観音山 福厳寺 (笠岡市北木島町3084)

本尊 聖観世音菩薩

神島から海を渡って伝えられた観音大師信仰

 笠岡住吉港から高速船で三十五分。笠岡諸島最大の島・北木島は、島全体が花崗岩でできており、ここで採掘される石は「北木石」と呼ばれる特産品である。かっては、大坂城の石垣石として使われたことでも有名である。その石の島にふさわしく民家の外れの山裾に石垣の上に白壁の塀に囲まれ、観音山福厳寺の門柱が立った伽藍が端正な佇まいを見せている。
 元々、この島の布教は、現在笠岡市と陸続きとなっているが神島の日光寺から来ており、観音堂があったという。当時、日光寺には隠居寺の法蔵坊があり、明治十五年に、この法蔵坊を北木島の観音堂に移転し、福厳寺と称した。本堂はこの法蔵坊時代のもので、海を超えて伝えられた観音と大師信仰の証しとして、島民の篤い信仰によって守られている。
 ところが、昭和五十九年に水害により裏山が崩れ、本堂、客殿などを修築。現在は境内に不動明王が立つ見事な石の庭を築き、鐘楼堂を含め端正な伽藍を築き上げている。
 境内には大師講と観音講の看板が掲げられており、毎月縁日の十七日(観音講)と二十一日(大師講)には御詠歌の声が響きわたっている。

年中行事

旧2月 二十三夜 3月 雛の精霊流し
8月 盆行事 この他、毎月日観音講、毎月日大師講

『高野山真言宗備中寺院めぐり』より