青竜山 松琴寺(岡山市門田本町4丁目2-29)

本尊 聖観音

縁起

妙心寺派の禅寺で、貞和年中(1345ー1349)無柳一参禅師の建立にかかる。はじめ曹洞宗に属し越中載田国泰寺の末寺であったが、戦国時代に寺派が中絶していたのを、慶安年間に再興して妙音山と号した。その当時は焉求庵、陶後庵、弧猿庵、指月庵、庭樹庵などがあって一山隆昌をきわめたと伝えられる。享保十二年に当時の住僧石獅が円山曹源寺の袙道和尚の斡旋で臨済宗に改めた。このとき本寺国泰寺から受取った証文が残っている。
袙道和尚は当時国清寺の住職であったが享保十五年に円山曹源寺に転任した。松琴寺が円山の傘下に置かれたのは袙道和尚の関係によるもので、建物は本堂・書院・庫裡・観音堂・不動堂・帝釈堂・阿弥陀堂・薬師堂などで、このうち本堂は入母屋造妻本瓦葺の堂である。松のほどよく茂った山上に広い寺域をひろげ、南向きに伽藍を配置、境内に池をうかがって庭園とした幽すい境であっただけに文人墨客の杖をひくものが絶えず、岡山城下近郊の名所として知られていた。
戦災は免れたが、戦後はこのあたりの樹林を伐採し、ほど近いところに社会施設をつくるなどして、昔日の寺境はその趣きを一変した。