最近観た演劇・ミュージカル等の感想


公演/日付/会場 感   想
隠れる女
2000/12/13
本多劇場
竹中直人&岩松了ですからね....ちょっと癖の強い芝居でした。 なんかこう、とっても内向的な雰囲気の、怪しげな母子(岸田今日子、竹中直人) の住む山荘に突然飛び込んでくる女(小泉今日子)。
これがまた過去のトラウマみたいなものに囚われ、未来をもたないような女で、 一目見るなり山荘の母子はお気に入り。なんやかんやと言って女を逗留させるの ですが、似たもの同士が干渉し合い、やがて女は「生きる」ことへ再挑戦する 気持ちを芽生えさせていく....私にはそんな芝居だったような気がしました。
「生きる」なんていうと大変なことのように聞こえるが、それを微分していくと じつは些細なことから「生きる」ことは始められる....終盤に女が捜し求める 「赤い花」とは、「夢」とか「未来」といったものの象徴なのではないか.... すなわち「隠れる女」とは警察などから隠れるのではなく「生きる」ことから 隠れる女だったのではないかと。
人間風車
2000/11/08
PARCO劇場
生瀬勝久、斉藤由貴、升毅、安部サダヲ、八嶋智人、後藤ひろひと、竹下宏太郎、 田鍋謙一郎、松永玲子、大倉孝二、神野美紀、武藤陶子、大谷亮介と個性豊かな キャストの芝居でしたが、この強力なキャストを存分に使いこなすシナリオで、 「後藤ひろひとの最高傑作との呼び声も高い」というのも納得。 笑わせて、泣かせて、ビビらせて、また泣かせて....と、めくるめく展開の中に 人間の残酷さが漂ってたしかにホラーの傑作です。今年の Best Play かな。
メランコリー・ベイビー
2000/10/18
青山円形劇場
都会の片隅のJAZZの流れるクラブで男と女が繰り広げるメランコリーなお話.... というと田舎育ちの私には今ひとつ感情移入しにくいかなぁ....なんて思っていた のですが、「好きな人と一緒にいるだけが幸せではない、離れたところから見守る 幸せもある」なんて台詞を聞けば、誰しも心にしまっておいた小箱から 淡い思い出の1つや2つは顔を出すのでは....その辺のくすぐり方が相変わらず お上手ですね、遊◎機械は。
客演の筒井道隆、自動人形作家のムットーニさんらも◎でした。
ライオンキング
2000/07/15
四季劇場「春」
2度目のライオンキングですが、自分に子供が生まれて改めて観てみるとまた一興。 今回は1階席の前の方で観たので、前回とはまた違う楽しみもありましたし.... 次は子供と一緒に観てみたい気もしますが、さすがにそこまでロングランはないか。
キレイ
2000/06/28
シアターコクーン
松尾スズキ、阿部サダヲ、宮藤官九郎あたりを見に行った人にはオイシイ作品でしょうか。 しかし、「こんなふうになるのかな」と思ったまんまの展開で、3時間半はちょっと長い。 「生きるとは?」が縦糸になっていて、そこに横糸をちょんちょんと差し込んだ感じで、 全体の作りは素人っぽい。まぁ、全体的な雰囲気が楽しげならいいってことで。
オケピ!
2000/06/10
青山劇場
三谷幸喜、初のミュージカルということで、チケットが即日完売の「オケピ!」ですが、 私が個人的に期待するシチュエーションコメディの傑作にはなっていませんでした。 まぁ、ミュージカルなんだから仕方ない....でも、著名なミュージカルを揶揄したり、 途中ホロリとさせたり、最後は大団円となったりで、とても楽しめるものでした。 人情喜劇としては一級品の域です。
なかでも「話が通じれば曲を無くしてもいいなんて言ったら キャッツはメモリーしか残らないじゃないか」というのには大笑い(拍手付)しました。
カノン
2000/04/19
シアターコクーン
野田秀樹らしい台詞の言葉遊びと小道具の使い方。毎度のことながら感心します。 今回は絵画の木枠でいろいろなものを見せてくれました....上手いですねぇ。
ただ、私個人が今回は劇中のパラダイムにハマリ損ねたのか、「んんっ?」と 思っているうちに終わってしまって....いまひとつ合点がいきません。 じつは22日にもう一度カノンを見るので そうしたらまた印象が変わるかもしれませんが、 今回は「良く出来た芝居だった」とは思うものの「良い芝居だった」とは 思いませんでした。
それはそれとして鈴木京香....舞台で見たのは三谷幸喜の「厳流島」以来でしたが ちょっと見ない間に良い女優さんになっていました。 あっ、別に胸や脚に見取れて言っているわけではないので念のため。(笑)
(翌日)一晩経って、あれは欲望と絶望と希望の三角関係だったのか....と 思ったら、案外いい芝居だったなぁ....と思い始めました。これも野田秀樹の 魅力のうちでしょうか。(^^;)>
超老伝2000
2000/02/23
紀伊國屋ホール
チラシによれば、(1)20人の登場人物を3人で演じわける、 (2)コント、落語、モノローグ、歌にダンスとあらゆる手法を駆使する、 (3)殺陣のできる役者がいないのに格闘シーンが見せ場である、 というのがこの芝居の3大特徴ということでしたが、(1)と(2)は十分 堪能できました。(3)は....。(^^;)
まっ、心に残るってことはないんだけど、「中島らも」っぽい笑いを 芸達者のキャストが演じてくれるのですから、好きな人にはたまりません。
1999年に観た演劇はこちら
1998年に観た演劇はこちら


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