詔法山 済興寺(倉敷市酒津1704)
本尊 阿弥陀如来
開基 伝・平安時代
二十八年ぶりに本尊をご開帳 倉敷市の北画部、かつては高梁川の川湊として栄えた酒津・韶法山済興寺は、古くから酒津の人々の信仰を集めてきた。その本尊は恵心僧都作といわれる秘仏・阿弥陀如来像。本堂、客殿、庫裡、鐘楼堂の装いも新たになり、往時と変わらず酒津の人々の心の拠り所となっ
ている。
済興寺の由来は古く、平安時代に火災に遭った伝承がある。記録に残っているのは、中興の増阿法印が本尊を安置した元和元年1615)から。石正寺阿弥陀院、正眼寺真如院と称していたこともある。大正四年(1915)、高梁川の改修に伴なって現在地に移転し、昭和九年から済興寺と称するようになった。
隆心住職は増阿法印から数えて十八代目で、今年晋山したばかり。本尊の阿弥陀如来像は、恵心作千体仏の一つとされ、住職晋山の時にしか開帳されない秘仏。平成五年には二十八年ぶりに開帳された。
済興寺には様々な寺宝が伝わっている。古くは宗祖の作といわれる「阿弥陀如来三尊仏」掛軸。また寛政八(1796)年、地元の有力者が両親の菩提のために寄進した「涅槃像絵図」。同じ寛政八年に酒津の講中によって建立された「北向き石地蔵尊」は、背負う格好をすると、腰痛が治るとの一言い伝えがある。
他に、千二百柱の英霊が合祀された花崗岩の忠霊塔がある。また昭和四十八年に本山から迎えた「古励加楽(これから)観音」は、水かけ観音として親しまれている。
近年は改修工事を進め、昭和五十四年には鐘楼堂を、六十三年には本堂、客殿、庫裡を大改修した。
また、本堂の左手に昭和二十四年に開園した「みのり幼稚園」〈井上倫子園長、四十人)がある。宗教的雰囲気の中で感謝する心を育てながら、音楽教育にも力を入れて、豊かな心を子供たちに伝えている。
年中行事
1月18日 | 初観音 | 1月28日 | 初大師 |
2月3日 | 星まつり | 2月14、15日 | 涅槃会 |
2月21日 | 正御影供 | 4月5日 | 慰霊祭 |
4月15日 | 阿弥陀まつり | 5月8日 | 花まつり |
8月15日 | 施餓鬼法会 | 8月24日 | 地蔵盆 |
12月8日 | 正道会 | 12月31日 | 除夜の鐘 |
『高野山真言宗備中寺院めぐり』より