円通寺(倉敷市玉島柏島451)

 玉島の町並み保存地区を抜け昭和橋を渡ると、良寛で有名な円通寺のある白樺山(標高100メートル)の参道に入る。ゆるやかなカーブを描きながら、道は上へと続き、しばらく登ると眼下に玉島の港町がながめられる。

 参道を登りつめると、百畳敷きにもおよぶ巨岩によってつくられた庭園がある。その奥に静寂なたたずまいの良寛堂・本堂などがあり、名刹にふさわしいふん囲気を漂わせている。円通寺の内外苑の天然の風景に巧みに人工を加えた円通寺公園(県指定名勝)の頂上から、瀬戸内海をながめると、鞆仙酔島をはじめ内海の諸島や四国連山を望見できる。

本尊 釈迦牟尼仏

縁起
 この景勝の地に、奈良時代に行基が開いたといわれる。その後、火災にあって一時衰微していたが、元禄十一年(1698)、曹洞宗の高僧徳翁良高が住職となり、堂塔を再建した。そして円通庵の名を円通寺と改めた。以来この寺は曹洞宗の高僧があいついで住持したため、たいへん栄え、多くの雲水が集ってきた。そのなかでも、良機、国仙、玄透は有名。
 特に、十世国仙にともなわれて良寛が安永八年(1779)に入山した。大愚良寛は以来二十年に近い歳月をこの寺で修業した。当寺衆寮(現在の良寛堂)で二、三十人の雲水たちと起居をともにして、きびしい禅宗の修行を重ねた。
 書聖といわれ、詩歌の道に精通した良寛の大成には、天性の資質に非凡のものを備えていたことは勿論であるが、彼の青春から壮年期にかけて修業した円通寺、特に国仙の存在が大きかった。さらに、当時玉島は商港として繁栄し、諸国の文化客の往来も多く、その玉島の文化的ふん囲気の影響もあったにちがいない。

年中行事

1月3日 大般若祈祷会 1月24日 秋葉祭
2月1日〜8日 涅槃摂心 2月15日 涅槃会
3月21日 春彼岸会法会 4月13日(第2日曜) 良寛茶会
7月20日〜26日 暁天坐禅会 8月15日 盆施食会法会
9月23日 秋彼岸会法会 11月3日 良寛茶会
12月1日〜9日 臘八、断臂摂心 12月8日 成道会
12月31日 除夜の鐘 毎週日曜 日曜坐禅会
毎月(第4土曜) 正法眼蔵講話会 毎月18日 観音縁日

市川俊介著『岡山の神社仏閣』より