織刻(しょくこく)トップページ  言葉工房トップページ  その他のページ







『ダークエレメンタラーセレクション』

たかさきはやと






 老婆が平原を歩いている。「こんなとこにひとりでどうした」とエルフィール。「もう末期の病気なんだ。死ぬんだよ。最後のときをどこか自然のなかですごしたい」と老婆レナスク。「まあ焚き火でもあたりなよ」とエルフィール。一行は焚き火にあたる。「うう痛いもう死ぬね」と老婆の上に天使がいる。「待っていました」とレナスク。「ずっと見ていました。誰にでも天使はひとりいるのです。誰でもひとり天使に守られて生きているのです。さあいきましょう」と天使と老婆は空へといく。「ありがとう」とエルフィールはいった。一行は老婆を墓に葬った。夜はふけていく。


 晴れたある日の昼。
 小さな人の形をした像がある。かなりデフォルメされた丸い人の像だ。
「なんだこれ」とエルフィール。
「お地蔵様ですな。東洋の神様です」とらいでん。
「神様ならお祈りしておくか」とエルフィールがお祈りしてる。
「てやあっ」悪魔がエルフィールを一刀両断にする。転がるエルフィールの頭。
「これできみはぼくのものさ」と悪魔が頭をひろうがそれはお地蔵様の頭だ。
「てやあっ」エルフィールの一撃に悪魔は追い払われる。
「お地蔵様」とエルフィールたちは首のなくなったお地蔵様にお祈りした。


 黒く明滅する悪魔。
「勝負」とエルフィールたちが抜刀する。
 エルフィールの手が光る。
「美しい」と悪魔は見とれている。
 ジョルディーとともに光りで悪魔を斬る。
 どこかで鐘が鳴る。
 教会には神に仕える人間の女がいる。そこに男の天使が降り立つ。
「いけません天使カイル」と女。
「何故いけない。アリステイア」と天使。
「私たちは神に仕える身。恋愛などになんの意味がございましょう」
「恋はとても尊くそれは命にさえ変わるだろう。なにがいけないというのか」と天使は叱咤する。
「私たちには恋愛感情よりも大事なものがあります」
「それでも好きなのだ。私のことは嫌いかな」
「好きです。けれども私は神に仕える身。この身は神にささげたのです。分かってください。そもそも天使と人間ではつりあいがとれません」
「天使がいけないなら天使はやめる。堕天使となってアリステイア。きみを迎え入れよう」
 悪魔が暗く暗く暗い場所にいる。
「私はなにをしていたんだろう。私は誰だ。誰かを愛していたような気がする。誰を愛していたのだろうか」
 悪魔は幾千の旅の末にエルフィールを見つけた。
 そして悪魔はいま光りに天使へと生まれ変わっていく。
「私はカイル。天使だった」とカイル。
「いや、あなたは天使ですよ」とエルフィール。
「私にその資格があるだろうか」と嘆くカイル。
 天使が舞い降りた。
「カイル。あなたなのですね」とアリステイア。
「アリステイア。きみは天使になっていたのか」
「そうです。さあ神のために尽くしましょう。これからずっと一緒ですよ」
「そうだね。これからずっと一緒に神に仕えよう永遠に」
 カイルは泣いていた。エルフィールも泣いていた。
「ありがとうエルフィール。ずいぶん迷惑をかけたな」
「それもいいさ」とエルフィールとカイルは握手する。
「さあ行こう。世界を救うために」とカイルとアリステイアは空へと遠く遠く飛んで行く。
「なんだかとても人恋しい」とエルフィール。
「みんないますよ」とミラルは笑った。
「さあ旅がしたい。旅にでよう」とエルフィールと一行は旅立つ。


 ある村に来る一行。空に巨大な蛇が踊る。空を砕き大地を砕き暴れる蛇。
「退治するのか」とエルフィール。
「蛇様になんてことを。ただ蛇様は生贄がなかったから怒っていらっしゃるだけなのです」と村人。
「いけにえねえ。バルディ商売だ」とエルフィール。
「へいわかりやしたでやすよ」と二人は駆け出す。
「野良の馬だ」とエルフィールは野良の馬に飛び乗る。ならしてバルディを乗せ山の森を駆ける。
 ベネレッタが飛んでくる。
「ベネレッタがこっちでやす」とバルディのほうにイノシシが走っている。矢で射るエルフィール。イノシシをしとめて村に帰る。
「イノシシの丸焼きだ」とエルフィールは丸焼きを作っている。
 蛇がイノシシに食らいつく。
 蛇は空へと帰っていく。
 女性が一人歩いてくる。
「誰だいあんた」とエルフィール。
「女神ニュウワーです」と女神。
 女神は砕けた空をなおして砕けた大地をなおしてしまう。
「ありがとう女神ニュウワー。いけにえいるか」とエルフィール。
「祈りがなによりの私の力です」と女神は去っていく。
 村はその日を祭りの日にした。


 ある村に入る一行。空に細長い龍がいる。
「退治するのか。退治するんだな」とエルフィール。
「龍神様ですじゃ尊くとてもありがたいことですじゃ」と村人たち。
「りゅう」とエルフィールは不思議そうだ。
「東洋のドラゴンであり神様でもあります」とらいでん。
「なにか言えよドラゴンりゅう」とエルフィールは叫ぶが龍はなにも話さない。
 村に何日かいるが龍はエルフィールの近くにいる。
「なにが言いたいんだ話せよ」とエルフィール。龍はなにも話さない。
 ある日エルフィールは穴を掘り始める。ハイベルもジョルディーもなにも言わずに穴をほった。
 水が出る。
「ここも田んぼにできる」と村人たちが喜ぶ。
「こんなもんでどうだい」とエルフィール。
 龍は一回ひるがえると天に帰っていく。


ども、たかさきはやとです。ダークエレメンタラーは後半短編集のような構成になります。前半は長くあるのでとばして読んで後半をお楽しみください。まだまだダークエレメンタラーは続きます。エルフィールと一緒に旅に出てみませんか。






織刻(しょくこく)トップページ  言葉工房トップページ  その他のページ