静円寺(じょうえんじ)(瀬戸内市邑久町横尾)

靜円寺

 竹久夢二の生家から南に約一キロ、丘の上に横尾山静円寺がある。

山門

 この寺は天平二年(730)行基の開山。後報恩大師が創建した備前四八カ寺の一つといわれる。創建当初は現在地の南西の山頂にあり、三三坊が谷にまたがり、名刹にふさわしい堂塔を誇って、寺領300町歩を有していた一大寺院であった。
 元禄年中現地に移されたが、県内でも珍しい古式寺院形式が見られる。本堂(県指定)は室町時代の天正七年(1579)の再建。多宝塔(県指定)は元禄三年(1690)の再建でこぢんまりとしている。他に仁王門・祖師堂・鐘楼などがある。近辺に僧坊の光明印・地蔵院・安楽院がある。寺宝として、室町時代の在銘の二つの備前焼花瓶(県指定)がある。

本堂 鐘楼 多宝塔

市川俊介著『岡山の神社仏閣』より