今西山 法福寺(真庭市吉3945)

本尊 阿弥陀如来

縁起
 大名の祈願寺として建てられたものと伝えられている。仁王門並びに宝形造りの本堂は、江戸中期をよみがえらせる美しさを、今なお残している。建物は六百年くらい前の建築方法と言われ、町内では大分古い立派なものである。
 なお、当寺に昔から盆の夜、念仏踊りが行われている。現在、県の無形文化財に指定されている。

年中行事
毎年お盆十六日夜  念仏踊り

寺宝・文化財
・吉・法福寺念仏踊り
(県指定無形文化財)
 江戸期この村に疫病が流行し、多くの人が苦しんだ。その折旭町江原寺に習い、念仏踊りを行ったところ、霊験があり定着したという。
 八月十六日の夜(かつては旧暦七月十六日)法福寺本堂前で、二十五戸の「講中」により先祖の供養と、悪疫退散を祈願したことから始まったもので、現在はこの行事保存のため吉地区念仏踊り保存会により継承に努めている。
 踊りの中心に「大傘」(風流傘とも)を立て、その下に木臼を据え、正装羽織姿の読み手が上がり、各々の装束姿をした羯鼓五人・鉦五人が打ち、サイハラ二人が跳び、これに音頭取り二人が加わる。
 読み手は一軒一軒の先祖供養を読み上げ、音頭取りが「ナムアームダイ・ブーツ・ソクサイ………オーイ」と掛け声をかけ、その度にサイハラを持った二人が互いに打ち合う。これが終わると鉦を打ち、羯鼓を叩くと横に飛ぶ。二回繰り返すと次の家の供養を読み上げる。
 踊りは十三仏信仰による先祖供養の性格が強く、江戸期の宗教性伝統行事盆踊りの原形を留めており、踊り歌は歌わない素朴な形態である。

高野山真言宗美作八十八ヶ所霊場会発行『高野山真言宗美作八十八ヶ所霊場』より