片金山 金龍寺(津山市加茂町青柳1790)

本尊 千手観音

縁起
 当山は青柳にあり、片金山金龍寺と号し、醍醐派真言宗に属する当山派山伏寺であり、千手観音を本尊とする。
 文安五年(1484)に僧恵秀が開基し、当時は字寺山にあった。天文二十一年(1552)三月に堂宇が全焼し、同年八月に川端丹後守の祈願所として僧教円が現在地片金山に再建した。これを宥智(万治元年1658年寂、享年七十八)が嗣いだ。これが現在の中井住職初代である。宥智は明王院宥智と称し、あと代々明王を称した。寺記によれば、「(宥智)元和五己未年片金山へ住職ス、同寺旦那小淵青柳室尾分不残」とあるから、近世初期にはかなりの檀家をもっていたものと思われる。現在檀家は四十戸である。
 本尊千手観音像(『東作誌』に記載あり)は四尺五寸の木造寄木造りである。建物について『東作誌』は、本堂(二間四面)、庫裏(四間八間)および毘沙門堂(一間半四面)を記載しており、毘沙門堂は初代宥智の長男中井氏(里長徳左衛門)の持仏堂として創建されたものである。
 寺の年中行事として、正月から二月にかけ日待祭があり、阿波・滝尾部落から迎えられ出かける。正月十八日は本尊観世音菩薩の縁日で本尊の会式を行い、護摩をたき、部落の人々が参る。春分・秋分の日には彼岸会を行い、部落の人々は供養に参る。旧暦七月十八日および冬至祭には、昔はだんご餅を焼いておこもりし、寺の護摩修法に参じたものであった。また個人的な祈願として、安産、家潔め(死亡後、地鎮祭)、家相を観る、病気平癒などを行う。