名探偵ピンじろうシリーズ
10本足の怪物
第13回

 

 ――怪物をみた!――

 もうすぐ2月もおわろうとしているのに、寒い日が続いた。今日も雪がふっていた。
「今日も雪か……。何もおこらなければいいが……」
 ピンじろうはそう考えていた。
「チラチラチラ……」 (さすがに皆さんも慣れただろうと思いますが……雪の音です)
 雪は、夜になってもまだまだふりつづく。
「しかし、よくふる雪だな」
 ピンじろうがそんなことをいいながら(独り言?)夕食を食べていた。と、その時。
「ジリリリリン」(さすがに皆さんも慣れただろうと思いますが……(苦笑))
 ピンじろうの家に電話がかかってきた。
 ピンじろうは何か不吉な予感がした。
「はい、便ですけど」
「あっ! ピンじろうさんかい。水谷だけど……」(妙になれなれしい口調)
「どうしたんだい、水谷君」
「今日の夜、午後10時から警察で、10本足の怪物の犯人そうさ会があるんです。出席してくれますか?」(と思ったら、まだ敬語だ)
「もちろんだとも。よろこんで出席するよ」
 ピンじろうは電話を切ると、時計をみた。
「9時か……。ちょっと早いが、まあ行くか」
 ピンじろうはコートを着ると、外に出た。
「ウー、寒い」
 ピンじろうはブルリとふるえた。
「ザッザッ」(笑)
 雪の中に足がめりこんでいく。歩くのがとてもつらかった。(ここって、ものすごい雪国なのね)
「フー」
 こんなに寒いのに、汗がでてくるほどだ。ピンじろうは汗を手でふいた。
「おやっ!?」
 ピンじろうは下をみた。地面にピンじろうとちがうもう1つの足あとがあった。
「こ、これは……」
 ピンじろうの体から血のけがひた。その足あとは、まさしくも10本足の怪物の足あとだった。
(よし! この足あとを追いかけていってやろう!)
 ピンじろうはそう心に決めると、足あとを追いはじめた。足あとは森の方へとつづいているようだ。
 遠くに人かげが見えてきた。
(10本足の怪物だろうか?)
 ピンじろうは木のかげにかくれて、こっそりと近づいていった。
(これで犯人がわかるぞ。よし! しばらくようすをみていよう)
 10本足の怪物らしき男の近くを、急に何かがとんだ。
「あっ!」
 ピンじろうは小さな声をあげた。今とんだものは、ピンじろうが田中事件の前にみたUFOと同じなのだ。

 ――消えた怪物――

(10本足の怪物は宇宙人で……それでUFOが現れて……)
 ピンじろうはそんなことを本気で考えていた。(おいおい)
「ドサッ!」
 そんな音が、ピンじろうの耳にかすかに聞こえた。
(よし、正体をあばいてやれ!)
 ピンじろうは10本足の怪物にとびかかった。
 前、字水がいったとおりだった。その男は10本足のげたをはいていた。その10本足の怪物は……いや、10本足のげたをはいたふつうの人間は、あわててにげだした。
「待て!」
 ピンじろうは男を(いや、男か女かわからないが、体つきからいって多分男)追いかけた。
 男はとてもすばやかった。でも、ピンじろうも足には自信があった。
 男はげたをなげすてて走った。そのげたにピンじろうはつまづき、
「ズテン!」
 その間に、男はどんどんにげてしまった。(ピンじろう、かなりオマヌケです)
「くそう……。にがしたか……。ふくろをかぶっていて、顔も全然わからなかったし……。(袋って(苦笑)。せめて覆面とか……)手がかりはあの男が投げすてたげただ」
 ピンじろうは男のにげた足あとを追っていった。男は森の奥へ奥へとにげていったらしい。
 夜の森はなんとうすきみ悪いことだろう。ピンじろうはかいちゅう電灯を持ってくるべきだったと後悔した。
「あっ! そうだ! たしか、ポケットにライターがはいっていたはずだ……」
 ピンじろうはポケットをさぐった。小さなライターが1つはいっていた。
「よし。これをあかりにしよう」
 ピンじろうはライターをつけた。
 どれだけ歩いただろうか。ライターのガスもなくなろうとしていた。
「こんな森の奥へ入ってきた人は、それほど多くはないだろうな……。しかも、夜に入ってくる人というのは……」
 そんな一人ごとをいっていたとき、ライターは消えた。
 しかし、あたりはそう暗くはなかった。

(次回、森の中でピンじろうが見たものとは?)


 

この物語についての解説