エピローグ〜11曲を演奏して

 
 マーラーの交響曲作品全11曲を40年もかかって演奏したなんて時間がかかり過ぎですね。ある若い女性のヴァイオリン弾きから「あら、私はとっくに終わっているわ。ショスタコーヴィチも15曲全部弾いたし。」と聞いてからは、このことはあまり人には言わないようにしようと思いました。8番の『一千人の交響曲』を演奏した時に一緒にヴァイオリンを弾いたメンバーの中にこの曲は8回目だというとんでもない御仁もいらっしゃいましたから・・・。

 私が誇れることといえば、マーラーのすべての交響曲を演奏する際、その弾いたオーケストラには正規の団員として参加したことくらいでしょう。エキストラでの参加は1回もなかったということです。元々エキストラを依頼される腕はありませんからあたりまえではあります。また、どの演奏会でもリハーサルは8、9割の出席率を守ったのですが、これまた私の演奏技術ではリハに何度も出なければ弾けるようにならないからでした。しかし、本番だけでなくリハに出てマーラーの音楽に浸ることが何より楽しかったし、できるだけ多くの時間マーラーの音符を弾いていたかったからなのでした。

≪ 完 ≫

 
             マーラー交響曲第8番 パート譜


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