嫁いらず観音(井原市大江町1036)

本尊 十一面観音

縁起

 奈良時代天平九年千二百余年前の名僧行基菩薩の開基と伝えられ、行基自作の十一面観音を本尊としてお祭りし、樋の尻観音といいますが、このあたりでは「嫁いらず観音」の俗称で知られております。
 そのいわれは、行基菩薩は西国行脚の際此庄(井原市大江町)に滞在されましたが、当時この地方に妖怪悪鬼が住み、世人を苦しませていました。行基菩薩はこれを歎かれ「諸悪を除きたまえ」と大悲薩た(観世音菩薩)に祈念しました。すると観音様はたちまち姿をかえて三十三身を現わして妖怪退治にむかい、中でも千手観音は「大悲の弓」に「知恵の矢」をつがえて雨あられと射かけ、妖怪らのすくむところを十一面観音が「大悲の利剣」をふるって鎮定され、これよりこの地方の生活も安泰となりました。そこで行基菩薩は観音の徳をあがめて、最上の白檀木に十一面観音像を彫み、樋の尻山大磐石の岩陰に安置し、この山を一大観音霊場とし、自ら側らの地に小庵をかまえ、大衆冥福の祈念場とされました。これが樋の尻観音の縁起と伝えられています。
 尓来千数百年参詣者は絶えることなく、とくに年老いた人たちがいつまでも健康で幸福な生涯を全うし、嫁の手を患わすこともない、という霊験があり、嫁不要(よめいらず)の観音様といわれております。

年中行事

春秋大祭    春分の日、秋分の日
月例祭      毎月十七日
一般平日    無住職で自由参拝