ブルックナー : 交響曲第7番

アントン・ブルックナー    聖フローリアン教会
 アントン・ブルックナー(1824―1896)は、現在では交響曲作曲家として知られておりますが、第7交響曲初演以前はミサ曲をはじめとする宗教的声楽作品などで評価はされていたものの交響曲の分野ではほとんど認めらておらず、むしろオルガニストとして有名でした。

 もともと敬虔なカトリック教徒であるブルックナーは教師の仕事をしながら教会でオルガンをひいていました。リンツ大聖堂の暫定オルガニストとなったのは31歳の時、本格的に音楽理論を学び始めたのは更にその後のことですので、プロフェッショナルな音楽家としての人生はかなり遅くに始まったといえるでしょう。彼は周囲からちょっと変った人物と見られることが多かったのですが、同時代の人達(ヴァーグナー、リスト、ブラームス、マーラーをはじめ、彼の弟子や当時の演奏家・批評家など)との関わりや、それに伴う数多くの作品改訂のいきさつ等、興味深い話が多く残されています。

 本日お聴きいただく交響曲第7番は1881年9月から1883年9月にかけて作曲され、1884年12月30日ライプチィヒにおいてアルトゥール・ニキシュによって初演されました。この初演にあたって、ニキシュはオーケストラの練習はもちろん、ブルックナーへ手直しの提言、さらには事前に有力な批評家にピアノを使って解説までするという周到な準備をしたそうです。結果、初演は大成功をおさめ、1885年3月のミュンヘン再演によりこの作品の評価は決定的なものとなり、ヨーロッパ各地をはじめ大西洋を渡りアメリカでも演奏されるようになりました。当時なかなか理解してもらえなかった彼の交響曲ですが、この成功によりブルックナーは60歳を過ぎてはじめて交響曲作曲家として広く認められるようになりました。

 彼の交響曲は自然の偉大さと美しさ、そして宗教性をあわせ持つのが特徴ですが、第7交響曲はとりわけロマンティックな旋律が多く、輝きと透明感にあふれております。その魅力は第1楽章冒頭のチェロによる第1主題に表れ、後に続く木管楽器の第2主題とその変奏とともにこの曲の人気を高めていると言っても過言ではないでしょう。またヴァーグナーの死を予感して第2楽章の作曲をすすめていたブルックナーはその訃報を受け、ヴァーグナーチューバによるコーダを書いたことはあまりにも有名な話です。この楽章では同時期に作曲していた宗教音楽の大作『テ・デウム』の終曲と同じ主題が表れます。第3楽章は単純なテーマではじまるスケルツォです。曲が進むにつれ徐々に巨大な音のうねりをつくり頂点をむかえますが、トリオでは対照的に美しく穏やかな音楽となります。第4楽章は第1楽章の冒頭のテーマをリズミカルな形にした第1主題とコラール風な第2主題を用いたソナタ形式で、コーダの最後に第1楽章の冒頭のテーマが力強くもどってきて全曲の終結となります。この曲はウェイト(音楽的にも演奏時間も)が1、2楽章に偏っていて、特にフィナーレは彼の交響曲としてはあきらかに規模が小さくなっています。もしかするとこのようなことも聴衆にとってはむしろ聞き易くなり、この曲の人気に一役かっているのかもしれません。

 尚、本日の演奏ではハース校訂による版を使用いたしますが、楽器の使用法や速度・表現等を一部ノーヴァク校訂版の指定を取り入れて演奏いたします。

                                              (プログラム掲載分 Pos.さかぞ)

 CD評もあります。どうぞご覧下さい。
教会入り口の床に彫られたブルックナーの墓標  教会入り口の床の真下の地下室にあるブルックナーの棺  聖フローリアン教会
    

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