平井山 妙広寺(岡山市平井7丁目6-54)

本尊 輪円具足

縁起

平井山妙広寺という。輪円具足を本尊とする日蓮宗の寺院、平井の平野に三、四九五平方メートルの寺城をもつ近世の平地伽藍である。

寺伝に、永和年中(1375〜1378)京都の本山妙覚寺五代竜華院日実の開基にかかり、法華山妙実寺と称し、現在のところから十年余町木北にあった。然るに天文元年の地震に堂宇が壊滅し荒廃したままになっていたが、永禄年中にこの地に豪族平井助の進が親の菩提を弔うため今の所に引き移して再興、天正十六年に現在の寺号に改めた。
本堂は江戸中期の再興、三間四面入母屋造本瓦葺の建物で西面している。客殿は庫裡を併せた重厚長大な一棟、桁行十二間、梁間五間、入母屋造本瓦葺で南面している。玄関から上手が客殿でこのこの部分が本堂と同時の建築らしく稍古い、玄関から下手が広い台所をもつ庫裡で、のちに建て継いで一棟としたものと思われる。ほかに重層の山門、入母屋造本瓦葺の鎮守堂、宝蔵などがある。
寺庭には樹齢二百数十年の老松があり「常山蛇勢松」と称してこの地方の名木に数えられていたが、太平洋戦争後松喰虫のために壊死し、明治十六年九月に建てた西薇山書の名松碑だけがのこり、その近くに芭蕉の句碑が立っている。
 木のもとに汁も鱠もさくら哉