本涌山 本行寺(岡山市蕃山町3-5)

本尊 題目宝塔釈迦多宝上行四天王

縁起
 本涌山本行寺という。慶長十六年(1611)日円上人の開基した妙満寺派の顕本法華宗の寺院で空襲前まで旧山崎町にあり、同町にあった本門山宝仙寺を明治四十四年十月に合併した。本尊は題目宝塔釈迦多宝上行四天王である。同寺は文化十三年十一月に火災のため全焼、ついで堂宇を再建したが、昭和二十年六月に岡山市が空襲を受けたとき山崎町付近は被爆の中心となり、本行寺もまた山門だけをのこして主要な建物ことごとくを焼失した。
 戦後は郡市計画のため、柳川の幹線道路を東に越えた現在の蕃山町に換地を受け、とりあえず桟瓦葺の庫裡を再建、山門はそのまま移して二十四年八月に新寺地に引き越した。庫裡の一半に仏間を設け本尊を安置していたが、昭和三十七年に、鉄筋コンクリートで本堂を建てようやくにして面目を改めた。
 再建の本堂は丸川設計事務所の設計、松本組の施行になる新様式の洋館で、平面約182uの平屋であるが、内部は柱の無い大広間となり、正面に本尊を安置した仏壇、その前に一段床の高い内陣があり、前面に広く下陣をとり、畳は敷かず格子式に改め、一部に半地下室を設けて納骨室に当てるという思いきった改革ぶり。けだし岡山市の寺院中鉄筋コンクリート建築を採用したのは本行寺をもって最初とする。