“ブーリン家の姉妹” ★★☆
The Other Boleyn Girl
(2008年イギリス/アメリカ映画)

監督:ジャスティン・チャドウィック
原作:フィリッパ・グレゴリー
脚本:ピーター・モーガン
出演:
ナタリー・ポートマン
、スカーレット・ヨハンソン、エリック・バナ

 

ヘンリー8世の女性騒動の顛末を描いた歴史ドラマ。
女性をめぐるゴタゴタ騒ぎと言ってしまえば低レベルの話となりかねませんが、その騒ぎの結果英国はローマ・カトリックと訣別して英国国教会を打ち建て、さらに英国の繁栄を築いた女王エリザベスを生み出したのですから、歴史上大きなドラマです。

英国王ヘンリー8世の悩みは王妃キャサリンとの間に世継ぎとなる男子が生まれないこと。そこに目をつけたのが新興貴族のブーリン兄弟。
2人は一族勃興のチャンスと見て、野心家の姉娘アンを国王に近付け後継ぎを孕ませようと策略を巡らせます。
ところが国王が惹きつけられたのは、商人と結婚したばかりの妹娘メアリー。
先に結婚されたばかりか狙った国王の愛情まで奪われ、さらに自分の恋路までメアリーに邪魔されたと思い込んだアンは、メアリーを追い落として国王の愛情を絡めとろうと一層の野心を燃やし、策略を巡らせます。さてその結果は・・・というストーリィ。

結果は歴史上の事実ですから、変わりようがありません。
しかし、アン・ブーリン、
シェイクスピア「ヘンリー8世」などからヘンリー8世の自儘な愛情の犠牲になった女性というイメージを持っていたのですが、本作品で描かれる彼女は、きわめて野心家で計算高い女性。
このアン・ブーリンを演じるナタリー・ポートマンの演技が圧巻です。
それと対照的に妹メアリーを演じるスカーレット・ヨハンソン、無欲で慎ましい女性という役柄のためにナタリー・ポートマン程の圧倒感はありませんが、良い役を得たなぁと感じます。

それにしてもそのヘンリー8世とアン・ブーリンの間に生まれた娘が、後に英国を輝かしい発展に導くことになる女王エリザベスとなるのですから、歴史とは皮肉なものです。

本作品では、ブーリン姉妹を演じるナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソンが見どころですが、その他夫と弟の野心に3人の子供を犠牲にされる母親=レディ・ブーリンを演じるクリスティン・スコット・トーマス、自らの誇りを全うする王妃キャサリン・オブ・アラゴンを演じるアナ・トレントというベテラン女優の演技も実に観応えあります。
男たちの野望、欲望に翻弄されその犠牲となった女性たちを描く歴史ドラマ、と言って間違いないと思います。

※なお原題「もうひとりのボーリン家の娘」とは、主役である姉娘アンのこと。

2009.05.07

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