“スリー・ビルボード ★★☆
Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
(2018年イギリス・アメリカ映画)

監督:マーティン・マクドナー
脚本:マーティン・マクドナー

出演:
フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、アビー・コーニッシュ、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ

  

娘アンジェラをレイプされたうえに焼き殺されるという悲劇の母親=ミルドレッド・ヘイズは、進まない捜査に苛立ち、道路沿いの広告看板3枚に広告を出すという権利を買い取り、犯人を見つけられない警察署長ウィロビーに対する挑発文言としか受け取れないメッセージを掲示する。
しかし、町の人々から敬愛されているウィロビーに、捜査を怠ったという事実はないどころか、すい臓がんを患っているという深刻な状況にあった。
そんなことから、穏やかだったミズーリ州の田舎町エビングに波紋が次々と起きる、というストーリィ。

ミルドレッドの過激な行動には、事件の直前にアンジェラと喧嘩し、危険な状況にアンジェラを追いやってしまったという悔恨があります。
しかし、そうした事情があるにしろ、ここまでやるのかと思うほど、ミルドレッドの行動はますますエスカレートして止まない。
そんなミルドレッドの行動に引きずられるようにして、暴力が連鎖していく様相は、もう恐ろしいとしか思えません。

本作には、解決も、納得できる結末もありません。
そこにあるのは、善意と悪意が皮一枚というべき人間の狂気、恐ろしさ。
しかし、その憎しみの連鎖を断ち切るような行動を取る人間もいます。
どんなことがあっても、人間の善性を信じることを忘れてしまってはいけない、と思います。

それにしても、本ストーリィは余りに酷い、凄まじい。
こんな展開があるのはアメリカ社会だからこそ、と感じるのは誤りでしょうか。

2018.02.04

       


  

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