地蔵庵 (笠岡市神島内浦1938)

本尊 地蔵菩薩

開山 和銅二年

中興 鎌倉後期安禅和尚

千二百年の星霜を数え、伝わる篤い信仰

 神島大橋を渡り厄除神島大師像の前から西に向かって進みアンゼン自動車教習所の交差点から山手の道に入って走ると、神島霊場六十二番札所「宮十一面観音」と〃同居〃する地蔵庵がある。開基は不詳だが、千二百年余りの星霜を数えながら、神島霊場に代表されるように島民の篤い信仰によって護られている庵寺である。
 「地蔵庵文書」によると、開山は元明天皇の和銅二年(709)で法(宝)泉仏舎から宝泉坊、俊了順精舎、了順庵と称していたようである。本尊は知名権現であったが、後に不動明王が本尊となっている。
 およそ七百年前、神島内浦の安養院中興の祖・安禅和尚の発願により篤信の有志らの協力のもと、現在地に地蔵庵として再建している。この時、本尊を延命地蔵と弘法大師とし、脇侍に不動明王と毘沙門天を祀っているが、現在の本尊は地蔵菩薩となっている。
 爾来、その信仰は地元地域の人々によって受け継がれ、昭和六十一年五月には、36.3平方メートルの本堂を新築し、落慶法要を厳修している。
 年間を通じて春秋の彼岸会、孟蘭盆会、常楽会 (二月十五日)、仏生会(四月八日)、宗祖・弘法大師の誕生会などが営まれている。同寺の向かいには西国三十三観音霊場の観音像の石仏が安置されており、地域の人々の篤い信仰と、その歴史を偲ばせてくれる。

年中行事

2月15日 常楽会 3月 春彼岸会
4月8日 花まつり 6月15日 誕生会
7月 盂蘭盆会 9月 秋彼岸会

『高野山真言宗備中寺院めぐり』より