で旅立つ人よ。
「運命は旅によって物語は旅によってハッピーエンドを見るのです」と運命の女神。
「旅に出ます」とレステア。一行は旅にでる。
「おれの人生はなんの価値も意味もなかった」と男がもだえのちうちまわる。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「星の血の一滴となり、星の血となり肉となり、世界の血となり肉となり。愛の血の一滴になった。それが物語」と運命の女神。泣き出す男。一行は旅に出る。
−−エルフィールエルフィール。
と誰かが呼びかける。歩くエルフィール。アーティニーが立っている。
「あなたがさいわいなように」とアーティニー。声がエルフィールを呼ぶ。また歩く。フィルがいる。
「おまえは自慢の娘だよ」とフィル。また声が呼ぶ。歩くエルフィール。びーだまが転がり花火が舞う。ダリルとエルフたちがいる。
「おまえに世界をやろう」とダリル。声が呼ぶ。また歩くエルフィール。ヴァルキャリアスが立っている。
「旅は好きか」とヴァルキュリアス。声が呼ぶ。また歩くエルフィール。ベネレッタが立っている。
「世界はそしてまた巡る」とベネレッタ。声が呼ぶ。また歩くエルフィール。びーだまの雨の中仲間が立っている。
「旅だ。旅がしたいんだ」とエルフィール。
「旅立ちましょう」とミラル。一行は旅立つ。
「時は死ぬ。過去は二度とは戻らない。時は過去になって死ぬ。時が逝く」と時の神。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。巡る世界。
「そして時は巡る。また生まれ変わる時よ」と時の神。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はフィニア。父が怒ってばかりでしかたないんです」とフィニア。父と会う一行。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。子供ができて不安で責任におしつぶされそうである日怒ることでしのいだ。
「いつも怒ってばかりですまない」と父。
「怒ってもいいよ」とフィニア。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はネウラ。娘として母がおばさんくさくて友達に紹介したくないんです」とネウラ。母と会う一行。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。若き日服のセンスもよかった。子育てにおわれ家計が苦しければ働きもした。いつしかおばさんになっていた。
「こんな母でごめんね」と母。
「いいのよ。いいのよもう」と親子抱きしめあって泣きくずれた。家族はひとつになった。
第六十四話 守護神たちの愛に。
夜野宿をする一行。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターさいこう」とエルフィール。
「もうはらいっぱいよ」とミラル。
「ぼくだめなんです」とテア。
「遅いということはない。あきらめるな幸せになるチャンスはある」とエルフィール。
「できるでしょうか」とテア。
「明けない夜はない。なに楽しく好きに生きていけばいいのさ」とエルフィール。
「ぼくだめなんです」とテア。
「旅は悩みをなくしてくれます。旅は幸せになれます。さあ旅にでましょう」とフィル。
「きーあー自由すぎる。誰かエルフィールをつかまえて」とミラル。
「小人の作物の作り方はダイビングみたいに山のぼりみたいに稲を育てるのさ」とネム。
「巨人の作物はみんなでっかいんです。巨人はたくさん食べますからたくさん作ります」とりー。
「人魚は魚を漁をするのよね。海の稲の作物もあるのよ」とクロニア。
「幽霊は死ぬことはないから安心して死んでいられます」とキャル。
「歌っていると幸せの風が吹くんです」とスーザン。
「音楽は奏でるだけ人生が豊かになる」とダミエール。
「剣の道はすべてを教えてくれる。そこに人生の答えがある」とカムイ。
「光りはすべてを奇跡を人はできるのです」とアーティニー。
「巡る世界。巡る人生。巡る時。それは幸せの物語」とベネレッタ。
「アイタカ走る幸せ。アイタカ食べる幸せ」とアイタカ。
「技術を高めることは幸せです」とアルス。
「不思議を探求することが妖精の幸せよ」と桜。
「どう化けるか魔法を探求することが幸せです」とアドルテア。
「神に祈り。人々のために祈ることが幸せです」とハイベル。
「神のために働くことが幸せです」とクリスティーヌ。
「金儲けは幸せでやすな」とバルディ。
「金を社員にお客様に還元することが幸せです」とボルド。
「酒を飲むと幸せだ」とジョルディー。
「いえーいかんぱーい」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「話し合うことが幸せです」とフィル。
「知識の探求研究は幸せです」とらいでん。
「旅は永遠の物語」と運命の女神ファルフィーニール。
「季節が巡ることが奇跡であり幸せなのです」と季節の女神ファウグスターニャ。
「恋愛はせつなさいとしさ永遠の巡りあいを歌う幸せ」と恋愛の女神キャルロット。
「ドラゴンは幸せの象徴なのだ」と元の姿になるレッドドラゴン。
「これが幸せだ」とレッドドラゴン。
「微力ながらみなさんを幸せにするでやす」とバリュウス。
「神は人々の幸せさ」とヴァルキュリアス。
「愛は永遠の幸せを歌うのです」と愛の女神ネスティーネ。
「時は巡る歌のように人の幸せの場なのです」と時の神。
「睡眠力に馬力など力こそが人を幸せにするのさ」と力の神。
「精神の調和。それが幸せ」と調和の神。
「化け学たる魔法が人を幸せにして巡る命すら魔法なのです」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「太陽によって命は生まれました。いまも作物はそうです。それが幸せ」と太陽の神。
「破壊こそが幸せさ」と魔王は笑う。
「させるか」とエルフィール。
「さあ踊りやしょう」とバルディ。スーザンが歌いダミエールが曲を弾きカーバンクルとベネレッタが鳴き一行は踊る。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はガンダ。息子が尊敬してくれないんです」とガンダ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。子供育てる教師や親。食べ物を作る人。お話を作る人。
「ものづくりすることで尊敬は得ることができるのです」とヴァルキュリアス。
「お父さんがこの家作ったんだぞ」とガンダ。
「おとうさんすごいね」と息子。一行は旅にでる。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はレステア。息子が私を信じてくれなくて仲間もふえません」とレステア。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。犯罪を見ていて人が信じられなくなっていった。仲間に裏切られて人を信じられなくなっていった。いつからだろう。まず人を疑うことから始めるようになっていた。
「人を信じた分だけ絆となり信頼となり結束力となります。だました分だけ仲間は消えていきます。人の言葉を信じなさい。そうすれば自然と仲間はふえていくでしょう」と愛の女神。
「おとうさん今日こんなことがあったんだよ」と息子。
「そうか信じるよ」とレステア。一行は旅立つ。
「物語だって」とエルフィール。
「物語は人の人生というものは心の血となり肉となります」と運命の女神ファルフィーニール。
「夢とかあいまいだよな」とエルフィール。
「そんな時にテーマです。人生の主旋律や命をかけた命題という意味あいですね。たとえばダークエレメンタラーのテーマは旅や純愛や家族神話というものです。それを主旋律に描きだす世界なのです」と運命の女神ファルフィーニール。
「テーマねえ」とエルフィール。
「運命には物語にはテーマが必要でありそれがあると運命も物語もまたハッピーエンドを迎えることができるのです」と運命の女神ファルフィーニール。
「わかったよ」とエルフィールは焚き火にあたる。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はグスタ。結婚しょうとすると仕事しょうとすると生きようとすると苦しくてしかたないんです」とグスタ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。花が一年に一回だけ花開く。
「花はたった一回咲くために苦しみもがきしのぐのです。苦しみの中開く愛の花。それが人生であり生きることなのです。さああなたも物語を花開きなさい」と運命の女神。
「生きていきます」とグスタ。
「依頼だ」とショルディー。
「私はカーディガン。父が話してくれないんです」とカーディガン。父と会う一行。
「おまえはもう大人だ。一人前なんだ話すことなんかない」と父。エルフィールの手が光る。ジョルディーと斬る。父の父ははやくに亡くなり仲間にアドバイスをもらって生きてきた。決して一人ではなかった父。
「わかった話しをするよ」と父。抱き合う親子。家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はラウンド。人を救うために時を止めたいと思うのです。時が止まればみんな救われます」とラウンド。魔法陣がある。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「いま時が止まる」とラウンド。魔法陣の中にいるラウンドは結晶となって止まっている。
「時は彼の時だけ止めた。彼の願いを私は叶える」と時の神。
「人を救う直前を永遠に描く物語よ」と運命の女神ファルフィーニール。一行は旅立つ。
「何者だ」と男。
「何者って旅人さ」とエルフィール。
「村を狙ってのことか」と剣を抜く男。ジョルディーと斬りあう。
「魔法の剣か。どういうことだ」とエルフィール。
「この男は守護神としてガーディアンを神に命じられ村を守ってきた。だが村はすたれなくなりそれでも村を守ってきた」とヴァルキュリアス。
「みんなの笑顔を守るんだ」とガーディアン。
「もう力尽きようとしている物語はどのように結末を見るのでしょうか」と運命の神ファルフィーニール。エルフィールの手が光る。ジョルディーとガーディアンを斬る。星になるガーディアン。
「そこで人々を見守っていてくれ」とエルフィール。
「なにがしたいですか」とミラル。
「旅がしたい旅にでたい。世界は広大だ」とエルフィールたちは旅立つ。
第六十五話 星と愛と旅立つ空に。
夜に野宿する一行。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターさいこう」とエルフィール。
「はらいっぱいよ」とミラル。
「ぼくだめなんです」とテア。
「遅いということはない。あきらめるな幸せになるチャンスはある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「でもだめなんです」とテア。
「明けない夜はない。なに好きに楽しく生きていけばいいのさ」とエルフィール。
「きーあー自由すぎるエルフィールを誰かつかまえて」とミラル。
「将来が不安で」とテア。
「旅にでれば不安は消えますよ」とフィル。
「でも不安で」とテア。
「だいじょうぶ。絶対大丈夫だ」とエルフィール。
「私たちの力ならば絶対大丈夫よ」とミラル。
「酒があれば絶対大丈夫だうぃーひっく」とジョルディー。
「私たちも絶対大丈夫ようぃーひっく」とアムネスタ。
「魔法の化け学変化があれば絶対大丈夫ですぞ」とアドルテア。
「剣の力があれば絶対大丈夫だ」とカムイ。
「小さい幸せがあれば絶対大丈夫だ」とネム。
「妖精の植物の作物の息吹があれば絶対大丈夫よ」と桜。
「技術があれば絶対大丈夫ですよ」とアルス。
「歌があれば絶対大丈夫ですよ」とスーザン。
「音楽があれば絶対大丈夫ですよ」とダミエール。
「神がいること。それが絶対大丈夫なのです」とハイベル。
「金があれば絶対大丈夫でやすよ」とバルディ。
「商売があれば絶対大丈夫です」とボルド。
「アイタカ腹いっぱい。絶対大丈夫」とアイタカ。
「愛があること。それが絶対大丈夫なのです」とフィル。
「学問や知識があることそれが絶対大丈夫なのです」とらいでん。
「でかいことがあること。それが絶対大丈夫なのです」と巨人のリー。
「水の恵み。それが絶対大丈夫なのです」と人魚のクロニア。
「奇跡があること。それが絶対大丈夫なのです」とクリスティーヌ。
「生まれ変わることそれが絶対大丈夫なのです」とキャル。
「ぱよぱよ絶対大丈夫」とぱふ。
「ドラゴンの力それが絶対大丈夫だ」とレッドドラゴンは元の姿に戻る。
「これが力であり絶対大丈夫な姿だ」とレッドドラゴン。
「へいあっしたちがいれば絶対大丈夫でやすよ」とバリュウス。
「神の力。それが奇跡。人の願い。それが奇跡。神の人の奇跡は起き続けている。だから絶対大丈夫だ」とヴァルキュリアス。
「睡眠力に勉強の力。力があれば絶対大丈夫だ」と力の神。
「太陽があるかぎり絶対大丈夫だ」と太陽の神。
「時があれば絶対大丈夫です」と時の神。
「愛による調和。平和があれば絶対大丈夫です」と調和の神。
「すべていためつけて破壊してやるから絶対大丈夫だぜ」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「運命はその物語は奇跡によって祝福されるのです。だから絶対大丈夫です」と運命の女神ファルフィーニール。
「恋愛してるとなんとかなるものです。だから絶対大丈夫です」と恋愛の女神キャルロット。
「魔法による化け学はすべてを幸せ変化させます。だから絶対大丈夫です」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「季節が巡る命が巡る。だから絶対大丈夫です」と季節の女神ファウグスターニャ。
「大事なものを守ること。それが絶対大丈夫です」と大事なものの女神フィリアーニーティア。
「愛があれば助け合いかあれば支えあいがあれば絶対大丈夫です」と愛の女神ネスティーネ。
「奇跡は起こせます。だから絶対大丈夫です」とアーティニー。
「空を飛べるかぎり絶対大丈夫よ」とベネレッタ。
「踊りやしょう」とバルディがみんなが踊る。スーザンが歌うダミエールが演奏する。小鳥たるベネレッタが踊りカーバンクルが舞う。夜はふけていく。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はクレスタ。私を殺してほしいの」とクレスタ。
「どうして自殺するんだい」とエルフィール。
「助け合う人ひとり、支えあう人ひとりいない私には生きていてもしかたないのよ」とクレスタ。
「もう支えあってるじゃないか」とエルフィール。
「誰とよ。誰もいないじゃないの」とクレスタ。
「地球と支えあっているじゃないか」とエルフィール。
「地球と力をあわせ命は生きているのです」とフィル。ひとしきり泣くクレスタ。
「わかったわ生きていくわ」とクレスタと別れ一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はゆい。彼が死ぬんです」とゆい。
「彼と会おう」とエルフィール。
「天使がもう私を迎えに来たのです」と彼。
「死なないで。えーぶいでろっていうならでるからヌードになれっていうならなるから」とゆい。
「寿命なんだ」と彼。
「天国に愛の星に地球にどの世界どの時代。幾世巡っても出会いと別れは宇宙の法則。神の意思なのです。絶対です」と運命の女神ファルフィーニール。
「天使が来た。それじゃまた巡ろう。またね」と彼は天使と空へと飛んでいく。そしてゆいだけが残された。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りでゆいを斬る。ゆいの指輪が星となった。
「巡りあう時。あの星が二人を導くだろう」とエルフィール。ゆいは泣きくずれた。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアリテ。妖精ですが仲間のみんなが春になっても目覚めないんです」とアリテ。花園にやってくるエルフィールたち。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。数億のつぼみが開いて花から数億の妖精たちが目覚める。
「ありがとう。これでみんな春を満喫できるわ」とアリテ。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はユクテ。夢もなにをやってもだめで悩み不安な日々を暮らしているのです」とユクテ。
「旅がおすすめです。旅は夢が叶い自分に自信ができてきます。旅に出ること。それが幸せへの道なのです」とフィル。
「運命は物語は旅によって新らしい選択を見つけることができるのです」と運命の女神ファルフィーニール。
「旅にでます」とユクテ。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私は希望の神。希望の矢がなくてこの世界には希望の光りがないのです」と希望の神。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。光りの矢が出る。
「矢を放ちます」と矢を放つ希望の神。
「政治が不透明で」と人々。
「生活にいきづまっていて」と人々。
「恋愛にいきづまっていて」と人々。
「子育てにいきづまっていて」と人々。
「人間関係にいきづまっていて」と人々。
「夢にいきづまっていて」と人々。
「一緒に住めなくて」と人々。
「暗中模索でも明けない夜はない」と希望の矢が人々の心に届く。一行は旅に出る。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はグレイユ。妻が帰ってこないんです」とグレイユ。妻に会う。
「彼には会いたいわよ。でも子供の面倒もあるしなんか勇気もでないし。あなたに恋愛なんてわからないわ。私たちの問題よ」と妻。
「お互い会いたいのに会わない。子供もいるんだ一緒に住めよ」とエルフィール。
「なんか気持ちがねわかんないのよ。そうできないのよ。これはデリケートな問題なのよ」と妻。
「家族は一緒に住むもんだ。まだ好きあってるならなおのことな。現実から逃げて人の親語ってるんじゃねえ。自分と戦え。家族の道を斬り開け」と首元つかんでエルフィールが叫ぶ。
「私はだめな人間なのよ。できないのよ。自分が弱くて。現実に自分に絶望してるのよ」と妻。エルフィールは妻をひきずっていく。
「いたいいたい」と妻。彼の元へと連れていく。
「愛してる。永遠を巡りあおう」と彼は抱きしめる。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんさいごめんなさいごめんなさい」と妻が泣きじゃくる。
「希望を失うとなにもできなくなり幸せになることをあきらめてしまいます。あきらめないことが希望こそが幸せの力なのです」と希望の神。
「生きるっていたいことなのさ。でも二人ならば支えあって生きていけるものさ」とエルフィール。一行は旅に出る。
「ルーイ畑助かるよ」と男。少年が畑作業をやってる。
「ルーイが来てからうちにはいいことだらけだ。でも口が利けないんだね。かわいそうに」と婆。
ある日ルーイの前にエルフィールたちがいる。
「運命はそして物語はどういう結末を見るのでしょうか」と運命の女神ファルフィーニール。
「探したぜ」とエルフィールの後ろには月の子。
「さあ行こう」と月の子。空へと飛び出すルーイとエルフィールたち。
「ルーイ」と家族。
「ありがとう」とルーイは月へと飛んで行く。
エルフィールが眠ってしまっておきない。
ーージョルディージョルディー。
女の子が呼ぶ。エルフィールの前で倒れるジョルディー。どこか青くて草原の中にいるジョルディー。向こうから女の子が歩いてくる。
「あたしね不安なの。あなたは人間だから先に死ぬじゃないの」と女の子。
「死んだら小鳥にでも生まれ変わってきみのまわりを歌い踊ろう」とジョルディー。
「不安でずっと眠っていたいの」と女の子。
「不安と友達になろう。不安を仲間にすること。それが勇気だ。そして勇気があれば出会いがありいつも一緒にいられるんだ」とジョルディー。
「何度巡り会っても一緒にいるの」と女の子。
「そうだ。その絆こそが愛という指輪なんだ」とジョルディー。
「うんわかったおきるね」と女の子。ジョルディーとエルフィールは目覚める。
「いつも一緒だ」とジョルディー。
「ああいつも一緒だ」とエルフィールとキスするジョルディー。二人は夜空を見上げていた。
なかがき。
ちょっといま結婚に向けてあわただしいので途中からアップしていきます。実は生きるのにたいへん苦労しています。嫁がほしい。でもいない。そんなとき。こんなだめな自分でも生きることができるのか。そんなことをダーエレではテーマにしたい今です。ダーエレを読み返すと発見もあります。ダーエレのアニメも作っているのでそちらもどうぞ。いましばらくおつきあいいただければさいわいです。でわまた。
第六十六話 家族やもうひとりの自分と愛をかわす日。
夜野宿する一行。シカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターうめえ」とエルフィール。
「もうはらいっぱい」とミラル。
「ぼくだめなんです」とテア。
「遅いということはない。あきらめるな幸せになるチャンスはある」とエルフィール。
「チャンスなんてあるんでしょうか」とテア。
「毎日可能性はある。毎日チャンスはある。なに好きに自由に生きていけばいいのさ」とエルフィール。
「きーあー自由すぎる誰かエルフィールをつかまえて」とミラル。
「不安で」とテア。
「暗中模索でも明けない夜はない」と希望の神。
「将来が不安で」とテア。
「旅は悩みをなくし夢を大きくします。旅をしましょう」とフィル。
「さみしいんです」とテア。
「万物はひとつてす。みんなひとつなのです」と大事なものの女神。
「さみしいんです」とテア。
「誰もが持ってる愛はひとづです。同じ愛をみんなは分け合ってるのです」と愛の女神。
「人なんて信じられない」とテア。
「人を信じてこそ人は幸せになるのです」とフィル。
「酒は幸せさうぃーひっく」とジョルディー。
「まったくですわうぃーひっく」とアムネスタ。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「愛を深めていくこと。際限なく愛を深めていくこと。それが幸せなのです」とクリスティーヌ。
「万物に愛はある。どんなところが愛か探すこと。それが幸せだ」とジョルディー。
「人を愛していくこと。誰でも愛していくこと。それが幸せなのです」とアムネスタ。
「小人の愛は小さくても幸せは大きくある」とネム。
「金は幸せになるでやす」とバルディ。
「ギルドでの努力は幸せになる」とボルド。
「魔法の化け学は幸せになります」とミラル。
「神への愛は幸せになります」とハイベル。
「学問知識勉強は幸せになります」とらいでん。
「剣の道は幸せとなる」とカムイ。
「魔法の化け学は幸せに化けます」とアドルテア。
「巨大な建造物は幸せになる」と巨人のリー。
「泳ぐこと魚釣りは幸せです」と人魚のクロニア。
「奇跡は幸せです」とアーティニー。
「巡り逢いは幸せです」とベネレッタ。
「作物を育てることは幸せよ」と妖精の桜。
「歌うこと歌を聴くことは幸せです」とスーザン。
「音楽は奏でること聞くこと幸せです」とダミエール。
「アイタカ食べる幸せ」とアイタカ。
「技術を極めること。それが幸せです」とアルス。
「ぱふ生きる幸せ」とぱふ。
「おねえさまと一緒に旅をすること。それが幸せです」とキャル。
「神は存在が幸せなのだ」とヴァルキュリアス。
「睡眠力化け学は力。力は幸せだ」と力の神。
「平和。調和こそが幸せなのてす」と調和の神。
「太陽が作物を育てる。それが幸せ」と太陽の神。
「過去現在未来。時こそ幸せなのてす」と時の神。
「これが幸せの姿だ」とレッドドラゴンは元の姿に戻る。
「ドラゴンこそ幸せ」とレットドラゴン。
「ドラゴンは幸せな存在でやす」とバリュウス。
「すべての破壊それが幸せ」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「運命。物語の結末。それが幸せなのです」と運命の女神ファルフィーニール。
「好きな気持ちこそ幸せです」と恋愛の女神キャルロット。
「魔法による化け学こそ幸せです」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「季節の巡り逢いそれが幸せです」と季節の女神ファウグスターニャ。
「大事なものを守ること。それが幸せです」と大事なものの女神フィリアーニーティア。
「愛を愛すこと。それが幸せです」と愛の女神ネスティーネ。
「踊りやしょう」とバルディ。スーザンが歌いダミエールが演奏する。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。みんな踊っていた。夜はふけていく。
天使メルフィルが歩いている。
「どうしたなんか変だぞ」とエルフィール。
「天使の病気よ。死ぬかつまりは悪魔にでもなり果てるのよ」とメルフィル。
「まあまあいいじゃないか」とエルフィール。
「うるさい」とバリュウスが吹っ飛んでいく。
「おまえ結構強いのな」とエルフィールの手が光る。ジョルディーと光りでメルフィルを斬る。生まれ変わるメルフィル。
「ありがとさん」とメルフィルは元気に飛び立つ。
女が立っている。
「誰だい」とエルフィール。
「幸せの女神です」と幸せの女神。
「幸せにしてくれ」と男が幸せの女神にしがみつく。
「苦しんだ分だけ人は幸せになるのです。それが運命です」と幸せの女神。
「うっうっうっ」と男は泣く。
「もう幸せになるだいぶ幸せになるそして幸せになるよ。あなたを幸せにするまで私は死にません」と幸せの女神。男は泣き崩れた。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアガト。妻が帰ってこないんです」とアガト。
「会おう」とエルフィール。嫁と会う一行。
「父と母のことは感謝している。いま一緒にいじめ殺しをなくし犯罪をなくし貧困撲滅しょう。ラブラブもしょう。二人ならば絶対大丈夫だ。永遠に続く奇跡をおこそう」とアガト。
「いやよ」と妻。
「一緒に住み一緒に生きよう。直接手を支えあい生きていこう」とアガト。
「いやいやいやいやいやいやよ」と妻。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで嫁を斬る。巡り逢う世界でまた過ごす日々。愛という永遠の誓いたる指輪が空に輝く。
「一緒に生きていこう」と嫁はアガトと手をつないだ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はセイル。妻は犯罪者に殺されてしまいました」とセイル。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。天国が開き妻がいる。
「私だけ天国で幸せになっちゃってごめんね」と妻。
「私も天国へ連れていってくれ。お願いだ頼むよ」とセイル。
「まだね神様が巡り会うにははやいって。ねえあなたの水の一滴を助けるからね。いつも見守ってるわ」と妻。
「頼む殺してくれ」とセイル。
「愛をあなたに」と妻は天国しまる。泣き崩れるセイル。
「生きろ。それが運命だ」とエルフィール一行は旅立つ。
「たかしが百億ダーエレひろったそうだ」と男。
「家族を作ろう。金をやるぞ。ぎぐごおまえはおねえちゃんだ」とたかし。
「でも年は十七ですよ」とぎぐご。
「そこまで年ごまかせばたいしたもんだほれ百万やるぞぎぐご。それから自称アイドルの男にみつがせてるごとうゆぶこほれ百万やるぞ」とたかし。
「たか気前いいな」と男。
「けみゆうおまえは父親だほれ百万。ひたかおまえは母親だほれ百万やるぞ」とたかし。
「たかって子供いるんだよな」とけみゆう。
「林っぱらっという嫁に子供が二人な。縁をきられて子供にも合わせてくれないんだ」とたかし。
「それじゃなんかくってくるか」とけみゆう。
「だめだ。家族は一緒に食事するもんだもう百万みんなにやるから一緒にくおうな」とたかし。
「食事はとったさあ遊びにいこう」とけみゆう。
「だめだ家族は一緒にねるんだ」とたかし。
「えー」とごとう。
「もう百万やるからな文句いうな」とたかし。翌日。
「もうこれまでだ」とけみゆう。
「金ならいくらでもあるんだ家族しょう」とたかし。
「たかおまえにあるのは金だけだ。それいがいなにもない」とみんな去っていく。
「依頼だ」とジョルディー。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りでたかしを斬る。みんなの心に言葉が届く。愛してる。一緒に住もう。みんな帰ってくる。
「あんたに愛があったんだね」とぎぐご。
「私も愛してやってもいいわ」とごとう。
「なあたか家族っていいかもな」とけみゆう。
「一緒にいよう」と家族はひとつになる。
「おまえは堕落した」ともう一人のアムネスタが剣を構える。
「アルス剣をかして。ジョルディーに教わった剣術がつかえるね」とジョルディーにウインクするアムネスタ。斬りあうアムネスタともう一人のアムネスタ。斬り裂かれ血を流すアムネスタ。
「とめなくちゃ」とエルフィールをとめるジョルディー。
「彼女自身の問題なんだ。彼女の答えを聞きたい」とジョルディー。アムネスタがもう一人のアムネスタの剣をはじく。
「父王様を母王様を殺されたのだ。何故黙っているアムネスタ。おまえは堕落したんだ」ともう一人のアムネスタ。
「殺し合いではなく愛しあいたい」とアムネスタはもう一人のアムネスタを抱きしめる。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。アムネスタは一人になる。
「どちらが残った」とエルフィール。
「愛です」とアムネスタは笑った。
なかがき。
ダークエレメンタラーの演劇ラジオドラマテレビドラマ映画アニメゲーム漫画歌音楽朗読を展開してください。劇場がなければ青空の下の演劇でかまいません。売り上げはグッズであげてください。もちろんけた違いにもうけるので多過ぎる分については国の発展のためになるとこに人助けになるとこに寄付してください。貧困国にも劇団を作る支援を願います。執筆代金はそんなにおおくなくてかまわないので喜久子おねえちゃんにおはらいください。この世界が天国になるまで。ではまた。
第六十七話 循環する愛と巡り逢う人。
夜。焚き火でシカを焼いてくらいつく。
「じゃがバターうまい」とエルフィール。
「はらいっぱいよ」とミラル。
「将来のことが不安なんです」とテア。
「旅は不安や悩みをなくして人を幸せにします。旅にでましょう」とフィル。
「人生の目標。それが夢だ。遅いということはない。夢をあきらめるな。幸せになるチャンスは必ずある。万策を尽くして天命を待て」とエルフィール。
「自分の物語を夢をとおして楽しむこと。それが幸せなのです」と幸せの女神。
「心が不安で」とテア。
「心は水だ。にごってくると不安や悩みや自殺となる。旅や話しあいで水は循環してすんだ水になる。すんだ水は幸せとなる。心は水。雪にだって雨にだって川にだって大海にだってなるんだ」とエルフィール。
「歌を聴くと水が循環するという人もいます。物語やまあいろいろと水を循環させる方法はあるのですが」とミラル。
「おもしろいこと。おいしいこと。やりがいがあることなどが水を循環させますね。まあ楽しさというか感動が水を循環ざせるということでしょうね」とフィル。
「人の神の愛を感じたとき感動となり水は循環するのです」と愛の女神。
「にごった水は犯罪となったりいじめとなったりひきこもりとなったりします。思いつめれば水はこおりつき人をも殺す頑固さ根性となり騎士道精神や武士道精神になります。いつでも循環できる腕前になれば変幻自在に雪にでも雨にもなれできないことはなくなります」とヴァルキュリアス。
「私は漫画にダーエレ読むことで循環するな」とジョルディー。
「神への祈りで循環します」とハイベル。
「山登りやマラソンで循環するな」とエルフィール。
「知識を知ることで循環するな」とらいでん。
「商売で循環しやす」とバルディ。
「技術を向上させると循環します」とアルス。
「歌っていると循環します」とスーザン。
「音楽聴いたり奏でると循環します」とダミエール。
「私は酒を飲みながらジョルディーと話していると循環しますうぃーひっく」とアムネスタ。
「酒は万能薬だようぃーひっく」とジョルディー。
「この酔っ払いどもが」とミラル。
「人を幸せにしてる実感が循環するんだ」とエルフィール。
「ときどきあんた見直すわ。ときどきよ」とミラル。
「自分でも他人でも幸せの実感が循環するんです」とテア。
「それが人としての道です。私もおなじですよ」とフィル。
「人を愛してるとき循環します」とアーティニー。
「バルディを愛してるとき循環するわ」とベネレッタ。
「あっしもでやす」とバルディ。
「お客様は神様ですこれがいい」とボルド。
「剣の道を究めること」とカムイ。
「お姉さまのそばにいること」とキャル。
「木々や花と生きること」と桜。
「アイタカめし循環」とアシタカ。
「獣はこれだからきたない」とアルス。
「私の名前はヒュッポティーニアです」と幸せの女神。
「化け学の魔法を研究することです」とアドルテア。
「大きな存在を感じるとき」と巨人のリー。
「泳ぐとき魚つるとき」と人魚のクロニア。
「神に仕えること」とクリスティーヌ。
「ぱふ寝ること」とぱふ。
「みんなといること」と小人のネム。
「神は奇跡で循環する」とヴァルキュリアス。
「力で循環する」と力の神。
「調和で循環する」と調和の神。
「太陽は燃えて循環する」と太陽の神。
「時は巡ります」と時の神。
「ドラゴンは存在が循環なのだよ」とレッドドラゴンは元の姿になる。
「これが循環だ」とレッドドラゴン。
「そうでやすなあんたらと旅ですかいな」とバリュウス。
「人殺し」と魔王。
「させるか」とエルフィール。
「巡り逢い」と運命の女神ファルフィーニール。
「好き嫌い恋愛」と恋愛の女神キャルロット。
「魔法による化け学変化」と魔法の女神ティックネアティーネ。
「季節の巡り逢い」と季節の女神ファウグスターニャ。
「家族が幸せであること」と大事なものの女神フィリフーニーティア。
「愛による巡り逢い」と愛の女神ネスティーネ。
「踊りやしょう」とバルディ。スーザンが歌いダミエールが演奏する。カーバンクルとベネレッタが鳴き踊る。みんな踊っていた。夜はふけていく。
「雪女だ」とヴァルキュリアス。
「うちは雪の国の女王ゆきめ。雪がつかえないいんや」とゆきめ。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。吹雪く。
「絶好調や」とゆきめ。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「まだ子供じゃないの」とミラル。
「アネルねおこづかい」と少女。
「子供のこづかいじゃない」とミラル。
「立派なお客様さ。それで話を聞こう」とエルフィール。「エルフィール。あんたってときどきすごいと思うわ。ときどきよ」とミラル。
「パパとママがね家庭内別居中で離婚状態なの。毎日の会話も台本通り同じなの。むししあってるの」とアネル。
「話しあおう」とエルフィール。父と母に会う。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。若き日愛を語りあった。いつのまにか愛は日々の生活の中に消えていた。
「むししあいより愛しあおう」と二人は抱きしめあう。一行は旅立つ。
草原に人の骨と剣がある。剣を手に取るエルフィール。
「そういうの心が薄汚くてよ」とミラル。
「でんでろでんでろエルフィールは呪われた」と剣が刃が振動して言葉にする。
「なんだってんだい」とエルフィール。エルフィールはジョルディーに斬りかかる。応戦するジョルディー。
「血だ。血が見たいんだ」と剣。ジョルディーが傷つき血を流す。
「精霊王よ」とエルフィール。一帯に精霊王が降臨してすごい圧力でみんな立っていられない。エルフィールだけが立っている。
「エルフィール」とミラルが叫ぶ。すべては闇に包まれた。
子供のときダリルはいつも面倒を見てくれた。
「エルフィール。世界は広大だ。世界をおまえに残したいんだ」とダリル。
「もらうね世界」と少女のエルフィールは笑った。剣は岩に突き刺さっている。
「なんとかなったな」とジョルディー。後日また剣をひろうエルフィール。
「でんでろでんでろエルフィールは呪われた」と剣。
「あんたには学習能力がないのかーい」とミラルが叫ぶ。ちゃんちゃん。
エルフィールたちは歩いている。石の巨人ゴーレムが数億戦っている。
「戦争だ」とジョルディー。
「違います。ゴーレムが暴走してるんです。このままでは民家もあぶない。黎明の騎士よ頼みます」と女の魔法使い。精霊をまとい戦うエルフィールたち。エルフィールがゴーレムの腕を砕く。とゴーレムに吹っ飛ばされるエルフィール。血を吐くエルフィール。
「こんなの無茶よ」とミラル。
「やりたいんだ。バリュウス。レッドドラゴン」と叫ぶエルフィール。レッドドラゴンやバリュウスの口炎が踊る。しっぽ攻撃でゴーレムを砕く。だがあまりの数に追い詰められるエルフィール。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。ゴーレムは土に戻りひとつの大きな山になった。 「静かに眠れ」とエルフィール一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はアニス。うちは冷戦家族なんです」と少女。
「冷戦家族ってなんだ」とエルフィール。
「父と連絡ひとつとってはいけない家族なんです。話しあい禁止なんです。家族のことを愛してる人のいうことを信じない家族なんです」とアニス。
「話し合おう」とエルフィール。一行は母に会う。
「一緒には住みたいのよ。ただ気持ちがかたまらないのよ」と母。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。旦那を愛していたがいくさのなか連絡すらゆるされぬ日々。いつしかあきらめていた。
「愛するとは信じることなのです」と愛の女神。
「運命はあらがうものではありません。運命とは自分で選び受け入れるものなのです。幸せな家庭を築きなさい」と運命の女神。
「愛しあってる人と一緒に過ごす幸せ。それが人としてあるべき幸せの姿なのです」と幸せの女神。
「家族なんてものは機械ごしじゃない。もっと抱きしめあうものさ。直接愛しあえ。幸せにしあえ。二人ならできる。家族は直接つながる絆なのさ」とエルフィール。
「過去はすべて忘れて一緒に未来に生きなさい」とフィル。
「一方的な関係でなく支えあえば家庭は天国になれます」とジョルディー。
「にごった水の家庭は子供も不幸です。家族の水を循環させるためには毎日愛してると言葉にして抱きしめあうことです。毎日話しあい愛を確かめ合うことで水は循環して子供も安心して暮らすことができるのです。一緒に住み暮らすことはなによりも水を循環させます。話しあわなければ台本やうそで固めた不幸な家族のできあがりです。一緒に暮らし幸せな家庭を築いていきなさい。相手の言葉を信じること。それが家族です。信じること。それが愛です。愛しあいなさい。もう一人の部屋とはさよならしなくてはいけません。一緒に住み幸せな時を築きなさい」と幸せの女神。
「ひさしぶり。ずっと待っていたよ。永遠に巡り逢おう。幸せにしあおう。これからずっと一緒だ。永遠に」と父と会ってる母と子。愛を言葉にして抱きしめあい家族はひとつになった。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はけん。妻が会ってくれないんです」とけん。
「話し合おう」とエルフィールたちは妻と会う。
「あなた世界平和での戦いで両親をなくしさんざんいためつけられ差別されたじゃないの。貧困撲滅とか犯罪撲滅に参加したら私も両親殺されるかも。どんないたみかいやよ楽に生きたい」と妻。エルフィールの手が光る。ジョルデ」−と光りで斬る。ありがとうが永遠に響いている。永遠にみんながありがとうといってる。
「永遠に感謝されるなんていいかもね」と抱きしめあう二人。一行は旅立つ。
廃墟に人が建物を作ってる。
「ここは街だったはずだろ」とエルフィール。
「私はグニス。独裁者に我慢できなくて武力革命をしたんだ。見ての通り人は死に廃墟だけが残った」とグニス。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。天国から人々が立っている。 「みんな」とグニス。
「おまえたちの子供として生まれ変わるよ。国を復興しょう」とみんな。グニスは泣き崩れた。
遺跡を調べている一行。エルフィールの前の壁に文様がある。
「精霊陣だ」とエルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。
「ただいま」とダリル。
「おかえりなさいパパ」と子供のエルフィール。
「おかえりなさいあなた」とフィル。
冥界でいまはひとりのダリル。そこにエルフィールとジョルディーが出てくる。
「おかえりエルフィール。死んだのかな」とダリル。
「ただいま。まだ生きてるんだ。これがあいかたのジョルディー」とエルフィール。三人は話しあう。エルフィールたちが光りに包まれる。
「またね」とエルフィール。
「いつでも帰ってきなさい」とダリル。声が響いている。幾千のただいまとおかえりの声。
「ジョルディーなぜ抱きしめる」とエルフィール。
「エルフィールの涙が止まるまで」とジョルディー。
「ねえただいま」とエルフィール。
「おかえりなさい」とフィルとミラル。一行は旅立つ。
「依頼だ」とジョルディー。
「私はたかお。妻と一緒に暮らしたい」とたかお。
「妻と話しあおう」とエルフィールたちは妻と会う。
「子供なら魔法で作れるしあなたとすまなくてもいいのよ」と妻。
「一緒に住み。抱きしめあい。愛しあい。そして永遠に巡り逢おう」とたかお。
「あなたとすまなくても巡り逢わなくてもいいのよ。私はだいじょうぶだから」と妻。
「一緒に住み。一緒に永遠に巡り逢おう」とたかお。
「私はわがままだしこうまんちきな女よ。私となんて永遠に巡り逢う必要ないじゃないの。誰かほかの人にして。子供だけで私は十分よ」と妻。
「永遠に巡り逢おう」とたかお。エルフィールの手が光る。ジョルディーと光りで斬る。永遠の巡り逢う人生が見える。
「いまひとつになる」と二人は抱きしめあった。
バルディが歩いている。人の姿のベネレッタがいる。
「あっしなんかと一緒になってあんた天国へいけないでやすよ。あっしをふって天国へいってくれでやすよ」とバルディは泣き崩れる。
「ねえ聞いていとしい人。あなたがいればそこが私の居場所。あなたの悲しみはあたしの悲しみ。あなたの笑顔はあたしの笑顔。あなたの幸せはあたしの幸せ。ねえ聞いていとしい人。あなたと一緒にいること。それがあたしの運命。巡り逢う運命を選んだの。あなたと一緒ならば地獄へでもおともするわ。ねえ聞いていとしい人。愛してるこんなにも」とベネレッタ。
「幸せにするでやすよ。きっと感動の涙をあんたに届けるでやすよ。愛してるでやす」二人は抱きしめあった。
なかがき。
アンコールもカーテンコールもあったりなかったり。友達やネットに聞いてみよう。
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