ピーター・ブラウンのベストセラー「野生のロボット」のアニメ映画化。
とても良い作品でした。
人間をサポートするアシストロボットを輸送中の飛行機が台風に遭い、無人島に墜落してしまう。4体は壊れてしまったが、1体のみが無事。
その起動スイッチをたまたま動物が押してしまったため、そのロボット=ロズは起動します。
さっそくシステムにしたがい、やるべき作業の指示を問いかけたロズですが、指示してくれる者はどこにも見当たらず、指示も受けられず、想定外の事態に途方に暮れたロズは、一人島内を彷徨し始めます。
それでも、島に暮らす動物たちの会話を分析、その言葉を習得したことにより、動物たちとの交流ができるようになったロズは、自らの判断で行動することを学んでいきます。
そうなってのち、偶然に鳥のガンの巣を壊してしまったロズは、一つだけ残った卵を保護し、やがてその卵からはガンの子であるキラリが誕生します。
生まれてはじめてロズを目にしたキラリは、本能に従ってロズ=親だと思い込んでしまう。
オポッサムのピンクシッポや、狐のチャッカリに教えられ、キラリを一人前のガンに育て上げることこそ自分の任務と決めたロズは、子育て、泳ぎ、さらには飛ぶことを教えようと奮闘していく・・・・。
本作、まず映像が素晴らしい。アニメであることに違いはないのですが、アニメであることを忘れてしまう、と言ったらよいでしょうか。ロズをはじめとし、動物たちの姿がとても(アニメ的に)リアル。とくに、キラリら、子どもたちの姿がとても可愛らしい。
そのうえで、するべきことが示されず途方にくれた様子のロズ、キラリを育てるという役目を得たロズの充実感、ロズとキラリとの間に生まれた愛情、そしてチャッカリが持つに至ったロズへの友情、さらには島の動物たちとロズとの間に結ばれた信頼感。
ロズの前に現れたものたちに対する、「わたしは野生のロボット」だというロズの言葉にはそうした事実の裏打ちがあってのこそ、と感動を覚えます。
日本語吹替でロズを演じたのは綾瀬はるかさん。綾瀬さんの温かくて優しい声がロズにぴったり、味わい深いものを感じます。
なお、本作はドリームワークス・アニメーション30周ねん記念作品、
アカデミー賞3部門ノミネート(長編アニメーション賞・作曲賞・音響賞)とのこと。納得です。
2025.02.13
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