“ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書★★
The Post
(2018年アメリカ映画)

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:リズ・ハンナ、ジョシュ・シンガー

出演:メリル・ストリープ、トム・ハンクス、サラ・ポールソン、オブ・オデンカーク、トレイシー・レッツ、ブルース・グリーンウッド

  

ベトナム戦争が泥沼化していた1971年の米国ニューヨークが舞台。
そのベトナムでの米国軍兵士たちの状況を調査した者は、その現状を隠蔽してうまくいっていると取材陣に答える政府要人たちを容認することができず、ベトナム戦争の事実を記載した最高機密文書をコピーして外部に持ち出します。
まず、政府にとって不都合な事実を追求するスクープ記事を出したのは、ニューヨーク・タイムズ誌。
そしてその後、大量の最高機密文書コピーが、今度はワシントン・ポスト誌の記者に委ねられます。
ライバル誌に後れを取ったワシントン・ポスト編集主幹のベン・ブラッドリーは勿論記事にしようと意気込みますが、一方、その結果罪に問われ会社そのものを窮地に陥りかねないと役員、顧問弁護士事務所が引き留めようとし、意見は対立します。
そしてその重大な決断を任されたのは、社主であるキャサリン・グラハム。
元々ワシントン・ポストはキャサリンの父親が大きくした新聞社、父親の死後にその後を継いだのは、キャサリンの亡き夫。
それまでずっと平凡な主婦だったキャサリンが、突然重大な立場に追い詰められます。さて・・・・。

巨大な国家に戦いを挑むような行為・・・その結果、自分や社の幹部たちも罪に問われ投獄されることになるかもしれない。また、ワシントン・ポスト社そのものの存続の危機に陥るかもしれないような危険な賭け。
しかし、真実を明らかにしなければ、米国の若者たちは引き続き危険なベトナムの地に送り続けられるかもしれません・・・。

文章で書くだけではその重みは十分伝わらないことでしょう。でも、画面を見れば、如何に大きな、勇気ある決断かということが、リアルに伝わってきます。
その決断をする時にキャサリンが放った一言、そして最後に最高裁判所判事が判決にあたって語ったという一文、そこに米国という国の底力を見る思いでした。
昨今のような目先の損得ではなく、もっと大きな理想を貫こうとする姿勢がそこにはあったと思います。
今、こうした映画が作られたのは、現在の米国社会に対する警鐘でしょうか。

2018.03.31

       


  

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