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        「オズの魔法使い」の外伝として書かれた「ウィキッド誰も知らない、もう一つのオズの物語」(1995年)に基づく、ブロードウェイ・ヒットミュージカルの映画化。 
        この作品だけで完結と思い込んでいたら、舞台での第一幕の映画化、ということで二部作の第一作だそうです。 
        内容は、元々の原作に登場する“悪い魔女”=エルファバと、“善い魔女”=グリンダの知られざる友情を描いた、というもの。 
        エルファバは、緑色の肌で生まれたことから、皆から気味悪がられ、父親からも疎まれて育った孤独な少女。とはいえ、足の悪い妹を気遣う、実は優しい心根をもった女性です。 
        父親に命じられシズ大学に入学する妹の付き添った際、ふとしたことで発揮してしまった魔法の力を魔法教師であるマダム・モリブルに注目され、エルファバもまたシズ大学に入学、ガリンダ(後に自らグリンダと改名)と同部屋になります。 
        そのガリンダは、裕福なお嬢さまで自己陶酔的な美少女。 
        同部屋にされたエルファバを見下し、毛嫌いしますが、エルファバに対する自分の仕打ちの酷さに気づき、友情で結ばれる。 
        そして、エルファバが持つ特別な能力から、<オズの魔法使い>からの招待状を受け取り、グリンダと共にエメラルドシティへと向かうのですが、そこでエルファバを待ち受けていたものは・・・。 
        本作において、ミュージカル場面も勿論魅力があるのですが、それ以上にストーリー内容に惹きつけられます。 
        オズの世界では、動物も言葉を話し、大学での教師も担っていたのですが、いつのまにかそれを排除しようという動きが起きている、というのが本ストーリーで肝となる部分。 
        エルファバの緑色の肌、言葉を話す動物、それを嫌い、禁止しようとするのは、多様性の否定に他なりません。つまりトランプが現在行っていること。 
        エルファバが叶えたいと思ったのは、その多様性の容認です。 
        本作の最後で、エルファバは自ら<西の魔女=悪い魔女>の道を選びますが、幼い頃から人に疎まれ、孤独であることを恐れない、独立不羈の強い心を持っていたから、と言えるでしょう。 
        第二部におけるエルファバの戦いが楽しみです。 
        2025.03.07 
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