二上山 蓮華院 両山寺(久米郡美咲町両山寺323)

 大塀和(おおはが)地区から二上山のつづら折りの山道を2キロほど登ると頂上付近に、真言宗の準別格本山二上山両山寺がある。
 この寺は本山寺、誕生寺と並んで作南三大名刹といわれ、和銅七年(714)僧泰澄により創建。山岳仏教の道場にふさわしく、本堂、五重塔のほか二十八の僧坊を有していた。その後、永禄八年(1565)の尼子・毛利の合戦で焼失し、明治時代まで八僧坊を有し、昭和時代に入ってから本坊と合併されて現在、本坊一寺となっている。現在は、本堂、大師堂、仁王門が残っているだけで、往時の面影はない。
 境内に石造五智如来坐像(県指定)がある。花崗岩製で室町時代末期の作。また両山寺鰐口(県指定)は近郷まれにみる逸品で、目方二七キロの大鰐口。寺の石垣築造中、土中から発見され、表面に「奉施入両山寺本堂正平十八年(1363)癸卯十一月白大願主僧祐明」とある。また、本堂前の二上の杉もこの寺にふさわしい。

本堂 山門 大師堂
石造五智如来坐像 二上杉

年中行事
八月十四日   護法祭

寺宝・文化財

鰐口(正平十八年銘入 県指定重要文化財
石仏五智如来
二上の杉(樹齢一千年)
あまのじゃくのかさね岩
護法祭 県指定重要無形文化財
金剛力士像 町指定文化財

市川俊介著『岡山の神社仏閣』より