蕎麦尾山 金剛頂寺(苫田郡鏡野町山城)

本尊 聖観世音菩薩

縁起

吉井川の清流を眼下に鋭くとがった山の稜線が蕎麦の角に似たところから山号を蕎麦尾山と称する。昔神戸の百姓佐太夫という者が、或る日深山の谷間へ薪をとりに行ったところ、何処からともなくお経を唱える声が聞こえ不思議に思いながら声のする方へ近づいてみると、一人の老僧が岩上に座っていた。・・・佐太夫を見て「わしは、蕎麦尾のお寺に本堂ができたというのでお参りしようと思うが、道がわからず困っていたのだ。道案内をたのむ・・・。」佐太夫は快く承知して先に立ったが、彼の老僧の歩みはまことに危うい。遂に背負ってくれとたのまれ、負って本堂前まで来ると、もうここでよいといい、背から降りたとたんに見えなくなってしまった。佐太夫は不思議に思いながらも、ここまできたのだから観音様にお参りしようと、本堂に行き内陣を見ると、先ほどの老僧が座っていたという。丁重に伏しおがんだ佐太夫のその身には、いつまでもよい薫りが残り、幸せが続き、子孫が栄えたという。(弘法大師御留錫、御修法の為の閼伽水を汲まれたと傳えられる閼伽池がある)

年中行事

一月十八日及び七月十八日の年間二回本尊会式修行

寺宝・文化財

・縁起画像 鎮守像(鏡野町文化財指定)
・津山藩主松平家より、寺領五十石の朱印状

高野山真言宗美作八十八ヶ所霊場会発行『高野山真言宗美作八十八ヶ所霊場』より