もうすぐ2月もおわろうとしているのに、寒い日が続いた。今日も雪がふっていた。
「今日も雪か……。何もおこらなければいいが……」
ピンじろうはそう考えていた。
「チラチラチラ……」 (さすがに皆さんも慣れただろうと思いますが……雪の音です)
雪は、夜になってもまだまだふりつづく。
「しかし、よくふる雪だな」
ピンじろうがそんなことをいいながら(独り言?)夕食を食べていた。と、その時。
「ジリリリリン」(さすがに皆さんも慣れただろうと思いますが……(苦笑))
ピンじろうの家に電話がかかってきた。
ピンじろうは何か不吉な予感がした。
「はい、便ですけど」
「あっ! ピンじろうさんかい。水谷だけど……」(妙になれなれしい口調)
「どうしたんだい、水谷君」
「今日の夜、午後10時から警察で、10本足の怪物の犯人そうさ会があるんです。出席してくれますか?」(と思ったら、まだ敬語だ)
「もちろんだとも。よろこんで出席するよ」
ピンじろうは電話を切ると、時計をみた。
「9時か……。ちょっと早いが、まあ行くか」
ピンじろうはコートを着ると、外に出た。
「ウー、寒い」
ピンじろうはブルリとふるえた。
「ザッザッ」(笑)
雪の中に足がめりこんでいく。歩くのがとてもつらかった。(ここって、ものすごい雪国なのね)
「フー」
こんなに寒いのに、汗がでてくるほどだ。ピンじろうは汗を手でふいた。
「おやっ!?」
ピンじろうは下をみた。地面にピンじろうとちがうもう1つの足あとがあった。
「こ、これは……」
ピンじろうの体から血のけがひた。その足あとは、まさしくも10本足の怪物の足あとだった。
(よし! この足あとを追いかけていってやろう!)
ピンじろうはそう心に決めると、足あとを追いはじめた。足あとは森の方へとつづいているようだ。
遠くに人かげが見えてきた。
(10本足の怪物だろうか?)
ピンじろうは木のかげにかくれて、こっそりと近づいていった。
(これで犯人がわかるぞ。よし! しばらくようすをみていよう)
10本足の怪物らしき男の近くを、急に何かがとんだ。
「あっ!」
ピンじろうは小さな声をあげた。今とんだものは、ピンじろうが田中事件の前にみたUFOと同じなのだ。
――消えた怪物――
(10本足の怪物は宇宙人で……それでUFOが現れて……)
ピンじろうはそんなことを本気で考えていた。(おいおい)
「ドサッ!」
そんな音が、ピンじろうの耳にかすかに聞こえた。
(よし、正体をあばいてやれ!)
ピンじろうは10本足の怪物にとびかかった。
前、字水がいったとおりだった。その男は10本足のげたをはいていた。その10本足の怪物は……いや、10本足のげたをはいたふつうの人間は、あわててにげだした。
「待て!」
ピンじろうは男を(いや、男か女かわからないが、体つきからいって多分男)追いかけた。
男はとてもすばやかった。でも、ピンじろうも足には自信があった。
男はげたをなげすてて走った。そのげたにピンじろうはつまづき、
「ズテン!」
その間に、男はどんどんにげてしまった。(ピンじろう、かなりオマヌケです)
「くそう……。にがしたか……。ふくろをかぶっていて、顔も全然わからなかったし……。(袋って(苦笑)。せめて覆面とか……)手がかりはあの男が投げすてたげただ」
ピンじろうは男のにげた足あとを追っていった。男は森の奥へ奥へとにげていったらしい。
夜の森はなんとうすきみ悪いことだろう。ピンじろうはかいちゅう電灯を持ってくるべきだったと後悔した。
「あっ! そうだ! たしか、ポケットにライターがはいっていたはずだ……」
ピンじろうはポケットをさぐった。小さなライターが1つはいっていた。
「よし。これをあかりにしよう」
ピンじろうはライターをつけた。
どれだけ歩いただろうか。ライターのガスもなくなろうとしていた。
「こんな森の奥へ入ってきた人は、それほど多くはないだろうな……。しかも、夜に入ってくる人というのは……」
そんな一人ごとをいっていたとき、ライターは消えた。
しかし、あたりはそう暗くはなかった。
(次回、森の中でピンじろうが見たものとは?)