雪が完全にやんで晴れ間がでたのは、それから2日後だった。
「多分、もう安心だな」
ピンじろうはそういい、字水と別れをつげた。(2日間、ずっとつきっきりだったわけか(笑)。字水は仕事とかしてないのか?)
となりの自分の家にもどると、今までのことをゆっくりすいりし始めた。
(はじめに殺されたのが田川、次が吉田、そして、ちょっと変わった名前の(ちょっとどころじゃないと思うが)理田……。そして今度は、ダイヤが約50個ぬすまれた。いずれも雪のふっている日……。10本足の怪物の足あとが残っている……)
夜がきた……。ピンじろうは深夜ドラマを見おわり、風呂に入っていた。
「チラチラチラチラ……」(どうやら雪が降っている音らしい)
「おやっ?」
ピンじろうは外をみた。
「また雪だ! 雪がふってきた!」
ピンじろうはすぐに風呂から上がると、服をきがえて(裸だったんだから、「服を着て」が正しいと思われる)、いちもくさんに字水の家へかけていった。
「字水さん! 字水さん!」
ピンじろうは字水の家の前で、戸をドンドンとたたいた。
「字水さん! 今夜も雪がふってきました。とまらせてもらいますよ。いいですか!」
字水はいいめいわくだという顔でうなずいた。
「グーグー」
2人はぐっすりとねてしまった。(いきなり寝るんかいっ! 警護するんじゃなかったのか?)
午前3時ごろだろうか。
「ワーーーーーッ!」
という字水の悲鳴で、ピンじろうはとびおきた。
「な、何があったんですか」
「じゅ、10本足の怪物が……。い、いまここにいたんです」
字水はふるえた声でいった。
「悲鳴をあげて、ピンじろうさんが起きると、にげていきました……」
「10本足の怪物の顔をみましたか!?」
「ええ……はっきりみました。あの顔は谷山です。谷山が10こ足型がついているげたをはいていたんです」(なんて素晴らしいトリックなんだ! しかし下駄を履いた男を見て、「10本足の怪物だ!」とは、ふつー思わないよな(笑))
「なんだって!」
ピンじろうはさけんだ。
「そうか……。10本足の怪物のしくみはそうなっていたのか」
ピンじろうは紙とえんぴつをかりて、図に書いてみた。
「こんなしくみだったのか……」(いや、そんな感心している場合じゃ……)
――にんじんとピーマン――
やがて朝がきた。
「今日は私が朝食を作りましょう」(おいおい、なに呑気なことやってるんだ? 谷山の不法侵入はどうなった?)
ピンじろうはエプロンをしながらいった。
「ありがとうございます」
「これでも小学生のころは、家庭科がとくいだったんですから……。アチチ……。ああ、こがしちゃった」
こんなことをいいながら、朝食ができあがった。
メニューはご飯、めだまやき、にんじんとピーマンのいためたもの、おみそ汁だった。(とっても素敵な朝食メニュー♪)
字水はにんじんがきらいならしく、ピーマンばかり食べていた。
ピンじろうはそのようすをみつめていた。1つひっかかることがあったからだ。
「字水さんはピーマンがきらいじゃなかったんですか」
ピンじろうは字水に聞いた。(おい。ピーマンが嫌いだと知ってたなら、最初から作るなよ)
「すききらいはいけませんからね。はじめにきらいなものを食べてから、あとでゆっくりにんじんを食べるのです」(まあ、偉いわね。字水ちゃん。……って、子供の会話か)
ピンじろうは感心した。(笑)自分はきらいなものはすぐ、ごみばこにすててしまうからだ。(一人暮らしなんだろう? 嫌いなら作らなきゃいいぢゃん)
(次回、急展開! しかもUFOまで登場! もう、なにがなんだかわけわからんぞ!)