鳥羽山 蓮台寺 長法寺(笠岡市西大戸737)

本尊 薬師瑠璃光如来

開基 平安時代行基菩薩

開山 昭和初期覚津住職

鳥羽上皇の勅願で行基菩薩が開基

 山陽自動車道の笠岡インターから車で約五分。備南街道沿いの丘の上に、鳥羽上皇ゆかりの鳥羽山蓮台院長法寺がある。同寺の北側には山陽自動車道が東西に走っている。この山陽自動車道によって笠岡市民の暮らしが大きく変わってきている。JR山陽本線笠岡駅と国道2号線を中心に古くから南部を中心に市街地が形成されてきたが、最近では、笠岡インターから程近い長法寺の周辺地区の開発が進んできている。
 長法寺は、鳥羽法皇の勅願で行基菩薩によって開基されている。本堂に安置されている本尊の薬師瑠璃光如来は、行基菩薩の一刀三礼の霊作と伝えられているものである。
 平清盛亡き後、平家一門は、一ノ谷の合戦、屋島の合戦と連敗し滅亡の運命を辿った。その際、平知盛の遺子である盛胤(後に剃髪して円乗上人となった)と平経教が、京都の鳥羽殿(安楽壽院)から本尊を奉じて、木ノ子の圧(現在の井原市木ノ子町)に堂宇を建立し鳥羽山長法寺と号したと伝えられている。
 その後、約四百年を隔てた慶長年間(1596−1615)に現在の場所に移されている。現在の本堂は、明治四十四年(1911)に建てられたもので総檸造り。内外陣の彫刻や、格天井は華麗なものである。
 客殿は先代覚津住職によって建てられたもので、昭和十五年末に上棟。戦争突入直前だったため、資材集めに苦労し完成したのは戦後だった。現在その本堂の屋根を葺き替え中、今年五月に落慶することになっている。
 境内の西側には、高さ約五メートルの戦没者礼拝堂がある。二層屋根となっており、緑錆の屋根が印象的な建物である。また、その手前は鐘楼堂がある。創建については不詳であるが、寛保年間(1741−44)と天保年間(1830−44)の二回大修理が行なわれたとの記録が棟札に残されている。
 長法寺に伝わる寺宝として弘法大師御影が挙げられる。この御影は、大師の肉弟であり奈良東大寺別当となった真雅上人(法光大師)の作と伝えられている貴重なものである。

年中行事

5月 花まつり(旧暦)

『高野山真言宗備中寺院めぐり』より