高野山 倉敷別院(倉敷市阿知3-20-1)

本尊 聖観世音菩薩

開基 智空上人

中興開山 天正十三年勢海法印

別院に昇格し、倉敷の〃玄関〃に

JR倉敷駅から南へ真っすぐ美観地区の方向へ進む方角に第三十五番の地蔵院があるが、ここに〃同居〃するのが、高野山倉敷別院である。倉敷の正面玄関に当たる地に建つ 同別院は地蔵院としての歴史を有しながらも、倉敷市の〃玄関〃として広く市民の信仰を集めている
 別院に昇格するのは明治三十年四月に入寺した第十七世恵戒住職の功績によるものである。同住職は明治元年十二月火災により悉く灰儘に帰し一時無住の状態だった地蔵院に、信貴山朝護孫寺の教会出張所を寺内に設け布教教化に専念。同四十二年には、本堂を再建し、衰運を挽回した。
 さらに、同住職は幼児教育の重要性を感じ、境内に御国学園〈幼稚園)を創設し、布教教化、幼児教育などに挺身した。こうした功績が認められ昭和二十六年、本山(高野山)特旨昇格として「別院」に昇格した。
 その後、倉敷の都市開発計画が持ち上がると寺域を率先して市に寄贈し、現在の伽藍を築き上げている。本堂に向かって建立されている聖観音像は倉敷市民にとってはシンボルのような存在で、終日、幼稚園児の歓声が響き渡り、新たな息吹きを感じさせる。

年中行事

1月1〜3日 新年祈祷・大般若転読 8月15日 精霊送り
毎月3日 毘沙門天縁日 毎月17日  本尊講

『高野山真言宗備中寺院めぐり』より