最勝院 (倉敷市生坂1416東雲院内)

本尊 阿弥陀如来

備中路の弥陀信仰の歴史を伝える

 倉敏市の北部、山麓沿いに位慨している生坂の地に第四十四番東雲院(上西孝道住職、倉敷市生坂1426)がある。ここに併置されているのが第五十一番最勝院である。倉蚊市北郊の宮前の地にあったが、現在は伽麓はなく、本尊を東雲院に安置し、寺号を残している。
 この最勝院の開基や由緒は不明で、唯一、本尊の阿弥陀如来が東雲院に残されている。日本の仏・菩薩の中で、大衆の偏仰を集たのは、釈迦如来は別格として、薬師如来、阿弥陀如来、観音菩薩、地蔵菩薩などが代表的である。
 この内、白鳳から平安期にかけては薬師如来で、この後登場するのが阿弥陀如来で、平安時代から中世末期まで、全国各地で信仰を集めている。そして、この後が観音信仰であろう。
 この阿弥陀信仰は平安中期に源信僧都の『往生要集』が出てから盛んになったと言われている。この最勝院同様に備中の寺院にも本尊に阿弥陀如来が数多く安置されており、時代は不明だが、阿弥陀信仰が行なわれていたことが窺える。

『高野山真言宗備中寺院めぐり』より