脇田山 安養寺 常行院(岡山市賞田333)

本尊 聖観音 

縁起
 脇田山安養寺という。聖観音を本尊とする天台宗の寺で、寺伝に「孝謙天皇の勅命により報恩大師備前国中に四十八箇寺を建立す、当寺は其一なり、法暦年中(1751〜1763)具法法印再営すと云う。」とみえる。同寺は近世になってからも寺地を変え、明治年間に火災にかかるなど災厄に遭うて文書の保存が出来ていないが、寺の伝承では賞田の堂屋敷から現在の寺地の東の谷に移って来、ついで見晴らしのよい脇田山の山頂に移ったという、現在の境内1,760坪(5,808平方メートル)。
 建物には本堂、庫裡、客殿、鐘楼などがある。本堂は一段上の段に南面しており、明治の火災以来の再建、三間四面入母屋造本瓦葺の堂である。本堂再建の際その基壇から銅製の千躰仏(歓喜天)が発見されており、約二千躰を数え、その一半を元の通り基壇の鎮めに埋め、一半は寺に保存している。
 本堂の前庭には旧寺領から移して来た奈良時代後期の礎石八個が築山になって保存されている。