ヴォーン=ウィリアムズ :『グリーンスリーヴズ』による幻想曲

ヴォーン=ウィリアムズ(1872〜1958)   イギリス・ラファエル前派のガブリエル・ロセッティ(1828〜18828)による My Lady Greensleeves。 この曲との関連性はないと考えられます。

 この曲は、シェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房達』に基づいてイギリスの作曲家ラルフ・ヴォーン=ウィリアムズが書いた歌劇『恋するサー・ジョン』に採用されたイギリスの民謡を2曲組み合わせて、フルート2本とハープに弦楽5部という編成にまとめたものです。3部形式の曲で前と後に有名な「グリーンスリーヴズ」、中間部には「愛しいジョーン」という民謡が使われています。

 ヴォーン=ウィリアムズはこの歌劇の中で、アリアやつなぎの音楽として数々の民謡(主にエリザベス王朝時代を代表するもの)や賛美歌を使用しています。しかし一例を除いてはストーリーや場面と特別な関連はなく、メロディーの雰囲気を活かしたかたちになっています。

 「グリーンスリーヴズ」はこの歌劇の第4幕の第1場と第2場の間に演奏される間奏曲で、場面としてはファルスタッフをとっちめるべく皆が森にでかけるところです。元来の民謡では「緑(グリーン)の袖(スリーヴズ)の服を着た恋人に捨てられた悲しみ」が歌われますので、歌劇のストーリーとは全く関係はありません。しかも、歌劇ではメロディーだけで歌詞はありません。

 また、中間部の「愛しいジョーン」は第2幕で女性によって歌われる曲です。二人の夫人がファルスタッフから同じ文面の恋文を貰って憤慨し、ファルスタッフを懲らしめるために一計を案じて返事を書こうとおしゃべりをしています。その最中に、後でその手紙をファルスタッフに渡す役をおおせつかることになるもう一人の夫人が登場しますが、その時歌われるのがこの曲です。二人の会話に重なって歌われる鼻歌のようなものです。歌詞は、「愛しいジョーンに遭うまで高貴な騎士はひとりで白馬に乗って…」といった内容です。     

 このシェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房達』を扱った曲はたくさんあります。そのまま歌劇として完成されたのは、なんといってもヴェルディが有名ですが他には、序曲で有名なニコライのものと1幕もののホルスト、そしてこのヴォーン=ウィリアムズがあります。また、歌劇以外でも、この憎めない主人公ファルスタッフを扱った作品はありますのでご興味のある方は是非聴いてみてください。

ニコライ:歌劇『ウィンザーの陽気な女房達』1849年初演
ヴェルディ:歌劇『ファルスタッフ』1893年初演
ホルスト:歌劇『いのしし頭で』
ヴォーン=ウィリアムズ:歌劇『恋するサー・ジョン』1929年初演
エルガー:交響的習作『ファルスタッフ』


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