青嶋山 自性院 (笠岡市神島内浦総4529)

本尊 薬師如来

開基 養老年間行基菩薩

中興 万治元年

寺宝・須山義高公の系図

 笠岡市から外浦行きパスに乗り約二十分。左手に笠岡市立カブトガ二博物館を見おろしながら神島大橋を渡ると、そこは八十八ヵ所霊場で知られる神島である。
 中村□バス停で降りると、身丈約四メートルの大きな修行大師像「厄除神島大師」像がそびえている。そこから、西へ歩いて約十分。山の中腹に青嶋山自性院が見える。自性院は神島霊場の第七十五番。西側の並びには第七十四番の安養院も見える。
 自性院は、四国八十八カ所霊場でいうところの善通寺にあたる。本尊は、室町時代の作といわれる薬師如来で、通称「善通寺薬師」と呼ばれ、隣の安養院と共に安産守護のご利益で有名である。
 自性院は、養老年間(717−724)に行基菩薩によって開創されたと伝えられている。創建当時は、島のちょうど真裏あたりにある寺間(現在の観音庵。第五十四番延命寺が在るところ)にあったが崩壊したため、万治元年(658)に現在の地・青嶋山に移転し、自性院と号している。
 自性院に伝えられている寺宝の中で、特に貴重なものとして須山義高公の系図と涅槃図が挙げられる。須山義高の 系図は、後代の尚高が作った。ある時、尚高の軍勢は村上水軍五千艘に包囲された。最期を悟った尚高は、家系図だけでも残さねばと考え、すぐに家臣に命じて、一週間という短期間で家系図を完成させた。様々な経過を経て、現在は同寺に伝えられている。
 また、涅槃図は国指定重要文化財で、鎌倉後期北殿司作である。大きさは、縦173.5センチ、横165センチで四幅一舗の絹本著色となっている。これは、安養院と共有の寺宝として現在、岡山県立博物館に預けられている。
 境内には、感得不動明王を祀る護摩堂や、四国八十八ヵ所のミニ霊場も設けられている。

年中行事

正月 修正会 2月3日 星祭り
3月1日 御影供 8月15日 盆法会
8月16日 施餓鬼会 その他春・秋彼岸会
両彼岸中日には千体水子地蔵の総供養 毎月日本尊講、洗心会
毎月日写経会、問法会

『高野山真言宗備中寺院めぐり』より