摩尼山 平生院(浅口郡船穂町大字柳井原1877)

本尊 地蔵菩薩

創建 享保年間頼誉上人

地元民が受け継ぐ代受苦の地蔵信仰

 第五十二番寶満寺から自動車で約十分、約二百戸の集落である浅口郡船穂町柳井原地区の小高い山の中腹にひっそりと建っているのが、平生院である。由緒、縁起などは不詳だが、寶満寺初代の頼誉上人が創建しており、地元の人々を中心にその信仰が受け伝えられていることを窺わせる。
 創建が伝えられる頼誉上人は、寛永年間 1624−44)に寶満寺の本堂、大師堂、客殿など再建している。平生院の創建は享保年間(1716−)とあるから、おそらく、頼誉上人は寶満寺の創建を終えて、自らの隠居寺として創建したのではないかと考えられる。その後、明治には一時、尼僧寺院であったことが確認されている。
 本尊は地蔵菩薩で毎年七月二十四日の縁日には地元・柳井原の人々によって代受苦の地蔵信仰が受け継がれている。また、正御影供や仏生会には、柳井原の人迩によって勤行が行なわれ、まさに地元民の篤い僧仰によって受け継がれている地蔵信仰の寺院である。

『高野山真言宗備中寺院めぐり』より