地ビールとは何ぞや?


ニセコのとある宿にて懇意になって以来、私を何でも屋か何かと勘違いして
しばしば無理難題を押し付けてくる、中国は岡山にお住まいのK嬢より
こんなメールを頂いた。曰く、

「高知のとある地ビールは『四万十川の水を使用』と書いてあるが
メーカーは香川県にあってしかもMade in USAなんじゃ。
アメリカにも四万十川ってあるんかい! 
こんなん地ビールと呼んじゃっていいんかい!」

というものであった。

お怒りは至極ごもっともで、気になった私は日本地ビール協会の
ホームページを始め、いくつかのビール関係のホームページは
書籍を当たってみた。が、ずばり地ビールの定義が書かれている
ところは見つからなかったのである。

そんなときたまたま読んでいた、「ごっくん馬路村」を生んだゆず加工品で
全国にその名を轟かす高知県馬路村のサクセスストーリーを描いた名著
「ごっくん馬路村の村おこし」の中にもこんな記述を発見した。

「規制緩和で地ビール工場が、全国各地に出来た。その数は
約230箇所に及んでいる。これとて厳密に言えば、地ビールの
例は極めて少ない。いわば、地の水を使った地水ビールなのである。
これだったらキリンビール京都工場のビールも地ビールである。
三重県阿山町に、モクモク手作りファームがある。木村修社長が
胸を張って言う。『ウチで作るパンやビールが本当の地パン、
地ビールです。地元農家に小麦、大麦を作ってもらい、それを
使った本物の地元特産品です。』」

なるほどその定義なら確かにキリンビールだけでなくアサヒもサッポロも
サントリーもオリオンもみんな地ビールだ。
じゃあその高知の地ビールも彼等がいうところの「地水ビール」であり、
エセ地ビールなのか?


全員、大きな勘違いだった。


私をこの道に進ませた札幌のビールマニアS氏によれば、地ビールとはかようなシロモノだ。
  1. かつては年間2000キロリットル生産できないとビール製造免許が取れなかった。 大瓶で約14万ケースも売らなければならなかったわけだ。 それが、1994年4月に年間60キロリットル(発泡酒免許なら年間6キロリットル)に 大幅に規制緩和された。それで各地に少量生産のブルワー(ビール醸造社/者)が たくさんできた。
  2. すなわち、 地ビール年間生産量2000キロリットル以下のブルワーである。 さらに平たく言えば、キリン・アサヒ・サッポロ・サントリー・オリオンの 「大手5社」以外のビール。
  3. 原料が「地」のものである必要はまったくない。 それを言うと、日本に「地ビール」は存在できなくなってしまう。なぜなら、ビールの 原料のひとつであるホップは、国産のものは大手ビール会社の自社農園にしか 存在していないから。 もちろん、全ての原料を国産で賄っている地ビールは、現在日本国内には存在しない。
  4. 「地ビール」というのは「地酒」に引っ掛けたマスコミの造語であり、正式な用語ではない。 英語だと「Micro Brewery」と呼ばれており、本当は日本でもそのような言い方にした方が 誤解も少ないのだろう。(良訳を考える必要はあるが)
ということだ。  どういうことよ! 木村社長! 早い話、地酒の「地」と地ビールの「地」は同じではない、ということだ。 地酒は土地にあった水や米で味が決まっている。世界的に見れば 地ビールも同じように個性的な味ができてきたわけだが、歴史の ない日本においてはそこまではなかなか考慮できないのでは、 とのことである。 だから、香川製でもアメリカ製でも問題ないんです > 四国の地ビール。 さらにS氏はこんなことも言っている。 『地ビールの品質は「原料」よりも「造り手」の技術の方にウェイトが高い。 ビール製造は日本酒以上に製造工程に繊細さが必要とされるのに、作り手の方があまり それを重要視していなかった(機械が勝手に作ってくれるみたいな認識があったり)』 つまり「原料がいい=ビールがうまい」とは限らないのである。 「地ビールがまずい」と言われるのはいい原料をちゃんと扱える造り手が ほとんどいないからなのである。』 大丈夫か? 木村社長。 まぁあれだけ豪語してることだからきっとちゃんとした造り手を 育てているのだろう。と信ずる。 S氏は最後にこう締めている。 『肝心なのは原料の産地なのではなく、大手の画一的なビールとは違った個性的な ビールを"ちゃんと"作るということ。技術も機械もマーケティングも超一流の大手の  マネなんて、してもしょうがないし、ビール自体のポテンシャルを見くびりすぎている。 幸いにして、着実によい「ブルワー」は 増えている。この数年で、地ビールは 本当に飛躍的においしくなっている。 あとは飲み手の方がビールに対する強い偏見を見なおす必要があると。』 皆の者よ。当ページに示したようにビールはかくもフレキシブルで バラエティに富んだシロモノである。 今こそビールについての認識を改めるべきだ、とは思わないか?

Everybody,Let's Drink Beer!

  アーンド Let's Drink おバカ Beer!
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