遍光山蓮華院 千手寺(岡山市大内田581)

本尊 千手観世音菩薩

大師信仰を象徴する八十八カ所霊場

 岡山の西側、都窪郡早島町に面しているその境界返リに天平勝四年(752)に報恩大師が開創したと伝えられる遍光山蓮華院千手寺が位置する。
 同寺西側一帯には最近、岡山県総合流通センターが建設され、「CONVEX岡山」では、大きな催しが行なわれ多くの人で賑っている。
 千手寺の法燈は開創以来、栄枯盛衰を経ながら現在まで護り伝えられてきている。千手寺零落期の嘉暦元年(1326)には、宥範法印によって復興され、その後、建武年間(1334)に弟子の宥覚の代に焼失するなどしている。後の永正三年(1506)には快重法印が草庵を建立。天正十三年(1585)には宗覚僧都が旧来の姿に再興し祖風盛んとなる。同じ頃、仁和寺末となり、約4百年を経て、第二次大戦後には、宗教法人法の施行により高野末になっている。


 同寺には四国八十八カ所ミニ霊場「地場大師八十八カ所霊場」があり、現在も多くの人が巡拝している。この霊場は、岡山県下の八十八カ所霊場の中でもかなり古いものとされ、本四国霊場が、阿波、土佐、伊予、讃岐の四カ国からなっているように、この霊場も妹尾崎、坪井、矢尾、大内田の周辺四カ村(当時)に跨って配置されている。一周ほぼ半日で巡拝できる。
 霊場開創年代は、天明年間(1781-89)とする記念碑が存在する一方で、寛政四年(1792)開創と推測できる刻銘も残っていることから一概には断定できないが、天明四年(1784)の弘法大師入定九百五十年忌大法要による大師信仰の高まりの影響を受け開創されたと思われる。近年、岡山県総合流通センター建設のため一部札所の移転を余儀なくされたが、本場四国の形をよく伝えている。
 第二十九世にあたる松本住職は、本堂が老朽化してきたため本堂新築、客殿改修、事務所棟新築工事(平成六年六月〜平成七年十二月)を行なった。

年中行事

一月 新年祝賀法要 九月 彼岸法要
八十八カ所霊場開き団体参拝 十月 八十八カ所霊場開き団体参拝
初観音大祭 十二月 越年法要
三月 彼岸法要 除夜の鐘
四月 花まつり 毎月十七日 月例法話会、テレホン法話
六月 青葉まつり 信仰・法律相談随時受付
八月 盆法要
施餓鬼法要

寺宝・文化財

・阿字観の掛け軸(鎌倉期)
・御影(室町時代)