大滝山 福生寺(備前市大内)

仁王門

 国道二号線を中心に、南に赤穂線、北に新幹線と三本の動脈が平行して走っている備前市香登(かがと)-伊部(いんべ)付近。大内地区を左に折れ、新幹線の下をくぐり北に約1キロ行くと右手に山門(県指定)が見える。軒が低く、異様に感じるが、この仁王門は応永四年(1397)足利義満が建立したと伝えられている。天正十六年(1588)大修理のとき、いたんでいた柱を切り落とし、短くしてしまった。

福寿院

 門を通じて木の間がくれに美しい相輪が見える。これは三重塔(国指定重文)の相輪で、嘉吉元年(1441)足利義教が再建したといわれ、県内の塔婆のなかでも室町時代の特色をよく示している佳作である。
 大滝山福生寺は唐僧鑑真(がんじん)の開祖と伝えられる名刹で(めいさつ)で、山獄仏教の盛んであった平安時代から鎌倉時代にかけて、数十の塔頭(たっちゅう)や僧坊がたち並び多くの僧たちが修業した。将軍家足利氏は特にこの寺を信仰し、尊氏が火災で焼失した同寺を復興し、義満が本堂、仁王門、義教が三重塔を再建した。本堂や塔頭などは戦国動乱の世、赤松、山名の戦乱で焼失し、現在の本堂は江戸時代の再建。明治初年までは、まだ十三坊が残っていたが、現在は福寿院、西法院、実相院の三寺だけである。

市川俊介著『岡山の神社仏閣』より

西法院 実宗院 福生寺本堂