正法山 明星院 蓮休寺(倉敷市栗坂911)

本尊 聖観世音菩薩

開基 元禄元年頼遍和尚

中興 昭和五年竹井覚静

地域にやすらぎを与える鐘の音

 JR山陽本線中庄駅と庭瀬駅の中間地点辺りに栗坂と呼ばれる地域が広がっている。その栗坂の南側の山手に正法山明星院蓮休寺がある。現在同寺の近くは、東西に平行して走る旧国道2号線と2号線バイパスを結ぶ県道が南北に通っているため比較的交通量の多い地区になっている。
 周囲の自然との調和が印象的な蓮休寺の境内には、北側に本堂と庫裡客殿が建ち、南側の高台には鐘楼堂がそびえている。鐘楼堂は昭和五十七年に新築されたもので、まだ新しさを残している。
 その大きな梵鐘は朝夕と島田住職によって撞かれ、辺り一面に清く澄んだ美しい音色を響きわたらせ、車社会の雑音を打ち消すかのように地域の人々に安らぎを与えている。
 蓮休寺は、元禄元年(1688)に頼遍和尚によって創建され中庄・性徳院の末寺となっていた創建当時の本堂は、現在本堂の東側に建てられていた。その後、昭和五年に早島・千光寺の竹井覚静住職(兼務)が、現在の場所に新築した。
 かつて栗坂には、天平勝宝年間(749〜757)に報恩大師が自作の地蔵菩薩を安置して、開基したと伝えられている少融山高蔵寺があった。しかし高蔵寺は承平天慶の乱の影響などを受け焼失。延元年間(1336〜40)に播磨の大守・赤松円心の命を受けた別峯によって再建されている。この時に寺号を定林寺に改称されている。さらに足利氏の時代には、再々度兵火に遭い焼失。このため定林寺はその後、庭瀬に移転し松林寺となっている。以来、栗坂には寺院が無くなり、それが長い間続いていたようだ。
 そこで、江戸時代になり寺院が無かった栗坂に新たに寺院を建立しようとの気運が高まり、元禄元年に蓮休寺が創建されるに至ったと推測されている。
 蓮休寺の本尊は聖観音で、元禄時代の作とされている。

年中行事

正月 修正会 2月 節分会
15日 涅槃会 3月 正御影供(9月に一度)
6月15日 青葉祭 12月8日 成道会
12月31日 除夜の鐘 毎月 本尊供

『高野山真言宗備中寺院めぐり』より